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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018417
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】内視鏡装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/005 20060101AFI20240201BHJP
   G02B 23/24 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A61B1/005 520
G02B23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121752
(22)【出願日】2022-07-29
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】322004393
【氏名又は名称】株式会社エビデント
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 康夫
【テーマコード(参考)】
2H040
4C161
【Fターム(参考)】
2H040AA01
2H040DA14
2H040DA18
2H040DA19
4C161FF32
4C161HH32
4C161HH39
4C161JJ06
4C161JJ11
(57)【要約】
【課題】耐久性に優れかつ製造工程を簡易化し得る構造の湾曲部を備えた内視鏡装置を提供する。
【解決手段】コイルで構成された湾曲部7と、湾曲部の先端に固定される湾曲ワイヤ75と、湾曲ワイヤが挿通されかつ湾曲部の内部に配置される少なくとも2つのガイド部76と、湾曲部の内部に挿通される複数の内蔵物15,16とを有し、少なくとも2つのガイド部は、複数の内蔵物のうち少なくとも2つの内蔵物の各中心軸を結ぶ直線に対して、一方は第1の領域に配置され、他方は直線に対して反対側の第2の領域に配置され、ガイド部は複数の内蔵物のうち少なくとも1つ、および湾曲部の内面に接して配置されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイルで構成された湾曲部と、
前記湾曲部の先端に固定される湾曲ワイヤと、
前記湾曲ワイヤが挿通され、かつ前記湾曲部の内部に配置される少なくとも2つのガイド部と、
前記湾曲部の内部に挿通される複数の内蔵物と、
を有し、
前記少なくとも2つのガイド部は、前記複数の内蔵物のうち少なくとも2つの前記内蔵物の各中心軸を結ぶ直線に対して、一方は第1の領域に配置され、他方は前記直線に対して反対側の第2の領域に配置され、
前記ガイド部は、前記複数の内蔵物のうち少なくとも1つ、および前記湾曲部の内面に接して配置されていることを特徴とする内視鏡装置。
【請求項2】
前記複数の内蔵物のうち少なくとも2つの内蔵物の径の合計(D2+D3)は、前記湾曲部の内径D1に対しD1≧D2+D3であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項3】
前記ガイド部は、弾性を有する筒状部材であることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項4】
前記筒状部材は、コイルであることを特徴とする請求項3に記載の内視鏡装置。
【請求項5】
前記湾曲部は、軸中心に配置される中心部材を、さらに有し、
前記中心部材の外径D5と前記ガイド部材の外径D4xn(nはガイド部材の数(nは整数))との合計は、前記湾曲部の内径D1である(D1≧D5+D4xn)ことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項6】
前記湾曲部は、両端に口金を、さらに有し、
前記口金の内面は少なくとも1つの内蔵物と接することを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項7】
前記口金は、固定部材を、さらに有することを特徴とする請求項6に記載の内視鏡装置。
【請求項8】
前記口金は、前記湾曲部の長軸方向における中間領域に配設されていることを特徴とする請求項6に記載の内視鏡装置。
【請求項9】
前記口金と前記固定部材とは、ねじ止め固定されることを特徴とする請求項7に記載の内視鏡装置。
【請求項10】
前記ガイド部は、前記複数の内蔵物のうち少なくとも2つの前記内蔵物の各中心軸を結ぶ直線に対して対称となる位置にそれぞれ配置されることを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項11】
前記内蔵物は、第1の内蔵物と、前記第1の内蔵物とは種類の異なる第2の内蔵物とを含むことを特徴とする請求項1に記載の内視鏡装置。
【請求項12】
前記内蔵物は、第1の内蔵物であるライトガイド、第2の内蔵物である信号線を少なくとも含むことを特徴とする請求項11に記載の内視鏡装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、湾曲部を備えた内視鏡装置に関する発明である。
【背景技術】
【0002】
従来、内視鏡装置は、例えば医療分野や工業分野等において広く利用されている。このうち工業分野において用いられる工業用内視鏡装置は、例えば工業プラント或いはジェットエンジン等の内部に挿入して、不具合等があるか否かの検査等に使用されている。
【0003】
この種の従来の内視鏡装置は細長の挿入部を有している。この挿入部の先端部には観察窓と照明窓が設けられている。照明窓からは照明光が出射される。この照明光は被検体の管腔等の内部に存在する検査観察を対象とする部位(以下、検査観察対象部位という)を照射する。当該検査観察対象部位からの反射光は観察窓に入射して、観察窓の内部に設けられる結像光学系を通過する。このとき、結像光学系は検査観察対象部位の光学像を形成する。この光学像は、撮像素子の受光面上に結像される。これを受けて撮像素子は、光電変換処理を行って内視鏡画像データを生成する。この内視鏡画像データに基づく画像は表示装置によって表示される。
【0004】
また、この種の従来の内視鏡装置においては、挿入部の先端から所定の範囲の領域に管状に形成される湾曲部を有して構成される内視鏡を備える。この内視鏡における湾曲部は、被検体の管腔等の内部に向けて、挿入部の先端部分を挿入するときの良好な挿入性を確保するために設けられている。
【0005】
従来の内視鏡装置において、湾曲部の湾曲構造としては、例えば、複数の湾曲駒部材をリベット等を用いて連結して、挿入軸に対する上下方向又は左右方向の少なくともいずれか一方に湾曲自在とする構造を備えるものがある。また、従来の湾曲部の他の湾曲構造としては、例えば、外周面上の周方向に形成されるスリットを長手軸方向に複数並べて形成したチューブ部材を用いるもの等がある。
【0006】
ここで、例えば、上下方向又は左右方向の一方で湾曲自在とするいわゆる2方向湾曲構造の湾曲部を備えた従来の内視鏡装置においては、挿入操作時に湾曲部が管路の壁面に接触する等によって本来湾曲し得ない方向への外力が加わる場合がある。
【0007】
また、上下左右の4方向湾曲構造とする湾曲部を備えた従来の内視鏡装置であっても、被検体内への挿入操作及び抜去操作を繰り返し行った場合、湾曲部の基端側に対し大きな負荷がかかることがある。このような場合、従来の内視鏡装置においては、リベット等による湾曲駒の連結部分、或いはチューブ部材のスリット部分にかかる応力により部分的な損傷の可能性が考えられる。
【0008】
また、従来の内視鏡装置においては、湾曲部の内部に照明光を伝達するライトガイドや撮像ユニットに接続される信号線等が挿通される構成となっているのが一般である。したがって、湾曲部に対して外力からの負荷がかかった場合、内部の構造物(ライトガイド,信号線等)に対しても悪影響を及ぼす可能性が考えられる。
【0009】
そこで、従来の内視鏡装置においては、例えば特開2009-207735号公報,特開2009-207738号公報等によって開示されているように、例えばコイルを用いて湾曲部の湾曲構造を構成するものがある。この種の内視鏡装置における挿入部の湾曲部においては、コイルの一部を加工することにより、湾曲ワイヤを挿通させると共に、当該湾曲ワイヤの周方向への位置ずれを抑止するワイヤガイドを形成したものがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2009-207735号公報
【特許文献2】特開2009-207738号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところが、上記特開2009-207735号公報,特開2009-207738号公報等によって開示されている湾曲部は、コイルの一部を複雑な形状のワイヤガイドとして加工している。したがって、湾曲部の製造工程を複雑化してしまうと共に、製造コストを増大化してしまうという問題点がある。
【0012】
本発明は、耐久性に優れかつ製造工程を簡易化し得る構造の湾曲部を備えた内視鏡装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明の一態様の内視鏡装置は、コイルで構成された湾曲部と、前記湾曲部の先端に固定される湾曲ワイヤと、前記湾曲ワイヤが挿通され、かつ前記湾曲部の内部に配置されるガイド部と、前記湾曲部の内部に挿通される複数の内蔵物と、を有し、前記ガイド部は、前記複数の内蔵物のうち少なくとも2つの前記内蔵物の各中心軸を結ぶ直線に対して対称となる位置にそれぞれ配置され、前記ガイド部は、前記湾曲部の内面と前記複数の内蔵物のうち少なくとも1つの外面とに接して配置されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、耐久性に優れかつ製造工程を簡易化し得る構造の湾曲部を備えた内視鏡装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の各実施形態の内視鏡装置の一構成例を示す概略構成図
図2】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置において、湾曲部を含む挿入部の先端部近傍の内部構成を示す概略斜視図
図3】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置における湾曲部を含む先端部近傍の各構成部材を分解して示す分解斜視図
図4図2の矢印[4]で示す面に沿う断面図
図5図4の[5]-[5]線に沿う断面図
図6】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置において湾曲部と可撓管部との連結部分の構成を示す要部断面図
図7】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置における湾曲部が湾曲状態とされた際のようすを示す断面図
図8】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の湾曲部についての第1変形例を示す図
図9】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の第2変形例の湾曲部を示す図
図10】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の湾曲部におけるワイヤガイドについての第3変形例を示す図
図11】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の湾曲部におけるワイヤガイドについての第4変形例を示す図
図12】本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の第5変形例の湾曲部を示す図
図13図12の湾曲部におけるワイヤガイドを示す図
図14図12の符号[14]で示す面に沿う断面図
図15】本発明の第2の実施形態の内視鏡装置において、湾曲部を含む挿入部の先端部近傍の内部構成を示す概略斜視図
図16図15の符号[16]で示す面に沿う断面図
図17図15の符号[17]で示す部分を拡大して示す図
図18図15湾曲部が湾曲状態とされた際のようすを示す図
図19】本発明の第3の実施形態の内視鏡装置において、湾曲部を含む挿入部の先端部近傍の内部構成を示す概略斜視図
図20図19の符号[19]で示す面に沿う断面図
図21】本発明の第4の実施形態の内視鏡装置において、湾曲部を含む挿入部の先端部近傍の内部構成を示す概略斜視図
図22図21の符号[22]で示す面に沿う断面図
図23】本発明の第5の実施形態の内視鏡装置において、湾曲部の先端側近傍の内部構成を示す概略斜視図
図24図23の符号[24]で示す面に沿う断面図
図25】本発明の第6の実施形態の内視鏡装置において、湾曲部内に配置されるワイヤガイドの構成を示す概略斜視図
図26図25のワイヤガイドを適用する湾曲部の断面図
図27】本発明の第6の実施形態の内視鏡装置において、湾曲部内に配置されるワイヤガイドの一変形例の構成を示す概略斜視図
図28図27のワイヤガイドを適用する湾曲部の断面図
図29】本発明の第6の実施形態の内視鏡装置において、湾曲部内に配置されるワイヤガイドの別の変形例の構成を示す概略斜視図
図30】本発明の第7の実施形態の内視鏡装置において、湾曲部を含む挿入部の先端部近傍の内部構成を示す概略斜視図
図31図30の湾曲部に適用される内側口金のみを示す概略斜視図
図32図30の符号[32]で示す面に沿う断面図
図33】本発明の第7の実施形態で示される内側口金についての一変形例を示し、内側口金のみを取り出して示す概略斜視図
図34図33の内側口金を適用した湾曲部の断面図
図35】本発明の第8の実施形態の内視鏡装置における湾曲部の概略斜視図
図36図35の湾曲部における前側口金及び後側口金と伸長規制ワイヤとの取り付け構造を示す概略図
図37図35の符号[37]で示す面に沿う断面図
図38】本発明の第8の実施形態における湾曲部についての一変形例を示す断面図
図39】本発明の第9の実施形態の内視鏡装置におけるスコープユニットの湾曲部を含む先端部近傍の構成を示す分解斜視図
図40】本発明の第9の実施形態の変形例を示し、中間口金及びワイヤガイドのみを示す概略斜視図
図41図40の符号[41]で示す面に沿う断面図
図42】本発明の第10の実施形態の内視鏡装置におけるスコープユニットの湾曲部を含む先端部近傍の概略構成を示す分解斜視図
図43図42の符号[43]で示す面に沿う湾曲部の断面図
図44図43の[44]-[44]線に沿う断面図
図45】本発明の第11の実施形態の内視鏡装置におけるスコープユニットの湾曲部を含む先端部近傍の概略構成を示す分解斜視図
図46】本発明の第12の実施形態の内視鏡装置におけるスコープユニットの湾曲部を含む先端部近傍の概略構成を示す分解斜視図
図47】本発明の第13の実施形態の内視鏡装置におけるスコープユニットの湾曲部を含む先端部近傍の概略構成を示す分解斜視図
図48】本発明の第14の実施形態の内視鏡装置におけるスコープユニットの湾曲部の概略構成を示す分解斜視図
図49図48の符号[49]-[49]で示す面に沿う断面図
図50】本発明の第14の実施形態の内視鏡装置におけるスコープユニットの湾曲部を構成する湾曲駒を示す概略斜視図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図示の実施の形態によって本発明を説明する。以下の説明に用いる各図面は模式的に示すものであり、各構成要素を図面上で認識できる程度の大きさで示すために、各部材の寸法関係や縮尺等を構成要素毎に異ならせて示している場合がある。したがって、本発明は、各図面に記載された各構成要素の数量や各構成要素の形状や各構成要素の大きさの比率や各構成要素の相対的な位置関係等に関して、図示の形態のみに限定されるものではない。
【0017】
まず、本発明の各実施形態の内視鏡装置の概略構成を、以下に簡単に説明する。図1は、本発明の各実施形態の内視鏡装置の一構成例を示す概略構成図である。
【0018】
図1に示すように、内視鏡装置100は、内視鏡であるスコープユニット1と、本体部4等を有して構成されている。
【0019】
スコープユニット1は、挿入部2と操作部3とからなる。挿入部2は、全体が細長で可撓性を有する管形状に形成されている。挿入部2は、基端が操作部3に接続されている。挿入部2は、先端側から順に先端部6,湾曲部7,可撓管部8が連設されて構成されている。
【0020】
なお、以下の説明においては、スコープユニット1の挿入部2の延出する長軸方向に沿う方向において、先端部6が配設されている側の端部を先端側というものとする。この先端側に対して反対側の端部、即ち操作部3の配設されている側の端部を基端側というものとする。
【0021】
先端部6は、詳細な図示は省略しているが、先端部本体と、光学ユニットと、撮像素子及びその駆動回路等からなる撮像ユニットと、照明ユニット等の公知の基本構成を有している。
【0022】
ここで、光学ユニットは、内視鏡装置100の挿入部2の先端部6の内部に設けられている(不図示)。この光学ユニットは、観察窓14と複数の光学レンズを含む観察光学系からなる。観察窓14は、図1にも示すように、先端部6の先端面に配置されている。
【0023】
また、撮像素子は、CCD(Charge Coupled Device;電荷結合素子)やCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor;相補型MOS)等から構成される周知の電子デバイスである。そして、この撮像素子を含む撮像ユニット(不図示)には、信号線16が接続されている。この信号線16は、先端部6から湾曲部7,可撓管部8を挿通して操作部3まで延出している。
【0024】
照明ユニットは、照明窓13などの光学部材と、ライトガイドケーブル15等の照明デバイス等からなる。ここで、照明窓13は、先端部6の先端面に配置されている。そして、照明窓13には、挿入部2,操作部3を挿通して配置されるライトガイドケーブル15が接続されている。
【0025】
湾曲部7は、操作部3からの操作に応じて能動的に湾曲動作を行い得る柔軟な管状部である。湾曲部7は、先端が先端部6の基端に接続されている。湾曲部7の基端には、可撓管部8の先端が接続されている。可撓管部8の基端は操作部3に接続されている。このように、湾曲部7は、挿入部2における先端部6と可撓管部8との間に設けられ、所定の長さを有し、柔軟な細長管状部材からなる。
