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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018468
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02S 50/00 20140101AFI20240201BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240201BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H02S50/00
H02J3/38 130
H02J13/00 311B
H02J13/00 311K
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121829
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100221372
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 信治
(72)【発明者】
【氏名】武山 孝博
(72)【発明者】
【氏名】小倉 遼
(72)【発明者】
【氏名】白 釘虎
(72)【発明者】
【氏名】仲市 淳
(72)【発明者】
【氏名】内田 強士
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 智子
(72)【発明者】
【氏名】マーティン エリカ
(72)【発明者】
【氏名】アクソイ オズギュル
(72)【発明者】
【氏名】エマネット ナヒット
(72)【発明者】
【氏名】ミフマンリ ムスタファ
【テーマコード(参考)】
5F151
5F251
5G064
5G066
【Fターム(参考)】
5F151BA11
5F151JA30
5F151KA08
5F251BA11
5F251JA30
5F251KA08
5G064AA01
5G064AA08
5G064AC06
5G064DA02
5G066HA13
5G066HB05
5G066HB06
(57)【要約】
【課題】太陽光発電システムの動作の安定性の向上を図る。
【解決手段】太陽光発電システム1は、ストリング2と、インバータ3と、第1遮断装置4と、第2遮断装置と、を備える。第1遮断装置4は、第1制御信号S1に応じて、ストリング2とインバータ3とを遮断する。第2遮断装置は、第1遮断装置4からの第2制御信号S2に応じて、太陽電池モジュールグループと他の太陽電池モジュール又はインバータ3とを遮断する。第2遮断装置は、第1電路L1に設けられた第3開閉部5aと、第3開閉部5aと太陽電池モジュールグループとの間に設けられた半導体スイッチング素子5hと、陽極側の端子が太陽電池モジュールグループと半導体スイッチング素子5hとの間に接続され第3開閉部5aの駆動電力を発生する電力供給部5eと、を有し、半導体スイッチング素子5hは、太陽電池モジュールグループの発電量が所定の閾値より小さくなったときにOFF状態となる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池モジュールが直列に接続されたストリングと、
前記ストリングに接続され、前記ストリングから出力される直流電力を交流電力に変換するインバータと、
前記ストリングと前記インバータとの間に設けられ、前記インバータからの第1制御信号に応じて、前記ストリングと前記インバータとを遮断する第1遮断装置と、
前記ストリングに含まれる1つ又は連続する複数の前記太陽電池モジュールにて構成される太陽電池モジュールグループと他の太陽電池モジュールグループ又は前記インバータとを接続する電路に接続され、前記第1遮断装置からの第2制御信号に応じて、前記太陽電池モジュールグループと前記他の太陽電池モジュールグループ又は前記インバータとを遮断する第2遮断装置と、
を備え、
前記第2遮断装置は、
前記太陽電池モジュールグループの陽極側の端子と前記他の太陽電池モジュールグループ又は前記インバータとを接続する第1電路に設けられる第3開閉部と、
前記第1電路の前記第3開閉部と前記太陽電池モジュールグループの陽極側の端子との間に設けられる半導体スイッチング素子と、
陽極側の端子が前記第1電路の太陽電池モジュールグループの陽極側の端子と前記半導体スイッチング素子との間に接続され、陰極側の端子が前記太陽電池モジュールグループの陰極側の端子に接続され、前記第3開閉部を駆動する電力を発生する電力供給部と、
を有し、
前記半導体スイッチング素子は、前記太陽電池モジュールグループの発電量が所定の閾値より小さくなったときにOFF状態となる、
太陽光発電システム。
【請求項2】
前記第2遮断装置は、一端が前記太陽電池モジュールグループの陰極側の端子と前記他の太陽電池モジュールグループ又は前記インバータとを接続する第2電路に接続され、他端が前記第1電路の前記第3開閉部と前記半導体スイッチング素子との間に接続されるバイパス素子を有する、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項3】
前記半導体スイッチング素子は、MOSFET素子、又は、IGBT素子である、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項4】
前記第2遮断装置は、前記太陽電池モジュールグループの陰極側の端子と前記他の太陽電池モジュールグループ又は前記インバータとを接続する第2電路に接続される第4開閉部を有する、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項5】
前記第3開閉部と前記第4開閉部は同時に開閉可能である、請求項4に記載の太陽光発電システム。
【請求項6】
前記第3開閉部と前記第4開閉部はそれぞれ独立して開閉可能である、請求項4に記載の太陽光発電システム。
【請求項7】
前記第1遮断装置は、前記ストリングの陽極側の端子と前記インバータの陽極側の端子に接続される第1開閉部を有する、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項8】
前記第1遮断装置は、前記ストリングの陰極側の端子と前記インバータの陰極側の端子に接続される第2開閉部を有する、請求項7に記載の太陽光発電システム。
【請求項9】
前記第1開閉部と前記第2開閉部は同時に開閉可能である、請求項8に記載の太陽光発電システム。
【請求項10】
前記第1開閉部と前記第2開閉部はそれぞれ独立して開閉可能である、請求項8に記載の太陽光発電システム。
【請求項11】
前記第1遮断装置は、商用電源から供給される電力によって駆動される、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項12】
前記インバータは、電力線通信によって前記第1遮断装置に前記第1制御信号を出力する、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項13】
前記インバータは、無線通信によって前記第1遮断装置に前記第1制御信号を出力する、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項14】
前記第1遮断装置は、前記インバータから前記第1制御信号を受信したことに応じて、電力線通信によって前記第2遮断装置に前記第2制御信号を出力する、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項15】
前記第1遮断装置は、前記インバータから前記第1制御信号を受信したことに応じて、無線通信によって前記第2遮断装置に前記第2制御信号を出力する、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
