IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社空の特許一覧

<>
  • 特開-回転電機 図1
  • 特開-回転電機 図2
  • 特開-回転電機 図3
  • 特開-回転電機 図4
  • 特開-回転電機 図5
  • 特開-回転電機 図6
  • 特開-回転電機 図7
  • 特開-回転電機 図8
  • 特開-回転電機 図9
  • 特開-回転電機 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018485
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】回転電機
(51)【国際特許分類】
   H02K 21/24 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
H02K21/24 M
H02K21/24 G
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121856
(22)【出願日】2022-07-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-29
(71)【出願人】
【識別番号】516000088
【氏名又は名称】株式会社空
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】藤野 勝昭
【テーマコード(参考)】
5H621
【Fターム(参考)】
5H621BB08
5H621GA04
5H621GA08
5H621HH01
(57)【要約】
【課題】高い効率を得ることができる回転電機を提供する。
【解決手段】回転電機10は、複数の永久磁石22を有する回転子20と、複数の巻線31を有する固定子30とを備えている。この回転子20は、複数の永久磁石22が回転軸線L1に沿った方向に向くと共に、巻線31から外側に外れた位置を向いた状態で、回転円周に沿って配置されている。また、固定子30は、巻線31の磁力線が前記永久磁石の磁極側へ向くように形成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石を有する回転子と、巻線を有する固定子とを備え、
前記永久磁石は、回転軸線に沿った方向に向くと共に、前記巻線から外れた位置を向いた状態で、回転円周に沿って配置され、
前記固定子は、前記巻線の磁力線が前記永久磁石の磁極側へ向くように形成された回転電機。
【請求項2】
前記固定子は、直管状に形成された前記巻線と、前記巻線の内部空間を貫通する直線部、および前記直線部の両端から延びる一対の脚部から形成されたコアとを備えた請求項1記載の回転電機。
【請求項3】
前記巻線は、前記コアの前記直線部に形成された請求項2記載の回転電機。
【請求項4】
前記巻線は、前記コアの前記脚部に一対形成された請求項2記載の回転電機。
【請求項5】
前記直線部には、発電用の巻線が配置された請求項4記載の回転電機。
【請求項6】
前記コアの先端部は、前記永久磁石の磁極の前方から、前記回転軸線を中心にした半径方向の外側に外れた位置に形成された請求項2記載の回転電機。
【請求項7】
前記巻線は、前記永久磁石の磁極が向く方向から外側に配置され、
前記コアの脚部は、前記回転軸線の方向に向いて延びる請求項2から6のいずれかの項に記載の回転電機。
【請求項8】
前記巻線は、前記永久磁石の磁極が向く方向から内側に配置され、
前記コアの脚部は、前記回転軸線とは反対の方向に向いて延びる請求項2から6のいずれかの項に記載の回転電機。
【請求項9】
前記回転子は、前記固定子を挟んで一対設けられた請求項1または2記載の回転電機。
【請求項10】
前記回転子は、前記永久磁石が回転円周に沿って所定間隔ごとに配置され、前記永久磁石の一部が突出した状態で収容された本体部と、前記永久磁石の間に形成された隙間部材とを有するハウジングを備えた請求項1または2記載の回転電機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、永久磁石による回転子と、巻線による固定子とを有する回転電機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
永久磁石による回転子と、巻線による固定子とを有する回転電機において、巻線が回転円周に沿って配置され、永久磁石の磁極が回転軸線に沿った方向に向いたものとして、特許文献1-4に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の直流モータは、固定子を中央に固定し、固定子に面して2つの回転子を回転可能に支持してなるもので、固定子は、台形あるいは扇形状の電磁鋼板をモータ外周方向に積層したヨークを円周方向に等間隔に2n個(n;正の整数)配置する一方、それらヨークに内周から外周に渡って巻線を施し、回転子は、それぞれ固定子側を磁極とした永久磁石をそのヨークに対向して配置したものである。
