(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018480
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】電気集塵機
(51)【国際特許分類】
B03C 3/41 20060101AFI20240201BHJP
B03C 3/40 20060101ALI20240201BHJP
B03C 3/02 20060101ALI20240201BHJP
A61L 9/16 20060101ALI20240201BHJP
A61L 9/015 20060101ALI20240201BHJP
F24F 8/192 20210101ALI20240201BHJP
F24F 8/22 20210101ALI20240201BHJP
F24F 8/80 20210101ALI20240201BHJP
F24F 8/26 20210101ALI20240201BHJP
【FI】
B03C3/41 J
B03C3/41 C
B03C3/40 A
B03C3/02 A
A61L9/16 Z
A61L9/015
F24F8/192
F24F8/22
F24F8/80 222
F24F8/80 242
F24F8/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121846
(22)【出願日】2022-07-29
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、環境省、革新的な省CO2型感染症対策技術等の実用化加速のための実証事業「電気集塵と深紫外線LEDによるハイブリッド式空間浮遊ウイルス不活化装置の実証」委託業務、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】391022614
【氏名又は名称】学校法人幾徳学園
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】大栗 延章
(72)【発明者】
【氏名】余 増強
(72)【発明者】
【氏名】松本 伸
(72)【発明者】
【氏名】松本 雅弘
(72)【発明者】
【氏名】瑞慶覧 章朝
【テーマコード(参考)】
4C180
4D054
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180AA16
4C180CA01
4C180DD03
4C180DD11
4C180EA17X
4C180HH01
4C180HH05
4C180HH11
4C180LL06
4C180LL20
4D054AA11
4D054BB06
4D054BB09
4D054BB10
4D054BB15
4D054BC31
4D054CA20
4D054EA11
4D054EA28
4D054EA30
(57)【要約】
【課題】ウイルスの不活化等の効果の向上と低オゾン濃度での高集塵率の向上を実現可能な電気集塵機の提供。
【解決手段】吸い込み口と吹き出し口を有する筐体と、前記筐体の内部から前記吹き出し口に空気を排出するファンと、前記筐体の内部の空気に含まれる微粒子を帯電させる帯電部と、帯電した前記微粒子を静電力によって捕集する捕集部と、を備え、前記帯電部は、筒状の接地極と、前記接地極の内側に配置された荷電極と、を含み、前記荷電極は、棘無し第1板状電極と棘付き第2板状電極とを絶縁部材を介して前記接地極の軸方向に積層する構造を有する、電気集塵機。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸い込み口と吹き出し口を有する筐体と、
前記筐体の内部から前記吹き出し口に空気を排出するファンと、
前記筐体の内部の空気に含まれる微粒子を帯電させる帯電部と、
帯電した前記微粒子を静電力によって捕集する捕集部と、を備え、
前記帯電部は、筒状の接地極と、前記接地極の内側に配置された荷電極と、を含み、
前記荷電極は、棘無し第1板状電極と棘付き第2板状電極とを絶縁部材を介して前記接地極の軸方向に積層する構造を有する、電気集塵機。
【請求項2】
前記第1板状電極と前記接地極との間に電圧を印加して前記接地極の内側を通る微粒子を帯電させる第1運転モードで運転するのか、前記第2板状電極と前記接地極との間に電圧を印加して前記第1運転モードよりも高濃度のオゾンを発生させる第2運転モードで運転するのが切り替わる、請求項1に記載の電気集塵機。
【請求項3】
前記第2運転モードにおいて、前記吸い込み口と前記吹き出し口を閉じた状態で前記ファンを回転させることで前記筐体の内部で空気を循環させる、請求項2に記載の電気集塵機。
【請求項4】
前記吸い込み口と前記吹き出し口を閉じた状態で前記筐体の内部に紫外線を照射する、請求項3に記載の電気集塵機。
【請求項5】
前記筐体の内部のオゾン濃度が低下すると、前記吸い込み口と前記吹き出し口を開いて、前記筐体の内部の空気を前記ファンによって排出させる、請求項4に記載の電気集塵機。
