(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018407
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】連続アンローダ
(51)【国際特許分類】
B65G 67/60 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B65G67/60 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121733
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000198363
【氏名又は名称】IHI運搬機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(74)【代理人】
【識別番号】100119356
【弁理士】
【氏名又は名称】柱山 啓之
(72)【発明者】
【氏名】堀内 宗典
(72)【発明者】
【氏名】藤井 孝夫
【テーマコード(参考)】
3F077
【Fターム(参考)】
3F077AA05
3F077BA02
3F077BA06
3F077BB01
3F077DA02
3F077DA10
3F077DB01
3F077DB09
3F077GA01
(57)【要約】
【課題】ペレット状の荷を扱うことが可能な連続アンローダを提供する。
【解決手段】ニューマチックアンローダに切替可能な連続アンローダ40は、バケットエレベータ47と、バケットエレベータに取付可能な垂直管1と、垂直管に負圧を供給するための真空ポンプ2とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニューマチックアンローダに切替可能な連続アンローダであって、
バケットエレベータと、
前記バケットエレベータに取付可能な垂直管と、
前記垂直管に負圧を供給するための真空ポンプと、
を備えることを特徴とする連続アンローダ。
【請求項2】
ブームと、
前記ブームに配置され前記垂直管に接続可能な水平管と、
前記水平管および前記真空ポンプの間に介設されたレシーバタンクと、
を備える
請求項1に記載の連続アンローダ。
【請求項3】
前記バケットエレベータは、バケットエレベータケーシングを備え、
前記垂直管は、前記バケットエレベータケーシング内に取付可能である
請求項1または2に記載の連続アンローダ。
【請求項4】
前記バケットエレベータは、前記バケットエレベータケーシング内に配置されたバケットチェーンを備え、
前記バケットチェーンは、チェーンと、前記チェーンに着脱可能に取り付けられた複数のバケットとを備え、
前記ニューマチックアンローダへの切替時に、前記バケットが取り外されると共に、前記バケットが取り外された前記チェーンの部位に前記垂直管が取り付けられる
請求項3に記載の連続アンローダ。
【請求項5】
前記垂直管は、長手方向に分割された複数の分割垂直管から構成されている
請求項4に記載の連続アンローダ。
【請求項6】
請求項5に記載の連続アンローダを前記ニューマチックアンローダに切り替える方法であって、
前記チェーンから前記バケットを取り外す第1ステップと、
前記バケットエレベータケーシングより下方の位置で、前記バケットを取り外した前記チェーンの部位に前記分割垂直管を取り付ける第2ステップと、
前記チェーンを上昇させる第3ステップと、
前記バケットエレベータケーシングより下方の位置で、前記バケットを取り外した前記チェーンの部位に別の分割垂直管を取り付けると共に、前記別の分割垂直管を前記分割垂直管に連結する第4ステップと、
を備えることを特徴とする切替方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は連続アンローダに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に火力発電所では、船舶によって運搬されてきた石炭を、埠頭に設置された連続アンローダ(揚炭機ともいう)によって荷揚げしている。荷揚げされた石炭は地上コンベヤによって付近の貯蔵施設まで搬送される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで近年では、地球環境を考慮した二酸化炭素の排出量削減を目的として、火力発電所における燃料を、石炭から、より環境負荷が小さい代替燃料、典型的にはバイオマス燃料に変更することが検討されている。
【0005】
バイオマス燃料は、石炭より平均粒径が小さいペレット状ないし粒状の燃料である。これを連続アンローダで荷揚げすると、作業時に粉塵が飛散し、環境に悪影響を与える可能性がある。
【0006】
