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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001852
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】複合材製造システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B29C 70/38 20060101AFI20231227BHJP
   B29C 70/46 20060101ALI20231227BHJP
   B29C 70/54 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
B29C70/38
B29C70/46
B29C70/54
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023075042
(22)【出願日】2023-04-28
(31)【優先権主張番号】63/366,783
(32)【優先日】2022-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】18/181,657
(32)【優先日】2023-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100163522
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 晋平
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【弁理士】
【氏名又は名称】崔 允辰
(72)【発明者】
【氏名】マーシン・エー・ラビエガ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・ケー・ルーイ
(72)【発明者】
【氏名】イーサン・ジー・シェラルド
(72)【発明者】
【氏名】トッド・ルドバーグ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・イー・ウッド
(72)【発明者】
【氏名】ルイス・エー・ペルラ
(72)【発明者】
【氏名】ブランドン・ポー
【テーマコード(参考)】
4F205
【Fターム(参考)】
4F205AC03
4F205AD16
4F205AG03
4F205AH31
4F205AJ08
4F205AR07
4F205HA14
4F205HA23
4F205HA37
4F205HA45
4F205HB01
4F205HK03
4F205HK19
4F205HK31
4F205HM13
4F205HT13
4F205HT26
(57)【要約】
【課題】複合材製造システム及び方法を提供すること。
【解決手段】複合材製造システムは、積層表面と、積層表面を延伸する第1の位置決め目標と、積層表面を延伸する第2の位置決め目標と、を含む、積層ツールを含む。システムは、第1の位置決め目標、第2の位置決め目標、及び積層表面のラインプロファイルを測定し、マスタ表面データ及びマスタ目標データを生成するためのコンピューター支援測定システムを含む。マスタ目標データは、第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標配置を表す。マスタ表面データは、ラインプロファイルのプロファイル配置を表す。ラインプロファイルは、目標対に関連付けられる。目標対の各々は、第1の位置決め目標のうちの1つと、第2の位置決め目標のうちの対向する1つと、を含む。システムは、マスタ目標データとマスタ表面データとの間の空間的関係を確立するマスタファイルを生成し、マスタファイルを積層ツールに関連付ける計算デバイスを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層ツール(108)であって、
積層表面(110)と、
前記積層ツール(108)の第1の側面(172)に沿って前記積層表面(110)を延伸する複数の第1の位置決め目標(112)と、
前記第1の側面(172)と反対側の、前記積層ツール(108)の第2の側面(174)に沿って、前記積層表面(110)を延伸する複数の第2の位置決め目標(152)と、
を備える、積層ツール(108)と、
前記第1の位置決め目標(112)、前記第2の位置決め目標(152)、及び前記積層表面(110)の一連のラインプロファイル(154)を測定し、マスタ表面データ(116)及びマスタ目標データ(118)を生成するように適合されるコンピューター支援測定システム(126)であって、
前記マスタ目標データ(118)が、前記第1の位置決め目標(112)及び前記第2の位置決め目標(152)の目標配置を表し、
前記マスタ表面データ(116)が、前記積層表面(110)の前記ラインプロファイル(154)のプロファイル配置を表し、
前記ラインプロファイル(154)の各々が、複数の目標対(156)のうちの1つに関連付けられ、前記複数の目標対(156)のうちの1つの間を延伸し、
前記目標対(156)の各々が、前記第1の位置決め目標(112)のうちの1つと、前記第2の位置決め目標(152)のうちの対向する1つと、
を備える、コンピューター支援測定システム(126)と、
前記マスタ目標データ(118)と前記マスタ表面データ(116)との間の空間的関係を確立するマスタファイル(114)を生成し、
前記マスタファイル(114)を前記積層ツール(108)に関連付ける
ように適合される計算デバイス(134)と、
を備える、複合材製造システム(100)。
【請求項2】
前記計算デバイス(134)が、
前記マスタファイル(114)を複数のゾーン(158)に分割し、
前記ゾーン(158)を前記積層表面(110)の対応する部分に関連付ける
ように適合され、
前記ゾーン(158)の各々が、前記ラインプロファイル(154)のうちの3つを表す前記マスタ表面データ(116)の一部と、前記ラインプロファイル(154)のうちの前記3つに関連付けられた前記目標対(156)のうちの3つを表す前記マスタ目標データ(118)の一部と、を備え、
前記ラインプロファイル(154)のうちの1つを表す前記マスタ表面データ(116)の一部、及び前記ラインプロファイル(154)のうちの前記1つに関連付けられた前記目標対(156)のうちの1つを表す前記マスタ目標データ(118)の一部が、前記ゾーン(158)の直接隣接する対によって共有されるように、前記ゾーン(158)の各々が、前記ゾーン(158)のうちの直接隣接する1つに重なる、
請求項1に記載の複合材製造システム(100)。
【請求項3】
前記コンピューター支援測定システム(126)が、前記第1の位置決め目標(112)及び前記第2の位置決め目標(152)を再測定し、測定された目標データ(128)を生成するように適合され、
前記測定された目標データ(128)が、前記第1の位置決め目標(112)及び前記第2の位置決め目標(152)の前記目標配置を表し、
前記計算デバイス(134)が、前記マスタファイル(114)によって確立された前記マスタ目標データ(118)と前記マスタ表面データ(116)との間の前記空間的関係に基づいて、前記測定された目標データ(128)から前記積層表面(110)の前記ラインプロファイル(154)の前記プロファイル配置を決定するように適合される、
請求項2に記載の複合材製造システム(100)。
【請求項4】
前記積層表面(110)の公称配置に基づいて、複合材設置動作を実施するよう構成された数値制御複合材設置機(102)を更に備え、
前記計算デバイス(134)が、
前記ゾーン(158)に関する前記マスタ表面データ(116)によって表される前記積層表面(110)の前記ラインプロファイル(154)の前記プロファイル配置を、前記積層表面(110)の対応する部分の公称配置と比較し、
前記プロファイル配置と前記公称配置との間の複数の局所偏差(178)を決定し、
前記局所偏差(178)から全体偏差(180)を決定し、
前記全体偏差(180)を前記数値制御複合材設置機(102)に転送する
ように適合され、
前記数値制御複合材設置機(102)が、前記全体偏差(180)に基づいて、数値制御プログラム経路(222)を補償する、
請求項3に記載の複合材製造システム(100)。
【請求項5】
前記コンピューター支援測定システム(126)が、前記ゾーン(158)のうちの1つに対応する前記第1の位置決め目標(112)及び前記第2の位置決め目標(152)のうちの選択されたものを再測定し、前記測定された目標データ(128)を生成するように適合され、
前記計算デバイス(134)が、
前記マスタ表面データ(116)によって表され、かつ前記マスタファイル(114)によって確立された前記マスタ目標データ(118)と前記マスタ表面データ(116)との間の前記空間的関係に基づいて前記測定された目標データ(128)から前記ゾーン(158)のうちの前記1つに対応する前記第1の位置決め目標(112)及び前記第2の位置決め目標(152)のうちの前記選択されたものに関連付けられた、前記積層表面(110)の前記ラインプロファイル(154)の前記プロファイル配置を決定し、
前記ゾーン(158)のうちの前記1つに関する前記マスタ表面データ(116)によって表される前記ラインプロファイル(154)の前記プロファイル配置を、前記積層表面(110)の対応する部分の前記公称配置と比較し、
前記プロファイル配置と前記公称配置との間の局所偏差(178)を決定し、
前記全体偏差(180)を前記局所偏差(178)で修正し、
前記全体偏差(180)を前記数値制御複合材設置機(102)に転送する
ように適合され、
前記数値制御複合材設置機(102)が、前記局所偏差(178)によって修正された前記全体偏差(180)に基づいて前記数値制御プログラム経路(222)を補償する、
請求項4に記載の複合材製造システム(100)。
【請求項6】
積層ツール(108)の第1の位置決め目標(112)、第2の位置決め目標(152)、及び積層表面(110)の一連のラインプロファイル(154)を測定するステップと、
マスタ表面データ(116)及びマスタ目標データ(118)を生成するステップであって、
前記マスタ目標データ(118)が、前記第1の位置決め目標(112)及び前記第2の位置決め目標(152)の目標配置を表し、
前記マスタ表面データ(116)が、前記積層表面(110)の前記ラインプロファイル(154)のプロファイル配置を表し、
前記ラインプロファイル(154)の各々が、複数の目標対(156)のうちの1つに関連付けられ、複数の目標対(156)のうちの1つの間を延伸し、
前記目標対(156)の各々が、前記第1の位置決め目標(112)のうちの1つ、及び前記第2の位置決め目標(152)のうちの対向する1つを備える、
ステップと、
前記マスタ目標データ(118)と前記マスタ表面データ(116)との間の空間的関係を確立するマスタファイル(114)を生成するステップと、
前記マスタファイル(114)を前記積層ツール(108)に関連付けるステップと、
を含む、複合材製造方法(1000)。
【請求項7】
前記マスタファイル(114)を複数のゾーン(158)に分割するステップと、
前記ゾーン(158)を前記積層表面(110)の対応する部分に関連付けるステップと、
を更に含み、
前記ゾーン(158)の各々が、前記ラインプロファイル(154)のうちの3つを表す前記マスタ表面データ(116)の一部と、前記ラインプロファイル(154)のうちの前記3つに関連付けられた前記目標対(156)のうちの3つを表す前記マスタ目標データ(118)の一部と、を備え、
前記ラインプロファイル(154)のうちの1つを表す前記マスタ表面データ(116)の一部、及び前記ラインプロファイル(154)のうちの前記1つに関連付けられた前記目標対(156)のうちの1つを表す前記マスタ目標データ(118)の一部が、前記ゾーン(158)の直接隣接する対によって共有されるように、前記ゾーン(158)の各々が、前記ゾーン(158)のうちの直接隣接する1つに重なる、
請求項6に記載の複合材製造方法(1000)。
【請求項8】
前記第1の位置決め目標(112)及び前記第2の位置決め目標(152)を再測定するステップと、
測定された目標データ(128)を生成するステップであって、前記測定された目標データ(128)が、前記第1の位置決め目標(112)及び前記第2の位置決め目標(152)の前記目標配置を表す、ステップと、
前記マスタファイル(114)によって確立された前記マスタ目標データ(118)と前記マスタ表面データ(116)との間の前記空間的関係に基づいて、前記測定された目標データ(128)から前記積層表面(110)の前記ラインプロファイル(154)の前記プロファイル配置を決定するステップと、
を更に含む、請求項7に記載の複合材製造方法(1000)。
【請求項9】
前記ゾーン(158)に関する前記マスタ表面データ(116)によって表される前記ラインプロファイル(154)の前記プロファイル配置を、前記積層表面(110)の対応する部分の公称配置と比較するステップと、
前記プロファイル配置と前記公称配置との間の複数の局所偏差(178)を決定するステップと、
前記局所偏差(178)から全体偏差(180)を決定するステップと、
前記全体偏差(180)を数値制御複合材設置機(102)に転送するステップと、
前記全体偏差(180)に基づいて、前記数値制御複合材設置機(102)の数値制御プログラム経路(222)を補償するステップと、
前記全体偏差(180)に基づいて補償される前記数値制御プログラム経路(222)に従って、前記数値制御複合材設置機(102)を使用して複合材設置動作を実施するステップと、
を更に含む、請求項8に記載の複合材製造方法(1000)。
【請求項10】
前記ゾーン(158)のうちの1つに対応する前記第1の位置決め目標(112)及び前記第2の位置決め目標(152)のうちの選択されたものを再測定するステップと、
前記測定された目標データ(128)を生成するステップと、
前記マスタファイル(114)によって確立された前記マスタ目標データ(118)と前記マスタ表面データ(116)との間の前記空間的関係に基づいて前記測定された目標データ(128)から前記ゾーン(158)のうちの前記1つに対応する前記第1の位置決め目標(112)及び前記第2の位置決め目標(152)のうちの前記選択されたものに関連付けられた、前記積層表面(110)の前記ラインプロファイル(154)の前記プロファイル配置を決定するステップと、
前記ゾーン(158)のうちの前記1つに関する前記マスタ表面データ(116)によって表される前記ラインプロファイル(154)の前記プロファイル配置を、前記積層表面(110)の対応する部分の前記公称配置と比較するステップと、
前記プロファイル配置と前記公称配置との間の局所偏差(178)を決定するステップと、
前記全体偏差(180)を前記局所偏差(178)で修正するステップと、
前記全体偏差(180)を前記数値制御複合材設置機(102)に転送するステップと、
前記全体偏差(180)に基づいて、前記数値制御プログラム経路(222)を補償するステップと、
前記全体偏差(180)に基づいて補償される前記数値制御プログラム経路(222)に従って、前記数値制御複合材設置機(102)を使用して前記複合材設置動作を実施するステップと、
を更に含む、請求項9に記載の複合材製造方法(1000)。
【請求項11】
前記数値制御複合材設置機(102)によって実施される前記複合材設置動作中に、前記積層ツール(108)の前記積層表面(110)に形成された複合材積層体(240)を検査するステップと、
前記複合材積層体(240)の異常を検出するステップと、
前記異常の位置に関連する前記積層表面(110)の部分に対応する前記ゾーン(158)のうちの1つを決定するステップと、
を更に含み、
再測定された前記第1の位置決め目標(112)及び前記第2の位置決め目標(152)のうちの前記選択されたものが、前記ゾーン(158)のうちの前記1つに対応する、
請求項10に記載の複合材製造方法(1000)。
【請求項12】
複数の積層ツール(108)の各々の前記第1の位置決め目標(112)、前記第2の位置決め目標(152)、及び前記積層表面(110)の一連の前記ラインプロファイル(154)を測定するステップと、
前記積層ツール(108)の各々に関する前記マスタ表面データ(116)及び前記マスタ目標データ(118)を生成するステップと、
前記積層ツール(108)の各々に関する前記マスタ目標データ(118)と前記マスタ表面データ(116)との間の前記空間的関係を確立する前記マスタファイル(114)を生成するステップと、
前記マスタファイル(114)を、前記積層ツール(108)のうちの対応する1つの識別子(168)に関連付けるステップと、
を更に含む、請求項6から11のいずれか一項に記載の複合材製造方法(1000)。
【請求項13】
複合材製造システム(100)のためのコンピューターシステム(134)であって、前記コンピューターシステム(134)が、記憶デバイス(916)に接続されたプロセッサユニット(904)を備え、前記記憶デバイス(916)が、
コンピューター支援測定システム(126)に、積層ツール(108)の複数の第1の位置決め目標(112)、複数の第2の位置決め目標(152)、及び積層表面(110)の一連のラインプロファイル(154)を測定し、マスタ表面データ(116)及びマスタ目標データ(118)を生成するように命令することであって、
前記マスタ目標データ(118)が、前記第1の位置決め目標(112)及び前記第2の位置決め目標(152)の目標配置を表し、
前記マスタ表面データ(116)が、前記積層表面(110)の前記ラインプロファイル(154)のプロファイル配置を表し、
前記ラインプロファイル(154)の各々が、複数の目標対(156)のうちの1つに関連付けられ、複数の目標対(156)のうちの1つの間を延伸し、
前記目標対(156)の各々が、前記第1の位置決め目標(112)のうちの1つと、前記第2の位置決め目標(152)のうちの対向する1つと、を備える、
命令することと、
前記マスタ目標データ(118)と前記マスタ表面データ(116)との間の空間的関係を確立するマスタファイル(114)を生成することと、
前記マスタファイル(114)を前記積層ツール(108)に関連付けることと、
を行う、前記プロセッサユニット(904)によって実行可能なプログラムコード(918)を備える、コンピューターシステム(134)。
【請求項14】
前記プログラムコード(918)が、前記プロセッサユニット(904)によって、
前記マスタファイル(114)を複数のゾーン(158)に分割することと、
前記ゾーン(158)を前記積層表面(110)の対応する部分に関連付けることと、
を行うように実行可能であり、
前記ゾーン(158)の各々が、前記ラインプロファイル(154)のうちの3つを表す前記マスタ表面データ(116)の一部と、前記ラインプロファイル(154)のうちの前記3つに関連付けられた前記目標対(156)のうちの3つを表す前記マスタ目標データ(118)の一部と、を備え、
前記ラインプロファイル(154)のうちの1つを表す前記マスタ表面データ(116)の一部、及び前記ラインプロファイル(154)のうちの前記1つに関連付けられた前記目標対(156)のうちの1つを表す前記マスタ目標データ(118)の一部が、前記ゾーン(158)の直接隣接する対によって共有されるように、前記ゾーン(158)の各々が、前記ゾーン(158)のうちの直接隣接する1つに重なる、
請求項13に記載のコンピューターシステム(134)。
【請求項15】
前記プログラムコード(918)が、前記プロセッサユニット(904)によって、
前記コンピューター支援測定システム(126)に、前記第1の位置決め目標(112)、前記第2の位置決め目標(152)、及び前記積層表面(110)の一連の前記ラインプロファイル(154)を測定し、複数の積層ツール(108)の各々に関する前記マスタ表面データ(116)及び前記マスタ目標データ(118)を生成するように命令することと、
