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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018422
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】基板洗浄装置、および、基板洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
H01L21/304 648G
H01L21/304 643A
H01L21/304 648A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121764
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000207551
【氏名又は名称】株式会社SCREENホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100088672
【弁理士】
【氏名又は名称】吉竹 英俊
(74)【代理人】
【識別番号】100088845
【弁理士】
【氏名又は名称】有田 貴弘
(72)【発明者】
【氏名】逸見 昂史
(72)【発明者】
【氏名】太田 喬
【テーマコード(参考)】
5F157
【Fターム(参考)】
5F157AA12
5F157AA13
5F157AA98
5F157AB02
5F157AB16
5F157AB33
5F157AB49
5F157AB51
5F157AB64
5F157AB90
5F157AC01
5F157AC26
5F157BB23
5F157BB45
5F157CC11
5F157CE07
5F157CE25
5F157CF42
5F157CF44
5F157DB02
5F157DB37
5F157DC90
(57)【要約】
【課題】凸部を有する基板を適切に洗浄する。
【解決手段】基板洗浄装置は、前記基板の上面の縁部の少なくとも一部に、凸部が形成され、前記基板洗浄装置が、前記基板を保持するための保持部と、前記基板の前記凸部に向けて第1の洗浄液を吐出するための洗浄ノズルとを備え、前記第1の洗浄液が、前記基板の径方向内側の端部が前記凸部の上面に位置し、かつ、前記基板の径方向外側の端部が平面視で前記基板と重ならない前記基板の外側に位置する範囲に吐出される。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を洗浄する基板洗浄装置であり、
前記基板の上面の縁部の少なくとも一部に、凸部が形成され、
前記基板洗浄装置が、
前記基板を保持するための保持部と、
前記基板の前記凸部に向けて第1の洗浄液を吐出するための洗浄ノズルとを備え、
前記第1の洗浄液が、前記基板の径方向内側の端部が前記凸部の上面に位置し、かつ、前記基板の径方向外側の端部が平面視で前記基板と重ならない前記基板の外側に位置する範囲に吐出される、
基板洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板洗浄装置であり、
前記保持部に保持された前記基板の平面視での中央部に第2の洗浄液を吐出する中央ノズルをさらに備え、
前記基板の前記中央部に吐出された前記第2の洗浄液が、前記基板の前記縁部における前記凸部に達する、
基板洗浄装置。
【請求項3】
請求項2に記載の基板洗浄装置であり、
前記保持部を回転させるための回転部をさらに備え、
前記基板に吐出された前記第2の洗浄液が、回転する前記基板の前記中央部から流れて前記凸部に達する、
基板洗浄装置。
【請求項4】
請求項1から3のうちのいずれか1つに記載の基板洗浄装置であり、
前記基板の端縁に接触する端縁ピンをさらに備え、
前記第1の洗浄液が、前記端縁ピンを含む範囲に吐出される、
基板洗浄装置。
【請求項5】
請求項1から3のうちのいずれか1つに記載の基板洗浄装置であり、
前記保持部が、ベルヌーイチャックで前記基板を保持する、
基板洗浄装置。
【請求項6】
請求項1から3のうちのいずれか1つに記載の基板洗浄装置であり、
前記基板の下面に接着剤で接着される、親水性のガラス板をさらに備える、
基板洗浄装置。
【請求項7】
基板を洗浄する基板洗浄方法であり、
前記基板の上面の縁部の少なくとも一部に、凸部が形成され、
前記基板を保持する工程と、
前記基板の前記凸部に向けて第1の洗浄液を吐出する工程とを備え、
前記第1の洗浄液が、前記基板の径方向内側の端部が前記凸部の上面に位置し、かつ、前記基板の径方向外側の端部が平面視で前記基板と重ならない前記基板の外側に位置する範囲に吐出される、
基板洗浄方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願明細書に開示される技術は、基板の洗浄技術に関するものである。処理対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用ガラス基板、有機EL(electroluminescence)表示装置などのflat panel display(FPD)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用ガラス基板、セラミック基板、電界放出ディスプレイ(field emission display、すなわち、FED)用基板、または、太陽電池用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置または液晶表示装置などの製造工程には、基板に薬液を供給して薬液処理を行う工程と、基板に純水(DIW)などの洗浄液を供給して洗浄処理を行う工程とが含まれる。
【0003】
一方で、処理の対象となる基板の形状にはいくつかの種類があり、たとえば、縁部に凸部を有する基板などが含まれる(たとえば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-48362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような凸部を有する基板を洗浄する場合、吐出された洗浄液が凸部の角部などに当たって液跳ねが生じ、液はねで生じる洗浄液の噴霧などによって処理室内が汚染される場合がある。また、基板の下面の洗浄が不十分になりやすい。
【0006】
