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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018395
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】集積回路、電源回路
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
H02M3/28 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121713
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 善則
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AA20
5H730AS01
5H730AS05
5H730BB26
5H730BB62
5H730DD04
5H730EE02
5H730EE03
5H730EE07
5H730EE59
5H730FD01
5H730FD31
5H730FD61
5H730FF01
5H730FF19
5H730FG05
5H730VV01
5H730XX04
5H730XX19
5H730XX24
5H730XX38
5H730XX43
(57)【要約】
【課題】利用者に適した温度検出方法を選択できる集積回路を提供する。
【解決手段】第1パッドと、第1端子と、温度検出素子の電圧に基づいて、温度を検出する第1温度検出回路と、前記第1端子に温度検出用の検出抵抗と、前記第1パッドとが接続される第1の場合、前記第1パッドを介して入力される前記検出抵抗の抵抗値に応じた第1電圧に基づいて、温度を検出する第2温度検出回路と、前記第1の場合、前記第2温度検出回路の検出結果に基づいて動作し、前記第1端子に前記第1パッドが接続されていない第2の場合、前記第1温度検出回路の検出結果に基づいて動作する回路と、を備える集積回路。
【選択図】図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1パッドと、
第1端子と、
温度検出素子の電圧に基づいて、温度を検出する第1温度検出回路と、
前記第1端子に温度検出用の検出抵抗と、前記第1パッドとが接続される第1の場合、前記第1パッドを介して入力される前記検出抵抗の抵抗値に応じた第1電圧に基づいて、温度を検出する第2温度検出回路と、
前記第1の場合、前記第2温度検出回路の検出結果に基づいて動作し、前記第1端子に前記第1パッドが接続されていない第2の場合、前記第1温度検出回路の検出結果に基づいて動作する回路と、
を備える集積回路。
【請求項2】
請求項1に記載の集積回路であって、
第2パッドと、
前記第2パッドに接続されたレギュレータと、
を備え、
前記第2の場合は、前記第1端子に前記第2パッドと、コンデンサとが接続される場合であり、
前記レギュレータは、前記第2の場合に前記第2パッドを介して前記第1端子に第2電圧を印加する、
集積回路。
【請求項3】
請求項2に記載の集積回路であって、
電源電圧が印加される第2端子と、
前記第1の場合に前記第2端子に接続され、前記第2の場合に前記第1端子に接続される第3パッドと、
を備え、
前記回路は、前記第3パッドに印加される電圧に基づいて動作する、
を備える集積回路。
【請求項4】
請求項3に記載の集積回路であって、
前記集積回路は、
インダクタと、前記インダクタに流れるインダクタ電流を制御する第1及び第2トランジスタと、を備え、入力電圧から目的レベルの出力電圧を生成する電源回路の前記第1及び第2トランジスタのスイッチングを制御し、
前記回路は、
前記出力電圧に応じた帰還電圧に基づいて、前記第1及び第2トランジスタのスイッチングを制御するスイッチング制御回路である、
集積回路。
【請求項5】
請求項4に記載の集積回路であって、
前記第1温度検出回路は、
前記温度検出素子の電圧に基づいて、温度が第1温度より高いか否かを検出し、
前記第2温度検出回路は、
前記第1電圧に基づいて、温度が第2温度より高いか否かを検出し、
前記スイッチング制御回路は、
前記第1の場合、温度が前記第2温度より高くなると前記第1及び第2トランジスタのスイッチングを停止し、前記第2の場合、温度が前記第1温度より高くなると前記第1及び第2トランジスタのスイッチングを停止する、
集積回路。
【請求項6】
請求項5に記載の集積回路であって、
前記スイッチング制御回路は、
前記帰還電圧と、前記第1温度検出回路の検出結果と、前記第2温度検出回路の検出結果と、に基づいて、電源側の前記第1トランジスタのスイッチングを制御する第1信号と、接地側の前記第2トランジスタのスイッチングを制御する第2信号と、を出力する制御回路と、
前記第1信号に基づいて、前記第1トランジスタを駆動する第1駆動回路と、
前記第2信号に基づいて、前記第2トランジスタを駆動する第2駆動回路と、
を備え、
前記第2駆動回路は、前記第3パッドの電圧に応じた電圧で前記第2トランジスタをオンする、
集積回路。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載の集積回路であって、
前記第2温度は、前記第1温度より低い、
集積回路。
【請求項8】
インダクタと、前記インダクタに流れるインダクタ電流を制御する第1及び第2トランジスタと、を備え、入力電圧から目的レベルの出力電圧を生成する電源回路であって、
前記第1及び第2トランジスタのスイッチングを制御し、第1端子を有する集積回路と、
前記第1端子に接続され、温度検出用の検出抵抗と、
を備え、
前記集積回路は、
温度検出素子の電圧に基づいて、温度が第1温度より高いか否かを検出する第1温度検出回路と、
