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特開2024-18463カラオケ用プログラム及びカラオケシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018463
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】カラオケ用プログラム及びカラオケシステム
(51)【国際特許分類】
   G10K 15/02 20060101AFI20240201BHJP
   G10K 15/04 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G10K15/02
G10K15/04 302D
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121823
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100157118
【弁理士】
【氏名又は名称】南 義明
(72)【発明者】
【氏名】高橋 遼太
【テーマコード(参考)】
5D208
【Fターム(参考)】
5D208BA07
5D208BA10
5D208BB07
5D208BB12
5D208CA02
5D208CA11
5D208CC06
5D208CG00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】離れた場所でカラオケを行う際、聴取する側で再生される楽曲と音声のずれを抑制することで、聴取者側の違和感を抑えることが可能となるカラオケ用プログラム及びカラオケシステムを提供する。
【解決手段】カラオケ用プログラムは、管理サーバに接続する接続処理と、楽曲予約した歌唱者端末6aであるか又は楽曲予約していない聴取者端末6bであるかを判別する判別処理と、管理サーバ装置から楽曲情報を受信する第1受信処理と、前記判別処理で聴取者端末であると判断された場合、前記歌唱者端末から送信される歌唱音声情報をストリーミング方式で受信する第2受信処理と、前記第2受信処理の遅延量を判定する判定処理と、前記第2受信処理の遅延量に基づいて決定された楽曲情報の再生タイミングに基づいて、ストリーミング再生される歌唱音声に対して楽曲音声の再生を遅延させる再生処理と、を実行する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の端末装置がネットワークを介して通信接続され、前記端末装置で実行可能なカラオケ用プログラムあって、
サーバ装置に接続する接続処理と、
歌唱者端末であるか聴取者端末であるかを判別する判別処理と、
前記サーバ装置から楽曲情報を受信する第1受信処理と、
前記判別手段で聴取者端末であると判断された場合、
前記歌唱者端末から送信される歌唱音声情報をストリーミング方式で受信する第2受信処理と、
前記第2受信処理の遅延量を判定する判定処理と、
前記第2受信処理の遅延量に基づいて決定された楽曲情報の再生タイミングに基づいて、ストリーミング再生される歌唱音声に対して楽曲情報の再生を遅延させる再生処理と、を実行する
カラオケ用プログラム。
【請求項2】
前記再生処理で使用される再生タイミングは、複数の前記聴取者端末で判定された遅延量に基づいて決定される
請求項1に記載のカラオケ用プログラム。
【請求項3】
前記再生処理で使用される再生タイミングは、複数の前記聴取者端末で判定された遅延量の内、最大遅延量に基づいて決定される
請求項2に記載のカラオケ用プログラム。
【請求項4】
前記判定処理は、楽曲情報の再生開始前、あるいは、前記再生処理の実行中に複数回、実行される
請求項1に記載のカラオケ用プログラム。
【請求項5】
前記再生処理は、再生タイミングが前回から変化した場合、楽曲情報の再生速度を変更する
請求項4に記載のカラオケ用プログラム。
【請求項6】
前記再生処理における楽曲情報の再生の遅延は、非歌唱区間において実行される
請求項4に記載のカラオケ用プログラム。
【請求項7】
複数の端末装置がネットワークを介して接続され、端末装置で実行可能なカラオケ用プログラムあって、
サーバ装置に接続する接続処理と、
歌唱者端末であるか聴取者端末であるかを判別する判別処理と、
前記サーバ装置から楽曲情報を受信する第1受信処理と、
前記判別手段で聴取者端末であると判断された場合、
前記歌唱者端末から送信される歌唱音声情報をストリーミング方式で受信する第2受信処理と、
前記第1受信処理の第1遅延量と、前記第2受信処理の第2遅延量を判定する判定処理と、
前記第1受信処理の第1遅延量と、前記第2受信処理の第2遅延量に基づいて決定された楽曲情報の再生タイミングに基づいて、ストリーミング再生される歌唱音声に対して楽曲情報の再生を遅延させる再生処理と、を実行する
カラオケ用プログラム。
【請求項8】
ネットワークを介して通信接続される複数の端末装置を有するカラオケシステムであって、
前記端末装置は、
サーバ装置に接続する接続処理と、
歌唱者端末であるか聴取者端末であるかを判別する判別処理と、
前記サーバ装置から楽曲情報を受信する第1受信処理と、
前記判別手段で聴取者端末であると判断された場合、
歌唱者端末から送信される歌唱音声情報をストリーミング方式で受信する第2受信処理と、
前記第2受信処理の遅延量を判定する判定処理と、
前記第2受信処理の遅延量に基づいて決定された楽曲情報の再生タイミングに基づいて、ストリーミング再生される歌唱音声に対して楽曲情報の再生を遅延させる再生処理と、を実行する
