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  • 特開-新規の皮膚たるみ量の測定法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001854
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】新規の皮膚たるみ量の測定法
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/107 20060101AFI20231227BHJP
   A61B 5/00 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
A61B5/107 800
A61B5/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023078306
(22)【出願日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2022099992
(32)【優先日】2022-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PHOTOSHOP
(71)【出願人】
【識別番号】000119472
【氏名又は名称】一丸ファルコス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002697
【氏名又は名称】めぶき弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100110973
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100188824
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 秀雄
(72)【発明者】
【氏名】若松 香苗
(72)【発明者】
【氏名】平澤 明日香
(72)【発明者】
【氏名】田中 清隆
(72)【発明者】
【氏名】カザール ボロン ビスワス
(72)【発明者】
【氏名】桝谷 晃明
【テーマコード(参考)】
4C038
4C117
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB03
4C038VB22
4C038VC05
4C117XB01
4C117XD05
4C117XE43
4C117XK05
4C117XK09
(57)【要約】
【課題】香粧品分野などでより簡易にヒト等の皮膚たるみ量を測定可能な新規の方法を提供すること
【解決手段】皮膚のたるみ量を測定する方法であって、
(1)被験者が静的立位姿勢とするステップ、
(2)被験者の皮膚に基準点を設けるステップ、
(3)基準点とは異なる点を測定点とするステップ、
(4)当該基準点を支点として被験者に対しテープ及び当該テープにおもりを付加するステップ、
(5)当該テープの上端を基準点とし、当該テープの下端を測定点とするステップ、
(6)被験者の静的立位姿勢において、少なくとも基準点、測定点を含む状態で、垂直位の皮膚表面を撮像して画像を得るステップ、
(7)ステップ(6)で得られた画像から、測定点の移動量を測定するステップ、
を含む皮膚たるみ量の測定方法。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚のたるみ量を測定する方法であって、
(1)被験者が静的立位姿勢とするステップ、
(2)被験者の皮膚に基準点を設けるステップ、
(3)基準点とは異なる点を測定点とするステップ、
(4)当該基準点を支点として被験者に対しテープ及び当該テープにおもりを付加するステップ、
(5)当該テープの上端を基準点とし、当該テープの下端を測定点とするステップ、
(6)被験者の静的立位姿勢において、少なくとも基準点、測定点を含む状態で、垂直位の皮膚表面を撮像して画像を得るステップ、
(7)ステップ(6)で得られた画像から、測定点の移動量を測定するステップ、
を含む皮膚たるみ量の測定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ヒト等の皮膚たるみ量の測定方法、などに関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚のたるみは、多くの人の関心の高い肌の老化現象のひとつである。顔面のたるみの原因は、年齢や真皮のコラーゲン量、皮膚の弾力性や皮下脂肪厚など皮膚の物性の増減が起因しているといわれている。例えば、たるみと弾力性、たるみと皮下脂肪との関係は明らかとなっているが、それら皮膚物性の変化が実際の皮膚表面において、それぞれどのような変化をもたらすのかは知られていない。皮膚のたるみを改善する方法として、エステティックやマッサージなどの美容施術、補正下着に代表される物理的方法や、医薬品、化粧品、サプリメントなどによる化学的方法、またこれを組み合わせた方法が試みられている。皮膚のたるみを改善する方法として、エステティックやマッサージなどの美容施術、補正下着に代表される物理的方法や、医薬品、化粧品、サプリメントなどによる化学的方法、またこれを組み合わせた方法が試みられている(特許文献1、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-157013
