(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018545
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】画像形成システム、テストパターン、及びテストパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B41J2/01 205
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121947
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099793
【弁理士】
【氏名又は名称】川北 喜十郎
(74)【代理人】
【識別番号】100154586
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 正広
(74)【代理人】
【識別番号】100179280
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 育郎
(72)【発明者】
【氏名】赤澤 祥
(72)【発明者】
【氏名】柴田 武志
(72)【発明者】
【氏名】栗田 優佑
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA06
2C056EA08
2C056EB27
2C056EB36
2C056EB37
2C056EB40
2C056EC07
2C056EC42
2C056FA13
2C056HA58
(57)【要約】
【課題】吐出不良ノズルを高い精度で検出することができ、且つ撮像時のデータ容量が小さいテストパターンを形成する画像形成システムを提供する。
【解決手段】画像形成システムは、第1、第2ヘッド、搬送機、コントローラを備える。コントローラは、複数の第1パターンを形成する第1パターン形成工程と、複数の第2パターンを形成する第2パターン形成工程とを実行する。第1パターン形成工程において、N個の第1ノズル列の少なくとも1つの第2ヘッドに近い端部に位置するノズルにより形成される第1シフトパターンを、複数の第1パターンの内の第1シフトパターンを除いた残りの部分の搬送方向の一方に形成する。第2パターン形成工程において、N個の第2ノズル列の少なくとも1つの第1ヘッドに近い端部に位置するノズルにより形成される第2シフトパターンを、複数の第2パターンの内の第2シフトパターンを除いた残りの部分の搬送方向の前記一方に形成する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッド配列方向に沿って千鳥状に配置された第1ヘッド及び第2ヘッドと、
前記ヘッド配列方向に交差する搬送方向に媒体を搬送する搬送機と、
前記第1ヘッド、前記第2ヘッド、及び前記搬送機を制御するコントローラとを備える画像形成システムであって、
前記第1ヘッドは複数の第1ノズルを有し、該複数の第1ノズルは各々が前記ヘッド配列方向に延びるN個(Nは2以上の自然数)の第1ノズル列であって前記搬送方向に並ぶN個の第1ノズル列を構成し、
前記第2ヘッドは複数の第2ノズルを有し、該複数の第2ノズルは各々が前記ヘッド配列方向に延びるN個の第2ノズル列であって前記搬送方向に並ぶN個の第2ノズル列を構成し、
前記コントローラは、
前記第1ヘッドの前記複数の第1ノズルに液体を吐出させ且つ前記搬送機に前記媒体を搬送させることで、複数の第1パターンを前記媒体に形成する第1パターン形成工程と、
前記第2ヘッドの前記複数の第2ノズルに前記液体を吐出させ且つ前記搬送機に前記媒体を搬送させることで、複数の第2パターンを前記媒体に形成する第2パターン形成工程と、を実行し、
前記第1パターン形成工程において、前記複数の第1パターンの内の、前記N個の第1ノズル列の少なくとも1つの前記第2ヘッドに近い端部に位置するノズルにより形成される第1シフトパターンを、前記複数の第1パターンの内の前記第1シフトパターンを除いた残りの部分である第1パターン群の前記搬送方向の一方に形成し、
前記第2パターン形成工程において、前記複数の第2パターンの内の、前記N個の第2ノズル列の少なくとも1つの前記第1ヘッドに近い端部に位置するノズルにより形成される第2シフトパターンを、前記複数の第2パターンの内の前記第2シフトパターンを除いた残りの部分である第2パターン群の前記搬送方向の前記一方に形成し、
前記第1パターン群においては前記複数の第1パターンが、前記ヘッド配列方向に延びる各列が他の列に対して前記ヘッド配列方向にシフトして配置されたマトリックス状に配置され、
前記第2パターン群においては前記複数の第2パターンが、前記ヘッド配列方向に延びる各列が他の列に対して前記ヘッド配列方向にシフトして配置されたマトリックス状に配置され、
前記第1パターン群と前記第2パターン群とが前記ヘッド配列方向に隣り合って形成され、
前記第1シフトパターンと前記第2シフトパターンとが前記ヘッド配列方向に隣り合って形成される画像形成システム。
【請求項2】
前記第1シフトパターンは前記N個の第1ノズル列の各々の前記第2ヘッドに近い端部に位置するノズルの内、前記ヘッド配列方向において前記第2ヘッドから最も遠いノズルから数えてn個(nは1以上N未満の自然数)のノズルにより形成される前記第1パターンを含み、
前記第2シフトパターンは前記N個の第2ノズル列の各々の前記第1ヘッドに近い端部に位置するノズルの内、前記ヘッド配列方向において前記第1ヘッドから最も遠いノズルから数えてN-n個のノズルにより形成される前記第2パターンを含む、
請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
n=N/2である請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記複数の第1パターン及び前記複数の第2パターンの各々は、前記搬送方向に沿って延びる直線である請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記コントローラは、
第1パターン形成工程において、前記第1ヘッドに前記液体を吐出させ且つ前記搬送機に前記媒体を搬送させることで、前記複数の第1パターンの内、前記第1シフトパターンを形成するノズルに前記N個の第1ノズル列の内部において隣接する少なくとも1つのノズルにより形成される第1追加シフトパターンを、前記第1シフトパターンと前記ヘッド配列方向に隣接して形成し、
第2パターン形成工程において、前記第2ヘッドに前記液体を吐出させ且つ前記搬送機に前記媒体を搬送させることで、前記複数の第2パターンの内、前記第2シフトパターンを形成するノズルに前記N個の第2ノズル列の内部において隣接する少なくとも1つのノズルにより形成される第2追加シフトパターンを、前記第2シフトパターンと前記ヘッド配列方向に隣接して形成する、
請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記第1パターン形成工程において、前記第1追加シフトパターンの少なくとも一部を、前記第1パターン群と前記ヘッド配列方向に隣接する位置にも形成し、
前記第2パターン形成工程において、前記第2追加シフトパターンの少なくとも一部を、前記第2パターン群と前記ヘッド配列方向に隣接する位置にも形成する、
請求項5に記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記ヘッド配列方向に沿って前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドと千鳥状に配置された第3ヘッドを更に備え、
前記第3ヘッドは複数の第3ノズルを有し、該複数の第3ノズルは各々が前記ヘッド配列方向に延びるN個の第3ノズル列であって、前記搬送方向に並ぶN個の第3ノズル列を構成し、
前記コントローラは、
前記第3ヘッドの前記複数の第3ノズルに前記液体を吐出させ且つ前記搬送機に前記媒体を搬送させることで、複数の第3パターンを前記媒体に形成する第3パターン形成工程を実行し、
前記第2パターン形成工程において、前記複数の第2パターンの内の前記N個の第2ノズル列の少なくとも1つの前記第3ヘッドに近い端部に位置するノズルにより形成される第3シフトパターンを、前記第2パターン群の前記搬送方向の前記一方にシフトして形成させ、
前記第1シフトパターン、前記第2シフトパターン、及び前記第3シフトパターンが前記ヘッド配列方向に隣り合って形成される、
請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記コントローラは、前記第3パターン形成工程において、前記複数の第3パターンの内の前記N個の第3ノズル列の少なくとも1つの前記第2ヘッドに近い端部に位置するノズルにより形成される第4シフトパターンを、前記複数の第3パターンの内の前記第4シフトパターンを除いた残りの部分である第3パターン群の前記搬送方向の前記一方に形成させ、
前記第3パターン群においては前記複数の第3パターンが、前記ヘッド配列方向に延びる各列が他の列に対して前記ヘッド配列方向にシフトして配置されたマトリックス状に配置され、
前記第2パターン群と前記第3パターン群とが前記ヘッド配列方向に隣り合って形成され、
前記第1シフトパターン、前記第2シフトパターン、前記第3シフトパターン、及び前記第4シフトパターンが前記ヘッド配列方向に隣り合って形成される、請求項7に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記コントローラは、前記第1ヘッド又は前記第2ヘッドに関する情報を保持する情報コードを、前記第1シフトパターン及び前記第2シフトパターンと前記ヘッド配列方向に隣り合う位置に形成する請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項10】
請求項1又は2に記載の画像形成システムにより形成された不良ノズル検出用のテストパターンであって、
前記第1パターン群と、
前記第1パターン群と前記ヘッド配列方向に隣り合う前記第2パターン群と、
前記第1パターン群及び前記第2パターン群の前記搬送方向の前記一方に配置された前記第1シフトパターンと、
前記第1パターン群及び前記第2パターン群の前記搬送方向の前記一方に配置され且つ前記第1シフトパターンと前記ヘッド配列方向に隣り合う前記第2シフトパターンとを有するテストパターン。
【請求項11】
ヘッド配列方向に沿って千鳥状に配置された第1ヘッド及び第2ヘッドと、前記ヘッド配列方向に交差する搬送方向に媒体を搬送する搬送機と、前記第1ヘッド、前記第2ヘッド及び前記搬送機を制御するコントローラとを備える画像形成システムの、前記コントローラが実行するテストパターン形成方法であって、
前記第1ヘッドは複数の第1ノズルを有し、該複数の第1ノズルは各々が前記ヘッド配列方向に延びるN個(Nは2以上の自然数)の第1ノズル列であって、前記搬送方向に並ぶN個の第1ノズル列を構成し、
前記第2ヘッドは複数の第2ノズルを有し、該複数の第2ノズルは各々が前記ヘッド配列方向に延びるN個の第2ノズル列であって、前記搬送方向に並ぶN個の第2ノズル列を構成し、
前記テストパターン形成方法は、
前記第1ヘッドの前記複数の第1ノズルに液体を吐出させ且つ前記前記搬送機に前記媒体を搬送させることで、複数の第1パターンを前記媒体に形成する第1パターン形成工程と、
前記第2ヘッドの前記複数の第2ノズルに前記液体を吐出させ且つ前記搬送機に前記媒体を搬送させることで、複数の第2パターンを前記媒体に形成する第2パターン形成工程と、
を含み、
前記第1パターン形成工程において、前記複数の第1パターンの内の、前記N個の第1ノズル列の少なくとも1つの前記第2ヘッドに近い端部に位置するノズルにより形成される第1シフトパターンを、前記複数の第1パターンの内の前記第1シフトパターンを除いた残りの部分である第1パターン群の前記搬送方向の一方に形成し、