火災時等の緊急時に消防士を感電等から保護することを目的として、太陽光発電システムには、緊急時に発電を即座に停止する機能が設けられているものがある(例えば、特許文献1を参照)。この機能は、ラピッドシャットダウン機能と呼ばれる。ラピッドシャットダウン機能は、緊急時に発生する制御信号に応答して、太陽光発電システムの電路を遮断する遮断装置により実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2012-511299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽光発電システムの遮断装置では、太陽光発電システムの電路を遮断するスイッチング素子として、リレーなどのメカニカルな接点を開閉するスイッチング素子が用いられている。このスイッチング素子を駆動する電力は、太陽光発電システムの太陽電池モジュールから供給される。つまり、太陽電池モジュールにて発電される電力は、外部装置(例えば、インバータ)の駆動と、スイッチング素子の駆動と、に使用される。この場合、何らかの原因により太陽電池モジュールの発電量が小さくなり、スイッチング素子にその駆動に必要な電力が供給されなくなくなると、例えば、太陽電池モジュールからの電力でスイッチング素子の接点を閉じようとしても(スイッチング素子をON状態としようとしても)、すぐに接点が開いてしまう(スイッチング素子がOFF状態となってしまう)ことを繰り返す現象が生じることがある。また、太陽電池モジュールからの発電量が不安定となると、スイッチング素子がON状態とOFF状態とを繰り返すことがある。この現象の発生は、例えば、太陽光発電システムの起動を妨げるなど、太陽光発電システムの動作を不安定にする。
【0005】
本発明の課題は、太陽光発電システムの動作の安定性の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る太陽光発電システムは、ストリングと、インバータと、第1遮断装置と、第2遮断装置と、を備える。ストリングは、複数の太陽電池モジュールが直列に接続されて形成される。インバータは、ストリングに接続され、ストリングから出力される直流電力を交流電力に変換する。第1遮断装置は、ストリングとインバータとの間に設けられ、インバータからの第1制御信号に応じて、ストリングとインバータとを遮断する。第2遮断装置は、太陽電池モジュールグループと他の太陽電池モジュール又はインバータとを接続する電路に接続される。太陽電池モジュールグループは、ストリングに含まれる1つ又は連続する複数の太陽電池モジュールにて構成される。第2遮断装置は、第1遮断装置からの第2制御信号に応じて、太陽電池モジュールグループと他の太陽電池モジュール又はインバータとを遮断する。
【0007】
この太陽光発電システムにおいて、第2遮断装置は、第3開閉部と、半導体スイッチング素子と、電力供給部と、を有する。第3開閉部は、第1電路に設けられる。第1電路は、太陽電池モジュールグループの陽極側の端子と他の太陽電池モジュールグループ又はインバータとを接続する電路である。半導体スイッチング素子は、第1電路の第3開閉部と太陽電池モジュールグループの陽極側の端子との間に設けられる。電力供給部は、第3開閉部を駆動する電力を発生する。電力供給部の陽極側の端子は、第1電路の太陽電池モジュールグループの陽極側の端子と半導体スイッチング素子との間に接続される。陰極側の端子は、太陽電池モジュールグループの陰極側の端子に接続される。半導体スイッチング素子は、太陽電池モジュールグループの発電量が所定の閾値より小さくなったときにOFF状態となる。
【0008】
この太陽光発電システムでは、第2遮断装置の半導体スイッチング素子が、当該第2遮断装置に接続された太陽電池モジュールグループの発電量が所定の閾値よりも小さくなったときにOFF状態となる。これにより、太陽電池モジュールグループの発電量が小さい場合には、当該太陽電池モジュールグループからインバータへの電路が遮断され、当該太陽電池モジュールグループが電力供給部のみに電力を供給可能な状態となる。つまり、太陽電池モジュールグループの発電量が小さいとき、当該太陽電池モジュールグループが発電する電力は、第3開閉部の駆動のみに使用される。太陽電池モジュールグループからの電力が第3開閉部のみに供給されるようになれば、太陽電池モジュールグループの発電量が小さいか又は不安定であっても、第3開閉部は、閉状態(ON状態)を維持できる。この結果、太陽光発電システムは安定して動作する。
【0009】
第2遮断装置は、バイパス素子を有してもよい。バイパス素子は、一端が第2電路に接続され、他端が第1電路の第3開閉部と半導体スイッチング素子との間に接続される。第2電路は、太陽電池モジュールグループの陰極側の端子と他の太陽電池モジュールグループ又はインバータとを接続する電路である。この場合は、特定の太陽電池モジュールグループでの発電量が小さくなっても、他の太陽電池モジュールグループが発電した電力を、バイパス素子を介してインバータへ伝搬させることができる。
【0010】
半導体スイッチング素子は、MOSFET素子、又は、IGBT素子であってもよい。この場合は、半導体スイッチング素子をON状態又はOFF状態とする際に必要な電力を小さくできる。
【0011】
第2遮断装置は、第2電路に接続される第4開閉部を有してもよい。この場合は、第2遮断装置において、太陽電池モジュールグループの陽極側の端子と他の太陽電池モジュールグループ又はインバータ(以下、「他の装置」と呼ぶことにする)とを接続する電路と、太陽電池モジュールグループの陰極側の端子と他の装置とを接続する電路の両方を遮断できる。この結果、緊急時における太陽光発電システムの安全性を向上できる。
【0012】
第3開閉部と第4開閉部は同時に開閉可能であってもよい。この場合は、第2制御信号に応じて、太陽電池モジュールグループの陽極側の端子と他の装置とを接続する電路と、太陽電池モジュールグループの陰極側の端子と他の装置とを接続する電路の両方を同時に遮断できる。
【0013】
第3開閉部と第4開閉部はそれぞれ独立して開閉可能であってもよい。この場合は、第2制御信号に応じて、太陽電池モジュールグループの陽極側の端子と他の装置とを接続する電路と、太陽電池モジュールグループの陰極側の端子と他の装置とを接続する電路と、の遮断の組み合わせの種類を増加できる。
【0014】
第1遮断装置は、ストリングの陽極側の端子とインバータの陽極側の端子に接続される第1開閉部を有してもよい。この場合は、ストリングとインバータを確実に遮断できる。
【0015】
第1遮断装置は、ストリングの陰極側の端子とインバータの陰極側の端子に接続される第2開閉部を有してもよい。この場合は、この場合は、第1遮断装置において、ストリングの陽極側の端子とインバータの陽極側の端子とを接続する電路と、ストリングの陰極側の端子とインバータの陰極側の端子とを接続する電路の両方を遮断できる。この結果、緊急時における太陽光発電システムの安全性を向上できる。
【0016】
第1開閉部と第2開閉部は同時に開閉可能であってもよい。この場合は、第1制御信号に応じて、ストリングの陽極側の端子とインバータの陽極側の端子とを接続する電路と、ストリングの陰極側の端子とインバータの陰極側の端子とを接続する電路の両方を同時に遮断できる。
【0017】
第1開閉部と第2開閉部はそれぞれ独立して開閉可能であってもよい。この場合は、第1制御信号に応じて、ストリングの陽極側の端子とインバータの陽極側の端子とを接続する電路と、ストリングの陰極側の端子とインバータの陽極側の端子とを接続する電路と、の遮断の組み合わせの種類を増加できる。
【0018】
第1遮断装置は、商用電源から供給される電力によって駆動されてもよい。この場合は、ストリングから電力が供給されるか否かによらず、第1遮断装置を動作できる。この結果、緊急時においてストリングとインバータとを確実に遮断できるので、緊急時における太陽光発電システムの安全性を向上できる。
【0019】
インバータは、電力線通信によって第1遮断装置に第1制御信号を出力してもよい。この場合は、インバータと第1遮断装置との通信のために個別の線を設ける必要がなくなる。
【0020】
インバータは、無線通信によって第1遮断装置に第1制御信号を出力してもよい。この場合は、インバータと第1遮断装置との間に通信線が不要となる。
【0021】
第1遮断装置は、インバータから第1制御信号を受信したことに応じて、電力線通信によって第2遮断装置に第2制御信号を出力してもよい。この場合は、第1遮断装置と第2遮断装置との通信のために個別の線を設ける必要がなくなる。
【0022】
第1遮断装置は、インバータから第1制御信号を受信したことに応じて、無線通信によって第2遮断装置に第2制御信号を出力してもよい。この場合は、第1遮断装置と第2遮断装置との間に通信線が不要となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、太陽光発電システムの動作の安定性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、太陽光発電システムの構成を示す図である。
図2図2は、第1遮断装置の構成を示す図である。
図3図3は、第2遮断装置の構成を示す図である。
図4図4は、第2遮断装置におけるバイパス素子の接続の他の例を示す図である。
図5図5は、各動作モードにおける第1遮断装置の状態を示す図である。
図6図6は、各動作モードにおける第2遮断装置の状態を示す図である。
