(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018382
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】チューブ容器のシール方法
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20240201BHJP
B65D 35/10 20060101ALI20240201BHJP
B65B 51/20 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B65B51/10 Z
B65D35/10 Z
B65B51/20 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121696
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100139686
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 史朗
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100147267
【弁理士】
【氏名又は名称】大槻 真紀子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 信之
【テーマコード(参考)】
3E065
3E094
【Fターム(参考)】
3E065AA02
3E065BA02
3E065BA16
3E065BA18
3E065BA25
3E065BA34
3E065BB03
3E065CA01
3E065CA09
3E065DA04
3E065DD05
3E094AA14
3E094BA04
3E094CA01
3E094DA03
3E094FA30
3E094HA08
(57)【要約】
【課題】チューブ容器の胴部の一方端における熱変形および気泡の発生を抑制しつつ、シール強度を高めることが可能である、チューブ容器のシール方法を提供する。
【解決手段】注出筒部と、注出筒部の一方端に接続され、注出筒部の外方に延伸するフランジ部と、を有する注出口部と、シートから成り、一方端から他方端に亘って延びる背貼りシール部が形成され、一方端が閉塞され、他方端に注出口部が取り付けられるチューブ状の胴部と、を備え、内容物を収容するチューブ容器のシール方法であって、背貼りシール部が形成され、他方端に注出口部が取り付けられ、内容物が充填された胴部の背貼りシール部の一方端の内面と、背貼りシール部の一方端と対向する対向部の内面と、を加熱する第1加熱工程と、ヒートシールによって、背貼りシール部の一方端及び対向部を含む胴部の一方端を閉塞する第2加熱工程と、を有するチューブ容器のシール方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の注出筒部と、前記注出筒部の一方端に接続され、前記注出筒部の外方に延伸するフランジ部と、を有する注出口部と、
シートから成り、一方端から他方端に亘って延びる背貼りシール部が形成され、一方端が閉塞され、他方端に前記注出口部が取り付けられるチューブ状の胴部と、
を備え、内容物を収容するチューブ容器のシール方法であって、
前記背貼りシール部が形成され、他方端に前記注出口部が取り付けられ、前記内容物が充填された前記胴部の前記背貼りシール部の一方端の内面と、前記背貼りシール部の一方端と対向する対向部の内面と、を加熱する第1加熱工程と、
ヒートシールによって、前記背貼りシール部の一方端及び前記対向部を含む前記胴部の一方端を閉塞する第2加熱工程と、を有する、チューブ容器のシール方法。
【請求項2】
前記第1加熱工程において、前記背貼りシール部の一方端の内面及び前記対向部の内面それぞれに温風を送風する、請求項1に記載のチューブ容器のシール方法。
【請求項3】
前記第2加熱工程において、前記胴部の一方端の内面同士を接触させつつ、前記胴部の一方端の外面全体を加熱する、請求項1または2に記載のチューブ容器のシール方法。
【請求項4】