前記第2パターン形成工程において、前記複数の第2パターンの内の、前記N個の第2ノズル列の少なくとも1つの前記第1ヘッドに近い端部に位置するノズルにより形成される第2シフトパターンを、前記複数の第2パターンの内の前記第2シフトパターンを除いた残りの部分である第2パターン群の前記搬送方向の前記一方に形成し、
前記第1パターン群においては前記複数の第1パターンが、前記ヘッド配列方向に延びる各列が他の列に対して前記ヘッド配列方向にシフトして配置されたマトリックス状に配置され、
前記第2パターン群においては前記複数の第2パターンが、前記ヘッド配列方向に延びる各列が他の列に対して前記ヘッド配列方向にシフトして配置されたマトリックス状に配置され、
前記第1パターン群と前記第2パターン群とが前記ヘッド配列方向に隣り合って形成され、
前記第1シフトパターンと前記第2シフトパターンとが前記ヘッド配列方向に隣り合って形成されるテストパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、テストパターン、及びテストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘッドから液滴を吐出することにより、ヘッドに相対して移動する媒体上に画像を形成する画像形成システムが用いられている。このような画像形成システムにおいて、ヘッドは、複数のノズルと、当該複数のノズルにそれぞれ対応する複数の駆動素子とを有する。複数の駆動素子の各々に電圧を与えると、当該駆動素子に対応するノズルから液滴が吐出され、媒体上に画像が形成される。
【0003】
ここで、複数のノズルのいずれかが液滴を正常に吐出しない吐出不良ノズル(例えば、液滴を吐出しない不吐出ノズル等)となった場合、媒体上の吐出不良ノズルに対応する位置にスジ状の画像欠陥が生じ得る。このような画像欠陥を抑制するため、吐出不良ノズルの位置に基づく補正を行いながら画像形成を行うことが提案されている(特許文献1)。吐出不良ノズルの位置は、ヘッドが液滴を吐出することで形成されたテストパターン(テストチャート)の状態に基づいて検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1においては、あるヘッドから吐出されるインクにより形成されるテストパターンと、当該ヘッドと幅方向に隣接するヘッドから吐出されるインクにより形成されるテストパターンとは、搬送方向にずれた位置に形成される。したがって、テストパターンは搬送方向の比較的広範囲に形成されており、当該テストパターンの撮像により生成される画像データのデータ容量も比較的大きい。画像データのデータ容量が大きいと、画像データの処理や転送に時間を要し、吐出不良ノズルを迅速に検出する上で不利である。
【0006】
本発明は、吐出不良ノズルを高い精度で検出することができるテストパターンであって、撮像時のデータ容量が小さいテストパターンを形成する画像形成システム、及びテストパターン形成方法を提供することを目的とする。
【0007】
本発明はまた、吐出不良ノズルを高い精度で検出することができ、且つ撮像時のデータ容量が小さいテストパターンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様に従えば、ヘッド配列方向に沿って千鳥状に配置された第1ヘッド及び第2ヘッドと、
前記ヘッド配列方向に交差する搬送方向に媒体を搬送する搬送機と、
前記第1ヘッド、前記第2ヘッド、及び前記搬送機を制御するコントローラとを備える画像形成システムであって、
前記第1ヘッドは複数の第1ノズルを有し、該複数の第1ノズルは各々が前記ヘッド配列方向に延びるN個(Nは2以上の自然数)の第1ノズル列であって前記搬送方向に並ぶN個の第1ノズル列を構成し、
前記第2ヘッドは複数の第2ノズルを有し、該複数の第2ノズルは各々が前記ヘッド配列方向に延びるN個の第2ノズル列であって前記搬送方向に並ぶN個の第2ノズル列を構成し、
前記コントローラは、
前記第1ヘッドの前記複数の第1ノズルに液体を吐出させ且つ前記搬送機に前記媒体を搬送させることで、複数の第1パターンを前記媒体に形成する第1パターン形成工程と、
前記第2ヘッドの前記複数の第2ノズルに前記液体を吐出させ且つ前記搬送機に前記媒体を搬送させることで、複数の第2パターンを前記媒体に形成する第2パターン形成工程と、を実行し、
前記第1パターン形成工程において、前記複数の第1パターンの内の、前記N個の第1ノズル列の少なくとも1つの前記第2ヘッドに近い端部に位置するノズルにより形成される第1シフトパターンを、前記複数の第1パターンの内の前記第1シフトパターンを除いた残りの部分である第1パターン群の前記搬送方向の一方に形成し、
前記第2パターン形成工程において、前記複数の第2パターンの内の、前記N個の第2ノズル列の少なくとも1つの前記第1ヘッドに近い端部に位置するノズルにより形成される第2シフトパターンを、前記複数の第2パターンの内の前記第2シフトパターンを除いた残りの部分である第2パターン群の前記搬送方向の前記一方に形成し、
前記第1パターン群においては前記複数の第1パターンが、前記ヘッド配列方向に延びる各列が他の列に対して前記ヘッド配列方向にシフトして配置されたマトリックス状に配置され、
前記第2パターン群においては前記複数の第2パターンが、前記ヘッド配列方向に延びる各列が他の列に対して前記ヘッド配列方向にシフトして配置されたマトリックス状に配置され、
前記第1パターン群と前記第2パターン群とが前記ヘッド配列方向に隣り合って形成され、
前記第1シフトパターンと前記第2シフトパターンとが前記ヘッド配列方向に隣り合って形成される画像形成システムが提供される。
【0009】
本発明の第2の態様に従えば、第1の態様の画像形成システムにより形成された不良ノズル検出用のテストパターンであって、
前記第1パターン群と、
前記第1パターン群と前記ヘッド配列方向に隣り合う前記第2パターン群と、
前記第1パターン群及び前記第2パターン群の前記搬送方向の前記一方に配置された前記第1シフトパターンと、
前記第1パターン群及び前記第2パターン群の前記搬送方向の前記一方に配置され且つ前記第1シフトパターンと前記ヘッド配列方向に隣り合う前記第2シフトパターンとを有するテストパターンが提供される。
【0010】
本発明の第3の態様に従えば、ヘッド配列方向に沿って千鳥状に配置された第1ヘッド及び第2ヘッドと、前記ヘッド配列方向に交差する搬送方向に媒体を搬送する搬送機と、前記第1ヘッド、前記第2ヘッド及び前記搬送機を制御するコントローラとを備える画像形成システムの、前記コントローラが実行するテストパターン形成方法であって、
前記第1ヘッドは複数の第1ノズルを有し、該複数の第1ノズルは各々が前記ヘッド配列方向に延びるN個(Nは2以上の自然数)の第1ノズル列であって、前記搬送方向に並ぶN個の第1ノズル列を構成し、
前記第2ヘッドは複数の第2ノズルを有し、該複数の第2ノズルは各々が前記ヘッド配列方向に延びるN個の第2ノズル列であって、前記搬送方向に並ぶN個の第2ノズル列を構成し、
前記テストパターン形成方法は、
前記第1ヘッドの前記複数の第1ノズルに液体を吐出させ且つ前記前記搬送機に前記媒体を搬送させることで、複数の第1パターンを前記媒体に形成する第1パターン形成工程と、
前記第2ヘッドの前記複数の第2ノズルに前記液体を吐出させ且つ前記搬送機に前記媒体を搬送させることで、複数の第2パターンを前記媒体に形成する第2パターン形成工程と、
を含み、
前記第1パターン形成工程において、前記複数の第1パターンの内の、前記N個の第1ノズル列の少なくとも1つの前記第2ヘッドに近い端部に位置するノズルにより形成される第1シフトパターンを、前記複数の第1パターンの内の前記第1シフトパターンを除いた残りの部分である第1パターン群の前記搬送方向の一方に形成し、
前記第2パターン形成工程において、前記複数の第2パターンの内の、前記N個の第2ノズル列の少なくとも1つの前記第1ヘッドに近い端部に位置するノズルにより形成される第2シフトパターンを、前記複数の第2パターンの内の前記第2シフトパターンを除いた残りの部分である第2パターン群の前記搬送方向の前記一方に形成し、
前記第1パターン群においては前記複数の第1パターンが、前記ヘッド配列方向に延びる各列が他の列に対して前記ヘッド配列方向にシフトして配置されたマトリックス状に配置され、
前記第2パターン群においては前記複数の第2パターンが、前記ヘッド配列方向に延びる各列が他の列に対して前記ヘッド配列方向にシフトして配置されたマトリックス状に配置され、
前記第1パターン群と前記第2パターン群とが前記ヘッド配列方向に隣り合って形成され、
前記第1シフトパターンと前記第2シフトパターンとが前記ヘッド配列方向に隣り合って形成されるテストパターン形成方法が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明の画像形成システム、及びテストパターン形成方法によれば、吐出不良ノズルを高い精度で検出することができるテストパターンであって、撮像時のデータ容量が小さいテストパターンを形成することができる。
【0012】
本発明のテストパターンは、吐出不良ノズルを高い精度で検出することができ、且つ撮像時のデータ容量が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図2】
図2は、プリンタを媒体幅方向に見た概略的な構成図である。
【
図4】
図4(a)は、ラインセンサを搬送方向に見た概略的な構成図である。
図4(b)はラインセンサを媒体幅方向に見た概略的な構成図である。
図4(c)は、ラインセンサの撮像素子と、当該撮像素子が生成する画素により構成される画像データの概略を示す説明図である。
【
図5】
図5は、白抜け補正を含む画像形成方法のフローチャートである。
【
図6】
図6は、テストパターンの形状を、該テストパターンを形成するヘッドとの位置関係と共に示す平面図である。
【
図7】
図7は、テストパターンの一部の拡大形状を、該テストパターンを形成するヘッドとの位置関係と共に示す平面図である。
【
図8】
図8は、テストパターンの形状を、該テストパターンを形成するヘッドとの位置関係と共に示す平面図である。
【
図9】
図9は、テストパターンの一部の拡大形状を、該テストパターンを形成するヘッドとの位置関係と共に示す平面図である。
【
図10】
図10は、第1シフトパターン、第2シフトパターンを形成する意義を説明するための説明図である。
【
図11】
図11(a)は、不吐出ノズルが生じた場合のテストパターンの罫線の様子を示す説明図である。
図11(b)、
図11(c)は歪みノズルが生じた場合のテストパターンの罫線の様子を示す説明図である。
図11(d)はよれノズルが生じた場合のテストパターンの罫線の様子を示す説明図である。
【
図12】
図12は、吐出不良ノズル検出工程のフローチャートである。
【
図13】
図13は、ラインセンサにより生成された画像データにおける画素欠落部の位置を示す平面図である。
【
図14】
図14(a)は隣接する2つの罫線の間に画素欠落部が存在する様子を示す説明図である。
図14(b)は画素欠落部に罫線が存在する様子を示す説明図である。
【
図15】
図15は、不吐出ノズル判定工程のフローチャートである。
【
図16】
図16は、ノズル情報積算工程のフローチャートである。
【
図17】
図17は、不吐出ノズル・歪みノズル判定工程のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態>
本発明の実施形態であるプリンタ(画像形成システム)1000、及びプリンタ1000を用いた画像形成方法について、
図1~
図17を参照して説明する。
【0015】
[プリンタ1000]
図1、
図2に示す通り、プリンタ1000は、3つのヘッドアセンブリ100、プラテン200、給送シャフト301、巻取シャフト302、一対の搬送ローラ401、402、インクタンク500、ラインセンサ600、コントローラ700、及びこれらを収容する筐体800を主に備える。
