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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018470
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20240201BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240201BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H02J1/00 304H
H02J13/00 311B
H02J13/00 311K
H02J3/38 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121831
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100221372
【弁理士】
【氏名又は名称】岡崎 信治
(72)【発明者】
【氏名】武山 孝博
(72)【発明者】
【氏名】小倉 遼
(72)【発明者】
【氏名】白 釘虎
(72)【発明者】
【氏名】仲市 淳
(72)【発明者】
【氏名】内田 強士
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 智子
(72)【発明者】
【氏名】マーティン エリカ
(72)【発明者】
【氏名】アクソイ オズギュル
(72)【発明者】
【氏名】エマネット ナヒット
(72)【発明者】
【氏名】ミフマンリ ムスタファ
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G165
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AA09
5G064AC06
5G064DA02
5G066HA13
5G066HB05
5G066HB06
5G165BB02
5G165EA03
5G165HA09
5G165LA03
5G165MA10
5G165NA05
(57)【要約】
【課題】太陽光発電システムにおいて、遮断装置の設置コストの低減、及び安定性の向上を両立できる太陽光発電システムを提供する。
【解決手段】太陽光発電システム1は、ストリング2と、インバータ3と、第1遮断装置4と、第2遮断装置5とを備える。ストリング2は、複数の太陽電池モジュールグループを含む。第1遮断装置4は、第1制御信号に応じて第1電路の複数の太陽電池モジュールグループ同士の接続を遮断する。第2遮断装置5は、異なる通信方式で出力される第2制御信号に応じて、第2電路の複数の太陽電池モジュールグループ同士の接続を遮断する。第1遮断装置4は、第1開閉部44aと、第1開閉部44aに直列接続される第1半導体スイッチング素子47と、第1開閉部44aを駆動する電力を発生する電力供給部41と、を有する。第1半導体スイッチング素子47は、発電量が所定の閾値よりも小さいときにOFF状態となる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は直列に接続された複数の太陽電池モジュールをそれぞれ含み互いに直列に接続された複数の太陽電池モジュールグループを含むストリングと、
前記ストリングに接続され、前記ストリングから出力される直流電力を交流電力に変換するインバータと、
前記複数の太陽電池モジュールグループ同士を接続する第1電路に接続された第1遮断装置と、
前記第1電路に接続された前記複数の太陽電池モジュールグループとは異なる前記複数の太陽電池モジュールグループ同士を接続する第2電路に接続された第2遮断装置と、
を備え、
前記ストリングの前記複数の太陽電池モジュールグループは、グループ毎の開放電圧が所定の開放電圧以下であり、
前記第1遮断装置は、前記インバータからの第1制御信号に応じて前記第1電路に接続された前記複数の太陽電池モジュールグループ同士の接続を遮断し、
前記第2遮断装置は、前記第1遮断装置と前記第2遮断装置に接続される通信線を介して、電力線通信とは異なる通信方式で前記第1遮断装置から出力される第2制御信号に応じて、前記第2電路に接続された前記複数の太陽電池モジュールグループ同士の接続を遮断し、
前記ストリングの前記複数の太陽電池モジュールグループは、第1グループを含み、
前記第1遮断装置は、
前記第1グループの陽極側の端子に接続される第1開閉部と、
前記第1グループの陽極側の端子と前記第1開閉部との間に直列接続される第1半導体スイッチング素子と、
陽極側の端子が前記第1グループの陽極側の端子と前記第1半導体スイッチング素子との間に接続され、陰極側の端子が前記第1グループの陰極側の端子に接続され、前記第1開閉部を駆動する電力を発生する第1電力供給部と、
を有し、
前記第1半導体スイッチング素子は、前記第1グループの発電量が所定の閾値より小さくなったときにOFF状態となる、
太陽光発電システム。
【請求項2】
前記第1遮断装置は、一端が前記第1グループの陰極側の端子に接続され、他端が前記第1開閉部と前記第1半導体スイッチング素子との間に接続される第1バイパス素子を有する、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項3】
前記第1半導体スイッチング素子は、MOSFET素子、又は、IGBT素子である、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項4】
前記第1遮断装置は、前記第1グループの陰極側の端子に接続される第2開閉部を含む、
請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項5】
前記第2開閉部は、前記第1電力供給部から供給される電力により駆動される、請求項4に記載の太陽光発電システム。
【請求項6】
前記第1遮断装置は、前記第1開閉部と前記第2開閉部とを独立して開閉制御可能である、
請求項4に記載の太陽光発電システム。
【請求項7】
前記ストリングの前記複数の太陽電池モジュールグループは、第2グループを含み、
前記第2遮断装置は、
前記第2グループの陽極側の端子に接続される第3開閉部と、
前記第2グループの陽極側の端子と前記第3開閉部との間に直列接続される第2半導体スイッチング素子と、
陽極側の端子が前記第2グループの陽極側の端子と前記第2半導体スイッチング素子との間に接続され、陰極側の端子が前記第2グループの陰極側の端子に接続され、前記第3開閉部を駆動する電力を発生する第2電力供給部と、
を有し、
前記第2半導体スイッチング素子は、前記第2グループの発電量が所定の閾値より小さくなったときにOFF状態となる、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項8】
前記第2遮断装置は、一端が前記第2グループの陰極側の端子に接続され、他端が前記第3開閉部と前記第2半導体スイッチング素子との間に接続される第2バイパス素子を有する、請求項7に記載の太陽光発電システム。
【請求項9】
前記第2半導体スイッチング素子は、MOSFET素子、又は、IGBT素子である、請求項7に記載の太陽光発電システム。
【請求項10】
前記第2遮断装置は、前記第2グループの陰極側の端子に接続される第4開閉部を含む、
請求項7に記載の太陽光発電システム。
【請求項11】
前記第4開閉部は、前記第2電力供給部から供給される電力により駆動される、請求項10に記載の太陽光発電システム。
【請求項12】
前記第2遮断装置は、前記第3開閉部と前記第4開閉部とを独立して開閉制御可能である、
請求項10に記載の太陽光発電システム。
【請求項13】
前記第1遮断装置は、前記インバータからの前記第1制御信号に応じて前記第1電路に接続された前記複数の太陽電池モジュールグループ間の接続を遮断してから、前記第2遮断装置に前記第2制御信号を出力する、
請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項14】
前記ストリングの前記複数の太陽電池モジュールグループは、グループ毎の前記開放電圧が165V以下である、
請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項15】
前記インバータは、電力線通信によって前記第1遮断装置に前記第1制御信号を出力する、
請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項16】
前記インバータは、無線通信によって前記第1遮断装置に前記第1制御信号を出力する、
請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項17】
前記ストリングの前記複数の太陽電池モジュールグループの少なくとも1つは、直列に接続された複数の太陽電池モジュールを含む、
請求項1に記載の太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
