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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018514
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】小荷物専用昇降機
(51)【国際特許分類】
   B66B 7/02 20060101AFI20240201BHJP
   B66B 11/04 20060101ALI20240201BHJP
   B66B 13/30 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B66B7/02 C
B66B11/04 B
B66B13/30 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121903
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】591106118
【氏名又は名称】サイタ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】細田 敏行
(72)【発明者】
【氏名】細田 典男
【テーマコード(参考)】
3F305
3F306
3F307
【Fターム(参考)】
3F305AA09
3F305BD06
3F305BD08
3F305BD09
3F306AA01
3F306BC04
3F307AA03
3F307BA01
3F307CD26
(57)【要約】
【課題】ガイドレールを昇降路内に容易にかつ精度良く設置することができる小荷物専用昇降機を提供する。
【解決手段】小荷物専用昇降機は、昇降路1内に立設された4本のガイドレール2と、各ガイドレール2に沿って昇降自在な小荷物運搬用のかご3と、かご3にロープ4を介して連結された釣り合い錘5と、ロープ4を作動させてかご3を昇降駆動する昇降駆動装置6とを備えており、各ガイドレール2は、矩形状に連続する左右のRGブラケット8と前後のクロスメンバー9にて四方を支持されたフレーム構造とされており、左右のRGブラケット8に、昇降路1の一側壁に配設される一対のガイドレール2の対向間距離を規定する位置決め用のリテーナ11A1,11A2,11B1,11B2が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降路内に立設された複数のガイドレールと、
複数の前記ガイドレールに沿って昇降自在な小荷物運搬用のかごと、
前記かごにロープを介して連結された釣り合い錘と、
前記ロープを作動させて前記かごを昇降駆動する昇降駆動装置と、
を備え、
複数の前記ガイドレールは、矩形状に連続する4つの梁部材を用いて自立可能なフレーム構造とされており、
前記梁部材に、前記昇降路の一側壁に配設される一対の前記ガイドレールの対向間距離を規定する位置決め用のリテーナが設けられている、
ことを特徴とする小荷物専用昇降機。
【請求項2】
請求項1に記載の小荷物専用昇降機において、
4つの前記梁部材のうち、2つの前記梁部材が相対向する前記ガイドレールに固定されるレールゲージブラケットであり、残り2つの前記梁部材が対をなす前記レールゲージブラケットに連結されるクロスメンバーであり、
2つの前記レールゲージブラケットに前記リテーナがそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする小荷物専用昇降機。
【請求項3】
請求項2に記載の小荷物専用昇降機において、
前記リテーナは、前記ガイドレールの奥行方向の対向間距離を規定する第1規定部と、前記ガイドレールの幅方向の対向間距離を規定する第2規定部とを有し、
前記ガイドレールの互いに直交する二面の一方面に前記第1規定部が密着されていると共に、他方面に前記第2規定部が密着されている、
ことを特徴とする小荷物専用昇降機。
【請求項4】
請求項2に記載の小荷物専用昇降機において、
前記クロスメンバーの少なくとも一方の端部は、水平方向に延びる長孔に挿通されたボルトにより前記レールゲージブラケットに固定されている、
