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特開2024-18396通信装置と通信装置のためのコンピュータプログラムと通信装置によって実行される方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018396
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】通信装置と通信装置のためのコンピュータプログラムと通信装置によって実行される方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 41/0213 20220101AFI20240201BHJP
   H04L 41/04 20220101ALI20240201BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240201BHJP
   H04L 67/00 20220101ALI20240201BHJP
【FI】
H04L41/0213
H04L41/04
B41J29/38 401
H04L67/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121714
(22)【出願日】2022-07-29
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVASCRIPT
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000110
【氏名又は名称】弁理士法人 快友国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊津見 光樹
(72)【発明者】
【氏名】松下 聡
(72)【発明者】
【氏名】柳 哲
(72)【発明者】
【氏名】松田 宗久
(72)【発明者】
【氏名】大原 清孝
(72)【発明者】
【氏名】榎本 勝則
(72)【発明者】
【氏名】矢田 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】森 匡平
(72)【発明者】
【氏名】野川 英樹
(72)【発明者】
【氏名】奥野 哲也
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AP03
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061HJ08
2C061HK05
2C061HN05
2C061HN08
2C061HN15
2C061HP00
(57)【要約】
【課題】2個以上の設定値の書き込みを指示する設定コマンドに従った処理を適切に実行すること。
【解決手段】通信装置は、端末装置から設定コマンドを受信する設定コマンド受信部と、設定コマンドに含まれるOIDに関連付けて設定コマンドに含まれる設定値を管理情報に書き込む書込部と、通信装置が再起動を実行するための第1のOIDに関連付けて第1の設定値が管理情報に書き込まれる場合に、通信装置を再起動させる再起動部と、を備える。設定コマンド受信部は、端末装置から第1の対応情報とM個の対応情報とを含む特定の設定コマンドを受信する。書込部は、M個の対応情報のそれぞれについて、当該対応情報のOIDに関連付けて当該対応情報の設定値を管理情報に書き込んだ後に、第1の対応情報の第1のOIDに関連付けて第1の対応情報の第1の設定値を管理情報に書き込む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信装置であって、
MIB(Management Information Baseの略)の複数個のOID(Object IDの略)のそれぞれについて、当該OIDと設定値とが関連付けられている管理情報を記憶するメモリと、
端末装置から、OIDと設定値とを含む設定コマンドを受信する設定コマンド受信部と、
前記端末装置から前記設定コマンドが受信される場合に、前記設定コマンドに含まれる前記OIDに関連付けて前記設定コマンドに含まれる前記設定値を前記管理情報に書き込む書込部と、
前記通信装置が再起動を実行するための第1のOIDに関連付けて第1の設定値が前記管理情報に書き込まれる場合に、前記通信装置を再起動させる再起動部と、を備え、
前記設定コマンド受信部は、前記端末装置から、前記第1のOIDと前記第1の設定値とが対応付けられている第1の対応情報と、前記第1の対応情報とは異なるM個(前記Mは1以上の整数)の対応情報と、を含む特定の設定コマンドを受信し、
前記M個の対応情報のそれぞれは、前記第1のOIDとは異なるOIDと設定値とが対応付けられている情報であり、
前記書込部は、前記端末装置から前記特定の設定コマンドが受信される場合に、前記M個の対応情報のそれぞれについて、当該対応情報のOIDに関連付けて当該対応情報の設定値を前記管理情報に書き込んだ後に、前記第1の対応情報の前記第1のOIDに関連付けて前記第1の対応情報の前記第1の設定値を前記管理情報に書き込む、通信装置。
【請求項2】
前記特定の設定コマンドは、前記第1の対応情報と、前記第1の対応情報よりも後に記述されている前記M個の対応情報と、を含む、請求項1に記載の通信装置。
【請求項3】
前記複数個のOIDは、後に書き込まれるべき設定値に関連付けられる1個以上の第1種のOIDと、先に書き込まれるべき設定値に関連付けられる1個以上の第2種のOIDと、を含み、
前記書込部は、
前記端末装置から前記特定の設定コマンドが受信され、かつ、前記M個の対応情報が、前記第1種のOIDである第2のOIDと第2の設定値とが対応付けられている第2の対応情報と、前記第2種のOIDである第3のOIDと第3の設定値とが対応付けられている第3の対応情報と、を含む場合に、
前記第3のOIDに関連付けて前記第3の設定値を前記管理情報に書き込み、
その後、前記第2のOIDに関連付けて前記第2の設定値を前記管理情報に書き込み、
その後、前記第1のOIDに関連付けて前記第1の設定値を前記管理情報に書き込む、請求項1に記載の通信装置。
【請求項4】
前記第3の対応情報は、前記第2の対応情報よりも後に記述されている、請求項3に記載の通信装置。
【請求項5】
前記メモリは、さらに、前記設定コマンドに含まれる前記OIDが前記第1種のOID及び前記第2種のOIDのどちらであるのかを判断するための判断情報を記憶し、
前記通信装置は、さらに、
前記端末装置から前記設定コマンドが受信される場合に、前記設定コマンドに含まれる前記OIDが前記第1種のOID及び前記第2種のOIDのどちらであるのかを判断する判断部を備える、請求項3に記載の通信装置。
【請求項6】
前記判断情報は、前記1個以上の第1種のOIDのリストを含むと共に、前記1個以上の第2種のOIDのリストを含まない、請求項5に記載の通信装置。
【請求項7】
前記通信装置は、さらに、
前記端末装置から前記特定の設定コマンドが受信される場合に、前記第3の対応情報の前記第3のOIDに関連付けて前記第3の対応情報の前記第3の設定値が前記管理情報に書き込まれた後に、応答コマンドを前記端末装置に送信する応答コマンド送信部を備え、
前記書込部は、前記応答コマンドが前記端末装置に送信された後に、前記第2のOIDに関連付けて前記第2の設定値を前記管理情報に書き込む、請求項3に記載の通信装置。
