(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018424
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】電子機器および電子機器の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 5/00 20060101AFI20240201BHJP
H05K 5/03 20060101ALI20240201BHJP
H01R 13/52 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H05K5/00 A
H05K5/03 D
H01R13/52 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121766
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006220
【氏名又は名称】ミツミ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100173691
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 康久
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】石丸 博史
【テーマコード(参考)】
4E360
5E087
【Fターム(参考)】
4E360AB14
4E360BA01
4E360BA04
4E360BC01
4E360BD05
4E360CA02
4E360EA18
4E360ED02
4E360ED28
4E360GA07
4E360GA53
5E087EE02
5E087FF03
5E087FF06
5E087HH01
5E087LL04
5E087LL17
5E087MM02
5E087RR12
(57)【要約】
【課題】レセプタクルコネクタを外部に露出させるための開口部を覆うカバーの筐体からの離脱を防止し、さらに、筐体内部においてカバーを支持することができる電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器1は、レセプタクルコネクタ5と、レセプタクルコネクタ5を外部に露出させる開口部232および係止突起25を備える筐体2と、開口部232を開閉可能に覆うカバー3と、を含んでいる。カバー3は、開口部232を覆うためのカバー本体31とカバー係止部32と、を備え、カバー係止部32は、係止突起25を挿通させるための開口323を有している。係止突起25は、筐体2の内部表面から筐体2の内側に向かって延伸する係止部251と、支持部252を有している。係止部251は、カバー係止部32の開口323の内側に位置し、カバー係止部32は、支持部252上に載置されている。
【選択図】
図13
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手側コネクタと嵌合可能なレセプタクルコネクタと、
前記レセプタクルコネクタを内部に収納し、前記レセプタクルコネクタを外部に露出させるための開口部および内部表面から内側に向かって延伸する係止突起を備える筐体と、
前記筐体に取り付けられ、前記開口部を開閉可能に覆うカバーと、を含み、
前記カバーは、前記筐体の前記開口部を覆うためのカバー本体と、前記カバー本体から延伸するカバー係止部と、を備え、
前記カバー係止部は、前記筐体の前記係止突起を挿通させるための開口を備え、
前記筐体の前記係止突起は、前記筐体の前記内部表面から前記筐体の内側に向かって延伸する係止部と、前記係止部から外側に延伸する支持部を有し、
前記筐体の前記係止突起の前記係止部は、前記カバーの前記カバー係止部の前記開口の内側に位置し、
前記カバーの前記カバー係止部は、前記係止突起の前記支持部上に載置されることを特徴とする電子機器。
【請求項2】
前記筐体は、前記カバーの前記カバー係止部を挿通させるためのスリットを備え、
前記カバーの前記カバー係止部は、前記スリットを介して、前記筐体内に挿入されている請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記筐体の前記係止突起の前記支持部は、前記カバーの前記カバー係止部と対向する平坦な第1の面と、前記第1の面の反対側であり、前記係止部から斜め方向に延伸する第2の面と、を備えており、
前記筐体の前記係止突起の前記支持部の厚さは、前記係止部から離間するにしたがって漸減している請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記筐体内に収納され、前記レセプタクルコネクタが搭載された基板を含み、
前記係止突起は、前記筐体に設けられた前記基板と対向する平坦な当接面を有しており、
前記当接面は、前記基板と当接している請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項5】
前記カバーの前記カバー係止部の前記開口は、前記相手側コネクタの挿抜方向に、互いに離間して延伸する一対の縦縁と、前記挿抜方向に対して直交する方向に、互いに離間して延伸し、かつ、前記一対の縦縁の間を接続する一対の横縁と、によって規定されており、
前記係止突起の前記支持部の前記外側への突出量は、前記一対の縦縁のそれぞれの幅以上である請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項6】
前記支持部の前記相手側コネクタの前記挿抜方向における長さは、前記カバー係止部の前記縦縁の前記挿抜方向の長さの10~30%の範囲内である請求項5に記載の電子機器。
【請求項7】
前記筐体の前記係止突起は、前記支持部から前記相手側コネクタの挿抜方向に延伸する延伸部を備えている請求項1または2に記載の電子機器。
【請求項8】
相手側コネクタと嵌合可能なレセプタクルコネクタを内部に収納し、前記レセプタクルコネクタを外部に露出させるための開口部と、内部表面から延伸する係止突起と、スリットと、を備える筐体と、前記筐体に取り付けられ、前記開口部を開閉可能に覆うためのカバー本体と、前記カバー本体から延伸し、前記筐体の前記係止突起を挿通させるための開口を有するカバー係止部と、を備えるカバーと、を含む電子機器の製造方法であって、
前記筐体内に、前記スリットを介して、前記カバーの前記カバー係止部を挿入する工程と、
前記カバーの前記カバー係止部の前記開口を弾性変形させて、前記筐体の前記係止突起を前記カバー係止部の前記開口に挿通し、前記カバーを前記筐体に取り付ける工程と、を含み、
前記筐体の前記係止突起は、前記筐体の前記内部表面から延伸する係止部と、前記係止部から外側に延伸する支持部と、を有し、
前記筐体の前記係止突起の前記係止部は、前記カバーの前記カバー係止部の前記開口の内側に位置し、
前記カバーの前記カバー係止部は、前記筐体の前記係止突起の前記支持部上に載置されることを特徴とする電子機器の製造方法。
【請求項9】
前記筐体の前記係止突起の前記支持部は、前記カバーの前記カバー係止部と対向する平坦な第1の面と、前記第1の面の反対側であり、前記係止部から斜め方向に延伸する第2の面と、を備え、
前記筐体の前記支持部の厚さは、前記係止部から離間するにしたがって漸減しており、
前記カバーの前記カバー係止部の前記開口に、前記筐体の前記係止突起を挿通し、前記カバーを前記筐体に取り付ける前記工程は、