【0016】
プリンタ1000に関しては、一対の搬送ローラ401、402が並ぶ方向、即ち画像形成時に媒体PMが搬送される方向をプリンタ1000の搬送方向と呼ぶ。搬送方向については、媒体PMが搬送される方向の上流、下流をそれぞれ、搬送方向の上流、下流と呼ぶ。また、水平面内において搬送方向と直交する方向、即ち、搬送ローラ401、402の回転軸の延びる方向を媒体幅方向と呼ぶ。媒体幅方向については、搬送方向の下流から上流を見た際の左、右をそれぞれ、媒体幅方向の左、右と呼ぶ。媒体幅方向は、本発明の「ヘッド配列方向」、「ノズル配列方向」、「素子配列方向」の一例である。
【0017】
3つのヘッドアセンブリ100は、搬送方向に並んで配置されている。3つのヘッドアセンブリ100の各々は、いわゆるラインタイプのヘッド(ヘッドバー)であり、2種類のインクを吐出するように構成されている。
【0018】
図1、
図2に示すように、3つのヘッドアセンブリ100は、搬送方向に沿ってアーチ状に湾曲するアーチフレーム100aに支持されている。アーチフレーム100aは、3つのヘッドアセンブリ100を、水平面に対する角度が互いに異なるように支持している。
【0019】
3つのヘッドアセンブリ100の各々は箱状である。
図3に示すように、3つのヘッドアセンブリ100の各々は、その下端部に、矩形板状の保持部材11と、保持部材11に保持された10個のヘッド12とを有する。保持部材11の長手方向の両端部がアーチフレーム100aに支持されている。10個のヘッド12は媒体幅方向(ヘッド配列方向)に沿って千鳥状(ジグザグ)に配置されている。
【0020】
10個のヘッド12の各々の下面には複数のノズルNZが形成されている。複数のノズルNZの各々は、インクを媒体PMに向けて吐出する微小開口である。
【0021】
本実施形態のヘッド12には、具体的には、1680個のノズルNZが形成されている。1680個のノズルは、搬送方向に並ぶ24列のノズル列NZAを構成しており、各ノズル列NZAは媒体幅方向に並ぶ70個のノズルNZを含む(
図3、
図6、
図8。なお
図3は簡略図であり、36個のノズルNZと4列のノズル列NZAのみを示している)。各ノズル列NZAにおいては、70個のノズルNZが約508μm(50dpi)のピッチで形成されている。
【0022】
24列のノズル列NZAは、搬送方向の下流に進むに従って、媒体幅方向の右にシフトするように配置されている。即ち各ノズル列NZAは、当該ノズル列NZAの1つ上流のノズル列NZAよりも少し右に配置されている。これにより、1680個のノズルNZは、全体として、媒体幅方向に約21μm(1200dpi)のピッチで形成されている。したがって、ヘッド12の画像形成の解像度(第1の解像度)は1200dpiである。なお、ヘッド12が有するノズルNZの数、配置は任意であり、上記のノズルNZの数、ノズル列NZAの数、ピッチ、配置、解像度は一例に過ぎない。
【0023】
10個のヘッド12の各々の内部には、インク分配流路(不図示)と、複数の個別流路(不図示)とが形成されている。複数の個別流路の各々はインク分配流路とノズルNZとを繋いでおり、ノズルNZの近傍に圧力室(不図示)を有する。圧力室の上方には圧電アクチュエータ(不図示)が形成されている。圧電アクチュエータは、コントローラ700に接続されている。
【0024】
インクタンク500(詳細後述)からヘッド12に供給されたインクは、インク分配流路と個別流路とを経て、ノズルNZに供給される。この時、コントローラ700の制御により圧電アクチュエータを駆動させることにより、当該圧電アクチュエータに対応する圧力室の容積が変化し、当該圧力室に対応するノズルNZからインク滴が吐出される。
【0025】
プラテン200は、ヘッドアセンブリ100から媒体PMに向けてインクを吐出する際に、媒体PMを下方から支持する板状部材である。プラテン200は上下方向においてヘッドアセンブリ100と対向している。プラテン200は搬送方向に沿って湾曲している。
【0026】
給送シャフト301、巻取シャフト302はそれぞれ、不図示のモータにより回転する回転シャフトである。給送シャフト301には画像形成がなされる前の媒体PMがロール状に巻かれた給送ロールPM1が取り付けられる。巻取シャフト302には、画像形成がなされた後の媒体PMがロール状に巻かれた巻取ロールPM2が取り付けられる。
【0027】
給送ロールPM1から送り出された媒体PMは、ヘッドアセンブリ100による画像形成がなされた後、巻取ロールPM2に巻き取られる。媒体PMとして、例えばロール紙を用い得る。
【0028】
一対の搬送ローラ(搬送機)401、402は、プラテン200を搬送方向に挟んで配置されている。一対の搬送ローラ401、402は、ヘッドアセンブリ100が媒体PMに画像を形成する際に、媒体PMを所定の態様で搬送方向に送る。
【0029】
インクタンク500は、5色(5種類)のインクを収容できるよう5つに区分されている。5色のインクは、管路510によりリザーバ520に送られる。管路510、リザーバ520も、5色のインクを流通、収容できるよう5つに区分されている。リザーバ520に送られた各色のインクは、不図示の管路及びポンプを介して、リザーバ520と3つのヘッドアセンブリ100のいずれかとの間で循環される。
【0030】
本実施形態では、搬送方向の最も上流に配置されたヘッドアセンブリ100にはホワイトインクが供給される。ホワイトインクは、下地印刷に用いることができる。搬送方向において上流から2番目のヘッドアセンブリ100には、イエローインクとマゼンダインクとが供給される。搬送方向の最も下流に配置されたヘッドアセンブリ100には、シアンインクとブラックインクとが供給される。
【0031】
ラインセンサ600は、ヘッドアセンブリ100が媒体PMに形成した画像を撮像する撮像機である。ラインセンサ600は、ヘッドアセンブリ100の搬送方向下流に位置している。ラインセンサ600は、本実施形態ではコンタクトイメージセンサ(Contact Image Sensor: CIS)である。
【0032】
ラインセンサ600は、
図4(a)、
図4(b)に示す通り、センサICアレイ61Aと、ロッドレンズアレイ62Aと、一対の光源63とを有する。センサICアレイ61Aは媒体幅方向(素子配列方向)に並ぶ複数のセンサIC61を含む。ロッドレンズアレイ62Aは媒体幅方向に並ぶ複数のロッドレンズ62を含む。複数のセンサIC61の各々の下面には、媒体幅方向(素子配列方向)に並ぶ複数の撮像素子ISが形成されている。ロッドレンズアレイ62AはセンサICアレイ61Aの下方に位置している。一対の光源63は、ロッドレンズアレイ62Aを搬送方向に挟むようにそれぞれ位置する。
【0033】
図4(b)に示す通り、一対の光源63から媒体PMに照射された光は、媒体PMで反射された後、ロッドレンズアレイ62Aを介して、センサICアレイ61Aの各センサIC61の撮像素子ISに至る。これにより、媒体PM上に形成された画像が撮像され、画像データが生成される。生成された画像データは、コントローラ700に送られる。
【0034】
本実施形態のラインセンサ600の最大解像度は600dpiである。即ちラインセンサ600の撮像時の解像度(第2の解像度)は、最大で600dpiである。換言すれば、ラインセンサ600の撮像素子ISは、最大600dpiの解像度で撮像を行うことができるようなピッチで媒体幅方向(素子配列方向)に配列されている。
【0035】
コントローラ700は、ヘッドアセンブリ100、搬送ローラ401、402、ラインセンサ600等のプリンタ1000の各部に接続されている。コントローラ700は、プリンタ1000の備える各部を全体的に制御する。
【0036】
コントローラ700は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、EEPROM(Electrically Eracable Programmable Read-Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を備える。なお、コントローラ700はCPU(Central Processing Unit)、又はASIC(Application Specific Integrated Curcuit)等を備えてもよい。コントローラ700は、PC等の外部装置(不図示)とデータ通信可能に接続されており、当該外部装置から送られた印刷データに基づいてプリンタ1000の各部を制御する。
【0037】
コントローラ700は、第1通信インタフェース701を介してラインセンサ600と接続されており、第2通信インタフェース702を介して3つのヘッドアセンブリ100と接続されている。
【0038】
コントローラ700は、記録動作と、搬送動作とを実行して、ヘッド12と媒体PMとを搬送方向に相対移動させながら、印刷データ(外部装置、例えばPCから受け取る)が指示する画像を媒体PM上に形成する。コントローラ700は、記録動作では、各ヘッド12の圧電アクチュエータを駆動して各ノズルNZから媒体PMにインクを吐出する。コントローラ700は、搬送動作では、搬送モータ(不図示)を用いて搬送ローラ401、402を回転させて媒体PMを搬送方向に送る。
【0039】
[画像形成方法]
次に、プリンタ1000を用いて、白抜け補正を行いながら画像を形成する画像形成方法について説明する。
【0040】
ヘッド12の複数のノズルNZの中に吐出不良ノズルが存在する場合、当該ヘッド12により媒体PM上に形成される画像の品質が劣化し得る。具体的には例えば、画像に白抜け部(線状の白いスジ)が生じ得る。
【0041】
ここで、本明細書及び本発明において「吐出不良ノズル」とは、媒体(用紙等)への液体(インク等)の吐出を好適に行うことのできないノズルを意味する。吐出不良ノズルは、限定的ではない一例として、不吐出ノズル、歪みノズル、及びよれノズルを含む。
【0042】
ノズルNZが不吐出ノズルとなった場合は、当該ノズルNZからは液体は吐出されない。不吐出ノズルは、具体的には例えば、ヘッド内で凝固したインクがノズルNZの開口部を全体的に閉塞すること等により生じ得る。ノズルNZが歪みノズルとなった場合は、当該ノズルからは液体が不規則に吐出される。歪みノズルは、具体的には例えば、ノズルNZの開口部に微小なゴミ等が付着すること等により生じ得る。ノズルNZがよれノズルとなった場合、当該ノズルからは設計時に予定した向きとは異なる向きに液体が吐出される。よれノズルは、具体的には例えば、ヘッド内で凝固したインクがノズルNZの開口部を部分的に閉塞すること等により生じ得る。
【0043】
画像形成方法は、
図5のフローチャートに示す通り、テストパターン形成工程S1、吐出不良ノズル検出工程S2、及び画像形成工程S3を有する。
【0044】
[テストパターン形成工程S1]
テストパターン形成工程S1においては、媒体PM上に吐出不良ノズル検出用のテストパターンを形成する。具体的には、コントローラ700が、ヘッドアセンブリ100にインクを吐出させ且つ搬送ローラ401、402に媒体PMの搬送を行わせることで、媒体PMにテストパターンを形成する。コントローラ700は、第2通信インタフェース702を介してヘッドアセンブリ100にインクの吐出を行わせる。
【0045】
本実施形態では、テストパターンの形成を、連続して20回実行する。即ち、互いに同一である20個のテストパターンを、媒体PM上に、搬送方向に並べて形成する。ヘッドアセンブリ100は、1200dpiの解像度で媒体PM上に各テストパターンを形成する。
【0046】
テストパターンとしては様々な態様のパターンを使用し得る。ここでは、第1態様のテストパターンTP1、及び第2態様のテストパターンTP2について説明する。
【0047】
(第1態様)
図6に示す通り、第1態様のテストパターンTP1は、10個のテストパターンtp1と、10個の情報コードCDとを含む。
【0048】
10個のテストパターンtp1は、10個のヘッド12によりそれぞれ形成される。即ち、1つのヘッド12が、1つのテストパターンtp1を形成する。