本願明細書に開示される技術は、以上に記載されたような問題を鑑みてなされたものであり、凸部を有する基板を適切に洗浄するための技術である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願明細書に開示される技術の第1の態様である基板洗浄装置は、基板を洗浄する基板洗浄装置であり、前記基板の上面の縁部の少なくとも一部に、凸部が形成され、前記基板洗浄装置が、前記基板を保持するための保持部と、前記基板の前記凸部に向けて第1の洗浄液を吐出するための洗浄ノズルとを備え、前記第1の洗浄液が、前記基板の径方向内側の端部が前記凸部の上面に位置し、かつ、前記基板の径方向外側の端部が平面視で前記基板と重ならない前記基板の外側に位置する範囲に吐出される。
【0008】
本願明細書に開示される技術の第2の態様である基板洗浄装置は、第1の態様である基板洗浄装置に関連し、前記保持部に保持された前記基板の平面視での中央部に第2の洗浄液を吐出する中央ノズルをさらに備え、前記基板の前記中央部に吐出された前記第2の洗浄液が、前記基板の前記縁部における前記凸部に達する。
【0009】
本願明細書に開示される技術の第3の態様である基板洗浄装置は、第2の態様である基板洗浄装置に関連し、前記保持部を回転させるための回転部をさらに備え、前記基板に吐出された前記第2の洗浄液が、回転する前記基板の前記中央部から流れて前記凸部に達する。
【0010】
本願明細書に開示される技術の第4の態様である基板洗浄装置は、第1から3のうちのいずれか1つの態様である基板洗浄装置に関連し、前記基板の端縁に接触する端縁ピンをさらに備え、前記第1の洗浄液が、前記端縁ピンを含む範囲に吐出される。
【0011】
本願明細書に開示される技術の第5の態様である基板洗浄装置は、第1から4のうちのいずれか1つの態様である基板洗浄装置に関連し、前記保持部が、ベルヌーイチャックで前記基板を保持する。
【0012】
本願明細書に開示される技術の第6の態様である基板洗浄装置は、第1から5のうちのいずれか1つの態様である基板洗浄装置に関連し、前記基板の下面に接着剤で接着される、親水性のガラス板をさらに備える。
【0013】
本願明細書に開示される技術の第7の態様である基板洗浄方法は、基板を洗浄する基板洗浄方法であり、前記基板の上面の縁部の少なくとも一部に、凸部が形成され、前記基板を保持する工程と、前記基板の前記凸部に向けて第1の洗浄液を吐出する工程とを備え、前記第1の洗浄液が、前記基板の径方向内側の端部が前記凸部の上面に位置し、かつ、前記基板の径方向外側の端部が平面視で前記基板と重ならない前記基板の外側に位置する範囲に吐出される。
【発明の効果】
【0014】
本願明細書に開示される技術の少なくとも第1、7の態様によれば、洗浄ノズルから吐出される第1の洗浄液の吐出範囲を基板の凸部に限定して、第1の洗浄液の吐出範囲に凸部の段差部分が含まれないようにすることができる。よって、基板に吐出される第1の洗浄液が上記の段差部分で液はねを生じさせることを抑制することができる。
【0015】
また、本願明細書に開示される技術に関連する目的と、特徴と、局面と、利点とは、以下に示される詳細な説明と添付図面とによって、さらに明白となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施の形態に関する基板処理装置の構成の例を概略的に示す平面図である。
図2図1に例が示された制御部の構成の例を示す図である。
図3】実施の形態に関する処理ユニットの構成の例を概略的に示す図である。
図4】実施の形態で基板処理または洗浄の対象となる基板の形状の例を示す断面図である。
図5図4に示された基板の下面に保護プレートが接着している状態を示す断面図である。
図6図3に示されたスピンチャックの構成のうち、気体流路に関する構成の例を示す図である。
図7】プレートの平面図である。
図8】基板処理装置の動作のうちの、処理ユニットにおける動作を示すフローチャートである。
図9】縁部ノズルと基板との位置関係について説明するための図である。
図10】縁部ノズルから吐出される洗浄液の例を示す図である。
図11】縁部ノズルと基板との位置関係について説明するための図である。
図12】縁部ノズルから吐出される洗浄液の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、添付される図面を参照しながら実施の形態について説明する。以下の実施の形態では、技術の説明のために詳細な特徴なども示されるが、それらは例示であり、実施の形態が実施可能となるためにそれらすべてが必ずしも必須の特徴ではない。
【0018】
なお、図面は概略的に示されるものであり、説明の便宜のため、適宜、構成の省略、または、構成の簡略化などが図面においてなされるものである。また、異なる図面にそれぞれ示される構成などの大きさおよび位置の相互関係は、必ずしも正確に記載されるものではなく、適宜変更され得るものである。また、断面図ではない平面図などの図面においても、実施の形態の内容を理解することを容易にするために、ハッチングが付される場合がある。
【0019】
また、以下に示される説明では、同様の構成要素には同じ符号を付して図示し、それらの名称と機能とについても同様のものとする。したがって、それらについての詳細な説明を、重複を避けるために省略する場合がある。
【0020】
また、本願明細書に記載される説明において、ある構成要素を「備える」、「含む」または「有する」などと記載される場合、特に断らない限りは、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0021】
また、本願明細書に記載される説明において、「第1の」または「第2の」などの序数が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態の内容はこれらの序数によって生じ得る順序などに限定されるものではない。
【0022】
また、本願明細書に記載される説明において、「…軸正方向」または「…軸負方向」などの表現は、図示される…軸の矢印に沿う方向を正方向とし、図示される…軸の矢印とは反対側の方向を負方向とするものである。
【0023】
また、本願明細書に記載される説明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「側」、「底」、「表」または「裏」などの特定の位置または方向を意味する用語が使われる場合があっても、これらの用語は、実施の形態の内容を理解することを容易にするために便宜上使われるものであり、実施の形態が実際に実施される際の位置または方向とは関係しないものである。
【0024】