前記検出抵抗の抵抗値に応じた第1電圧に基づいて、温度が第2温度より高いか否かを検出する第2温度検出回路と、
前記第1温度検出回路が前記第1温度を検出するか、前記第2温度検出回路が前記第2温度を検出すると、前記第1及び第2トランジスタのスイッチングのスイッチングを停止するスイッチング制御回路と、
を備える電源回路。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、集積回路、及び電源回路に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、入力電圧から、目的レベルの出力電圧を生成する電源回路が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-110173号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、電源回路におけるパワートランジスタのスイッチングを制御する集積回路には、一般に温度が所定温度より高いか否かを検出する温度検出回路が設けられる。温度検出回路には、集積回路に設けられた温度検出素子を用いる場合と、集積回路の外部のサーミスタを用いる場合とがあるが、温度検出素子を用いる場合、所定温度を変更することは難しい。
【0005】
一方、サーミスタを用いる場合、サーミスタを選択することにより、所定温度を柔軟に変更することは可能であるが、集積回路に専用の端子を設ける必要がある。
【0006】
本発明は、上記のような従来の問題に鑑みてなされたものであって、利用者に適した温度検出方法を選択できる集積回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前述した課題を解決する主たる本発明の第1の態様は、第1パッドと、第1端子と、温度検出素子の電圧に基づいて、温度を検出する第1温度検出回路と、前記第1端子に温度検出用の検出抵抗と、前記第1パッドとが接続される第1の場合、前記第1パッドを介して入力される前記検出抵抗の抵抗値に応じた第1電圧に基づいて、温度を検出する第2温度検出回路と、前記第1の場合、前記第2温度検出回路の検出結果に基づいて動作し、前記第1端子に前記第1パッドが接続されていない第2の場合、前記第1温度検出回路の検出結果に基づいて動作する回路と、を備える集積回路。
【0008】
前述した課題を解決する主たる本発明の第2の態様は、インダクタと、前記インダクタに流れるインダクタ電流を制御する第1及び第2トランジスタと、を備え、入力電圧から目的レベルの出力電圧を生成する電源回路であって、前記第1及び第2トランジスタのスイッチングを制御し、第1端子を有する集積回路と、前記第1端子に接続され、温度検出用の検出抵抗と、を備え、前記集積回路は、温度検出素子の電圧に基づいて、温度が第1温度より高いか否かを検出する第1温度検出回路と、前記検出抵抗の抵抗値に応じた第1電圧に基づいて、温度が第2温度より高いか否かを検出する第2温度検出回路と、前記第1温度検出回路が前記第1温度を検出するか、前記第2温度検出回路が前記第2温度を検出すると、前記第1及び第2トランジスタのスイッチングのスイッチングを停止するスイッチング制御回路と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、利用者に適した温度検出方法を選択できる集積回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】電源回路10の一例を示す図である。
図2】制御ブロック35aを説明するための図である。
図3】制御IC50aの一例を示す図である。
図4】レギュレータ100の一例を示す図である。
図5】過熱保護回路103の一例を示す図である。
図6】過熱保護回路104の一例を示す図である。
図7】通常モードにおける信号Vd1,Vd2の一例を示す図である。
図8】バーストモードにおける信号Vd1,Vd2の一例を示す図である。
図9】制御ブロック35aの主要な波形を説明するための図である。
図10】制御ブロック35bを説明するための図である。
図11】制御IC50bの一例を示す図である。
図12】制御ブロック35bの主要な波形を説明するための図である。
図13】制御IC50の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも以下の事項が明らかとなる。
【0012】
ここでは、各図面に示される同一又は同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、本実施形態で、「接続」とは、特段の言及がない限り電気的に接続されている状態をいう。このため「接続」には、2つの部品が配線のみならず、例えば、抵抗を介して接続されている場合も含む。
【0013】
=====本実施形態=====
<<<DC-DCコンバータ10の概要>>>
図1は、本実施形態のDC―DCコンバータ10の一例を示す図である。DC-DCコンバータ10は、所定の入力電圧Vin(例えば、400V)から、目的レベルの出力電圧Vout(例えば、12V)を負荷11に生成するLLC電流共振型の電源回路である。
【0014】
DC―DCコンバータ10は、コンデンサ30,31,42、NMOSトランジスタ32,33、トランス34、制御ブロック35、ダイオード40,41、定電圧回路43、及び発光ダイオード44を含んで構成される。
【0015】
コンデンサ30は、入力電圧Vinが印加される電源ラインと、接地側のグランドラインとの間の電圧を安定化させ、ノイズ等を除去する。なお、入力電圧Vinは、所定レベルの直流電圧である。
【0016】
NMOSトランジスタ32は、ハイサイド側(電源側)のパワートランジスタであり、NMOSトランジスタ33は、ローサイド側(接地側)のパワートランジスタである。なお、本実施形態では、スイッチング素子としてNMOSトランジスタ32,33が用いられているが、例えば、PMOSトランジスタやバイポーラトランジスタであっても良い。
