(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018531
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】電子部品およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H01F 27/00 20060101AFI20240201BHJP
H01F 17/00 20060101ALI20240201BHJP
H01F 17/02 20060101ALI20240201BHJP
H01F 41/04 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H01F27/00 Q
H01F17/00 C
H01F17/02
H01F41/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121923
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132252
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 環
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宏充
(72)【発明者】
【氏名】飯田 裕一
(72)【発明者】
【氏名】宇都宮 勇
【テーマコード(参考)】
5E062
5E070
【Fターム(参考)】
5E062DD01
5E062FF03
5E070AA01
5E070AB02
5E070BA01
5E070CB12
5E070EA01
(57)【要約】
【課題】レーザセンサやカメラなどの検出装置により容易に検出することができる電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品は、天面と底面と前記底面と前記天面を接続する第1側面とを含む本体部と、前記本体部の前記第1側面に設けられた突出部と、を有するガラス基板と、
前記本体部の前記第1側面に少なくとも設けられた有色絶縁層と、
前記本体部内に設けられ前記天面と前記底面を貫通する貫通導体と、
を備え、
前記突出部は、前記第1側面に直交する方向からみて、前記天面に直交する第1方向に沿って延在し、
前記有色絶縁層の少なくとも一部は、前記第1側面に直交する方向からみて、前記第1方向に沿って延在し、かつ、前記突出部に対して前記第1方向に直交する第2方向に隣接して配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面と底面と前記底面と前記天面を接続する第1側面とを含む本体部と、前記本体部の前記第1側面に設けられた突出部と、を有するガラス基板と、
前記本体部の前記第1側面に少なくとも設けられた有色絶縁層と、
前記本体部内に設けられ前記天面と前記底面を貫通する貫通導体と、
を備え、
前記突出部は、前記第1側面に直交する方向からみて、前記天面に直交する第1方向に沿って延在し、
前記有色絶縁層の少なくとも一部は、前記第1側面に直交する方向からみて、前記第1方向に沿って延在し、かつ、前記突出部に対して前記第1方向に直交する第2方向に隣接して配置される、電子部品。
【請求項2】
前記第1側面において、前記有色絶縁層は、前記突出部の存在しない全ての領域に設けられている、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記本体部は、前記底面と前記天面を接続し、且つ、前記底面に直交する方向からみて前記第1側面と周方向に隣り合う第2側面と、前記第1側面と前記第2側面の間の角部と、をさらに含み、
前記有色絶縁層は、前記第1側面と前記角部と前記第2側面とに連続して設けられている、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記本体部は、前記底面と前記天面を接続し、且つ、前記底面に直交する方向からみて前記第1側面と周方向に隣り合う第2側面と、前記第1側面と前記第2側面の間の角部と、をさらに含み、
前記角部は、曲面を有する、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項5】
さらに、前記天面および前記底面の少なくとも一方の面の上方に配置され、前記貫通導体に電気的に接続された外面導体と、
前記外面導体を覆うように前記少なくとも一方の面の上方に設けられた保護層と、
を備える、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項6】
前記有色絶縁層は、前記第1側面の中央に少なくとも設けられている、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項7】
前記ガラス基板は、前記第1側面において、前記第2方向に並ぶ2つの前記突出部を有し、前記有色絶縁層の少なくとも一部は、2つの前記突出部の間に配置され、かつ、2つの前記突出部の各々に対して前記第2方向に隣接する、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項8】
前記第1側面において、前記有色絶縁層の前記第2方向の幅は、前記突出部の前記第2方向の幅よりも大きい。請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項9】
前記第1側面に直交する方向からみて、前記貫通導体は、前記第2方向に隣り合う2つの貫通導体を含み、前記突出部は、前記隣り合う2つの貫通導体のうちの一方の貫通導体と重なり、かつ、前記有色絶縁層は、前記隣り合う2つの貫通導体の間の領域と重なる、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項10】
前記突出部は、結晶化している、請求項1または2に記載の電子部品。
【請求項11】
感光性ガラスからなり第1主面および第2主面を含むマザー基板を準備する工程と、
前記第1主面の切断領域の一部に紫外線を照射し、その後の熱処理で前記切断領域の一部を結晶化させる工程と、
結晶化させた前記切断領域の一部をエッチングにより除去して、前記マザー基板の前記第1主面および前記第2主面を貫通する貫通孔と、前記切断領域のうちの前記貫通孔が設けられた領域以外の領域に、前記マザー基板の前記第1主面から前記第2主面に延在するブリッジ部と、を形成する、貫通孔およびブリッジ部を形成する工程と、
前記マザー基板の前記第1主面および前記第2主面を貫通する貫通導体を形成する工程と、
前記貫通孔内に有色絶縁層を埋め込み前記有色絶縁層を前記ブリッジ部に接触させる工程と、
前記切断領域に沿って前記有色絶縁層および前記ブリッジ部を切断して前記マザー基板を分割し、複数の電子部品を得る工程と、
を備える、電子部品の製造方法。
【請求項12】
前記貫通孔およびブリッジ部を形成する工程において、前記切断領域のうち、少なくとも前記電子部品の角部に対応する領域に前記貫通孔を形成する、請求項11に記載の電子部品の製造方法。
【請求項13】
さらに、前記マザー基板を分割し、複数の電子部品を得る工程の前に、
前記第1主面および前記第2主面の少なくとも一方の面の上方に、前記貫通導体に電気的に接続された外面導体を形成する工程と、
前記外面導体を覆うように前記少なくとも一方の面の上方に保護層を形成する工程と
を備える、請求項11または12に記載の電子部品の製造方法。
【請求項14】
前記保護層を形成する工程において、前記マザー基板の第1主面に直交する方向からみて、前記切断領域と重ならないように前記保護層を形成する、請求項13に記載の電子部品の製造方法。
【請求項15】
前記貫通孔およびブリッジ部を形成する工程の後に、
前記ブリッジ部に紫外線を照射し、その後に熱処理を加えて、前記ブリッジ部を結晶化させる工程をさらに備える、請求項11または12に記載の電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電子部品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子部品としては、特開2013-98350号公報(特許文献1)に記載されたものがある。この電子部品は、ガラス体と、ガラス体の内部に設けられた導体とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガラスは、絶縁性、物理的・化学的安定性などの優位点により、電子部品の絶縁体、構造体として広く用いられている。特に、従来のように、ガラス体の内部に導体が取り込まれた構造を有する電子部品は、非磁性構造が求められる高周波信号用の小型インダクタ部品として好適である。
【0005】
一方、ガラスとして透明性の高いガラスを使用した場合には、透明であることによる課題もある。例えば、近年のマウンタには、レーザセンサやカメラにより電子部品の側面を検出して、電子部品の有無や電子部品の厚み等を検出する機能を有するものが多い。そして、ガラスを使用した透明な電子部品では、マウンタのレーザセンサやカメラで認識が難しいという問題がある。また、カメラを使った外観検査なども難しいという問題がある。
【0006】
