(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018384
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】搬送装置および印刷装置
(51)【国際特許分類】
B65H 23/032 20060101AFI20240201BHJP
B41J 15/04 20060101ALI20240201BHJP
B41J 15/16 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B65H23/032
B41J15/04
B41J15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121700
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】戸松 義也
【テーマコード(参考)】
2C060
3F104
【Fターム(参考)】
2C060BA04
2C060BC52
2C060BC55
2C060BC62
2C060BC63
2C060CB31
3F104AA02
3F104CA03
3F104EA01
3F104FA07
3F104FA09
3F104FA11
3F104FA14
3F104KA03
(57)【要約】
【課題】シートの座屈を抑制しつつ、シート幅に合わせてシートを安定して搬送できる手段を提供する。
【解決手段】画像記録装置1は、搬送ローラ45と、シートホルダ13と、テンショナ14と、第1ガイド面147を有する第1サイドガイド145と、第1ガイド面147に対向する第2ガイド面155を有する前サイドガイド21と、第1サイドガイド145および第2サイドガイド146を連動する連動機構50とを備える。連動機構50は、第1および第2サイドガイド145,146から内向きへ延びる第1ラックギヤ52,53と、これと同位相となる第1位置と位相ズレした第2位置とに移動可能な第2ラックギヤ54,55と、これらのギヤ52,53,54,55と噛合するピニオンギヤ51と、第2ラックギヤ54,55を第1ラックギヤ52,53に対して第2位置へ向けて付勢するコイルバネ58とを有している。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送路に沿ってシートを搬送向きに搬送する搬送部と、
上記搬送向き上流において上記搬送向きと交差する第1方向に延びる軸線周りに回転可能なシートホルダと、
上記搬送路における上記シートホルダと上記搬送部との間において、シートを湾曲させつつシートにテンションを付与するテンショナと、
上記テンショナに取り付けられており、上記第1方向と交差する第2方向および上記搬送向きに沿って拡がる第1ガイド面を有する第1サイドガイドと、
上記テンショナに取り付けられており、上記第1方向において上記第1ガイド面に対向する第2ガイド面を有する第2サイドガイドと、
上記第1サイドガイドおよび上記第2サイドガイドの上記第1方向の動きを連動する連動機構と、を備えており、
上記連動機構は、
上記第1サイドガイドおよび上記第2サイドガイドに連結されており、上記第1方向の内向きへそれぞれ延びる第1ラックギヤと、
上記第2方向において上記第1ラックギヤに重ねられており、上記第1ラックギヤに対して同位相となる第1位置と位相ズレした第2位置とに上記第1方向に移動可能な第2ラックギヤと、
上記第1ラックギヤおよび上記第2ラックギヤの各々と噛合するピニオンギヤと、
上記第2ラックギヤを上記第1ラックギヤに対して上記第2位置へ向けて付勢する弾性部材と、を有している搬送装置。
【請求項2】
上記連動機構は、上記第1サイドガイドおよび上記第2サイドガイドの上記第1方向の移動を規制するロック機構を有しており、
上記テンショナは、軸線周りに回転しつつシートと当接する第1ローラを有しており、
上記第1ローラの軸線は、当該軸線と直交する仮想平面が上記搬送向き下流に向かうに従って上記第1ガイド面または上記第2ガイド面のいずれかに近づくように上記搬送向きに対して交差する請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
上記ロック機構は、
上記ピニオンギヤの軸心周りに上記ピニオンギヤの回転と同期して回転可能な円盤と、
上記円盤の外周面に当接する当接部を有するロック部材と、
上記ロック部材は、上記当接部が上記外周面に当接する当接位置と、上記当接部が上記外周面から離間する離間位置とに移動する請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
上記ロック機構は、
上記第1方向および上記第2方向に交差する第3方向に移動可能な当接片を有するロック部材を有しており、
上記ロック部材は、上記当接片が上記第1ラックギヤに当接する当接位置と、上記当接片が上記第1ラックギヤから離間する離間位置と、に移動する請求項2に記載の搬送装置。
【請求項5】
上記搬送部の上記搬送向き下流に位置する第3サイドガイドおよび第4サイドガイドをさらに備えており、
上記第3サイドガイドは、上記第2方向および上記搬送向きに沿って拡がる第3ガイド面を有し、
上記第4サイドガイドは、上記第2方向および上記搬送向きに沿って拡がっており、上記第1方向において上記第3ガイド面に対向する第4ガイド面を有する請求項1から4のいずれか記載の搬送装置。
【請求項6】
搬送路に沿ってシートを搬送向きに搬送する搬送部と、
上記搬送部により送られたシートに画像を記録する記録ヘッドと、
上記搬送向き上流において上記搬送向きと交差する第1方向に延びる軸線周りに回転可能なシートホルダと、
上記搬送路における上記シートホルダと上記搬送部との間において、シートを湾曲させつつシートにテンションを付与するテンショナと、
上記テンショナに取り付けられており、上記第1方向と交差する第2方向および上記搬送向きに沿って拡がる第1ガイド面を有する第1サイドガイドと、
上記テンショナに取り付けられており、上記第1方向において上記第1ガイド面に対向する第2ガイド面を有する第2サイドガイドと、
上記第1サイドガイドと上記第2サイドガイドの上記第1方向の動きを連動する連動機構と、を備えており、
上記連動機構は、
上記第1サイドガイドおよび上記第2サイドガイドに連結されており、上記第1方向の内向きへそれぞれ延びる第1ラックギヤと、
上記第2方向において上記第1ラックギヤに重ねられており、上記第1ラックギヤに対して同位相となる第1位置と位相ズレした第2位置とに上記第1方向に移動可能な第2ラックギヤと、
上記第1ラックギヤおよび上記第2ラックギヤの各々と噛合するピニオンギヤと、