ことを特徴とする小荷物専用昇降機。
【請求項5】
請求項2に記載の小荷物専用昇降機において、
前記昇降路の昇降経路に複数の停止位置が設定されていると共に、複数の前記停止位置のそれぞれに、前記かごに対して小荷物を出し入れする荷物出し入れ口が設けられており、
前記荷物出し入れ口の上枠に前記クロスメンバーがボルト締結されている、
ことを特徴とする小荷物専用昇降機。
【請求項6】
請求項2に記載の小荷物専用昇降機において、
前記昇降路のピットに、四隅のレール受けを介して枠状に一体化されたピットベースが載置されており、
前記ガイドレールは、繋ぎ部を介して鉛直方向に連結された複数の分割レールからなり、
最下段の前記分割レールは、前記レール受けに密着させた状態で前記ピットベースの四隅に立設されている、
ことを特徴とする小荷物専用昇降機。
【請求項7】
請求項6に記載の小荷物専用昇降機において、
前記繋ぎ部を介して連続する2つの前記分割レールに対してプレートナットがボルト締めされており、
前記プレートナットと前記リテーナとが共締めされている、
ことを特徴とする小荷物専用昇降機。
【請求項8】
請求項1に記載の小荷物専用昇降機において、
複数の前記ガイドレールの頂端部に一対のビーム受けが固定されていると共に、これらビーム受け間にマシンビームが架設されており、
前記昇降駆動装置は、前記マシンビーム上に載置された状態で機械室の内部に配置されている、
ことを特徴とする小荷物専用昇降機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小荷物専用昇降機に関する。
【背景技術】
【0002】
建屋に設置される昇降機の一形態として、比較的軽量で小型の荷物を専用に運搬する小荷物専用昇降機が知られている。一般的に、この種の小荷物専用昇降機は、複数の停止位置が設定された昇降路と、昇降路に設けられたガイドレールに沿って昇降自在な小荷物運搬用のかごと、ロープを介してかごに連結された釣り合い錘と、ロープを作動させてかごを昇降駆動する昇降駆動装置などを備えており、複数の停止位置にはかごに対して小荷物を出し入れするための荷物出し入れ口が設置されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
従来、このような荷物専用昇降機において、かご及び釣り合い錘の昇降軌道となるガイドレールを昇降路内に敷設する場合、予め昇降路壁に固定した支持ブラケットにガイドレールをボルト締結するようにしている。その際に建屋構造がRC(鉄筋コンクリート造)の場合は、支持ブラケットを昇降路壁にアンカーボルトで固定し、建屋が鉄骨構造の場合は、複数の水平桟(中間ビーム)を昇降路壁に付設し、これら水平桟に支持ブラケットを溶接固定していた。また、支持ブラケットのアンカーボルト固定や水平桟の付設が困難な場合は、昇降路の内側に専用の鉄骨構造物を立設し、この鉄骨構造物の水平桟に支持ブラケットをボルト締結してガイドレールを敷設していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-229565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した従来技術は、予め昇降路壁に固定した支持ブラケットにガイドレールをボルト締結するものであり、ガイドレールに求められる水平方向の距離間精度(レールゲージ精度)が支持ブラケットの取付位置に依存するため、支持ブラケットを昇降路壁に固定する施工難易度が高く、精度を確保するのには作業者の相当の熟練度と施工時間を必要とするという課題があった。また、昇降路の内側に専用の鉄骨構造物を立設し、この鉄骨構造物の水平桟にボルト締結した支持ブラケットにガイドレールを敷設する場合、施工難易度が高くて多くの施工時間を要するという課題だけでなく、昇降路内に鉄骨構造物を設置するためのスペースが必要になるという課題もあった。