【0026】
湾曲部7は、湾曲ワイヤ75によって操作部3の湾曲操作レバー9(後述)に接続されている。ここで、湾曲ワイヤ75は、操作部3の湾曲操作レバー9から可撓管部8,湾曲部7の内部を挿通して配置されている。そして、湾曲ワイヤ75の先端は、湾曲部7の先端に固定されている。図1に示す構成は、湾曲ワイヤ75が2本配設されている構成例である。つまり、本実施形態において例示するスコープユニット1は、2方向湾曲タイプの内視鏡として構成されている。
【0027】
そして、湾曲操作レバー9を操作することで、湾曲ワイヤ75は挿入部2内を長軸方向に進退するように構成されている。例えば、2本の湾曲ワイヤ75の一方が操作部3側に牽引されると、湾曲部7は牽引された側に湾曲する。このようなに、湾曲部7は、湾曲操作レバー9の操作に応じて所定の2方向に湾曲自在に構成されている。
【0028】
なお、挿入部2を構成する先端部6,可撓管部8の基本的な構成は、従来公知の内視鏡装置と同様の構成を有するものとして、その詳細説明は省略する。また、湾曲部7の詳細構成については後述する。
【0029】
操作部3は、例えば湾曲操作レバー9と、例えば押しボタン式等のその他の形態の各種操作部材(不図示)と、接続コネクタ部10等を有している。接続コネクタ部10には、本体部4から延出されるケーブル5の先端コネクタ11が接続される。これにより、操作部3と本体部4とが電気的に接続される。
【0030】
本体部4は、中央処理装置(CPU),ROM,RAM,制御部,画像処理部,光源,大容量記憶装置,表示装置12等を内蔵している。本体部4からは、端部に先端コネクタ11を有するケーブル5延出している。本体部4の表示装置12には、スコープユニット1の挿入部2の先端部6の撮像素子(不図示)により取得された画像データに基づく画像等のほか、制御部等において生成される各種の情報等が表示される。なお、光源は本体部4でなく挿入部2に配置してもよい。
【0031】
このような構成により、操作部3の湾曲操作レバー9が操作されると、挿入部2の湾曲部7は所望の方向へ湾曲する構成となっている。また、操作部3の所定の押しボタン式操作部材(不図示)が押圧操作されることにより、検査観察対象部位の画像を所定の形態(静止画像或いは動画像等の形態)で、表示装置12の表示画面に表示させることができる。
【0032】
このように構成される内視鏡装置100は、例えば、次のように使用される。まず、内視鏡装置100の使用者は、被検体の管腔等の内部に挿入部2を挿入する。このとき湾曲操作を適宜行い、表示装置12の表示画像を見ながら、先端部6を検査観察対象部位の近傍へと導入する。そして、先端部6の観察窓14を検査観察対象部位に対向させて配置する。
【0033】
これにより、当該内視鏡装置100の挿入部2の先端部6の撮像素子は、当該検査観察対象部位の画像を取得する。こうして取得された内視鏡画像は、表示装置12に表示される。同時に、当該内視鏡画像は、静止画像データ或いは動画像データとして記憶装置に記録される。なお、図1に示す内視鏡装置100の形態は、一例示である。したがって、内視鏡装置100の形態は、図1に例示する形態に限られることはない。
【0034】
[第1の実施形態]
次に、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置における湾曲部を含む挿入部の先端近傍の詳細構成を、図2図7を用いて以下に説明する。図2は、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置において、湾曲部を含む挿入部の先端部近傍の内部構成を示す概略斜視図である。なお、図2においては、湾曲部の内部構成を示すために一部を省略し、また一部を切断してその断面を示している。図3は、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置における湾曲部を含む先端部近傍の各構成部材を分解して示す分解斜視図である。図4は、図2の矢印[4]で示す面に沿う断面図である。図5は、図4の[5]-[5]線に沿う断面図である。図6は、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置において湾曲部と可撓管部との連結部分の構成を示す要部断面図である。図7は、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置における湾曲部が湾曲状態とされた際のようすを示す断面図である。
【0035】
上述したように、挿入部2は、先端から順に先端部6,湾曲部7,可撓管部8が連結して構成されている(図2図5図7等参照)。
【0036】
先端部6は、先端部本体61と、先端部本体61の先端面に設けられる照明窓13及び観察窓14と、不図示の内部構成ユニット(光学ユニット,撮像ユニット等)等によって構成されている(図2図3等参照)。
【0037】
先端部本体61は、全体として略円筒形状に形成され、内部に中空部を有する筒状部材である。先端部本体61の先端面には、照明窓13,観察窓14の配設される開口を有している。先端部本体61の基端側は、図3に示すように、先端面の外径よりも若干細径に形成された細径部61aが形成されている。この細径部61aの外周側には、後述する湾曲部7の前側口金71の先端が嵌合される。
【0038】
照明窓13にはライトガイドケーブル15が接続されている。このライトガイドケーブル15は、先端部6から湾曲部7,可撓管部8を挿通して操作部3まで延設されている。また、先端部6内の撮像ユニット(不図示)から延出する信号線16も、先端部6から湾曲部7,可撓管部8を挿通して操作部3まで延設されている。
【0039】
湾曲部7は、外皮チューブ70と、前側口金71と、後側口金72と、固定口金73と、湾曲コイル74と、ワイヤガイド76等によって構成されている。外皮チューブ70は、湾曲部7の最外周を覆い、可撓性を有する環状部材である。
【0040】
前側口金71は、湾曲部7の先端側に配置され、先端部6との間の連結を確保する機能を有する筒状部材である。前側口金71は、先端面と基端面に開口を有し、内部に中空部が形成されている。そして、図3に示すように、先端側には太径部71aが、基端側には細径部71bが形成されている。
【0041】
太径部71aの内側には、先端部本体61の細径部61aが嵌合する。そのために、太径部71aの内径は、先端部本体61の細径部61aの外径よりも若干大径に形成されている。こうして前側口金71の太径部71aに先端部本体61の細径部61aが嵌合することによって、先端部6と湾曲部7とが連結される。
【0042】
また、前側口金71の細径部71bの外側には、湾曲コイル74の先端74aが巻回している。そのために、細径部71bの外径は、湾曲コイル74の先端74aの内径よりも若干太径(または同等)に形成されている。こうして前側口金71の細径部71bに湾曲コイル74の先端74aを若干広げて前側口金71の細径部71bに巻回することによって、湾曲コイル74の先端74aは、前側口金71の細径部71bを締めつけ固定保持される。したがって、前側口金71は、湾曲コイル74の先端74aを固定保持する機能をも有する。また、より確実に固定するために、接着やはんだで固定しても良い。なお、一般的に「コイル」とは、針金や導線などの細いひも状の物質を螺旋状や渦巻状に巻いた部材や構造のことを指す。
【0043】
また、前側口金71の細径部71bの内側には、2本の湾曲ワイヤ75の各先端が、それぞれ所定の位置に固定されている。この2本の湾曲ワイヤ75は、湾曲部7の先端から湾曲部7及び可撓管部8の内部を挿通し、さらに操作部3の内部にまで延出している。そして、湾曲ワイヤ75は湾曲操作レバー9に接続されている。この場合において、2本の湾曲ワイヤ75は、湾曲部7内においては、図4に示すように、湾曲部7の長軸に沿う中心軸Oを挟んで対向し略対称となる位置に配置されている。
【0044】
一方、後側口金72は、湾曲部7の基端側に配置され、可撓管部8との間の連結を確保する機能を有する筒状部材である。後側口金72は、前側口金71と同様に、先端面と基端面に開口を有し、内部に中空部が形成されている。そして、図3に示すように、先端側には細径部72bが、基端側には太径部72aがそれぞれ形成されている。
【0045】
太径部72aの外側には、可撓管部8の前側口金81(後述;図3等参照)が嵌合する。そのために、太径部72aの外径は、可撓管部8の前側口金81の内径よりも若干小径に形成されている。こうして後側口金72の太径部72aに可撓管部8の前側口金81が嵌合することによって、湾曲部7と可撓管部8とが連結される。
【0046】
また、後側口金72の細径部72bの外側には、湾曲コイル74の基端74bが巻回している。そのために、細径部72bの外径は、湾曲コイル74の基端74bの内径よりも若干太径(または同等)に形成されている。こうして後側口金72の細径部72bに湾曲コイル74の基端74bを若干広げて前側口金71の細径部71bに巻回することによって、湾曲コイル74の基端74bは、後側口金72の細径部72bを締めつけ固定保持される。したがって、後側口金72は、湾曲コイル74の基端74bを固定保持する機能をも有する。なお、より確実に固定するために、接着やはんだで固定しても良い。
【0047】
固定口金73は、挿入部2に挿通されるライトガイドケーブル15,信号線16の一部を固定保持する筒状部材である。この固定口金73は、図5に示すように、後側口金72と可撓管部8の前側口金81との間に挟持された状態で固定されている。また、固定口金73は、湾曲ワイヤ75の長軸方向の移動を確保しつつ、周方向の位置ズレを抑える機能を有する。そのために、固定口金73には、挿入部2を挿通する2本の湾曲ワイヤ75のそれぞれを挿通させるガイド筒73aが内周面に設けられている(図3図5図7参照)。このガイド筒73aの先端側には、図5図6に示すように、後述するワイヤガイド76の基端が当接して配置されている。また、同ガイド筒73aの基端側には、同様に、後述する挿入部ワイヤガイド77の先端が当接して配置されている。
【0048】
なお、可撓管部8は、図1等に示すように、先端が湾曲部7に連結され、基端が操作部3に連結されており、所定の長さを有し、柔軟な細長管状部材からなる可撓管82によって主に構成されている。可撓管部8の先端側には、図2等に示すように、可撓管部8の前側口金81が配設されている。
【0049】
前側口金81は、可撓管82の先端に配設され、可撓管部8と湾曲部7とを連結する筒状部材である。そのために、可撓管部8の前側口金81は、内部に湾曲部7の後側口金72の太径部72aが嵌合する。また、湾曲部7の後側口金72と可撓管部8の前側口金81との間には、上述したように、固定口金73が挟持されている。
【0050】
可撓管部8の内部には、ライトガイドケーブル15,信号線16が挿通している。また、可撓管部8の内部には、複数のワイヤガイド77が挿通している。このワイヤガイド77は、湾曲ワイヤ75を挿通させて湾曲ワイヤ75の長軸方向の移動をガイドする構成部材である。また、ワイヤガイド77は、湾曲ワイヤ75の周方向における位置ズレを抑止する構成部材でもある。ワイヤガイド77は、略円筒形で密巻きのコイル部材からなる。このようにワイヤガイド77が可撓管部8を挿通していることにより、可撓管部8は所定の可撓性を確保しながら、所定の剛性を有して構成されている。
【0051】
湾曲コイル74は、略円筒形のコイル部材からなる。湾曲コイル74は、略円筒形で粗巻きのコイル74cによって形成されている。これにより、湾曲コイル74は、湾曲ワイヤ75を操作した時に軸方向に収縮可能であり、湾曲部7を湾曲自在に構成している。また、湾曲コイル74の先端74a及び基端74bは、それぞれの所定の領域が密巻きに形成されている。この場合の所定の領域とは、前側口金71及び後側口金72のそれぞれに巻回する領域(長軸方向の長さを有する領域)が相当する。
【0052】
このように、湾曲コイル74の先端74a及び基端74bの所定領域を密巻きとしているのは、先端74aは前側口金71の細径部71bに、基端74bは後側口金72の細径部72bに、それぞれ確実な接続固定を確保するための措置である。
【0053】
そして、湾曲コイル74の先端74aと前側口金71とは、接着又は半田付け若しくは溶接等の接合手段を用いて接合されている。同様に、湾曲コイル74の基端74bと後側口金72とは、同様の接合手段を用いて接合されている。
【0054】
ワイヤガイド76は、湾曲ワイヤ75の長軸方向の移動を案内するガイド部材である。また、ワイヤガイド76は、湾曲ワイヤ75の周方向の位置ズレを抑止する構成部材でもある。そのために、ワイヤガイド76は、弾性を有する筒状部材からなる。具体的には、ワイヤガイド76は、例えば略円筒形状で粗巻きのコイル部材からなる。これにより、ワイヤガイド76は湾曲自在に構成されている。
【0055】
また、ワイヤガイド76には湾曲ワイヤ75が挿通されている。したがって、ワイヤガイド76は、湾曲ワイヤ75と同数、例えば本実施形態の構成においては2本配設されている。そして、ワイヤガイド76は、湾曲コイル74の内部を長軸方向に挿通して配置されている。この場合において、図4に示すように、ワイヤガイド76は湾曲コイル74の内周面に接する位置に配置されている。
【0056】
詳述すると、ワイヤガイド76は、2本の湾曲ワイヤ75の周方向における配置に合わせて配置されている。即ち、2本のワイヤガイド76は、図4に示すように、湾曲部7(湾曲コイル74)の長軸方向の中心軸Oを挟んで対向し、当該中心軸Oに直交し同中心軸Oを通る直線について略対称となる位置に配置されている。このように構成される湾曲部7の湾曲コイル74の内部には、スコープユニット1における複数の内蔵物(例えばライトガイドケーブル15と信号線16等)と、2本のワイヤガイド76とが、長軸方向に挿通して配置されている。
【0057】
本実施形態においては、湾曲部7の内部に配置される複数の内蔵物(第1の内蔵物であるライトガイドケーブル15,第2の内蔵物である信号線16)と、複数のワイヤガイド76との配置を図4に示すように構成している。このとき、ライトガイドケーブル15の外径D2及び信号線16の外径D3の合計(D2+D3)は、湾曲コイル74の内径D1と略等しい(D1≧D2+D3)。なお、この場合において、ライトガイドケーブル15及び信号線16は、湾曲コイル74の内部を挿通している。このことから、湾曲コイル74の内径D1は、実際には、ライトガイドケーブル15及び信号線16の外径の合計(D2+D3)よりも若干大である。
【0058】
また、湾曲コイル74の内部において、ライトガイドケーブル15及び信号線16が配置されている領域以外の隙間領域G1,G2(図4参照)には、2本のワイヤガイド76が配置されている。この場合において、各ワイヤガイド76の外周面は、湾曲コイル74の内周面と、ライトガイドケーブル15及び信号線16の各外周面とのそれぞれに接触している。
【0059】
換言すると、2本のワイヤガイド76のそれぞれは、図4に示すように、ライトガイドケーブル15及び信号線16の各中心軸O1,O2を結ぶ直線S1を挟んで両側の領域G1,G2のそれぞれに各1本ずつ配置されている。さらに言い換えると、1つのワイヤガイド76が直線S1に対して第1の側に配置され、もう1つのワイヤガイド76は第1の領域に対して直線S1を挟んで反対側の第2の領域に配置される。
【0060】
そして、このとき、各ワイヤガイド76は、湾曲コイル74の内周面と、ライトガイドケーブル15及び信号線16の各外周面との間に挟まれて配置されている。このような構成により、各ワイヤガイド76は、湾曲部7が湾曲状態となって(図7参照)、ライトガイドケーブル15及び信号線16が変形したとしても、直線S1を跨いで反対側の領域に移動することはない。
【0061】
各内蔵物に関して、上記ではライトガイドケーブル15と信号線16が1本ずつ配置されている場合を例示したが、各内蔵物は1本ではなく2本以上でもよい。その場合は、望ましくはそれぞれを同等の大きさとして、ワイヤガイド76の配置に対し、いずれかの方向に偏らずバランスが取れるように配置するのがよい。
【0062】
換言すると、例えばライドガイドケーブル15が2本かつ信号線16が1本の場合であれば、一方のライトガイドケーブル15の中心軸O1と信号線16の中心軸O2を結ぶ直線に対し、ワイヤガイドが第1の領域に、もう1つのワイヤガイド76は第1の領域に対して直線S1を挟んで反対側の第2の領域に配置される。
【0063】
[E1][w2]また、2つ以上の内蔵物を同等の大きさにするのが難しい場合は、例えば一方の内蔵物を分割し、3つ以上にして、コイルガイドの配置のバランスが取れるようにしてもよい。
【0064】
なお、ライトガイドケーブル15及び信号線16は剛体というわけではないので、図4のライトガイドケーブル15及び信号線16の各中心軸O1、O2を結ぶ直線S1を挟んで両側の領域G1、G2のそれぞれに各1本ずつ配置される状態で、ライトガイドケーブル15及び信号線16がつぶされ楕円形状になっている場合もある。また、内蔵物として必ずしも(中心軸に平行な方向から見て)正円である内蔵物を使用しない場合もある(すなわち、略楕円形状)。その場合「外径」としては、それぞれの短径(短軸)をD1、D2…として考え、D1≧D2+D3になっていてもよい。
【0065】
上述のように構成される本実施形態の内視鏡装置において、特に湾曲部の作用を、以下に簡単に説明する。
【0066】
まず、湾曲部7を組み立てる際の作用を説明する。湾曲コイル74の先端74aに前側口金71の細径部71bを嵌合させて、接着又は半田付け若しくは溶接等の接合手段により接合し固定する。同様に、湾曲コイル74の基端74bに後側口金72の細径部72bを嵌合させて、同様の接合手段により接合する。
【0067】
次いで、前側口金71,湾曲コイル74,後側口金72が一体化された構成ユニットの内部に、先端部6から延出する複数の内蔵物(ライトガイドケーブル15,信号線16等)を挿通させて配置する。このとき、複数の内蔵物(15,16)は、図4に示すように、湾曲コイル74の内面に沿って配置される。
【0068】
次に、当該構成ユニット(71,74,72)の内部における隙間領域G1,G2のそれぞれに、基端側からワイヤガイド76を挿入する。これにより、湾曲部7が組み上がる。このとき、2本のワイヤガイド76は、隙間領域G1,G2に押し入れるのみであり、固定手段による固定は行われない。これにより、2本のワイヤガイド76は、隙間領域G1,G2内において、複数の内蔵物(15,16)の外周面と、湾曲コイル74の内周面に接触した状態で略固定される。このとき、ワイヤガイド76は、長軸方向においては移動可能であり、かつ周方向においては略固定された状態となる。