【0049】
10個のテストパターンtp1は互いに同一である。ここでは、1つのテストパターンtp1について説明する。なお、10個のテストパターンtp1が互いに同一とは、10個のテストパターンtp1を印刷するための印刷データ上で(即ち、印刷しようとする理想状態において)10個のテストパターンtp1が互いに同一であることを意味する。したがって、媒体PM上に実際に印刷された10個のテストパターンtp1は、各ヘッド12に形成されたノズルNZの状態に応じて互いに僅かに異なることがある。
【0050】
図7に示す通り、テストパターンtp1は、マトリックス状に配置された複数の罫線Lにより構成されている。複数の罫線Lの各々は、搬送方向に沿って延びる直線である。
図7では、媒体幅方向に並ぶ70本の罫線Lにより構成された罫線列LAが、搬送方向に24列形成されている。搬送方向の上流から数えてn列目(n=2、3、…、24)の罫線列LAは、搬送方向上流から数えてn-1(n=2、3、…、24)列目の罫線列LAに対して、媒体幅方向の右にシフトした位置に形成されている。即ち、複数の罫線LAは、搬送方向の下流に進むに従って媒体幅方向の右にずれるマトリックス状に配置されている。したがって、テストパターンtp1は平面視において略平行四辺形である。
【0051】
テストパターンtp1に含まれる複数の罫線Lはそれぞれ、ヘッド12に形成された複数のノズルNZにより形成されている。即ち、1つのノズルNZから吐出されたインクにより、1つの罫線Lが形成される。
【0052】
図7では、同一の罫線列LAに含まれる罫線Lは、同一のノズル列NZAに含まれるノズルNZより吐出されたインクにより形成されている。これにより、ヘッド12が搬送方向に対して傾いて配置された場合(即ち、搬送方向とノズル列NZAのノズル配列方向とが直交していない場合)でも、媒体PM上にノズル配列方向に隣り合って形成された2つの罫線L間の距離が過度に小さくならない。搬送方向上流から数えてn列目(n=1、2、…、24)の罫線列LAは、搬送方向の上流から数えてn列目(n=1、2、…、24)のノズル列NZAより吐出されたインクにより形成されている。
【0053】
図6に示す通り、10個の情報コードCDは、10個のヘッド12によりそれぞれ形成される。即ち、1つのヘッド12が、1つの情報コードCDを形成する。情報コードCDは、当該情報コードCDを形成するヘッド12により形成されたテストパターンtp1と搬送方向に並んで、当該テストパターンtp1の上流又は下流に位置している。情報コードCDは、当該コードを形成するヘッド12の情報(ヘッド番号、ヘッドから吐出されるインクの色、ヘッドのシリアル番号等)を保持するコードであり、一例としてQRコード(登録商標)、バーコード等である。
【0054】
テストパターンTP1を全体として見ると、10個のテストパターンtp1が媒体幅方向に沿って千鳥状(ジグザグ)に配置されている。同様に、10個の情報コードCDが媒体幅方向に沿って千鳥状(ジグザグ)に配置されている。情報コードCDは、媒体幅方向の両端部に配置された情報コードCDを除いて、媒体幅方向に隣り合う2つのテストパターンtp1の間に配置されている。
【0055】
(第2態様)
図8に示す通り、第2態様のテストパターンTP2は、10個のテストパターンtp2と、10個の情報コードCDとを含む。
【0056】
10個のテストパターンtp2は、10個のヘッド12によりそれぞれ形成される。即ち、1つのヘッド12が、1つのテストパターンtp2を形成する。
【0057】
10個のテストパターンtp2は互いに同一である。ここでは、1つのテストパターンtp2について説明する。なお、10個のテストパターンtp2が互いに同一とは、10個のテストパターンtp2を印刷するための印刷データ上で(即ち、印刷しようとする理想状態において)10個のテストパターンtp2が互いに同一であることを意味する。したがって、媒体PM上に実際に印刷された10個のテストパターンtp2は、各ヘッド12に形成されたノズルNZの状態に応じて互いに僅かに異なることがある。
【0058】
テストパターンtp2は、第1態様のテストパターンtp1の一部の領域(具体的には搬送方向中央部よりも下流且つ媒体幅方向左端近傍の領域、及び搬送方向中央部よりも上流且つ媒体幅方向右端近傍の領域)を、テストパターンtp1に対して搬送方向下流にシフトさせた構成を有する。具体的には次の通りである。
【0059】
図8、
図9に示す通り、テストパターンtp2は、メインパターンtp20(本発明の「第1パターン群」、「第2パターン群」、「第3パターン群」の一例)と、メインパターンtp20の搬送方向下流に配置された第1シフトパターンtp211、第1追加シフトパターンtp212、第2シフトパターンtp221、及び第2追加シフトパターンtp222を含む。
【0060】
メインパターンtp20は、マトリックス状に配置された複数の罫線Lにより構成されている。複数の罫線Lの各々は、搬送方向に沿って延びる直線である。
図9では、媒体幅方向に並ぶ65本の罫線Lにより構成された罫線列LAが、搬送方向に24列形成されている。搬送方向の上流から数えてn列目(n=2、3、…、24)の罫線列LAは、搬送方向上流から数えてn-1(n=2、3、…、24)列目の罫線列LAに対して、媒体幅方向の右方にシフトした位置に形成されている。即ち、複数の罫線LAは、搬送方向の下流に進むに従って媒体幅方向の右にずれるマトリックス状に配置されている。
【0061】
図9では、同一の罫線列LAに含まれる罫線Lは、同一のノズル列NZAに含まれるノズルNZより吐出されたインクにより形成されている。また、搬送方向上流から数えてn列目(n=1、2、…、24)の罫線列LAは、搬送方向の上流から数えてn列目(n=1、2、…、24)のノズル列NZAより吐出されたインクにより形成されている。
【0062】
ここで、メインパターンtp20においては、搬送方向上流から13~24列目の罫線列LAの、媒体幅方向の左端近傍の罫線Lが形成されていない。これらの罫線Lは、搬送方向上流から13~24列目のノズル列NZAの、媒体幅方向の左端から5つ目までのノズルNZにより形成される罫線Lである。
【0063】
一方で、メインパターンtp20の搬送方向下流に形成された第1シフトパターンtp211においては、罫線Lが搬送方向に12列形成されている。搬送方向の上流から数えてn個目(n=2、3、…、12)の罫線Lは、搬送方向上流から数えてn-1(n=2、3、…、12)個目の罫線Lに対して、媒体幅方向の右にシフトした位置に形成されている。これらの罫線Lは、搬送方向上流から13~24列目のノズル列NZAの、媒体幅方向の左端のノズルNZにより形成されている。これらのノズルNZは、ヘッド12の媒体幅方向(ヘッド配列方向)の左端に位置するノズルNZの内、左隣のヘッド12から最も遠いノズルから数えて12個のノズルNZである。
【0064】
また、メインパターンtp20の搬送方向下流に第1シフトパターンtp211に隣接して形成された第1追加シフトパターンtp212においては、媒体幅方向に並ぶ6本の罫線Lにより構成された罫線列LAが搬送方向に12列形成されている。搬送方向の上流から数えてn列目(n=2、3、…、12)の罫線列LAは、搬送方向上流から数えてn-1(n=2、3、…、12)列目の罫線列LAに対して、媒体幅方向の右にシフトした位置に形成されている。これらの罫線Lは、搬送方向上流から13~24列目のノズル列NZAの、媒体幅方向の左端から2つ目~7つ目のノズルNZにより形成されている。
【0065】
即ち、テストパターンtp2においては、搬送方向上流から13~24列目のノズル列NZAの、媒体幅方向の左端から5つ目までのノズルNZにより形成される罫線Lは、メインパターンtp20の一部としては形成されない。これらの罫線Lは、メインパターンtp20の搬送方向下流に、第1シフトパターンtp211又は第1追加シフトパターンtp212として形成される。また、搬送方向上流から13~24列目のノズル列NZAの、媒体幅方向の左端から6つ目及び7つ目のノズルNZにより形成される罫線Lは、メインパターンtp20の一部として形成される。また、これらの罫線Lは、第1追加シフトパターンtp212の一部としても形成される。
【0066】
また、メインパターンtp20においては、搬送方向上流から1~12列目の罫線列LAの、媒体幅方向の右端近傍の罫線Lが形成されていない。これらの罫線Lは、搬送方向上流から1~12列目のノズル列NZAの、媒体幅方向の右端から5つ目までのノズルNZにより形成される罫線Lである。
【0067】
一方で、メインパターンtp20の搬送方向下流に形成された第2シフトパターンtp221においては、罫線Lが搬送方向に12列形成されている。搬送方向の上流から数えてn個目(n=2、3、…、12)の罫線Lは、搬送方向上流から数えてn-1(n=2、3、…、12)個目の罫線Lに対して、媒体幅方向の右にシフトした位置に形成されている。これらの罫線Lは、搬送方向上流から1~12列目のノズル列NZAの、媒体幅方向の右端のノズルNZにより形成されている。これらのノズルNZは、ヘッド12の媒体幅方向(ヘッド配列方向)の右端に位置するノズルNZの内、右隣のヘッド12から最も遠いノズルから数えて12個のノズルNZである。
【0068】
また、メインパターンtp20の搬送方向下流に第2シフトパターンtp221に隣接して形成された第2追加シフトパターンtp222においては、媒体幅方向に並ぶ6本の罫線Lにより構成された罫線列LAが搬送方向に12列形成されている。搬送方向の上流から数えてn列目(n=2、3、…、12)の罫線列LAは、搬送方向上流から数えてn-1(n=2、3、…、12)列目の罫線列LAに対して、媒体幅方向の右にシフトした位置に形成されている。これらの罫線Lは、搬送方向上流から1~12列目のノズル列NZAの、媒体幅方向の右端から2つ目~7つ目のノズルNZにより形成されている。
【0069】
即ち、テストパターンtp2においては、搬送方向上流から1~12列目のノズル列NZAの、媒体幅方向の右端から5つ目までのノズルNZにより形成される罫線Lは、メインパターンtp20の一部としては形成されない。これらの罫線Lは、メインパターンtp20の搬送方向下流に、第2シフトパターンtp221又は第2追加シフトパターンtp222として形成される。また、搬送方向上流から1~12列目のノズル列NZAの、媒体幅方向の右端から6つ目及び7つ目のノズルNZにより形成される罫線Lは、メインパターンtp20の一部として形成される。また、これらの罫線Lは、第2追加シフトパターンtp222の一部としても形成される。
【0070】
10個の情報コードCDは、第1態様の情報コードCDと同様の情報コードであり、10個のヘッド12によりそれぞれ形成される。情報コードCDは、当該情報コードCDを形成するヘッド12により形成されたメインパターンtp20の下流に位置する。情報コードCDは、当該情報コードCDを形成するヘッド12により形成された第1シフトパターンtp211、第1追加シフトパターンtp212、第2シフトパターンtp221、及び第2追加シフトパターンtp222と搬送方向に並んで位置する。情報コードCDは、当該情報コードCDを形成するヘッド12により形成された第1シフトパターンtp211及び第1追加シフトパターン212と、当該情報コードCDを形成するヘッド12により形成された第2シフトパターンtp221及び第2追加シフトパターンtp222との間に位置する。
【0071】
テストパターンTP2を全体として見ると、10個のメインパターンtp20が媒体幅方向に並んでいる。また、10個のメインパターンtp20の搬送方向下流に、10個の第1シフトパターンtp211、第1追加シフトパターンtp212、第2シフトパターンtp221、及び第2追加シフトパターンtp222が媒体幅方向に並んでいる。
【0072】
ここで、テストパターンtp2が、第1シフトパターンtp211及び第2シフトパターンtp221を有する理由を、
図10を参照して説明する。説明を簡略化するため、