前記カバーの前記カバー係止部の少なくとも一部を、前記筐体の前記係止突起の前記支持部の前記第2の面上において、滑らせる工程を含む請求項8に記載の電子機器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、電子機器および電気機器の製造方法に関し、より具体的には、電子機器の筐体の内部表面から延伸する係止部と、係止部から外側に延伸する支持部を有する係止突起を筐体に設け、カバーのカバー係止部の開口の内側に、係止突起の係止部を位置させ、かつ、筐体の係止突起の支持部にカバー係止部を支持させることにより、カバーの筐体外部への離脱、および、筐体内部におけるカバー係止部の脱落を防止可能で、より組立性の良好な電子機器および電気機器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、多くの電子機器(例えば、パーソナルコンピューター、PDA、カメラ、携帯電話機等)は、外部機器との配線を介した接続を確立して、外部機器との相互データ通信を行ったり、外部電源と接続して充電を行ったりするために、対応する相手側コネクタ(プラグコネクタ)と嵌合可能なレセプタクルコネクタを備えている。特に、モバイル電子機器においては、機器本体のモバイル性に配慮して、筐体の一部に開口を設け、この開口から、相手側コネクタと嵌合可能なレセプタクルコネクタが外部に露出している。このようなレセプタクルコネクタは、相手側コネクタを接続しない場合に開口部を覆うために筐体に取り付けられたカバーを備えていることが多い。このカバーは、相手側コネクタがレセプタクルコネクタに接続されていない時のレセプタクルコネクタへの塵埃や水の侵入を防止すると共に、衝撃等から保護するレセプタクルコネクタ機能を有しており、樹脂又はゴム等の弾性材料で成形されている。
【0003】
一般的なカバーの構造の1つとして、着脱式の構造が知られている。着脱式のカバーは電子機器から完全に分離可能であり、カバーを筐体の開口に取り付ける際には、レセプタクルコネクタや開口の構造の凹凸にカバーが嵌合することで、カバーが筐体に保持される。しかしながら、このような着脱式のカバーは、簡単にカバーの着脱が可能というメリットを有するが、カバーが筐体から不用意に離脱してしまうというデメリットを有している。
【0004】
そこで、特許文献1に開示されているように、カバーの一部を筐体によって支持させる構造(固定式構造)が用いられている。固定式構造のカバーは、筐体に支持されている部分を支点として、カバーの一部を筐体に固定したまま、開口部に対して開閉可能な構造となっている。固定式構造によれば、製品の組立後において、カバーの一部が、筐体に支持されるため、カバーが筐体から離脱してしまう事を防ぐことが可能である。
【0005】
図1~4に従来の固定式構造のカバーを有する電子機器の例について示す。
図1は、コネクタカバーを有する従来の電子機器100の斜視図を示している。
図2は、コネクタカバーを有する従来の電子機器100の
図1中のA-A線断面斜視図である。
図3は、コネクタカバーを有する従来の電子機器100の筐体110およびカバー120の斜視図である。
図4は、コネクタカバーを有する従来の電子機器100において、カバーを開放し、相手側コネクタを接続する様子を示した断面図である。
【0006】
図2に示されているように、電子機器100は、相手側コネクタ150(
図4参照)と嵌合可能なレセプタクルコネクタ140と、レセプタクルコネクタ140を内部に収納し、さらに、レセプタクルコネクタ140を外部に露出させるための開口部117を備える筐体110と、筐体110に取り付けられ、開口部117を開閉可能に覆うカバー120と、レセプタクルコネクタ140を搭載した基板130と、を備えている。
【0007】
筐体110は、上板111と、一対の側壁112と、レセプタクルコネクタ140が外部に露出されている開口部117が形成された前壁113と、後壁114と、底板119と、を備えている。筐体110は、箱型の形状であり、内部に基板130およびレセプタクルコネクタ140を収納している。
【0008】
図2および
図3に示されているように、上板111は、相手側コネクタ150の挿抜方向へのカバー120の離脱を防止する一対の係止突起115と、ネジ留めのための一対のボス118と、を備えている。一対の係止突起115のそれぞれは、筐体110の上板111の内部表面から、下方に向かって延伸する円柱部材である。一対の係止突起115は、後述する、カバー係止部122の開口125の内側に位置している。これにより、カバー120が筐体110から挿抜方向に離脱することを防止できる。さらに、一対の係止突起115の当接面116は、基板130の上面131に当接している。これにより、基板130の揺動を防止することができる。さらに、一対の係止突起115の当接面116と基板130の上面131との間に空隙が存在しないので、一対の係止突起115から、カバー係止部122が離脱することを防止することができる。
【0009】
前壁113は、開口部117と、カバー120のカバー係止部122が挿入されるスリットと、を有している。開口部117からは、レセプタクルコネクタ140の端子部が外部に露出している。開口部117は、カバー120が開口部117を閉塞している状態において、後述のカバー120のカバー本体121と嵌合している。
【0010】
カバー120は、開口部117を覆うためのカバー本体121と、カバー120の相手側コネクタ150の挿抜方向への筐体110からの離脱を防止するカバー係止部122と、を備えている。さらに、カバー係止部122は、相手側コネクタ150の挿抜方向に、互いに離間して略平行に延伸する一対の縦縁123と、相手側コネクタ150の挿抜方向に対して直交する方向に、互いに離間して略平行に延伸し、かつ、一対の縦縁123の間を接続する一対の横縁124と、一対の縦縁123および一対の横縁124により規定された開口125と、を有している。一対の縦縁123および一対の横縁124は、それぞれ棒状の部材である。
【0011】
図2に示されているように、カバー係止部122の開口125の内側に、筐体110の一対の係止突起115が位置している。さらに、
図4に示されているように、カバー120を相手側コネクタ150の挿抜方向にスライドさせ、カバー120を開放する際、基端側(-Z方向側)の横縁124が、一対の係止突起115に引っ掛かることにより係止される。基端側の横縁124が筐体110の一対の係止突起115に引っ掛かるため、カバー120が筐体110から離脱してしまう事を防止することができる。
【0012】
このように、従来の電子機器100では、カバー120のカバー係止部122の基端側の横縁124が筐体110の一対の係止突起115に引っ掛かることにより、相手側コネクタ150の挿抜方向への筐体110からの離脱が防止されていた。しかしながら、筐体110の一対の係止突起115は、カバー120のカバー係止部122の下方への移動を制限していない。そのため、
図5に示されているように、筐体110の一対の係止突起115は、カバー120のカバー係止部122が下方に移動し、カバー係止部122の開口125から一対の係止突起115が外れてしまうことを防止することはできない。
【0013】
このような筐体110内部でのカバー120のカバー係止部122の一対の係止突起115からの脱落という問題に対して、
図6に示されているように、筐体110とは別の部材である基板130を用いて、カバー係止部122を下方から抑え、カバー係止部122の下方への移動を制限し、これにより、筐体110内部でのカバー120のカバー係止部122の一対の係止突起115からの脱落を防止していた。したがって、カバー120の筐体110からの離脱、および、筐体110内部でのカバー120のカバー係止部122の一対の係止突起115からの脱落を防ぐためには、カバー係止部122、係止突起115、基板130、および、基板130を固定するネジの少なくとも4部品が必要であった。
【0014】
さらに、電子機器100は、通常、筐体110のスリット内にカバー120のカバー係止部122を挿入し、さらに、カバー120のカバー係止部122の開口125の内側に筐体110の一対の係止突起115を位置させることによりカバー120を筐体110に取り付ける工程と、その後、基板130を筐体110内に取り付ける工程と、によって組み立てられる。したがって、カバー120を筐体110に取り付ける工程においては、筐体110内部でのカバー120のカバー係止部122の一対の係止突起115からの脱落を防ぐための基板130が筐体110内に取り付けられていないので、カバー120を筐体110に取り付ける工程の最中に、筐体110内部でカバー120のカバー係止部122が、一対の係止突起115から脱落してしまうという問題があった。このため、カバー120を筐体110に取り付ける工程において、カバー係止部122が一対の係止突起115から脱落しないよう、カバー係止部122を押さえながら、作業する必要があり、電子機器100の組立の容易性(組立性)が著しく低下してしまっていた。