【0004】
特許文献2に記載の発電装置は、磁力線を第1の回転板と第2の回転板との間に横方向に形成し、横方向を向いたコイルに対して、第1の回転板および第2の回転板を移動させるというものである。
【0005】
また、特許文献3に記載の省エネ型モータは、固定子ヨークをつなぎ目の無いリング状にしてその上部に電磁コイルを巻き、円盤状の電磁鋼板に磁石をN極S極交互に取り付けたローターを対向配置したものである。
【0006】
更に、特許文献4に記載の回転電機は、複数の永久磁石がハウジングに回転円周に沿って配置され、永久磁石の磁極が回転軸線に沿った方向に向いた回転子と、回転子を回転駆動する磁束を励磁する複数の巻線から形成され、永久磁石の磁極が向く方向における回転円周に沿って巻線が配置された固定子とを備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006-238623号公報
【特許文献2】特開2013-021888号公報
【特許文献3】特開2017-005806号公報
【特許文献4】特許第6359747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1-4に記載の回転電機は、回転中心から固定子の巻線へ延びる半径方向と直交する回転軸線に沿った方向に永久磁石が位置して回転している。
従って、永久磁石は巻線から離れた位置を移動するため、回転電機の出力を高めるために、コイルの巻線のターン数を増加させ、巻線が太くなると、コイルの軸線中心から離れた位置を移動することになる。
コイルが発生する磁力は、コイル内部の方がコイル外部よりも密度が高くなるので、永久磁石がコイルの軸線中心から離れてしまうと、ターン数を増やしても、増やした分の効果を得にくい。
【0009】
そこで本発明は、高い効率を得ることができる回転電機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の回転電機は、永久磁石を有する回転子と、巻線を有する固定子とを備え、前記永久磁石は、回転軸線に沿った方向に向くと共に、前記巻線から外れた位置を向いた状態で、回転円周に沿って配置され、前記固定子は、前記巻線の磁力線が前記永久磁石の磁極側へ向くように形成されたことを特徴とする。
【0011】
本発明の回転電機によれば、回転子は、永久磁石の磁極が回転軸線に沿った方向に向くと共に、巻線から外れた位置に向いて配置されている。また、固定子は、巻線の磁力線が永久磁石の磁極側へ向くように形成されている。従って、永久磁石の磁極を巻線の磁力が強い軸線中心に近づけることができる。
【0012】
前記固定子は、直管状に形成された前記巻線と、前記巻線の内部空間を貫通する直線部、および前記直線部の両端から延びる一対の脚部から形成されたコアとを備えたものとすることができる。
巻線に設けられたコアの脚部が、直線部から回転軸線に向かって延びて、永久磁石に接近させることができるため、永久磁石からの磁力を有効に発揮させることができる。
【0013】
前記巻線は、前記コアの前記直線部に形成されたものとすることができる。そうすることで、脚部を通じて直線部からの磁力線を回転子へ向けることができる。
【0014】
また、前記巻線は、前記コアの前記脚部に一対形成されたものとすることができる。そうすることで、一対の巻線から磁力線を永久磁石に向けることで、強力な磁力を得ることができる。
【0015】
更に、巻線をコアの脚部に形成したときには、前記直線部に、発電用の巻線を配置することができる。そうすることで、発電用の巻線から負荷に向けて電力を供給することができる。
【0016】
前記コアの先端部は、前記永久磁石の磁極の前方から、前記回転軸線を中心にした半径方向の外側に外れた位置に形成されたものとすることができる。そうすることで、更に、永久磁石の磁極を、巻線の磁力が強い軸線中心に近づけることができる。
【0017】
前記巻線は、前記永久磁石の磁極が向く方向から外側に配置され、前記コアの脚部は、前記回転軸線の方向に向いて延びるものとすることができる。
永久磁石の磁極が向く方向から外側に巻線が配置されていることで、巻線の厚みより近く永久磁石をコアに接近させることができる。
【0018】