前記積層ツール(108)の各々に関する前記マスタ目標データ(118)と前記マスタ表面データ(116)との間の前記空間的関係を確立する前記マスタファイル(114)を生成することと、
前記マスタファイル(114)を、前記積層ツール(108)のうちの対応する1つの識別子(168)に関連付けることと、
を行うように実行可能である、請求項13又は14に記載のコンピューターシステム(134)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2022年6月22日に出願された米国特許出願第63/366,783号の優先権を主張する。
【0002】
本開示は、一般に複合材製造に関し、より詳細には、積層ツールの配置の変動を数値制御複合材設置機で補償する複合材製造のためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0003】
航空機や自動車などのプラットフォームについては、複合材料の割合をより一層増した設計及び製造が実施されている。例えば、航空機に複合材料を使用して、航空機の重量を削減する。このように重量が減少することで、ペイロード容量や燃料効率などの性能形態が改善する。更に、複合材料によって航空機の様々な構成要素の耐用年数が長くなる。
【0004】
自動複合材製造には高い精度が必要である。例えば、自動複合材製造は、走査される積層ツールと、決定される積層ツールの配置と、ツールの配置に位置合わせされる数値制御複合材設置機と、を通常必要とする。従来の解決策は、使用の再現性を必要とする剛体変換位置合わせ形態を確立するために、積層ツールの表面全体の走査を必要とする。この処理は、多大な時間及び労力を必要とし、効率的で局所的な変動補償ができない。したがって、当業者は、自動複合材製造の分野において研究開発の努力を続けている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
複合材製造システム、複合材製造方法、及び複合材製造システムのためのコンピューターシステムの例を開示する。以下は、本開示による主題の、特許請求されてもよいし、そうでなくてもよい例の非網羅的なリストである。
【0006】
一例では、開示した複合材製造システムは、積層ツールを含む。積層ツールは、積層表面と、積層ツールの第1の側面に沿って積層表面を延伸する複数の第1の位置決め目標と、積層ツールの第2の側面に沿って、第1の側面の反対側の積層表面を延伸する複数の第2の位置決め目標と、を含む。システムはまた、コンピューター支援測定システムを含む。コンピューター支援測定システムは、第1の位置決め目標、第2の位置決め目標、及び積層表面の一連のラインプロファイルを測定し、マスタ表面データ及びマスタ目標データを生成する。マスタ目標データは、第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標の目標配置を表す。マスタ表面データは、積層表面のラインプロファイルのプロファイル配置を表す。ラインプロファイルの各々は、複数の目標対のうちの1つに関連付けられ、複数の目標対のうちの1つの間を延伸する。目標対の各々は、第1の位置決め目標のうちの1つと、第2の位置決め目標のうちの対向する1つと、を含む。システムは、マスタ目標データとマスタ表面データとの間の空間的関係を確立するマスタファイルを生成し、マスタファイルを積層ツールに関連付けるように適合される計算デバイスを更に含む。
【0007】
一例では、複合材製造方法は、(1)積層ツールの第1の位置決め目標、第2の位置決め目標、及び積層表面の一連のラインプロファイルを測定するステップと、(2)マスタ表面データ及びマスタ目標データを生成するステップと、(3)マスタ目標データとマスタ表面データとの間の空間的関係を確立するマスタファイルを生成するステップと、(4)マスタファイルを積層ツールに関連付けるステップと、を含む。マスタ目標データは、第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標の目標配置を表す。マスタ表面データは、積層表面のラインプロファイルのプロファイル配置を表す。ラインプロファイルの各々は、複数の目標対のうちの1つに関連付けられ、複数の目標対のうちの1つの間を延伸する。目標対の各々は、第1の位置決め目標のうちの1つと、第2の位置決め目標のうちの対向する1つと、を含む。
【0008】
一例では、開示したコンピューターシステムは、記憶デバイスに接続されたプロセッサユニットを含み、記憶デバイスが、(1)コンピューター支援測定システムに、積層ツールの複数の第1の位置決め目標、複数の第2の位置決め目標、及び積層表面の一連のラインプロファイルを測定し、マスタ表面データ及びマスタ目標データを生成するように命令することと、(2)マスタ目標データとマスタ表面データとの間の空間的関係を確立するマスタファイルを生成することと、(3)マスタファイルを積層ツールに関連付けることと、を行う、プロセッサユニットによって実行可能なプログラムコードを備える。マスタ目標データは、第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標の目標配置を表す。マスタ表面データは、積層表面のラインプロファイルのプロファイル配置を表す。ラインプロファイルの各々は、複数の目標対のうちの1つに関連付けられ、複数の目標対のうちの1つの間を延伸する。目標対の各々は、第1の位置決め目標のうちの1つと、第2の位置決め目標のうちの対向する1つと、を含む。
【0009】
本開示の一態様によれば、複合材製造システムは、
積層ツールであって、
積層表面と、
積層ツールの第1の側面に沿って、積層表面を延伸する複数の第1の位置決め目標と、
積層ツールの第2の側面に沿って、第1の側面と反対側の積層表面を延伸する複数の第2の位置決め目標と、
を備える、積層ツールと、
第1の位置決め目標、第2の位置決め目標、及び積層表面の一連のラインプロファイルを測定し、マスタ表面データ及びマスタ目標データを生成するように適合されるコンピューター支援測定システムであって、
マスタ目標データが、第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標の目標配置を表し、
マスタ表面データが、積層表面のラインプロファイルのプロファイル配置を表し、
ラインプロファイルの各々が、複数の目標対のうちの1つに関連付けられ、複数の目標対のうちの1つの間を延伸し、
目標対の各々が、第1の位置決め目標のうちの1つと、第2の位置決め目標のうちの対向する1つと、
を備える、コンピューター支援測定システムと、
マスタ目標データとマスタ表面データとの間の空間的関係を確立するマスタファイルを生成し、
マスタファイルを積層ツールに関連付ける
ように適合される計算デバイスと、
を備える。
【0010】
有利には、複合材製造システムは、
計算デバイスが、
マスタファイルを複数のゾーンに分割し、
ゾーンを積層表面の対応する部分に関連付ける、
ように適合され、
ゾーンの各々が、ラインプロファイルのうちの3つを表すマスタ表面データの一部と、ラインプロファイルのうちの3つに関連付けられた目標対のうちの3つを表すマスタ目標データの一部と、を備え、
ラインプロファイルのうちの1つを表すマスタ表面データの一部、及びラインプロファイルのうちの1つに関連付けられた目標対のうちの1つを表すマスタ目標データの一部が、ゾーンの直接隣接する対によって共有されるように、ゾーンの各々が、ゾーンのうちの直接隣接する1つに重なる
ものである。
【0011】
好ましくは、複合材製造システムは、
コンピューター支援測定システムが、第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標を再測定し、測定された目標データを生成するように適合され、
測定された目標データが、第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標の目標配置を表し、
計算デバイスが、マスタファイルによって確立されたマスタ目標データとマスタ表面データとの間の空間的関係に基づいて、測定された目標データから積層表面のラインプロファイルのプロファイル配置を決定するように適合される
ものである。
【0012】
好ましくは、複合材製造システムは、積層表面の公称配置に基づいて、複合材設置動作を実施する数値制御複合材設置機を更に備え、
計算デバイスが、
ゾーンに関するマスタ表面データによって表される積層表面のラインプロファイルのプロファイル配置を、積層表面の対応する部分の公称配置と比較し、
プロファイル配置と公称配置との間の複数の局所偏差を決定し、
局所偏差から全体偏差を決定し、
全体偏差を数値制御複合材設置機に転送する
ように適合され、
数値制御複合材設置機は、全体偏差に基づいて、数値制御プログラム経路を補償する。
【0013】
好ましくは、複合材製造システムは、
コンピューター支援測定システムが、ゾーンのうちの1つに対応する第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標のうちの選択されたものを再測定し、測定された目標データを生成するように適合され、
計算デバイスが、
マスタ表面データによって表され、かつマスタファイルによって確立されたマスタ目標データとマスタ表面データとの間の空間的関係に基づいて測定された目標データからゾーンのうちの1つに対応する第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標のうちの選択されたものに関連付けられた、積層表面のラインプロファイルのプロファイル配置を決定し、
ゾーンのうちの1つに関するマスタ表面データによって表されるラインプロファイルのプロファイル配置を、積層表面の対応する部分の公称配置と比較し、
プロファイル配置と公称配置との間の局所偏差を決定し、
全体偏差を局所偏差で修正し、
全体偏差を数値制御複合材設置機に転送する
ように適合され、
数値制御複合材設置機が、局所偏差によって修正された全体偏差に基づいて、数値制御プログラム経路を補償する
ものである。
【0014】
好ましくは、複合材製造システムは、数値制御複合材設置機によって実施される複合材設置動作中に、積層ツールの積層表面上に形成された複合材積層体を視覚的に検査する視覚システムを更に備え、
計算デバイスが、
複合材積層体の異常を検出し、
異常の位置に関連する積層表面の部分に対応するゾーンのうちの1つを決定する
ように適合され、
コンピューター支援測定システムによって再測定された第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標のうちの選択されたものは、ゾーンのうちの1つに対応する。
【0015】
好ましくは、複合材製造システムが、複数の積層ツールを更に備え、積層ツールの各々が、識別子を更に備え、
コンピューター支援測定システムが、第1の位置決め目標、第2の位置決め目標、及び積層表面の一連のラインプロファイルを測定し、積層ツールの各々に関するマスタ表面データ及びマスタ目標データを生成するように適合され、
計算デバイスが、
積層ツールの各々に関するマスタ目標データとマスタ表面データとの空間的関係を確立するマスタファイルを生成し、
マスタファイルを、積層ツールのうちの対応する1つの識別子に関連付ける
ように適合される。
【0016】
本開示の別の態様によれば、複合材製造方法は、
積層ツールの第1の位置決め目標、第2の位置決め目標、及び積層表面の一連のラインプロファイルを測定するステップと、
マスタ表面データ及びマスタ目標データを生成するステップであって、
マスタ目標データが、第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標の目標配置を表し、
マスタ表面データが、積層表面のラインプロファイルのプロファイル配置を表し、
ラインプロファイルの各々が、複数の目標対のうちの1つに関連付けられ、複数の目標対のうちの1つの間を延伸し、
目標対の各々が、第1の位置決め目標のうちの1つ、及び第2の位置決め目標のうちの対向する1つを備える、
ステップと、
マスタ目標データとマスタ表面データとの間の空間的関係を確立するマスタファイルを生成するステップと、
マスタファイルを積層ツールに関連付けるステップと、
を含む。
【0017】
有利には、複合材製造方法は、
マスタファイルを複数のゾーンに分割するステップと、
ゾーンを積層表面の対応する部分に関連付けるステップと
を更に含み、
ゾーンの各々が、ラインプロファイルのうちの3つを表すマスタ表面データの一部と、ラインプロファイルのうちの3つに関連付けられた目標対のうちの3つを表すマスタ目標データの一部と、を備え、
ラインプロファイルのうちの1つを表すマスタ表面データの一部、及びラインプロファイルのうちの1つに関連付けられた目標対のうちの1つを表すマスタ目標データの一部が、ゾーンの直接隣接する対によって共有されるように、ゾーンの各々は、ゾーンのうちの直接隣接する1つに重なる。
【0018】
好ましくは、複合材製造方法は、
第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標を再測定するステップと、
測定された目標データを生成するステップであって、測定された目標データが、第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標の目標配置を表す、生成するステップと、
マスタファイルによって確立されたマスタ目標データとマスタ表面データとの間の空間的関係に基づいて、測定された目標データから積層表面のラインプロファイルのプロファイル配置を決定するステップと、
を更に含む。
【0019】
好ましくは、複合材製造方法は、
ゾーンに関するマスタ表面データによって表されるラインプロファイルのプロファイル配置を、積層表面の対応する部分の公称配置と比較するステップと、
プロファイル配置と公称配置との間の複数の局所偏差を決定するステップと、
局所偏差から全体偏差を決定するステップと、
全体偏差を数値制御複合材設置機に転送するステップと、
全体偏差に基づいて、数値制御複合材設置機の数値制御プログラム経路を補償するステップと、
全体偏差に基づいて補償される数値制御プログラム経路に従って、数値制御複合材設置機を使用して複合材設置動作を実施するステップと、
を更に含む。
【0020】
好ましくは、複合材製造方法は、
ゾーンのうちの1つに対応する第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標のうちの選択されたものを再測定するステップと、
測定された目標データを生成するステップと、
マスタファイルによって確立されたマスタ目標データとマスタ表面データとの間の空間的関係に基づいて測定された目標データからゾーンのうちの1つに対応する第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標のうちの選択されたものに関連付けられた、積層表面のラインプロファイルのプロファイル配置を決定するステップと、
ゾーンのうちの1つに関するマスタ表面データによって表されるラインプロファイルのプロファイル配置を、積層表面の対応する部分の公称配置と比較するステップと、
プロファイル配置と公称配置との間の局所偏差を決定するステップと、
全体偏差を局所偏差で修正するステップと、
全体偏差を数値制御複合材設置機に転送するステップと、
全体偏差に基づいて、数値制御プログラム経路を補償するステップと、
全体偏差に基づいて補償される数値制御プログラム経路に従って、数値制御複合材設置機を使用して複合材設置動作を実施するステップと、
を更に含む。
【0021】
好ましくは、複合材製造方法は、
数値制御複合材設置機によって実施される複合材設置動作中に、積層ツールの積層表面上に形成された複合材積層体を検査するステップと、
複合材積層体の異常を検出するステップと、
異常の位置に関連する積層表面の部分に対応するゾーンのうちの1つを決定するステップと、
を更に含み、
再測定された第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標のうちの選択されたものは、ゾーンのうちの1つに対応する。
【0022】
好ましくは、複合材製造方法は、
複数の積層ツールの各々の第1の位置決め目標、第2の位置決め目標、及び積層表面の一連のラインプロファイルを測定するステップと、
積層ツールの各々に関するマスタ表面データ及びマスタ目標データを生成するステップと、
積層ツールの各々に関するマスタ目標データとマスタ表面データとの間の空間的関係を確立するマスタファイルを生成するステップと、
マスタファイルを、積層ツールのうちの対応する1つの識別子に関連付けるステップと、
を更に含む。
【0023】
本開示の更に別の態様によれば、複合材製造システムのためのコンピューターシステムであって、コンピューターシステムは、記憶デバイスに接続されたプロセッサユニットを備え、記憶デバイスが、
コンピューター支援測定システムに、積層ツールの複数の第1の位置決め目標、複数の第2の位置決め目標、及び積層表面の一連のラインプロファイルを測定し、マスタ表面データ及びマスタ目標データを生成するように命令することであって、
マスタ目標データが、第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標の目標配置を表し、
マスタ表面データが、積層表面のラインプロファイルのプロファイル配置を表し、
ラインプロファイルの各々が、複数の目標対のうちの1つに関連付けられ、複数の目標対のうちの1つの間を延伸し、
目標対の各々が、第1の位置決め目標のうちの1つと、第2の位置決め目標のうちの対向する1つと、
を備える、命令することと、
マスタ目標データとマスタ表面データとの間の空間的関係を確立するマスタファイルを生成することと、
マスタファイルを積層ツールに関連付けることと、
を行う、プロセッサユニットによって実行可能なプログラムコードを備える。
【0024】
有利には、コンピューターシステムは、プログラムコードが、プロセッサユニットによって、
マスタファイルを複数のゾーンに分割することと、
ゾーンを積層表面の対応する部分に関連付けることと、
を行うように実行可能であり、
ゾーンの各々が、ラインプロファイルのうちの3つを表すマスタ表面データの一部と、ラインプロファイルのうちの3つに関連付けられた目標対のうちの3つを表すマスタ目標データの一部と、を備え、
ラインプロファイルのうちの1つを表すマスタ表面データの一部、及びラインプロファイルのうちの1つに関連付けられた目標対のうちの1つを表すマスタ目標データの一部が、ゾーンの直接隣接する対によって共有されるように、ゾーンの各々が、ゾーンのうちの直接隣接する1つに重なる
ものである。
【0025】
好ましくは、コンピューターシステムは、プログラムコードが、プロセッサユニットによって、
コンピューター支援測定システムに、第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標を再測定し、測定された目標データを生成するように命令することであって、測定された目標データが、第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標の目標配置を表す、命令することと、
マスタファイルによって確立されたマスタ目標データとマスタ表面データとの間の空間的関係に基づいて、測定された目標データから積層表面のラインプロファイルのプロファイル配置を決定することと、
を行うように実行可能である。
【0026】
好ましくは、コンピューターシステムは、
プログラムコードが、プロセッサユニットによって、
ゾーンに関するマスタ表面データによって表されるプロファイル配置を、積層表面の対応する部分の公称配置と比較することと、