そこで、本開示の目的は、レーザセンサやカメラなどの検出装置により容易に検出することができる電子部品およびその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本開示の一態様である電子部品は、
天面と底面と前記底面と前記天面を接続する第1側面とを含む本体部と、前記本体部の前記第1側面に設けられた突出部と、を有するガラス基板と、
前記本体部の前記第1側面に少なくとも設けられた有色絶縁層と、
前記本体部内に設けられ前記天面と前記底面を貫通する貫通導体と、
を備え、
前記突出部は、前記第1側面に直交する方向からみて、前記天面に直交する第1方向に沿って延在し、
前記有色絶縁層の少なくとも一部は、前記第1側面に直交する方向からみて、前記第1方向に沿って延在し、かつ、前記突出部に対して前記第1方向に直交する第2方向に隣接して配置される。
【0008】
ここで、第1側面に直交する方向からみて、突出部の延在方向は、第1方向に完全に一致しているのみならず、実質的に一致していればよい。例えば、突出部の延在方向と第1方向のなす傾斜角度は、10°以下であればよい。有色絶縁層の延在方向についても同様である。
【0009】
前記態様によれば、有色絶縁層が、ガラス基板の本体部の第1側面に少なくとも設けられているので、レーザセンサやカメラなどの検出装置により本体部の第1側面側から電子部品を検出するとき、透明度の低い有色絶縁層を容易に認識することができ、電子部品を容易に検出することができる。
【0010】
さらに、有色絶縁層は、第1側面に直交する方向からみて、第1方向に沿って延在するので、検出装置を第1方向に走査して電子部品を検出するとき、有色絶縁層を容易に認識することができ、電子部品を容易に検出することができる。
【0011】
また、有色絶縁層が、ガラス基板の本体部の第1側面に少なくとも設けられているので、本体部の露出を少なくでき、外力に対する電子部品の機械的強度を向上できる。
【0012】
好ましくは、電子部品の一実施形態では、
前記第1側面において、前記有色絶縁層は、前記突出部の存在しない全ての領域に設けられている。
【0013】
前記実施形態によれば、第1側面において、有色絶縁層の平面積をより大きくできる。これにより、検出装置により電子部品をより容易に検出でき、また、電子部品の機械的強度をより向上できる。
【0014】
好ましくは、電子部品の一実施形態では、
前記本体部は、前記底面と前記天面を接続し、且つ、前記底面に直交する方向からみて前記第1側面と周方向に隣り合う第2側面と、前記第1側面と前記第2側面の間の角部と、をさらに含み、
前記有色絶縁層は、前記第1側面と前記角部と前記第2側面とに連続して設けられている。
【0015】
前記実施形態によれば、有色絶縁層が、第1側面と角部と第2側面とに連続して設けられているため、割れ欠けが発生し易い角部の割れ欠けを抑制できる。
【0016】
好ましくは、電子部品の一実施形態では、
前記本体部は、前記底面と前記天面を接続し、且つ、前記底面に直交する方向からみて前記第1側面と周方向に隣り合う第2側面と、前記第1側面と前記第2側面の間の角部と、をさらに含み、
前記角部は、曲面を有する。
【0017】
前記実施形態によれば、角部が曲面を有するため、角部の割れ欠けをさらに抑制できる。また、角部が稜線である場合よりも、角部におけるガラスの体積が減少し、角部に浮遊容量が発生する可能性を低減できる。
【0018】
好ましくは、電子部品の一実施形態では、
さらに、前記天面および前記底面の少なくとも一方の面の上方に配置され、前記貫通導体に電気的に接続された外面導体と、
前記外面導体を覆うように前記少なくとも一方の面の上方に設けられた保護層と、
を備える。
【0019】
前記実施形態によれば、保護層は外面導体を覆うので、外面導体を保護することができる。また、保護層はガラス基板の本体部の天面および底面の少なくとも一方の面を覆うので、本体部を保護することができる。
【0020】
好ましくは、電子部品の一実施形態では、
前記有色絶縁層は、前記第1側面の中央に少なくとも設けられている。
【0021】
前記実施形態によれば、レーザセンサやカメラなどの検出装置によりガラス基板の本体部の第1側面側から電子部品を検出するとき、第1側面の中央を検出対象とする場合、有色絶縁層が第1側面の中央に少なくとも設けられているため、さらに容易に電子部品を検出することができる。
【0022】
好ましくは、電子部品の一実施形態では、
前記ガラス基板は、前記第1側面において、前記第2方向に並ぶ2つの前記突出部を有し、前記有色絶縁層の少なくとも一部は、2つの前記突出部の間に配置され、かつ、2つの前記突出部の各々に対して前記第2方向に隣接する。
【0023】
前記実施形態によれば、2つの突出部が有色絶縁層を挟持するため、有色絶縁層の剥がれを抑制できる。
【0024】
好ましくは、電子部品の一実施形態では、
前記第1側面において、前記有色絶縁層の前記第2方向の幅は、前記突出部の前記第2方向の幅よりも大きい。
【0025】
ここで、幅とは、最大幅であり、具体的に述べると、第1方向における第2方向の幅の最大値である。
【0026】
前記実施形態によれば、第1側面において、有色絶縁層を突出部よりも大きくできるため、検出装置により電子部品をより容易に検出でき、また、電子部品の機械的強度をより向上できる。
【0027】
好ましくは、電子部品の一実施形態では、
前記第1側面に直交する方向からみて、前記貫通導体は、前記第2方向に隣り合う2つの貫通導体を含み、前記突出部は、前記隣り合う2つの貫通導体のうちの一方の貫通導体と重なり、かつ、前記有色絶縁層は、前記隣り合う2つの貫通導体の間の領域と重なる。
【0028】
前記実施形態によれば、隣り合う2つの貫通導体の間の近傍の第1側面の領域において、誘電率が相対的に低い有色絶縁体が設けられているため、隣り合う2つの貫通導体の近傍において浮遊容量が発生する可能性を低減できる。
【0029】
好ましくは、電子部品の一実施形態では、
前記突出部は、結晶化している。
【0030】
前記実施形態によれば、突出部の透明度が本体部の透明度よりも低減するため、電子部品をさらに容易に検出することができる。
【0031】
好ましくは、電子部品の製造方法の一実施形態では、
感光性ガラスからなり第1主面および第2主面を含むマザー基板を準備する工程と、
前記第1主面の切断領域の一部に紫外線を照射し、その後の熱処理で前記切断領域の一部を結晶化させる工程と、
結晶化させた前記切断領域の一部をエッチングにより除去して、前記マザー基板の前記第1主面および前記第2主面を貫通する貫通孔と、前記切断領域のうちの前記貫通孔が設けられた領域以外の領域に、前記マザー基板の前記第1主面から前記第2主面に延在するブリッジ部と、を形成する、貫通孔およびブリッジ部を形成する工程と、
前記マザー基板の前記第1主面および前記第2主面を貫通する貫通導体を形成する工程と、
前記貫通孔内に有色絶縁層を埋め込み前記有色絶縁層を前記ブリッジ部に接触させる工程と、
前記切断領域に沿って前記有色絶縁層および前記ブリッジ部を切断して前記マザー基板を分割し、複数の電子部品を得る工程と、
を備える。
【0032】
前記実施形態によれば、切断領域の一部に貫通孔を設けて、当該貫通孔内に有色絶縁層を埋め込み、切断領域に沿って有色絶縁層を切断してマザー基板を分割するため、分割後の電子部品の側面の一部を有色絶縁層で覆うことができる。
【0033】
また、ブリッジ部は有色絶縁層に接触しているため、ブリッジ部は有色絶縁層に固定され、有色絶縁層およびブリッジ部を切断する際、ブリッジ部の割れ欠けの可能性を低減できる。
【0034】
また、有色絶縁層をマザー基板の状態で設けているため、マザー基板を分割した後に個々の部品に有色絶縁層を塗布する場合と比べて、容易かつ低コストで実現できる。これに対して、分割した個々の部品のそれぞれに有色絶縁層を塗布する場合、作業手間および作業コストが増大する。
【0035】
好ましくは、電子部品の製造方法の一実施形態では、
前記貫通孔およびブリッジ部を形成する工程において、前記切断領域のうち、少なくとも前記電子部品の角部に対応する領域に前記貫通孔を形成する。
【0036】
前記実施形態によれば、有色絶縁層を電子部品の角部に設けることができるため、当該角部の割れ欠けを抑制できる。
【0037】
好ましくは、電子部品の製造方法の一実施形態では、
さらに、前記マザー基板を分割し、複数の電子部品を得る工程の前に、
前記第1主面および前記第2主面の少なくとも一方の面の上方に、前記貫通導体に電気的に接続された外面導体を形成する工程と、
前記外面導体を覆うように前記少なくとも一方の面の上方に保護層を形成する工程と
を備える。
【0038】
前記実施形態によれば、保護層は外面導体を覆うので、外面導体を保護することができる。また、保護層は本体部の天面および底面の少なくとも一方の面を覆うので、本体部を保護することができる。
【0039】
好ましくは、電子部品の製造方法の一実施形態では、
前記保護層を形成する工程において、前記マザー基板の第1主面に直交する方向からみて、前記切断領域と重ならないように前記保護層を形成する。
【0040】
前記実施形態によれば、マザー基板を例えばダイシングにより分割する際に、ダイシングブレードが保護層に接触することを抑制できる。その結果、保護層がマザー基板から剥がれることを抑制できる。