【請求項6】
前記第1運転モードと前記第2運転モードで単一の電源を切り替えて使用する、請求項2から5のいずれか一項に記載の電気集塵機。
【請求項7】
前記絶縁部材の前記軸方向の長さは、前記接地極と前記荷電極との間のギャップ長の2倍以上である、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気集塵機。
【請求項8】
前記第1板状電極の外周縁部の厚さは、0.1mm以下である、請求項1から5のいずれか一項に記載の電気集塵機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気集塵機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コロナ放電によって空気中の粒子を帯電させ、帯電した粒子を集塵極に付着させて捕集する、電気集塵式の空気浄化装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気集塵による粒子の除去性能は、粒子への帯電量に依存する。粒子を帯電させる電極に印加する電圧を上昇させると、粒子への帯電量が増加し、集塵率が向上する。また、電極に印加する電圧が上昇すると、コロナ放電により生成されるオゾンの濃度が上昇する。コロナ放電により生成されるオゾンの濃度が上昇すると、空気に含まれるウイルスを不活化又は空気に含まれる細菌を死滅する効果(以下、「不活化等の効果」ともいう)が向上する。
【0005】
しかしながら、空間のオゾン濃度は、環境基準により所定の基準値以下にすることが定められている。つまり、不活化等の効果の向上と低オゾン濃度での集塵率の向上との間にはトレードオフの関係がある。
【0006】
本開示は、不活化等の効果の向上と低オゾン濃度での集塵率の向上を実現可能な電気集塵機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様では、
吸い込み口と吹き出し口を有する筐体と、
前記筐体の内部から前記吹き出し口に空気を排出するファンと、
前記筐体の内部の空気に含まれる微粒子を帯電させる帯電部と、
帯電した前記微粒子を静電力によって捕集する捕集部と、を備え、
前記帯電部は、筒状の接地極と、前記接地極の内側に配置された荷電極と、を含み、
前記荷電極は、棘無し第1板状電極と棘付き第2板状電極とを絶縁部材を介して前記接地極の軸方向に積層する構造を有する、電気集塵機が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、不活化等の効果の向上と低オゾン濃度での集塵率の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態の電気集塵機の構成例を模式的に示す図である。
【
図2】捕集部及び帯電部の構造例を模式的に示す斜視図である。
【
図3】帯電部内の帯電ユニットの構造例を透過的に示す斜視図である。
【
図4】第1板状電極と接地極の第1構造例を示す図である。
【
図5】第1板状電極と接地極の第2構造例を示す図である。
【
図6】第1板状電極と接地極の第3構造例を示す図である。
【
図7】第1板状電極の第1形状例を側方視で示す断面図である。
【
図8】第1板状電極の第2形状例を側方視で示す断面図である。
【
図9】電気集塵機の運転方法の一例を示すフローチャートである。
【
図10】運転時間とオゾン濃度との関係を実測した結果の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態を説明する。
【0011】
図1は、一実施形態の電気集塵機の構成例を模式的に示す図である。
図1に示す電気集塵機100は、空気に含まれる微粒子を帯電させ、帯電した微粒子を静電力によって捕集する機器である。電気集塵機100は、空気を清浄化するための空気清浄機とも称される場合がある。
【0012】
電気集塵機100は、空気に含まれる微粒子を帯電及び捕集するための装置類を収納する筐体10を備える。筐体10は、電気集塵機100の外部の空気を吸い込む吸い込み口3と、筐体10内の装置類により清浄化された空気を電気集塵機100の外部に吹き出す吹き出し口6とを有する。
【0013】
図1に示す例では、吸い込み口3は、筐体10の一方の端部(例えば、下部)に設けられ、吹き出し口6は、筐体10の他方の端部(例えば、上部)に設けられる。吸い込み口3及び吹き出し口6の各々の位置は、これに限られず、他の箇所でもよい。吸い込み口3及び吹き出し口6の各々の設置数は、一つでも複数でもよい。
【0014】
電気集塵機100は、主な構成として、筐体10、帯電部2、捕集部1、ファン5、高圧電源4及び制御装置9を備える。なお、
図1に示す各構成要素の位置関係は、単なる一例であり、これに限られない。例えば、スイッチ40、高圧電源4及び制御装置9は、筐体10の内部にあっても外部にあってもよい。
【0015】