【0015】
また、
図6に示されているように、カバー120をスライドさせ、レセプタクルコネクタ140の端子部を外部に露出させる際において、カバー係止部122の基端側(-Z方向)の横縁124が、基板130の上面131に接触し擦れるため、基板130および基板130の上面131上に搭載された他の部品を傷つけてしまう恐れがあった。したがって、基板130の上面131のカバー係止部122が接触し得る部分には、部品を搭載することができない等、基板130上での部品レイアウトが制限されてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、上記従来の問題点を鑑みたものである。その目的は、1つの部品でコネクタカバーの筐体からの挿抜方向の離脱の防止、および、筐体内でカバーを支持可能にすることにより、組立性の良好な電子機器および電子機器の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
このような目的は、以下の(1)または(2)の本発明により達成される。
(1) 相手側コネクタと嵌合可能なレセプタクルコネクタと、
前記レセプタクルコネクタを内部に収納し、前記レセプタクルコネクタを外部に露出させるための開口部および内部表面から内側に向かって延伸する係止突起を備える筐体と、
前記筐体に取り付けられ、前記開口部を開閉可能に覆うカバーと、を含み、
前記カバーは、前記筐体の前記開口部を覆うためのカバー本体と、前記カバー本体から延伸するカバー係止部と、を備え、
前記カバー係止部は、前記筐体の前記係止突起を挿通させるための開口を備え、
前記筐体の前記係止突起は、前記筐体の前記内部表面から前記筐体の内側に向かって延伸する係止部と、前記係止部から外側に延伸する支持部を有し、
前記筐体の前記係止突起の前記係止部は、前記カバーの前記カバー係止部の前記開口の内側に位置し、
前記カバーの前記カバー係止部は、前記係止突起の前記支持部上に載置されることを特徴とする電子機器。
【0019】
(2)相手側コネクタと嵌合可能なレセプタクルコネクタを内部に収納し、前記レセプタクルコネクタを外部に露出させるための開口部と、内部表面から延伸する係止突起と、スリットと、を備える筐体と、前記筐体に取り付けられ、前記開口部を開閉可能に覆うためのカバー本体と、前記カバー本体から延伸し、前記筐体の前記係止突起を挿通させるための開口を有するカバー係止部と、を備えるカバーと、を含む電子機器の製造方法であって、
前記筐体内に、前記スリットを介して、前記カバーの前記カバー係止部を挿入する工程と、
前記カバーの前記カバー係止部の前記開口を弾性変形させて、前記筐体の前記係止突起を前記カバー係止部の前記開口に挿通し、前記カバーを前記筐体に取り付ける工程と、を含み、
前記筐体の前記係止突起は、前記筐体の前記内部表面から延伸する係止部と、前記係止部から外側に延伸する支持部と、を有し、
前記筐体の前記係止突起の前記係止部は、前記カバーの前記カバー係止部の前記開口の内側に位置し、
前記カバーの前記カバー係止部は、前記筐体の前記係止突起の前記支持部上に載置されることを特徴とする電子機器の製造方法。
【発明の効果】
【0020】
本発明の電子機器においては、筐体内部に設けられた係止突起は、筐体の内部表面から筐体の内側に向かって延伸する係止部と、係止部から外側に延伸する支持部とを、備えている。係止突起の係止部は、カバー係止部の開口の内側に位置しているため、カバーの開閉時にカバー係止部が係止突起の係止部に引っ掛かり、係止される。これにより、相手側コネクタの挿抜方向への筐体からのカバーの離脱が防止される。
【0021】
これに加えて、係止突起の支持部上で、カバー係止部が支持されるため、筐体内部においてカバー係止部が係止突起から脱落することを防止することができる。前述のように、従来技術においては、筐体内部におけるカバー係止部の係止突起からの脱落を防止するために、基板でカバー係止部の下方から押さえる必要があったが、本発明によれば、筐体の係止突起によって、筐体外部へのカバーの離脱を防止し、さらに、筐体内部におけるカバー係止部の係止突起からの脱落を防止することが可能となる。その結果、より簡素な構成でカバーの脱落を防止することができる。
【0022】
また、本発明の電子機器においては、係止突起の支持部上で、カバー係止部が支持されるため、カバー係止部が基板と接触しない。そのため、カバーの開閉のためにカバーをスライドする際、カバー係止部は、係止突起の支持部に支持されながら、支持部上をスライドする。このように、本発明の電子機器においては、カバーの開閉のためにカバーをスライドする際、カバー係止部が基板に接触せず、擦れないため、基板および基板上の部品が、カバー係止部によって傷つけられることがない。この結果、電子機器の製品寿命を長くすることができるとともに、基板上の構成の自由度が向上する。
【0023】
さらに、本発明の電子機器においては、従来技術のように、基板でカバー係止部を押さえることなく、係止突起の支持部によって、カバー係止部が支持されるため、基板を筐体内に取り付ける工程を実行する前のカバーを筐体に取り付ける工程であっても、筐体内におけるカバー係止部の係止突起からの脱落を防止することができる。カバーを筐体に取り付ける工程において、カバー係止部が係止突起から脱落しないので、電子機器の組み立てが容易となる。このため、本発明によれば、電子機器の組立性を向上させ、生産性を向上させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】従来の電子機器の
図1中のA-A線断面斜視図である。
【
図4】従来の電子機器において、カバーを開放し、相手側コネクタを接続する様子を示した断面図である。
【
図6】従来技術のさらなる問題点を示す斜視図である。
【
図7】本発明の第1実施形態に係る電子機器の斜視図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る電気機器の分解斜視図である。
【
図9】本発明の第1実施形態に係る電子機器の筐体内部を示す下方からの斜視図である。
【
図11】カバーが開かれている状態を示す斜視図である。
【
図12】
図11の状態において、筐体内部を示す下方からの斜視図である。
【
図13】本発明の第1実施形態に係る電子機器の
図7中のB-B線断面斜視図である。
【
図14】本発明の第1実施形態に係る電子機器のカバーを開放し、相手側コネクタを接続する様子を示した断面図である。
【
図15】本発明の第2実施形態に係る電子機器の下方からの斜視図である。
【
図16】本発明の第2実施形態に係る電子機器の
図7中のB-B線断面斜視図である。
【
図17】本発明の電子機器の製造方法を示すフローチャートである。
【
図18】係止突起をカバー係止部の開口に挿通する工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の電子機器および電子機器の製造方法を、添付図面に示す好適な実施形態に基づいて説明する。なお、以下で参照する各図は、本発明の説明のために用意された模式的な図である。図面に示された各構成要素の寸法(長さ、幅、厚さ等)は、必ずしも実際の寸法を反映したものではない。また、各図において、同一または対応する要素には、同じ参照番号が付されている。以下の説明において、各図のZ軸の正方向を「先端側」といい、Z軸の負方向を「基端側」といい、Y軸の正方向を「上側」といい、Y軸の負方向を「下側」または「鉛直方向」といい、X軸の正方向を「手前側」といい、X軸の負方向を「奥側」ということがある。また、Z軸に沿った方向を、「相手側コネクタの挿抜方向」、または、単に「挿抜方向」ということがある。
【0026】
<第1実施形態>
最初に、
図7から
図14を参照して、本発明の実施形態に係る電子機器を詳述する。