プロファイル配置と公称配置との間の複数の局所偏差を決定することと、
局所偏差から全体偏差を決定することと、
公称配置に基づいて複合材設置動作を実施する数値制御複合材設置機に、全体偏差を転送することと、
を行うように実行可能であり、
数値制御複合材設置機が、全体偏差に基づいて、数値制御プログラム経路を補償する
ものである。
【0027】
好ましくは、コンピューターシステムは、
プログラムコードが、プロセッサユニットによって、
コンピューター支援測定システムに、ゾーンのうちの1つに対応する第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標のうちの選択されたものを再測定し、測定された目標データを生成するように命令することと、
マスタファイルによって確立されたマスタ目標データとマスタ表面データとの間の空間的関係に基づいて測定された目標データからゾーンのうちの1つに対応する第1の位置決め目標及び第2の位置決め目標のうちの選択されたものに関連付けられた、積層表面のラインプロファイルのプロファイル配置を決定することと、
ゾーンのうちの1つに関するマスタ表面データによって表されるプロファイル配置を、積層表面の対応する部分の公称配置と比較することと、
プロファイル配置と公称配置との間の局所偏差を決定することと、
全体偏差を局所偏差で修正することと、
全体偏差を数値制御複合材設置機に転送することと、
を行うように実行可能であり、
数値制御複合材設置機は、局所偏差によって修正された全体偏差に基づいて、数値制御プログラム経路を補償する
ものである。
【0028】
好ましくは、コンピューターシステムは、プログラムコードが、プロセッサユニットによって、
コンピューター支援測定システムに、第1の位置決め目標、第2の位置決め目標、及び積層表面の一連のラインプロファイルを測定し、複数の積層ツールの各々に関するマスタ表面データ及びマスタ目標データを生成するように命令することと、
積層ツールの各々に関するマスタ目標データとマスタ表面データとの間の空間的関係を確立するマスタファイルを生成することと、
マスタファイルを、積層ツールのうちの対応する1つの識別子に関連付けることと、
を行うように実行可能である。
【0029】
開示された複合材製造システム、方法、及びコンピューターシステムの他の例は、以下の詳細な説明、添付の図面、及び添付の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】複合材製造システムの一例の概略ブロック図である。
図2】複合材製造システムの積層ツールの一例の概略斜視図である。
図3】局所的な形状の変動を有する積層ツールの一例の概略斜視図である。
図4図2に示す積層ツールの一例の概略平面図である。
図5図4に示す積層ツールの一例の概略平面図であり、積層表面の複数のラインプロファイルを示す図である。
図6】収集された測定データによって表される図2に示す積層ツールの一例の概略図である。
図7】収集された測定データによって表される、図3に示す積層ツールの一例の概略図である。
図8】一連の局所的な剛体変換後の収集された測定データによって表される積層ツールの一例の概略図である。
図9】複合材製造方法の一例のフロー図である。
図10】複合材製造システムの計算デバイスの概略ブロック図である。
図11】複合材製造システムの一例の概略図である。
図12】航空機の製造及び保守点検方法の一例のフロー図である。
図13】航空機の一例の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
例示の目的で、図1~8及び図11を全体的に参照すると、本開示は、本明細書ではシステム100とも全体的に呼ぶ複合材製造システム100に関する。システム100は、積層ツール108を表すデータの効率的な収集を可能にする。システム100はまた、収集されたデータによって表される積層ツール108の実際の配置(例えば、位置、向き、及び形状)に基づいて、数値制御(NC)複合材設置機102の自動補償を可能にする。システム100は更に、後続の機械補償動作中に以前に収集されたデータの再使用を可能にする。
【0032】
ここで図1を参照すると、1つ以上の例では、システム100は、積層ツール108を含む。積層ツール108は、複合材積層体240の形成を支持する積層表面110を含む。システム100は、テープ積層機又は繊維設置機などのNC複合材設置機102を含む。NC複合材設置機102は、複合材料の層を積層ツール108上に設置して、複合材積層体240を形成する。システム100は、コンピューター支援測定システム(CAMS)126を含む。コンピューター支援測定システム126は、積層ツール108を測定し、ツール空間における(例えば、ツール座標系に対して)積層ツール108のツール配置を表すデータを提供する。システム100は、計算デバイス134を含む。計算デバイス134は、ツール空間における積層ツール108のツール配置と、機械空間における(例えば、機械座標系に対して)積層ツール108の公称配置との間の差を決定する。NC複合材設置機102は、複合材設置動作を実施する前に、このような差に基づいて補償される。
【0033】
一般に、複合材積層体240を製造するとき、NC複合材設置機102を使用して複合材プライ208(例えば、複合材料の層)は、積層ツール108上に自動的に設置される(例えば、層ごとにレイアップ又は積層される)。複合材プライ208は、繊維、テープ、トウ、又は他の適切な形態をとってもよい。場合によっては、樹脂が層に注入されるか、又は予め含侵されてもよい。複合材プライ208は、異なる向きにレイアップされてもよく、製造される複合材積層体240の厚さに応じて、異なる数の層を使用してもよい。複合材プライ208は、圧縮機器などによって圧縮されてもよく、あるいは他の方法で集約又は減量されてもよい。複合材プライ208が配置された後、複合材積層体240は、複合材構造を形成するために(例えば、熱及び/又は圧力を加えることによって)硬化される。複合材積層体240は、積層ツール108上で硬化されてもよく、又は硬化作業を実施するために積層ツール108から硬化ツール(図示せず)に転送されてもよい。
【0034】
NC複合材設置機102は、コンピューター数値制御され、コード化されたプログラム命令(例えば、Gコード)に従うことによって、手動のオペレータが処理動作を直接制御することなく、処理仕様を満たすように動作可能である。一例として、NC複合材設置機102は、多自由度(例えば、ロボットアーム)のプラットフォーム212(例えば、図11に示すように)と、数値制御(NC)プログラム220に従ってプラットフォーム212を動作させる制御ユニット210(例えば、図1に示すように)と、を含む。NC複合材設置機102は、プラットフォーム212に接続された設置ヘッド206(例えば、ツールヘッド)を含む。一例として、設置ヘッド206は、NC複合材設置機102のエンドエフェクタを形成し、複合材プライ208の各々を積層表面110上に、又は以前に設置した複合材プライ208上に、設置するように構成されている。
【0035】
一般に、設置ヘッド206は、NC複合材設置機102の機械ツールポイントを画定する。複合材設置(例えば、積層又はレイアップ)動作中、設置ヘッド206(例えば、機械ツールポイント)は、数値制御(NC)プログラム220に従って、NCプログラム経路222(例えば、ツール経路)に沿って、積層ツール108(例えば、積層表面110)に対して配置され、移動される。1つ以上の例では、制御ユニット210又はNCプログラム220などのNC複合材設置機102は、積層ツール108の公称配置に基づいて、NCプログラム経路222を生成するツール経路生成器を含む。
【0036】
一般に、NCプログラム220、より具体的には、NC複合材設置機102のNCプログラム経路222は、積層ツール108の公称配置、より具体的には積層表面110の公称配置に基づいて生成される。積層ツール108の公称配置(例えば、積層表面110)は、機械空間内の積層ツール108(例えば、積層表面110)の既知の理論上の位置、向き、及び形状を指すか、又は表す。しかしながら、製造環境200(例えば、図11に示すように)の作業セル104内に積層ツール108を設置する際、積層ツール108のツール配置、より具体的には、積層表面110の表面配置は、NCプログラム220を作成するために使用される公称配置のものと一致しない場合がある。積層ツール108のツール配置、より具体的には、積層表面110の表面配置は、ツール空間内の積層ツール108(例えば、積層表面110)の既知の実際の位置、向き、及び形状を指すか、又は表す。
【0037】
したがって、変換は、ツール配置を公称配置に変換し、ツール配置と公称配置との間の差を決定するために、通常利用される。NC複合材設置機102は、変換から決定された差に従って補償される。一例として、ツール空間及び機械空間における積層ツール108上の形態の位置の差を決定することによって、全体的な剛体変換が計算される。形態の位置は、ツール空間(例えば、積層ツール108の測定値に基づいて)、及び機械空間(例えば、設計仕様に基づいて)において既知である。変換の6つの引数(例えば、X、Y、Z、rX、rY、rZ)を操作することによって、変換の精度は、変換の誤差が最小になるまで反復的にテストされる。計算された全体的な変換に基づいて、NCプログラム220が補償される。
【0038】
高アスペクト比の積層ツール(例えば、図2及び図3に示す積層ツール108)は、剛体として挙動しない場合がある。(図3に示す)一例として、積層ツール108の1つ以上の部分は、積層ツール108の長手方向軸A1に垂直な軸周り(例えば、Y軸及び/又はZ軸周り)に曲がってもよく、又は長手方向軸A1に平行な軸周り(例えば、X軸周り)でねじれてもよく、これはツール配置の局所的な変動をもたらす。積層ツール108のツール配置のこれらの局所的な変動のために、上述の剛体変換動作は、NC複合材設置機102が複合材積層体240を必要な公差で製造することを可能にするために十分な機械補償精度を提供しない可能性がある。したがって、積層ツール108の対応するセクションについて、一連の局所的な剛体変換が(例えば、上述した全体的な変換と同様の技術によって)計算される。NCプログラム220は、計算された一連の局所的な変換に基づいて補償される。
【0039】
通常、積層ツール108の積層表面110は、上述の全体的な変換及び/又は一連の局所的な変換を計算するための形態として使用される。しかしながら、そのような方法は、十分な精度を提供するために、積層ツール108が作業セル104にロードされるたびに、全表面測定(例えば、積層表面110の全体又は大部分の測定)を通常必要とする。したがって、積層表面110を測定し、変換を計算し、ツール配置と公称配置との間の差に関してNCプログラム220を補償する処理は、時間がかかり、相当な処理リソースを必要とする。
【0040】
したがって、本明細書に開示するシステム100は、機械補償のために収集され、使用されるデータのタイプ、及びそのようなデータが収集される方法に関する改善を提供する。一例として、システム100は、積層ツール108を表すために使用され、機械補償に使用されるデータ量の低減を容易にする。別の例として、システム100は、データの効率的で、少なくとも部分的に自動化された収集を容易にする。別の例として、システム100は、積層ツール108が作業セルにロードされるたびに起こり得る積層ツール108のツール配置の局所的な変動に関係なく、収集されたデータの再使用を容易にする。
【0041】
ここで図2及び図3を参照すると、それらの図は、システム100に含まれるか、又は他の方法で使用される積層ツール108の例を示している。積層ツール108は、レイアップツール又はレイアップマンドレルと呼ばれることもある。1つ以上の例では、積層ツール108は、長手方向軸A1に沿って細長いか、そうでなければ高アスペクト比(例えば、長手方向軸A1に沿った長さ寸法は、長手方向軸A1を横切る幅寸法よりも大きい)を有する。図4に示すように、積層ツール108は、複合材積層体240の製造のために作業セル104にロードされたときに、屈曲、ねじれ、垂れ下がり、又は他の方法で、位置、向き、及び/又は形状の局所的な変動を含んでもよい。
【0042】
ここで図4を参照すると、1つ以上の例では、積層ツール108はまた、複数の第1の位置決め目標112と、複数の第2の位置決め目標152と、を含む。1つ以上の例では、第1の位置決め目標112は、積層表面110に近接して(例えば、積層表面110に、又はその近くに)配置され、積層ツール108の長手方向軸A1に沿って積層表面110を延伸する。例えば、第1の位置決め目標112は、積層ツール108の第1の側面172に配置される。第2の位置決め目標152は、積層ツール108の長手方向軸A1に沿って積層表面110に近接して配置され、それに沿って延伸する。例えば、第2の位置決め目標152は、第1の側面172に対向する積層ツール108の第2の側面174に配置される。以下で詳細に説明するように、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152は、積層ツール108の実際のツール配置、したがって積層表面110の実際の表面配置を、積層表面110のその後の測定を必要とせずに、繰り返し決定するために使用される。
【0043】
1つ以上の例では、第1の位置決め目標112の各々は、第2の位置決め目標152のうちの1つに、対応するか、又は関連付けられる。一例として、第1の位置決め目標112Aは、第2の位置決め目標152Aに対応するか、又は別の方法で関連付けられてもよく、第1の位置決め目標112Bは、第2の位置決め目標152Bに対応するか、又は別の方法で関連付けられてもよく、第1の位置決め目標112Cは、第2の位置決め目標152Cに対応するか、又は別の方法で関連付けられてもよく、以下同様である。
【0044】
1つ以上の例では、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152は、複数の目標対156として識別されてもよい。目標対156の各々は、第1の位置決め目標112のうちの1つと、第2の位置決め目標152のうちの対応する1つと、を含む。一例として、目標対156Aは、第1の位置決め目標112A及び第2の位置決め目標152Aを含み、目標対156Bは、第1の位置決め目標112B及び第2の位置決め目標152Bを含み、目標対156Cは、第1の位置決め目標112C及び第2の位置決め目標152Cを含み、以下同様である。
【0045】
1つ以上の例では、第1の位置決め目標112の各々は、第2の位置決め目標152のうちの対応する1つに直接対向しているか、又は少なくともほぼ位置合わせされている。他の例では、第1の位置決め目標112のうちの1つ以上は、第2の位置決め目標152のうちの対応するものからオフセットされてもよく、又は位置合わせされなくてもよい。
【0046】
様々な例では、積層ツール108は、任意の適切な数の第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152を含んでもよい。第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152の数は、限定はしないが、作業セル104内の積層ツール108を支持するために使用されるツール固定具(例えば、図11に示すツール固定具218)の数及びタイプ、積層ツール108の寸法及び/又は形状、積層ツール108の材料組成などの様々な要因に依存することがある。
【0047】
1つ以上の例では、目標対156の数(例えば、第1の位置決め目標112、及び対応する第2の位置決め目標152)、及び目標対156のいずれかと、目標対156のうちの直接隣接する1つとの間の(例えば、長手方向軸A1に沿った)線形距離又は間隔は、機械補償に利用される局所的な剛体変換動作の誤差を最小にし、正確な局所的な剛体変換動作に必要な目標対156の数を最小にし、及び/又は正確な局所的な剛体変換動作に適した隣接する目標対156間の線形距離を最大にするように、決定され、選択される。1つ以上の例では、目標対156の数、及び目標対156のうちの直接隣接するもの間の直線距離(例えば、間隔)は、有限要素解析などの任意の適切な解析技術によって計算されてもよい。
【0048】
1つ以上の例では、目標対156のうちの1つと、目標対156のうちの直接隣接する1つとの間の直線距離は、目標対156のうちの別の1つと、目標対156のうちの直接隣接する1つとの間の直線距離とは異なる。一例として、目標対156Aと、(例えば、積層ツール108の広い又は剛性の高い部分に位置決めされる)直接隣接する目標対156Bとの間の直線距離は、目標対156Dと、(例えば、積層ツール108の薄い又は剛性の低い部分に位置決めされる)直接隣接する目標対156Eとの間の直線距離とは異なっていても(例えば、大きくても)よい。
【0049】
図1及び図5を参照すると、1つ以上の例では、コンピューター支援測定システム126は、積層ツール108を測定するように構成されている。一例として、コンピューター支援測定システム126は、第1の位置決め目標112、第2の位置決め目標152、及び積層表面110の一連のラインプロファイル154を測定する。1つ以上の例では、ラインプロファイル154は、NC複合材設置機102を補償するために使用される変換を実施するために、ツール空間及び機械空間において既知の(例えば、測定されるか、そうでなければ決定される)位置を有する形態として使用される。1つ以上の例では、第1の位置決め目標112、第2の位置決め目標152、及びラインプロファイル154は、NC複合材設置機102を補償するために使用される変換を実施するために、ツール空間及び機械空間において既知の位置を有する形態として使用される。
【0050】
コンピューター支援測定システム126は、積層ツール108を表すデータを生成するように構成されている。1つ以上の例では、コンピューター支援測定システム126は、マスタ表面データ116及びマスタ目標データ118を生成する。マスタ目標データ118は、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152の目標配置(例えば、位置及び向き)を表す。マスタ表面データ116は、積層表面110のラインプロファイル154のプロファイル配置(例えば、位置、向き、及び形状)を表す。
【0051】
1つ以上の例では、マスタ目標データ118は、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のうちの対応するものの目標配置を表す測定データ(例えば、X、Y、Z座標)を含む。1つ以上の例では、マスタ表面データ116は、プロファイル配置、したがってラインプロファイル154の各々の形状を表す測定データ(例えば、X、Y、Z座標)を含む。したがって、組み合わせて、ラインプロファイル154のプロファイル配置は、積層表面110の表面配置(例えば、位置、向き、及び形状)を表す。
【0052】
ここで図5を参照すると、1つ以上の例では、ラインプロファイル154の各々は、目標対156のうちの1つに関連付けられ、目標対156のうちの1つの間を延伸する。目標対156の各々は、第1の位置決め目標112のうちの1つと、第2の位置決め目標152のうちの対応する(例えば、対向する)1つと、を含む。一例として、ラインプロファイル154Aは、第1の位置決め目標112Aと第2の位置決め目標152Aとの間で積層表面110を横切って延伸し、ラインプロファイル154Bは、第1の位置決め目標112Bと第2の位置決め目標152Bとの間で積層表面110を横切って延伸し、ラインプロファイル154Cは、第1の位置決め目標112Cと第2の位置決め目標152Cとの間で積層表面110を横切って延伸し、以下同様である。
【0053】