筐体10は、吸い込み口3と吹き出し口6との間に介在するダクトを有する。ダクトは、吸い込み口3から吹き出し口6に空気を流す導管であり、筐体10の内部に存在する。ダクトは、吸い込み口3から吹き出し口6まで接続され、吸い込み口3から流入する空気を吹き出し口6に向けて流す流路である。
【0016】
帯電部2は、筐体10の内部のダクト内の空気(以下、"空気A"とも称する)に含まれる微粒子を帯電させる装置である。帯電部2は、例えば、空気Aに含まれる微粒子をコロナ放電によって帯電させる。
【0017】
微粒子とは、ウイルス又は細菌であるが、ウイルス又は細菌を含む、エアロゾル状の飛沫や塵埃などの微小物質でもよい。微粒子には、微小粒子状物質(PM2.5)が含まれてもよい。PM2.5とは、空気中に浮遊する粒子のうち、粒径が2.5μm以下の粒子をいう。
【0018】
捕集部1は、帯電部2を通過した空気Aから、帯電した微粒子を静電力により捕集する装置である。捕集部1は、例えば10nm以上100μm以下の粒径の微粒子を捕集する能力を有する場合、30nm程度の小さなウイルス、100nm程度の新型コロナウィルス(COVID-19)、又は数μmのウイルス飛沫や病原性細菌を捕集できる。なお、捕集部1が捕集可能な微粒子の粒径は、特に制限されなくてもよい。
【0019】
ファン5は、筐体10の内部のダクト内から吹き出し口6に空気Aを排出する。ファン5は、電気集塵機100の外部の空気を吸い込み口3から筐体10の内部のダクト内に導入し、帯電部2及び捕集部1を通過した空気Aを吹き出し口6に排出する。ファン5は、モータによって回転する。ファン5の回転によって、空気Aは、吹き出し口6から排出される。
【0020】
電気集塵機100は、紫外線照射部8を備えてもよい。紫外線照射部8は、筐体10の内部のダクト内に紫外線を照射する光源を有する。紫外線照射部8は、筐体10の内部のダクト内に紫外線を照射することで、ダクト内のオゾンを分解する。また、紫外線照射部8は、光源から照射される紫外線を空気Aに当てることで、空気Aに含まれるウイルスを不活化又は空気Aに含まれる細菌を死滅する。紫外線照射部8は、例えば、吹き出し口6と捕集部1との間に配置される。
【0021】
高圧電源4は、帯電部2に高圧電圧を印加する電源装置である。この例では、高圧電源4は、後述のスイッチ40を介して帯電部2に電圧を印加する。
【0022】
制御装置9は、ユーザからの操作指示内容に応じて、電気集塵機100の運転を制御する。例えば、制御装置9は、ユーザからの操作指示内容に応じて、帯電部2、捕集部1、ファン5及び紫外線照射部8を作動又は停止させる。また、制御装置9は、所定の開閉条件に従って、吸い込み口3及び吹き出し口6の開閉を制御する。制御装置9の機能は、メモリに記憶されたプログラムによってCPU(Central Processing Unit)等のプロセッサが動作することにより実現される。制御装置9の機能は、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)によって実現されてもよい。
【0023】
捕集部1は、所望の捕集機能を満たせば、その配置位置は、特に限定されない。
図1に示す例では、捕集部1は、帯電部2と吹き出し口6との間で、帯電した微粒子を空気Aから静電力により捕集する。これにより、帯電部2において帯電した微粒子が捕集部1に供給されやすくなるので、帯電した微粒子の捕集能力が向上する。ファン5が帯電部2と吹き出し口6との間に介在する場合、捕集部1は、帯電部2とファン5との間で、帯電した微粒子を空気Aから静電力により捕集するのが好ましい。これにより、帯電した微粒子の捕集能力が向上する。
【0024】
ファン5は、所望の排出機能を満たせば、その配置位置は、特に限定されない。
図1に示す例では、ファン5は、捕集部1と吹き出し口6との間に配置されている。空気Aに含まれる微粒子は、捕集部1において捕集されるので、ファン5が捕集部1と吹き出し口6との間に配置されることで、ファン5が汚れた空気Aで汚染し難くなる。その結果、例えば、ファン5の交換や洗浄などのメンテナンスにおける安全性が向上する。
【0025】
電気集塵機100は、空気Aに含まれるオゾン(コロナ放電によって生成されたオゾンを含んでよい)の濃度を低減させるフィルタを、捕集部1と吹き出し口6との間に備えてもよい。これにより、吹き出し口6から吹き出す空気に含まれるオゾンの濃度を低減する効果が高まる。ファン5が捕集部1と吹き出し口6との間に介在する場合、フィルタは、ファン5の上流側に設けられることが好ましく、具体的には、ファン5と捕集部1との間に介在するのが好ましい。フィルタをファン5の上流側に設けることにより、電線被覆の劣化などオゾンによる機器の劣化を抑制する効果が高まる。フィルタの触媒として、例えば、酸化マンガンを使用することで、オゾン濃度の低減効果は向上する。なお、ファン5が捕集部1と吹き出し口6との間に介在する場合、フィルタは、ファン5と吹き出し口6との間に介在してもよい。
【0026】
図2は、捕集部及び帯電部の構造例を模式的に示す斜視図である。