カラオケシステム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末装置で実行可能なカラオケ用プログラム及びカラオケシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、伴奏に合わせて歌唱を楽しむカラオケが社交の場等で行われている。カラオケは通常、カラオケボックスやスナック等に集い、飲食を行いながら楽しむことが通常である。しかしながら、感染病が発生した場合等、集まってカラオケを楽しむことが困難な場合がある。そのため、カラオケを好むユーザの中には、オンラインによるWeb会議を利用してカラオケを楽しむ者もいる。Web会議を利用したカラオケでは、ユーザが所持するパーソナルコンピュータを使用してWeb会議を開催するWeb会議サーバに通信接続し、ダウンロードした楽曲を再生して歌唱を楽しむことになる。
【0003】
Web会議を使用したカラオケのように、遠隔地でカラオケを楽しむ場合には、伝送回線の遅延が問題になることがある。特許文献1には、このような伝送遅延に対応したカラオケシステムが開示されている。具体的には、遠隔歌唱を行う歌唱相手のカラオケ演奏装置との間における受信歌唱音声の伝送遅延時間を計測し、計測された歌唱音声の伝送遅延時間に対応して、スピーカから放音する代理再生音声を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-206575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1には、複数拠点で歌う場合の遅延による違和感を低減することが開示されている。しかしながら、歌唱しない前提の聴取者側については考慮がなく、遅延が大きな視聴者端末においては代理音声が聞こえることとなり、歌唱者の歌声が聞けず、同じカラオケ空間でカラオケを楽しむような感覚を得ることはできない。
【0006】
本発明は、このような状況を鑑みたものであって、複数の端末装置間で通信を行う場合であっても、楽曲と歌唱音声のずれを抑制し、聴取者に違和感を与えない仕組みを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、本発明に係るカラオケ用プログラムは、以下の構成を採用するものである。
複数の端末装置がネットワークを介して通信接続され、前記端末装置で実行可能なカラオケ用プログラムあって、
サーバ装置に接続する接続処理と、
歌唱者端末であるか聴取者端末であるかを判別する判別処理と、
前記サーバ装置から楽曲情報を受信する第1受信処理と、
前記判別手段で聴取者端末であると判断された場合、
前記歌唱者端末から送信される歌唱音声情報をストリーミング方式で受信する第2受信処理と、
前記第2受信処理の遅延量を判定する判定処理と、
前記第2受信処理の遅延量に基づいて決定された楽曲情報の再生タイミングに基づいて、ストリーミング再生される歌唱音声に対して楽曲情報の再生を遅延させる再生処理と、を実行する。
【0008】
さらに、本発明に係るカラオケ用プログラムにおいて、
前記再生処理で使用される再生タイミングは、複数の前記聴取者端末で判定された遅延量に基づいて決定される。
【0009】
さらに、本発明に係るカラオケ用プログラムにおいて、
前記再生処理で使用される再生タイミングは、複数の前記聴取者端末で判定された遅延量の内、最大遅延量に基づいて決定される。
【0010】
さらに、本発明に係るカラオケ用プログラムにおいて、
前記判定処理は、楽曲情報の再生開始前、あるいは、前記再生処理の実行中に複数回、実行される。
【0011】
さらに、本発明に係るカラオケ用プログラムにおいて、
前記再生処理は、再生タイミングが前回から変化した場合、楽曲情報の再生速度を変更する。
【0012】
さらに、本発明に係るカラオケ用プログラムにおいて、
前記再生処理における楽曲情報の再生の遅延は、非歌唱区間において実行される。
【0013】
また、本発明に係るカラオケ用プログラムは、
複数の端末装置がネットワークを介して接続され、端末装置で実行可能なカラオケ用プログラムあって、
サーバ装置に接続する接続処理と、
歌唱者端末であるか聴取者端末であるかを判別する判別処理と、
前記サーバ装置から楽曲情報を受信する第1受信処理と、
前記判別手段で聴取者端末であると判断された場合、
前記歌唱者端末から送信される歌唱音声情報をストリーミング方式で受信する第2受信処理と、
前記第1受信処理の第1遅延量と、前記第2受信処理の第2遅延量を判定する判定処理と、
前記第1受信処理の第1遅延量と、前記第2受信処理の第2遅延量に基づいて決定された楽曲情報の再生タイミングに基づいて、ストリーミング再生される歌唱音声に対して楽曲情報の再生を遅延させる再生処理と、を実行する。
【0014】
また、本発明に係るカラオケシステムは、
ネットワークを介して通信接続される複数の端末装置を有するカラオケシステムであって、
前記端末装置は、
サーバ装置に接続する接続処理と、
歌唱者端末であるか聴取者端末であるかを判別する判別処理と、
前記サーバ装置から楽曲情報を受信する第1受信処理と、
前記判別手段で聴取者端末であると判断された場合、
歌唱者端末から送信される歌唱音声情報をストリーミング方式で受信する第2受信処理と、
前記第2受信処理の遅延量を判定する判定処理と、
前記第2受信処理の遅延量に基づいて決定された楽曲情報の再生タイミングに基づいて、ストリーミング再生される歌唱音声に対して楽曲情報の再生を遅延させる再生処理と、を実行する。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係るカラオケ用プログラム、カラオケシステムによれば、複数の端末装置間でカラオケを行う際、歌唱を聴取する聴取者側の端末装置において、歌唱音声と楽曲のずれを抑制することで、聴取者側の違和感を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態のシステム構成を示す図
