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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018529
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】換気システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 7/007 20060101AFI20240201BHJP
   F24F 7/08 20060101ALI20240201BHJP
   F24F 11/77 20180101ALI20240201BHJP
【FI】
F24F7/007 B
F24F7/08 101J
F24F11/77
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121921
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162031
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 豊彦
(74)【代理人】
【識別番号】100175721
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 秀文
(72)【発明者】
【氏名】夜久 幸希
(72)【発明者】
【氏名】田中 宏典
(72)【発明者】
【氏名】熊埜御堂 令
(72)【発明者】
【氏名】能登谷 美和子
【テーマコード(参考)】
3L056
3L260
【Fターム(参考)】
3L056BD02
3L260AB15
3L260BA13
3L260BA24
3L260CA22
3L260FC02
3L260FC03
(57)【要約】
【課題】断熱改修後において結露の発生を好適に抑制することができる換気システムを提供する。
【解決手段】少なくとも居室を含むLDK19と、LDK19と少なくとも一部が隣接する非居室20と、を有し、LDK19に断熱改修が行われた住宅Hの換気を行う換気システムであって記非居室20の環境情報を取得する温度センサ50と、駆動力により回転する給気ファン43を有し、住宅Hの床下空間H3の空気を非居室20へ給気する床下給気部40と、温度センサ50の取得結果に応じて給気ファン43を制御する制御部60と、を具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも居室を含む第一室内空間と、前記第一室内空間と少なくとも一部が隣接する第二室内空間と、を有し、前記第一室内空間に断熱改修が行われた建物の換気を行う換気システムであって、
前記第二室内空間の環境情報を取得するセンサ部と、
駆動力により回転するファンを有し、前記建物の床下空間の空気を前記第二室内空間へ給気する床下給気部と、
前記センサ部の取得結果に応じて前記ファンを制御する制御部と、
を具備する、
換気システム。
【請求項2】
前記センサ部の取得結果には、前記第二室内空間の空気の温度が含まれる、
請求項1に記載の換気システム。
【請求項3】
前記センサ部の取得結果には、前記第二室内空間の空気の水蒸気量が含まれる、
請求項1に記載の換気システム。
【請求項4】
前記第一室内空間には、屋外空間の空気を前記第一室内空間に給気すると共に、前記第一室内空間の空気を屋外空間へ排出する換気部が設けられる、
請求項1に記載の換気システム。
【請求項5】
前記換気部は、全熱交換機を有する第1種換気装置である、
請求項4に記載の換気システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物の換気を行う換気システムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建物の換気を行う換気システムの技術は公知となっている。例えば特許文献1には、建物の壁に設置し、屋外空間の空気を室内空間に導入する外気導入用ファンを有した換気システムが開示される。
【0003】
また従来、建物の一部の空間に断熱改修が行われる技術は公知となっている。例えば特許文献2には、既存外壁の断熱性能に応じた断熱材を後付けし、建物外壁の断熱性能を向上させる技術が開示される。
【0004】
ここで、建物の一部の部屋に断熱改修を行った場合、断熱改修を行った部屋とこの部屋に隣接する他の部屋との空気の温度差が改修前と比較して生じ易くなるため、当該他の部屋において結露が発生し易くなる場合がある。
【0005】
そこで、前記他の部屋において特許文献1に記載の換気システムを用いて換気を行った場合でも、室内空間に導入する屋外空間の空気の温度は比較的低いため、当該他の部屋において結露の発生し易さは改善され難い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8-338650号公報
