(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018498
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】信号変換装置および圧力センサ
(51)【国際特許分類】
G01L 9/00 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
G01L9/00 303M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121871
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝本 和哉
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸川 大空
【テーマコード(参考)】
2F055
【Fターム(参考)】
2F055AA40
2F055BB20
2F055CC02
2F055DD05
2F055EE13
2F055FF38
2F055GG49
(57)【要約】
【課題】変換基板の吸湿による、スルーホール間のイオンマイグレーションを防止することができる信号変換装置および圧力センサを提供する。
【解決手段】外部から入力される信号の調整及び接続端子を介した外部との間の信号の調整を行う変換基板と、前記変換基板に実装される発熱部品と、を有する信号変換部を備え、前記変換基板は、前記発熱部品の有するリードが挿通するためのスルーホールを備え、複数の前記リードから当該複数のリードの配列密度が小さくなるように選択されたリード以外のリードに対応して、前記スルーホールが設けられていることを特徴とする信号変換装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から入力される信号の調整及び接続端子を介した外部との間の信号の調整を行う変換基板と、前記変換基板に実装される発熱部品と、を有する信号変換部を備え、
前記変換基板は、前記発熱部品の有するリードが挿通するためのスルーホールを備え、複数の前記リードから当該複数のリードの配列密度が小さくなるように選択されたリード以外のリードに対応して、前記スルーホールが設けられていることを特徴とする信号変換装置。
【請求項2】
前記複数のリードは一列に配列されており、前記複数のリードから一部のリードが選択されることを特徴とする請求項1に記載の信号変換装置。
【請求項3】
前記複数のリードは一列に配列されており、前記複数のリードにおいて等間隔にリードが選択されることを特徴とする請求項2に記載の信号変換装置。
【請求項4】
前記複数のリードは一列に配列されており、前記複数のリードにおいて両端のリード以外が選択されることを特徴とする請求項2に記載の信号変換装置。
【請求項5】
前記複数のリードから前記選択されたリードは、折り曲げられて前記変換基板上のパッドに接合しており、残りのリードは前記変換基板を挿通していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の信号変換装置。
【請求項6】
前記複数のリードは3本であり、前記選択されたリードは、中央の1本のリードであり、該中央の1本のリードはL字型に折り曲げられて前記変換基板上のパッドに接合していることを特徴とする請求項5に記載の信号変換装置。
【請求項7】
前記複数のリードは3本であり、前記選択されたリードは、両端の2本のリードであり、該両端の2本のリードはL字型に折り曲げられて前記変換基板上のパッドに接合していることを特徴とする請求項5に記載の信号変換装置。
【請求項8】
前記複数のリードから前記選択されたリードは、前記変換基板上のパッドに接合しており、残りのリードは折り曲げられて前記変換基板を挿通していることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の信号変換装置。
【請求項9】
圧力室と、前記圧力室に導入される流体の圧力を検出する半導体センサチップと、前記半導体センサチップに接続され、前記半導体センサチップの外部入出力端子を構成するリードピンと、を有する圧力検出部と、
前記圧力検出部に隣接し、基板収容部、コネクタ接続部、及び、前記基板収容部と前記コネクタ接続部との間に隔壁部を画定するコネクタハウジングと、外部との信号接続を行うための接続端子と、前記基板収容部内に収容され、前記リードピンを介した前記圧力検出部との間の信号の調整及び前記接続端子を介した外部との間の信号の調整を行う変換基板と、前記変換基板に実装され、放熱性接着剤によって前記コネクタハウジングに固定される発熱部品と、を有する信号送出部と、
を備え、
前記変換基板は、前記発熱部品の有するリードが挿通するためのスルーホールを備え、複数の前記リードから当該複数のリードの配列密度が小さくなるように選択されたリード以外のリードに対応して、前記スルーホールが設けられていることを特徴とする圧力センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、変換基板を有する信号変換装置および変換基板を内部に設ける圧力センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な駆動電圧や圧力検出信号の信号方式に適合させるために、駆動電圧、及び、圧力検出信号の両方を変換する変換回路を備える変換基板を、制御回路と圧力センサとの間に外部接続させる圧力センサがある。
【0003】
このような圧力センサでは、外部の衝撃や振動などにより、接続不良が生じる可能性があるなどの問題を解決するために、ケーブルを省略し、変換基板を圧力センサの内部に配置するものがある。また、この変換基板においては、トランジスタパッケージのコレクタ損失に対する余裕度を増やすため、許容できるコレクタ損失の観点から、面実装部品ではなく、より発熱に対して余裕のあるリードタイプのトランジスタを使用しており、そのリード部は変換基板に設けられたスルーホールを挿通し、先端がはんだ付けで固定されている。
【0004】
ここで、特許文献1には、その
