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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018433
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】水洗大便器
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/00 20060101AFI20240201BHJP
   E03D 9/08 20060101ALI20240201BHJP
   E03D 11/14 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
E03D9/00 Z
E03D9/08 A
E03D11/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121780
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100098475
【弁理士】
【氏名又は名称】倉澤 伊知郎
(74)【代理人】
【識別番号】100130937
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100144451
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 博子
(74)【代理人】
【識別番号】100224672
【弁理士】
【氏名又は名称】深田 孝徳
(72)【発明者】
【氏名】岩城 秀夫
(72)【発明者】
【氏名】中島 誠也
(72)【発明者】
【氏名】頭島 周
【テーマコード(参考)】
2D038
2D039
【Fターム(参考)】
2D038JC01
2D039AA02
(57)【要約】
【課題】本発明は、水洗大便器の外観意匠性を損なうことなく、外部から荷重を受けることにより発生する制御装置の故障を抑制することができる共に、メンテナンス性や作業性を向上させることができる水洗大便器を提供することを目的としている。
【解決手段】本発明は、壁に固定される壁掛け式の水洗大便器1であって、前方に配置されて汚物を受けるボウル部8と、ボウル部8の上縁に配置されるリム部10と、ボウル部8の底部12から後方へ延びて汚物を排出する排水トラップ部14と、ボウル部の外郭を覆う袴部16と、便器本体を壁に固定するための壁固定部20と、を備える便器本体2と、ボウル部8に洗浄水を供給する給水装置4と、給水装置4を制御する制御装置6と、を有し、便器本体2には、ボウル部8よりも後方且つリム部10よりも下方に凹部18が形成され、制御装置6は、凹部18内に配置されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
壁に固定される壁掛け式の水洗大便器であって、
前方に配置されて汚物を受けるボウル部と、上記ボウル部の上縁に配置されるリム部と、上記ボウル部の底部から後方へ延びて汚物を排出する排水トラップ部と、上記ボウル部の外郭を覆う袴部と、便器本体を壁に固定するための壁固定部と、を備える便器本体と、
上記ボウル部に洗浄水を供給する給水装置と、
上記給水装置を制御する制御装置と、を有し、
上記便器本体には、上記ボウル部よりも後方且つ上記リム部よりも下方に凹部が形成され、
上記制御装置は、上記凹部内に配置されていることを特徴とする水洗大便器。
【請求項2】
上記壁固定部は、上記便器本体の後端である後壁部に設けられ、
上記制御装置は、前後方向において上記壁固定部と重なるように配置されている、請求項1に記載の水洗大便器。
【請求項3】
上記壁固定部は、上記便器本体の後壁部に設けられた固定穴であり、
この固定穴に固定ボルトを貫通させることによって上記便器本体を壁に固定する、請求項1又は請求項2に記載の水洗大便器。
【請求項4】
上記壁固定部は、前後方向において上記袴部と重なるように配置されている、請求項1に記載の水洗大便器。
【請求項5】
上記制御装置は、上記凹部内で、ベースプレートを介して上記便器本体に固定されている、請求項1に記載の水洗大便器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水洗大便器に関し、特には、壁に固定される壁掛け式の水洗大便器に関している。
【背景技術】
【0002】