図7図7は、ストリングにおける太陽電池モジュールグループの構成の他の例を示す図である。
図8図8は、ストリングにおける太陽電池モジュールグループの構成のさらに他の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1を用いて、太陽光発電システム1を説明する。図1は、太陽光発電システム1の構成を示す図である。太陽光発電システム1は、ストリング2と、インバータ3と、第1遮断装置4と、第2遮断装置5A~5Dと、を備える。
【0026】
ストリング2は、互いに直列に接続された複数の太陽電池モジュール6を含む。本実施形態におけるストリング2は、16個の太陽電池モジュール6で構成されている。なお、太陽光発電システム1は、ストリング2が並列に複数連結された太陽電池アレイを含んでもよい。
【0027】
ストリング2は、複数の太陽電池モジュールグループを含む。各太陽電池モジュールグループは、1つ又は連続した複数の太陽電池モジュール6を含んでいる。各太陽電池モジュールグループは、陽極側の端子と、陰極側の端子と、を有する。1つの太陽電池モジュール6を含むグループでは、太陽電池モジュール6の陽極が当該グループの陽極側の端子となり、太陽電池モジュール6の陰極が当該グループの陰極側の端子となる。
【0028】
一方、複数の太陽電池モジュール6を含むグループでは、直列接続された複数の太陽電池モジュール6のうちインバータ3の陽極側に最も近い太陽電池モジュール6の陽極が当該グループの陽極側の端子となり、インバータ3の陰極側に最も近い太陽電池モジュール6の陰極が当該グループの陰極側の端子となる。図1では、各太陽電池モジュールグループの陽極側の端子を「+」で表し、陰極側の端子を「-」で表す。
【0029】
ストリング2は、第1グループ6A~第8グループ6Hの合計8つの太陽電池モジュールグループを含んでいる。第1グループ6A、第3グループ6C、第5グループ6E、第7グループ6Gは、それぞれ、1つの太陽電池モジュール6を含む。一方、第2グループ6B、第4グループ6D、第6グループ6F、第8グループ6Hは、それぞれ、3つの太陽電池モジュール6を含む。
【0030】
第1グループ6A~第8グループ6Hは、ストリング2内で直列接続されている。具体的には、第1グループ6Aの陰極側の端子が第2グループ6Bの陽極側の端子に接続される。第2グループ6Bの陰極側の端子が第3グループ6Cの陽極側の端子に接続される。第3グループ6Cの陰極側の端子が第4グループ6Dの陽極側の端子に接続される。第4グループ6Dの陰極側の端子が第5グループ6Eの陽極側の端子に接続される。第5グループ6Eの陰極側の端子が第6グループ6Fの陽極側の端子に接続される。第6グループ6Fの陰極側の端子が第7グループ6Gの陽極側の端子に接続される。第7グループ6Gの陰極側の端子が第8グループ6Hの陽極側の端子に接続される。なお、第1グループ6Aの陽極側の端子は、インバータ3の陽極側の端子に接続される。第8グループ6Hの陰極側の端子は、インバータ3の陰極側の端子に接続される。
【0031】
太陽電池モジュール6は、太陽光を受けて電力を発生する。太陽電池モジュール6の開放電圧は、例えば、50Vである。インバータ3は、電力線を介してストリング2に接続される。インバータ3は、複数の太陽電池モジュール6が直列接続されたストリング2から出力される直流電力を交流電力に変換する。インバータ3は、電力系統7に接続されており、交流電力を商用電力系統や負荷装置に供給する。
【0032】
具体的には、インバータ3は、DC/DCコンバータ3aと、DC/ACインバータ3bと、制御部3cと、第1制御信号生成部3dと、を含む。DC/DCコンバータ3aは、ストリング2から出力される電力の電圧を所定の電圧に変換して、DC/ACインバータ3bに入力する。DC/ACインバータ3bは、DC/DCコンバータ3aから出力される直流電力を交流電力に変換する。
【0033】
制御部3cは、CPU、記憶装置、各種インタフェース等を含むコンピュータシステムである。制御部3cは、DC/DCコンバータ3a及びDC/ACインバータ3bを制御する。制御部3cは、DC/DCコンバータ3a及びDC/ACインバータ3bの制御を、記憶装置に記憶されたプログラムにより実行してもよい。第1制御信号生成部3dは、操作スイッチ8が押されたときに、電力線通信によって第1遮断装置4に第1制御信号S1を出力する。
【0034】
第1遮断装置4は、ストリング2とインバータ3とを接続する電力線に接続されている。第1遮断装置4は、インバータ3からの第1制御信号S1に応じて、ストリング2とインバータ3とを遮断する。
【0035】
第2遮断装置5A~5Dは、1つの太陽電池モジュールグループと他の太陽電池モジュールとを接続する電路、又は、1つの太陽電池モジュールグループとインバータ3とを接続する電路に接続される。
【0036】
具体的には、第2遮断装置5Aは、第1グループ6Aの陽極側の端子と第1遮断装置4とを接続する電路に接続され、かつ、第1グループ6Aの陰極側の端子と第2グループ6Bの陽極側の端子とを接続する電路に接続される。第2遮断装置5Bは、第3グループ6Cの陽極側の端子と第2グループ6Bの陰極側の端子とを接続する電路に接続され、かつ、第3グループ6Cの陰極側の端子と第4グループ6Dの陽極側の端子とを接続する電路に接続される。第2遮断装置5Cは、第5グループ6Eの陽極側の端子と第4グループ6Dの陰極側の端子とを接続する電路に接続され、かつ、第5グループ6Eの陰極側の端子と第6グループ6Fの陽極側の端子とを接続する電路に接続される。第2遮断装置5Dは、第7グループ6Gの陽極側の端子と第6グループ6Fの陰極側の端子とを接続する電路に接続され、かつ、第7グループ6Gの陰極側の端子と第8グループ6Hの陽極側の端子とを接続する電路に接続される。
【0037】
第2遮断装置5A~5Dは、それぞれ、第1遮断装置4からの第2制御信号S2に応じて、自身が接続されている太陽電池モジュールグループと他の太陽電池モジュールを遮断するか、又は、自身が接続されている太陽電池モジュールグループとインバータ3とを遮断する。
【0038】
以下、図2を用いて、第1遮断装置4の具体的な構成を説明する。図2は、第1遮断装置4の構成を示す図である。第1遮断装置4は、第1開閉部4aと、第2開閉部4bと、第1信号受信部4cと、第1駆動部4dと、第1信号送信部4eと、を有する。
【0039】
第1開閉部4aは、一端がインバータ3の陽極側の端子に接続され、他端がストリング2の陽極側の端子に接続されている。第2開閉部4bは、一端がストリング2の陰極側の端子に接続され、他端がインバータ3の陰極側の端子に接続されている。「ストリング2の陰極側の端子」は、第8グループ6Hに含まれる太陽電池モジュール6のうちインバータ3の陰極側に最も近い太陽電池モジュール6の陰極である。第1開閉部4a及び第2開閉部4bは、例えば、接点を開閉することで、開閉部に接続された電路を遮断/接続するスイッチング素子である。第1開閉部4a及び第2開閉部4bは、例えば、リレーである。
【0040】
本実施形態において、第1開閉部4aと第2開閉部4bは、第1駆動部4dの制御により同時に開閉する(すなわち、ON状態とOFF状態とが切り替わる)。これにより、ストリング2の陽極側の端子とインバータ3の陽極側の端子とを接続する電力線と、ストリング2の陰極側の端子とインバータ3の陰極側の端子とを接続する電力線と、を同時に遮断できる。
【0041】
その他、第1開閉部4aと第2開閉部4bは、それぞれ、独立して第1駆動部4dの駆動信号の供給を受け、独立して開閉可能であってもよい。これにより、ストリング2の陽極側の端子とインバータ3の陽極側の端子とを接続する電力線と、ストリング2の陰極側の端子とインバータ3の陰極側の端子とを接続する電力線と、の遮断の組み合わせの種類を増加できる。例えば、上記の2つの電力線を両方遮断できるだけでなく、2つの電力線のいずれかのみを遮断できる。これにより、いずれかの開閉部が適切に動作しなくとも、他の開閉部により1つの電力線を遮断してストリング2とインバータ3とを確実に遮断できる。
【0042】
第1信号受信部4cは、インバータ3から出力された第1制御信号S1を受信する。第1信号受信部4cは、第1制御信号S1を受信したときに、第1制御信号S1を受信した旨の信号を第1駆動部4dに出力する。本実施形態において、第1制御信号S1は、電力線通信により、インバータ3と第1遮断装置4とを接続する電力線に出力される。従って、第1信号受信部4cは、例えば、電力線通信による信号を電力線から抽出できる信号受信回路である。
【0043】