前記巻線は、前記永久磁石の磁極が向く方向から内側に配置され、前記コアの脚部は、前記回転軸線とは反対の方向に向いて延びるものとすることができる。永久磁石の磁極が向く方向から内側に巻線が配置されていることで、回転軸線を中心とした半径方向の大きさを小さいものとすることができる。
【0019】
前記回転子は、前記固定子を挟んで一対設けられたものとすることができる。そうすることで、固定子を挟む一対の回転子により効率を向上させることができる。
【0020】
前記回転子は、前記永久磁石が回転円周に沿って所定間隔ごとに配置され、前記永久磁石の一部が突出した状態で収容された本体部と、前記永久磁石の間に形成された隙間部材とを有するハウジングを備えたものとすることができる。
ハウジングの本体部から一部が突出した永久磁石と、永久磁石の間に形成された隙間部材とにより、回転子が回転するときの永久磁石の空気抵抗を低減することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明は、永久磁石の磁極を巻線の磁力が強い軸線中心に近づけることができるので、高い効率を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施の形態1に係る回転電機を斜め上方から見た斜視図である。
図2図1に示す回転電機を斜め下方から見た斜視図である。
図3図1に示す回転電機を電動機として動作させるための制御回路を示す回路図である。
図4図1に示す回転電機を電動機として動作させることを説明するための図であり、(A)は巻線の一方の端部がN極、他方の端部がS極を発生した状態の図、(B)は巻線の一方の端部がS極、他方の端部がN極を発生した状態の図である。
図5図1に示す回転電機の回転子および固定子を説明するための一部拡大断面図である。
図6】本発明の実施の形態2に係る回転電機を説明するための斜視図である。
図7】本発明の実施の形態3に係る回転電機を説明するための斜視図であり、(A)は回転子が固定子の一方側に配置された図、(B)は回転子が固定子の両方側に配置された図である。
図8】本発明の実施の形態4に係る回転電機を説明するための斜視図であり、(A)は回転子が固定子の一方側に配置された図、(B)は回転子が固定子の両方側に配置された図である。
図9】本発明の実施の形態5に係る回転電機を斜め下方から見た斜視図である。
図10図9に示す回転電機の発電用巻線に負荷を接続したことを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係る回転電機について、図面に基づいて説明する。
なお、図1および図2は本実施の形態1に係る回転電機を説明するための概略図であり、固定子の巻線や出力軸を支持したり、センサ部などを支持したりする筐体は図示して
いない。
【0024】
図1および図2に示す回転電機10は、電動機とした使用されたり、発電機として使用されたりするものである。
回転電機10は、回転中心が回転軸O1と同軸に形成された回転子20と、電動機として動作するときには回転子20を回転駆動する磁束を励磁したり、発電機として動作するときには回転子による電磁誘導により発電したりする固定子30とを備えている。
【0025】
回転子20は、円盤状に形成されたハウジング21に、複数の永久磁石22が回転円周に沿って所定間隔ごとに収納されたものである。
永久磁石22は、例えば、棒状に形成され、N極またはS極のいずれか一方の磁極が他方の電極と交互に配置されている。永久磁石22は、回転軸線L1に沿った方向である固定子30に向けてハウジング21に配置されているが、後述する巻線から外れた位置を向いている。本実施の形態1では、例えば、永久磁石22が30度ごとに12個、ハウジング21に設けられている。
永久磁石22は、磁力が他の種類の磁石より強いネオジム磁石が使用できる。
【0026】
図2に示すように、ハウジング21は、円盤状に形成された本体部211から永久磁石22の一部が突出した状態で収容されており、突出した永久磁石22の間を円弧状に形成された隙間部材212が配置されていることにより、全周にわたって環状突起部が形成されている。
本実施の形態では、隙間部材212が全周にわたって形成され、所定間隔ごとに永久磁石22が埋設されている。
【0027】
固定子30は、ボビン(図示せず)に電線が巻き付けられた直管状の巻線31と、巻線31の内部空間を通過するU字状のコア32とを備えている。
巻線31は、回転円周に沿って60°ごとに6個配置されている。巻線31は、永久磁石22の磁極が向く方向F1(図5参照)から外れた外側に配置されている。
【0028】
コア32は、巻線31の内部空間を貫通する直線部321と、直線部321の両端から延びる一対の脚部322から形成されている。
コア32は、2本の脚部322が回転軸線L1の方向を向くように配置されていることで、巻線31の磁力線が永久磁石22の磁極側へ向くように形成されている。
