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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001843
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】多視点角度空中投影装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 30/56 20200101AFI20231227BHJP
   G02B 27/01 20060101ALI20231227BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20231227BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
G02B30/56
G02B27/01
B60K35/00 A
H04N5/74 A
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022206961
(22)【出願日】2022-12-23
(31)【優先権主張番号】111123217
(32)【優先日】2022-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】593061064
【氏名又は名称】怡利電子工業股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】陳錫勲
【テーマコード(参考)】
2H199
3D344
5C058
【Fターム(参考)】
2H199BA32
2H199BB10
2H199BB12
2H199BB15
2H199BB18
2H199BB19
2H199BB63
2H199DA03
2H199DA15
2H199DA16
2H199DA20
2H199DA22
2H199DA23
2H199DA43
3D344AA26
3D344AA27
3D344AC25
5C058AA18
5C058BA05
5C058BA26
5C058BA35
5C058EA11
5C058EA54
(57)【要約】      (修正有)
【課題】コストが下がり、スペースが縮小し、像の輝度が向上し、エネルギー消費および発熱を低減する。
【解決手段】複数の指向性光源、表示パネルおよび結像凹面鏡を有する多視点角度空中投影装置を開示する。複数の指向性光源は、表示パネルを照明して複数の指向性像ビームを形成するための複数の指向性光ビームを放出する。複数の指向性像ビームは、反射器で反射して凹面鏡に向かう。その後、複数の指向性像ビームはそれぞれ、凹面鏡で反射して、視野角の異なる複数の視野領域に向かって複数の空中投影実像を形成する。表示パネル上の複数の指向性光ビームの照明領域はほとんど同じであるか、あるいは、結像凹面鏡上の複数の指向性像ビームの照明領域はほとんど同じであり、複数の視野領域どうしの視野角差が大きくなる。
【選択図】図8B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多視点角度空中投影装置であって、
少なくとも2つの指向性光源であって、前記指向性光源の各々はそれぞれ、指向性光ビームを放出するように適応している、少なくとも2つの指向性光源と、
少なくとも2つの表示パネルであって、前記表示パネルの数は、前記少なくとも2つの指向性光源の数と同じであり、前記表示パネルの各々は、像を表示するように適応し、前記指向性光ビームの各々は、前記表示パネルのうちの対応する表示パネルの前記像を照明して指向性像ビームを形成する、少なくとも2つの表示パネルと、
実像を形成するように適応している結像凹面鏡であって、前記2つの指向性像ビームは、前記結像凹面鏡で反射し、少なくとも2つの視野領域に投射されて、それぞれ少なくとも2つの空中投影実像を形成する、結像凹面鏡と
を含み、
前記結像凹面鏡の対応する前記少なくとも2つの指向性像ビームの反射領域は、同じか70%よりも多く重なることを特徴とする、多視点角度空中投影装置。
【請求項2】
前記結像凹面鏡で反射し、その後、前記少なくとも2つの視野領域に投射される前記少なくとも2つの指向性像ビームの光路に配置されたフロントガラスをさらに含む、請求項1に記載の多視点角度空中投影装置。
【請求項3】
前記結像凹面鏡に投射される前の少なくとも2つの指向性像ビームの光路に配置される近軸反射器をさらに含む、請求項1に記載の多視点角度空中投影装置。
【請求項4】
前記近軸反射器は、光の出口に配置された半反射器であることを特徴とする、請求項3に記載の多視点角度空中投影装置。
【請求項5】
前記近軸反射器は、光の出口に配置された反射偏光子であり、前記少なくとも2つの表示パネルの各々の光放出側には、1/4波長板がそれぞれ設けられ、前記反射偏光子には、前記結像凹面鏡に対向する別の1/4波長板も設けられることを特徴とする、請求項3に記載の多視点角度空中投影装置。
【請求項6】
少なくとも2つの調整反射器をさらに含み、前記調整反射器は、像源の距離およびサイズを調整するための凹面鏡または凸面鏡であり、前記調整反射器の数は、前記指向性像ビームの数と同じであり、前記調整反射器の各々は、前記指向性像ビームの各々に対応し、前記少なくとも2つの表示パネルによって投射される前記少なくとも2つの指向性像ビームはそれぞれ、最初に前記少なくとも2つの調整反射器で反射し、その後、前記結像凹面鏡に投射される、請求項1に記載の多視点角度空中投影装置。
【請求項7】
多視点角度空中投影装置であって、
少なくとも2つの指向性光源であって、前記指向性光源の各々がそれぞれ、指向性光ビームを放出するように適応している、少なくとも2つの指向性光源と、
像を表示するように適応している表示パネルであって、前記指向性光ビームの各々は、前記表示パネルの前記像を照明して指向性像ビームを形成する、表示パネルと、
平面鏡である少なくとも2つの反射器と、
実像を形成するように適応している結像凹面鏡であって、前記2つの指向性像ビームはそれぞれ、前記少なくとも2つの反射器で反射し、前記結像凹面鏡に投射され、その後、前記結像凹面鏡で反射し、少なくとも2つの視野領域に投射されて少なくとも2つの空中投影実像を形成する、結像凹面鏡と