第1駆動部4dは、第1開閉部4aと第2開閉部4bとを駆動する駆動信号を、第1開閉部4aと第2開閉部4bに出力する。ストリング2とインバータ3とを接続する場合、第1駆動部4dは、第1開閉部4aと第2開閉部4bとを閉状態(ON状態)とする駆動信号を、これら開閉部に出力する。一方、第1制御信号S1を受信した旨の信号を第1信号受信部4cから受信したとき、第1駆動部4dは、駆動信号の出力を停止して、第1開閉部4aと第2開閉部4bとを開状態(OFF状態)とする。これにより、第1開閉部4aと第2開閉部4bは、第1制御信号S1に応じて、ストリング2とインバータ3とを遮断できる。
【0044】
上記とは逆に、第1開閉部4aと第2開閉部4bは、第1駆動部4dから駆動信号を受信したときに開状態となってもよい。この場合、第1駆動部4dは、第1制御信号S1を受信した旨の信号を第1信号受信部4cから受信したときに駆動信号を出力し、第1開閉部4aと第2開閉部4bとを開状態とする。一方、第1制御信号S1を受信した旨の信号を受信しないとき、第1駆動部4dは、駆動信号の出力を停止して、第1開閉部4aと第2開閉部4bとを閉状態とする。
【0045】
第1駆動部4dは、例えば、第1信号受信部4cからの信号を受信したときに、第1開閉部4a及び第2開閉部4bの駆動信号を発生させる信号発生回路である。
【0046】
第1駆動部4dは、第1制御信号S1に応じてストリング2とインバータ3とを遮断したときに、ストリング2とインバータ3とを遮断した旨の信号を、第1信号送信部4eに出力する。第1信号送信部4eは、ストリング2とインバータ3とを遮断した旨の信号を受信したときに、第1遮断装置4とストリング2とを接続する電力線に、第2制御信号S2を出力する。本実施形態において、第1信号送信部4eは、電力線通信により、第1遮断装置4とストリング2とを接続する電力線に第2制御信号S2を出力する。従って、第1信号送信部4eは、例えば、電力線通信により送信する信号を発生して出力する信号発生回路である。
【0047】
第1遮断装置4は、外部の商用電源9により駆動される。具体的には、第1駆動部4dは、商用電源9から供給される交流電力を用いて、第1開閉部4aと第2開閉部4bとを駆動する駆動信号を発生する。例えば、商用電源9からの交流電力を直流電力に変換して、駆動電力を発生できる。また、第1信号受信部4c及び第1信号送信部4eも、商用電源9から供給される交流電力により駆動される。これにより、ストリング2から電力が供給されるか否かによらず、第1遮断装置4を動作できる。
【0048】
以下、図3を用いて、第2遮断装置5A~5Dの具体的な構成を説明する。図3は、第2遮断装置5A~5Dの構成を示す図である。第2遮断装置5A~5Dは、同一の構成を有する。従って、以下の説明では、第2遮断装置5Aの構成を例にとって説明する。第2遮断装置5Aは、第3開閉部5aと、第4開閉部5bと、第2信号受信部5cと、バイパス回路5dと、電力供給部5eと、第2駆動部5fと、バイパス素子5gと、半導体スイッチング素子5hと、を有する。
【0049】
第3開閉部5aは、太陽電池モジュールグループの陽極側の端子と他の太陽電池モジュールグループ又はインバータ3とを接続する第1電路L1に設けられる。具体的には、第3開閉部5aは、第1電路L1において、一端が第1遮断装置4に接続され、他端が半導体スイッチング素子5hに接続されている。なお、第2遮断装置5A以外の第2遮断装置では、第3開閉部5aの一端は、当該第2遮断装置が接続された太陽電池モジュールグループに隣接する他の太陽電池モジュールグループに接続される。第3開閉部5aは、例えば、接点を開閉することで、開閉部に接続された電路を遮断/接続するスイッチング素子である。第3開閉部5aは、例えば、リレーである。
【0050】
第4開閉部5bは、太陽電池モジュールグループの陰極側の端子と他の太陽電池モジュールグループ又はインバータ3とを接続する第2電路L2に設けられる。具体的には、第4開閉部5bは、第2電路L2において、一端が第1グループ6Aの陰極側の端子に接続され、他端が第2グループ6Bの陽極側の端子に接続されている。第4開閉部5bは、例えば、接点を開閉することで、開閉部に接続された電路を遮断/接続するスイッチング素子である。第4開閉部5bは、例えば、リレーである。
【0051】
本実施形態において、第3開閉部5aと第4開閉部5bは、第2駆動部5fの制御により同時に開閉可能となっている。これにより、第2遮断装置5Aは、第1グループ6Aの陽極側の端子と第1遮断装置4とを接続する電路と、第1グループ6Aの陰極側の端子と第2グループ6Bの陽極側の端子とを接続する電路と、を同時に遮断できる。
【0052】
その他、第3開閉部5aと第4開閉部5bは、それぞれ、独立して第2駆動部5fの駆動信号の供給を受け、独立して開閉可能であってもよい。これにより、第2遮断装置5Aは、第1グループ6Aの陽極側の端子と第1遮断装置4とを接続する電路と、第1グループ6Aの陰極側の端子と第2グループ6Bの陽極側の端子とを接続する電路と、の遮断の組み合わせの種類を増加できる。例えば、上記の2つの電路を両方遮断できるだけでなく、2つの電路のいずれかのみを遮断できる。これにより、いずれかの開閉部が適切に動作しなくとも、他の開閉部により1つの電路を遮断して、第1グループ6Aと他の装置とを遮断できる。
【0053】
第2信号受信部5cは、第1遮断装置4から出力された第2制御信号S2を受信する。第2信号受信部5cは、第2制御信号S2を受信したときに、第2制御信号S2を受信した旨の信号を第2駆動部5fに出力する。本実施形態において、第2制御信号S2は、電力線通信により、第1遮断装置4と第2遮断装置5Aとを接続する電路に出力される。従って、第2信号受信部5cは、例えば、電力線通信による信号を電路から抽出できる信号受信回路である。
【0054】
バイパス回路5dは、第2遮断装置5Aの一方の電路に伝搬してきた第2制御信号S2を、他方の電路に伝搬させるための回路である。具体的には、バイパス回路5dは、第1遮断装置4が接続された電路を伝搬してきた第2制御信号S2を、第1グループ6Aの陰極側の端子と第2グループ6Bの陽極側の端子とを接続する電路へと伝搬させる。
【0055】
本実施形態において、第2制御信号S2は、電力線通信により電路を伝搬する。すなわち、第2制御信号S2は、所定の周波数を有する信号である。従って、バイパス回路5dは、所定の周波数の信号を通過させる回路である。具体的には、バイパス回路5dは、例えば、上記所定の周波数以上の周波数の信号を通過させるハイパスフィルタ回路、又は、上記所定の周波数の信号のみを通過させるバンドパスフィルタ回路である。ハイパスフィルタであるバイパス回路5dは、例えば、キャパシタ素子により実現できる。
【0056】
電力供給部5eは、第1グループ6Aに含まれる太陽電池モジュールで発電された電力から、第2遮断装置5Aを駆動する電力を生成する。第2遮断装置5Aを駆動する電力として直流電力を用いる場合、電力供給部5eは、例えば、レギュレータ回路である。電力供給部5eの陽極側の端子(図3で「+」にて示した側の端子)は、第1電路L1において、第1グループ6Aの陽極側の端子と半導体スイッチング素子5hとの間に接続されている。一方、陰極側の端子(図3で「-」にて示した側の端子)は、第2電路L2において、第1グループ6Aの陽極側の端子と第4開閉部5bとの間に接続されている。
【0057】
第2駆動部5fは、第3開閉部5aと第4開閉部5bとを駆動する駆動信号を、第3開閉部5aと第4開閉部5bに出力する。第2駆動部5fは、電力供給部5eから供給された電力を用いて上記の駆動信号を生成し、第3開閉部5aと第4開閉部5bに出力する。
【0058】
第2遮断装置5Aが接続された太陽電池モジュールグループと他の装置とを接続したい場合、第2駆動部5fは、第3開閉部5aと第4開閉部5bとを閉状態とする駆動信号を、これら開閉部に出力する。
【0059】
一方、第2制御信号S2を受信した旨の信号を第2信号受信部5cから受信したとき、第2駆動部5fは、上記の駆動信号の出力を停止して、第3開閉部5aと第4開閉部5bとを開状態とする。これにより、第3開閉部5aと第4開閉部5bは、第2制御信号S2に応じて、太陽電池モジュールグループと他の装置とを遮断できる。
【0060】
上記とは逆に、第3開閉部5aと第4開閉部5bは、第2駆動部5fから駆動信号を受信したときに開状態となってもよい。この場合、第2駆動部5fは、第2制御信号S2を受信した旨の信号を第2信号受信部5cから受信したときに駆動信号を出力し、第3開閉部5aと第4開閉部5bとを開状態とする。一方、第2制御信号S2を受信した旨の信号を受信しないとき、第2駆動部5fは、駆動信号の出力を停止して、第3開閉部5aと第4開閉部5bとを閉状態とする。
【0061】
第2駆動部5fは、例えば、第2信号受信部5cからの信号を受信したときに、電力供給部5eから供給された電力を用いて、第3開閉部5a及び第4開閉部5bの駆動信号を発生させる信号発生回路である。
