(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018539
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】情報管理装置、演算装置、情報管理プログラム、演算プログラム、情報処理システムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
G06F 9/50 20060101AFI20240201BHJP
G06F 9/54 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G06F9/50 120A
G06F9/54 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121939
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】占部 宏生
(72)【発明者】
【氏名】吉田 勇作
(57)【要約】
【課題】デバイスが収集した測定値から得られた演算値を効率的に管理すること。
【解決手段】ウェブアプリケーションサーバ10は、デバイスが収集した測定データを受信し、測定データに対応する第1の仮想デバイスを設定し、所定の演算を実行する演算装置によって測定データが受信され、当該測定データから生成される第1の演算データを取得した場合には、当該第1の演算データに対応する第2の仮想デバイスを設定する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイスが収集した測定データを受信する受信部と、
前記測定データに対応する第1の仮想デバイスを設定する第1設定部と、
所定の演算を実行する演算装置によって前記測定データが受信され、前記測定データから生成される第1の演算データを取得した場合には、前記第1の演算データに対応する第2の仮想デバイスを設定する第2設定部と、
を備える情報管理装置。
【請求項2】
前記第2設定部は、
前記演算装置によって前記測定データから生成される第2の演算データを取得した場合には、前記第2の演算データに対応する第3の仮想デバイスを設定し、
前記演算装置によって前記測定データから生成される第3の演算データを取得した場合には、前記第3の演算データに対応する第4の仮想デバイスを設定する、
請求項1に記載の情報管理装置。
【請求項3】
前記第1設定部は、
クラウドシステムが有するリソースを用いて、前記クラウドシステム上に前記第1の仮想デバイスを生成し、
前記第2設定部は、
前記クラウドシステムが有するリソースを用いて、前記クラウドシステム上に前記第2の仮想デバイスを生成する、
請求項1に記載の情報管理装置。
【請求項4】
前記第1の仮想デバイスに対応付けられる前記測定データを、前記情報管理装置と前記演算装置との間で共通のAPI(Application Programming Interface)を用いて、前記演算装置に送信する送信部と、
前記演算装置によって生成された演算データを前記共通のAPIを用いて取得する取得部と、
をさらに備える請求項3に記載の情報管理装置。
【請求項5】
前記測定データに対応する前記第1の仮想デバイスおよび前記第1の演算データに対応する第2の仮想デバイスを表示し、
表示される前記第1の仮想デバイスまたは前記第2の仮想デバイスのうち、選択された仮想デバイスに対応付けられるデータを表示する表示部、
をさらに備える請求項1に記載の情報管理装置。
【請求項6】
情報管理装置によって設定された第1の仮想デバイスに対応付けられる、デバイスが収集した測定データを前記情報管理装置から受信する受信部と、
前記測定データに所定の演算を実行することによって第1の演算データを生成する演算部と、
前記第1の演算データを、前記情報管理装置によって設定された第2の仮想デバイスに対応付けられるデータとして前記情報管理装置に送信する送信部と、
を備える演算装置。
【請求項7】
コンピュータに、
デバイスが収集した測定データを受信し、
前記測定データに対応する第1の仮想デバイスを設定し、
所定の演算を実行する演算装置によって前記測定データが受信され、前記測定データから生成される第1の演算データを取得した場合には、前記第1の演算データに対応する第2の仮想デバイスを設定する、
処理を実行させる情報管理プログラム。
【請求項8】
コンピュータに、
情報管理装置によって設定された第1の仮想デバイスに対応付けられる、デバイスが収集した測定データを前記情報管理装置から受信し、
前記測定データに所定の演算を実行することによって第1の演算データを生成し、
前記第1の演算データを、前記情報管理装置によって設定された第2の仮想デバイスに対応付けられるデータとして前記情報管理装置に送信する、
処理を実行させる演算プログラム。
【請求項9】
情報管理装置と演算装置とを含む情報処理システムにおいて、
前記情報管理装置は、
デバイスが収集した測定データを受信する受信部と、
前記測定データに対応する第1の仮想デバイスを設定する第1設定部と、
前記演算装置によって前記測定データから生成される第1の演算データに対応する第2の仮想デバイスを設定する第2設定部と、
前記演算装置は、
前記第1の仮想デバイスに対応付けられた前記測定データを前記情報管理装置から受信する受信部と、
前記測定データに所定の演算を実行することによって前記第1の演算データを生成する演算部と、
前記第1の演算データを、前記第2の仮想デバイスに対応付けられるデータとして前記情報管理装置に送信する送信部と、
を備える情報処理システム。
【請求項10】
情報管理装置と演算装置とによって実行される情報処理方法であって、
前記情報管理装置は、
デバイスが収集した測定データを受信し、
前記測定データに対応する第1の仮想デバイスを設定し、
前記演算装置によって前記測定データから生成される第1の演算データに対応する第2の仮想デバイスを設定し、
前記演算装置は、
第1の仮想デバイスに対応付けられた前記測定データを前記情報管理装置から受信し、
前記測定データに所定の演算を実行することによって前記第1の演算データを生成し、
前記第1の演算データを、前記第2の仮想デバイスに対応付けられるデータとして前記情報管理装置に送信する、
処理を実行する情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報管理装置、演算装置、情報管理プログラム、演算プログラム、情報処理システムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラント等に設置されるゲートウェイ機器、センサ機器、制御機器等の機器(デバイス)からデータを収集するクラウド環境を用いた技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、クラウド環境の機能拡張を効率的に実行することが難しい。例えば、従来技術では、クラウド環境上のウェブアプリケーションサーバが外部のAI(Artificial Intelligence)アプリケーションサーバにデータを送信する際にソフトウェア専用の出入口を設定する必要がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、デバイスが収集した測定値から得られた演算値を効率的に管理することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、デバイスが収集した測定データを受信する受信部と、前記測定データに対応する第1の仮想デバイスを設定する第1設定部と、所定の演算を実行する演算装置によって前記測定データが受信され、前記測定データから生成される第1の演算データを取得した場合には、前記第1の演算データに対応する第2の仮想デバイスを設定する第2設定部と、を備える情報管理装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、情報管理装置によって設定された第1の仮想デバイスに対応付けられる、デバイスが収集した測定データを前記情報管理装置から受信する受信部と、前記測定データに所定の演算を実行することによって第1の演算データを生成する演算部と、前記第1の演算データを、前記情報管理装置によって設定された前記第2の仮想デバイスに対応付けられるデータとして前記情報管理装置に送信する送信部と、を備える演算装置を提供する。