【請求項8】
前記応答コマンドは、前記第3のOIDと、前記第3の設定値が前記管理情報に書き込まれたことを示す特定の値と、が対応付けられている第1の応答情報を含むと共に、前記第1の設定値及び前記第2の設定値が前記管理情報に書き込まれる前であるにも関わらず、前記第1のOIDと前記特定の値とが対応付けられている第2の応答情報と、前記第2のOIDと前記特定の値とが対応付けられている第3の応答情報と、を含む、請求項7に記載の通信装置。
【請求項9】
前記1個以上の第1種のOIDは、前記通信装置が通信を実行するための設定値に関連付けられるOIDを含む、請求項3に記載の通信装置。
【請求項10】
前記通信装置は、さらに、
前記端末装置から前記特定の設定コマンドが受信される場合に、前記第1の対応情報と前記第2の対応情報とを前記メモリ内の所定の記憶領域に記憶させる記憶制御部を備え、
前記書込部は、前記端末装置から前記特定の設定コマンドが受信される場合に、
前記第3のOIDに関連付けて前記第3の設定値を前記管理情報に書き込み、
その後、前記所定の記憶領域に記憶されている前記第2の対応情報を利用して、前記第2のOIDに関連付けて前記第2の設定値を前記管理情報に書き込み、
その後、前記所定の記憶領域に記憶されている前記第1の対応情報を利用して、前記第1のOIDに関連付けて前記第1の設定値を前記管理情報に書き込む、請求項3に記載の通信装置。
【請求項11】
前記設定コマンドは、OSI(Open Systems Interconnectionの略)参照モデルのトランスポート層のTCP(Transmission Control Protocolの略)に従ったコマンドである、請求項1に記載の通信装置。
【請求項12】
前記設定コマンドは、ヘッダ部と、前記OID及び前記設定値が記述されているボディ部と、を含む、請求項11に記載の通信装置。
【請求項13】
前記設定コマンドは、OSI(Open Systems Interconnectionの略)参照モデルのトランスポート層のUDP(User Datagram Protocolの略)に従ったコマンドである、請求項1に記載の通信装置。
【請求項14】
通信装置のためのコンピュータプログラムであって、
前記通信装置は、
MIB(Management Information Baseの略)の複数個のOID(Object IDの略)のそれぞれについて、当該OIDと設定値とが関連付けられている管理情報を記憶するメモリと、
コンピュータと、を備え、
前記コンピュータプログラムは、前記コンピュータを、以下の各部、即ち、
端末装置から、OIDと設定値とを含む設定コマンドを受信する設定コマンド受信部と、
前記端末装置から前記設定コマンドが受信される場合に、前記設定コマンドに含まれる前記OIDに関連付けて前記設定コマンドに含まれる前記設定値を前記管理情報に書き込む書込部と、
前記通信装置が再起動を実行するための第1のOIDに関連付けて第1の設定値が前記管理情報に書き込まれる場合に、前記通信装置を再起動させる再起動部と、として機能させ、
前記設定コマンド受信部は、前記端末装置から、前記第1のOIDと前記第1の設定値とが対応付けられている第1の対応情報と、前記第1の対応情報とは異なるM個(前記Mは1以上の整数)の対応情報と、を含む特定の設定コマンドを受信し、
前記M個の対応情報のそれぞれは、前記第1のOIDとは異なるOIDと設定値とが対応付けられている情報であり、
前記書込部は、前記端末装置から前記特定の設定コマンドが受信される場合に、前記M個の対応情報のそれぞれについて、当該対応情報のOIDに関連付けて当該対応情報の設定値を前記管理情報に書き込んだ後に、前記第1の対応情報の前記第1のOIDに関連付けて前記第1の対応情報の前記第1の設定値を前記管理情報に書き込む、コンピュータプログラム。
【請求項15】
通信装置によって実行される方法であって、
前記通信装置は、
MIB(Management Information Baseの略)の複数個のOID(Object IDの略)のそれぞれについて、当該OIDと設定値とが関連付けられている管理情報を記憶するメモリを備え、
前記方法は、
端末装置から、OIDと設定値とを含む設定コマンドを受信する設定コマンド受信工程と、
前記端末装置から前記設定コマンドが受信される場合に、前記設定コマンドに含まれる前記OIDに関連付けて前記設定コマンドに含まれる前記設定値を前記管理情報に書き込む書込工程と、
前記通信装置が再起動を実行するための第1のOIDに関連付けて第1の設定値が前記管理情報に書き込まれる場合に、前記通信装置を再起動させる再起動工程と、として機能させ、
前記設定コマンド受信工程は、前記端末装置から、前記第1のOIDと前記第1の設定値とが対応付けられている第1の対応情報と、前記第1の対応情報とは異なるM個(前記Mは1以上の整数)の対応情報と、を含む特定の設定コマンドを受信し、
前記M個の対応情報のそれぞれは、前記第1のOIDとは異なるOIDと設定値とが対応付けられている情報であり、
前記書込工程は、前記端末装置から前記特定の設定コマンドが受信される場合に、前記M個の対応情報のそれぞれについて、当該対応情報のOIDに関連付けて当該対応情報の設定値を前記管理情報に書き込んだ後に、前記第1の対応情報の前記第1のOIDに関連付けて前記第1の対応情報の前記第1の設定値を前記管理情報に書き込む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書は、OID(Object IDの略)と設定値とが関連付けられている管理情報を記憶する通信装置に関する技術を開示する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、SNMP(Simple Network Management Protocolの略)に従ってデバイスを管理する管理装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-211175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の文献には、2個以上の設定値の書き込みを指示する設定コマンドがデバイスに送信されることについて開示されていない。本明細書では、2個以上の設定値の書き込みを指示する設定コマンドに従った処理を適切に実行することが可能な通信装置を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書によって開示される通信装置は、MIB(Management Information Baseの略)の複数個のOID(Object IDの略)のそれぞれについて、当該OIDと設定値とが関連付けられている管理情報を記憶するメモリと、端末装置から、OIDと設定値とを含む設定コマンドを受信する設定コマンド受信部と、前記端末装置から前記設定コマンドが受信される場合に、前記設定コマンドに含まれる前記OIDに関連付けて前記設定コマンドに含まれる前記設定値を前記管理情報に書き込む書込部と、前記通信装置が再起動を実行するための第1のOIDに関連付けて第1の設定値が前記管理情報に書き込まれる場合に、前記通信装置を再起動させる再起動部と、を備えてもよい。前記設定コマンド受信部は、前記端末装置から、前記第1のOIDと前記第1の設定値とが対応付けられている第1の対応情報と、前記第1の対応情報とは異なるM個(前記Mは1以上の整数)の対応情報と、を含む特定の設定コマンドを受信してもよい。前記M個の対応情報のそれぞれは、前記第1のOIDとは異なるOIDと設定値とが対応付けられている情報であってもよい。前記書込部は、前記端末装置から前記特定の設定コマンドが受信される場合に、前記M個の対応情報のそれぞれについて、当該対応情報のOIDに関連付けて当該対応情報の設定値を前記管理情報に書き込んだ後に、前記第1の対応情報の前記第1のOIDに関連付けて前記第1の対応情報の前記第1の設定値を前記管理情報に書き込んでもよい。