米国では、火災時等の緊急時に消防士を感電等から保護することを目的として、太陽光発電システムに対して、緊急時に太陽光発電システムによる発電を即座に停止するいわゆるラピッドシャットダウン機能の導入がNEC(米国電気工事規定)によって義務付けられている。例えば、特許文献1では、インバータの動作状態に応じて、太陽電池モジュールからインバータへの電力の出力を停止させる太陽光発電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2012-511299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽光発電システムにおいて、火災時等における消防士のさらなる安全性の向上を図るには、例えば、ラピッドシャットダウン機能を備える遮断装置を太陽電池モジュール毎に設置することが好ましい。しかしながら、太陽電池モジュール毎に遮断装置を設置した場合、遮断装置の設置コストが高くなる。
【0005】
また、太陽光発電システムの遮断装置では、太陽光発電システムの電路を遮断するスイッチング素子として、リレーなどのメカニカルな接点を開閉するスイッチング素子が用いられている。このスイッチング素子を駆動する電力は、太陽光発電システムの太陽電池モジュールから供給される。つまり、太陽電池モジュールにて発電される電力は、外部装置(例えば、インバータ)の駆動と、スイッチング素子の駆動と、に使用される。この場合、何らかの原因により太陽電池モジュールの発電量が小さくなり、スイッチング素子にその駆動に必要な電力が供給されなくなくなると、例えば、太陽電池モジュールからの電力でスイッチング素子の接点を閉じようとしても(スイッチング素子をON状態としようとしても)、すぐに接点が開いてしまう(スイッチング素子がOFF状態となってしまう)ことを繰り返す現象が生じることがある。また、太陽電池モジュールからの発電量が不安定となると、スイッチング素子がON状態とOFF状態とを繰り返すことがある。この現象の発生は、例えば、太陽光発電システムの起動を妨げるなど、太陽光発電システムの動作を不安定にする。
【0006】
本発明の課題は、太陽光発電システムにおいて、遮断装置の設置コストの低減、及び安定性の向上を両立できる太陽光発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る太陽光発電システムは、ストリングと、インバータと、第1遮断装置と、第2遮断装置とを備える。ストリングは、互いに直列に接続された複数の太陽電池モジュールグループを含む。複数の太陽電池モジュールグループは、1つ又は直列に接続された複数の太陽電池モジュールをそれぞれ含む。インバータは、ストリングに接続され、ストリングから出力される直流電力を交流電力に変換する。第1遮断装置は、複数の太陽電池モジュールグループ同士を接続する第1電路に接続される。第2遮断装置は、第1電路に接続された複数の太陽電池モジュールグループとは異なる複数の太陽電池モジュールグループ同士を接続する第2電路に接続される。ストリングの複数の太陽電池モジュールグループは、グループ毎の開放電圧が所定の開放電圧以下である。第1遮断装置は、インバータからの第1制御信号に応じて第1電路に接続された複数の太陽電池モジュールグループ同士の接続を遮断する。第2遮断装置は、第1遮断装置と第2遮断装置に接続される通信線を介して、電力線通信とは異なる通信方式で第1遮断装置から出力される第2制御信号に応じて、第2電路に接続された複数の太陽電池モジュールグループ同士の接続を遮断する。
【0008】
また、ストリングの複数の太陽電池モジュールグループは、第1グループを含む。第1遮断装置は、第1グループの陽極側の端子に接続される第1開閉部と、第1グループの陽極側の端子と第1開閉部との間に直列接続される第1半導体スイッチング素子と、陽極側の端子が第1グループの陽極側の端子と第1半導体スイッチング素子との間に接続され、陰極側の端子が第1グループの陰極側の端子に接続され、第1開閉部を駆動する電力を発生する第1電力供給部と、を有する。さらに、第1半導体スイッチング素子は、第1グループの発電量が所定の閾値より小さくなったときにOFF状態となる。
【0009】
この太陽光発電システムでは、第1遮断装置と第2遮断装置とがマスタとスレーブの関係にあり、第2遮断装置は、第1遮断装置から出力される第2制御信号に応じて複数の太陽電池モジュールグループ同士の接続を遮断する。これにより、第2遮断装置の構成が簡素化できるので、第2遮断装置の設置コストを低減できる。また、複数の太陽電池モジュールグループは、グループ毎の開放電圧が所定の開放電圧以下であるため、安全性の高い太陽光発電システムを提供することができる。また、第1遮断装置からの出力される第2制御信号は、通信線を介して電力線通信とは異なる通信方式で出力されるので、電力線通信と比べてノイズの影響を受けにくく、第1遮断装置から第2遮断装置への安定した通信が可能になる。
【0010】
また、この太陽光発電システムでは、第1遮断装置の第1半導体スイッチング素子が、当該第1遮断装置に接続された第1グループの発電量が所定の閾値よりも小さくなったときにOFF状態となる。これにより、第1グループの発電量が小さい場合には、第1グループからインバータへの電路が遮断され、第1グループが第1電力供給部のみに電力を供給可能な状態となる。つまり、第1グループの発電量が小さいとき、第1グループが発電する電力は、開閉部の駆動のみに使用される。この結果、第1グループの発電量が小さいか又は不安定であっても、第1開閉部は、閉状態(ON状態)を維持できる。この結果、太陽光発電システムは安定して動作する。
【0011】
第1遮断装置は、第1バイパス素子を有してもよい。第1バイパス素子の一端は、第1グループの陰極側の端子に接続される。第1バイパス素子の他端は、第1開閉部と第1半導体スイッチング素子との間に接続される。この場合は、第1グループでの発電量が小さくなっても、他の太陽電池モジュールグループが発電した電力を、第1バイパス素子を介してインバータへ伝搬させることができる。
【0012】
第1半導体スイッチング素子は、MOSFET素子、又は、IGBT素子であってもよい。この場合は、第1半導体スイッチング素子をON状態又はOFF状態とする際に必要な電力を小さくできる。
【0013】
第1遮断装置は、第1グループの陰極側の端子に接続される第2開閉部を含んでもよい。この場合は、複数の電路を1つの第1遮断装置で開閉することができる。
【0014】
第2開閉部は、第1電力供給部から供給される電力により駆動されてもよい。この場合は、第1遮断装置を設置する際に開閉部を駆動する電力を供給するための追加配線を省略することができる。これにより、第1遮断装置の設置コストの低減を図ることができる。また、第1遮断装置の駆動電圧範囲を小さく抑えることができるので、第1遮断装置の製造コストを抑えることができる。
【0015】
第1遮断装置は、第1開閉部と第2開閉部とを独立して開閉制御可能であってもよい。この場合は、例えば、第1開閉部に接点不良などの不具合が生じた場合において、正常に動作している第2開閉部は、そのまま利用することができる。
【0016】
ストリングの複数の太陽電池モジュールグループは、第2グループを含んでもよい。第2遮断装置は、第2グループの陽極側の端子に接続される第3開閉部と、第2グループの陽極側の端子と第3開閉部との間に直列接続される第2半導体スイッチング素子と、陽極側の端子が第2グループの陽極側の端子と第2半導体スイッチング素子との間に接続され、陰極側の端子が第2グループの陰極側の端子に接続され、第2開閉部を駆動する電力を発生する電力供給部と、を有してもよい。また、第2半導体スイッチング素子は、第2グループの発電量が所定の閾値より小さくなったときにOFF状態となってもよい。この場合は、第2グループの発電量が小さい場合には、第2グループからの電力を開閉部の駆動のみに使用できる。第2グループからの電力が開閉部のみに供給されるようになれば、第2グループの発電量が小さいか又は不安定であっても、第3開閉部は、閉状態(ON状態)を維持できる。この結果、太陽光発電システムは安定して動作する。
【0017】
第2遮断装置は、第2バイパス素子を有してもよい。第2バイパス素子の一端は、第2グループの陰極側の端子に接続される。第2バイパス素子の他端は、第3開閉部と第2半導体スイッチング素子との間に接続される。この場合は、第2グループでの発電量が小さくなっても、他の太陽電池モジュールグループが発電した電力を、第2バイパス素子を介してインバータへ伝搬させることができる。
【0018】
第2半導体スイッチング素子は、MOSFET素子、又は、IGBT素子であってもよい。この場合は、第2半導体スイッチング素子をON状態又はOFF状態とする際に必要な電力を小さくできる。
【0019】
第2遮断装置は、第2グループの陰極側の端子に接続される第4開閉部を含んでもよい。この場合は、複数の電路を1つの第1遮断装置で開閉することができる。
【0020】
第4開閉部は、第2電力供給部から供給される電力により駆動されてもよい。この場合は、第2遮断装置を設置する際に開閉部を駆動する電力を供給するための追加配線を省略することができる。これにより、第2遮断装置の設置コストの低減を図ることができる。また、第2遮断装置の駆動電圧範囲を小さく抑えることができるので、第2遮断装置の製造コストを抑えることができる。
【0021】
第2遮断装置は、第3開閉部と第4開閉部とを独立して開閉制御可能であってもよい。この場合は、例えば、第3開閉部に接点不良などの不具合が生じた場合において、正常に動作している第4開閉部は、そのまま利用することができる。