コア32における脚部322同士の間隔は、隣接するコア32の脚部322同士の間隔と等しく形成されている。従って、6個の巻線31の位置から回転中心に向かって延びる脚部322の先端部322aにおけるそれぞれの間隔は、永久磁石22の間隔と等しく形成されており、30°ごとに位置している。
【0029】
回転電機10は、電動機として動作するときには、巻線31を励磁する制御回路を備えている。ここで、制御回路について、図面に基づいて説明する。
図3に示す制御回路40は、励磁用センサ部41と、励磁回路部42とを備えている。
【0030】
図1および図3に示す励磁用センサ部41は、固定子30におけるコア32の一方の脚部322を一方の磁極(例えば、N極。)とし、他方の脚部322を他方の磁極(例えば、S極)とするタイミングを検出したり、反対に、一方の脚部322を他方の磁極(例えば、S極。)とし、他方の脚部322を一方の磁極(例えば、N極)とするタイミングを検出したりするために、第1センサ部411と、第2センサ部412とを備えている。
【0031】
第1センサ部411及び第2センサ部412は、発光ダイオードとフォトダイオードとによる透過型のフォトインタラプタ41aと、回転子20と共に回転して、透過型のフォトインタラプタ41aの発光ダイオードとフォトダイオードとの間を通過する円盤状の遮蔽板41bとを備えている。
【0032】
図3に示すフォトインタラプタ41aは、第1センサ部411および第2センサ部412に対応させて、それぞれに設けられ、遮蔽板41bは、第1センサ部411および第2センサ部412に共通させて設けられている。なお、遮蔽板41bは、第1センサ部411および第2センサ部412にて共通して使用しているが、図3においては、フォトインタラプタ41aに対応させて遮蔽板41bを別々に図示している。
【0033】
遮蔽板41bの周縁の一部には、円周方向に沿って、通電タイミングおよび通電時間を規定するための円弧状切欠部41c(図1参照)が形成されている。この円弧状切欠部41cは、永久磁石22のN極の位置に合わせて30度の範囲に形成され、遮蔽板41bの周縁の6箇所に形成された貫通孔である。
【0034】
図3に示す励磁回路部42は、巻線31への通電を制御するものである。
励磁回路部42は、第1センサ部411と第2センサ部412とを一組として、第1FET421a,421bから第3FET423a,423bまでのトランジスタにより、固定子30の巻線31への通電方向を制御する。
【0035】
第1FET421aと第3FET423aとはn型FETである。第2FET422a,422bは、p型FETである。
第1FET421a,421bは、ゲート端子Gが抵抗R11,R12を介してフォトインタラプタ41aに接続されている。また、第1FET421a,421bは、ソース端子Sが接地されている。
【0036】
第2FET422a,422bは、ソース端子SがダイオードD11,D12を介して電源に接続されていると共に、コンデンサC11,C12を介して接地されている。また、第2FET422a,422bのゲート端子Gは、抵抗R21,R22を介して第1FET421a,421bのドレイン端子Dに接続されていると共に、抵抗R31,R32を介して第2FET422a,422bのソース端子Sに接続されている。第2FET422a,422bのドレイン端子Dは、ダイオードD21,D22のアノード端子Aに接続されていると共に、第3FET423a,423bのドレイン端子Dに接続されている。
【0037】
第3FET423a,423bは、ゲート端子Gが抵抗R41,R42を介してフォトインタラプタ41aに接続されている。第3FET423a,423bのソース端子Sは接地されている。
直列接続された巻線31のうち、最初の巻線31の端部からの配線は、第2FET422aのドレイン端子Dに接続されていると共に、第3FET423aのドレイン端子Dに接続されている。
最後の巻線31の端部からの配線は、第2FET422bのドレイン端子Dに接続されていると共に、第3FET423bのドレイン端子Dに接続されている。
【0038】
以上のように構成された本発明の実施の形態1に係る回転電機10の動作を図面に基づいて説明する。
図3に示す制御回路40に電源が供給される。
例えば、永久磁石22のN極が、第1センサ部411のフォトインタラプタ41aの方向へ向くと、第1センサ部411のフォトインタラプタ41aに遮蔽板41bの円弧状切欠部41cが位置する。
遮蔽板41bの円弧状切欠部41cにより、第1センサ部411のフォトインタラプタ41aの光が透過することで、第1センサ部411のフォトインタラプタ41aのフォトトランジスタが通電する。