図1に示されているように、変換基板およびそれにリードピンが挿通、固定される構成と同様の構成として、一端部がベース本体231のピン挿通孔231A及び均熱板8の挿通孔8Aに挿通され、他端部が基板41を貫通し、均熱板8上及び基板41上にはんだ付けで固定されているリードピン31が記載されている。変換基板を外部に有する圧力センサ、変換基板と接続するその他種々のセンサ、および、コントローラ等についても変換基板とリードピンに関する同様の構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような特許文献1に記載の構成では、固定される複数のリードピンの密度が高いことに起因して、基板が吸湿した場合に、複数のリードピンを挿入するための基板のそれぞれのスルーホールの間で短絡を生じるおそれがある。すなわち、複数のリードピンの密度が高い場合、個々のリードピン間の距離が比較的小さくなり、挿通孔(スルーホール)間で生じ得るイオンマイグレーション(CAF)によって短絡が生じることがある。
【0007】
本発明の目的は、吸湿した変換基板のスルーホール間でイオンマイグレーションが発生することを防止することが可能な信号変換装置および圧力センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、信号変換装置は、外部から入力される信号の調整及び接続端子を介した外部との間の信号の調整を行う変換基板と、前記変換基板に実装される発熱部品と、を有する信号変換部を備え、
前記変換基板は、前記発熱部品の有するリードが挿通するためのスルーホールを備え、複数の前記リードから当該複数のリードの配列密度が小さくなるように選択されたリード以外のリードに対応して、前記スルーホールが設けられていることを特徴とする。
【0009】
また、上記信号変換装置において、前記複数のリードは一列に配列されており、前記複数のリードの配列密度が小さくなるように一部のリードが選択されても良い。
【0010】
また、上記信号変換装置では、前記複数のリードは一列に配列されており、前記複数のリードにおいて等間隔にリードが選択されても良い。
【0011】
また、上記信号変換装置では、前記複数のリードは一列に配列されており、前記複数のリードにおいて両端のリード以外が選択されても良い。
【0012】
また、上記信号変換装置では、前記複数のリードから前記選択されたリードは、折り曲げられて前記変換基板上のパッドに接合しており、残りのリードは前記変換基板を挿通しても良い。
【0013】
また、上記信号変換装置では、前記複数のリードは3本であり、前記選択されたリードは、中央の1本のリードであり、該中央の1本のリードはL字型に折り曲げられて前記変換基板上のパッドに接合しも良い。
【0014】
また、上記信号変換装置では、前記複数のリードは3本であり、前記選択されたリードは、両端の2本のリードであり、該両端の2本のリードはL字型に折り曲げられて前記変換基板上のパッドに接合しても良い。
【0015】
また、上記信号変換装置では、前記複数のリードから前記選択されたリードは、前記変換基板上のパッドに接合しており、残りのリードは折り曲げられて前記変換基板を挿通しても良い。
【0016】
上記課題を解決するために、圧力センサは、圧力室と、前記圧力室に導入される流体の圧力を検出する半導体センサチップと、前記半導体センサチップに接続され、前記半導体センサチップの外部入出力端子を構成するリードピンと、を有する圧力検出部と、前記圧力検出部に隣接し、基板収容部、コネクタ接続部、及び、前記基板収容部と前記コネクタ接続部との間に隔壁部を画定するコネクタハウジングと、外部との信号接続を行うための接続端子と、前記基板収容部内に収容され、前記リードピンを介した前記圧力検出部との間の信号の調整及び前記接続端子を介した外部との間の信号の調整を行う変換基板と、前記変換基板に実装され、放熱性接着剤によって前記コネクタハウジングに固定される発熱部品と、を有する信号送出部と、を備え、前記変換基板は、前記発熱部品の有するリードが挿通するためのスルーホールを備え、複数の前記リードから当該複数のリードの配列密度が小さくなるように選択されたリード以外のリードに対応して、前記スルーホールが設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、変換基板の吸湿による、スルーホール間のイオンマイグレーションを防止することができる信号変換装置および圧力センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る圧力センサを示す断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施形態に係る圧力センサのトランジスタを示す概略図であり、
図2(a)は、トランジスタを示す正面図であり、
図2(b)は、トランジスタを示す側面図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施形態に係る圧力センサのトランジスタが変換基板にはんだ付けされている様子を示す正面概略図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態に係る圧力センサの変換基板を本体側から見た平面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に係る圧力センサ本体を示す概略図であり、
図5(a)は、本発明の実施形態に係る圧力センサ本体を示す斜視図であり、
図5(b)は、本発明の実施形態に係る圧力センサ本体を示す平面図である。
【
図6】
図6は、本発明の複数の実施形態に係る圧力センサのトランジスタが変換基板にはんだ付けされている様子を示す概略斜視図であり、
図6(a)は、トランジスタが変換基板に垂直である場合の一実施形態を示す概略斜視図であり、
図6(b)は、トランジスタが変換基板に垂直である場合の他の実施形態を示す概略斜視図であり、
図6(c)は、トランジスタが変換基板に平行である場合の一実施形態を示す概略斜視図であり、
図6(d)は、トランジスタが変換基板に平行である場合の他の実施形態を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態について、
図1から
図5を参照しながら詳細に説明する。本実施形態においては、多層からなる変換基板について説明しているが、本発明は本実施形態の態様に限定されるものではなく、単層からなる片面基板や両面基板であっても良い。
【0020】
<用語>