上記第2ラックギヤを上記第1ラックギヤに対して上記第2位置へ向けて付勢する弾性部材と、を有している印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テンショナを有する搬送装置および印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像記録装置の一例として、特許文献1には、テンションガイドを備えるプリンタが開示されている。テンションガイドは、凸円弧状のガイド面を有する。ロール紙から上方に搬送された記録紙は、テンションガイドのガイド面を摺動しつつ紙送りローラによって印刷位置に向けて搬送される。テンションガイドには、着脱式ガイドが取付られている。着脱式ガイドの紙幅ガイド片により記録紙の幅方向の位置が規制される。
【0003】
また、特許文献2には、横ガイドを備える画像形成装置が開示されている。横ガイドは2つのラックとこれらのラックに係合する1つのギヤとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-40735号公報
【特許文献2】特開2014-5120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、着脱式ガイドにローラが設けられており、ローラの回転によって、摩擦係数の大きい記録紙の摺動抵抗を小さくしている。しかしながら、ローラによって搬送方向への記録紙の搬送が円滑になるとしても、記録紙を湾曲させるガイド面からローラが湾曲外向きへ突出するので、ローラとの当接によって記録紙の湾曲が小さくなる。その結果、記録紙の腰が弱くなり、また、幅方向に対して記録紙が撓みやすくなるので、記録紙が紙幅ガイド片に接触したときに座屈し易くなる。
【0006】
また、特許文献1においては、着脱式ガイドの紙幅ガイド片の距離が一定であり、幅の異なるサイズの記録紙には対応していない。
【0007】
引用文献2に開示される横ガイドでは、ラックとギアとの間でバックラッシが発生するため、記録紙を正確且つ円滑に位置決めすることが困難である。
【0008】
本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートの座屈を抑制しつつ、シート幅に合わせてシートを安定して搬送できる手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明に係る搬送装置は、搬送路に沿ってシートを搬送向きに搬送する搬送部と、上記搬送向き上流において上記搬送向きと交差する第1方向に延びる軸線周りに回転可能なシートホルダと、上記搬送路における上記シートホルダと上記搬送部との間において、シートを湾曲させつつシートにテンションを付与するテンショナと、上記テンショナに取り付けられており、上記第1方向と交差する第2方向および上記搬送向きに沿って拡がる第1ガイド面を有する第1サイドガイドと、上記テンショナに取り付けられており、上記第1方向において上記第1ガイド面に対向する第2ガイド面を有する第2サイドガイドと、上記第1サイドガイドおよび上記第2サイドガイドの上記第1方向の動きを連動する連動機構と、を備えている。上記連動機構は、上記第1サイドガイドおよび上記第2サイドガイドに連結されており、上記第1方向の内向きへそれぞれ延びる第1ラックギヤと、上記第2方向において上記第1ラックギヤに重ねられており、上記第1ラックギヤに対して同位相となる第1位置と位相ズレした第2位置とに上記第1方向に移動可能な第2ラックギヤと、上記第1ラックギヤおよび上記第2ラックギヤの各々と噛合するピニオンギヤと、上記第2ラックギヤを上記第1ラックギヤに対して上記第2位置へ向けて付勢する弾性部材と、を有している。
【0010】
上記構成により、シートを、正確且つ円滑な位置決めができる第1サイドガイドとこれに連動する第2サイドガイドによって第1方向に挟むため、種々のシート幅に対応しつつ第1サイドガイドおよび第2サイドガイドががたつくことによってシートが蛇行や斜行するのを抑制する。また、テンショナによってシートにテンションが付与されつつ湾曲するので、第1ガイド面と第2ガイド面との間においてシートの腰ができ座屈し難い。
【0011】
(2) 好ましくは、上記連動機構は、第1サイドガイドおよび第2サイドガイドの上記第1方向の移動を規制するロック機構を有しており、上記テンショナは、軸線周りに回転しつつシートと当接する第1ローラを有しており、上記第1ローラの軸線は、当該軸線と直交する仮想平面が上記搬送向き下流に向かうに従って上記第1ガイド面または上記第2ガイド面のいずれかに近づくように上記搬送向きに対して交差する。
【0012】
上記構成により、第1ローラによってシートが第1ガイド面或いは第2ガイド面に当接しても、第1サイドガイドおよび第2サイドガイドを固定することでシートの斜行をがたつきなく確実に抑制できる。
【0013】
(3) 上記ロック機構は、上記ピニオンギヤの軸心周りに上記ピニオンギヤの回転と同期して回転可能な円盤と、上記円盤の外周面に当接する当接部を有するロック部材と、上記ロック部材は、上記当接部が上記外周面に当接する当接位置と、上記当接部が上記外周面から離間する離間位置とに移動する。
【0014】
上記構成により、ピニオンギヤの回転を止めることにより第1サイドガイドおよび第2サイドガイドの動きを規制できる。
【0015】
(4) 上記ロック機構は、上記第1方向および上記第2方向に交差する第3方向に移動可能な当接片を有するロック部材を有しており、上記ロック部材は、上記当接片が上記第1ラックギヤに当接する当接位置と、上記当接片が上記第1ラックギヤから離間する離間位置と、に移動する。
【0016】
上記構成により、第1ラックギヤの動きを止めることにより第1サイドガイドおよび第2サイドガイドの動きを規制できる。
【0017】
(5) 上記搬送部の上記搬送向き下流に位置する第3サイドガイドおよび第4サイドガイドをさらに備えており、上記第3サイドガイドは、上記第2方向および上記搬送向きに沿って拡がる第3ガイド面を有し、上記第4サイドガイドは、上記第2方向および上記搬送向きに沿って拡がっており、上記第1方向において上記第3ガイド面に対向する第4ガイド面を有する。
【0018】
上記構成により、搬送部の搬送向き下流に第3サイドガイドおよび第4サイドガイドを設けて搬送部の下流においてもシートを安定して搬送させる。
【0019】
(6) 搬送路に沿ってシートを搬送向きに搬送する搬送部と、上記搬送部により送られた上記シートに画像を記録する記録ヘッドと、上記搬送向き上流において上記搬送向きと交差する第1方向に延びる軸線周りに回転可能なシートホルダと、上記搬送路における上記シートホルダと上記搬送部との間において、シートを湾曲させつつシートにテンションを付与するテンショナと、上記テンショナに取り付けられており、上記第1方向と交差する第2方向および上記搬送向きに沿って拡がる第1ガイド面を有する第1サイドガイドと、上記テンショナに取り付けられており、上記第1方向において上記第1ガイド面に対向する第2ガイド面を有する第2サイドガイドと、上記第1サイドガイドと上記第2サイドガイドの上記第1方向の動きを連動する連動機構と、を備えている。上記連動機構は、上記第1サイドガイドおよび上記第2サイドガイドに連結されており、上記第1方向の内向きへそれぞれ延びる第1ラックギヤと、上記第2方向において上記第1ラックギヤに重ねられており、上記第1ラックギヤに対して同位相となる第1位置と位相ズレした第2位置とに上記第1方向に移動可能な第2ラックギヤと、上記第1ラックギヤおよび上記第2ラックギヤの各々と噛合するピニオンギヤと、上記第2ラックギヤを上記第1ラックギヤに対して上記第2位置へ向けて付勢する弾性部材と、を有している。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、シートの座屈を抑制しつつ、シート幅に合わせてシートを安定して搬送できる手段を提供することである。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、本発明の一実施形態に係る画像記録装置1の外観を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1の線II-IIに沿う画像記録装置1の縦断面を示す模式図である。