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】日本化粧品技術者会誌、掲載巻49、掲載号2、114から119ページ、顔面たるみの二次元簡易的測定法の開発
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、より簡易にヒト等の被験者の皮膚たるみ量を測定可能な新規な方法を提供すること、などである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明の発明者は、鋭意検討を重ねた結果、おもりを用いての重力を活用すること等により、本発明を完成した。
【0007】
本発明は、以下の項を含む。
〔項1〕 皮膚のたるみ量を測定する方法であって、
(1)被験者が静的立位姿勢とするステップ、
(2)被験者の皮膚に基準点を設けるステップ、
(3)基準点とは異なる点を測定点とするステップ、
(4)当該基準点を支点として被験者に対しテープ及び当該テープにおもりを付加するステップ、
(5)当該テープの上端を基準点とし、当該テープの下端を測定点とするステップ、
(6)被験者の静的立位姿勢において、少なくとも基準点、測定点を含む状態で、垂直位の皮膚表面を撮像して画像を得るステップ、
(7)ステップ(6)で得られた画像から、測定点の移動量を測定するステップ、
を含む皮膚たるみ量の測定方法。
【発明の効果】
【0008】
香粧品分野などでより簡易にヒト等の皮膚たるみ量を測定可能な新規の方法、などを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1で記載の本発明の方法を用いたモニター試験の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
(基準点)
本発明の基準点は、支点を設定する趣旨である。基準点は、少なくとも1点あればよく、2点以上設けることも可能である。
【0012】
本発明の基準点は、ホクロ、眉毛等とすることも可能であり、眉上、眉間、鼻根、鼻尖、人中、オトガイ、唇溝、頬、目尻等とすることも可能である。以下実施例では、顔面部の皮膚のたるみ量を測定する例(頬の所定部位を基準点とした例)を示す。
【0013】
(測定点)
本発明の測定点は、1ヶ所、2ヶ所以上、目的に応じて適宜設定できる。例えば、化粧品などの評価において、顔全体に塗布した場合、どの部位に特に効果が高いかを確認したい場合は、任意の部位に複数測定点を設け、各測定点におけるたるみ量の変化を比較する等して評価することができる。本発明では、テープの上端を基準点とし、テープの下端(上端以外の部位、静的立位姿勢において上端と平行ではない部位で下の部位)を測定点とする。
【0014】
(テープ)
テープは、皮膚に剥がれないように粘着できるテープであればよい。当該テープは、テープの基材の片面及び/又は両面に粘着剤層を有する。
【0015】
(おもり)
おもり(重り、錘)を構成する材料は、重力が働くようにすれば、特に限定されるものではないが、具体的には、鋼やSUS等の金属材料や樹脂材料等を用いることができる。おもりの形状も、重力が働くようにすれば、特に限定されるものではない。
【0016】
(撮像)
撮像は、例えばデジタルカメラなどの撮像装置で、少なくとも1つの基準点と測定点が含まれるように行う。撮像により画像を取得して、像中に含まれる皮膚表面の形状や面積などの変化を把握する。当該画像は、例えば、静止画、動画、である。
【0017】
(静的立位姿勢)
静的立位姿勢は、例えば文献(Vol.38 Suppl. No.2 (第46回日本理学療法学術大会 抄録集)、セッションID: OI1-008)に記載の姿勢であるが、ヒト等が体全体で立位している姿勢だけでなく、例えば座位で顔全体が立位している姿勢も含む。
【0018】
(組成物の形態)
本発明の方法を用いる試験で用いられる組成物(皮膚外用のための組成物など)は、アンプル、カプセル、粉末、顆粒、液体、ゲル、気泡、エマルジョン、シート、ミスト、スプレー剤等利用上の適当な形態の1)医薬品類、2)医薬部外品類、3)局所用又は全身用の皮膚外用剤類(例えば、化粧水、乳液、クリーム、軟膏、ローション、オイル、パック等の基礎化粧料、固形石鹸、液体ソープ、ハンドウォッシュ等の洗顔料や皮膚洗浄料、マッサージ用剤、クレンジング用剤、除毛剤、脱毛剤、髭剃り処理料、アフターシェーブローション、プレショーブローション、シェービングクリーム、ファンデーション、口紅、頬紅、アイシャドウ、アイライナー、マスカラ等のメークアップ化粧料、香水類、美爪剤、美爪エナメル、美爪エナメル除去剤、パップ剤、プラスター剤、テープ剤、シート剤、貼付剤、エアゾール剤等)、4)頭皮・頭髪に適用する薬用又は/及び化粧用の製剤類(例えば、シャンプー剤、リンス剤、ヘアートリートメント剤、プレヘアートリートメント剤、パーマネント液、染毛料、整髪料、ヘアートニック剤、育毛・養毛料、パップ剤、プラスター剤、テープ剤、シート剤、エアゾール剤等)、5)浴湯に投じて使用する浴用剤、6)その他、腋臭防止剤や消臭剤、制汗剤、衛生用品、衛生綿類、ウエットティシュ等が挙げられる。