図10においては、6列のノズル列NZAを有する1つのヘッド12により、6列の罫線列LAを有する1つのメインパターンtp20、3列の罫線Lを有する1つの第1シフトパターンtp211、1つの第2シフトパターンtp221が形成されるものとする。
【0073】
図10においては、図の中央のヘッド12により形成されるテストパターンtp2の罫線Lの内、罫線L
4L、L
5L、L
6Lが、第1シフトパターンtp211としてメインパターンtp20に対して搬送方向下流にシフトして形成されている。罫線L
4L、L
5L、L
6Lはそれぞれ、搬送方向上流から4、5、6列目のノズル列NZAの左端に位置するノズルNZ
4L、NZ
5L、NZ
6Lにより形成される罫線である。また、
図10においては、図の中央のヘッド12より形成されるテストパターンtp2の罫線Lの内、罫線L
1R、L
2R、L
3Rが、第2シフトパターンtp221としてメインパターンtp20に対して搬送方向下流にシフトして形成されている。罫線L
1R、L
2R、L
3Rはそれぞれ、搬送方向上流から1、2、3列目のノズル列NZAの右端に位置するノズルNZ
1R、NZ
2R、NZ
3Rにより形成される罫線である。
図10においては、シフト前の罫線Lの位置を点線で示している。
【0074】
図の左端のヘッド12より形成されるテストパターンtp2の罫線Lの内、罫線L1R、L2R、L3Rが、第2シフトパターンtp221としてメインパターンtp20に対して搬送方向下流にシフトして形成されている。罫線L1R、L2R、L3Rはそれぞれ、搬送方向上流から1、2、3列目のノズル列NZAの右端に位置するノズルNZ1R、NZ2R、NZ3Rにより形成される罫線である。図の右端のヘッド12より形成されるテストパターンtp2の罫線Lの内、罫線L4L、L5L、L6Lが、第1シフトパターンtp211としてメインパターンtp20に対して搬送方向下流にシフトして形成されている。罫線L4L、L5L、L6Lはそれぞれ、搬送方向上流から4、5、6列目のノズル列NZAの左端に位置するノズルNZ4L、NZ5L、NZ6Lにより形成される罫線である。
【0075】
これにより、
図10の左端のヘッド12により形成されるメインパターンtp20と
図10の中央のヘッド12により形成されるメインパターンp20との媒体幅方向の間隔(媒体幅方向に隣接する罫線L間の間隔)は間隔W2となる。間隔W2は、第1シフトパターンtp211、第2シフトパターンtp221を形成しない場合の間隔W1よりも大きい。また、
図10の左端のヘッド12により形成される第2シフトパターンtp221と
図10の中央のヘッド12により形成される第1シフトパターンtp211との媒体幅方向の間隔(媒体幅方向に隣接する罫線L間の間隔)W3は、間隔W1よりも大きい。
【0076】
同様に、
図10の中央のヘッド12により形成されるメインパターンtp20と
図10の右端のヘッド12により形成されるメインパターンp20との媒体幅方向の間隔(媒体幅方向に隣接する罫線L間の間隔)は間隔W2となる。間隔W2は、第1シフトパターンtp211、第2シフトパターンtp221を形成しない場合の間隔W1よりも大きい。また、
図10の中央のヘッド12により形成される第2シフトパターンtp221と
図10の右端のヘッド12により形成される第1シフトパターンtp211との媒体幅方向の間隔(媒体幅方向に隣接する罫線L間の間隔)W3は、間隔W1よりも大きい。
【0077】
ここで、
図10の左端のヘッド12により形成される第2シフトパターンtp221と中央のヘッド12により形成される第1シフトパターンtp211との間隔W3が間隔W1よりも大きく理由は次の通りである。即ち、左端のヘッド12については、媒体幅方向の右端の6個のノズルNZの内、媒体幅方向における中央のヘッド12からの距離が比較的大きいノズルNZ
1R、NZ
2R、NZ
3Rにより形成される罫線L
1R、L
2R、L
3Rを第2シフトパターンtp221としている。また、中央のヘッド12については、媒体幅方向の左端の6個のノズルNZの内、媒体幅方向における左端のヘッド12からの距離が比較的大きいノズルNZ
4L、NZ
5L、NZ
6Lにより形成される罫線L
4L、L
5L、L
6Lを第1シフトパターンtp211としている。このように、テストパターンtp2の媒体幅方向の端部に形成される罫線Lの内、隣接するテストパターンtp2から比較的遠い位置に形成される罫線Lを第1シフトパターンtp211、第2シフトパターンtp221として形成している。これにより、隣接するテストパターンtp2における、第1シフトパターンtp211と第2シフトパターンtp221との間の間隔が大きくなる。
図10の中央のヘッド12により形成される第2シフトパターンtp221と右端のヘッド12により形成される第1シフトパターンtp211との間隔W3が間隔W1よりも大きくなる理由も同様である。
【0078】
第2態様のテストパターンTP2は、次の有利な効果を奏する。
【0079】
第2態様のテストパターンTP2のように、第1シフトパターンtp211、第2シフトパターンtp221を形成することで、隣り合う2つのテストパターンtp2の間に適切な距離を保った状態で、複数のテストパターンtp2を媒体幅方向に一列に並べることができる。
【0080】
隣り合う2つのテストパターンtp2の間の距離が近すぎると、両者が隣り合う領域で、罫線L同士の媒体幅方向の間隔が過度に小さくなる。この場合、後述する不吐出ノズル検知工程S2において、あるテストパターンtp2に隣接するテストパターンtp2に含まれる罫線Lが、あるテストパターンtp2に含まれる罫線Lであると誤検知される等の理由により、吐出不良ノズル検出の精度が低下し得る。
【0081】
この点、第2態様のテストパターンTP2では、そのような誤検知を抑制して、高い精度で不吐出ノズルの検知を行うことができる。
【0082】
また、第2態様のテストパターンTP2では、複数のテストパターンtp2を媒体幅方向に並べて形成することにより、テストパターンTP2の搬送方向の寸法を小さくすることができる。具体的には、ヘッド12が24列のノズル列NZAを有する本実施形態では、テストパターンtp1は24列の罫線列LAを含み、テストパターンTP1は48列(即ちノズル列NZAの数の2倍)の罫線列LAを含む。一方で、テストパターンtp2、テストパターンTP2はいずれも36列(即ちノズル列NZAの数の1.5倍)の罫線列LAを含む。このように、テストパターンTP2の搬送方向の幅は、テストパターンTP1の搬送方向の幅よりも、罫線列LA12列分、小さい。したがって、テストパターンTP2を撮像して得られるテストパターンデータのデータ容量を小さくすることができ、テストパターンデータのコントローラ700への伝送を迅速に行うことが出来る。
【0083】
また、第2態様のテストパターンTP2は、搬送方向の寸法が小さいため、テストパターンTP2をフラットベッドスキャナで撮像する場合に、1回、若しくは少ない回数で必要な撮像を行うことが出来る。この点は、テストパターン形成工程S1において複数のテストパターンを形成し、不吐出ノズル検出工程S2において当該複数のテストパターンの撮像を行う場合に特に有利である。
【0084】
また、第1態様、第2態様のテストパターンtp1、tp2のように、1つのノズル列NZAに含まれるノズルNZが形成する罫線Lで1つの罫線列LAを構成する場合は、各ヘッド12により形成されるテストパターンの搬送方向の寸法が大きくなる。これは、複数のノズル列NZAに含まれるノズルNZが形成する罫線Lで1つの罫線列LAを構成する場合に比べて、テストパターン中の罫線列LAの数が多くなるためである。したがって、テストパターン全体(即ち、複数のヘッド12により形成される複数のテストパターンの集合)の搬送方向の寸法を小さくできることは、1つのノズル列NZAに含まれるノズルNZが形成する罫線Lで1つの罫線列LAを構成する態様において特に有利である。
【0085】
第2態様のテストパターンTP2では、第1シフトパターンtp211に隣接して第1追加シフトパターンtp212が位置し、第2シフトパターンtp221に隣接して第2追加シフトパターンtp222が位置している。したがって、第1シフトパターンtp211、第2シフトパターンtp221に含まれる罫線Lと、これらに隣接する罫線Lとの間の線間距離(詳細後述)を算出することができる。
【0086】
第2態様のテストパターンTP2では、第1追加シフトパターンtp212の一部、及び第2追加シフトパターンtp222の一部をメインパターンtp20の一部としても形成する。したがって、不吐出ノズル検知工程S2においては、コントローラ700は、これらの罫線Lを基準として、メインパターンtp20に形成された罫線Lと、第1シフトパターンtp211、第1追加シフトパターンtp212、第2シフトパターンtp221、及び第2追加シフトパターンtp222に形成された罫線Lとの対応関係を容易に把握することが出来る。
【0087】
[吐出不良ノズル検出工程S2]
吐出不良ノズル検出工程S2(
図5)では、テストパターン形成工程S1で形成したテストパターンを用いて、ヘッド12のノズルNZの内の吐出不良ノズルを検出する。
【0088】
テストパターンを用いた吐出不良ノズルの検出には、テストパターンに含まれる罫線Lの形状や位置を用いる。
【0089】
ノズルNZが不吐出ノズルとなった場合は、当該ノズルNZからは液体は吐出されず、テストパターンにおいては、不吐出ノズルとなったノズルNZにより形成されるはずの罫線Lは形成されない(
図11(a)。なお、
図11(a)において不吐出ノズルとなったノズルNZにより形成されるべき罫線Lを点線で示している)。前述の通り、不吐出ノズルは具体的には例えば、ヘッド内で凝固したインクがノズルNZの開口部を全体的に閉塞すること等により生じ得る。
【0090】
ノズルNZが歪みノズルとなった場合は、当該ノズルからは液体が不規則に吐出される。そのため、テストパターンにおいては、歪みノズルとなったノズルNZにより形成される罫線Lは搬送方向に対して、例えば、傾斜し(
図11(b))、及び/又は不規則に歪む(
図11(c))。前述の通り、歪みノズルは具体的には例えば、ノズルNZの開口部に微小なゴミ等が付着すること等により生じ得る。
【0091】
ノズルNZがよれノズルとなった場合、当該ノズルからは設計時に予定した向きとは異なる向きに液体が吐出される。そのため、テストパターンにおいては、よれノズルとなったノズルNZにより形成される罫線は、予定された位置に対して例えば媒体幅方向にずれた位置に形成される(
図11(d))。前述の通り、よれノズルは具体的には例えば、ヘッド内で凝固したインクがノズルNZの開口部を部分的に閉塞すること等により生じ得る。
【0092】
吐出不良ノズル検出工程S2は、
図12に示す通り、テストパターン撮像工程S21、線間距離算出工程S22、ケバ除去工程S23、不吐出ノズル判定工程S24、歪みノズル判定工程S25、ノズル情報積算工程S26、不吐出ノズル・歪みノズル検出工程S27、及びよれノズル検出工程S28を含む。
【0093】
[テストパターン撮像工程S21]
テストパターン撮像工程S21においては、コントローラ700が、ラインセンサ600に媒体PM上に形成されたテストパターンを撮像させ且つテストパターンデータを生成させる。その後、コントローラ700が、ラインセンサ600によって生成されたテストパターンデータを取得する。本明細書において「テストパターンデータ」とは、ラインセンサ600等の撮像機によりテストパターンを撮像することにより得られる画像データを意味する。
【0094】
ラインセンサ600は、ヘッドアセンブリ100の搬送方向下流において、ヘッドアセンブリ100が媒体PMに形成したテストパターンを撮像する。本実施形態では、ラインセンサ600は、媒体PMに搬送方向に並べて形成された20個のテストパターンを連続的に撮像する。そして、ラインセンサ600は、撮像した20個のテストパターンデータを生成する。コントローラ700は、生成された20個のテストパターンデータを、第1通信インタフェース701を介してラインセンサ600から取得する。