【0017】
トランス34は、1次コイルL1、2次コイルL2,L3、補助コイルL4を備えており、1次コイルL1と、2次コイルL2,L3と、補助コイルL3との間は絶縁されている。トランス34においては、1次側の1次コイルL1の両端の電圧の変化に応じて、2次側の2次コイルL2,L3に電圧が発生し、2次コイルL2,L3の電圧の変化に応じて、1次側の補助コイルL4の電圧が発生する。
【0018】
また、1次コイルL1は、一端にNMOSトランジスタ32のソースと、NMOSトランジスタ33のドレインが接続され、他端にNMOSトランジスタ33のソースがコンデンサ31を介して接続されている。
【0019】
したがって、NMOSトランジスタ32,33のスイッチングが開始されると、2次コイルL2,L3と、補助コイルL4の夫々の電圧が変化することとなる。なお、1次コイルL1と2次コイルL2,L3とは、同極性で電磁結合されており、2次コイルL2,L3と補助コイルL4も、同極性で電磁結合されている。
【0020】
制御ブロック35は、NMOSトランジスタ32,33のスイッチングを制御するための回路ブロックであり、詳細は後述する。
【0021】
ダイオード40,41は、2次コイルL2,L3の電圧を整流し、コンデンサ42は、整流された電圧を平滑化する。この結果、コンデンサ42には、平滑化された出力電圧Voutが生成される。なお、出力電圧Voutは、目的レベルの直流電圧(例えば、12V)となる。
【0022】
定電圧回路43は、一定の直流電圧を生成する回路であり、例えば、シャントレギュレータを用いて構成される。
【0023】
発光ダイオード44は、出力電圧Voutと、定電圧回路43の出力との差に応じた強度の光を発光する素子であり、後述するフォトトランジスタ(不図示)とともに、フォトカプラを構成する。本実施形態では、出力電圧Voutのレベルが高くなると、発光ダイオード44からの光の強度は強くなる。
【0024】
本実施形態では、NMOSトランジスタ32は、「電源側の第1トランジスタ」に相当し、NMOSトランジスタ33は、「接地側の第2トランジスタ」に相当する。また、1次コイルL1は「インダクタ」に相当し、1次コイルに流れる電流は「インダクタ電流」に相当する。
【0025】
===制御ブロック35の第1実施形態===
図2は、制御ブロック35の第1実施形態である制御ブロック35aの一例を示す図である。図2において、紙面の一点鎖線の左側の領域に含まれる構成が制御ブロック35aに相当する。なお、詳細は後述するが、制御ブロック35aは、内部のレギュレータを用いつつ、DC-DCコンバータ10を制御するブロックである。
【0026】
制御ブロック35aは、制御IC50a、ダイオード60,72、コンデンサ61,63,64,67,68,70,71、フォトトランジスタ62、及び抵抗65,66,73を含む。
【0027】
制御IC50aは、NMOSトランジスタ32,33のスイッチングを制御する集積回路であり、端子VCC,FB,IS,CA,A,S,B,HO,LOを有する。なお、制御IC50aには、例えば、接地される端子(いわゆる、接地端子)も設けられているが、便宜上、ここでは一部の端子のみを図示している。
【0028】
端子VCCは、制御IC50を動作させるための電源電圧Vccが印加される端子である。端子VCCには、ダイオード60のカソードと、一端が接地されたコンデンサ61とが接続されている。また、ダイオード60のアノードは、補助コイルL4に接続されている。
【0029】
詳細は後述するが、コンデンサ61は、制御IC50aがNMOSトランジスタ32,33のスイッチングを開始すると充電される。そして、コンデンサ61の充電電圧が、制御IC50aを動作させる電源電圧Vccとなる。
【0030】
端子FBは、出力電圧Voutに応じた帰還電圧Vfbが生じる端子であり、フォトトランジスタ62、及びコンデンサ63が接続される。フォトトランジスタ62は、図1の発光ダイオード44からの光の強度に応じた大きさのバイアス電流I1を、端子FBから接地へと流し、コンデンサ63は、端子FBと、接地との間のノイズを除去するために設けられる。このため、フォトトランジスタ62は、シンク電流を生成するトランジスタとして動作する。
【0031】
端子ISは、DC-DCコンバータ10の共振電流に応じた電圧が印加される端子である。ここで、コンデンサ64及び抵抗65が接続されるノードには、1次コイルL1の共振電流の電流値に応じた電圧が発生する。そして、抵抗66及びコンデンサ67は、低域通過フィルタを構成する。このため、端子ISには、1次コイルL1の共振電流の電流値に応じ、ノイズ成分が除去された電圧Vsが印加される。
【0032】
なお、共振電流の電流値は、DC-DCコンバータ10の入力電力に応じて増加する。また、DC-DCコンバータ10の入力電力は、負荷11で消費される電力に応じて増加する。このため、端子ISに印加される電圧Visは、負荷11の消費電力に応じた電圧を示すことになる。
【0033】
端子CAは、端子ISの電圧Visに応じて変化する電圧Vcaをコンデンサ68に印加する。
【0034】
端子Aは、制御IC50aの内部に設けられたレギュレータ(後述)からの電圧Vreg1が印加される端子である。端子Aには、電圧Vreg1を安定化させるためのコンデンサ70が接続されている。
【0035】
端子Sは、電源側のNMOSトランジスタ32と、接地側のNMOSトランジスタ33との接続点の電圧が印加される端子である。本実施形態では、NMOSトランジスタ32がオンすると、端子Sには、電圧Vinが印加され、NMOSトランジスタ33がオンすると、接地電圧が印加される。なお、本実施形態では、端子Sの電圧を電圧Vsとする。このため、電圧Vsは、電圧Vinと、0(ゼロ)Vとの間で変化することになる。