【0008】
また、本発明は、コンピュータに、デバイスが収集した測定データを受信し、前記測定データに対応する第1の仮想デバイスを設定し、所定の演算を実行する演算装置によって前記測定データが受信され、前記測定データから生成される第1の演算データを取得した場合には、前記第1の演算データに対応する第2の仮想デバイスを設定する、処理を実行させる情報管理プログラムを提供する。
【0009】
また、本発明は、コンピュータに、情報管理装置によって設定された第1の仮想デバイスに対応付けられた、デバイスによって収集された測定データを前記情報管理装置から受信し、前記測定データに所定の演算を実行することによって第1の演算データを生成し、前記第1の演算データを、前記情報管理装置によって設定された前記第2の仮想デバイスに対応付けられるデータとして前記情報管理装置に送信する、処理を実行させる演算プログラムを提供する。
【0010】
また、本発明は、情報管理装置と演算装置とを含む情報処理システムにおいて、前記情報管理装置は、デバイスが収集した測定データを受信する受信部と、前記測定データに対応する第1の仮想デバイスを設定する第1設定部と、前記演算装置によって前記測定データから生成される第1の演算データに対応する第2の仮想デバイスを設定する第2設定部と、前記演算装置は、前記第1の仮想デバイスに対応付けられた前記測定データを前記情報管理装置から受信する受信部と、前記測定データに所定の演算を実行することによって前記第1の演算データを生成する演算部と、前記第1の演算データを、前記第2の仮想デバイスに対応付けられるデータとして前記情報管理装置に送信する送信部と、を備える情報処理システムを提供する。
【0011】
また、本発明は、情報管理装置と演算装置とによって実行される情報処理方法であって、前記情報管理装置は、デバイスが収集した測定データを受信し、前記測定データに対応する第1の仮想デバイスを設定し、前記演算装置によって前記測定データから生成される第1の演算データに対応する第2の仮想デバイスを設定し、前記演算装置は、第1の仮想デバイスに対応付けられた前記測定データを前記情報管理装置から受信し、前記測定データに所定の演算を実行することによって前記第1の演算データを生成し、前記第1の演算データを、前記第2の仮想デバイスに対応付けられるデータとして前記情報管理装置に送信する、処理を実行する情報処理方法を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、デバイスが収集した測定値から得られた演算値を効率的に管理することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図2】実施形態に係る各装置の構成例を示すブロック図である。
【
図3】実施形態に係るウェブアプリケーションサーバの測定データ記憶部の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係るウェブアプリケーションサーバの演算データ記憶部の一例を示す図である。
【
図5】実施形態に係る表示画面の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係るAIアプリケーションサーバのAI関数データ記憶部の一例を示す図である。
【
図7】実施形態に係る情報処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の一実施形態に係る情報管理装置、演算装置、情報管理プログラム、演算プログラム、情報処理システムおよび情報処理方法を、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態により限定されるものではない。
【0015】
〔実施形態〕
以下に、実施形態に係る情報処理システム100の構成、各装置の構成、処理の流れを順に説明し、最後に実施形態の効果を説明する。
【0016】
〔1.情報処理システム100の構成〕
図1を用いて、実施形態に係る情報処理システム100の構成を詳細に説明する。
図1は、実施形態に係る情報処理システム100の構成例を示す図である。以下に、情報処理システム100全体の構成例、情報処理システム100の処理、参考技術の情報処理システムの問題点を順に説明し、最後に情報処理システム100の効果について説明する。なお、実施形態では、プラントに設置されるデバイスであるプラント機器を使用する工場生産遠隔監視を一例にして説明するが、デバイスや利用分野を限定するものではなく、電力モニタ、風力発電、上下水モニタ、河川監視等の環境計測遠隔監視に適用することもできる。
【0017】
(1-1.情報処理システム100全体の構成例)
情報処理システム100は、情報管理装置であるウェブアプリケーションサーバ10、演算装置であるAIアプリケーションサーバ20(20-1、20-2、・・・)およびプラント機器30(30A、30B、30C、・・・)を有する。ここで、ウェブアプリケーションサーバ10は、クラウド環境に構築される。また、プラント機器30は、プラントに設置される。なお、
図1に示した情報処理システム100には、複数台のウェブアプリケーションサーバ10が含まれてもよい。
【0018】
(1-2.情報処理システム100全体の処理)
上記のような情報処理システム100全体の処理について説明する。なお、下記のステップS1~S6は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS1~S6のうち、省略される処理があってもよい。
【0019】
(1-2-1.測定データ受信処理)
ウェブアプリケーションサーバ10は、プラント機器30から測定データを受信する(ステップS1)。例えば、ウェブアプリケーションサーバ10は、センサ機器であるプラント機器30Aが収集したセンサ値等を、テキストデータであるJSON(JavaScript(登録商標) Object Notation)データとして受信する。
【0020】
(1-2-2.仮想デバイス設定処理)
ウェブアプリケーションサーバ10は、プラント機器30に対応する仮想デバイス30-Vを設定する(ステップS2)。例えば、ウェブアプリケーションサーバ10は、プラント機器30Aが送信した測定データに対応する仮想デバイス30A-V1を設定する。また、ウェブアプリケーションサーバ10は、測定データに対してAI関数等を使用した演算を実行する場合には、演算データに対応する仮想デバイス30A-Vを設定する。例えば、ウェブアプリケーションサーバ10は、AIアプリケーションサーバ20-1が演算するAI関数1に対応する仮想デバイス30A-V2、AIアプリケーションサーバ20-2が演算するAI関数2に対応する仮想デバイス30A-V3、・・・のように、異なる演算データに対応する仮想デバイス30-Vを設定する。
【0021】