【0039】
図3に示すように、第1センサ部411のフォトトランジスタが通電することで、フォトインタラプタ41aに、抵抗R11,R41を介して接続された第1FET421aのゲート端子Gと、第3FET423aのゲート端子Gとは、第1FET421aと第3FET423aとがオン状態となる、第1電圧となる。
【0040】
また、図4(A)に示すように、第1センサ部411のフォトインタラプタ41aに円弧状切欠部41cが位置するときには、第2センサ部412のフォトインタラプタ41aには円弧状切欠部41cが位置しないので、第2センサ部412のフォトインタラプタ41aは非通電状態にある。
従って、図3に示すように、第2センサ部412のフォトインタラプタ41aに、抵抗R12,R42を介して接続された第1FET421bのゲート端子Gと、第3FET423bのゲート端子Gとは、第1FET421bと第3FET423bとがオフ状態となる、第1電圧より低電圧の第2電圧(0V)となる。
【0041】
第1FET421bがオフ状態であるときには、第1FET421bのドレイン端子Dに抵抗R21を介して接続された第2FET422aのゲート端子Gは、電源Vssに接続された抵抗R31により第2FET422aがオフ状態となる第1電圧となる。
【0042】
第1FET421aがオン状態であるときには、抵抗R22が第1FET421aのドレイン端子Dに接続されているため、第2FET422bのゲート端子Gは、第2FET422bがオン状態となる、第2電圧になる。
【0043】
このようにして、第1FET421a,421b~第3FET423a,423bのオン状態とオフ状態とが決定されると、電源Vssからの電流が、第2FET422bのソース端子SにダイオードD12を介して流れ込み、第2FET422bのドレイン端子Dから巻線31へ流れる。
そして、電流が、それぞれの巻線31へ順次流れた後に、第3FET423aのドレイン端子Dへ流れ、第3FET423aのドレイン端子Dからソース端子Sへ流れる。
そうすることで、図4(A)に示すように、永久磁石22のN極が遠ざかるコア32における一方の脚部322に、永久磁石22のN極と反発する同極(N極)の磁界が発生し、他方の脚部322に、永久磁石22のS極と反発する同極(S極)の磁界が発生する。
巻線31が発生した磁界により、永久磁石22の両極が反発して、回転子20が回転する。
【0044】
一方、図4(B)に示すように、励磁用センサ部41のうち、第2センサ部412のフォトインタラプタ41aに遮蔽板41bの円弧状切欠部41cが位置する。
遮蔽板41bの円弧状切欠部41cにより、第2センサ部412のフォトインタラプタ41aの光が透過することで、第2センサ部412のフォトインタラプタ41aのフォトトランジスタが通電する。
【0045】
図3に示すように、第2センサ部412のフォトトランジスタが通電することで、フォトインタラプタ41aに、抵抗R12,R42を介して接続された第1FET421bの
ゲート端子Gと、第3FET423bのゲート端子Gとは、第1FET421bと第3FET423bとがオン状態となる、第1電圧となる。
【0046】
また、第2センサ部412のフォトインタラプタ41aに円弧状切欠部41cが位置するときには、第1センサ部411のフォトインタラプタ41aには円弧状切欠部41cが位置しないので、第1センサ部411のフォトインタラプタ41aは非通電状態にある。従って、第1センサ部411のフォトインタラプタ41aに、抵抗R11,R41を介して接続された第1FET421aのゲート端子Gと、第3FET423aのゲート端子Gとは、第1FET421aと第3FET423aがオフ状態となる、第2電圧となる。
【0047】
第1FET421aがオフ状態であるときには、第1FET421aのドレイン端子Dに抵抗R22を介して接続された第2FET422bのゲート端子Gは、電源Vssに接続された抵抗R32により第2FET422bがオフ状態となる第1電圧となる。
【0048】
第1FET421bがオン状態であるときには、抵抗R21が第1FET421bのドレイン端子Dに接続されているため、第2FET422aのゲート端子Gは、第2FET422aがオン状態となる第2電圧になる。
【0049】
このようにして、第1FET421a,421b~第3FET423a,423bのオン状態とオフ状態とが決定されると、電源Vssからの電流が、第2FET422aのソース端子SにダイオードD11を介して流れ込み、第2FET422aのドレイン端子Dから巻線31へ流れる。
そして、電流が、それぞれの巻線31へ、図4(A)にて説明したときと反対方向に順次流れた後に、第3FET423bのドレイン端子Dへ流れ、第3FET423bのドレイン端子Dからソース端子Sへ流れる。