図2】本実施形態の携帯端末の外観図
図3】本実施形態の携帯端末の構成を示すブロック図
図4】本実施形態のルーム処理を示すフロー図
図5】本実施形態のカラオケ処理を示すフロー図
図6】本実施形態の楽曲再生処理Aを示すフロー図
図7】本実施形態の楽曲再生処理Bを示すフロー図
図8】本実施形態の携帯端末における遅延量を説明するタイミングチャート
図9】他の実施形態の携帯端末における遅延量を説明するタイミングチャート
図10】本実施形態の携帯端末における各種画面を示す図
図11】本実施形態の携帯端末における各種画面を示す図
図12】本実施形態の携帯端末における各種画面を示す図
図13】本実施形態の携帯端末における各種画面を示す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本実施形態のシステム構成を示す図である。本実施形態では、携帯端末6間でカラオケを行うことが可能なシステムであって、そのため、携帯端末6間での通信を行う必要がある。図1は、携帯端末6間の通信形態の各種例を示したものである。例えば、個人宅の場合、インターネットに通信接続されたルータ12aが設けられ、ルータ12aには無線ルータ12bが接続されている。携帯端末6は、無線ルータ12bを介してインターネットに通信接続することが可能である。
【0018】
このような通信形態以外に、携帯通信網を使用してインターネットとの通信を行うことも可能である。携帯通信網は、携帯端末6と無線基地局13との間で無線通信を行うことで、携帯端末6をインターネットに通信接続させる通信形態である。
【0019】
このような各種通信形態を使用することで、携帯端末6は、インターネットに通信接続することが可能である。また、インターネットには、カラオケシステムを管理するための管理サーバ11a、配信サーバ11bが通信接続されている。カラオケ用プログラムがインストールされ、インターネットに通信接続した携帯端末6は、この管理サーバ11a、配信サーバ11bと通信を行うことで、携帯端末6間でカラオケを行うことが可能となっている。
【0020】
本実施形態では、端末装置として携帯端末6を使用してカラオケを行う形態について説明を行う。なお、端末装置としては、携帯端末6の他、家庭用ゲーム機、パーソナルコンピュータ、あるいは、カラオケ専用のカラオケ装置を使用することとしてもよい。また、カラオケ用プログラムがインストールされた端末装置は、カラオケ装置として機能することになる。
【0021】
図2は、本発明の実施形態に係る携帯端末6の外観(正面図)を示す図であり、図3は、本発明の実施形態に係る携帯端末6の構成を示すブロック図である。この携帯端末6としては、スマートフォン、タブレット端末、携帯電話などを採用することが可能である。この携帯端末6に、カラオケ用プログラムをインストールすることで、携帯端末6間においてカラオケを行うことが可能となる。
【0022】
本実施形態の携帯端末6は、CPU61、RAM62、記憶部63、画像処理部64、音響処理部66を含んで構成された制御手段を有している。記憶部63には、NAND型フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶手段を採用することが可能である。この記憶部63には、本実施形態のカラオケ用プログラム、そして、カラオケ用プログラムで使用する各種データが記憶される。
【0023】
CPU61は、携帯端末6全体を統括して制御する手段であり、記憶部63に記憶されたプログラム、データに基づいて各種制御を実行する。RAM62には、CPU61の制御によって生成されたデータを一時的に格納する。
【0024】
音響処理部66は、携帯端末6の音響関係の入出力を行う手段である。CPU61の制御によりスピーカ67aから放音させる手段である。また、音響処理部66は、マイクロホン67bと接続され、マイクロホン67bから歌唱音声、通話音声や、周囲の音声を取り込み可能としている。スピーカ67a及びマイクロホン67bについては、ヘッドセットなど外部機器を用いてもよい。
【0025】
タッチパネル表示部68は、画像を表示する表示部68mとその表面あるいは裏面に配設されるタッチパネル68nを有して構成されている。タッチパネル68nには、静電容量方式などユーザのタッチ位置を認識可能とする各種タイプを採用することが可能である。CPU61は、表示部68mに表示を行うとともに、タッチパネル68nからのタッチ入力にて、表示させている画像中のどの部分にタッチ入力されたかを判定することが可能である。
【0026】
画像処理部64は、携帯端末6の画像関係の入出力を行う手段である。画像処理部64は、CPU61で形成された画像を表示部68mに表示出力する。そして、携帯端末6の前面(タッチパネル表示部68側)に配置されたフロントカメラ65F、もしくは、携帯端末6の背面に配置されたリアカメラ65Rから画像、又は、映像であれば動画を取り込み、画像、又は、動画情報として、記憶部63に記憶する機能を有する。
【0027】
本実施形態の携帯端末6は、外部と通信するための通信手段として第1通信部69a、第2通信部69bを備える。第1通信部69aは、携帯通信網接続用の通信手段であって、携帯基地局140に無線接続することで、携帯通信網の通信回線でインターネット網を介した各通信を行うことが可能である。第2通信部69bは、Wifi接続用の通信手段である。携帯端末6は第2通信部69bを使用して、アクセスポイント110に無線接続し、アクセスポイント110が参加するローカルエリアネットワークに通信接続することが可能である。なお、携帯端末6の通信手段としては、第1通信部69a、第2通信部69b以外に、赤外線通信部、Bluetooth(登録商標)といった近距離通信手段等を設けることとしてもよい。