(1-2-3.測定データ送信処理)
ウェブアプリケーションサーバ10は、外部連携共通API(Application Programming Interface)を用いて、測定データをAIアプリケーションサーバ20に送信する(ステップS3)。例えば、ウェブアプリケーションサーバ10は、プラント機器30Aが収集した測定データAをテキストデータであるCSV(Comma-Separated Values)データとして、仮想デバイス30A-V1を介してAI関数1によって演算を実行するAIアプリケーションサーバ20-1に送信する。このとき、ウェブアプリケーションサーバ10は、プラント機器30Aが収集した測定データAを、AI関数2によって演算を実行するAIアプリケーションサーバ20-2にさらに送信することもできる。
【0022】
(1-2-4.演算データ生成処理)
AIアプリケーションサーバ20は、測定データから演算データを生成する(ステップS4)。例えば、AIアプリケーションサーバ20-1は、プラント機器30Aが収集した測定データAをAI関数1に入力することによって演算データA-1を生成する。このとき、AIアプリケーションサーバ20-2は、プラント機器30Aが収集した測定データAをAI関数2に入力することによって演算データA-2を生成することもできる。
【0023】
(1-2-5.演算データ送信処理)
AIアプリケーションサーバ20は、外部連携共通APIを用いて、演算データを仮想デバイス30-Vの測定データとしてウェブアプリケーションサーバ10に送信する(ステップS5)。例えば、AIアプリケーションサーバ20-1は、演算データA-1を仮想デバイス30-V2を介してJSONデータとして送信することによって、演算データA-1を仮想デバイス30-V2の測定データとしてウェブアプリケーションサーバ10に送信することが可能となる。このとき、AIアプリケーションサーバ20-2は、演算データA-2を仮想デバイス30-V3を介してJSONデータとして送信することによって、演算データA-2を仮想デバイス30-V3の測定データとしてウェブアプリケーションサーバ10に送信することもできる。
【0024】
(1-2-6.データ表示処理)
ウェブアプリケーションサーバ10は、デバイスデータである測定データや仮想デバイスデータである演算データを表示する(ステップS6)。例えば、ウェブアプリケーションサーバ10は、プラント機器30Aから受信した測定データAに対応する仮想デバイス30A-V1や、AIアプリケーションサーバ20-1から受信した演算データA-1に対応する仮想デバイス30A-V2を、情報処理システム100の管理者の端末装置(不図示)に表示する。このとき、ウェブアプリケーションサーバ10は、AIアプリケーションサーバ20-2から受信した演算データA-2に対応する仮想デバイス30A-V3を、情報処理システム100の管理者の端末装置(不図示)に表示することもできる。さらに、情報処理システム100の管理者は、上記の仮想デバイス30-Vから各種データを閲覧することができる。例えば、情報処理システム100の管理者は、仮想デバイス30A-V2の表示をクリック操作することによって、演算データA-1の時間推移を示すグラフを閲覧することができる。
【0025】
(1-3.参考技術の情報処理システム)
以下では、参考技術としての情報処理の概要について説明した上で、参考技術の問題点について説明する。
【0026】
(1-3-1.参考技術の情報処理の概要)
参考技術の情報処理システムでは、以下のような情報処理が実行される。第1に、ウェブアプリケーションサーバは、接続されたプラント機器から送信された測定データを受信する。第2に、ウェブアプリケーションサーバは、外部連携の演算機能、すなわちAIアプリケーションサーバからの要求に応じて、機能ごとにデータ選択処理と送信処理を実行する。第3に、外部連携機能であるAIアプリケーションサーバは、ソフトウェア演算処理を実行する。第4に、AIアプリケーションサーバは、ウェブアプリケーションサーバに演算データを送信する。第5に、ウェブアプリケーションサーバは、AIアプリケーションサーバから受信した演算データを紐付けし、プラント機器のデータとして表示する。
【0027】
(1-3-2.参考技術の情報処理の問題点)
上記の参考技術の情報処理には、以下の問題点がある。第1に、クラウド環境の機能拡張を外部との連携で実現する場合に、ソフトウェア専用の出入口を作成する必要があるので、専用機能作成のコストが増大する。第2に、機能の増加に伴い、機能1用、機能2用等の専用機能の追加が必要となる。第3に、連携機能へデータを送る際に、どのデバイスを選択して送信すればよいのかの紐付け作業を、ウェブアプリケーションサーバ、外部連携機能と密に実施する必要がある。
【0028】
(1-4.情報処理システム100の効果)
以下では、実施形態に係る情報処理システム100の概要について説明した上で、情報処理システム100の効果について説明する。
【0029】
(1-4-1.情報処理システム100の概要)
情報処理システム100において、ウェブアプリケーションサーバ10は、プラント機器30が収集した測定データを受信し、プラント機器30に対応する仮想デバイス30-V1を設定し、測定データを所定の演算を実行するAIアプリケーションサーバ20に送信し、AIアプリケーションサーバ20によって測定データから生成された演算データを、仮想デバイス30-V2を介して取得する。
【0030】
また、ウェブアプリケーションサーバ10は、測定データから異なる複数の演算によってそれぞれ生成される各演算データを取得する場合には、各演算データに対応する複数の仮想デバイス30-Vを設定し、外部とのデータの送受信を実行する共通APIを用いて、測定データをAIアプリケーションサーバ20に送信し、共通APIを用いて、対応する複数の仮想デバイスを介して各演算データそれぞれを取得する。さらに、ウェブアプリケーションサーバ10は、測定データおよび演算データを記憶し、記憶した測定データおよび演算データのうち少なくとも1つを所定のグラフとして表示する。
【0031】
すなわち、情報処理システム100は、デバイスで測定した物理量から外部連携等のソフトウェア処理によって得られる演算値を、別のデバイスの測定値として管理することができる。このとき、情報処理システム100では、外部連携との機能拡張が機能ごとに実行不要となるので、ウェブアプリケーションサーバ10の開発コストを抑えることができる。
【0032】
(1-4-2.情報処理システム100の効果)
情報処理システム100において、以下の効果がある。第1に、機能拡張時に外部連携において専用入口を設置する必要がないので、クラウド環境の入口を少なくすることができ、開発コストを抑えることができる。第2に、出入口を共通APIに固定することで、IoT(Internet of Things)のハードウェア用の入口を利用することができる。第3に、ウェブアプリケーションサーバ10は、連携機能側の情報が不要となる。すなわち、ウェブアプリケーションサーバ10は、データを仮想デバイスとして受けるときにデバイス情報(ハードウェア情報等)だけあればよく、連携の手間が少なくなる。第4に、1つのデバイスから、複数のソフトウェア処理に対応する仮想デバイスを生成することができる。第5に、デバイスの測定値と演算値を関連付けて保管や表示を実行すると、演算手段や表示手段の変更の際に、再計算が必要となる場合があるが、演算値を仮想デバイスの測定値とすることで、測定値と演算値とを別に扱うことで再計算や再構築が容易になる。以上のように、情報処理システム100は、クラウド環境の機能拡張を効率的に実行することができる。
【0033】