【0022】
第1遮断装置は、インバータからの第1制御信号に応じて第1電路に接続された複数の太陽電池モジュールグループ間の接続を遮断してから、第2遮断装置に第2制御信号を出力してもよい。この場合は、第2遮断装置に係る電圧を抑えることができる。これにより、第2遮断装置のコストダウンを図ることができる。
【0023】
ストリングの複数の太陽電池モジュールグループは、グループ毎の開放電圧が165V以下であってもよい。この場合は、より安全性の高い太陽光発電システムを提供することができる。
【0024】
インバータは、電力線通信によって第1遮断装置に前記第1制御信号を出力してもよい。この場合は、既存の太陽光発電システムに第1遮断装置を設置するときに、インバータと第1遮断装置との通信を確保するための追加配線を省略することができるので、第1遮断装置の設置コストを抑えることができる。
【0025】
インバータは、無線通信によって第1遮断装置に第1制御信号を出力してもよい。この場合は、遠隔操作によって第1遮断装置に第1制御信号を出力することが可能になる。
【0026】
ストリングの複数の太陽電池モジュールグループの少なくとも1つは、直列に接続された複数の太陽電池モジュールを含んでもよい。この場合は、第1遮断装置又は第2遮断装置によって、複数の太陽電池モジュールを遮断することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、太陽光発電システムにおいて、遮断装置の設置コストの低減、及び安定性の向上を両立できる太陽光発電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、本発明の一態様に係る太陽光発電システムの構成を模式的に示すブロック図である。
図2図2は、第1遮断装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図3図3は、レギュレータの構成を模式的に示す回路図である。
図4図4は、第2遮断装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図5図5は、遮断装置の動作モードの一例を説明する図である。
図6図6は、他の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を模式的に示すブロック図である。
図7図7は、他の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を模式的に示すブロック図である。
図8図8は、他の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
図1は、本発明の一態様に係る太陽光発電システム1の構成を模式的に示すブロック図である。太陽光発電システム1は、ストリング2と、インバータ3と、第1遮断装置4と、複数の第2遮断装置5と、を備える。
【0030】
ストリング2は、互いに直列に接続された複数の太陽電池モジュールグループ6A~6Hを含む。複数の太陽電池モジュールグループ6A~6Hは、1つ又は直列に接続された複数の太陽電池モジュール6を含む。すなわち、ストリング2は、互いに直列に接続された複数(本実施形態では16個)の太陽電池モジュール6を含む。なお、太陽光発電システム1は、ストリング2が並列に複数連結された太陽電池アレイを含んでもよい。
【0031】
複数の太陽電池モジュールグループ6A~6Hは、グループ毎の開放電圧が所定の開放電圧以下である。所定の開放電圧は、例えば165Vである。すなわち、ストリング2は、グループ毎の開放電圧が165V以下になるように複数の太陽電池モジュールグループにグループ分けされている。太陽電池モジュール6の開放電圧は、例えば50Vである。以下では、太陽電池モジュールグループ6A~6Hをグループ6A~6Hとして記すことがある。
【0032】
グループ6A,6C,6E,6Gのそれぞれは、1つの太陽電池モジュール6を含む。グループ6B,6D,6F,6Hのそれぞれは、互いに直列に接続された3つの太陽電池モジュール6を含む。したがって、グループ6A,6C,6E,6Gの開放電圧は、50Vであり、グループ6B,6D,6F,6Hの開放電圧は、150Vである。
【0033】
グループ6A~6Hは、グループ6Aからグループ6Hまでアルファベット順に並んで互いに直列に接続されている。グループ6A~6Hのそれぞれは、陽極側の端子と陰極側の端子とを含む。各グループ6A~6Hの陽極側端子は、各グループ6A~6Hに属する太陽電池モジュール6の中で、インバータ3の陽極に最も近い太陽電池モジュール6の陽極側の端子によって構成される。各グループ6A~6H陰極側端子は、各グループ6A~6Hに属する太陽電池モジュール6の中でインバータ3の陽極から最も離れた太陽電池モジュール6の陰極側の端子によって構成される。
【0034】
例えば、グループ6Aの陽極側の端子は、グループ6Aの太陽電池モジュール6の陽極側の端子によって構成される。グループ6Aの陽極側の端子は、インバータ3の陽極側の端子に接続されている。グループ6Aの陰極側の端子は、グループ6Aの太陽電池モジュール6の陰極側の端子によって構成される。グループ6Aの陰極側の端子は、グループ6Bの陽極側の端子に接続されている。
【0035】
例えば、グループ6Bの陽極側の端子は、グループ6Bに属する太陽電池モジュール6の中で、グループ6Aに最も近い太陽電池モジュール6の陽極側の端子によって構成される。グループ6Bの陰極側の端子は、グループ6Bに属する太陽電池モジュール6の中で、グループ6Aから最も離れた太陽電池モジュール6の陰極側の端子によって構成される。グループ6Bの陰極側の端子は、グループ6Cの陽極側の端子に接続されている。
【0036】
グループ6Cの陰極側の端子は、グループ6Dの陽極側の端子に接続されている。グループ6Dの陰極側の端子は、グループ6Eの陽極側の端子に接続されている。グループ6Eの陰極側の端子は、グループ6Fの陽極側の端子に接続されている。グループ6Fの陰極側の端子は、グループ6Gの陽極側の端子に接続されている。グループ6Gの陰極側の端子は、グループ6Hの陽極側の端子に接続されている。グループ6Hの陰極側の端子は、インバータ3の陰極側の端子に接続されている。
【0037】
太陽電池モジュール6は、太陽光を受けて電力を発電し、発電した電力をインバータ3に出力する。インバータ3は、電力線を介してストリング2に接続される。インバータ3は、ストリング2の太陽電池モジュール6から出力される直流電力を交流電力に変換する。インバータ3は、電力系統7に接続されており、交流電力を商用電力系統や負荷装置に供給する。
【0038】
詳細には、インバータ3は、DC/DCコンバータ3aと、DC/ACインバータ3bと、制御部3cと、を含む。DC/DCコンバータ3aは、太陽電池モジュール6から出力される電力の電圧を所定の電圧に変換して、DC/ACインバータ3bに入力する。DC/ACインバータ3bは、DC/DCコンバータ3aを介して、太陽電池モジュール6から出力される直流電力を交流電力に変換する。制御部3cは、CPUやメモリ等を含み、DC/DCコンバータ3a及びDC/ACインバータ3bを制御する。また、制御部3cは、電力線通信によって第1遮断装置4に第1制御信号を出力する。
【0039】
第1遮断装置4は、グループ6A~6H同士を接続する電路に接続されている。本実施形態では、第1遮断装置4は、グループ6Aとグループ6Bとを接続する電路8aと、インバータ3とグループ6Aとを接続する電路8bに接続されている。第1遮断装置4は、インバータ3からの第1制御信号に応じてグループ6Aとグループ6Bとの接続、並びにインバータ3とグループ6Aとの接続を遮断する。
【0040】
第1遮断装置4は、第1遮断装置4と複数の第2遮断装置5に接続される通信線10を介して、電力線通信とは異なる通信方式で第2制御信号を複数の第2遮断装置5に出力する。第1遮断装置4は、例えば、LIN(Local Interconnect Network)通信或いはSPI(Serial Peripheral Interface)通信などのシリアル通信方式で第2制御信号を複数の第2遮断装置5に出力する。第1遮断装置4は、グループ6Aとグループ6Bとの接続、並びにインバータ3とグループ6Aとの接続を遮断してから、複数の第2遮断装置5に第2制御信号を出力する。第1遮断装置4は、通信線10を介して複数の第2遮断装置5のそれぞれに接続されている。
【0041】
第1遮断装置4と複数の第2遮断装置5とは、マスタとスレーブの関係にある。第1遮断装置4は、複数の第2遮断装置5に対してマスタとして機能し、複数の第2遮断装置5は、第1遮断装置4に対してスレーブとして機能する。すなわち、第1遮断装置4は、複数の第2遮断装置5を制御する。
【0042】
図2は、第1遮断装置4の構成を模式的に示すブロック図である。第1遮断装置4は、電力供給部41(第1電力供給部の一例)と、信号受信部42と、制御部43と、リレー44と、バイパス回路45と、第1半導体スイッチング素子47と、第1バイパス素子48と、を含む。
【0043】