前記シートの厚みが100μm以上である、請求項1に記載のチューブ容器のシール方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、チューブ容器のシール方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
医薬品や化粧品、食品等の包装材として、チューブ容器が広く用いられている。例えば、特許文献1には、内容物を注出する注出ユニットと、注出ユニットに溶着され、内容物を収容する胴部と、から構成されるチューブ容器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のチューブ容器の胴部は、シートを筒状にしてシートを部分的に重ね合わせて背貼りシールを行った後に、胴部の一方端をシールすることにより形成される。シールされた後の胴部の一方端のうち、背貼りシール部を含む部分は3枚以上のシートが重なり、背貼りシール部を含まない部分は2枚のシートが重なる。したがって、胴部の一方端において、背貼りシール部を含む部分の熱容量は、背貼りシール部を含まない部分の熱容量よりも大きくなる。よって、胴部の一方端をヒートシールによってシールする場合、背貼りシール部を含む部分のシール強度が所望のシール強度に達するまで胴部の一方端を加熱すると、背貼りシール部を含まない部分の温度が高くなりすぎるため、熱変形及び気泡の抱き込みが発生する虞がある。また、背貼りシール部を含まない部分の熱変形及び気泡の抱き込みが発生しないように胴部の一方端を加熱する場合は、背貼りシール部を含む部分のシール強度が不足する虞がある。
【0005】
上記事情を踏まえ、本発明は、チューブ容器の胴部の一方端における熱変形および気泡の抱き込みの発生を抑制しつつ、シール強度を高めることができる、チューブ容器のシール方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係るチューブ容器のシール方法は、筒状の注出筒部と、注出筒部の一方端に接続され、注出筒部の外方に延伸するフランジ部と、を有する注出口部と、シートから成り、一方端から他方端に亘って延びる背貼りシール部が形成され、一方端が閉塞され、他方端に注出口部が取り付けられるチューブ状の胴部と、を備え、内容物を収容するチューブ容器のシール方法であって、背貼りシール部が形成され、他方端に注出口部が取り付けられ、内容物が充填された胴部の背貼りシール部の一方端の内面と、背貼りシール部の一方端と対向する対向部の内面と、を加熱する第1加熱工程と、ヒートシールによって、背貼りシール部の一方端及び対向部を含む胴部の一方端を閉塞する第2加熱工程と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、チューブ容器の胴部の一方端における熱変形および気泡の抱き込みの発生を抑制しつつ、シール強度を高めることが可能である、チューブ容器のシール方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るチューブ容器の概略構成を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示すII-IIラインに沿う断面図である。
【
図3】
図1に示すIII-IIIラインに沿う端面図である。
【
図4】
図1に示すIV-IVラインに沿う端面図である。
【
図5】チューブ容器の胴部を構成するシートの層構成の一例を示す断面図である。
【
図6】実施形態に係るチューブ容器の製造方法を示すフローチャートである。
【
図7】実施形態に係る第1加熱工程を示す下面図である。
【
図8】実施形態に係る第2加熱工程を示す下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施形態に係るチューブ容器の概略構成を示す斜視図であり、
図2は、
図1に示すII-IIラインに沿う断面図であり、
図3は、
図1に示すIII-IIIラインに沿う端面図であり、
図4は、
図1に示すIV-IVラインに沿う端面図である。
なお、以下の説明において、「胴部の一方端」は、
図2に示す胴部の下側の端部である。また、「胴部の一方端」は、胴部の一方端および胴部の一方端から所定範囲の部分を含む概念である。
「背貼りシール部の一方端」は、