【0006】
上記の構成によると、通信装置は、M個の対応情報のそれぞれについて、当該対応情報のOIDに関連付けて当該対応情報の設定値を管理情報に書き込んだ後に、通信装置が再起動を実行するための第1のOIDに関連付けて第1の設定値を管理情報に書き込む。このため、通信装置が再起動を実行することに起因して、他の設定値を管理情報に書き込めないという事象が起こるのを抑制することができる。
【0007】
上記の通信装置を実現するためのコンピュータプログラム、及び、当該コンピュータプログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体も新規で有用である。また、上記の通信装置によって実行される方法も新規で有用である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】通信システムの構成を示す。
図2】コマンド処理のフローチャートを示す。
図3】具体的なケースを示す。
図4】POSTコマンドと応答コマンドの一例を示す。
図5】第2実施例のコマンド処理のフローチャートを示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第1実施例)
(通信システム2の構成;図1
図1に示されるように、通信システム2は、プリンタ10と端末装置100とを備える。各デバイス10,100は、LAN(Local Area Networkの略)6に接続されており、LAN6を介して相互に通信可能である。LAN6は、有線LANであってもよいし無線LANであってもよい。端末装置100は、デスクトップPC、ノートPC、タブレットPC、携帯電話(例えばスマートフォン)等のユーザ端末である。本実施例では、プリンタ10が、端末装置100からの要求コマンド(即ち後述のPOSTコマンド又はGETコマンド)に応じて、設定値を書き込んだり送信したりすることを実現する。
【0010】
(プリンタ10の構成)
プリンタ10は、印刷機能を実行可能な周辺装置(例えば端末装置100の周辺装置)である。変形例では、プリンタ10は、印刷機能に加えて、スキャン機能、FAX機能等を実行可能な多機能機であってもよい。プリンタ10は、操作部12と、表示部14と、LANインターフェース16と、印刷実行部18と、制御部30と、を備える。各部12~30は、バス線(符号省略)に接続されている。
【0011】
操作部12は、複数のキーを備える。ユーザは、操作部12を操作することによって、様々な指示をプリンタ10に入力することができる。表示部14は、様々な情報を表示させるディスプレイである。表示部14は、いわゆるタッチパネル(即ちユーザの操作を受け付ける操作部)としても機能する。LANインターフェース16は、LAN6に接続されている。印刷実行部18は、インクジェット方式、レーザ方式等の印刷機構を備える。
【0012】
制御部30は、CPU32と不揮発性メモリ34Aと揮発性メモリ34Bとを備える。CPU32は、不揮発性メモリ34Aに格納されているプログラム36に従って、様々な処理を実行する。不揮発性メモリ34Aは、プリンタ10の電源がOFFされても、記憶済みの情報が消去されないメモリである。不揮発性メモリ34Aは、プログラム36に加えて、管理テーブル38と判断リスト40とを記憶する。揮発性メモリ34Bは、プリンタ10の電源がOFFされると、記憶済みの情報が消去されるメモリである。揮発性メモリ34Bは、CPU32が処理を実行する過程で必要な情報を一時的に記憶する。
【0013】
管理テーブル38は、プリンタ10の様々な情報を記憶するためのテーブルである。当該情報は、例えば、プリンタ10の管理者アドレス、消耗品残量、MACアドレス等を含む。
【0014】
管理テーブル38に記憶される情報は、さらに、プリンタ10が通信を実行するための通信設定を含む。通信設定は、プリンタ10のIPアドレス、Proxy設定、APIPA(Automatic Private IP Addressingの略)設定、Network Reset等を含む。Proxy設定は、プリンタ10がProxyサーバを利用するための設定である。APIPAは、プリンタ10にIPアドレスを割り当てるための設定である。Network Resetは、所定の設定値(本実施例では「111」)が管理テーブル38に書き込まれると、プリンタ10の通信設定をリセット(即ち初期化)するための設定である。
【0015】
管理テーブル38に記憶される情報は、さらに、Reboot(即ち再起動)を含む。Rebootは、所定の設定値(本実施例では「222」)が管理テーブル38に書き込まれると、プリンタ10を再起動させるための設定である。
【0016】
図1に例示されない情報としては、例えば、プリンタ10の設置場所、アクセス先、エラー履歴、ステータス(印刷実行中、待機中等)、印刷設定(例えばデフォルトの印刷解像度)等を含む。管理テーブル38は、ツリー構造(即ち階層構造)を利用して上記の様々な情報を格納する。このツリー構造を有する様々な情報の集合のことを「MIB(Management Information Baseの略)」と呼ぶ。
【0017】
具体的には、管理テーブル38は、内容とOID(Object IDの略)とタイプとMIB値とを関連付けて記憶する。内容は、情報の意味を示す文字列である。OIDは、情報を識別する識別子である。タイプは、MIB値のタイプを示す。MIB値は、情報の具体的な値(即ち設定値)を示す。
【0018】
判断リスト40は、管理テーブル38内のOIDが第1種のOIDであるのか第2種のOIDであるのかを判断するためのリストである。第1種のOIDは、応答コマンドが送信された後に管理テーブル38に書き込まれるべき設定値に関連付けられるOIDである。第2種のOIDは、応答コマンドが送信される前に管理テーブル38に書き込まれるべき設定値に関連付けられるOIDである。判断リスト40内の情報は、プリンタ10のベンダによって予め決められている。判断リスト40は、複数個のOIDを含む。これらのOIDのそれぞれは、第1種のOIDである。即ち、判断リスト40は、第2種のOIDを含まない。従って、判断リスト40の容量が大きくなるのを抑制することができる。
【0019】