【0041】
好ましくは、電子部品の製造方法の一実施形態では、
前記貫通孔およびブリッジ部を形成する工程の後に、
前記ブリッジ部に紫外線を照射し、その後に熱処理を加えて、前記ブリッジ部を結晶化させる工程をさらに備える。
【0042】
前記実施形態によれば、ブリッジ部が結晶され、当該ブリッジ部を切断してマザー基板を分割するため、分割後の電子部品の側面に結晶化された突出部を設けることができる。また、ブリッジ部が結晶化されるため、マザー基板を分割する際にブリッジ部の割れ欠けを抑制できる。
【発明の効果】
【0043】
本開示の一態様である電子部品およびその製造方法によれば、レーザセンサやカメラなどの検出装置により容易に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【
図1】第1実施形態に係る電子部品としてのインダクタ部品を示す斜視図である。
【
図3】インダクタ部品の第1側面側からみた側面図である。
【
図4A】インダクタ部品のコイルを天面側からみた天面図である。
【
図4B】インダクタ部品のコイルを底面側からみた底面図である。
【
図5A】インダクタ部品の製造方法を説明する斜視図である。
【
図5B】インダクタ部品の製造方法を説明する斜視図である。
【
図5C】インダクタ部品の製造方法を説明する斜視図である。
【
図5D】インダクタ部品の製造方法を説明する断面図である。
【
図5E】インダクタ部品の製造方法を説明する断面図である。
【
図5F】インダクタ部品の製造方法を説明する断面図である。
【
図5G】インダクタ部品の製造方法を説明する断面図である。
【
図5H】インダクタ部品の製造方法を説明する断面図である。
【
図5I】インダクタ部品の製造方法を説明する断面図である。
【
図5J】インダクタ部品の製造方法を説明する断面図である。
【
図5K】インダクタ部品の製造方法を説明する断面図である。
【
図6】第2実施形態に係る電子部品としてのインダクタ部品を第1側面側からみた側面図である。
【
図7】インダクタ部品のコイルを底面側からみた底面図である。
【
図8】インダクタ部品の製造方法を説明する斜視図である。
【
図9】第3実施形態に係る電子部品としてのインダクタ部品のコイルを底面側からみた底面図である。
【
図10】第4実施形態に係る電子部品としてのインダクタ部品を第1側面側からみた側面図である。
【
図11】インダクタ部品の製造方法を説明する斜視図である。
【
図12】第5実施形態に係る電子部品としてのインダクタ部品を第1側面側からみた側面図である。
【
図13】インダクタ部品の製造方法を説明する斜視図である。
【
図14】第6実施形態に係る電子部品としてのコンデンサ部品を示す断面図である。
【
図15】コンデンサ部品を第1側面側からみた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本開示の一態様である電子部品およびその製造方法を図示の実施の形態により詳細に説明する。なお、図面は一部模式的なものを含み、実際の寸法や比率を反映していない場合がある。
【0046】
<第1実施形態>
(構成)
第1実施形態では、本開示に係る電子部品は、インダクタ部品を例として説明する。
図1は、インダクタ部品を天面側から見た斜視図である。
図2は、インダクタ部品を天面側から見た分解斜視図である。
図3は、インダクタ部品を第1側面側からみた側面図である。
図4Aは、インダクタ部品のコイルを天面側からみた天面図であり、
図4Bは、インダクタ部品のコイルを底面側からみた底面図である。なお、
図3では、便宜上、有色絶縁層の存在する位置にハッチングを付している。
【0047】
インダクタ部品1は、例えば、高周波信号伝送回路に用いられる表面実装型のインダクタ部品である。
図1と
図2と
図3と
図4Aと
図4Bに示すように、インダクタ部品1は、ガラス基板10と、ガラス基板10に設けられたコイル110と、ガラス基板10の天面側に設けられコイル110の一部を覆う第1保護層15と、ガラス基板10の底面側に設けられコイル110の一部を覆う第2保護層16と、ガラス基板10の側面側に設けられた有色絶縁層30と、第2保護層16に設けられ、コイル110に電気的に接続された第1端子電極121および第2端子電極122とを備える。
【0048】
ガラス基板10は、本体部100と、本体部100に設けられた突出部101とを有する。本体部100は、高い透明度を有する。本体部100は、長さ、幅および高さを有する直方体である。本体部100は、幅方向の両端側にある第1側面100s1および第3側面100s3と、長さ方向の両端側にある第2側面100s2および第4側面100s4と、高さ方向の両端側にある底面100bおよび天面100tとを有する。つまり、本体部100の外面は、第1側面100s1および第2側面100s2と、第3側面100s3および第4側面100s4と、底面100bおよび天面100tとを含む。底面100bは、インダクタ部品1を実装基板に実装する際に、実装基板側を向く面である。
【0049】
なお、図面に示すように、以下では、説明の便宜上、本体部100の長さ方向(長手方向)であって、第4側面100s4から第2側面100s2に向かう方向をX方向とする。また、本体部100の幅方向であって、第3側面100s3から第1側面100s1に向かう方向をY方向とする。また、本体部100の高さ方向であって、底面100bから天面100tに向かう方向をZ向とする。X方向、Y方向及びZ方向は、互いに直交する方向であって、X,Y,Zの順に並べたとき、左手系を構成する。
【0050】
この明細書では、本体部100の外面は、単に本体部100の外周側を向く面という意味ではなく、本体部100の外側と内側との境界となる面である。また、「本体部100の外面(天面、底面、側面)の上方」とは、重力方向に規定される鉛直上方のような絶対的な一方向ではなく、外面を基準に、当該外面を境界とする外側と内側とのうち、外側に向かう方向を指す。したがって、「外面の上方」とは外面の向きによって定まる相対的な方向である。また、ある要素に対して「上方(above)」には、当該要素とは離れた上方、すなわち当該要素上の他の物体を介した上側の位置や間隔を空けた上側の位置だけではなく、当該要素と接する直上の位置(on)も含む。
【0051】
ガラス基板10は、絶縁性を有する。ガラス基板10は、例えば、FoturanII(SchottAG社登録商標)に代表される感光性を有するガラス基板が好ましい。特に、ガラス基板10は、セリウム酸化物(セリア:CeO2)を含有していることが好ましく、この場合、セリウム酸化物が増感剤となって、フォトリソグラフィによる加工がより容易となる。
【0052】
ただし、ガラス基板10は、ドリル、サンドブラストなどの機械加工、フォトレジスト・メタルマスクなどを用いたドライ/ウェットエッチング加工、レーザ加工などによって加工できることから、感光性を有さないガラス板であってもよい。また、ガラス基板10は、ガラスペーストを焼結させたものであってもよいし、フロート法などの公知の方法よって形成されていてもよい。
【0053】
突出部101は、ガラス基板10のうち、本体部100の側面の一部から突出した部分である。具体的に述べると、突出部101は、第1側面100s1の一部、第2側面100s2の一部、第3側面100s3の一部、および第4側面100s4の一部の各々から、本体部100の外側に突出している。
【0054】
突出部101は、第1側面100s1に直交する方向からみて、天面100tに直交するZ方向(特許請求の範囲に記載の「第1方向」の一例に相当)に沿って延在している。突出部101は、第1側面100s1のX方向の両端部の各々に設けられている。すなわち、第1側面100s1において、突出部101は、X方向の両端部の各々に2つ設けられている。
【0055】
同様に、突出部101は、第2側面100s2に直交する方向からみて、天面100tに直交するZ方向に沿って延在している。突出部101は、第2側面100s2のY方向の両端部の各々に設けられている。また、突出部101は、第3側面100s3に直交する方向からみて、天面100tに直交するZ方向に沿って延在している。突出部101は、第3側面100s3のX方向の両端部の各々に設けられている。また、突出部101は、第4側面100s4に直交する方向からみて、天面100tに直交するZ方向に沿って延在している。突出部101は、第4側面100s4のY方向の両端部の各々に設けられている。
【0056】
なお、突出部101は、第1側面100s1から第4側面s4の内の少なくとも1つの側面に設けられていてもよい。このとき、当該少なくとも1つの側面が、特許請求の範囲に記載の「第1側面」の一例に相当する。また、この実施形態では、1つの側面、例えば第1側面100s1において、突出部101は、2つであるが、1つであっても3つ以上であってもよい。
【0057】
また、1つの側面、例えば第1側面100s1において、突出部101は、Z方向の上下両端に渡って連続的に延在しているが、Z方向(上下方向)において部分的に存在していてもよい。つまり、突出部101のZ方向の長さは、第1側面100s1の上下両端の長さよりも短くてもよい。
【0058】