〔2.情報処理システム100の各装置の構成〕
図2を用いて、
図1に示した情報処理システム100が有する各装置の機能構成について説明する。
図2は、実施形態に係る各装置の構成例を示すブロック図である。以下では、実施形態に係る情報処理システム100全体の構成例を説明した上で、実施形態に係るウェブアプリケーションサーバ10、AIアプリケーションサーバ20およびプラント機器30の構成例について詳細に説明する。
【0034】
(2-1.情報処理システム100全体の構成例)
図2に示すように、情報処理システム100は、ウェブアプリケーションサーバ10、AIアプリケーションサーバ20およびプラント機器30を有する。ウェブアプリケーションサーバ10とAIアプリケーションサーバ20とは、所定の通信網によって通信可能に接続されている。また、プラント機器30は、携帯電話網等の通信網Nによって通信可能となる通信機能を有する。
【0035】
なお、ウェブアプリケーションサーバ10は、クラウド環境に構築されるサーバ装置に限定されるものではなく、物理サーバ、仮想マシン、コンテナ等であってもよい。
【0036】
(2-2.ウェブアプリケーションサーバ10の構成例)
図2を用いて、情報管理装置であるウェブアプリケーションサーバ10の構成例について説明する。ウェブアプリケーションサーバ10は、通信部11、記憶部12および制御部13を有する。なお、ウェブアプリケーションサーバ10は、情報処理システム100の管理者から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための出力部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0037】
(2-2-1.通信部11)
通信部11は、他の装置との間でのデータ通信を司る。例えば、通信部11は、ルータ等を介して、各通信装置との間でデータ通信を行う。また、通信部11は、図示しないオペレータの端末との間でデータ通信を行うことができる。
【0038】
(2-2-2.記憶部12)
記憶部12は、制御部13が動作する際に参照する各種情報や、制御部13が動作した際に取得した各種情報を記憶する。記憶部12は、測定データ記憶部12aおよび演算データ記憶部12bを有する。ここで、記憶部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置等で実現され得る。なお、
図2の例では、記憶部12は、ウェブアプリケーションサーバ10の内部に設置されているが、ウェブアプリケーションサーバ10の外部に設置されてもよいし、複数の記憶部が設置されていてもよい。
【0039】
(2-2-2-1.測定データ記憶部12a)
測定データ記憶部12aは、プラント機器30から送信された測定データを記憶する。ここで、
図3を用いて、測定データ記憶部12aが記憶する情報の一例を説明する。
図3は、実施形態に係るウェブアプリケーションサーバ10の測定データ記憶部12aの一例を示す図である。
図3の例において、測定データ記憶部12aは、「機器識別情報」、「時間」、「測定データ」といった項目をプラント機器30ごとにそれぞれ有する。
【0040】
「機器識別情報」は、プラント機器30を識別するための識別情報を示し、例えばプラント機器30の識別番号である。「時間」は、プラント機器30がデータを取得した時間を示し、例えば年月日、時分秒で表わされる。「測定データ」は、プラント機器30が取得したデータの強度を示し、例えば流体の圧力、流速、温度等である。
【0041】
すなわち、
図3では、機器識別情報「プラント機器A」によって識別されるプラント機器30Aの測定データ12a-Aについて、時間「T001」の測定データが「測定データA001」、時間「T002」の測定データが「測定データA002」、時間「T003」の測定データが「測定データA003」・・・であり、機器識別情報「プラント機器B」によって識別されるプラント機器30Bの測定データ12a-Bについて、時間「T001」の測定データが「測定データB001」、時間「T002」の測定データが「測定データB002」、時間「T003」の測定データが「測定データB003」・・・であり、機器識別情報「プラント機器C」によって識別されるプラント機器30Cの測定データ12a-Cについて、時間「T001」の測定データが「測定データC001」、時間「T002」の測定データが「測定データC002」、時間「T003」の測定データが「測定データC003」、・・・である例を示す。
【0042】
なお、測定データ記憶部12aは、後述する制御部13の第1設定部13bによって構築された仮想デバイス専用の記憶領域に設置されていてもよい。
【0043】
(2-2-2-2.演算データ記憶部12b)
演算データ記憶部12bは、AIアプリケーションサーバ20から送信された演算データを記憶する。ここで、
図4を用いて、演算データ記憶部12bが記憶する情報の一例を説明する。
図4は、実施形態に係るウェブアプリケーションサーバ10の演算データ記憶部12bの一例を示す図である。
図4の例において、演算データ記憶部12bは、「機器識別情報」、「時間」、「演算データ」といった項目をプラント機器30ごとにそれぞれ有する。
【0044】
「機器識別情報」は、プラント機器30を識別するための識別情報を示し、例えばプラント機器30の識別番号である。「時間」は、プラント機器30がデータを取得した時間を示し、例えば年月日、時分秒で表わされる。「演算データ」は、プラント機器30が取得したデータから算出されたスコアの強度を示し、例えばプラントの工程の危険度を示すスコア値等である。
【0045】
すなわち、
図4では、機器識別情報「プラント機器A」によって識別されるプラント機器30Aの演算データ12b-A1について、時間「T001」の演算データが「演算データA001」、時間「T002」の演算データが「演算データA002」、時間「T003」の演算データが「演算データA003」・・・であり、機器識別情報「プラント機器B」によって識別されるプラント機器30Bの演算データ12b-B1について、時間「T001」の演算データが「演算データB001」、時間「T002」の演算データが「演算データB002」、時間「T003」の演算データが「演算データB003」・・・であり、機器識別情報「プラント機器C」によって識別されるプラント機器30Cの演算データ12a-C1について、時間「T001」の演算データが「演算データC001」、時間「T002」の演算データが「演算データC002」、時間「T003」の演算データが「演算データC003」、・・・である例を示す。
【0046】
ここで、演算データ12b-A1、12b-A2、12b-A3・・・は、プラント機器30Aが収集した測定データ12a-Aから異なる演算処理を実行されたデータである。例えば、演算データ12b-A1は、AI関数1によって演算処理を実行されたデータであり、演算データ12b-A2は、AI関数2によって演算処理を実行されたデータであり、演算データ12b-A3は、AI関数3によって演算処理を実行されたデータである。また、同様に、演算データ12b-B1、12b-B2、12b-B3・・・は、プラント機器30Bが収集した測定データ12a-Bから異なる演算処理を実行されたデータであり、演算データ12b-C1、12b-C2、12b-C3・・・は、プラント機器30Cが収集した測定データ12a-Cから異なる演算処理を実行されたデータである。
【0047】
なお、演算データ記憶部12bは、後述する制御部13の第2設定部13cによって構築された仮想デバイス専用の記憶領域に設置されていてもよい。