【0062】
第2制御信号S2は、第1遮断装置4が第1制御信号S1を受信してストリング2とインバータ3とを遮断した後に出力される。そのため、第2遮断装置5Aによる電路の遮断は、ストリング2とインバータ3とが遮断された後に実行される。
【0063】
バイパス素子5gは、第2遮断装置5Aが接続された第1グループ6Aに並列接続される。バイパス素子5gは、第2遮断装置5Aが接続された太陽電池モジュールグループをバイパスする電路を形成する。図3に示すように、バイパス素子5gの一端は、第2電路L2において、第1グループ6Aの陰極側の端子と第4開閉部5bとの間に接続される。一方、バイパス素子5gの他端は、第1電路L1において、第3開閉部5aと半導体スイッチング素子5hとの間に接続される。バイパス素子5gは、第2電路L2に接続されたアノードと、第1電路L1に接続されたカソードと、を有するダイオードである。
【0064】
日の出又は日没時、第1グループ6Aの太陽電池モジュールに影が入った場合、第1グループ6Aにおける急激な電力低下又は異常発熱などの異常により、第1グループ6Aから十分な電力を出力できなくなったときに、バイパス素子5gは、他の太陽電池モジュールグループが発生させた電力を、異常が生じた第1グループ6Aを「バイパス」して伝送させる電路を形成する。具体的には、第2遮断装置5Aのバイパス素子5gは、第1グループ6Aにて異常が発生したときに、第2グループ6B~第8グループ6Hにて発生した電力を、第2グループ6Bからインバータ3(第1遮断装置4)へと伝送させる経路を形成する。
【0065】
ダイオードであるバイパス素子5gは、外部からの信号による指令がなくとも、第1グループ6Aから十分な電力を出力できなくなったときに、その電気的特性に基づいて、異常が生じた第1グループ6Aをバイパスする電路を直ちに形成できる。
【0066】
なお、第2遮断装置5Aが接続された第1グループ6Aをバイパスでき、かつ、バイパス素子5gの端子の少なくとも一方が第3開閉部5a又は第4開閉部5bを介さずに第1グループ6Aに接続されていれば、バイパス素子5gの2つの端子の接続位置は任意に設定できる。例えば、図4に示すように、バイパス素子5gのアノードが、第2電路L2において、第2グループ6Bの陽極側の端子と第4開閉部5bとの間に接続され、カソードが、第1電路L1において、第1グループの陽極側の端子と第3開閉部5aとの間に接続されてもよい。図4は、第2遮断装置5Aにおけるバイパス素子5gの接続の他の例を示す図である。
【0067】
半導体スイッチング素子5hは、第1電路L1において、第3開閉部5aと直列接続されている。具体的には、半導体スイッチング素子5hの一端は、第1電路L1において、第1グループ6Aの陽極側の端子に接続されている。なお、上記のとおり、第1電路L1においては、半導体スイッチング素子5hの一端と第1グループ6Aの陽極側の端子との間には、電力供給部5eの陽極側の端子が接続されている。一方、半導体スイッチング素子5hの他端は、第1電路L1において、第3開閉部5aの他端(第1遮断装置4と接続された側とは反対側)に接続される。半導体スイッチング素子5hは、例えば、MOSFET素子、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子である。
【0068】
半導体スイッチング素子5hは、第2駆動部5fに接続される、第2駆動部5fは、半導体スイッチング素子5hのON状態とOFF状態とを切り替える制御を行う。第2駆動部5fは、第1グループ6Aの発電量に基づいて、半導体スイッチング素子5hをON状態とするかOFF状態とするかを決定する。そのため、第2駆動部5fは、第1グループ6Aの発電量をモニターしている。具体的には、第2駆動部5fは、第1グループ6Aの発電量が所定の閾値よりも小さくなったときに、半導体スイッチング素子5hをOFF状態とする。一方、第1グループ6Aの発電量が所定の閾値以上となったときに、半導体スイッチング素子5hをON状態とする。上記の閾値は、例えば、第1グループ6Aをインバータ3への電路に接続しても、第3開閉部5a及び第4開閉部5bを適切に開閉動作できる電力量とできる。
【0069】
半導体スイッチング素子5hがMOSFET素子、IGBT素子である場合、第2駆動部5fは、半導体スイッチング素子5hのゲート端子に接続される。第2駆動部5fは、ゲート端子に所定の電圧信号を出力することで、半導体スイッチング素子5hをON状態又はOFF状態とできる。MOSFET素子、IGBT素子をON状態又はOFF状態とするためにゲート端子に電圧信号が出力された際に、ゲート端子には電流はほとんど流れない。このように、MOSFET素子、IGBT素子などを半導体スイッチング素子5hとして用いることにより、半導体スイッチング素子5hをON状態又はOFF状態とする際に必要な電力を小さくできる。
【0070】
上記の構成を有する第2遮断装置5A~5Dにおいては、半導体スイッチング素子5hが、第2遮断装置に接続された太陽電池モジュールグループの発電量が所定の閾値よりも小さくなったときにOFF状態となる。これにより、太陽電池モジュールグループの発電量が小さい場合には、当該太陽電池モジュールグループからインバータ3への電路が遮断され、当該太陽電池モジュールグループが電力供給部5eのみに電力を供給可能な状態となる。つまり、太陽電池モジュールグループの発電量が小さいとき、当該太陽電池モジュールグループが発電する電力は、第3開閉部5a及び第4開閉部5bの駆動のみに使用される。太陽電池モジュールグループからの電力が第3開閉部5a及び第4開閉部5bのみに供給されるようになれば、太陽電池モジュールグループの発電量が小さいか又は不安定であっても、第3開閉部5a及び第4開閉部5bは、閉状態(すなわち、ON状態)を維持できる。この結果、太陽光発電システム1は安定して動作する。
【0071】
また、上記の第2遮断装置5A~5Dでは、太陽電池モジュールグループの発電量に異常があっても第3開閉部5a及び第4開閉部5bが閉状態(ON状態)を維持できるので、高電圧が印加された状態で第3開閉部5a及び第4開閉部5bが開閉動作する可能性は低い。このため、第3開閉部5a及び第4開閉部5bは、大きな耐電圧特性を有する必要がなく、安価なものとできる。
【0072】
次に、図5及び図6を用いて、第1遮断装置4及び第2遮断装置5A~5Dの動作の一例について説明する。第2遮断装置5A~5Dの動作については、第2遮断装置5Aの動作を例にとる。他の第2遮断装置5B~5Dも、第2遮断装置5Aと同様に動作する。図5は、各動作モードにおける第1遮断装置4の状態を示す図である。図6は、各動作モードにおける第2遮断装置5A~5Dの状態を示す図である。太陽光発電システム1における動作モードは、スタートモード、アクティブモード、安全モードの3つの動作モードを含む。安全モードは、通常遮断モードと、緊急安全遮断モードと、を含む。
【0073】
スタートモードとは、太陽電池モジュール6に太陽光が当たり始めたときのモードである。このとき、太陽電池モジュール6は、太陽光を受けて電力を発電する。スタートモードでは、インバータ3が第1制御信号S1を出力しないので(第1制御信号「なし」)、第1遮断装置4においては、第1開閉部4a及び第2開閉部4bは閉状態となり(リレー動作モード「ON」)、ストリング2とインバータ3とが接続される。第1制御信号S1が出力されていないので、第1信号送信部4eは、第2制御信号S2を出力しない。
【0074】
一方、第2遮断装置5Aにおいては、電力供給部5eが、第1グループ6Aで発電された電力を用いて、第2遮断装置5A~5Dを駆動する電力を生成する。また、第1遮断装置4が第2制御信号S2を出力しないため(第2制御信号「なし」)、第2駆動部5fが、電力供給部5eが生成した電力を用いて駆動信号を生成し、第3開閉部5a及び第4開閉部5bに出力する。この結果、第3開閉部5a及び第4開閉部5bはON状態となる(リレー動作モード「ON」)。これにより、第1電路L1において第1グループ6Aと第2グループ6Bとが接続され、第2電路L2において第1グループ6Aと第1遮断装置4とが接続される。また、第1グループ6Aにて十分な発電量が得られている場合には、半導体スイッチング素子5hがON状態となっている(半導体スイッチ動作モード「ON」)。
【0075】
太陽電池モジュール6に太陽光が当たり始めたスタートモードでは、各太陽電池モジュールグループからの発電量は小さい。そのため、スタートモード(特に、後述する通常遮断モードからスタートモードへの移行時、例えば、日の出時)において、第1グループ6Aにて発電された電力を、第3開閉部5a及び第4開閉部5bの駆動とインバータ3への供給との両方に使用すると、第3開閉部5a及び第4開閉部5bを駆動するための十分な電力が得られないことがある。この結果、第3開閉部5a及び第4開閉部5bは、開状態(OFF状態)から閉状態(ON状態)に移行しようとしてもすぐに開状態(OFF状態)に戻ってしまうとの動作を繰り返してしまう可能性がある。