そこで本開示は、かかる事情に鑑みて創案され、その目的は、ペレット状の荷を扱うことが可能な連続アンローダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一の態様によれば、
ニューマチックアンローダに切替可能な連続アンローダであって、
バケットエレベータと、
前記バケットエレベータに取付可能な垂直管と、
前記垂直管に負圧を供給するための真空ポンプと、
を備えることを特徴とする連続アンローダが提供される。
【0008】
好ましくは、前記連続アンローダは、
ブームと、
前記ブームに配置され前記垂直管に接続可能な水平管と、
前記水平管および前記真空ポンプの間に介設されたレシーバタンクと、
を備える。
【0009】
好ましくは、前記バケットエレベータは、バケットエレベータケーシングを備え、
前記垂直管は、前記バケットエレベータケーシング内に取付可能である。
【0010】
好ましくは、前記バケットエレベータは、前記バケットエレベータケーシング内に配置されたバケットチェーンを備え、
前記バケットチェーンは、チェーンと、前記チェーンに着脱可能に取り付けられた複数のバケットとを備え、
前記ニューマチックアンローダへの切替時に、前記バケットが取り外されると共に、前記バケットが取り外された前記チェーンの部位に前記垂直管が取り付けられる。
【0011】
好ましくは、前記垂直管は、長手方向に分割された複数の分割垂直管から構成されている。
【0012】
本開示の他の態様によれば、
前記連続アンローダを前記ニューマチックアンローダに切り替える方法であって、
前記チェーンから前記バケットを取り外す第1ステップと、
前記バケットエレベータケーシングより下方の位置で、前記バケットを取り外した前記チェーンの部位に前記分割垂直管を取り付ける第2ステップと、
前記チェーンを上昇させる第3ステップと、
前記バケットエレベータケーシングより下方の位置で、前記バケットを取り外した前記チェーンの部位に別の分割垂直管を取り付けると共に、前記別の分割垂直管を前記分割垂直管に連結する第4ステップと、
を備えることを特徴とする切替方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、ペレット状の荷を扱うことが可能な連続アンローダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の実施形態に係る連続アンローダの概略図である。
【
図2】垂直管を取り付ける前のアンローダを示す概略図である。
【
図3】バケットおよび垂直管の取付部の詳細を示し、
図1のIII-III断面図である。
【
図4】垂直管の取付部の詳細を示し、
図3のIV矢視図である。
【
図5】ニューマチックアンローダへの切替方法を示すフローチャートである。
【
図6】ニューマチックアンローダへの切替方法を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本開示の実施形態を説明する。なお本開示は以下の実施形態に限定されない点に留意されたい。
【0016】
図1は、本開示の実施形態に係る連続アンローダの概略図である。便宜上、前後左右上下の各方向を図示の通り定める。
【0017】
火力発電所が設置された埠頭の陸上には岸壁に沿って延びる一対のレールRが設置され、このレールR上に連続アンローダ40が走行可能に設けられる。アンローダ40は、レールR上を走行可能な車輪を有する走行架台41と、走行架台41の上面部に旋回可能に設けられた旋回フレーム42とを有する。旋回フレーム42は、鉛直方向に延びる旋回軸回りに旋回可能である。
【0018】
旋回フレーム42には、ブーム43の基端部と、バランシングレバー44の中間部とが回動可能に取り付けられている。また、ブーム43の先端部とバランシングレバー44の先端部とには、トップフレーム45が回動可能に取り付けられている。これら旋回フレーム42、ブーム43、バランシングレバー44およびトップフレーム45により四節リンク機構もしくは平行リンク機構が構成される。
【0019】
旋回フレーム42には、起伏用アクチュエータであるシリンダ46の一端部が回動可能に取り付けられ、シリンダ46の他端部は、バランシングレバー44の中間部に回動可能に取り付けられている。シリンダ46の伸縮により、ブーム43を起伏させることができる。
【0020】
なお、これら回動可能な取付部における回動軸は、水平方向(左右方向)に延び、互いに平行に配置されている。
【0021】
トップフレーム45には、バケットエレベータ47が旋回可能に設けられている。バケットエレベータ47は、鉛直方向に延びる旋回軸回りに旋回可能である。
【0022】