【0028】
本実施形態の携帯端末6は、入力手段としてタッチパネル68n以外に入力スイッチ70を備えて構成されている。この入力スイッチ70(図2の入力スイッチ70a、70b等)には、電源スイッチ、音量調整スイッチ、プログラムに応じて入力用途が変更されるスイッチなど、各種スイッチを設けることが可能である。
【0029】
さらに本実施形態の携帯端末6は、携帯端末6を所持するユーザに各種通知を行うため、振動部72、LED73を有する。振動部72は、モータの軸に偏心させたウェイトを取り付けて構成される部材である。モータを回転駆動することでユーザに通知可能な振動を伝えることが可能である。LED73は、図2に示すように携帯端末6の正面上方に配置され、明滅することでユーザに各種通知を行うことができる。
【0030】
本実施形態では、このような携帯端末6にカラオケ用プログラムをインストールすることで、携帯端末6間においてカラオケを行うことが可能とするものである。では、携帯端末6を用いてカラオケを行う際の各種処理の詳細を説明する。
【0031】
図4は、本実施形態のルーム処理を示すフロー図である。ここでは、携帯端末6a、6bを使用してカラオケを行う場合について説明を行う。本実施形態では、仮想的に形成されたルームに集うことで、同じルームに集うユーザが音声(映像を含むものであってもよい)を共有することでカラオケを行うことが可能である。
【0032】
ここでは、携帯端末6aを使用するユーザがルームを作成し、携帯端末6bを使用するユーザが当該ルームに参加する場合について説明する。携帯端末6a、6bを使用するユーザは、管理サーバ11aに対するアカウントを予め有しているものとする。なお、アカウントを有していないユーザは、管理サーバ11aにアクセスして新規アカウントを作成することが可能である。
【0033】
携帯端末6aは、まず、管理サーバ11aに対してログイン指示(S11)を行う。ログイン指示は、アカウント情報(ユーザID、パスワード等)を入力することで行われる。ログイン指示(S11)を受信した管理サーバ11aは、ログイン処理(S21)を実行する。ログイン処理では、アカウント情報に基づく認証が行われ、認証が適正な場合、ユーザは、カラオケ用プログラムの各種機能を使用することが可能となる。
【0034】
図10(A)には、ログイン後に表示されるルーム選択画面が示されている。ルーム選択画面では、ルーム選択欄68a、新規ルーム作成ボタン68bが表示される。ルーム選択欄68aは、既に作成されたルームであって、当該ルームに関する状況が示されている。ルーム選択欄には、ルーム名、ルームに参加しているユーザのアイコン、ルームの開催状況(「OPEN」、「準備中」)、ルームの開催日等が表示されている。また、左上に鍵のマークが表示されたルーム選択欄68aは、パスワードが必要なルーム、あるいは、予め招待されたユーザのみが参加できるルームであることを示している。
【0035】
ユーザはルーム選択欄68aを操作することでルームに参加することが可能である。また、新規ルーム作成ボタン68bは、新たにルームを作成するためのボタンである。新規ルーム作成ボタン68bを操作することで、携帯端末6aは、管理サーバ11aに対してルーム作成指示(S12)を行うことが可能である。管理サーバ11aは、ルーム作成指示(S12)に基づき、ルーム作成処理(S22)を実行する。ルーム作成処理(S22)が完了すると、図7(A)に示されるルーム選択欄68aが表示される。
【0036】
一方、ルームに参加する携帯端末6bでは、まず、アカウント情報の入力によるログイン指示(S11)を管理サーバ11aに対して行う。管理サーバ11aでは、携帯端末6aの場合と同様、アカウント情報に基づく認証を行い、認証が適正な場合、携帯端末6bをログインさせる。ユーザは、図10(A)に示されるルーム選択画面を参照し、入りたいルーム選択欄68aの選択操作によるルーム参加指示を行う(S13)。図4の例では、携帯端末6aのユーザが作成したルームに参加する場合であって、管理サーバ11aは、携帯端末6aのユーザが作成したルームに、携帯端末6bのユーザを参加させるユーザ追加処理(S23)を実行する。
【0037】
携帯端末6a、6bのユーザが同じルームに入ったことで、携帯端末6a、6b間でカラオケ処理(S12)を実行することが可能となる。
【0038】
カラオケ処理(S30)は、主に予約管理と、楽曲再生処理を含んで構成されている。予約管理は、歌唱する楽曲の予約を行う処理であり、楽曲再生処理は、予約処理に基づき、予約リストに登録された楽曲を順に再生する処理である。楽曲の再生では、楽曲情報に含まれる演奏情報に基づき演奏音が再生されるとともに、楽曲情報に含まれる歌詞情報に基づき歌詞の表示が行われる。
【0039】
図5は、本実施形態のカラオケ処理(S30)を示すフロー図である。図5では、携帯端末6aが歌唱者(楽曲を予約した者)、携帯端末6bが聴取者である場合を示しているが、歌唱者、聴取者は入れ替わる場合もある。また、図5では、説明を容易にするため、ルームに参加する2台の携帯端末6a、6bを例に取って示すが、ルームに参加する携帯端末は3台以上であってもよい。
【0040】
まず、携帯端末6a、6bは、それぞれ管理サーバ11aと通信を行い、予約管理についてのセッションを開始する(S101、S121)。管理サーバ11aでは、同じルームに参加する携帯端末6a、6bについて、予約、楽曲配信等のセッションを開始する(S161)。
【0041】
