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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018471
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20240201BHJP
   H02J 13/00 20060101ALI20240201BHJP
   H02J 3/38 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H02J1/00 304H
H02J13/00 311B
H02J13/00 311K
H02J3/38 130
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121832
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 託嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100206760
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 惇
(72)【発明者】
【氏名】武山 孝博
(72)【発明者】
【氏名】小倉 遼
(72)【発明者】
【氏名】白 釘虎
(72)【発明者】
【氏名】仲市 淳
(72)【発明者】
【氏名】内田 強士
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 智子
(72)【発明者】
【氏名】マーティン エリカ
(72)【発明者】
【氏名】アクソイ オズギュル
(72)【発明者】
【氏名】エマネット ナヒット
(72)【発明者】
【氏名】ミフマンリ ムスタファ
【テーマコード(参考)】
5G064
5G066
5G165
【Fターム(参考)】
5G064AA01
5G064AA09
5G064AC06
5G064DA02
5G066HA13
5G066HB05
5G066HB06
5G165BB02
5G165EA03
5G165HA09
5G165LA03
5G165MA10
5G165NA05
(57)【要約】
【課題】太陽光発電システムにおいて、遮断装置の設置コストの低減、及び安定性の向上を両立できる太陽光発電システムを提供する。
【解決手段】太陽光発電システムは、ストリングと、インバータと、複数の遮断装置と、とを備える。ストリングは、複数の太陽電池モジュールグループを含む。複数の遮断装置は、インバータからの制御信号に応じて複数の太陽電池モジュールグループ同士の接続を遮断する。複数の太陽電池モジュールグループは、第1グループと、第1グループに接続される第2グループと、第2グループに接続される第3グループとを含む。複数の遮断装置は、第2グループに接続される第1開閉部と、第1開閉部に直列接続される半導体スイッチング素子と、第2グループに接続され第1開閉部を駆動する電力を発生する電力供給部と、を含む。半導体スイッチング素子は、第2グループの発電量が所定の閾値よりも小さいときにOFF状態となる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は直列に接続された複数の太陽電池モジュールをそれぞれ含み互いに直列に接続された複数の太陽電池モジュールグループを含むストリングと、
前記ストリングに接続され、前記ストリングから出力される直流電力を交流電力に変換するインバータと、
前記インバータからの制御信号に応じて前記複数の太陽電池モジュールグループ同士の接続を遮断する複数の遮断装置と、
を備え、
前記複数の太陽電池モジュールグループのそれぞれは、開放電圧が所定の開放電圧以下であり、
前記複数の太陽電池モジュールグループは、第1グループと、前記第1グループに接続される第2グループと、前記第2グループに接続される第3グループとを含み、
前記複数の遮断装置は、
前記第2グループの陽極側の端子に接続される第1開閉部と、
前記第2グループの陽極側の端子と前記第1開閉部との間に直列接続される第1半導体スイッチング素子と、
陽極側の端子が前記第2グループの陽極側の端子と前記第1半導体スイッチング素子との間に接続され、陰極側の端子が前記第2グループの陰極側の端子に接続され、前記第1開閉部を駆動する電力を発生する第1電力供給部と、
を含む第1遮断装置を含み、
前記第1半導体スイッチング素子は、前記第2グループの発電量が所定の閾値より小さくなったときにOFF状態となる、
太陽光発電システム。
【請求項2】
前記第1遮断装置は、一端が前記第2グループの陰極側の端子に接続され、他端が前記第1開閉部と前記第1半導体スイッチング素子との間に接続される第1バイパス素子を含む、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項3】
前記第1半導体スイッチング素子は、MOSFET素子、又は、IGBT素子である、請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項4】
前記第1遮断装置は、前記第2グループの陰極側の端子に接続される第2開閉部を含む、
請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項5】
前記第2開閉部は、前記第1電力供給部から供給される電力により駆動される、請求項4に記載の太陽光発電システム。
【請求項6】
前記第1遮断装置は、前記第1開閉部と前記第2開閉部とを独立して開閉制御可能である、
請求項4に記載の太陽光発電システム。
【請求項7】
前記複数の太陽電池モジュールグループの前記第1グループ、前記第2グループ及び前記第3グループの少なくとも1つは、直列に接続された前記複数の太陽電池モジュールを含む、
請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項8】