【0069】
次に、後側口金72の太径部72aの内部に固定口金73を配置する。そして、可撓管部8を挿通して延出される2本の湾曲ワイヤ75のそれぞれを、固定口金73のガイド筒73aのそれぞれに挿通させる。その後、各湾曲ワイヤ75を2本のワイヤガイド76のそれぞれに挿通させる。そして、湾曲ワイヤ75の先端を、前側口金71の内面の所定の位置に接着又は半田付け若しくは溶接等の接合手段により接合し固定する。
【0070】
こうして組み立てられた湾曲部7の先端側に先端部6を連結する。また、湾曲部7の基端側に可撓管部8を連結する。なお、この場合において、その他の構成ユニット(先端部6,可撓管部8,操作部3等)の組み立ての方法及び手順は、従来のスコープユニット1と同様であるので説明は省略する。
【0071】
このようにして組み立てられた湾曲部7を含むスコープユニット1において、操作部3の湾曲操作レバー9を操作すると、湾曲ワイヤ75が牽引されて湾曲部7が湾曲する。このときの湾曲部7が湾曲する様子は図7に示す通りである。
【0072】
例えば、湾曲ワイヤ75が牽引されると、湾曲部7の内部においてワイヤガイド76を挿通する湾曲ワイヤ75は、挿入部2の長軸方向に沿って基端側に移動する。このとき、ワイヤガイド76は圧縮されて湾曲する。
【0073】
詳述すると、湾曲ワイヤ75が牽引されて基端側に移動すると、ワイヤガイド76も基端側に移動する。このとき、ワイヤガイド76の基端が固定口金73のガイド筒73aの先端面に当接することにより、ワイヤガイド76の長軸方向基端側への移動は規制される。
【0074】
こうして、ワイヤガイド76の同方向(長軸方向基端側)への移動が規制されると、ワイヤガイド76は圧縮される。上述したように、ワイヤガイド76は粗巻きのコイル部材であるので、この圧縮によりワイヤガイド76のばねピッチ(線間隔)が狭まる。
【0075】
さらに、湾曲ワイヤ75が牽引されると、湾曲コイル74は、湾曲ワイヤ75により牽引されている側のばねピッチが狭くなる。こうして湾曲コイル74が湾曲することにより、湾曲部7は湾曲する。
【0076】
湾曲部7が湾曲しているとき、湾曲部7の内部においては、湾曲ワイヤ75は複数の内蔵物(15,16)の隙間領域G1,G2に配置されたワイヤガイド76によって、周方向における位置規制された状態となっている。したがって、湾曲ワイヤ75は、周方向において安定した位置が確保されている。この状態で、湾曲操作が繰り返されても、湾曲ワイヤ75は、周方向において位置ずれすることがない。これにより、湾曲部7を所定の2方向へ能動的に湾曲させることができる。
【0077】
なお、湾曲操作レバー9の操作を解除して、湾曲ワイヤ75の牽引を止めると、湾曲部7は、湾曲コイル74,ワイヤガイド76,複数の内蔵物(15,16),外皮チューブ70等が有する弾性力によって、図5に示すような直線状態に復帰する。
【0078】
一方、スコープユニット1の使用時において、挿入部2を屈曲配管等に挿入し又は抜去する際には、当該配管等の形状に合わせて湾曲部7は、長軸方向回りのあらゆる方向に受動的に曲げられることになる。しかしながら、本実施形態のスコープユニット1における湾曲部7は、湾曲コイル74を用いて構成されている。このことから、当該湾曲部7は、長軸回りのあらゆる方向に受動的に湾曲自在である。したがって、湾曲部7は、配管等の屈曲方向に応じて、長軸回りのいずれの方向においても受動的な湾曲が可能である。
【0079】
以上説明したように上記第1の実施形態によれば、湾曲部7の内部を挿通して配置される複数の内蔵物(15,16)のうち、少なくとも2つの内蔵物の中心軸を結ぶ直線S1に対して対称となる位置のそれぞれにワイヤガイド76を配置している。このワイヤガイド76は、湾曲部7の内面と複数の内蔵物(15,16)のうちの少なくとも1つの内蔵物の外面とに接して配置されている。
【0080】
このような構成とすることにより、湾曲コイル74を適用する湾曲部7であっても、より簡単にワイヤガイド76を配設することができる。この場合、湾曲コイル74への加工を不要としながら、極めて簡単な作業で組み立てを行うことができ、かつ固定等を不要とすることができる。したがって、製造工程の簡略化に寄与することができ、同時に製造コストの低減化に寄与することができる。
【0081】
また、湾曲部7の内部において複数の内蔵物(15,16)の隙間領域G1,G2にワイヤガイド76を安定的に略固定状態とすることができる。そして、このワイヤガイド76に湾曲ワイヤ75を挿通させることにより、湾曲ワイヤ75の長軸方向の円滑な移動を確保し得ると同時に、同湾曲ワイヤ75の周方向の位置ずれを簡単な構成で実現できる。したがって、能動的な2方向湾曲を安定的に行うことができる。
【0082】
さらに、湾曲構造を実現する構成として湾曲コイル74を採用したので、例えば湾曲部7に対して外部からの意図しない力量が付与されたとしても、長軸回りのいずれの方向にも受動的に湾曲自在とすることができる。したがって、意図しない外力による破損等の可能性を抑止することができる。
【0083】
そして、これらの効果によって、本実施形態の内視鏡装置においては、検査効率の向上に寄与することができると共に、内視鏡装置の耐久性の向上に寄与することができる。
【0084】
なお、本実施形態においては、湾曲部7の内部を挿通して配置される複数の内蔵物(15,16)のうち、少なくとも2つの内蔵物の中心軸を結ぶ直線S1に対して対称となる位置のそれぞれにワイヤガイド76を配置した構成例を示したが、直線S1に対する線対称だけでなく、湾曲部7の長軸に沿う中心軸Oに対して点対称にワイヤガイド76を配置してもよい。
【0085】
なお、本実施形態においては、湾曲部7の内部を挿通して配置される複数の内蔵物(15,16)のうち、少なくとも2つの内蔵物の中心軸を結ぶ直線S1に対して対称となる位置のそれぞれにワイヤガイド76を配置した構成例を示したが、「略対称」と記載した通り、各部材の配置に必ずしも厳密な対称性は要求されない。充填や接着などの製造工程や外力に起因する多少の配置のずれ(対称性のずれ)があっても、本発明の効果は達成される。
【0086】
なお、本実施形態においては、湾曲ワイヤ75を2本配設した構成例を示したが、この構成に限られることはない。例えば、1本の湾曲ワイヤ75を、前側口金71の内部において折り返し、一方のワイヤ半部と他方のワイヤ半部とをそれぞれ挿入部2に挿通させる形態としてもよい。この構成の場合、湾曲ワイヤ75の折り返し部は、前側口金71の内周面に沿わせて固定する。そして、湾曲ワイヤ75の一方のワイヤ半部と他方のワイヤ半部とは、挿入部2の長軸に沿う中心軸O(図4参照)を挟んで対向する2つの部位にて挿通させればよい。また、上述の第1の実施形態の内視鏡装置についての各種の変形例を、さらに、以下に例示する。
【0087】
[第1変形例]
以下に説明する第1変形例は、上述の第1の実施形態の内視鏡装置における湾曲部の湾曲コイルについての一変形例である。図8は、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の湾曲部についての第1変形例を示す図である。
【0088】
上述の第1の実施形態の内視鏡装置100の湾曲部7における湾曲コイル74は、図3等に示すように、粗巻きのコイル74cによって形成され、かつ先端74a及び基端74bを所定領域において密巻きに形成した構成を例示している。
【0089】
第1変形例の湾曲コイル74Aは、図8に示すように、先端側から順に、先端密巻き部74Aa,第1の粗巻き部74Aca,第2の粗巻き部74Acb,基端密巻き部74Abが連続して形成されている。
【0090】
このうち、先端寄りの第1の粗巻き部74Acaのばねピッチ(線間隔)P1は、基端寄りの第2の粗巻き部74Acbのばねピッチ(線間隔)P2よりも広く設定されている(P1>P2)。
【0091】
また、第1の粗巻き部74Acaの長軸方向の長さL1は、第2の粗巻き部74Acbの長軸方向の長さL2よりも長く設定されている(L1>L2)。
【0092】
なお、湾曲コイル74の長手方向におけるコイル間の隙間の合計(L-D・N)は、ワイヤガイド76の長手方向におけるコイル間の隙間の合計(l-d・n)以下となるように設定されている。即ち、(1)式が成立する。
(L-D・N)≦(l-d・n)……(1)
ここで、
L:湾曲コイルの長軸方向の長さ、
D:湾曲コイルの素線径、
N:湾曲コイルの巻き数、
l:ワイヤガイドの長軸方向の長さ、
d:ワイヤガイドの素線径、
n:ワイヤガイドの巻き数、
である。なお、上記(1)式は、上述の第1の実施形態においても適用される。
【0093】
このような第1変形例によって例示する湾曲コイル74Aを適用した湾曲部7Aによれば、先端側は、ばねピッチを大として湾曲し易い形態とすることができるので、操作性の向上に寄与し得る。これと同時に、基端側は、ばねピッチを小として、先端側に比べて若干湾曲し難い形態とすることができるので、基端側にかかる負荷に対する耐性の向上に寄与することができる。
【0094】
[第2変形例]
以下に説明する第2変形例は、上述の第1の実施形態の内視鏡装置における湾曲部のワイヤガイドについての変形例である。図9は、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の第2変形例の湾曲部を示す図である。
【0095】
第2変形例に例示する湾曲部7Bを含む挿入部2Bの基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。第2変形例においては、上述の第1の実施形態で例示したガイド部としてのコイル状のワイヤガイド76に代えて、複数のパイプ部材76Bによってガイド部を構成した点が異なる。
【0096】
第2変形例においては、複数のパイプ部材76Bのそれぞれが、湾曲コイル(不図示)の内面側において、長軸方向に沿って所定の間隔をおいて並べて配置される。この場合において、複数のパイプ部材76Bは、湾曲コイルの内面の各所定の位置に、例えば接着剤等により予め固定されている。そして、複数のパイプ部材76Bのそれぞれには湾曲ワイヤ75が挿通される。
【0097】
なお、複数のパイプ部材76Bは、複数の内蔵物(15,16)の外面において、長軸方向に沿って所定の間隔をおいて並べて配置する構成としてもよい。この場合において、複数のパイプ部材76Bは、複数の内蔵物(15,16)の外面の所定の位置に、例えば接着剤等により予め固定する。
【0098】
なお、この第2変形例の構成において、湾曲部の断面(図9の符号[4A]で示す面に沿う断面)は、図4と略同様となる。即ち、第2変形例の湾曲部の断面は、図4に示す符号76を符号76Bに置き換えた形態として示される。その他の構成は、第1実施形態と略同様である。
【0099】
このように構成される第2変形例においても、上述の第1の実施形態と略同様の効果を得ることができる。なお、この第2変形例の構成は、第1変形例の湾曲部7Aにも同様に適用することができる。その場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0100】
[第3変形例]
以下に説明する第3変形例は、上述の第2変形例と同様に、上述の第1の実施形態の内視鏡装置における湾曲部のワイヤガイドについての別の変形例である。図10は、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の湾曲部におけるワイヤガイドについての第3変形例を示す図である。
【0101】
第3変形例において適用される湾曲部(不図示)の基本的な構成は、上述の第1の実施形態及び第2変形例と略同様である。第3変形例においては、上述の第1変形例におけるガイド部としてのパイプ部材76Bに代えて、複数のコイル部材76Cによってガイド部を構成した点が異なる。
【0102】
第3変形例においては、複数のコイル部材76Cのそれぞれが、湾曲コイル(不図示)の内面側において、長軸方向に沿って所定の間隔をおいて並べて配置される。この場合において、複数のコイル部材76Cは、湾曲コイルの内面の各所定の位置に、例えば接着剤等により予め固定されている。そして、複数のコイル部材76Cのそれぞれには湾曲ワイヤ75が長軸方向において移動自在に挿通される。
【0103】
なお、複数のコイル部材76Cは、複数の内蔵物(15,16)の外面において、長軸方向に沿って所定の間隔をおいて並べて配置する構成としてもよい。この場合において、複数のコイル部材76Cは、複数の内蔵物(15,16)の外面の所定の位置に、例えば接着剤等により予め固定する。
【0104】
このように構成される第3変形例においても、上述の第1の実施形態及び第2変形例と略同様の効果を得ることができる。なお、この第3変形例の構成は、第1変形例の湾曲部7Aにも同様に適用することができる。その場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0105】
[第4変形例]
以下に説明する第4変形例は、上述の第2,第3変形例と同様に、上述の第1の実施形態の内視鏡装置における湾曲部のワイヤガイドについての他の変形例である。図11は、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の湾曲部におけるワイヤガイドについての第4変形例を示す図である。
【0106】
第4変形例において適用される湾曲部(不図示)の基本的な構成は、上述の第1の実施形態及び第2,第3変形例と略同様である。第4変形例においては、上述の第2変形例におけるガイド部としての複数のパイプ部材76Bと、上述の第3変形例におけるガイド部としての複数のコイル部材76Cとを組み合わせた形態のガイド部を構成した点が異なる。
【0107】
第4変形例においては、複数のパイプ部材76Bと、複数のコイル部材76Cとを、それぞれ交互に湾曲ワイヤ75上に並べて配置されている。そして、複数のパイプ部材76Bと、複数のコイル部材76Cとには、湾曲ワイヤ75が長軸方向において移動自在に挿通される。
【0108】
なお、複数のパイプ部材76Bと複数のコイル部材76Cとの取り付け固定方法などは、上述の第2,第3変形例と略同様である。
【0109】
このように構成される第4変形例においても、上述の第1の実施形態及び第2,第3変形例と略同様の効果を得ることができる。なお、この第4変形例の構成は、第1変形例の湾曲部7Aにも同様に適用することができる。その場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0110】
[第5変形例]
以下に説明する第5変形例は、上述の第2,第3,第4変形例と同様に、上述の第1の実施形態の内視鏡装置における湾曲部のワイヤガイドについてのさらに異なる変形例である。図12は、本発明の第1の実施形態の内視鏡装置の第5変形例の湾曲部を示す図である。なお、図12においては、湾曲部の主要構成部材(湾曲コイル,前側口金,後側口金等)の図示は省略している。また、図13は、第5変形例におけるワイヤガイドを示す図である。そして、図14は、図12の符号[14]で示す面に沿う断面図である。なお、図14においては、組み立てられた状態の湾曲部の断面を示している。
【0111】
第5変形例において適用される湾曲部7Dを含む挿入部2Dの基本的な構成は、上述の第1の実施形態及び第2,第3,第4変形例と略同様である。第5変形例においては、上述の第1の実施形態で例示したガイド部としてのコイル状のワイヤガイド76に代えて、柔軟性を有し弾性体(例えばテフロンなど)からなる管形状のガイドチューブ76Dによってガイド部を構成した点が異なる。
【0112】
第5変形例においては、ガイドチューブ76Dは湾曲部7Dの先端から基端までの間に延設される。そして、ガイドチューブ76Dには、湾曲ワイヤ75が長軸方向において移動自在に挿通される。
【0113】
また、湾曲ワイヤ75を挿通した状態のガイドチューブ76Dは、図14に示すように、湾曲部7Dの内部における隙間領域G1,G2に配置される。このとき、ガイドチューブ76Dは、湾曲コイル74の内面と、複数の内蔵物(15,16)の外面との間に接し、変形し潰れた状態で配置される。この状態であっても、湾曲ワイヤ75は、長軸方向に移動自在とされている。
【0114】
なお、第5変形例においては、複数の内蔵物(15,16)の外面を被覆する外皮チューブ78を設けて構成した例を示している。この外皮チューブ78は、挿入部2の内部に挿通される複数の内蔵物(15,16)が湾曲動作などによって周方向に移動するのを抑制するために設けられている。複数の内蔵物(15,16)は、上述の第1の実施形態で示されるように、例えば固定口金73等によって要部が固定されており、挿入部2内部における周方向の移動は抑えられている。したがって、この外皮チューブ78は、移動規制のために設けられるさらなる構成部材であって、必須の構成ではない。
【0115】
このように構成される第5変形例においても、上述の第1の実施形態及び第2,第3,第4変形例と略同様の効果を得ることができる。なお、この第5変形例の構成は、第1変形例の湾曲部7Aにも同様に適用することができる。その場合にも、同様の効果を得ることができる。
【0116】
[第2の実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置について、図15図16を用いて以下に説明する。図15は、本発明の第2の実施形態の内視鏡装置において、湾曲部を含む挿入部の先端部近傍の内部構成を示す概略斜視図である。なお、図2においては、図面の繁雑化を避けるために、湾曲部における一部の構成部材の図示を省略している。図16は、図15の符号[16]で示す面に沿う断面図である。
【0117】
本発明の第2の実施形態の内視鏡装置の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。本実施形態においては、スコープユニットの挿入部2Eの湾曲部7Eの内部に中心部材79をさらに具備している点が異なる。なお、本実施形態で例示する構成例は、上述の第1の実施形態と同様に、2本の湾曲ワイヤ75により2方向への湾曲を実現する2方向湾曲タイプのスコープユニット(内視鏡)として示している。
【0118】
本実施形態の構成において、中心部材79は、湾曲部7Eの軸中心に配置されている。中心部材79は、例えば略円筒形で密巻きのコイル部材によって形成されている。なお、ワイヤガイド76は、上述の第1の実施形態と同様に、粗巻きのコイル部材からなる。また、中心部材79の外径D5(図16参照)は、ワイヤガイド76の外径D4(図16参照)よりも細く形成している(D4>D5)。