ラインプロファイル154の各々は、積層表面110の比較的小さい部分を含むか、又はそれによって形成される。コンピューター支援測定システム126によって測定されるラインプロファイル154の各々は、積層表面110の部分の表面プロファイルの配置(位置、向き、及び形状)を表す。したがって、マスタ表面データ116は、一連のデータ点のセット(例えば、図1に示すデータ点セット170)を含む。データ点セット170の各々は、ラインプロファイル154のうちの対応する1つのプロファイル配置を表すデータ(例えば、X、Y、Z座標)を含む。
【0054】
1つ以上の例では、ラインプロファイル154のうちの1つ以上(例えば、ラインプロファイル154A)は、線形(例えば、直線)である。1つ以上の例では、ラインプロファイル154のうちの1つ以上(例えば、ラインプロファイル154B)は、非線形(例えば、湾曲している)である。1つ以上の例では、ラインプロファイル154のうちの1つ以上は、線形部分及び非線形部分を含む。
【0055】
1つ以上の例では、ラインプロファイル154のうちの1つ以上(例えば、ラインプロファイル154A及びラインプロファイル154B)は、連続的である。一例として、ラインプロファイル154Aは、第1の位置決め目標112Aと第2の位置決め目標152Aとの間に連続的に延伸する。1つ以上の例では、ラインプロファイル154のうちの1つ以上(例えば、ラインプロファイル154C)は、不連続である。一例として、ラインプロファイル154Cは、プロファイル第1の部分192と、プロファイル第2の部分194と、を含む。プロファイル第1の部分192は、第1の位置決め目標112Bから、積層表面110の部分を横切って、第2の位置決め目標152Bに向かって延伸する。プロファイル第2の部分194は、第2の位置決め目標152Bから、積層表面110の部分を横切って、第1の位置決め目標112Bに向かって延伸する。
【0056】
再び図1を参照すると、1つ以上の例では、計算デバイス134は、マスタファイル114を生成するように構成されている。計算デバイス134はまた、マスタファイル114を積層ツール108に関連付けるように構成されている。
【0057】
マスタファイル114は、マスタ目標データ118と、マスタ表面データ116と、を含む。マスタファイル114は、マスタ目標データ118とマスタ表面データ116との間の空間的関係を相関させて確立する。言い換えると、マスタファイル114は、マスタ目標データ118によって表される第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152の目標配置と、マスタ表面データ116によって表されるラインプロファイル154のプロファイル配置との間に固定された空間的関係を確立する。
【0058】
より具体的には、マスタファイル114は、マスタ目標データ118によって表される目標対156(例えば、第1の位置決め目標112のうちの1つ、及び第2の位置決め目標152のうちの1つ)のうちの対応する1つの目標配置に対する、マスタ表面データ116によって表されるラインプロファイル154の各々のプロファイル配置の固定関係を確立する。一例として、マスタファイル114は、第1の位置決め目標112A及び第2の位置決め目標152Aの目標配置を表すマスタ目標データ118の部分と、ラインプロファイル154Aのプロファイル配置を表すマスタ表面データ116の部分との間の空間的関係を確立し、第1の位置決め目標112B及び第2の位置決め目標152Bの目標配置を表すマスタ目標データ118の部分と、ラインプロファイル154Bのプロファイル配置を表すマスタ表面データ116の部分との間の空間的関係を確立し、以下同様である。
【0059】
ツール配置の局所的な変動は、全体として積層ツール108の長さに沿って(例えば、図4に示すように)起こり得ることが理解されよう。しかしながら、積層ツール108の比較的小さな個別のセクションは、そのような局所的な変動を生じさせない。したがって、対応する目標対156の目標配置に対するラインプロファイル154のいずれかのプロファイル配置は、積層ツール108の長さに沿った局所的な変動の影響を受けない。
【0060】
測定される積層表面110の特定の部分としてラインプロファイル154を使用し、ラインプロファイル154を表すマスタ表面データ116を生成することは、積層表面110の全体又は広い領域の測定及びデータ収集を必要とする従来の技術と比較して、積層表面110の測定に必要な時間を低減し、積層表面110を十分に表すために必要なデータ量を低減し、機械補償に使用される変換動作に必要な処理リソースを低減するという利点がある。
【0061】
第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152を使用することにより、コンピューター支援測定システム126は、積層表面110のラインプロファイル154の初期測定のために、積層ツール108上に固定された基準位置を有する。
【0062】
マスタファイル114によって確立されたマスタ表面データ116とマスタ目標データ118との間の関係を使用することにより、ラインプロファイル154のプロファイル配置、したがって積層表面110の表面配置は、積層表面110の後続の測定を必要とせずに、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152の後続の再測定から決定され得る。
【0063】
1つ以上の例では、マスタファイル114は、作業セル104に(例えば、図11に示すように)、積層ツール108を最初にロードする際に作成される。一例として、積層ツール108を作業セル104に設置すると、コンピューター支援測定システム126は、積層ツール108を測定し、マスタ目標データ118及びマスタ表面データ116を生成する。計算デバイス134は、マスタファイル114を生成し、マスタファイル114を積層ツール108に関連付ける。1つ以上の例では、マスタファイル114は、積層ツール108の初期測定値又は基準線測定値を表す。1つ以上の例では、マスタファイル114は、積層ツール108の公称配置を表すために使用されるか、又は積層ツール108の公称配置を元々表す設計仕様(例えば、CADモデル)を置換する。
【0064】
1つ以上の例では、積層ツール108の初期測定時に、マスタファイル114は、NC複合材設置機102の変換を決定して補償するために使用される。
【0065】
1つ以上の例では、計算デバイス134は、マスタファイル114のマスタ表面データ116によって表されるラインプロファイル154のプロファイル配置をラインプロファイル154の公称配置と比較し、ラインプロファイル154のプロファイル配置とラインプロファイル154の公称配置との間の偏差176(図1に示す)を決定する。偏差176は、全体的な剛体変換を表し、変換座標行列を使用して代数的に表され、ラインプロファイル154のプロファイル配置を表すマスタ表面データ116とラインプロファイル154の公称配置を表すデータとの間で、最小二乗法などの最良適合解析を使用して計算又は決定されてもよい。
【0066】
計算デバイス134は、偏差176をNC複合材設置機102に転送する。NC複合材設置機102は、偏差176に基づいてNCプログラム経路222を補償する。
【0067】
ここで図6を参照すると、図6は、収集データ(例えば、マスタファイル114のマスタ表面データ116及びマスタ目標データ118)によって表される積層ツール108の仮想表現の一例を概略的に示している。1つ以上の例では、計算デバイス134は、マスタファイル114を複数のゾーン158に分割するように構成されている。計算デバイス134は、ゾーン158を、積層表面110の対応する部分又はセクションに関連付けるように構成されている。一例として、計算デバイス134は、ゾーン158の各々を積層表面110の対応する部分又はセクションに関連付ける。
【0068】
1つ以上の例では、ゾーン158の各々は、ラインプロファイル154のうちの3つを表すマスタ表面データ116の一部と、ラインプロファイル154のうちの3つに関連付けられた、又は対応する目標対156のうちの3つを表すマスタ目標データ118の一部と、を含む。他の例では、ゾーン158のうちの1つ以上は、ラインプロファイル154のうちの3つよりも多くを表すマスタ表面データ116の一部と、ラインプロファイル154のうちの3つよりも多くに関連付けられた、又はそれに対応する目標対156のうちの3つよりも多くを表すマスタ目標データ118の一部と、を含んでもよい。
【0069】
1つ以上の例では、ラインプロファイル154のうちの1つを表すマスタ表面データ116の一部、及びラインプロファイル154のうちの1つに関連付けられた目標対156のうちの1つを表すマスタ目標データ118の一部が、ゾーン158の直接隣接する対によって共有されるように、ゾーン158の各々は、ゾーン158のうちの直接隣接する1つに重なる。一例として、ゾーン158Aは、ラインプロファイル154A、154B、154Cを表すマスタ表面データ116の一部と、目標対156A、156B、156Cを表すマスタ目標データ118の一部と、を含む。ゾーン158Bは、ゾーン158Aと重複し、ラインプロファイル154C、154D、154Eを表すマスタ表面データ116の一部と、目標対156C、156D、156Eを表すマスタ目標データ118の一部と、を含む。ゾーン158Cは、ゾーン158Bと重複し、ラインプロファイル154E、154F、154Gを表すマスタ表面データ116の一部と、目標対156E、156F、156Gを表すマスタ目標データ118の一部と、を含み、以下同様である。
【0070】
ここで図7及び図8を参照すると、それらの図は、収集されたデータ(例えば、マスタファイル114のマスタ表面データ116及びマスタ目標データ118)によって表される積層ツール108の仮想表現の一例を概略的に示している。図7及び図8において、積層ツール108は、(例えば、図3に示すように)積層ツール108を作業セル104に設置する際の積層ツール108の曲げ及び/又はねじれに起因する、積層表面110の表面配置の1つ以上の局所的な変動を含む。
【0071】
図7に示すように、1つ以上の例では、計算デバイス134は、ゾーン158の各々に関するマスタファイル114のマスタ表面データ116によって表されるラインプロファイル154のプロファイル配置を、積層表面110の対応する部分又はセクションのラインプロファイル154の公称配置と比較し、プロファイル配置と公称配置との間の複数の局所偏差178(図1に示す)を決定する。局所偏差178は、局所的な剛体変換を表し、ゾーン158の各々のラインプロファイル154のプロファイル配置を表すマスタ表面データ116と、ラインプロファイル154の公称配置を表すデータとの間で、最小二乗法などの最良適合解析を使用して計算又は決定されてもよい。
【0072】
図8に示すように、次いで、計算デバイス134は、局所偏差178から全体偏差180を決定する。一例として、計算デバイス134は、ゾーン158の各々と、ゾーン158のうちの直接隣接する1つ(例えば、最近傍)との間の段階的な関数を滑らかにするために、1つ以上の軸に沿って局所偏差178を補間する。
【0073】
計算デバイス134は、全体偏差180をNC複合材設置機102に転送する。NC複合材設置機102は、全体偏差180に基づいてNCプログラム経路222を補償する。
【0074】
1つ以上の例では、マスタファイル114は、後で積層ツール108を作業セル104にロードする際に、変換を決定し、NC複合材設置機102を補償するために再使用される。積層ツール108のツール配置、より具体的には積層表面110の表面配置は、積層ツール108が作業セル104に設置されるたびに変化し得ることが理解されよう。このように、マスタファイル114が、第1の位置決め目標112と、第2の位置決め目標152と、積層表面110のラインプロファイル154との間の既知の空間的関係を表す一方で、マスタファイル114は、ツール空間内の積層ツール108の既知のツール配置を提供しなくてもよい。
【0075】
1つ以上の例では、コンピューター支援測定システム126は、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152を再測定し、測定された目標データ128を生成する。測定された目標データ128は、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152の目標配置を表す。測定された目標データ128によって表される第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152の目標配置は、再測定後のツール空間において既知である。
【0076】
計算デバイス134は、マスタファイル114によって確立されたマスタ目標データ118とマスタ表面データ116との間の空間的関係に基づいて、測定された目標データ128から積層表面110のラインプロファイル154のプロファイル配置を決定するように構成されている。例えば、測定された目標データ128は、マスタ目標データ118と比較される。ラインプロファイル154のプロファイル配置は、測定された目標データ128とマスタ目標データ118との座標差に基づいて決定される。したがって、測定された目標データ128を使用することにより、マスタ表面データ116によって表されるラインプロファイル154のプロファイル配置を、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152の再測定からツール空間内で決定する、又は他の様態で知ることが可能になる。そのような例では、図7及び図8は、後に積層ツール108を作業セル104にロードする際に収集されたデータ(例えば、測定された目標データ128に基づいて空間的に調整されたマスタファイル114のマスタ表面データ116)によって表される、積層ツール108の仮想表現の一例を概略的に示している。
【0077】
上述したように、マスタファイル114のマスタ表面データ116によって表され、測定された目標データ128に基づいて調整されたラインプロファイル154の新規に決定されたプロファイル配置を、計算デバイス134は、ラインプロファイル154の公称配置と比較する。一例では、ラインプロファイル154のプロファイル配置と、ラインプロファイル154の公称配置との間の偏差176が、全体的に決定され、NC複合材設置機102は、偏差176によって補償される。別の例では、ゾーン158の各々に関するラインプロファイル154のプロファイル配置と、公称配置との間の複数の局所偏差178が、局所的に決定され、全体偏差180が、局所偏差178から決定され、NC複合材設置機102は、全体偏差180によって補償される。
【0078】
したがって、システム100により、積層ツール108のツール配置、より具体的には、積層表面110の表面配置が、ツール空間内で決定されることを可能にし、NC複合材設置機102が、積層ツール108の後続の全表面測定を必要とせずに、積層ツール108を作業セル104にロードするたびに実際のツール配置に基づいて補償されることを可能にする。
【0079】
1つ以上の例では、システム100はまた、NC複合材設置機102の補償に対するオンザフライ又はリアルタイム調整又は補正を容易にする。一例として、コンピューター支援測定システム126は、ゾーン158のうちの1つに対応する第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のうちの選択されたものを再測定する。コンピューター支援測定システム126は、測定された目標データ128を生成する。測定された目標データ128は、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152の新規に取得された目標配置を表す。測定された目標データ128によって表される第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152の新規に取得された目標配置は、再測定後のツール空間内で既知である。
【0080】
計算デバイス134は、マスタファイル114によって確立されたマスタ目標データ118とマスタ表面データ116との間の空間的関係に基づいて、測定された目標データ128から、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のうちの選択されたものに関連し、ゾーン158のうちの1つに対応する積層表面110のラインプロファイル154のプロファイル配置を決定する。計算デバイス134は、ゾーン158のうちの1つに関するマスタ表面データ116によって表されるラインプロファイル154のうちの選択されたものの新規に決定されたプロファイル配置を、積層表面110の対応する部分のラインプロファイル154の公称配置と比較する。計算デバイス134は、ゾーン158のうちの選択された1つのラインプロファイル154のプロファイル配置と、積層表面110の対応するセクションのラインプロファイル154の公称配置との間の局所偏差178を決定する。次いで、計算デバイス134は、全体偏差180を局所偏差178の新規に決定された値で修正する。全体偏差180は、局所偏差178に関して新規に決定された値によって修正され、NC複合材設置機102に転送される。NC複合材設置機102は、局所偏差178によって修正された全体偏差180に基づいてNCプログラム経路222を補償する。
【0081】
図1及び図11を参照すると、1つ以上の例では、システム100は、視覚システム242を含む。視覚システム242は、NC複合材設置機102によって実施される複合材設置動作中に、積層ツール108の積層表面110上に形成された複合材積層体240を視覚的に検査するように構成されている。1つ以上の例では、計算デバイス134は、視覚システム242によって提供された情報から複合材積層体240の異常又は他の不適合を検出するように構成されている。計算デバイス134は、異常の位置に関連する積層表面110の部分に対応するゾーン158のうちの1つを決定又は選択するように更に構成されている。計算デバイス134は、コンピューター支援測定システム126によって再測定されるゾーン158のうちの決定された1つに対応する、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のうちのものを選択する。
【0082】
再び図1を参照すると、1つ以上の例では、システム100は、複数の積層ツール108と共に使用するようにスケーラブルである。1つ以上の例では、1つ以上の積層ツール108は、他の積層ツール108とは異なるタイプのツールである。例えば、積層ツール108は、異なるサイズ及び/又は形状を有してもよく、あるいは異なるタイプの複合材積層体240を形成するために使用されてもよい。他の例では、2つ以上の積層ツール108が同じタイプのツールである(例えば、同じサイズ及び/又は形状を有するか、又は同じタイプの複合材積層体240を形成するために使用される)。しかしながら、同じタイプの異なる積層ツール108は、製造公差に基づいてわずかな違いを有し得る。
【0083】
1つ以上の例では、積層ツール108の各々は、識別子168を含む。上述したように、コンピューター支援測定システム126は、初期測定の際に、積層ツール108の各々に関する第1の位置決め目標112、第2の位置決め目標152、及び積層表面110の一連のラインプロファイル154を測定する。コンピューター支援測定システム126は、積層ツール108の各々に関するマスタ表面データ116及びマスタ目標データ118を生成する。計算デバイス134は、積層ツール108の各々に関するマスタ目標データ118とマスタ表面データ116との間の空間的関係を確立するマスタファイル114を生成する。計算デバイス134は、マスタファイル114を、積層ツール108のうちの対応する1つの識別子168に関連付けるように更に構成されている。