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたもので、その目的は、かご及び釣り合い錘の昇降軌道となるガイドレールを昇降路内に容易にかつ精度良く設置することができる小荷物専用昇降機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る小荷物専用昇降機の一態様は、昇降路内に立設された複数のガイドレールと、複数の前記ガイドレールに沿って昇降自在な小荷物運搬用のかごと、前記かごにロープを介して連結された釣り合い錘と、前記ロープを作動させて前記かごを昇降駆動する昇降駆動装置と、を備え、複数の前記ガイドレールは、矩形状に連続する4つの梁部材を用いて自立可能なフレーム構造とされており、前記梁部材に、前記昇降路の一側壁に配設される一対の前記ガイドレールの対向間距離を規定する位置決め用のリテーナが設けられている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の小荷物専用昇降機によれば、かご及び釣り合い錘の昇降軌道となるガイドレールを昇降路内に容易にかつ精度良く設置することができる。なお、上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る小荷物専用昇降機の外観斜視図である。
図2】実施形態に係る小荷物専用昇降機の縦断面図である。
図3】実施形態に係る小荷物専用昇降機の横断面図である。
図4図3のA部詳細図である。
図5】RGブラケットとクロスメンバーの斜視図である。
図6】ピットベースに対するガイドレールの取付状態を示す斜視図である。
図7】ガイドレールに対するRGブラケットとクロスメンバーの取付作業を示す斜視図である。
図8】ガイドレールを構成する分割レールの繋ぎ部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0011】
図1は実施形態に係る小荷物専用昇降機の外観斜視図、図2は実施形態に係る小荷物専用昇降機の縦断面図、図3は実施形態に係る小荷物専用昇降機の横断面図、図4図3のA部詳細図である。なお、説明の便宜のため、X軸とY軸およびZ軸をそれぞれ図1に示すように定義する。
【0012】
本実施形態に係る小荷物専用昇降機は、1階と2階の間で小荷物を搬送するように構成されたものである。図1図2に示すように、この小荷物専用昇降機は、昇降路1内に立設された複数(例えば4本)のガイドレール2と、各ガイドレール2に沿って昇降自在な小荷物運搬用のかご3と、かご3にロープ4を介して連結された釣り合い錘(カウンターウエイト)5と、ロープ4を作動させてかご3を昇降駆動する昇降駆動装置6等を備えており、昇降路1には1階と2階が停止位置として設定されている。
【0013】
昇降路1が設けられる建屋の建屋構造は特に限定されず、例えばRC(鉄筋コンクリート造)や鉄骨構造である。昇降路1の1階と2階に設定された停止位置には、かご3に対して小荷物を出し入れするための荷物出し入れ口7が設けられている。荷物出し入れ口7は、左右一対の側枠7a,7bおよび上枠7cが連続する門形の三方枠と、両側枠7a,7bの下端に連結されるシル16とで区画形成されており、荷物出し入れ口7の裏側には上下開き式の出し入れ口戸7eが設けられている。また、荷物出し入れ口7の上枠7cには、昇降指令用の操作ボタン等を有する操作パネル7fが設置されている。
【0014】
ガイドレール2は角型鋼管からなり、かご3はガイドレール2にガイドされて昇降路1の昇降経路内を昇降する。ガイドレール2はかご3を挟んで対向する昇降路1の両壁面に沿って2本ずつ、合計で4本設置されており、その中の2本は釣り合い錘5のガイドを兼ねている。詳細については後述するが、4本のガイドレール2は、左右一対のレールゲージブラケット(以下、RGブラケットと称す)8と前後一対のクロスメンバー9にて四方を支持されたフレーム構造として昇降路1内に立設されている。
【0015】
かご3には小荷物を出し入れする上下開き式のかご戸3aが設けられており、かご3はかご戸3aを閉じた状態で昇降経路内を昇降動作する。かご戸3aには荷物出し入れ口7に設けられた出し入れ口戸7eの開閉作動に連動する機構が設けられており、かご3が荷物出し入れ口7に対応する停止位置した状態で、荷物出し入れ口7の出し入れ口戸7eが開閉操作されると、その開閉操作に連動してかご戸3aが開閉するようになっている。