本明細書及び特許請求の範囲の記載において、「一端」及び「他端」とは、図面における「下端」及び「上端」を示す。
【0021】
<圧力センサの構成>
図1を用いて、本発明の実施形態に係る圧力センサ100について説明する。
【0022】
圧力センサ100は、流体導入部110と、圧力検出部120と、信号送出部(本体)130と、接続部材140と、から構成される。以下、圧力センサ100のそれぞれの構成について順に説明する。なお、圧力センサ100は、流体導入部110及び圧力検出部120を接合固定し、圧力検出部120及び信号送出部130を電気的に接続した後、接続部材140により、流体導入部110、圧力検出部120、及び、信号送出部130を一体的に組み付けられる。
【0023】
<流体導入部>
流体導入部110は、圧力検出される流体を、後述する圧力室112Aに導入するものであり、金属製の継手部材111と、継手部材111の他端に溶接等により接続される金属製のベースプレート112と、を備える。
【0024】
継手部材111は、圧力検出される流体を導入する配管(不図示)と接続される雌ねじ部111aと、配管から導入された流体を圧力室112Aに導くポート111bと、を備える。ポート111bの開口端は、ベースプレート112の中央に設けられた開口部に溶接等により接続される。本実施形態において、継手部材111は、雌ねじ部111aを備えるものとしたが、これに限らず、例えば、雄ねじ部を備えるものや、継手部材111の代わりに、銅製の接続パイプが接続されるものとしてもよい。
【0025】
ベースプレート112は、一端から他端に向けて、圧力センサ100の中心軸線Cに対して半径方向に拡径するお椀形状を有し、後述するダイヤフラム122との間に圧力室112Aを形成する。
【0026】
<圧力検出部>
圧力検出部120は、圧力室112Aの流体の圧力を検出するものであり、貫通孔を有するハウジング121と、上述の圧力室112Aと後述する液封室124Aとを区画するダイヤフラム122と、ダイヤフラム122の圧力室112A側に配置される保護カバー123と、を備える。また、圧力検出部120は、ハウジング121の貫通孔内部に封着されるハーメチックガラス124と、ハーメチックガラス124の圧力室112A側の凹部とダイヤフラム122との間に封入オイルが充填される液封室124Aと、ハーメチックガラス124の中央に配置される支柱125と、を備える。さらに、圧力検出部120は、支柱125に支持され液封室124A内部に配置される半導体センサチップ126と、液封室124Aの周囲に配置される電位調整部材127と、ハーメチックガラス124に固定される複数のリードピン128と、ハーメチックガラス124に固定されるオイル充填用パイプ129と、を備える。
【0027】
ハウジング121は、ハーメチックガラス124の周囲の強度を保つために、例えばFe・Ni系合金やステンレス等の金属材料により形成される。ダイヤフラム122と、保護カバー123は、共に金属材料で形成され、共にハウジング121の圧力室112A側の貫通孔の外周縁部において溶接される。保護カバー123は、ダイヤフラム122を保護するために圧力室112A内部に設けられ、流体導入部110から導入された流体が通過するための複数の連通孔123aが設けられる。ハウジング121は、圧力検出部120が組み立てられた後、流体導入部110のベースプレート112の外周縁部において、TIG溶接、プラズマ溶接、レーザ溶接等により外側から溶接される。
【0028】
ハーメチックガラス124は、半導体センサチップ126が液封された液封室124Aを空気中の湿気や埃、熱などの周囲の環境条件から保護し、複数のリードピン128を保持し、複数のリードピン128とハウジング121とを絶縁するために設けられる。ハーメチックガラス124の中央に配置された支柱125の液封室124A側には、半導体センサチップ126が接着剤などにより支持される。なお、本実施形態において、支柱125は、Fe・Ni系合金で形成されるものとしたが、これに限らない。例えば、ステンレス等その他の金属材料で形成されるものとしてもよいし、支柱125を設けずに、ハーメチックガラス124の凹部を形成する平坦面に直接的に支持されるように構成されてもよい。
【0029】
半導体センサチップ126の内部には、ピエゾ抵抗効果を有する材料(例えば、単結晶シリコン等)からなるダイヤフラムと、ダイヤフラム上に複数の半導体歪みゲージを形成し、これらの半導体歪みゲージをブリッジ接続したブリッジ回路及びブリッジ回路からの出力を処理する増幅回路と、演算処理回路等の集積回路と、が含まれる。また、半導体センサチップ126は、例えば、金またはアルミニウム製のボンディングワイヤ126aにより複数のリードピン128に接続され、複数のリードピン128は、半導体センサチップ126の外部入出力端子を構成している。
【0030】
電位調整部材127は、半導体センサチップ126を無電界(ゼロ電位)内に置き、フレームアースと2次電源との間に生じる電位の影響でチップ内の回路などが悪影響を受けないようにするために設けられる。電位調整部材127は、液封室124A内の半導体センサチップ126とダイヤフラム122との間に配置され、金属等の導電性の材料で形成され、半導体センサチップ126のゼロ電位に接続される端子に接続される。
【0031】
ハーメチックガラス124には、複数のリードピン128及びオイル充填用パイプ129が、貫通状態でハーメチック処理により固定される。本実施形態では、リードピン128として、全部で8本のリードピン128が設けられている。すなわち、外部出力用(Vout)、駆動電圧供給用(Vcc)、接地用(GND)の3本のリードピン128と、半導体センサチップ126の調整用の端子として5本のリードピン128が設けられている。なお、
図1においては、8本のリードピン128のうち4本が示される。
【0032】
オイル充填用パイプ129は、液封室124Aの内部に封入オイル(例えば、シリコーンオイル、または、フッ素系不活性液体等)を充填するために設けられる。なお、オイル充填用パイプ129の他端は、オイル充填後、
図1に示されるように、押し潰されて閉塞される。
【0033】
<圧力検出部の動作>