前記複数の太陽電池モジュールグループは、前記第3グループに接続される第4グループと、前記第4グループに接続される第5グループとをさらに含み、
前記複数の遮断装置は、
前記第4グループの陽極側の端子に接続される第3開閉部と、
前記第4グループの陽極側の端子と前記第3開閉部との間に直列接続される第2半導体スイッチング素子と、
陽極側の端子が前記第4グループの陽極側の端子と前記第2半導体スイッチング素子との間に接続され、陰極側の端子が前記第4グループの陰極側の端子に接続され、前記第3開閉部を駆動する電力を発生する第2電力供給部と、
を含む第2遮断装置をさらに含み、
前記第2半導体スイッチング素子は、前記第4グループの発電量が所定の閾値より小さくなったときにOFF状態となる、
請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項9】
前記第2遮断装置は、一端が前記第4グループの陰極側の端子に接続され、他端が前記第3開閉部と前記第2半導体スイッチング素子との間に接続される第2バイパス素子を有する、請求項8に記載の太陽光発電システム。
【請求項10】
前記第2半導体スイッチング素子は、MOSFET素子、又は、IGBT素子である、請求項8に記載の太陽光発電システム。
【請求項11】
前記第2遮断装置は、前記第4グループの陰極側の端子に接続される第4開閉部を含む、
請求項8に記載の太陽光発電システム。
【請求項12】
前記第4開閉部は、前記第2電力供給部から供給される電力により駆動される、請求項11に記載の太陽光発電システム。
【請求項13】
前記第2遮断装置は、前記第3開閉部と前記第4開閉部とを独立して開閉制御可能である、
請求項11に記載の太陽光発電システム。
【請求項14】
前記ストリングの前記複数の太陽電池モジュールグループのそれぞれは、前記開放電圧が165V以下である、
請求項1から13のいずれか1項に記載の太陽光発電システム。
【請求項15】
前記インバータは、電力線通信によって前記複数の遮断装置に前記制御信号を出力する、
請求項1から13のいずれか1項に記載の太陽光発電システム。
【請求項16】
前記インバータは、無線通信によって前記複数の遮断装置に前記制御信号を出力する、
請求項1から13のいずれか1項に記載の太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
米国では、火災時等の緊急時に消防士を感電等から保護することを目的として、太陽光発電システムに対して、緊急時に太陽光発電システムによる発電を即座に停止するいわゆるラピッドシャットダウン機能の導入がNEC(米国電気工事規定)によって義務付けられている。例えば、特許文献1では、インバータの動作状態に応じて、太陽電池モジュールからインバータへの電力の出力を停止させる太陽光発電システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2012-511299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
太陽光発電システムにおいて、火災時等における消防士のさらなる安全性の向上を図るには、例えば、ラピッドシャットダウン機能を備える遮断装置を太陽電池モジュール毎に設置することが好ましい。しかしながら、太陽電池モジュール毎に遮断装置を設置した場合、遮断装置の設置コストが高くなる。
【0005】
また、太陽光発電システムの遮断装置では、太陽光発電システムの電路を遮断するスイッチング素子として、リレーなどのメカニカルな接点を開閉するスイッチング素子が用いられている。このスイッチング素子を駆動する電力は、太陽光発電システムの太陽電池モジュールから供給される。つまり、太陽電池モジュールにて発電される電力は、外部装置(例えば、インバータ)の駆動と、スイッチング素子の駆動と、に使用される。この場合、何らかの原因により太陽電池モジュールの発電量が小さくなり、スイッチング素子にその駆動に必要な電力が供給されなくなくなると、例えば、太陽電池モジュールからの電力でスイッチング素子の接点を閉じようとしても(スイッチング素子をON状態としようとしても)、すぐに接点が開いてしまう(スイッチング素子がOFF状態となってしまう)ことを繰り返す現象が生じることがある。また、太陽電池モジュールからの発電量が不安定となると、スイッチング素子がON状態とOFF状態とを繰り返すことがある。この現象の発生は、例えば、太陽光発電システムの起動を妨げるなど、太陽光発電システムの動作を不安定にする。
【0006】
本発明の課題は、太陽光発電システムにおいて、遮断装置の設置コストの低減、及び安定性の向上を両立できる太陽光発電システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る太陽光発電システムは、ストリングと、インバータと、複数の遮断装置とを備える。ストリングは、互いに直列に接続された複数の太陽電池モジュールグループを含む。複数の太陽電池モジュールグループは、1つ又は直列に接続された複数の太陽電池モジュールをそれぞれ含む。インバータは、ストリングに接続され、ストリングから出力される直流電力を交流電力に変換する。複数の遮断装置は、インバータからの制御信号に応じて複数の太陽電池モジュールグループ同士の接続を遮断する。複数の太陽電池モジュールグループのそれぞれは、開放電圧が所定の開放電圧以下である。複数の太陽電池モジュールグループは、第1グループと、第1グループに接続される第2グループと、第2グループに接続される第3グループとを含む。複数の遮断装置は、第1遮断装置を含む。第1遮断装置は、第1開閉部と、第1半導体スイッチング素子と、第1電力供給部とを含む。第1開閉部は、第2グループの陽極側の端子に接続される。第1半導体スイッチング素子は、第2グループの陽極側の端子と第1開閉部との間に直列接続される。第1電力供給部は、第1開閉部を駆動する電力を発生する。第1電力供給部は、陽極側の端子が第2グループの陽極側の端子と第1半導体スイッチング素子との間に接続され、陰極側の端子が第2グループの陰極側の端子に接続される。第1半導体スイッチング素子は、第2グループの発電量が所定の閾値より小さくなったときにOFF状態となる。