【0036】
端子Bは、電源側のNMOSトランジスタ32をオンするための電圧が印加される端子である。端子Bには、一端が端子Sに接続されたコンデンサ71の他端が接続されている。また、端子Bには、ダイオード72、及び抵抗73が接続されている。本実施形態では、ダイオード72のカソードが、端子Bに接続され、アノードは、抵抗73を介してコンデンサ70に接続されている。
【0037】
したがって、端子Sの電圧Vsが接地電圧(0V)となった際、コンデンサ71は、端子Aに接続された制御IC50a内部のレギュレータ(後述)からの電流で充電される。一方、端子Sの電圧Vsが、電圧Vinとなると、端子Bの電圧Vbは、電圧Vinよりコンデンサ71の充電電圧だけ高い電圧となる。したがって、コンデンサ71は、いわゆるブートストラップ電圧を生成する素子である。
【0038】
端子HOは、NMOSトランジスタ32を駆動する駆動信号Vdr1が出力される端子であり、NMOSトランジスタ32のゲートが接続される。
【0039】
端子LOは、NMOSトランジスタ33を駆動する駆動信号Vdr2が出力される端子であり、NMOSトランジスタ33のゲートが接続される。
【0040】
<<<制御IC50aの詳細>>>
図3は、制御IC50aの構成の一例を示す図である。制御IC50aは、レギュレータ100,101、負荷検出回路102、過熱保護回路103,104、スイッチング制御回路105、及びパッドPA~PDを含んで構成される。ここで、「パッド」とは、所定の回路の所定のノードに接続される電極であり、ボンディングワイヤ(以下、ワイヤと称する)が接続される。
【0041】
===パッドPA===
パッドPAは、端子VCCからのワイヤが接続される電極である。このため、パッドPAには、電源電圧Vccが印加される。また、本実施形態では、パッドPAは、レギュレータ100,101のそれぞれに、例えばメタル配線で接続されている。したがって、レギュレータ100,101には、パッドPAを介して電源電圧Vccが供給されることになる。
【0042】
===レギュレータ100===
レギュレータ100は、電源電圧Vccに基づいて、パッドPBに対して、電圧Vreg1(例えば、10V)を生成する電源回路である。レギュレータ100は、図4に示すように、オペアンプ200、PMOSトランジスタ201、抵抗202,203を含んで構成される。
【0043】
オペアンプ200は、抵抗202,203の接続点の電圧Vdivが、反転入力に印加される基準電圧Vref1となるよう、PMOSトランジスタ201のゲート電圧を調整する。この結果、PMOSトランジスタ201は、所定レベルの電圧Vreg1をパッドPBに印加する。
【0044】
ここで、本実施形態の制御IC50aでは、図3に示すように、パッドPBと、端子Aとの間はワイヤW1で接続されている。したがって、電圧Vreg1は、パッドPBを介し、端子Aに印加されることになる。
【0045】
また、本実施形態のレギュレータ100は、スイッチング制御回路105からのハイレベル(以下、Hレベル)の信号Sregに基づいて、電圧Vreg1を生成し、ローレベル(以下、Lレベル)の信号Sregに基づいて、電圧Vreg1の生成を停止する。なお、電圧Vreg1は、「第2電圧」に相当する。
【0046】
===レギュレータ101===
レギュレータ101は、電源電圧Vccに基づいて、制御IC50aの内部の各種回路を動作させるための電圧Vreg2(例えば、5V)を生成する電源回路である。ここで「各種回路」とは、負荷検出回路102、過熱保護回路103,104、及びスイッチング制御回路105である。なお、レギュレータ101は、レギュレータ100と同様であるため、ここでは詳細は説明は省略する。
【0047】
===負荷検出回路102===
負荷検出回路102は、負荷11の状態(ここでは、負荷11の消費電力)を検出する回路である。具体的には、負荷検出回路102は、端子ISに印加される電圧Visに基づいて、負荷11に流れる負荷電流Iоutに応じた電圧Vcaを端子CAに印加する。
【0048】
===過熱保護回路103===
過熱保護回路(OTP)103は、制御IC50aの温度が所定温度Ta(例えば、125℃)より高くなると、DC-DCコンバータ10を保護する回路である。過熱保護回路103は、図5に示すように、電流源210、ダイオード211、コンパレータ212、及びAND回路213を含んで構成される。
【0049】
電流源210は、所定の電流Ib1を、ダイオード211に供給する。ダイオード211は、温度が上昇すると、順方向電圧Vfが低下する特性を有する。なお、ダイオード211は、「温度検出素子」に相当する。
【0050】
コンパレータ212は、温度に応じて変化する順方向電圧Vfと、所定温度Taに対応する基準電圧Vref2とを比較し、比較結果Vo1を出力する。具体的には、コンパレータ212は、順方向電圧Vfが基準電圧Vref2より高い場合、温度(ここでは、ダイオード211の温度)は、所定温度Taより低いことを示すLレベルの電圧Vo1を出力する。一方、コンパレータ212は、順方向電圧Vfが基準電圧Vref2より低い場合、温度は、所定温度Taより高いことを示すHレベルの電圧Vo1を出力する。
【0051】
AND回路213は、スイッチング制御回路105から、過熱保護回路103を動作させるべく、Hレベルの信号Sotp1が入力されると、コンパレータ212の比較結果を、電圧Votp1として出力する。なお、信号Sotp1がLレベルの場合、過熱保護回路103は、常にLレベルの電圧Votp1を出力する。
【0052】
ここで、過熱保護回路103は、「第1温度検出回路」に相当し、所定温度Taは、「第1温度」に相当する。
【0053】
===過熱保護回路104===