また、本願明細書に記載される説明において、「…の上面」または「…の下面」などと記載される場合、対象となる構成要素の上面自体または下面自体に加えて、対象となる構成要素の上面または下面に他の構成要素が形成された状態も含むものとする。すなわち、たとえば、「Aの上面に設けられるB」と記載される場合、AとBとの間に別の構成要素「C」が介在することを妨げるものではない。
【0025】
<実施の形態>
以下、本実施の形態に関する基板処理装置について説明する。基板処理装置は、基板の洗浄を含む基板処理を行う装置である。
【0026】
<基板処理装置の構成について>
図1は、本実施の形態に関する基板処理装置1の構成の例を概略的に示す平面図である。基板処理装置1は、ロードポート601と、インデクサロボット602と、センターロボット603と、制御部90と、少なくとも1つの処理ユニット600(図1においては4つの処理ユニット)とを備える。
【0027】
処理ユニット600は、基板処理に用いることができる枚葉式の装置であり、具体的には、基板Wに付着している有機物を除去する処理を行う装置である。基板Wに付着している有機物は、たとえば、使用済のレジスト膜である。当該レジスト膜は、たとえば、イオン注入工程用の注入マスクとして用いられたものである。
【0028】
なお、処理ユニット600は、チャンバ180を有することができる。その場合、チャンバ180内の雰囲気を制御部90によって制御することで、処理ユニット600は、所望の雰囲気中における基板処理を行うことができる。
【0029】
制御部90は、基板処理装置1におけるそれぞれの構成(後述のシャッタ50C、調整バルブ56、調整バルブ62、回転駆動源152A、回転駆動源160A、回転駆動部193など)の動作を制御することができる。キャリアCは、基板Wを収容する収容器である。また、ロードポート601は、複数のキャリアCを保持する収容器保持機構である。インデクサロボット602は、ロードポート601と基板載置部604との間で基板Wを搬送することができる。センターロボット603は、基板載置部604および処理ユニット600間で基板Wを搬送することができる。
【0030】
以上の構成によって、インデクサロボット602、基板載置部604およびセンターロボット603は、それぞれの処理ユニット600とロードポート601との間で基板Wを搬送する搬送機構として機能する。
【0031】
未処理の基板WはキャリアCからインデクサロボット602によって取り出される。そして、未処理の基板Wは、基板載置部604を介してセンターロボット603に受け渡される。
【0032】
センターロボット603は、当該未処理の基板Wを処理ユニット600に搬入する。そして、処理ユニット600は基板Wに対して処理を行う。
【0033】
処理ユニット600において処理済みの基板Wは、センターロボット603によって処理ユニット600から取り出される。そして、処理済みの基板Wは、必要に応じて他の処理ユニット600を経由した後、基板載置部604を介してインデクサロボット602に受け渡される。インデクサロボット602は、処理済みの基板WをキャリアCに搬入する。以上によって、基板Wに対する処理が行われる。
【0034】
図2は、図1に例が示された制御部90の構成の例を示す図である。制御部90は、電気回路を有する一般的なコンピュータによって構成されていてよい。具体的には、制御部90は、中央演算処理装置(central processing unit、すなわち、CPU)91、リードオンリーメモリ(read only memory、すなわち、ROM)92、ランダムアクセスメモリ(random access memory、すなわち、RAM)93、記録装置94、入力部96、表示部97および通信部98と、これらを相互に接続するバスライン95とを備える。
【0035】
ROM92は基本プログラムを格納している。RAM93は、CPU91が所定の処理を行う際の作業領域として用いられる。記録装置94は、フラッシュメモリまたはハードディスク装置などの不揮発性記録装置によって構成されている。入力部96は、各種スイッチまたはタッチパネルなどによって構成されており、ユーザーから処理レシピなどの入力設定指示を受ける。表示部97は、たとえば、液晶表示装置およびランプなどによって構成されており、CPU91の制御の下、各種の情報を表示する。通信部98は、local area network(LAN)などを介してのデータ通信機能を有する。
【0036】
記録装置94には、図1の基板処理装置1におけるそれぞれの構成の制御についての複数のモードがあらかじめ設定されている。CPU91が処理プログラム94Pを実行することによって、上記の複数のモードのうちの1つのモードが選択され、当該モードでそれぞれの構成が制御される。なお、処理プログラム94Pは、外部の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体を用いれば、制御部90に処理プログラム94Pをインストールすることができる。また、制御部90が実行する機能の一部または全部は、必ずしもソフトウェアによって実現される必要はなく、専用の論理回路などのハードウェアによって実現されてもよい。
【0037】
図3は、本実施の形態に関する処理ユニット600の構成の例を概略的に示す図である。なお、構成を理解しやすくする観点から、当該図面においては、一部の構成要素が省略、または、簡略化されて示される場合がある。
【0038】
処理ユニット600は、基板Wに対して、処理用の液体(すなわち、薬液、洗浄液またはリンス液を含む処理液)またはガスを用いる流体処理、紫外線などの電磁波を用いる処理、または、物理洗浄処理(たとえば、ブラシ洗浄またはスプレーノズル洗浄など)などの各種の処理(洗浄処理またはエッチング処理など)を行う。
【0039】
図3に例が示されるように、処理ユニット600は、内部空間を有する箱形の処理室50と、処理室50内で1枚の基板Wを水平姿勢で保持しつつ基板Wの中央部を通る鉛直な回転軸線Z1まわりに基板Wを回転させるスピンチャック51と、基板Wの回転軸線Z1まわりにスピンチャック51を取り囲む筒状の処理カップ511とを備える。
【0040】
処理室50は、箱状の隔壁50Aによって囲まれている。隔壁50Aには、処理室50内に基板Wを搬出入するための開口部50Bが形成されている。
【0041】
開口部50Bは、シャッタ50Cによって開閉される。シャッタ50Cは、シャッタ昇降機構(ここでは、ここでは、図示しない)によって、開口部50Bを覆う閉位置(図3において二点鎖線で示される)と、開口部50Bを開放する開位置(図3において実線で示される)との間で昇降させられる。
【0042】