【0084】
ここで図9を参照すると、図9は、本明細書では方法1000とも呼ばれ得る複合材製造方法1000の一例を示している。方法1000は、積層ツール108を表すデータの効率的な収集を可能にする。方法1000はまた、収集されたデータによって表される積層ツール108の実際の配置及び/又は実際の形状に基づいて、NC複合材設置機102の自動補償を可能にする。方法1000は、後の機械補償動作中に、以前に収集したデータの再使用を、更に可能にする。1つ以上の例では、方法1000の一部又は全部の実施は、システム100(例えば、図1に示す)を使用して実施される。
【0085】
1つ以上の例では、方法1000は、作業セル104内に積層ツール108を配置するステップを含む。1つ以上の例では、方法1000は、第1の位置決め目標112、第2の位置決め目標152、及び積層ツール108の積層表面110の一連のラインプロファイル154を測定するステップ(ブロック1002)を含む。方法1000は、マスタ表面データ116及びマスタ目標データ118を生成するステップ(ブロック1004)を含む。方法1000は、マスタファイル114を生成するステップ(ブロック1006)を含む。マスタファイル114を生成するステップ(ブロック1006)は、マスタ目標データ118をマスタ表面データ116に相関させるステップと、マスタ目標データ118とマスタ表面データ116との間の空間的関係を確立するステップと、を含む。方法1000は、マスタファイル114を積層ツール108に関連付けるステップ(ブロック1008)を含む。
【0086】
1つ以上の例では、方法1000は、マスタファイル114のマスタ表面データ116によって表されるラインプロファイル154のプロファイル配置を、ラインプロファイル154の公称配置と比較するステップ(ブロック1010)を含む。方法1000は、ラインプロファイル154のプロファイル配置と、ラインプロファイル154の公称配置との間の偏差176を決定するステップ(ブロック1012)を含む。方法1000は、偏差176をNC複合材設置機に転送するステップを含む。方法1000は、偏差176に基づいて、NC複合材設置機102を補償するステップ(ブロック1014)を含む。
【0087】
1つ以上の例では、偏差176は、ラインプロファイル154のプロファイル配置を表すマスタ表面データ116と、ラインプロファイル154の公称配置を表すデータとの間の全体的な剛体変換を表す。
【0088】
1つ以上の例では、偏差176は、複数の局所偏差178から決定された全体偏差180である。局所偏差178は、ゾーン158の各々のラインプロファイル154のプロファイル配置を表すマスタ表面データ116と、積層表面110のセクションの各々のラインプロファイル154の公称配置を表すデータとの間の局所的な剛体変換を表す。したがって、1つ以上の例では、方法1000は、マスタファイル114を複数のゾーン158に分割するステップ(ブロック1016)を含む。方法1000は、ゾーン158を積層表面110の対応する部分に関連付けるステップ(ブロック1018)を含む。
【0089】
方法1000は、全体偏差180などの偏差176に基づいて補償されるNCプログラム経路222に従って、NC複合材設置機102を使用して複合材設置動作を実施するステップ(ブロック1020)を含む。
【0090】
1つ以上の例では、方法1000は、後の複合材設置動作の実施前など、積層ツール108を作業セル104に後でロードする際に、NC複合材設置機102の補償を容易にする。これらの例では、方法1000は、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152を再測定するステップ(ブロック1022)を含む。方法1000は、測定された目標データ128を生成するステップ(ブロック1024)を含む。方法1000は、マスタファイル114によって確立されたマスタ目標データ118とマスタ表面データ116との間の空間的関係に基づいて、測定された目標データ128から積層表面110のラインプロファイル154のプロファイル配置を決定するステップ(ブロック1026)を含む。
【0091】
ラインプロファイル154のプロファイル配置の新規に取得された決定の際に、方法1000は、マスタファイル114のマスタ表面データ116によって表されるラインプロファイル154の新規に決定されたプロファイル配置を、ラインプロファイル154の公称配置と比較するステップ(ブロック1010)を含む。方法1000は、ラインプロファイル154のプロファイル配置と、ラインプロファイル154の公称配置との間の偏差176を決定するステップ(ブロック1012)を含む。
【0092】
一例として、比較するステップ(ブロック1010)は、ゾーン158の各々のマスタファイル114のマスタ表面データ116によって表されるラインプロファイル154のプロファイル配置を、積層表面110の対応する部分のラインプロファイル154の公称配置と比較するステップを含む。決定するステップ(ブロック1012)は、積層表面110のプロファイル配置と公称配置との間の複数の局所偏差178を決定するステップを含む。これらの例では、方法1000は、局所偏差から全体偏差180を決定するステップを含む。
【0093】
方法1000は、偏差176(例えば、全体偏差180)をNC複合材設置機102に転送するステップを含む。方法1000は、偏差176に基づいてNC複合材設置機102のNCプログラム経路222を補償するステップ(ブロック1014)を含む。方法1000は、全体偏差180などの偏差176に基づいて補償されるNCプログラム経路222に従って、NC複合材設置機102を使用して複合材設置動作を実施するステップ(ブロック1020)を含む。
【0094】
1つ以上の例では、方法1000は、例えば、複合材設置動作中(例えば、ブロック1020)に、NC複合材設置機102のスポット補正及び再補償を容易にする。これらの例では、方法1000は、ゾーン158の少なくとも1つに対応する第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のうちの選択されたものを再測定するステップ(ブロック1028)を含む。方法1000は、測定された目標データ128を生成するステップ(ブロック1030)を含む。これらの例では、測定された目標データ128は、ゾーン158の少なくとも1つに対応する第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のうちの選択されたものの新規に取得され決定された目標配置を表す。方法1000は、マスタファイル114によって確立されたマスタ目標データ118とマスタ表面データ116との間の空間的関係に基づいて、測定された目標データ128から、ゾーン158の少なくとも1つに対応する第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のうちの選択されたものに関連する積層表面110のラインプロファイル154の新規のプロファイル配置を決定するステップ(ブロック1032)を含む。
【0095】
ラインプロファイル154のプロファイル配置の新規に取得された決定の際に、方法1000は、ゾーン158の少なくとも1つのマスタ表面データ116によって表されるラインプロファイル154の新規に決定されたプロファイル配置を、積層表面110の対応する部分のラインプロファイル154の公称配置と比較するステップ(ブロック1010)を含む。これらの例では、偏差176を決定するステップ(ブロック1012)は、プロファイル配置と公称配置との間の局所偏差178を決定するステップと、全体偏差180を局所偏差178で修正するステップと、を含む。
【0096】
方法1000は、局所偏差178によって修正された全体偏差180を、NC複合材設置機102に転送するステップを含む。方法1000は、修正された全体偏差180に基づいて、NCプログラム経路222を補償するステップ(ブロック1014)を含む。方法1000は、修正された全体偏差180に基づいて補償されるNCプログラム経路222に従って、NC複合材設置機102を使用して複合材設置動作を実施するステップ(ブロック1020)を含む。
【0097】
1つ以上の例では、NC複合材設置機102のスポット補正及び再補償は、NC複合材設置機102によって積層表面110上に形成されている複合材積層体240の異常又は他の不適合の識別に応答して、実施される。一例として、複合材プライ208のしわ、複合材プライ208のうちの直接隣接するもの間の隙間などの異常が、機械補償動作の不正確さ、又は誤差に起因して持ち込まれる場合がある。したがって、1つ以上の例では、方法1000は、NC複合材設置機102によって実施される複合材設置動作(例えば、ブロック1020)中に、積層ツール108の積層表面110上に形成された複合材積層体240を検査するステップ(ブロック1034)を含む。
【0098】
これらの例では、方法1000は、複合材積層体240の異常を検出するステップ(ブロック1036)を含む。方法1000は、異常の位置に関連する積層表面110の部分に対応するゾーン158のうちの1つを決定するステップ(ブロック1038)を含む。これらの例では、再測定(例えば、ブロック1028)される第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のうちの選択されたものは、ゾーン158のうちの1つに対応する。
【0099】
方法1000はまた、複数の積層ツール108と共に使用するためにスケーラブルである。一例として、1つ以上の例では、方法1000は、複数の積層ツール108の各々の第1の位置決め目標112、第2の位置決め目標152、及び積層表面110の一連のラインプロファイル154を測定するステップ(ブロック1002)を含む。方法1000は、積層ツール108の各々に関するマスタ表面データ116及びマスタ目標データ118を生成するステップ(ブロック1004)を含む。方法1000は、積層ツール108の各々に関するマスタ目標データ118とマスタ表面データ116との間の空間的関係を確立するマスタファイル114を生成するステップ(ブロック1006)を含む。これらの例では、方法1000は、マスタファイル114を、積層ツール108のうちの対応する1つの識別子168に関連付けるステップ(ブロック1008)を含む。
【0100】
1つ以上の例では、方法1000によれば、積層ツール108の各々は、識別子168を含む。複数のマスタファイル114の各々は、積層ツール108のうちの対応する1つの識別子168に関連付けられる。1つ以上の例では、方法1000は、識別子168を読み取るステップと、マスタファイル114にアクセスするステップと、積層ツール108のうちの1つに対応する識別子168に関連付けられたマスタファイル114を選択するステップと、を含む。
【0101】
ここで図10を参照すると、図10は、システム100と共に、又はそれによって使用される計算デバイス134の一例を示している。1つ以上の例では、方法1000の1つ以上の動作ステップ(図9に示す)の実施は、計算デバイス134を使用して実施される。
【0102】
1つ以上の例では、計算デバイス134は、記憶デバイス916に接続されたプロセッサユニット904を含む。記憶デバイス916は、コンピューター支援測定システム126に、積層ツール108(例えば、図5に示す)の第1の位置決め目標112、第2の位置決め目標152、及び積層表面110の一連のラインプロファイル154を測定するよう命令する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。記憶デバイス916は、マスタ表面データ116及びマスタ目標データ118(図1に示す)を生成する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。記憶デバイス916は、マスタ目標データ118とマスタ表面データ116との間の空間的関係を確立するマスタファイル114を生成する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。記憶デバイス916は、マスタファイル114を積層ツール108に関連付ける、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。
【0103】
1つ以上の例では、記憶デバイス916は、マスタ目標データ118とマスタ表面データ116とを相関させ、積層ツール108のためのマスタファイル114を作成する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。
【0104】
1つ以上の例では、記憶デバイス916は、マスタファイル114を複数のゾーン158(例えば、図6に示す)に分割する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。記憶デバイス916は、ゾーン158を、積層表面110の対応する部分に関連付ける、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。
【0105】
1つ以上の例では、積層ツール108を作業セル104に設置する際、記憶デバイス916は、例えば識別子168を読み取った後に、積層ツール108に関連するマスタファイル114を検索する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。マスタファイル114は、識別子168に関連付けられる。記憶デバイス916は、複数の積層ツール108に対応する複数のマスタファイル114(例えば、図1に示すデータベース246に保存される)から、1つのマスタファイル114を選択する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。
【0106】
1つ以上の例では、記憶デバイス916は、コンピューター支援測定システム126に、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152を再測定し、測定された目標データ128を生成するように命令する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。記憶デバイス916は、マスタファイル114によって確立されたマスタ目標データ118とマスタ表面データ116との間の空間的関係に基づいて、測定された目標データ128から積層表面110のラインプロファイル154のプロファイル配置を決定する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。
【0107】
1つ以上の例では、記憶デバイス916は、ゾーン158に関するマスタ表面データ116によって表されるラインプロファイル154のプロファイル配置を、積層表面110の対応する部分のラインプロファイル154の公称配置と比較する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。記憶デバイス916は、プロファイル配置と公称配置との間の複数の局所偏差を決定する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。記憶デバイス916は、局所偏差から全体偏差を決定する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。記憶デバイス916は、積層ツール108の公称配置に基づいて、複合材設置動作を実施するように構成されているNC複合材設置機102に全体偏差を転送するプロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。NC複合材設置機102は、全体偏差に基づいてNCプログラム経路222を補償する。
【0108】
1つ以上の例では、記憶デバイス916は、コンピューター支援測定システム126に、ゾーン158の少なくとも1つに対応する第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のうちの選択されたものを再測定し、測定された目標データ128を生成するように命令する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。記憶デバイス916は、マスタファイル114によって確立されたマスタ目標データ118とマスタ表面データ116との間の空間的関係に基づいて、測定された目標データ128から、ゾーン158の少なくとも1つに対応する第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のうちの選択されたものに関連する積層表面110のラインプロファイル154のプロファイル配置を決定する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。記憶デバイス916は、ゾーン158の少なくとも1つに関するマスタ表面データ116によって表されるラインプロファイル154のプロファイル配置を、積層表面110の対応する部分のラインプロファイル154の公称配置と比較する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。記憶デバイス916は、プロファイル配置と公称配置との間の局所偏差を決定する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。記憶デバイス916は、全体偏差を局所偏差で修正する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。記憶デバイス916は、全体偏差をNC複合材設置機102に転送する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。NC複合材設置機102は、局所偏差によって修正された全体偏差に基づいて、NCプログラム経路222を補償する。
【0109】
1つ以上の例では、記憶デバイス916は、コンピューター支援測定システム126に、第1の位置決め目標112、第2の位置決め目標152、及び積層表面110の一連のラインプロファイル154を測定し、複数の積層ツール108の各々に関するマスタ表面データ116及びマスタ目標データ118を生成するように命令する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。記憶デバイス916は、積層ツール108の各々に関するマスタ目標データ118とマスタ表面データ116との間の空間的関係を確立するマスタファイル114を生成する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。記憶デバイス916は、マスタファイル114を、積層ツール108のうちの対応する1つの識別子168に関連付ける、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。
【0110】
他の例では、記憶デバイス916は、例えば、方法1000(図9に示す)、及び/又はシステム100(図1に示す)に従って、本明細書で説明するように、1つ以上の追加の動作を実施する、プロセッサユニット904によって実行可能なプログラムコード918を含む。
【0111】
引き続き図10を参照すると、計算デバイス134は、任意の適切なデータ処理システム900を含む。1つ以上の例では、データ処理システム900は、少なくとも1つのプロセッサユニット904と、メモリ906及び/又は永続記憶部908などの1つ以上の記憶デバイス916と、通信ユニット910と、入力/出力(I/O)ユニット912と、ディスプレイ914との間の通信を提供する通信フレームワーク902を含む。この例では、通信フレームワーク902はバスシステムの形態をとってもよい。
【0112】