【0119】
2本のワイヤガイド76は、中心部材79を挟んで、当該中心部材79に沿って配置されている。この場合において、中心部材79と2本のワイヤガイド76とは、外面が互いに接した状態で、湾曲コイル74の内部に配設されている。また、このとき、中心部材79と2本のワイヤガイド76とは、長軸方向における所定の位置(例えば先端部近傍及び基端部近傍等)において、例えば接着又は半田付け若しくは溶接等の接合手段を用いて固定されている。
【0120】
なお、中心部材79と2本のワイヤガイド76との接合は、上記の例示の接合手段に限られることはない。例えば、図17は、本発明の第2の実施形態において、中心部材とワイヤガイドとの接合手段についての一変形例を示す図である。なお、図17は、例えば図15の符号[17]で示す部分を拡大して示している。
【0121】
図17に示すような形態の結束ワイヤ80などの接合手段を用いて、中心部材79と2本のワイヤガイド76とを固定してもよい。この場合において、結束ワイヤ80による結束箇所は、例えば先端部近傍と基端部近傍のほか、中間部の所定の複数箇所とするのが好ましい。このように、中心部材79と2本のワイヤガイド76とを、所定の箇所で接合することにより、両者(79,76)が長軸方向において位置ズレすることを抑止できる。
【0122】
このように構成される中心部材79と2本のワイヤガイド76とは、湾曲コイル74の内部を挿通して所定の位置に配置されている。詳述すると、中心部材79と2本のワイヤガイド76とは、図16に示すような形態で配置されている。
【0123】
上述したように中心部材79は、湾曲コイル74の軸中心に配置されている。この中心部材79を挟んで径方向両側の位置に、2本のワイヤガイド76のそれぞれが配置されている。この場合において、図16に示すように、各ワイヤガイド76の外径D4x2と、中心部材79の外径D5との合計(D4x2+D5)は、湾曲コイル74の内径D1とは略等しい(D1≧(D4x2+D5))。なお、この場合において、中心部材79と2本のワイヤガイド76は、湾曲コイル74の径方向に並べた形態で当該湾曲コイル74の内部を挿通している。このことから、湾曲コイル74の内径D1は、実際には、2本のワイヤガイド76の外径D4x2と中心部材79の外径D5との合計(D4x2+D5)よりも若干大である。
【0124】
そして、複数の内蔵物(15,16)は、湾曲コイル74の内部において、図16に示すように、隙間領域G3,G4を挿通している。このとき、複数の内蔵物(15,16)の各外面は、中心部材79及び各ワイヤガイド76の外面に接している。
【0125】
上述のように構成される本実施形態の内視鏡装置において、特に湾曲部の作用を、以下に簡単に説明する。
【0126】
まず、湾曲部7Eを組み立てる際の作用を説明する。中心部材79に2本のワイヤガイド76を軸方向に沿わせて,所定の複数位置で接合する。中心部材79と2本のワイヤガイド76とを接合して一体化した構成ユニット(79,76)を、湾曲コイル74の内部に挿通させる。そして、湾曲コイル74の内部の隙間領域G3,G4に、複数の内蔵物(15,16)のそれぞれを挿通させる。これにより、湾曲部7Eが組み上がる。なお、湾曲コイル74,前側口金71,後側口金72の組み立て等、その他の組み立ては、上述の第1の実施形態と略同様である。
【0127】
これにより、複数の内蔵物(15,16)のそれぞれは、隙間領域G3,G4内において、中心部材79と各ワイヤガイド76の各外周面と、湾曲コイル74の内周面に接触した状態で略固定される。なお、図16においては、複数の内蔵物(15,16)が隙間領域G3,G4内にて変形して挿通されている状態を示している。複数の内蔵物(15,16)自身は弾性力を有しているので、多少の変形は許容し得る。したがって、複数の内蔵物(15,16)は、隙間領域G3,G4の形状に応じて適宜変形されて、当該隙間領域G3,G4内で略固定された状態で挿通している。また、このとき、ワイヤガイド76は、長軸方向においては移動可能であり、かつ周方向においては略固定された状態となる。
【0128】
このようにして組み立てられた湾曲部7Eを含むスコープユニットにおいて、操作部3の湾曲操作レバー9を操作すると、湾曲ワイヤ75が牽引されて湾曲部7が湾曲する。このときの湾曲部7Eが湾曲するようすは図18に示す通りである。図18は、本実施形態の内視鏡装置における湾曲部が湾曲状態とされた際のようすを示す図である。この図18においては、湾曲部の構成を簡略化して図示している(主要部である中心部材79,ワイヤガイド76,湾曲コイル74,前側口金71の一部を図示するのみに留めている)。
【0129】
本実施形態の湾曲部7Eの湾曲時の作用は、基本的には上述の第1の実施形態と略同様である。例えば、湾曲ワイヤ75が牽引されると、牽引された側のワイヤガイド76は圧縮されて、ばねピッチ(線間隔)が狭くなる。牽引されていない側のワイヤガイド76は伸長されて、ばねピッチが若干広くなる。同時に、湾曲コイル74は、牽引されている側のばねピッチが狭くなり、牽引されていない側のばねピッチが若干広がる。これにより、湾曲コイル74は湾曲する。このとき、中心部材79は上述したように密巻きコイル部材であることからほぼ縮まない。このように、湾曲操作時における湾曲部7Eの作用は、上述の第1の実施形態と略同様である。
【0130】
また、湾曲操作レバー9の操作を解除して、湾曲ワイヤ75の牽引を止めた場合の作用も、上述の第1の実施形態と略同様である。本実施形態においては、さらに、密巻きのコイル部材からなる中心部材79が設けられていることによって、直線状態へ復帰しやすくなる。
【0131】
そして、スコープユニットの使用時において、挿入部2を屈曲配管等に挿入し又は抜去する際の作用も、上述の第1の実施形態と略同様である。
【0132】
以上説明したように上記第2の実施形態によれば、上述の第1の実施形態と略同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態においては、密巻きで縮み難い中心部材79を設けたことによって、湾曲部7Eの湾曲状態からの復帰し易さを向上させることができる。
【0133】
[第3の実施形態]
上述の第1,第2の実施形態においては、挿入部の内部に挿通された2本の湾曲ワイヤを用いて、上下方向又は左右方向のいずれか一方向において能動的な湾曲を自在とする2方向湾曲構造の湾曲部についての構成例を示している。
【0134】
次に説明する本発明の第3の実施形態は、挿入部の内部に4本の湾曲ワイヤを挿通させて、上下方向及び左右方向のいずれにも湾曲自在とする4方向湾曲構造の湾曲部の構成例を示している。
【0135】
図19は、本発明の第3の実施形態の内視鏡装置において、湾曲部を含む挿入部の先端部近傍の内部構成を示す概略斜視図である。図20は、図19の符号[19]で示す面に沿う断面図である。
【0136】
本実施形態の内視鏡装置の基本的な構成は、4方向湾曲構造の湾曲部を有するスコープユニットとして構成した点以外は、上述の第1の実施形態等と略同様である。
【0137】
本実施形態においては、挿入部2Fの湾曲部7Fは、4方向湾曲構造を実現するために4本の湾曲ワイヤ75が内部を挿通する構成となっている。本実施形態においては、湾曲部7F内において4本の湾曲ワイヤ75が挿通して配置される位置に対応させて4本のワイヤガイド76が設けられている。4本のワイヤガイド76は、外面の一部が湾曲コイル74の内面に接して配置される。また、4本のワイヤガイド76のそれぞれは、湾曲コイル74の内面に沿う周方向において所定の間隔を開けて(例えば長軸方向の軸回りに角度90度間隔で)配置されている。
【0138】
そして、湾曲コイル74の内部において、4本のワイヤガイド76が配置される領域以外の領域に複数の内蔵物(15,16)が挿通して配置される。本実施形態においては、複数の内蔵物としてのライトガイドケーブル15と信号線16をそれぞれ2本で構成した例を示している(図20参照)。また、本実施形態においても、複数の内蔵物(15,16)は、湾曲コイル74の内部において配置されるべき所定の領域の形状に応じて適宜変形した形態で配置される。
【0139】
なお、複数の内蔵物としてのライトガイドケーブル15及び信号線16を、それぞれ2本とする構成は、少なくとも湾曲部7Fの領域で構成すればよい。したがって、例えば、操作部から可撓管部までの間は、ライトガイドケーブル15及び信号線16はそれぞれ1本で構成し、可撓管部から湾曲部7Fに入る箇所にてライトガイドケーブル15及び信号線16をそれぞれ2分岐させる構成としてもよい。
【0140】
また、先端部6Fの先端面に設けられる照明窓13Fは、2本のライトガイドケーブル15に対応させて2個設けた構成例としている。なお、2本の信号線16は、先端部本体61の内部に設けられる配線基板(不図示)等に接続されている。
【0141】
このような構成とすることにより、湾曲コイル74内における複数の内蔵物(15,16)と4本のワイヤガイド76と湾曲ワイヤ75等の配置は図20に示すようになる。
【0142】
上述のように構成される本実施形態の内視鏡装置において、特に湾曲部の作用を、以下に簡単に説明する。
【0143】
湾曲部7Fを組み立てる際の作用は次の通りである。まず、上述の第1の実施形態において説明したのと同様に、前側口金71,湾曲コイル74,後側口金72を組み立てる。
【0144】
次いで、この構成ユニット(71,74,72)の内部の所定の領域に、複数の内蔵物として2本のライトガイドケーブル15と2本の信号線16を、図20に示す配置で挿通させる。
【0145】
そうして、湾曲コイル74の内部において、複数の内蔵物(15,16)の配置される領域以外の隙間領域G5,G6,G7,G8に4本のワイヤガイド76を基端側から挿入する。これにより、湾曲部7Fは組み上がる。
【0146】
このようにして組み立てられた湾曲部7Fを含むスコープユニットを用いて行う湾曲操作による作用は、上述の第1,第2の実施形態と略同様である。なお、本実施形態においては、湾曲ワイヤ75を4本設けて構成しているので、上下左右の4方向への湾曲操作を行うことができる。
【0147】
以上説明したように上記第3の実施形態によれば、4方向湾曲構造の湾曲部であっても、上述の第1,第2の実施形態と略同様の効果を得ることができる。
【0148】
[第4の実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態の内視鏡装置について、以下に説明する。図21は、本発明の第4の実施形態の内視鏡装置において、湾曲部を含む挿入部の先端部近傍の内部構成を示す概略斜視図である。図22は、図21の符号[22]で示す面に沿う断面図である。なお、図21図22においては、図面の繁雑化を避けるために、湾曲部における一部の構成部材(外皮チューブ等)の図示を省略している。また、図22は、湾曲部を組み立てた状態の断面を示している。
【0149】
本実施形態の内視鏡装置の基本的な構成は、上述の第3の実施形態と略同様である。本実施形態においては、挿入部2Gの湾曲部7Gは、前側口金71及び後側口金(不図示)のそれぞれの内部に内側口金90を、さらに加えて構成している点が異なる。なお、図21においては、前側口金71の内部に設けられる内側口金90のみを図示している。そして、後前側口金及びその内部の内側口金は、同様の構成であるものとして、その図示を省略している。
【0150】
内側口金90は、ワイヤガイド76の端部を位置決め固定するための構成部材である。内側口金90は、図21図22に示すように、前側口金71の内部に挿入し得る略管形状からなる。内側口金90は、対向する内面同士を繋ぐと共に、中心軸O(図22参照)を通る隔壁90aを有して形成されている。この隔壁90aは、内側口金90の内部空間を2つの領域に分割している。ここで、隔壁90aにより分割される2つの領域を、それぞれ第1領域90b,第2領域90cと呼称する(図22参照)。
【0151】
ここで、第1領域90bには、複数の内蔵物のうちの1つ(例えばライトガイドケーブル15)と、4本のワイヤガイド76のうちの2本のワイヤガイド76が挿通される。この場合において、2本のワイヤガイド76の端部は、ライトガイドケーブル15の外面と、内側口金90における第1領域90bの内面と、隔壁90aの内面とのそれぞれに挟まれた隙間に位置決めされて略固定された状態となっている。
【0152】
また、第2領域90cには、複数の内蔵物のうちの他の1つ(例えば信号線16)と、4本のワイヤガイド76のうちの他の2本のワイヤガイド76が挿通される。この場合において、他の2本のワイヤガイド76の端部は、信号線16の外面と、内側口金90における第2領域90cの内面と、隔壁90aの内面とのそれぞれに挟まれた隙間に位置決めされて略固定された状態となっている。
【0153】
このような構成により、前側口金71内における複数の内蔵物(15,16)と4本のワイヤガイド76の配置は図22に示すようになる。
【0154】
上述のように構成される本実施形態の内視鏡装置において、特に湾曲部の作用を、以下に簡単に説明する。
【0155】
湾曲部7Gを組み立てる際の作用は次の通りである。まず、上述の第1の実施形態において説明したのと同様に、前側口金71,湾曲コイル74,後側口金72を組み立てる。
【0156】
次いで、前側口金71及び後側口金72の各内部に内側口金90を挿入し固定する。そして、組み上がった当該構成ユニット(71,90,74,90,72)の内部に複数の内蔵物としてのライトガイドケーブル15と信号線16を、それぞれ所定の領域に、図22に示す配置で挿通させる。
【0157】
その後、複数の内蔵物(15,16)の配置される領域以外の隙間に4本のワイヤガイド76を基端側から挿入する。これにより、湾曲部7Gは組み上がる。
【0158】
このようにして組み立てられた湾曲部7Gを含むスコープユニットを用いて行う湾曲操作による作用は、上述の第3の実施形態と略同様である。
【0159】
以上説明したように上記第4の実施形態によれば、上述の第3の実施形態と略同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態の構成においては、4本のワイヤガイド76は、先端及び基端の各端部が内側口金90に位置決め固定されているので、湾曲操作に伴って生じ得るワイヤガイド76の位置ズレを、さらに確実に抑止することができる。したがって、より正確に所望の方向への湾曲操作を行うことができる。
【0160】
[第5の実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態の内視鏡装置について、以下に説明する。図23は、本発明の第5の実施形態の内視鏡装置において、湾曲部の先端側近傍の内部構成を示す概略斜視図である。図24は、図23の符号[24]で示す面に沿う断面図である。なお、図23図24においては、図面の繁雑化を避けるために、湾曲部における一部の構成部材(外皮チューブ等)の図示を省略している。
【0161】
本実施形態の内視鏡装置の基本的な構成は、上述の第3の実施形態と略同様である。本実施形態においては、湾曲部7Hは、内部に挿通される複数の内蔵物(15,16)のそれぞれを挿通させる複数のガイドコイル76xを、さらに有して構成されている点が異なる。
【0162】
なお、本実施形態においては、ライトガイドケーブル15は3本に分岐させて湾曲部7H内を挿通させる構成としている。また、信号線16は2本に分岐させて湾曲部7H内を挿通させる構成としている。そのために、湾曲部7H内には、3本のライトガイドケーブル15及び2本の信号線16に応じた5本のガイドコイル76xが配設されている。このガイドコイル76xは、例えば略円筒形で粗巻きのコイル部材からなる。これに加えて、湾曲部7H内には、上述の各実施形態と同様に、湾曲ワイヤ75を挿通させるためのワイヤガイド76が配設されている。本実施形態においては、4方向湾曲構造のための4本の湾曲ワイヤ75に対応させて4本のワイヤガイド76が設けられている。
【0163】
そして、4本のワイヤガイド76と5本のガイドコイル76xは、湾曲部7H内において、隣接するコイル同士の間にできるだけ隙間が生じないように配置の工夫がなされている。
【0164】
例えば、複数の内蔵物(3本のライトガイドケーブル15及び2本の信号線16)がそれぞれ挿通される5本のガイドコイル76xは、湾曲コイル74の内部において、図24に示すように、中心軸Oを通り互いに直交する二本の直線S2,S3上に並べて配置されている。このとき、直線S2上に並べて配置される3本のガイドコイル76xの外周は互いに接触している。同様に、直線S3上に並べて配置される3本のガイドコイル76xの外周も互いに接触している。この場合において、ガイドコイル76xの直径D6は、湾曲コイル74の内径D1の略三分の一とされる(D1/3)。
【0165】
そして、湾曲部7Hの内部に、上述のようにして5本のガイドコイル76xを配置したときに形成される複数の隙間領域G9のそれぞれにワイヤガイド76を1本ずつ配置する。このとき、各ワイヤガイド76の外周は、隣接するガイドコイル76xの各外周と、湾曲コイル74の内面とにそれぞれ接触した状態で配置される。この構成により、各ワイヤガイド76は、周方向において位置決めされて略固定された状態になる。
【0166】
なお、湾曲コイル74の内部に5本のガイドコイル76xを配置した状態において、ガイドコイル76xの先端は、前側口金71の細径部71bの内面に接着又は半田付け若しくは溶接等の接合手段を用いて固定されている。
【0167】
また、ガイドコイル76xの先端を前側口金71の細径部71bの内面に固定する構成に替えて、ガイドコイル76xの先端同士を結束ワイヤ等を用いて結束する構成としてもよい。
【0168】
さらに、湾曲コイル74の内部に5本のガイドコイル76xを配置した状態において、ガイドコイル76xの基端についても、同ガイドコイル76xの先端と同様の固定又は結束処理が施されている。
【0169】
このような構成により、湾曲部7Hにおける5本のガイドコイル76x及び複数の内蔵物(15,16)と、4本のワイヤガイド76及び湾曲ワイヤ75の配置は図24に示すようになる。
【0170】
上述のように構成される本実施形態の内視鏡装置において、特に湾曲部の作用を、以下に簡単に説明する。
【0171】
湾曲部7Hを組み立てる際の作用は、次の通りである。まず、上述の第1の実施形態において説明したのと同様に、前側口金71,湾曲コイル74,後側口金72(不図示)を組み立てる。その後、組み上がった当該構成ユニット(71,74,72)の内部に、5本のガイドコイル76xを挿入して所定の位置に配置する。