【
図3】
図3は、第1サイドガイド145の斜め後方から視た斜視図である。
【
図4】
図4は、連動機構50を前後方向7の前方から視た図である。
【
図5】
図5は、連動機構50を前後方向7における第1左ラックギヤ52および第1右ラックギヤ53の位置において切断した断面図であって、テンショナ14とともに示す図である。
【
図6】
図6は、連動機構50を前後方向7における第2左ラックギヤ54とフランジ56との間の位置において切断した断面図であって、テンショナ14とともに示す図である。
【
図7】
図7は、
図5のピニオンギヤ51の周辺を拡大して示した図である。
【
図8】
図8は、
図6のピニオンギヤ51の周辺を拡大して示した図である。
【
図9】
図9は、ロック部材71が離間位置に位置する状態を示した図である。
【
図10】
図10は、変形例1に係るロック機構70Aを示す図であって、ロック部材71Aが当接位置に位置する状態を示した図である。
【
図11】
図11は、変形例1に係るロック機構70Aを示す図であって、ロック部材71Aが離間位置に位置する状態を示した図である。
【
図12】
図12は、変形例2に係るロック機構70Bを示す図であって、ロック部材71Bが当接位置に位置する状態を示した図である。
【
図13】
図13は、変形例2に係るロック機構70Bを示す図であって、ロック部材71Bが離間位置に位置する状態を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る画像記録装置1について詳説する。なお、下記の実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0023】
[定義]
以下、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。
【0024】
画像記録装置1が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義される。画像記録装置1において排出口111が設けられている方を前方として、前後方向8が定義される。画像記録装置1を前方から見て左右方向9(第1方向の一例)が定義される。
【0025】
[画像記録装置1]
画像記録装置1(搬送装置、印刷装置の一例)は、インクジェット記録方式によりシートSに画像を記録する。シートSは、例えばロール紙である。画像記録装置1には、シート幅が相異なる複数種別のシートSが装着可能である。
【0026】
図1に示されるように、画像記録装置1は、筐体11を備える。筐体11は、前後に長い略直方体形状であり、卓上、床面またはラックに設置可能なサイズである。筐体11の前壁には、排出口111が位置する。排出口111は、左右に細長い貫通孔である。排出口111からは、画像記録済みのシートSが排出される。筐体11の前壁には、ユーザにより操作される操作パネル116が位置する。筐体11の前壁の下部には、前カバー115が位置する。前カバー115の開閉により、タンク12(
図2参照)が露出または遮蔽される。筐体11の右壁の後部には、右カバー114が位置する。右カバー114の開閉により、シートホルダ13(
図2参照)が露出または遮蔽される。
【0027】
筐体11は、下部分である本体112と、上部分である上カバー113と、を有する。本体112は、上方に開口した箱形状である。上カバー113は、本体112の後部に位置して左右方向9に沿って延びる軸線101周りに回動可能に、本体112に連結されている。
図1に示されるように、上カバー113が閉位置にあると、本体112の開口が閉じられる。画像記録装置1は、この状態において画像記録を行う。上カバー113が軸線101周りに前壁が上方へ持ち上げられるように回動されると、本体112の開口が露出する。シートSの交換を行うなどのメンテナンス作業をユーザが行うときには、上カバー113を持ち上げて、筐体11の内部空間にユーザがアクセスする。
【0028】
図2に示されるように、筐体11の内部空間には、タンク12、シートホルダ13、テンショナ14、後サイドガイド15、搬送ローラ対16、ベルト搬送機構19、記録ヘッド20、第3サイドガイド21A、第4サイドガイド21B、下ガイド17、排出ローラ対23、及びカッタ26、を備える。なお、筐体11の内部空間には、シートSの記録画像を読み取る読取りセンサやその他各種センサ、電源、ヒータ、制御基板、冷却装置などのその他の部材が配置されていてもよいことは言うまでもない。
【0029】
図2に示されるように、タンク12は、前カバー115の直ぐ後方に位置しており、インクを内部に貯留する。タンク12のインクは、インクチューブ(不図示)を通じて記録ヘッド20に供給される。
【0030】
筐体11の内部空間の後部には、隔壁104と筐体の外壁とによりロール収容空間105が区画されている。隔壁104の後端と筐体11の後壁との間には、シートSが通過する空間106が形成されている。ロール収容空間105には、シートホルダ13が位置する。ロール体をなすシートSは、左右方向9に延びる軸線周りに回転可能なシートホルダ13に支持されている。シートホルダ13は、ホルダ駆動モータ(不図示)から動力が付与されて回転する。ホルダ駆動モータは、正回転または逆回転可能である。
【0031】
空間106の上方にテンショナ14が位置する。テンショナ14には、シートホルダ13から上方に引き出されたシートSが掛けられる。シートSは、テンショナ14に沿って湾曲して前方に延びる。テンショナ14の上面と排出口111とは上下方向7において概ね同じ位置にある。前後方向8においてテンショナ14と排出口111との間に、
図2において一点鎖線で示されるように、上下方向7に位置する各部材によってシートSが通過する搬送路10が区画されている。シートSは、シートホルダ13とテンショナ14との間を上向き(搬送向きの一例)に搬送され、テンショナ14に沿って湾曲した後、テンショナ14の上面から排出口111に向かって搬送路10を前向きに(搬送向きの一例)搬送される。
【0032】
[テンショナ14]