電力供給部41は、太陽電池モジュールグループに並列接続されたレギュレータである。具体的には、電力供給部41の陽極側の端子は、グループ6Aの陽極側の端子に接続され、陰極側の端子は、グループ6Aの陰極側の端子に接続される。電力供給部41は、例えば、図3に示すような回路にて構成される。図3は、電力供給部41の構成を模式的に示す回路図である。電力供給部41は、入力端子21a,21b、出力端子22a,22b、ラインフィルタ23、コンデンサ24,25、昇圧回路26、スイッチング素子27、制御回路28、トランス29、ダイオード30、DC/DCコンバータ31、フィードバック回路32等を含む。
【0044】
電力供給部41は、太陽電池モジュール6で発電された電力を電源として第1遮断装置4を駆動させる駆動電力を発生する。ここでは、グループ6Aの太陽電池モジュール6で発電された電力のみを利用して第1遮断装置4の駆動電力を生成する。
【0045】
信号受信部42は、インバータ3の制御部3cからの第1制御信号を受信して、受信した第1制御信号を制御部43に出力する。詳細には、インバータ3の制御部3cからの第1制御信号を検出する信号検出部46を介して、信号受信部42はインバータ3の制御部3cからの第1制御信号を受信する。
【0046】
制御部43は、CPUやメモリ等を含む。制御部43は、信号受信部42から出力された信号に基づいて、リレー44のコイルに流れる電流値を制御して、リレー44の接点を開閉制御する。リレー44は、例えばメカニカルリレーであり、高電圧の直流電流を開閉可能である。制御部43は、リレー44を駆動する電力を電力供給部41から供給される。
【0047】
制御部43は、通信線10を介して、電力線通信とは異なる通信方式で第2制御信号を複数の第2遮断装置5に出力する。制御部43は、グループ6Aとグループ6Bとの接続を遮断してから、複数の第2遮断装置5に第2制御信号を出力する。制御部43は、例えば、リレー44の接点間の電圧を監視することで、グループ6Aとグループ6Bとの接続が遮断されたか否かを判断する。
【0048】
リレー44は、第1開閉部44aと、第2開閉部44bとを含む。第1開閉部44aは、グループ6Aの陽極側の端子が接続された電路8bに配置され、インバータ3とグループ6Aとの接続を開閉する。第2開閉部44bは、グループ6Aの陰極側の端子が接続された電路8aに配置され、グループ6Aとグループ6Bとの接続を開閉する。なお、本実施形態において、第2開閉部44bは、省略されてもよい。
【0049】
電力供給部41から駆動電源が供給されていないとき、第1開閉部44a及び第2開閉部44bは、常に開状態にある。したがって、第1遮断装置4が駆動していないときは、インバータ3とグループ6Aとの接続、グループ6Aとグループ6Bとの接続が遮断された状態にある。
【0050】
バイパス回路45は、第1遮断装置4が遮断状態のときに制御部3cからの第1制御信号を信号受信部42が受信できるようにするための回路である。第1遮断装置4によって電路8a,8bが遮断された状態のとき、信号受信部42は、バイパス回路45を介して、制御部3cからの第1制御信号を受信することができる。
【0051】
第1半導体スイッチング素子47は、電路8bにおいて、第1開閉部44aと直列接続されている。具体的には、第1半導体スイッチング素子47の一端は、グループ6Aの陽極側の端子に接続されている。一方、第1半導体スイッチング素子47の他端は、第1開閉部44aに接続されている。第1半導体スイッチング素子47は、例えば、MOSFET素子、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子である。
【0052】
第1半導体スイッチング素子47は、制御部43に接続される、制御部43は、第1半導体スイッチング素子47のON状態とOFF状態とを切り替える制御を行う。ここで、「ON状態」とは、第1半導体スイッチング素子47の一端と他端が導通状態となることを意味する。一方、「OFF状態」とは、第1半導体スイッチング素子47の上記一端と他端が絶縁状態となることを意味する。
【0053】
第1半導体スイッチング素子47がMOSFET素子、IGBT素子である場合、制御部43は、第1半導体スイッチング素子47のゲート端子に接続される。制御部43は、ゲート端子に所定の電圧信号を出力することで、第1半導体スイッチング素子47をON状態又はOFF状態とできる。MOSFET素子、IGBT素子をON状態又はOFF状態とするためにゲート端子に電圧信号が出力された際に、ゲート端子には電流はほとんど流れない。このように、MOSFET素子、IGBT素子などを第1半導体スイッチング素子47として用いることにより、第1半導体スイッチング素子47をON状態又はOFF状態とする際に必要な電力を小さくできる。
【0054】
第1遮断装置4において、第1半導体スイッチング素子47がOFF状態となると、グループ6Aの陽極側の端子とインバータ3とが遮断される。その一方、第1半導体スイッチング素子47がOFF状態となっても、電力供給部41はグループ6Aから遮断されない。すなわち、第1半導体スイッチング素子47がOFF状態のときには、グループ6Aが発電する電力は、電力供給部41には供給されるが、インバータ3には供給されない。
【0055】
制御部43は、グループ6Aの発電量が所定の閾値よりも小さいときに、第1半導体スイッチング素子47をOFF状態とする。これにより、グループ6Aの発電量が所定の閾値よりも小さいときには、グループ6Aの電力は、第1遮断装置4(電力供給部41)のみに供給される。これにより、グループ6Aの発電量が小さいときには、グループ6Aからの電力を第1開閉部44a及び第2開閉部44bの駆動のみに使用できる。グループ6Aからの電力が第1開閉部44a及び第2開閉部44bのみに供給されるようになれば、グループ6Aの発電量が小さいか又は不安定であっても、第1開閉部44a及び第2開閉部44bは、閉状態(ON状態)を維持できる。この結果、太陽光発電システム1は安定して動作する。上記の閾値は、例えば、グループ6Aの電力が電力供給部41とインバータ3の両方に供給されても、第1開閉部44a及び第2開閉部44bが安定して動作する電力量とできる。
【0056】
また、第1遮断装置4が第1半導体スイッチング素子47を有することで、グループ6Aの発電量に異常があっても、第1開閉部44a及び第2開閉部44bは閉状態(ON状態)を維持できるので、第1開閉部44a及び第2開閉部44bに高電圧が印加された状態で、これら開閉部が開閉動作する可能性は低くなる。このため、第1開閉部44a及び第2開閉部44bは、大きな耐電圧特性を有する必要がなく、安価なものとできる。
【0057】
第1バイパス素子48は、グループ6Aに並列接続される。具体的には、第1バイパス素子48の一端は、グループ6Aの陰極側の端子と第2開閉部44bとの間に接続される。一方、第1バイパス素子48の他端は、第1開閉部44aと第1半導体スイッチング素子47との間に接続される。第1バイパス素子48は、例えば、グループ6Aの陰極側に接続されるアノードと、第1開閉部44aと第1半導体スイッチング素子47との間に接続されるカソードと、を有するダイオードである。
【0058】
日の出又は日没時、グループ6Aの太陽電池モジュールに影が入った場合、グループ6Aにおける急激な電力低下又は異常発熱などの異常により、グループ6Aから十分な電力を出力できなくなったときに、第1バイパス素子48は、他の太陽電池モジュールグループが発生させた電力を、グループ6Aを「バイパス」して伝搬させる電路を形成する。具体的には、第1バイパス素子48は、グループ6Aからの発電量が不十分で第1半導体スイッチング素子47がOFF状態となり、第1開閉部44a及び第2開閉部44bが閉状態となったときに、他の太陽電池モジュールグループにて発生した電力を、インバータ3(第1遮断装置4)へと伝送させる経路を形成する。
【0059】
ダイオードである第1バイパス素子48は、外部からの信号による指令がなくとも、グループ6Aから十分な電力を出力できなくなったときに、その電気的特性に基づいて、異常が生じたグループ6Aをバイパスする電路を直ちに形成できる。
【0060】
複数の第2遮断装置5は、電路8aに接続されたグループ6Aとグループ6Bとは異なるグループ6C~グループ6H同士を接続する電路8c~8hに接続されている。複数の第2遮断装置5は、通信線10を介して第1遮断装置4から出力される第2制御信号に応じて、グループ6C~グループ6H同士の接続を遮断する。本実施形態では、複数の第2遮断装置5は、3つの第2遮断装置5a~5cを含む。
【0061】
第2遮断装置5aは、グループ6Bとグループ6Cとを接続する電路8c、並びにグループ6Cとグループ6Dとを接続する電路8dに接続されている。第2遮断装置5bは、グループ6Dとグループ6Eとを接続する電路8e、並びにグループ6Eとグループ6Fとを接続する電路8fとに接続されている。第2遮断装置5cは、グループ6Fとグループ6Gとを接続する電路8g、並びにグループ6Gとグループ6Hとを接続する電路8hに接続されている。
【0062】
図4は、第2遮断装置5aの構成を模式的に示すブロック図である。第2遮断装置5aは、電力供給部51(第2電力供給部の一例)と、制御部53と、リレー54と、バイパス回路55と、第2半導体スイッチング素子56と、第2バイパス素子57と、を含む。
【0063】