バケットエレベータ47は、トップフレーム45を貫通して鉛直方向に延びるバケットエレベータケーシング48と、バケットエレベータケーシング48の下方に配置された掻取部49とを備える。バケットエレベータケーシング48内の上部には駆動スプロケット50が設けられる。掻取部49は、後端スプロケット51と、前端スプロケット52と、これら後端スプロケット51および前端スプロケット52をバケットエレベータケーシング48の下端部に連結するリンク機構53と、後端スプロケット51および前端スプロケット52の間隔を変えて掻取部49を水平方向に伸縮させるための伸縮シリンダ(図示せず)とを備える。
【0023】
またバケットエレベータ47は、バケットチェーン56を備える。バケットチェーン56は、無端チェーン54と、チェーン54の長手方向に等間隔で取り付けられた複数のバケット55とを備える。チェーン54は、駆動スプロケット50、後端スプロケット51および前端スプロケット52に巻き掛けられる。バケットチェーン56は、バケットエレベータケーシング48よりも下方に位置する掻取部49の部分を除き、バケットエレベータケーシング48内に配置されている。
【0024】
埠頭に横付けされた船舶(図示せず)の船倉から荷としての石炭を陸上に荷揚げするときには、船舶のハッチを通じてバケットエレベータ47が船倉内に挿入され、掻取部49が船倉内の荷の上に置かれる。そしてバケットエレベータ47が運転され、駆動スプロケット50によりチェーン54が循環駆動される。これにより荷が複数のバケット55により次々と連続的に掻き取られ、バケットエレベータケーシング48内を上昇され、ブーム43に設けられたブームコンベヤ57上に払い出される。その後、荷は、旋回フレーム42および走行架台41に設けられたシュート58内を落下され、走行架台41の移送コンベヤ59を経て、陸上コンベア60に払い出され、陸上コンベア60により図外の貯蔵設備に搬送される。
【0025】
この荷揚げの際、掻取部49の長さ、位置および向きが、掻き取られる荷の位置、状態、姿勢等に応じて最適に変更される。掻取部49の長さは、その伸縮シリンダの伸縮により変更される。掻取部49の位置は、ブーム43と走行架台41の位置を変えることにより変更される。掻取部49の向きは、バケットエレベータ47の旋回により変更される。
【0026】
こうした一連の動作を含むアンローダ40の運転をオペレータの手動操作により行うため、アンローダ40には運転室61が設けられる。
【0027】
さて、前述したように、近年では、地球環境を考慮した二酸化炭素の排出量削減を目的として、火力発電所における燃料を、石炭から、より環境負荷が小さい代替燃料、典型的にはバイオマス燃料に変更することが検討されている。バイオマス燃料は、石炭より平均粒径が小さいペレット状ないし粒状の燃料である。これを連続アンローダ40で荷揚げすると、作業時に粉塵が飛散し、環境に悪影響を与える可能性がある。
【0028】
そこで本実施形態では、アンローダ40を、ニューマチックアンローダに切替可能としている。ニューマチックアンローダは、荷を吸引して荷揚げするため、ペレット状の荷を扱っても粉塵が殆ど発生しない。そのためニューマチックアンローダは、ペレット状の荷に好適である。本実施形態によれば、アンローダ40をニューマチックアンローダに切り替えることができるので、ペレット状の荷を好適に扱うことが可能である。
【0029】
アンローダ40は、ニューマチックアンローダに切り替えるのに必要な構成を備えている。具体的にはアンローダ40は、荷を吸引すべくバケットエレベータ47に取付可能な垂直管1と、垂直管1に負圧を供給するための真空ポンプ2とを備える。垂直管1は、バケットエレベータケーシング48の軸方向に沿って鉛直方向に延びる。
【0030】
またアンローダ40は、ブーム43に配置され垂直管1に接続可能な水平管3と、水平管3および真空ポンプ2の間に介設されたレシーバタンク4とを備える。
【0031】
真空ポンプ2は、旋回フレーム42に設置された機械室5の内部に配置されている。レシーバタンク4は旋回フレーム42に設置されている。レシーバタンク4は、吸引された荷を集めるためのタンクであり、その内部にバグフィルタ7を有している。真空ポンプ2とレシーバタンク4の頂部とは吸引管6により接続されている。バグフィルタ7の下流側に、真空ポンプ2で発生した負圧が作用される。するとバグフィルタ7の上流側に荷が集約、捕獲される。捕獲された荷はブームコンベヤ57上に落下され、払い出される。
【0032】
水平管3はブーム43に沿って延びている。水平管3の下流端は、円筒ジョイント8を介してレシーバタンク4に接続されている。これにより、ブーム43の起伏と共に水平管3が起伏したとき、水平管3がレシーバタンク4に対して相対的に回動することが可能となる。
【0033】