【0016】
昇降駆動装置6は、ロープ4を摩擦力で駆動するシーブや、シーブを駆動するモータおよび減速機等で構成されている。昇降駆動装置6は、昇降路1の上方に設けられた機械室10内に配置されており、機械室10の内部には、操作パネル7fからの指令に基づいて昇降駆動装置6の動作を制御する制御盤19が配置されている。
【0017】
図3図4に示すように、かご3は4本のガイドレール2によって上下方向にガイドされており、そのうち2本は釣り合い錘5のガイドレールとして兼用されている。かご3はかごガイドシュー25を介してガイドレール2に当接しており、釣り合い錘5はCWガイドシュー26を介してガイドレール2に当接している。
【0018】
次に、ガイドレール2のフレーム構造について図5図8を用いて説明する。ここで、図5はRGブラケット8とクロスメンバー9の斜視図、図6はピットベースに対するガイドレール2の取付状態を示す斜視図、図7はガイドレール2に対するRGブラケット8とクロスメンバー9の取付作業を示す斜視図、図8はガイドレール2を構成する分割レールの繋ぎ部を示す説明図である。
【0019】
図5に示すように、一対のRGブラケット8は長板状の梁部材であり、これらRGブラケット8により各ガイドレール2の対向間距離が規定されるようになっている。
【0020】
一方のRGブラケット8には、ガイドレール2のY軸方向(奥行方向)の対向間距離を規定するL字形状のリテーナ11A1と、ガイドレール2のX軸方向(幅方向)の対向間距離を規定する板状のリテーナ11A2とが、それぞれ近接した位置に2つずつ設けられている。2つのリテーナ11A1は、RGブラケット8の所定位置にボルト締めにより固定されており、これらリテーナ11A1から起立する両突片間の長さがガイドレール2のY軸方向の対向間距離に設定されている。2つのリテーナ11A2は、リテーナ11A1の突片の内側位置において、RGブラケット8の板面に溶接により固定されている。
【0021】
他方のRGブラケット8には、ガイドレール2のY軸方向の対向間距離を規定するコ字形状(凹状)のリテーナ11B1と、ガイドレール2のX軸方向の対向間距離を規定するL字形状のリテーナ11B2とが、それぞれ近接した位置に2つずつ設けられている。2つのリテーナ11B1は、RGブラケット8の所定位置にボルト締めにより固定されており、これらリテーナ11B1の内側から起立する両突片間の長さがガイドレール2のY軸方向の対向間距離に設定されている。2つのリテーナ11B2は、リテーナ11B1の内側から起立する突片にボルト締めにより固定されている。また、リテーナ11B1の外側から起立する突片には水平方向に延びる長孔11aが穿設されており、後述するように、長孔11aに挿通したボルトによりRGブラケット8とクロスメンバー9が固定されるようになっている。
【0022】
なお、リテーナ11A1,11A2やリテーナ11B1,11B2をRGブラケット8に設ける固定手段は上記実施形態に限定されず、例えば、リテーナ11A1とリテーナ11B1をボルト締めの代わりに溶接を用いて固定しても良く、あるいは、プレス加工等を用いてRGブラケット8に一体形成するようにしても良い。
【0023】
一対のクロスメンバー9は長板状の梁部材であり、これらクロスメンバー9は、左右のRGブラケット8の端部にボルト締めにより連結されるようになっている。
【0024】
これら一対のRGブラケット8と一対のクロスメンバー9を枠状に組み合わせてガイドレール2のフレーム構造が形成されている。図6に示すように、ガイドレール2のフレーム構造は、昇降路1のピットに載置されたピットベース12を基礎として形成されるようになっている。ピットベース12は、フレーム構造の基礎寸法を設定するものであり、4本のベース材がレール受け13を介して枠状に連結されている。ピットベース12は、予め工場内で各部の寸法精度を確保した状態で一体化されたものであり、水平度を適正に調整した状態でピットに固定されたピットベース12に対して、4本のガイドレール2が対応するレール受け13の二面に密着状態でボルト締結されている。
【0025】