図2に示す背貼りシール部の下側の端部である。また、「背貼りシール部の一方端」は、背貼りシール部の一方端および背貼りシール部の一方端から所定範囲を含む概念である。
【0010】
図1に示すように、チューブ容器100は、チューブ状の胴部1と、胴部1に取り付けられる注出口部2と、を備える。
【0011】
胴部1は、内容物を収容するための部材であり、
図5に示すシート41により形成される。胴部1は、略平行な一対の端縁を有する略長方形状のシート41を丸め、シート41の一対の端縁のそれぞれを含む部分を重ね合わせて溶着した後に、シート41の一方端の内面同士を重ね合わせて溶着することによって形成される。胴部1は、製袋機やピロー・スティック包装機等を用いて作製することができる。
【0012】
図1に示すように、注出口部2は、胴部1に収容された内容物を外部に注出するためのスパウトであり、熱可塑性樹脂を含む材料により成型される。注出口部2は、注出筒部3と、フランジ部4と、を有する。注出筒部3は、筒状である。本実施形態において、注出筒部3は円筒状である。注出筒部3の形状は円筒状に限定されず、四角筒状、六角筒状等の角筒状であっても良い。
【0013】
図2に示すように、フランジ部4は、注出筒部3の一方端6aに接続され、注出筒部3の外方に延伸する平板状である。本実施形態において、フランジ部4は、注出筒部3の軸方向と直交する方向に延伸する。本実施形態では、フランジ部4は、円環状に形成されているが、胴部1と接合できる限り、フランジ部4の形状は限定されず、楕円形、長円形、トラック形、多角形等であっても良い。
【0014】
注出口部2の材料となる熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド及びシクロポリオレフィンのいずれか1種、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。注出口部2は、熱可塑性樹脂と樹脂以外のフィラーを含む材料により成型しても良い、フィラーとしては、タルク、カオリン、紙粉及びセルロース繊維のいずれか1種、または、2種以上を組み合わせて用いることができる。注出口部2の材料として、熱可塑性樹脂と、樹脂以外のフィラーの混合物を用いることにより、成型性や胴部1との熱溶着性を維持しつつ、樹脂の使用量を低減できる。注出口部2の成型方法は特に限定されないが、射出成形、真空成形・熱板圧空成型等のサーモフォーミング、コンプレッション成型等の既存の成型方法を利用可能である。
【0015】
胴部1には、シート41同士がシールされる背貼りシール部7が形成される。
図1に示すように、背貼りシール部7は、胴部1の一方端5aから他方端5bに亘って延びている。
図3に示すように、本実施形態において、背貼りシール部7は、シート41の内面同士を合掌状に突き合わせて溶着して形成される。背貼りシール部7は、胴部1に沿うように折り曲げられている。本実施形態において、背貼りシール部7は、3枚のシート41が重なって形成される。背貼りシール部7の構成及び背貼りシール部7を形成する形成工程については、後段で詳細に説明する。
【0016】
図1及び
図2に示すように、胴部1の一方端5aにはシート41同士を溶着させてシールされている閉塞部10が形成される。閉塞部10によって、胴部1の一方端5aが閉塞される。
図4に示すように、閉塞部10は、胴部1の内面1a同士が溶着されて形成される。本実施形態において、閉塞部10は、ヒートシールによって形成される。
図1に示すように、閉塞部10は、第1閉塞部10aと、第2閉塞部10bと、を有する。
【0017】
図4に示すように、第1閉塞部10aは、閉塞部10のうち、背貼りシール部7の一方端7aと対向部9とを含む部分である。対向部9は、胴部1の一方端5aのうち、背貼りシール部7の一方端7aと溶着される部分である。対向部9は、胴部1の一方端5aのうち、背貼りシール部7の一方端7aと対向する部分である。第1閉塞部10aは、背貼りシール部7の一方端7aの内面7bと、対向部9の内面9aとがヒートシールによって溶着されて形成される。背貼りシール部7の一方端7aの内面7b及び対向部9の内面9aは、それぞれ、胴部1の内面1aの一部である。本実施形態において、第1閉塞部10aは、背貼りシール部7の3枚のシートと、対向部9の1枚のシートが重なって形成される。つまり第1閉塞部10aは、4枚のシートが重なって形成される。