基板Wの搬出入の際には、センターロボット603が、開口部50Bを通して処理室50内にロボットハンドを用いてアクセスする。これによって、スピンチャック51の上面に未処理の基板Wを配置させたり、または、スピンチャック51から処理済の基板Wを取り除いたりすることができる。
【0043】
図3に例が示されるように、スピンチャック51は、基板Wの下面に対向するプレート101と、プレート101の下面に連結される回転軸192と、回転軸192を回転軸線Z1まわりに回転させる回転駆動部193とを備える。
【0044】
図3に例が示されるように、処理ユニット600は、スピンチャック51に保持されている基板Wの上面の中央部に向けて純水(DIW)などの洗浄液を吐出する中央ノズル52と、中央ノズル52が先端に取り付けられているアーム152と、洗浄液供給源(ここでは、ここでは、図示しない)からの洗浄液を中央ノズル52に導く供給配管54と、供給配管54の内部を開閉する調整バルブ56とを備える。なお、本実施の形態では、中央ノズル52から洗浄液が吐出される場合が示されるが、中央ノズル52から吐出される処理液が、基板処理を行うための薬液であってもよい。
【0045】
アーム152は、回転駆動源152Aと、一端に取り付けられた回転駆動源152Aによって回転可能であり、かつ、他端に中央ノズル52が取り付けられたアーム部152Bとを備える。
【0046】
アーム152は、回転駆動源152Aによってアーム部152Bが回転することで、アーム部152Bの先端に取り付けられた中央ノズル52が、スピンチャック51に保持されている基板Wの上面に沿って移動可能となる。すなわち、アーム部152Bの先端に取り付けられた中央ノズル52が、水平方向に移動可能となる。ここで、回転駆動源152Aの駆動は、制御部90によって制御される。
【0047】
調整バルブ56の開閉は、制御部90によって制御される。洗浄液が中央ノズル52に供給される場合には、調整バルブ56が開かれる。一方、中央ノズル52への洗浄液の供給が停止される場合には、調整バルブ56が閉じられる。
【0048】
また、図3に例が示されるように、処理ユニット600は、スピンチャック51に保持されている基板Wの上面の縁部に向けて純水(DIW)などの洗浄液を吐出する縁部ノズル60と、縁部ノズル60が先端に取り付けられているアーム160と、洗浄液供給源(ここでは、ここでは、図示しない)からの洗浄液を縁部ノズル60に供給する供給配管61と、供給配管61から縁部ノズル60への洗浄液の供給および供給停止を切り替える調整バルブ62とを備える。
【0049】
アーム160は、回転駆動源160Aと、一端に取り付けられた回転駆動源160Aによって回転可能であり、かつ、他端に縁部ノズル60が取り付けられたアーム部160Bとを備える。
【0050】
アーム160は、回転駆動源160Aによってアーム部160Bが回転することで、アーム部160Bの先端に取り付けられた縁部ノズル60が、スピンチャック51に保持されている基板Wの上面に沿って移動可能となる。すなわち、アーム部160Bの先端に取り付けられた縁部ノズル60が、水平方向に移動可能となる。ここで、回転駆動源160Aの駆動は、制御部90によって制御される。
【0051】
中央ノズル52によって基板Wに洗浄液が供給されている状態で、縁部ノズル60からも洗浄液が基板Wに供給されることによって、基板Wなどに付着している異物などを効果的に洗い流すことができる。詳細については後述する。
【0052】
処理カップ511は、スピンチャック51の周囲を取り囲むように設けられており、図示しないモータによって、鉛直方向に昇降する。処理カップ511の上部は、その上端がスピンチャック51に保持された基板Wよりも上側となる上位置と、当該基板Wよりも下側になる下位置との間で昇降する。
【0053】
基板Wの上面から外側に飛散した処理液は、処理カップ511の内側面に受け止められる。そして、処理カップ511に受け止められた処理液は、処理室50の底部で、かつ、処理カップ511の内側に設けられた排液口513を通じて、処理室50の外部に適宜排液される。
【0054】
また、処理室50の側部には、処理カップ511へ通じる排気口515が設けられている。排気口515を通じて、処理室50内の雰囲気が処理室50外に適宜排出される。
【0055】
<基板の形状について>
基板Wは、薄い平板形状を有する。基板Wは、平面視で略円形状を有する。基板Wは、縁部に形成された凸部12と主部13とを有する。図4においては、凸部12は基板Wの円周全体に渡って設けられるものとするが、凸部12が基板Wの円周の一部に設けられる場合であってもよい。
【0056】
主部13は、凸部12の内側に位置する基板Wの部分である。半導体デバイスは、主部13に形成される。凸部12は、主部13に対して凸形状となっている。
【0057】
図4は、本実施の形態で基板処理または洗浄の対象となる基板Wの形状の例を示す断面図である。また、図5は、図4に示された基板Wの下面に保護プレート15が接着している状態を示す断面図である。
【0058】
基板Wは、主部13が凸部12よりも凹むことによって形成される凹部14を有する。凹部14は、たとえば、研削処理(グラインド処理)によって形成される。図5においては、凹部14が形成される面とは反対側の基板Wの面(すなわち、基板Wの下面)に、ガラス製の保護プレート15が接着している。保護プレート15は親水性である。保護プレート15は、たとえば、基板本体11に貼り付けられる。
【0059】
基板Wの主部13は、厚みT1を有する。また、基板Wの主部13および保護プレート15を合わせた厚みは、厚みT3である。厚みT1は、たとえば、10[μm]以上200[μm]以下である。厚みT3は、たとえば、800[μm]以上1200[μm]以下である。
【0060】
なお、基板Wは、基板本体11のみから構成されていてもよいし、基板本体11に加えて、樹脂被膜、樹脂テープ、樹脂シートおよび樹脂フィルムの少なくともいずれかを含んでいてもよい。
【0061】
基板Wの凸部12は、厚みT4を有する。また、基板Wの凸部12および保護プレート15を合わせた厚みは、厚みT6である。厚みT4は、たとえば、600[μm]以上1000[μm]以下である。厚みT6は、たとえば、1400[μm]以上2200[μm]以下である。
【0062】
図6は、図3に示されたスピンチャック51の構成のうち、気体流路に関する構成の例を示す図である。図6では、簡単のため回転駆動部193などの図示は省略される。
【0063】
スピンチャック51は、プレート101を備える。プレート101は、略円盤形状を有する。プレート101は、上面102を有する。上面102は、略水平である。上面102は、略平坦である。