従来から、便器本体に洗浄水を供給するための給水装置と、この給水装置を制御するための制御装置を備えた壁掛け式の水洗大便器が知られている。壁掛け式の水洗大便器は、使用者が着座した時に掛かる荷重を支持する必要があるため、便器本体を壁に対して固定する部分である後壁の厚みが厚くなっている。このため、便器本体の後壁とボウル部の間の内部空間が狭くなり、この内部空間に給水装置及び制御装置を配置することができないことがある。
【0003】
この場合、便器本体の外部に給水装置及び制御装置を配置することになるが、これにより、便器全体の高さが高くなるので便器の外観意匠性が損なわれるという問題がある。また、給水装置及び制御装置が外部から荷重を受けると、給水装置及び制御装置の電装部品や電気配線等が故障する可能性があるという問題がある。これらを解決するために、特許文献1及び2の便器では、給水装置を便器本体内のボウル部よりも後方に配置すると共に、制御装置を便器本体内のボウル部よりも下方に配置して、給水装置及び制御装置の両方を便器本体内に収納するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-147909号公報
【特許文献2】特開2021-107630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2の便器では、便器本体内のボウル部よりも下方に制御装置が配置されているために、便器本体の外部から制御装置にアクセスできず、メンテナンス性や施工時の組み立て作業性が悪いという問題がある。
【0006】
そこで、本発明は、上述した従来の問題点を解決するためになされたものであり、水洗大便器の外観意匠性を損なうことなく、外部から荷重を受けることにより発生する制御装置の故障を抑制することができる共に、メンテナンス性や作業性を向上させることができる水洗大便器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の水洗大便器は、壁に固定される壁掛け式の水洗大便器であって、前方に配置されて汚物を受けるボウル部と、ボウル部の上縁に配置されるリム部と、ボウル部の底部から後方へ延びて汚物を排出する排水トラップ部と、ボウル部の外郭を覆う袴部と、便器本体を壁に固定するための壁固定部と、を備える便器本体と、ボウル部に洗浄水を供給する給水装置と、給水装置を制御する制御装置と、を有し、便器本体には、ボウル部よりも後方且つリム部よりも下方に凹部が形成され、制御装置は、凹部内に配置されていることを特徴とする。
【0008】
このように構成された本発明においては、便器本体には、ボウル部よりも後方且つリム部よりも下方に凹部が形成され、制御装置は、凹部内に配置されているので、水洗大便器の外観意匠性が損なわれることがなく、外部から荷重を受けることにより発生する制御装置の故障を抑制することができる。また、凹部の上方から制御装置にアクセスできるためメンテナンス性や作業性を向上させることができる。
【0009】
本発明において、好ましくは、壁固定部は、便器本体の後端である後壁部に設けられ、制御装置は、前後方向において壁固定部と重なるように配置されている。このように構成された本発明によれば、制御装置が壁固定部と前後方向において重なるように配置されているので、便器の前出寸法を短くすることができる。
【0010】
また、本発明において、好ましくは、壁固定部は、便器本体の後壁部に設けられた固定穴であり、この固定穴に固定ボルトを貫通させることによって便器本体を壁に固定する。このように構成された本発明によれば、便器の前出寸法を短くすることができる。
【0011】
本発明において、好ましくは、壁固定部は、前後方向において袴部と重なるように配置されている。このように構成された本発明によれば、外部からの荷重を袴部により支持することができるため、外部から荷重を受けることにより発生する制御装置の故障を抑制することができる。
【0012】
また、本発明において、好ましくは、制御装置は、凹部内で、ベースプレートを介して便器本体に固定されている。このように構成された本発明によれば、制御装置を凹部内に安定して固定することができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水洗大便器によれば、水洗大便器の外観意匠性を損なうことなく、外部から荷重を受けることにより発生する制御装置の故障を抑制することができる共に、メンテナンス性や作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の第1実施形態による水洗大便器の斜視図である。
図2】本発明の第1実施形態による水洗大便器の平面図である。
図3図2のI-I線に沿って見た側方断面図である。
図4】本発明の第1実施形態による水洗大便器に備えられている制御装置の斜視図である。