【特許文献2】特開2018-84095号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は以上の如き状況に鑑みてなされたものであり、その解決しようとする課題は、断熱改修後において結露の発生を好適に抑制することができる換気システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0009】
即ち、請求項1においては、少なくとも居室を含む第一室内空間と、前記第一室内空間と少なくとも一部が隣接する第二室内空間と、を有し、前記第一室内空間に断熱改修が行われた建物の換気を行う換気システムであって、前記第二室内空間の環境情報を取得するセンサ部と、駆動力により回転するファンを有し、前記建物の床下空間の空気を前記第二室内空間へ給気する床下給気部と、前記センサ部の取得結果に応じて前記ファンを制御する制御部と、を具備するものである。
【0010】
請求項2においては、前記センサ部の取得結果には、前記第二室内空間の空気の温度が含まれるものである。
【0011】
請求項3においては、前記センサ部の取得結果には、前記第二室内空間の空気の水蒸気量が含まれるものである。
【0012】
請求項4においては、前記第一室内空間には、屋外空間の空気を前記第一室内空間に給気すると共に、前記第一室内空間の空気を屋外空間へ排出する換気部が設けられるものである。
【0013】
請求項5においては、前記換気部は、全熱交換機を有する第1種換気装置であるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0015】
本願発明においては、断熱改修後において結露の発生を好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第一実施形態に係る換気システム、及び、当該換気システムが設けられた住宅の1階部分を示した間取り図。
図2】(a)同じく、床下空間及び1階部分の一部を示した側面模式図。(b)換気システムのブロック図。
図3】同じく、結露抑制処理を示したフローチャート。
図4】本発明の第二実施形態に係る換気システム、及び、当該換気システムが設けられた住宅の1階部分を示した間取り図。
図5】換気システムが設けられた別例に係る住宅の1階部分を示した間取り図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下では、本発明の第一実施形態に係る換気システム30について説明する。なお以下の説明においては、図中に記した矢印に従って、上下方向及び東西南北方向をそれぞれ定義する。
【0018】
まず図1及び図2を用いて、換気システム30が設けられた住宅Hについて簡単に説明する。本実施形態において住宅Hは、複数階(例えば2階)建ての戸建住宅である。なお図1では説明の便宜上、住宅Hの1階部分のみを図示し、2階部分の図示を省略している。住宅Hの内部には、図2(a)に示すように、1階部分の床部H2より下側の空間である床下空間H3と、1階部分の床部H2より上側の空間である屋内空間と、が形成される。床下空間H3は、基礎H1と1階の床部H2との間に形成される。床下空間H3には、後述する床下給気部40が設けられる。
【0019】
住宅Hの1階部分には、屋外空間に設けられる玄関ポーチ11と、屋内空間に設けられる玄関12、廊下13、和室14、階段15、トイレ16、洗面室17、浴室18及びLDK19と、が形成される。
【0020】
玄関ポーチ11は、屋外空間において1階の南側部分に形成される。玄関ポーチ11の北側には、屋内空間において玄関12が形成される。玄関12には、玄関扉12aが設けられる。玄関12の西側には、和室14が形成される。また玄関12の北側には、廊下13が形成される。廊下13は、玄関12から北側に延びると共に、北側の突き当たりから西側に延びる平面視略L字状に形成される。
【0021】
また廊下13の北側の突き当たりには、2階へと繋がる階段15が形成される。階段15の下側部分には、階段下収納15aが形成される。また廊下13の西側の突き当たりには、トイレ16、洗面室17及び浴室18が形成される。また1階の東側部分には、南北方向に亘ってLDK19が形成される。LDK19には、南側から北側へと順番に、リビング、ダイニング、キッチンが設けられる。このように、住宅Hの1階部分には、居室として和室14及びLDK19が設けられると共に、非居室として玄関12、廊下13、階段15、トイレ16、洗面室17、浴室18及び階段下収納15aが設けられる。
【0022】
また、本実施形態において住宅Hには断熱改修が行われている。断熱改修とは、既存住宅の断熱性能を向上させるために行われる改修(リフォーム)である。住宅Hにおいては、当該住宅Hの全体ではなく一部の空間に対して(すなわち部分的に)断熱改修が行われている。なお以下では、上述の如く部分的に行われる断熱改修を「部分断熱改修」と称する場合がある。
【0023】
本実施形態においては、住宅Hの一部の空間としてLDK19に部分断熱改修が行われている(図1及び図2(a)に示す二点鎖線のハッチング部分参照)。すなわち、LDK19においては、隣接する空間とLDK19とを区画する壁部(具体的には、玄関12、廊下13及び階段15とLDK19とを間仕切る内壁部、及び、屋外空間とLDK19とを間仕切る外壁部)や、LDK19の床部H2及び天井部等が解体され、既設構造に対して新たな断熱材等が配設されている。なお以下では、LDK19と内壁部を介して隣接している室内空間、すなわち玄関12、廊下13及び階段15を「非居室20」と称する場合がある。