次に、携帯端末6a、6bは、それぞれ配信サーバ11bと通信を行い、音声ストリームについてのセッションを開始する(S102、S122)。音声ストリームについてのセッション開始後、携帯端末6a、6b間では、歌唱音声情報等の音声通信を行うことが可能となる。配信サーバ11bは、携帯端末6aから携帯端末6b間において歌唱音声等をストリーミング方式を使用して配信する(S151)。
【0042】
音声ストリームに関するセッション開始後、携帯端末6a、6bは、それぞれ配信サーバ11bと通信を行うことで、音声アップロード/ダウンロードの遅延量を測定する(S103、S123)。ここで測定した遅延量は、聴取者が使用する携帯端末6bにおいて再生される楽曲と歌唱音声のタイミング合わせに使用される。
【0043】
歌唱者側の携帯端末6aでは楽曲の予約処理(S104)が実行される。予約処理(S104)では、楽曲の検索を行い、歌唱する楽曲を選択することで、管理サーバ11aで管理する予約リストに楽曲を追加することが可能である。楽曲を予約したいユーザは、図10(B)に示される楽曲検索画面を使用して楽曲の検索を行う。
【0044】
楽曲検索画面には、検索カテゴリー選択欄68c、楽曲選択欄68dが設けられている。検索カテゴリー選択欄には、「お気に入り」、「曲」、「アーティスト」、「アルバム」といった検索カテゴリーが設けられ、ユーザはこれら検索カテゴリーを選択することで、選択した検索カテゴリーに応じた楽曲検索を行うことが可能である。図10(B)の状態は、検索カテゴリーとして「曲」が選択されている場合であり、あいうえお、アルファベット順に楽曲選択欄68dが表示されている。
【0045】
楽曲選択欄68dは、楽曲毎に、アイコン(アルバムアート等)、楽曲名、アーティスト名が表示されている。ユーザが、希望する楽曲選択欄68dを選択した場合、当該楽曲について楽曲確認画面が表示される。
【0046】
図11(C)は、本実施形態の楽曲確認画面を示す図である。楽曲確認画面には、楽曲確認欄68eが表示されている。楽曲確認欄には、選択した楽曲について、アイコン(アルバムアート等)、楽曲名、アーティスト名、そして、予約ボタン68g、キャンセルボタン68fが表示されている。ユーザは、この楽曲確認画面に表示される情報を確認し、予約を行う場合、予約ボタン68gを操作することで、楽曲の予約を実行する。予約が行われると予約情報が管理サーバ11aに送信される。予約情報は、予約したユーザを示すユーザID、そして、楽曲を示す楽曲IDを含んで構成されている。管理サーバ11aは、受信した予約情報を予約リストに登録する(S162)。
【0047】
そして、予約リスト中、次に再生する楽曲が到来した場合、管理サーバ11aは、同じルームに所属する携帯端末6a、6bに対して予約応答を通知する(S163)。予約応答は、楽曲を予約した者を識別可能な情報が含まれており、携帯端末6a、6bは、予約応答を参照することで、歌唱者端末(楽曲予約した携帯端末6)であるか、聴取者端末(楽曲予約していない携帯端末6)であるかを判別することができる。
【0048】
図5の場合、楽曲予約を行ったのは、携帯端末6aであるから、携帯端末6aは自己を歌唱者端末と判断し、歌唱者モードに設定する(S106)。一方、携帯端末6bは自己を聴取者端末と判断し、聴取者モードに設定する(S125)。
【0049】
管理サーバ11aは、予約応答の通知後、同じルームに参加する携帯端末6a、6bに対して、楽曲情報を送信する(S164)。本実施形態において、楽曲情報の配信方式は、ストリーム方式ではなく、記憶型の配信方式を使用している。なお、記憶型の配信方式であっても、楽曲情報の一部を記憶することで、その再生を開始することが可能である。携帯端末6a、6bでは、管理サーバ11aからの送信開始に伴い、楽曲情報の受信を開始(S107、S126)し、それぞれ、楽曲再生処理A(S130)、楽曲再生処理B(S140)を実行する。
【0050】
図6は、歌唱者モードに設定された携帯端末6aで実行される楽曲再生処理A(S130)を示すフロー図である。楽曲再生処理Aでは、楽曲情報が所定量ダウンロードされたことを条件(S131:Yes)として、楽曲情報の再生を開始する(S132)。また、楽曲情報の再生が終了する(S134:Yes)までの期間、携帯端末6aから配信サーバ11bに対する歌唱音声情報について、アップロードの遅延量を適宜タイミングで測定する(S133)。
【0051】
図12(E)は、本実施形態の携帯端末6における楽曲再生中に表示される楽曲再生画面である。図11(D)で説明したと同様、楽曲再生画面の上部には、ルーム名、楽曲検索ボタン68kが表示されている。楽曲検索ボタン68kを操作することで、図10(B)で説明した楽曲検索画面が表示され、楽曲の予約を行うことが可能である。
【0052】
この他、楽曲再生画面には、大きく分けて、楽曲関連表示欄68h、上部表示欄68i、下部表示欄68jが設けられている。楽曲関連表示欄68hは、歌詞表示欄681、プログレスバー682を含んで構成されている。歌詞表示欄681には、再生中の楽曲について、歌唱すべき歌詞が表示される。なお、歌詞表示欄681には背景映像が表示されるものであってもよい。プログレスバー682は、楽曲再生の進行状況を示している。
【0053】
上部表示欄68i、下部表示欄68jは、両者の占有する面積を変更することが可能である。通常、図11(D)に示す状態、すなわち、上部表示欄68i、下部表示欄68jの両方が表示された状態である。下部表示欄68jに設けられたコメントタブ686、予約確認タブ687、リモコンタブ688を操作した場合、下部表示欄68jは、図13(F)に示されるように、上部表示欄68iが表示されていた部分も使用して表示される。図13(F)は、リモコンタブ688が操作された状態を示している。コメントタブ686、予約確認タブ687、リモコンタブ688を再度操作することで、図12(E)の状態に戻る。