【0095】
[線間距離算出工程S22]
線間距離算出工程S22においては、コントローラ700が、20個のテストパターンデータの各々について、線間距離を算出する。
【0096】
本実施形態において線間距離とは、テストパターンtp1、tp2において媒体幅方向に隣接する2つの罫線Lの間の媒体幅方向の距離W(
図10)を意味する。コントローラ700は、20個のテストパターンデータの各々について、互いに隣接する任意の2つの罫線Lの間の線間距離をそれぞれ算出する。
【0097】
また、コントローラ700は、線間距離の算出に先だって、20個のテストパターンデータの各々を補正する。この補正の詳細は次の通りである。
【0098】
図4(a)に示すように、ラインセンサ600の撮像素子ISは、センサICアレイ61AのセンサIC61の下面に配列されている。そして、2つのセンサIC61が隣接する位置には、センサIC61上における撮像素子ISの配置に起因して、媒体幅方向に隣接する撮像素子IS同士の隙間が大きい素子欠落部LK
ISが存在している。
【0099】
ラインセンサ600は、その製造工程に起因して、素子欠落部LKISを有する。ラインセンサ600は上述のように、複数のセンサIC61を含む。1つのセンサIC61は、2個以上のセンサIC61が実装された1つのウェハからダイシングソー等でカットすることで得られる。ウェハをカットする際には、カットによってセンサIC61上の最も外側の撮像素子ISが傷つかないよう、当該素子ISとセンサIC61の基板の外縁との間にある程度の間隔を持たせてカットする。したがって、カットされた複数のセンサIC61をアレイ状に並べてラインセンサ600を製造する場合、隣り合う2つセンサIC61の境界を挟んで隣り合う2つの撮像素子ISの間隔は、同一のセンサIC61の上で隣り合う2つの撮像素子ISの間隔よりも大きくなってしまう。このようにして生じる、隣り合う2つの撮像素子ISの間隔が大きい部分が、素子欠落部LKISである。
【0100】
本実施形態では、各センサIC61の上に、複数の撮像素子ISが、媒体幅方向(素子配列方向)に沿って所定の間隔(上記の通り、最大600dpiの解像度で撮像を行うことができるようなピッチ)で配列されている。隣り合う2つのセンサICの境界を挟んで隣り合う2つの撮像素子ISの間隔は当該所定の間隔よりも大きい。
【0101】
図4(c)に、センサICアレイ61Aに含まれる複数の撮像素子ISと、当該複数の撮像素子ISによって生成される画素PXとの関係を示す。
図4(c)に示す通り、媒体幅方向に並ぶ複数の撮像素子ISの各々は、媒体幅方向に並ぶ複数の画素PXを生成する。しかしながら、素子欠落部LK
ISにおいては画素が生成されない。
【0102】
図4(c)の下方に、ラインセンサ600による撮像によって生成される画像データの様子を示す。このようにラインセンサ600により生成される画像データは、ラインセンサ600の素子欠落部LK
ISにおいて生成されるべきであった画素PXは含まず、センサICアレイ61Aによる撮像によって生成された画素PXのみを含む。
【0103】
したがって、ラインセンサ600により生成される画像データは、素子欠落部LKISにおいて生成されるべきであった画素PXが省略され、その分だけ媒体幅方向に圧縮された画像データである。換言すれば、ラインセンサ600により生成される画像データは、実際の画像(即ち媒体PMに形成された画像)の内の素子欠落部LKISを通過した部分に対応するデータ(画素)を含まず、その分だけ媒体幅方向に圧縮された状態である。即ち、画像データは、実際の画像を正確に反映したものとは言えない。
【0104】
以下、画像データ上の素子欠落部LKISに対応する位置(即ち、素子欠落部LKISに撮像素子ISが存在するとして、当該撮像素子ISにより生成される画素PXが挿入されるべき位置)を画素欠落部LKPXと呼ぶ。ラインセンサ600による撮像は媒体PMをラインセンサ600に対して搬送方向に移動させて行うため、画素欠落部LKPXも搬送方向に沿って直線状に延びる。
【0105】
ここで、センサICアレイ61Aにおける素子欠落部LK
ISの位置は既知である。したがって、センサICアレイ61Aにより撮像された画像の外枠Fに対する画素欠落部LK
PXの位置も既知である。本実施形態では、
図13に示すように、外枠Fの左端から所定の等間隔で画素欠落部LK
PXが存在している。
【0106】
したがって、コントローラ700は、ラインセンサ600による撮像により生成された画像データにおいて、画素欠落部LKPXに画素PXを1つ補完する補正を行う。これにより、ラインセンサ600により生成された画像データにおいて、罫線Lの位置や2つの罫線Lの間の線間距離が補正され、画像データは、実際の画像を正確に反映したものとなる。本明細書においては、上記の補正を適宜「インターポレーション補正」と呼ぶ。
【0107】
図14(a)に示すように、テストパターンデータにおいて、隣接する2つの罫線Lの間に画素欠落部LK
PXが存在する場合、テストパターンデータ上の線間距離は、実際のテストパターン上の線間距離よりも画素PX1つ分(約42μm)小さい。したがって、このようなテストパターンデータに基づいた算出により求められる線間距離の信頼性は高くない。
【0108】
これに対し、予めインターポレーション補正を行っておくことで、隣接する2つの罫線Lの間に画素欠落部LKPXが存在する場合であっても、テストパターンデータ上の線間距離は、実際のテストパターン上の線間距離を正確に反映したものとなる。したがって、インターポレーション補正を行ったテストパターンデータに基づいた線間距離の算出を行うことで、線間距離を高い信頼性を持って算出することができる。
【0109】
[ケバ除去工程S23]
ケバ除去工程S23においては、コントローラ700が、テストパターンデータにおけるケバの影響を特定し、これを除去する。コントローラ700は、20個のテストパターンデータの各々についてケバ除去工程S23を行う。
【0110】
ここで「ケバ」とは、罫線Lが存在しないはずの位置に形成された、線状、点状等の混在パターンを意味する。ケバは、具体的には例えば、プリンタ1000中のほこり等の微小な浮遊物等に起因して生じ得る。
【0111】
コントローラ700は、線間距離算出工程S22において算出した線間距離が過度に小さいか否かの判定、テストパターンデータ中の罫線Lの数が適切であるか否かの判定等に基づいてケバを特定する。ケバが特定された場合は、コントローラ700は、ケバの影響が除去されるよう、線間距離算出工程S22で算出した線間距離を補正する。
【0112】
[不吐出ノズル判定工程S24]
不吐出ノズル判定工程S24においては、コントローラ700が、各罫線Lに対応するノズルNZが不吐出ノズルであるか否かを判定する。コントローラ700は、20個のテストパターンデータの各々について不吐出ノズル判定工程S24を行う。
【0113】
コントローラ700は、具体的には例えば、
図15のフローチャートに沿って判定を行う。
図15のフローチャートは、コントローラ700が、ある罫線Lの右隣の罫線Lについて、当該右隣の罫線Lに対応するノズルNZが不吐出ノズルであるか否かを判定する工程を示す。
【0114】
コントローラ700は、工程S241において、ある罫線Lの右隣(媒体幅方向の右隣)の罫線Lが、ある罫線Lから所定距離の位置にあるか否かを判定する。所定距離とは、具体的には、1つのノズル列NZA内の隣り合うノズルNZからインクが正常に吐出された場合に、これらのノズルNZによって形成された罫線L間の距離である。したがって、ある罫線Lから所定距離の位置とは、ノズルNZからインクが正常に吐出された場合の右隣の罫線Lの位置である。右隣の罫線Lがある罫線Lから所定距離の位置にある場合(S241:YES)は、コントローラは、工程S242において、当該右隣の罫線Lに対応するノズルNZは不吐出ノズルではないと判定する。
【0115】
コントローラ700は、ある罫線Lの右隣の罫線Lが、ある罫線から所定距離の位置にないと判定した場合(S241:NO)は、工程S243において、当該右隣の罫線Lに、インターポレーションフラグが立っているか否かを確認する。
【0116】
インターポレーションフラグとは、テストパターンデータに含まれる複数の罫線Lの各々について、ラインセンサ600によるテストパターンデータの生成時に、素子欠落部LKIS及び画素欠落部LKPXに該罫線Lが位置していたか否かを示すフラグである。インターポレーションフラグは、例えば、線間距離算出工程S22においてインターポレーション補正を行う際に、補正前のテストパターンデータにおいて画素欠落部LKPXに位置する罫線Lに対して立てられる。
【0117】
工程S243において、右隣の罫線Lについてインターポレーションフラグが立っている場合(S243:YES)、コントローラは、工程S242において、当該右隣の罫線Lに対応するノズルNZは不吐出ノズルではないと判定する。これは、当該右隣の罫線Lは、ラインセンサ600による撮像時に素子欠落部LK
ISに位置し、
図14(b)に示すようにテストパターンデータにおいて画素欠落部LK
PXに位置したためにその後の画像処理の過程で消失したものであり、実際のテストパターンデータ上には適切に形成されていたと考えられるためである。なお、インターポレーションフラグが立っている場合とは、「ノズルにより形成される罫線L(パターン)が存在すべき補正されたテストパターンデータ上の位置が素子欠落部LK
ISに対応する位置である場合」の一例である。
【0118】
右隣の罫線Lについてインターポレーションフラグが立っていない場合(S243:NO)、コントローラ700は、工程S244において、当該右隣の罫線に対応するノズルNZが不吐出ノズルであると判定する。なお、インターポレーションフラグが立っていない場合とは、「ノズルにより形成される罫線L(パターン)が存在すべき補正されたテストパターンデータ上の位置が素子欠落部LKISに対応する位置ではない場合」の一例である。
【0119】
[歪みノズル判定工程S25]
歪みノズル判定工程S25(
図12)においては、コントローラ700が、テストパターンデータに基づいて、各罫線Lに対応するノズルNZが歪みノズル(
図11(b)、
図11(c))であるか否かを判定する。コントローラ700は、20個のテストパターンデータの各々について歪みノズル判定工程S25を行う。
【0120】
コントローラ700は、具体的には例えば、各罫線Lについて搬送方向に対する傾きや、媒体幅方向における位置のバラツキ等を測定し、傾きやバラツキが所定値以上である場合に、当該罫線Lに対応するノズルNZが歪みノズルであると判定する。
【0121】
[ノズル情報積算工程S26]
上記の通り、コントローラ700は、テストパターンデータ撮像工程S21において20個のテストパターンデータを取得する。その後、コントローラ700は、線間距離算出工程S22、ケバ除去工程S23、不吐出ノズル判定工程S24、及び歪みノズル判定工程S25の各々を、20個のテストパターンデータ分、即ち20回行い、これにより得られたデータを記憶部(不図示)に記憶する。コントローラ700は、当該データを用いて以下の工程を実行する。
【0122】
ノズル情報積算工程S26においては、コントローラ700が、20個のテストパターンデータのそれぞれについて実行された不吐出ノズル判定工程S24、歪みノズル判定工程S25の判定結果を用いて、各ノズルNZに関する情報を積算する。
【0123】
ここでは、1つのノズルNZ(適宜「対象ノズル」と呼ぶ)に関して実行される工程を、
図16のフローチャートに基づいて説明する。ノズル情報積算工程S26では、コントローラ700は、複数のノズルNZの各々について、下記の工程を実行する。
【0124】