過熱保護回路(OTP)104は、制御IC50aの外部に接続されたサーミスタ(後述)の温度が、所定温度Tb(例えば、110℃)より高くなると、DC-DCコンバータ10を保護する回路である。過熱保護回路104は、図6に示すように、電流源220、コンパレータ221、及びAND回路232を含んで構成される。
【0054】
電流源210は、所定の電流Ib2をパッドPCに供給する。また、電流源210の下流側のノードは、コンパレータ221の反転入力端子に接続されている。したがって、例えば、パッドPCが、端子Aを介して外部のサーミスタ(後述)に接続されている場合、コンパレータ221の反転入力端子には、サーミスタ(後述)の抵抗値に応じた電圧が印加されることになる。なお、ここでは、パッドPCの電圧を電圧Vpとする。
【0055】
また、図3の制御IC50aでは、パッドPCは、いわゆるオープン状態になっている。したがって、制御IC50aでは、電流源210の下流側のノード(つまり、コンパレータ221の反転入力端子)の電圧Vpは、ほぼ、電流源210の電源側のノードの電圧Vreg2まで上昇している。また、詳細は後述するが、端子Aに接続されるサーミスタは、温度が上昇すると、抵抗値が小さくなる特性を有する。
【0056】
コンパレータ221は、電圧Vpと、所定温度Tbに対応する基準電圧Vref3とを比較し、比較結果Vo2を出力する。具体的には、コンパレータ212は、電圧Vpが基準電圧Vref3より高い場合、温度(ここでは、サーミスタの温度)は、所定温度Tbより低いことを示すLレベルの電圧Vo2を出力する。一方、コンパレータ221は、電圧Vpが基準電圧Vref3より低い場合、サーミスタ温度は、所定温度Tbより高いことを示すHレベルの電圧Vo2を出力する。なお、パッドPCがいわゆるオープン状態である場合、コンパレータ221は、Lレベルの電圧Vo2を出力する。
【0057】
AND回路222は、スイッチング制御回路105から、過熱保護回路104を動作させるべく、Hレベルの信号Sotp2が入力されると、コンパレータ221の比較結果を、電圧Votp2として出力する。なお、信号Sotp2がLレベルの場合、過熱保護回路104は、常にLレベルの電圧Votp2を出力する。
【0058】
ここで、過熱保護回路104は、「第2温度検出回路」に相当し、所定温度Tbは、「第2温度」に相当する。また、本実施形態では、所定温度Tbは、所定温度Taより低い温度である。また、電圧Vpは、「第1電圧」に相当する。
【0059】
===スイッチング制御回路105===
図3のスイッチング制御回路105は、制御IC50aを統括制御するとともに、NMOSトランジスタ32,33のスイッチングを制御する回路である。スイッチング制御回路105は、抵抗110,記憶回路111、制御回路112、及び駆動回路113,114を含んで構成される。
<<抵抗110>>
抵抗110は、図2のフォトトランジスタ62のバイアス電流I1に応じた帰還電圧Vfbを端子FBに発生させる素子であり、一端には電圧Vreg2が印加され、他端は端子FBに接続されている。
【0060】
なお、本実施形態では、出力電圧Voutが目的レベルより高くなると、発光ダイオード44の光の強度が強くなり、バイアス電流I1が増加する。このため、帰還電圧Vfbは低下する。一方、出力電圧Voutが目的レベルより低くなると、発光ダイオード44の光の強度が強くなり、バイアス電流I1が減少する。このため、帰還電圧Vfbは上昇する。
【0061】
<<記憶回路111>>
記憶回路111は、例えば、制御IC50aの動作条件を示す各種情報を記憶する。ここで、「各種情報」には、制御回路112に上述した信号Sreg,Sotp1,Sotp2を出力させるための情報を含む。なお、記憶回路121は、例えばレジスタやメモリを含んで構成される。
【0062】
<<制御回路112>>
制御回路112は、記憶回路111に記憶された情報に基づいて、信号Sreg,Sotp1,Sotp2を出力する。また、制御回路112は、出力電圧Voutに応じた帰還電圧Vfbと、負荷11の負荷電流Ioutに応じた電圧Vcaと、に基づいて、NMOSトランジスタ32,33のそれぞれのオンオフを制御するための信号Vd1,Vd2を出力する。
【0063】
詳細は後述するが、本実施形態では、信号Vd1がHレベルになると、NMOSトランジスタ32はオンし、信号Vd1がLレベルになると、NMOSトランジスタ32はオフする。また、信号Vd2がHレベルになると、NMOSトランジスタ33はオンし、信号Vd2がLレベルになると、NMOSトランジスタ33はオフする。
【0064】
また、制御回路112は、電圧Vcaに基づいて負荷11が軽負荷の状態でないと判定すると、通常モードで動作し、負荷11が軽負荷の状態であると判定すると、バーストモードで動作する。なお、負荷11が軽負荷の状態とは、例えば、負荷電流Ioutが所定電流(例えば、100mA)以下の状態である。
【0065】
ここで、「通常モード」とは、図7に示すように、NMOSトランジスタ32,33が連続的にスイッチングされる動作モードである。なお、制御回路112は、この際、帰還電圧Vfbのレベルで定まる周波数を有し、デューティ比が一定(例えば、50%)のパルス状の信号Vd1,Vd2をに出力する。
【0066】
また、「バーストモード」とは、図8に示すように、NMOSトランジスタ32,33を連続的にスイッチングされるスイッチング期間と、間欠的にスイッチングが停止される停止期間とが交互に繰り返される動作モードである。なお、この際の信号Vdr1,Vdr2の周波数も帰還電圧Vfbのレベルで定まる。
【0067】
なお、制御回路112は、通常モード、バーストモードの何れにおいても、NMOSトランジスタ32,33が同時にオンしないよう、デッドタイムを設けつつ、信号Vd1と、信号Vd2とを、相補的に変化させる。
【0068】