を含み、
前記結像凹面鏡の対応する前記少なくとも2つの指向性像ビームの反射領域は、同じか70%よりも多く重なることを特徴とする、多視点角度空中投影装置。
【請求項8】
前記結像凹面鏡で反射し、その後、前記少なくとも2つの視野領域に投射される前記少なくとも2つの指向性像ビームの光路に配置されたフロントガラスをさらに含む、請求項7に記載の多視点角度空中投影装置。
【請求項9】
前記少なくとも2つの反射器で反射し、前記結像凹面鏡に投射される前の少なくとも2つの指向性像ビームの光路に配置される近軸反射器をさらに含む、請求項7に記載の多視点角度空中投影装置。
【請求項10】
前記近軸反射器は、光の出口に配置された半反射器であることを特徴とする、請求項9に記載の多視点角度空中投影装置。
【請求項11】
前記近軸反射器は、光の出口に配置された反射偏光子であり、前記表示パネルの光放出側には、1/4波長板が設けられ、前記反射偏光子には、前記結像凹面鏡に対向する別の1/4波長板も設けられることを特徴とする、請求項9に記載の多視点角度空中投影装置。
【請求項12】
少なくとも2つの調整反射器をさらに含み、前記調整反射器は、像源の距離およびサイズを調整するための凹面鏡または凸面鏡であり、前記調整反射器の各々は、前記指向性像ビームの各々に対応し、前記表示パネルによって投射された前記少なくとも2つの指向性像ビームはそれぞれ、最初に前記少なくとも2つの反射器で反射し、続いて前記少なくとも2つの調整反射器で反射し、その後、前記結像凹面鏡に投射される、請求項7に記載の多視点角度空中投影装置。
【請求項13】
前記表示パネルは、少なくとも2つの像を時分割で表示するように適応し、前記少なくとも2つの像は、前記少なくとも2つの指向性光ビームに対応して切り替えられ、前記少なくとも2つの指向性光源は、前記少なくとも2つの像の前記時分割表示と同期することを特徴とする、請求項7に記載の多視点角度空中投影装置。
【請求項14】
多視点角度空中投影装置であって、
少なくとも2つの指向性光源であって、前記指向性光源の各々がそれぞれ、指向性光ビームを放出するように適応している、少なくとも2つの指向性光源と、
像を表示するように適応している表示パネルであって、前記指向性光ビームの各々は、前記表示パネルの前記像を照明して指向性像ビームを形成する、表示パネルと、
少なくとも2つの結像凹面鏡であって、両結像凹面鏡は実像を形成するように適応し、前記少なくとも2つの結像凹面鏡の数は、前記少なくとも2つの指向性光源の数と同じであり、前記2つの指向性像ビームはそれぞれ、前記結像凹面鏡で反射し、少なくとも2つの視野領域に投射されて少なくとも2つの空中投影実像を形成する、少なくとも2つの結像凹面鏡と
を含み、
前記表示パネル上の対応する前記少なくとも2つの指向性像ビームの照明領域は、同じか70%よりも多く重なることを特徴とする、多視点角度空中投影装置。
【請求項15】
前記少なくとも2つの結像凹面鏡で反射し、前記少なくとも2つの視野領域に投射される前記少なくとも2つの指向性像ビームの光路に配置されたフロントガラスをさらに含む、請求項14に記載の多視点角度空中投影装置。
【請求項16】
前記少なくとも2つの結像凹面鏡に投射される前の前記少なくとも2つの指向性像ビームの光路に配置される近軸反射器をさらに含む、請求項14に記載の多視点角度空中投影装置。
【請求項17】
前記近軸反射器は、光の出口に配置された半反射器であることを特徴とする、請求項16に記載の多視点角度空中投影装置。
【請求項18】
前記近軸反射器は、光の出口に配置された反射偏光子であり、前記表示パネルの光放出側には、1/4波長板が設けられ、前記反射偏光子には、前記少なくとも2つの結像凹面鏡に対向する別の1/4波長板も設けられることを特徴とする、請求項16に記載の多視点角度空中投影装置。
【請求項19】
少なくとも2つの調整反射器をさらに含み、前記調整反射器は、像源の距離およびサイズを調整するための凹面鏡または凸面鏡であり、前記少なくとも2つの調整反射器の数は、少なくとも2つの指向性光源の数と同じであり、前記表示パネルによって投射された前記少なくとも2つの指向性像ビームはそれぞれ、最初に前記少なくとも2つの調整反射器で反射し、その後、前記少なくとも2つの結像凹面鏡にそれぞれ投射される、請求項16に記載の多視点角度空中投影装置。
【請求項20】
前記表示パネルは、少なくとも2つの像を時分割で表示するように適応し、前記少なくとも2つの像は、前記少なくとも2つの指向性光ビームに対応して切り替えられ、前記少なくとも2つの指向性光源は、前記少なくとも2つの像の前記時分割表示と同期することを特徴とする、請求項16に記載の多視点角度空中投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、角度の異なる複数の指向性光源を利用して複数の指向性像ビームを生成し、結像凹面鏡または表示パネルを共有する多視点角度空中投影装置を対象とする。複数の指向性像ビームは、結像凹面鏡で反射して多視点角度空中投影の実像を形成し、それによってコストが下がり、スペースが縮小し、像の輝度が向上し、エネルギー消費および発熱を低減する。
【背景技術】
【0002】
車両用のヘッドアップディスプレイには、プロジェクタおよびスクリーンが備わっている。プロジェクタの信号源は、液晶ディスプレイ(LCD)であってよく、スクリーンは、半透明のスクリーンまたはフロントガラスであってよい。プロジェクタの内部の光学素子は、信号源の光をスクリーンに投影し、信号源のテキストまたは像は、スクリーンに反射して表示される。
【0003】
信号源の光がスクリーンに投影される光路には、通常、凹面鏡が設けられる。信号源の光は、凹面鏡の反射によって増幅されてからスクリーンに投影される。
【0004】
凹面鏡の焦点距離はFであり、物体と凹面鏡との間の距離は、物体距離uであり、像と凹面鏡との間の距離は、像距離vである。凹面鏡の結像原理は以下の通りである。
【0005】
図1Aに示したように、物体距離が焦点距離の2倍よりも大きい、すなわちu>2Fのとき、像は、倒立縮小実像であり、2F点と凹面鏡の前の焦点との間に位置する。すなわちF<v<2Fである。物体距離が大きいほど、実像は小さくなる。