【0018】
図1及び
図4に示すように、第2閉塞部10bは、閉塞部10のうち、背貼りシール部7及び対向部9を含まない部分である。第2閉塞部10bは、シート41の対向する一対の内面1a同士がヒートシールによって形成される。
図4に示すように、本実施形態において、第2閉塞部10bは、2枚のシートが重なって形成される。
【0019】
図2に示すように胴部1の他方端5bから所定範囲の部分は、折り畳まれて注出口部2のフランジ部4の外面8にシールされている。
【0020】
図5は、チューブ容器100の胴部1を構成するシート41の層構成の一例を示す断面図である。
【0021】
チューブ容器100の胴部1は、紙を主体とするシート41により構成される。シート41は、紙層32の一方面に、基材フィルム層33、バリア層34及びシーラント層35をこの順に積層し、紙層32の他方面に、紙保護層37を積層し、紙保護層37上にインキ層38及びオーバーコートニス層39を積層し、熱溶着性コート層40をパターンコートした多層シートである。以下、各層の詳細を説明する。なお、本実施形態において、紙層32の一方面側は、胴部1の内面側であり、紙層32の他方面側は、胴部1の外面側である。
【0022】
紙層32は、チューブ容器100に強度及びコシを付与する構造層である。紙層32を構成する用紙の種類は特に限定されないが、強度、屈曲耐性、印刷適性を備える点で、片艶クラフト紙または両艶クラフト紙を用いることが好ましい。また、紙層32を構成する用紙として、必要に応じて、耐水紙または耐油紙を使用しても良い。また、紙層32はパルプ繊維を50%以上含む紙であれば良く、パルプ繊維の他に樹脂繊維を含む混抄紙であっても良い。紙層32に用いる紙の坪量は、30~200g/m2であり、50~120g/m2であることが好ましい。
【0023】
基材フィルム層33は、シート41に耐熱性と物理的強度とを付与する層である。基材フィルム層33は、バリア層34の基材となる層でもある。基材フィルム層33の材質は特に限定されないが、耐熱性及び物理的強度の観点から、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド等の延伸フィルムを用いることが好ましい。
【0024】
バリア層34は、酸素や水蒸気等を遮断して、内容物の保存性を向上させる機能層である。バリア層34は、例えば、シリカやアルミナ等の無機化合物の蒸着膜、アルミニウム等の金属蒸着膜、アルミニウム等の金属箔、板状鉱物及び/またはバリア性樹脂を含むバリアコート剤の塗膜の1種以上により構成することができる。バリアコート剤に用いるバリア性樹脂としては、エチレン-ビニルアルコール共重合体(EVOH)やポリ塩化ビニリデン(PVDC)等を使用することができ、バリアコート剤にはバリア性樹脂以外のバインダー樹脂が適宜配合される。
【0025】
シーラント層35は、シート41の内面、すなわち胴部1の内面に熱溶着性を付与するための層である。シーラント層35の材質は特に限定されないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、環状ポリオレフィン、ポリエステル等の熱可塑性樹脂であることが好ましい。シーラント層35には、軟化温度が基材フィルム層33の軟化温度より20℃以上低い樹脂を用いる。シーラント層35の軟化温度は、基材フィルム層33の軟化温度より40℃以上低いことが好ましい。シーラント層35の軟化温度が、基材フィルム層33の軟化温度より20℃以上低くない場合、閉塞部10をヒートシールによってシールする際に基材フィルム層33が軟化してピンホールが発生する可能性が高くなるため好ましくない。本実施形態では、シーラント層35により、胴部1の一方端5aの内面同士を熱溶着させてシールしている。
【0026】
紙保護層37は、紙層32への内容物や汚れの付着から保護する層である。紙保護層37の材料や形成方法は特に限定されないが、熱可塑性樹脂の押出コートや、耐水剤あるいは耐油剤等のコート剤のコートにより紙保護層37を積層することができる。紙保護層37の厚みは、0.2~50μmであることが好ましく、1~20μmであることがより好ましい。
【0027】