また、本実施形態の制御回路112は、過熱保護回路103,104からの電圧Votp1,Votp2の何れかがHレベルとなると、NMOSトランジスタ32,33がオフするよう、信号Vd1,Vd2をともにLレベルに変化させる。
【0069】
<<駆動回路113>>
駆動回路113は、信号Vd1と同じ論理レベルの駆動信号Vdr1を端子HOに出力する。具体的には、駆動回路113は、Hレベルの信号Vd1に基づいて、Hレベルの駆動信号Vdr1を出力し、Lレベルの信号Vd1に基づいて、Lレベルの駆動信号Vdr1を出力する(図7、及び図8参照)。
【0070】
本実施形態では、駆動回路113に対しては、電圧Vbが電源として供給され、電圧Vsが接地電圧として印加されている。したがって、駆動信号Vdr1のHレベルは、電圧Vbのレベルとなり、駆動信号Vdr1のLレベルは、電圧Vsのレベルとなる。駆動回路113は、このような駆動信号Vdr1を端子HOから出力し、NMOSトランジスタ32を駆動する。
【0071】
<<駆動回路114>>
駆動回路114は、信号Vd2と同じ論理レベルの駆動信号Vdr2を端子LOに出力する。具体的には、駆動回路114は、Hレベルの信号Vd2に基づいて、Hレベルの駆動信号Vdr2を出力し、Lレベルの信号Vd2に基づいて、Lレベルの駆動信号Vdr2を出力する(図7、及び図8参照)。
【0072】
パッドPDは、駆動回路114に電源を印加するための電極であり、端子Aに対してワイヤW2で接続されている。したがって、本実施形態では、駆動回路114に対しては、電圧Vreg1が電源として供給され、0Vが接地電圧として印加されている。
【0073】
この結果、駆動信号Vdr2のHレベルは、電圧Vreg1のレベルとなり、駆動信号Vdr1のLレベルは、0Vとなる。駆動回路114は、このような駆動信号Vdr2を端子LOから出力し、NMOSトランジスタ33を駆動する。
【0074】
ここで、端子Aは、「第1端子」に相当し、端子VCCは、「第2端子」に相当する。また、パッドPCは、「第1パッド」に相当し、パッドPBは、「第2パッド」に相当し、パッドPDは、「第3パッド」に相当する。スイッチング制御回路105は「回路」に相当し、駆動回路113は、「第1駆動回路」に相当し、駆動回路114は、「第2駆動回路」に相当する。また、信号Vd1は、「第1信号」に相当し、信号Vd2は、「第2信号」に相当する。
【0075】
<<<制御ブロック35aを用いたDC-DCコンバータ10の動作波形>>>
図9は、制御ブロック35aを用いたDC-DCコンバータ10の動作波形を説明するための図である。なお、図3では省略しているが、制御IC50aには、外部の電源に基づいて、制御IC50aの電源電圧Vccを生成する起動回路(不図示)が含まれている。そして、時刻t0以前において、起動回路(不図示)が、外部の電源に基づいて、電源電圧Vccを生成していることとする。また、本実施形態では、制御IC50aの起動時には、記憶回路111の情報に基づいて制御回路112は、通常モードで動作する。
【0076】
制御IC50aが起動された後、時刻t0になると、制御回路112は、信号Sreg,Sotp1をともにHレベルとし、信号Sotp2をLレベルとする。この結果、時刻t1にレギュレータ100は、所定レベルの電圧Vreg1を生成する。
【0077】
また、電圧Vreg1が生成された後、制御回路112は、帰還電圧Vfbに応じた周波数の信号Vd1,Vd2を出力する。この結果、NMOSトランジスタ32,33は、駆動信号Vdr1,Vdr2に基づいてオン、オフされることになる。
【0078】
そして、例えば時刻t2に過熱保護回路103のダイオード211が検出する温度が、所定温度Taより高くなると、過熱保護回路103は、電圧Votp1をHレベルに変化させる。この結果、制御回路112は、信号Vd1,Vd2の生成を停止する(信号Vd1,Vd2をともにLレベルとする)ため、NMOSトランジスタ32,33の駆動は停止される。
【0079】
また、時刻t3に過熱保護回路103のダイオード211が検出する温度が、所定温度Taより低くなると、過熱保護回路103は、電圧Votp1をLレベルに変化させる。この結果、制御回路112は、信号Vd1,Vd2の生成するため、NMOSトランジスタ32,33の駆動は再開される。
【0080】
===制御ブロック35の第2実施形態===
図10は、制御ブロック35の第2実施形態である制御ブロック35bの一例を示す図である。図10において、紙面の一点鎖線の左側の領域に含まれる構成が制御ブロック35bに相当する。なお、詳細は後述するが、制御ブロック35bは、制御IC50bの外部のレギュレータ80、及びサーミスタ91を用いつつ、DC-DCコンバータ10を制御するブロックである。
【0081】
制御ブロック35aは、制御IC50a、ダイオード60,83、コンデンサ61,63,64,67,81,82,92、フォトトランジスタ62、抵抗65,66,84,90、レギュレータ(REG)80、及びサーミスタ91を含む。なお、図2と、図10とで、同じ符号が付された構成は同じである。このため、ここでは、端子VCCに接続された、レギュレータ80、コンデンサ81,82、ダイオード83、及び抵抗84と、端子Aに接続された、抵抗90、サーミスタ91、及びコンデンサ92を中心に説明する。
【0082】
制御ブロック35bにおける端子VCCと、ダイオード60及びコンデンサ61の接続点との間には、レギュレータ80が設けられている。レギュレータ80(REG)は、コンデンサ61の電源電圧Vccに基づいて、所定レベルの電圧Vreg3(例えば、10V)を生成する。
【0083】
コンデンサ81は、レギュレータ80の電圧Vreg3を安定化させる素子であり、端子VCCと、レギュレータ80の出力ノードと、に接続されている。このため、コンデンサ81には、電圧Vreg3が印加されることになる。
【0084】