【0024】
こうして、部分断熱改修が行われた場合、LDK19において他の空間と比較して断熱性能が向上する。すなわち、LDK19と非居室20との間の熱の移動が抑制されるため、例えば冬期において、加湿して暖房を行った場合、LDK19が高温かつ高湿となり易い一方で、非居室20が低温となり易くなる。このように、部分断熱改修が行われた場合、部分断熱改修前と比較してLDK19と非居室20との空気の温度差(室間温度差)が生じ易くなる場合がある。
【0025】
ここで、上述の如く室間温度差が生じた状態において、高温かつ高湿のLDK19から低温の非居室20へと空気中の水蒸気が移動すると、非居室20において空気が冷やされて結露が発生し易くなるため問題である。そこで、本実施形態に係る住宅Hにおいては、部分断熱改修後においても、非居室20での結露の発生を抑制するための換気システム30が設けられる。
【0026】
以下では、図1及び図2を用いて、第一実施形態に係る換気システム30の構成について詳細に説明する。換気システム30は、床下給気部40、温度センサ50及び制御部60を具備する。
【0027】
床下給気部40は、床グリル41、ダクト42及び給気ファン43を具備する。床グリル41は、非居室20の1階の床部H2(本実施形態においては、階段下収納15aの床部H2)に形成される。床グリル41は、床部H2を上下に連通するように形成される。
【0028】
ダクト42は、床下空間H3に形成される。ダクト42は、床下空間H3において床グリル41と後述する給気ファン43とを繋ぐように形成される。ダクト42の長手方向における一側(上側)端部は、床グリル41と接続される。ダクト42は、給気ファン43から送られた空気を床グリル41へと案内する。
【0029】
給気ファン43は、床下空間H3に形成される。給気ファン43は、所定の駆動源からの駆動力により回転可能に構成される。給気ファン43は、ダクト42の長手方向における他側(下側)端部と接続される。給気ファン43は、回転駆動によりダクト42の内部において反対側へと向かう風力を発生させる。
【0030】
こうして、床下給気部40においては、図2(a)に示すように、給気ファン43によりダクト42の内部へと送り込んだ空気を、当該ダクト42により案内し、床グリル41を介して階段下収納15aへと吹き出させることができる。すなわち、床下給気部40は、床下空間H3の空気を、非居室20へ給気することができる。なお床下空間H3においては、床下給気部40の給気ファン43が回転駆動した場合に、床下空間H3の空気の非居室20への給気に伴って、屋外空間の空気が強制的に取り込まれる。
【0031】
温度センサ50は、非居室20(例えば廊下13)に設けられる。温度センサ50は、非居室20の空気の温度を取得可能に構成される。
【0032】
制御部80は、CPU等の演算処理部、RAMやROM等の記憶部等を具備する。制御部80は、予め記憶部に記憶された種々の情報やプログラム等を用いて、換気システム30に関する種々の処理を実行する。ここで、前記種々の処理には、LDK19と非居室20との室間温度差が生じた状態において、非居室20で結露を発生し難くするため処理(以下では「結露抑制処理」と称する)が含まれる。
【0033】
また制御部80は、給気ファン43と電気的に接続される。制御部80は、給気ファン43を制御し、任意のタイミングでON(駆動)/OFF(駆動停止)を切り替えることができる。また制御部60は、温度センサ50と電気的に接続される。制御部60は、温度センサ50の取得(検知)結果を受信可能に構成される。また制御部80は、現在の日時に関する情報を取得可能に構成される。
【0034】
以下では、図3のフローチャートを用いて、制御部60より実行される結露抑制処理について説明する。制御部60は、任意のタイミング(例えば、30分)ごとに繰り返し結露抑制処理を実行する。
【0035】
ステップS11において、制御部60は、現在の日時に関する情報に基づいて、現在が冬期に属するか否かを判断する。制御部60は、現在の日時が例えば12月から2月までの間であるならば、現在が冬期に属すると判断する。制御部60は、現在が冬期に属すると判断した場合、ステップS12の処理へ移行する。一方、制御部60は、現在が冬期に属さないと判断した場合、結露抑制処理を一旦終了する。
【0036】
ステップS12において、制御部60は、非居室20の空気の温度が所定の第一閾値未満であるか否かを判断する。制御部60は、温度センサ50の取得結果に基づいて判断を行う。なお第一閾値としては、結露の発生を抑制する観点から種々の値を採用可能である。例えば第一閾値としては、非居室20の空気の水蒸気量に応じて算出した露点温度に基づいた値を採用可能である。制御部60は、非居室20の空気の温度が第一閾値未満であると判断した場合、ステップS13の処理へ移行する。一方、制御部60は、非居室20の温度が第一閾値未満ではないと判断した場合、結露抑制処理を一旦終了する。