図3に示されるように、テンショナ14は、筐体11に固定された左右一対のフレーム27,28に連結されている。テンショナ14は、支持部材42と、支持部材42の下方に位置する支持板43と、付勢部材18(
図2参照)と、円弧部材140と、平坦部材141と、第1ローラ142と、連動機構50(
図4参照)と、ロック機構70とを有している。
【0033】
支持部材42は、支持軸96と、回動軸97と、一対の連結部材44A,44Bとを有している。支持部材42は、円弧部材140の上寄りにおける前方に位置する。支持部材42は、テンショナ14をフレーム27,28に対して支持する。
【0034】
支持軸96は、軸心が左右方向9に延びる円柱形状である。支持軸96は、一対のフレーム27,28に支持されている。支持軸96は、一対の連結部材44A,44Bを回動可能に支持する。連結部材44Aは、第1サイドガイド145の左方に位置している。連結部材44Bは、第2サイドガイド146の右方に位置している。一対の連結部材44A,44Bには、回動軸97が挿通されている。回動軸97は、一対の連結部材44A,44Bに対して円弧部材140を回動可能に支持する。
【0035】
支持板43は、一対のフレーム27,28に連結された平板であり、主面が上下方向7および左右方向9に拡がる。付勢部材18は、前後方向8に延びるコイルバネであり、一端が支持板43に固定され、他端が平坦部材141に固定される。
【0036】
円弧部材140は、回動軸97の軸心周りに回動可能に支持されている。円弧部材140は、湾曲するシートSの面に対して交差する方向、すなわち湾曲外向きおよび湾曲内向きへ移動可能である。円弧部材140は、搬送路10を搬送されるシートSに対向する。円弧部材140は、湾曲外向きの第1湾曲面143を有している。第1湾曲面143は、左右方向9に沿って拡がる湾曲面であり、左右方向9から視て円弧形状である。
【0037】
平坦部材141は、円弧部材140の下端から下方へ延びる。平坦部材141は、円弧部材140と一体に、回動軸97の軸心周りに回動する。平坦部材141は、付勢部材18により後向きへ付勢されている。平坦部材141は、第1平坦面144を有している。第1平坦面144は、後方を向く平面である。第1平坦面144の上端は、第1湾曲面143の下端と連続している。
【0038】
テンショナ14には、第1サイドガイド145と、第2サイドガイド146とが取り付けられている。第1サイドガイド145は、第1平坦面144から第1湾曲面143に渡って位置する。第1サイドガイド145は、第1ガイド面147と、第1延出片148と、第2延出片149とを有する。
【0039】
第1ガイド面147は、第1サイドガイド145において左方を向く面である。第1ガイド面147は、上下方向7および前後方向8(第2方向の一例)に拡がり且つ搬送向きG(
図2参照)に沿って拡がる。
【0040】
第1延出片148は、第1ガイド面147の湾曲内向きの端付近から左方へ延びている。第1延出片148の左右方向9に沿った寸法は、搬送されるシートSのうち最も左右方向9に沿った幅が狭いシートの幅寸法の半分よりも小さい。第1延出片148は、湾曲外向きの第2湾曲面150を有している。第2湾曲面150は、円弧部材140の第1湾曲面143に沿って湾曲している。具体的には、第2湾曲面150は、左右方向9から視て円弧形状であり、左右方向9に沿って拡がる。第2湾曲面150が湾曲していることで、シートSが湾曲された状態で搬送向きGに搬送されるため、シートSの腰が強くなり、第1ガイド面147にシートSの端が当接しても座屈しにくい。
【0041】
第2延出片149は、第1延出片148の下端から下方へ延びている。第2延出片149は、第1ガイド面147の湾曲内向きの端付近から左方へ延びている。第1延出片148および第2延出片149は、一体の部材である。第2延出片149の左右方向9に沿った寸法は、第1延出片148の左右方向9に沿った寸法よりも小さい。第2延出片149は、第2平坦面151を有している。第2平坦面151は、後方を向いて、上下方向7および左右方向9に沿って拡がる平面である。
【0042】
図3、
図4に示されるように、第1ガイド面147の搬送向きGの下流の縁が第1下流端縁152である。第1ガイド面147の上端には、第1つまみ部153が位置する。第1つまみ部153は、第1サイドガイド145を左右方向9にスライドする際にユーザが挟み持つ。第1下流端縁152は、第1つまみ部153と第2湾曲面150の上端との間に位置する。第1下流端縁152は、上向きに向かうにつれて前方へ延びている。第1ガイド面147の第1下流端縁152の右方に、第1下流端縁152と連続する第1押え面154が位置する(
図4参照)。第1押え面154は、第1下流端縁152から右方へ延びる面である。搬送向きGへ搬送されるシートSが右向きへ斜行すると、シートSの右端が、第1ガイド面147より搬送向きGの下流において第1ガイド面147よりも右方にはみ出ることがある。このとき、第1押え面154は、シートSの右端部分の上方に位置する。
【0043】
第2サイドガイド146は、テンショナ14の左右方向9における中央に対して第1サイドガイド145と対称な形状である。第2サイドガイド146は、第1平坦面144から第1湾曲面143に渡って位置する。第2サイドガイド146は、第2ガイド面155と、第3延出片156と、第4延出片157とを有する
【0044】
第2ガイド面155は、第2サイドガイド146において右方を向く面である。第2ガイド面155は、左右方向9において第1ガイド面147に対向している。第2ガイド面155は、上下方向7および前後方向8に拡がり且つ搬送向きGに沿って拡がる。第2ガイド面155は、左右方向9において第1サイドガイド145に対向している。
【0045】
第3延出片156は、第2ガイド面155の湾曲内向きの端付近から右方に延びている。第3延出片156の左右方向9に沿った寸法は、搬送されるシートSのうち最も左右方向9に沿った幅が狭いシートの幅寸法の半分よりも小さく、第1延出片148と同じである。第3延出片156は、湾曲外向きの第3湾曲面158を有している。第3湾曲面158は、円弧部材140の第1湾曲面143に沿って湾曲している。具体的には、第3湾曲面158は、左右方向9から視て円弧形状であり、左右方向9に沿って拡がる。
【0046】
第4延出片157は、第3延出片156の下端から下方に延びている。第4延出片157は、第2ガイド面155の湾曲内向きの端付近から左方へ延びている。第3延出片156および第4延出片157は、一体の部材である。第4延出片157の左右方向9に沿った寸法は、第3延出片156の左右方向9に沿った寸法よりも小さい。第4延出片157は、第3平坦面159を有している。第3平坦面159は、後方を向いて、上下方向7および左右方向9に沿って拡がる平面である。
【0047】