【0006】
図1Bに示したように、物体距離が焦点距離の2倍に等しい、すなわちu=2Fのとき、像は、倒立同一サイズの実像であり、凹面鏡の前の2F点に位置する。すなわちv=2Fである。
【0007】
図1Cに示したように、物体距離が焦点と2F点との間、すなわちF<u<2Fのとき、像は、倒立拡大実像であり、凹面鏡の前の2F点の外に位置する。すなわちv>2Fである。物体距離が大きいほど、実像は大きくなる。
【0008】
物体距離が焦点距離に等しい、すなわちu=Fのとき、物体から凹面鏡に投射される光線は、平行な光線として反射し、像は無限遠で形成され、すなわちv∞である。
【0009】
図1Dに示したように、物体距離が焦点距離よりも小さい、すなわちu<Fのとき、像は、凹面鏡の後ろの正立拡大虚像である。物体距離が短いほど、虚像は大きくなる。
【0010】
図2に示したように、実像を投影するために結像凹面鏡3を凹面鏡として使用する。正立像を表示する表示パネル2と結像凹面鏡3との間の距離が結像凹面鏡3の焦点距離よりも大きいとき、表示パネル2の任意の点から投射された像光線は、結像凹面鏡3で反射し、結像点で収束する。像が観察者の前方で形成される場合、観察者は、倒立実像DRが見える。図3に示したように、表示パネル2が倒立像を表示した場合、結像凹面鏡3によって正立像が投影され得る。
【0011】
図4に示したように、表示パネル2から投射された像の光は、結像凹面鏡3とフロントガラス4を順に透過してから観察者に投射される。プロジェクタの光学素子は、計器盤の下に隠れていることがあるため、観察者は、運転室内で浮かび上がる実像DRが見えるだけである。
【0012】
一般に、運転席および助手席にいる2人の観察者P1とP2との間の距離は、約60~100cmであり、観察者の目からフロントガラスまでの水平視距離は、約50~90cmである。換言すれば、投影された実像は、フロントガラスの内側に位置し、フロントガラスよりも観察者の方に近い。
【0013】
図5に示したように、運転者P1と助手席の乗員P2の両者が空中に投影された実像を同時に見えるようにするためには、投影像は、60~100度の広い視野角を有する必要がある。
【0014】
図6Aに示したように、従来の実像投影は、指向性ではないバックライト光源を使用しており、表示パネル2は、面積の大きい結像凹面鏡3を備えている必要があるため、実像DRは、運転席にいる観察者P1と助手席にいる観察者P2に同時に投射されることがある。
【0015】
図6Bに示したように、上記の構成によれば、バックライト光源1は、表示パネル2を照明し、光の量は広い視野角に均等に分散され、それによって輝度が不十分になるおそれがある。高出力のバックライト光源を使用する場合、エネルギー消費および高熱という欠点がある。大面積の結像凹面鏡を使用することは、費用がかかるだけでなく、設置スペースの必要性も増す。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本開示は、2つの指向性光源、2つの表示パネルおよび1つの結像凹面鏡を含む多視点角度空中投影装置を提供する。2つの指向性光源は、2つの表示パネルに対応し、各々の指向性光源は、指向性光ビームを放出するように適応している。各々の指向性光ビームは、表示パネルの対応する方の像を照明して指向性像ビームを形成する。2つの指向性像ビームはそれぞれ、同じ結像凹面鏡で反射し、2つの視野領域に投射され、2つの空中投影実像を形成する。結像凹面鏡上の2つの指向性像ビームに対応する反射領域は、完全に重なるかほとんど重なり、2つの視野領域の2つの視野角の間の視野角差は大きくなる。
【0017】
また、多視点角度空中投影装置はさらに、2つの調整反射器を含み、各々の調整反射器は、2つの表示パネルと結像凹面鏡との間の光路に配置される。2つの指向性像ビームはそれぞれ、最初に2つの調整反射器で反射し、その後、同じ結像凹面鏡に投射される。各々の調整反射器は、凹面鏡または凸面鏡である。
【0018】
任意で、多視点角度空中投影装置は、3つ以上の指向性光源を含む。表示パネルおよび調整反射器の数は、指向性光源の数に対応し、各々の指向性光ビームは、対応する表示パネルの像を照明して指向性像ビームを形成し、指向性像ビームはその後、対応する調整反射器で反射し、結像凹面鏡に投射される。
【0019】
本開示はさらに、2つの指向性光源、1つの表示パネル、2つの反射器および1つの結像凹面鏡を含む多視点角度空中投影装置を提供する。表示パネルは、2つの指向性光源に対応して像を時分割で表示するように適応している。2つの指向性光源は、表示パネル上の2つの像の時分割表示と同期する。各々の指向性光源は、指向性光ビームを投射するように適応している。各々の指向性光ビームは、表示パネルの対応する像を照明して指向性像ビームを形成する。2つの反射器は、表示パネルと結像凹面鏡との間の光路に配置され、平面鏡である。2つの指向性光源は、2つの指向性像ビームが2つの反射器で反射して同じ結像凹面鏡で収束するように2つの反射器に対応している。2つの指向性像ビームはその後、結像凹面鏡で反射し、2つの視野領域に投射されて、2つの空中投影実像をそれぞれ形成し、同じ表示パネル上の対応する2つの指向性光ビームの照明領域は、完全に重なるかほとんど重なる。同じ結像凹面鏡で対応する2つの指向性像ビームの反射領域は、完全に重なるかほとんど重なり、2つの視野領域の2つの視野角の間の視野角差は大きくなる。
【0020】
また、多視点角度空中投影装置はさらに、2つの調整反射器を含み、各々の調整反射器は、表示パネルと結像凹面鏡との間の光路に配置される。2つの指向性像ビームはそれぞれ、最初に2つの調整反射器で反射し、その後、同じ結像凹面鏡に投射される。各々の調整反射器は、凹面鏡または凸面鏡である。
【0021】
任意で、多視点角度空中投影装置は、3つ以上の指向性光源を含む。反射器および調整反射器の数は、指向性光源の数に対応する。表示パネルによって時分割で表示される像の数も指向性光源の数に対応する。各々の指向性光ビームは、対応する表示パネルの像を照明して指向性像ビームを形成し、指向性像ビームはその後、対応する反射器で反射し、対応する調整反射器で反射し、同じ結像凹面鏡に投射される。