第1種のOIDは、通信設定の各OID(即ち末尾「4」~「7」の各OID)と、RebootのOID(即ち末尾「8」のOID)と、を含む。応答コマンドが送信される前に通信設定のMIB値が書き込まれると(即ち通信設定のMIB値が変更されると)、プリンタ10は、通信を適切に実行することができなくなることに起因して、応答コマンドを送信することができなくなり得る。従って、本実施例では、応答コマンドが送信された後に、管理テーブル38に通信設定のMIB値が書き込まれる。また、応答コマンドが送信される前にRebootのMIB値「222」が書き込まれると、プリンタ10は、再起動することに起因して、応答コマンドを送信することができなくなり得る。例えば、プリンタ10は、RebootのMIB値「222」の書き込みを指示するコマンド(後述のPOSTコマンド)を受信する場合に、通常、揮発性メモリ34B内のワーク領域において、当該コマンドに対応する処理スレッドを実行する。ここで、MIB値の書き込みの後に応答コマンドを送信することを示す処理スレッドが存在する場合には、RebootのMIB値「222」が書き込まれるとプリンタ10が再起動するので、当該処理スレッドが消去される。この結果、プリンタ10は、再起動の後に応答コマンドを送信することができない。従って、本実施例では、応答コマンドが送信された後に、管理テーブル38にRebootのMIB値「222」が書き込まれる。
【0020】
(プリンタ10と端末装置100の間の通信プロトコル)
プリンタ10と端末装置100との間でMIB値を通信するための通信プロトコルとしては、OSI(Open Systems Interconnectionの略)参照モデルのトランスポート層のUDP(User Datagram Protocolの略)に従ったプロトコルが広く知られている。具体的には、SNMP(Simple Network Management Protocolの略)が知られている。本発明者らは、MIB値を通信するための通信プロトコルとして、UDPに代えて、OSI参照モデルのトランスポート層のTCP(Transmission Control Protocolの略)に従った通信プロトコルを利用することを創作した。具体的には、HTTPS(Hyper Text Transfer Protocol Secureの略)を利用することを創作した。HTTPSは、ユーザ認証及びデータ暗号化を採用しているので、SNMPよりも高いセキュリティを有するからである。これにより、プリンタ10のMIB値が第三者によって不正に書き込まれたり不正に取得されたりすることを抑制することができる。
【0021】
UDPは、応答コマンドの通信を実行するという取り決めが存在しない。従って、端末装置100は、SNMPのSETコマンドをプリンタ10に送信した後に、応答コマンドの受信を監視しない。一方、TCPは、応答コマンドの通信を実行するという取り決めが存在する。このため、端末装置100は、TCPのPOSTコマンドをプリンタ10に送信した後に、応答コマンドの受信を監視する。従って、端末装置100は、プリンタ10から応答コマンドを受信しない場合には、監視を続けることによって処理負荷が高くなったり、エラー画面を表示したりする。このような事象が発生するのを抑制するために、本実施例では、プリンタ10は、応答コマンドの送信に影響があるMIB値の書き込みを指示するPOSTコマンドを受信する場合には、応答コマンドを送信した後にMIB値を書き込む。これを実現するために、プリンタ10は、図2の処理を実行する。
【0022】
(プリンタ10のコマンド処理:図2
図2を参照して、プリンタ10のCPU32によって実行されるコマンド処理を説明する。プリンタ10の電源がONされることをトリガとして、図2の処理が実行される。
【0023】
S10において、CPU32は、端末装置100からHTTPSコマンドを受信することを監視する。CPU32は、端末装置100からHTTPSコマンドを受信する場合に、S10でYESと判断してS12に進む。
【0024】
S12において、CPU32は、ユーザ認証が成功したのか否かを判断する。具体的には、CPU32は、S10で受信されたHTTPSコマンドに対して、ユーザ認証がまだ成功していないこと(即ちUnauthorized)を示す応答コマンドを端末装置100に送信する。そして、CPU32は、端末装置100から認証情報(例えばユーザパスワード)を含むHTTPSコマンドを受信し、当該HTTPSコマンドに含まれる認証情報と、プリンタ10に記憶済みの認証情報と、が一致するのか否かを判断する。CPU32は、これらの認証情報が一致する場合に、認証成功を示す応答コマンドを端末装置100に送信し、S12でYESと判断してS14に進む。このように、ユーザ認証が成功することを条件としてMIB値の書き込み及び送信が実行されるので、プリンタ10のセキュリティを高めることができる。一方、CPU32は、これらの認証情報が一致しない場合に、S12でNOと判断してS10に戻る。
【0025】
S14において、CPU32は、暗号キーの交換を端末装置100と実行する。これにより、プリンタ10と端末装置100との間の以降の通信(例えばS20、S30、S70)において、HTTPSコマンド及び応答コマンド内の情報が暗号化される。このように、コマンド内の情報が暗号化されるので、プリンタ10のセキュリティを高めることができる。
【0026】
S20において、CPU32は、端末装置100からHTTPSコマンドを受信することを監視する。当該HTTPコマンド内の情報は暗号化されている(S14参照)。CPU32は、端末装置100からHTTPSコマンドを受信する場合に、S20でYESと判断してS22に進む。
【0027】
S22において、CPU32は、S20で受信されたHTTPSコマンドがGETコマンドであるのかPOSTコマンドであるのかを判断する。CPU32は、HTTPSコマンドがGETコマンドである場合にS30に進み、HTTPSコマンドがPOSTコマンドである場合にS40に進む。GETコマンドは、HTTPのGETメソッドに従ったコマンドであってもよいし、「X-HTTP-Method-Override “GET”」がヘッダに記述されたHTTPのPOSTメソッドに従ったコマンドであってもよい。POSTコマンドは、HTTPのPOSTメソッドに従ったコマンドである。
【0028】
HTTPSコマンド及びその応答コマンドは、通常、JSON(Java Script Object Notationの略)、XML(Extensible Markup Languageの略)等の汎用的なフォーマットを採用する。本実施例では、CPU32は、JSON形式で記述されたHTTPSコマンドを受信し(S20でYES)、後述のS30及びS70の処理において、JSON形式で記述された応答コマンドを端末装置100に送信する。変形例では、CPU32は、XML形式で記述されたHTTPSコマンドを受信し、XML形式で記述された応答コマンドを端末装置100に送信してもよい。
【0029】
S30において、CPU32は、S20で受信されたGETコマンドに応じた応答コマンドを生成する。具体的には、CPU32は、管理テーブル38から、GETコマンドに含まれる1個以上のOIDに関連付けられている1個以上のMIB値を取得する。CPU32は、取得済みの1個以上のMIB値を応答コマンド内のボディ部に書き込む。そして、CPU32は、応答コマンドを端末装置100に送信する。
【0030】
端末装置100は、プリンタ10から上記の応答コマンドを受信すると、当該応答コマンド内の情報を表示する。これにより、ユーザは、プリンタ10内の各設定値を知ることができる。S30の処理が終了すると、S10に戻る。
【0031】
S40において、CPU32は、S20で受信されたPOSTコマンド内のボディ部に記述されている1個以上のアイテムの中から1個のアイテムを特定する。ここで特定される1個のアイテムは、OIDとタイプとMIB値とを含む。当該タイプは、MIB値のタイプを示す情報であり、string、integer等である。以下では、S40で特定される1個のアイテムに含まれるOID、MIB値のことを、それぞれ、「対象OID」、「対象MIB値」と記載する。