図5】本発明の第1実施形態による水洗大便器に備えられている制御装置の側面図である。
図6】本発明の第1実施形態による水洗大便器に備えられている制御装置の底面図である。
図7】本発明の第1実施形態による水洗大便器に備えられている制御装置の平面図である。
図8図7のII-II線に沿って見た側方断面図である。
図9】本発明の第2実施形態による水洗大便器の斜視図である。
図10】本発明の第2実施形態による水洗大便器の平面図である。
図11図10のIII-III線に沿って見た側方断面図である。
図12】本発明の第3実施形態による水洗大便器の斜視図である。
図13】本発明の第3実施形態による水洗大便器の平面図である。
図14図13のIV-IV線に沿って見た側方断面図である。
【0015】
以下、添付図面を参照して、本発明の第1実施形態(以下、第1実施形態)による水洗大便器について説明する。
先ず、図1乃至図3により、第1実施形態による水洗大便器の全体構成を説明する。
図1は、第1実施形態による水洗大便器の斜視図、図2は、第1実施形態による水洗大便器の平面図、図3は、図2のI-I線に沿って見た側方断面図である。
【0016】
本明細書では、使用者が便座に着座した状態で、使用者が向いている方向を前方、使用者の背中側を後方、使用者の左側を左方、使用者の右側を右方という。
【0017】
図1に示すように、第1実施形態による水洗大便器1は、陶器製であり、壁(図示せず)に固定される壁掛け式の水洗大便器である。水洗大便器1は、壁に固定された状態で、便器本体2の下面が床面から浮いた状態になっている。
【0018】
図2及び図3に示すように、水洗大便器1は、便器本体2と、この便器本体2に洗浄水を供給する給水装置4と、この給水装置4を制御する制御装置6と、便器本体2の上面に載置される温水洗浄便座(図示せず)と、一端が制御装置6に接続され、他端が温水洗浄便座に接続される電気配線7とを備えている。
【0019】
便器本体2は、前方に配置されて汚物を受けるボウル部8と、ボウル部8の上縁に配置されるリム部10と、ボウル部8の底部12から後方へ延びて汚物を排出する排水トラップ部14と、ボウル部8の外郭を覆う袴部16と、給水装置4を収納する凹部18と、便器本体2を壁に固定するための固定穴20(壁固定部)とを備えている。
【0020】
ボウル部8は、上方が開口するボウル形状で形成され、便器本体2の前後方向中央よりも前側に配置されている。リム部10は、ボウル部8の内部空間に露出する内周面を有し、この内周面がリム吐水口22から吐水された洗浄水が旋回するリム導水路24を形成している。また、リム部10は、ボウル部8の内部空間に向かって上方に延びるオーバーハング形状で形成されている。ボウル部8の側方側には、溜水を上下方向に攪拌させるためのジェット吐水口23が形成されている。
【0021】
排水トラップ部14は、便器本体2の左右方向中央に配置され、ボウル部8の後方に配置されている。排水トラップ部14は、入口部14aと、この入口部14aから上昇するトラップ上昇管14bと、このトラップ上昇管14bから壁内に設けられた排水管(図示せず)に向かって下降するトラップ下降管14cとからなり、トラップ上昇管14bとトラップ下降管14cとの間が頂部14dとなっている。この頂部14dは、便器本体2の前後方向において、ボウル部8と凹部18との間に位置している。なお、第1実施形態では、ボウル部と凹部との間に排水トラップ部の頂部が位置しているが、これに代えて、凹部を前後方向において排水トラップ部の頂部まで延ばし、排水トラップ部の頂部が凹部の下方に位置するようにしてもよい。
【0022】
袴部16は、ボウル部8の前方を覆う前方袴部16aと、ボウル部の側方を覆う側方袴部16bとを有し、便器本体2の外周に沿って外装面を形成している。前方袴部16aと側方袴部16bとは、前方から左右の側方を経て後方まで連続する曲面で形成されている。袴部16は、上方から下方に向かって徐々に窄むように形成されている。
【0023】
便器本体2には、ボウル部8の後方、リム部10の上面よりも下方、且つ排水トラップ部14の上方の位置に凹部18が形成されている。凹部18は、下方に向けて凹状で形成され、リム部10の上面よりも下方へ凹んで形成されている。凹部18は、前壁部18a、側壁部18b、後壁部18c、及び底部18dから構成され、その内部に略直方形状の内部空間Sが形成されている。内部空間Sは、ボウル部8の後方、リム部10の上面よりも下方、且つ排水トラップ部14の上方の位置に形成された凹部18の内部空間である。
【0024】