【0037】
ステップS13において、制御部60は、給気ファン43をONにする。こうして、給気ファン43は回転駆動し、床下空間H3の空気が非居室20へ給気される(図2参照)。制御部60は、ステップS13の処理を実行した後、ステップS14の処理を実行する。
【0038】
ステップS14において、制御部60は、非居室20の温度が所定の第二閾値未満であるか否かを判断する。制御部60は、温度センサ50の取得結果に基づいて判断を行う。なお第二閾値としては、第一閾値よりも高い値が採用される。また第二閾値としては、結露が発生し難いと想定される温度に基づく種々の値を採用可能である。制御部60は、非居室20の温度が第二閾値未満ではないと判断した場合、ステップS15の処理へ移行する。一方、制御部60は、非居室20の温度が第二閾値未満であると判断した場合、ステップS14の処理を再び実行する。
【0039】
ステップS15において、制御部60は、給気ファン43をOFFにする。こうして、給気ファン43は回転駆動を停止するため、床下空間H3の空気の非居室20への給気も停止される。制御部60は、ステップS15の処理を実行した後、結露抑制処理を一旦終了する。
【0040】
こうして、制御部60は、冬期において、非居室20が結露を発生し易い環境になった場合に、給気ファン43を回転駆動させ、床下空間H3の空気を用いて非居室20を給気することができる。
【0041】
ここで冬期において、床下空間H3は、地盤の影響により屋外空間よりも高温に保たれ易い。例えば屋外空間の空気の温度が氷点下の場合であっても、床下空間H3の空気の温度は10度程度に保たれる。また床下空間H3においては、屋外空間の空気を取り込むため、当該床下空間H3の空気の水蒸気量は、屋外空間の空気の水蒸気量と同等になる。
【0042】
したがって、冬期において非居室20に屋外空間の空気を用いて換気を行う場合、屋外空間の空気を直接非居室20に給気する場合よりも、床下空間H3に取り込まれた後の屋外空間の空気を非居室20に給気する場合の方が、高温の空気を給気することができる。また非居室20に屋外空間の空気を用いて換気を行う場合、例えばLDK19において加湿された空気よりも、水蒸気量の少ない空気を給気することができる。このように、床下給気部40により床下空間H3の空気を給気すれば、過度な温度低下を抑制可能であり、かつ、水蒸気量が少なく、結露が発生し難い空気を用いて、非居室20を換気することができる。
【0043】
こうして、結露抑制処理を実行することにより、非居室20の水蒸気量の多い空気を屋外へ排出し、非居室20の空気の水蒸気量を低下させることができる。また給気ファン43を用いて非居室20へ給気を行うため、当該非居室20の圧力を正圧状態とし、LDK19から非居室20への水蒸気の移動を抑制することができる。
【0044】
また、結露抑制処理の実行においては、結露の発生を抑制する観点から必要に応じて給気ファン43を回転駆動させる。すなわち、給気ファン43を常時駆動させる必要がないため、省エネ化を図ることができる。
【0045】
以下では、図4を用いて、本発明の第二実施形態に係る換気システム30について説明する。第二実施形態に係る換気システム30においては、LDK19の外壁部に個室換気扇70が設けられる点が、第一実施形態に係る換気システム30の構成と異なる。なお以下では、第二実施形態に係る換気システム30において、第一実施形態に係る換気システム30と共通する構成については同一の符号を付すと共に、説明を適宜省略する。
【0046】
個室換気扇70は、第1種換気方式の機械換気装置である。個室換気扇70は、ケーシング71、全熱交換機72、排気ファン73及び給気ファン74を具備する。
【0047】
ケーシング71は、個室換気扇70の他の構成部品を収容する。ケーシング71には、LDK19から屋外空間への空気の流路となる第一の流路71aと、屋外空間からLDK19への空気の流路となる第二の流路71bと、が設けられる。第一の流路71aには、排気ファン73が設けられる。排気ファン73の回転駆動により、LDK19から屋外空間へと空気が流れる。また、第二の流路71bには、給気ファン74が設けられる。給気ファン74の回転駆動により、屋外空間からLDK19へと空気が流れる。全熱交換機72は、2つの空気の流路71a・71bの間において顕熱及び潜熱の交換(全熱交換)を行う。
【0048】
こうして、個室換気扇70により、LDK19の空気の温度及び湿度が屋外空間の空気により低下するのを抑制しながら、LDK19の換気を行うことができる。また個室換気扇70により、部分断熱改修が行われた(すなわち、気密性が高い)LDK19だけで24時間換気を完結することができ、当該LDK19内の圧力を等圧(ゼロ圧)状態に近づけることができる。こうして、LDK19の空気(ひいては、当該空気の水蒸気)が非居室20へと移動するのを抑制することができる。したがって、非居室20において、結露が発生し難くすることができる。また個室換気扇70の全熱交換機72により、LDK19の熱損失を低減することができる。
【0049】