そして、ガイドコイル76xの先端を、前側口金71の細径部71bの内面に接合し固定する。同様に、ガイドコイル76xの基端を、後側口金72の細径部72bの内面に接合し固定する。これにより、湾曲コイル74内には、4つの隙間領域G9が形成される。この4つの隙間領域G9のそれぞれにワイヤガイド76を1本ずつ挿入する、
そして、5本のガイドコイル76xのそれぞれに対し、複数の内蔵物(15,16)のうちの対応する内蔵物を所定の位置に挿通させる。また、4本のワイヤガイド76のそれぞれに湾曲ワイヤ75をそれぞれ挿通させる。これにより、湾曲部7Hは組み上がる。
【0172】
このようにして組み立てられた湾曲部7Hを含むスコープユニットを用いて行う湾曲操作による作用は、上述の第3の実施形態等と略同様である。
【0173】
以上説明したように上記第5の実施形態によれば、上述の第3の実施形態等と略同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態の構成においては、複数のガイドコイル76xと複数のワイヤガイド76は、湾曲部7H内において互いに密着した状態で配置されているので、複数の内蔵物(15,16)や湾曲ワイヤ75が湾曲動作時に周方向に位置ずれすることを、さらに抑えることができる。したがって、より確実な湾曲動作を確保できる。
【0174】
さらに、複数のガイドコイル76x及び複数のワイヤガイド76を設けたことで、湾曲部7H内に複数の内蔵物(15,16)や湾曲ワイヤ75を挿通させて配置する際の作業性を向上させることができる。このことは、組み立てを容易にするという効果を得ることができる。これに加えて、複数の内蔵物(15,16)を複数のガイドコイル76xに挿通させる構成としたので、複数の内蔵物(15,16)の保護に寄与することができる。したがって、湾曲動作時に複数の内蔵物(15,16)にかかる負荷を軽減することができ、よって湾曲部7Hの耐性の向上に寄与することができる。
【0175】
[第6の実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態の内視鏡装置について、以下に説明する。図25は、本発明の第6の実施形態の内視鏡装置において、湾曲部内に配置されるワイヤガイドの構成を示す概略斜視図である。図26は、図25のワイヤガイドを適用する湾曲部の断面図である。この図26に示す断面は、本実施形態で例示する湾曲部において、図23の符号[24]で示す面に沿う断面に相当する。なお、図26では、図面の繁雑化を避けるために、湾曲部における一部の構成部材(外皮チューブ等)の図示を省略している。
【0176】
本実施形態の内視鏡装置の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。本実施形態においては、湾曲部7Jの内部に配設するワイヤガイド76Eの形態が異なる。本実施形態においては、2方向湾曲構造の湾曲部についての構成例を示す。
【0177】
本実施形態の内視鏡装置において、湾曲部7J内に配設されるワイヤガイド76Eは、図25に示すように、2本の筒状コイル部材が長軸に沿う方向に連結され一体的に形成された1本のコイル部材からなる。
【0178】
ワイヤガイド76Eは、湾曲ワイヤ75を挿通させ得る2つの貫通部76Eaが、先端から基端まで長軸方向においてそれぞれ形成されている。2つの貫通部76Eaは、連結部76Ebによって連結されている。これにより、ワイヤガイド76Eの断面形状は異形状に形成されている。なお、ワイヤガイド76Eは、全体として粗巻きのコイル部材である。この構成により、ワイヤガイド76Eは、長軸方向において圧縮自在となっている。
【0179】
ここで、図26に示すように、連結部76Ebの断面において内幅W1は、2つの貫通部76Eaの断面において内径D7よりも狭く形成されている(D7>W1)。また、湾曲ワイヤ75がお互いに配置されている貫通部76Eaに留まるように、湾曲ワイヤ75の外径よりも内幅W1が狭い。このような構成により、連結部76Ebの幅方向両側面は、2つの貫通部76Eaの外面に対して断面が凹形状となる凹部76Ecが形成されている。この凹部76Ecには、複数の内蔵物(15,16)が配置される。
【0180】
このように構成されるワイヤガイド76Eは、湾曲部7Jの内部において、図26に示すように配置される。即ち、ワイヤガイド76Eは、断面において、2つの貫通部76Eaの各中心軸O3,O4を結び、かつ湾曲コイル74の中心軸Oを通る直線S4に沿って配置される。このとき、ワイヤガイド76Eの断面の高さH1は、湾曲コイル74の内径D1と略同等に設定されている(D1≧H1)。したがって、ワイヤガイド76Eは、湾曲コイル74の断面を2分割する形態で、当該湾曲コイル74の内部に略固定状態で配置される。
【0181】
この状態において、湾曲コイル74の内部には2つの隙間領域G10が形成される。この2つの隙間領域G10のそれぞれに複数の内蔵物であるライトガイドケーブル15と信号線16とがそれぞれ配置される。ここで、ライトガイドケーブル15と信号線16の各外面は、ワイヤガイド76Eの凹部76Ecと湾曲コイル74の内面とにそれぞれ接触した状態で略固定される。
【0182】
このような構成により、湾曲部7Jにおける複数の内蔵物(15,16)とワイヤガイド76E及び2本の湾曲ワイヤ75の配置は図26に示すようになる。
【0183】
上述のように構成される本実施形態の内視鏡装置において、特に湾曲部の作用を、以下に簡単に説明する。
【0184】
湾曲部7Jを組み立てる際の作用は、次の通りである。まず、上述の第1の実施形態において説明したのと同様に、前側口金71,湾曲コイル74,後側口金72を組み立てる。その後、組み上がった当該構成ユニット(71,74,72)の内部に、ワイヤガイド76Eを挿入して所定の位置に配置する。
【0185】
そして、ワイヤガイド76Eの両側の隙間領域G10のそれぞれに、対応する内蔵物(15,16)を挿通させる。また、ワイヤガイド76Eの2つの貫通部76Eaに湾曲ワイヤ75を挿通させる。これにより、湾曲部7Jは組み上がる。
【0186】
このようにして組み立てられた湾曲部7Jを含むスコープユニットを用いて行う湾曲操作による作用は、上述の第1の実施形態等と略同様である。
【0187】
以上説明したように上記第6の実施形態によれば、上述の第1の実施形態等と略同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態の構成においては、1つのワイヤガイド76Eによって2本の湾曲ワイヤ75を挿通させる構造としたので、組み立て性の向上に寄与することができる。これと同時に、2本の湾曲ワイヤ75が挿通される2つの貫通部76Eaは、相対的な位置ずれを生じることがないので、湾曲ワイヤ75の周方向の位置ずれもなく、常に正確な湾曲動作を確保できる。
【0188】
また、複数の内蔵物(15,16)は、ワイヤガイド76Eに設けた凹部76Ecと湾曲コイル74の内面との間で確実に略固定状態とすることができる。したがって、湾曲動作時の複数の内蔵物(15,16)への負荷を軽減し、湾曲部7Jの耐性の向上に寄与することができる。
【0189】
上述の第6の実施形態においては、2方向湾曲構造の湾曲部についての構成例を示している。上述の第6の実施形態で示す構成例は、4方向湾曲構造の湾曲部に対しても同様に適用できる。次に説明する第6の実施形態についての一変形例は、4方向湾曲構造の湾曲部に対して適用する場合の構成例である。図27は、本発明の第6の実施形態の内視鏡装置において、湾曲部内に配置されるワイヤガイドの一変形例の構成を示す概略斜視図である。図28は、図27のワイヤガイドを適用する湾曲部の断面図である。この図28に示す断面は、本変形例で例示する湾曲部において、図23の符号[24]で示す面に沿う断面に相当する。なお、図28では、図面の繁雑化を避けるために、湾曲部における一部の構成部材(外皮チューブ等)の図示を省略している。
【0190】
本変形例のワイヤガイドが適用される湾曲部を含む内視鏡装置の基本的な構成は、上述の第6の実施形態と略同様である。本変形例においては、湾曲部7Kの内部に配設するワイヤガイド76Fの形態が異なる。本変形例においては、上述したように、4方向湾曲構造の湾曲部についての構成例を示す。
【0191】
本変形例で示される構成例において、湾曲部7K内に配設されるワイヤガイド76Fは、図27に示すように、4本の筒状コイル部材が長軸に沿う方向に連結され一体的に形成された1本のコイル部材からなる。換言すると、ワイヤガイド76Fは、上述の第6の実施形態におけるワイヤガイド76Eを2本組み合わせた形態で一体的に形成した構成となっている。
【0192】
即ち、ワイヤガイド76Fは、湾曲ワイヤ75を挿通させ得る4つの貫通部76Faが、先端から基端まで長軸方向においてそれぞれ形成されている。4つの貫通部76Faは、断面が略十字形状の連結部76Fbによって連結されている。換言すると、略十字形状の連結部76Fbの各先端部分のそれぞれに貫通部76Faが1つずつ連結された形態となっている。このように、ワイヤガイド76Fの断面形状は異形状に形成されている。なお、ワイヤガイド76Fは、全体として粗巻きのコイル部材である。この構成により、ワイヤガイド76Fは、長軸方向において圧縮自在となっている。
【0193】
ここで、図28に示すように、連結部76Fbの断面において内幅W2は、4つの貫通部76Faの断面において内径D8よりも狭く形成されている(D8>W2)。また、湾曲ワイヤ75がお互いに配置されている貫通部76Faに留まるように、湾曲ワイヤ75の外径よりも内幅W2が狭い。このような構成により、隣接する貫通部76Fa同士の間には、断面が略凹形状の隙間領域G11が4つ形成される。この隙間領域G11には、複数の内蔵物(15,16)が配置される。
【0194】
そのために、本変形例においては、複数の内蔵物としてのライトガイドケーブル15及び信号線16をそれぞれ2本ずつ分岐させて、4つの隙間領域G11内を挿通させる構成としている。
【0195】
このように構成されるワイヤガイド76Fは、湾曲部7Kの内部において、図28に示すように配置される。即ち、ワイヤガイド76Fは、断面の中心軸が、湾曲コイル74の中心軸Oと略一致する位置に配置される。このとき、ワイヤガイド76Fの断面の高さH2は、湾曲コイル74の内径D1と略同等に設定されている(D1≧H2)。したがって、ワイヤガイド76Fは、湾曲コイル74の断面を4分割する形態で、当該湾曲コイル74の内部に略固定状態で配置される。
【0196】
この状態において、4つの隙間領域G11のそれぞれには、複数の内蔵物(2本のライトガイドケーブル15と2本の信号線16)がそれぞれ配置される。このとき、各ライトガイドケーブル15及び各信号線16のそれぞれの外面は、ワイヤガイド76Fの凹部76Fcと湾曲コイル74の内面とにそれぞれ接触した状態で略固定される。
【0197】
このような構成により、湾曲部7Kにおける複数の内蔵物(15,16)とワイヤガイド76F及び4本の湾曲ワイヤ75の配置は図28に示すようになる。
【0198】
上述のように構成される本変形例における湾曲部の作用は、上述の第6の実施形態と略同様である。
【0199】
以上説明したように上記第6の実施形態についての一変形例によれば、上述の第6の実施形態等と略同様の効果を得ることができる。さらに、本変形例の構成においては、1つのワイヤガイド76Fによって4本の湾曲ワイヤ75を挿通させる構造としたので、4方向湾曲構造の湾曲部に対しても同様に適用できる。そして、この場合にも、上述の第6の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0200】
上述の第6の実施形態及び上記一変形例の構成では、2本又は4本の筒状コイルを長軸に沿う方向に連結し一体的に形成した1本のワイヤガイドの構成例を示している。
【0201】
次に説明する第6の実施形態についての別の変形例は、2本のコイル部材を別部材としての連結部材を用いて連結した形態の構成例である。図29は、本発明の第6の実施形態の内視鏡装置において、湾曲部内に配置されるワイヤガイドの別の変形例の構成を示す概略斜視図である。
【0202】
本変形例のワイヤガイドが適用される湾曲部を含む内視鏡装置の基本的な構成は、上述の第6の実施形態と略同様である。本変形例においては、湾曲部の内部に配設するワイヤガイド76Gの形態が異なる。なお、本変形例においては、2方向湾曲構造の湾曲部に対応するワイヤガイドの構成例を例示する。
【0203】
本変形例で示されるワイヤガイド76Gは、図29に示すように、2本の長尺コイル76zを連結部材76yを用いて連結して形成されている。この場合において、2本の長尺コイル76zは略円筒形で粗巻きのコイル部材である。この2本の長尺コイル76z自体は、上述の第1の実施形態等で例示したワイヤガイド76と略同様のものが適用される。
【0204】
また、連結部材76yは、2本の長尺コイル76zの少なくとも先端及び基端を、接着又は半田付け若しくは溶接等の接合手段を用いて固定している。これにより、2本の長尺コイル76zは、長軸に沿う方向に平行に延出した状態で略一体化された形態の1本のワイヤガイド76Gを形成している。
【0205】
ここで、図29に示すように、連結部材76yの幅W3は、2本の長尺コイル76zの内径D9よりも狭く形成されている(D9>W3)。また、ワイヤガイド76Gの高さH3は、湾曲コイルの内径D1(不図示)と略同等に形成されている(D1≧H3)。
【0206】
このような構成のワイヤガイド76Gを湾曲コイルの内部に配置すると、上述の第6の実施形態と同様に、湾曲コイルの内部は2つの隙間領域が形成される。ここで、2つの隙間領域は、図26の隙間領域G10に相当する。そして、2つの長尺コイル76zには、2本の湾曲ワイヤ75のそれぞれが挿通される。
【0207】
このように構成されるワイヤガイド76Gを適用する湾曲部は、上述の一変形例(図27図28)と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0208】
なお、当該変形例の構成は、図29で示される構成例以外に、例えば4方向湾曲構造の湾曲部に対応させる構成例も考えられる。その場合には、図29のワイヤガイド76Gにおける連結部材76yについて、上述の第6の実施形態についての一変形例で示すワイヤガイド76F(図27図28参照)と略同様に、略十字形状の連結部材として形成することにより実現することができる。
【0209】
[第7の実施形態]
次に、本発明の第7の実施形態の内視鏡装置について、図30図32を用いて、以下に説明する。図30は、本発明の第7の実施形態の内視鏡装置において、湾曲部を含む挿入部の先端部近傍の内部構成を示す概略斜視図である。図31は、図30の湾曲部に適用される内側口金のみを示す概略斜視図である。図32は、図30の符号[32]で示す面に沿う断面図である。なお、図30図32においては、図面の繁雑化を避けるために、湾曲部における一部の構成部材(外皮チューブ等)の図示を省略している。また、図32は、湾曲部を組み立てた状態の断面を示している。
【0210】
本実施形態の内視鏡装置の基本的な構成は、上述の第4の実施形態と略同様である。本実施形態においては、第4の実施形態の内側口金90に代えて、内側口金91を適用した点が異なる。なお、図30においては、前側口金71の内部に設けられる内側口金91のみを図示し、後前側口金の内部の内側口金は、同様の構成であるものとして、その図示は省略している。また、本実施形態においては、4方向湾曲構造の湾曲部についての構成例を示す。
【0211】
本実施形態の構成において、挿入部2Lの湾曲部7Lは、前側口金71の内部に内側口金91を設けて構成されている。この内側口金91は、ワイヤガイド76の端部を位置決め固定するための構成部材である。
【0212】
内側口金91は、図30図32に示すように、前側口金71の太径部71aの内部に挿入し得る外径を有し、全体として略円柱形状からなる。内側口金91は、中心軸O(図31図32参照)を通り、断面が略円形状の貫通孔91aを有している。この貫通孔91aには、後述するように複数の内蔵物(15,16)が挿通される。
【0213】
また、内側口金91には、複数の貫通溝91bが形成されている。貫通溝91bは、外周面側に開口した溝部である。これら複数の貫通溝91bには、ワイヤガイド76端部が配置され固定される。そのために、複数の貫通溝91bは、内側口金91の外周縁部の所定の位置に複数設けられる。本実施形態で示す構成例においては、例えば、4本のワイヤガイド76の配置に対応させて、中心軸O周りに角度90度毎に等間隔位置に、全部で4つの貫通溝91bを設けた構成例としている。そして、これら4本のワイヤガイド76には、4本の湾曲ワイヤ75が挿通される。
【0214】
このような構成により、湾曲部7L内において、複数の内蔵物(15,16)と4本のワイヤガイド76及び湾曲ワイヤ75の配置は図32に示すようになる。なお、図示は省略しているが、後側口金にも同様の内側口金91が同様の構成で設けられている。
【0215】
上述のように構成される本実施形態の内視鏡装置における湾曲部の作用は、上述の第4の実施形態と略同様である。
【0216】
そして、このように構成される上記第7の実施形態によれば、上述の第4の実施形態と略同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態の構成においては、内側口金91の貫通溝91bが4本のワイヤガイド76の端部を確実に位置決め固定することができる。これにより、4本の湾曲ワイヤ75は、それぞれ所定の位置に位置決めされる。したがって、湾曲動作時に、4本の湾曲ワイヤ75が周方向へ位置ずれすることを確実に抑止できる。
【0217】
さらに、貫通孔91aは、複数の内蔵物(15,16)を挿通する構成としている。この構成により、複数の内蔵物(15,16)は、ワイヤガイド76(湾曲ワイヤ75)に接触することがない。したがって、湾曲動作時において、複数の内蔵物(15,16)に負荷がかかることがない。
【0218】
また、内側口金91に対し、ワイヤガイド76の端部を、規定された所定位置に配置することができるので、組み立て性の向上に寄与することができる。
【0219】
なお、上述の第7の実施形態における内側口金については、次に示すような変形例も考えられる。
【0220】