圧力検出部120の動作について説明する。まず、ダイヤフラム122が、継手部材111から圧力室112Aに導入される流体により押圧される。このダイヤフラム122に加えられる圧力室112Aの圧力は、液封室124A内の封入オイルを介して半導体センサチップ126に伝達される。この伝達された圧力により、半導体センサチップ126のシリコンダイヤフラムが変形し、ピエゾ抵抗素子によるブリッジ回路で圧力を電気信号に変換して、半導体センサチップ126の集積回路からボンディングワイヤ126a及び複数のリードピン128を介して、信号送出部130に出力される。
【0034】
<信号送出部>
信号送出部(本体)130は、圧力検出部120で検出された圧力信号を外部に送出するものであり、圧力検出部120の他端側に隣接して配置される外部接続用のコネクタハウジング131と、一端が複数のリードピン128に接続される可撓性結線材132と、を備える。また、信号送出部130は、3つの接続端子を介してコネクタハウジング131に固定される変換基板133と、一端部が変換基板133に貫通接続される上記接続端子134a~cと、を備える。なお、この変換基板133には、オイル充填用パイプ129との干渉を避けるために、開口部133fが形成されている。また、変換基板133には、接続端子134a~cを挿通するための3本のスルーホール134t、及び、後述するリードタイプの発熱部品133hのリード133l1及び133l3を挿通するための2つのスルーホール133tが設けられている。
【0035】
コネクタハウジング131は、熱伝導率が比較的高い絶縁性の樹脂等により形成されており、一端側に凹形状を有する基板収容部131aと、他端側に凹形状を有し、外部のコネクタ(不図示)に接続されるコネクタ接続部131bと、基板収容部131aとコネクタ接続部131bとの間に配置される隔壁部131cと、を備える。基板収容部131aにより画定される内部空間Sには、ハーメチックガラス124から延出した複数のリードピン128及びオイル充填用パイプ129、可撓性結線材132、及び、変換基板133等が配置される。
【0036】
変換基板133は、駆動電圧や圧力検出信号の信号方式に対応するために、駆動電圧、及び、圧力検出信号の両方を変換する変換回路(不図示)を備える。この変換回路は、接続端子134a~cを介して、圧力センサ100の外部に接続される制御回路(不図示)の駆動電圧(例えば、8V~36V)を、半導体センサチップ126の駆動電圧(例えば、5.0V)に降圧する降圧回路部(不図示)と、圧力センサ100の圧力検出信号(例えば、0.5V~4.5V)を、制御回路の圧力検出信号(例えば、1V~5V)に昇圧する電圧シフト回路部(不図示)と、を備える。このように、駆動電圧や圧力検出信号の信号方式に対応して、圧力センサ100内に設ける変換基板133を適宜選択することにより、圧力検出部120、特に半導体センサチップ126や、液封室124Aの周辺構造の設計変更を行うことなく、駆動電圧及び圧力検出信号の差を吸収することができる。
【0037】
接続端子134a~cは、外部出力用(Vout)、駆動電圧供給用(Vcc)、接地用(GND)の少なくとも3本を設けている。この接続端子134a~cは、組立性を向上させるために、例えば、接続端子134aについて説明すると、接続端子134aの一端部134dを変換基板133に設けられる貫通孔に挿通させ、この貫通部をはんだ付けすることにより、接続端子134aを変換基板133に接続させている。この変換基板133の接続部にはランド部133nが形成され、電極135と導電パターンにより導通している。一方、接続端子134aの他端側、は、隔壁部131cを貫通して、コネクタ接続部131bへと延在している。この接続端子134a~cが貫通する隔壁部131cの貫通部は、接続端子固定接着剤134gにより封止されている。
【0038】
なお、上記実施形態は、圧力センサ100について圧力検出部120と信号送出部130に関するものであるが、本発明は、圧力センサ以外にも各種センサやコントローラ等の外部から入力される信号の調整及び接続端子を介した外部との間の信号の調整を行う変換基板と、前記変換基板に実装される発熱部品と、を有する信号変換部を備える信号変換装置に適用することができる。
【0039】
<接続部材>
接続部材140は、流体導入部110、圧力検出部120、及び、信号送出部130をカシメ加工により接続固定するカシメ板141と、圧力検出部120と信号送出部130との間に配置される粘着シート142と、を備える。
【0040】
カシメ板141は、銅等の金属で円筒形状に形成される。カシメ板141は、流体導入部110、圧力検出部120及び信号送出部130の周囲に配置されるとともに、カシメ加工により、流体導入部110及び信号送出部130へと固定される。このカシメ加工により、粘着シート142は、防水・防塵機能を果たすために、圧力検出部120及び信号送出部130の間に挟持される。なお、粘着シート142とハウジング121との間には、変換基板133への熱移動抑制手段として、熱放射性を有する非金属の樹脂シート151及び熱放射性を有する接着剤152が挟持されても良い。
【0041】
<変換基板の放熱手段>
変換基板133は、各種の電子部品が実装されコネクタハウジング131から離隔している他端面133bと、接続端子134a~c等がはんだ付けされる一端面133aと、を備える。本実施形態における発熱部品133h(例えば、トランジスタ、レギュレータなど、入出力端子間に電位差があり、かつ、電流が流れている部品)は、リードタイプであり、他端面133bに実装される。この変換基板133は、駆動電圧の変圧などにより自己発熱するため、これに対して何ら対策を講じない場合には、変換基板上の電子部品が耐熱温度以上となり破損するおそれがある。そこで、本実施形態では、変換基板133の電子部品が耐熱温度以上とならないように、様々な変換基板133の放熱手段を採用するものである。これにより、変換基板133において生じた熱を、外部環境に効率的に放熱させ得るため、変換基板133の耐熱温度に対する余裕度を向上させることができる。以下に、本実施形態における変換基板133の放熱手段について具体的に説明する。
【0042】
<変換基板の放熱手段(リードタイプの発熱部品)>
変換基板133の放熱手段として、