【0008】
この太陽光発電システムでは、複数の太陽電池モジュールグループのそれぞれは、開放電圧が所定の開放電圧以下であるため、安全性の高い太陽光発電システムを提供することができる。また、第2グループの発電力が所定の閾値より小さくなったときに第1半導体スイッチング素子がOFF状態となるので、第2グループの発電量が小さい場合には、第2グループからインバータへの電路が遮断され、第2グループが第1電力供給部のみに電力を供給可能な状態となる。つまり、第2グループの発電量が小さいとき、第2グループが発電する電力は、第1開閉部の駆動のみに使用される。この結果、第2グループの発電量が小さいか又は不安定であっても、第1開閉部は、閉状態(ON状態)を維持できる。この結果、太陽光発電システムは安定して動作する。
【0009】
第1遮断装置は、第1バイパス素子を含んでもよい。第1バイパス素子は、一端が第2グループの陰極側の端子に接続され、他端が第1開閉部と第1半導体スイッチング素子との間に接続されてもよい。この場合は、第2グループでの発電量が小さくなっても、他の太陽電池モジュールグループが発電した電力を、第1バイパス素子を介してインバータへ伝搬させることができる。
【0010】
第1半導体スイッチング素子は、MOSFET素子、又は、IGBT素子であってもよい。この場合は、第1半導体スイッチング素子をON状態又はOFF状態とする際に必要な電力を小さくできる。
【0011】
第1遮断装置は、第2グループの陰極側の端子に接続される第2開閉部を含んでもよい。この場合は、複数の電路を第1遮断装置で開閉することができる。
【0012】
第2開閉部は、第1電力供給部から供給される電力により駆動されてもよい。この場合は、第2グループの発電量が小さいか又は不安定であっても、第2開閉部を閉状態(ON状態)に維持できる。
【0013】
第1遮断装置は、第1開閉部と第2開閉部とを独立して開閉制御可能であってもよい。この場合は、例えば、第1開閉部に接点不良などの不具合が生じた場合において、正常に動作している第2開閉部は、そのまま利用することができる。
【0014】
複数の太陽電池モジュールグループの第1グループ、第2グループ及び第3グループの少なくとも1つは、直列に接続された複数の太陽電池モジュールを含んでもよい。この場合は、第1遮断装置によって、複数の太陽電池モジュールをまとめて遮断することができる。
【0015】
複数の太陽電池モジュールグループは、第3グループに接続される第4グループと、第4グループに接続される第5グループとをさらに含んでもよい。複数の遮断装置は、第2遮断装置を含んでもよい。第2遮断装置は、第3開閉部と、第2半導体スイッチング素子と、第2電力供給部とを含んでもよい。第3開閉部は、第4グループの陽極側の端子に接続されてもよい。第2半導体スイッチング素子は、第4グループの陽極側の端子と第3開閉部との間に直列接続されてもよい。第2電力供給部は、第3開閉部を駆動する電力を発生してもよい。第2電力供給部は、陽極側の端子が第4グループの陽極側の端子と第2半導体スイッチング素子との間に接続され、陰極側の端子が第4グループの陰極側の端子に接続されてもよい。第2半導体スイッチング素子は、第4グループの発電量が所定の閾値より小さくなったときにOFF状態となってもよい。この場合は、第4グループの発電量が小さい場合には、第4グループからの電力を第3開閉部の駆動のみに使用できる。第4グループからの電力が第3開閉部のみに供給されるようになれば、第4グループの発電量が小さいか又は不安定であっても、第3開閉部は、閉状態(ON状態)を維持できる。この結果、太陽光発電システムは安定して動作する。
【0016】
第2遮断装置は、第2バイパス素子を含んでもよい。第2バイパス素子は、一端が第4グループの陰極側の端子に接続され、他端が第3開閉部と第2半導体スイッチング素子との間に接続されてもよい。この場合は、第4グループでの発電量が小さくなっても、他の太陽電池モジュールグループが発電した電力を、第2バイパス素子を介してインバータへ伝搬させることができる。
【0017】
第2半導体スイッチング素子は、MOSFET素子、又は、IGBT素子であってもよい。この場合は、第2半導体スイッチング素子をON状態又はOFF状態とする際に必要な電力を小さくできる。
【0018】
第2遮断装置は、第4グループの陰極側の端子に接続される第4開閉部を含んでもよい。この場合は、複数の電路を第2遮断装置で開閉することができる。
【0019】
第4開閉部は、第2電力供給部から供給される電力により駆動されてもよい。この場合は、第4グループの発電量が小さいか又は不安定であっても、第4開閉部を閉状態(ON状態)に維持できる。
【0020】
第2遮断装置は、第3開閉部と第4開閉部とを独立して開閉制御可能であってもよい。この場合は、例えば、第3開閉部に接点不良などの不具合が生じた場合において、正常に動作している第4開閉部は、そのまま利用することができる。
【0021】
ストリングの複数の太陽電池モジュールグループのそれぞれは、開放電圧が165V以下であってもよい。この場合は、より安全性の高い太陽光発電システムを提供することができる。
【0022】
インバータは、電力線通信によって複数の遮断装置に制御信号を出力してもよい。この場合は、既存の太陽光発電システムに複数の遮断装置を設置するときに、インバータと複数の遮断装置との通信を確保するための追加配線を省略することができるので、複数の遮断装置の設置コストを抑えることができる。
【0023】
インバータは、無線通信によって複数の遮断装置に制御信号を出力してもよい。この場合は、遠隔操作によって複数の遮断装置に制御信号を出力することが可能になる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、太陽光発電システムにおいて、遮断装置の設置コストの低減、及び安定性の向上を両立できる太陽光発電システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1図1は、本発明の一態様に係る太陽光発電システムの構成を模式的に示すブロック図である。