凹部18は、平面視で、略矩形状の開口を形成しており、左側の側方袴部16b付近から右側の側方袴部16b付近まで左右方向へ延び、後端付近からボウル部8付近まで前後方向へ延びている(図2を参照)。凹部18の後壁部18cは、中央領域に位置する中央壁部と、この中央壁部の左右両側の側方領域に位置する側方壁部とからなり、この側方壁部の前方には補強壁部18eが配置されている。補強壁部18eは、後壁部18cと略同一の厚さで形成されている。なお、補強壁部は、凹部の内部空間に配置される装置や便器本体の形状による応力負荷などを考慮して、種々の態様を採用することができる。
【0025】
凹部18は、側面視で、リム部10の上面から排水トラップ部14のトラップ下降管14c付近まで上下方向に延びている(図3を参照)。凹部18の底部18dは、前側に位置する前側底部と、この前側底部よりも後方側且つ高い位置に位置する後側底部から構成されている。なお、水洗大便器をサイホンジェット式便器にした場合、排水トラップ部が洗い落とし式便器と比べて高い位置に位置するため、凹部の前側底部の一部を後側底部よりも高い位置に位置させてもよい。
【0026】
固定穴20(壁固定部)は、便器本体2の後壁部18c及び補強壁部18eの左右2箇所に設けられ、後壁部18c及び補強壁部18eを前後方向に貫通している。固定穴20は、前後方向において袴部16の側方袴部16bと重なるように配置されている。水洗大便器1を壁に取り付ける際には、先ず、壁内に便器本体を支持する固定フレーム(図示せず)を設ける。次に、固定ボルト(図示せず)を固定フレームに設けられた取付穴に挿入する。次に、便器本体を持ち上げて、便器本体の固定穴20に固定ボルトを貫通させて、固定ボルトとナットとを締結させることにより水洗大便器1を壁に取り付けるようになっている。なお、第1実施形態では、壁固定部として、固定穴を後壁部に設けた例を示したが、これに限定されるものではなく、水洗大便器1を壁に固定することができれば種々の態様を採用することができる。
【0027】
給水装置4は、洗浄水を貯水する貯水タンク4aと、この貯水タンク4aに貯水された洗浄水を便器本体2へ供給するポンプ4bと、便器本体2への洗浄水の給水又は止水を行う電磁弁や給水流路切替弁等から構成される便器洗浄ユニットと、を備え、ボウル部8に洗浄水を供給するようになっている。貯水タンク4aは、上流側が水道管(図示せず)に接続され、下流側がポンプ4bに接続されている。ポンプ4bは、下流側がリム吐水口22及びジェット吐水口23に接続され、貯水タンク4aに貯水された洗浄水を加圧してリム吐水口22及びジェット吐水口23まで供給するようになっている。図1乃至図3に示すように、貯水タンク4a及びポンプ4bは、凹部18の内部空間S内に配置されている。より具体的には、貯水タンク4a及びポンプ4bは、内部空間Sの左右方向中央よりも左側に配置され、貯水タンク4aはポンプ4bの後側に配置されている。
【0028】
制御装置6は、電気配線7によって温水洗浄便座と接続されている。また、制御装置6は、別の電気配線(図示せず)によって便器洗浄ユニット及びポンプ4bと接続されている。制御装置6は、商用電源から温水洗浄便座を介して電源供給されるようになっている。また、制御装置6は、操作部(図示せず)からの操作信号に応じて、電磁弁や給水流路切替弁等の便器洗浄ユニット及びポンプ4bへ電源供給又は信号を送信するようになっている。図1に示すように、制御装置6は、凹部18の内部空間S内に配置されている。図2に示すように、制御装置6は、内部空間Sの左右方向中央に配置され、前後方向中央よりも後側に配置されている。制御装置6は、前後方向において、固定穴20と重なるように配置されている。制御装置6は、後壁部18cの前方且つ左右の補強壁部18eの間に配置されている。図3に示すように、制御装置6は、ベースプレート26を介して、後側底部に固定されている。
【0029】
ベースプレート26は、平面視で矩形状に形成されている平坦な板状部材である。ベースプレート26は、補強壁部18eの間の後側底部の上面に設けられている。ベースプレート26は、便器本体2に対してネジ(図示せず)により固定され、着脱可能に取り付けられている。ベースプレート26は、例えば、樹脂製又は金属製の部材である。
【0030】
次に、図4乃至図8により、第1実施形態による水洗大便器1の制御装置6の詳細について説明する。図4は、第1実施形態による水洗大便器の制御装置の斜視図、図5は、第1実施形態による水洗大便器の制御装置の側面図、図6は、第1実施形態による水洗大便器の制御装置の底面図、図7は、第1実施形態による水洗大便器の制御装置の平面図、図8は、図7のII-II線に沿って見た側方断面図である。
【0031】