【0054】
上部表示欄68iには、状況表示・選択ボタン683、マイク選択ボタン684、ユーザアイコン685が表示される。状況表示・選択ボタン683は、携帯端末6の状況を示すボタンであって、前述した歌唱者モードに設定されている場合「歌っています」がマーキングされ、聴取者モードに設定されている場合「聴いています」にマーキングが表示される。図11(D)の状態は、「歌っています」がマーキングされた状態である。また、ユーザは、「歌っています」、「聴いています」、そして、「退席中」を手動操作で切り換えることが可能である。その際、「歌っています」に切り換えた場合、歌唱者モードに設定変更され、「聴いています」、「退席中」に切り換えた場合、聴取者モードに設定変更される。本実施形態では3つの状態を切り替えることが可能であるが、「歌っています」、「聴いています」の2つのステータスであってもよく、さらに、種々の表示形態を採用可能である。
【0055】
マイク選択ボタン684は、ユーザの手動操作により、マイクロホン67bのオン、オフを切り換えることが可能である。本実施形態では、歌唱者モードに設定されている場合、オンに自動設定され、聴取者モードに設定されている場合、オフに自動設定される。ユーザアイコン685は、ルームに参加している全ユーザを示したものである。図11(D)の例では、4人のユーザが参加した状態となっている。アイコンが太線で示されるユーザ(図11(D)の例では「JOY」)は、歌唱中(歌唱者モードに設定されている)ことを示している。また、スピーカとバツ印が付いたアイコン(図11(D)の例では「もんきち」)は、退席中であることを示している。これらの表示形態は一例であって、他の表示形態により歌っています、聴いています、退席中などのステータスが示されてもよい。
【0056】
下部表示欄68jには、3つのタブ(コメントタブ686、予約確認タブ687、リモコンタブ688)が設けられている。図11(D)の状態は、コメントタブ686が選択されている状態であって、下部表示欄68jには、コメント表示欄689、コメント入力欄690が表示されている。コメント表示欄689には、コメント入力欄690を使用してユーザが入力したユーザコメントの他、楽曲再生処理に関する操作に伴うシステムコメントが表示される。図11(D)では、コメント表示欄689に予約処理に伴うシステムコメントであって、ユーザ名、そして、予約した楽曲名/アーティスト名が表示されている。コメント表示欄689には、システムコメント、ユーザコメントが時系列で順次表示され、ユーザは、これらシステムコメント、ユーザコメントを見ることで円滑なコミュニケーションを行うことが可能となっている。
【0057】
図13(F)は、リモコンタブ688を操作したときの状態である。前述したように、下部表示欄68jは、上部表示欄68iが表示された領域まで拡張して表示されている。リモコンタブ688を選択した場合の下部表示欄68jには、歌唱者音量ボリューム691、話者音量ボリューム692、音程変更ボタン693、BGMボリューム694、再生位置調整ボタン695、歌いなおしボタン696、一時停止ボタン697、演奏停止ボタン698が表示されている。
【0058】
本実施形態において、このリモコンタブ688で表示される各種操作子、ボタンは、歌唱者モードに設定された携帯端末6のみで操作可能としている。したがって、聴取者モードに設定された携帯端末6では、楽曲再生に関する操作を行うことが禁止され、聴取者による誤入力を抑制することが可能となっている。
【0059】
歌唱者音量ボリューム691は、歌唱者モードに設定されている携帯端末6のマイクロホン67bから入力される歌唱音声の音量を調整する操作子である。また、話者音量ボリューム692は、聴取者モードに設定されている携帯端末6のマイクロホン67bから入力される歌唱音声の音量を調整する操作子である。歌唱者音量ボリューム691、話者音量ボリューム692は、歌唱者モード、聴取者モードに設定される際、各モードのデフォルト状態に設定されることになるが、歌唱者モードに設定された携帯端末6からのみ、操作可能となっている。
【0060】
音程変更ボタン693は、再生中の楽曲について音程を変更するためのボタンである。BGMボリューム694は、曲間時に再生されるBGMの音量を調整するための操作子である。再生位置調整ボタン695は、再生位置を変更するための操作子である。操作子の左側には、現在の再生時間、全体の再生時間が表示されている。歌いなおしボタン696は、操作することで、現在再生中の楽曲を頭から再生することが可能である。一時停止ボタン697は、現在再生中の楽曲の一時停止を行うためのボタンである。演奏停止ボタン698は、現在再生中の楽曲を停止するためのボタンであり、演奏停止ボタン698が操作された場合、次に予約されている楽曲の再生処理に移行する。
【0061】
次に、聴取者モードに設定された携帯端末6aで実行される楽曲再生処理Bについて説明する。図7は、楽曲再生処理B(S140)を示すフロー図である。楽曲再生処理Bにおいても、楽曲情報が所定量ダウンロードされたこと(S141:Yes)、及び、再生開始タイミングが到来したこと(S143:Yes)を条件として楽曲情報の再生が開始される(S144)。
【0062】