【0048】
(2-2-3.制御部13)
制御部13は、当該ウェブアプリケーションサーバ10全体の制御を司る。制御部13は、受信部13a、第1設定部13b、第2設定部13c、送信部13d、取得部13eおよび表示部13fを有する。ここで、制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等の電子回路やASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現され得る。
【0049】
(2-2-3-1.受信部13a)
受信部13aは、デバイスが収集した測定データを受信する。例えば、受信部13aは、プラントに設置されるセンサ機器、ゲートウェイ機器、制御機器等のプラント機器30からJSON形式の測定データを受信する。なお、受信部13aは、受信した測定データを測定データ記憶部12aに格納する。
【0050】
具体的な例について説明すると、受信部13aは、プラント機器30Aが収集した測定データ12a-A{時間T001:測定データA001、時間T002:測定データA002、時間T003:測定データA003・・・}、プラント機器30Bが収集した測定データ12a-B{時間T001:測定データB001、時間T002:測定データB002、時間T003:測定データB003・・・}、プラント機器30Cが収集した測定データ12a-C{時間T001:測定データC001、時間T002:測定データC002、時間T003:測定データC003・・・}、・・・を受信する。
【0051】
(2-2-3-2.第1設定部13b)
第1設定部13bは、測定データに対応する第1の仮想デバイスを設定する。このとき、第1設定部13bは、クラウドシステムが有するリソースを用いて、クラウドシステム上に第1の仮想デバイスを生成する。
【0052】
具体的な例について説明すると、第1設定部13bは、プラント機器30Aが収集した測定データ12a-Aに対応する仮想デバイス30A-V1、プラント機器30Bが収集した測定データ12a-Bに対応する仮想デバイス30B-V1、プラント機器30Cが収集した測定データ12a-Cに対応する仮想デバイス30C-V1、・・・を、クラウド環境上にそれぞれ構築する。
【0053】
(2-2-3-3.第2設定部13c)
第2設定部13cは、所定の演算を実行する演算装置によって測定データが受信され、測定データから生成される第1の演算データを取得した場合には、第1の演算データに対応する第2の仮想デバイスを設定する。このとき、第2設定部13cは、クラウドシステムが有するリソースを用いて、クラウドシステム上に第2の仮想デバイスを生成する。
【0054】
具体的な例について説明すると、第2設定部13cは、プラント機器30Aが収集した測定データ12a-AをAIアプリケーションサーバ20-1に送信し、AIアプリケーションサーバ20-1が有するAI関数1を用いて生成される演算データ12b-A1を取得した場合には、演算データ12b-A1に対応する仮想デバイス30A-V2を構築する。このとき、第2設定部13cは、プラント機器30Aから測定データ12a-Aを受信する前に仮想デバイス30A-V2を構築してもよいし、測定データ12a-AをAIアプリケーションサーバ20-1に送信する前に仮想デバイス30A-V2を構築してもよい。
【0055】
また、第2設定部13cは、演算装置によって測定データから生成される第2の演算データを取得した場合には、第2の演算データに対応する第3の仮想デバイスを設定する。さらに、第2設定部13cは、演算装置によって測定データから生成される第3の演算データを取得した場合には、第3の演算データに対応する第4の仮想デバイスを設定する。
【0056】
具体的な例について説明すると、第2設定部13cは、プラント機器30Aが収集した測定データ12a-AからAIアプリケーションサーバ20-2が有するAI関数2を用いて生成される演算データ12b-A2を取得する場合には、演算データ12b-A2に対応する仮想デバイス30A-V3を構築する。同様にして、第2設定部13cは、プラント機器30Aが収集した測定データ12a-AからAIアプリケーションサーバ20-3が有するAI関数3を用いて生成される演算データ12b-A3を取得する場合には、演算データ12b-A3に対応する仮想デバイス30A-V4を構築する。すなわち、第2設定部13cは、プラント機器30ごとに、かつ演算処理が実行されるごとに対応する仮想デバイス30-Vを生成する。なお、第2設定部13cは、測定データから生成された演算データだけではなく、演算データにさらに演算処理が実行されることによって生成された演算データに対応する仮想デバイスを生成することもできる。
【0057】
(2-2-3-4.送信部13d)
送信部13dは、第1の仮想デバイスに対応付けられる測定データを、情報管理装置と演算装置との間で共通のAPIを用いて、演算装置に送信する。例えば、送信部13dは、ウェブアプリケーションサーバ10とAIアプリケーションサーバ20との間でデータの送受信を可能とする共通APIを用いて、CSV形式の測定データをAIアプリケーションサーバ20に送信する。このとき、送信部13dは、測定データに対応する仮想デバイス30-Vを介して、測定データをAIアプリケーションサーバ20に送信する。
【0058】
具体的な例について説明すると、送信部13dは、共通APIを用いて、プラント機器30Aが収集した測定データ12a-Aを、仮想デバイス30A-V1を介して、AIアプリケーションサーバ20-1、AIアプリケーションサーバ20-2、AIアプリケーションサーバ20-3、・・・にそれぞれに送信する。
【0059】
(2-2-3-5.取得部13e)
取得部13eは、演算装置によって生成された演算データを共通のAPIを用いて取得する。例えば、取得部13eは、ウェブアプリケーションサーバ10とAIアプリケーションサーバ20との間でデータの送受信を可能とする共通APIを用いて、AIアプリケーションサーバ20からJSON形式の演算データを取得する。このとき、取得部13eは、演算データに対応する仮想デバイス30-Vを介して、AIアプリケーションサーバ20から演算データを取得する。なお、取得部13eは、取得した演算データを演算データ記憶部12bに格納する。
【0060】
具体的な例について説明すると、取得部13eは、共通APIを用いて、AIアプリケーションサーバ20-1から演算データ12b-A1を、仮想デバイス30A-V2を介して取得する。また、取得部13eは、共通APIを用いて、AIアプリケーションサーバ20-2から演算データ12b-A2を、仮想デバイス30A-V3を介して取得する。また、取得部13eは、共通APIを用いて、AIアプリケーションサーバ20-3から演算データ12b-A3を、仮想デバイス30A-V4を介して取得する。
【0061】
このとき、取得部13eは、デバイス情報(ハードウェア情報、タグ情報、ネットワークマップ情報)をもとに、仮想デバイス30-Vを介して演算データを取得することができる。
【0062】
(2-2-3-6.表示部13f)
表示部13fは、測定データに対応する第1の仮想デバイスおよび第1の演算データに対応する第2の仮想デバイスを表示する。また、表示部13fは、表示される第1の仮想デバイスまたは第2の仮想デバイスのうち、選択された仮想デバイスに対応付けられるデータを表示する。
【0063】
(表示画面の具体例)
図5を用いて、表示部13fが出力する表示画面の具体例について説明する。
図5は、実施形態に係る表示画面の具体例を示す図である。例えば、表示部13fは、第1設定部13bおよび第2設定部13cによって設定された仮想デバイス30-Vを表示し、選択された表示条件に応じて、測定データや演算データを表示する。