インキ層38は、各種表示を行うために印刷により施される層である。
オーバーコートニス層39は、耐摩性等を付与するための層である。インキ層38とオーバーコートニス層の積層順序は
図5と逆であっても良い。また、オーバーコートニス層39が紙保護層37を兼ねていても良い。
【0028】
熱溶着性コート層40は、胴部1の外面に熱溶着性を付与するための層である。熱溶着性コート層40は、アクリルポリマー、ポリオレフィン、ポリビニルアセテート、ポリエステル等の融点が200℃以下の熱可塑性樹脂を含むコート剤を塗布し、乾燥させることにより形成することができる。コート剤には、熱可塑性樹脂の他に、ブロッキング防止のための無機物等を配合しても良い。
【0029】
熱溶着性コート層40は、シート41の外面全体に設けても良いが、この場合、シート41の表面の摩擦係数が大きくなるため、胴部1を加工する工程及びその後の工程での機械適性が低下する場合がある。したがって、熱溶着性コート層40は、コート剤をパターンコートすることにより、シート41の外面の一部に設けることが、機械適性の面でより好ましい。本実施形態では、熱溶着性コート層40は、少なくとも、
図3に示す、シート41の後述する一方の端縁部23の外面23b及び後述する第1部分25の外面25bに設けられる。なお、熱溶着性コート層40は、シート41の一方の端縁部23の外面23b又はシート41の第1部分25の外面25bのいずれか一方にのみ設けられても良い。
【0030】
胴部1を構成するシート41の厚みは、特に限定されないが、100~300μmであることが好ましい。胴部1を構成するシート41の厚みがこの範囲であれば、製袋機やピロー・スティック包装機等を用いて胴部1を容易に筒状に加工することができる。また、紙層32によって強度とコシが付与されるため、一般的なラミネートチューブ(厚み300~500μm)と比べて、薄くすることができ、樹脂使用量も低減できる。本実施形態におけるシート41の厚みは250μmである。すなわち、シート41の厚みは、100μm以上である。本実施形態では、
図4に示す、第1閉塞部10aの厚みは1000μmであり、第2閉塞部10bの厚みは500μmである。
【0031】
なお、
図5に示したシート41の層構成において、基材フィルム層33、バリア層34、紙保護層37、インキ層38及びオーバーコートニス層39の1層以上を省略しても良い。
【0032】
図1に示すように、チューブ容器100は、注出口部2の注出筒部3に螺合により着脱可能なスクリューキャップ11を更に備えていても良い。チューブ容器100がスクリューキャップ11を備える場合、チューブ容器100の開封後に再封することが容易になる。
【0033】
また、チューブ容器100は、スクリューキャップ11に代えて、ヒンジキャップを備えていても良い。ヒンジキャップを設ける場合、
図1に示した注出筒部3に螺合によりヒンジキャップを注出口部2に取り付けても良い。あるいは、注出筒部3の外面にネジ山の代わりにリブを設け、リブを介した嵌合によりヒンジキャップを注出口部2に取り付けても良い。
【0034】
また、注出筒部3の他方端6bには、チューブ容器100の未開封状態において注出筒部3を閉鎖するフィルムがシールされていても良い。
【0035】
また、チューブ容器100は、注出筒部3をプルトップで開口可能にしても良い。この場合、注出筒部3に螺合により着脱可能なスクリューキャップを更に備えていても良い。
【0036】
以下、本実施形態に係るチューブ容器100のシール方法Msについて説明する。
【0037】
図6は、チューブ容器100の製造方法を示すフローチャートである。本実施形態のチューブ容器100の製造方法は、背貼りシール部形成工程S1と、注出口部取付工程S2と、充填工程S3と、第1加熱工程S4と、第2加熱工程S5と、を有する。本実施形態のチューブ容器100のシール方法Msは、第1加熱工程S4と、第2加熱工程S5と、を有する。
なお、本明細書において「作業者等」とは、各作業を行う作業者および組立装置等を含む。各作業は、作業者のみによって行われても良いし、組立装置のみによって行われても良いし、作業者と組立装置とによって行われても良い。
【0038】
背貼りシール部形成工程S1は、背貼りシール部7を形成する工程である。