図2に示す捕集部1は、複数の荷電平板電極11と複数の接地平板電極12を有する集塵部である。荷電平板電極11と接地平板電極12は、一定の間隔で交互に配置されている。空気Aは、荷電平板電極11と接地平板電極12との隙間を通る。荷電平板電極11と接地平板電極12は、空気Aの流れに平行となるように配置されている。
【0027】
印加電圧の抑制及び高集塵率を実現するため、荷電平板電極11と接地平板電極12との隣接間隔は、3mm以上12mm以下が好ましい。数キロ~数十キロボルト(例えば、1kV~20kV)の電圧が荷電平板電極11と接地平板電極12との間に印加されることで、荷電平板電極11と接地平板電極12との間に高電界が発生する。帯電部2において正の電荷に帯電した微粒子は、捕集部1を通過する際に、荷電平板電極11と接地平板電極12との間の電界により、接地平板電極12に付着する。捕集部1において微粒子が除去された空気は、ファン5により吹き出し口6から排出される。
【0028】
図2に示す帯電部2は、コロナ放電を発生させる。帯電部2は、一又は複数の帯電ユニット20を有する。
図2は、同じ形状の複数の帯電ユニット20が平面的に配列された構造を例示する。
【0029】
図3は、帯電部内の帯電ユニットの構造例を透過的に示す斜視図である。帯電ユニット20は、筒状の接地極22と、接地極22の内側に配置された荷電極50を含む。帯電部2は、高圧電源4により生成される高電圧を荷電極50と接地極22との間に印加することで、荷電極50と接地極22との間にコロナ放電を発生させ、筒状の接地極22の内側を通る微粒子を帯電させる。
【0030】
荷電極50は、正極性でも負極性でもよい。正極性の荷電極50とは、接地極22に対してプラスの高電圧が印加される電極であり、負極性の荷電極50とは、接地極22に対してマイナスの高電圧が印加される電極である。
【0031】
帯電部2は、接地極22と正極性の荷電極50との間にプラスの高電圧を印加して両電極間に正極性コロナ放電を発生させることで、筐体10の内部のダクト内のオゾン濃度の抑制と、捕集部1での微粒子の捕集率の向上とが可能となる。
【0032】
接地極22は、空気Aが通るダクトの一部を構成する部分であり、空気Aが流れる上下方向に貫通する。接地極22は、接地極22の軸方向に開口する。
図3は、接地極22が円筒状の場合を例示する。
【0033】
荷電極50は、棘無し第1板状電極21、棘付き第2板状電極31、絶縁部材24,30及びロッド23,29を含む構造を有する。第1板状電極21、第2板状電極31、絶縁部材24,30及びロッド23,29は、筒状の接地極22の内側に配置されている。絶縁部材24及びロッド23,29は、接地極22から接地極22の軸方向に突き出てもよい。
【0034】
第2板状電極31は、接地極22の内面25に向かって放射状に突出する複数の棘36が形成された外周縁部32を有する。棘36は、尖鋭な突起である。これに対し、第1板状電極21は、接地極22の内面25に向かって放射状に突出する棘が形成されていない外周縁部26を有する。
【0035】
絶縁部材24は、荷電極50と筐体10との間を絶縁する部材であり、例えば、碍子である。絶縁部材24は、例えば、筐体10の下面に対して固定される。
【0036】
ロッド23は、接地極22の軸方向に延伸する部材であり、絶縁部材24に固定される。ロッド23と絶縁部材24は、例えば、絶縁部材24の上端部に形成された雌ねじとロッド23の下端部に形成された雄ねじとによって結合される。
【0037】
第2板状電極31は、ロッド23の上端部に固定される。例えば、ロッド23の上端部は、第2板状電極31の中心孔を貫通する。そして、第2板状電極31とロッド23は、第2板状電極31の内周面に形成された雌ねじとロッド23の上端部に形成された雄ねじとによって結合される。
【0038】
絶縁部材30は、第1板状電極21と第2板状電極31との間に介在し、第1板状電極21と第2板状電極31との間を絶縁する部材である。絶縁部材30は、例えば、碍子である。絶縁部材30とロッド23は、例えば、絶縁部材30の下端部に形成された雌ねじとロッド23の上端部に形成された雄ねじとによって結合される。
【0039】
第1板状電極21は、第2板状電極31と第1板状電極21との間の距離が所定の長さ以上確保されるようにロッド29によって固定される。例えば、ロッド29の下端部は、第1板状電極21の中心孔を貫通する。そして、絶縁部材30とロッド29は、絶縁部材30の上端部に形成された雌ねじとロッド29の下端部に形成された雄ねじとによって結合される。さらに、第1板状電極21とロッド29は、第1板状電極21の内周面に形成された雌ねじとロッド29の下端部に形成された雄ねじとによって結合される。
【0040】
図3に示すように、荷電極50は、棘無し第1板状電極21と棘付き第2板状電極31とを絶縁部材30を介して接地極22の軸方向に積層する構造を有する。帯電部2は、高圧電源4により生成される高電圧を第1板状電極21と接地極22との間に印加することで、第1板状電極21と接地極22との間にコロナ放電を発生させ、筒状の接地極22の内側を通る微粒子を帯電させる。一方、帯電部2は、高圧電源4により生成される高電圧を第2板状電極31と接地極22との間に印加することで、第2板状電極31と接地極22との間にコロナ放電を発生させ、第1板状電極21と接地極22との間への電圧印加の場合よりも高濃度のオゾンを発生させる。