図7は、本発明の第1実施形態に係る電子機器の斜視図である。
図8は、本発明の第1実施形態に係る電気機器の分解斜視図である。
図9は、本発明の第1実施形態に係る電子機器の筐体内部を示す下方からの斜視図である。
図10は、
図8に示すカバーの斜視図である。
図11は、カバーが開かれている状態を示す斜視図である。
図12は、
図11の状態において、筐体内部を示す下方からの斜視図である。
図13は、本発明の第1実施形態に係る電子機器の
図7中のB-B線断面斜視図である。
図14は、本発明の第1実施形態に係る電子機器のカバーを開放し、相手側コネクタを接続する様子を示した断面図である。
図9および
図12において、説明のために、底板27、基板4、および、レセプタクルコネクタ5は省略されている。
【0027】
図7および
図8に示す本発明の第1実施形態に係る電子機器1は、相手側コネクタ6(
図14参照)と嵌合可能なレセプタクルコネクタ5を筐体2内部に収納しており、任意の種類のケーブルを介して、他の機器の相手側コネクタ6とレセプタクルコネクタ5との間の電気的接続が実現される。相手側コネクタ6を受け入れるレセプタクルコネクタ5の差込口は、筐体2の開口部232を介して外部に露出されて、相手側コネクタ6と嵌合可能となる。さらに、開口部232は、カバー3により開閉可能に覆われている。他の機器の相手側コネクタ6とレセプタクルコネクタ5との間の接続が提供される際には、カバー3は、開口部232を外部に露出させる。他の機器の相手側コネクタ6とレセプタクルコネクタ5との間の接続が提供されていない際には、カバー3は、開口部232を覆い、レセプタクルコネクタ5内への塵や水の進入を防止する。
【0028】
カバー3は、筐体2に対してスライド可能に筐体2に取り付けられている。筐体2の開口部232を介してレセプタクルコネクタ5の差込口を外部に露出させ、他の機器の相手側コネクタ6とレセプタクルコネクタ5との間の接続を提供する際には、カバー3を筐体2から引き出し、筐体2の開口部232を露出させる(
図14参照)。他の機器の相手側コネクタ6とレセプタクルコネクタ5との間の接続が解除された後、カバー3を筐体2内に押し込むように、カバー3を操作し、カバー3で筐体2の開口部232を覆い、閉塞する。このようにして、カバー3の開閉操作が実行される。
【0029】
例えば、電子機器1は、デジタルカメラ、タブレット端末、モバイルPC、携帯電話機、携帯情報端末、携帯型音楽プレーヤー、携帯型美容機器、携帯型医療機器、電気シェーバー等の携帯可能な電子機器であってもよいし、デスクトップPCまたはサーバ等のような非携帯式の電子機器であってもよい。電子機器1の筐体2の開口部232から外部に露出するレセプタクルコネクタ5に、先端側(+Z方向側)から相手側コネクタ6が挿入され、ケーブルを介して相手側コネクタと電子機器1との間の電気的接続が提供される。相手側コネクタ6は、例えば、電子機器1の筐体2内に内蔵された二次電池(図示せず)を充電するための充電器のコネクタ、および、筐体2に内蔵された制御部43のメモリー内のデータを転送可能な外部ストレージ等のコネクタが含まれる。典型的には、相手側コネクタ6は、USB Type-Cの規格に従うプラグコネクタであり、レセプタクルコネクタ5は、USB Type-Cの規格に従うレセプタクルコネクタである。
【0030】
図8に示されているように、電子機器1は、筐体2と、相手側コネクタ6が挿入される筐体2の開口部232を筐体2の外部から覆うためのカバー3と、筐体2の内部に収納されている基板4と、基板4に搭載され、筐体2内部に収納されているレセプタクルコネクタ5と、を含んでいる。なお、筐体2内において、基板4およびレセプタクルコネクタ5以外の、電子機器1の所望の機能を実行するための1つ以上の部品も収納されているが、
図7から
図14の図において図示を省略している。
【0031】
図8および
図9に示されているように、筐体2は、上板21と、一対の側壁22と、レセプタクルコネクタ5が外部に露出される開口部232を有し、筐体2の先端側に位置する前壁23と、筐体2の基端側に位置する後壁24と、上板21の下方に位置する底板27と、から構成されている。上板21と、一対の側壁22と、前壁23と、後壁24と、底板27とがそれぞれ連結され、内部に部品を収納するための空洞が規定されている。上板21と底板27は、互いに離間して、縦方向(Y軸方向)で対向している。一対の側壁22は、互いに離間して、奥行方向(X軸方向)で対向している。前壁23と後壁24は、互いに離間して、挿抜方向で対向している。
【0032】
筐体2は、熱可塑性の絶縁性材料の硬質樹脂(例えば、ABS樹脂、ポリカーボネイト、ポリプロピレン、ナイロン等)により形成されており、例えば、射出成型(インジェクションモールド)により成形される。上板21、一対の側壁22、前壁23、および、後壁24は、一体成形されている。一方、底板27は、上板21、一対の側壁22、前壁23、および、後壁24の成形工程とは別の工程において成形され、筐体2に対して、ネジ留めまたは接着等の方法により筐体2に取り付けられる。
【0033】
図9に示されているように、上板21は、上板21の内部表面(下面)から下方に向かって延伸する一対の係止突起25と、上板21の内部表面(下面)上に形成され、基板4を筐体2に対して取り付けるための一対のボス26と、を含んでいる。一対の係止突起25および一対のボス26は、上板21、一対の側壁22、前壁23、および、後壁24の一体成形時に、上板21と一体的に成形されている。
【0034】
一対の係止突起25は、筐体2からの相手側コネクタ6の挿抜方向へのカバー3の離脱を防止すると共に、筐体2内部における後述するカバー3のカバー係止部32の一対の係止突起25からの脱落を防止するための部分である。一対の係止突起25のそれぞれは、上板21(筐体2)の内部表面から筐体2の内側(-Y方向)に向かって延伸する係止部251と、係止部251から外側(図示の形態では、+X方向または-X方向)に延伸する支持部252と、を有している。一対の係止突起25は、上板21の内部表面の先端側であって、カバー3のカバー係止部32が挿入される前壁23のスリット234の上方に位置している。一対の係止突起25のそれぞれは、Z軸方向からの平面視において、略L字形状の平面形状を有している。
【0035】
さらに、一対の係止突起25は、互いに離間するようX軸方向に沿って並んで配置されている。さらに、一対の係止突起25間の中間点は、筐体2の幅方向(X軸方向)の中心軸上に位置しており、一対の係止突起25は、該中心軸を挟んで線対称な形状となるよう構成されている。
【0036】
なお、本実施形態において、係止突起25の数は、2つであるが、これに限られない。カバー3の挿抜方向への筐体2からの離脱を防ぎ、さらに、カバー3のカバー係止部32を支持することができれば、係止突起の数は1つでもよいし、3つ以上であってもよい。また、形状も
図9に示されている形状に限られない。例えば、1つの係止突起25が上板21の内部表面(下面)上に設けられており、係止突起25のX軸方向の両側面から一対の支持部252がそれぞれ外側に延伸し、Z軸方向からの平面視において、係止突起25が、略逆T字の平面形状を有するような態様もまた、本発明の範囲内である。
【0037】
図示の形態では、一対の係止突起25のそれぞれの係止部251は、略角柱形状を有している。より具体的には、係止部251の基端側に面している面は、上板21(筐体2)の内部表面(下面)から、略鉛直方向(-Y方向)に直線状に延伸している。一方、係止部251の先端側に面している面は、上板21(筐体2)の内部表面(下面)から、基端側の斜め下方に延伸している。そのため、係止部251は、Z方向の厚みが、上板21(筐体2)の内部表面(下面)から離間するにしたがって漸減するテーパー形状となっている。係止部251は、曲面を有する略円柱形状を有していてもよいが、図示の形態のような略角柱形状は、略円柱形状よりも加工が容易であるため、係止部251は、図示の形態のような略角柱形状を有していることが好ましい。
【0038】
係止部251は、基板4と対向し、XZ平面に対して平行な平坦な当接面255を有している。