【0022】
本開示はさらに、2つの指向性光源、1つの表示パネルおよび2つの結像凹面鏡を含む多視点角度空中投影装置を提供する。表示パネルは、2つの指向性光源に対応する像を時分割で表示するように適応している。2つの指向性光源は、表示パネル上の2つの像の時分割表示と同期する。2つの指向性光源は、2つの結像凹面鏡に対応し、各々の指向性光源は、指向性光ビームを投射するように適応している。2つの指向性光ビームはそれぞれ、対応する像を照明し、像は、表示パネルで時分割表示されて2つの指向性像ビームを形成する。指向性像ビームは、対応する結像凹面鏡でそれぞれ反射し、その後、2つの視野領域に投射されて空中投影実像を形成する。表示パネル上で対応する2つの指向性光ビームの照明領域は、完全に重なるかほとんど重なり、2つの視野領域の2つの視野角の間の視野角差は大きくなる。
【0023】
また、多視点角度空中投影装置はさらに、2つの調整反射器を含み、各々の調整反射器は、表示パネルと2つの結像凹面鏡との間の光路に配置される。2つの指向性像ビームはそれぞれ、最初に2つの調整反射器で反射し、その後、結像凹面鏡にそれぞれ投射される。各々の調整反射器は、凹面鏡または凸面鏡である。
【0024】
任意で、多視点角度空中投影装置は、3つ以上の指向性光源を含む。調整反射器および結像凹面鏡の数は、指向性光源の数に対応する。表示パネルによって時分割で表示される像の数も指向性光源の数に対応する。各々の指向性光ビームは、対応する表示パネルの像を照明して指向性像ビームを形成し、指向性像ビームはその後、対応する調整反射器で反射し、対応する結像凹面鏡に投射される。
【0025】
また、前述の多視点角度空中投影装置では、2つの視野領域に投射される2つの指向性像ビームの光路にフロントガラスがさらに設けられる。
【0026】
また、前述の多視点角度空中投影装置では、結像凹面鏡に投射される前に2つの指向性像ビームの光路に近軸反射器がさらに設けられる。
【0027】
任意で、近軸反射器は、光の出口に配置される半反射器である。
【0028】
任意で、近軸反射器は、光の出口に配置される反射偏光子である。表示パネルの光放出側には1/4波長板が設けられる。反射偏光子には、結像凹面鏡に対向する側に1/4波長板も設けられる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1A】凹面鏡の結像原理の概略図である。
図1B】凹面鏡の結像原理の概略図である。
図1C】凹面鏡の結像原理の概略図である。
図1D】凹面鏡の結像原理の概略図である。
図2】実像を形成する結像凹面鏡の概略図である。
図3】観察者が結像凹面鏡の空中投影実像を見ている様子の概略図である。
図4】車両に実像空中投影を適用している様子の概略図である。
図5】車両での空中投影実像の視野角の概略図である。
図6A】車両での従来の空中投影装置の概略図である。
図6B】車両での従来の空中投影装置の概略図である。
図7A】本開示の第1の実施形態による多視点角度空中投影装置の概略図である。
図7B】本開示の第1の実施形態による多視点角度空中投影装置の概略図である。
図8A】本開示の第2の実施形態による多視点角度空中投影装置の概略図である。
図8B】本開示の第2の実施形態による多視点角度空中投影装置の概略図である。
図9A】本開示の第3の実施形態による多視点角度空中投影装置の概略図である。
図9B】本開示の第3の実施形態による多視点角度空中投影装置の概略図である。
図10】近軸反射器を有する前述の実施形態の多視点角度空中投影装置の概略図である。
図11】凹面調整反射器を有する前述の実施形態の多視点角度空中投影装置の概略図である。
図12】凸面調整反射器を有する前述の実施形態の多視点角度空中投影装置の概略図である。
図13A】前述の実施形態の多視点角度空中投影装置の光の出口を通過する像ビームの概略図である。
図13B】光の出口に半反射器を有する前述の実施形態の多視点角度空中投影装置の概略図である。
図14A】光の出口に反射偏光子を有する前述の実施形態の多視点角度空中投影装置の概略図である。
図14B】光の出口に反射偏光子を有する前述の実施形態の多視点角度空中投影装置の概略図である。
図15A】本開示の第4の実施形態による多視点角度空中投影装置の概略図である。
図15B】本開示の第5の実施形態による多視点角度空中投影装置の概略図である。
図16A】本開示の第6の実施形態による多視点角度空中投影装置の概略図である。
図16B】本開示の第7の実施形態による多視点角度空中投影装置の概略図である。
図16C】本開示の第7の実施形態による多視点角度空中投影装置の概略図である。
図16D】本開示の第7の実施形態による多視点角度空中投影装置の概略図である。
図17A】本開示の第8の実施形態による多視点角度空中投影装置の概略図である。
図17B】本開示の第9の実施形態による多視点角度空中投影装置の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0030】
以下の実施形態は、複数の観察者が鮮明で明るい像を同時に見ることを可能にする多視点角度空中投影装置を提供し、投影装置のサイズは縮小できる。多視点角度は、複数の観察者が像を同時に見ることができることを意味し、例えば2つの視野角、3つの視野角、4つの視野角または複数の視野角があり、それぞれの視野角で、1人以上の観察者がその視野角内で自分の目で見ることができる。以下、説明を簡単にするために、2人の観察者に適している2つの視野角を以下の実施形態で使用する。
【0031】
図7Aおよび図7Bを参照すると、2つの指向性光源と、2つの表示パネルと、実像を生成して2つの視野角を形成する結像凹面鏡とを使用する本開示の実施形態による多視点角度空中投影装置を示しており、結像凹面鏡は共有される。多視点角度空中投影装置は、
第1の指向性光ビームL1を投射する第1の指向性光源11と、
第2の指向性光ビームL2を投射する第2の指向性光源12と、
第1の像を表示する第1の表示パネルであって、第1の指向性光ビームL1が第1の表示パネル21を照明して第1の指向性像ビームD1を形成する、第1の表示パネル21と、
第2の像を表示する第2の表示パネルであって、第2の指向性光ビームL2が第2の表示パネル22を照明して指向性像ビームD2を形成する、第2の表示パネル22と、