図1中の破線付き(1)の放熱経路を構成するように、リードタイプの発熱部品133hが用いられる。リードタイプの発熱部品133hは、基板対向面131a1側に設けられる。この発熱部品133hの周囲は熱伝導性を有する放熱性接着剤133gが充填されることから、この放熱性接着剤133gが変換基板上へ広がらないようにするために、コネクタハウジング131の外周部との間に接着剤溜まり領域131eを画定する、接着剤溜まり壁面131wが設けられている。すなわち、接着剤溜まり領域131eは、本実施形態では、接着剤溜まり壁面131w並びに本体130の基板収容部131a及び隔壁部131cで画定される。この接着剤溜まり領域131eにリードタイプの発熱部品133hが収容されるとともに、接着剤溜まり領域131eとリードタイプの発熱部品133hとの間のみに、熱伝導性を有する放熱性接着剤133gが充填されている。これにより、本実施形態では、発熱部品133hにおいて生じた熱を、発熱部品133hの周囲を取り囲む熱伝導性を有する放熱性接着剤133gへと積極的に熱移動させるため、コネクタハウジング131を介して外部環境へとより効率的に放熱させることができる。
【0043】
また、放熱性接着剤133gが接着剤溜まり壁面131wに沿って、表面張力により這い上がる恐れがある変換基板133の部分に切り欠き部133kを設けている。これにより、変換基板133と本体130の内壁との間隔を広げることができ、信号送出部130と圧力検出部120が隣接する方向と直交する方向に盛り上がりつつ広がった放熱性接着剤133gが、接着剤溜まり壁面131wに沿って表面張力により這い上がるのを防止することができる。また、変換基板133のランド部133n近傍まで切り欠き部133kが設けられることで、仮に信号送出部130と圧力検出部120が隣接する方向と直交する方向に横溢した放熱性接着剤133gが基板に垂れてしまっても、ランド部133nに放熱性接着剤133gが付着することを防止できる。
【0044】
そして、リードタイプの発熱部品133hは、リード133l1~133l3を介して、変換基板133に実装されているため、物理的に、発熱部品133hの発熱部が、変換基板133から離間し、それにより、変換基板133の電子部品が耐熱温度以上となることを抑制することができる。
【0045】
ここで、リードタイプの発熱部品133hは、外気に近くなるようコネクタハウジング131の外径側に設けられる。これにより、リードタイプの発熱部品133hの周囲に充填されている放熱性接着剤133gがよりコネクタハウジング131の外部へと放熱し易くなる。
【0046】
さらには、リードタイプの発熱部品133hの周囲に充填されている放熱性接着剤133gと変換基板133との間に空間が設けられることで、発熱部品133h、変換基板133の相互間に熱が伝わることを抑制することができる。
【0047】
<リードタイプの発熱部品のリードの構成>
図2(a)は、本実施形態のリードタイプの発熱部品133hの正面図を示すものであり、
図2(b)は、本実施形態のリードタイプの発熱部品133hの側面図を示すものである。また、
図3は、本実施形態のリードタイプの発熱部品133hが、変換基板133上に実装されはんだ付けされた状態を示す正面概略図である。また、
図4は、信号送出部130方向から変換基板133を見た場合の平面図である。そして、
図5(a)は本体130に変換基板133が設置された後の本体130の斜視図であり、
図5(b)は、
図5(a)の本体を変換基板133側から見た平面図である。なお、
図5(a)は、本体内部が見えるようにコネクタハウジング131の一部を切断して示している。
【0048】
変換基板133に実装される、リードタイプの発熱部品133hは、本実施形態においては、
図2(a)及び(b)に示されるように、3本の1列に配列するリード133l1~133l3のうちの中央の1本であるリード133l2がL字型に折り曲げられている。そして、
図3に示されるように、リードタイプの発熱部品133hの両端のリード133l1及び133l3のみが変換基板133に設けられた2つのスルーホール133tを挿通して、先端がはんだ付けされている。一方、L字型に折り曲げられたリード133l2については、変換基板133の一端側に設けられたパッド133p上にはんだ付けされ接合されている。ここで、
図4に示されるように、L字型に折り曲げられたリード133l2が載置されはんだ付けされているパッド133pについては、リード133l2の倒れ方向への負荷により剥離することが無いよう、L字型に折り曲げられたリード133l2がはんだ付けされる部分の両端のレジスト下に銅箔を潜らせてある。そして、
図5(a)及び(b)に示されるように、本実施形態において、変換基板133に設けられた2つのスルーホールは、発熱部品133hの一列のリード133l1~133l3が全てスルーホールを挿通して、先端がはんだ付けされている場合に比べて、一列のリード133l1~133l3のうち中央のリード133l2が挿通しないことで、平面視でのスルーホールの密度を小さくすることができる。この結果、変換基板133上における、スルーホールの平面視での互いの距離は大きくすることができる。これにより、2つのスルーホール間でのイオンマイグレーション(CAF)の発生を抑制することができる。また、これにより、変換基板133への表面実装後に、リードタイプの発熱部品133hをはんだ付けする際に、CAFが生じないよう変換基板133を脱湿処理する必要がない。さらには、省スペースで、CAF対策ができることから、製品の小型化を図ることができる。
【0049】
ここで、上記のように、変換基板133上における、スルーホールの平面視での互いの距離を大きくするのは、スルーホール間の電位差をΔVとし、スルーホール間の距離をΔxとすると、ΔV/Δxという比が小さくなる、すなわち電位差が小さいほど、あるいは、スルーホール間の距離が離隔しているほどイオンマイグレーションの進行を遅らせることができるからである。
【0050】
<その他の実施形態>