第1サイドガイド145と同様に、第2サイドガイド146には、第2ガイド面155の搬送向きGの下流の縁が第2下流端縁160である。第2ガイド面155の上端には、第2つまみ部161が位置する。第2下流端縁160は、第2サイドガイド146を左右方向9にスライドする際にユーザが挟み持つ。第2下流端縁160は、第2つまみ部161と第3湾曲面158の上端との間に位置する。第2下流端縁160は、第1下流端縁152と同様に、上向きに向きに向かうにつれて前方へ延びている。第2ガイド面155の第2下流端縁160の左方に、第2下流端縁160と連続する第2押え面162が位置する。第2押え面162は、第2下流端縁160から左方へ延びる面である。搬送向きGへ搬送されるシートSが左向きへ斜行すると、シートSの左端が、第2ガイド面155より搬送向きGの下流において第2ガイド面155よりも左方にはみ出ることがある。このとき、第2押え面162は、シートSの左端部分の上方に位置する。
【0048】
[連動機構50]
図3、
図4に示されるように、連動機構50は、円弧部材140よりも前後方向8における前方に位置する。連動機構50は、第1サイドガイド145および第2サイドガイド146の左右方向9に沿った移動を連動する。連動機構50は、ラックピニオン機構であり、ピニオンギヤ51(
図5参照)、第1左ラックギヤ52、第1右ラックギヤ53、第2左ラックギヤ54、第2右ラックギヤ55、およびフランジ(円盤の一例)56を有している。
【0049】
図5に示されるように、ピニオンギヤ51は、円弧部材140の左右方向9の中央において、前後方向8に沿った支軸57に回転自在に嵌合されている。フランジ56は、ピニオンギヤ51より前方において支軸57に連結されて、ピニオンギヤ51を前方から支持している。フランジ56は、支軸57の前端に嵌められている。フランジ56は、前後方向8に延びる軸心を中心とする外周面68を有している。
【0050】
第1左ラックギヤ(第1ラックギヤの一例)52は、左右方向9に沿って上向きの歯が並んでおり、左端において第1サイドガイド145にネジ64によって固定されている。第1左ラックギヤ52は、ピニオンギヤ51と噛合している。第1左ラックギヤ52は、左右方向9に沿って延びるガイドレール66に嵌められており、ガイドレール66に沿って左右方向に移動可能である。第1左ラックギヤ52が左右方向9に移動すると、ピニオンギヤ51が支軸57周りに回転する。
【0051】
第1右ラックギヤ(第1ラックギヤの一例)53は、左右方向9に沿って下向きの歯が並んでおり、右端において第2サイドガイド146にネジ65によって固定されている。第1右ラックギヤ53は、ピニオンギヤ51と噛合している。第1左ラックギヤ52のガイドレール66と同様に、第1右ラックギヤ53は、左右方向9に延びるガイドレール67に嵌められており、ガイドレール67に沿って左右方向に移動可能である。第1右ラックギヤ53が左右方向9に移動すると、ピニオンギヤ51が支軸57周りに回転する。
【0052】
図5、
図6に示されるように、第2左ラックギヤ(第2ラックギヤの一例)54は、第1左ラックギヤ52の前方において第1左ラックギヤ52に係止されている。第2左ラックギヤ54は、前後方向8において第1左ラックギヤ52とフランジ56との間に位置しており、フランジ56により前方から支持されている。第2左ラックギヤ54の前後方向8に沿った寸法は、第1左ラックギヤ52の前後方向8に沿った寸法よりも小さい。第2左ラックギヤ54は、左右方向9に沿って上向きの歯が並んでいる。第1左ラックギヤ52と第2左ラックギヤ54の歯の大きさ、すなわちモジュールや歯数は同じである。
【0053】
第2左ラックギヤ54の左右端は、第1左ラックギヤ52に係止されることにより、左右方向9へ移動可能に支持されている。
図5、
図6に示されるように、第2左ラックギヤ54の右端において、第2左ラックギヤ54と第1左ラックギヤ52との間にコイルバネ58が圧縮変形されて介在する。コイルバネ(弾性部材の一例)58の付勢力により、第2左ラックギヤ54は、第1左ラックギヤ52に対して右向き(内向き)へ付勢されている。
図6に示されるように、コイルバネ58の付勢力により、第1左ラックギヤ52の歯と第2左ラックギヤ54の歯とは、左右方向9へ位相が若干ずれた状態となる。歯の位相がずれた第2左ラックギヤ54の第1左ラックギヤ52に対する位置が第2位置の一例である。歯の位相が合致する第2左ラックギヤ54の第1左ラックギヤ52に対する位置が第1位置(図示省略)の一例である。
【0054】
第2右ラックギヤ(第2ラックギヤの一例)55は、第1右ラックギヤ53の前方において第1右ラックギヤ53に係止されている。第2右ラックギヤ55は、前後方向8において第1右ラックギヤ53とフランジ56との間に位置しており、フランジ56により前方から支持されている。第2右ラックギヤ55の前後方向8に沿った寸法は、第1右ラックギヤ53の前後方向8に沿った寸法よりも小さい。第2右ラックギヤ55は、左右方向9に沿って前向きの歯が並んでいる。第1右ラックギヤ53と第2右ラックギヤ55の歯の大きさ、すなわちモジュールや歯数は同じである。
【0055】
第2右ラックギヤ55の左右端は、第1右ラックギヤ53に係止されることにより、左右方向9へ移動可能に支持されている。第2右ラックギヤ55の左端において、第2右ラックギヤ55と第1右ラックギヤ53との間にコイルバネ58が圧縮変形されて介在する。コイルバネ58の付勢力により、第2右ラックギヤ55は、第1右ラックギヤ53に対して左向き(内向き)へ付勢されている。
図8に示されるように、コイルバネ58の付勢力により、第1右ラックギヤ53の歯と第2右ラックギヤ55の歯とは、左右方向9へ位相が若干ずれた状態となる。歯の位相がずれた第2右ラックギヤ55の第1右ラックギヤ53に対する位置が第2位置の一例である。歯の位相が合致する第2右ラックギヤ55の第1右ラックギヤ53に対する位置が第1位置(図示省略)の一例である。
【0056】
連動機構50によって第1サイドガイド145および第2サイドガイド146のうちの一方が左右方向9のうちいずれか一方へ移動されると、他方も連動して左右方向9のうちの逆方向へ移動する。第1サイドガイド145および第2サイドガイド146は、互いに近づく向き(内向き)への移動と、互いに遠ざかる向き(外向き)への移動が連動している。
【0057】
図7に示されるように、第1サイドガイド145および第2サイドガイド146が互いに遠ざかる向きへ、すなわち左右方向9の外向きへ移動されるとき、相互に噛合する歯において、第1左ラックギヤ52の外向きの歯面60がピニオンギヤ51の歯面59と接触しており、内向きの歯面61はピニオンギヤ51の歯面59と接触していない。歯面59と歯面61との隙間が所謂バックラッシである。ピニオンギヤ51が回転しない状態において、第1左ラックギヤ52は、バックラッシの分だけ左向き(内向き)へ移動し得る。つまりガタつく。第1右ラックギヤ53においても、同様に、外向きの歯面60がピニオンギヤ51の歯面59と接触しており、内向きの歯面61はピニオンギヤ51の歯面59と接触していない。
【0058】