【0064】
回転軸192は、プレート101の下部に連結される。回転軸192は、図示しない回転駆動部193の駆動によってプレート101を回転させる。そうすることによって、プレート101は、回転軸線A3回りに回転する。回転軸線A3は、Z軸方向と平行である。回転軸線A3は、プレート101の中心を通る。
【0065】
図7は、プレート101の平面図である。プレート101の上面102は、平面視において、円形である。プレート101の上面102は、平面視において、基板Wよりも大きい。
【0066】
スピンチャック51は、複数(たとえば、30個)の固定ピン103を備える。固定ピン103は、基板Wの縁部を下方から支持する。それぞれの固定ピン103は、プレート101に固定される。
【0067】
固定ピン103は、プレート101の上面102の縁部に配置される。固定ピン103は、平面視で、回転軸線A3回りの円周上に配列される。それぞれの固定ピン103は、互いに離れている。
【0068】
図6および図7を参照すると、固定ピン103は、プレート101の上面102から上方(Z軸正方向)に突出する。固定ピン103は、基板Wの下面16(図4における凸部12の下面、または、図5における保護プレート15の縁部の下面)と接触する。これによって、固定ピン103は、プレート101の上面102よりも高い位置で基板Wを支持する。図7では、固定ピン103に支持される基板Wが破線で示されている。
【0069】
固定ピン103は、基板Wの上面17と接触しない。固定ピン103は、基板Wが固定ピン103に対して上方に移動することを許容する。固定ピン103は、基板Wの端縁20(すなわち、基板Wの側面)とは接触しない。固定ピン103自体は、基板Wが固定ピン103に対して滑ることを許容する。このように、固定ピン103自体は、基板Wを保持しない。
【0070】
スピンチャック51は、気体吹出口104を備える。気体吹出口104は、プレート101の上面102に形成される。気体吹出口104は、平面視において、固定ピン103に支持される基板Wと重なる位置に配置される。気体吹出口104は、上方(Z軸正方向)に気体を吹き出す。気体吹出口104は、プレート101の上面102と固定ピン103に支持される基板Wの下面16(図4における凸部12の下面、または、図5における保護プレート15の縁部の下面)との間に、気体を吹き出す。気体吹出口104は、固定ピン103に支持される基板Wの下方の位置から、基板Wに気体を吹き出す。気体は、プレート101の上面102と固定ピン103に支持される基板Wの下面16との間に供給される。
【0071】
気体は、固定ピン103に支持される基板Wの下面16に沿って流れる。これによって、気体吹出口104は、基板Wを吸引する。具体的には、気体が基板Wの下面16に沿って流れることによって、負圧が形成される。すなわち、基板Wの下面16が受ける気圧は、基板Wの上面17が受ける気圧よりも小さい。そうすると、ベルヌーイの原理によって、基板Wに下向きの力が働く(ベルヌーイチャック)。すなわち、基板Wが下方に吸引される。基板Wは気体吹出口104およびプレート101に向かって吸引される。ただし、気体吹出口104は、基板Wと接触しない。また、プレート101も、基板Wと接触しない。
【0072】
気体吹出口104が基板Wを下方に吸引し、かつ、固定ピン103が基板Wの下面16と接触することによって、基板Wは支持され、かつ、所定の位置に保たれる。基板Wに働く吸引力によって、基板Wは固定ピン103に対して水平方向に滑らない。すなわち、スピンチャック51は、基板Wを保持する。
【0073】
気体吹出口104は、1つの吹出口105と複数の吹出口106とを備える。吹出口105は、プレート101の上面102の中央部に配置される。吹出口105は、プレート101の回転軸線A3上に配置される。吹出口106は、吹出口105よりも、プレート101の回転軸線A3の径方向外方に配置される。また、吹出口106は、固定ピン103よりも、プレート101の回転軸線A3の径方向内方に配置される。吹出口106は、平面視で、回転軸線A3回りの円周上に配列される。
【0074】
スピンチャック51は、気体供給路107と気体供給路108とを備える。気体供給路107は、吹出口105に気体を供給する。気体供給路108は、吹出口106に気体を供給する。気体供給路107の一部および気体供給路108の一部は、プレート101の内部に形成されている。気体供給路107は、第1の端と第2の端を有する。気体供給路107の第1の端は、気体供給源109に接続される。気体供給路107の第2の端は、吹出口105に接続される。気体供給路108は、第1の端と第2の端を有する。気体供給路108の第1の端は、気体供給源109に接続される。気体供給路108の第2の端は、吹出口106に接続される。吹出口105および吹出口106に供給される気体は、たとえば、窒素ガスまたは空気である。吹出口105および吹出口106に供給される気体は、たとえば、高圧ガスまたは圧縮ガスである。
【0075】
スピンチャック51は、吹出調整部111と吹出調整部112とを備える。吹出調整部111は、気体供給路107に設けられる。吹出調整部112は、気体供給路108に設けられる。吹出調整部111は、吹出口105が吹き出す気体の流量を調整する。すなわち、吹出調整部111は、吹出口105に供給される気体の流量を調整する。吹出調整部112は、吹出口106が吹き出す気体の流量を調整する。すなわち、吹出調整部112は、吹出口106に供給される気体の流量を調整する。吹出口105が吹き出す気体の流量が大きくなるにしたがって、基板Wに作用する吸引力は大きくなる。吹出口106が吹き出す気体の流量が大きくなるにしたがって、基板Wに作用する吸引力は大きくなる。
【0076】
吹出調整部111および吹出調整部112は、互いに独立して、作動可能である。よって、吹出口105が吹き出す気体の流量と、吹出口106が吹き出す気体の流量とを、互いに独立して調整可能である。吹出調整部111と吹出調整部112とはそれぞれ、たとえば、流量調整弁を含む。吹出調整部111と吹出調整部112とはそれぞれ、さらに、開閉弁を含んでもよい。
【0077】