図2図2は、遮断装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図3図3は、レギュレータの構成を模式的に示す回路図である。
図4図4は、遮断装置の構成を模式的に示すブロック図である。
図5図5は、遮断装置の動作モードの一例を説明する図である。
図6図6は、他の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を模式的に示すブロック図である。
図7図7は、他の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を模式的に示すブロック図である。
図8図8は、他の実施形態に係る太陽光発電システムの構成を模式的に示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1は、本発明の一態様に係る太陽光発電システム1の構成を模式的に示すブロック図である。太陽光発電システム1は、ストリング2と、インバータ3と、複数の遮断装置4と、を備える。
【0027】
ストリング2は、互いに直列に接続された複数の太陽電池モジュールグループを含む。複数の太陽電池モジュールグループのそれぞれは、1つ又は直列に接続された複数の太陽電池モジュール6を含む。すなわち、ストリング2は、互いに直列に接続された複数(本実施形態では18個)の太陽電池モジュール6を含む。本実施形態における複数の太陽電池モジュールグループは、6つの太陽電池モジュールグループ6A~6Fで構成されている。なお、太陽光発電システム1は、ストリング2が並列に複数連結された太陽電池アレイを含んでもよい。
【0028】
複数の太陽電池モジュールグループ6A~6Fのそれぞれは、開放電圧が所定の開放電圧以下である。所定の開放電圧は、例えば165Vである。すなわち、ストリング2は、グループ毎の開放電圧が165V以下になるようにグループ分けされている。太陽電池モジュール6のそれぞれの開放電圧は、例えば50Vである。以下では、太陽電池モジュールグループ6A~6Fをグループ6A~6Fとして記すことがある。なお、本実施形態におけるグループ6A~6Fは、第1グループ~第6グループの一例である。
【0029】
グループ6A~6Fのそれぞれは、互いに直列に接続された3つの太陽電池モジュール6を含む。したがって、グループ6A~6Fのそれぞれの開放電圧は、150Vである。
【0030】
グループ6A~6Fは、グループ6Aからグループ6Fまでアルファベット順に並んで互いに直列に接続されている。グループ6A~6Fのそれぞれは、陽極側の端子と陰極側の端子とを含む。各グループ6A~6Fの陽極側端子は、各グループ6A~6Fに属する太陽電池モジュール6の中で、インバータ3の陽極に最も近い太陽電池モジュール6の陽極側の端子によって構成される。各グループ6A~6Fの陰極側端子は、各グループ6A~6Fに属する太陽電池モジュール6の中でインバータ3の陽極から最も離れた太陽電池モジュール6の陰極側の端子によって構成される。
【0031】
グループ6Aの陽極側の端子は、グループ6Aに属する太陽電池モジュール6の中で、グループ6Bに最も近い太陽電池モジュール6の陽極側の端子によって構成され、グループ6Bの陰極側の端子に接続されている。グループ6Aの陰極側の端子は、グループ6Aに属する太陽電池モジュール6の中で、グループ6Bから最も離れたグループ6Aの太陽電池モジュール6の陰極側の端子によって構成され、インバータ3の陰極側の端子に接続されている。
【0032】
グループ6Bの陽極側の端子は、グループ6Bに属する太陽電池モジュール6の中で、グループ6Cに最も近い太陽電池モジュール6の陽極側の端子によって構成され、グループ6Cの陰極側の端子に接続されている。グループ6Bの陰極側の端子は、グループ6Bに属する太陽電池モジュール6の中で、グループ6Aに最も近い太陽電池モジュール6の陰極側の端子によって構成され、グループ6Aの陽極側の端子に接続されている。
【0033】
グループ6Cの陽極側の端子は、グループ6Dの陰極側の端子に接続されている。グループ6Cの陰極側の端子は、グループ6Bの陽極側の端子に接続されている。グループ6Dの陽極側の端子は、グループ6Eの陰極側の端子に接続されている。グループ6Dの陰極側の端子は、グループ6Cの陽極側の端子に接続されている。グループ6Eの陽極側の端子は、グループ6Fの陰極側の端子に接続されている。グループ6Eの陰極側の端子は、グループ6Dの陽極側の端子に接続されている。グループ6Fの陽極側の端子は、インバータ3の陽極側の端子に接続されている。グループ6Fの陰極側の端子は、グループ6Eの陽極側の端子に接続されている。
【0034】
太陽電池モジュール6は、太陽光を受けて電力を発電し、発電した電力をインバータ3に出力する。インバータ3は、電力線を介してストリング2に接続される。インバータ3は、ストリング2の太陽電池モジュール6から出力される直流電力を交流電力に変換する。インバータ3は、電力系統7に接続されており、交流電力を商用電力系統や負荷装置に供給する。
【0035】
詳細には、インバータ3は、DC/DCコンバータ3aと、DC/ACインバータ3bと、制御部3cと、を含む。DC/DCコンバータ3aは、太陽電池モジュール6から出力される電力の電圧を所定の電圧に変換して、DC/ACインバータ3bに入力する。DC/ACインバータ3bは、DC/DCコンバータ3aを介して、太陽電池モジュール6から出力される直流電力を交流電力に変換する。制御部3cは、CPUやメモリ等を含み、DC/DCコンバータ3a及びDC/ACインバータ3bを制御する。また、制御部3cは、電力線通信によって複数の遮断装置4に制御信号を出力する。
【0036】