プロセッサユニット904は、メモリ906にロードされ得るソフトウェアに関する命令の実行を担う。プロセッサユニット904は、特定の実現例に応じて、複数のプロセッサ、マルチ・プロセッサ・コア又は他のタイプのプロセッサであってもよい。
【0113】
メモリ906及び永続記憶部908は、記憶デバイス916の一例である。記憶デバイスは、例えば、データ、機能形式(functional form)のプログラムコード、又は一時的、永続的若しくは一時的と永続的とを両方兼ねる他の適当な情報のうちの少なくとも1つ(これに限定されない)のような情報を記憶し得るハードウェアのいずれかの部分である。記憶デバイス916は、コンピューター可読記憶デバイスとも呼ばれ得る。メモリ906は、例えば、ランダム・アクセス・メモリであってもよいし、任意の他の適当な揮発性記憶デバイス又は不揮発性記憶デバイスであってもよい。永続記憶部908は、特定の実装形態に応じて様々な形態をとってもよい。例えば、永続記憶部908は、1つ以上の構成要素又はデバイスを含んでもよい。例えば、永続記憶部908は、ハードディスクドライブ、ソリッド・ステート・ハードディスク・ドライブ、フラッシュメモリ、書き換え可能光ディスク、書き換え可能磁気テープ又は上記のいくつかの組合せであってもよい。永続記憶部908によって用いられる媒体は、取り外し可能であってもよい。例えば、リムーバブル・ハードディスク・ドライブを永続記憶部908に使用してもよい。
【0114】
通信ユニット910は、(図1に示す)NC複合材設置機102の制御ユニット210などの他のデータ処理システム又はデバイスとの通信を提供する。1つ以上の例では、通信ユニット910は、ネットワーク・インターフェース・カードである。
【0115】
入力/出力ユニット912は、データ処理システム900に接続し得る他のデバイスとのデータの入力及び出力を可能にする。例えば、入力/出力ユニット912は、キーボード、マウス又は他の適当な入力デバイスのうちの少なくとも1つを通じてユーザ入力のための接続を実現してもよい。更に、入力/出力ユニット912は、プリンタに出力を送り得る。ディスプレイ914は、情報をユーザに表示する機構を実現する。
【0116】
オペレーティングシステム、アプリケーション又はプログラムのうちの少なくとも1つのための命令を、記憶デバイス916に置いてもよく、記憶デバイス916は、通信フレームワーク902を通じてプロセッサユニット904と通信する。本明細書に記載の様々な例及び動作の処理は、メモリ906などのメモリに配置され得るコンピューター実装命令を使用してプロセッサユニット904によって実施され得る。
【0117】
当該命令は、プロセッサユニット904が読み込んで実行し得るプログラムコード、コンピューター使用可能プログラムコード、又はコンピューター可読プログラムコード(例えば、プログラムコード918)と称される。異なる例のプログラムコードは、メモリ906や永続記憶部908などの異なる物理的又はコンピューター可読記憶媒体上で具体化されてもよい。
【0118】
1つ以上の例では、プログラムコード918は、選択的に取り外し可能であるコンピューター可読媒体920に機能形式で置かれ、また、プロセッサユニット904による実行のためにデータ処理システム900にロードされても、転送されてもよい。1つ以上の例では、プログラムコード918及びコンピューター可読媒体920は、コンピュータープログラム製品922を形成する。1つ以上の例では、コンピューター可読媒体920は、コンピューター可読記憶媒体924である。
【0119】
プログラムコード918の例は、(図1に示す)NC複合材設置機102の動作(例えば、NCプログラム220)、コンピューター支援測定システム126の動作、マスタ表面データ116、マスタ目標データ118、及び測定された目標データ128の処理及び分析、マスタファイル114の生成、全体的及び局所的なツール変換に使用される偏差の決定、NCプログラム経路222の補償などのためのプログラムコード又は命令を含む。
【0120】
1つ以上の例では、コンピューター可読記憶媒体924は、アプリケーション・プログラム・コード918を伝播又は送信する媒体ではなく、アプリケーション・プログラム・コード918を記憶するために使用される物理的又は有形の記憶デバイスである。
【0121】
代替的に、コンピューター可読信号媒体を使用してデータ処理システム900にアプリケーション・プログラム・コード918を転送してもよい。コンピューター可読信号媒体は、例えば、アプリケーション・プログラム・コード918を含む、伝播データ信号であってもよい。例えば、コンピューター可読信号媒体は、電磁信号、光信号又は任意の他の適当なタイプの信号のうちの少なくとも1つであってもよい。当該信号は、無線通信リンク、光ファイバケーブル、同軸ケーブル、有線又は任意の他の適当なタイプの通信リンクなどの通信リンクの少なくとも1つを介して伝送してもよい。
【0122】
データ処理システム900について示している異なる構成要素は、異なる例の実施の仕方に対する構成上の限定を与えることを意図しない。異なる例は、図10に示す構成要素に加えて、又はその代わりに構成要素を含むデータ処理システム900に実装されてもよい。図10に示す他の構成要素は、示した例とは異なり得る。プログラムコード918を実行し得る任意のハードウェアデバイス又はシステムを使用して異なる例を実施してもよい。例として、本明細書に記載の動作ステップは、専用モジュール内に、又は専用ソフトウェアアプリケーションによって実施されてもよい。
【0123】
図11を参照すると、図11は、積層ツール108を測定し、NC複合材設置機102を使用して複合材積層体240を製造する製造環境200の一例を示している。NC複合材設置機102は、システム100によって積層ツール108の配置(例えば、位置、向き、及び形状)を補償される。
【0124】
1つ以上の例では、システム100は、作業セル104を含む。作業セル104内の積層ツール108のツール配置は、ツール空間内(例えば、ツール座標系106に対して)のシステム100によって決定される。NCプログラム220は、機械空間における(例えば、機械座標系150に対して)積層ツール108の公称配置を参照する命令を利用する。NCプログラム220は、本明細書で上述したように、公称配置とツール配置との間の偏差に基づいて、NCプログラム経路222を補償する。
【0125】
1つ以上の例では、積層ツール108は、機械補償及び複合材設置動作の前に、作業セル104内に配置される。1つ以上の例では、積層ツール108は、複数のツール固定具218によって作業セル104上に設置され、支持される。一例として、ツール固定具218は、長手方向軸A1に沿って積層ツール108の長さの少なくとも一部を延伸してもよい。一般に、ツール固定具218は、作業セル座標系106における積層ツール108のX、Y、Z座標を設定する。
【0126】
積層ツール108が作業セル104内に配置されるたびに、ツール配置は公称配置とは異なり得る。一例として、ツール固定具218上に積層ツール108を設置するために使用される機器は、積層ツール108を公称配置に正確に配置しない場合がある。別の例として、積層表面110などの積層ツール108のツール外形は、積層ツール108の公称外形と正確に一致しない場合がある。更に別の例として、積層ツール108の少なくとも一部の外形、形状、及び/又は配置は、積層ツール108がツール固定具218によって支持されると変化する場合がある。例えば、細長い複合材航空機構造(例えば、翼パネル、ストリンガなど)を形成するために使用されるような比較的高いアスペクト比の積層ツール108は、積層ツール108の長手方向軸A1に沿った1つ以上の領域で屈曲、ねじれ、垂れ下がり、又は局所的に変形する場合がある。そのような変形は、積層ツール108の少なくとも一部の表面配置などのツール配置が公称配置とは異なる結果となる場合がある。
【0127】
したがって、システム100、方法1000、及び/又は計算デバイス134は、積層ツール108のツール配置、したがって複合材積層体240の製造のための許容可能な精度レベル内の積層表面110の表面配置を、迅速に、効率的に決定するための重要な基準形態として、第1の位置決め目標112、第2の位置決め目標152、及び積層表面110のラインプロファイル154を利用する。有利には、この処理は、積層ツール108の配置を正確に決定し、複合材プライ208を設置する前にNC複合材設置機102を補償するために必要な処理時間を大幅に低減する。
【0128】
1つ以上の例では、マスタファイル114は、積層ツール108の製造業者によって生成され、提供される。1つ以上の例では、マスタファイル114は、作業セル104内の積層ツール108の初期測定時などに、システム100によって生成される。これらの例のいずれにおいても、マスタファイル114は、積層表面110のラインプロファイル154の測定値、並びに第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152の測定値を取得することによって生成される。
【0129】
マスタ表面データ116は、積層表面110のラインプロファイル154の相対的な位置、向き、及び形状を表すデータ点のセットの形態をとる。マスタ目標データ118は、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152の相対的な位置及び向きを表すデータ点のセットの形態をとる。各データ点は、それ自体のデカルト座標(X、Y、Z)値のセットを有する。マスタ目標データ118は、マスタ表面データ116と相関する。マスタ目標データ118とマスタ表面データ116との相関は、任意の他のデータ点に対する各データ点の位置を固定又は関連付ける。例えば、マスタ目標データ118とマスタ表面データ116との相関は、データ点の各対間の距離(例えば、ユークリッド距離)を固定して保持する。
【0130】
1つ以上の例では、計算デバイス134は、コンピューター支援測定システム126に接続されるか、又はそれと通信する。コンピューター支援測定システム126は、物体の寸法測定を行い、空間内の物体の表面の三次元外形及び配置を表すデータ点を生成し得る、任意の適切なタイプのコンピューター支援計測機器又は基材であるか、又はそれらを含む。1つ以上の例では、コンピューター支援測定システム126は、少なくとも1つの測定デバイス164を含む。1つ以上の例では、コンピューター支援測定システム126は、複数の測定デバイス164(例えば、図11に示す測定デバイス164A、測定デバイス164B、及び測定デバイス164C)を含む。
【0131】
1つ以上の例では、コンピューター支援測定システム126は、接触三次元測定又は走査を利用する。一例として、測定デバイス164は、プローブ又は座標測定機を含むか、又はその形態をとる。これらの例では、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のうちの1つ以上は、接触測定デバイスを使用して物理的に測定され得る形態を含むか、又はその形態をとる。
【0132】
1つ以上の例では、コンピューター支援測定システム126は、非接触三次元測定又は走査を利用する。一例として、測定デバイス164は、レーザスキャナ、構造化光スキャナ、又は写真測量を含むか、又はその形態をとる。これらの例では、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のうちの1つ以上は、非接触測定デバイスを使用して光学的に測定され得る形態を含むか、又はその形態をとる。
【0133】
1つ以上の例では、コンピューター支援測定システム126は、接触及び非接触の両方の三次元測定又は走査を利用する。一例として、マスタファイル114に使用されるマスタ表面データ116及びマスタ目標データ118を生成するための第1の位置決め目標112、第2の位置決め目標152、及びラインプロファイル154の初期測定は、非接触三次元測定又は走査を介して実施されてもよい。その後、積層ツール108を作業セル104にロードする際、測定された目標データ128を生成するための第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のその後の測定は、接触三次元測定又は走査を介して実施されてもよい。加えて、機械補償のリアルタイム補正中に、測定された目標データ128を生成するための第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のうちの選択されたものの再測定は、接触三次元測定又は走査を介して実施されてもよい。
【0134】
1つ以上の例では、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のうちの1つ以上は、積層ツール108に取り外し可能に接続される(例えば、積層ツール108から取り外され得る)。一例として、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152は、カスタムブッシュによって積層ツール108に接続される。この構成により、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のいずれかによって利用される目標のタイプ(例えば、光学的又は物理的)を、除去する(例えば、不要なとき)、交換する(例えば、損傷したとき)、及び/又は入れ替える(例えば、異なるタイプの目標を用いる)ことができる。この構成により、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152の部分が、光学目標であり、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152の別の部分が、物理目標であることを、更に可能にする。例えば、ブッシングからの第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152の除去は、積層ツール108上の複合材積層体240を(例えば、熱及び/又は圧力を介して)硬化させる前が望ましく、有益であり得る。
【0135】
1つ以上の例では、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のタイプ(例えば、光学的又は物理的)は、初期測定(例えば、マスタ表面データ116及びマスタ目標データ118を生成し、マスタファイル114を作成するために)と、後の測定(例えば、測定された目標データ128を生成するために)との間で切り替えられてもよい。例えば、ラインプロファイル154に対する第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152の配置を維持しつつ、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のタイプを切り替えてもよい。
【0136】
サイクルタイムを低減するために、更に積層ツール108が作業セル104にロードされるたびにNC複合材設置機102の位置合わせ及び補償のために積層ツール108の配置を決定する際の効率を向上するために、システム100は、コンピューター支援測定システム126を利用して、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152のみの形態配置を決定する(例えば、測定する)。次いで、システム100は、マスタファイル114内の第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152を表すデータ点(例えば、マスタ目標データ118)を、第1の位置決め目標112及び第2の位置決め目標152を表す新規に測定されたデータ点(例えば、測定された目標データ128)に登録する。したがって、この登録処理は、積層表面110のラインプロファイル154を表すデータ点(例えば、マスタ表面データ116)の配置を提供し、それにより、積層表面110の完全な測定を必要とせずに、積層表面110の実際の表面配置(例えば、許容可能な公差内で)を実現する。
【0137】
1つ以上の例では、コンピューター支援測定システム126によって生成された測定データは、計算デバイス134に提供され、計算デバイス134によって処理される。計算デバイス134は、マスタ表面データ116及びマスタ目標データ118を処理し、積層ツール108のためのマスタファイル114を作成するように動作可能である。計算デバイス134は、ラインプロファイル154のプロファイル配置を決定するために使用される後続の測定データとして、測定された目標データ128を処理するように更に動作可能である。
【0138】
1つ以上の例では、コンピューター支援測定システム126はまた、移動システム228を含む。移動システム228は、積層ツール108に対して測定デバイス164を支持し、位置決めする。1つ以上の例では、移動システム228は、測定デバイス164の各々を積層ツール108に対して、及び互いに対して独立して移動させるように構成されている。
【0139】
1つ以上の例では、移動システム228は、積層ツール108に沿って測定デバイス164(例えば、測定デバイス164A及び測定デバイス164B)のうちの1つ以上を移動させるように構成されているオーバヘッドガントリを含むか、その形態をとる。これらの例では、測定デバイス164A及び測定デバイス164Bは、非接触測定デバイスである。積層ツール108を測定するための非接触測定(例えば、走査)動作は、移動システム228に提供される命令を使用して自動的に実施されてもよい。
【0140】
測定デバイス164が非接触測定デバイスである1つ以上の例では、システム100は、支持構造230を含む。支持構造230は、複数の基準目標234を含む。基準目標234の各々は、ツール空間において既知の基準目標配置に位置決めされる。1つ以上の例では、コンピューター支援測定システム126の移動システム228は、例えば、測定デバイス164の少なくとも1つが積層ツール108の上方に配置されるように、支持構造230に接続されるか、そうでなければそれによって支持される。
【0141】
コンピューター支援測定システム126によって収集された測定データは、基準目標234の既知の(例えば、固定)配置を表す基準目標データを含む。一例として、基準目標データは、マスタ表面データ116及びマスタ目標データ118が収集されるときに収集される、及び/又は含まれる。別の例として、基準目標データは、測定された目標データ128が収集されるときに収集される、及び/又は含まれる。このように、基準目標データは、測定データを登録し、積層ツール108の実際のツール配置を決定するために使用される。
【0142】
例示的な例では、基準目標234の基準目標データを利用して、作業セル104内の積層ツール108の相対配置を決定しているが、測定データの相対配置を決定するための様々な他の既知の方法又は技術のいずれかを使用し得ることを理解されたい。
【0143】
1つ以上の例では、移動システム228は、測定デバイス164(例えば、測定デバイス164C)のうちの1つ以上を積層ツール108に沿って移動させるように構成されているプログラム可能なロボットアーム又は他の機械を含むか、又はその形態をとる。これらの例では、測定デバイス164Cは、接触測定デバイスである。1つ以上の例では、測定デバイス164のうちの1つ(例えば、測定デバイス164C)は、NC複合材設置機102のプラットフォーム212に接続される。一例として、測定デバイス164Cは、積層ツール108の測定中に、NC複合材設置機102のツールヘッド238を形成するか、そうでなければ取り付けられる。機械補償の際、及び複合材設置動作の前に、測定デバイス164Cは、取り外され、設置ヘッド206と交換される。積層ツール108を測定するための接触測定(例えば、プロービング)動作は、移動システム228(例えば、NC複合材設置機102のプラットフォーム212)に提供される命令を使用して自動的に実施され得る。