図7に示されるように、スピンチャック51は、複数(たとえば、6個)の位置調整ピン113を備える。位置調整ピン113は、プレート101に支持される。位置調整ピン113は、プレート101に対して水平方向に移動可能である。位置調整ピン113がプレート101に対して移動することによって、位置調整ピン113は、固定ピン103に支持される基板Wと接触することができ、かつ、固定ピン103に支持された基板Wから離れることもできる。より詳しくは、位置調整ピン113は、固定ピン103に支持される基板Wの端縁20と接触可能である。位置調整ピン113は、固定ピン103に支持された基板Wの位置を調整する。位置調整ピン113は、水平方向における基板Wの位置を調整する。位置調整ピン113は、固定ピン103に支持される基板Wの中心Jを、プレート101の回転軸線A3上に位置させる。
【0078】
本実施の形態では、基板Wと接触している位置調整ピン113の位置を「調整位置」という。また、基板Wから離れている位置調整ピン113の位置を「退避位置」という。位置調整ピン113は、調整位置と退避位置とに移動可能である。
【0079】
位置調整ピン113は、プレート101の上面102の縁部に配置される。位置調整ピン113は、平面視で、回転軸線A3回りの円周上に配列される。位置調整ピン113は、固定ピン103に支持された基板Wと略同じ高さ位置に配置される。
【0080】
スピンチャック51は、複数(たとえば6個)のリフトピン116を備える。リフトピン116は、プレート101の上面102の周縁部に配置される。位置調整ピン113は、平面視で、回転軸線A3回りの円周上に配列される。
【0081】
リフトピン116は、プレート101に支持される。リフトピン116は、プレート101に対して上下方向(Z軸方向)に移動可能に支持される。リフトピン116は、基板Wを支持する。リフトピン116は、リフトピン116が支持する基板Wを上下方向(Z軸方向)に移動させる。
【0082】
リフトピン116は、上位置に位置することによって、基板Wの搬入搬出時に、基板Wをセンターロボット603に受け渡すことを容易にする。また、リフトピン116は、下位置に位置することによって、固定ピン103に基板Wを渡す。リフトピン116が固定ピン103に基板Wを渡した後、リフトピン116はさらにプレート101に対して下方に移動し、固定ピン103に支持される基板Wから離れる。
【0083】
<基板処理装置の動作について>
次に、基板処理装置1の動作の例について、図8を参照しつつ説明する。具体的には、基板Wの洗浄を含む基板処理方法について説明する。なお、図8は、基板処理装置1の動作のうちの、処理ユニット600における動作を示すフローチャートである。
【0084】
インデクサロボット602は、ロードポート601におけるキャリアCから基板載置部604に基板Wを搬送する。センターロボット603は、基板載置部604から1つの処理ユニット600に基板Wを搬送する。処理ユニット600は、基板Wを処理する。センターロボット603は、処理ユニット600から基板載置部604に基板Wを搬送する。インデクサロボット602は、基板載置部604からロードポート601におけるキャリアCに基板Wを搬送する。
【0085】
処理ユニット600においては、複数のガイドピンおよび固定ピン103によって基板Wの端部および下面が支持される。これによって基板Wは、一応はスピンチャック51に保持されることとなる。
【0086】
ここで、吹出調整部111および吹出調整部112が制御部90によって適切に制御されることで、吹出口105および吹出口106から窒素などの不活性ガスが吹き出される。これによって、吹出口105から吹き出す気体は基板Wの下面の中央部に吹き付けられ、さらに、基板Wの径方向外側へ流れる。また、吹出口106から吹き出す気体は基板Wの下面の周辺部に径方向外側へ傾斜しつつ吹き付けられ、さらに、基板Wの径方向外側へ流れる。基板Wはベルヌーイの原理でスピンチャック51に非接触で保持される(ベルヌーイチャック)。
【0087】
処理ユニット600における基板処理としては、まず、基板Wの上面に形成されている有機物などからなる膜の厚さを測定してもよい。膜厚測定には、たとえば、図示しない光学式の変位センサなどが用いられる。膜厚測定では、基板Wを、たとえば100rpmなどで回転させながら測定が行われるが、たとえば基板Wを1200rpmなどで回転させることによって、膜厚測定に要する時間を短縮することもできる。次に、基板Wの上面に薬液(たとえば、フッ化水素酸(HF)と硝酸(HNO)との混合液であるフッ硝酸、または、さらに硫酸とリン酸とを混合させた薬液)を供給して所定の薬液処理を行う(図8におけるステップST01)。
【0088】
その後、基板Wに純水(DIW)などの洗浄液を供給して洗浄処理を行う(図8におけるステップST02)。
【0089】
さらに、基板Wを高速回転させることによって洗浄液を振り切り、それによって基板Wを乾燥させる(図8におけるステップST03)。
【0090】
上記のうちの薬液処理は、中央ノズル52または他のノズルから基板Wの上面に薬液を吐出することによって行われる。また、洗浄処理は、中央ノズル52および縁部ノズル60から基板Wの上面に洗浄液を吐出することによって行われる。ただし、洗浄処理においては、中央ノズル52および縁部ノズル60のうちのいずれか一方のみが使われてもよい。
【0091】
<洗浄処理について>
次に、上記の基板処理のうちの洗浄処理について説明する。図9は、縁部ノズル60と基板Wとの位置関係について説明するための図である。
【0092】
図9に例が示されるように、縁部ノズル60は、縁部ノズル60の径方向内側の端部60Aが、基板Wの凸部12の上面に平面視で重なるように配置される。また、縁部ノズル60は、縁部ノズル60の径方向外側の端部60Bが、基板Wとは重ならない基板Wの外側に配置される。なお、縁部ノズル60の、基板Wの周方向における位置は特に限定されない。
【0093】
図9に示される例では、端部60Aが平面視で凸部12の径方向の中心位置である径方向中心12Bに重なるように、縁部ノズル60が配置されているが、縁部ノズル60の端部60Aが、凸部12の径方向内側の端部12Aに重なるように配置されてもよい。ただし、縁部ノズル60から吐出される洗浄液の吐出範囲のばらつきを考慮すると、縁部ノズル60の端部60Aが、凸部12の端部12Aよりも基板Wの径方向外側に位置しつつ、凸部12の径方向外側の端部12Cよりも基板Wの径方向内側に位置していることが望ましい。
【0094】
そうすることによって、縁部ノズル60から吐出される洗浄液の吐出範囲を基板Wの凸部12の上面に限定して、洗浄液の吐出範囲に、凸部12と主部13との間の段差部分(具体的には、凸部12の径方向内側の角部、凸部12の径方向内側の側面、主部13の径方向外側の端部で形成される段差部分)が含まれないようにすることができる。よって、基板Wに吐出される洗浄液が上記の段差部分で液はねを生じさせることを抑制することができる。その結果、処理室50内が上記の液はねで生じる洗浄液の噴霧などによって汚染されることを抑制することができる。