電力供給部51は、太陽電池モジュールグループに並列接続されたレギュレータである。具体的には、電力供給部51の陽極側の端子は、グループ6Cの陽極側の端子に接続され、陰極側の端子は、グループ6Cの陰極側の端子に接続される。電力供給部51は、太陽電池モジュール6で発電された電力を電源として第2遮断装置5を駆動させる駆動電力を発生する。ここでは、グループ6Cの太陽電池モジュール6で発電された電力のみを利用して第2遮断装置5の駆動電力を生成する。なお、電力供給部51の構成は、第1遮断装置4の電力供給部41と同様の構成であるため、詳細な説明を省略する。
【0064】
制御部53は、CPUやメモリ等を含む。制御部53は、第1遮断装置4からの第2制御信号に応じて、リレー54のコイルに流れる電流値を制御して、リレー54の接点を開閉制御する。リレー44は、例えばメカニカルリレーであり、高電圧の直流電流を開閉可能である。制御部53は、通信線10に接続される図示しない通信インタフェースを介して、第1遮断装置4からの第2制御信号を受けて、リレー54の接点を開状態にする。制御部53は、リレー54を駆動する電力を電力供給部51から供給される。
【0065】
リレー54は、第3開閉部54aと、第4開閉部54bとを含む。第3開閉部54aは、グループ6Cの陽極側の端子が接続された電路8cに配置され、グループ6Bとグループ6Cとの接続を開閉する。第3開閉部54aは、グループ6Bの陰極側の端子と、第2半導体スイッチング素子56とに接続されている。第4開閉部54bは、グループ6Cの陰極側の端子が接続された電路8dに配置され、グループ6Cとグループ6Dとの接続を開閉する。
【0066】
電力供給部51から駆動電源が供給されていないとき、第3開閉部54a及び第4開閉部54bは、常に開状態にある。したがって、第2遮断装置5aが駆動していないときは、グループ6Bとグループ6Cとの接続、グループ6Cとグループ6Dとの接続が遮断された状態にある。
【0067】
バイパス回路55は、第2遮断装置5が遮断状態のときに、電力線通信による制御部3cからの第1制御信号を第1遮断装置4の信号受信部42が受信できるようにするための回路である。バイパス回路55を設けることで、電力線通信を継続することが可能になる。
【0068】
第2半導体スイッチング素子56は、電路8cにおいて、第3開閉部54aと直列接続されている。具体的には、第2半導体スイッチング素子56の一端は、グループ6Cの陽極側の端子に接続されている。一方、第2半導体スイッチング素子56の他端は、第3開閉部54aに接続されている。第2半導体スイッチング素子56は、例えば、MOSFET素子、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子である。
【0069】
第2半導体スイッチング素子56は、制御部53に接続される。制御部53は、第2半導体スイッチング素子56のON状態とOFF状態とを切り替える制御を行う。
【0070】
第2半導体スイッチング素子56がMOSFET素子、IGBT素子である場合、制御部53は、第2半導体スイッチング素子56のゲート端子に接続される。制御部53は、ゲート端子に所定の電圧信号を出力することで、第2半導体スイッチング素子56をON状態又はOFF状態とできる。MOSFET素子、IGBT素子をON状態又はOFF状態とするためにゲート端子に電圧信号が出力された際に、ゲート端子には電流はほとんど流れない。このように、MOSFET素子、IGBT素子などを第2半導体スイッチング素子56として用いることにより、第2半導体スイッチング素子56をON状態又はOFF状態とする際に必要な電力を小さくできる。
【0071】
第2遮断装置5において、第2半導体スイッチング素子56がOFF状態となると、グループ6Cの陽極側の端子とグループ6Bとが遮断される。その一方、第2半導体スイッチング素子56がOFF状態となっても、電力供給部51はグループ6Cから遮断されない。すなわち、第2半導体スイッチング素子56がOFF状態のときには、グループ6Cが発電する電力は、電力供給部51には供給されるが、インバータ3には供給されない。
【0072】
制御部53は、グループ6Cの発電量が所定の閾値よりも小さいときに、第2半導体スイッチング素子56をOFF状態とする。これにより、グループ6Cの発電量が所定の閾値よりも小さいときには、グループ6Cの電力は、第2遮断装置5(電力供給部51)のみに供給される。これにより、グループ6Cの発電量が小さいときには、グループ6Cからの電力を第3開閉部54a及び第4開閉部54bの駆動のみに使用できる。グループ6Cからの電力が第3開閉部54a及び第4開閉部54bのみに供給されるようになれば、グループ6Cの発電量が小さいか又は不安定であっても、第3開閉部54a及び第4開閉部54bは、閉状態(ON状態)を維持できる。この結果、太陽光発電システム1は安定して動作する。上記の閾値は、例えば、グループ6Cの電力が電力供給部51とインバータ3の両方に供給されても、第3開閉部54a及び第4開閉部54bが安定して動作する電力量とできる。
【0073】
また、第2遮断装置5が第2半導体スイッチング素子56を有することで、グループ6Cの発電量に異常があっても、第3開閉部54a及び第4開閉部54bは閉状態(ON状態)を維持できるので、第3開閉部54a及び第4開閉部54bに高電圧が印加された状態で、これら開閉部が開閉動作する可能性は低くなる。このため、第3開閉部54a及び第4開閉部54bは、大きな耐電圧特性を有する必要がなく、安価なものとできる。
【0074】
第2遮断装置5bのリレー54は、グループ6Dとグループ6Eとの接続、並びにグループ6Eと6Fとの接続を開閉する。第2遮断装置5cのリレー54は、グループ6Fとグループ6Gとの接続、並びにグループ6Gとグループ6Hとの接続を開閉する。第2遮断装置5b及び第2遮断装置5cは、接続させる電路が第2遮断装置5aと異なる点を除いて、第2遮断装置5aと同様の構成であるため、詳細な説明は省略する。
【0075】
第2バイパス素子57は、グループ6Cに並列接続される。具体的には、第2バイパス素子57の一端は、グループ6Cの陰極側の端子と第4開閉部54bとの間に接続される。一方、第2バイパス素子57の他端は、第3開閉部54aと第2半導体スイッチング素子56との間に接続される。第2バイパス素子57は、例えば、グループ6Cの陰極側に接続されるアノードと、第3開閉部54aと第2半導体スイッチング素子56との間に接続されるカソードと、を有するダイオードである。
【0076】
日の出又は日没時、グループ6Cの太陽電池モジュールに影が入った場合、グループ6Cにおける急激な電力低下又は異常発熱などの異常により、グループ6Cから十分な電力を出力できなくなったときに、第2バイパス素子57は、他の太陽電池モジュールグループが発生させた電力を、グループ6Cを「バイパス」して伝搬させる電路を形成する。具体的には、第2バイパス素子57は、グループ6Cからの発電量が不十分で第2半導体スイッチング素子56がOFF状態となり、第3開閉部54a及び第4開閉部54bが閉状態となったときに、他の太陽電池モジュールグループにて発生した電力を、インバータ3(第1遮断装置4)へと伝送させる経路を形成する。
【0077】
ダイオードである第2バイパス素子57は、外部からの信号による指令がなくとも、グループ6Cから十分な電力を出力できなくなったときに、その電気的特性に基づいて、異常が生じたグループ6Cをバイパスする電路を直ちに形成できる。
【0078】
なお、本実施形態における複数の第2遮断装置5は、互いに通信可能な機能を備えていない。また、複数の第2遮断装置5は、複数の第2遮断装置5から第1遮断装置4に信号を出力する機能を備えていない。
【0079】
次に、図5を参照して第1遮断装置4及び複数の第2遮断装置5の動作モードの一例について説明する。第1遮断装置4及び複数の第2遮断装置5の動作モードは、スタートモード、アクティブモード、安全モードの3つの動作モードを含む。安全モードは、通常遮断モードと、緊急安全遮断モードと、を含む。したがって、第1遮断装置4及び複数の第2遮断装置5は、スタートモード、アクティブモード、通常遮断モード、及び緊急安全遮断モードの4つの動作モードで動作する。
【0080】
スタートモードとは、太陽電池モジュール6に太陽光が当たり始めたときのモードである。このとき、太陽電池モジュール6は、太陽光を受けて電力を発電する。そして、太陽電池モジュール6で発電された電力から電力供給部41が生成した駆動電力によって第1遮断装置4が駆動される。第1遮断装置4が駆動されて制御部43が信号受信部42を介してインバータ3の制御部3cからの第1制御信号を受信すると、制御部43はリレー44の第1開閉部44a及び第2開閉部44bを閉状態とする。
【0081】
同様に、太陽電池モジュール6で発電された電力から第2遮断装置5aの電力供給部51が生成した駆動電力によって第2遮断装置5aが駆動される。第2遮断装置5aが駆動されて、例えば第2制御信号とは異なる第1遮断装置4からの指令信号を制御部53が受けると、制御部53は、リレー54の第3開閉部54a及び第4開閉部54bを閉状態とする。第2遮断装置5b及び第2遮断装置5cについても、第2遮断装置5aと同様の動きをする。これにより、グループ6A~6Hが第1遮断装置4及び第2遮断装置5a~5cを介してストリング2接続され、太陽電池モジュール6で発電された電力がインバータ3に出力される。
【0082】