【0076】
従って、スタートモードにおいて、第1グループ6Aから十分な発電量を得られないとき(すなわち、第1グループ6Aの発電量が所定の閾値よりも小さいとき)には、第2駆動部5fは、半導体スイッチング素子5hをOFF状態とし、その後、第3開閉部5a及び第4開閉部5bに電力を供給してこれら開閉部を閉状態とする。これにより、第1グループ6Aからの電力が第3開閉部5a及び第4開閉部5bの駆動のみに用いられるので、第1グループ6Aからの発電量が小さくても、第3開閉部5a及び第4開閉部5bは、閉状態(ON状態)を維持できる。
【0077】
第1グループ6Aから十分な発電量を得られないとき、他の太陽電池モジュールグループにて発電された電力は、バイパス素子5gを通り、インバータ3へ伝搬する。これにより、特定の太陽電池モジュールグループ(第1グループ6A)にて十分な発電量が得られない場合でも、太陽光発電システム1は、停止することなく、他の太陽電池モジュールグループからの電力を用いて正常に動作できる。
【0078】
その後、第1グループ6Aから十分な発電量を得られたとき(すなわち、第1グループ6Aの発電量が所定の閾値以上となったとき)に、第2駆動部5fは、半導体スイッチング素子5hをON状態とし、第1グループ6Aからインバータ3への電路を接続する。これにより、第2遮断装置5Aは、第1グループ6Aからの電力をインバータ3へ伝搬できる。
【0079】
以上により、スタートモードでは、ストリング2にて安定して発生した電力が、第1遮断装置4を介して、インバータ3に供給される。ストリング2から供給された直流電力は、インバータ3により交流電力に変換され、電力系統7に供給される。
【0080】
アクティブモードは、太陽電池モジュール6が日中に太陽光を受けて発電している状態であり、実質的にスタートモードと同じである。具体的には、アクティブモードでは、第1制御信号S1が出力されず(第1制御信号「なし」)、第1遮断装置4の第1開閉部4a及び第2開閉部4bが閉状態となっている(リレー動作モード「ON」)。また、第2制御信号S2が出力されず(第2制御信号「なし」)、第2遮断装置5A~5Dの第3開閉部5a及び第4開閉部5bが閉状態となっている。また、半導体スイッチング素子5hは、ON状態となっている(半導体スイッチ動作モード「ON」)。この結果、ストリング2にて発生した電力が、第1遮断装置4を介して、インバータ3に供給される。ストリング2から供給された直流電力は、インバータ3により交流電力に変換され、電力系統7に供給される。
【0081】
アクティブモードにおいて、第1グループ6Aからの発電量が低下し、第1グループ6Aからの発電量が所定の閾値よりも小さくなった場合(例えば、第1グループ6Aの太陽電池モジュールに影が入った場合など)には、第2駆動部5fは、半導体スイッチング素子5hをOFF状態とする。これにより、太陽電池モジュールグループから十分な電力が供給されなくとも、第3開閉部5a及び第4開閉部5bは、閉状態(ON状態)を維持できる。
【0082】
通常遮断モードは、夜間、或いは雨等の悪天候の影響で、太陽電池モジュール6が太陽光を受けていないときのモードである。したがって、通常遮断モードでは、太陽電池モジュール6が発電していない。通常遮断モードにおいて、インバータ3から第1制御信号S1が出力される(第1制御信号「あり」)。このため、第1遮断装置4では、第1開閉部4a及び第2開閉部4bが開状態となる(リレー動作モード「OFF」)。これにより、通常遮断モードでは、ストリング2とインバータ3とが遮断される。
【0083】
一方、第2遮断装置5Aにおいては、第1制御信号S1の出力に伴い、第1信号送信部4eが、電力線通信により、第2制御信号S2をストリング2に出力する(第2制御信号「あり」)。このため、半導体スイッチング素子5hはOFF状態となる(半導体スイッチ動作モード「OFF」)。なお、通常遮断モードでは、第2遮断装置5Aは第1グループ6Aから電力を供給されない。そのため、第2駆動部5fが第3開閉部5a及び第4開閉部5bへ出力する駆動信号を生成できず、第3開閉部5a及び第4開閉部5bは開状態となっている(リレー動作モード「OFF」)。
【0084】
スタートモード又はアクティブモードから通常遮断モードへの移行時に、インバータ3が第1制御信号S1を出力する。第1信号受信部4cが第1制御信号S1を受信すると、第1駆動部4dは、第2半導体スイッチング素子4fをOFF状態とし、その後、第1開閉部4a及び第2開閉部4bを開状態とする。この結果、ストリング2とインバータ3とが遮断される。ストリング2とインバータ3とが遮断されたタイミングで、第1信号送信部4eが、電力線通信により、第2制御信号S2をストリング2に出力する。
【0085】
スタートモード又はアクティブモードから通常遮断モードへの移行時、例えば、日没時には、第1グループ6Aからの発電量は小さい。そのため、通常遮断モードへの移行時においては、第1グループ6Aにて発電された電力を、第3開閉部5a及び第4開閉部5bの駆動とインバータ3への供給との両方に使用すると、第3開閉部5a及び第4開閉部5bを駆動するための十分な電力が得られないことがある。この結果、第3開閉部5a及び第4開閉部5bは、開状態(OFF状態)から閉状態(ON状態)に移行しようとしてもすぐに開状態(OFF状態)に戻ってしまうとの動作を繰り返してしまう可能性がある。
【0086】
従って、通常遮断モードへの移行時において、第1グループ6Aから十分な発電量を得られなくなったとき(すなわち、第1グループ6Aの発電量が所定の閾値よりも小さくなったとき)に、第2駆動部5fは、半導体スイッチング素子5hをOFF状態とする。これにより、第1グループ6Aからの発電量が小さくても、第3開閉部5a及び第4開閉部5bは、閉状態(ON状態)を維持できる。その後、通常遮断モードの適切なタイミングにおいて、第2駆動部5fは、第3開閉部5a及び第4開閉部5bを開状態とする。
【0087】
以上により、通常遮断モードでは、ストリング2からインバータ3に電力が供給されない状態となる。
【0088】
通常遮断モードにおいて、天候が不安定である等の理由により、例えば太陽電池モジュール6の発電が不安定な状態のときは、第1グループ6Aから供給される電力に応じて、第3開閉部5a及び第4開閉部5bが閉状態/開状態となる(リレー動作モード「ON/OFF」)。この場合、第2駆動部5fは、半導体スイッチング素子5hをOFF状態とする。これにより、太陽電池モジュール6の発電が不安定なために第1グループ6Aから供給される電力が不安定になっても、第1グループ6Aからの電力を第3開閉部5a及び第4開閉部5bの駆動にのみ使用できるので、第3開閉部5a及び第4開閉部5bを適切に動作できる。具体的には、第3開閉部5a及び第4開閉部5bを閉状態(ON状態)に維持して、他の太陽電池モジュールグループにて発電された電力を、バイパス素子5gを介して、インバータ3に伝搬できる。
【0089】
緊急安全遮断モードは、スタートモード、或いはアクティブモード中に、ストリング2からインバータ3への電力の供給を遮断させるモードである。緊急安全遮断モードは、スタートモード又はアクティブモードにおいて、操作スイッチ8が操作されることで開始される。
【0090】
具体的には、操作スイッチ8が操作されると、インバータ3の第1制御信号生成部3dが、電力線通信により、第1制御信号S1を第1遮断装置4に送信する(第1制御信号「あり」)。第1信号受信部4cが第1制御信号S1を受信すると、第1駆動部4dは、第1開閉部4a及び第2開閉部4bへの駆動電力の出力を停止する。この結果、ストリング2とインバータ3とが遮断される(リレー動作モード「OFF」)。ストリング2とインバータ3とが遮断されたタイミングで、第1信号送信部4eが、電力線通信により、第2制御信号S2をストリング2に出力する(第2制御信号「あり」)。
【0091】
第2遮断装置5Aの第2信号受信部5cが第2制御信号S2を受信すると、第2駆動部5fは、半導体スイッチング素子5hをOFF状態にし(半導体スイッチ動作モード「OFF」)、その後、第3開閉部5a及び第4開閉部5bへの駆動電力の出力を停止する。この結果、第1グループ6Aと第2グループ6Bとが遮断され、第1グループ6Aとインバータ3とが遮断される(リレー動作モード「OFF」)。すなわち、ストリング2に含まれる全ての太陽電池モジュール6から出力される電圧が遮断される。
【0092】