ここで、各ガイドレール2は繋ぎ部を介して連結される複数の分割レールにて構成されており、分割される分割レールの本数や個々の長さは、昇降路1の高さ(Z軸方向)寸法や停止階のホール床位置等に応じて適宜設定されている。本実施形態では、ピット底面から1階と2階の中間付近に至る長さに設定されたガイドレール2が最下段の分割レールとして用いられており、これら4本のガイドレール(分割レール)2がピットベース12の四隅に立設されている。
【0026】
このようにピットベース12の四隅に立設された最下段の各ガイドレール(分割レール)2に対し、左右のRGブラケット8と前後のクロスメンバー9が1階のホール床付近の高さに組付けられている。これらRGブラケット8とクロスメンバー9の組付け工程について説明すると、図7に示すように、まず1階のホール床付近の高さで、クランパー14を用いてガイドレール2に左右のRGブラケット8を仮固定する。その際、左右のRGブラケット8に設けられたリテーナ11A1,11B1の突片をそれぞれ対応する2本のガイドレール2の二側面に密着させることにより、各ガイドレール2の奥行方向(Y軸方向)の対向間距離と垂直平行度が高精度に規定される。
【0027】
同時に、左右のRGブラケット8に設けられたリテーナ11A2,11B2を、ガイドレール2におけるリテーナ11A1,11B1の突片が密着する面と直交する面に密着させる。そして、この状態でRGテンプレート15を2本のガイドレール2に密着させながら、前後のクロスメンバー9を左右のRGブラケット8にボルト締結することにより、各ガイドレール2の幅方向(X軸方向)の対向間距離が規定される。その際、リテーナ11B1に設けられたボルト挿通用孔が水平方向を長軸とする長孔11aとなっているため、この長孔11aを調整代としてRGブラケット8とクロスメンバー9のボルト締結位置を微調整することにより、各ガイドレール2のX軸方向の対向間距離が精度良く規定される。
【0028】
なお、1階のホール床付近に高さ調整される前側のクロスメンバー9にはシル16が付設されており、このシル16は1階の荷物出し入れ口7の下端(床位置)に連結される(図1参照)。そして、クロスメンバー9をRGブラケット8にボルト締結後にRGテンプレート15を取り外し、左右のRGブラケット8のリテーナ11A1,11B1を対応するガイドレール2に強固に本固定してからクランパー14を取り外すことにより、ガイドレール2自身がフレーム化され、ガイドレール2の自立構造が形成される。その後、フレーム構造に組付けたガイドレール2の振れを防止するために、左右のRGブラケット8と前後のクロスメンバー9に螺合した振れ止めボルト(図示せず)を昇降路1の内壁に突き当てる。
【0029】
1階の荷物出し入れ口7の上枠7cの高さ位置において、フレーム構造に組付けられた最下段の各ガイドレール2に対して、2段目の左右のRGブラケット8と前後のクロスメンバー9が上記と同様の手順により組付けられている。ここで、2段目のクロスメンバー9にシル16は付設されておらず、このクロスメンバー9は1階の荷物出し入れ口7の上枠7cにボルト締結されている。
【0030】
フレーム構造に組付けられた最下段の各ガイドレール(分割レール)2は、1階と2階の中間付近において次段のガイドレール(分割レール)2と繋ぎ合わされており、この繋ぎ部における上下の各ガイドレール2に対して、3段目の左右のRGブラケット8と前後のクロスメンバー9が上記と同様の手順により組付けられている。図8に示すように、この繋ぎ部において、上下に分割された2本のガイドレール2を挟んだ両側面にRGブラケット8のリテーナ11B1(または11A1)とプレートナット17とが配置され、これらリテーナ11B1(または11A1)とプレートナット17がボルト18により共締めされている。これにより、ガイドレール2に対するRGブラケット8のボルト締めとプレートナット17のボルト締めとを同時に行うことができる。なお、3段目のクロスメンバー9にシル16は付設されていない。
【0031】