第1の指向性像ビームD1および第2の指向性像ビームD2をそれぞれ第1の観察者P1(運転者の視野領域)および第2の観察者P2(助手席の乗員の視野領域)に反射させて2つの空中投影実像を形成する結像凹面鏡3と
を有する。第1の指向性像ビームおよび第2の指向性像ビームD1、D2は、結像凹面鏡3で互いに完全に重なるかほとんど重なる反射領域を有する。例えば、反射領域どうしが重なる割合は70%よりも多い。また、2つの視野領域の2つの視野角AV1とAV2との間には、さらに大きい視野角差ADがあり、例えば視野角差ADは、30度よりも大きい。
【0032】
この実施形態では、結像凹面鏡3から第1の観察者P1および第2の観察者P2に投射される指向性像ビームD1、D2の光路上にフロントガラス4がさらに設けられる。第1の指向性像ビームD1および第2の指向性像ビームD2はそれぞれ、最初にフロントガラス4に投射され、その後、第1の観察者P1および第2の観察者P2に向かって反射する。
【0033】
第1の指向性光源11、第2の指向性光源12、第1の表示パネル21、および第2の表示パネル22の角度を調整することによって、同じ結像凹面鏡3を共有でき、それによって結像凹面鏡3の面積を縮小する。例えば、従来技術と比較して、結像凹面鏡3の面積の35%より多くを縮小でき、多視点角度で同時に見ることができる鮮明で明るい空中投影も達成し、組み立てスペースを削減し、コストが下がる。
【0034】
また、2つの指向性像ビームD1、D2は、それぞれ第1の観察者P1および第2の観察者P2に投射され、投影実像V1、V2を空中に形成する。第1の表示パネル21および第2の表示パネル22は、同じまたは異なる像を表示でき、それによって第1の観察者P1および第2の観察者P2は、同じまたは異なる像を同時に見ることができる。
【0035】
指向性光源には、例えば、レンズ型コリメータを有する光源、反射型コリメータを有する光源、レンズ型コリメータのアレイを有する光源アレイ、またはマイクロミラーアレイ反射拡散板を有する光源などがあるが、これに限定されない。
【0036】
図8Aおよび図8Bを参照すると、2つの指向性光源と、2つの反射器と、表示パネルと、実像を生成して2つの視野角を形成する結像凹面鏡とを使用する本開示の実施形態による多視点角度空中投影装置を示しており、表示パネルおよび結像凹面鏡は共有される。多視点角度空中投影装置は、
第1の指向性光ビームL1を投射する第1の指向性光源11と、
第2の指向性光ビームL2を投射する第2の指向性光源12と、
2つの指向性光源に対応する像を時分割表示する表示パネルであって、2つの指向性光源の切り替えは、表示パネル2の時分割表示と同期し、第1の指向性光ビームL1および第2の指向性光ビームL2は、表示パネル2に時分割表示された対応する像を照明して第1の指向性像ビームD1および第2の指向性像ビームD2をそれぞれ形成し、表示パネル上の2つの指向性光ビームL1、L2の照明領域は、完全に重なるかほとんど重なり、例えば、照明領域が重なる割合は、70%よりも多い、表示パネル2と
を有する。
【0037】
表示パネル2から結像凹面鏡3に投射される指向性像ビームD1、D2の光路には、どちらも平面鏡である第1の反射器51および第2の反射器52がそれぞれ配置される。第1の指向性像ビームD1および第2の指向性像ビームD2は、表示パネル2から互いに離れる方向に向かって投射され、その光路は、第1の指向性像ビームD1および第2の指向性像ビームD2が同じ結像凹面鏡3に向けられるように、第1の反射器51および第2の反射器52の反射によって変化する。次に第1の指向性像ビームD1および第2の指向性像ビームD2は、結像凹面鏡3で反射し、それぞれ第1の観察者P1(運転者の視野領域)および第2の観察者P2(助手席の乗員の視野領域)に投射され、それによって2つの空中投影実像を形成し、結像凹面鏡3に反射した指向性像ビームD1、D2の領域は、完全に重なるかほとんど重なり、例えば、反射領域が重なる割合は、70%よりも多い。また、2つの視野領域の2つの視野角AV1とAV2との間には、さらに大きい視野角差ADがあり、例えば視野角差ADは、30度よりも大きい。
【0038】
この実施形態では、結像凹面鏡3から第1の観察者P1および第2の観察者P2に投射される指向性像ビームD1、D2の光路にフロントガラス4がさらに設けられる。フロントガラス4の機能は前述の実施形態のものとほぼ同じであり、ここでは繰り返さない。
【0039】
第1の指向性光源11、第2の指向性光源12、第1の反射器51、および第2の反射器52の角度を調整することにより、同じ表示パネル2および同じ結像凹面鏡3を共有することができ、それによって結像凹面鏡3の面積を縮小し、多視点角度で同時に見ることができる鮮明で明るい空中投影も達成し、組み立てスペースを削減し、コストが下がる。
【0040】
図9Aおよび図9Bを参照すると、2つの指向性光源と、実像を生成して2つの視野角を形成する結像凹面鏡とを使用する本開示の実施形態による多視点角度空中投影装置を示しており、表示パネルは共有される。多視点角度空中投影装置は、
第1の指向性光ビームL1を投射する第1の指向性光源11と、
第2の指向性光ビームL2を投射する第2の指向性光源12と、
2つの指向性光源に対応する像を時分割表示する表示パネルであって、2つの指向性光源の切り替えは、表示パネル2の時分割表示と同期し、第1の指向性光ビームL1および第2の指向性光ビームL2は、表示パネル2に時分割表示された対応する像を照明して第1の指向性像ビームD1および第2の指向性像ビームD2をそれぞれ形成し、表示パネル上の2つの指向性光ビームL1、L2の照明領域は、完全に重なるかほとんど重なり、例えば、照明領域が重なる割合は、70%よりも多い、表示パネル2と、
第1の指向性像ビームD1を反射する第1の結像凹面鏡31と、
第2の指向性像ビームD2を反射する第2の結像凹面鏡32と、
を有する。
【0041】
第1の指向性像ビームD1は、第1の結像凹面鏡31で反射して第1の観察者P1(運転者の視野領域)に向かい、第2の指向性像ビームD2は、第2の結像凹面鏡32で反射して第2の観察者P2(助手席の乗員の視野領域)に向かい、それによって2つの空中投影実像を形成する。また、2つの視野領域の2つの視野角AV1とAV2との間にはより大きい視野角差ADがあり、例えば視野角差ADは、30度よりも大きい。