コントローラ700は、工程S261において、データ番号Dを「1」に設定する。そして、コントローラ700は、工程S262において、D番目(ここでは1番目)のテストパターンデータに基づく不吐出ノズル判定S24の結果を参照する。対象ノズルが不吐出ノズルと判定されている場合(工程S262:YES)は、コントローラ700は、工程S263において不吐出積算値X(初期値は「0」)に「1」を加える。
【0125】
対象ノズルが不吐出ノズルと判定されていない場合(S262:NO)は、コントローラ700は、工程S264において、D番目(ここでは1番目)のテストパターンデータに基づく歪みノズル判定S25の結果を参照する。対象ノズルが歪みノズルと判定されている場合(工程S264:YES)は、コントローラ700は、工程S265において歪み積算値Y(初期値は「0」)に「1」を加える。
【0126】
工程S263若しくは工程S265の後、又は工程S264において対象ノズルが歪みノズルと判定されていない場合(S264:NO)は、コントローラ700は工程S266において、データ番号Dに「1」を加える。その後、コントローラ700は、工程S267において、データ番号Dが「20」よりも大きいか否かを判定する。
【0127】
データ番号Dが「20」以下である場合(S267:NO)は、コントローラ700は、工程S262に戻り、D番目(ここでは2番目)のテストパターンデータに基づく不吐出ノズル判定工程S24、歪みノズル判定工程S25の結果を参照して工程S262~工程S266を実行する。データ番号Dが「20」より大きい場合(S267:YES)は、コントローラ700は、当該対象ノズルに関する工程を終了し、次の対象ノズルに関して工程S261~工程S267を実行する。
【0128】
このように、ノズル情報積算工程S26においては、コントローラ700は、20個のテストパターンデータの各々に基づく不吐出ノズル判定工程S24、歪みノズル判定工程S25の結果を順次参照して、20個のテストパターンデータにそれぞれ基づく20回の判定のうち、対象ノズルが不吐出ノズルであると判定された回数(即ち、不吐出積算値X)及び対象ノズルが歪みノズルであると判定された回数(即ち、歪み積算値Y)をそれぞれ求める。
【0129】
[不吐出ノズル・歪みノズル検出工程]
不吐出ノズル・歪みノズル検出工程S27においては、コントローラ700が、ノズル情報積算工程S26の結果に基づいて、不吐出ノズル、歪みノズルを検出する。
【0130】
コントローラ700は、多数のノズルNZの各々について、
図17に示す以下の工程を実行し、不吐出ノズル及び/又は歪みノズルを検出する。
【0131】
ここでは、1つのノズルNZ(「対象ノズル」)に関して実行される工程を、
図17のフローチャートに基づいて説明する。不吐出ノズル・歪みノズル検出工程S27では、複数のノズルNZの各々について、下記の工程が実行される。
【0132】
コントローラ700は、まず工程S271において、対象ノズルについて、不吐出積算値Xと歪み積算値Yとの合計が閾値Th以上であるか否かを判定する。閾値Thは本実施形態では「6」であるがこれには限られない。閾値Thは、1以上であり、且つテストパターンデータの数以下である任意の値とし得る。閾値が小さいほど、あるノズルNZが不吐出ノズル又は歪みノズルであるとして検出される割合は高くなる。
【0133】
コントローラ700は、工程S271において不吐出積算値Xと歪み積算値Yとの合計が閾値Th以上であると判定した場合(S271:YES)は、不吐出積算値Xが歪み積算値Y以上であるか否かを判定する。そして、コントローラ700は、不吐出積算値Xが歪み積算値Y以上である場合は、対象ノズルを不吐出ノズルとして検知する(工程S273)。
【0134】
一方で、コントローラ700は、不吐出積算値Xが歪み積算値Y以上ではない場合は、対象ノズルを歪みノズルとして検知する(工程S274)。そして、工程S275において、コントローラ700は、対象ノズルの媒体幅方向の右隣に位置するノズルNZにより形成される罫線Lとの間の線間距離の平均値を算出する。この平均値は、20個のテストパターンデータに基づいてそれぞれ算出された当該線間距離の平均値である。
【0135】
コントローラ700は、工程S271において不吐出積算値Xと歪み積算値Yとの合計が閾値Th未満であると判定した場合(S271:NO)は、対象ノズルは不吐出ノズル又は歪みノズルではないと判定する(工程S276)。そして、工程S277において、コントローラ700は、対象ノズルにより形成される罫線Lと、対象ノズルの媒体幅方向の右隣に位置するノズルNZにより形成される罫線Lとの間の線間距離の平均値を算出する。この平均値は、20個のテストパターンデータから、対象ノズルが不吐出ノズル又は歪みノズルであるとの判定に関わったテストパターンデータを除いたデータにおいてそれぞれ算出された当該線間距離の平均値である。
【0136】
なお、コントローラ700は、平均値の算出に用いるテストパターンデータにおいてそれぞれ算出された線間距離の内の最大値と最小値を除き、残りの線間距離の平均値を算出してもよい。これにより、平均値の算出に用いるテストパターンデータにおいてそれぞれ算出された線間距離に何らかの理由により異常値が含まれていた場合も、正確に平均値を算出することができる。
【0137】
コントローラ700は、工程S273において対象ノズルが不吐出ノズルであると検出した後、又は工程S275若しくは工程S277において平均線間距離を算出した後に、当該対象ノズルに関する工程を終了し、次の対象ノズルに関して工程S271~工程S277を実行する。
【0138】
[よれノズル検出工程S28]
よれノズル検出工程S28においては、コントローラ700が、不吐出ノズル・歪みノズル検出工程S27で算出した平均線間距離に基づいて、よれノズルの検出を行う。
【0139】
コントローラ700は、多数のノズルNZの各々について、不吐出ノズル・歪みノズル検出工程S27で算出した平均線間距離に基づいて、当該ノズルにより形成される罫線Lの位置が媒体幅方向においてシフトしているか否かを判定する。具体的には例えば、当該ノズルにより形成される罫線Lと当該ノズルの左隣のノズルにより形成される罫線Lとの間の線間距離が、当該ノズルにより形成される罫線Lと当該ノズルの右隣のノズルにより形成される罫線Lとの間の線間距離よりも小さい場合は、当該ノズルをよれノズルであるとして検知する。
【0140】
[画像形成工程S3]
画像形成工程S3(
図5)では、コントローラ700が、ヘッドアセンブリ100にインクを吐出させ、且つ搬送ローラ401、402に媒体PMを搬送させることで、媒体PM上に画像を形成する。コントローラ700は、画像の形成時に、吐出不良ノズル検出工程S2の検出結果に基づいて、白抜け部の補正を行う。
【0141】
コントローラ700は、具体的には例えば、吐出不良ノズル(即ち、不吐出ノズル、歪みノズル、及びよれノズルのいずれか)として検出されたノズルNZに媒体幅方向に隣接する2つのノズルNZを補正ノズルとして特定し、補正ノズルからのインクの吐出量を増加させる(具体的には例えば、補正ノズルから吐出されるインク滴の径を大きくする)。一方で、コントローラ700は、吐出不良ノズルとして検出されたノズルNZからのインクの吐出を停止する。これにより、吐出不良ノズルから吐出されたインクにより形成されるべきであった画像が補正ノズルから吐出されたインクにより形成され、白抜け部が補正される。コントローラ700は、例えば、補正ノズルに対応する圧電アクチュエータに付加する電圧を高めることにより、補正ノズルからのインクの吐出量を増加させる。
【0142】
本実施形態の効果を以下にまとめる。
【0143】
本実施形態のプリンタ1000のコントローラ700は、ヘッドアセンブリ100に20個のテストパターンを形成させ、ラインセンサ600により生成された20個のテストパターンデータを取得する。その上で、コントローラ700は、20個のテストパターンデータに基づいて吐出不良ノズルの検出を行う。したがって、本実施形態のプリンタ1000によれば、ラインセンサ600の解像度がヘッドアセンブリ100の解像度よりも低い場合であっても、吐出不良ノズルを高い精度で検出することが出来る。この点は、具体的には次の理由による。
【0144】
即ち、複数個のテストパターンを媒体PM上に形成し、これをラインセンサ600で撮像して複数個のテストパターンデータを生成する場合、各テストパターンデータの内容は互いにわずかに異なる。これは、ヘッドアセンブリ100により形成されるテストパターンの状態、撮像時の媒体PMのラインセンサ600に対する位置等が、複数回のテストパターン形成ごとに、又は複数回の撮像ごとにわずかに異なるためである。なお、撮像時の媒体PMのラインセンサ600に対する位置が撮像ごとにわずかに異なる原因は、例えば、媒体PMの蛇行(媒体幅方向におけるずれ)、媒体PMのばたつき(媒体幅方向と搬送方向とに直交する方向でのずれ)である。したがって、単一のテストパターンデータに基づいて吐出不良ノズルの検出を行うのではなく、複数のテストパターンデータを用いて、これらから読み取れる傾向に基づいた吐出不良ノズルの検出を行うことで、ラインセンサ600の解像度がヘッドアセンブリ100の解像度よりも低い場合であっても、吐出不良ノズルを高い精度で検出することが出来る。
【0145】
本実施形態のプリンタ1000のコントローラ700は、ラインセンサ600により生成されたテストパターンデータを取得した後、当該テストパターンデータについてインターポレーション補正を行った上で、吐出不良ノズルの検出を行う。したがって、本実施形態のプリンタ1000によれば、素子欠落部LKISを有するラインセンサ600を用いているにも関わらず、吐出不良ノズルを高い精度で検出することができる。
【0146】
上記の通り、本実施形態のプリンタ1000のコントローラ700は、ヘッドアセンブリ100に20個のテストパターンを形成させ、ラインセンサ600により生成された20個のテストパターンデータを取得する。この点は、素子欠落部LKISを有するラインセンサ600の使用との組合せにおいて、次の点が有利である。
【0147】
即ち、媒体PMは、搬送ローラ401、402により搬送される際にわずかに蛇行するため、20個のテストパターンのラインセンサ600に対する媒体幅方向の位置は必ずしも同一ではない。そのため、20個のテストパターンを形成して20個のテストパターンデータを生成すると、素子欠落部LKISの影響(具体的には画素欠落部LKPXの位置)はテストパターンデータごとにわずかに異なる。よって、本実施形態のように、20個のテストパターンデータを用いて、所定の閾値以上の数のテストパターンデータにおいて吐出不良ノズルであると判定されているか否かに基づいて吐出不良ノズルの検知を行うことで、素子欠落部LKISの影響を抑制してより高い精度で不吐出ノズルを検知することが出来る。
【0148】
その他、本実施形態のプリンタ1000において、第2態様のテストパターンTP2を用いた場合は、上記の通り、テストパターンの搬送方向の寸法を、第1態様のテストパターンTP1よりも小さくしてテストパターンデータの迅速な転送等を可能としつつ、当該テストパターンを用いた不吐出ノズル検出を高い精度で行うことが出来る。
【0149】
<変形例>
上記の実施形態において、次の変形態様を用いることもできる。
【0150】
上記実施形態の第2態様のテストパターンtp2において、第1シフトパターンtp211、第2シフトパターンtp221として形成する罫線Lは、適宜変更し得る。具体的には例えば、次の通りである。
【0151】
上記実施形態においては、ヘッド12の媒体幅方向(ヘッド配列方向)の左端に位置するノズルNZの内、左隣のヘッド12から最も遠いノズルから数えて12個のノズルNZにより形成される罫線Lを第1シフトパターンtp211として形成している。また、ヘッド12の媒体幅方向(ヘッド配列方向)の右端に位置するノズルNZの内、右隣のヘッド12から最も遠いノズルから数えて12個のノズルNZにより形成される罫線Lを第2サブパターンtp221として形成している。
【0152】