【0032】
S42において、CPU32は、対象OIDが第1種のOIDであるのか第2種のOIDであるのかを判断する。具体的には、CPU32は、対象OIDが判断リスト40に含まれるのか否かを判断する。CPU32は、対象OIDが判断リスト40に含まれる場合に、対象OIDが第1種のOIDであると判断し(S42でYES)、S44に進む。一方、CPU32は、対象OIDが判断リスト40に含まれない場合に、対象OIDが第2種のOIDである判断し(S42でNO)、S50に進む。このように、プリンタ10は、対象OIDが判断リスト40に含まれるのか否かに応じて、MIB値の書込処理を実行するタイミングを変えることができる。
【0033】
S44において、CPU32は、対象OIDに関連付けて対象MIB値を管理テーブル38に書き込むことなく、対象OIDと対象MIB値とを関連付けて揮発性メモリ34B内の所定のワーク領域に記憶する。これにより、CPU32は、応答コマンドを送信した後に、上記の所定のワーク領域に記憶された対象OIDに関連付けて対象MIB値を管理テーブル38に書き込むことができる。
【0034】
ここで、CPU32は、対象OIDがRebootのOID(即ち末尾「8」のOID)である場合には、対象OID及び対象MIB値(即ち「222」)を上記の所定のワーク領域の最後尾に書き込む。また、CPU32は、S44を実行する時点において、RebootのOID及びMIB値「222」が上記の所定のワーク領域の最後尾に記憶済みである場合には、当該OID及び当該MIB値が書き込まれている場所よりも前に、対象OID及び対象MIB値を書き込む。即ち、CPU32は、複数個の第1種のOIDが上記の所定のワーク領域に記憶されるべき状況において、RebootのOIDが最後尾に記憶されるように、S44の処理を実行する。これにより、CPU32は、上記の所定のワーク領域に記憶された各OIDに対応する書込処理を実行する際に、RebootのOIDに関連付けてMIB値「222」を管理テーブル38に最後に書き込むことができる。
【0035】
仮に、S44の処理において、RebootのOID及びMIB値が書き込まれている場所よりも後ろに、他のOID及びMIB値が書き込まれることを許容する構成を採用すると、以下の事象が起こり得る。即ち、プリンタ10は、上記の所定のワーク領域に記憶されている各OIDに対応する書込処理(後述のS80参照)を実行する際に、上記の他のOIDに関連付けてMIB値を管理テーブル38に書き込む前に、RebootのOIDに関連付けてMIB値「222」を管理テーブル38に書き込み得る。この場合、プリンタ10の再起動が実行されるので、上記の所定のワーク領域内の記憶内容が消去される。この結果、プリンタ10は、上記の他のOIDに関連付けてMIB値を管理テーブル38に書き込むことができない。これに対し、本実施例では、プリンタ10は、上記の所定のワーク領域においてRebootのOIDを最後尾に記憶するので、RebootのOIDに関連付けてMIB値「222」を管理テーブル38に最後に書き込むことができる。このために、他のOIDに関連付けてMIB値を管理テーブル38に書き込むことができないという事象が発生するのを抑制することができる。
【0036】
S50において、CPU32は、第2種のOIDである対象OIDに関連付けて対象MIB値を管理テーブル38に書き込む。このように、CPU32は、応答コマンドの送信に影響がない第2種のOIDについては、応答コマンドを送信する前にMIB値を適切に書き込むことができる。
【0037】
S60において、CPU32は、POSTコマンド内の次のアイテムが存在するのか否かを判断する。CPU32は、次のアイテムが存在する場合には、S60でYESと判断し、S40で次のアイテムを特定してS42以降の処理を再び実行する。CPU32は、次のアイテムが存在しない場合には、S60でNOと判断して、S70に進む。
【0038】
S70において、CPU32は、応答コマンドを端末装置100に送信する。これにより、端末装置100は、この後、応答コマンドの受信を監視せずに済む。当該応答コマンドは、S40で特定された各アイテム内のOIDと、MIB値の書き込みが完了したことを示すステータス情報と、を含む。当該応答コマンド内の情報は暗号化されている(図2のS14参照)。S60の時点では、第2種のOIDに関連付けてMIB値の書き込みが完了している(S50参照)が、第1種のOIDに関連付けてMIB値の書き込みが完了していない。これにも関わらず、応答コマンドは、いずれにOIDについても、MIB値の書き込みが完了したことを示すステータス情報を含む。これにより、端末装置100は、POSTコマンド内のいずれのOIDについても適切に処理が実行されたことを知ることができる。
【0039】
S80において、CPU32は、S44で上記の所定のワーク領域に記憶された各OID(即ち第1種のOID)に対応する書込処理を実行する。具体的には、CPU32は、まず、上記の所定のワーク領域に記憶された各OIDのうちの先頭のOIDと、当該OIDに関連付けられているMIB値と、を特定する。CPU32は、特定済みのOIDに関連付けて特定済みのMIB値を管理テーブル38に書き込む。同様に、CPU32は、上記の所定のワーク領域に記憶された各OIDを順に処理する。上述したように、上記の所定のワーク領域においてRebootのOIDが最後尾に記憶されるので、CPU32は、RebootのOIDに関連付けてMIB値「222」を管理テーブル38に最後に書き込む。これにより、CPU32は、プリンタ10の再起動を実行する。このように、本実施例では、プリンタ10の再起動が実行される前に、上記の所定のワーク領域内の他のOIDに関連付けてMIB値が管理テーブル38に書き込まれる。このために、他のOIDに関連付けてMIB値を管理テーブル38に書き込むことができないという事象が発生するのを抑制することができる。S80が終了すると、S10に戻る。
【0040】
(具体的なケース)
続いて、図3及び図4を参照して、図2の処理によって実現される具体的なケースを説明する。特に、POSTコマンドが端末装置100からプリンタ10に送信されるケースを説明する。
【0041】
端末装置100は、T10において、ユーザから書込操作を受け付ける。書込操作は、書込対象の3個の情報「Reboot」、「IPアドレス」、及び、「管理者アドレス」を指定する操作を含む。書込装置は、さらに、「IPアドレス」及び「管理者アドレス」のそれぞれについて、変更後の文字列を指定する操作を含む。この場合、端末装置100は、T12において、HTTPSコマンドをプリンタ10に送信する。
【0042】
プリンタ10は、T12において、端末装置100からHTTPSコマンドを受信すると(図2のS10でYES)、T14において、Unauthorizedを示す応答コマンドを端末装置100に送信する(S12)。
【0043】
端末装置100は、T14において、プリンタ10から応答コマンドを受信すると、認証情報を入力するための画面を表示し(図示省略)、T20において、ユーザから認証情報を入力する操作を受け付ける。この場合、端末装置100は、T22において、認証情報を含むHTTPSコマンドをプリンタ10に送信する。