最下段の分割レールに連結された次段のガイドレール2に対して、4段目、5段目、6段目の左右のRGブラケット8と前後のクロスメンバー9が上記と同様の手順により組付けられている。ここで、4段目のクロスメンバー9にはシル16が付設されており、このシル16は2階の荷物出し入れ口7の下端に連結されている。また、次段のガイドレール2の振れを防止するために、4段目のRGブラケット8とクロスメンバー9に螺合した振れ止めボルトが昇降路1の内壁に突き当てられている。また、5段目と6段目のクロスメンバー9にシル16は付設されておらず、5段目のクロスメンバー9は2階の荷物出し入れ口7の上枠7cにボルト締結されている。
【0032】
図1に示すように、次段のガイドレール(分割レール)2の頂端部に一対のビーム受け20がボルト締めされている。ビーム受け20は、断面がL字形の鋼材からなり、左右のRGブラケット8と平行(Y軸方向)に配置されている。また、左右のビーム受け20間を橋絡するように一対のマシンビーム21がボルト締結されている。マシンビーム21は、断面がC字形の鋼材からなり、前後のクロスメンバー9と平行(X軸方向)に配置されている。
【0033】
左右のビーム受け20には4本の支柱22が立設されており、これら支柱22に手摺り23が架設されていると共に、左右のビーム受け20間に床板24が敷設されている。これにより、昇降路1の上方に昇降駆動装置6等を収容するための機械室10が画成されている。ここで、機械室10の床面となる各ガイドレール2の頂端部は、互いに直交するビーム受け20とマシンビーム21により強度の高いフレーム構造となっているため、重量のある昇降駆動装置6をマシンビーム21上に安定的に支持することができる。
【0034】
また、フレーム構造のガイドレール2の内方において、かご3の枠部に取り付けられたかごガイドシュー25が4本のガイドレール2の側面に当接されていると共に、釣り合い錘5の枠部に取り付けられたCWガイドシュー26が2本のガイドレール2の側面に当接されている(図4参照)。これにより、かご3が4本のガイドレール2によって上下方向にガイドされ、釣り合い錘5が2本のガイドレール2によって上下方向にガイドされるようになっている。さらに、昇降駆動装置6のシーブに掛けたロープ4の一端がかご3に連結されており、ロープ4の他端が釣り合い錘5に連結されている。
【0035】
このように構成された小荷物専用昇降機において、荷物出し入れ口7に設けられた操作パネル7fにて昇降指令が発せられると、機械室10に配置された制御盤19は、その昇降指令が発せられた荷物出し入れ口7に対応する停止階にかご3を到着させるように昇降駆動装置6を作動させる。その際に、昇降駆動装置6のシーブを回転させ、シーブとロープ4の摩擦力でロープ4を駆動することにより、かご3が4本のガイドレール2にガイドされて昇降路1内を昇降し、それに伴って釣り合い錘5が2本のガイドレール2にガイドされてかご3と逆向きに昇降する。
【0036】
以上説明したように、本実施形態に係る小荷物専用昇降機は、昇降路1内に立設された4本のガイドレール2と、各ガイドレール2に沿って昇降自在な小荷物運搬用のかご3と、かご3にロープ4を介して連結された釣り合い錘5と、ロープ4を作動させてかご3を昇降駆動する昇降駆動装置6とを備え、各ガイドレール2は、矩形状に連続する左右のRGブラケット8と前後のクロスメンバー9を用いて自立可能なフレーム構造とされており、左右のRGブラケット8に、昇降路1の一側壁に配設される一対のガイドレール2の対向間距離を規定する位置決め用のリテーナ(11A1,11A2,11B1,11B2)が設けられているため、寸法精度が確保されたRGブラケット8とクロスメンバー9を現地で各ガイドレール2に組付けることにより、フレーム構造のガイドレール2を容易にかつ精度良く昇降路1内に立設することができる。これにより、昇降路壁に支持ブラケットを固定したり専用の鉄骨構造物を立設する必要がなくなり、建屋構造の種類に関わらず、ガイドレール2の施工時間と部品点数の削減を図ることができる。
【0037】