以上のようにして、緊急安全遮断モードでは、第1遮断装置4によってストリング2とインバータ3とを遮断できるとともに、第2遮断装置5A~5Dによって、ストリング2に含まれる太陽電池モジュールグループ毎の遮断を実現できる。具体的には、第2遮断装置5Aによって、第1グループ6Aと第2グループ6Bとの接続を遮断できる。第2遮断装置5Bによって、第2グループ6Bと第3グループ6Cとの接続と、第3グループ6Cと第4グループ6Dとの接続と、を遮断できる。第2遮断装置5Cによって、第4グループ6Dと第5グループ6Eとの接続と、第5グループ6Eと第6グループ6Fとの接続と、を遮断できる。第2遮断装置5Dによって、第6グループ6Fと第7グループ6Gとの接続と、第7グループ6Gと第8グループ6Hとの接続と、を遮断できる。
【0093】
このため、太陽光発電システム1では、太陽電池モジュール6毎に遮断装置を設置する場合に比べて、遮断装置の設置コストの低減を図ることができる。また、緊急安全遮断モードにおいて、ストリング2を太陽電池モジュールグループ毎に遮断するだけでなく、ストリング2とインバータ3との間も遮断することで、より安全性の高い太陽光発電システムを提供できる。
【0094】
太陽光発電システム1では、第2遮断装置5A~5Dが半導体スイッチング素子5hを有しており、第2遮断装置5A~5Dに接続された太陽電池モジュールグループの発電量が所定の閾値よりも小さくなったときに、半導体スイッチング素子5hがOFF状態となる。これにより、太陽電池モジュールグループの発電量が小さい場合には、当該太陽電池モジュールグループからインバータへの電路が遮断され、当該太陽電池モジュールグループが電力供給部5eのみに電力を供給可能な状態となる。つまり、太陽電池モジュールグループの発電量が小さいとき、当該太陽電池モジュールグループが発電する電力は、第3開閉部5a及び第4開閉部5bの駆動のみに使用される。太陽電池モジュールグループからの電力が第3開閉部5a及び第4開閉部5bのみに供給されるようになれば、太陽電池モジュールグループの発電量が小さいか又は不安定であっても、第3開閉部5a及び第4開閉部5bは、閉状態(ON状態)を維持できる。この結果、太陽光発電システム1は、安定して動作できる。
【0095】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
ストリング2における太陽電池モジュールグループのグループ分け方法、各グループに含まれる太陽電池モジュール6の数は、緊急安全遮断モード時にストリング2をどのような開放電圧で遮断するかなどに基づいて、任意に決定できる。例えば、緊急安全遮断モードでは、ストリング2の開放電圧が165V以下に分断されることが好ましい。1つの太陽電池モジュール6の開放電圧が50Vである場合、3つの太陽電池モジュール6を含むグループ毎にストリング2を遮断することが好ましい。
【0096】
例えば、図7に示す太陽光発電システム1’においては、ストリング2’には、直列接続された18個の太陽電池モジュール6が含まれ、6つの太陽電池モジュールグループ6A’~6F’が含まれている。また、各太陽電池モジュールグループ6A’~6F’が、連続した3つの太陽電池モジュール6にて構成されている。さらに、太陽電池モジュールグループ6A’、6C’、6E’に、それぞれ、第2遮断装置5A’、5B’、5C’が接続される。図7は、ストリングにおける太陽電池モジュールグループの構成の他の例を示す図である。
【0097】
また、例えば、図8に示す太陽光発電システム1’’においては、ストリング2’’には、直列接続された12個の太陽電池モジュール6が含まれ、4つの太陽電池モジュールグループ6A’’~6D’’が含まれている。各太陽電池モジュールグループ6A’’~6D’’が、連続した3つの太陽電池モジュール6にて構成されている。さらに、各太陽電池モジュールグループ6A’’~6D’’に、第2遮断装置5A’’~5D’’が接続される。図8は、ストリングにおける太陽電池モジュールグループの構成のさらに他の例を示す図である。
【0098】
なお、太陽光発電システム1’、1’’においては、ストリング2’、2’’における太陽電池モジュールグループの構成が上記の太陽光発電システム1と異なるのみで、太陽光発電システム1’、1’’における他の構成は、太陽光発電システム1と同じである。
【0099】
スタートモード、或いはアクティブモードから緊急安全遮断モードへの切り替えを、ストリング2に含まれる太陽電池モジュール6の出力状態から異常を検出したときに実行してもよい。この場合、例えば、太陽光発電システム1に太陽電池モジュール6の出力状態を検出するセンサを設け、当該センサで検出された太陽電池モジュール6の出力状態から異常を検出したときに、インバータ3の第1制御信号生成部3dが第1制御信号S1を出力することで、緊急安全遮断モードへの切り替えを実行できる。或いは、例えば、インバータ3に火災報知器又は火災警報器を接続して、インバータ3が火災報知器又は火災警報器から信号を受信したときに、第1制御信号生成部3dが第1制御信号S1を出力することで、緊急安全遮断モードへの切り替えを実行できる。
【0100】
第1制御信号S1及び/又は第2制御信号S2は、電力線通信以外の方法で送受信できる。例えば、第1制御信号S1及び/又は第2制御信号S2は、無線通信により送受信されてもよい。また、第1制御信号S1を電力線通信にて送受信する一方、第2制御信号S2を無線通信にて送受信してもよい。第2制御信号S2を無線通信により送受信する場合、第2遮断装置にバイパス回路5dを設ける必要はない。
【0101】
第1制御信号S1及び/又は第2制御信号S2は、複数種類の情報を表してもよい。すなわち、第1制御信号S1及び第2制御信号S2の有無で緊急安全遮断モードへの切り替えを行うか否かを決定することに限られず、第1制御信号S1及び/又は第2制御信号S2が示す情報の種類によって、緊急安全遮断モードへの切り替えを行うか否かを決定してもよい。
【0102】
例えば、第1制御信号S1及び第2制御信号S2は、二進数で表される2種類の値(第1値、第2値と呼ぶ)を表現可能であってもよい。この場合、例えば、第1制御信号S1及び第2制御信号S2が第1値を示す場合には緊急安全遮断モードへの切り替えを行う(ストリング2とインバータ3とを遮断し、及び/又は、ストリング2内の太陽電池モジュールグループ間を遮断する)と決定し、第2値を示す場合には緊急安全遮断モードへの切り替えを行わない(ストリング2とインバータ3の接続を維持し、及び/又は、ストリング2内の太陽電池モジュールグループ間の接続を維持する)と決定してもよい。
【0103】
第1遮断装置4において、第2開閉部4bは省略されてもよい。また、第2遮断装置において、第4開閉部5bは省略されてもよい。
【0104】
第1遮断装置4において、第2開閉部4bに半導体スイッチング素子が直列接続されていてもよい。また、第2遮断装置において、第4開閉部5bに半導体スイッチング素子が直列接続されていてもよい。
【0105】
緊急安全遮断モード以外のモードにおいて第1制御信号S1及び第2制御信号S2が常に出力され、緊急安全遮断モード時に、第1制御信号S1及び第2制御信号S2の出力が停止されてもよい。この場合、第1遮断装置及び第2遮断装置は、第1制御信号S1及び第2制御信号S2の受信時に開閉部を閉状態とし、第1制御信号S1及び第2制御信号S2が受信されないときに開閉部を開状態とする。
【0106】
第1遮断装置4にも半導体スイッチング素子を設けてもよい。具体的には、例えば、ストリング2の陽極側の端子とインバータ3の陽極側の端子とを接続する電路において、第1開閉部4aと直列に半導体スイッチング素子を配置してもよい。この場合、第1開閉部4a及び第2開閉部4bを開閉動作させる前に、当該半導体スイッチング素子をOFF状態とする。これにより、第1遮断装置4において、第1開閉部4a及び第2開閉部の開閉動作時にノイズ成分、チャタリングの発生を抑制できる。
【0107】
(付記)
(1)太陽光発電システム(例えば、太陽光発電システム1)は、ストリング(例えば、ストリング2)と、インバータ(例えば、インバータ3)と、第1遮断装置(例えば、第1遮断装置4)と、第2遮断装置(例えば、第2遮断装置5)と、を備える。ストリングは、複数の太陽電池モジュール(例えば、太陽電池モジュール6)が直列に接続されて形成される。インバータは、ストリングに接続され、ストリングから出力される直流電力を交流電力に変換する。第1遮断装置は、ストリングとインバータとの間に設けられ、インバータからの第1制御信号に応じて、ストリングとインバータとを遮断する。第2遮断装置は、太陽電池モジュールグループ(例えば、太陽電池モジュールグループ6A~6H、6A’~6F’、6A’’~6D’’)と他の太陽電池モジュール又はインバータとを接続する電路に接続される。太陽電池モジュールグループは、ストリングに含まれる1つ又は連続する複数の太陽電池モジュールにて構成される。第2遮断装置は、第1遮断装置からの第2制御信号に応じて、太陽電池モジュールグループと他の太陽電池モジュール又はインバータとを遮断する。