【0044】
プリンタ10は、T22において、端末装置100からHTTPSコマンドを受信すると、T24において、認証成功を示す応答コマンドを端末装置100に送信する(S12でYES)。そして、プリンタ10は、T30において、暗号キーの交換を端末装置100と実行する(S14)。
【0045】
端末装置100は、T30において、暗号キーの交換をプリンタ10と実行すると、T32において、T10の書込操作に応じたPOSTコマンド200をプリンタ10に送信する。具体的には、端末装置100は、プリンタ10の管理テーブル38と同様に、情報の内容、OID、及び、タイプを関連付けて記憶している。このため、端末装置100は、T10の書込操作で指定された情報「Reboot」から、末尾「8」のOIDとタイプ「integer」とを特定して、それらの情報をPOSTコマンド200に書き込むことができる。端末装置100は、T10の書込操作で指定された情報「IPアドレス」から、末尾「4」のOIDとタイプ「string」とを特定して、それらの情報をPOSTコマンド200に書き込むことができる。端末装置100は、T10の書込操作で指定された情報「管理者アドレス」から、末尾「1」のOIDとタイプ「string」とを特定して、それらの情報をPOSTコマンド200に書き込むことができる。
【0046】
図4に示されるように、POSTコマンド200は、JSON形式で記述され、ヘッダ部とボディ部とを備える。ボディ部は、3個のアイテム202,204,206を含む。アイテム202は、情報「Reboot」に対応する末尾「8」のOIDと、タイプ「integer」に対応する「int_value」と、予め決められているMIB値「222」と、を含む。アイテム204は、情報「IPアドレス」に対応する末尾「4」のOIDと、タイプ「string」に対応する「string_value」と、ユーザによって指定されたMIB値「192.168.2.2」と、を含む。アイテム206は、情報「管理者アドレス」に対応する末尾「1」のOIDと、タイプ「string」に対応する「string_value」と、ユーザによって指定されたMIB値「bbb@example.com」と、を含む。
【0047】
プリンタ10は、T32において、端末装置100からPOSTコマンド200を受信すると(S20でYES、S22でPOST)、3個のアイテム202,204,206のそれぞれを順に処理する。
【0048】
プリンタ10は、アイテム202について、末尾「8」のOIDが第1種のOIDであると判断する(S42でYES)。この場合、プリンタ10は、T40において、末尾「8」のOIDとMIB値「222」とを関連付けて所定のワーク領域内の最後尾に記憶する(S44)。
【0049】
プリンタ10は、アイテム204について、末尾「4」のOIDが第1種のOIDであると判断する(S42でYES)。この場合、プリンタ10は、T42において、末尾「4」のOIDとMIB値「192.168.2.2」とを関連付けて上記の所定のワーク領域内に記憶する(S44)。ここで、プリンタ10は、末尾「8」のOIDとMIB値「222」とが最後尾に存在するのが維持されるように、末尾「4」のOIDとMIB値「192.168.2.2」とを記憶する。
【0050】
プリンタ10は、アイテム206について、末尾「1」のOIDが第2種のOIDであると判断する(S42でNO)。この場合、プリンタ10は、T44において、末尾「1」のOIDに関連付けてMIB値「bbb@example.com」を管理テーブル38に書き込む(S50)。このように、プリンタ10は、アイテム202,204,206のうち、最後に記述されているアイテム206に従って、応答コマンドの送信に影響しないMIB値「bbb@example.com」を管理テーブル38に最初に書き込むことができる。
【0051】
プリンタ10は、3個のアイテム202,204,206に対する処理を実行すると(S60でNO)、T46において、応答コマンド210を端末装置100に送信する(S70)。図4に示されるように、応答コマンド210は、JSON形式で記述され、ヘッダ部とボディ部とを備える。ボディ部は、3個のアイテム212,214,216を含む。アイテム212は、POSTコマンド200のアイテム202内の末尾「8」のOIDと同じOIDと、ステータス情報「success」と、を含む。アイテム214は、POSTコマンド200のアイテム204内の末尾「4」のOIDと同じOIDと、ステータス情報「success」と、を含む。アイテム216は、POSTコマンド200のアイテム206内の末尾「1」のOIDと同じOIDと、ステータス情報「success」と、を含む。
【0052】
端末装置100は、T46において、プリンタ10から応答コマンド210を受信すると、書込処理が適切に完了したことを示すメッセージを表示する(図示省略)。これにより、ユーザは、書込処理が適切に完了したことを知ることができる。
【0053】
プリンタ10は、T50において、上記の所定のワーク領域に記憶された先頭のOID(即ち末尾「4」のOID)とMIB値「192.168.2.2」とを特定する。この場合、プリンタ10は、末尾「4」のOIDに関連付けてMIB値「192.168.2.2」を管理テーブル38に書き込む(S80)。このように、プリンタ10は、アイテム202よりも後に記述されているアイテム204に従って、MIB値「192.168.2.2」を管理テーブル38に先に書き込むことができる。
【0054】
プリンタ10は、T52において、上記の所定のワーク領域に記憶された最後尾のOID(即ち末尾「8」のOID)とMIB値「222」とを特定する。この場合、プリンタ10は、末尾「8」のOIDに関連付けてMIB値「222」を管理テーブル38に書き込む(S80)。このように、プリンタ10は、アイテム204,206よりも前に記述されているアイテム202に従って、MIB値「222」を管理テーブル38に最後に書き込むことができる。これにより、プリンタ10は、T54において、再起動を実行する。プリンタ10の再起動が実行される前に、他のMIB値が管理テーブル38に既に書き込まれているので(T44、T50)、他のMIB値を書き込むことができないという事象が発生するのを抑制することができる。S80が終了すると、S10に戻る。
【0055】
(本実施例の効果)
プリンタ10は、端末装置100からTCPに従ったPOSTコマンド200を受信する場合(T32)に、応答コマンド210を端末装置に送信した後(T46)に、第1種のOIDに関連付けてMIB値を管理テーブル38に書き込む(T50、T52)。従って、プリンタ10が、第1種のOIDに関連付けてMIB値を管理テーブル38に先に書き込むことに起因して、応答コマンド210を端末装置100に送信することができないという事象が発生するのを抑制することができる。このように、本実施例によると、端末装置100からプリンタ10にTCPに従ったPOSTコマンドが送信される状況において、端末装置100とプリンタ10との間で通信を適切に実行することができる。
【0056】
プリンタ10は、POSTコマンド200に含まれるRebootのOID以外の各OIDに関連付けてMIB値を管理テーブル38に書き込んだ後(T44、T50)に、RebootのOIDに関連付けてMIB値「222」を管理テーブル38に書き込む(T52)。このため、プリンタ10が再起動を実行することに起因して、他のMIB値を管理テーブル38に書き込めないという事象が起こるのを抑制することができる。