【0042】
この実施形態では、第1の結像凹面鏡31および第2の結像凹面鏡32から第1の観察者P1および第2の観察者P2に投射される指向性像ビームD1、D2の光路にフロントガラス4がさらに設けられる。フロントガラス4の機能は前述の実施形態のものとほぼ同じであり、ここでは繰り返さない。
【0043】
第1の指向性光源11、第2の指向性光源12、第1の結像凹面鏡31、および第2の結像凹面鏡32の角度を調整することにより、同じ表示パネル2を共有でき、多視点角度で同時に見ることができる鮮明で明るい空中投影も達成し、組み立てスペースを削減し、コストが下がる。
【0044】
また、2つの指向性像ビームD1、D2はそれぞれ、第1の観察者P1および第2の観察者P2に投射され、投影実像V1、V2を空中に形成する。時分割表示された表示パネル2の像は、同じであっても異なっていてもよい。表示される像が同じ場合、2つの指向性光ビームL1、L2は、時分割で切り替わらずに照明し続けるか、表示パネル2の時分割表示に同期して切り替わるかのいずれかであってよい。表示される像が異なる場合、2つの指向性光ビームL1、L2の切り替えは、表示パネル2の時分割表示に同期する。したがって、第1の観察者P1と第2の観察者P2は、同じ像または異なる像を同時に見ることができる。切り替え時間は、人間の目の視覚的持続よりも短く、例えば0.1秒であり、それによって観察者P1、P2は、像を見るときに邪魔だと感じない。
【0045】
図10に示したように、前述の実施形態では、結像凹面鏡3に投射される前に、指向性像ビームD1は、最初に近軸反射器6で反射し、その後、結像凹面鏡3に投射される。近軸反射器6は、光路を曲げるための平面鏡であってよく、それによって結像凹面鏡3への入射光と反射光の両方を近軸光路にして球面収差を低減し、像質を改善する。表示パネル2および他の構成要素を光路上に配置する際の柔軟性も良好になる。
【0046】
図11に示したように、前述の実施形態では、指向性像ビームD1の光路上の表示パネル2と近軸反射器6との間に、凹状調整反射器71などの調整反射器をさらに設けて、拡大虚像DVを形成できる。このように、前の実施形態と同様の規模の空中投影を達成するために、小さい表示パネル2および短い物体距離を利用できる。すなわち、調整反射器71を使用することにより、像源および物体距離の規模を調整することが好ましい。
【0047】
図12に示したように、前述の実施形態では、調整反射器は、縮小虚像DVを形成するための凸状調整反射器72であってもよく、それによって像源および物体距離の規模を調整する。
【0048】
図13Aに示したように、前述の実施形態では、結像凹面鏡3で反射した指向性像ビームD1が光の出口Tを通過し、その後フロントガラス4に投射される場合、結像凹面鏡3とフロントガラス4との間の光路は、結像凹面鏡3の光軸に接近する必要があり、近軸反射器6を避けるために使用スペースが制限される。
【0049】
図13Bに示したように、前述の実施形態に基づいて、近軸反射器6は、例えば反射が50%で透過が50%の半反射器61など、半反射性かつ半透過性の光学素子であってよく、半反射器61は、光の出口Tに配置されてよい。このように、調整反射器71で反射した指向性像ビームD1は、最初に半反射器61に投射され、指向性像ビームD1の一部は、反射して結像凹面鏡3に向かう。次に結像凹面鏡3で反射した指向性像ビームD1は、再び半反射器61に投射され、半反射器61を部分的に透過してフロントガラス4に入射する。この設計では、近軸光路を維持することが好ましく、必要なスペースを削減できる。また、光の出口Tを通過して内部光路に入る外光の量を減らして、表示パネル2の太陽光による損傷も防止できる。
【0050】
半反射器61には、フロントガラス4に対向している表面に反射防止膜8を設けて、半反射器61で反射する太陽光または外光によって生じる観察者へのまぶしい光を軽減でき、それによって運転者および助手席の乗員の邪魔になるのを回避する。
【0051】
図14Aに示したように、光の出口Tを通過して内部光路に入る外光の量を減らすもう一つの方法である。光がガラスを通過するとき、偏光P波成分の透過率は、偏光S波成分の透過率よりも高いことが知られている。特に入射角がブリュースター角に等しいとき、偏光P波成分の透過率は100%に近く、すなわちほとんどすべてが透過できるが、偏光S波成分の透過率は、入射角が大きくなるにつれて低くなる。この実施形態では、偏光状態の異なる像ビームを反射させて透過させるために、前述の実施形態の近軸反射器6の代わりに偏光ビームスプリッタを使用する。例えば、偏光P波成分を反射させて偏光S波成分を透過させるために反射偏光子62を使用する。反射偏光子62は、フロントガラス4を透過する太陽光または外光の偏光P波成分を遮断でき、指向性像ビームD1の偏光S波成分が光の出口Tを通過してフロントガラス4で反射して観察者に向かう割合を高めることが可能になる。これに応じて、表示パネル2の光放出側と反射偏光子62の結像凹面鏡3に対向している側のそれぞれに位相遅延器を設けることができる。位相遅延器は、例えば、指向性像ビームD1の偏光状態を変換するための1/4波長板91、92であってよい。
【0052】
反射偏光子62には、フロントガラス4に対向する側に反射防止膜8を設けることができる。反射防止膜8の機能は前述の実施形態のものとほぼ同じであり、ここでは繰り返さない。
【0053】
図14Bを参照すると、図14Aによる偏光変換方法の光路が示されている。第1の1/4波長板91は、表示パネル2の光放射側に隣接していて、結像凹面鏡3に入射してそこから反射する光の光路を遮断しない。第2の1/4波長板92は、結像凹面鏡3に面していて、光の出口Tで反射偏光子62の片面に隣接し、第2の1/4波長板92は、表示パネル2から調整反射器71に投射される指向性像ビームD1の光路を遮断しない。表示パネル2から投射された指向性像ビームD1はS偏光であり、S偏光は、第1の1/4波長板91によって左円偏光に変換される。指向性像ビームD1が調整反射器71で反射した後、右円偏光に変換される。指向性像ビームD1は、最初に第2の1/4波長板92を通過し、P偏光に変換される。その後、P偏光は、反射偏光子62で反射して第2の1/4波長板92に投射される。指向性像ビームD1は、2回目に第2の1/4波長板92を通過し、右円偏光に変換される。次に、指向性像ビームD1は、結像凹面鏡3で反射して左円偏光に変換され、その後、3回目に第2の1/4波長板92に投射されてそこを通過し、左円偏光はS偏光に変換される。S偏光は、近軸反射偏光子62を透過して投射されて光の出口Tから出る。