また、1つの側面、例えば第1側面100s1に直交する方向からみて、突出部101の延在方向は、Z方向に完全に一致しているが、実質的に一致していればよい。例えば、突出部101の延在方向とZ方向のなす傾斜角度は、10°以下であればよい。
【0059】
また、1つの側面、例えば第1側面100s1において、突出部101は、第1側面100s1のX方向の両端部の各々に設けられているが、両端部に設けられていなくてもよい。例えば、第1側面100s1に直交する方向からみて、突出部101は、第2側面100s2および第4側面100s4から離隔して設けられていてもよい。すなわち、突出部101は、第1側面100s1において、X方向の両端よりも中央側に設けられていてもよい。
【0060】
また、本体部100は、直方体であるが円柱であってもよく、このとき、円柱の周面が、特許請求の範囲に記載の「第1側面」の一例に相当する。そして、突出部101は、円柱の周面の一部に設けられる。
【0061】
コイル110は、軸AXに沿って螺旋状に巻回される。コイル110の軸AXは、底面100bに平行に配置される。コイル110は、複数の底面導体11bと、複数の天面導体11tと、複数の第1貫通導体13と、複数の第2貫通導体14とを含む。底面導体11bおよび天面導体11tは、特許請求の範囲に記載の「外面導体」の一例に相当する。
【0062】
複数の底面導体11bは、底面100bの上方に配置されている。複数の底面導体11bは、底面100bに接して軸AXに沿って配列されている。複数の天面導体11tは、天面100tの上方に配置されている。複数の天面導体11tは、天面100tに接して軸AXに沿って配列されている。
【0063】
複数の第1貫通導体13は、本体部100内に設けられ底面100bと天面100tを貫通する。複数の第1貫通導体13は、底面導体11bから天面導体11tに向かって延在し、軸AXに沿って配列されている。
【0064】
複数の第2貫通導体14は、本体部100内に設けられ底面100bと天面100tを貫通する。複数の第2貫通導体14は、底面導体11bから天面導体11tに向かって延在し、軸AXに沿って配列されている。第2貫通導体14は、軸AXに対して第1貫通導体13と反対側に設けられている。底面導体11bと、第1貫通導体13と、天面導体11tと、第2貫通導体14とは、この順に接続されて電気的に接続され、螺旋状のコイル110の少なくとも一部を構成する。
【0065】
天面導体11tは、ややX方向に傾いてY方向に延伸している。全ての天面導体11tは、X方向に沿って平行に配置されている。底面導体11bは、Y方向に延びる形状である。全ての底面導体11bは、X方向に沿って平行に配置されている。
【0066】
第1貫通導体13は、本体部100の貫通孔内で、軸AXに対して第3側面100s3側に配置され、第2貫通導体14は、本体部100の貫通孔内で、軸AXに対して第1側面100s1側に配置されている。第1貫通導体13および第2貫通導体14は、それぞれ、底面100bおよび天面100tに直交する方向に延伸している。全ての第1貫通導体13および全ての第2貫通導体14は、それぞれ、X方向に沿って平行に配置されている。
【0067】
底面導体11bおよび天面導体11tは、銅、銀,金又はこれらの合金などの導体材料からなる。底面導体11bおよび天面導体11tは、めっき、蒸着、スパッタリングなどによって形成された金属膜であってもよいし、導体ペーストを塗布、焼結させた金属焼結体であってもよい。また、第1貫通導体13および第2貫通導体14の材料は、底面導体11bおよび天面導体11tの材料と同じである。
【0068】
底面導体11bおよび天面導体11tは、セミアディティブ法によって形成することが好ましく、これにより、低電気抵抗、高精度及び高アスペクトな底面導体11bおよび天面導体11tを形成することができる。第1貫通導体13および第2貫通導体14は、本体部100に予め形成された貫通孔内に、底面導体11bおよび天面導体11tで例示した材料、製法を用いて形成することができる。
【0069】
第1保護層15は、天面導体11tを覆うように天面100tの上方に配置されている。第1保護層15は、天面100tと天面導体11tと有色絶縁層30とに接する。第1保護層15は、天面導体11tを覆うことで、天面導体11tを外力から保護して、天面導体11tの損傷を防止する。また、第1保護層15は、本体部100の天面100tを覆うので、本体部100を保護することができる。また、第1保護層15は、有色絶縁層30と接するため、有色絶縁層30が第1保護層15に固定され、個々のインダクタ部品1に分割する際に、有色絶縁層30が剥がれることを抑制できる。
【0070】
第2保護層16は、底面導体11bを覆うように底面100bの上方に配置されている。第2保護層16は、底面100bと底面導体11bと有色絶縁層30とに接する。第2保護層16は、底面導体11bを覆うことで、底面導体11bを外力から保護して、底面導体11bの損傷を防止する。また、第2保護層16は、本体部100の底面100bを覆うので、本体部100を保護することができる。また、第2保護層16は、有色絶縁層30と接するため、有色絶縁層30が第2保護層16に固定され、個々のインダクタ部品1に分割する際に、有色絶縁層30が剥がれることを抑制できる。
【0071】
第1保護層15および第2保護層16は、絶縁性を有し、例えば、エポキシやポリイミドなどの樹脂から構成される。
【0072】
第1端子電極121は、底面100bの上方に配置されコイル110の第1端部に接続される。第2端子電極122は、底面100bの上方に配置されコイル110の第2端部に接続される。第1端子電極121は、第2保護層16上で、ガラス基板10のX方向の中心に対して第4側面100s4側に設けられている。第2端子電極122は、第2保護層16上で、ガラス基板10のX方向の中心に対して第2側面100s2側に設けられている。
【0073】
第1端子電極121は、第2保護層16に埋め込まれた第1ビア導体121vを介して、底面導体11bに接続される。第2端子電極122は、第2保護層16に埋め込まれた第2ビア導体122vを介して、底面導体11bに接続される。
【0074】
第1端子電極121は、下地層と、下地層を覆うめっき層とを有する。下地層は、AgやCuなどの導電材料を含む。めっき層は、NiやSn、Pd、Auなどの導電材料を含む。同様に、第2端子電極122は、下地層と、下地層を覆うめっき層とを有する。なお、第1端子電極121および第2端子電極122は、単層の導電体材料から構成されていてもよい。
【0075】
有色絶縁層30は、本体部100の第1側面100s1の一部、第2側面100s2の一部、第3側面100s3の一部、および第4側面100s4の一部の各々に設けられている。具体的に述べると、有色絶縁層30は、第1側面100s1のうちの突出部101が設けられていない領域、第2側面100s2のうちの突出部101が設けられていない領域、第3側面100s3のうちの突出部101が設けられていない領域、および第4側面100s4のうちの突出部101が設けられていない領域の各々に設けられている。
【0076】
さらに具体的に述べると、有色絶縁層30は、第1側面100s1に直交する方向からみて、天面100tに直交するZ方向(特許請求の範囲に記載の「第1方向」の一例に相当)に沿って延在し、かつ、突出部101に対してZ方向に直交するX方向(特許請求の範囲に記載の「第2方向」の一例に相当)に隣接して配置される。つまり、有色絶縁層30は、突出部101にZ方向に沿って接触している。
【0077】
同様に、有色絶縁層30は、第2側面100s2に直交する方向からみて、天面100tに直交するZ方向に沿って延在し、かつ、突出部101に対してZ方向に直交するY方向に隣接して配置される。また、有色絶縁層30は、第3側面100s3に直交する方向からみて、天面100tに直交するZ方向に沿って延在し、かつ、突出部101に対してZ方向に直交するX方向に隣接して配置される。有色絶縁層30は、第4側面100s4に直交する方向からみて、天面100tに直交するZ方向に沿って延在し、かつ、突出部101に対してZ方向に直交するY方向に隣接して配置される。
【0078】
有色絶縁層30は、絶縁性を有し、例えば、エポキシやポリイミドなどの樹脂から構成される。有色絶縁層30は、例えば、緑色または青色などの有色であり、有色絶縁層30の透明度は、本体部100の透明度よりも低い。
【0079】
なお、有色絶縁層30は、第1側面100s1から第4側面s4の内の少なくとも1つの側面に設けられていてもよい。このとき、当該少なくとも1つの側面が、特許請求の範囲に記載の「第1側面」の一例に相当する。つまり、有色絶縁層30の少なくとも一部は、第1側面に直交する方向からみて、天面100tに直交する第1方向に沿って延在し、かつ、突出部101に対して第1方向に直交する第2方向に隣接して配置される。また、1つの側面、例えば第1側面100s1において、有色絶縁層30は、複数の領域に分割されていてもよい。
【0080】
また、1つの側面、例えば第1側面100s1において、有色絶縁層30は、Z方向の上下両端に渡って連続的に延在しているが、Z方向(上下方向)において部分的に存在していてもよい。つまり、有色絶縁層30のZ向の長さは、第1側面100s1の上下両端の長さよりも短くてもよい。
【0081】