【0057】
(対応関係)
管理テーブル38が、「管理情報」の一例である。POSTコマンド200、応答コマンド210が、それぞれ、「特定の設定コマンド」、「応答コマンド」の一例である。判断リスト40が、「特定情報」の一例である。アイテム202が「第1の対応情報」の一例であり、アイテム204,206が「M個の対応情報」の一例である。アイテム204、アイテム206が、「第2の対応情報」、「第3の対応情報」の一例である。アイテム216、アイテム212、アイテム214が、それぞれ、「第1の応答情報」、「第2の応答情報」、「第3の応答情報」の一例である。ステータス情報「success」が、「特定の値」の一例である。
【0058】
図2のS20及び図3のT32が、「設定コマンド受信部」によって実行される処理の一例である。S50、S80、T44、T50、及び、T52が、「書込部」によって実行される処理の一例である。S70及びT46が、「応答コマンド送信部」によって実行される処理の一例である。S42が、「判断部」によって実行される処理の一例である。S44が、「記憶制御部」によって実行される処理の一例である。S80及びT54が、「再起動部」によって実行される処理の一例である。
【0059】
(第2実施例:図5
続いて、第2実施例を説明する。第2実施例では、CPU32は、図2に代えて図5の処理を実行する。特に、本実施例では、CPU32は、HTTPSではなく、SNMPに従ったコマンドの通信を実行する。
【0060】
S110において、CPU32は、端末装置100からSNMPコマンドを受信することを監視する。CPU32は、端末装置100からSNMPコマンドを受信する場合に、S110でYESと判断してS112に進む。SNMPコマンドは、暗号化されていない。また、本実施例では、ユーザ認証が実行されない。
【0061】
S120において、CPU32は、S110で受信されたSNMPコマンドがGETコマンドであるのかSETコマンドであるのかを判断する。CPU32は、SNMPコマンドがGETコマンドである場合にS130に進み、SNMPコマンドがSETコマンドである場合にS140に進む。
【0062】
S130において、CPU32は、S110で受信されたGETコマンドに応じた応答コマンドを生成する。具体的には、CPU32は、管理テーブル38から、GETコマンドに含まれる1個以上のOIDに関連付けられている1個以上のMIB値を取得する。CPU32は、取得済みの1個以上のMIB値を応答コマンドに書き込む。そして、CPU32は、応答コマンドを端末装置100に送信する。当該応答コマンドは、暗号化されていない。これにより、端末装置100において、応答コマンド内の情報が表示される。S130の処理が終了すると、S110に戻る。
【0063】
S140において、CPU32は、S110で受信されたSETコマンドに記述されている1個以上のアイテムの中から1個のアイテムを特定する。ここで特定されるアイテムは、図2のS40で特定されるアイテム(即ち対象OID、対象MIB値)と同様である。S142~S160は、図2のS42~S60と同様である。
【0064】
CPU32は、応答コマンドを端末装置100に送信しない。UDPでは、応答コマンドの通信の取り決めがないからである。そして、CPU32は、図2のS80と同様に、S180の処理を実行する。S180が終了すると、S110に戻る。
【0065】
(本実施例の効果)
本実施例でも、プリンタ10は、第1実施例と同様の効果を奏する。即ち、プリンタ10は、SETコマンドに含まれるRebootのOID以外の各OIDに関連付けてMIB値を管理テーブル38に書き込んだ後に、RebootのOIDに関連付けてMIB値「222」を管理テーブル38に書き込む。このため、プリンタ10が再起動を実行することに起因して、他のMIB値を管理テーブル38に書き込めないという事象が起こるのを抑制することができる。
【0066】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。上記の実施例の変形例を以下に列挙する。
【0067】
(変形例1)第1実施例において、判断リスト40、図2のS42及びS50を省略してもよい。即ち、「特定情報」及び「判断部」を省略可能である。即ち、「書込部」は、設定コマンドに含まれるOIDが第1種のOIDであるのか第2種のOIDであるのかに関わらず、応答コマンドが端末装置に送信された後に、当該OIDに関連付けてMIB値を管理情報に書き込んでもよい。また、第2実施例において、図5のS142~S150に代えて以下の処理が実行されてもよい。即ち、CPU32は、対象OIDがRebootのOIDでない場合には、対象OIDが第1種のOIDであるのか第2種のOIDであるのかに関わらず、対象OIDに関連付けて対象MIB値を管理テーブル38に書き込む。一方、CPU32は、対象OIDがRebootのOIDである場合には、対象OIDと対象MIB値とを所定のワーク領域に記憶し、S160でNOと判断する場合に、所定のワーク領域に記憶されているRebootのOIDに関連付けてMIB値「222」を管理テーブル38に書き込む。一般的に言うと、「書込部」は、第1の対応情報の第1のOIDに関連付けて第1の対応情報の第1の設定値を管理情報に最後に書き込めばよい。
【0068】
(変形例2)判断リスト40は、第1種であることを示す種類情報と、複数個の第1種のOIDと、を関連付けて記憶すると共に、第2種であることを示す種類情報と、複数個の第2種のOIDと、を関連付けて記憶してもよい。別の変形例では、判断リスト40は、第2種のOIDのみを記憶していてもよい。この構成によると、CPU32は、図2のS40において、対象OIDが判断リスト40に含まれる場合に、S42でNOと判断してS50に進み、対象OIDが判断リスト40に含まれない場合に、S42でYESと判断してS44に進む。
【0069】
(変形例3)応答コマンド210内のアイテム214,216のそれぞれは、ステータス情報として、「success」に代えて、書込処理の実行待ちであることを示す文字列(例えば「wait」)を含んでいてもよい。一般的に言うと、「応答コマンド」は、「特定の値」を含まなくてもよい。
【0070】
(変形例4)判断リスト40は、通信設定のOIDを含まなくてもよい。
【0071】
(変形例5)第1実施例において、HTTPSに代えてTCPに従ったHTTPのコマンドが採用されてもよい。また、TCPに従った他のプロトコルのコマンドが採用されてもよい。HTTPは、ユーザ認証を実行可能なプロトコルであるので、SNMPよりも高いセキュリティを有する。また、第2実施例において、SNMPに代えてUDPに従った他のプロトコルのコマンドが採用されてもよい。
【0072】
(変形例6) 第1実施例では、プリンタ10内の設定値が第三者によって不正に変更されるのは大きな問題であるので、プリンタ10は、高いセキュリティを有するHTTPSのPOSTコマンドに従って設定値を変更する。また、プリンタ10は、HTTPSのGETコマンドに従って設定値を送信する。ここで、本変形例では、プリンタ10内の設定値が第三者によって取得されるのは問題ないというセキュリティポリシーを採用する。この場合、プリンタ10は、端末装置100から、HTTPSのGETコマンドを受信する代わりに、SNMPのGETコマンドを受信し、SNMPの応答コマンドを端末装置100に送信してもよい。