図33図34は、上述の第7の実施形態で示される内側口金についての一変形例を示す図である。このうち、図33は、当該一変形例の内側口金のみを取り出して示す概略斜視図である。図34は、当該一変形例の内側口金を適用した湾曲部の断面図である。なお、図34に示す断面は、本変形例で例示する湾曲部において、上述の第7の実施形態の図30の符号[32]で示す面に沿う断面に相当する。また、図34においては、図面の繁雑化を避けるために湾曲部における一部の構成部材(外皮チューブ等)の図示を省略している。
【0221】
本変形例の基本的な構成は、上述の第7の実施形態と略同様である。本変形例においては、内側口金91Aの貫通孔91Aaの形状が異なる。内側口金91Aの貫通孔91Aaは、図33に示すように、中心軸Oを通る所定範囲の領域91xと、この所定領域91xから隣接する貫通溝91bの間の領域へと径方向に沿って延出する延出領域91yとを含んで形成されている。
【0222】
この貫通孔91Aaには、複数の内蔵物(15,16)が挿通されることになる。そのために、本変形例においては、図34に示すように、複数の内蔵物としてのライトガイドケーブル15及び信号線16をそれぞれ2本ずつ分岐させて、湾曲部7M内を挿通させる構成としている。その他の構成は、上述の第7の実施形態と略同様である。
【0223】
このように構成される上記一変形例の内側口金91Aを適用する湾曲部7Mにおいても、上述の第7の実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。さらに、本変形例においては、内側口金91Aの貫通孔91Aaの断面積を、より広く確保することができる。したがって、当該貫通孔91Aaに挿通させる複数の内蔵物を、確実に固定することができる。これと同時に、湾曲操作時に複数の内蔵物(15,16)にかかる負荷をより確実に抑えることができる。
【0224】
[第8の実施形態]
次に、本発明の第8の実施形態の内視鏡装置について、以下に説明する。図35図37は、本発明の第8の実施形態の内視鏡装置における湾曲部の構成を示す図である。このうち、図35は、本発明の第8の実施形態の内視鏡装置における湾曲部の概略斜視図である。図35においては、図面の繁雑化を避けるために、湾曲部における一部の構成部材(外皮チューブ,湾曲コイル等)を(二点鎖線により)簡略化して図示している。図36は、図35の湾曲部における前側口金及び後側口金と伸長規制ワイヤとの取り付け構造を示す概略図である。図37は、図35の符号[37]で示す面に沿う断面図である。図37においては、湾曲部を組み立てた状態の断面を示している。
【0225】
本実施形態の内視鏡装置の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。本実施形態においては、伸長規制ワイヤ92をさらに加えて構成した点が異なる。また、本実施形態においては、湾曲ワイヤ75A及びワイヤガイド76Aの形態が異なる(図37参照)。本実施形態は、上述の第1の実施形態と同様に、2方向湾曲構造の湾曲部についての構成例を示す。
【0226】
本実施形態の内視鏡装置における湾曲部7Nは、湾曲コイル74の内部に伸長規制ワイヤ92が設けられている。この伸長規制ワイヤ92は、湾曲部7Nが長軸方向において所定の長さ以上に伸長することを規制するための構成部材である。そのために、伸長規制ワイヤ92は、長軸方向への伸縮がし難い素材からなる。
【0227】
伸長規制ワイヤ92は、一端92aが前側口金71Aに固定され、他端92bが後側口金72Aに固定されている。これにより、伸長規制ワイヤ92は、前側口金71Aと後側口金72Aとを連結している。この時、伸長規制ワイヤ92は、湾曲部が全く伸びないように余裕を持たせずに固定するのではなく、若干余裕を持たせて固定することで、湾曲操作に影響を与えないようにする。通常内蔵物を中央に挟んだ構造や中心部材79を有する構造では、湾曲させる方向の湾曲コイル74のコイルの隙間は狭くなり、その反対は広がる傾向があり、この湾曲時の伸び量と同じ、もしくは若干多くなるように伸長規制ワイヤ92に余裕を持たせて、湾曲操作に影響を及ぼさないようにする。
【0228】
伸長規制ワイヤ92は、湾曲コイル74の内面の長軸方向に沿って配置されている。この場合において、伸長規制ワイヤ92は、1本の細長ワイヤ部材を2つに折り返し、その折り返し部92aを前側口金71Aに固定している。また、当該折り返し部92aから延出する一方のワイヤ半部と、他方のワイヤ半部とをそれぞれ湾曲部7Nの内部に挿通させている。そして、一方のワイヤ半部の他端92bと、他方のワイヤ半部の他端92bのそれぞれを後側口金72Aに固定している。
【0229】
なお、本実施形態の例示では、伸長規制ワイヤ92は、二組設けた構成例を示している。この場合に、二組の伸長規制ワイヤ92は、例えば湾曲部7Nの中心軸Oを挟んで対向する位置に一組ずつ配置されている。
【0230】
ここで、伸長規制ワイヤ92の具体的な構成について、次のような構成を例示する。なお、以下の説明は、二組設けられる伸長規制ワイヤ92のうち一方の一組の伸長規制ワイヤ92の構成を説明している。
【0231】
例えば、図36に示すように、前側口金71Aには、外周面と内周面との間を貫通する2つの貫通孔71cが形成されている。この2つの貫通孔71cは、周方向に所定の間隔を置いて設けられている。そして、2つの貫通孔71cは、前側口金71Aの外周面側に形成される凹溝71dの両端部に形成されている。
【0232】
ここで、凹溝71dは、伸長規制ワイヤ92の折り返し部92aを配置し固定するために設けられる配置溝である。2つの貫通孔71cは、伸長規制ワイヤ92の折り返し部92aから延出する2つのワイヤ他端92bを、口金外部から口金内部へと挿通させて、湾曲部7N内に導入するために設けられる挿通孔である。
【0233】
なお、湾曲部7N内に導入された伸長規制ワイヤ92は、一方のワイヤ半部と、他方の半部とがそれぞれ周方向における所定の間隔を保持しながら、湾曲コイル74の内面の長軸方向に沿って挿通される。
【0234】
また、例えば、図36に示すように、後側口金72Aには、外周面と内周面との間を貫通する2つの貫通孔72cが形成されている。この2つの貫通孔72cは、周方向に所定の間隔(前側口金71Aの2つの貫通孔71cと同間隔)を置いて設けられている。ここで、2つの貫通孔72cは、伸長規制ワイヤ92の2つのワイヤ他端92bを、口金内部から口金外部へと挿通させるために設けられる挿通孔である。
【0235】
2つの貫通孔72cによって、後側口金72Aの内部から外部へと導出された2つのワイヤ他端92bは、後側口金72Aの外周面に対して、接着又は半田付け若しくは溶接等の接合手段を用いて固定される。
【0236】
このように構成される伸長規制ワイヤ92は、湾曲部7Nの内部において、図37に示すように配置される。二組の伸長規制ワイヤ92は、一方が隙間領域G1に配置され、他方が隙間領域G2に配置される。つまり、二組の伸長規制ワイヤ92は、湾曲部7N内において、中心軸Oを挟んで対向するそれぞれの位置に一組ずつ配置される。
【0237】
この場合において、隙間領域G1に配置された伸長規制ワイヤ92の一方のワイヤ半部は領域G1aに配置され、他方のワイヤ半部は領域G1bに配置される。同様に、隙間領域G2に配置された伸長規制ワイヤ92の他方のワイヤ半部は領域G2aに配置され、他方のワイヤ半部は領域G2bに配置される。
【0238】
ここで、領域G1a,G1bは、隙間領域G1にワイヤガイド76Aが配置されることにより形成される2つの隙間領域を指している。同様に、領域G2a,G2bは、隙間領域G2にワイヤガイド76Aが配置されることにより形成される2つの隙間領域を指している。
【0239】
一方、本実施形態の内視鏡装置において、湾曲部7Nに含まれるワイヤガイド76Aは、図37に示すように、湾曲コイル74内の通常位置に配設されたときに、略偏平形状に潰れた断面形状を有するように形成されている。例えば、ワイヤガイド76Aの断面形状は、当該ワイヤガイド76Aが湾曲コイル74内で配置される隙間領域G1,G2の断面形状に合わせた形状としている。
【0240】
そして、ワイヤガイド76Aが湾曲コイル74内の所定の位置に配置された状態においては、ワイヤガイド76Aの外面は、湾曲コイル74の内面と、複数の内蔵物(15,16)及び伸長規制ワイヤ92の各外面に常に接触する。
【0241】
ワイヤガイド76Aの内部には、湾曲ワイヤ75Aが挿通されて配置される。湾曲ワイヤ75Aは、ワイヤガイド76Aの形状に合わせて、図37に示すように、断面が略平板形状によって形成されているワイヤ部材が適用されている。
【0242】
このような構成により、湾曲部7Nの湾曲コイル74内における複数の内蔵物(15,16)と2本のワイヤガイド76A,湾曲ワイヤ75,伸長規制ワイヤ92の配置は図37に示すようになる。
【0243】
上述のように構成される本実施形態の内視鏡装置における湾曲部7Nの作用は、上述の第1の実施形態と略同様である。
【0244】
なお、本実施形態の内視鏡装置において、湾曲部7Nを組み立てる際の作用は、次のようになる。まず、上述の第1の実施形態において説明したのと同様に、前側口金71A,湾曲コイル74,後側口金72Aを組み立てる。その後、組み上がった当該構成ユニット(71A,74,72A)の内部の所定の位置に、伸長規制ワイヤ92を挿通させて配置する。
【0245】
ここで、伸長規制ワイヤ92の折り返し部92aで折り返した一方のワイヤ半部の他端92bを前側口金71Aの一方の貫通孔71cに外周から内部へ向けて挿通させ導入する。同様に、他方のワイヤ半部の他端92bを前側口金71Aの他方の貫通孔71cに外周から内部へ向けて挿通させ導入する。
【0246】
2本のワイヤ半部の各他端92bを、上記構成ユニット(71A,74,72A)の内部にて基端側に向けて挿通させる。そして、一方のワイヤ半部の他端92bを後側口金72Aの一方の貫通孔72cに内周から外部へ向けて挿通させ導出する。同様に、他方のワイヤ半部の他端92bを後側口金72Aの他方の貫通孔72cに内周から外部へ向けて挿通させ導出する。
【0247】
そして、折り返し部92aを前側口金71Aの凹溝71dに嵌合させる。また、2本のワイヤ半部の各他端92bを後側口金72Aの外周面上に接着又は半田付け若しくは溶接等の接合手段を用いて固定する。
【0248】
次に、当該構成ユニット(71A,74,72A)の内部に複数の内蔵物(15,16)を挿通させて配置する。続いて、隙間領域G1,G2にワイヤガイド76Aを挿通させる。さらに、ワイヤガイド76Aに湾曲ワイヤ75Aを挿通させる。これにより、湾曲部7Nは組み上がる。
【0249】
このようにして組み立てられた湾曲部7Nを含むスコープユニットを用いて行う湾曲操作による作用は、上述の第1の実施形態等と略同様である。
【0250】
以上説明したように上記第8の実施形態によれば、上述の第1の実施形態等と略同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態の構成においては、ワイヤガイド76Aを略偏平形状に潰れた断面形状を有する形態としたので、湾曲方向が出し易くなるという効果を得ることができる。
【0251】
また、ワイヤガイド76Aは、所定の隙間領域の形状に合わせて形成されているので、湾曲操作時にワイヤガイド76Aの位置ずれをより効果的に抑えることができる。したがって、正確な湾曲操作を行うことができる。これと同時に、湾曲部7Nの耐性の向上に寄与することができる。
【0252】
さらに、上記第8の実施形態においては、伸長規制ワイヤ92を設けて構成したので、湾曲部7Nが所定の長さ(即ち身長規制ワイヤ92の全長によって規制される長さ)以上に伸長することが規制される。したがって、被検体から内視鏡を抜くときに先端が引かれたときに、湾曲部が伸ばされず、その結果、湾曲部7Nの複数の内蔵物(15,16)にかかる負荷を確実に抑えることができる。
【0253】
なお、上述の第8の実施形態においては、2方向湾曲構造の湾曲部についての構成を示している。しかしながら、第8の実施形態で示される構成は、上述の構成例に限られることはない。上述の第8の実施形態の構成は、例えば、4方向湾曲構造の湾曲部に対しても適用することができる。図38は、上述の第8の実施形態における湾曲部についての一変形例を示す断面図である。
【0254】
図38に示すように、本変形例で示す湾曲部7Pは、4本のワイヤガイド76Aと、4本の湾曲ワイヤ75Aと、二組(4本)の伸長規制ワイヤ92と、複数の内蔵物(15,16)とを、湾曲コイル74の内部に有している構成されている。
【0255】
この場合において、伸長規制ワイヤ92は、湾曲コイル74の内部において周方向に隣接するワイヤガイド76A同士の間に形成される隙間領域G12に配設されている。また、本変形例においては、複数の内蔵物(15,16)は、それぞれ2本ずつに分岐させた形態としている。そして、これら複数の内蔵物(15,16)は、湾曲コイル74の略中心部分近傍を挿通して配置されている。一方、ワイヤガイド76A及び伸長規制ワイヤ92は、湾曲コイル74の内面に沿って配置されていると共に、複数の内蔵物(15,16)の外面に接して配置されている。
【0256】
このように、湾曲部7Pの湾曲コイル74内には、4本のワイヤガイド76A,複数の伸長規制ワイヤ92,複数の内蔵物(15,16)が、外面同士を互いに接して密に配置されている。このような構成により、湾曲操作時において、ワイヤガイド76Aの周方向への位置ずれを抑止し、正確な湾曲操作を行うことができる。
【0257】
[第9の実施形態]
次に、本発明の第9の実施形態の内視鏡装置について、以下に説明する。図39は、本発明の第9の実施形態の内視鏡装置におけるスコープユニットの湾曲部を含む先端部近傍の構成を示す分解斜視図である。
【0258】
本実施形態の内視鏡装置の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。本実施形態においては、湾曲部7Qにおいて中間口金93をさらに加えて構成した点が異なる。本実施形態は、上述の第1の実施形態と同様に、2方向湾曲構造の湾曲部についての構成例を示す。
【0259】
本実施形態における内視鏡装置の挿入部2Qの湾曲部7Qは、略中間部分において長軸方向の先端寄りの前半部と、基端寄りの後半部とに2分割した形態で構成されている。
【0260】
そのための構成として、湾曲部7Qにおける湾曲コイル74Qは、先端寄りに配置される第1湾曲コイル74Q1と基端寄りに配置される第2湾曲コイル74Q2との二部材で構成されている。そして、第1湾曲コイル74Q1と第2湾曲コイル74Q2とは、湾曲部7Qの略中間位置に配置される中間口金93によって連結されている。
【0261】
中間口金93は、全体として略筒形状からなる連結部材である。この中間口金93は、外方に突出するフランジ部93aが長軸方向における略中央部分に形成されている。
【0262】
また、中間口金93は、フランジ部93aよりも先端側に第1筒状部93bが形成されている。この第1筒状部93bの外周側には、第1湾曲コイル74Q1の基端74Q1bが巻回されて固定される。同様に、中間口金93は、フランジ部93aよりも基端側に第2筒状部93cが形成されている。この第2筒状部93cの外周側には、第2湾曲コイル74Q2の先端74Q2bが巻回されて固定される。このように、第1湾曲コイル74Q1の基端74Q1b及び第2湾曲コイル74Q2の先端74Q2bは、中間口金93のフランジ部93aの前後面にそれぞれ突き当てられた形態で配置される。ここで、フランジ部93aは、第1湾曲コイル74Q1の基端74Q1b及び第2湾曲コイル74Q2の先端74Q2bの位置規制をする機能を有する。
【0263】
なお、第1湾曲コイル74Q1の先端74Q1aは、前側口金71の細径部71bの外周に巻回されて固定される。また、第2湾曲コイル74Q2の基端74Q2aは、後側口金72の細径部72bの外周に巻回されて固定される。即ち、湾曲コイル74Qの最も先端部分と前側口金71との固定構造、及び湾曲コイル74Qの最も基端部分と後側口金72との固定構造については、上述の第1の実施形態と略同様である。
【0264】
なお、前側湾曲コイル74Qa及び後側湾曲コイル74Qbのそれぞれは、全体として略円筒形の粗巻きのコイル部材からなる。この場合において、前側湾曲コイル74Qaと、後側湾曲コイル74Qbとでは巻き形状を異ならせている。例えば、第1湾曲コイル74Q1は、第2湾曲コイル74Q2よりも大きなピッチの巻き形状からなる。このような構成とすることにより、湾曲コイル74Qは、先端側の第1湾曲コイル74Q1の方が、基端側の第2湾曲コイル74Q2よりも湾曲し易い構成となっている。
【0265】
上述したように、中間口金93の第1筒状部93bには第1湾曲コイル74Q1が連結されている。同様に、第2筒状部93cには第2湾曲コイル74Q2が連結されている。そのため、フランジ部93aは、第1湾曲コイル74Q1及び第2湾曲コイル74Q2のそれぞれのコイル線径と略同等か若しくは若干大となる高さに設定されている。この構成により、中間口金93の第1筒状部93b及び第2筒状部93cに、第1湾曲コイル74Q1及び第2湾曲コイル74Q2を巻回させて固定した場合にも、第1湾曲コイル74Q1及び第2湾曲コイル74Q2の外径は、フランジ部93aよりも突出しない構成とされている。
【0266】
一方、中間口金93の内部には、2本のワイヤガイド76が挿通されている。この場合において、2本のワイヤガイド76は、中心軸Oを挟んで略対向する位置に配置される。そして、2本のワイヤガイド76のそれぞれは、長軸方向における略中間部分の外面が中間口金93の内面に固定されている。この場合の固定は、例えば接着又は半田付け若しくは溶接等の接合手段が用いられる。
【0267】
この構成により、中間口金93は、ワイヤガイド76の長軸方向における略中間部位を固定するために設けられる口金部材として機能する。
【0268】
このような構成からなる本実施形態において、湾曲部7Qの湾曲コイル74Q内における複数の内蔵物(15,16)と2本のワイヤガイド76,湾曲ワイヤ75の配置は、上述の第1の実施形態と略同様である(図4参照)。
【0269】
また、本実施形態の内視鏡装置における湾曲部7Qの作用も、上述の第1の実施形態と略同様である。
【0270】
なお、本実施形態の内視鏡装置において、湾曲部7Nを組み立てる際の作用は、次のようになる。まず、上述の第1の実施形態において説明したのと略同様に、前側口金71と第1湾曲コイル74Q1の先端74Q1aとを連結する。第1湾曲コイル74Q1の基端74Q1bと中間口金93とを連結する。中間口金93と第2湾曲コイル74Q2の先端74Q2bとを連結する。第2湾曲コイル74Q2の基端74Q2aと後側口金72とを連結する。