【0144】
1つ以上の例では、視覚システム242は、NC複合材設置機102によって設置されるときに複合材プライ208を検査し得る(例えば、するように構成されている)任意の適切な機械視覚機器であるか、又はそれを含む。1つ以上の例では、視覚システム242は、複合材プライ208の不適合を検出するように動作可能である。不適合は、NC複合材設置機102と積層ツール108との位置合わせ、又は補償の誤差を示し得る。
【0145】
図1を参照すると、1つ以上の例では、システム100は、複数の積層ツール108を含む。積層ツール108の各々は、識別子168を含む。識別子168は、様々な形態のいずれかをとる。例として、識別子168は、英数字コード、バーコード、無線周波数識別(「RFID」)コードなどであるか、又はそれらの形態をとる。
【0146】
これらの例では、システム100はまた、複数のマスタファイル114を含む。マスタファイル114の各々は、積層ツール108のうちの対応する1つに関して、(例えば、図1に示すように)マスタ表面データ116と、マスタ目標データ118と、を含む。マスタファイル114の各々は、積層ツール108のうちの対応する1つの識別子168に関連付けられる。
【0147】
図1を参照すると、1つ以上の例では、システム100は、データベース246を含む。データベース246は、複数のマスタファイル114と、複数の積層ツール108に対応する複数の識別子168と、を記憶する。
【0148】
引き続き図1を参照すると、1つ以上の例では、システム100は、読取器248を含む。例えば、積層ツール108が作業セル104内に配置される前又は後に、読取器248は、積層ツール108の識別子168を検出する、及び/又は読み取るように動作可能である(例えば、それらを実施するように構成するように適合される)。読取器248は、種々の形態を取り得る。例として、読取器248は、光スキャナ、バーコードスキャナ、無線周波数識別スキャナなどであるか、又はその形態をとる。
【0149】
1つ以上の例では、読取器248は、識別子168を計算デバイス134に提供する。計算デバイス134は、データベース246にアクセスし、識別子168に関連するマスタファイル114を検索するように動作可能である。
【0150】
ここで図12及び図13を参照すると、システム100、方法1000、及び計算デバイス134の例は、図12のフロー図に示すように航空機の製造及び保守点検方法1100に、又は図13に概略的に示すように航空機1200に関連する、又は関連して使用され得る。例えば、航空機1200及び/又は航空機の製造及び保守点検方法1100は、NC複合材設置機102を使用して積層ツール108上に製造される複合材構造を利用してもよい。積層ツール108の実際の配置は、システム100及び/又は計算デバイス134を使用して、又は方法1000に従って決定される。NC複合材設置機102は、システム100及び/又は計算デバイス134を使用して、又は方法1000に従って空間的に補償される。
【0151】
図13を参照すると、航空機1200の例は、内部1206を有する機体1202を含む。航空機1200はまた、複数の機上(高レベル)システム1204を含む。機上システム1204の例は、推進システム1208、電気システム1210、油圧システム1212、環境システム1214、及び通信システム1216のうちの1つ以上を含む。他の例では、航空機1200は、飛行制御システム、誘導システム、兵器システムなどの任意の数の他のタイプのシステムを含んでもよい。1つ以上の例では、複合材構造(例えば、複合材積層体240から形成される)は、翼1220、胴体1218、水平安定板、垂直安定板又はパネル、ストリンガ、スパーなどの機体1202の構成要素を形成する。
【0152】
図12を参照すると、生産前の間に、方法1100は、航空機1200の仕様及び設計(ブロック1102)、並びに材料調達(ブロック1104)を含む。航空機1200の製造中、構成要素及び部分組立品の製造(ブロック1106)と、航空機1200のシステム統合(ブロック1108)とが行われる。その後、航空機1200は、認証及び搬送(ブロック1110)を経て、就航中(ブロック1112)となる。定期的な整備及び保守点検(ブロック1114)は、航空機1200の1つ以上のシステムの修正、再構成、改装などを含む。
【0153】
図12に示す方法1100の処理の各々は、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば、顧客)によって実施又は実行されてもよい。この説明の目的のために、システムインテグレータは、限定はしないが、任意の数の宇宙船製造業者及び主要システムの下請業者を含んでもよく、第三者は、限定はしないが、任意の数のベンダ、下請業者、及びサプライヤを含んでもよく、オペレータは、航空会社、リース会社、軍部、サービス組織などであってもよい。
【0154】
本明細書に示し、説明するシステム100、方法1000、及び計算デバイス134の例は、図12に示すフロー図に示す製造及び保守点検方法1100の任意の1つ以上の段階中に採用され得る。一例では、システム100を使用して、及び/又は方法1000に従って製造された複合材構造は、構成要素及び部分組立品の製造(ブロック1106)、並びに/又はシステム統合(ブロック1108)の部分を形成してもよい。更に、システム100を使用して、及び/又は方法1000に従って製造された複合材構造は、航空機1200の就航中に準備された構成要素又は部分組立品と同様の方法で利用されてもよい(ブロック1112)。また、システム100を使用して、及び/又は方法1000に従って製造された複合材構造は、システム統合(ブロック1108)、並びに認証及び搬送(ブロック1110)中に利用されてもよい。同様に、システム100を使用して、及び/又は方法1000に従って製造された複合材構造は、例えば、限定ではないが、航空機1200の就航中(ブロック1112)、並びに整備及び保守点検中(ブロック1114)に利用されてもよい。例えば、予備及び/又は交換用の複合材部品は、所定の整備周期に起因して、又は複合材部品の損傷の認識後に、製造及び設置されてもよい。
【0155】
航空宇宙の例が示されているが、本明細書に開示される例及び原理は、自動車産業、宇宙産業、建設産業、並びに他の設計及び製造産業などの他の産業に適用されてもよい。したがって、航空機に加えて、本明細書に開示する例及び原理は、他のタイプのビークル(例えば、陸上ビークル、海上ビークル、宇宙ビークルなど)及び独立型構造のための複合材構成要素アセンブリ及びシステム、並びにその製造方法に適用してもよい。
【0156】
本開示を通して、「複合材料」という用語は、2つ以上の機能的構成要素を組み合わせることによって作り出された強靭で軽量の材料を指す。例えば、複合材料は、ポリマー樹脂マトリクス中で結合される強化繊維を含んでもよい。繊維は、一方向性とすることができ、又は織布若しくは織物の形をとることもできる。複合材料の層をツール上にレイアップした後、複合材料の層を集約又は硬化させて(例えば、温度及び/又は圧力にさらして)、最終複合材構造を形成してもよい。
【0157】
複合材構造は、多くのタイプのプラットフォームの構成要素として使用され得る。複合材構成要素を有するプラットフォームは、例えば、移動プラットフォーム、静止プラットフォーム、地上構造、水上構造及び宇宙構造であってもよい。より具体的には、プラットフォームは、航空機、水上船舶、戦車、兵員輸送車、列車、宇宙船、宇宙ステーション、衛星、潜水艦、自動車、発電所、橋梁、ダム、住宅、製造施設、建物、及び任意の他の適当なタイプのプラットフォームであってもよい。
【0158】
前述の詳細な説明は、本開示によって説明される具体例を示す添付の図面を参照する。異なる構造及び動作を有する他の例が、本開示の範囲から逸脱することはない。同様の参照符号は、異なる図面において同じ形態、要素、又は構成要素を指すことができる。本開示全体を通して、複数の項目のいずれかを個別に項目と呼ぶ場合があり、複数の項目をまとめて項目と呼ぶ場合があり、同様の参照符号で呼ぶ場合がある。更に、本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、又は「1つの(an)」という語に先行する形態、要素、構成要素、又はステップは、そのような除外を明示的に記載していない限り、複数の形態、要素、構成要素、又はステップを除外しないものとして理解されるべきである。
【0159】
本開示による主題の例示的で非網羅的な例は、必ずしも特許請求されているわけではないが、上に提供されている。本明細書における「例」への言及は、例に関連して記載された1つ以上の形態、構造、要素、構成要素、特性、及び/又は動作ステップが、本開示による主題の少なくとも1つの態様、実施形態、及び/又は実装態様に含まれることを意味する。したがって、本開示全体を通して、「一例」、「別の例」、「1つ以上の例」の語句、及び同様の文言は、必ずしもそうである必要はないが、同じ例を指すことができる。更に、任意の1つの例を特徴付ける主題は、必ずしもそうである必要はないが、任意の他の例を特徴付ける主題を含むことができる。また、任意の1つの例を特徴付ける主題は、必ずしもそうである必要はないが、任意の他の例を特徴付ける主題と組み合わせることができる。
【0160】
本明細書で使用される場合、指定された機能を実施する「ように構成されている」システム、装置、デバイス、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、更なる変更後に指定された機能を実施する可能性を単に有するのではなく、改変なしに指定された機能を実際に実施することが可能である。言い換えれば、指定された機能を実施する「ように構成されている」システム、装置、デバイス、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、指定された機能を実施する目的で具体的に選択され、作成され、実施され、利用され、プログラムされ、及び/又は設計される。本明細書で使用される場合、「ように構成されている」とは、システム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアが更なる変更なしに指定された機能を実施することを可能にするシステム、装置、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアの既存の特性を表す。本開示の目的のために、特定の機能を実施する「ように構成されている」ものとして説明されたシステム、装置、デバイス、構造、物品、要素、構成要素、又はハードウェアは、追加的又は代替的に、その機能を実施する「ように適合された」及び/又は「ように動作する」ものとして説明されてもよい。
【0161】
特に明記しない限り、「第1の」、「第2の」、「第3の」などの用語は、単にラベルとして使用され、これらの用語が参照する項目に順序、配置、又は階層の要件を課すことを意図しない。更に、例えば、「第2の」項目への参照は、例えば、「第1の」又はより小さい番号の項目、及び/又は、例えば、「第3の」又はより大きい番号の項目の存在を必要としたり排除したりするものではない。
【0162】
本明細書で使用される場合、「の少なくとも1つ」という語句は、項目のリストと共に使用される場合、列挙された項目のうちの1つ以上の異なる組合せが使用されてもよく、リスト内の各項目のうちの1つのみが必要であってもよいことを意味する。例えば、「項目A、項目B及び項目Cの少なくとも1つ」は、例えば、項目A、又は項目A及び項目Bを含むでもよいが、これに限定されない。この例は、項目Aと項目Bと項目C、あるいは項目Bと項目Cも含んでもよい。他の例では、「の少なくとも1つ(一方)」は、例えば、項目Aの2個、項目Bの1個、及び項目Cの10個(これに限定されない)であってもよいし、項目Bの4個、及び項目Cの7個であってもよいし、他の適当な組合せであってもよい。本明細書で使用される場合、「及び/又は」という用語及び「/」記号は、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のありとあらゆる組合せを含む。
【0163】
本開示の目的のために、「接続された」、「接続する」という用語、及び同様の用語は、接合、リンク、固定、取り付け、接続、通信、又は他の方法で(例えば、機械的に、電気的、流体的、光学的、電磁的に)互いに関連する2つ以上の要素を指す。様々な例において、要素は直接的又は間接的に関連付けられ得る。一例として、要素Aは要素Bと直接関連付けられてもよい。別の例として、要素Aは、例えば別の要素Cを介して、要素Bと間接的に関連付けられてもよい。様々な開示された要素間のすべての関係が必ずしも表されているわけではないことが理解されよう。したがって、図に示されたもの以外の接続も存在し得る。
【0164】
本明細書で使用される場合、「ほぼ」という用語は、依然として所望の機能を実施するか、又は所望の結果を達成する、記載された条件に近いが正確ではない条件を指すか又は表す。一例として、「ほぼ」という用語は、記載された条件の10%以内の条件など、許容可能な所定の許容範囲又は精度内にある条件を指す。しかし、「ほぼ」という用語は、正確に記載された条件である条件を排除するものではない。本明細書で使用される場合、「実質的に」という用語は、所望の機能を実施するか、又は所望の結果を達成する、本質的に記載された条件である条件を指す。
【0165】
本開示の目的のために、軸に沿って延伸するような、軸に沿って配置されるアイテムは、軸と同軸であるか、又は軸に少なくともほぼ平行である1つ以上のアイテムを指す。
【0166】
本開示の目的のために、特に明記しない限り、アイテムの「配置」は、3次元空間におけるアイテムの位置、3次元空間におけるアイテムの角度方向、及び/又はアイテムの形状を指す。
本開示及び図を通して、「数値制御」という用語は、単に「NC」とも呼ばれ得る。
【0167】
「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(has)」、「含む(contains)」という用語、及びそれらの変形が本明細書で使用される限り、そのような用語は、追加又は他の要素を排除することなく非限定移行語としての「備える(comprises)」という用語と同様の方法で包括的であることが意図されている。
【0168】
上記の図1図8図10図11及び図13は、その機能要素、形態、又は構成要素を表すことができ、必ずしも特定の構造を意味するものではない。したがって、例示された構造に対して、修正、追加、及び/又は省略が行われてもよい。加えて、当業者は、上記の図1図8図10図11及び図13に説明及び図示しているすべての要素、形態、及び/又は構成要素が、すべての例に含まれる必要はなく、本明細書に説明のすべての要素、形態、及び/又は構成要素が必ずしも各例示的な例に示されているわけではないことを理解するであろう。したがって、図1図8図10図11及び図13に説明及び図示している要素、形態、並びに/又は構成要素のいくつかは、そのような組合せを本明細書に明示的に示していない場合でも、図1図8図10図11及び図13に説明及び図示している他の形態、他の図面、並びに/又は付随する開示を含む必要なしに、様々な方法で組み合わせられてもよい。同様に、提示された例に限定されない追加の形態は、本明細書に示され説明された形態の一部又はすべてと組み合わせられてもよい。特に明記しない限り、上記の図1図8図10図11及び図13に示している例の概略図は、例示的な例に関する構造上の制限を意味するものではない。むしろ、1つの例示的な構造が示されているが、構造は、適切な場合に修正され得ることが理解されるべきである。したがって、例示された構造に対して、修正、追加、及び/又は省略が行われてもよい。更に、同様の、又は少なくとも実質的に同様の目的を果たす要素、形態、及び/又は構成要素は、図1図8図10図11及び図13の各々において同様の番号でラベル付けされ、そのような要素、形態、及び/又は構成要素は、図1図8図10図11及び図13の各々を参照して本明細書で詳細に説明しない場合がある。同様に、図1図8図10図11及び図13の各々では、すべての要素、形態、及び/又は構成要素にラベル付けされているわけではなく、これらに関連する参照符号は、本明細書では一貫性を保つために利用されることがある。
【0169】
上記で言及した図9及び図12において、ブロックは、動作、ステップ、及び/又はその一部を表してもよく、様々なブロックを接続する線は、動作又はその一部の特定の順序又は依存関係を意味するものではない。様々な開示された動作間のすべての依存関係が必ずしも表されているわけではないことが理解されよう。図9及び図12並びに本明細書に記載の方法の動作を説明する付随する開示は、動作が実行されるシーケンスを必ず決定するものと解釈されるべきではない。むしろ、1つの例示的な順序が示されているが、動作のシーケンスは、適切な場合に修正されてもよいことが理解される。したがって、図示された動作に対して修正、追加、及び/又は省略が行われてもよく、ある動作は異なる順序で実施されても、同時に実施されてもよい。加えて、当業者は、記載されたすべての動作が必ずしも実施される必要はないことを理解するであろう。
【0170】
1.積層ツール(108)であって、
積層表面(110)と、
積層ツール(108)の第1の側面(172)に沿って、積層表面(110)を延伸する複数の第1の位置決め目標(112)と、
積層ツール(108)の第2の側面(174)に沿って、第1の側面(172)と反対側の積層表面(110)を延伸する複数の第2の位置決め目標(152)と、
を備える積層ツール(108)と、
第1の位置決め目標(112)、第2の位置決め目標(152)、及び積層表面(110)の一連のラインプロファイル(154)を測定し、マスタ表面データ(116)及びマスタ目標データ(118)を生成するように適合されるコンピューター支援測定システム(126)であって、
マスタ目標データ(118)が、第1の位置決め目標(112)及び第2の位置決め目標(152)の目標配置を表し、
マスタ表面データ(116)が、積層表面(110)のラインプロファイル(154)のプロファイル配置を表し、
ラインプロファイル(154)の各々が、複数の目標対(156)のうちの1つに関連付けられ、複数の目標対(156)のうちの1つの間を延伸し、
目標対(156)の各々が、第1の位置決め目標(112)のうちの1つと、第2の位置決め目標(152)のうちの対向する1つと、
を備える、コンピューター支援測定システム(126)と、
マスタ目標データ(118)とマスタ表面データ(116)との間の空間的関係を確立するマスタファイル(114)を生成し、
マスタファイル(114)を積層ツール(108)に関連付ける、
ように適合される計算デバイス(134)と、
を備える、複合材製造システム(100)。
【0171】
2.計算デバイス(134)が、
マスタファイル(114)を複数のゾーン(158)に分割し、
ゾーン(158)を積層表面(110)の対応する部分に関連付ける、
ように適合され、
ゾーン(158)の各々が、ラインプロファイル(154)のうちの3つを表すマスタ表面データ(116)の一部と、ラインプロファイル(154)のうちの3つに関連付けられた目標対(156)のうちの3つを表すマスタ目標データ(118)の一部と、を備え、
ラインプロファイル(154)のうちの1つを表すマスタ表面データ(116)の一部、及びラインプロファイル(154)のうちの1つに関連付けられた目標対(156)のうちの1つを表すマスタ目標データ(118)の一部が、ゾーン(158)の直接隣接する対によって共有されるように、ゾーン(158)の各々が、ゾーン(158)のうちの直接隣接する1つに重なる、
条項1に記載の複合材製造システム(100)。
【0172】
3.コンピューター支援測定システム(126)が、第1の位置決め目標(112)及び第2の位置決め目標(152)を再測定し、測定された目標データ(128)を生成するように適合され、