背貼りシール部形成工程S1では、まず、作業者等は、図示しない円筒状の治具に略長方形状のシート41を巻き付け筒状に丸め、
図3に示すように、シート41の一方の端縁部23の内面23aと、シート41の他方の端縁部24の内面24a同士を合掌状に重ね合わせる。すなわち、筒状に丸めたシート41の一部同士を重ね合わせる。
次に、作業者等は、シート41のうち合掌状に突き合わせた部分を約90度折り曲げて、3枚のシートを重ね合わせた状態とする。このとき、一方の端縁部23の外面23bと、一方の端縁部23と隣り合う第1部分25の外面25bとが接触する。上述のように、一方の端縁部23の外面23b及び第1部分25の外面25bには、図示しない熱溶着性コート層40が設けられている。
【0039】
次に、作業者等は、図示しないシールバーを用いて3枚のシートを重ね合わせた部分をシールする。このとき、一方の端縁部23の内面23aと、他方の端縁部24の内面24aとを熱溶着させてシールすると同時に、図示しない熱溶着性コート層40を介して、一方の端縁部23の外面23bと、第1部分25の外面25bとを熱溶着させてシールする。これにより、3枚のシート41が重なる背貼りシール部7が形成され、一方端5aおよび他方端5bが開口する略円筒状の胴部1が形成される。
図1に示すように、背貼りシール部7は胴部1の一方端5aから他方端5bに亘って形成される。背貼りシール部7が形成されると、背貼りシール部形成工程S1が終了する。
【0040】
注出口部取付工程S2は、胴部1の他方端に注出口部2を取り付ける工程である。
注出口部取付工程S2では、
図2に示すように、作業者等は、胴部1の他方端5bの開口から、胴部1の内部に注出口部2のフランジ部4を挿入し、胴部1の他方端5bから所定範囲の部分を折り畳んで、胴部1の他方端5bから所定範囲の部分とフランジ部4とを溶着する。胴部1と注出口部2を溶着する方法としては、超音波溶着、高周波溶着、ヒートシール溶着、ホットエア溶着、胴部インサートのコンプレッション成型等を利用することができるが、紙の断熱性に左右されにくい点で超音波溶着を採用することが好ましい。胴部1が注出口部2にシールされ、胴部1の他方端に注出口部2を取り付けられると、注出口部取付工程S2が終了する。
【0041】
充填工程S3は、胴部1の内部に図示しない内容物を充填する工程である。内容物は、胴部1の一方端5aの開口から、胴部1の内部に充填される。胴部1の内部に内容物が充填されると、充填工程S3が終了する。
【0042】
第1加熱工程S4は、背貼りシール部7が形成され、他方端5bに注出口部2が取り付けられ、内容物が充填された胴部1の背貼りシール部7の一方端7aの内面7bと、対向部9の内面9aと、を加熱する工程である。
第1加熱工程S4では、
図7に示すように、作業者等は、まず、胴部1の一方端5aの開口から、胴部1の内部に送風ノズル20を挿入する。送風ノズル20は、図示しないコンプレッサと接続される。送風ノズル20は、第1送風孔20aおよび第2送風孔20bを有する。作業者等は、第1送風孔20aを背貼りシール部7の一方端7aの内面7bに対向させ、第2送風孔20bを対向部9の内面9aに対向させて、送風ノズル20を保持する。このとき、作業者等は、背貼りシール部7の一方端7aと対向部9との間の距離が短くなるように、胴部1を略楕円状に変形させて保持することが好ましい。これにより、背貼りシール部7の一方端7aおよび対向部9のそれぞれと、送風ノズル20との間の距離を短くできるため、背貼りシール部7の一方端7aの内面7bおよび対向部9の内面9aそれぞれに精度良く温風HAを送風できる。
【0043】
次に、作業者等は、図示しないコンプレッサから送風ノズル20に温風HAを送風する。これにより、第1送風孔20aを介して背貼りシール部7の一方端7aの内面7bに温風HAが送風され、第2送風孔20bを介して対向部9の内面9aに温風HAが送風される。そのため、背貼りシール部7の一方端7aの内面7b及び対向部9の内面9aそれぞれが加熱され、背貼りシール部7の一方端7aの内面7b及び対向部9の内面9aそれぞれが軟化する。なお、第1加熱工程S4における、背貼りシール部7の一方端7aの内面7bの目標温度及び対向部9の内面9aの目標温度は、シーラント層35の軟化温度、背貼りシール部7の熱容量及び対向部9の熱容量、及び、シート41の熱伝導率等により適宜設定できる。第1加熱工程S4における背貼りシール部7の一方端7aの内面7bの目標温度及び対向部9の内面9a目標温度は、互いに同じ温度であっても良いし、互いに異なる温度であっても良い。背貼りシール部7の一方端7aの内面7bの温度及び対向部9の内面9a温度が、それぞれの目標温度に達すると、第1加熱工程S4が終了する。なお、本実施形態において、温風HAの温度は、220~270℃とした。