【0054】
図15Aは、本開示による多視点角度空中投影装置を示しており、図7A図7Bおよび図13Bに示した実施形態に開示した特徴を組み合わせたものである。多視点角度空中投影装置の光学素子は、光の出口Tで半反射器61を通して実像V1、V2を投影するために結像凹面鏡3を利用するものであり、結像凹面鏡3は共有される。例えば、投影された実像V1が形成されるとき、第1の指向性光源11によって投射された第1の指向性光ビームL1は、第1の表示パネル21を照明して第1の指向性像ビームD1を形成する。次に第1の指向性像ビームD1は、調整反射器71に投射され、調整反射器71で反射し、半反射器61に投射される。第1の指向性像ビームD1は、一部が半反射器61で反射して結像凹面鏡3に向かい、結像凹面鏡3で反射し、一部が半反射器61の光の出口Tを透過する。透過した第1の指向性像ビームD1は、フロントガラス4に投射され、最終的に空中投影実像V1を形成して第1の観察者P1(運転者の視野領域)に到達する。投影実像V2を形成する光路は、投影実像V1の光路とほぼ同じで、第1の指向性像ビームD1と第2の指向性像ビームD2の反射領域は、結像凹面鏡3上で互いに完全に重なるかほとんど重なる。
【0055】
図15Bは、本開示による多視点角度空中投影装置を示しており、図7A図7Bおよび図14Bに示した実施形態に開示した特徴を組み合わせたものである。多視点角度空中投影装置の光学素子は、光の出口Tで反射偏光子62を通して実像V1、V2を投影するために結像凹面鏡3を利用するものであり、結像凹面鏡3は共有される。例えば、投影された実像V1が形成されるとき、第1の指向性光ビームL1は、第1の表示パネル21および第1の1/4波長板91を透過して第1の指向性像ビームD1を形成する。第1の指向性像ビームD1が調整反射器71で反射した後、第1の指向性像ビームD1は、第2の1/4波長板92を透過して反射偏光子62に投射される。次に、第1の指向性像ビームD1は、反射偏光子62で反射して、2回目に第2の1/4波長板92を透過して結像凹面鏡3に投射される。次いで第1の指向性像ビームD1は、結像凹面鏡3で反射し、3回目に第2の1/4波長板92を透過し、光の出口Tを通って投射され反射偏光子62を形成する。透過した第1の指向性像ビームD1は、フロントガラス4に投射され、最終的に空中投影実像V1を形成して第1の観察者P1(運転者の視野領域)に到達する。投影実像V2を形成する光路は、投影実像V1の光路とほぼ同じで、第1の指向性像ビームD1と第2の指向性像ビームD2の反射領域は、結像凹面鏡3上で互いに完全に重なるかほとんど重なる。
【0056】
図16Aは、本開示による多視点角度空中投影装置を示しており、図8A図8Bおよび図13Bに示した実施形態に開示した特徴を組み合わせたものである。多視点角度空中投影装置の光学素子は、光の出口Tで半反射器61を通して実像V1、V2を投影するために表示パネル2および結像凹面鏡3を利用するものであり、表示パネル2および結像凹面鏡3は共有される。例えば、投影された実像V1が形成されるとき、第1の指向性光源11によって投射された第1の指向性光ビームL1は、表示パネル2を照明して第1の指向性像ビームD1を形成する。第1の指向性像ビームD1は、最初に第1の反射器51で反射し、その後、調整反射器71に投射され、調整反射器71で反射し、半反射器61に投射される。第1の指向性像ビームD1は、一部が半反射器61で反射して結像凹面鏡3に向かい、結像凹面鏡3で反射し、一部が半反射器61の光の出口Tを透過する。透過した第1の指向性像ビームD1は、フロントガラス4に投射され、最終的に空中投影実像V1を形成して第1の観察者P1(運転者の視野領域)に到達する。投影実像V2を形成する光路は、投影実像V1の光路とほぼ同じで、第1の指向性光ビームL1と第2の指向性光ビームL2の照明領域は、表示パネル2上で互いに完全に重なるかほとんど重なる。第1の指向性像ビームD1および第2の指向性像ビームD2は、表示パネル2から互いに離れる方向に向かって投射され、その光路は、第1の指向性像ビームD1と第2の指向性像ビームD2とが同じ結像凹面鏡3上で収束するように、第1の反射器51および第2の反射器52を利用して変更される。
【0057】
図16Bは、本開示による多視点角度空中投影装置を示しており、図8A図8Bおよび図14Bに示した実施形態に開示した特徴を組み合わせたものである。多視点角度空中投影装置の光学素子は、光の出口Tで反射偏光子62を通して実像V1、V2を投影するために表示パネル2および結像凹面鏡3を利用するものであり、表示パネル2および結像凹面鏡3は共有される。この実施形態の光路を示している図16Cも参照されたい。例えば、投影された実像V1が形成されるとき、第1の指向性光源11によって投射された第1の指向性光ビームL1は、表示パネル2を照明し、第1の1/4波長板91を透過して第1の指向性像ビームD1を形成する。第1の指向性像ビームD1は、最初に第1の反射器51で反射し、調整反射器71に投射され、その後、調整反射器71で反射する。反射した第1の指向性像ビームD1は、第2の1/4波長板92を透過して、反射偏光子62に投射される。次に、第1の指向性像ビームD1は、反射偏光子62で反射し、第2の1/4波長板92を透過して結像凹面鏡3に投射される。その後、第1の指向性像ビームD1は、結像凹面鏡3で反射し、光の出口Tで第2の1/4波長板92および反射偏光子62を透過する。透過した第1の指向性像ビームD1は、フロントガラス4に投射され、最終的に空中投影実像V1を形成して第1の観察者P1(運転者の視野領域)に到達する。投影実像V2を形成する光路は、投影実像V1の光路とほぼ同じで、第1の指向性像ビームD1と第2の指向性像ビームD2の照明領域は、表示パネル2上で互いに完全に重なるかほとんど重なる。第1の指向性像ビームD1および第2の指向性像ビームD2は、表示パネル2から互いに離れる方向に向かって投射され、その光路は、第1の指向性像ビームD1と第2の指向性像ビームD2とが同じ結像凹面鏡3上で収束するように、第1の反射器51および第2の反射器52を利用して変更される。