図4に示すように、制御装置6は、上方が開口されたケース本体部28と、このケース本体部28の開口を覆う蓋部30と、ケース本体部28内に設けられた制御機器32を備えている。
【0032】
図4乃至図6に示すように、ケース本体部28は、底部28aと、底部28aの周縁から上方へ延びる側部28bとを備えている。前方側の側部28bの前面には、電気配線7を案内する第1ガイド部28c及び第2ガイド部28dが形成され、底部28aの下面には、電気配線7を案内する第3ガイド部28e、第4ガイド部28f及び第5ガイド部28gが形成され、右側の側部28bの右面には、第6ガイド部28h、第7ガイド部28i及び第8ガイド部28jが形成されている。第2ガイド部28d及び第8ガイド部28jは、ケース本体部28とは別部品で形成されてもよい。
【0033】
図6に示すように、ケース本体部28の底部28aは、底面視で略矩形状に形成されている。ケース本体部28の底部28aの右側前方には、制御装置6内に侵入した水を抜くための排水口部28kが形成されている。排水口部28kは、底面視で略矩形状の穴であり、ケース本体部28内に侵入した水を排水することができる大きさで形成されている。
【0034】
図4に示すように、第1ガイド部28cは、フック状に形成され、前方側の側部28bの上下方向の中央且つ左右方向の中央付近に配置されている。また、第2ガイド部28dは、貫通孔であり、前方側の側部28bの上方側且つ左右方向の中央付近に配置されている。
【0035】
図6に示すように、第3ガイド部28eは、フック状に形成され、底部28aの前方側且つ左側に配置されている。第4ガイド部28fは、フック状に形成され、底部28aの後方側且つ左右方向の中央付近に配置されている。第5ガイド部28gは、フック状に形成され、底部28aの後方側且つ右側に配置されている。
【0036】
図4及び図5に示すように、第6ガイド部28hは、L字状に形成され、右側の側部28bの後方側且つ下方側に配置されている。また、第7ガイド部28iは、L字状に形成され、右側の側部28bの後方側且つ上下方向の中央付近に配置されている。また、第8ガイド部28jは、貫通孔であり、右側の側部28bの後方側且つ上方側に配置されている。
【0037】
図4図5及び図7に示すように、ケース本体部28の蓋部30は、上面部30aと、上面部30aの周縁から下方へ延びる側部30bとを備えている。図7に示すように、蓋部30は、平面視で略矩形状に形成されている。前方側の側部30bには、電気配線7を案内するガイド部30cが形成されている。ガイド部30cは、外側に膨らんでおり、その内部に凹状の空間を形成している。ガイド部30cは、前方側の側部30bの左右方向の中央付近に配置されている。
【0038】
制御機器32は、商用電源から電源供給を受け、操作部(図示せず)からの操作信号に基づき便器洗浄ユニット及び/又はポンプ4bへ電源供給及び/又は信号を送信し、便器洗浄ユニット及び/又はポンプ4bを駆動させるようになっている。
【0039】
図4に示すように、電気配線7(ハーネス)は、ポンプ4bへ電源供給するためのAC(交流)用電気配線34と、便器洗浄ユニットへ電源供給するためのDC(直流)用電気配線36を備えている。AC用電気配線34とDC用電気配線36とは、別体で構成されており、凹部18内において、それぞれが異なる経路で配置されている。
【0040】
図4乃至図6に示すように、AC用電気配線34は、温水洗浄便座(図示せず)に接続される第1コネクタ34aと、この第1コネクタ34aと接続して第1コネクタ34aから下降する第1下降部34bと、この下降部34bの下端から上昇する第1上昇部34cと、この第1上昇部34cの上端から底部28aに沿って水平方向に延びる第1水平部34dと、この第1水平部34dから側部28bに沿って上昇する第2上昇部34eと、この第2上昇部34eの上端から水平方向に延びる第2水平部34fと、この第2水平部34fと接続して制御機器32に接続される第2コネクタ34gを備えている。
【0041】
図4に示すように、AC用電気配線34は、第1下降部34b及び第1上昇部34cによりトラップ(U字)形状を構成するように配置されている。AC用電気配線34は、底部28aのガイド部28e,28f,28gによって底部28aに沿って水平方向に案内されている。また、AC用電気配線34は、側部28bのガイド部28h,28iによって側部28bに沿って鉛直方向に案内されている。また、AC用電気配線34は、側部28bのガイド部28jによって外部から制御装置6内へ案内されている。これらにより、AC用電気配線34は、底部28aを経由してから制御装置6内へ案内されるようになっている。