【0044】
第2加熱工程S5は、ヒートシールによって、胴部1の一方端5aを閉塞する工程である。
第2加熱工程S5では、
図8に示すように、作業者等は、一対のシールバー21の間に胴部1の一方端5aを挟み込み、胴部1の一方端5aの内面1a同士を接触させつつ、胴部1の一方端5aの外面1b全体を加熱する。これにより、胴部1の一方端5aの内面1a同士が熱溶着され、
図1に示す閉塞部10が形成される。より詳細には、
図4に示すように、第1閉塞部10aでは、背貼りシール部7の一方端7aの内面7bと対向部9の内面9a同士が熱溶着されてシールされる。また、第2閉塞部10bでは、シート41の内面1a同士が熱溶着されてシールされる。このとき、第1閉塞部10aのシール強度と第2閉塞部10bのシール強度は、ほぼ同じ強度となり、閉塞部10全体が適当なシール強度でシールされている。また、第2閉塞部10bにおいて、熱変形、及び、気泡の抱き込みは発生しなかった。なお、本実施形態において、一対のシールバー21の温度は、250~300℃とした。
【0045】
本実施形態によれば、チューブ容器100のシール方法は、筒状の注出筒部3と、注出筒部3の一方端6aに接続され、注出筒部3の外方に延伸するフランジ部4と、を有する注出口部2と、シート41から成り、一方端5aから他方端5bに亘って延びる背貼りシール部7が形成され、一方端5aが閉塞され、他方端5bに注出口部2が取り付けられるチューブ状の胴部1と、を備え、内容物を収容するチューブ容器100のシール方法であって、背貼りシール部7が形成され、他方端5bに注出口部2が取り付けられ、内容物が充填された胴部1の背貼りシール部7の一方端7aの内面7bと、背貼りシール部7の一方端7aと対向する対向部9の内面9aと、を加熱する第1加熱工程S4と、ヒートシールによって、背貼りシール部7の一方端7a及び対向部9を含む胴部1の一方端5aを閉塞する第2加熱工程S5と、を有する。そのため、第1加熱工程S4において、複数枚のフィルムが重なる背貼りシール部7の一方端7aの内面7bおよび対向部9の内面9aを予備的に加熱して、背貼りシール部7の一方端7aの内面および対向部9の内面9aを予備的に軟化させた後に、第2加熱工程S5において、胴部1の一方端5a全体をヒートシールできる。よって、閉塞部10のうち背貼りシール部7の一方端7a及び対向部9によって形成される第1閉塞部10aの熱容量が、閉塞部10のうち背貼りシール部7の一方端7a及び対向部9を含まない部分である第2閉塞部10bの熱容量よりも大きいにも関わらず、第2加熱工程S5において、第1閉塞部10aにおけるシート41の内面1aの温度と、第2閉塞部10bにおけるシート41の内面1aの温度との温度差を小さくできる。したがって、第1閉塞部10aのシール強度と第2閉塞部10bのシール強度のばらつきを抑制できるため、閉塞部10全体のシール強度を高めることができる。
また、第2閉塞部10bの温度が高くなりすぎることを抑制できるため、過加熱によって、第2閉塞部10bが熱変形すること、及び、第2閉塞部10bにおいて気泡を抱き込むことを抑制できる。
【0046】
本実施形態によれば、第1加熱工程S4において、背貼りシール部7の一方端7aの内面7b及び対向部9の内面9aそれぞれに温風HAを送風する。よって、第1加熱工程S4において、背貼りシール部7の一方端7aの内面7b及び対向部9の内面9aそれぞれを直接的に加熱できる。そのため、背貼りシール部7の一方端7aの外面及び対向部9の外面それぞれを加熱する場合と比較して、背貼りシール部7の一方端7aの内面7bの温度及び対向部9の内面9aの温度を、それぞれの目標温度に好適に近づけることができる。したがって、第2加熱工程S5において、第1閉塞部10aにおけるシート41の内面1aの温度がばらつくことを抑制できるため、第1閉塞部10aにおけるシート41の内面1aの温度と、第2閉塞部10bにおけるシート41の内面1aの温度との温度差をより好適に小さくできる。よって、第1閉塞部10aのシール強度と第2閉塞部10bのシール強度のばらつきをより好適に抑制できるため、閉塞部10全体のシール強度をより好適に高めることができるとともに、第2閉塞部10bが熱変形すること、及び、第2閉塞部10bにおいて気泡を抱き込むことをより好適に抑制できる。