水平管3はその上流側端部に、トップフレーム45の直下のバケットエレベータケーシング48に向かって斜め下方に曲げられた湾曲部9と、垂直管1の上端に接続可能な接続管10と、湾曲部9および接続管10を回動可能に接続する円筒ジョイント11とを有する。円筒ジョイント11の回動中心は、ブーム43に対するトップフレーム45の回動中心と同軸である。これにより、ブーム43の起伏時にトップフレーム45がブーム43に対して回動したとき、垂直管1が水平管3に対して相対的に回動することが可能となる。
【0034】
図2には、垂直管1を取り付ける前(あるいは垂直管1が取り付けられていない状態)のアンローダ40を示す。この
図2からも分かるように、垂直管1は、トップフレーム45より下方に位置するバケットエレベータケーシング48の内部に取付可能である。
図1は、垂直管1を取り付けた後(あるいは垂直管1が取り付けられている状態)のアンローダ40を示す。この
図1では便宜上、チェーン54にバケット55が取り付けられているが、実際には後述するように、チェーン54からバケット55が取り外される。
【0035】
図1および
図2に示すように、垂直管1が取り付けられているとき、垂直管1の上端部は、バケットエレベータケーシング48に設けられた窓12を通じて、ケーシング内からケーシング外に突出される。垂直管1の上端部は上部可撓管(フレキシブルパイプ)13により形成される。上部可撓管13を曲げることにより、垂直管1の上端部を円滑にケーシング外に出すことができる。垂直管1ないし上部可撓管13の上端は接続管10の上流端とフランジによって着脱可能に接続される。
【0036】
垂直管1は、長手方向に分割された複数の分割垂直管14から構成されている。これら複数の分割垂直管14を順次連結することで垂直管1が形成される。最上端の分割垂直管14は上部可撓管13により形成される。最下端の分割垂直管14は下部可撓管15により形成される。下部可撓管15は、その下端に、荷の吸引口となるノズル16を有する。下部可撓管15が曲がることで、ノズル16が船倉の底板に当たったときに底板が損傷するのを防止できる。
【0037】
垂直管1は、バケットエレベータケーシング48の下端17から下方に突出されている。
【0038】
ニューマチックアンローダへの切替時に、チェーン54からバケット55が取り外される。そしてチェーン54におけるバケット55が取り外された部位に垂直管1が取り付けられる。
【0039】
図3および
図4に、チェーン54に対するバケット55および垂直管1の取付部の詳細を示す。なお
図3は
図1のIII-III断面図であり、
図4は
図3のIV矢視図である。
【0040】
バケットエレベータケーシング48内には一対のチェーン54が設けられる。チェーン54は、石炭の掻取時に上昇される往路側チェーン部18と、下降される復路側チェーン部19とを有する。図示例では復路側チェーン部19にバケット55が取り付けられ、往路側チェーン部18に垂直管1が取り付けられている。但し、
図2に示すように、ニューマチックアンローダへの切替前のアンローダ40(便宜上、標準アンローダという)においては、往路側チェーン部18および復路側チェーン部19の両方、ひいてはチェーン54の全長に亘ってバケット55が取り付けられる。掻取時のチェーン循環方向において、往路側チェーン部18は後端スプロケット51から駆動スプロケット50まで鉛直方向に延び、復路側チェーン部19は駆動スプロケット50から前端スプロケット52まで延びる。
【0041】
バケット55には一対のステー20が取り付けられている。また一対のチェーン54には長手方向の所定間隔(本実施形態では等間隔)でブラケット21が取り付けられている。ステー20はブラケット21にボルト22によって取り付けられる。これによりバケット55がチェーン54に着脱可能に取り付けられる。
【0042】
同様に、垂直管1には一対のステー23が取り付けられている。他方、バケット55が取り外されたチェーン54の部位(往路側チェーン部18)には前述のブラケット21が残っている。このブラケット21を共通に利用して垂直管1が取り付けられる。すなわち、垂直管1に設けられた一対のステー23が、ボルト24によってブラケット21にそれぞれ取り付けられる。これにより垂直管1がチェーン54に着脱可能に取り付けられる。
【0043】
上部可撓管13と下部可撓管15を除く分割垂直管14(標準分割垂直管という)は同一の構成とされる。それら分割垂直管14は、
図4に示すように、上端と下端に連結のためのフランジ25を有している。またそれら分割垂直管14には、長さL方向の中心に対称な上下の2箇所に、それぞれ左右一対のステー23が溶接等により取り付けられる。
【0044】
