(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018404
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
F02M 37/32 20190101AFI20240201BHJP
B60K 15/077 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
F02M37/32
B60K15/077 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121725
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】都築 洋久
【テーマコード(参考)】
3D038
【Fターム(参考)】
3D038CA07
3D038CA11
3D038CA15
3D038CB06
3D038CC07
3D038CD02
(57)【要約】
【課題】フロアの外側端に設けた乗降ステップの前面に燃料フィルタを取り付けた作業車両がある。然しながら、ハウス内作業など側方を壁等の障害物に近接させて走行させたい場合、乗降ステップを取り外しても燃料フィルタが側方へ突出してしまい壁等の障害物に近接させる走行による作業が困難な場合があった。そこで、車幅が広がらない位置に燃料フィルタを取り付けた作業車両を提供する。
【解決手段】運転座席を備え運転者が搭乗する運転部の床面を構成するフロア6を設けた作業車両において、フロア6下方のミッションケース4に取り付けられたフロア6を支持するマウントブラケット5を設け、マウントブラケット5に燃料フィルタ11を取り付け、燃料フィルタ11をフロア6の下方位置に設けると共に、燃料フィルタ11の外側端をフロア6の外側端よりも内側に配置する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
運転座席(8)を備え運転者が搭乗する運転部の床面を構成するフロア(6)を設けた作業車両において、該フロア(6)下方のミッションケース(4)に取り付けられたフロア(6)を支持するマウントブラケット(5)を設け、該マウントブラケット(5)にエンジンに供給される燃料から不純物を取り除く燃料フィルタ(11)を取り付け、燃料フィルタ(11)をフロア(6)の下方位置に設けると共に、燃料フィルタ(11)の外側端をフロア(6)の外側端よりも内側に配置したことを特徴とする作業車両。
【請求項2】
燃料フィルタ(11)上面に手動で燃料をエンジンに供給するポンプ操作部(11a)を設け、ポンプ操作部(11a)は平面視でフロア(6)前端よりも前方に突出していることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
燃料フィルタ(11)の上方を覆うカバー(20)をポンプ操作部(11a)近傍に設け、カバー(20)を上下動自在に設けて押下操作によりポンプ操作部(11a)を押すことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料フィルタを装備したトラクタ等の作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
運転者が搭乗する運転席を備えた運転部の床面を構成するフロアの外側端に乗降時に足をのせる乗降ステップを設け、燃料に混入した不純物を取り除く燃料フィルタを、車両の前進方向を前として乗降ステップの前面に取り付けた構成の作業車両が公知である(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
然しながら、ハウス内作業など側方を壁等の障害物に近接させて走行させたい場合、乗降ステップを取り外しても燃料フィルタが側方へ突出してしまい壁等の障害物に近接させる走行による作業が困難な場合があった。
【0005】
本発明では、車幅が広がらない位置に燃料フィルタを取り付けた作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の発明は、運転座席8を備え運転者が搭乗する運転部の床面を構成するフロア6を設けた作業車両において、該フロア6下方のミッションケース4に取り付けられたフロア6を支持するマウントブラケット5を設け、該マウントブラケット5にエンジンに供給される燃料から不純物を取り除く燃料フィルタ11を取り付け、燃料フィルタ11をフロア6の下方位置に設けると共に、燃料フィルタ11の外側端をフロア6の外側端よりも内側に配置した作業車両である。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、フロア6下方のミッションケース4に取り付けられたフロア6を支持するマウントブラケット5を設け、該マウントブラケット5にエンジンに供給される燃料から不純物を取り除く燃料フィルタ11を取り付け、燃料フィルタ11をフロア6の下方位置に設けると共に、燃料フィルタ11の外側端をフロア6の外側端よりも内側に配置したので、フロア6の外側端より車幅が拡がらない位置に燃料フィルタ11を取り付けることができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、燃料フィルタ11上面に手動で燃料をエンジンに供給するポンプ操作部11aを設け、ポンプ操作部11aは平面視でフロア6前端よりも前方に突出している請求項1に記載の作業車両である。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の作用効果に加えて、燃料フィルタ11上面に手動で燃料をエンジンに供給するポンプ操作部11aを設け、ポンプ操作部11aは平面視でフロア6前端よりも前方に突出しているので、初期運転時やエンジンメンテナンス作業後にエア噛みを防止するためのポンプ操作が容易に行える。
【0010】
請求項3記載の発明は、燃料フィルタ11の上方を覆うカバー20をポンプ操作部11a近傍に設け、カバー20を上下動自在に設けて押下操作によりポンプ操作部11aを押す請求項1または請求項2に記載の作業車両である。