測定された目標データ(128)が、第1の位置決め目標(112)及び第2の位置決め目標(152)の目標配置を表し、
計算デバイス(134)が、マスタファイル(114)によって確立されたマスタ目標データ(118)とマスタ表面データ(116)との間の空間的関係に基づいて、測定された目標データ(128)から積層表面(110)のラインプロファイル(154)のプロファイル配置を決定するように適合される、
条項2に記載の複合材製造システム(100)。
【0173】
4.積層表面(110)の公称配置に基づいて、複合材設置動作を実施する数値制御複合材設置機(102)を更に備え、
計算デバイス(134)が、
ゾーン(158)に関するマスタ表面データ(116)によって表される積層表面(110)のラインプロファイル(154)のプロファイル配置を、積層表面(110)の対応する部分の公称配置と比較し、
プロファイル配置と公称配置との間の複数の局所偏差(178)を決定し、
局所偏差(178)から全体偏差(180)を決定し、
全体偏差(180)を数値制御複合材設置機(102)に転送する、
ように適合され、
数値制御複合材設置機(102)は、全体偏差(180)に基づいて、数値制御プログラム経路(222)を補償する、
条項3に記載の複合材製造システム(100)。
【0174】
5.コンピューター支援測定システム(126)が、ゾーン(158)のうちの1つに対応する第1の位置決め目標(112)及び第2の位置決め目標(152)のうちの選択されたものを再測定し、測定された目標データ(128)を生成するように適合され、
計算デバイス(134)が、
マスタ表面データ(116)によって表され、かつマスタファイル(114)によって確立されたマスタ目標データ(118)とマスタ表面データ(116)との間の空間的関係に基づいて測定された目標データ(128)からゾーン(158)のうちの1つに対応する第1の位置決め目標(112)及び第2の位置決め目標(152)のうちの選択されたものに関連付けられた、積層表面(110)のラインプロファイル(154)のプロファイル配置を決定し、
ゾーン(158)のうちの1つに関するマスタ表面データ(116)によって表されるラインプロファイル(154)のプロファイル配置を、積層表面(110)の対応する部分の公称配置と比較し、
プロファイル配置と公称配置との間の局所偏差(178)を決定し、
全体偏差(180)を局所偏差(178)で修正し、
全体偏差(180)を数値制御複合材設置機(102)に転送する
ように適合され、
数値制御複合材設置機(102)が、局所偏差(178)によって修正された全体偏差(180)に基づいて数値制御プログラム経路(222)を補償する、
条項4に記載の複合材製造システム(100)。
【0175】
6.数値制御複合材設置機(102)によって実施される複合材設置動作中に、積層ツール(108)の積層表面(110)上に形成された複合材積層体(240)を視覚的に検査する視覚システム(242)を更に備え、
計算デバイス(134)が、
複合材積層体(240)の異常を検出し、
異常の位置に関連する積層表面(110)の部分に対応するゾーン(158)のうちの1つを決定する、
ように適合され、
コンピューター支援測定システム(126)によって再測定された第1の位置決め目標(112)及び第2の位置決め目標(152)のうちの選択されたものが、ゾーン(158)のうちの1つに対応する、
条項5に記載の複合材製造システム(100)。
【0176】
7.複数の積層ツール(108)を更に備え、積層ツール(108)の各々が、識別子(168)を更に備え、
コンピューター支援測定システム(126)が、第1の位置決め目標(112)、第2の位置決め目標(152)、及び積層表面(110)の一連のラインプロファイル(154)を測定し、積層ツール(108)の各々に関するマスタ表面データ(116)及びマスタ目標データ(118)を生成するように適合され、
計算デバイス(134)が、
積層ツール(108)の各々に関するマスタ目標データ(118)とマスタ表面データ(116)との空間的関係を確立するマスタファイル(114)を生成し、
マスタファイル(114)を、積層ツール(108)のうちの対応する1つの識別子(168)に関連付ける、
ように適合される、
条項1から6のいずれか一項に記載の複合材製造システム(100)。
【0177】
8.積層ツール(108)の第1の位置決め目標(112)、第2の位置決め目標(152)、及び積層表面(110)の一連のラインプロファイル(154)を測定するステップと、
マスタ表面データ(116)及びマスタ目標データ(118)を生成するステップであって、
マスタ目標データ(118)が、第1の位置決め目標(112)及び第2の位置決め目標(152)の目標配置を表し、
マスタ表面データ(116)が、積層表面(110)のラインプロファイル(154)のプロファイル配置を表し、
ラインプロファイル(154)の各々が、複数の目標対(156)のうちの1つに関連付けられ、複数の目標対(156)のうちの1つの間を延伸し、
目標対(156)の各々が、第1の位置決め目標(112)のうちの1つ、及び第2の位置決め目標(152)のうちの対向する1つを備える、
ステップと、
マスタ目標データ(118)とマスタ表面データ(116)との間の空間的関係を確立するマスタファイル(114)を生成するステップと、
マスタファイル(114)を積層ツール(108)に関連付けるステップと、
を含む、複合材製造方法(1000)。
【0178】
9.マスタファイル(114)を複数のゾーン(158)に分割するステップと、
ゾーン(158)を積層表面(110)の対応する部分に関連付けるステップと、
を更に含み、
ゾーン(158)の各々が、ラインプロファイル(154)のうちの3つを表すマスタ表面データ(116)の一部と、ラインプロファイル(154)のうちの3つに関連付けられた目標対(156)のうちの3つを表すマスタ目標データ(118)の一部と、を備え、
ラインプロファイル(154)のうちの1つを表すマスタ表面データ(116)の一部、及びラインプロファイル(154)のうちの1つに関連付けられた目標対(156)のうちの1つを表すマスタ目標データ(118)の一部が、ゾーン(158)の直接隣接する対によって共有されるように、ゾーン(158)の各々が、ゾーン(158)のうちの直接隣接する1つに重なる、
条項8に記載の複合材製造方法(1000)。
【0179】
10.第1の位置決め目標(112)及び第2の位置決め目標(152)を再測定するステップと、
測定された目標データ(128)を生成するステップであって、測定された目標データ(128)が、第1の位置決め目標(112)及び第2の位置決め目標(152)の目標配置を表す、生成するステップと、
マスタファイル(114)によって確立されたマスタ目標データ(118)とマスタ表面データ(116)との間の空間的関係に基づいて、測定された目標データ(128)から積層表面(110)のラインプロファイル(154)のプロファイル配置を決定するステップと、
を更に含む、条項9に記載の複合材製造方法(1000)。
【0180】
11.ゾーン(158)に関するマスタ表面データ(116)によって表されるラインプロファイル(154)のプロファイル配置を、積層表面(110)の対応する部分の公称配置と比較するステップと、
プロファイル配置と公称配置との間の複数の局所偏差(178)を決定するステップと、
局所偏差(178)から全体偏差(180)を決定するステップと、
全体偏差(180)を数値制御複合材設置機(102)に転送するステップと、
全体偏差(180)に基づいて、数値制御複合材設置機(102)の数値制御プログラム経路(222)を補償するステップと、
全体偏差(180)に基づいて補償される数値制御プログラム経路(222)に従って、数値制御複合材設置機(102)を使用して複合材設置動作を実施するステップと、
を更に含む、条項10に記載の複合材製造方法(1000)。
【0181】
12.ゾーン(158)のうちの1つに対応する第1の位置決め目標(112)及び第2の位置決め目標(152)のうちの選択されたものを再測定するステップと、
測定された目標データ(128)を生成するステップと、
マスタファイル(114)によって確立されたマスタ目標データ(118)とマスタ表面データ(116)との間の空間的関係に基づいて測定された目標データ(128)からゾーン(158)のうちの1つに対応する第1の位置決め目標(112)及び第2の位置決め目標(152)のうちの選択されたものに関連付けられた、積層表面(110)のラインプロファイル(154)のプロファイル配置を決定するステップと、
ゾーン(158)のうちの1つに関するマスタ表面データ(116)によって表されるラインプロファイル(154)のプロファイル配置を、積層表面(110)の対応する部分の公称配置と比較するステップと、
プロファイル配置と公称配置との間の局所偏差(178)を決定するステップと、
全体偏差(180)を局所偏差(178)で修正するステップと、
全体偏差(180)を数値制御複合材設置機(102)に転送するステップと、
全体偏差(180)に基づいて、数値制御プログラム経路(222)を補償するステップと、
全体偏差(180)に基づいて補償される数値制御プログラム経路(222)に従って、数値制御複合材設置機(102)を使用して複合材設置動作を実施するステップと、
を更に含む、条項11に記載の複合材製造方法(1000)。
【0182】
13.数値制御複合材設置機(102)によって実施される複合材設置動作中に、積層ツール(108)の積層表面(110)に形成された複合材積層体(240)を検査するステップと、
複合材積層体(240)の異常を検出するステップと、
異常の位置に関連する積層表面(110)の部分に対応するゾーン(158)のうちの1つを決定するステップと、
を更に含み、
再測定された第1の位置決め目標(112)及び第2の位置決め目標(152)のうちの選択されたものが、ゾーン(158)のうちの1つに対応する、
条項12に記載の複合材製造方法(1000)。
【0183】
14.複数の積層ツール(108)の各々の第1の位置決め目標(112)、第2の位置決め目標(152)、及び積層表面(110)の一連のラインプロファイル(154)を測定するステップと、
積層ツール(108)の各々に関するマスタ表面データ(116)及びマスタ目標データ(118)を生成するステップと、
積層ツール(108)の各々に関するマスタ目標データ(118)とマスタ表面データ(116)との間の空間的関係を確立するマスタファイル(114)を生成するステップと、
マスタファイル(114)を、積層ツール(108)のうちの対応する1つの識別子(168)に関連付けるステップと、
を更に含む、条項8から13のいずれか一項に記載の複合材製造方法(1000)。
【0184】
15.複合材製造システム(100)のためのコンピューターシステム(134)であって、コンピューターシステム(134)が、記憶デバイス(916)に接続されたプロセッサユニット(904)を備え、記憶デバイス(916)が、
コンピューター支援測定システム(126)に、第1の位置決め目標(112)、複数の第2の位置決め目標(152)、及び積層ツール(108)の積層表面(110)の複数の一連のラインプロファイル(154)を測定し、マスタ表面データ(116)及びマスタ目標データ(118)を生成するように命令することであって、
マスタ目標データ(118)が、第1の位置決め目標(112)及び第2の位置決め目標(152)の目標配置を表し、
マスタ表面データ(116)が、積層表面(110)のラインプロファイル(154)のプロファイル配置を表し、
ラインプロファイル(154)の各々が、複数の目標対(156)のうちの1つに関連付けられ、複数の目標対(156)のうちの1つの間を延伸し、
目標対(156)の各々が、第1の位置決め目標(112)のうちの1つと、第2の位置決め目標(152)のうちの対向する1つと、
を備える、命令することと、
マスタ目標データ(118)とマスタ表面データ(116)との間の空間的関係を確立するマスタファイル(114)を生成することと、
マスタファイル(114)を積層ツール(108)に関連付けることと、
を行う、プロセッサユニット(904)によって実行可能なプログラムコード(918)を備える、コンピューターシステム(134)。
【0185】
16.プログラムコード(918)が、プロセッサユニット(904)によって、
マスタファイル(114)を複数のゾーン(158)に分割することと、
ゾーン(158)を積層表面(110)の対応する部分に関連付けることと、
を行うように実行可能であり、
ゾーン(158)の各々が、ラインプロファイル(154)のうちの3つを表すマスタ表面データ(116)の一部と、ラインプロファイル(154)のうちの3つに関連付けられた目標対(156)のうちの3つを表すマスタ目標データ(118)の一部と、を備え、
ラインプロファイル(154)のうちの1つを表すマスタ表面データ(116)の一部、及びラインプロファイル(154)のうちの1つに関連付けられた目標対(156)のうちの1つを表すマスタ目標データ(118)の一部が、ゾーン(158)の直接隣接する対によって共有されるように、ゾーン(158)の各々が、ゾーン(158)のうちの直接隣接する1つに重なる、
条項15に記載のコンピューターシステム(134)。
【0186】
17.プログラムコード(918)が、プロセッサユニット(904)によって、
コンピューター支援測定システム(126)に、第1の位置決め目標(112)及び第2の位置決め目標(152)を再測定し、測定された目標データ(128)を生成するように命令することであって、測定された目標データ(128)が、第1の位置決め目標(112)及び第2の位置決め目標(152)の目標配置を表す、命令することと、
マスタファイル(114)によって確立されたマスタ目標データ(118)とマスタ表面データ(116)との間の空間的関係に基づいて、測定された目標データ(128)から積層表面(110)のラインプロファイル(154)のプロファイル配置を決定することと、
を行うように実行可能である、条項16に記載のコンピューターシステム(134)。
【0187】
18.プログラムコード(918)が、プロセッサユニット(904)によって、
ゾーン(158)に関するマスタ表面データ(116)によって表されるプロファイル配置を、積層表面(110)の対応する部分の公称配置と比較することと、
プロファイル配置と公称配置との間の複数の局所偏差(178)を決定することと、
局所偏差(178)から全体偏差(180)を決定することと、
公称配置に基づいて複合材設置動作を実施する数値制御複合材設置機(102)に、全体偏差(180)を転送することと、
を行うように実行可能であり、
数値制御複合材設置機(102)が、全体偏差(180)に基づいて、数値制御プログラム経路(222)を補償する、
条項17に記載のコンピューターシステム(134)。
【0188】
19.プログラムコード(918)が、プロセッサユニット(904)によって、
コンピューター支援測定システム(126)に、ゾーン(158)のうちの1つに対応する第1の位置決め目標(112)及び第2の位置決め目標(152)のうちの選択されたものを再測定し、測定された目標データ(128)を生成するように命令することと、
マスタファイル(114)によって確立されたマスタ目標データ(118)とマスタ表面データ(116)との間の空間的関係に基づいて測定された目標データ(128)からゾーン(158)のうちの1つに対応する第1の位置決め目標(112)及び第2の位置決め目標(152)のうちの選択されたものに関連付けられた、積層表面(110)のラインプロファイル(154)のプロファイル配置を決定することと、
ゾーン(158)のうちの1つに関するマスタ表面データ(116)によって表されるプロファイル配置を、積層表面(110)の対応する部分の公称配置と比較することと、
プロファイル配置と公称配置との間の局所偏差(178)を決定することと、
全体偏差(180)を局所偏差(178)で修正することと、
全体偏差(180)を数値制御複合材設置機(102)に転送することと、
を行うように実行可能であり、
数値制御複合材設置機(102)が、局所偏差(178)によって修正された全体偏差(180)に基づいて、数値制御プログラム経路(222)を補償する、
条項18に記載のコンピューターシステム(134)。
【0189】
20.プログラムコード(918)が、プロセッサユニット(904)によって、
コンピューター支援測定システム(126)に、第1の位置決め目標(112)、第2の位置決め目標(152)、及び積層表面(110)の一連のラインプロファイル(154)を測定し、複数の積層ツール(108)の各々に関するマスタ表面データ(116)及びマスタ目標データ(118)を生成するように命令することと、
積層ツール(108)の各々に関するマスタ目標データ(118)とマスタ表面データ(116)との間の空間的関係を確立するマスタファイル(114)を生成することと、
マスタファイル(114)を、積層ツール(108)のうちの対応する1つの識別子(168)に関連付けることと、
を行うように実行可能である、条項15又は19のいずれか一項に記載のコンピューターシステム(134)。
【0190】
更に、本明細書全体を通して、本明細書で使用される形態、利点、又は同様の文言への言及は、本明細書に開示される例で実現され得るすべての形態及び利点が任意の単一の例であるべきである、又はその中にあることを意味するものではない。むしろ、形態及び利点を指す文言は、例に関連して説明された特定の形態、利点、又は特性が少なくとも1つの例に含まれることを意味すると理解される。したがって、本開示全体で使用される形態、利点、及び同様の文言の説明は、必ずしもそうである必要はないが、同じ例を指すことができる。
【0191】
1つの例の記載された形態、利点、及び特性を、1つ以上の他の例において任意の適切な方法で組み合わせることができる。関連技術の当業者は、本明細書に記載の例が、特定の例の1つ以上の特定の形態又は利点なしで実施され得ることを認識するであろう。他の例では、すべての例に存在するとは限らない特定の例で、追加の形態及び利点が認識される場合がある。更に、システム100、方法1000、及び計算デバイス134の様々な例が示され説明されてきたが、本明細書を読むと当業者は修正を想起し得る。本出願は、そのような修正を含み、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【符号の説明】
【0192】
100 複合材製造システム
102 数値制御(NC)複合材設置機
104 作業セル
106 ツール座標系、作業セル座標系
108 積層ツール
110 積層表面
112 第1の位置決め目標
114 マスタファイル
116 マスタ表面データ
118 マスタ目標データ
126 コンピューター支援測定システム(CAMS)
128 測定された目標データ
134 計算デバイス
150 機械座標系
152 第2の位置決め目標
154 ラインプロファイル
156 目標対
158 ゾーン
164 測定デバイス
168 識別子
170 データ点セット
172 第1の側面
174 第2の側面
176 偏差
178 局所偏差
180 全体偏差
192 プロファイル第1の部分
194 プロファイル第2の部分
200 製造環境
206 設置ヘッド
208 複合材プライ
210 制御ユニット
212 プラットフォーム
218 ツール固定具
220 NCプログラム
222 NCプログラム経路
228 移動システム
230 支持構造
234 基準目標
238 ツールヘッド
240 複合材積層体
242 視覚システム
246 データベース
248 読取器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
【外国語明細書】