以上のように、本発明の実施形態に係る換気システム30においては、
少なくとも居室を含むLDK19(第一室内空間)と、前記LDK19(第一室内空間)と少なくとも一部が隣接する非居室20(第二室内空間)と、を有し、前記LDK19(第一室内空間)に断熱改修が行われた住宅H(建物)の換気を行う換気システムであって、
前記非居室20(第二室内空間)の環境情報を取得する温度センサ50(センサ部)と、
駆動力により回転する給気ファン43を有し、前記住宅H(建物)の床下空間H3の空気を前記非居室20(第二室内空間)へ給気する床下給気部40と、
前記温度センサ50(センサ部)の取得結果に応じて前記給気ファン43を制御する制御部60と、
を具備するものである。
【0050】
このような構成により、床下給気部40により床下空間H3の空気を給気することによって、過度な温度低下を抑制可能であり、かつ、水蒸気量が少なく、結露が発生し難い空気を用いて、非居室20を換気することができる。こうして、住宅Hの部分断熱改修後において結露の発生を好適に抑制することができる。
【0051】
また換気システム30において、
前記温度センサ50(センサ部)の取得結果には、前記非居室20(第二室内空間)の空気の温度が含まれるものである。
【0052】
このような構成により、非居室20(第二室内空間)の空気の温度に基づいて、住宅Hの部分断熱改修後において結露の発生を好適に抑制することができる。
【0053】
また第二実施形態に係る換気システム30において、
前記LDK19(第一室内空間)には、屋外空間の空気を前記LDK19(第一室内空間)に給気すると共に、前記LDK19(第一室内空間)の空気を屋外空間へ排出する個室換気扇70(換気部)が設けられるものである。
【0054】
このような構成により、部分断熱改修が行われたLDK19だけで24時間換気を完結することができ、当該LDK19内の圧力を等圧(ゼロ圧)状態に近づけることができるため、住宅Hの部分断熱改修後において結露の発生を好適に抑制することができる。
【0055】
また第二実施形態に係る換気システム30において、
前記個室換気扇70(換気部)は、全熱交換機72を有する第1種換気装置であるものである。
【0056】
このような構成により、LDK19の熱損失を低減するこができる。
【0057】
なお、本実施形態に係る住宅Hは、本発明に係る建物の実施の一形態である。
また、本実施形態に係るLDK19は、本発明に係る第一室内空間の一形態である。
また、本実施形態に係る非居室20は、本発明に係る第二室内空間の一形態である。
また、本実施形態に係る個室換気扇70は、本発明に係る換気部の一形態である。
【0058】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能である。
【0059】
例えば、建物は住宅に限定するものではなく、マンション、オフィスビル、商業施設、学校等であってもよい。また、建物を住宅とする場合、本実施形態のように2階建てに限定するものではなく、3階建て等でもよい。
【0060】
また本実施形態において、第一室内空間として、LDK19を例にあげて説明を行ったが、これに限定するものではない。すなわち、第一室内空間としては、少なくとも居室を含み、かつ、部分断熱改修が行われた空間(部分断熱改修が行われていない空間と区画された空間)であれば、例えば図5に示すよう空間であってもよい。ここで、図5に示す一例においては、LDK19だけでなく、廊下13のような動線や、トイレ16、洗面室17及び浴室18のような水まわりを含むような空間に、部分断熱改修が行われており(図5に示す二点鎖線のハッチング部分参照)、この空間を第一室内空間とすることができる。
【0061】
また本実施形態において、第二室内空間として、非居室20(玄関12、廊下13及び階段15)を例にあげて説明を行ったが、これに限定するものではない。すなわち、第二室内空間としては、居室を含むものであってもよく、例えば図5に示す一例のように、二点鎖線のハッチング部分が示す空間に隣接する和室14を第二室内空間とすることができる。
【0062】
また本実施形態において、制御部60は、非居室20の環境情報として空気の温度に基づいて給気ファン43のON・OFFを切り換えたが、これに限定しない。例えば制御部60は、非居室20の環境情報として空気に含まれる水蒸気量に基づいて給気ファン43のON・OFFを切り換えることもできる。また制御部60は、非居室20の環境情報として、空気の温度及び水蒸気量の何れか一方ではなく、両方に基づいて給気ファン43のON・OFFを切り換えることもできる。
【0063】
このように、換気システム30において、
前記温度センサ50(センサ部)の取得結果には、前記非居室20(第二室内空間)の空気の水蒸気量が含まれるものである。
【0064】
このような構成により、非居室20(第二室内空間)の空気の水蒸気量に基づいて、住宅Hの部分断熱改修後において結露の発生を好適に抑制することができる。
【符号の説明】
【0065】
19 LDK
20 非居室
30 換気システム
40 床下給気部
43 給気ファン
50 温度センサ
60 制御部
図1
図2
図3
図4
図5