バケット55の取付ピッチP、すなわちブラケット21の取付ピッチは一定である(例えば1.2m)。これに対応して、分割垂直管14における上下のステー23の間隔も取付ピッチPに等しくされる。一方、上側ステー23と分割垂直管14の上端との間隔はP/2とされ、下側ステー23と分割垂直管14の下端との間隔もP/2とされる。こうした関係を満たすように、分割垂直管14の長さLと、上下のステー23の取付位置とが設定される。
【0045】
これにより、各ブラケット21に均等な荷重で分割垂直管14ひいては垂直管1を取り付けることが可能となり、垂直管1の取付後の支持バランスを良好にすることができる。
【0046】
なお、分割垂直管14の長さL方向におけるステー23の数は2つに限らず、3つ以上としてもよい。但しこの場合も、ステー23同士の間隔は取付ピッチPと等しくし、最も上側のステー23と分割垂直管14の上端との間隔をP/2とし、最も下側のステー23と分割垂直管14の下端との間隔をP/2とするのが好ましい。
【0047】
分割垂直管14の長さL方向におけるステー23の数は1つとしてもよい。この場合、ステー23と分割垂直管14の上端との間隔をP/2とし、ステー23と分割垂直管14の下端との間隔をP/2とするのが好ましい。
【0048】
次に、標準アンローダ40をニューマチックアンローダに切り替える際の切替方法について説明する。この切替方法は、
図5に示すように、次のステップを備える。
(1)チェーン54からバケット55を取り外す第1ステップS101。
(2)バケットエレベータケーシング48より下方の位置で、バケット55を取り外したチェーン54の部位に分割垂直管14を取り付ける第2ステップS102。
(3)チェーン54を上昇させる第3ステップS103。
(4)バケットエレベータケーシング48より下方の位置で、バケット55を取り外したチェーン54の部位に別の分割垂直管14を取り付けると共に、この別の分割垂直管14を取付済みの分割垂直管14に連結する第4ステップS104。
(5)第3ステップS103と第4ステップS104を繰り返す第5ステップS105。
【0049】
以下、
図6(A)~(E)を参照して、この切替方法をより具体的に説明する。
【0050】
図6(A)に示すように、最初の第1ステップS101では、チェーン54から全てのバケット55を取り外す。
【0051】
次に
図6(B)に示すように、第2ステップS102では、バケットエレベータケーシング48より下方の位置で、往路側チェーン部18に、最終的に最上端に位置する分割垂直管14、すなわち上部可撓管13を取り付ける。上部可撓管13の直線状態(曲がってない状態)における長さL1は、バケットエレベータケーシング48の下端17と、掻取部49の最低位置との間の垂直距離Hより小さい。よってバケットエレベータケーシング48の真下のオープンなスペースで、鉛直方向に延びる往路側チェーン部18に、上部可撓管13を支障なく容易に取り付けることができる。
【0052】
バケットエレベータケーシング48の下方で、作業者が荷、船倉の底板、または陸等の上に立って作業を行えるので、取付作業を容易に行うことができる。
【0053】
次に
図6(C)に示すように、第3ステップS103では、駆動スプロケット50を掻取時の正転方向に所定角度回転させ、往路側チェーン部18を、上部可撓管13の長さL1分だけ上昇させる。そして上部可撓管13の下方の往路側チェーン部18に、標準分割垂直管14を取り付ける。またこの標準分割垂直管14を上部可撓管13に連結する。連結に際しては、両者のフランジ25,25をボルトで締結する。標準分割垂直管14の長さLも垂直距離Hより小さいので、標準分割垂直管14を支障なく容易に取り付けることができる。また、作業者が立って作業を行えるので取付作業が容易である。
【0054】
次に
図6(D)に示すように、第5ステップS105において、第3ステップS103と第4ステップS104を繰り返す。すなわち前記同様、駆動スプロケット50を正転させて往路側チェーン部18を標準分割垂直管14の長さL分だけ上昇させる。そして標準分割垂直管14の下方の往路側チェーン部18に、別の標準分割垂直管14を取り付ける。また同時に、この別の標準分割垂直管14を既に取付済みの標準分割垂直管14に連結する。
【0055】
こうして第3ステップS103と第4ステップS104を繰り返すことで、組立途中の垂直管1がバケットエレベータケーシング48内に順次挿入され、引き上げられ、同時に分割垂直管14が次々と連結され、組み立てられていく。
【0056】
図6(E)に示すように、最終のチェーン引き上げ時には、最上端の上部可撓管13が、バケットエレベータケーシング48の窓12からケーシング外に突出される。そして、取付済みである最下端の標準分割垂直管14の下方において、往路側チェーン部18に下部可撓管15を取り付ける。同時に、下部可撓管15を最下端の標準分割垂直管14に連結する。これにより、下方の位置での作業が終了する。
【0057】