なお、上述の実施形態は、3本のリードに関してそれらの配列密度を低下させるように、1つのリードを選択してL字型に折り曲げるものであるが、一列のリード133l1~133l3について、3本のうちの両端のリード133l1及びリード133l3をL字型に形成し、中央のリード133l2のみがスルーホールを挿通しても良い。この場合、スルーホールは1本しか存在しないことから、CAF発生が防止できる。ただし、本発明の適用はこれらの形態に限られない。例えば、一列に配列する5本のリードについて配列の2番目と4番目をL字型に折り曲げる形態(3つのスルーホール)も本発明の範囲に含まれる。また、上記一列に配列する5本のリードについて配列の2番目だけをL字型に折り曲げる形態(4つのスルーホール)も本発明の範囲に含まれる。この形態では、配列の3~5番目のリード間では距離は大きくならないが、1番目と3番目のリード間の距離が大きくなり、これらに対応するスルーホール間で上述した効果を得ることができる。さらには、上記一列に配列する5本のリードについて配列の2番目~4番目をL字型に折り曲げる形態(2つのスルーホール)も本発明の範囲に含まれる。この場合、両端のリードが変換基板133を挿通することから、変換基板133に対するリードタイプの発熱部品133hの位置合わせが容易となる。また、複数のリードの配列は上述のように一列であることに限定されない。任意の配列において、それらの配列密度が小さくなるように一部のリードを選択し、または、等間隔にリードを選択し、それをL字型に折り曲げる形態は本発明の範囲に含まれる。このとき、前記のごとくイオンマイグレーションの進行を遅らせるため、ΔV/Δxという比が小さくなるように、折り曲げられるリードが選定される。また、例えば、リードタイプの発熱部品133hが、抵抗または発光ダイオードである場合には、一列に配列する2本のうちの1本のリードをL字型に折り曲げ、変換基板133上のパッドにはんだ付けし、残りのリードがスルーホールを挿通しても良い。この場合も、前記の効果を得ることができる。なお、本実施形態では、リードがL字型に折り曲げられる場合を説明したが、リードは、クランク状に2か所で折り曲げられても良い。
【0051】
<リードとランドの位置決め>
本実施形態のごとく、リード133l2をL字型に曲げて、変換基板133の他端側に実装する場合には、L字型に折り曲げられたリード133l2を変換基板133上のパッド133p上のランドに正しく載置された状態ではんだ付けし接合する必要がある。ここで、本実施形態においては、
図5(a)及び(b)に示されるように、リードタイプの発熱部品133hが有する3本のリード133l1~133l3のうち、両端の2本であるリード133l1及びリード133l3が変換基板133を挿通する。これにより、L字型に折り曲げられたリード133l2と変換基板133上のパッド133p上のランドの位置合わせが正しくなされる。なお、本形態も含めてリードが3本以上の場合、スルーホールは、2か所以上設けられることが好ましい。これにより、表面実装と比べて、変換基板133に対するリードタイプの発熱部品133hが有する複数のリードの位置合わせが容易となる。また、変換基板133に対するリードタイプの発熱部品133hの取り付け強度を上げることができる。
【0052】
<変換基板からのランドのさらなる剥離防止>
変換基板133の他端に設けられたパッド133pについては、リード133l2の倒れ方向への負荷により剥離することが無いような構成になっているが、さらに、前記のごとく、本実施形態においては、リードタイプの発熱部品133hが有する一列の3本のリード133l1~133l3のうち、両端の2本であるリード133l1及びリード133l3が変換基板133を挿通しはんだ付けされることから、発熱部品133hのリード133l1及び133l3が、機械的にも固定される。これにより、L字型に折り曲げられたリード133l2の変換基板133のパッド133p上での取り付け強度を向上させることができる。
【0053】
<熱移動抑制手段>
圧力室112Aには、圧力検出対象の流体が導入されるが、流体の使用条件によっては、非常に高温(例えば、130(℃)程度)の流体が導入され、熱源となることがあった。この際に、圧力検出部120側の熱(圧力室112Aに導入される高温の流体の熱など)が、変換基板133へと熱移動(
図1の一端側から他端側への熱伝達、熱伝導、及び、熱放射(輻射))することにより、放熱手段(リードタイプの発熱部品)を用いた放熱効果が、相殺されてしまうおそれがあった。そこで、本実施形態では、圧力検出部120側の熱(圧力室112Aに導入される高温の流体の熱など)が、変換基板133へと熱移動しないように、様々な熱移動抑制手段を採用するものである。これにより、本実施形態において、圧力検出部120側の熱が、変換基板133へと熱移動することを抑制できるため、放熱手段(リードタイプの発熱部品)を用いた放熱効果が十分に奏されることになる。以下に、本実施形態における変換基板133への熱移動抑制手段について具体的に説明する。
【0054】
<変換基板への第1の熱移動抑制手段(内部空間)>
変換基板133への第1の熱移動抑制手段として、内部空間Sが用いられる。具体的には、変換基板133を、基板収容部131aの他端近傍に設けることにより、内部空間Sにおける、変換基板133と圧力検出部120側のハウジング121との中心軸線C方向の距離Lを、可能な限り大きく設定することができる。これにより、本実施形態において、圧力検出部120側の熱が、伝熱経路が長く、かつ熱伝導率の低い空気の内部空間Sを介するため、変換基板133へと熱伝達されることを抑制することができる。ただし、変換基板133と、基板収容部131aの他端は次項で述べるように直接は接触していない。
【0055】
<変換基板への第2の熱移動抑制手段(変換基板の本体からの離隔)>
図1に示されるように、変換基板133は、コネクタハウジング131とは直接接触しないように、基板収容部131aの他端及び外周から離隔して設けられている。変換基板133がコネクタハウジング131に直接支持される代わりに、
図5(a)及び(b)に示されるように、三本の接続端子134a~cで三点支持されている。この、三本の接続端子134a~cは、接続端子134a~cを変換基板133へとはんだ付けする際に特に荷重が加わる変換基板133の中心側へ位置するように設けられている。また、
図1に示すように、三本の接続端子134a~cは直線構造ではなく、段差134fがついた構造であり、段差134fの部分で変換基板133を受けることができる。この段差134fの位置は、変換基板133をコネクタハウジング131に収容した時に、先に述べたように変換基板133が三点支持となるよう、コネクタハウジング131と接触しない高さに設定されている。このような構造とすることにより、変換基板133ははんだ付け時の荷重が加わっても、接続端子134a~cに対する傾きが生じにくくバランスよく配置できるとともに、変換基板133のコネクタハウジング131方向(上方向)への移動を抑え、接続端子134a~cでしっかりと支持するように構成されている。さらに、