複数の遮断装置4は、グループ6A~6F同士を接続する電路に接続されている。複数の遮断装置4は、インバータ3からの制御信号に応じてグループ6A~6F同士の接続を遮断する。複数の遮断装置4は、遮断装置4a~4cを含む。本実施形態における遮断装置4aは、第1遮断装置の一例であり、遮断装置4bは、第2遮断装置の一例である。
【0037】
遮断装置4aは、グループ6Aとグループ6Bとを接続する電路8aと、グループ6Bとグループ6Cとを接続する電路8bとに接続されている。遮断装置4aは、インバータ3からの制御信号に応じてグループ6Aとグループ6Bとの接続、並びにグループ6Bとグループ6Cとの接続を遮断する。詳細には、遮断装置4aは、インバータ3からの制御信号に応じてグループ6Bの太陽電池モジュール6から出力される電圧を遮断することで、電路8a,8bを遮断する。これにより、グループ6Aとグループ6Bとの接続、並びにグループ6Bとグループ6Cとの接続が遮断される。
【0038】
遮断装置4aは、グループ6Bの太陽電池モジュール6で発電される電力によって駆動される。遮断装置4aは、例えば、グループ6Bの太陽電池モジュール6に外付けされている。
【0039】
図2は、遮断装置4aの構成を模式的に示すブロック図である。遮断装置4aは、電力供給部41と、信号受信部42と、制御部43と、リレー44と、バイパス回路45と、半導体スイッチング素子47と、バイパス素子48と、を含む。
【0040】
電力供給部41は、グループ6Bに並列接続されたレギュレータである。具体的には、電力供給部41の陽極側の端子は、グループ6Bの陽極側の端子に接続され、陰極側の端子は、グループ6Bの陰極側の端子に接続される。
【0041】
図3は、電力供給部41の構成を模式的に示す回路図である。電力供給部41は、入力端子21a,21b、出力端子22a,22b、ラインフィルタ23、コンデンサ24,25、昇圧回路26、スイッチング素子27、制御回路28、トランス29、ダイオード30、DC/DCコンバータ31、フィードバック回路32等を含む。
【0042】
電力供給部41は、太陽電池モジュール6で発電された電力を電源として遮断装置4aを駆動させる駆動電力を発生する。ここでは、グループ6Bの太陽電池モジュール6で発電された電力のみを利用して遮断装置4aの駆動電力を生成する。
【0043】
信号受信部42は、インバータ3の制御部3cからの制御信号を受信して、受信した制御信号を制御部43に出力する。詳細には、インバータ3の制御部3cからの制御信号を検出する信号検出部46を介して、信号受信部42はインバータ3の制御部3cからの制御信号を受信する。
【0044】
制御部43は、CPUやメモリ等を含む。制御部43は、信号受信部42から出力された信号に基づいて、リレー44のコイルに流れる電流値を制御して、リレー44の接点を開閉制御する。リレー44は、例えばメカニカルリレーであり、高電圧の直流電流を開閉可能である。
【0045】
リレー44は、第1開閉部44aと、第2開閉部44bとを含む。第1開閉部44aは、グループ6Bの陽極側の端子に接続される。第1開閉部44aは、電路8bに配置され、グループ6Bとグループ6Cとの接続を開閉する。第2開閉部44bは、グループ6Bの陰極側の端子に接続される。第2開閉部44bは、電路8aに配置され、グループ6Aとグループ6Bとの接続を開閉する。以下では、第1開閉部44a及び第2開閉部44bを開閉部44a,44bと記すことがある。
【0046】
電力供給部41から駆動電源が供給されていないとき、開閉部44a,44bは、常に開状態にある。したがって、遮断装置4aが駆動していないときは、グループ6Aとグループ6Bとの接続、グループ6Bとグループ6Cとの接続が遮断された状態にある。
【0047】
バイパス回路45は、グループ6A~6F同士の接続が遮断された状態において、信号受信部42が制御部3cからの制御信号を受信するための回路である。グループ6Aとグループ6Bとの接続、並びにグループ6Bとグループ6Cとの接続が遮断された状態において、信号受信部42は、バイパス回路45を介して、制御部3cからの制御信号を受信することができる。
【0048】
半導体スイッチング素子47は、電路8bにおいて、第1開閉部44aと直列接続されている。具体的には、半導体スイッチング素子47の一端は、グループ6Aの陽極側の端子に接続されている。一方、半導体スイッチング素子47の他端は、第1開閉部44aに接続されている。半導体スイッチング素子47は、例えば、MOSFET素子、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)素子である。
【0049】
半導体スイッチング素子47は、制御部43に接続される、制御部43は、半導体スイッチング素子47のON状態とOFF状態とを切り替える制御を行う。ここで、「ON状態」とは、半導体スイッチング素子47の一端と他端が導通状態となることを意味する。一方、「OFF状態」とは、半導体スイッチング素子47の上記一端と他端が絶縁状態となることを意味する。
【0050】
半導体スイッチング素子47がMOSFET素子、IGBT素子である場合、制御部43は、半導体スイッチング素子47のゲート端子に接続される。制御部43は、ゲート端子に所定の電圧信号を出力することで、半導体スイッチング素子47をON状態又はOFF状態とできる。MOSFET素子、IGBT素子をON状態又はOFF状態とするためにゲート端子に電圧信号が出力された際に、ゲート端子には電流はほとんど流れない。このように、MOSFET素子、IGBT素子などを半導体スイッチング素子47として用いることにより、半導体スイッチング素子47をON状態又はOFF状態とする際に必要な電力を小さくできる。
【0051】
遮断装置4aにおいて、半導体スイッチング素子47がOFF状態となると、グループ6Bの陽極側の端子とグループ6Cとが遮断される。その一方、半導体スイッチング素子47がOFF状態となっても、電力供給部41はグループ6Bから遮断されない。すなわち、半導体スイッチング素子47がOFF状態のときには、グループ6Bが発電する電力は、電力供給部41には供給されるが、インバータ3には供給されない。
【0052】