一方、上方の位置において、上部可撓管13を接続管10に接続する。この接続に際しては、両者のフランジをボルトで締結する。これにより上方の位置での作業が終了し、切替作業が終了する。そして標準アンローダ40はニューマチックアンローダに切り替えられる。
【0058】
こうした切り替えは、例えば取り扱う荷が石炭からペレット状のバイオマス燃料(バイオマスペレット)に切り替わったときに発生する。ニューマチックアンローダの運転時には真空ポンプ2が作動される。するとノズル16に吸引力が発生し、船倉内の荷がノズル16に吸引される。吸引された荷は、垂直管1内を上昇し、水平管3内を移動した後、レシーバタンク4に捕獲され、ブームコンベヤ57上に落下される。その後は、石炭のときと同様のルートを経て付近の貯蔵設備に搬送される。
【0059】
このように本実施形態によれば、荷がペレット状の荷に切り替わった場合に、これに対応して標準アンローダ40をニューマチックアンローダに切り替えることができる。よって、ペレット状の荷を扱ったときの粉塵発生を抑制あるいは防止し、ペレット状の荷を好適に扱うことができる。
【0060】
また本実施形態によれば、ニューマチックアンローダへの切替時、バケットエレベータ47の駆動スプロケット50およびチェーン54を利用して、垂直管1を引き上げながら、下方の位置で垂直管1を組み立てることができる。よって、クレーン等の荷役機械を用いずに切替作業を行うことができ、切替作業を容易化することができる。
【0061】
また、ニューマチックアンローダに切り替えられたとき、垂直管1はバケットエレベータケーシング48の内部に取り付けられる。そのため、垂直管1をバケットエレベータケーシング48の外部に取り付けた場合に比べて、構成をコンパクトにすることができる。そして比較的狭い船倉内においても取り扱いを容易にすることができる。また、バケットエレベータケーシング48の外部には衝突防止用の検知ワイヤ(図示せず)が設置されているが、垂直管1をバケットエレベータケーシング48の内部に配置すると、検知ワイヤとの干渉も防止できる。
【0062】
また、ニューマチックアンローダへの切替時、バケット55が取り外されたチェーン54の部位に垂直管1が取り付けられる。そのため、バケットエレベータケーシング48内の狭いスペースに垂直管1を好適に取り付けることができる。なお、バケット55を取り外すだけだと重量バランスが悪化するが、本実施形態ではバケット55の代わりに垂直管1を取り付けるので、重量バランスを好適に保つことができる。
【0063】
垂直管1は、長手方向に分割された複数の分割垂直管14から構成されている。よって、バケットエレベータケーシング48の下方のスペースで短尺の分割垂直管14を順次組み立ててればよいため、垂直管1の取り付け作業が容易となる。
【0064】
以上、本開示の実施形態を詳細に述べたが、本開示の実施形態および変形例は他にも様々考えられる。
【0065】
(1)例えば、ニューマチックアンローダへの切替時には、必ずしも全数のバケット55を取り外さなくてもよい。垂直管1の取り付けに必要な部位(往路側チェーン部18)における約半数のバケット55だけを取り外してもよい。
【0066】
(2)ニューマチックアンローダへの切替時、バケット55の取り外しと分割垂直管14の取り付けとを交互に繰り返し行ってもよい。
【0067】
(3)可能であれば、垂直管1をバケットエレベータケーシング48の外部に配置してもよい。例えば垂直管1を、バケットエレベータケーシング48の外周面に取り付けてもよい。
【0068】
(4)ニューマチックアンローダへの切替後、逆の手順を行って標準アンローダ40に戻してもよい。すなわち、本実施形態のアンローダ40は、荷の種類の変更に応じて標準アンローダとニューマチックアンローダを任意かつ交互に切り替えることが可能である。
【0069】
(5)本実施形態のアンローダ40は、任意の用途に適用でき、火力発電所以外の場所にも設置でき、また石炭およびバイオマス燃料以外の荷を取り扱うことも可能である。
【0070】
前述の各実施形態および各変形例の構成は、特に矛盾が無い限り、部分的にまたは全体的に組み合わせることが可能である。本開示の実施形態は前述の実施形態のみに限らず、特許請求の範囲によって規定される本開示の思想に包含されるあらゆる変形例や応用例、均等物が本開示に含まれる。従って本開示は、限定的に解釈されるべきではなく、本開示の思想の範囲内に帰属する他の任意の技術にも適用することが可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 垂直管
2 真空ポンプ
3 水平管
4 レシーバタンク
14 分割垂直管
40 連続アンローダ
43 ブーム
47 バケットエレベータ
48 バケットエレベータケーシング
54 チェーン
55 バケット
56 バケットチェーン