【0042】
図4に示すように、DC用電気配線36は、温水洗浄便座(図示せず)に接続される第1コネクタ36aと、この第1コネクタ36aと接続して第1コネクタ36aから下降する第1下降部36bと、この下降部36bの下端から側部28bに沿って上昇する第1上昇部36cと、この第1上昇部36cの上端から水平方向に延びる第1水平部36dと、この第1水平部36dと接続して制御機器32に接続される第2コネクタ(図示せず)を備えている。
【0043】
図4に示すように、DC用電気配線36は、第1下降部36b及び第1上昇部36cにより、トラップ(U字)形状を構成するように配置されている。DC用電気配線36は、側部28bのガイド部28c及び蓋部30のガイド部30cによって側部28bに沿って鉛直方向に案内されている。DC用電気配線36は、側部28bのガイド部28dによって外部から制御装置6内へ案内されている。これらにより、DC用電気配線36は、AC用電気配線34の経路とは異なり、底部28aを経由せずに制御装置6内へ案内されるようになっている。
【0044】
図8に示すように、蓋部30の下端部分である接続部30dには、側部30bよりも外側に向かって凹んだ凹部が形成されている。この凹部は、平面視で、蓋部30の接続部30dの全周に形成されている。また、ケース本体部28の上端部分である接続部28lには、側部28bよりも外側に向かって突出したリブ部が形成されている。このリブ部は、平面視で、ケース本体部28の接続部28lの全周に形成されている。蓋部30及びケース本体部28の接続部分は、制御装置6内において外側に向かって凹形状の空間を形成している(又は、外側に向かって凸形状の外面を形成している)。これにより、蓋部30とケース本体部28との隙間を水が通る際に、毛細管現象(外部からエネルギーを与えられることなく移動していく現象)が発生することを防ぐことができ、制御装置内に水が侵入するのを抑制することができる。
【0045】
次に、第1実施形態の水洗大便器のメンテナンス方法について説明する。メンテナンス時には、先ず、温水洗浄便座(図示せず)を便器本体2から取り外して、便器本体2の凹部18の上方を開放する。これにより、便器本体2の凹部18の上方から制御装置6へアクセスすることができる。
【0046】
次に、制御装置6の蓋部30をケース本体部28から取り外して、ケース本体部28の上方を開放する。これにより、便器本体2の凹部18の上方から、制御機器32、AC用電気配線34及びDC用電気配線36へアクセスすることができる。次に、制御機器32とAC用電気配線34及びDC用電気配線36との接続を外した後に、制御機器32をケース本体部28から取り出してメンテナンスを行うことができる。
【0047】
次に、図9乃至図11により、本発明の第2実施形態(以下、第2実施形態)による水洗大便器について説明する。第2実施形態の水洗大便器は、凹部40の形状を除き、基本的な構成は、上述した第1実施形態による水洗大便器と同様である。以下、第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0048】
図9は、第2実施形態による水洗大便器の斜視図、図10は、第2実施形態による水洗大便器の平面図、図11は、図10のIII-III線に沿って見た側方断面図である。
【0049】
凹部40は、下方に向けて凹状であり、前壁部40a、側壁部40b、後壁部40c、及び底部40dから構成され、その内部に略直方形状の内部空間Sが形成されている。
【0050】
凹部40の後壁部40cは、中央領域に切り欠きを有し、正面視において凹形状で形成されている。後壁部40cは、後壁部全体に亘って略同一の厚さで形成されている。凹部40の底部40dは、前側に位置する前側底部と、この前側底部よりも後方且つ高い位置に位置する後側底部から構成されている。
【0051】
固定穴20(壁固定部)は、後壁部40cの切り欠きが形成されている中央領域の両側の2箇所に貫通して形成されている。
【0052】
図9に示すように、制御装置6は、凹部40の内部空間S内に配置されている。図10に示すように、制御装置6は、内部空間Sの左右方向中央に配置され、前後方向中央よりも後側で、前後方向において固定穴20と重なるように配置されている。制御装置6は、後壁部40cの切り欠きが形成されている中央領域に配置されている。図11に示すように、制御装置6は、ベースプレート26を介して、底部40dの後側底部に固定されている。
【0053】