制御部43は、グループ6Bの発電量が所定の閾値よりも小さいときに、半導体スイッチング素子47をOFF状態とする。これにより、グループ6Bの発電量が所定の閾値よりも小さいときには、グループ6Bの電力は、遮断装置4a(電力供給部41)のみに供給される。これにより、グループ6Bの発電量が小さいときには、グループ6Bからの電力を開閉部44a,44bの駆動のみに使用できる。グループ6Bからの電力が開閉部44a,44bのみに供給されるようになれば、グループ6Bの発電量が小さいか又は不安定であっても、開閉部44a,44bは、閉状態(ON状態)を維持できる。この結果、太陽光発電システム1は安定して動作する。上記の閾値は、例えば、グループ6Bの電力が電力供給部41とインバータ3の両方に供給されても、開閉部44a,44bが安定して動作する電力量とできる。
【0053】
遮断装置4aが半導体スイッチング素子47を有することで、グループ6Bの発電量に異常があっても、開閉部44a,44bは閉状態(ON状態)を維持できるので、開閉部44a,44bに高電圧が印加された状態で、開閉部44a,44bが開閉動作する可能性は低くなる。このため、開閉部44a,44bは、大きな耐電圧特性を有する必要がなく、安価なものとできる。
【0054】
バイパス素子48は、グループ6Bに並列接続される。具体的には、バイパス素子48の一端は、グループ6Bの陰極側の端子と第2開閉部44bとの間に接続される。一方、バイパス素子48の他端は、第1開閉部44aと半導体スイッチング素子47との間に接続される。バイパス素子48は、例えば、グループ6Bの陰極側に接続されるアノードと、第1開閉部44aと半導体スイッチング素子47との間に接続されるカソードと、を有するダイオードである。
【0055】
日の出又は日没時、グループ6Bの太陽電池モジュールに影が入った場合、グループ6Bにおける急激な電力低下又は異常発熱などの異常により、グループ6Bから十分な電力を出力できなくなったときに、バイパス素子48は、他の太陽電池モジュールグループが発生させた電力を、グループ6Bを「バイパス」して伝搬させる電路を形成する。具体的には、バイパス素子48は、グループ6Bからの発電量が不十分で半導体スイッチング素子47がOFF状態となり、開閉部44a,44bが閉状態となったときに、他の太陽電池モジュールグループにて発生した電力を、インバータ3へと伝送させる経路を形成する。
【0056】
バイパス素子48は、外部からの信号による指令がなくとも、グループ6Bから十分な電力を出力できなくなったときに、その電気的特性に基づいて、異常が生じたグループ6Bをバイパスする電路を直ちに形成できる。
【0057】
なお、遮断装置4aが接続されたグループ6Bをバイパスでき、かつ、バイパス素子48の端子の少なくとも一方が第1開閉部44a又は第2開閉部44bを介さずにグループ6Bに接続されていれば、バイパス素子48の2つの端子の接続位置は任意に設定できる。例えば、バイパス素子48のアノードをグループ6Aの陽極側の端子と第2開閉部44bとを接続する電路に接続し、カソードをグループ6Bの陽極側の端子と第1開閉部44aとを接続する電路に接続してもよい。
【0058】
遮断装置4bは、接続される電路が遮断装置4aと異なる点を除いて遮断装置4aと同様の構成である。遮断装置4bは、グループ6Cとグループ6Dとを接続する電路8cと、グループ6Dとグループ6Eとを接続する電路8dとに接続されている。遮断装置4bは、インバータ3からの制御信号に応じてグループ6Cとグループ6Dとの接続、並びにグループ6Cとグループ6Eとの接続を遮断する。
【0059】
遮断装置4bは、グループ6Dの太陽電池モジュール6で発電される電力によって駆動される。遮断装置4bは、例えば、グループ6Dの太陽電池モジュール6に外付けされている。
【0060】
図4に示すように、遮断装置4bは、電力供給部51と、信号受信部52と、制御部53と、リレー54と、バイパス回路55と、信号検出部56と、半導体スイッチング素子57と、バイパス素子58と、を含む。リレー54は、第1開閉部54a(第3開閉部の一例)と、第2開閉部54b(第4開閉部の一例)とを含む。遮断装置4bの各構成は、遮断装置4aの各構成と同様であるため、簡略に説明する。
【0061】
電力供給部51は、太陽電池モジュール6で発電された電力を電源として遮断装置4bを駆動させる駆動電力を発生する。ここでは、グループ6Dの太陽電池モジュール6で発電された電力のみを利用して遮断装置4bの駆動電力を生成する。
【0062】
信号受信部52は、インバータ3の制御部3cからの制御信号を受信して、受信した制御信号を制御部53に出力する。
【0063】
制御部53は、リレー54の接点を開閉制御する。リレー54の第1開閉部54aは、グループ6Dの陽極側の端子に接続される。第1開閉部54aは、電路8dに配置され、グループ6Dとグループ6Eとの接続を開閉する。第2開閉部54bは、グループ6Dの陰極側の端子に接続される。第2開閉部54bは、電路8cに配置され、グループ6Cとグループ6Dとの接続を開閉する。
【0064】
半導体スイッチング素子57は、電路8dにおいて、第1開閉部54aと直列接続されている。半導体スイッチング素子57は、例えば、MOSFET素子、IGBT素子である。
【0065】
制御部53は、グループ6Dの発電量が所定の閾値よりも小さいときに、半導体スイッチング素子57をOFF状態とする。上記の閾値は、例えば、グループ6Dの電力が電力供給部51とインバータ3の両方に供給されても、第1開閉部54a及び第2開閉部54bが安定して動作する電力量とできる。
【0066】
バイパス素子58は、グループ6Dに並列接続される。バイパス素子58の一端は、グループ6Dの陰極側の端子と第2開閉部54bとの間に接続される。バイパス素子58の他端は、第1開閉部54aと半導体スイッチング素子57との間に接続される。バイパス素子58は、例えば、グループ6Dの陰極側に接続されるアノードと、第1開閉部54aと半導体スイッチング素子57との間に接続されるカソードと、を有するダイオードである。