【0041】
棘付き第2板状電極31は、板厚、直径及び印加電圧が同一の場合、棘無し第1板状電極21に比べて、コロナ放電により生成されるオゾン濃度が高くなる。したがって、帯電部2は、第2板状電極31と接地極22との間にコロナ放電を発生させることで、空気Aに含まれるウイルスを不活化又は空気Aに含まれる細菌を死滅する効果(不活化等の効果)を向上できる。一方、棘無し第1板状電極21は、板厚、直径及び印加電圧が同一の場合、棘付き第2板状電極31に比べて、コロナ放電により生成されるオゾンの濃度は低くなる。したがって、帯電部2は、第1板状電極21と接地極22との間にコロナ放電を発生させることで、オゾン濃度の上昇を抑えて、筒状の接地極22の内側を通る微粒子への帯電量を増加できるので、低オゾン濃度で高集塵率を実現できる。
【0042】
したがって、電気集塵機100は、棘無し第1板状電極21と棘付き第2板状電極31とを絶縁部材30を介して接地極22の軸方向に積層する構造を有する荷電極50を備えることで、不活化等の効果の向上と低オゾン濃度での集塵率の向上を実現できる。
【0043】
接地極22の内面25と第1板状電極21の外周縁部26との間にギャップがあり、接地極22の内面25と第2板状電極31の棘36との間にギャップがある。内面25と棘36との間のギャップ長G2は、内面25と外周縁部26との間のギャップ長Gと同じである。
【0044】
帯電部2は、第2板状電極31に正極性の電圧を印加することで、棘36の先端から安定したストリーマ放電が発生し、高濃度のオゾンが生成される。例えば、第2板状電極31の厚さを0.5mm以下、棘36の本数を12~24本、棘36の先端角を25°以下という複数の条件のうち少なくとも一つの条件が成立することで、安定したストリーマ放電が発生する。また、第2板状電極31を第1板状電極21と同じ外径にすると、安定したストリーマ放電が発生する。
【0045】
第1板状電極21と第2板状電極31との間の隣接間隔(つまり、接地極22の軸方向での絶縁部材30の長さ)は、接地極22の内面25と荷電極50との間のギャップ長(ギャップ長G及びG2)の2倍以上であるのが好ましい。これにより、第1板状電極21と第2板状電極31との間での放電が抑制され、荷電極50と接地極22との間での放電を確保できる。
【0046】
接地極22の内面25と第1板状電極21の外周縁部26との間にギャップがあり、且つ、外周縁部26の厚さが0.1mm以下であると、コロナ放電によるオゾン生成量の抑制と捕集部1での高集塵率を実現できる。特に、外周縁部26の厚さが0.1mm以下であり、且つ、接地極22の内面25と第1板状電極21の外周縁部26とのギャップ長Gが全周に亘って均一になると、コロナ放電によるオゾン生成量の抑制と捕集部1での高集塵率を実現できる。ギャップ長Gが全周に亘って均一になると、外周縁部26の一部でコロナ放電が集中することを抑制できる。したがって、電気集塵機100は、高集塵率かつ低オゾン濃度で空気を清浄できる。ギャップ長Gを全周に亘って均一にするため、接地極22の中心軸は、第1板状電極21の中心軸と同じであるのが好ましい。
【0047】
ギャップ長Gは、10mm以上30mm以下であると、コロナ放電によるオゾン生成量の抑制と捕集部1での高集塵率を実現できる。好ましくは、12mm以上28mm以下であり、より好ましくは、14mm以上26mm以下である。
【0048】
第1板状電極21の直径をD1、接地極22の内径をD2とする。このとき、直径比P(=D1/D2)は、0.7以下であると、コロナ放電によるオゾン生成量の抑制と捕集部1での高集塵率を実現できる。直径比Pの下限は、特に限定されないが、例えば、0.3としてもよい。好ましくは、直径比Pは、0.35以上0.65以下であり、より好ましくは、0.40以上0.60以下である。
【0049】
外周縁部26の単位長さ当たりに流れる放電電流は、0.50μA/mm以下であると、外周縁部26の劣化が抑制され、耐放電性能が向上する。好ましくは、0.45μA/mm以下であり、より好ましくは、0.40μA/mm以下である。
【0050】
接地極22の内面25の断面(中心軸に直交する断面)の形状は、外周縁部26の外周の形状と同一又は相似であると、ギャップ長Gが全周に亘って均一になるので、コロナ放電によるオゾン生成量の抑制と捕集部1での高集塵率を実現できる。その形状は、例えば、円又は六角形以上の多角形である。
【0051】
図4は、第1板状電極と接地極の第1構造例を示す図である。円盤状の第1板状電極21と円筒状の内面25を採用することで、接地極22の内面25と第1板状電極21の外周縁部26とのギャップ長Gが全周に亘って均一になる。ギャップGが全周に亘って均一になることで、ダクト内に低オゾン濃度かつ均一なコロナ放電の発生が可能となる。