図13に示されているように、基板4を筐体2内に取り付けた際に、当接面255は、基板4の上面41に当接する。これにより、筐体2内における基板4の揺動が防止される。
【0039】
図9に戻り、一対の係止突起25のそれぞれの支持部252は、係止部251の下端部のX軸方向の外側面から、外側に向かって突出し、その上においてカバー3のカバー係止部32が載置される部分である。支持部252は、カバー3のカバー係止部32と対向し、カバー3のカバー係止部32が載置され、XZ平面に対して平行かつ平坦な第1の面253と、第1の面253の反対側であり、係止部251から斜め上方向(+Y方向)に延伸する第2の面254と、側壁22と対向し、YZ平面に対して平行かつ平坦な先端面256と、を備えている。支持部252の厚さ(Y軸方向の長さ)は、係止部251から離間するにしたがって漸減しており、支持部252は、係止部251側から先端側に向かって厚さが漸減するテーパー形状となっている。第2の面254は、係止突起25にカバー係止部32を取り付ける際のガイド斜面として機能する。具体的には、カバー3を筐体2に取り付ける際、カバー3のカバー係止部32の少なくとも一部が、第2の面254上をスライドし、筐体2に対するカバー3の取り付けをガイドする。先端面256は、X軸に対して直交する平坦面である。
【0040】
係止部251からの支持部252の外側方向(X方向)への突出量は、カバー3のカバー係止部32を、支持部252の第1の面253上に載置することが可能となるよう設定される。具体的には、係止部251からの支持部252の外側方向(X方向)への突出量は、後述するカバー係止部32の縦縁321のX軸方向の幅以上であることが好ましい。また、支持部252のレセプタクルコネクタ5の挿抜方向(Z方向)における長さは、カバー係止部32の縦縁321の挿抜方向の長さの10~30%の範囲内であることが好ましい。支持部252のレセプタクルコネクタ5の挿抜方向(Z方向)における長さが、上記下限値未満であると、カバー3のカバー係止部32を、支持部252の第1の面253上において安定的に載置することができない。一方、支持部252のレセプタクルコネクタ5の挿抜方向(Z方向)における長さが、上記上限値を超えると、支持部252自体の重さにより、支持部252の先端部が下方に垂れ下がってしまい、電子機器1の振動により、支持部252が破断してしまう恐れがある。
【0041】
一対のボス26は、筐体2内に基板4を固定的に取り付けるための部分である。一対のボス26のそれぞれは、基板4をネジ留めし、筐体2に基板4を固定するためのネジ穴261をそれぞれ備えている。ボス26のネジ穴261は、ボス26の下面(-Y方向)に設けられている。
図13および
図14に示されているように、ボス26の下面は、基板4の上面41と当接し、筐体2内における基板4の揺動を防止している。また、一対のボス26は、上板21の内部表面(下面)上において、幅方向(X軸方向)に沿って互いに離間するよう配置されている。さらに、
図14に示されているように、一対のボス26は、上板21の内部表面(下面)上の長さ方向(Z軸方向)の長さの略中央に位置している。下側から基板4を厚さ方向に貫通した一対のネジを、それぞれ一対のボス26のネジ穴261に螺合させることにより、基板4が、筐体2内に固定的に取り付けられる。
【0042】
図8に戻り、一対の側壁22は、Z軸方向に沿って延伸する面であり、互いに離間して対向している。側壁22の上端は、上板21の側端に連続しており、側壁22の下端は、底板27の上面の側端と接している。
【0043】
前壁23は、後述するカバー3のカバー本体31と嵌合するための嵌合凹部231と、嵌合凹部231上に形成された開口部232と、嵌合凹部231の上方に位置する段差部233と、段差部233上に形成されたスリット234と、を備えている。
【0044】
嵌合凹部231は、カバー3のカバー本体31を受けるための部分である。嵌合凹部231は、前壁23の先端面上において、カバー本体31の厚み分、前壁23よりも奥行方向(-Z方向)に窪むよう形成されている。これにより、カバー3を筐体2に取り付けた際に、カバー本体31が筐体2の前壁23から先端側に突出した形状とはならず、電子機器1の美観を損ねることがない。また、嵌合凹部231とカバー本体31とが嵌合し、前壁23の先端面とカバー本体31の前面部311が略同一平面に位置することになるため、多少の外力がカバー3に加わったとしても、カバー3が意図せずずれることはなく、確実に開口部232を閉塞し続けることができる。
【0045】
開口部232は、レセプタクルコネクタ5を外部に露出させるために、嵌合凹部231をZ軸方向に貫通するよう形成されている。開口部232の形状は、相手側コネクタ6を受け入れるためのレセプタクルコネクタ5の差込口の先端形状に、対応するよう形成されている。相手側コネクタ6とレセプタクルコネクタ5との間の接続が提供されていない際には、開口部232は、カバー3のカバー本体31により閉塞されている。
【0046】
段差部233は、嵌合凹部231の上方、かつ、嵌合凹部231よりも奥側(-Z方向)に位置し、かつ、Z方向に直交する平坦面である。段差部233は、カバー3の閉塞時にカバー本体31の内側面と当接する。さらに、カバー3を筐体2に取り付けた際、段差部233を形成することにより得られた嵌合凹部231の上面(段差部233と嵌合凹部231とを接続し、上側に向かって露出している平坦面)が、カバー3を下方から支持するため、カバー本体31とカバー係止部32とを接続する根元部分に加わる負荷が軽減され、カバー係止部32の変形や垂れ下がりが防止される。
【0047】
スリット234は、カバー3のカバー係止部32を挿入させるために、段差部233をZ軸方向に貫通するよう形成されている。スリット234は、段差部233上であって、嵌合凹部231の上方に形成されている。スリット234のY軸方向の長さは、カバー3のカバー係止部32の厚さ(Y軸方向の長さ)よりも大きい。スリット234には、カバー3のカバー係止部32が挿入され、スリット234を介して、カバー係止部32が筐体2の内部に位置する。相手側コネクタ6とレセプタクルコネクタ5との間の接続が提供されていない際には、スリット234は、開口部232と同様に、カバー3のカバー本体31により閉塞されている。
【0048】
後壁24は、筐体2の最も基端側に位置しており、前壁23と互いに離間して対向している。後壁24の上端は、上板21の基端側の端部に連続しており、後壁24の側端は、一対の側壁22の基端側の端部と連続している。また、後壁24の下端は、底板27の上面の基端側と接している。
【0049】
底板27は、一体成形された上板21、一対の側壁22、前壁23、および、後壁24とは、別の部材として成形されている。底板27は、ネジ留め、または、接着等の任意の方法で、一体成形された一対の側壁22、前壁23、および、後壁24のそれぞれの下端部で規定された開口に取り付けられている。また、底板27の上面は、一対の側壁22、前壁23、および、後壁24の下端面と接している。
【0050】
カバー3は、相手側コネクタ6とレセプタクルコネクタ5との間の接続が提供されていない際に、筐体2の開口部232およびスリット234を覆い、閉塞するための部材である。カバー3は、エラストマー(例えば、シリコンゴム)等の可撓性を有する弾性材料から形成されている。カバー3は、筐体2の開口部232を閉塞するためのカバー本体31と、カバー本体31から基端側(-Z方向)に延伸するカバー係止部32と、を備えている。また、カバー本体31と、カバー係止部32とは、一体成形されている。
図10に示されているように、カバー3は、幅方向(X軸方向)の中心線CLについて、線対称の形状を有している。
【0051】
カバー本体31は、相手側コネクタ6とレセプタクルコネクタ5との間の接続が提供されていない際に、筐体2の開口部232およびスリット234を覆い、閉塞するための部位である。カバー本体31は、平板状の部材であり、Z軸方向からの平面視で略矩形の平面形状を有している。カバー本体31は、カバー3を筐体2に取り付けた際に外側に向かって露出する前面部311と、カバー本体31の裏面側であって、筐体2の開口部232と面する部分に形成された凹部312と、指先等を入れやすくするための引掛り部313と、を備えている。