太陽電池モジュール6に太陽光が当たり始めたスタートモード(特に、日の出時)においては、太陽電池モジュールグループからの発電量が小さい。そのため、スタートモードにおいて、太陽電池モジュールグループからの電力を開閉部の駆動とインバータ3への供給との両方に使用すると、開閉部を駆動する電力が不足し、開閉部が、開状態(OFF状態)から閉状態(ON状態)に移行しようとしてもすぐに開状態(OFF状態)に戻ってしまうとの動作を繰り返してしまう可能性がある。
【0083】
そこで、スタートモード時において、第1遮断装置4に接続された太陽電池モジュールグループからの発電量が所定の閾値よりも小さいときには、制御部43は、第1半導体スイッチング素子47をOFF状態とする。これにより、太陽電池モジュールグループからの電力が第1開閉部44a及び第2開閉部44bの駆動にのみ使用されるので、第1開閉部44a及び第2開閉部44bは、太陽電池モジュールグループからの発電量が小さくても、閉状態(ON状態)を維持できる。
【0084】
第1開閉部44a及び第2開閉部44bの閉状態を維持できれば、第1遮断装置4は、他の太陽電池モジュールグループにて発電された電力を、第1バイパス素子48を介して、インバータ3に伝搬できる。
【0085】
また、第2遮断装置5に接続された太陽電池モジュールグループからの発電量が所定の閾値よりも小さいときには、制御部53は、第2半導体スイッチング素子56をOFF状態とする。これにより、太陽電池モジュールグループからの電力が第3開閉部54a及び第4開閉部54bの駆動にのみ使用されるので、第3開閉部54a及び第4開閉部54bは、太陽電池モジュールグループからの発電量が小さくても、閉状態(ON状態)を維持できる。
【0086】
第3開閉部54a及び第4開閉部54bの閉状態を維持できれば、第2遮断装置5は、他の太陽電池モジュールグループにて発電された電力を、第2バイパス素子57を介して、インバータ3に伝搬できる。
【0087】
その後、太陽電池モジュールグループからの発電量が十分に大きくなったとき(すなわち、太陽電池モジュールグループの発電量が所定の閾値以上になったとき)に、制御部43、53は、それぞれ、第1半導体スイッチング素子47、及び、第2半導体スイッチング素子56をON状態とする。これにより、太陽電池モジュールグループからの発電量が十分に大きくなってから、太陽電池モジュールグループにて発電された電力を、開閉部の駆動とインバータ3への供給とに使用できるようになる。
【0088】
アクティブモードは、太陽電池モジュール6が日中に太陽光を受けて発電している状態であり、実質的にスタートモードと同じである。したがって、アクティブモードでは、グループ6A~6Hが第1遮断装置4及び第2遮断装置5a~5cを介して接続された状態にあり、太陽電池モジュール6が発電された電力がインバータ3に出力される。
【0089】
アクティブモードにおいて、例えば、太陽電池モジュールグループに影が入った、太陽電池モジュールグループに含まれる太陽電池モジュールに異常が生じたなどの原因で、太陽電池モジュールグループからの発電量が低下する場合がある。このような場合に備えて、アクティブモードにおいて、第1遮断装置4に接続された太陽電池モジュールグループの発電量が所定の閾値よりも小さくなったときに、制御部43は、第1半導体スイッチング素子47をOFF状態とする。これにより、太陽電池モジュールグループからの電力を第1開閉部44a及び第2開閉部44bの駆動のみに使用するので、太陽電池モジュールグループからの発電量が小さくても、第1開閉部44a及び第2開閉部44bは、閉状態(ON状態)を維持できる。
【0090】
第1開閉部44a及び第2開閉部44bの閉状態を維持できれば、第1遮断装置4は、正常な他の太陽電池モジュールグループにて発電された電力を、第1バイパス素子48を介して、インバータ3に伝搬できる。
【0091】
また、第2遮断装置5に接続された太陽電池モジュールグループの発電量が所定の閾値よりも小さくなったときに、制御部53は、第2半導体スイッチング素子56をOFF状態とする。これにより、太陽電池モジュールグループからの電力を第3開閉部54a及び第4開閉部54bの駆動のみに使用するので、太陽電池モジュールグループからの発電量が小さくても、第3開閉部54a及び第4開閉部54bは、閉状態(ON状態)を維持できる。
【0092】
第3開閉部54a及び第4開閉部54bの閉状態を維持できれば、第2遮断装置5は、正常な他の太陽電池モジュールグループにて発電された電力を、第2バイパス素子57を介して、インバータ3に伝搬できる。
【0093】
通常遮断モードは、夜間、或いは雨等の天候の影響で、太陽電池モジュール6が太陽光を受けていないときのモードである。したがって、通常遮断モードでは、太陽電池モジュール6が発電していない。通常遮断モードにおいて、インバータ3の制御部3cから第1制御信号が出力されている。このため、通常遮断モードでは、第1遮断装置4の第1開閉部44a及び第2開閉部44bと、第2遮断装置5a~5cの第3開閉部54a及び第4開閉部54bが全て開状態にある。なお、通常遮断モードでは、太陽電池モジュール6によって電力が発電されておらず、太陽電池モジュール6から第1遮断装置4及び第2遮断装置5a~5cに駆動電源が供給されていない。
【0094】
スタートモード又はアクティブモードから通常遮断モードへの移行時、例えば、日没時には、太陽電池モジュールグループからの発電量は減少する。そのため、通常遮断モードへの移行時においては、太陽電池モジュールグループにて発電された電力を開閉部の駆動とインバータ3への供給との両方に使用すると、開閉部を駆動する電力が不足し、開閉部が、開状態(OFF状態)から閉状態(ON状態)に移行しようとしてもすぐに開状態(OFF状態)に戻ってしまうとの動作を繰り返してしまう可能性がある。
【0095】
従って、通常遮断モードへの移行時において、第1遮断装置4に接続された太陽電池モジュールグループから十分な発電量を得られなくなったとき(すなわち、太陽電池モジュールグループの発電量が所定の閾値よりも小さくなったとき)に、制御部43は、第1半導体スイッチング素子47をOFF状態とする。これにより、太陽電池モジュールグループからの電力が第1開閉部44a及び第2開閉部44bの駆動にのみ使用されるので、太陽電池モジュールグループからの発電量が小さくても、第1開閉部44a及び第2開閉部44bは、閉状態(ON状態)を維持できる。
【0096】
また、通常遮断モードへの移行時において、第2遮断装置5に接続された太陽電池モジュールグループから十分な発電量を得られなくなったときに、制御部53は、第2半導体スイッチング素子56をOFF状態とする。これにより、太陽電池モジュールグループからの電力が第3開閉部54a及び第4開閉部54bの駆動にのみ使用されるので、太陽電池モジュールグループからの発電量が小さくても、第3開閉部54a及び第4開閉部54bは、閉状態(ON状態)を維持できる。
【0097】
通常遮断モードにおいて、天候の不安定等の理由により、例えばグループ6Aの太陽電池モジュール6の発電が不安定な状態のときは、グループ6Aの太陽電池モジュール6から供給される電力に応じてリレー44がON状態/OFF状態となる。また、例えば、グループ6Cの太陽電池モジュール6の発電が不安定な状態のときは、グループ6Cの太陽電池モジュール6から供給される電力に応じてリレー54がON状態/OFF状態となる。この結果、リレー44、54にて、ON状態とOFF状態とが繰り返し切り替わる現象が発生する可能性がある。
【0098】
そこで、第1遮断装置4に接続された太陽電池モジュールグループからの発電量が不安定で所定の閾値よりも小さくなる可能性があり、第1開閉部44a及び/又は第2開閉部44bが開閉動作を繰り返す可能性がある場合、制御部43は、第1半導体スイッチング素子47をOFF状態とする。これにより、太陽電池モジュールグループからの発電量が不安定で所定の閾値よりも小さくなっても、太陽電池モジュールグループからの電力を第1開閉部44a及び第2開閉部44bの駆動にのみ使用できるので、第1開閉部44a及び第2開閉部44bは、閉状態(ON状態)を維持できる。また、第1遮断装置4は、正常な他の太陽電池モジュールグループにて発電された電力を、第1バイパス素子48を介して、インバータ3に伝搬できる。
【0099】
また、第2遮断装置5に接続された太陽電池モジュールグループからの発電量が不安定で所定の閾値よりも小さくなる可能性があり、第3開閉部54a及び/又は第4開閉部54bが開閉動作を繰り返す可能性がある場合、制御部53は、第2半導体スイッチング素子56をOFF状態とする。これにより、太陽電池モジュールグループからの発電量が不安定で所定の閾値よりも小さくなっても、太陽電池モジュールグループからの電力を第3開閉部54a及び第4開閉部54bの駆動にのみ使用できるので、第3開閉部54a及び第4開閉部54bは、閉状態(ON状態)を維持できる。また、第2遮断装置5は、正常な他の太陽電池モジュールグループにて発電された電力を、第2バイパス素子57を介して、インバータ3に伝搬できる。
【0100】
なお、例えば、通常遮断モードにおいて、太陽電池モジュールグループの発電量が不安定ではあるが所定の閾値よりも小さくならない場合には、制御部43、53は、第1半導体スイッチング素子47、第2半導体スイッチング素子56をOFF状態にしなくてもよい。
【0101】