【0011】
請求項3記載の発明によれば、請求項1または請求項2に記載の発明の作用効果に加えて、カバー20で燃料フィルタ11の上方を覆った状態のままでポンプ操作部11aを操作できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明における実施の形態のトラクタの要部の平面図である。
【
図2】本発明における実施の形態のトラクタの燃料フィルタ周辺の斜視図である。
【
図3】本発明における実施の形態のトラクタの燃料フィルタ周辺の側面図である。
【
図4】本発明における実施の形態のトラクタの燃料フィルタ周辺の拡大斜視図である。
【
図5】本発明における実施の形態のトラクタの燃料フィルタ周辺の拡大斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の一実施形態として、作業車両の一種である農業用のトラクタ1について説明する。以下においては、機体の前進方向を基準に、前後、左右と云う。
【0014】
図1に示すように、トラクタ1は、機体下部に左右前輪及び左右後輪2,2を装備し、機体前部にエンジンを搭載し、エンジン後方にクラッチケースを介して連結したミッションケース4の両外側部に機体左右外方に張り出して設けたマウントブラケット5,5にフロア6を支持し、機体後部上に安全フレーム(ロプス)7を設け、機体後端部に各種作業装置を連結するリンク機構及びPTO軸を設けている。
【0015】
なお、一般的にフロア6の左右外側端部にフロア6よりも一段低い乗降ステップを設けているが、本実施形態では、ハウス内作業を行うトラクタとして、ハウス内の壁等に干渉しないように機体外側に突出する乗降ステップを取り外した例を示す。
【0016】
フロア6は、左右後輪2,2の左右後輪カバー2a,2a間で安全フレーム(ロプス)7前方の機体上に設けた運転座席8の前側下方位置に設け、運転座席8に着座する作業者の足置き場(床面)であり、左右両側部から機体に搭乗するステップである。
【0017】
また、フロア6の前部上には、左右ブレーキペダル9a,9a、主クラッチペダル9b及び操作パネルと操縦ハンドル等が設けられている。
【0018】
フロア6の左右一方側である左側の下方位置には燃料タンク10を設け、フロア6の左右他方側である右側の下方位置にはエンジンに供給される燃料から不純物を取り除く燃料フィルタ11を配置し、燃料タンク10内の燃料は第1燃料パイプ12aにて燃料フィルタ11に流入し、第2燃料パイプ12bにて燃料フィルタ11からエンジンヘ流出する。
【0019】
ここで、
図2~
図5に基づいて、燃料フィルタ11の支持構成について詳述する。
【0020】
燃料フィルタ11は、燃料フィルタ固定ブラケット13にボルト・ナット14にて固定されている。
【0021】
燃料フィルタ固定ブラケット13は、フロア6の右側部を支持するミッションケース4の右外側部に機体右外方に張り出して設けたマウントブラケット5右端部にボルト・ナット15にて上部が固定された燃料フィルタ支持ブラケット16にボルト・ナット17にて固定されている。
【0022】
燃料フィルタ固定ブラケット13は、後壁13a、内側壁13b及び底面13cから構成されている。
【0023】
そして、内側壁13bが燃料フィルタ支持ブラケット16にボルト・ナット17にて固定され、該内側壁13bと燃料フィルタ支持ブラケット16には、各々第1燃料パイプ12a及び第2燃料パイプ12bを挿通する孔13d,16aが設けられている。
【0024】
燃料フィルタ固定ブラケット13には、右外側面及び前面を覆う側部カバー18がボルト・ナット19にて着脱自在に設けられている。
【0025】
従って、ボルト・ナット19を外して、側部カバー18を取り除いて燃料フィルタ11の右外側及び前面を解放して、容易に燃料フィルタ11のメンテナンスが行える。
【0026】
燃料フィルタ11の上部(上面)には、手動で燃料をエンジンに供給してエンジンへの燃料供給経路のエア抜き操作するポンプ操作部11aが設けられている。
【0027】
燃料フィルタ固定ブラケット13には、上面を覆う上部カバー20が燃料フィルタ固定ブラケット13に設けた枢軸21にて後部が枢支されて上下回動自在に設けられている。
【0028】
上部カバー20は、上面20aの左右両側に下方に向けて左右片20bを設けて、該左右片20bの後部を枢軸21に枢支している。また、上部カバー20の後部を下方に折り曲げて後部片20cを設けてL字状とし、上部カバー20が下方にのみ回動する構成とする。
【0029】
従って、作業者は、上部カバー20を下方に押し操作することにより、上部カバー20を介してポンプ操作部11aを押し操作して手動で燃料をエンジンに供給しエンジンへの燃料供給経路のエア抜きをすることができる。
【0030】
そして、燃料フィルタ11及び燃料フィルタ固定ブラケット13は、ミッションケース4の右外側部に機体右外方に張り出して設けたマウントブラケット5に支持されたフロア6の下方位置でフロア6の右外側端よりも機体内方に配置されている。
【0031】
従って、フロア6の右外側端から車幅が広がらない位置に燃料フィルタ11及び燃料フィルタ固定ブラケット13を取り付けることができ、壁等の障害物に近接させる走行による作業が行える。
【0032】
また、燃料フィルタ11のポンプ操作部11aは、フロア6の前端から前方に突出した位置に配置している。
【0033】
従って、初期運転時やエンジンメンテナンス作業後にエア噛みを防止するためのポンプ操作が容易に行える。
【0034】
なお、燃料フィルタ11を上部程前側に位置するように傾斜させて燃料フィルタ固定ブラケット13に取り付けて、燃料フィルタ11のポンプ操作部11aはフロア6の前端から前方に突出しない位置にあるが、ポンプ操作部11aがフロア6前方を向いており、フロア6前方から操作できるように構成しても良い。
【符号の説明】
【0035】
4 ミッションケース
5 マウントブラケット
6 フロア
8 運転座席
11 燃料フィルタ
11a ポンプ操作部
20 カバー(上部カバー)
20a 上面