図1に示されるように、接続端子134a~c自体が接続端子固定接着剤134gでコネクタハウジング131に固定されること、及び、変換基板133に実装されているリードタイプの発熱部品133hが放熱性接着剤133gによってコネクタハウジング131に固定されることで、変換基板133のコネクタハウジング131への間接的な固定を行っている。このように、変換基板133が、コネクタハウジング131とは直接接触しないように基板収容部131aの他端から離隔して設けられていることで、リードタイプの発熱部品133hから周囲の放熱性接着剤133gに伝わった熱が、変換基板133へと伝わるのを抑制できる。
【0056】
以上に加えて、変換基板133は、その側部が基板収容部131aの外周から離隔するように設けられていることにより、変換基板133とコネクタハウジング131の熱による線膨張係数の違いから生じる、コネクタハウジング131から変換基板133へ加わる応力を生じさせないようにすることができる。これにより、線膨張係数の違いから生じる、コネクタハウジング131から変換基板133へ加わる応力による、変換基板133の破損を防止することができる。
【0057】
<変換基板への第3の熱移動抑制手段(可撓性結線材)>
前述の可撓性結線材132は、変換基板133への第3の熱移動抑制手段として用いられる。具体的には、可撓性結線材132は、例えば、可撓性を有するフレキシブルプリント基板(FPC)、薄板状の導電部材、リード線単体、リード線の集合体等から形成されており、内部空間Sにおいて、湾曲又は屈曲した状態で、複数のリードピン128と電極135との間を接続している。よって、複数のリードピン128と電極135との間の接続距離を、比較的大きく設定することができる。また、通常の配線材よりも可撓性結線材132は細く、断面積が小さくなっている。これにより、本実施形態において、半導体センサチップ126側の熱が、伝熱経路の長い可撓性結線材132を介するため、また、断面積が小さくされているため、変換基板133へと熱伝導されることを抑制することができる。
【0058】
<本体の組み立て工程>
本体130の組み立て工程では、まず、三本の接続端子134a~cを本体130に挿入する。そして、挿入された接続端子134a~cが本体130に固定されるように、
図1に示すように、接続端子固定接着剤134gを接続端子134a~cの周囲に塗布(充填)する。ただし、塗布される厚さは、接続端子固定接着剤134gが変換基板133に付着しないように定める。次に、同様に
図1に示すように、本体130の接着剤溜まり領域131eに放熱性接着剤133gを充填する。ただし、放熱性接着剤133gの充填は、接着剤溜まり領域131eの充填可能な空間容積の半分~80%程度とし、充填可能容積の限界までは充填しない。
【0059】
ここで、リードタイプの発熱部品133hは変換基板133に前もって組付けられ、さらに、3本のリード133l1~133l3のうちの中央のL字型に折り曲げられたリード133l2は、変換基板133上のパッド133p上にはんだ付けにより接合される。
【0060】
そして、接続端子134a~cが3本のスルーホール134tを挿通するようにしつつ、変換基板133を、本体130に挿入する。このとき、リードタイプの発熱部品133hは、基板対向面131a1側に突出していることから、本体130の接着剤溜まり領域131e内に充填された放熱性接着剤133gに挿入される。次に、変換基板133が挿入された本体130をオーブンに入れて、加熱し放熱性接着剤133g、接続端子固定接着剤134gを硬化させる。この加熱工程は変換基板133の初期の吸湿によるマイグレーション防止の為、変換基板133の乾燥の目的も含んでいる。なお、接続端子134a~cは、変換基板133上において既に配列密度が小さくなっていることいることから、3本のスルーホール134t間のイオンマイグレーション発生は防止されている。そして、接続端子134a~c及びリードタイプの発熱部品133hのリード133l1~133l3のうち両端の2本であるリード133l1及びリード133l3を変換基板133へはんだ付けする。最後に、はんだ付けが適正になされているかを確認するため、はんだ検査を行う。なお、本実施形態では、変換基板133に組付けられたリードタイプの発熱部品133hは、接続端子134a~cと同時にはんだ付けされる場合を説明した。しかし、変換基板133を、本体130に挿入する前に、変換基板133に組付けられたリードタイプの発熱部品133hをはんだ付けしても良い。すなわち、リードタイプの発熱部品133hを変換基板133に組付けたときに1回目のはんだ付けが行われ、変換基板133を、本体130に挿入した後に2回目のはんだ付けとして接続端子134a~cのはんだ付けが行われる。
【0061】
<圧力センサの組み立て工程>
次に、圧力センサ100の組み立て工程について説明する。まず、圧力検出部120及び上記のごとく信号送出部(本体)130をそれぞれ組み立てる。そして、圧力検出部120において、オイル充填用パイプ129を介して、封入オイルを液封室124Aに充填させるとともに、オイル充填用パイプ129を閉塞させる。さらに、この圧力検出部120に、流体導入部110を溶接等により固定させる。その後、圧力検出部120の複数のリードピン128と、信号送出部130の変換基板133とを、それぞれ上方を向くように並列配置させ、可撓性結線材132の一方及び他方を、複数のリードピン128及び変換基板133上の電極135の表面上にそれぞれ固定させる。さらに、圧力検出部120と信号送出部130とを、湾曲又は屈曲した可撓性結線材132を介して、同一軸線上に対向配置させ、圧力検出部120と信号送出部130との間に、粘着シート142を挟持させる。最後に、カシメ板141の一端側及び他端側を、流体導入部110のベースプレート112及び信号送出部130のコネクタハウジング131のそれぞれに係合させ、流体導入部110、圧力検出部120、及び、信号送出部130を、一体的に固定させる。
【0062】