【0271】
こうして組み上がった当該構成ユニット(71,74Q1,93,74Q2,72)の内部に2本のワイヤガイド76を挿通させて所定の位置に配置する。このとき、ワイヤガイド76は、湾曲部7Qの略中間位置、即ち中間口金93の内面の所定の位置に正確に固定する。
【0272】
そして、当該構成ユニット(71,74Q1,93,74Q2,72,76)の内部に複数の内蔵物(15,16)を挿通させて配置する。また、2本のワイヤガイド76のそれぞれに湾曲ワイヤ75を挿通させる。これにより、湾曲部7Qは組み上がる。
【0273】
以上説明したように上記第9の実施形態によれば、上述の第1の実施形態等と略同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態の構成においては、湾曲部7Qの略中心部位に中間口金93を設けると共に、2本のワイヤガイド76の略中心部位を当該中間口金93の内面に固定している。
【0274】
このような構成によれば、湾曲操作を行った場合に当該湾曲操作に伴って移動するワイヤガイド76の移動量が短くなる。したがって、これにより、本実施形態の構成によれば、湾曲操作時に生じる各ワイヤガイド76の位置ずれをさらに抑止することができる。同時に、湾曲部7Qの複数の内蔵物(15,16)にかかる負荷を確実に抑えることができる。
【0275】
さらに、ワイヤガイド76を中間口金93に固定する構成としたので、湾曲部7Qの組み立て性の向上に寄与することができると共に、湾曲部7Qの強度の向上に寄与することができる。
【0276】
なお、中間口金93の形態は、上述の構成例に限られることはない。例えば、図40図41は、本発明の第9の実施形態の内視鏡装置における湾曲部の中間口金についての変形例を示す図である。このうち図40は、中間口金及びワイヤガイドのみを示す概略斜視図である。また、図41は、図40の符号[41]で示す面に沿う断面図である。図41は、中間口金のみを示している。
【0277】
本変形例は、上述の第9の実施形態と基本的には略同様である。本変形例においては、中間口金93Aと、ワイヤガイド76Qの構成が異なる。
【0278】
本変形例において、中間口金93Aは、外形形状は基本的には上述の第9の実施形態で示す中間口金93と略同様である。本変形例における中間口金93Aでは、第1貫通孔93Adと、複数の第2貫通孔93Aeが形成されている点が異なる。
【0279】
第1貫通孔93Adは、略中心部を貫通する大径の貫通孔である。この第1貫通孔93Adは、複数の内蔵物(15,16)を挿通させるために設けられている。
【0280】
なお、本変形例で図示する構成例では、中間口金93Aの第1貫通孔93Adは、1つの貫通孔として形成している。この1つの第1貫通孔93Adに、複数の内蔵物(15,16)を束ねて挿通させる構成としている。しかしながら、この構成に限られることはない。例えば、図示は省略するが、第1貫通孔93Adを複数形成して、複数の内蔵物(15,16)のそれぞれを別個に挿通させる構成としてもよい。
【0281】
第2貫通孔93Aeは、当該中間口金93Aの外周縁部近傍に設けられ、軸中心に沿う方向に貫通する小径の貫通孔である。この場合において、第2貫通孔93Aeは、第1貫通孔93Aaの配置されている領域以外に設けられている。この第2貫通孔93Aeは、湾曲ワイヤ75を挿通させるために設けられている。
【0282】
なお、本変形例で図示する構成例では、中間口金93Aの第2貫通孔93Aeは、2つの貫通孔として形成している。この2つの第2貫通孔93Aeのそれぞれに湾曲ワイヤ75が挿通される。この構成により、本変形例の構成では、2方向湾曲構造の湾曲部が構成される。
【0283】
そこで、例えば、図示は省略するが、第2貫通孔93Aeを第1貫通孔93Adの配置されている領域以外の領域に4つ形成する構成も考えられる。このような構成とすることにより、4方向湾曲構造の湾曲部を容易に構成することができる。
【0284】
なお、中間口金93Aの外周面上の構成は、上述の第9の実施形態と略同様に、フランジ部93Aaと、第1筒状部93Abと、第2筒状部93Acとを有して構成される。そして、第1筒状部93Abには不図示の第1湾曲コイルの基端が固定される。また、第2筒状部93Acには不図示の第2湾曲コイルの先端が固定される。そして、フランジ部93Aaには第1湾曲コイルの基端及び第2湾曲コイルの先端がそれぞれ突き当たって位置規制をする。これらの構成は、上述の第9実施形態の中間口金93と略同様である。したがって、本変形例における第1湾曲コイル及び第2湾曲コイルは、上述の第9実施形態で示した形態のものと同様のものが適用される。
【0285】
一方、ワイヤガイド76Qは、先端寄りに配置される第1ワイヤガイド76Q1と基端寄りに配置される第2ワイヤガイド76Q2との二部材で構成されている。そして、第1ワイヤガイド76Q1と第2ワイヤガイド76Q2とは、湾曲部の略中間位置に配置される中間口金93Aに突き当てて配置される。
【0286】
このような構成からなる本変形例において、湾曲部の湾曲コイル内における複数の内蔵物(15,16),ワイヤガイド76Q,湾曲ワイヤ75の配置は、図41に示すようになる。なお、図41においては、複数の内蔵物(15,16),ワイヤガイド76Q,湾曲ワイヤ75は、二点鎖線によって図示している。この場合において、複数の内蔵物(15,16)は中間口金93Aの第1貫通孔93Adを挿通して配置される。また、ワイヤガイド76Qは、中間口金93Aの前面に突き当てられて固定される。湾曲ワイヤ75は、ワイヤガイド76Qを挿通し、中間口金93Aの第2貫通孔93Aeを挿通して配置される。
【0287】
また、本変形例の構成を適用した内視鏡装置における湾曲部の作用は、上述の第9の実施形態と略同様である。
【0288】
なお、本変形例において、湾曲部を組み立てる際の作用は、次のようになる。まず、上述の第9の実施形態において説明したのと略同様に、前側口金(71),第1湾曲コイル(74Q1),中間口金93A,第2湾曲コイル(74Q2),後側口金(72)を連結する。
【0289】
こうして組み上がった当該構成ユニット(71,74Q1,93A,74Q2,72)の内部に向けて、先端側から第1ワイヤガイド76Q1を挿通させて所定の位置に配置する。即ち、第1ワイヤガイド76Q1の基端を、中間口金93Aの前面に突き当てる。このとき、第1ワイヤガイド76Q1の基端面を、中間口金93Aの第2貫通孔93Aeの周縁部近傍に配置する。これにより、第1ワイヤガイド76Q1の中空部は、第2貫通孔93Aeと挿通する状態となる。この作業を、2本の第1ワイヤガイド76Q1について行う。
【0290】
同様に、当該構成ユニット(71,74Q1,93A,74Q2,72)の内部に向けて、基端側から第2ワイヤガイド76Q2を挿通させて所定の位置に配置する。即ち、第2ワイヤガイド76Q2の先端を、中間口金93Aの後面に突き当てる。このとき、第2ワイヤガイド76Q1の先端面を、中間口金93Aの第2貫通孔93Aeの周縁部近傍に配置する。これにより、第2ワイヤガイド76Q2の中空部は、第2貫通孔93Aeと挿通する状態となる。この作業を、2本の第2ワイヤガイド76Q2について行う。
【0291】
そして、当該構成ユニット(71,74Q1,93,74Q2,72,76)の内部に複数の内蔵物(15,16)を挿通させて配置する。このとき、複数の内蔵物(15,16)は、中間口金93Aの第1貫通孔93Adを挿通させる。また、2本のワイヤガイド76Qのそれぞれに湾曲ワイヤ75を挿通させる。これにより、湾曲部は組み上がる。
【0292】
このような構成の変形例によっても、上述の第9の実施形態等と略同様の効果を得ることができる。
【0293】
[第10の実施形態]
次に、本発明の第10の実施形態の内視鏡装置について、以下に説明する。図42図44は、本発明の第10の実施形態を示す図である。このうち、図42は、本発明の第10の実施形態の内視鏡装置におけるスコープユニットの湾曲部を含む先端部近傍の概略構成を示す分解斜視図である。なお、図42においては、図面の繁雑化を避けるために、湾曲部における一部の構成部材(外皮チューブ等)の図示を省略している。図43は、図42の符号[43]で示す面に沿う湾曲部の断面図である。図44は、図43の[44]-[44]線に沿う断面図である。
【0294】
本実施形態の内視鏡装置の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。本実施形態の構成においては、挿入部2Rの湾曲部7Rは、内側口金94と中心棒95とを、さらに加えて構成している点が異なる。本実施形態は、上述の第1の実施形態と同様に、2方向湾曲構造の湾曲部についての構成例を示す。
【0295】
内側口金94は、前側口金71及び後側口金72のそれぞれの内部に設けられ、ワイヤガイド76の先端或いは基端を位置決め固定するための構成部材である。この内側口金94は、図42図44に示すように、前側口金71及び後側口金72のそれぞれの内部に挿入し得る略管形状からなる。内側口金94の内部には、対向する内面同士を繋ぎ、中心軸O(図42図44参照)を通る隔壁94aが形成されている。この隔壁94aは、内側口金94の内部空間を2つの領域に分割している。ここで、隔壁94aにより分割される2つの領域を、それぞれ第1領域94b,第2領域94c(図42図44参照)と言うものとする。この第1領域94b,第2領域94cには、複数の内蔵物(15,16)が挿通される。
【0296】
本実施形態においては、図44に示すように、第1領域94bには、例えばライトガイドケーブル15が挿通して配置される。また、第2領域94cには、例えば信号線16が挿通して配置される。
【0297】
また、内側口金94には、貫通孔94d,94eが形成されている。このうち、貫通孔94dは、隔壁94aの外周寄りの2箇所に形成され、中心軸Oに対して平行な方向に隔壁94aを貫通している。この2つの貫通孔94dには、ワイヤガイド76の端部(先端或いは基端)が嵌合して固定される。そのために、2つの貫通孔94dの内径は、ワイヤガイド76の外径と略同等で若干大径に形成されている。
【0298】
また、貫通孔94dは、中心軸Oと略一致する位置に設けられ、同中心軸Oに沿う方向に隔壁94aを貫通している。この貫通孔94dには、中心棒95の端部が固定されている。この場合の固定は、接着又は半田付け若しくは溶接等の接合手段が用いられる。
【0299】
中心棒95は、湾曲部7Rの中心軸Oに挿通される棒状部材である。中心棒95は、可撓性を有すると共に、長軸方向への伸縮がし難い素材からなる。
【0300】
このような構成により、内側口金94内における複数の内蔵物(15,16)と、2本のワイヤガイド76と、中心棒95の配置は図44に示すようになる。
【0301】
また、本変形例の構成を適用した内視鏡装置における湾曲部の作用は、上述の第1の実施形態と略同様である。
【0302】
なお、本実施形態の内視鏡装置において、湾曲部7Rを組み立てる際の作用は、次のようになる。まず、上述の第1の実施形態において説明したのと略同様に、前側口金71と湾曲コイル74と後側口金72とを連結する。
【0303】
次に、2つの内側口金94のうちの一方(先端側に配置する方)の内側口金94における2つの貫通孔94dのそれぞれにワイヤガイド76の各先端を固定する。また、内側口金94の貫通孔94eに中心棒95の先端を固定する。
【0304】
続いて、2本のワイヤガイド76と中心棒95とを、上記組み立て済みの構成ユニット(71,74,72)の先端側(前側口金71側)から当該構成ユニット(71,74,72)内を挿通させる。そして、前側口金71の内部に上記一方の内側口金94を嵌合させる。
【0305】
次いで、後側口金72に他方の内側口金94を嵌合させる。この状態で、当該他方の内側口金94の2つの貫通孔94dにワイヤガイド76の基端を固定する。また、貫通孔94eに中心棒95の基端を固定する。なお、この後側口金72側の内側口金94へのワイヤガイド76及び中心棒95の各基端の固定作業は、湾曲コイル74を縮めた状態にすることで可能である。
【0306】
次に、内側口金94の第1領域94b及び第2領域94cの内部に複数の内蔵物(15,16)を挿通させて配置する。また、2本のワイヤガイド76のそれぞれに湾曲ワイヤ75を挿通させる。これにより、湾曲部7Rは組み上がる。
【0307】
以上説明したように上記第10の実施形態によれば、上述の第1の実施形態等と略同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態の構成においては、湾曲部7Rにおいて、長軸方向に伸縮し難い素材からなる中心棒95を設けたことにより、効率的な湾曲動作を実現し得る。また、当該中心棒95は、湾曲部7Rの伸長を規制する機能をも有する。この構成により、スコープユニット1の使用時において、挿入部2を屈曲配管等に挿入し又は抜去する際には、湾曲部7Rが所定の長さ以上に伸長することがない。したがって、湾曲部7R内の複数の内蔵物(15,16)にかかる負荷を軽減することができる。
【0308】
[第11の実施形態]
次に、本発明の第11の実施形態の内視鏡装置について、以下に説明する。図45は、本発明の第11の実施形態の内視鏡装置におけるスコープユニットの湾曲部を含む先端部近傍の概略構成を示す分解斜視図である。なお、図45においては、図面の繁雑化を避けるために、本実施形態の要部以外の構成部材については、図示を省略若しくは簡略化して示している。
【0309】
本実施形態の内視鏡装置の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。本実施形態の構成においては、挿入部2Sの湾曲部7Sは、後側口金72Sの構成が若干異なる。本実施形態は、上述の第1の実施形態と同様に、2方向湾曲構造の湾曲部についての構成例を示す。
【0310】
後側口金72Sは、口金本体72Saと、固定リング72Sbと、締め付け部材72Scとによって構成されている。
【0311】
口金本体72Saは、先端側の外周に湾曲コイル74の基端を固定する細径部72bが形成され、上述の第1の実施形態における後側口金72の前半部と略同様の構成からなる。この構成に加えて、口金本体72Saは、基端側の外周面上に雄ねじ72mが形成されている。
【0312】
一方、固定リング72Sbは、全体として円筒形状に形成され、口金本体72Saの基端に連結される部材である。そのために、この固定リング72Sbは、先端側の内周面に雌ねじ72fが形成されている。そして、口金本体72Saの雄ねじ72mと、固定リング72Sbの雌ねじ72fとが螺合することによって、口金本体72Saと固定リング72Sbとは連結される。こうして口金本体72Saと固定リング72Sbとが連結した後の形態は、上述の第1の実施形態における後側口金72と略同様の形態となる。なお、固定リング72Sbの基端側の面には、内向フランジ72xが形成されている。
【0313】
口金本体72Saと固定リング72Sbとを連結させるとき、両者(72Sa,72Sb)の連結部分の内部には、締め付け部材72Scが配置される。この締め付け部材72Scは、全体として略円筒形状からなり、先端に向けて小径となるテーパ形状に形成されている。このテーパ形状の基端側の最大径は、口金本体72Saの基端内径と同等、または若干大径に形成されている。
【0314】
また、締め付け部材72Scの基端側には、外向フランジ72yが形成されている。この外向フランジ72yの外径は、固定リング72Sbに対し先端側から内部に嵌入し得ると共に、内向フランジ72xに当接するサイズに設定されている。同時に、外向フランジ72yの外径は、口金本体72Saの基端側の外形と略同径に形成されている。
【0315】
さらに、締め付け部材72Scには、先端側のテーパ部分において、先端面から長軸方向に延びる所定の長さのスリット72zが形成されている。
【0316】
このような構成からなる締め付け部材72Scは、口金本体72Saと固定リング72Sbとの間に配置されている。このとき、雄ねじ72mと雌ねじ72fとが締め付け方向に螺合されると、締め付け部材72Scは、口金本体72Saの基端部分に押し込まれることで、テーパ形状部分が絞られる構成となっている。挿入部2S内を挿通する複数の内蔵物(15,16)及びワイヤガイド76は、湾曲部7S内を挿通して後側口金72Sを挿通した後、可撓管部8内を挿通する。
【0317】
したがって、本実施形態においては、後側口金72Sの締め付け部材72Scは、湾曲部7Sの基端部分において、複数の内蔵物(15,16)を周方向に締め付けることによって固定する固定部材として機能する。
【0318】
このような構成からなる本実施形態の内視鏡装置において、湾曲部の作用は上述の第1の実施形態と略同様である。
【0319】
以上説明したように上記第11の実施形態によれば、上述の第1の実施形態等と略同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態の構成においては、後側口金72Sにおいて、締め付け部材72Scを設ける構成としている。このような構成とすることにより、複数の内蔵物(15,16)を湾曲部7Sの内部の所定の位置(基端部分)において、確実に固定することができる。したがって、湾曲操作時に複数の内蔵物(15,16)の移動を抑止することができる。同時に、複数の内蔵物(15,16)が摺動することによる外面への損傷を抑止し、かつ複数の内蔵物(15,16)に不要な負荷がかかることを抑えることができる。
【0320】
[第12の実施形態]
次に、本発明の第12の実施形態の内視鏡装置について、以下に説明する。図46は、本発明の第12の実施形態の内視鏡装置におけるスコープユニットの湾曲部を含む先端部近傍の概略構成を示す分解斜視図である。なお、図46においては、図面の繁雑化を避けるために、本実施形態の要部以外の構成部材については、図示を省略若しくは簡略化して示している。
【0321】
本実施形態の内視鏡装置の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。本実施形態の構成においては、挿入部2T内を挿通するワイヤガイド76Tの構成が異なる。なお、本実施形態は、上述の第1の実施形態と同様に、2方向湾曲構造の湾曲部についての構成例を示す。
【0322】