また、1つの側面、例えば第1側面100s1に直交する方向からみて、有色絶縁層30の延在方向は、Z方向に完全に一致しているが、実質的に一致していればよい。例えば、有色絶縁層30の延在方向とZ方向のなす傾斜角度は、10°以下であればよい。
【0082】
また、1つの側面、例えば第1側面100s1において、有色絶縁層30は、2つの突出部101の両方にZ方向に沿って接触しているが、何れか一方の突出部101のみにZ方向に沿って接触していてもよい。言い換えると、有色絶縁層30は、第1側面100s1のうちの突出部101が設けられていない領域の一部に設けられていてもよい。この場合、例えば、有色絶縁層30と接触していない側の突出部101と有色絶縁層30との間の領域では、本体部100が外部に露出していてもよい。
【0083】
また、本体部100は、直方体であるが円柱であってもよく、このとき、円柱の周面が、特許請求の範囲に記載の「第1側面」の一例に相当する。そして、有色絶縁層30は、円柱の周面の一部に設けられる。
【0084】
上記構成によれば、有色絶縁層30が、ガラス基板10の本体部100の第1側面100s1に設けられているので、レーザセンサやカメラなどの検出装置により本体部100の第1側面100s1側から電子部品を検出するとき、透明度の低い有色絶縁層30を容易に認識することができ、インダクタ部品1を容易に検出することができる。
【0085】
また、有色絶縁層30は、第1側面100s1に直交する方向からみて、Z方向に沿って延在するので、検出装置をZ方向に走査してインダクタ部品1を検出するとき、有色絶縁層30を容易に認識することができ、インダクタ部品1を容易に検出することができる。
【0086】
また、有色絶縁層30が、ガラス基板10の本体部100の第1側面100s1に設けられているので、本体部100の露出を少なくでき、外力に対するインダクタ部品1の機械的強度を向上できる。
【0087】
なお、第2側面100s2、第3側面100s3および第4側面100s4においても、第1側面100s1における上述の効果と同様の効果を有する。
【0088】
好ましくは、第1側面100s1において、有色絶縁層30は、突出部101の存在しない全ての領域に設けられている。この構成によれば、第1側面100s1において、有色絶縁層30の平面積をより大きくできる。これにより、検出装置によりインダクタ部品1をより容易に検出でき、また、インダクタ部品1の機械的強度をより向上できる。なお、第2側面100s2、第3側面100s3および第4側面100s4においても、第1側面100s1における上述の構成および効果と同様である。
【0089】
好ましくは、第1保護層15および第2保護層16の少なくとも一方は、有色絶縁層30と同様に、有色である。これによれば、レーザセンサやカメラなどの検出装置により本体部100の天面100t側や底面100b側からインダクタ部品1を検出するとき、保護層15,16を容易に認識することができ、インダクタ部品1を容易に検出することができる。
【0090】
好ましくは、
図3に示すように、有色絶縁層30は、第1側面100s1の中央に少なくとも設けられている。この構成によれば、レーザセンサやカメラなどの検出装置により本体部100の第1側面100s1側からインダクタ部品1を検出するとき、第1側面100s1の中央を検出対象とする場合、さらに容易にインダクタ部品1を検出することができる。なお、第2側面100s2、第3側面100s3および第4側面100s4においても、第1側面100s1における上述の構成および効果と同様である。
【0091】
好ましくは、
図3に示すように、ガラス基板10は、第1側面100s1において、X方向に並ぶ2つの突出部101を有し、有色絶縁層30の少なくとも一部は、2つの突出部101の間に配置され、かつ、2つの突出部101の各々に対してX方向に隣接する。これにより、第1側面100s1において、2つの突出部101が有色絶縁層30を挟持するため、有色絶縁層30の剥がれを抑制できる。なお、第1側面100s1において、突出部101がX方向に並んで3つ以上存在する場合、隣り合う2つの突出部101からなる組のうち、少なくとも1つの組において、有色絶縁層30の少なくとも一部が、2つの突出部101の間に配置され、かつ、2つの突出部101の各々に対してX方向に隣接していてもよい。また、第2側面100s2、第3側面100s3および第4側面100s4においても、第1側面100s1における上述の構成および効果と同様である。
【0092】
好ましくは、第1側面100s1において、有色絶縁層30のX方向の幅は、突出部101のX方向の幅よりも大きい。ここで、幅とは、最大幅であり、具体的に述べると、第1方向(Z方向)における第2方向(X方向)の幅の最大値である。具体的に述べると、
図3に示すように、有色絶縁層30のX方向の幅W1は、逆X方向側に位置する突出部101のX方向の幅W2と、順X方向側に位置する突出部101のX方向の幅W3との和よりも大きい。
【0093】
上記構成によれば、第1側面100s1において、有色絶縁層30を突出部101よりも大きくできるため、検出装置によりインダクタ部品1をより容易に検出でき、また、インダクタ部品1の機械的強度をより向上できる。なお、第2側面100s2、第3側面100s3および第4側面100s4においても、第1側面100s1における上述の構成および効果と同様である。
【0094】
(インダクタ部品1の製造方法)
図5Aに示すように、感光性ガラスからなり第1主面200aおよび第2主面200bを含むマザー基板200を準備する。第1主面200aは、天面11tに相当し、第2主面200bは、底面100bに相当する。マザー基板200としては、例えば、FoturanIIを用いることができる。マザー基板200は一般的に、珪素、リチウム、アルミニウム、セリウム等の酸化物を含むことによって、高精度なフォトリソグラフィに対応可能となる。
【0095】
第1主面201aの貫通導体形成用領域201に紫外線を照射し、その後の熱処理(例えば、焼成)でマザー基板200を結晶化させて、第1主面200aから第2主面200bに至る結晶化部を形成する。貫通導体形成用領域201とは、貫通導体を形成する領域であり、
図5Aにおいてハッチングにて示す。具体的に述べると、波長約310nmの紫外光をマザー基板200に照射する。上記紫外光の照射により、例えば、感光性ガラス中のセリウムイオンなどの金属イオンが光エネルギーにより酸化され、電子を放出する。ここで、最終的にマザー基板200において得られる加工深さは、上記紫外光の照射量をマザー基板200の厚みに応じて調整することで、制御することができる。
【0096】
上記紫外光の照射に用いる露光装置としては、波長約310nmの紫外光を得られるコンタクトアライナー又はステッパーを利用できる。その他、フェムト秒レーザを含む、レーザ照射装置を光源として利用することもできる。なお、フェムト秒レーザを用いた場合、マザー基板200の内部でレーザ光を集光することで、集光部でのみ金属酸化物から電子を放出させることができる。すなわち、マザー基板200のレーザ光照射部表面は感光させず、内部のみを感光させることが可能である。
【0097】
図5Bに示すように、貫通導体形成用領域201において、結晶化部をエッチングにより除去して、Z方向に延在し第1主面200aおよび第2主面200bを貫通する第1貫通孔202を形成する。例えば、エッチングにはフッ酸水溶液を用いる。フッ酸水溶液の濃度は、例えば、5~10%であることが好ましい。エッチング工程では、フッ酸水溶液にマザー基板200全体を浸漬させる。これにより、基板内の結晶相のみがエッチングされ、第1貫通孔202が形成される。
【0098】
その後、第1主面201aの切断領域203の一部に紫外線を照射し、その後の熱処理(例えば、焼成)でマザー基板200を結晶化させて、第1主面200aから第2主面200bに至る結晶化部を形成する。具体的に述べると、切断領域203のうち、後述するブリッジ部を形成する領域(
図5Bにおいてドットを付した領域)を除いた領域に紫外線を照射し、その後に熱処理をして紫外線を照射した部分を結晶化する。切断領域203とは、後述する第2貫通孔およびブリッジ部を形成する領域であり、
図5Bにおいて斜線のハッチングにて示す。切断領域203は、マザー基板200を分割して個片化する際のカットラインに一致する。
【0099】
図5Cと
図5Dに示すように、切断領域203において、結晶化部をエッチングにより除去して、マザー基板200の第1主面200aおよび第2主面200bを貫通する第2貫通孔204を形成するとともに、第2貫通孔204が設けられた領域以外の領域に、第1主面200aから第2主面200bに延在するブリッジ部206を形成する。すなわち、ブリッジ部206は、切断領域203に存在するガラスのうちのエッチング後の残りの部分である。第2貫通孔204は、特許請求の範囲に記載の「貫通孔」の一例に相当する。ブリッジ部206は、製造される個々のインダクタ部品を繋ぐ部分であり、個々のインダクタ部品に分割する際に切断されて、インダクタ部品の突出部となる。
図5Dは、
図5CのA-A断面図である。マザー基板200のうちのブリッジ部206以外の部分は、
図2の本体部100に相当する。
【0100】