図5に示すように、表示部13fは、表示条件を選択可能なプルダウンメニューや、表示条件を入力可能なテキストボックス等を表示することができる。
【0064】
図5の例では、表示部13fは、「表示条件」として「機器識別番号」が選択されており、当該機器識別番号として「プラント機器A」が入力されているので、プラント機器30Aの測定データ12a-A(
図5「測定データ」)、演算データ12b-A1(
図5「演算データ1」)、演算データ12b-A2(
図5「演算データ2」)および演算データ12b-A3(
図5「演算データ3」)の時間変化をグラフ化したデータを表示している。
【0065】
(2-3.AIアプリケーションサーバ20の構成例)
図2を用いて、情報管理装置であるAIアプリケーションサーバ20の構成例について説明する。AIアプリケーションサーバ20は、通信部21、記憶部22および制御部23を有する。なお、AIアプリケーションサーバ20は、情報処理システム100の管理者から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための出力部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0066】
(2-3-1.通信部21)
通信部21は、他の装置との間でのデータ通信を司る。例えば、通信部21は、ルータ等を介して、各通信装置との間でデータ通信を行う。また、通信部21は、図示しないオペレータの端末との間でデータ通信を行うことができる。
【0067】
(2-3-2.記憶部22)
記憶部22は、制御部23が動作する際に参照する各種情報や、制御部23が動作した際に取得した各種情報を記憶する。記憶部22は、AI関数データ記憶部22aを有する。ここで、記憶部22は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置等で実現され得る。なお、
図2の例では、記憶部22は、AIアプリケーションサーバ20の内部に設置されているが、AIアプリケーションサーバ20の外部に設置されてもよいし、複数の記憶部が設置されていてもよい。
【0068】
(2-3-2-1.AI関数データ記憶部22a)
AI関数データ記憶部22aは、AIアプリケーションサーバ20が実行するAIアプリケーションに関するデータを記憶する。ここで、
図6を用いて、AI関数データ記憶部22aが記憶する情報の一例を説明する。
図6は、実施形態に係るAIアプリケーションサーバ20のAI関数データ記憶部22aの一例を示す図である。
図6の例において、AI関数データ記憶部22aは、「AI識別情報」、「AI関数」、「アプリケーション情報」といった項目を有する。
【0069】
「AI識別情報」は、AI関数を識別するための識別情報を示し、例えばAI関数の識別番号である。「AI関数」は、学習済みの機械学習モデルを示し、例えば測定データの入力に応じて演算データを出力する機械学習モデルである。「アプリケーション情報」は、測定データから演算データを生成するAIアプリケーションを識別するための識別情報を示し、例えばAIアプリケーションの識別番号である。
【0070】
すなわち、
図6では、AI識別情報「AI001」によって識別されるAI関数「AI関数001」について、アプリケーション情報「アプリケーション1」によって実行される例を示す。また、
図6の例では、AIアプリケーションサーバ20が1つのAI関数を有する例を示したが、複数のAI関数を有してもよい。すなわち、AIアプリケーションサーバ20は、複数のAI関数から選択したAI関数を用いて演算処理を実行することができる。
【0071】
(2-3-3.制御部23)
制御部23は、当該AIアプリケーションサーバ20全体の制御を司る。制御部23は、受信部23a、演算部23bおよび送信部23cを有する。ここで、制御部23は、例えば、CPUやMPU等の電子回路やASICやFPGA等の集積回路により実現され得る。
【0072】
(2-3-3-1.受信部23a)
受信部23aは、情報管理装置によって設定された第1の仮想デバイスに対応付けられる、デバイスが収集した測定データを情報管理装置から受信する。例えば、受信部23aは、ウェブアプリケーションサーバ10とAIアプリケーションサーバ20との間でデータの送受信を可能とする共通APIを用いて、ウェブアプリケーションサーバ10から測定データを受信する。このとき、受信部23aは、ウェブアプリケーションサーバ10によって設定された、測定データに対応する仮想デバイス30-Vを介して、ウェブアプリケーションサーバ10から測定データを受信する。
【0073】
具体的な例について説明すると、受信部23aは、共通APIを用いて、プラント機器30Aが収集した測定データ12a-Aを、仮想デバイス30A-V1を介して、ウェブアプリケーションサーバ10から受信する。
【0074】
(2-3-3-2.演算部23b)
演算部23bは、測定データに所定の演算を実行することによって第1の演算データを生成する。例えば、演算部23bは、測定データを記憶部22に記憶されたAI関数に入力し、出力されたデータをもとに演算データを生成する。
【0075】
具体的な例について説明すると、演算部23bは、プラント機器30Aが収集した測定データ12a-AをAI関数1に入力し、出力されたデータを演算データ12b-A1とする。
【0076】
(2-3-3-3.送信部23c)
送信部23cは、第1の演算データを、情報管理装置によって設定された第2の仮想デバイスに対応付けられるデータとして情報管理装置に送信する。例えば、送信部23cは、ウェブアプリケーションサーバ10とAIアプリケーションサーバ20との間でデータの送受信を可能とする共通APIを用いて、ウェブアプリケーションサーバ10に演算データを送信する。このとき、送信部23cは、演算データに対応する仮想デバイス30-Vを介して、ウェブアプリケーションサーバ10に演算データを送信する。
【0077】
具体的な例について説明すると、送信部23cは、共通APIを用いて、ウェブアプリケーションサーバ10に演算データ12b-A1を、仮想デバイス30A-V2を介して送信する。
【0078】
このとき送信部23cは、デバイス情報(ハードウェア情報、タグ情報、ネットワークマップ情報)をもとに、仮想デバイス30-Vを介して演算データを送信することができる。
【0079】
(2-4.プラント機器30の構成例)
図2を用いて、プラント機器30の構成例について説明する。例えば、プラント機器30は、測定機器であるセンサ機器、通信機器であるゲートウェイ機器、プラント機器の制御を司る制御機器等で構成される。プラント機器30(30A、30B、30C)は、収集部31(31A、31B、31C)を有する。
【0080】
(2-4-1.収集部31)
収集部31は、データを収集する。例えば、収集部31は、プラントにおけるデータである測定データを収集する。また、収集部31は、データを送信する。例えば、収集部31は、収集した測定データをウェブアプリケーションサーバ10に送信する。
【0081】
〔3.情報処理システム100の処理の流れ〕
図7を用いて、実施形態に係る情報処理システム100の処理の流れについて説明する。
図7は、実施形態に係る情報処理の流れの一例を示すシーケンス図である。なお、下記のステップS101~S111の処理は、異なる順序で実行することもできる。また、下記のステップS101~S111の処理のうち、省略される処理があってもよい。
【0082】
(3-1.測定データ受信処理)