ここで、再生開始タイミングとは、携帯端末6a、6bで測定(S103、S123)を使用して測定された遅延量を使用して算出(S142)されるタイミングである。携帯端末6aで入力された歌唱音声情報は、配信サーバ11bにアップロードされ、配信サーバ11bから携帯端末6bにダウンロードされ、聴取者側の携帯端末6bで再生される。そのため、携帯端末6aから携帯端末6bの間では、歌唱音声情報に遅延が生じることが考えられる。本実施形態では、このような事情を考慮し、聴取者側の携帯端末6bで再生される歌唱音声と楽曲の間で生じ得るずれを抑制することを1つの目的としている。
【0063】
図8は、本実施形態の携帯端末における遅延量を説明するタイミングチャートを示す図である。図8は、図5と同様、2台の携帯端末6a、6bを想定した場合である。歌唱者側では、歌唱者は楽曲情報の再生に合わせて歌唱を行うため、楽曲と歌唱音声間にずれは生じない。一方、聴取者A側では、先に説明したように歌唱音声情報に遅延量D1が生じることになる。したがって、歌唱社側と同じタイミングで楽曲を再生した場合、楽曲が遅延量D1だけ先行して再生されることになってしまう。
【0064】
そのため、本実施形態では、楽曲情報の再生開始を遅延量D1だけ遅らせることで、聴取者側における楽曲と歌唱音声間の同期を取ることとしている。遅延量D1は、例えば、携帯端末6aで測定(S103)した歌唱音声情報のアップロード時の遅延量と、携帯端末6bで測定(S123)した歌唱音声情報のダウンロード時の遅延量の和で算出される。配信サーバ11bは、携帯端末6a、6bから遅延量を受信して遅延量D1を算出し、歌唱者側の携帯端末6aから受信した再生タイミングSt_aを聴取者側の携帯端末6bに送信する。携帯端末6bは、受信した遅延量D1と再生タイミングSt_aに基づき、聴取者A側での再生タイミングSt_bを判定する(S142)。
【0065】
また、本実施形態では、聴取側の携帯端末6bにおいて、楽曲情報の再生期間中、歌唱音声と楽曲の再生タイミングの補正を行うこととしている。携帯端末6a、6b間で生じる歌唱音声情報の遅延は、通信状況によって変化することが考えられる。そのため、携帯端末6a、6bでは、楽曲情報の再生期間中、歌唱音声情報の遅延量測定を適宜タイミングで行い、再生される歌唱音声と楽曲間にずれが生じることを抑制している。
【0066】
図6で説明したように、歌唱者側の携帯端末6aで実行される楽曲再生処理Aでは、楽曲再生期間中、歌唱音声情報のアップロードについての遅延量を測定し(S133)、配信サーバ11bに送信する。一方、聴取者側で実行される楽曲再生処理Bでは、歌唱音声情報のダウンロードについての遅延量を測定し(S145)、配信サーバ11bに送信する。そして、楽曲再生処理Bでは、配信サーバ11bから受信した遅延量に基づき、楽曲情報の再生に関する補正量を判定する(S146)。補正量としては、楽曲情報の再生タイミングを早くする、遅くする、あるいは、維持することが考えられる。
【0067】
携帯端末6bは、判定した補正量に基づき、楽曲情報の再生タイミングの補正を行う(S147)。補正方法としては、適切な再生タイミングに一気に変更することが考えられるが、その場合、楽曲再生の断続が損なわれ、不自然な再生音となってしまう。そのため、本実施形態では、適切な再生タイミングになるまで楽曲情報の再生速度を補正する手法を採用している。例えば、楽曲情報の再生タイミングが遅い場合には、楽曲情報の再生速度を上げ、楽曲情報の再生タイミングが早い場合には、楽曲情報の再生速度を下げることになる。
【0068】
遅延量の測定、並びに再生タイミングの補正は、楽曲情報の再生が終了する(S148:Yes)まで、適宜タイミングで繰り返し行われる。このように楽曲情報の再生期間中、遅延量に基づく補正を行うことで、聴取者側の携帯端末6bにおいて、歌唱者側の携帯端末6aで入力された歌唱音声情報と、聴取者側で再生される楽曲情報の間にずれが生じることを抑制することが可能となる。
【0069】
図9は、他の実施形態の携帯端末における遅延量を説明するタイミングチャートである。図8の実施形態では、図5と同様、2台の携帯端末6a、6bがルームに参加している状態を説明した。一方、ルームには3台以上の携帯端末6が参加することも可能である。図9は、3台の携帯端末6が同じルームに参加したときの状態であって、1台の携帯端末6aが歌唱者用、2台の携帯端末6b、6cが聴取者用に使用されている場合である。
【0070】
図9(A)は、各携帯端末6b、6cにおいて個別に図8の場合と同様の処理を行った場合の実施形態である。携帯端末6bと携帯端末6cでは、それぞれ、遅延量が異なることが考えられる。各携帯端末6b、6cでは、それぞれの遅延量D1、D2を使用して、再生タイミングSt_b、St_cを使用して音声と楽曲間の整合を取ることになる。
【0071】
ところで、携帯端末6b、6cでは、歌唱音声を聞いてカラオケを楽しむ以外に、積極的に参加して楽しむことが行われることが考えられる。例えば、図12で説明したコメント入力欄690を使用してメッセージ交換を行うことが可能である。聴取者は、歌唱者に対してコメント等のメッセージを入力して応援を行う、あるいは、聴取者間において歌唱の感想を述べあう等、コミュニケーションを取ることが考えられる。
【0072】
図9(A)のように、聴取者側の各携帯端末6b、6c間において、楽曲情報の再生タイミングが異なった場合、聴取者間におけるコミュニケーション、特に、再生されている楽曲、あるいは、歌唱音声について、コメントのタイミングがずれてしまう等、コミュニケーションが上手く取れないことが考えられる。
【0073】
そのため、本実施形態では、聴取者側の各携帯端末6a、6bにおいて、異なる再生タイミングSt_b、St_cを使用するのではなく、同一の再生タイミングを使用することとしている。
【0074】