【0047】
本実施形態によれば、第2加熱工程S5において、胴部1の一方端5aの内面同士を接触させつつ、胴部1の一方端5aの外面全体を加熱する。そのため、閉塞部10全体の温度のばらつきを抑制できるため、閉塞部10全体のシール強度のばらつきを抑制することができる。
【0048】
本実施形態によれば、シート41の厚みが100μm以上である。また、本実施形態では、上述のように、第1加熱工程S4において、第1閉塞部10aを形成する背貼りシール部7の一方端7aの内面7bおよび対向部9の内面9aを予備的に加熱した後に、第2加熱工程S5において、胴部1の一方端5a全体をヒートシールする。よって、胴部1を構成するシート41の厚みが100μm以上と厚いため、第1閉塞部10aの熱容量と第2閉塞部10bの熱容量との差分が大きい場合であっても、第2加熱工程S5において、第1閉塞部10aにおけるシート41の内面7b,9aの温度と第2閉塞部10bにおけるシート41の内面1aの温度との温度差を好適に小さくできる。したがって、第1閉塞部10aのシール強度と第2閉塞部10bのシール強度のばらつきをより好適に抑制できるため、閉塞部10全体のシール強度をより好適に高めることができるとともに、第2閉塞部10bが熱変形すること、及び、第2閉塞部10bにおいて気泡を抱き込むことをより好適に抑制できる。
【0049】
なお、上述のように、本実施形態では、胴部1の一方端5aをヒートシールによってシールしているが、胴部1の一方端5aを超音波溶着によってシールすることも考えられる。しかしながら、超音波溶着を行う場合、背貼りシール部7の一方端7aと対向部9とのシール強度を適当なシール強度になるまで超音波溶着を行うと、背貼りシール部7の厚みが厚いため、背貼りシール部7の一方端7aの外側の層の破れが発生しやすい。一方、第1加熱工程S4、及び第2加熱工程S5によって、胴部1の一方端5aをヒートシールする本実施形態では、背貼りシール部7の一方端7aの温度が高くなりすぎることを抑制できるため、背貼りシール部7の一方端7aの外側の層の破れが発生することを抑制できる。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。また、上述の一実施形態および以下で示す変形例において示した構成要素は適宜に組み合わせて構成することが可能である。
【0051】
背貼りシール部は、シートの一方の端縁部の内面と、シートの他方の端縁部の内面同士を合掌状に重ね合わせてシールすることにより形成される本実施形態の構成に限定されない。背貼りシール部は、例えば、シートの一方の端縁部の内面とシートの他方の端縁部の外面とを対向させ、シートの一方の端縁部とシートの他方の端縁部とを重ね合わせてシールすることにより形成されていても良い。この場合、背貼りシール部は、2枚のシートが重なって形成され、閉塞部の第1閉塞部は3枚のシートが重なって形成される。この場合においても、第1加熱工程における、背貼りシール部の一方端の内面の目標温度及び対向部の内面の目標温度を適宜設定することによって、第2閉塞部が過加熱により熱変形すること、及び、第2閉塞部において気泡を抱き込むことを抑制しつつ、閉塞部10全体のシール強度を高めることができる。
【0052】
胴部を形成するシートの層構成は、本実施形態に限定されない。例えば、シートは、紙層および紙保護層を有していなくても良い。この場合、基材フィルム層等の厚さを厚くすることによって、シートおよび胴部の物理的強度を確保できる。
【符号の説明】
【0053】
1 胴部
2 注出口部
3 注出筒部
4 フランジ部
5a 一方端
5b 他方端
6a 注出筒部の一方端
7 背貼りシール部
9 対向部
41 シート
100 チューブ容器
HA 温風
S4 第1加熱工程
S5 第2加熱工程