プラント機器30は、ウェブアプリケーションサーバ10に測定データを送信する(ステップS101)。例えば、プラント機器30は、プラントにおいて収集したセンサ値等の測定データをウェブアプリケーションサーバ10に送信する。
【0083】
(3-2.仮想デバイス設定処理)
ウェブアプリケーションサーバ10は、測定データに対応する仮想デバイス30-V1を設定する(ステップS102)。例えば、クラウド環境のリソース上にプラント機器30の測定データに対応する仮想デバイス30-V1を生成する。このとき、ウェブアプリケーションサーバ10は、測定データを記憶領域に格納する(ステップS103)。
【0084】
また、ウェブアプリケーションサーバ10は、演算データに対応する仮想デバイス30-V2を設定する(ステップS104)。例えば、クラウド環境のリソース上にプラント機器30の演算データに対応する仮想デバイス30-V2を生成する。
【0085】
(3-3.測定データ送信処理)
ウェブアプリケーションサーバ10は、測定データをAIアプリケーションサーバ20に送信する(ステップS105)。このとき、仮想デバイス30-V1は、外部連携共通APIを用いて測定データをAIアプリケーションサーバ20に送信する。
【0086】
(3-4.演算データ生成処理)
AIアプリケーションサーバ20は、測定データから演算データを生成する(ステップS106)。例えば、AIアプリケーションサーバ20は、測定データをAI関数1に入力することによって出力される演算データ1を生成する。
【0087】
(3-5.演算データ送信処理)
AIアプリケーションサーバ20は、演算データをウェブアプリケーションサーバ10に送信する(ステップS107)。このとき、AIアプリケーションサーバ20は、外部連携共通APIを用いて演算データをウェブアプリケーションサーバ10に送信する。また、ウェブアプリケーションサーバ10は、演算データを記憶領域に格納する(ステップS108)。
【0088】
(3-6.データ表示処理)
ウェブアプリケーションサーバ10は、記憶領域から測定データ、演算データを取得する(ステップS109)。そして、ウェブアプリケーションサーバ10は、測定データ、演算データを表示する(ステップS110)。また、ウェブアプリケーションサーバ10は、測定データ、演算データが不要であるときには、仮想デバイス30-Vを削除することによって表示しないようにすることもできる(ステップS111)。
【0089】
(3-7.その他)
異なるAI関数を用いて、同一の測定データから異なる演算データを生成する場合には、異なる演算を実行するごとにステップS104~S108の処理を繰り返す。すなわち、演算データ1、演算データ2、演算データ3、・・・に対応する仮想デバイス30-V2、仮想デバイス30-V3、仮想デバイス30-V4、・・・がそれぞれ生成される。
【0090】
〔4.実施形態の効果〕
最後に、実施形態の効果について説明する。以下では、実施形態に係る処理に対応する効果1~6について説明する。
【0091】
(4-1.効果1)
第1に、上述した実施形態に係る処理では、ウェブアプリケーションサーバ10は、プラント機器30が収集した測定データを受信し、測定データに対応する仮想デバイス30-V1を設定し、所定の演算を実行するAIアプリケーションサーバ20-1によって測定データが受信され、測定データから生成される演算データ1を取得した場合には、演算データ1に対応する仮想デバイス30-V2を設定する。このため、本処理では、デバイスが収集した測定値から得られた演算値を効率的に管理することができる。
【0092】
(4-2.効果2)
第2に、上述した実施形態に係る処理では、ウェブアプリケーションサーバ10は、AIアプリケーションサーバ20-2によって測定データから生成される演算データ2を受信する場合には、演算データ2に対応する仮想デバイス30-V3を設定し、AIアプリケーションサーバ20-3によって測定データから生成される演算データ3を受信する場合には、演算データ3に対応する仮想デバイス30-V4を設定する。このため、本処理では、演算値が増えるたびに仮想マシンを構築することによって、デバイスが収集した測定値から得られた演算値を効率的に管理することができる。
【0093】
(4-3.効果3)
第3に、上述した実施形態に係る処理では、ウェブアプリケーションサーバ10は、クラウドシステムが有するリソースを用いて、クラウドシステム上に仮想デバイス30-V1を生成し、クラウドシステムが有するリソースを用いて、クラウドシステム上に仮想デバイス30-V2を生成する。このため、本処理では、クラウド環境における機能拡張を容易にすることによって、デバイスが収集した測定値から得られた演算値を効率的に管理することができる。
【0094】
(4-4.効果4)
第4に、上述した実施形態に係る処理では、ウェブアプリケーションサーバ10は、仮想デバイス30-V1に対応付けられる測定データを、ウェブアプリケーションサーバ10とAIアプリケーションサーバ20との間で共通のAPIを用いてAIアプリケーションサーバ20に送信し、AIアプリケーションサーバ20によって生成された演算データを共通のAPIを用いて取得する。このため、本処理では、機能拡張に際に選択するデバイスの紐付けを行う必要がなくなるので、デバイスが収集した測定値から得られた演算値を効率的に管理することができる。
【0095】
(4-5.効果5)
第5に、上述した実施形態に係る処理では、ウェブアプリケーションサーバ10は、測定データに対応する仮想デバイス30-V1および演算データ1に対応する仮想デバイス30-V2を表示し、表示する仮想デバイス30-V1または仮想デバイス30-V2のうち、選択された仮想デバイス30-Vに対応付けられるデータを表示する。このため、本処理では、プラントの管理者が必要なデータを監視することが可能となるので、デバイスが収集した測定値から得られた演算値を効率的に管理することができる。
【0096】
(4-6.効果6)
第6に、上述した実施形態に係る処理では、AIアプリケーションサーバ20は、ウェブアプリケーションサーバ10によって設定された仮想デバイス30-V1に対応付けられた、デバイスによって収集された測定データをウェブアプリケーションサーバ10から受信し、測定データに所定の演算を実行することによって演算データ1を生成し、演算データ1をウェブアプリケーションサーバ10によって設定された仮想デバイス30-V2に対応付けられるデータとしてウェブアプリケーションサーバ10に送信する。このため、本処理では、プラントソフトウェア処理専用のインターフェースを開発する必要がなくなるので、デバイスが収集した測定値から得られた演算値を効率的に管理することができる。
【0097】
〔システム〕
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。
【0098】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0099】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0100】
〔ハードウェア〕
次に、情報処理装置であるウェブアプリケーションサーバ10のハードウェア構成例を説明する。なお、AIアプリケーションサーバ20等の他の装置も同様のハードウェア構成とすることができる。
図8は、ハードウェア構成例を説明する図である。
図8に示すように、ウェブアプリケーションサーバ10は、通信装置10a、HDD(Hard Disk Drive)10b、メモリ10c、プロセッサ10dを有する。また、