図8に示されるように、第1位置において同位相となる第1左ラックギヤ52の歯および第2左ラックギヤ54の歯において、第1左ラックギヤ52の左向き(外向き)の歯面60は、第2位置の第2左ラックギヤ54の左向き(外向き)の歯面62よりも、左方(外向き)に位置する。同様に、第1位置において同位相となる第1右ラックギヤ53の歯および第2右ラックギヤ55の歯において、第1右ラックギヤ53の右向き(外向き)の歯面60は、第2位置の第2右ラックギヤ55の右向き(外向き)の歯面62よりも、右方(外向き)に位置する。
【0059】
ピニオンギヤ51と第2左ラックギヤ54とが相互に噛合する歯において、第2左ラックギヤ54の外向きの歯面62はピニオンギヤ51の歯面59と接触しておらず、内向きの歯面63は歯面59と接触している。第2右ラックギヤ55においても同様に、外向きの歯面62はピニオンギヤ51の歯面59と接触しておらず、内向きの歯面63は歯面59と接触している。
【0060】
図6に示される状態から、第1サイドガイド145および第2サイドガイド146が互いに近づく向きへ、すなわち左右方向9の内向きへ移動されるとき、コイルバネ58が圧縮変形して、第2位置の第2左ラックギヤ54および第2右ラックギヤ55が第1位置に移動する。これにより、第1左ラックギヤ52の歯と第2左ラックギヤ54の歯とが同位相となり、また、第1右ラックギヤ53の歯と第2右ラックギヤ55の歯とが同位相となる。そして、第1左ラックギヤ52の内向きの歯面61と第2左ラックギヤ54の内向きの歯面63とが同時にピニオンギヤ51の歯面59と当接する。同様に、第1右ラックギヤ53の内向きの歯面61と第2右ラックギヤ55の内向きの歯面63とが同時にピニオンギヤ51の歯面59と当接する。これにより、第1サイドガイド145および第2サイドガイド146が連動して左右方向9の内向きへ移動する。
【0061】
第1サイドガイド145および第2サイドガイド146が互いに遠ざかる向きへ、すなわち左右方向9の外向きへ移動されるとき、コイルバネ58は圧縮変形せず、第2位置の第2左ラックギヤ54および第2右ラックギヤ55は第2位置のまま移動する。これにより、第1左ラックギヤ52の外向きの歯面60および第1右ラックギヤ53の外向きの歯面60がピニオンギヤ51の歯面59と当接しつつ、第1サイドガイド145および第2サイドガイド146が連動して左右方向9の外向きへ移動する。
【0062】
[ロック機構70]
図4に示されるように、ロック機構70は、ロック部材71と、レバー72とを有している。画像記録装置1のユーザは、レバー72を回動操作することでロック部材71を当接位置と離間位置とに移動可能である。ロック部材71が当接位置にあるとき連動機構50の動きがロックされ、ロック部材71が離間位置にあるとき連動機構50の動きがロック解除される。
【0063】
ロック部材71は、上下方向7および左右方向9に拡がる平板形状であり、フランジ56の前方に位置している。ロック部材71は、中央部分においてネジ73によって平坦部材141に連結されている。ロック部材71は、平坦部材141に対してネジ73周りに回動可能に支持されている。ロック部材71は、当接片76と、第1屈曲片77と、第2屈曲片78とを有している。
【0064】
当接片76は、ロック部材71の左右方向9における中央よりも左寄りに位置している。当接片76は、ロック部材71から後方に向かって延びる(
図4参照)。第1屈曲片77は、ロック部材71の左右方向9における中央よりも右寄りに位置しており、後方へ向かって延びる片である。第1屈曲片77は、バネ部材79によって
図4における反時計回りに付勢されている。
【0065】
第2屈曲片78は、ロック部材71の右端において後方に延びる。第2屈曲片78は、第1屈曲片77よりも右方に位置している。第2屈曲片78は、ロック部材71の左端において後方へ向かって延びる片である。第2屈曲片78は、第1屈曲片77がバネ部材79によって付勢されロック部材71が離間位置にあるときにおいてレバー72の下方に間隔を隔てて位置する。
【0066】
第2屈曲片78の上方には、前後方向8に沿った支軸84(
図5参照)周りに回動可能に支持されるレバー72が位置している。レバー72は、レバー72を回動操作するハンドル80と、第2屈曲片78に当接してロック部材71を回動させる凸81とを有している。レバー72は、平坦部材141の右端に位置しており、凸81が第2屈曲片78に当接する解除位置(
図9参照)と、凸81が第2屈曲片78から離間するロック位置(
図4参照)とに移動可能である。
【0067】
レバー72は、ロック位置にあるとき、ハンドル80が支軸84から上下方向7における下方に位置しており、凸81がレバー72の支軸84から左右方向9における左方に突出する。このとき、凸81は、第2屈曲片78から離間した状態になる。凸81が第2屈曲片78から離間すると、ロック部材71が
図4においてネジ73周りに反時計回りに回動する。このとき当接片76は、前後方向8および左右方向9に交差する交差方向(第3方向の一例)Eに移動する。当接片76は、交差方向Eに移動すると、第1左ラックギヤ52の下端から前方に延出する下端延出片52aに当接する。つまり、ロック部材71は、
図4における反時計回りに当接片76が下端延出片52aに当接する位置まで回動可能である。当接片76が第1左ラックギヤ52に当接すると、つまりロック部材71が当接位置に位置するとき、第1左ラックギヤ52が当接片76と円弧部材140との間に挟まれる。第1左ラックギヤ52は、当接片76と円弧部材140とに挟まれて左右方向9への動きが規制される。
【0068】
図9に示されるように、レバー72が解除位置にあるとき、ハンドル80が支軸84から左右方向9における左方に延び、凸81が回動中心から上下方向7における下方に突出する。凸81は下方に突出すると第2屈曲片78に当接する。このときロック部材71がバネ部材79の付勢力に抗して
図9において時計回りに回動し、当接片76が交差方向Eに移動して下端延出片52aから離間する。当接片76が第1左ラックギヤ52から離間すると、つまりロック部材71が離間位置に位置するとき、連動機構50のロックが解除される。
【0069】
ロック機構70によって連動機構50の動きをロックしたときにおいては、第1サイドガイド145は、外向きへの外力を受けても外向きには動かない。また、内向きへの外力を受けたときにも動かない。具体的には、第1サイドガイド145がロック機構70にロックされると、下端延出片52aが当接片76によって左右方向9の動きを規制される。
【0070】
このため、シートSが斜行するなどして第1サイドガイド145が外向きへ押されたとしても第1サイドガイド145は、がたつかない。また、第1サイドガイド145がシートSの幅に合わせて左右方向9の外向きに正確に位置決めされる。
【0071】
なお、下端延出片52aが当接片76によって左右方向9の動きを規制された状態において、第2サイドガイド146が外向きの外力を受けたとき、第2左ラックギヤ54がコイルバネ58の付勢力に抗して第1左ラックギヤ52に対して第2位置から第1位置に移動する。また、下端延出片52aが当接片76によって左右方向9の動きを規制された状態において、第2サイドガイド146が内向きの外力を受けたときには、第2右ラックギヤ55がコイルバネ58の付勢力に抗して第1右ラックギヤ53に対して第2位置から第1位置に移動する。つまり、第2サイドガイド146は、左右方向9に若干動く状態にある。