コンデンサ82は、図2のコンデンサ71と同様にブートストラップ電圧を生成する素子であり、端子Bと、端子Sとの間に接続される。
【0085】
また、端子Bには、ダイオード83、及び抵抗84が接続されている。本実施形態では、ダイオード83のカソードが、端子Bに接続され、アノードは、抵抗84を介してコンデンサ81に接続されている。
【0086】
したがって、端子Sの電圧Vsが接地電圧(0V)となった際、コンデンサ82は、レギュレータ80からの電流で充電される。一方、端子Sの電圧Vsが、電圧Vinとなると、端子Bの電圧Vbは、電圧Vinよりコンデンサ82の充電電圧だけ高い電圧となる。
【0087】
このように、制御ブロック35bでは、制御IC50b外部のレギュレータ80が生成する電圧Vreg3が、制御IC50bを動作させる電源電圧となる。
【0088】
端子Aには、抵抗90と、抵抗90に直列接続されたサーミスタ91と、が接続されている。サーミスタ91は、例えば、温度が上昇すると抵抗値が低下する温度検出用の抵抗である。本実施形態のサーミスタ91は、「検出抵抗」に相当する。
【0089】
コンデンサ92は、端子Aの電圧を安定化させるための素子であり、一端が端子Aに接続され、他端が接地されている。
【0090】
<<<制御IC50bの詳細>>>
図11は、制御IC50bの構成の一例を示す図である。制御IC50bは、図3の制御IC50aと同様にレギュレータ100,101、負荷検出回路102、過熱保護回路103,104、スイッチング制御回路105、及びパッドPA~PDを含んで構成される。
【0091】
図3と、図11とを比較すると、端子VCCに印加される電圧と、パッドPB~PDの接続状態とが変化しているため、ここでは、端子VCCの電圧、及びパッドPB~PDの接続状態を中心に説明する。
【0092】
端子VCCには、制御IC50bを動作させる電源電圧として、外部のレギュレータ80からの電圧Vreg3が印加されている。また、端子VCCは、パッドPAに接続されているため、レギュレータ100,101は、電圧Vreg3に基づいて動作することになる。
【0093】
パッドPBは、制御IC50bの何れの端子とも接続されていないため、いわゆるオープン状態である。したがって、制御IC50bでは、電圧Vreg1が使用されることはない。
【0094】
パッドPCは、ワイヤW3を介して端子Aに接続されている。したがって、制御IC50bでは、図6に示す電流源220からの電流Ib2は、パッドPC、端子A、抵抗90を介してサーミスタ91に流れることになる(図10図11参照)。したがって、パッドPCの電圧Vpは、サーミスタ91の抵抗値に応じて変化する。
【0095】
パッドPDは、ワイヤW4を介して端子VCCに接続されている。したがって、駆動回路114の電源として、図10のレギュレータ80からの電圧Vreg3が供給されることになる。
【0096】
<<<制御ブロック35bを用いたDC-DCコンバータ10の動作波形>>>
図12は、制御ブロック35bを用いたDC-DCコンバータ10の動作波形を説明するための図である。なお、ここでも、時刻t10以前において、制御IC50bの起動回路(不図示)が、外部の電源に基づいて、端子VCCに所定の電圧を生成していることとする。また、本実施形態では、制御IC50bの起動時には、記憶回路111の情報に基づいて制御回路112は、通常モードで動作する。
【0097】
制御IC50bが起動された後、時刻t10となると、制御回路112は、信号Sotp1,Sotp2をともにHレベルとし、信号SregをLレベルとする。この結果、レギュレータ100は、動作を停止した状態(電圧Vreg1が生成されない状態)となる。
【0098】
また、制御回路112は、帰還電圧Vfbに応じた周波数の信号Vd1,Vd2を出力する。この結果、NMOSトランジスタ32,33は、駆動信号Vdr1,Vdr2に基づいてオン、オフされることになる。
【0099】
そして、例えば時刻t11にサーミスタ91が検出する温度が、所定温度Tbより高くなると、過熱保護回路104は、電圧Votp2をHレベルに変化させる。この結果、制御回路112は、信号Vd1,Vd2の生成を停止する(信号Vd1,Vd2をともにLレベルとする)ため、NMOSトランジスタ32,33の駆動は停止される。
【0100】
上述のように、本実施形態では、所定温度Tb(例えば、110℃)は、所定温度Ta(例えば、125℃)より低く設定されている。したがって、電圧Votp1,Votp2のうち、電圧Vtop2が、温度に応じてHレベルとなる。
【0101】
時刻t12にサーミスタ91が検出する温度が、所定温度Tbより低くなると、過熱保護回路104は、電圧Votp2をLレベルに変化させる。この結果、制御回路112は、信号Vd1,Vd2の生成するため、NMOSトランジスタ32,33の駆動は再開される。
【0102】
ここで、時刻t12~時刻t13のタイミングにおいて、例えばサーミスタ91が端子Aから外れる現象が発生したこととする。このような場合であっても、時刻t13において、過熱保護回路103のダイオード211が検出する温度が、所定温度Taより高くなると、過熱保護回路103は、電圧Votp1をHレベルに変化させる。この結果、制御回路112は、信号Vd1,Vd2の生成を停止するため、NMOSトランジスタ32,33の駆動は停止される。
【0103】
また、時刻t14にダイオード211が検出する温度が、所定温度Taより低くなると、過熱保護回路103は、電圧Votp1をLレベルに変化させる。この結果、制御回路112は、信号Vd1,Vd2の生成するため、NMOSトランジスタ32,33の駆動は再開される。
【0104】
このように、制御IC50bを用いる場合、仮に、端子Aに接続されたサーミスタ91が外れた場合であっても、過熱保護回路103が動作するため、DC-DCコンバータ10の温度が高くなることを防ぐことができる。