なお、貫通導体形成用領域201と、切断領域203の一部と、を同時に結晶化して、結晶化部を同時にエッチングしてもよい。これにより、第1貫通孔202と第2貫通孔204を同時に形成することができる。
【0101】
図5Eに示すように、マザー基板200の第1主面200aおよび第2主面200bを貫通する貫通導体13,14を形成する。具体的に述べると、例えばセミアディティブ法によって、第1貫通孔202に第1貫通導体13および第2貫通導体14を形成する。この際、第2貫通孔204内にめっきが付着しないように、第2貫通孔204を覆うように、マザー基板200の第1主面200aに保護膜205を形成する。
図5Eにおいて、保護膜205は、二点鎖線で示した。貫通導体13,14は、単一のシード層から形成してもよいし、別々の工程で形成してもよい。
【0102】
図5Fに示すように、第2貫通孔204内に有色絶縁層30を埋め込み有色絶縁層30を図示しないブリッジ部206に接触させる。具体的に述べると、例えばスピンコートによって、第2貫通孔204内に有色絶縁層30を形成する。なお、有色絶縁層30を第2貫通孔204内に設けつつ第1主面200a上に設け、その後、第1主面200a上の有色絶縁層30を研磨などにより取り除いてもよい。
【0103】
図5Gに示すように、第1主面200aに貫通導体13,14に電気的に接続された天面導体11tを形成し、第2主面200bに貫通導体13,14に電気的に接続された底面導体11bを形成する。天面導体11tおよび底面導体11bは、例えば、貫通導体13,14と同様に、セミアディティブ法によって形成する。
【0104】
図5Hに示すように、天面導体11tを覆うように第1主面200aの上方に第1保護層15を形成し、底面導体11bを覆うように第2主面200bの上方に第2保護層16を形成する。具体的に述べると、第1保護層15および第2保護層16は、樹脂フィルムをラミネートするか、ペースト状の樹脂を塗布、熱硬化するなどによって形成される。
【0105】
図5Iに示すように、第2保護層16にビア孔を形成し、ビア孔に第1ビア導体121vを形成し、第2保護層16の上方に第1ビア導体121vに接続する第1端子電極121を形成する。第1ビア導体121vおよび第1端子電極121は、同時に形成してもよく、または、別々に形成してもよい。第1ビア導体121vおよび第1端子電極121は、例えばセミアディティブ法によって形成する。
【0106】
図5Jに示すように、切断領域203に沿って有色絶縁層30および図示しないブリッジ部206を切断して、
図5Kに示すように、マザー基板200を分割し、
図1に示す複数のインダクタ部品1を得る。具体的に述べると、ダイシングブレード300を、第1保護層15から第2保護層16に向かって移動しつつ切断領域203に沿って移動する。なお、ダイシングブレード300の代わりにレーザにて切断してもよい。
【0107】
以上のインダクタ部品1の製造方法は、感光性ガラスからなり第1主面200aおよび第2主面200bを含むマザー基板200を準備する工程と、
第1主面200aの切断領域203の一部に紫外線を照射し、その後の熱処理で切断領域203の一部を結晶化させる工程と、
結晶化させた切断領域203の一部をエッチングにより除去して、マザー基板200の第1主面200aおよび第2主面200bを貫通する第2貫通孔204と、切断領域203のうちの第2貫通孔204が設けられた領域以外の領域に、マザー基板200の第1主面200aから第2主面200bに延在するブリッジ部206と、を形成する、第2貫通孔204およびブリッジ部206を形成する工程と、
マザー基板200の第1主面200aおよび第2主面200bを貫通する貫通導体13,14を形成する工程と、
第2貫通孔204内に有色絶縁層30を埋め込み有色絶縁層30をブリッジ部206に接触させる工程と、
切断領域203に沿って有色絶縁層30およびブリッジ部206を切断してマザー基板200を分割し、複数のインダクタ部品1を得る工程と、
を備える。
【0108】
上記製造方法によれば、ブリッジ部206は有色絶縁層30に接触しているため、ブリッジ部206は有色絶縁層30に固定され、有色絶縁層30およびブリッジ部206を切断する際、ブリッジ部206の割れ欠けの可能性を低減できる。その結果、インダクタ部品1の突出部101の割れ欠けの可能性を低減できる。
【0109】
また、有色絶縁層30をマザー基板200の状態で設けているため、マザー基板200を分割した後に個々の部品に有色絶縁層30を塗布する場合と比べて、容易かつ低コストで実現できる。これに対して、分割した個々の部品のそれぞれに有色絶縁層30を塗布する場合、作業手間および作業コストが増大する。
【0110】
好ましくは、インダクタ部品1の製造方法は、さらに、マザー基板200を分割し、複数のインダクタ部品1を得る工程の前に、
第1主面200aの面の上方に、貫通導体13,14に電気的に接続された天面導体11tを形成する工程と、
天面導体11tを覆うように、第1主面200aの面の上方に第1保護層15を形成する工程と、
を備える。
【0111】
上記好ましい製造方法によれば、第1保護層15は天面導体11tを覆うので、天面導体11tを保護することができる。また、第1保護層15は本体部100の天面100tを覆うので、本体部100を保護することができる。同様に、マザー基板200の第2主面200bの上方に、底面導体11bおよび第2保護層16を形成する工程をさらに備えてもよい。
【0112】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態に係る電子部品としてのインダクタ部品を第1側面側からみた側面図である。
図7は、インダクタ部品のコイルを底面側からみた底面図である。
図6は、
図3に対応し、
図7は、
図4Bに対応する。なお、
図6では、便宜上、有色絶縁層の存在する位置にハッチングを付している。第2実施形態は、第1実施形態とは、突出部の位置が相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第1実施形態と同じ構成であり、その説明を省略する。
【0113】
図6と
図7に示すように、本体部100は、底面100bと天面100tを接続し、且つ、底面100bに直交する方向(Z方向)からみて第1側面100s1と周方向に隣り合う第2側面100s2と、第1側面100s1と第2側面100s2の間の第1角部C1と、を含む。
【0114】
同様に、本体部100は、底面100bと天面100tを接続し、且つ、底面100bに直交する方向からみて第2側面100s2と周方向に隣り合う第3側面100s3と、第2側面100s2と第3側面100s3の間の第2角部C2と、を含む。また、本体部100は、底面100bと天面100tを接続し、且つ、底面100bに直交する方向からみて第3側面100s3と周方向に隣り合う第4側面100s4と、第3側面100s3と第4側面100s4の間の第3角部C3と、を含む。また、本体部100は、第4側面100s4と第1側面100s1の間の第4角部C4と、を含む。この実施形態では、第1から第4角部C1~C4の各々は、稜線である。
【0115】
有色絶縁層30は、第1側面100s1と第1角部C1と第2側面100s2とに連続して設けられている。同様に、有色絶縁層30は、第2側面100s2と第2角部C2と第3側面100s3とに連続して設けられている。また、有色絶縁層30は、第3側面100s3と第3角部C3と第4側面100s4とに連続して設けられている。また、有色絶縁層30は、第4側面100s4と第4角部C4と第1側面100s1とに連続して設けられている。
【0116】
図6に示すように、第1側面100s1において、逆X方向側に位置する突出部101は、第4角部C4に設けられている有色絶縁層30とX方向に隣接している。順X方向側に位置する突出部101は、第1角部C1に設けられている有色絶縁層30とX方向に隣接している。逆X方向側に位置する突出部101と順X方向側に位置する突出部101との間にも、有色絶縁層30が設けられている。要するに、第1側面100s1において、有色絶縁層30および突出部101は、X方向に沿って、有色絶縁層30、突出部101、有色絶縁層30、突出部101、および有色絶縁層30の順に配置されている。第2から第4側面100s2~100s4についても同様である。
【0117】
上記構成によれば、有色絶縁層30が、第1側面100s1と第1角部C1と第2側面100s2とに連続して設けられているため、割れ欠けが発生し易い第1角部C1の割れ欠けを抑制できる。なお、第2角部C2、第3角部C3および第4角部C4においても、第1角部C1における上述の効果と同様の効果を有する。
【0118】
好ましくは、
図6に示すように、第1側面100s1に直交する方向(Y方向)からみて、第2貫通導体14は、X方向に隣り合う2つの第2貫通導体14ajを含む。突出部101は、隣り合う2つの第2貫通導体14ajのうちの一方の第2貫通導体と重なり、かつ、有色絶縁層30は、隣り合う2つの第2貫通導体14ajの間の領域と重なる。
【0119】
上記構成によれば、隣り合う2つの第2貫通導体14ajの間の近傍の第1側面100s1の領域において、誘電率が相対的に低い有色絶縁層30が設けられているため、隣り合う2つの第2貫通導体14ajの近傍において浮遊容量が発生する可能性を低減できる。ガラス基板10が例えば上記FoturanIIの場合、ガラス基板10の誘電率は6.4程度である。一方、有色絶縁層30の材料が例えばエポキシの場合、有色絶縁層30の誘電率は3.0から5.0程度である。