【0073】
(変形例7)「通信装置」は、プリンタに限られず、スキャナ、ファクシミリ、PC、サーバ等の他の装置であってもよい。
【0074】
(変形例7)上記の実施例では、CPU32がプログラム36を実行することによって、図2及び図3の各処理が実現される。これに代えて、いずれかの処理は、論理回路等のハードウェアによって実現されてもよい。
【0075】
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【0076】
本特許出願時の特許請求の範囲において、各請求項が一部の請求項のみに従属している場合であっても、各請求項が当該一部の請求項のみに従属可能であることに限定されない。技術的に矛盾しない範囲において、各請求項は、出願時に従属していない他の請求項にも従属可能である。即ち、各請求項の技術は以下のように様々に組み合わせることができる。
(項目1)
通信装置であって、
MIB(Management Information Baseの略)の複数個のOID(Object IDの略)のそれぞれについて、当該OIDと設定値とが関連付けられている管理情報を記憶するメモリと、
端末装置から、OIDと設定値とを含む設定コマンドを受信する設定コマンド受信部と、
前記端末装置から前記設定コマンドが受信される場合に、前記設定コマンドに含まれる前記OIDに関連付けて前記設定コマンドに含まれる前記設定値を前記管理情報に書き込む書込部と、
前記通信装置が再起動を実行するための第1のOIDに関連付けて第1の設定値が前記管理情報に書き込まれる場合に、前記通信装置を再起動させる再起動部と、を備え、
前記設定コマンド受信部は、前記端末装置から、前記第1のOIDと前記第1の設定値とが対応付けられている第1の対応情報と、前記第1の対応情報とは異なるM個(前記Mは1以上の整数)の対応情報と、を含む特定の設定コマンドを受信し、
前記M個の対応情報のそれぞれは、前記第1のOIDとは異なるOIDと設定値とが対応付けられている情報であり、
前記書込部は、前記端末装置から前記特定の設定コマンドが受信される場合に、前記M個の対応情報のそれぞれについて、当該対応情報のOIDに関連付けて当該対応情報の設定値を前記管理情報に書き込んだ後に、前記第1の対応情報の前記第1のOIDに関連付けて前記第1の対応情報の前記第1の設定値を前記管理情報に書き込む、通信装置。
(項目2)
前記特定の設定コマンドは、前記第1の対応情報と、前記第1の対応情報よりも後に記述されている前記M個の対応情報と、を含む、項目1に記載の通信装置。
(項目3)
前記複数個のOIDは、後に書き込まれるべき設定値に関連付けられる1個以上の第1種のOIDと、先に書き込まれるべき設定値に関連付けられる1個以上の第2種のOIDと、を含み、
前記書込部は、
前記端末装置から前記特定の設定コマンドが受信され、かつ、前記M個の対応情報が、前記第1種のOIDである第2のOIDと第2の設定値とが対応付けられている第2の対応情報と、前記第2種のOIDである第3のOIDと第3の設定値とが対応付けられている第3の対応情報と、を含む場合に、
前記第3のOIDに関連付けて前記第3の設定値を前記管理情報に書き込み、
その後、前記第2のOIDに関連付けて前記第2の設定値を前記管理情報に書き込み、
その後、前記第1のOIDに関連付けて前記第1の設定値を前記管理情報に書き込む、項目1又は2に記載の通信装置。
(項目4)
前記第3の対応情報は、前記第2の対応情報よりも後に記述されている、項目3に記載の通信装置。
(項目5)
前記メモリは、さらに、前記設定コマンドに含まれる前記OIDが前記第1種のOID及び前記第2種のOIDのどちらであるのかを判断するための判断情報を記憶し、
前記通信装置は、さらに、
前記端末装置から前記設定コマンドが受信される場合に、前記設定コマンドに含まれる前記OIDが前記第1種のOID及び前記第2種のOIDのどちらであるのかを判断する判断部を備える、項目3又は4に記載の通信装置。
(項目6)
前記判断情報は、前記1個以上の第1種のOIDのリストを含むと共に、前記1個以上の第2種のOIDのリストを含まない、項目5に記載の通信装置。
(項目7)
前記通信装置は、さらに、
前記端末装置から前記特定の設定コマンドが受信される場合に、前記第3の対応情報の前記第3のOIDに関連付けて前記第3の対応情報の前記第3の設定値が前記管理情報に書き込まれた後に、応答コマンドを前記端末装置に送信する応答コマンド送信部を備え、
前記書込部は、前記応答コマンドが前記端末装置に送信された後に、前記第2のOIDに関連付けて前記第2の設定値を前記管理情報に書き込む、項目3から6のいずれか一項に記載の通信装置。
(項目8)
前記応答コマンドは、前記第3のOIDと、前記第3の設定値が前記管理情報に書き込まれたことを示す特定の値と、が対応付けられている第1の応答情報を含むと共に、前記第1の設定値及び前記第2の設定値が前記管理情報に書き込まれる前であるにも関わらず、前記第1のOIDと前記特定の値とが対応付けられている第2の応答情報と、前記第2のOIDと前記特定の値とが対応付けられている第3の応答情報と、を含む、項目7に記載の通信装置。
(項目9)
前記1個以上の第1種のOIDは、前記通信装置が通信を実行するための設定値に関連付けられるOIDを含む、項目3から8のいずれか一項に記載の通信装置。
(項目10)
前記通信装置は、さらに、
前記端末装置から前記特定の設定コマンドが受信される場合に、前記第1の対応情報と前記第2の対応情報とを前記メモリ内の所定の記憶領域に記憶させる記憶制御部を備え、
前記書込部は、前記端末装置から前記特定の設定コマンドが受信される場合に、
前記第3のOIDに関連付けて前記第3の設定値を前記管理情報に書き込み、
その後、前記所定の記憶領域に記憶されている前記第2の対応情報を利用して、前記第2のOIDに関連付けて前記第2の設定値を前記管理情報に書き込み、
その後、前記所定の記憶領域に記憶されている前記第1の対応情報を利用して、前記第1のOIDに関連付けて前記第1の設定値を前記管理情報に書き込む、項目3から9のいずれか一項に記載の通信装置。
(項目11)
前記設定コマンドは、OSI(Open Systems Interconnectionの略)参照モデルのトランスポート層のTCP(Transmission Control Protocolの略)に従ったコマンドである、項目1から10のいずれか一項に記載の通信装置。
(項目12)
前記設定コマンドは、ヘッダ部と、前記OID及び前記設定値が記述されているボディ部と、を含む、項目11に記載の通信装置。
(項目13)
前記設定コマンドは、OSI(Open Systems Interconnectionの略)参照モデルのトランスポート層のUDP(User Datagram Protocolの略)に従ったコマンドである、項目1から12のいずれか一項に記載の通信装置。
【符号の説明】
【0077】
2:通信システム、6:LAN、10:プリンタ、12:操作部、14:表示部、16:LANインターフェース、18:印刷実行部、30:制御部、32:CPU、34A:不揮発性メモリ、34B:揮発性メモリ、36:プログラム、38:管理テーブル、40:判断リスト、100:端末装置
図1
図2
図3
図4
図5