【0052】
図5は、第1板状電極と接地極の第2構造例を示す図である。外周縁部26の外周形状が六角形の第1板状電極21と形状が六角形の内面25を採用することで、接地極22の内面25と第1板状電極21の外周縁部26とのギャップ長Gが全周に亘って均一になる。ギャップGが全周に亘って均一になることで、ダクト内に低オゾン濃度かつ均一なコロナ放電の発生が可能となる。第1板状電極21の六角形の各辺は、内面25の六角形の対応する辺に平行に対向することが好ましい。
【0053】
図6は、第1板状電極と接地極の第3構造例を示す図である。外周縁部26の外周形状が八角形の第1板状電極21と形状が八角形の内面25を採用することで、接地極22の内面25と第1板状電極21の外周縁部26とのギャップ長Gが全周に亘って均一になる。ギャップGが全周に亘って均一になることで、ダクト内に低オゾン濃度かつ均一なコロナ放電の発生が可能となる。第1板状電極21の八角形の各辺は、内面25の八角形の対応する辺に平行に対向することが好ましい。
【0054】
第1板状電極21の外周縁部26の外周形状が多角形であると、複数の角部が外周縁部26にできるので、電気力線がこれらの複数の角部に集中し、放電がしやすくなる。また、第1板状電極21の外周縁部26の外周形状は、内面25の形状と異なってもよい。例えば、外周縁部26の外周形状が多角形で、内面25の形状が円形でもよいし、外周縁部26の外周形状が円形で、内面25の形状が多角形でもよい。
【0055】
図7は、第1板状電極の第1形状例を側方視で示す断面図である。
図8は、第1板状電極の第2形状例を側方視で示す断面図である。
図7は、外周縁部26の先端形状が片刃である場合を示し、
図8は、前記外周縁部26の先端形状が両刃である場合を示す。
【0056】
第1板状電極21は、例えば、厚さdが0.1mm以上の中央部27の周りに、厚さが0.1mm以下の外周縁部26を有する。これにより、コロナ放電によるオゾン生成量の抑制と捕集部1での高集塵率を実現できる。
【0057】
外周縁部26は、第1板状電極21又は接地極22の中心軸に直交する平面に対する角度θが鋭角の先端を有すると、コロナ放電によるオゾン生成量の抑制と捕集部1での高集塵率を実現できる。
図7及び
図8は、角度θが鋭角の場合を例示する。低オゾン濃度と高集塵率の実現の点で、角度θは、45°以下がよく、40°以下が好ましく、35°以下がより好ましい。角度θの下限は、特に限定されないが、例えば破損のし難さの観点で、5°以上が好ましい。
【0058】
外周縁部26は、空気Aの流れに対向する傾斜面28を有すると、傾斜面28に当たった空気Aの流れの方向が滑らかに変更され、空気Aは、第1板状電極21に対して空気Aが到来する側とは反対側に流れていく。これにより、ダクト内の圧力損失が低減し、微粒子は効率的に集塵可能となる。傾斜面28は、空気Aの流れに対して傾斜する。
【0059】
外周縁部26の先端は、硬質クロムめっき処理、セラミックコーティング処理などのコーティング処理が施されてもよい。これにより、外周縁部26の先端の劣化が抑制され、耐放電性能が向上する。
【0060】
次に、制御装置9により実行される電気集塵機100の運転モードについて、
図1を参照して説明する。
【0061】
◆空気清浄モード
空気清浄モードでは、制御装置9は、吸い込み口3及び吹き出し口6を開けた状態で、空気Aが筐体10の内部から吹き出し口6へ排出されるようにファン5を回転させる。制御装置9は、高圧電源4により生成された電圧が棘無し第1板状電極21に印加されるようにスイッチ40を切り替えるとともに、捕集部1を通過する粒子が電気集塵されるように捕集部1への電圧印加を制御する。空気清浄モードは、第1板状電極21と接地極22との間に電圧を印加して接地極22の内側を通る微粒子を帯電させる第1運転モードの一例である。
【0062】
◆オゾン生成モード
オゾン生成モードでは、制御装置9は、吸い込み口3及び吹き出し口6を閉じた状態で、ファン5を回転させることで、筐体10の内部で空気を循環させる。制御装置9は、高圧電源4により生成された電圧が棘付き第2板状電極31に印加されるようにスイッチ40を切り替えることで、空気清浄モードよりも高濃度のオゾンを筐体10の内部に発生させる。筐体10の内部に高濃度のオゾンが循環することで、捕集部1の電極に付着したウイルスを不活化又は捕集部1の電極に付着した細菌を死滅する。オゾン生成モードは、第2板状電極31と接地極22との間に電圧を印加して第1運転モードよりも高濃度のオゾンを発生させる第2運転モードの一例である。
【0063】
◆オゾン分解モード
制御装置9は、オゾン生成モードを所定時間継続して実行した後に、オゾン分解モードを実行する。オゾン分解モードでは、制御装置9は、吸い込み口3及び吹き出し口6を閉じた状態で筐体10の内部に紫外線が照射されるように紫外線照射部8を制御する。例えば、制御装置9は、帯電部2の運転を停止し、吸い込み口3及び吹き出し口6を閉じた状態でファン5を回転させ、紫外線照射部8に紫外線を照射させる。これにより、筐体10の内部に充満したオゾンが分解する。この際、照射する紫外線の波長は、オゾンを効率的に分解するために、280nm以上350nm以下とするのがよい。オゾン分解モードは、吸い込み口3及び吹き出し口6を閉じた状態で筐体10の内部に紫外線を照射して筐体10の内部のオゾンを分解する第3運転モードの一例である。