【0067】
遮断装置4cは、接続される電路が遮断装置4a及び遮断装置4bと異なる点を除いて遮断装置4aと同様の構成である。すなわち、遮断装置4cは、電力供給部と、信号受信部と、制御部と、第1開閉部64aと第2開閉部64bとを含むリレー64と、バイパス回路と、信号検出部と、半導体スイッチング素子67と、バイパス素子68と、を含む。遮断装置4cの各構成は、遮断装置4aの各構成と同様であるため、説明を省略する。
【0068】
遮断装置4cは、グループ6Eとグループ6Fとを接続する電路8eと、グループ6Fとインバータ3とを接続する電路8fとに接続されている。遮断装置4cは、インバータ3からの制御信号に応じてグループ6Eとグループ6Fとの接続、並びにグループ6Fとインバータ3との接続を遮断する。
【0069】
次に、図5を参照して、複数の遮断装置4の動作モードについて主に遮断装置4aの動作を例にして説明する。複数の遮断装置4の動作モードは、スタートモード、アクティブモード、安全モードの3つの動作モードを含む。安全モードは、通常遮断モードと、緊急安全遮断モードと、を含む。したがって、複数の遮断装置4は、スタートモード、アクティブモード、通常遮断モード、及び緊急安全遮断モードの4つの動作モードで動作する。
【0070】
スタートモードとは、太陽電池モジュール6に太陽光が当たり始めたときのモードである。このとき、太陽電池モジュール6は、太陽光を受けて電力を発電する。そして、太陽電池モジュール6で発電された電力から電力供給部41が生成した駆動電力によって遮断装置4aが駆動される。遮断装置4aが駆動されて制御部43が信号受信部42を介してインバータ3の制御部3cからの制御信号を受信すると、制御部43はリレー44の開閉部44a,44bを閉状態とする。
【0071】
同様に、太陽電池モジュール6で発電された電力から遮断装置4bの電力供給部51が生成した駆動電力によって遮断装置4bが駆動される。遮断装置4bが駆動されて制御部53が信号受信部52を介してインバータ3の制御部3cからの制御信号を受信すると、制御部53はリレー54の第1開閉部54a及び第2開閉部54bを閉状態とする。遮断装置4cにおいても、遮断装置4aと同様の動きをする。これにより、グループ6A~6Fが複数の遮断装置4(遮断装置4a~4c)を介してストリング2接続され、太陽電池モジュール6で発電された電力がインバータ3に出力される。
【0072】
スタートモード(特に、日の出時)においては、太陽電池モジュールグループからの発電量が小さい。そのため、スタートモードにおいて、例えば、グループ6Bの太陽電池モジュール6で発電される電力を開閉部44a,44bの駆動とインバータ3への供給との両方に使用すると、開閉部44a,44bを駆動する電力が不足し、開閉部44a,44bが、開状態(OFF状態)から閉状態(ON状態)に移行しようとしてもすぐに開状態(OFF状態)に戻るといった動作を繰り返す可能性がある。
【0073】
そこで、スタートモード時において、グループ6Bの発電量が所定の閾値よりも小さいときには、制御部43は、半導体スイッチング素子47をOFF状態とする。これにより、グループ6Bからの電力が開閉部44a,44bの駆動にのみ使用されるので、開閉部44a,44bは、グループ6Bからの発電量が小さくても、閉状態(ON状態)を維持できる。開閉部44a,44bの閉状態を維持できれば、他の太陽電池モジュールグループで発電された電力は、バイパス素子48を介してインバータ3に伝搬される。
【0074】
その後、グループ6Bの発電量が所定の閾値以上になったときに、制御部43は、半導体スイッチング素子47をON状態とする。これにより、グループ6Bの発電量が十分に大きくなってから、グループ6Bで発電された電力を、開閉部44a,45bの駆動とインバータ3への供給とに使用できるようになる。
【0075】
アクティブモードは、太陽電池モジュール6が日中に太陽光を受けて発電している状態であり、実質的にスタートモードと同じである。したがって、アクティブモードでは、グループ6A~6Fが複数の遮断装置4(遮断装置4a~4c)を介して接続された状態にあり、太陽電池モジュール6が発電された電力がインバータ3に出力される。
【0076】
アクティブモードにおいて、例えば、天候の影響や太陽電池モジュールの異常などによって、グループ6Bの発電量が所定の閾値よりも小さくなったときに、制御部43は、半導体スイッチング素子47をOFF状態とする。これにより、グループ6Bからの電力を開閉部44a,44bの駆動のみに使用できるので、グループ6Bの発電量が小さくても、開閉部44a,44bは、閉状態(ON状態)を維持できる。
【0077】
なお、スタートモード及びアクティブモードにおいて、グループ6Dの発電量が所定の閾値よりも小さくなったときに、遮断装置4bの制御部53は、半導体スイッチング素子57をOFF状態とする。同様に、グループ6Fの発電量が所定の閾値よりも小さくなったときに、遮断装置4cの制御部は、半導体スイッチング素子67をOFF状態とする。
【0078】
通常遮断モードは、夜間、或いは雨などの天候の影響で、太陽電池モジュール6が太陽光を受けていないときのモード、又は太陽電池モジュール6の発電が不安定なときのモードである。通常遮断モードにおいて、太陽電池モジュール6の発電がないときは、インバータ3の制御部3cから制御信号は出力されておらず、遮断装置4a~4cの第1開閉部及び第2開閉部が全て開状態にある。
【0079】
通常遮断モードにおいて、天候の不安定等の理由により、太陽電池モジュール6の発電が不安定なときは、インバータ3の制御部3cから制御信号が出力されている。例えば、グループ6Bの発電量が不安定かつ所定の閾値よりも小さくならない場合は、グループ6Bの太陽電池モジュール6から供給される電力に応じてリレー44の開閉部44a,44bがON状態又はON状態/OFF状態となる。
【0080】