【0072】
[第1ローラ142]
第1ローラ142は、搬送路10を搬送されるシートSに当接して従動する。
図3、
図4に示されるように、第1ローラ142は、平坦部材141の左右方向9における中央に位置する。第1ローラ142は、左右方向9に対して上下方向7へ傾斜する軸線周りに回転する。第1ローラ142の軸線と直交する仮想平面Pが、搬送向きGの下流に向かうに従って第1ガイド面147に近づくように搬送向きGに対して交差している。
【0073】
図2、
図3に示されるように、後サイドガイド15は、筐体11内における位置が異なる他は、テンショナ14に取り付けられた第1サイドガイド145および第2サイドガイド146と同様の構成なので詳細な説明は省略される。
【0074】
後サイドガイド15の前方に搬送ローラ対16が位置する。搬送ローラ対16は、搬送ローラ45(搬送部の一例)とピンチローラ46とを有する。搬送ローラ45およびピンチローラ46は左右方向9に沿った軸線周りに回転する。搬送ローラ45およびピンチローラ46は、上下方向7に対向してローラ面が当接する。搬送ローラ45およびピンチローラ46のローラ面の間にシートSがニップされる。搬送ローラ45は、搬送モータ(不図示)から動力が付与されて回転する。搬送モータは、コントローラ(不図示)からの指令に基づいて正回転または逆回転する。ピンチローラ46は、搬送ローラ45に従動して回転する。これにより、搬送ローラ対16は、ロール体から繰り出されたシートSを前向きへ搬送する。
【0075】
搬送ローラ対16の前方には第3サイドガイド21Aおよび第4サイドガイド21Bが位置する。第3サイドガイド21Aおよび第4サイドガイド21Bは、下ガイド17の上方に位置する。第3サイドガイド21Aおよび第4サイドガイド21Bの形状は、下ガイド17の左右方向9の中央に対して概ね対称である。第3サイドガイド21Aは、上下方向7および前後方向8に沿って拡がる第3ガイド面22Aを有している。第4サイドガイド21Bは、上下方向および前後方向8に沿って拡がる第4ガイド面22Bを有している。第3ガイド面22Aおよび第4ガイド面22Bは、搬送向きGに沿って延び、左右方向9において第3ガイド面22Aに対向する。
【0076】
下ガイド17の上面は、前後方向8および左右方向9に沿った平面でありシートSを支持する。第3サイドガイド21Aおよび第4サイドガイド21Bを左右方向9に連動して移動する機構は、第1サイドガイド145および第2サイドガイド146の連動機構50と同様の構成であるため詳細な説明は省略される。後サイドガイド15についても、筐体11内における位置が異なる他は、テンショナ14に取り付けられた第1サイドガイド145および第2サイドガイド146と同様の構成なので詳細な説明は省略される。
【0077】
下ガイド17の前方にベルト搬送機構19が位置する。ベルト搬送機構19は、前後方向8に離れており、左右方向9を軸線とする後プーリ191Aと前プーリ191Bとに無端ベルト192が巻回されたものである。コントローラからの指令に基づいて駆動する不図示のモータから前プーリ191Bに動力が付与されて前プーリ191Bが
図2における時計回りに回転することにより、無端ベルト192が回動する。無端ベルト192に支持されたシートSは、無端ベルト192の回動により前向きへ搬送される。
【0078】
ベルト搬送機構19の上方に記録ヘッド20が位置する。記録ヘッド20の下面であるノズル面201には、複数のノズル202が前後左右に配列されている。記録ヘッド20は、タンク12から供給されたインクをノズル202から吐出する。ノズル202から吐出されたインクがシートSに付着することにより、シートSに画像が記録される。
【0079】
ベルト搬送機構19の前方に排出ローラ対23が位置する。排出ローラ対23は、駆動ローラ47とピンチローラ48とを有する。駆動ローラ47およびピンチローラ48は左右方向9に沿った軸線周りに回転する。駆動ローラ47およびピンチローラ48は、上下方向7に対向してローラ面が当接する。駆動ローラ47およびピンチローラ48のローラ面の間にシートSがニップされる。駆動ローラ47は、搬送モータから動力が付与されて回転する。ピンチローラ48は、搬送ローラ45に従動して回転する。これにより、排出ローラ対23は、画像記録されたシートSを前向きへ搬送する。
【0080】
カッタ26は、排出ローラ対23の前方に位置する。カッタ26は、コントローラ130の制御下で、搬送路10を搬送されるシートSを左右方向9に沿って切断する。切断されたシートSは排出口111から筐体11の外部へ排出される。
【0081】
[実施形態の作用効果]
本実施形態によれば、シートSを、正確且つ円滑な位置決めができる第1サイドガイド145とこれに連動する第2サイドガイド146によって左右方向9に挟むため、種々のシート幅に対応しつつ第1サイドガイド145および第2サイドガイド146ががたつくことによってシートSが蛇行や斜行するのを抑制する。また、テンショナ14によってシートSにテンションが付与されつつ湾曲するので、第1ガイド面147と第2ガイド面155との間においてシートSの腰ができ座屈し難い。
【0082】
また、第1ローラ142によってシートSが第1ガイド面147或いは第2ガイド面155に当接しても、第1サイドガイド145および第2サイドガイド146を固定することでシートSの斜行をがたつきなく確実に抑制できる。
【0083】
また、第1左ラックギヤ52および第1右ラックギヤ53の左右方向9への動きを止めることにより第1サイドガイド145および第2サイドガイド146の動きを規制できる。
【0084】
また、搬送ローラ45の搬送向き下流に第3サイドガイド21Aおよび第4サイドガイド21Bを設けて搬送ローラ45の下流においてもシートSを安定して搬送させる。
【0085】
[変形例1]
上述の実施形態においては、ロック機構70の当接片76が第1左ラックギヤ52に当接することで連動機構50の動きをロックまたはロック解除する場合を例にあげて説明したが、この構成に限らない。例えば、
図10に示されるように、ロック機構70Aは、連動機構50Aのピニオンギヤ51の回転をロックするものであってもよい。具体的には、ロック機構70Aは、フランジ56Aと、ロック部材71Aと、レバー72Aとを有している。
【0086】
フランジ56Aは、支軸57の前端に嵌められている。フランジ56Aは、前後方向8に延びる軸心を中心とする外周面68Aを有している。ロック部材71Aは、上下方向7および左右方向9に拡がる平板形状であり、フランジ56Aの右方に位置している。ロック部材71Aは、平坦部材141の上端付近であって、左右方向9における中央よりも右寄りの位置においてネジ73Aによって連結されている。ロック部材71Aは、平坦部材141に対して回動可能に支持されている。ロック部材71Aは、当接部76Aと、第1屈曲片77Aと、第2屈曲片78Aとを有している。