【0058】
図16Aおよび図16Bに示した実施形態によれば、2つの指向性像ビームD1、D2は、それぞれ第1の観察者P1および第2の観察者P2に投射され、投影実像V1、V2を空中に形成する。表示パネル2の時分割表示された像は、同じであっても異なっていてもよい。表示される像が同じ場合、2つの指向性光ビームL1、L2は、時分割を切り替えずに照明し続けるか、表示パネル2の時分割表示と同期して切り替わるかのいずれかであってよい。表示される像が異なる場合、2つの指向性光ビームL1、L2の切り替えは、表示パネル2の時分割表示と同期する。したがって、第1の観察者P1と第2の観察者P2は、同じか異なる像を同時に見ることができる。切り替え時間は、観察者P1、P2が像を見る際に邪魔だと感じないように、人間の目の視覚持続時間よりも短い。
【0059】
図16Dは、図16Bの第1の観察者P1(運転者の視野領域)に対応する光路であり、第1の指向性像ビームD1の偏光状態の変換プロセスを示している。図16Dに示した偏光状態は、図14Bのものとほぼ同じであり、この実施形態と図14Bとの違いは、表示パネル2によって投射されたS偏光が、第1の1/4波長板91を通過した後に右円偏光に変換され、その後、第1の反射器51で反射した後に左円偏光に変換されるという点である。この2つの実施形態のそれ以外の部分は同じであるため、ここでは繰り返さない。
【0060】
図17Aは、本開示による多視点角度空中投影装置を示しており、図9A図9Bおよび図13Bに示した実施形態に開示した特徴を組み合わせたものである。多視点角度空中投影装置の光学素子は、光の出口Tで半反射器61を通して実像V1、V2を投影するために表示パネル2および複数の結像凹面鏡31、32を利用するものであり、表示パネル2は共有される。例えば、投影された実像V1が形成されるとき、第1の指向性光源11によって投射された第1の指向性光ビームL1は、表示パネル2を照明して第1の指向性像ビームD1を形成する。次に第1の指向性像ビームD1は、調整反射器71に投射され、調整反射器71で反射し、半反射器61に投射される。第1の指向性像ビームD1は、一部が半反射器61で反射して第1の結像凹面鏡31に向かい、第1の結像凹面鏡31で反射し、一部が光の出口Tで半反射器61を透過する。透過した第1の指向性像ビームD1は、フロントガラス4に投射され、空中投影実像V1を形成して第1の観察者P1(運転者の視野領域)に到達する。投影実像V2を形成する光路は、投影実像V1の光路とほぼ同じで、第1の指向性光ビームL1と第2の指向性光ビームL2の照明領域は、同じ表示パネル2上で互いに完全に重なるかほとんど重なる。
【0061】
図17Bは、本開示による多視点角度空中投影装置を示しており、図9A図9Bおよび図14Bに示した実施形態に開示した特徴を組み合わせたものである。多視点角度空中投影装置の光学素子は、光の出口Tで反射偏光子62を通して実像V1、V2を投影するために表示パネル2および複数の結像凹面鏡31、32を利用するものであり、表示パネル2は共有される。例えば、投影された実像V1が形成されるとき、第1の指向性光源11によって投射された第1の指向性光ビームL1は、表示パネル2を照明し、第1の1/4波長板91を透過して第1の指向性像ビームD1を形成する。次に第1の指向性像ビームD1は、調整反射器71に投射され、調整反射器71で反射し、第2の1/4波長板92を透過して、反射偏光子62に投射される。第1の指向性像ビームD1は、反射偏光子62で反射し、第2の1/4波長板92を透過して第1の結像凹面鏡31に投射される。その後、第1の指向性像ビームD1は、第1の結像凹面鏡31で反射し、光の出口Tで第2の1/4波長板92および反射偏光子62を透過する。透過した第1の指向性像ビームD1は、フロントガラス4に投射され、空中投影実像V1を形成して第1の観察者P1(運転者の視野領域)に到達する。投影実像V2を形成する光路は、投影実像V1の光路とほぼ同じで、第1の指向性光ビームL1と第2の指向性光ビームL2の照明領域は、同じ表示パネル2上で互いに完全に重なるかほとんど重なる。
【0062】
図17Aおよび図17Bに示した実施形態によれば、2つの指向性像ビームD1、D2はそれぞれ、第1の観察者P1および第2の観察者P2に投射され、投影実像V1、V2を空中に形成する。表示パネル2の時分割表示された像は、同じであっても異なっていてもよい。表示される像が同じ場合、2つの指向性光ビームL1、L2は、時分割を切り替えずに照明し続けるか、表示パネル2の時分割表示と同期して切り替わるかのいずれかであってよい。表示される像が異なる場合、2つの指向性光ビームL1、L2の切り替えは、表示パネル2の時分割表示と同期する。したがって、第1の観察者P1と第2の観察者P2は、同じか異なる像を同時に見ることができる。切り替え時間は、観察者P1、P2が像を見る際に邪魔だと感じないように、人間の目の視覚持続時間よりも短い。
【符号の説明】
【0063】
1:バックライト光源
11、12:指向性光源
2、21、22:表示パネル
3、31、32:結像凹面鏡
4:フロントガラス
51、52:反射器
6:近軸反射器
61:半反射器
62:反射偏光子
65:ダッシュボード
71、72:調整反射器
8:反射防止膜
91、92:1/4波長板
AV1、AV2:視野角
AD:視野角差
D1、D2:指向性像ビーム
DR:実像
DV:虚像
L1、L2:指向性光ビーム
P1、P2:観察者
T:光の出口
V1、V2:投影実像
図1A
図1B
図1C
図1D
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12
図13A
図13B
図14A
図14B
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A
図17B