【0019】
次に実施例を挙げ、本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制約されるものではない。なお、以下の実施例において、各種成分の添加量を示す数値の単位%は、質量%を意味する。
【実施例0020】
以下、本発明の実施例について、説明する。以下、実施例で挙げる実験で用いた実験材料は次の通りである。
【0021】
[実施例1]本発明の方法を用いて行うモニター試験で用いるローションの作製
下記モニター試験で用いるローションを次のように作製した。表1に記載のように、カワラヨモギの花の抽出物を1%含有したローション(表1ローション)を作製した。表2に記載のように、プラセボローション(当該抽出物を含有しないローション)を作製した。
【0022】
【表1】
【0023】
【表2】
【0024】
(実験1:ヒトでの皮膚モニター試験、皮膚外用剤)
正常なヒト被験者(平均年齢43.6歳の男女13名)の顔の所定部位に、表1記載のローションと、表2記載のプラセボローションとを塗布することにより、2022年1月31日から2022年3月4日の間に試験を行った。表1で示す組成のローションを被験者の顔の半分の所定部位に所定間隔にて塗布し、表2で示すローションを被験者の顔のもう一方の半分の所定部位に所定間隔にて塗布した。この所定間隔は、1日2回ずつ(朝晩)4週間である。所定部位は、「顔全体」である。
【0025】
図1に記載のように皮膚のたるみを測定した。被験者の頬に、中心にドーナツ状に穴の開いた粘着テープ(DermaLabTMCombo(CORTEX TECHNOLOGY)ELASTICITYプローブ用粘着テープ)の下側にホッチキス針(No.11-1M(マックス株式会社))を引掛けた。図1に示すように、粘着テープの貼付位置を、顔面の鼻下から横に引いたラインと目尻から縦に引いたラインの交点と粘着テープのドーナツ円の内側の下部が重なる交点とした。この実験1では、基準点を図1で示すa(当該テープの上端)とし、測定点を図1で示すb(当該テープの下端)とした。
【0026】
図1記載の分銅は、おもり(5g~20g)である。当該おもりをこの実験1で用いた。この実験1では、分銅とクリップを紐で固定し、クリップ側をホッチキスの針に引掛けた。なお、この実験1では、事前に各被験者に対しおもりを付加し、重力によって頬が1-2mm移動する重さの重りを用いた。
【0027】
おもり負荷前と負荷後の顔面の様子をVISIATM Evolution(Canfield Scientific)を用いて左右の顔写真撮影を撮影した。それぞれ試験前と4週間後に撮影を行った。写真加工ソフト(Photoshop)にておもり負荷前と負荷後の撮影した画像を重ね合わせ、画像解析ソフト(Digital Microscope VHX-5000(株式会社キーエンス))にて試験前と4週間後の重り負荷時の粘着テープの移動距離と粘着テープの長さを計測した。実際のおもり負荷時の移動距離は、粘着テープの長さから推定換算値を算出し、比較を行った。当該比較した結果(測定した結果)を表3に示す。表3では、0週の値を1.00として示した。
【0028】
【表3】
【0029】
表3の*印は、Wilcoxon Rank-Sum Testにおいて、0週の値(表1ローション塗布群)との比較による有意差(p<0.05)、を示す。4週において、表2ローション(プラセボローション)塗布と比べ、表1ローション塗布により、たるみの抑制を確認した。
【0030】
なお、4週において、表1ローション塗布群と表2ローション塗布群の値(当該長さ)の比較も行った。この比較の結果は表4に示す。表4の*印は、Wilcoxon Rank-Sum Testにおいて、表2ローション塗布群の値(100.00、とする)との比較による有意差(p<0.05)、を示す。この比較の結果(表4)からも、表2ローション(プラセボローション)塗布と比べ、表1ローション塗布により、たるみの抑制がおきていることを示す。
【0031】
【表4】
【0032】
また、この実験1から、本発明の方法が、皮膚たるみ量を測定できることが示された。
【0033】
以上、本発明の実施の形態(実施例も含め)について、図面を参照して説明してきたが、本発明の具体的構成は、これに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、設計変更等があっても、本発明に含まれるものである。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、香粧品分野などでより簡易にヒト等の皮膚たるみ量を測定可能な新規の方法、などとして利用される。

図1