次に、図12乃至図14により、本発明の第3実施形態(以下、第3実施形態)による水洗大便器について説明する。第3実施形態の水洗大便器は、凹部50の形状を除き、基本的な構成は、上述した第1実施形態による水洗大便器と同様である。以下、第1実施形態との相違点のみを説明する。
【0054】
図12は、第3実施形態による水洗大便器の斜視図、図13は、第3実施形態による水洗大便器の平面図、図14は、図13のIV-IV線に沿って見た側方断面図である。
【0055】
凹部50は、下方に向けて凹状であり、前壁部50a、側壁部50b、後壁部50c、及び底部50dから構成され、その内部に略直方形状の内部空間Sが形成されている。
【0056】
凹部50の後壁部50cは、上方領域が左右方向に亘って切り欠かれており、後壁部50cの上端は側壁部50bの上端よりも低くなっている。また、後壁部50cは、後壁部全体に亘って略同一の厚さで形成されている。凹部50の底部50dは、前側に位置する前側底部と、この前側底部よりも後方且つ高い位置に位置する後側底部から構成されている。
【0057】
固定穴20(壁固定部)は、後壁部50cの左右方向の両側の2箇所に貫通して形成されいる。
【0058】
図12に示すように、制御装置6は、凹部50の内部空間S内に配置されている。図13に示すように、制御装置6は、内部空間Sの左右方向中央に配置され、前後方向中央よりも後側で、前後方向において固定穴20と重なるように配置されている。図14に示すように、制御装置6は、ベースプレート26を介して、底部50dの後側底部に固定されている。
【0059】
以下、上述した第1~第3実施形態による水洗大便器の作用効果を説明する。
第1~第3実施形態による水洗大便器1においては、壁に固定される壁掛け式の水洗大便器1であって、前方に配置されて汚物を受けるボウル部8と、ボウル部8の上縁に配置されるリム部10と、ボウル部8の底部12から後方へ延びて汚物を排出する排水トラップ部14と、ボウル部の外郭を覆う袴部16と、便器本体を壁に固定するための壁固定部と、を備える便器本体2と、ボウル部8に洗浄水を供給する給水装置4と、給水装置4を制御する制御装置6と、を有し、便器本体2には、ボウル部8よりも後方且つリム部10よりも下方に凹部18が形成され、制御装置6は、凹部18内に配置されている。
【0060】
このような第1~第3実施形態においては、便器本体2には、ボウル部8よりも後方且つリム部よりも下方に凹部18が形成され、制御装置6は、凹部18内に配置されているので、壁掛け式の大便器の外観意匠性が損なわれることがなく、外部から荷重を受けることにより発生する制御装置6の故障を抑制することができる。また、凹部18の上方から制御装置6にアクセスできるためメンテナンス性や作業性を向上させることができる。
【0061】
また、上述した第1~第3実施形態による水洗大便器1においては、壁固定部は、便器本体2の後端である後壁部18c(40c又は50c)に設けられ、制御装置6は、前後方向において壁固定部と重なるように配置されている。このような第1~第3実施形態においては、制御装置6が壁固定部と前後方向において重なるように配置されているので、便器の前出寸法(便器を設置する際のトイレ空間の便器後方の壁から便器の先端までの長さ)を短くすることができる。
【0062】
上述した第1~第3実施形態による水洗大便器1においては、壁固定部は、便器本体2の後壁部18c(40c又は50c)に設けられた固定穴20であり、この固定穴20に固定ボルトを貫通させることによって便器本体を壁に固定する。このような第1~第3実施形態においては、便器の前出寸法を短くすることができる。
【0063】
また、上述した第1~第3実施形態による水洗大便器1においては、壁固定部は、前後方向において袴部16と重なるように配置されている。このような第1~第3実施形態においては、外部からの荷重を袴部16により支持することができるため、外部から荷重を受けることにより発生する制御装置6の故障を抑制することができる。
【0064】
上述した第1~第3実施形態による水洗大便器1においては、制御装置6は、凹部18内で、ベースプレート26を介して便器本体2に固定されている。このような第1~第3実施形態においては、制御装置6を凹部18内に安定して固定することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 水洗大便器
2 便器本体
4 給水装置
6 制御装置
8 ボウル部
10 リム部
12 ボウル部の底部
14 排水トラップ部
16 袴部
18 凹部
18c 後壁部
20 固定穴(壁固定部)
26 ベースプレート
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14