図8に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0101】
通信装置10aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他のサーバとの通信を行う。HDD10bは、
図2に示した機能を動作させるプログラムやデータベースを記憶する。
【0102】
プロセッサ10dは、
図2に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD10b等から読み出してメモリ10cに展開することで、
図2等で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、ウェブアプリケーションサーバ10が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ10dは、受信部13a、第1設定部13b、第2設定部13c、送信部13d、取得部13e、表示部13f等と同様の機能を有するプログラムをHDD10b等から読み出す。そして、プロセッサ10dは、受信部13a、第1設定部13b、第2設定部13c、送信部13d、取得部13e、表示部13f等と同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0103】
このように、ウェブアプリケーションサーバ10は、プログラムを読み出して実行することで各種処理方法を実行する装置として動作する。また、ウェブアプリケーションサーバ10は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施形態と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施形態でいうプログラムは、ウェブアプリケーションサーバ10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用することができる。
【0104】
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布することができる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行することができる。
【0105】
〔その他〕
開示される技術特徴の組合せのいくつかの例を以下に記載する。
【0106】
(1)デバイスが収集した測定データを受信する受信部と、前記測定データに対応する第1の仮想デバイスを設定する第1設定部と、所定の演算を実行する演算装置によって前記測定データが受信され、前記測定データから生成される第1の演算データを取得した場合には、前記第1の演算データに対応する第2の仮想デバイスを設定する第2設定部と、を備える情報管理装置。
【0107】
(2)前記2設定部は、前記演算装置によって前記測定データから生成される第2の演算データを取得した場合には、前記第2の演算データに対応する第3の仮想デバイスを設定し、前記演算装置によって前記測定データから生成される第3の演算データを取得した場合には、前記第3の演算データに対応する第4の仮想デバイスを設定する、(1)に記載の情報管理装置。
【0108】
(3)前記第1設定部は、クラウドシステムが有するリソースを用いて、前記クラウドシステム上に前記第1の仮想デバイスを生成し、前記第2設定部は、前記クラウドシステムが有するリソースを用いて、前記クラウドシステム上に前記第2の仮想デバイスを生成する、(1)または(2)に記載の情報管理装置。
【0109】
(4)前記第1の仮想デバイスに対応付けられる前記測定データを、前記情報管理装置と前記演算装置との間で共通のAPIを用いて、前記演算装置に送信する送信部と、前記演算装置によって生成された演算データを前記共通のAPIを用いて取得する取得部と、をさらに備える(1)~(3)のうちいずれか1つに記載の情報管理装置。
【0110】
(5)前記測定データに対応する前記第1の仮想デバイスおよび前記第1の演算データに対応する第2の仮想デバイスを表示し、表示される前記第1の仮想デバイスまたは前記第2の仮想デバイスのうち、選択された仮想デバイスに対応付けられるデータを表示する表示部、をさらに備える(1)~(4)のうちいずれか1つに記載の情報管理装置。
【0111】
(6)情報管理装置によって設定された第1の仮想デバイスに対応付けられる、デバイスが収集した測定データを前記情報管理装置から受信する受信部と、前記測定データに所定の演算を実行することによって第1の演算データを生成する演算部と、前記第1の演算データを、前記情報管理装置によって設定された前記第2の仮想デバイスに対応付けられるデータとして前記情報管理装置に送信する送信部と、を備える演算装置。
【0112】
(7)コンピュータに、デバイスが収集した測定データを受信し、前記測定データに対応する第1の仮想デバイスを設定し、所定の演算を実行する演算装置によって前記測定データが受信され、前記測定データから生成される第1の演算データを取得した場合には、前記第1の演算データに対応する第2の仮想デバイスを設定する、処理を実行させる情報管理プログラム。
【0113】
(8)コンピュータに、情報管理装置によって設定された第1の仮想デバイスに対応付けられる、デバイスが収集した測定データを前記情報管理装置から受信し、前記測定データに所定の演算を実行することによって第1の演算データを生成し、前記第1の演算データを、前記情報管理装置によって設定された前記第2の仮想デバイスに対応付けられるデータとして前記情報管理装置に送信する、処理を実行させる演算プログラム。
【0114】
(9)情報管理装置と演算装置とを含む情報処理システムにおいて、前記情報管理装置は、デバイスが収集した測定データを受信する受信部と、前記測定データに対応する第1の仮想デバイスを設定する第1設定部と、前記演算装置によって前記測定データから生成される第1の演算データに対応する第2の仮想デバイスを設定する第2設定部と、前記演算装置は、前記第1の仮想デバイスに対応付けられた前記測定データを前記情報管理装置から受信する受信部と、前記測定データに所定の演算を実行することによって前記第1の演算データを生成する演算部と、前記第1の演算データを、前記第2の仮想デバイスに対応付けられるデータとして前記情報管理装置に送信する送信部と、を備える情報処理システム。
【0115】
(10)情報管理装置と演算装置とによって実行される情報処理方法であって、前記情報管理装置は、デバイスが収集した測定データを受信し、前記測定データに対応する第1の仮想デバイスを設定し、前記演算装置によって前記測定データから生成される第1の演算データに対応する第2の仮想デバイスを設定し、前記演算装置は、第1の仮想デバイスに対応付けられた前記測定データを前記情報管理装置から受信し、前記測定データに所定の演算を実行することによって前記第1の演算データを生成し、前記第1の演算データを、前記第2の仮想デバイスに対応付けられるデータとして前記情報管理装置に送信する、処理を実行する情報処理方法。
【符号の説明】
【0116】
10 ウェブアプリケーションサーバ
11 通信部
12 記憶部
12a 測定データ記憶部
12b 演算データ記憶部
13 制御部
13a 受信部
13b 第1設定部
13c 第2設定部
13d 送信部
13e 取得部
13f 表示部
20 AIアプリケーションサーバ
21 通信部
22 記憶部
22a AI関数データ記憶部
23 制御部
23a 受信部
23b 演算部
23c 送信部
30 30A 30B 30C プラント機器
31 31A 31B 31C 収集部
100 情報処理システム