本実施形態において、挿入部2T内を挿通するワイヤガイド76Tは、弾性を有し略円筒形状の筒状部材(コイル部材)からなる。ワイヤガイド76Tは、湾曲部7Tの内部を挿通する第1部位76T1と、可撓管部8の内部を挿通する第2部位76T2とを有する。ここで、第1部位76T1は、上述の第1の実施形態におけるワイヤガイド76に相当する。また、第2部位76T2は、上述の第1の実施形態におけるワイヤガイド77に相当する。
【0323】
ここで、上述の第1の実施形態においては、ワイヤガイド76と、ワイヤガイド77とは、別部材によって構成していた。しかしながら、本実施形態においては、ワイヤガイド76Tは、第1部位76T1と第2部位76T2とが連続して形成された形態の一部材によって構成している。つまり、ワイヤガイド76Tは、1本のコイル部材によって構成されている。この場合において、先端側の第1部位76T1は粗巻きコイルからなる。また、基端側の第2部位76T2は密巻きコイルからなる。なお、第1部位76T1は、湾曲部7Tの長さ、即ち湾曲コイル74の長さ(自然長)と略同等の長さからなる。
【0324】
そして、ワイヤガイド76Tの先端は前側口金71の内周に固定されている。また、ワイヤガイド76Tの基端は固定されない状態で、湾曲部7T及び可撓管部8内に挿通されている。
【0325】
ワイヤガイド76Tの内部には、湾曲ワイヤ75が挿通されている。本実施形態において、湾曲ワイヤ75は、図46に示すように、例えば1本のワイヤ部材を前側口金71内にて折り返し、当該折り返し部を前側口金71の内面に固定する構成を例示している。
【0326】
このような構成からなる本実施形態において、湾曲部7Tの湾曲コイル74内における複数の内蔵物(15,16)と2本のワイヤガイド76T,湾曲ワイヤ75の配置は、上述の第1の実施形態と略同様である(図4参照)。また、本実施形態の内視鏡装置における湾曲部7Tの作用は、上述の第1の実施形態と略同様である。
【0327】
以上説明したように上記第12の実施形態によれば、上述の第1の実施形態等と略同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態の構成においては、ワイヤガイド76Tを、湾曲部7Tから可撓管部8を通して1本のコイル部材で構成している。この構成によれば、構成を簡素化することができる。これと共に、湾曲部と可撓管部との接続部分においてワイヤガイドの周方向への位置ずれが生じることがない。したがって、よりスムースな湾曲操作を行うことができる。
【0328】
[第13の実施形態]
上述の各実施形態においては、湾曲部の湾曲構造を実現する構成として、例えば湾曲コイルを用いた構成例を示している。次に説明する本発明の第13,第14の各実施形態の内視鏡装置は、湾曲部の湾曲構造を実現する構成として、湾曲コイル以外の構成部材を用いて構成した例示である。
【0329】
まず、本発明の第13の実施形態の内視鏡装置について、以下に説明する。図47は、本発明の第13の実施形態の内視鏡装置におけるスコープユニットの湾曲部を含む先端部近傍の概略構成を示す分解斜視図である。図47においては、図面の繁雑化を避けるために、本実施形態の要部以外の構成部材については、図示を省略若しくは簡略化して示している。
【0330】
本実施形態の内視鏡装置の基本的な構成は、上述の第1の実施形態と略同様である。本実施形態の構成においては、挿入部2Uの湾曲部7Uの構成が若干異なる。なお、本実施形態は、上述の第1の実施形態と同様に、2方向湾曲構造の湾曲部についての構成例を示す。
【0331】
本実施形態において、湾曲部7Uは、外皮チューブ(不図示)と、前側口金71と、後側口金72と、固定口金(不図示)と、湾曲パイプ74Uと、複数(2本)のワイヤガイド76と、複数(2本)のガイドコイル76Ux等によって構成されている。このうち、湾曲パイプ74U及びガイドコイル76Ux以外の構成部材は、上述の第1の実施形態において例示したものと同様である。また、ガイドコイル76Uxは、上述の第5の実施形態において例示したものと略同様である。
【0332】
湾曲パイプ74Uは、湾曲部7Uの湾曲構造を実現するための構成部材である。湾曲パイプ74Uは、弾性を有する略円筒形状の筒状部材(パイプ部材)からなる。湾曲パイプ74Uは、周方向に沿って形成されるスリットが、長軸方向に複数並べて形成されている。パイプ部材に複数のスリットを設けて形成することにより、当該湾曲パイプ74Uは、湾曲自在な構造を獲得している。
【0333】
この湾曲パイプ74Uの内部には、2本のワイヤガイド76と、2本のガイドコイル76Uxが挿通して配置されている。このとき、これら2本のワイヤガイド76及び2本のガイドコイル76Uxは互いの外面同士が一部で接していると同時に、各外面の一部と湾曲パイプ74Uの内面とがそれぞれ接している。
【0334】
なお、2本のワイヤガイド76には、湾曲ワイヤ75が挿通される。また、2本のガイドコイル76Uxには、複数の内蔵物(15,16)がそれぞれ挿通される。これら複数のワイヤガイド76及び複数のガイドコイル76Uxは、いずれも粗巻きのコイル部材からなる。
【0335】
このような構成からなる本実施形態において、湾曲部7Uの湾曲パイプ74U内における2本のガイドコイル76Uxと複数の内蔵物(15,16)と2本のワイヤガイド76と湾曲ワイヤ75等の配置は、上述の第1の実施形態と略同様である(図4参照)。
【0336】
また、本実施形態の内視鏡装置における湾曲部7Uの作用は、上述の第1の実施形態と略同様である。さらに、本実施形態の構成においては、湾曲部7Uの構成部材として湾曲パイプ74Uを採用したことにより、外部からの圧縮力に対する強度の向上が期待できる。
【0337】
[第14の実施形態]
次に、本発明の第14の実施形態の内視鏡装置について、以下に説明する。図48図50は、本発明の第14の実施形態を説明する図である。このうち、図48は、本発明の第14の実施形態の内視鏡装置におけるスコープユニットの湾曲部の概略構成を示す分解斜視図である。なお、図48においては、図面の繁雑化を避けるために、本実施形態の要部以外の構成部材については、図示を省略若しくは簡略化して示している。図49は、図48の符号[49]-[49]で示す面に沿う断面図である。図50は、本発明の第14の実施形態の内視鏡装置におけるスコープユニットの湾曲部を構成する湾曲駒を示す概略斜視図である。
【0338】
本実施形態の内視鏡装置の基本的な構成は、上述の第13の実施形態と略同様である。本実施形態の構成においては、挿入部の湾曲部を構成する湾曲パイプ74Uに代えて湾曲駒ユニット74Vを適用して構成されている点が異なる。なお、本実施形態は、上述の第13の実施形態と同様に、2方向湾曲構造の湾曲部についての構成例を示す。
【0339】
本実施形態において、湾曲部7Vは、外皮チューブ(不図示)と、前側口金71と、後側口金72と、固定口金(不図示)と、湾曲駒ユニット74Vと、複数(2本)のワイヤガイド76と、複数(2本)のガイドコイル76Ux等によって構成されている。このうち、湾曲駒ユニット74V以外の構成部材は、上述の第13の実施形態において例示したものと同様である。
【0340】
湾曲駒ユニット74Vは、湾曲部7Vの湾曲構造を実現するための構成部材である。湾曲駒ユニット74Vは、全体として弾性を有する略円筒形状の筒状部材からなる。そのために、湾曲駒ユニット74Vは、複数の湾曲駒(図48の符号74Va,74Vb参照;詳細は後述する)を湾曲部7Vの長軸方向に沿って複数並べて形成されている。
【0341】
湾曲駒ユニット74Vは、第1湾曲領域74V1と、第2湾曲領域74V2とを有して形成されている。
【0342】
このうち、第1湾曲領域74V1は、湾曲部7Vの先端側に配置されている。第1湾曲領域74V1は、複数の第1湾曲駒74Vaを長軸方向に複数並べて形成されている。また、第2湾曲領域74V1は、湾曲部7Vの基端側に配置されている。第2湾曲領域74V1は、複数の第2湾曲駒74Vbを長軸方向に複数並べて形成されている。
【0343】
ここで、第1湾曲駒74Va及び第2湾曲駒74Vbの概略構成は、図50に示すように、全体として略円筒形状からなり、長軸方向における一端部に凸部74Vxと、他端部に凹部74Vyを有して形成されている。なお、第1湾曲駒74Va及び第2湾曲駒74Vbの形状は、略同形状であるので、以下の説明においては、第1湾曲駒74Va及び第2湾曲駒74Vbを、単に湾曲駒として呼称して説明する。なお、両者(74Vx,74Vy)の相違点については後述する。
【0344】
湾曲駒に形成される凸部74Vxは、湾曲駒の一端部の外周縁部から長軸方向において外方に向けて突出している。凸部74Vxの先端は略円弧形状に形成されている。そして、この凸部74Vxは、湾曲駒の外周縁部において、中心軸Oを挟んで対向する位置にそれぞれ設けられている。
【0345】
湾曲駒に形成される凹部74Vyは、湾曲駒の他端部の外周縁部に形成され、外周面より凹んだ形状からなる。この場合において、凹部74Vyは、凸部74Vxの形状に合わせて形成されている。したがって、凹部74Vyの先端も略円弧形状に形成されている。そして、この凹部74Vyは、湾曲駒の外周縁部において、中心軸Oを挟んで対向する位置にそれぞれ設けられている。ここで、凹部74Vyは、凸部74Vxに対応する位置に形成されている。したがって、このように構成される湾曲駒を長軸方向に複数並べて連結するとき、凸部74Vxを凹部74Vyに係合させる。このように、両者(74Vx,74Vy)を係合させた状態で、隣接する湾曲駒間に長軸方向の圧縮力を加えると、隣接する湾曲駒同士は連結状態を維持しつつ、凸部74Vxと凹部74Vyとの接触位置においては互いに回動自在な状態となる。このような構成により、湾曲駒ユニット74Vは、全体として湾曲自在な構造を獲得している。
【0346】
なお、本実施形態における湾曲部7Vにおいて、湾曲駒同士に付与される上述の圧縮力は、次のような構成により得られる。複数の湾曲駒を連結した状態の湾曲駒ユニット74Vは、図49に示すように、内部に複数の内蔵物(15,16)が挿通されて配置される。ここで、本実施形態の構成においては、複数の内蔵物(15,16)は、上述の第13の実施形態と同様に、複数(2本)のガイドコイル76Uxに挿通された形態としている。
【0347】
そして、複数の内蔵物(15,16)が挿通された複数(2本)のガイドコイル76Uxの隙間空間には、複数(2本)のワイヤガイド76が挿通して配置されている。この複数(2本)のワイヤガイド76は粗巻きのコイル部材からなる。複数(2本)のワイヤガイド76は、湾曲駒ユニット74Vの内部に挿通されたとき、その両端は、湾曲駒ユニット74V両端内面に固定される。
【0348】
この場合において、複数(2本)のワイヤガイド76は、自然状態における長さが湾曲駒ユニット74Vの自然長よりも若干短く設定されている。したがって、湾曲駒ユニット74Vの内部に複数(2本)のワイヤガイド76が挿通されて、各ワイヤガイド76の両端が湾曲駒ユニット74V両端内面に固定された状態となった時、各ワイヤガイド76は自然長よりも伸長された状態になる。
【0349】
これにより、各ワイヤガイド76による圧縮力は、常に湾曲駒ユニット74Vの長軸方向に付与されることになる。これにより、湾曲駒ユニット74Vの各湾曲駒同士は、凸部74Vxと凹部74Vyとが互いに押圧する状態で連結が維持される。
【0350】
なお、第1湾曲領域74V1と、第2湾曲領域74V2とでは、隣接する湾曲駒同士の隙間を異ならせて形成している。この場合において、第1湾曲領域74V1における第1湾曲駒74Va同士の隙間は、第2湾曲領域74V2における第2湾曲駒74Vb同士の隙間よりも広く設定している。そのために、各湾曲駒の凹部の長軸方向の長さ(図50の符号C1参照)を変更することにより、各湾曲駒同士の間の隙間を調整している。
【0351】
例えば、第1湾曲駒74Vaの凹部74Vyの長軸方向の長さをC1aとし、第2湾曲駒74Vbの凹部74Vyの長軸方向の長さをC1bとするとき、両者の関係をC1a>C1bとする。
【0352】
これにより、第1湾曲領域74V1における第1湾曲駒74Va同士の隙間を、第2湾曲領域74V2における第2湾曲駒74Vb同士の隙間よりも広く設定できる。これにより、湾曲形状として先端を大きく湾曲し、基端側は先端に比べて小さい曲がりとなる。被検体の形状に応じて、湾曲部の曲げる形状を考慮し、検査しやすくするものである。
【0353】
このような構成からなる本実施形態において、湾曲部7Vの湾曲駒ユニット74V内における2本のガイドコイル76Uxと、複数の内蔵物(15,16)と、2本のワイヤガイド76と、湾曲ワイヤ75の配置は、図49に示すようになる。
【0354】
本実施形態の内視鏡装置において、湾曲部7Vを組み立てる際の作用は、次のようになる。まず、複数の湾曲駒(74Va,74Vb)を所定の形態で連結し、その内部に2本のガイドコイル76Uxを挿通し配置する。その後、2本のガイドコイル76Uxの隙間に、2本のワイヤガイド76を伸長した状態で挿通させ、その両端を湾曲駒ユニット74Vの両端内面に固定する。これにより、湾曲駒ユニット74Vは、長軸方向の圧縮力が付与された状態で組み上がる。
【0355】
この湾曲駒ユニット74Vに対し、前側口金71,後側口金72等を上述の各実施形態において説明したのと略同様に連結する。
【0356】
こうして組み上がった構成ユニット(71,74V,72,76Ux,76)の内部の所定の位置、即ち2本のガイドコイル76Uxに複数の内蔵物(15,16)を挿通させて配置する。また、2本のワイヤガイド76に湾曲ワイヤ75を挿通させる。これにより、湾曲部7Vは組み上がる。
【0357】
このように構成される本実施形態の内視鏡装置における湾曲部7Vの作用は、上述の第13の実施形態と略同様である。なお、本実施形態の構成においては、2方向湾曲構造の湾曲部7Vとして例示している。この構成の場合、湾曲ワイヤ75を用いて能動的に湾曲させる方向とは異なる方向からの外力が加わった場合、無理な湾曲状態となり、その結果、複数の湾曲駒同士の連結部分が外れる状態が現出する可能性がある。
【0358】
しかしながら、本実施形態においては、湾曲駒ユニット74Vの内部に、ワイヤガイド76が伸長した状態で固定されている。このことから、湾曲駒ユニット74Vの各湾曲駒同士の連結状態は、ワイヤガイド76の圧縮力によって維持される。同時に、当該外力が除去された場合には、ワイヤガイド76の圧縮力によって湾曲駒ユニット74Vは直進状態に復元し、外れた連結部分も復元する。したがって、本実施形態の構成においては、湾曲部7Vに帯する意図しない外力への高い耐性を有する。
【0359】
以上説明したように上記第14の実施形態によれば、上述の第13の実施形態等と略同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態の構成においては、複数の湾曲駒からなる湾曲駒ユニット74Vを、湾曲部7Vの湾曲構造を実現するための構成部材として採用したので、より正確な湾曲操作を実現することができる。また、湾曲駒ユニット74Vの内部には、伸長した状態のワイヤガイド76を配置したので、外力に対する自由度を確保することができ、外力による耐性の向上に寄与することができる。
【0360】
なお、上述の第14の実施形態においては、湾曲駒ユニット74Vに伸長させたワイヤガイド76を配設する構成に加えて、さらに、湾曲駒ユニット74Vの連結を保持するワイヤ部材を設けて構成してもよい。
【0361】
この場合においては、各湾曲駒の外周縁部に、長軸方向へ貫通する貫通孔を設け、この貫通孔に連結保持用ワイヤ部材を挿通させる構成とすればよい。この構成により、複数の湾曲駒は、外力を受けて無理な湾曲状態となった場合にも、連結状態を維持することができる。
【0362】
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用を実施することができることは勿論である。さらに、上記実施形態には、種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜な組み合わせによって、種々の発明が抽出され得る。例えば、上記一実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、発明が解決しようとする課題が解決でき、発明の効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。この発明は、添付のクレームによって限定される以外にはそれの特定の実施態様によって制約されない。
【符号の説明】
【0363】
1…スコープユニット
2,2B,2D,2E,2F,2G,2L,2Q,2R,2S,2T,2U…挿入部
3…操作部
4…本体部
5…ケーブル
6,6F…先端部
7,7A,7B,7D,7E,7F,7G,7H,7J,7K,7L,7M,7N,7P,7Q,7R,7S,7T,7U,7V…湾曲部
8…可撓管部
9…湾曲操作レバー
10…接続コネクタ部
11…先端コネクタ
12…表示装置
13,13F…照明窓
14…観察窓
15…ライトガイドケーブル
16…信号線
61…先端部本体
61a…細径部
70…外皮チューブ
71,71A…前側口金
71a…太径部
71b…細径部
71c…貫通孔
71d…凹溝
72,72A,72S…後側口金
72Sa…口金本体
72Sb…固定リング
72Sc…締め付け部材
72a…太径部
72b…細径部
72c…貫通孔
72x…内向フランジ
72y…外向フランジ
72z…スリット
73…固定口金
73a…ガイド筒
74,74A,74Q…湾曲コイル
74Aa…先端密巻き部
74Ab…基端密巻き部
74Aca…第1の粗巻き部
74Acb…第2の粗巻き部
74U…湾曲パイプ
74V…湾曲駒ユニット
74Va…第1湾曲駒
74Vb…第2湾曲駒
75,75A…湾曲ワイヤ
76,76A,76E,76F,76G,76Q,76T…ワイヤガイド
76B…パイプ部材
76C…コイル部材
76D…ガイドチューブ
76x,76Ux…ガイドコイル
77…挿入部ワイヤガイド
78…外皮チューブ78
79…中心部材
80…結束ワイヤ
81…前側口金
82…可撓管82
90,91,91A,94…内側口金
90a…隔壁
91a,91Aa…貫通孔
91b…貫通溝
91y…延出領域
92…伸長規制ワイヤ
92a…折り返し部
93,93A…中間口金
93a,93Aa…フランジ部
94a…隔壁
94b…第1領域
94c…第2領域
94d,94e…貫通孔
95…中心棒
100…内視鏡装置
図1
図2
図3
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図44
図45
図46
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