そうすることで、図4(B)に示すように、永久磁石22のS極が遠ざかるコア32における一方の脚部322に、永久磁石22のS極と反発する同極(S極)の磁界が発生し、他方の脚部322に、永久磁石22のN極と反発する同極(N極)の磁界が発生する。
巻線31が発生した磁界により、永久磁石22の両極が反発して、回転子20が回転する。
【0050】
更に、回転子20が回転すると、遮蔽板41bに形成された他の円弧状切欠部41cが、第1センサ部411のフォトインタラプタ41aに位置することで、固定子30にて図4(A)に示す磁極の磁界が発生する。
このように、固定子30において、図4(A)に示す磁極と図4(B)に示す磁極とが交互に発生することで、回転子20を回転し続けることができる。
【0051】
図5に示すように、回転電機10によれば、回転子20は、永久磁石22の磁極が回転軸線L1に沿った方向に向くと共に、巻線31から外れた位置に向いて配置されている。また、固定子30は、巻線31の磁力線が永久磁石22の磁極側へ向くように形成されている。従って、永久磁石22の磁極を巻線31の磁力が強い軸線中心に近づけることができる。
特に、巻線31に設けられたコア32の脚部322が、直線部321から回転軸線L1に向かって延びて、巻線31からの磁力線を永久磁石22に接近させることができるため、永久磁石22からの磁力を有効に発揮させることができる。
【0052】
また、永久磁石22の磁極が向く方向から外側に巻線31が配置されており、コア32の脚部322が、回転軸線L1の方向に向いて延びている。従って、巻線31の厚みより近く永久磁石22をコア32に接近させることができる。そのため、回転電機10の厚みを薄くできるので小型化を図ることができる。
【0053】
更に、永久磁石22の一部がハウジング21の本体部211から突出しているため、永久磁石22を脚部322により接近させることができる。このとき、隙間部材212が突出した永久磁石22の間を塞ぎ、環状突起部が形成されていることで、本体部211から突出した永久磁石22が回転する際の空気への抵抗を低減することができる。
【0054】
なお、本実施の形態1に係る回転電機10では、固定子30として、巻線31にコア32を設けたものとしているが、コア32は省略することができる。その場合には、巻線31は、巻き始めの端部および巻終わりの端部が、永久磁石22の磁極が向いた方向に向くように、U字状またはコ字状に形成する。そうすることで、巻線の磁力線を永久磁石22の磁極側へ向くようにすることができる。
【0055】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る回転電機を図面に基づいて説明する。なお、図6においては、図1および図2に示す回転子20のハウジング21や、励磁用センサ部41等は省略している。また、図6においては、図1および図2と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0056】
図1および図2に示す回転電機10では、永久磁石22が固定子30に対して回転軸線L1に沿って一方側のみに配置されている。
本実施の形態2に係る図6に示す回転電機11では、永久磁石22が同極の磁極を対向させて回転軸線に沿って一対並べられている。
このように、固定子30を挟んで回転子20を回転軸線L1に沿って一対設けることで高い出力を得ることができる。
【0057】
また、図2に示す回転電機10では、永久磁石22の磁極の前方(磁極が向く方向F1,図5参照)にコア32が位置している。しかし、本実施の形態2に係る図6に示す回転電機11では、コア32の先端部322aが、永久磁石22の磁極の前方(磁極が向く方向F1)から、回転軸線L1を中心にした半径方向の外側に外れた位置に形成されている。そうすることで、更に、永久磁石22の磁極を巻線31の磁力が強い軸線中心に近づけることができる。
【0058】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る回転電機を図面に基づいて説明する。なお、図7(A)および同図(B)においても、図1および図2に示す回転子20のハウジング21や、励磁用センサ部41等は省略している。また、図7(A)および同図(B)においては、図1および図2と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0059】
図7(A)に示す回転電機12は、図2に示す回転電機10と同様に、回転子20が固定子30の一方側に配置されている。また、図7(B)に示す回転電機13は、図6に示す回転電機11と同様に、回転子20が固定子30を挟んで両側に配置されている。