【0120】
インダクタ部品1Aの製造方法について説明する。
【0121】
まず、第1実施形態の
図5Aと
図5Bに示す製造方法と同じ方法で製造する。その後、マザー基板200の切断領域203の一部に紫外線を照射した後に熱処理(例えば、焼成)を加えて結晶化させた後にエッチングして、
図8に示すように、切断領域203のうち、インダクタ部品(電子部品)の角部に対応する領域Rに少なくとも第2貫通孔204を形成する。
【0122】
インダクタ部品の角部に対応する領域Rとは、製造される個々の部品の本体部の角部と、当該角部に連続する本体部の第1側面の一部と、当該角部に連続する本体部の第2側面の一部と、に対向する領域であって、製造される部品の角部の位置を含む領域である。具体的に述べると、インダクタ部品の角部に対応する領域Rは、製造される個々の部品の本体部の角部と、本体部の側面と、ブリッジ部206と、に囲まれた領域である。
図8において、インダクタ部品の角部に対応する領域Rは、ハッチングで示した。
【0123】
後工程において、インダクタ部品の角部に対応する領域Rに位置する第2貫通孔204内に有色絶縁層を埋め込むことにより、製造される部品の本体部の角部と、当該角部に連続する本体部の第1側面の一部と、当該角部に連続する本体部の第2側面の一部と、に連続して有色絶縁層を設けることができる。その後、
図5Eから
図5Kに示す製造方法と同じ方法で製造して、インダクタ部品1Aを製造する。
【0124】
<第3実施形態>
図9は、第3実施形態に係る電子部品としてのインダクタ部品のコイルを底面側からみた底面図である。
図9は、
図7に対応する。第3実施形態は、第2実施形態とは、本体部の角部の形状が異なる。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第2実施形態と同じ構成であり、その説明を省略する。
【0125】
図9に示すように、第1から第4角部C1~C4の各々は、曲面を有する。この実施形態では、曲面は、本体部100の外側に凸な凸曲面である。この構成によれば、第1から第4角部C1~C4の割れ欠けをさらに抑制できる。また、第1から第4角部C1~C4が稜線である場合よりも、第1から第4角部C1~C4におけるガラスの体積が減少し、第1から第4角部C1~C4に浮遊容量が発生する可能性を低減できる。
【0126】
<第4実施形態>
図10は、第4実施形態に係る電子部品としてのインダクタ部品を第1側面側からみた側面図である。
図10は、
図6に対応する。なお、
図10では、便宜上、有色絶縁層の存在する位置に斜線のハッチングを付し、突出部の存在する位置にドットのハッチングを付している。第4実施形態は、第2実施形態とは、突出部の構成が異なる。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第2実施形態と同じ構成であり、その説明を省略する。
【0127】
図10に示すように、第1側面100s1において、突出部101Cは、結晶化している。結晶化した突出部101Cの透明度は、結晶化していない本体部100の透明度よりも低い。この構成によれば、有色絶縁層30に加えて突出部101Cも透明度が低いため、インダクタ部品1Cをさらに容易に検出することができる。また、結晶化しているガラスの機械的強度は、結晶化していないガラスの機械的強度に比べて高い。そのため、突出部が結晶化していない場合よりも、外力に対するインダクタ部品1Cの機械的強度を向上できる。なお、第2から第4側面100s2~100s4においても、突出部が結晶化していてもよい。これにより、第1側面100s1における上記効果と同様の効果を有する。
【0128】
インダクタ部品1Cの製造方法について説明する。
【0129】
まず、第1実施形態の
図5Aと
図5B、および、第2実施形態の
図8に示す製造方法と同じ方法で製造する。その後、
図11に示すように、ブリッジ部に紫外線を照射し、その後に熱処理(例えば、焼成)を加えて、結晶化したブリッジ部206Cを形成する。その後、
図5Eから
図5Kに示す製造方法と同じ方法で製造して、インダクタ部品1Cを製造する。マザー基板200を分割した際に、結晶化したブリッジ部206Cが切断されて、インダクタ部品1Cの突出部101Cが形成される。
【0130】
以上のインダクタ部品1Cの製造方法は、第2貫通孔204およびブリッジ部を形成する工程の後に、ブリッジ部に紫外線を照射し、その後に熱処理を加えて、ブリッジ部を結晶化させる工程をさらに備える。
【0131】
上記製造方法によれば、ブリッジ部が結晶化され、当該ブリッジ部を切断してマザー基板200を分割するため、分割後のインダクタ部品1の側面に結晶化した突出部101Cを設けることができる。また、ブリッジ部が結晶化されるため、マザー基板200を分割する際にブリッジ部の割れ欠けを抑制できる。
【0132】
<第5実施形態>
図12は、第5実施形態に係る電子部品としてのインダクタ部品を第1側面側からみた側面図である。
図12は、
図3に対応する。なお、
図12では、便宜上、有色絶縁層の存在する位置にハッチングを付している。第4実施形態は、第1実施形態とは、第1保護層および第2保護層の大きさが相違する。この相違する構成を以下に説明する。その他の構成は、第2実施形態と同じ構成であり、その説明を省略する。
【0133】
図12に示すように、Z方向からみて、第1保護層15Dは、本体部100の天面100tの外周よりも内側に設けられている。すなわち、第1保護層15DのXY平面における大きさは、第1実施形態のインダクタ部品1における第1保護層15のXY平面における大きさよりも小さい。同様に、Z方向からみて、第2保護層16Dは、本体部100の底面100bの外周よりも内側に設けられている。すなわち、第2保護層16DのXY平面における大きさは、第1実施形態のインダクタ部品1における第2保護層16のXY平面における大きさよりも小さい。
【0134】
上記構成によれば、インダクタ部品1Dの製造において、
図5Jに示すように切断領域203に沿って有色絶縁層30およびブリッジ部を切断する際、Z方向からみて、第1保護層15Dおよび第2保護層16Dは、本体部100の天面100tの外周および底面100bの外周よりもそれぞれ内側に設けられているため、ダイシングブレード300は、第1保護層15Dおよび第2保護層16Dに接触しない。したがって、ダイシングブレード300による切断時に、第1保護層15Dおよび第2保護層16Dがガラス基板10(マザー基板200)から剥がれるのを抑制できる。なお、Z方向からみて、第1保護層15および第2保護層16の一方を、本体部100の天面100tの外周または底面100bの外周よりも内側に設けてもよい。
【0135】
インダクタ部品1Dの製造方法について説明する。
【0136】
まず、第1実施形態の
図5Aから
図5Gに示す製造方法と同じ方法で製造する。その後、
図13に示すように、個々の部品における本体部の側面よりも内側に第1保護層15および第2保護層16を形成する。その後、
図5Iから
図5Kに示す製造方法と同じ方法で製造して、インダクタ部品1Dを製造する。
【0137】
以上のインダクタ部品1Dの製造方法は、第1保護層15および第2保護層16保護層を形成する工程において、マザー基板200の第1主面200aに直交する方向(Z方向)からみて、切断領域203と重ならないように第1保護層15および第2保護層16を形成する。
【0138】
上記製造方法によれば、マザー基板200を例えばダイシングにより分割する際に、ダイシングブレードが第1保護層15および第2保護層16に接触することを抑制できる。その結果、第1保護層15および第2保護層16がマザー基板200から剥がれることを抑制できる。
【0139】
<第6実施形態>
第6実施形態では、本発明に係る電子部品は、コンデンサ部品を例として説明する。
図14は、コンデンサ部品の断面図である。
図15は、コンデンサ部品の第1側面側からみた側面図である。コンデンサ部品2は、例えば、高周波信号伝送回路に用いられる表面実装型のコンデンサ部品である。
【0140】
図14と
図15に示すように、コンデンサ部品2は、ガラス基板10と、ガラス基板10に設けられた第1平板電極21および第2平板電極22と、ガラス基板10に設けられ、第1平板電極21および第2平板電極22を覆う第1保護層15と、ガラス基板10の側面側に設けられた有色絶縁層30と、ガラス基板10に設けられた第1端子電極221および第2端子電極222とを備える。第1平板電極21および第2平板電極22は、特許請求の範囲に記載の「外面導体」の一例に相当する。
【0141】
ガラス基板10の材料は、第1実施形態のガラス基板10の材料と同じである。つまり、ガラス基板10は、本体部100と突出部101とを有する。第1保護層15の材料は、第1実施形態の第1保護層15の材料と同じである。有色絶縁層30の材料は、第1実施形態の有色絶縁層30の材料と同じである。第1平板電極21および第2平板電極22の材料は、第1実施形態の天面導体11tおよび底面導体11bの材料と同じである。第1端子電極221および第2端子電極222の材料は、第1実施形態の第1端子電極121および第2端子電極122の材料と同じである。