また、本実施形態に係る小荷物専用昇降機では、一方のガイドレール2に、ガイドレール2の奥行方向の対向間距離を規定するリテーナ(第1規定部)11A1と、ガイドレール2の幅方向の対向間距離を規定するリテーナ(第2規定部)11A2が設けられており、他方のガイドレール2に、ガイドレール2の奥行方向の対向間距離を規定するリテーナ(第1規定部)11B1と、ガイドレール2の幅方向の対向間距離を規定するリテーナ(第2規定部)11B2が設けられている。これにより、第1規定部であるリテーナ11A1,11B1をガイドレール2の互いに直交する二面の一方面に密着させ、第2規定部であるリテーナ11A2,11B2を他方面に密着させることで、ガイドレール2の奥行方向と幅方向の対向間距離を容易にかつ高精度に規定することができる。
【0038】
また、本実施形態に係る小荷物専用昇降機では、一方のRGブラケット8に固定されたリテーナ11Bに水平方向に延びる長孔11aが穿設されているため、前後のクロスメンバー9を左右のRGブラケット8にボルト締結する際に、長孔11aを調整代としてRGブラケット8とクロスメンバー9のボルト締結位置を高精度に調整することができる。
【0039】
また、本実施形態に係る小荷物専用昇降機では、昇降路1の昇降経路に複数の停止位置が設定されていると共に、複数の停止位置のそれぞれに、かご3に対して小荷物を出し入れする荷物出し入れ口7が設けられており、各階の荷物出し入れ口7の上枠7cにクロスメンバー9がボルト締結されているため、各階における荷物出し入れ口7の建屋開口部にガイドレール2を安定的に支持することができる。なお、本実施形態に係る小荷物専用昇降機は、1階と2階の間で小荷物を搬送するように構成されているが、停止位置の階数は2階に限定されず3階以上であっても良い。
【0040】
また、本実施形態に係る小荷物専用昇降機では、レール受け13を介して枠状に一体化されたピットベース12が昇降路1のピットに載置されており、複数に分割された最下段のガイドレール2がレール受け13に密着させた状態でピットベース12の四隅に立設されているため、予め寸法精度を確保して製品化されたピットベース12を現地に搬送して昇降路1のピットに載置することにより、高い寸法精度に規定されたフレーム構造のガイドレール2を昇降路1内容易に設置することができる。
【0041】
また、本実施形態に係る小荷物専用昇降機では、繋ぎ部を介して上下に連続する2本の分割レールに対してプレートナット17がボルト締めされており、このプレートナット17とRGブラケット8のリテーナ11B(または11A)とがボルト18により共締めされているため、上下に連続する2本の分割レールを平滑に接続することができる。
【0042】
また、本実施形態に係る小荷物専用昇降機では、最上段のガイドレール(分割レール)2の頂端部に一対のビーム受け20が固定されていると共に、これらビーム受け20間にマシンビーム21が架設されており、昇降駆動装置6がマシンビーム21上に載置された状態で機械室10内に配置されているため、機械室10の床面が互いに直交するビーム受け20とマシンビーム21により強度の高いフレーム構造となり、重量のある昇降駆動装置6を機械室10の床面に安定的に支持することができる。
【0043】
なお、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者ならば、本明細書に開示の内容から、各種の代替例、修正例、変形例あるいは改良例を実現することができ、これらは添付の特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0044】
1 昇降路
2 ガイドレール
3 かご
3a かご戸
4 ロープ
5 釣り合い錘
6 昇降駆動装置
7 荷物出し入れ口
7a,7b 側枠
7c 上枠
7e 出し入れ口戸
7f 操作パネル
8 RGブラケット(梁部材)
9 クロスメンバー(梁部材)
10 機械室
11A1,11B1 リテーナ(第1規定部)
11A2,11B2 リテーナ(第2規定部)
11a 長孔
12 ピットベース
13 レール受け
14 クランパー
15 RGテンプレート
16 シル
17 プレートナット
18 ボルト
19 制御盤
20 ビーム受け
21 マシンビーム
22 支柱
23 手摺り
24 床板
25 かごガイドシュー
26 CWガイドシュー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8