【0052】
凹部312は、カバー本体31の裏面上において、開口部232に対応する位置に設けられており、カバー3を筐体2に取り付けた際に、カバー本体31と開口部232の間に間隙を形成する。これにより、先端側からカバー本体31に衝撃が加わった際に、カバー本体31と開口部232の間の間隙内においてカバー本体31が弾性変形し、開口部232を介して外部に露出しているレセプタクルコネクタ5へ伝わる衝撃を和らげことができる。
【0053】
引掛り部313は、カバー本体31の下側に設けられており、前壁23と、カバー本体31との間に、カバー3を開放して筐体2の開口部232を介してレセプタクルコネクタ5の差込口を外部に露出させる時に、ユーザーが指先等を入れ、カバー3を開放するための操作を実行することを容易にするための間隙を形成している。
【0054】
カバー係止部32は、筐体2からの相手側コネクタ6の挿抜方向へのカバー3の離脱を防止するために設けられた部分である。カバー係止部32は、カバー本体31の裏面の上端部から、基端側(-Z方向)に向かって延伸するよう、カバー本体31の裏面上に形成されている。カバー本体31が筐体2の開口部232およびスリット234を閉塞している際に、カバー係止部32は、スリット234を介して、筐体2内挿入されている。カバー係止部32のX軸方向の長さは、筐体2のスリット234のX軸方向の長さよりも小さく設定されており、スリット234にカバー係止部32を挿入することが可能となっている。
【0055】
カバー係止部32は、相手側コネクタ6の挿抜方向(Z方向)に、互いに平行に離間して延伸する一対の縦縁321と、挿抜方向に対して直交する方向(X方向)に互いに略平行に離間して延伸し、かつ、一対の縦縁321の間を接続する一対の横縁322と、一対の縦縁321および一対の横縁322によって規定されている開口323と、を備えている。一対の縦縁321および一対の横縁322は、全て同一平面上に位置している。カバー係止部32は、Y軸方向からの平面視で、外形が略矩形のリング形状である。
【0056】
図12および
図13に示されているように、一対の縦縁321は、一対の係止突起25の支持部252の第1の面253上にそれぞれ載置される。一対の縦縁321は、棒状の部材であり、一対の縦縁321の基端側および先端側の端部は、一対の横縁322と、それぞれ接続されている。また、縦縁321の内側面は、係止突起25の係止部251の外側面と接触しているか、または、間隙を空けて対向している。
【0057】
カバー3を開放し、筐体2の開口部232を外部に露出させるための操作が実行された時には、一対の縦縁321の下面が、一対の係止突起25の支持部252の第1の面253上をそれぞれスライドする。さらに、カバー3のカバー係止部32を筐体2内に押し込み、筐体2の開口部232をカバー3のカバー本体31により覆い、閉塞するための操作が実行された際にも、一対の縦縁321の下面が、一対の係止突起25の支持部252の第1の面253上をそれぞれスライドする。このように、カバー3の開閉操作時において、一対の縦縁321が一対の支持部252の第1の面253上をそれぞれスライドしている間、一対の縦縁321は、支持部252によりそれぞれ下方から支持される。このため、カバー3の開閉操作時にカバー係止部32が、基板4の上面41に接触しない。そのため、カバー3のカバー係止部32(より具体的には、基端側の横縁322)が基板4の上面41を擦ることがなく、基板4の上面41および基板4の上面41上の部品を傷つけることはない。したがって、基板4の上面41上の部品の配置等の構成が制限されず、基板4の上面41での部品レイアウトの自由度が向上する。また、筐体2に対するカバー3の挿抜方向へのスライド移動(引き出し移動および押し込み移動)可能な長さは、縦縁321の挿抜方向の長さに依存する。したがって、縦縁321の挿抜方向の長さは、カバー3の開閉操作を実行するのに十分となるよう設定されている。
【0058】
一対の横縁322のうち、基端側の横縁322は、棒状の部材であり、先端側の横縁322は、カバー本体31の裏面と連続している部材である。また、基端側の横縁322は、一対の縦縁321の基端部同士を接続しており、先端側の横縁322は、一対の縦縁321の先端部同士を接続している。
【0059】
開口323は、一対の縦縁321の内側面と、一対の横縁322の内側面とによって規定されている。前述した筐体2の一対の係止突起25の係止部251が開口323内に挿通され、カバー3の相手側コネクタ6の挿抜方向への筐体2からの離脱が防止される。
【0060】
図12および
図13から明らかなように、カバー係止部32の開口323のX方向の外径は、一対の係止突起25の先端面256間の離間距離よりも小さい。具体的には、開口323のX軸方向の内径および外径は、一対の縦縁321が、対応する係止突起25の支持部252の第1の面253上に載置されるよう設定されている。これにより、筐体2内部において、カバー係止部32が支持部252から脱落することを防止することができる。また、より効果的にカバー係止部32の支持部252からの脱落を防止するためには、開口323のX方向の内径が、一対の係止突起25の係止部251の外側面間の離間距離と略等しく、さらに、開口323のX方向の外径が、一対の係止突起25の先端面256間の離間距離よりも小さく設定されていることが好ましい。
【0061】
筐体2にカバー3を取り付ける工程において、カバー3のカバー係止部32を、筐体2のスリット234を介して筐体2内に挿入する。その後、カバー3の開口323の少なくとも一部を外側に向けて弾性変形させることで、少なくとも弾性変形された部分において、開口323のX方向の内径が、一対の係止突起25の先端面256間の離間距離よりも大きくなる。この状態で、開口323内に一対の係止突起25を挿通させ、開口323の少なくとも一部の弾性変形を解除することにより、筐体2にカバー3が取り付けられる。このため、筐体2にカバー3を取り付けた状態において、開口323の内側には、一対の係止突起25の係止部251が位置している。そのため、カバー3を開けるためにカバー3が先端方向に引き抜かれた際に、カバー係止部32が係止部251に引っ掛かり、筐体2に対するカバー3の先端方向への移動が制限される。具体的には、
図12に示されているように、筐体2に対してカバー3が最大限引き抜かれた場合、基端側の横縁322の内側面が、一対の係止突起25の係止部251と当接し、カバー3が筐体2内に係止される。このように、カバー3が筐体2から相手側コネクタ6の挿抜方向に離脱することを防止できる。
【0062】
また、
図11に示されているように、カバー3は、可撓性を有するエラストマー等の弾性部材で形成されているため、弾性変形可能である。カバー3をスライドして筐体2から引き出した場合、カバー係止部32の一対の縦縁321は、スリット234の上端を支点として上板21方向に反り返ることができる。その結果、カバー本体31を上方に退避させることができる。このため、相手側コネクタ6を挿入する場合にもカバー3が邪魔にならず、ユーザーの利便性が向上する。
【0063】
図8に戻り、基板4は、ボス26のネジ穴261にネジ留めされ、筐体2内部に固定されている。基板4は、上面41と、レセプタクルコネクタ5が搭載されている下面42と、を備えている。上面41は、筐体2の一対の係止突起25の係止部251の当接面255と接しており、これにより、筐体2内での基板4の揺動が抑制され、基板4の下面42に搭載されたレセプタクルコネクタ5を安定的に筐体2内において保持することができる。また、
図13に示されているように、基板4の下面42上には、電子機器1の所望の機能を提供するために必要な処理を実行する制御部43と、電子機器1の所望の機能を提供するために用いられる1つ以上のその他モジュール44とが搭載されている。なお、図示の形態では、レセプタクルコネクタ5、制御部43、および、その他モジュール44は、基板4の下面42上に搭載されているが、これらは、基板4の上面41に搭載されていてもよい。