図9(B)に示されるように、携帯端末6bでは、歌唱音声情報について遅延量D1が生じた状態となっており、携帯端末6cでは、遅延量D2が生じた状態となっている。なお、遅延量D1<遅延量D2としている。この場合、各携帯端末6b、6cにおいて、大きい遅延量Dを使用した再生タイミングSt_cで統一することで、聴取者側の携帯端末6b、6c間における再生タイミングの同期が図られる。どちらの遅延量D1、D2を使用するかは、配信サーバ11bが判断する、あるいは、遅延量D1、D2等、判断に必要な情報を配信サーバ11bを介して受信することで可能である。
【0075】
このように、聴取者側の携帯端末6b、6cにおいて、再生タイミングを統一することで、複数の聴取者は同じタイミングで楽曲、歌唱音声を聴取することが可能となり、聴取者間でのコミュニケーションの円滑化を図ることが可能となる。
【0076】
以上、本実施形態では、離れた場所でカラオケを楽しむ際、再生される楽曲情報と歌唱音声情報のずれを抑制し、聴取者に対する違和感を抑制することが可能となる。なお、本発明は、上述する実施形態に限られるものではない。以下に各種変形例を説明する。
【0077】
[第1変形例]
前述した実施形態では、歌唱音声情報の遅延を考慮して、楽曲情報の再生タイミングを決定することとしていた。前述の実施形態では、記憶型の楽曲情報配信を使用するため、楽曲情報のダウンロードに遅延が生じる可能性は低い。ところで、楽曲情報の配信には、歌唱音声情報と同様、ストリーム方式を使用することも可能である。この場合、管理サーバ11aから配信される楽曲情報に遅延が生じることが考えられ、場合によっては、歌唱音声情報以上に遅延が生じることもある。
【0078】
このような状況を踏まえ、聴取者側の携帯端末6bにおける楽曲情報の再生タイミングには、配信時における楽曲情報の遅延量を考慮することとしてもよい。この場合、聴取者側の携帯端末6bは、楽曲情報を配信する管理サーバ11aからのダウンロードについて遅延量(第1遅延量)を測定する。楽曲情報の遅延量(第1遅延量)が携帯端末6aから送信される歌唱音声情報の遅延量(第2遅延量)よりも大きい場合、楽曲情報の遅延量(第1遅延量)に基づいて楽曲情報の再生タイミングを決定する。一方、楽曲情報の遅延量(第1遅延量)が携帯端末6aから送信される歌唱音声情報の遅延量(第2遅延量)以下である場合、歌唱音声情報の遅延量(第2遅延量)に基づいて楽曲情報の再生タイミングを決定する。
【0079】
このように、ストリーム方式等により楽曲情報の配信が遅れる場合であっても、楽曲情報と歌唱音声情報の再生タイミングを一致させることが可能である。
【0080】
複数の聴取者が存在する場合については、聴取者側の携帯端末6b、6cにおいて、管理サーバ11aからのダウンロードについて遅延量(第1遅延量)を測定する。聴取者側の携帯端末6b、6cで計測した歌唱音声情報の遅延量(第2遅延量)、及び、楽曲情報の遅延量(第1遅延量)の内、最も多い遅延量を使用して再生タイミングを決定することで、聴取者側の携帯端末6b、6c間で再生タイミングの統一を図ることが可能となる。
【0081】
[第2変形例]
前述の実施形態では、図7の楽曲再生処理Bで説明したように、楽曲再生中、ずれが生じた時点で再生タイミングの補正を行うこととしている。前述の実施形態では、再生速度を変更することで補正(S147)を行うことで自然な再生音を再現していた。このような形態に代え、補正するタイミングを歌唱区間以外(非歌唱区間)のタイミングで行うこととしてもよい。例えば、間奏中に補正を行うことで、歌唱の聴取を妨げることなく補正することが可能となる。また、非歌唱区間としては間奏のみならず、歌唱フレーズ間の短い区間において行うこととしてもよい。
【0082】
非歌唱区間の検出方法は、予め楽曲情報に歌唱区間に関する情報を設定しておき、楽曲情報の再生に同期して読み出すことで検出すること、あるいは、歌唱音声が入力されていない期間を非歌唱区間として検出すること等が考えられる。
【0083】
[第3変形例]
前述の実施形態では、歌唱者側の携帯端末6aから聴取者側の携帯端末6b、6cに送信される歌唱音声情報は、配信サーバ11bを介している。このような形態に代え、歌唱音声情報は、歌唱者側の携帯端末6aから聴取者側の携帯端末6b、6cに、配信サーバ11bを介さずにピア・ツー・ピアで送信される携帯であってもよい。
【符号の説明】
【0084】
6(6a、6b):携帯端末 68m:表示部
11a:管理サーバ 68n:タッチパネル
11b:配信サーバ 69a:第1通信部
12a:ルータ 69b:第2通信部
12b:無線ルータ 70(70a、70b):入力スイッチ
13:無線基地局 72:振動部
61:CPU 73:LED
62:RAM 110:アクセスポイント
63:記憶部 140:携帯基地局
64:画像処理部 681:歌詞表示欄
65F:フロントカメラ 682:プログレスバー
65R:リアカメラ 683:選択ボタン
66:音響処理部 684:マイク選択ボタン
67a:スピーカ 685:ユーザアイコン
67b:マイクロホン 686:コメントタブ
68:タッチパネル表示部 687:予約確認タブ
68a:ルーム選択欄 688:リモコンタブ
68b:新規ルーム作成ボタン 689:コメント表示欄
68c:検索カテゴリー選択欄 690:コメント入力欄
68d:楽曲選択欄 691:歌唱者音量ボリューム
68e:楽曲確認欄 692:話者音量ボリューム
68f:キャンセルボタン 693:音程変更ボタン
68g:予約ボタン 694:BGMボリューム
68h:楽曲関連表示欄 695:再生位置調整ボタン
68i:上部表示欄 696:ボタン
68j:下部表示欄 697:一時停止ボタン
68k:楽曲検索ボタン 698:演奏停止ボタン

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13