【0060】
図1および図2に示す回転電機10では、巻線31は、永久磁石22の磁極が向く方向から外側に配置され、コア32の脚部322は、回転軸線L1の方向に向いて延びていた。しかし、本実施の形態3に係る図7(A)および同図(B)に示す回転電機12では、巻線31が、永久磁石22の磁極が向く方向F1から内側に配置され、コア32の脚部322が、回転軸線L1とは反対の方向に向いて延びている。
【0061】
このように永久磁石22の磁極が向く方向から内側に巻線31が配置されていることで、回転軸線L1を中心とした半径方向の大きさを小さいものとすることができる。
【0062】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4に係る回転電機を図面に基づいて説明する。なお、図8(A)および同図(B)においても、図1および図2に示す回転子20のハウジング21や、励磁用センサ部41等は省略している。また、図8(A)および同図(B)においては、図1および図2と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0063】
図8(A)に示す回転電機14は、図2に示す回転電機10と同様に、回転子20が固定子30の一方側に配置されている。また、図8(B)に示す回転電機15は、図6に示す回転電機11と同様に、回転子20が固定子30Xを挟んで両側に配置されている。
【0064】
図8(A)および同図(B)に示す回転電機14,15は、巻線31は、永久磁石22の磁極が向く方向から外側に配置されたものと、巻線31が、永久磁石22の磁極が向く方向F1から内側に配置されたものとの一対備えている。
【0065】
コア33は、図1に示す直線部321である一方の対辺331(短辺)に一対の巻線31,31が巻回され、図1に示すコア32の脚部322と図7に示すコア32の脚部322とが繋がった他方の対辺332(長辺)に永久磁石22の磁極が向く四角形状に形成されている。
この回転電機14,15が電動機として動作するときには、巻線31,31の端部から延びる他方の対辺332のうち一方側332aが第1の磁極に、他方側が第2の磁極になるように、一対の巻線31,31は制御回路(図示せず)により励磁される。
例えば、巻線31,31の一方側332aによって繋がる一方の端部が、第1の磁極としてN極に励磁され、他方側332bにより繋がる他方の端部が、第2の磁極としてS極として励磁される。
【0066】
このように回転電機14,15が構成されていることで、図8(A)に示す回転電機14は、永久磁石22を挟んで両側に位置する巻線31により高い出力を得ることができる。
また、図8(B)に示す回転電機15では、永久磁石22が、回転軸線L1に沿ってコア33の脚部を挟んで一対配置されているため、更に、高い出力を得ることができる。
【0067】
(実施の形態5)
本発明の実施の形態5に係る回転電機を図面に基づいて説明する。なお、図9においては、図1と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
【0068】
本実施の形態5に係る回転電機16は、発電機として機能したり、電動機として機能したりするものである。
回転電機16は、コア32の直線部321に巻線31が設けられているだけでなく、コア32の脚部322にも一対の巻線31が設けられている。
回転電機16が発電機として機能するときには、巻線31は発電用の巻線であり、電動機として機能するときには、巻線31は励磁用の巻線として機能する。
このように巻線31が配置されていることで、図1に示す回転電機10と比較して、3個の励磁用の巻線31が協働して磁力線をコア32の先端部322aから永久磁石22へ向かわせることができるので、強力な磁力を得ることができる。
【0069】
また、脚部322に位置する巻線31が励磁用の巻線としたときに、直線部321に位置する巻線31を発電用の巻線とすることができる。
ここで、直線部321に位置する巻線31を発電用巻線34とした場合を図10に基づいて説明する。
【0070】
図10に示すように、発電用巻線34には、出力回路50としての整流部51を介して負荷Lが接続されている。整流部51は、ダイオードブリッジにより構成することができる。
負荷Lは、可変抵抗器52とすることができるが、可変抵抗器52の代わりに電気エネルギーを有効利用する負荷を接続してもよい。例えば、バッテリの充電回路としたり、照明器具としたり、電動機としたりすることができる。
出力回路50は、発電用巻線34のそれぞれに設けることができ、また、発電用巻線34に共通させて設けることもできる。