【0064】
制御装置9は、空気清浄モードで電気集塵機100を運転するのか、オゾン生成モードで電気集塵機100を運転するのかをスイッチ40により切り替える。これにより、制御装置9は、空気清浄モードのときに、低オゾン濃度での集塵率の向上を実現でき、オゾン生成モードのときに、不活化等の向上を実現できる。
【0065】
また、制御装置9は、空気清浄モードとオゾン生成モードで単一の高圧電源4を切り替えて使用する。これにより、単一の高圧電源4を空気清浄モードとオゾン生成モードで共用できるので、電気集塵機100の小型化が可能となる。
【0066】
図9は、電気集塵機の運転方法の一例を示すフローチャートである。
図9に示す運転方法は、制御装置9により実行される。
【0067】
ステップS10において、制御装置9は、オゾン生成モードの実行条件が成立すると、オゾン生成モードで電気集塵機100を運転する。制御装置9は、オゾン生成モードでは、第2板状電極31と接地極22との間に電圧を印加して空気清浄モードよりも高濃度のオゾンを筐体10内に発生させる。
【0068】
ステップS20において、制御装置9は、筐体10内のオゾン濃度の検出値が所定の第1閾値th1よりも上昇したか否かを判断する。制御装置9は、オゾン濃度の検出値が第1閾値th1よりも低い場合、オゾン生成モードを継続する。制御装置9は、オゾン濃度の検出値が第1閾値th1よりも高い場合、ウイルスの不活化又は細菌の死滅が高濃度のオゾンにより実現されたとして、オゾン生成モードからオゾン分解モードに切り替える。
【0069】
ステップS30において、制御装置9は、吸い込み口3及び吹き出し口6を閉じた状態で筐体10の内部に紫外線を照射して筐体10の内部のオゾンを分解するオゾン分解モードを実行する。これにより、筐体10の内部のオゾン濃度が低下する。
【0070】
ステップS40において、制御装置9は、筐体10内のオゾン濃度の検出値が所定の第1閾値th2よりも低下したか否かを判断する。第2閾値th2は、第1閾値th1よりも低く設定されている。制御装置9は、オゾン濃度の検出値が第2閾値th2よりも高い場合、オゾン分解モードを継続する。制御装置9は、オゾン濃度の検出値が第2閾値th2よりも低い場合、オゾン濃度が、環境基準により定められた所定の基準値以下であるとして、オゾン分解モードからオゾン排出モードに切り替える。
【0071】
ステップS50において、制御装置9は、吸い込み口3と吹き出し口6を開いて、筐体10の内部の空気をファン5によって排出させるオゾン排出モードを実行する。これにより、環境基準により定められた所定の基準値以下の低濃度のオゾンが電気集塵機100外部に排出される。オゾン排出モードは、上記の空気清浄モードと同一でもよい。
【0072】
次に、実施例について説明する。
【0073】
◆帯電部2及び帯電ユニット20(
図2及び
図3参照)
・第1板状電極21:直径60mm、厚さ0.3mmのステンレス製の円板電極(外周縁部26の厚さ0.01mm)
・第2板状電極31:直径60mm、厚さ0.3mmのステンレス製の棘付き円板電極(棘36の本数12本(30°ピッチ)、棘36の先端角度20°)
・絶縁部材30:ムライト製のスタッドボルト(軸方向の長さ30mm)
・第1板状電極21及び第2板状電極31のそれぞれに耐圧ケーブルを結線
・絶縁部材24:ムライト製の絶縁部材(軸方向の長さ30mm)
・接地極22:内径90mmのステンレス製の円筒
・帯電部2:9個の帯電ユニット20が300mm×300mmの角型アクリルダクト内に同一平面上に均一に配列された構造。
【0074】
◆捕集部1(
図2参照)
・ダクト:帯電部2同様に、300mm×300mmの角型アクリルダクトを使用。角型アクリルダクトの平行な2面に幅0.5mm深さ2mmのスリットを10mmピッチで形成。
・荷電平板電極11及び接地平板電極12:厚さ0.5mm、高さ125mm、幅304mmのステンレス板。
・捕集部1:角型アクリルダクトに設けられた複数スリットに荷電平板電極11及び接地平板電極12が交互に挿し込まれた平行平板型の集塵部。なお、複数の荷電平板電極11間の導通および複数の接地平板電極12間の導通は、ジャンパー線により確保。
【0075】
◆電気集塵機100(
図1参照)
・帯電部2と捕集部1の各々の角型アクリルダクトを積層した電気集塵部の上部に、定格風量200m
3/hのファン5が設けられた300mm×300mmの角型アクリルダクトを連結した構造。
・吸い込み口3:帯電部2の角型アクリルダクトの4面に設けられた高さ100mm×幅200mmの開口部。各開口部には、開閉式のルーバーを設置。