【0095】
図10は、縁部ノズル60から吐出される洗浄液の例を示す図である。図10では、図9に示されるように配置された縁部ノズル60から、基板Wの凸部12に向けて洗浄液70が吐出されている。
【0096】
洗浄液70は、吐出範囲が端部12Aよりも基板Wの径方向外側に限定された状態で、縁部ノズル60から基板Wの凸部12に吐出される。よって、基板Wに吐出される洗浄液が上記の段差部分で液はねを生じさせることを抑制することができる。
【0097】
また、洗浄液70は、基板Wとは重ならない基板Wの外側にも吐出されるため、基板Wの径方向外側に液はねする成分を吸収して、基板Wの下面にも効果的に回り込んで洗浄することができる。ここで、図10に示されるように、基板Wと保護プレート15とを接着する接着剤80が薬液処理などによって浸食されている場合には、基板Wの下面に回り込んだ洗浄液70によって、接着剤80に付着している異物も含めて洗浄可能である。
【0098】
なお、図9および図10に示される例では、洗浄液70は縁部ノズル60からZ軸負方向に吐出されているが、洗浄液70が、たとえばZ軸方向に対して傾斜するように吐出されてもよい。その場合には、縁部ノズル60は必ずしも基板Wの凸部12の上方(Z軸正方向)に位置している必要はない。
【0099】
また、図10の例では、中央ノズル52(図3)からも洗浄液71を吐出して、洗浄液71が(回転する基板Wによる遠心力などによって)凸部12にまで達している場合が示されている。このように、基板Wの中央部から基板Wの径方向外側へ向けて流れる洗浄液71が凸部12に達していることによって、凸部12と主部13との間の段差部分で生じ得る液はねを洗浄液71の流れで吸収して、当該液はねで生じる洗浄液の噴霧などを効果的に抑制することができる。
【0100】
洗浄処理の順序としては、たとえば、まず、スピンチャック51によってたとえば200rpmで回転している基板Wの上面の中央部に中央ノズル52から洗浄液71をたとえば1500ml/minで吐出することで、遠心力で洗浄液71を径方向外側へ流しつつ、基板Wの上面全体を洗浄する。次に、基板Wの凸部12に縁部ノズル60から洗浄液70をたとえば500ml/minで吐出することで、基板Wの凸部12に付着している異物などを集中的に洗浄する。この際、中央ノズル52からも洗浄液71をたとえば1500ml/minで吐出することで、基板Wの凸部12と主部13との間の段差部分で生じ得る液はねを抑制することができる。最後に、再度中央ノズル52から洗浄液71を吐出することで、凸部12の洗浄後に凸部12に残存する異物を含めて基板W全体を洗浄することができる。
【0101】
図11は、縁部ノズル60と基板Wとの位置関係について説明するための図である。
【0102】
図11に例が示されるように、縁部ノズル60は、縁部ノズル60の端部60Aが基板Wの凸部12の上面に平面視で重なるように配置される。また、縁部ノズル60は、縁部ノズル60の径方向外側の端部60Bが、基板Wとは重ならない基板Wの外側に配置される。
【0103】
図11に示される例では、縁部ノズル60の径方向外側の端部60Bが、基板Wの径方向外側に配置されている位置調整ピン113およびリフトピン116が洗浄液の吐出範囲に含まれるように、位置調整ピン113およびリフトピン116よりも径方向外側に配置されている。ここで、位置調整ピン113およびリフトピン116は、基板Wの端縁20に接触する端縁ピンである。
【0104】
そうすることによって、縁部ノズル60から吐出される洗浄液の吐出範囲を基板Wの凸部12の上面に限定して、洗浄液の吐出範囲に、凸部12と主部13との間の段差部分が含まれないようにすることができる。よって、基板Wに吐出される洗浄液が上記の段差部分で液はねを生じさせることを抑制することができる。
【0105】
また、縁部ノズル60から吐出される洗浄液によって、基板Wの径方向外側に配置されている位置調整ピン113およびリフトピン116を合わせて洗浄することができる。
【0106】
図12は、縁部ノズル60から吐出される洗浄液の例を示す図である。図12では、図11に示されるように配置された縁部ノズル60から、基板Wの凸部12に向けて洗浄液70が吐出されている。
【0107】
洗浄液70は、吐出範囲が端部12Aよりも基板Wの径方向外側に限定された状態で、縁部ノズル60から基板Wの凸部12に吐出される。また、洗浄液70は、基板Wとは重ならない基板Wの外側の位置調整ピン113およびリフトピン116を含む範囲にも吐出されるため、基板Wの径方向外側に液はねする成分を吸収しつつ、基板Wの下面、位置調整ピン113およびリフトピン116を合わせて洗浄することができる。なお、図12に示されるように、基板Wを支持する固定ピン103も合わせて洗浄することも可能である。
【0108】
なお、図12の例では、中央ノズル52(図3)からも洗浄液71を吐出して、洗浄液71が凸部12にまで達している場合が示されている。このように、基板Wの中央部から基板Wの径方向外側へ向けて流れる洗浄液71が凸部12に達していることによって、凸部12と主部13との間の段差部分で生じ得る液はねを径方向外側への流速で吸収して、当該液はねで生じる洗浄液の噴霧などを効果的に抑制することができる。
【0109】
<以上に記載された実施の形態によって生じる効果について>
次に、以上に記載された実施の形態によって生じる効果の例を示す。なお、以下の説明においては、以上に記載された実施の形態に例が示された具体的な構成に基づいて当該効果が記載されるが、同様の効果が生じる範囲で、本願明細書に例が示される他の具体的な構成と置き換えられてもよい。すなわち、以下では便宜上、対応づけられる具体的な構成のうちのいずれか1つのみが代表して記載される場合があるが、代表して記載された具体的な構成が対応づけられる他の具体的な構成に置き換えられてもよい。
【0110】
以上に記載された実施の形態によれば、基板洗浄装置は、保持部と、洗浄ノズルとを備える。ここで、保持部は、たとえば、プレート101を有するスピンチャック10などに対応するものである。また、洗浄ノズルは、たとえば、縁部ノズル60などに対応するものである。基板Wの上面の縁部の少なくとも一部に、凸部12が形成される。プレート101は、基板Wを保持する。縁部ノズル60は、基板Wの凸部12に向けて洗浄液70を吐出する。ここで、第1の洗浄液は、たとえば、洗浄液70などに対応するものである。洗浄液70は、基板Wの径方向内側の端部60Aが凸部12の上面に位置し、かつ、基板Wの径方向外側の端部60Bが平面視で基板Wと重ならない基板Wの外側に位置する範囲に吐出される。