このように発電用巻線34をコア32に設けることで、発電用巻線34から負荷Lに向けて電力を供給することができる。
【0071】
なお、本実施の形態1,2,5では、図1および図6に示すように巻線31とコア32との組み合わせが回転軸O1の周りに6組、実施の形態3,4では、図7および図8に示すように巻線31とコア32との組み合わせが回転軸O1の周りに6組配置されているが、1組でも、複数組でよい。
複数組を回転軸O1の周囲に配置するときに、等間隔に配置された永久磁石と同様に等間隔に配置すると均等に回転子が駆動できるので望ましい。
【0072】
また、図6に示す回転電機11、図7(B)に示す回転電機13および図8(B)に示す回転電機15では、固定子30,30Xを挟んで両側に回転子20を設けているが、更に、回転子20と固定子30,30Xとの組み合わせを多段に設置することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、複数の永久磁石が出力軸に設けられた回転子と、出力軸の回転円周に沿って配置された複数の励磁用巻線を有する固定子とを有する回転電機に好適である。
【符号の説明】
【0074】
10,11,12,13,14,15,16 回転電機
20 回転子
21 ハウジング
211 本体部
212 隙間部材
22 永久磁石
30,30X 固定子
31 巻線
32 コア
321 直線部
322 脚部
322a 先端部
33 コア
331 一方の対辺
332 他方の対辺
332a 一方側
332b 他方側
34 発電用巻線
40 制御回路
41 励磁用センサ部
411 第1センサ部
412 第2センサ部
41a フォトインタラプタ
41b 遮蔽板
41c 円弧状切欠部
42 励磁回路部
421a,421b 第1FET
422a,422b 第2FET
423a,423b 第3FET
50 出力回路
51 整流部
G ゲート端子
S ソース端子
D ドレイン端子
R11,R12,R21,R22,R31,R32,R41,R42,R61,R62 抵抗
C11,C12 コンデンサ
D11,D12,D21,D22 ダイオード
L1 回転軸線
O1 回転軸
F1 磁極が向く方向
L 負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
【手続補正書】
【提出日】2022-09-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
永久磁石を有する回転子と、巻線を有する固定子とを備え、
前記永久磁石の磁極は、回転軸線に沿った方向に向くと共に、前記巻線から外れた位置を向いた状態で、回転円周に沿って配置され、
前記固定子は、直管状に形成された前記巻線と、前記巻線の内部空間を貫通するコアとを備え、
前記コアは、前記回転円周に沿って軸線が配置された直線部と、前記直線部の両端から延びる一対の脚部とを備え、
前記巻線が、前記コアの前記直線部に形成されることで、前記巻線の磁力線が前記永久磁石の磁極側へ向くように形成された回転電機。
【請求項2】
永久磁石を有する回転子と、巻線を有する固定子とを備え、
前記永久磁石の磁極は、回転軸線に沿った方向に向くと共に、前記巻線から外れた位置を向いた状態で、回転円周に沿って配置され、
前記固定子は、直管状に形成された前記巻線と、前記巻線の内部空間を貫通するコアとを備え、
前記コアは、前記回転円周に沿って軸線が配置された直線部、および前記直線部の両端から延びる一対の脚部から形成され、
前記巻線が、前記コアの前記脚部に一対形成されることで、前記巻線の磁力線が前記永久磁石の磁極側へ向くように形成された回転電機。
【請求項3】
前記直線部には、発電用の巻線が配置された請求項記載の回転電機。
【請求項4】
前記コアの先端部は、前記永久磁石の磁極における回転円周の位置から、前記回転軸線を中心にした半径方向の外側に配置された請求項1または2記載の回転電機。
【請求項5】
前記巻線は、前記永久磁石の磁極における回転円周の位置から、前記回転軸線を中心にした半径方向の外側に配置され、
前記コアの脚部は、前記回転軸線に向いて延びる請求項1または2記載の回転電機。
【請求項6】
前記巻線は、前記永久磁石の磁極における回転円周の位置から内側に配置され、
前記コアの脚部は、前記回転軸線から離れる方向に向いて延びる請求項1または2記載の回転電機。
【請求項7】
前記回転子は、前記固定子を挟んで一対設けられた請求項1または2記載の回転電機。
【請求項8】
前記回転子は、前記永久磁石が回転円周に沿って所定間隔ごとに配置され、前記永久磁石の一部が突出した状態で収容された本体部と、前記永久磁石の間に形成された隙間部材とを有するハウジングを備えた請求項1または2記載の回転電機。