・吹き出し口6:ファン5が設けられた角型アクリルダクトの上面に設けられた開口部。開口部には、開閉式のルーバーを設置。
【0076】
<ウイルス除去評価>
・25m3のチャンバー内に電気集塵機100を設置し、吸い込み口3と吹き出し口6のそれぞれにパーティクルカウンターを設置した。
・MS2ファージウイルス液をネブライザーに入れ、コンプレッサーから圧縮空気を送り出し、ウイルス液をチャンバー内へ毎分約0.2mLで10分間噴霧して浮遊させた。なお、コンプレッサーからの吐出空気量は6.0~8.0L/分とした。
※ウイルス液:NB培地で36±2℃にて一晩培養した宿主菌液に、試験ウイルスを接種し、半流動寒天(NB培地+0.5%塩化ナトリウム+0.5%Agar)と混合して普通寒天培地に重層した。36±2℃で24時間培養後、宿主菌を遠心除去し、孔径0.22μmのメンブランフィルタでろ過して約1011PFU/mLの試験ウイルス液を得た。これを1/10濃度のNB培地で150倍希釈し、試験に用いた。
・チャンバー内にウイルスを浮遊させた後、チャンバー内の空気をサーキュレータにより2分間攪拌することでチャンバー内の雰囲気を均一化した。
・電気集塵機100を空気清浄モード(第1板状電極21に10kVを印加、捕集部1に7kV印加)で運転しながら、吸い込み口3及び吹き出し口6の空気を2分間捕集した。
※捕集液として20mLの0.015%チオ硫酸ナトリウム添加PBSを入れたインピンジャーを用い、吸い込み口3及び吹き出し口6からチャンバー内の空気を捕集した。1回の捕集につき、チャンバー内の空気を毎分10Lで2分間(=20L)吸引し、浮遊ウイルスを捕集した。
・浮遊ウイルス捕集後のインピンジャー内の捕集液を試料原液とし、PBSで10倍段階希釈列を作製した。その試料原液および希釈液0.2mLと宿主菌0.2mLを半流動寒天4.0mLに混合して普通寒天培地に重層した。また、試料原液5mLと宿主菌5mLmを10mLの半流動寒天培地に混合して普通寒天培地に重層した。これらの培地を36±2℃で18~23時間培養後、発生したプラークを数え、空気20Lあたりの浮遊ウイルス数を求めた。(排気のウイルス数/吸気のウイルス数)を算出することにより電気集塵におけるウイルスの除去率を算出した。
・また、運転時にオゾンモニターにより吹き出し口6のオゾン濃度を計測した。
・その結果、電気集塵によるウイルスの除去率は97%であり、吹き出し口6のオゾン濃度は0.01ppmであった。本実施形態により、高集塵率とオゾン排出濃度低減を両立することを確認した。
【0077】
<集塵板付着ウイルス不活化運転及び評価>
・上記ウイルス除去評価を実施した後、捕集部1の集塵板上の付着物を滅菌綿棒により採取し、上記同様の手法にて培養し、発生したプラーク数を数えた。その後、吸い込み口3及び吹き出し口6のルーバーを閉じ、スイッチ40によりオゾン生成モード(棘付き円板電極に10kV印加)に切り替えて10分間運転し、集塵板の付着ウイルスの除菌を行った。
・その際、筐体10内のオゾン濃度をオゾンモニターにより計測したところ、
図10に示すように10分間で25ppmの高濃度オゾンの環境が得られた。
・オゾン生成運転を行った後、集塵板表面の付着物を滅菌綿棒により採取し、オゾン生成運転前に採取した付着物と同様に培養し、発生したプラーク数を数えた。オゾン生成運転前後のプラーク数の比率からウイルス除菌率を試算した結果、99.9%のウイルスが不活化された。本実施形態により、集塵板洗浄時の感染リスクを低減できていることを確認した。また、空気清浄モードとオゾン生成モードを同一の高圧電源4を用いた単純な切り替えにて実現できるため、電気集塵機のコストダウンと小型化が可能となる。
【0078】
以上の通り、実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、上記実施形態により本発明が限定されるものではない。上記実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の組み合わせ、省略、置き換え、変更などを行うことが可能である。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0079】
例えば
図1のように、帯電部2は、捕集部1とは別体に構成された構造に限られない。帯電部2は、帯電部2で帯電した微粒子を静電力によって捕集する捕集部を組み込んだ構造でもよい。例えば、接地極22を捕集部1の捕集板として使用されてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 捕集部
2 帯電部
3 吸い込み口
4 高圧電源
5 ファン
6 吹き出し口
8 紫外線照射部
9 制御装置
10 筐体
11 荷電平板電極
12 接地平板電極
20 帯電ユニット
21 第1板状電極
22 接地極
23 ロッド
24 絶縁部材
25 内面
26 外周縁部
27 中央部
28 傾斜面
29 ロッド
30 絶縁部材
31 第2板状電極
32 外周縁部
36 棘
40 スイッチ
50 荷電極
100 電気集塵機