【0064】
制御部43は、電子機器1の所望の機能を提供するために必要な処理を実行するよう、電子機器1の動作を制御する。例えば、制御部43は、情報を処理するプロセッサーと、プロセッサーに通信可能に接続されたメモリーと、を有する。また、メモリーにはプロセッサーにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサーは、メモリーに記憶された各種プログラム等を読み込んで実行することにより、電子機器1の所望の機能を提供する。
【0065】
制御部43のプロセッサーは、例えば、1つ以上のマイクロプロセッサー、マイクロコンピューター、マイクロコントローラー、デジタル信号プロセッサー(DSP)、中央演算処理装置(CPU)、メモリーコントロールユニット(MCU)、画像処理用演算処理装置(GPU)、状態機械、論理回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、またはこれらの組み合わせ等のコンピューター可読命令に基づいて信号操作等の演算処理を実行する演算ユニットである。特に、プロセッサーは、メモリー内に保存されているコンピューター可読命令(例えば、データ、プログラム、モジュール等)をフェッチし、演算、信号操作および制御を実行するよう構成されている。
【0066】
制御部43のメモリーは、揮発性記憶媒体(例えば、RAM、SRAM、DRAM)、不揮発性記憶媒体(例えば、ROM、EPROM、EEPROM、フラッシュメモリー、ハードディスク、光ディスク、CD-ROM、デジタル多用途ディスク(DVD)、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク)、またはこれらの組み合わせを含む着脱式または非着脱式のコンピューター可読媒体である。
【0067】
その他モジュール44は、電子機器1の所望の機能を提供するための少なくとも1つのモジュールである。例えば、電子機器1に通信機能を持たせるための通信モジュール等である。
【0068】
レセプタクルコネクタ5は、基板4の下面42上に固定され、筐体2内に収納されている。また、相手側コネクタ6を受け入れるレセプタクルコネクタ5の差込口は、筐体2の開口部232を介して、外部に向かって露出している。レセプタクルコネクタ5の差込口は、カバー3が筐体2の開口部232を閉塞している時には、カバー本体31により筐体2の外部から覆われている。レセプタクルコネクタ5は、USB Type-C、USB Micro-B、USB Standard-A、USB Mini-BまたはUSB Standard-B等の相手側コネクタ6の種類に対応する任意の種類のレセプタクルコネクタである。前述のように、典型的には、相手側コネクタ6は、USB Type-Cの規格に従うプラグコネクタであり、レセプタクルコネクタ5は、USB Type-Cの規格に従うレセプタクルコネクタである。
【0069】
次に、
図14を参照して、筐体2の開口部232を介して、レセプタクルコネクタ5の差込口を外部に対して露出させるための操作についてする。
図14は、カバー3をスライドさせ、レセプタクルコネクタ5の差込口を外部に対して露出させた状態を示す断面図である。図示のように、カバー3は、筐体2の一対の係止突起25の係止部251が、カバー係止部32の基端側の横縁322の内側部分と当接し、係止されるまで最大限に、筐体2から引き出されている。前述のように、カバー3は、可撓性の弾性部材であるエラストマーで形成されているため、カバー3のカバー係止部32の一対の縦縁321は、弾性変形し、筐体2の上板21の上方に反り返っている。相手側コネクタ6は、
図14に示されているように矢印の方向(-Z方向)からレセプタクルコネクタ5の差込口に差し込まれるが、カバー3は、一対の縦縁321の弾性変形により、開口323よりも上方に退避されているため、相手側コネクタ6を挿抜する際に邪魔にならない。
【0070】
<第2実施形態>
次に、
図15および
図16を参照して、本発明の第2実施形態に係る電子機器1について詳述する。
図15は、本発明の第2実施形態に係る電子機器の下方からの斜視図である。
図16は、本発明の第2実施形態に係る電子機器の
図7中のB-B線断面斜視図である。なお、
図15において、説明のために、底板27、基板4、および、レセプタクルコネクタ5は省略されている。
【0071】
以下、第2実施形態の電子機器1について、第1実施形態の電子機器1との相違点を中心に説明し、同様の事項については、その説明を省略する。第2実施形態の電子機器1は、筐体2の上板21の内部表面から延伸する一対の係止突起25のそれぞれが、延伸部257を備えている点を除き、第1実施形態の電子機器1と同様である。
【0072】
延伸部257は、係止突起25の支持部252から、相手側コネクタ6の挿抜方向(図示の形態では、-Z方向)に延伸している。また、延伸部257の上面は、支持部252の上面と連続しており、延伸部257の上面および支持部252の上面は、Y方向に直交する平坦面となっている。係止突起25の支持部252から、相手側コネクタ6の挿抜方向に延伸するよう延伸部257を設けることにより、カバー3のカバー係止部32の縦縁321が支持部252および延伸部257の双方によって下方から支持されることにある。そのため、カバー係止部32の縦縁321の支持されている面積が増加するため、より効果的に、一対の係止突起25によって、カバー係止部32を下方から支持することができる。この結果、より効果的に筐体2内部におけるカバー係止部32の一対の係止突起25からの脱落を防止することができる。
【0073】
また、延伸部257の、相手側コネクタ6の挿抜方向の長さ(支持部252からの延伸長)は、カバー3の硬度に応じて適宜設定してもよい。延伸部257の挿抜方向の長さと支持部252の挿抜方向の長さの合計値は、カバー係止部32の一対の縦縁321の挿抜方向の長さの10~30%以内であることが好ましい。例えば、カバー3が柔らかい場合、カバー係止部32が、筐体2の一対の係止突起25から下方に垂れ下がり、基板4上に接触する恐れがあるため、延伸部257の挿抜方向の長さと支持部252の挿抜方向の長さの合計値は、カバー係止部32の一対の縦縁321の挿抜方向の長さの10%以上に設定することが好ましい。一方、延伸部257の挿抜方向の長さと支持部252の挿抜方向の長さの合計値が、カバー係止部32の一対の縦縁321の挿抜方向の長さの30%を超える場合、延伸部257が折れやすくなってしまうため、延伸部257の挿抜方向の長さと支持部252の挿抜方向の長さの合計値は、カバー係止部32の一対の縦縁321の挿抜方向の長さの30%以下に設定することが好ましい。
【0074】
また、延伸部257は、カバー3の開閉操作の際に、カバー係止部32の一対の縦縁321がスライドするガイドレールとして機能するため、カバー3の開閉操作の操作性が向上する。
【0075】
次に、
図17および
図18を参照して、本発明の第1実施形態および第2実施形態に係る電子機器1の製造方法S100を詳述する。なお、以下の説明では、本発明の第1実施形態に係る電子機器1の製造方法を詳述するが、同様の製造方法が、本発明の第2実施形態に係る電子機器1を製造するためにも適用可能である。
図17は、本発明の電子機器の製造方法を示すフローチャートである。
図18は、係止突起をカバー係止部の開口に挿通する工程を説明するための図である。
図18において、説明のために、底板27、基板4、および、レセプタクルコネクタ5は省略されている。
【0076】
初めに、作業台(図示されていない)に、上板21を下側にして、筐体2を載置する。そして、工程S110において、カバー3のカバー係止部32を、筐体2の前壁23のスリット234を介して筐体2の外側から筐体2の内側に挿入する。
【0077】
次に、工程S120において、