緊急安全遮断モードは、スタートモード、或いはアクティブモード中に、電路8a~8hを遮断して、太陽電池モジュール6からインバータ3への電力の出力を停止させるモードである。本実施形態では、図1に示すように、操作スイッチ35がインバータ3に接続されており、第1遮断装置4がスタートモード、或いはアクティブモード中のときに操作スイッチ35が操作されると、第1遮断装置4の動作モードが緊急安全遮断モードに切り替わる。
【0102】
詳細には、操作スイッチ35が操作されると、制御部3cは、第1制御信号の出力を停止する。信号検出部46が第1制御信号の一定周期停止を検出すると、信号受信部42及び制御部43を介して、リレー44の第1開閉部44a及び第2開閉部44bが開状態となる。このとき、制御部43は、第1半導体スイッチング素子47をOFF状態とした後に、リレー44の第1開閉部44a及び第2開閉部44bを開状態とする。これにより、グループ6Aとグループ6Bとの接続、並びにインバータ3とグループ6Aとの接続が遮断され、太陽電池モジュール6からインバータ3への電力の出力が停止される。このとき、第1遮断装置4は、リレー44の第1開閉部44a及び第2開閉部44bを開状態とした後で、第2遮断装置5a~5cに通信線10を介して第2制御信号を出力する。
【0103】
第2遮断装置5a~5cは、第1遮断装置4からの第2制御信号を受けて、グループ6C~グループ6H同士の接続を遮断する。このとき、制御部53は、第2半導体スイッチング素子56をOFF状態とした後に、リレー54の第3開閉部54a及び第4開閉部54bを開状態とする。これにより、全てのグループ6A~6Hが互いに分断されることで、ストリング2の開放電圧が165V以下に分断される。
【0104】
上記構成の太陽光発電システム1では、第1遮断装置4と第2遮断装置5a~5cとがマスタとスレーブの関係にあり、第2遮断装置5a~5cは、第1遮断装置4から出力される第2制御信号に応じて複数の太陽電池モジュールグループ6B~6H同士の接続を遮断する。これにより、第2遮断装置5a~5cにおいて、信号受信部42や信号検出部46などの機能を省略できる。その結果、第2遮断装置5a~5cの構成が簡素化できるので、複数の第2遮断装置5の設置コストを低減できる。
【0105】
また、複数の太陽電池モジュールグループ6A~6Hは、グループ毎の開放電圧が165V以下であるため、安全性の高い太陽光発電システムを提供することができる。また、第1遮断装置4からの出力される第2制御信号は、通信線10を介して電力線通信とは異なる通信方式で出力されるので、電力線通信と比べてノイズの影響を受けにくく、第1遮断装置4から複数の第2遮断装置5への安定した通信が可能になる。
【0106】
また、上記構成の太陽光発電システム1では、第1遮断装置4によってグループ6Aとグループ6Bとの接続が遮断された後で、第2遮断装置5a~5cによって複数の太陽電池モジュールグループ6B~6H同士の接続が遮断されるので、第2遮断装置5a~5cに係る電圧を抑えることができる。これにより、第2遮断装置5a~5cのコストダウンを図ることができる。
【0107】
さらに、上記構成の太陽光発電システム1では、第1遮断装置4の第1半導体スイッチング素子47が、第1遮断装置4に接続された太陽電池モジュールグループの発電量が所定の閾値よりも小さくなったときにOFF状態となる。これにより、太陽電池モジュールグループの発電量が小さい場合には、このグループからインバータ3への電路が遮断され、このグループが電力供給部41のみに電力を供給可能な状態となる。つまり、このグループの発電量が小さいとき、このグループが発電する電力は、第1開閉部44a及び第2開閉部44bの駆動のみに使用される。この結果、第1開閉部44a及び第2開閉部44bは、このグループからの発電量が小さくても、閉状態(ON状態)を維持できる。この結果、太陽光発電システム1は安定して動作する。
【0108】
また、上記構成の太陽光発電システム1では、第2遮断装置5に接続された太陽電池モジュールグループの発電量が所定の閾値よりも小さくなったときに、第2半導体スイッチング素子56がOFF状態となる。これにより、太陽電池モジュールグループの発電量が小さい場合には、このグループが発電する電力は、第3開閉部54a及び第4開閉部54bの駆動のみに使用される。この結果、第3開閉部54a及び第4開閉部54bは、このグループからの発電量が小さくても、閉状態(ON状態)を維持できる。この結果、太陽光発電システム1は安定して動作する。
【0109】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0110】
複数の太陽電池モジュールグループのグループ数は、前記実施形態に限定されるものではない。ストリング2は、グループ毎の開放電圧が165V以下になるように複数の太陽電池モジュールグループにグループ分けされていればよい。例えば、図6に示すように、複数の太陽電池モジュールグループ6A~6Fのそれぞれが3つの直接に接続された太陽電池モジュール6を含んでいてもよい。すなわち、複数の太陽電池モジュールグループは、第1遮断装置4と複数の第2遮断装置5によって複数の太陽電池モジュールグループのそれぞれが3つの直列に接続された太陽電池モジュール6を含むように分割されてもよい。また、図6では図示が省略されているが、第1遮断装置4a,4bは第1半導体スイッチング素子47を有し、第2遮断装置5a,5bは第2半導体スイッチング素子56を有する。
【0111】
また、図7に示すように、複数の第2遮断装置5は、第1遮断装置4が接続されるグループ(ここではグループ6A)を除いた複数の太陽電池モジュールグループ毎に1つずつ設けられもよい。図7では図示が省略されているが、第1遮断装置4a,4bは第1半導体スイッチング素子47を有し、第2遮断装置5a,5bは第2半導体スイッチング素子56を有する。
【0112】
前記実施形態では、第1遮断装置4のリレー44が第1開閉部44aと第2開閉部44bの2つの接点を備えていたが、図8に示すように、リレー44は、単一の接点を備える2つのリレーで構成してもよい。すなわち、第1遮断装置4の制御部43が第1開閉部44aと第2開閉部44bとを独立して開閉制御可能な構成であってもよい。同様に、複数の第2遮断装置5においても、制御部53がリレー54の第3開閉部54aと第4開閉部54bとを独立して制御可能な構成であってもよい。図8では図示が省略されているが、第1遮断装置4は、第1半導体スイッチング素子47を有し、第2遮断装置5は第2半導体スイッチング素子56を有する。
【0113】
前記実施形態では、第1遮断装置4は、グループ6Aとグループ6Bとを接続する電路8aと、インバータ3とグループ6Aとを接続する電路8bに接続されていたが、第1遮断装置4と、複数の第2遮断装置5の配置を入れ替えてもよい。例えば、第1遮断装置4を電路8cと電路8dとに接続して、第2遮断装置5aを電路8aと電路8bとに接続してもよい。
【0114】
前記実施形態では、電力線通信によって第1遮断装置4に第1制御信号を出力していたが、図8に示すように、Wifi(登録商標)等の無線通信によって第1制御信号を第1遮断装置4に出力してもよい。或いは、インバータ3と第1遮断装置4は、無線通信によって相互通信可能な構成であってもよい。
【0115】
緊急安全遮断モード又は通常遮断モードの一部(図5の「発電なし」のとき)以外のモードにおいて第1制御信号S1及び第2制御信号S2が常に出力され、緊急安全遮断モード及び通常遮断モードの一部の時に、第1制御信号S1及び第2制御信号S2の出力が停止されてもよい。この場合、第1遮断装置及び第2遮断装置は、第1制御信号S1及び第2制御信号S2の受信時に開閉部を閉状態とし、第1制御信号S1及び第2制御信号S2が受信されないときに開閉部を開状態とする。
【0116】
(付記)
(1)太陽光発電システム(例えば、太陽光発電システム1)は、ストリング(例えば、ストリング2)と、インバータ(例えば、インバータ3)と、第1遮断装置(例えば、第1遮断装置4)と、第2遮断装置(例えば、第2遮断装置5a~5c)とを備える。ストリングは、互いに直列に接続された複数の太陽電池モジュールグループ(例えば、太陽電池モジュールグループ6A~6H)を含む。複数の太陽電池モジュールグループは、1つ又は直列に接続された複数の太陽電池モジュール(例えば、太陽電池モジュール6)をそれぞれ含む。インバータは、ストリングに接続され、ストリングから出力される直流電力を交流電力に変換する。第1遮断装置は、複数の太陽電池モジュールグループ同士を接続する第1電路に接続される。第2遮断装置は、第1電路に接続された複数の太陽電池モジュールグループとは異なる複数の太陽電池モジュールグループ同士を接続する第2電路に接続される。ストリングの複数の太陽電池モジュールグループは、グループ毎の開放電圧が所定の開放電圧以下である。第1遮断装置は、インバータからの第1制御信号に応じて第1電路に接続された複数の太陽電池モジュールグループ同士の接続を遮断する。第2遮断装置は、第1遮断装置と第2遮断装置に接続される通信線を介して、電力線通信とは異なる通信方式で第1遮断装置から出力される第2制御信号に応じて、第2電路に接続された複数の太陽電池モジュールグループ同士の接続を遮断する。
【0117】