【0087】
当接部76Aは、ロック部材71Aの上端の左端において後方に延びる。当接部76Aは、ロック部材71Aが
図10において反時計回りに回動するとフランジ56Aの外周面68Aに右方から当接する。第1屈曲片77A、第2屈曲片78A、及びレバー72Aは、上述した第1屈曲片77および第2屈曲片78、及びレバー72と同じ構成であるためこれらの構成については説明を省略する。
【0088】
図10に示されるように、レバー72Aがロック位置に操作されると、ロック部材71Aがバネ部材79Aの付勢力にしたがって
図10において反時計回りに回動し、当接部76Aが外周面68Aに当接する。当接部76Aが外周面68Aに当接すると、連動機構50Aがロックされる。一方、
図11に示されるように、レバー72Aが離間位置に操作されると、ロック部材71Aがバネ部材79Aの付勢力に抗して
図11において時計回りに回動し、当接部76Aが外周面68Aから離間する。当接部76Aが外周面68Aから離間すると、連動機構50Aのロックが解除される。
【0089】
ロック機構70Aによって連動機構50Aの動きをロックしたときにおいては、第1サイドガイド145および第2サイドガイド146は、外向きへの外力を受けても互いに遠ざかる向きには動かない。また、内向きへの外力を受けたときには若干動く。具体的には、フランジ56Aが当接部76Aによってロックされると、フランジ56Aの回転が規制される。この状態において、第1サイドガイド145および第2サイドガイド146は、外向きへの外力を受けたとき、上述の実施形態の
図8において説明したのと同様に、第1左ラックギヤ52の外向きの歯面60および第1右ラックギヤ53の外向きの歯面60がピニオンギヤの歯面(不図示)に当接している状態にある。このため、第1サイドガイド145および第2サイドガイド146は、互いに遠ざかる向きには動かない。
【0090】
フランジ56Aが当接部76Aによってロックされたとき、第1サイドガイド145および第2サイドガイド146は、内向きへの外力を受けたとき、第2左ラックギヤ54は、第1左ラックギヤ52に対して第2位置から第1位置に移動可能である。第2右ラックギヤ55も第1右ラックギヤ53に対して第2位置から第1位置に移動可能である。このため、第1サイドガイド145および第2サイドガイド146は、内向きの外力を受けたとき、コイルバネの付勢力に抗して互いに近づく向きに若干移動する。
【0091】
シートSが斜行するなどして第1サイドガイド145および第2サイドガイド146が外向きへ押されたとしても第1サイドガイド145および第2サイドガイド146は、がたつかない。また、第1サイドガイド145および第2サイドガイド146がシートSの幅に合わせて左右方向9の外向きに正確に位置決めされる。
【0092】
当接部76Aが外周面68Aに当接することによって、ピニオンギヤ51の回転を止め、第1サイドガイド145および第2サイドガイド146の動きを規制できる。なお、当接部76Aと外周面68Aとが単に当接する場合に限らない。当接部76Aおよび外周面68Aとが互いに噛合するようにそれぞれの接触面にギヤが形成されていてもよく、また、フランジ56Aの回転が当接部76Aとの接触によって止まり易いように互いの接触面が粗面になっていてもよい。
【0093】
[変形例2]
また、変形例1以外の構成として、例えば、
図12、
図13に示されるように、連動機構50Bのロック機構70Bが、フランジ56Bと、ロック部材71Bと、レバー72Bとを有しているものであってもよい。
【0094】
フランジ56Bは、フランジ56Aと同様であり、支軸57の前端に嵌められている。フランジ56Bは、前後方向8に延びる軸心を中心とする外周面68Bを有している。ロック部材71Bは、上下方向7および左右方向9に拡がる平板形状であり、フランジ56Bの右方に位置している。ロック部材71Bは、平坦部材141の下端付近であって、左右方向9における中央よりも右寄りの位置においてネジ73Bによって連結されている。ロック部材71Bは、平坦部材141に対して回動可能に支持されている。ロック部材71Bは、当接部76Bと、第1屈曲片(不図示)と、第2屈曲片78Bとを有している。
【0095】
当接部76Bは、ロック部材71Bの上端の左端に位置する。当接部76Bは、ロック部材71Bが
図12において反時計回りに回動するとフランジ56Bの外周面68Bに右方から当接する。第1屈曲片77B、第2屈曲片78B、およびレバー72Bは、第1屈曲片77、第2屈曲片78B、およびレバー72と同じ構成であるため説明を省略する
【0096】
レバー72Bがロック位置に操作されると、ロック部材71Bが
図12および
図13において破線で示すバネ部材79Bの付勢力にしたがって
図12において反時計回りに回動し、当接部76Bが外周面68Bに当接する。当接部76Bが外周面68Bに当接すると、連動機構50Bがロックされる。一方、レバー72Bが解除位置に操作されると、ロック部材71Bがバネ部材79Bの付勢力に抗して
図13において時計回りに回動し、当接部76Bが外周面68Bから離間する。当接部76Bが外周面68Bから離間すると、連動機構50Bのロックが解除される。
【0097】
変形例1と同様に、変形例2に係る画像記録装置1がロック機構70Bによって連動機構50Bの動きがロックされたときにおいては、第1サイドガイド145および第2サイドガイド146は、外向きへの外力を受けても互いに遠ざかる向きには動かない。
【0098】
[その他の変形例]
上述の実施形態においては、テンショナ14が、円弧部材140の下端に平坦部材141が位置する構成が説明されたが、この構成に限らない。例えば、テンショナ14は、平坦部材141を有しておらず、円弧部材140のみを有するものであってもよい。この場合、第1ローラ142が、円弧部材140に位置しており、外周面167の一部が第2湾曲面150から湾曲外向きに突出していてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1・・・画像記録装置(搬送装置、印刷装置)
10・・・搬送路
13・・・シートホルダ
14・・・テンショナ
21A・・・第3サイドガイド
21B・・・第4サイドガイド
22A・・・第3ガイド面
22B・・・第4ガイド面
45・・・搬送ローラ(搬送部)
50,50A,50B・・・連動機構
51・・・ピニオンギヤ
52,53・・・第1左ラックギヤ,第1右ラックギヤ(第1ラックギヤ)
54,55・・・第2左ラックギヤ,第2右ラックギヤ(第2ラックギヤ)
56,56A,56B・・・フランジ(円盤)
58・・・弾性部材
68,68A,68B・・・外周面
70,70A,70B・・・ロック機構
71,71A,71B・・・ロック部材
76・・・当接片
76A,76B・・・当接部
142・・・第1ローラ
145・・・第1サイドガイド
146・・・第2サイドガイド
147・・・第1ガイド面
155・・・第2ガイド面