【0142】
第1平板電極21および第2平板電極22は、ガラス基板10の天面100tに設けられる。第1平板電極21は、ガラス基板10の天面100tに接触し、第2平板電極22は、第1平板電極21の上方に位置する。第1平板電極21と第2平板電極22の間には、誘電膜25が設けられている。第1平板電極21と第2平板電極22と誘電膜25は、コンデンサ素子を構成する。
【0143】
第1端子電極221および第2端子電極222は、ガラス基板10の底面100bに接触する。第1端子電極221および第2端子電極222は、互いに離隔している。
【0144】
コンデンサ部品2は、さらに、ガラス基板10を貫通する第1貫通導体23および第2貫通導体24を有する。第1貫通導体23は、第1端子電極221と第1平板電極21の間に接続される。第2貫通導体24は、第2端子電極222と第2平板電極22の間に接続される。
【0145】
突出部101および有色絶縁層30は、第1実施形態と同様に、本体部100の第1側面100s1から第4側面100s4のそれぞれに設けられている。なお、突出部101および有色絶縁層30は、それぞれ、第1側面100s1から第4側面s4の内の少なくとも1つの側面に設けられていてもよい。
【0146】
上記構成によれば、有色絶縁層30は、本体部100の第1側面100s1に設けられているので、レーザセンサやカメラなどの検出装置により本体部100の第1側面100s1側からコンデンサ部品2を検出するとき、透明度の低い有色絶縁層30を容易に認識することができ、コンデンサ部品2を容易に検出することができる。
【0147】
さらに、有色絶縁層30は、第1側面100s1に直交する方向からみて、Z方向に沿って延在するので、検出装置をZ方向に走査してコンデンサ部品2を検出するとき、有色絶縁層30を容易に認識することができ、コンデンサ部品2を容易に検出することができる。
【0148】
また、有色絶縁層30は、本体部100の第1側面100s1に設けられているので、本体部100の露出を少なくでき、外力に対するコンデンサ部品2の機械的強度を向上できる。
【0149】
また、第2側面100s2、第3側面100s3および第4側面100s4においても、第1側面100s1における上述の構成および効果と同様である。なお、第1から第4側面100s1~100s4の内の少なくとも1つの面において、上述の構成を満たしていればよい。
【0150】
なお、本開示は上述の実施形態に限定されず、本開示の要旨を逸脱しない範囲で設計変更可能である。例えば、第1から第6実施形態のそれぞれの特徴点を様々に組み合わせてもよい。前記第1から第5実施形態では、電子部品としてインダクタ部品を用い、前記第6実施形態では、電子部品としてコンデンサ部品を用いたが、抵抗部品などのその他の電子部品を用いてもよく、または、それらの部品を組み合わせた複合部品を用いてもよい。
【0151】
前記第1実施形態から前記第5実施形態では、本体部の天面および底面のそれぞれに外面導体(底面導体および天面導体)を設け、外面導体を覆うように天面および底面のそれぞれに保護層(第1保護層および第2保護層)を設けているが、本体部の天面および底面の少なくとも一方の面に外面導体を設け、外面導体を覆うように少なくとも一方の面に保護層を設けてもよい。または、天面および底面のそれぞれに保護層を設けなくてもよい。
【0152】
本開示は以下の態様を含む。
<1>
天面と底面と前記底面と前記天面を接続する第1側面とを含む本体部と、前記本体部の前記第1側面に設けられた突出部と、を有するガラス基板と、
前記本体部の前記第1側面に少なくとも設けられた有色絶縁層と、
前記本体部内に設けられ前記天面と前記底面を貫通する貫通導体と、
を備え、
前記突出部は、前記第1側面に直交する方向からみて、前記天面に直交する第1方向に沿って延在し、
前記有色絶縁層の少なくとも一部は、前記第1側面に直交する方向からみて、前記第1方向に沿って延在し、かつ、前記突出部に対して前記第1方向に直交する第2方向に隣接して配置される、電子部品。
<2>
前記第1側面において、前記有色絶縁層は、前記突出部の存在しない全ての領域に設けられている、<1>に記載の電子部品。
<3>
前記本体部は、前記底面と前記天面を接続し、且つ、前記底面に直交する方向からみて前記第1側面と周方向に隣り合う第2側面と、前記第1側面と前記第2側面の間の角部と、をさらに含み、
前記有色絶縁層は、前記第1側面と前記角部と前記第2側面とに連続して設けられている、<1>または<2>に記載の電子部品。
<4>
前記本体部は、前記底面と前記天面を接続し、且つ、前記底面に直交する方向からみて前記第1側面と周方向に隣り合う第2側面と、前記第1側面と前記第2側面の間の角部と、をさらに含み、
前記角部は、曲面を有する、<1>から<3>の何れか一つに記載の電子部品。
<5>
さらに、前記天面および前記底面の少なくとも一方の面の上方に配置され、前記貫通導体に電気的に接続された外面導体と、
前記外面導体を覆うように前記少なくとも一方の面の上方に設けられた保護層と、
を備える、<1>から<4>の何れか一つに記載の電子部品。
<6>
前記有色絶縁層は、前記第1側面の中央に少なくとも設けられている、<1>から<5>の何れか一つに記載の電子部品。
<7>
前記ガラス基板は、前記第1側面において、前記第2方向に並ぶ2つの前記突出部を有し、前記有色絶縁層の少なくとも一部は、2つの前記突出部の間に配置され、かつ、2つの前記突出部の各々に対して前記第2方向に隣接する、<1>から<6>の何れか一つに記載の電子部品。
<8>
前記第1側面において、前記有色絶縁層の前記第2方向の幅は、前記突出部の前記第2方向の幅よりも大きい。<1>から<7>の何れか一つに記載の電子部品。
<9>
前記第1側面に直交する方向からみて、前記貫通導体は、前記第2方向に隣り合う2つの貫通導体を含み、前記突出部は、前記隣り合う2つの貫通導体のうちの一方側の貫通導体と重なり、かつ、前記有色絶縁層は、前記隣り合う2つの貫通導体の間の領域と重なる、<1>から<8>の何れか一つに記載の電子部品。
<10>
前記突出部は、結晶化している、<1>から<9>の何れか一つに記載の電子部品。
<11>
感光性ガラスからなり第1主面および第2主面を含むマザー基板を準備する工程と、
前記第1主面の切断領域の一部に紫外線を照射し、その後の熱処理で前記切断領域の一部を結晶化させる工程と、
結晶化させた前記切断領域の一部をエッチングにより除去して、前記マザー基板の前記第1主面および前記第2主面を貫通する貫通孔と、前記切断領域のうちの前記貫通孔が設けられた領域以外の領域に、前記マザー基板の前記第1主面から前記第2主面に延在するブリッジ部と、を形成する、貫通孔およびブリッジ部を形成する工程と、
前記マザー基板の前記第1主面および前記第2主面を貫通する貫通導体を形成する工程と、
前記貫通孔内に有色絶縁層を埋め込み前記有色絶縁層を前記ブリッジ部に接触させる工程と、
前記切断領域に沿って前記有色絶縁層および前記ブリッジ部を切断して前記マザー基板を分割し、複数の電子部品を得る工程と、
を備える、電子部品の製造方法。
<12>
前記貫通孔およびブリッジ部を形成する工程において、前記切断領域のうち、少なくとも前記電子部品の角部に対応する領域に前記貫通孔を形成する、<11>に記載の電子部品の製造方法。
<13>
さらに、前記マザー基板を分割し、複数の電子部品を得る工程の前に、
前記第1主面および前記第2主面の少なくとも一方の面の上方に、前記貫通導体に電気的に接続された外面導体を形成する工程と、
前記外面導体を覆うように前記少なくとも一方の面の上方に保護層を形成する工程と
を備える、<11>または<12>に記載の電子部品の製造方法。
<14>
前記保護層を形成する工程において、前記マザー基板の第1主面に直交する方向からみて、前記切断領域と重ならないように前記保護層を形成する、<13>に記載の電子部品の製造方法。
<15>
前記貫通孔およびブリッジ部を形成する工程の後に、
前記ブリッジ部に紫外線を照射し、その後に熱処理を加えて、前記ブリッジ部を結晶化させる工程をさらに備える、<11>から<14>の何れか一つに記載の電子部品の製造方法。
【符号の説明】
【0153】
1,1A,1B,1C,1D インダクタ部品(電子部品)
2 コンデンサ部品(電子部品)
10 ガラス基板
11b 底面導体(外面導体)
11t 天面導体(外面導体)
13,23 第1貫通導体
14,24 第2貫通導体
14aj 隣り合う2つの貫通導体
15,15D 第1保護層
16,16D 第2保護層
21 第1平板電極(外面導体)
22 第2平板電極(外面導体)
25 誘電膜
30 有色絶縁層
100 本体部
100b 底面
100t 天面
100s1~100s4 第1から第4側面
101、101C 突出部
110 コイル
121,221 第1端子電極
122,222 第2端子電極
200 マザー基板
200a 第1主面
200b 第2主面
201 貫通導体形成用領域
202 第1貫通孔
203 切断領域
204 第2貫通孔
205 保護膜
206、206C ブリッジ部
300 ダイシングブレード
AX 軸
C1~C4 本体部の角部
R インダクタ部品の角部に対応した領域
W1 有色絶縁層の幅
W2,W2 突出部の幅