ここで、圧力センサ100において、湾曲又は屈曲した可撓性結線材132を採用しない場合には、圧力センサ100の組み立て工程は、例えば、中心軸線C方向の一端側から他端側へと積み上げるように、組み立てることが必要であった。よって、組み立て工程の自由度が極めて低いため、組み立て時間の短縮を図ることは困難となっていた。しかしながら、本実施形態においては、圧力検出部120と信号送出部130との間を、湾曲又は屈曲した可撓性結線材132を介して接続させることにより、圧力センサ100の組み立て工程の自由度を高くできるため、組み立て時間の短縮を図ることができる。
【0063】
<種々のリードタイプの発熱部品>
図6は、本発明の複数の実施形態に係る圧力センサのトランジスタ等の発熱部品が変換基板にはんだ付けされている様子を示す概略斜視図である。
図6(a)は、発熱部品のリードの延出方向が変換基板の裏表を貫く方向と平行、すなわちリードの延出方向が変換基板平面に対し垂直である場合の一実施形態を示す概略斜視図であり、
図6(b)は、発熱部品のリードの延出方向が変換基板の裏表を貫く方向と平行、すなわちリードの延出方向が変換基板平面に対し垂直である場合の他の実施形態を示す概略斜視図であり、
図6(c)は、発熱部品のリードの延出方向が変換基板の平面に平行である場合の一実施形態を示す概略斜視図であり、
図6(d)は、発熱部品のリードの延出方向が変換基板の平面に平行である場合の他の実施形態を示す概略斜視図である。
【0064】
図6(a)に示されているように、前記の実施形態では、リードタイプの発熱部品(トランジスタ)133hは、変換基板133に対して垂直に配置されている。また、発熱部品133hの中央のリード133l2のみがL字型に折り曲げられパッド133p上にはんだ付けされ接合されており、残りのリード133l1と133l3は変換基板133に設けられたスルーホール133tを挿通している。
【0065】
図6(b)に示されているように、本実施形態では、リードタイプの発熱部品(トランジスタ)233hは、変換基板233に対して垂直に配置されている。また、発熱部品233hの中央のリード233l2のみが変換基板233に設けられたスルーホール233tを挿通しており、残りのリード233l1と233l3はL字型に折り曲げられパッド233p上にはんだ付けされ接合されている。
【0066】
図6(c)に示されているように、本発明の他の実施形態では、リードタイプの発熱部品(トランジスタ)333hは、変換基板333に対して平行に配置されている。このとき、発熱部品333hの中央のリード333l2のみが変換基板333に平行に伸びた後、折り曲げられることで変換基板333に設けられたスルーホール333tを挿通しており、残りのリード333l1と333l3は変換基板333に平行に伸びて先端がパッド333p上にはんだ付けされ接合されている。
【0067】
図6(d)に示されているように、本発明のさらなる他の実施形態では、リードタイプの発熱部品(トランジスタ)433hは、変換基板433に対して平行に配置されている。このとき、発熱部品433hの中央のリード433l2のみが変換基板433に平行に伸びて先端がパッド433p上にはんだ付けされ接合されており、残りのリード433l1と433l3は変換基板433に平行に伸びた後、折り曲げられることで変換基板433に設けられたスルーホール433tを挿通している。
【0068】
なお、本実施形態では中心軸線Cに垂直、すなわち、信号送出部130が圧力検出部120と隣接する方向と垂直な方向に配置されている変換基板333および433に対して、それぞれ発熱部品333hおよび433hが平行に配置される場合を説明したが、中心軸線Cに平行、すなわち、信号送出部130が圧力検出部120と隣接する方向と平行な方向に配置されている変換基板333および433に対して、それぞれ発熱部品333hおよび433hが平行に配置されても良い。また、本実施形態では、リードがL字型に折り曲げられる場合を説明したが、リードは、クランク状に2か所で折り曲げられても良い。
【0069】
このように、変換基板333および433に対して、それぞれ発熱部品333hおよび433hが平行に配置される場合でも、前記の実施機形態と同様にスルーホール間のイオンマイグレーションを防止することができる。
【0070】
以上のような構成によれば、変換基板の吸湿による、スルーホール間のイオンマイグレーションを防止することができる信号変換装置および圧力センサを提供することができる。
【符号の説明】
【0071】
100 圧力センサ
110 流体導入部
111 継手部材
112 ベースプレート
120 圧力検出部
121 ハウジング
122 ダイヤフラム
123 保護カバー
124 ハーメチックガラス
124A 液封室
125 支柱
126 半導体センサチップ
127 電位調整部材
128 リードピン
129 オイル充填用パイプ
130 信号送出部(本体)
131 コネクタハウジング
131a 基板収容部
131a1 基板対向面
131b コネクタ接続部
131c 隔壁部
131e 接着剤溜まり領域
131m 面取り部
131w 接着剤溜まり壁面
132 可撓性結線材
133 変換基板
133a 一端面
133b 他端面
133f 開口部
133g 放熱性接着剤
133h 発熱部品
133k 切り欠き部
133l1 リード
133l2 L字型に折り曲げられたリード
133l3 リード
133n ランド部
133p パッド
133t スルーホール
134a 接続端子
134b 接続端子
134c 接続端子
134d 一端部
134e 他端部
134f 段差
134t スルーホール
135 電極
136 基板回り止め
140 接続部材
141 カシメ板
142 粘着シート
151 熱放射性を有する樹脂シート
152 熱放射性を有する接着剤
233 変換基板
233h 発熱部品
233l1 L字型に折り曲げられたリード
233l2 リード
233l3 L字型に折り曲げられたリード
233p パッド
233t スルーホール
333 変換基板
333h 発熱部品
333l1 リード
333l2 L字型に折り曲げられたリード
333l3 リード
333p パッド
333t スルーホール
433 変換基板
433h 発熱部品
433l1 L字型に折り曲げられたリード
433l2 リード
433l3 L字型に折り曲げられたリード
433p パッド
433t スルーホール
C 中心軸線
L 変換基板とハウジングとの中心軸線方向の距離
S 内部空間