【0108】
この太陽光発電システムにおいて、第2遮断装置は、第3開閉部(例えば、第3開閉部5a)と、半導体スイッチング素子(例えば、第1半導体スイッチング素子5h)と、電力供給部(例えば、電力供給部5e)と、を有する。第3開閉部は、第1電路に設けられる。第1電路は、太陽電池モジュールグループの陽極側の端子と他の太陽電池モジュールグループ又はインバータとを接続する電路である。半導体スイッチング素子は、第1電路の第3開閉部と太陽電池モジュールグループの陽極側の端子との間に設けられる。電力供給部は、第3開閉部を駆動する電力を発生する。電力供給部の陽極側の端子は、第1電路の太陽電池モジュールグループの陽極側の端子と半導体スイッチング素子との間に接続される。陰極側の端子は、太陽電池モジュールグループの陰極側の端子に接続される。半導体スイッチング素子は、太陽電池モジュールグループの発電量が所定の閾値より小さくなったときにOFF状態となる。
【0109】
この太陽光発電システムでは、第2遮断装置の半導体スイッチング素子が、当該第2遮断装置に接続された太陽電池モジュールグループの発電量が所定の閾値よりも小さくなったときにOFF状態となる。これにより、太陽電池モジュールグループの発電量が小さい場合には、当該太陽電池モジュールグループからインバータへの電路が遮断され、当該太陽電池モジュールグループが電力供給部のみに電力を供給可能な状態となる。つまり、太陽電池モジュールグループの発電量が小さいとき、当該太陽電池モジュールグループが発電する電力は、第3開閉部の駆動のみに使用される。太陽電池モジュールグループからの電力が第3開閉部のみに供給されるようになれば、太陽電池モジュールグループの発電量が小さいか又は不安定であっても、第3開閉部は、閉状態(ON状態)を維持できる。この結果、太陽光発電システムは安定して動作する。
【0110】
(2)上記(1)の太陽光発電システムにおいて、第2遮断装置は、バイパス素子(例えば、バイパス素子5g)を有してもよい。バイパス素子は、一端が第2電路に接続され、他端が第1電路の第3開閉部と半導体スイッチング素子との間に接続される。第2電路は、太陽電池モジュールグループの陰極側の端子と他の太陽電池モジュールグループ又はインバータとを接続する電路である。この場合は、特定の太陽電池モジュールグループでの発電量が小さくなっても、他の太陽電池モジュールグループが発電した電力を、バイパス素子を介してインバータへ伝搬させることができる。
【0111】
(3)上記(1)~(2)の太陽光発電システムにおいて、半導体スイッチング素子は、MOSFET素子、又は、IGBT素子であってもよい。この場合は、半導体スイッチング素子をON状態又はOFF状態とする際に必要な電力を小さくできる。
【0112】
(4)上記(1)~(3)の太陽光発電システムにおいて、第2遮断装置は、第2電路に接続される第4開閉部(例えば、第4開閉部5b)を有してもよい。この場合は、第2遮断装置において、太陽電池モジュールグループの陽極側の端子と他の太陽電池モジュールグループ又はインバータ(以下、「他の装置」と呼ぶことにする)とを接続する電路と、太陽電池モジュールグループの陰極側の端子と他の装置とを接続する電路の両方を遮断できる。この結果、緊急時における太陽光発電システムの安全性を向上できる。
【0113】
(5)上記(4)の太陽光発電システムにおいて、第3開閉部と第4開閉部は同時に開閉可能であってもよい。この場合は、第2制御信号に応じて、太陽電池モジュールグループの陽極側の端子と他の装置とを接続する電路と、太陽電池モジュールグループの陰極側の端子と他の装置とを接続する電路の両方を同時に遮断できる。
【0114】
(6)上記(4)の太陽光発電システムにおいて、第3開閉部と第4開閉部はそれぞれ独立して開閉可能であってもよい。この場合は、第2制御信号に応じて、太陽電池モジュールグループの陽極側の端子と他の装置とを接続する電路と、太陽電池モジュールグループの陰極側の端子と他の装置とを接続する電路と、の遮断の組み合わせの種類を増加できる。
【0115】
(7)上記(1)~(6)の太陽光発電システムにおいて、第1遮断装置は、ストリングの陽極側の端子とインバータの陽極側の端子に接続される第1開閉部(例えば、第1開閉部4a)を有してもよい。この場合は、ストリングとインバータを確実に遮断できる。
【0116】
(8)上記(7)の太陽光発電システムにおいて、第1遮断装置は、ストリングの陰極側の端子とインバータの陰極側の端子に接続される第2開閉部(例えば、第2開閉部4b)を有してもよい。この場合は、この場合は、第1遮断装置において、ストリングの陽極側の端子とインバータの陽極側の端子とを接続する電路と、ストリングの陰極側の端子とインバータの陰極側の端子とを接続する電路の両方を遮断できる。この結果、緊急時における太陽光発電システムの安全性を向上できる。
【0117】
(9)上記(8)の太陽光発電システムにおいて、第1開閉部と第2開閉部は同時に開閉可能であってもよい。この場合は、第1制御信号に応じて、ストリングの陽極側の端子とインバータの陽極側の端子とを接続する電路と、ストリングの陰極側の端子とインバータの陰極側の端子とを接続する電路の両方を同時に遮断できる。
【0118】
(10)上記(8)の太陽光発電システムにおいて、第1開閉部と第2開閉部はそれぞれ独立して開閉可能であってもよい。この場合は、第1制御信号に応じて、ストリングの陽極側の端子とインバータの陽極側の端子とを接続する電路と、ストリングの陰極側の端子とインバータの陽極側の端子とを接続する電路と、の遮断の組み合わせの種類を増加できる。
【0119】
(11)上記(1)~(10)の太陽光発電システムにおいて、第1遮断装置は、商用電源から供給される電力によって駆動されてもよい。この場合は、ストリングから電力が供給されるか否かによらず、第1遮断装置を動作できる。この結果、緊急時においてストリングとインバータとを確実に遮断できるので、緊急時における太陽光発電システムの安全性を向上できる。
【0120】
(12)上記(1)~(11)の太陽光発電システムにおいて、インバータは、電力線通信によって第1遮断装置に第1制御信号を出力してもよい。この場合は、インバータと第1遮断装置との通信のために個別の線を設ける必要がなくなる。
【0121】
(13)上記(1)~(12)の太陽光発電システムにおいて、インバータは、無線通信によって第1遮断装置に第1制御信号を出力してもよい。この場合は、インバータと第1遮断装置との間に通信線が不要となる。
【0122】
(14)上記(1)~(13)の太陽光発電システムにおいて、第1遮断装置は、インバータから第1制御信号を受信したことに応じて、電力線通信によって第2遮断装置に第2制御信号を出力してもよい。この場合は、第1遮断装置と第2遮断装置との通信のために個別の線を設ける必要がなくなる。
【0123】
(15)上記(1)~(14)の太陽光発電システムにおいて、第1遮断装置は、インバータから第1制御信号を受信したことに応じて、無線通信によって第2遮断装置に第2制御信号を出力してもよい。この場合は、第1遮断装置と第2遮断装置との間に通信線が不要となる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明は、ラピッドシャットダウン機能を備える太陽光発電システムに広く適用できる。
【符号の説明】
【0125】
1、1’、1’’ 太陽光発電システム
2、2’、2’’ ストリング
3 インバータ
3a DC/DCコンバータ
3b DC/ACインバータ
3c 制御部
3d 第1制御信号生成部
4 第1遮断装置
4a 第1開閉部
4b 第2開閉部
4c 第1信号受信部
4d 第1駆動部
4e 第1信号送信部
5A~5D 第2遮断装置
5A’~5C’第2遮断装置
5A’’~5D’’ 第2遮断装置
5a 第3開閉部
5b 第4開閉部
5c 第2信号受信部
5d バイパス回路
5e 電力供給部
5f 第2駆動部
5g バイパス素子
5h 第1半導体スイッチング素子
6 太陽電池モジュール
6A~6H 太陽電池モジュールグループ
6A’~6F’太陽電池モジュールグループ
6A’’~6D’’ 太陽電池モジュールグループ
7 電力系統
8 操作スイッチ
9 商用電源
S1 第1制御信号
S2 第2制御信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8