【0105】
===制御IC50===
図13は、本実施形態の制御IC50の一例を示す図である。制御IC50において、パッドPBと、パッドPDとを、端子Aに接続すると、制御IC50は、図3の制御IC50aとなる。また、制御IC50において、パッドPCを端子Aに接続し、パッドPDを端子VCCに接続すると、制御IC50は、図11の制御IC50bとなる。
【0106】
このように、本実施形態では、制御IC50において、パッドと、端子との接続関係を変更することにより、制御IC50の内部のレギュレータ100、過熱保護回路104を用いるか否かを自由に変更することができる。これにより、利用者は、制御ICを用いることにより、利用者に適したDC-DCコンバータ10を実現できる。
【0107】
===まとめ===
以上、本実施形態のDC-DCコンバータ10について説明した。例えば図10の制御ブロック35bでは、制御IC50bの端子Aに、サーミスタ91、及びパッドPCが接続される。この場合、スイッチング制御回路105は、過熱保護回路104の検出結果である電圧Votp2に基づいて動作する(例えば、図12の時刻t10~t12)。一方、図2の制御ブロック35aでは、制御IC50aの端子Aには、パッドPCが接続されていない。この場合、スイッチング制御回路105は、過熱保護回路103の検出結果である電圧Votp1に基づいて動作する(例えば、図9)。したがって、利用者は、図3の制御IC50を用いることにより、利用者に適した温度検出方法を選択できる。
【0108】
なお、端子Aに、サーミスタ91、及びパッドPCが接続される場合は、「第1の場合」に相当し、端子AにパッドPCが接続されない場合は、「第2の場合」に相当する。
【0109】
また、図2の制御ブロック35aでは、制御IC50aの端子Aには、パッドPBと、コンデンサ70とが接続される。したがって、例えば、利用者が制御IC50aの内部の過熱保護回路103を用いる場合、制御IC50aの内部のレギュレータ100を用いることが可能となる。この結果、制御ブロック35aでは、外部にレギュレータを設ける必要がない。
【0110】
なお、端子Aに、パッドPBと、コンデンサ70とが接続される場合は、「第2の場合」に相当する。
【0111】
また、図2の制御ブロック35aのように、内部のレギュレータ100を用い、端子AにパッドPBが接続される場合には、パッドPDは、端子Aに接続される。一方、図10の制御ブロック35bのように、外部のレギュレータ80を用い、端子AにパッドPCが接続される場合、パッドPDは、端子VCCに接続される。この結果、スイッチング制御回路105は、パッドPDに印加される電圧に応じた駆動信号Vdr2を出力できる。
【0112】
また、本実施形態では、スイッチング制御回路105が、過熱保護回路103,104の電圧Votp1,Votp2に基づいて動作することとしたが、一般的なマイコンやCPU等の演算回路が、過熱保護回路103,104の出力に基づいて動作することとしても良い。
【0113】
また、スイッチング制御回路105は、過熱保護回路103,104の電圧Votp1,Votp2の何れかがHレベルとなると、NMOSトランジスタ32,33のスイッチングを停止する。これにより、DC-DCコンバータ10を過熱から保護することができる。
【0114】
また、スイッチング制御回路105は、信号Vd1,Vd2を生成する制御回路と、駆動回路113,114を含んで構成できる。
【0115】
また、サーミスタ91を用いる過熱保護回路104は、温度が所定温度Tbとなると、スイッチング制御回路105にスイッチング動作を停止させる。また、本実施形態では、所定温度Tbは、所定温度Taより低い。したがって、利用者は、制御IC50の外部にサーミスタ91を接続することによって、よりDC-DCコンバータ10が発熱することを防ぐことができる。
【0116】
また、DC-DCコンバータ10において、制御IC50bを用いた場合、サーミスタ91と、端子Aとの接続が外れる現象が発生することがある。このような現象が発生した場合であっても、過熱保護回路103は、温度が所定温度Taとなると、スイッチング制御回路105のスイッチング動作を停止させる。したがって、制御IC50bを用いることにより、確実にDC-DCコンバータ10が熱により破壊されることを防ぐことができる。
【0117】
上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。また、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更や改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれるのはいうまでもない。
【符号の説明】
【0118】
10 DC-DCコンバータ
11 負荷
65,66,73,84,90,110,202,203, 抵抗
32,33 NMOSトランジスタ
34 トランス
35,35a,35b 制御ブロック
40,41,60,72,83,211 ダイオード
43 定電圧回路
44 発光ダイオード
50,50a,50b 制御IC
30,31,42,61,63,64,67,68,71,81,82,92 コンデンサ
62 フォトトランジスタ
91 サーミスタ
80,100,101, レギュレータ
102 負荷検出回路
103,104 過熱保護回路
105 スイッチング制御回路
111 記憶回路
112 制御回路
113,114 駆動回路
200 オペアンプ
201 PMOSトランジスタ
210,220 電流源
212,221 コンパレータ
213,222 AND回路
VCC,FB,IS,CA,HO,LO,A,B,S 端子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13