【0111】
このような構成によれば、縁部ノズル60から吐出される洗浄液70の吐出範囲を基板Wの凸部12の上面に限定して、洗浄液70の吐出範囲に、凸部12と主部13との間の段差部分が含まれないようにすることができる。よって、基板Wに吐出される洗浄液が上記の段差部分で液はねを生じさせることを抑制することができる。その結果、処理室50内が上記の液はねで生じる洗浄液の噴霧などによって汚染されることを抑制することができる。また、洗浄液70の吐出範囲が、基板Wとは重ならない基板Wの外側にも及んでいるため、基板Wの径方向外側に液はねする成分も吸収しつつ、基板Wの下面に効果的に回り込んで洗浄することができる。
【0112】
なお、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0113】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板洗浄装置は、プレート101に保持された基板Wの平面視での中央部に第2の洗浄液を吐出する中央ノズル52を備える。ここで、第2の洗浄液は、たとえば、洗浄液71などに対応するものである。そして、基板Wの中央部に吐出された洗浄液71が、基板Wの縁部における凸部12に達する。このような構成によれば、基板Wの中央部から基板Wの径方向外側へ向けて流れる洗浄液71が凸部12に達していることによって、凸部12と主部13との間の段差部分で生じ得る液はねを径方向外側への流速で吸収して、当該液はねで生じる洗浄液の噴霧などを効果的に抑制することができる。
【0114】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板洗浄装置は、プレート101を回転させるための回転部を備える。ここで、回転部は、たとえば、回転駆動部193などに対応するものである。そして、基板Wに吐出された洗浄液71が、回転する基板Wの中央部から流れて凸部12に達する。このような構成によれば、中央ノズル52から吐出された洗浄液71が、基板Wの回転によって生じる遠心力によって、スムーズに基板Wの凸部12に到達する。また、上記の遠心力によって、縁部ノズル60から吐出された洗浄液70が基板Wの径方向内側へ流れ込むことも抑制することができる。
【0115】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板洗浄装置は、基板Wの端縁20に接触する端縁ピンを備える。ここで、端縁ピンは、たとえば、位置調整ピン113、リフトピン116などのうちの少なくとも1つに対応するものである。そして、洗浄液70が、端縁ピンを含む範囲に吐出される。このような構成によれば、縁部ノズル60から吐出される洗浄液によって、基板Wの径方向外側に配置されている位置調整ピン113およびリフトピン116を合わせて洗浄することができる。
【0116】
また、以上に記載された実施の形態によれば、プレート101が、ベルヌーイチャックで基板Wを保持する。このような構成によれば、基板Wの下面側には窒素ガスなどが流れているため洗浄液が基板Wの下面に回り込むことが妨げられる場合があるが、縁部ノズル60から基板Wの凸部12に向けて集中的に洗浄液70を吐出することによって、基板Wの凸部12および基板Wの下面を効果的に洗浄することができる。
【0117】
また、以上に記載された実施の形態によれば、基板洗浄装置は、基板Wの下面に接着剤で接着される、親水性のガラス板を備える。ここで、ガラス板は、たとえば、保護プレート15などに対応するものである。このような構成によれば、基板Wの下面に接着される保護プレート15が親水性であることによって、純水などの洗浄液が基板Wの下面側に回り込みやすくなる。よって、基板Wの下面における洗浄を促進することができる。
【0118】
以上に記載された実施の形態によれば、基板洗浄方法において、基板Wを保持する工程と、基板Wの凸部12に向けて洗浄液70を吐出する工程とを備える。そして、洗浄液70が、基板Wの径方向内側の端部が凸部12の上面に位置し、かつ、基板Wの径方向外側の端部が平面視で基板Wと重ならない基板Wの外側に位置する範囲に吐出される。
【0119】
このような構成によれば、縁部ノズル60から吐出される洗浄液70の吐出範囲を基板Wの凸部12の上面に限定して、洗浄液70の吐出範囲に、凸部12と主部13との間の段差部分が含まれないようにすることができる。よって、基板Wに吐出される洗浄液が上記の段差部分で液はねを生じさせることを抑制することができる。その結果、処理室50内が上記の液はねで生じる洗浄液の噴霧などによって汚染されることを抑制することができる。また、洗浄液70の吐出範囲が、基板Wとは重ならない基板Wの外側にも及んでいるため、基板Wの径方向外側に液はねする成分も吸収しつつ、基板Wの下面に効果的に回り込んで洗浄することができる。
【0120】
なお、特段の制限がない場合には、それぞれの処理が行われる順序は変更することができる。
【0121】
また、上記の構成に本願明細書に例が示された他の構成を適宜追加した場合、すなわち、上記の構成としては言及されなかった本願明細書中の他の構成が適宜追加された場合であっても、同様の効果を生じさせることができる。
【0122】
<以上に記載された実施の形態の変形例について>
以上に記載された実施の形態では、それぞれの構成要素の材質、材料、寸法、形状、相対的配置関係または実施の条件などについても記載する場合があるが、これらはすべての局面においてひとつの例であって、限定的なものではないものとする。
【0123】
したがって、例が示されていない無数の変形例と均等物とが、本願明細書に開示される技術の範囲内において想定される。たとえば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合が含まれるものとする。
【0124】
また、以上に記載された少なくとも1つの実施の形態において、特に指定されずに材料名などが記載された場合は、矛盾が生じない限り、当該材料に他の添加物が含まれた、たとえば、合金などが含まれるものとする。
【符号の説明】
【0125】
12 凸部
12A 端部
12C 端部
16 下面
17 上面
20 端縁
52 中央ノズル
60A 端部
60B 端部
70 洗浄液
71 洗浄液
80 接着剤
102 上面
W 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12