緊急安全遮断モードは、スタートモード、或いはアクティブモード中に、電路8a~8fを遮断して、太陽電池モジュール6からインバータ3への電力の出力を停止させるモードである。本実施形態では、図1に示すように、操作スイッチ35がインバータ3に接続されており、複数の遮断装置4がスタートモード、或いはアクティブモード中のときに操作スイッチ35が操作されると、複数の遮断装置4の動作モードが緊急安全遮断モードに切り替わる。
【0081】
詳細には、操作スイッチ35が操作されると、制御部3cは、制御信号の出力を停止する。信号検出部46が制御信号の一定周期停止を検出すると、信号受信部42及び制御部43を介して、リレー44の開閉部44a,44bが開状態となる。このとき、制御部43は、半導体スイッチング素子47をOFF状態とした後に、リレー44の開閉部44a,44bを開状態とする。これにより、グループ6Aとグループ6Bとの接続、並びにグループ6Bとグループ6Cとの接続が遮断され、太陽電池モジュール6からインバータ3への電力の出力が停止される。
【0082】
同様に、遮断装置4bは、制御信号の一定周期停止を検出すると、リレー54の開閉部54a,54bを開状態に制御する。これにより、グループ6Cとグループ6Dとの接続、並びにグループ6Dとグループ6Eとの接続が遮断される。同様に、遮断装置4cは、制御信号の一定周期停止を検出すると、リレー64の開閉部64a,64bを開状態に制御する。これにより、グループ6Eとグループ6Fとの接続、並びにグループ6Fとインバータ3との接続が遮断される。これにより、全てのグループ6A~6Fが互いに分断されることで、ストリング2の開放電圧が165V以下に分断される。
【0083】
上記構成の太陽光発電システム1では、複数の太陽電池モジュールグループ6A~6Fのそれぞれは、開放電圧が165Vであるため、安全性の高い太陽光発電システムを提供することができる。また、グループの6Bの発電量が所定の閾値より小さくなったときに半導体スイッチング素子47がOFF状態となる。これにより、グループ6Bの発電量が小さい場合には、グループ6Bからインバータ3への電路が遮断され、グループ6Bが電力供給部41のみに電力を供給可能な状態となる。つまり、グループ6Bの発電量が小さいとき、グループ6Bが発電する電力は、開閉部44a,44bの駆動のみに使用される。この結果、グループ6Bの発電量が小さいか又は不安定であっても、開閉部44a,44bは、閉状態(ON状態)を維持できる。この結果、太陽光発電システムは安定して動作する。なお遮断装置4bの開閉部54a,54b及び遮断装置4cの開閉部64a,64bにおいても、遮断装置4aの開閉部44a,44bと同様の作用効果を得ることができる。
【0084】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0085】
複数の太陽電池モジュールグループのグループ数や、それぞれのグループが含む太陽電池モジュールの数は、前記実施形態に限定されるものではない。ストリング2は、グループ毎の開放電圧が165V以下になるように複数の太陽電池モジュールグループにグループ分けされていればよい。同様に、前記実施形態では、複数の遮断装置4は、3つの遮断装置4a~4cを含んでいたが、複数の遮断装置4の数は、前記実施形態に限定されない。
【0086】
図6に簡略に示すように、複数の遮断装置4は、遮断時において、ストリング2の開放電圧が165V以下に分断されるように配置されていればよい。図6では、複数の遮断装置4は、4つの遮断装置4a~4dを含む。また、グループ6A,6C,6E,6Gのそれぞれは、互いに直列に接続された3つの太陽電池モジュール6を含み、グループ6B,6D,6F,6Hのそれぞれは、1つの太陽電池モジュール6を含む。したがって、グループ6A,6C,6E,6Gの開放電圧は、150Vであり、グループ6B,6D,6F,6Hの開放電圧は、50Vである。或いは、複数の太陽電池モジュールグループのうち、少なくとも1つのグループが2つの太陽電池モジュール6を含んでもよい。
【0087】
図7に簡略して示すように、複数の遮断装置4は、複数の太陽電池モジュールグループのそれぞれに配置されてもよい。この場合、複数の太陽電池モジュールグループのそれぞれは、複数の太陽電池モジュール6を含むことが好ましい。
【0088】
前記実施形態では、遮断装置4aのリレー44が第1開閉部44aと第2開閉部44bの2つの接点を備えていたが、図8に簡略に示すように、リレー44は、単一の接点を備える2つのリレーで構成してもよい。すなわち、遮断装置4aは、第1開閉部44aと第2開閉部44bとを独立して開閉制御可能な構成であってもよい。同様に、遮断装置4bは、第1開閉部54aと第2開閉部54bとを独立して制御可能な構成であってもよい。同様に、遮断装置4cは、第1開閉部64aと第2開閉部64bとを独立して制御可能な構成であってもよい。
【0089】
前記実施形態では、電力線通信によって複数の遮断装置4に制御信号を出力していたが、Wifi(登録商標)等の無線通信によって複数の遮断装置4に制御信号を出力してもよい。或いは、インバータ3と複数の遮断装置4は、無線通信によって相互通信可能な構成であってもよい。
【0090】
緊急安全遮断モード及び通常遮断モードの一部(図5の「発電なし」のとき)以外のモードにおいてインバータ3からの制御信号が停止され、緊急安全遮断モード及び通常遮断モードの一部の時に、インバータ3からの制御信号が出力されてもよい。この場合、複数の遮断装置4は、インバータ3からの制御信号の受信時にリレーの第1開閉部及び第2開閉部を開状態とし、制御信号が受信されないときにリレーの第1開閉部及び第2開閉部を閉状態としてもよい。
【符号の説明】
【0091】
1 太陽光発電システム
2 ストリング
3 インバータ
4 複数の遮断装置
4a 遮断装置(第1遮断装置の一例)
6 太陽電池モジュール
41 電力供給部(第1電力供給部の一例)
44a 第1開閉部
44b 第2開閉部
47 半導体スイッチング素子(第1半導体スイッチング素子の一例)
48 バイパス素子(第1バイパス素子の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8