図18に示されているように、カバー係止部32の開口323の少なくとも一部(図示の形態では、一方の縦縁321)を、外側に向けて弾性変形させる。この結果、開口323のX方向の内径が、一対の係止突起25の先端面256間の離間距離よりも大きくなる。次に、工程S130において、この状態で、開口323内に一対の係止突起25を挿通させ、その後、開口323の少なくとも一部の弾性変形を解除し、開口323内に挿通された筐体2の一対の係止突起25の係止部251に、カバー3のカバー係止部32の一対の縦縁321を引っ掛ける。
【0078】
工程S130において、開口323内に一対の係止突起25を挿通させる際において、カバー3の開口323を規定する一対の縦縁321は、筐体2の一対の係止突起25の支持部252の第2の面254上を滑らせて、カバー3の開口323内に筐体2の一対の係止突起25を挿通することが好ましい。支持部252の第2の面254が、対応する縦縁321のガイド斜面として機能するので、よりスムーズにカバー3の開口323内に筐体2の一対の係止突起25を挿通することができる。
【0079】
なお、上述の説明では、工程S120および工程S130において、最初に、開口323の少なくとも一部を、外側に向けて弾性変形させ、開口323の弾性変形された部分の内径を拡大し、その後、開口323内に一対の係止突起25を挿通させたが、本発明はこれに限られない。例えば、
図18に示されているように、最初に、開口323を規定する一対の縦縁321の一方を、対応する一方の係止突起25の係止部251に引っ掛け、その後、一対の縦縁321の他方を弾性変形させて、開口323の弾性変形された部分の内径を拡大してもよい。この場合、弾性変形された部分において、開口323のX方向の内径は、最初に一対の縦縁321の一方が引っ掛けられた一方の係止部251の外側面と、他方の係止突起25の先端面256の間の離間距離よりも大きくなる。次に、開口323内に他方の係止突起25を挿通させ、その後、開口323の少なくとも一部の弾性変形を解除し、他方の係止突起25の係止部251に、他方の縦縁321を引っ掛ける。また、開口323内に他方の係止突起25を挿通させる際、他方の縦縁321が、他方の係止突起25の支持部252の第2の面254上を滑らせて、開口323内への他方の係止突起25の挿通をガイドしてもよい。工程S120および工程S130は、このような手順により実行されてもよい。
【0080】
筐体2の一対の係止突起25をカバー3の開口323に挿通した後は、カバー3のカバー係止部32の一対の縦縁321は、Y軸方向で、筐体2の一対の係止突起25の支持部252の第1の面253と筐体2の上板21の下面との間に位置している。したがって、筐体2の一対の側壁22、前壁23、および、後壁24の下端部によって規定される開口が下側を向くよう、筐体2を作業台上に載置した場合、カバー3のカバー係止部32は、筐体2の一対の係止突起25の支持部252により下方から支持されるため、基板4でカバー係止部32を下方から押さえなくとも、カバー係止部32が係止突起25から脱落してしまうことがない。そのため、基板4の取り付け前の段階であっても、カバー係止部32が係止突起25の支持部252に支持されるため、電子機器1の組み立てが容易となる。
【0081】
次に、工程S140において、レセプタクルコネクタ5が搭載された基板4を筐体2の内部に取り付け、収納する。具体的には、基板4の下面42に搭載されたレセプタクルコネクタ5の差込口が筐体2の開口部232と対応するように基板4を筐体2内部に配設した後、筐体2内部の上板21の表面に設けられたボス26のネジ穴261に対して、基板4を厚さ方向に貫通する一対のネジを螺合するネジ留め等により、基板4が筐体2内に固定的に取り付けられる。これにより、基板4およびレセプタクルコネクタ5の位置が固定される。
【0082】
その後、工程S150において、筐体2の一対の側壁22、前壁23、および、後壁24のそれぞれの下端面に底板27の上面が接するよう、底板27をネジ留めまたは接着等の任意の方法で取り付けることにより電子機器1の製造および組み立てが終了する。
【0083】
上述のように、本発明の電子機器1では、筐体2の一対の係止突起25の係止部251は、カバー3のカバー係止部32の開口323の内側に位置しているため、カバー3の相手側コネクタ6の挿抜方向への筐体2からの離脱が防止されている。これに加えて、筐体2の一対の係止突起25の支持部252によって、カバー3のカバー係止部32が下方から支持されるため、筐体2内部におけるカバー3のカバー係止部32の一対の係止突起25からの脱落も防止されている。
図1~
図6を参照して説明した従来の電子機器100においては、カバー120の一対の係止突起115からの脱落を防止するために、基板130で、カバー120のカバー係止部122を下方から支持する必要があったが、本発明によれば一対の係止突起25によって、カバー3の相手側コネクタ6の挿抜方向への筐体2からの離脱防止、および、筐体2内部におけるカバー3のカバー係止部32の一対の係止突起25からの脱落防止が可能となる。
【0084】
また、カバー3の開閉操作のためにカバー3をスライドする場合、カバー3のカバー係止部32は、筐体2の一対の係止突起25の支持部252上をスライドする。そのため、カバー係止部32が垂れ下がり、基板4の上面41上に接触することを防止しているので、カバー係止部32が、基板4の上面41に搭載された部品に接触し、それらの部品を傷つけることがない。これにより、電子機器1の製品寿命を長くすることができると共に、基板4の上面41上の部品レイアウトの自由度が向上する。
【0085】
さらに、本発明の電子機器1の製造方法によれば、従来技術のように、基板4でカバー3のカバー係止部32を下方から押さえることなく、筐体2の一対の係止突起25の支持部252によって、カバー係止部32が支持されるため、基板4を筐体2内に固定的に取り付ける前であっても、筐体2内部におけるカバー係止部32の一対の係止突起25からの脱落を防止することができる。そのため、カバー係止部32の開口323に一対の係止突起25が挿通された後は、カバー係止部32が一対の係止突起25から脱落しないので、電子機器1の組み立てが容易である。このように、電子機器1の組立性を良好にし、生産性を向上することが可能である。
【0086】
以上、本発明の電子機器1および電子機器1の製造方法を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、本発明の各構成に任意の構成のものを付加することができる。
【0087】
本発明の属する分野および技術における当業者であれば、本発明の原理、考え方、および範囲から有意に逸脱することなく、記述された本発明の電子機器1の構成の変更を実行可能であろうし、変更された構成を有する電子機器1もまた、本発明の範囲内である。
【0088】
また、
図7~
図18に示された電子機器1の構成要素の数や種類は、説明のための例示にすぎず、本発明は必ずしもこれに限られない。本発明の原理および意図から逸脱しない範囲において、任意の構成要素が追加若しくは組み合わされ、または任意の構成要素が削除された態様も、本発明の範囲内である。
【符号の説明】
【0089】
1…電子機器 2…筐体 21…上板 22…側壁 23…前壁 231…嵌合凹部 232…開口部 233…段差部 234…スリット 24…後壁 25…係止突起 251…係止部 252…支持部 253…第1の面 254…第2の面 255…当接面 256…先端面 257…延伸部 26…ボス 261…ネジ穴 27…底板 3…カバー 31…カバー本体 311…前面部 312…凹部 313…引掛り部 32…カバー係止部 321…縦縁 322…横縁 323…開口 4…基板 41…上面 42…下面 43…制御部 44…その他モジュール 5…レセプタクルコネクタ 6…相手側コネクタ 100…電子機器 110…筐体 111…上板 112…側壁 113…前壁 114…後壁 115…係止突起 116…当接面 117…開口部 118…ボス 119…底板 120…カバー 121…カバー本体 122…カバー係止部 123…縦縁 124…横縁 125…開口 130…基板 131…上面 140…レセプタクルコネクタ 150…相手側コネクタ CL…中心線 S100…製造方法 S110、S120、S130、S140、S150…工程