また、ストリングの複数の太陽電池モジュールグループは、第1グループを含む。第1遮断装置は、第1グループの陽極側の端子に接続される第1開閉部(例えば、第1開閉部44a)と、第1グループの陽極側の端子と第1開閉部との間に直列接続される第1半導体スイッチング素子(例えば、第1半導体スイッチング素子47)と、陽極側の端子が第1グループの陽極側の端子と第1半導体スイッチング素子との間に接続され、陰極側の端子が第1グループの陰極側の端子に接続され、第1開閉部を駆動する電力を発生する第1電力供給部(例えば、電力供給部41)と、を有する。さらに、第1半導体スイッチング素子は、第1グループの発電量が所定の閾値より小さくなったときにOFF状態となる。
【0118】
この太陽光発電システムでは、第1遮断装置と第2遮断装置とがマスタとスレーブの関係にあり、第2遮断装置は、第1遮断装置から出力される第2制御信号に応じて複数の太陽電池モジュールグループ同士の接続を遮断する。これにより、第2遮断装置の構成が簡素化できるので、第2遮断装置の設置コストを低減できる。また、複数の太陽電池モジュールグループは、グループ毎の開放電圧が所定の開放電圧以下であるため、安全性の高い太陽光発電システムを提供することができる。また、第1遮断装置からの出力される第2制御信号は、通信線を介して電力線通信とは異なる通信方式で出力されるので、電力線通信と比べてノイズの影響を受けにくく、第1遮断装置から第2遮断装置への安定した通信が可能になる。
【0119】
また、この太陽光発電システムでは、第1遮断装置の第1半導体スイッチング素子が、当該第1遮断装置に接続された第1グループの発電量が所定の閾値よりも小さくなったときにOFF状態となる。これにより、第1グループの発電量が小さい場合には、第1グループからインバータへの電路が遮断され、第1グループが第1電力供給部のみに電力を供給可能な状態となる。つまり、第1グループの発電量が小さいとき、第1グループが発電する電力は、開閉部の駆動のみに使用される。この結果、第1グループの発電量が小さいか又は不安定であっても、第1開閉部は、閉状態(ON状態)を維持できる。この結果、太陽光発電システムは安定して動作する。
【0120】
(2)上記(1)の太陽光発電システムにおいて、第1遮断装置は、第1バイパス素子(例えば、第1バイパス素子48)を有してもよい。第1バイパス素子の一端は、第1グループの陰極側の端子に接続される。第1バイパス素子の他端は、第1開閉部と第1半導体スイッチング素子との間に接続される。この場合は、第1グループでの発電量が小さくなっても、他の太陽電池モジュールグループが発電した電力を、第1バイパス素子を介してインバータへ伝搬させることができる。
【0121】
(3)上記(1)~(2)の太陽光発電システムにおいて、第1半導体スイッチング素子は、MOSFET素子、又は、IGBT素子であってもよい。この場合は、第1半導体スイッチング素子をON状態又はOFF状態とする際に必要な電力を小さくできる。
【0122】
(4)上記(1)~(3)の太陽光発電システムにおいて、第1遮断装置は、第1グループの陰極側の端子に接続される第2開閉部(例えば、第2開閉部44b)を含んでもよい。この場合は、複数の電路を1つの第1遮断装置で開閉することができる。
【0123】
(5)上記(4)の太陽光発電システムにおいて、第2開閉部は、第1電力供給部から供給される電力により駆動されてもよい。この場合は、第1遮断装置を設置する際に開閉部を駆動する電力を供給するための追加配線を省略することができる。これにより、第1遮断装置の設置コストの低減を図ることができる。また、第1遮断装置の駆動電圧範囲を小さく抑えることができるので、第1遮断装置の製造コストを抑えることができる。
【0124】
(6)上記(4)~(5)の太陽光発電システムにおいて、第1遮断装置は、第1開閉部と第2開閉部とを独立して開閉制御可能であってもよい。この場合は、例えば、第1開閉部に接点不良などの不具合が生じた場合において、正常に動作している第2開閉部は、そのまま利用することができる。
【0125】
(7)上記(1)~(5)の太陽光発電システムにおいて、ストリングの複数の太陽電池モジュールグループは、第2グループを含んでもよい。第2遮断装置は、第2グループの陽極側の端子に接続される第3開閉部(例えば、第3開閉部54a)と、第2グループの陽極側の端子と第3開閉部との間に直列接続される第2半導体スイッチング素子(例えば、第2半導体スイッチング素子56)と、陽極側の端子が第2グループの陽極側の端子と第2半導体スイッチング素子との間に接続され、陰極側の端子が第2グループの陰極側の端子に接続され、第2開閉部を駆動する電力を発生する電力供給部(例えば、電力供給部51)と、を有してもよい。また、第2半導体スイッチング素子は、第2グループの発電量が所定の閾値より小さくなったときにOFF状態となってもよい。この場合は、第2グループの発電量が小さい場合には、第2グループからの電力を開閉部の駆動のみに使用できる。第2グループからの電力が開閉部のみに供給されるようになれば、第2グループの発電量が小さいか又は不安定であっても、第3開閉部は、閉状態(ON状態)を維持できる。この結果、太陽光発電システムは安定して動作する。
【0126】
(8)上記(7)の太陽光発電システムにおいて、第2遮断装置は、第2バイパス素子(例えば、第2バイパス素子57)を有してもよい。第2バイパス素子の一端は、第2グループの陰極側の端子に接続される。第2バイパス素子の他端は、第3開閉部と第2半導体スイッチング素子との間に接続される。この場合は、第2グループでの発電量が小さくなっても、他の太陽電池モジュールグループが発電した電力を、第2バイパス素子を介してインバータへ伝搬させることができる。
【0127】
(9)上記(7)又は(8)の太陽光発電システムにおいて、第2半導体スイッチング素子は、MOSFET素子、又は、IGBT素子であってもよい。この場合は、第2半導体スイッチング素子をON状態又はOFF状態とする際に必要な電力を小さくできる。
【0128】
(10)上記(7)~(9)の太陽光発電システムにおいて、第2遮断装置は、第2グループの陰極側の端子に接続される第4開閉部(例えば、第4開閉部54b)を含んでもよい。この場合は、複数の電路を1つの第1遮断装置で開閉することができる。
【0129】
(11)上記(10)の太陽光発電システムにおいて、第4開閉部は、第2電力供給部から供給される電力により駆動されてもよい。この場合は、第2遮断装置を設置する際に開閉部を駆動する電力を供給するための追加配線を省略することができる。これにより、第2遮断装置の設置コストの低減を図ることができる。また、第2遮断装置の駆動電圧範囲を小さく抑えることができるので、第2遮断装置の製造コストを抑えることができる。
【0130】
(12)上記(10)~(11)の太陽光発電システムにおいて、第2遮断装置は、第3開閉部と第4開閉部とを独立して開閉制御可能であってもよい。この場合は、例えば、第3開閉部に接点不良などの不具合が生じた場合において、正常に動作している第4開閉部は、そのまま利用することができる。
【0131】
(13)上記(1)~(12)の太陽光発電システムにおいて、第1遮断装置は、インバータからの第1制御信号に応じて第1電路に接続された複数の太陽電池モジュールグループ間の接続を遮断してから、第2遮断装置に第2制御信号を出力してもよい。この場合は、第2遮断装置に係る電圧を抑えることができる。これにより、第2遮断装置のコストダウンを図ることができる。
【0132】
(14)上記(1)~(13)の太陽光発電システムにおいて、ストリングの複数の太陽電池モジュールグループは、グループ毎の開放電圧が165V以下であってもよい。この場合は、より安全性の高い太陽光発電システムを提供することができる。
【0133】
(15)上記(1)~(14)の太陽光発電システムにおいて、インバータは、電力線通信によって第1遮断装置に前記第1制御信号を出力してもよい。この場合は、既存の太陽光発電システムに第1遮断装置を設置するときに、インバータと第1遮断装置との通信を確保するための追加配線を省略することができるので、第1遮断装置の設置コストを抑えることができる。
【0134】
(16)上記(1)~(15)の太陽光発電システムにおいて、インバータは、無線通信によって第1遮断装置に第1制御信号を出力してもよい。この場合は、遠隔操作によって第1遮断装置に第1制御信号を出力することが可能になる。
【0135】
(17)上記(1)~(16)の太陽光発電システムにおいて、ストリングの複数の太陽電池モジュールグループの少なくとも1つは、直列に接続された複数の太陽電池モジュールを含んでもよい。この場合は、第1遮断装置又は第2遮断装置によって、複数の太陽電池モジュールを遮断することができる。
【産業上の利用可能性】
【0136】
本発明によれば、太陽光発電システムにおいて、遮断装置の設置コストの低減、及び安定性の向上を両立できる太陽光発電システムを提供することができる。
【符号の説明】
【0137】
1 太陽光発電システム
2 ストリング
3 インバータ
4 第1遮断装置
5a~5c 第2遮断装置
6 太陽電池モジュール
6A~6H 太陽電池モジュールグループ
44a 第1開閉部
44b 第2開閉部
47 第1半導体スイッチング素子
48 第1バイパス素子
54a 第3開閉部
54b 第4開閉部
56 第2半導体スイッチング素子
57 第2バイパス素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8