しかしながら、これには限られない。具体的には例えば、ヘッド12の媒体幅方向(ヘッド配列方向)の左端に位置するノズルNZの内、左隣のヘッド12から最も遠いノズルから数えて偶数個目のノズルNZにより形成される罫線Lを第1シフトパターンtp211として形成し、ヘッド12の媒体幅方向(ヘッド配列方向)の右端に位置するノズルNZの内、右隣のヘッド12から最も遠いノズルから数えて奇数個目のノズルNZにより形成される罫線Lを第2シフトパターンtp221として形成してもよい。
【0153】
或いは、ヘッド12にN(Nは2以上の自然数)列のノズル列NZAが形成されているとして、ヘッド12の媒体幅方向(ヘッド配列方向)の左端に位置するノズルNZの内、左隣のヘッド12から最も遠いノズルから数えてn(nは1以上N未満の自然数)個のノズルNZにより形成される罫線Lを第1シフトパターンtp211として形成し、ヘッド12の媒体幅方向(ヘッド配列方向)の右端に位置するノズルNZの内、右隣のヘッド12から最も遠いノズルから数えてN-n個のノズルNZにより形成される罫線Lを第2シフトパターンtp221として形成してもよい。また、n=N/2であってもよい。
【0154】
その他、ヘッド12の媒体幅方向(ヘッド配列方向)の左端に位置するノズルNZの内の少なくとも1つにより形成される罫線Lを第1シフトパターンtp211として形成し、ヘッド12の媒体幅方向(ヘッド配列方向)の右端に位置するノズルNZの内の少なくとも1つにより形成される罫線Lを第2シフトパターンtp221として形成するのみでもよい。このような態様によっても、少なくとも罫線Lがシフトされた部分に関して、不吐出ノズルの検出を高い精度で行うことができる。このとき、媒体幅方向に隣接する2つのテストパターンtp2の間の距離が、搬送方向に並ぶ複数の罫線列LAのいずれの位置においても、第1シフトパターンtp211及び第2シフトパターンtp221を形成しない場合よりも大きくなるように、第1シフトパターンtp211又は第2シフトパターンtp221として形成する罫線Lが選択され得る。
【0155】
上記実施形態の第2態様のテストパターンtp2においては、第1追加シフトパターンtp212、第2追加シフトパターンtp222として、媒体幅方向に並ぶ6本の罫線Lを形成している。しかしながら、この数は任意に変更し得る。また、第1追加シフトパターンtp221及び/又は第2追加シフトパターンtp222を形成しなくてもよい。
【0156】
上記実施形態の第2態様のテストパターンtp2においては、媒体幅方向に並ぶ2本の罫線Lを、第1追加シフトパターンtp212又は第2追加シフトパターンtp222として形成し、且つメインパターンtp20としても形成している。しかしながら、この数は任意に変更し得る。また、第1追加シフトパターンtp212又は第2追加シフトパターンtp222として形成し、且つメインパターンtp20としても形成する罫線Lを省略してもよい。
【0157】
上記実施形態の第2態様のテストパターンtp2においては、第1シフトパターンtp211、第1追加シフトパターンtp212、第2シフトパターンtp221、及び第2追加シフトパターンtp222は、メインパターンtp20の搬送方向下流に位置している。しかしながら、これらはメインパターンtp20の搬送方向上流に位置していてもよい。
【0158】
上記実施形態のテストパターンtp2のメインパターンtp20においては、複数の罫線LAは、搬送方向の下流に進むに従って媒体幅方向の右にずれるマトリックス状に配置されている。しかしながら、これには限られない。メインパターンtp20の複数の罫線LAは、各罫線列LAが、他の罫線列LAに対して媒体幅方向(ヘッド配列方向)にシフトして配置された任意のマトリックス状の配置とし得る。当該マトリックス状の配置は、すべての罫線列LAの媒体幅方向の位置が互いに異なる態様と、媒体幅方向の位置が互いに同一である複数の罫線列LAを一部含む態様の両方を含む。第1シフトパターンtp211、第1追加シフトパターンtp212、第2シフトパターンtp221、及び第2追加シフトパターンtp222についても同様である。
【0159】
上記実施形態においては、テストパターンは線状の罫線Lに代えて、点状等、その他の形状のパターンを含んでもよい。即ち、テストパターンの形成時に複数のノズルNZの各々により形成されるパターンは、線状パターンに限られず、点状パターン等であってもよい。
【0160】
上記実施形態のプリンタ1000において、ラインセンサ600を省略してもよい。この場合は、例えば、プリンタ1000の外部のフラットベッドスキャナによりテストパターンを読み取り、テストパターンデータを生成し得る。コントローラ700は、フラットベッドスキャナ等の外部の撮像機で生成されたテストパターンデータを第1通信インタフェース701を介して取得し得る。
【0161】
上記実施形態、及び変形例において、ラインセンサ600、フラットベッドスキャナ等の撮像機は、ヘッドアセンブリ100の画像形成の解像度以上の解像度で撮像が可能であってもよい。
【0162】
上記実施形態の画像形成方法の吐出不良ノズル検知工程S2において、インターポレーション補正を省略し得る。特に、撮像機が素子欠落部LKISを有さない場合は、インターポレーション補正を行わなくてもよい。
【0163】
上記実施形態の画像形成方法においては、テストパターン形成工程S1において20個のテストパターンを媒体PM上に形成し、テストパターン撮像工程S21において20個のテストパターンデータを生成している。しかしながら、媒体上に形成するテストパターンの数、及びテストパターンの撮像により生成するテストパターンデータの数は任意である。なお、テストパターン形成工程S1において10個以上のテストパターンを媒体PM上に形成し、テストパターン撮像工程S21において10個以上のテストパターンデータを生成することで、より高い精度で吐出不良ノズルの検知を行うことができる。また、複数個のテストパターンは必ずしも単一の媒体上に形成されてなくてもよい。
【0164】
上記実施形態の画像形成方法において、テストパターン形成工程S1で1個のテストパターンを媒体PM上に形成し、テストパターン撮像工程S21でこれを複数回繰り返して撮像して、複数個のテストパターンデータを生成してもよい。
【0165】
上記実施形態の画像形成方法の不吐出ノズル・歪みノズル検出工程S27において、コントローラ700は、不吐出積算値Xと所定の閾値との比較に基づいて対象ノズルを不吐出ノズルとして検知してもよい。また、コントローラ700は、歪み積算値Xと所定の閾値との比較に基づいて対象ノズルを歪みノズルとして検知してもよい。
【0166】
上記実施形態の画像形成方法の線間距離算出工程S22においては、コントローラ700は、まずインターポレーション補正を行った後に、線間距離の算出を行っている。しかしながら、コントローラ700は、線間距離の算出と平行してインターポレーション補正を行ってもよい。
【0167】
具体的には例えば、コントローラ700は、テストパターンデータ上の罫線Lの位置座標を、テストパターンデータ上の左の罫線Lから順に求めながら、隣接する2つの罫線Lの間の線間距離を順次算出する。そして、コントローラ700は、ある罫線Lと次の罫線Lとの間に画素欠落部LKPXの位置がある場合には、画素欠落部LKPXの右に存在する全ての罫線Lの位置座標を補正する(右方向にシフトさせる)。このような工程を繰り返すことで、コントローラ700は、罫線Lの位置座標を修正しつつ、補正された線間距離を算出する。
【0168】
或いは、コントローラ700は、ある2つの罫線Lの間の線間距離を算出する際に、当該2つの罫線Lの間に画素欠落部LKPXが存在するか否かを判定する。そして、コントローラ700は、画素欠落部LKPXが存在すると判定した場合は、テストパターンデータに基づいて算出した線間距離に所定値(一例として画素1つ分に相当する値。600dpiの解像度で撮像されたデータであれば約42μm)を加算する。
【0169】
このように、インターポレーション補正においては、必ずしも画像データの画素欠落部LKPXに画素を補完する必要はない。線間距離の算出において画素欠落部LKPXの位置に鑑みた算出値の補正を行うことや、画素欠落部LKPXの位置に鑑みて罫線Lの位置座標(位置情報)を補正することも、インターポレーション補正の一例である。
【0170】
上記実施形態の吐出不良ノズル検出工程S2においては、コントローラ700は、複数のテストパターンデータの各々の線間距離の平均値を用いてよれノズルを検出している。しかしながら、これには限られない。コントローラ700は、対象ノズルについて、複数のテストパターンデータの各々の線間距離を用いて各テストパターンデータに基づくよれノズル判定を行い、複数のテストパターンデータの内の所定の閾値以上のデータにおいてよれノズルと判定された場合に対象ノズルをよれノズルとして検知してもよい。
【0171】
上記実施形態の吐出不良ノズル検出工程S2において、コントローラ700は、不吐出ノズル、歪みノズル、及びよれノズルの全てを吐出不良ノズルとして検出する。しかしながら、これには限られない。上記実施形態の吐出不良ノズル検出工程S2において、コントローラ700は、不吐出ノズル、歪みノズル、及びよれノズルの少なくとも1つを吐出不良ノズルとして検出してもよい。
【0172】
上記実施形態のプリンタ1000のコントローラ700を、プリンタ1000から独立したコントローラとして構成してもよい。また、コントローラ700を、プリンタ100の内部に配置されたコントローラとプリンタ1000の外部に配置されたコントローラとの組み合わせにより構成してもよい。
【0173】
コントローラ700に、上記実施形態の画像形成工程の少なくとも一部を実行させるプログラムを、非一時的且つコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記憶させてもよい。
【0174】
以上、ヘッドアセンブリ100からインクを吐出して媒体PMに画像形成する場合を例として実施形態及び変形例を説明した。ヘッドアセンブリ100は、画像成形のために任意の液体を吐出する液体吐出システムであってよく、画像を形成される媒体PMは、例えば用紙、布、樹脂等であってもよい。また、プリンタ1000はシリアルヘッド型のプリンタであっても良い。
【0175】
本明細書に記載の実施形態は、全ての点で例示であって、限定的なものではないと考えられるべきである。例えば、プリンタ1000におけるヘッドアセンブリ100の数、構成等、ヘッド12の数、構成等は変更し得る。プリンタ1000が同時に印刷可能な色の数も限定はされず、単色印刷のみが可能な構成であってもよい。また、ヘッド12が有する個別流路の数、配置等も適宜変更し得る。また、各実施形態及び変形例にて記載されている技術的特徴は互いに組み合わせることができる。
【0176】
本発明の特徴を維持する限り、本発明は上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の形態についても、本発明の範囲内に含まれる。
【0177】
(付記)
上記実施形態及びその変形例は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
【0178】
(項目1)
ヘッド配列方向に沿って千鳥状に配置された第1ヘッド及び第2ヘッドと、
前記ヘッド配列方向に交差する搬送方向に媒体を搬送する搬送機と、
前記第1ヘッド、前記第2ヘッド、及び前記搬送機を制御するコントローラとを備える画像形成システムであって、
前記第1ヘッドは複数の第1ノズルを有し、該複数の第1ノズルは各々が前記ヘッド配列方向に延びるN個(Nは2以上の自然数)の第1ノズル列であって前記搬送方向に並ぶN個の第1ノズル列を構成し、
前記第2ヘッドは複数の第2ノズルを有し、該複数の第2ノズルは各々が前記ヘッド配列方向に延びるN個の第2ノズル列であって前記搬送方向に並ぶN個の第2ノズル列を構成し、
前記コントローラは、
前記第1ヘッドの前記複数の第1ノズルに液体を吐出させ且つ前記搬送機に前記媒体を搬送させることで、複数の第1パターンを前記媒体に形成する第1パターン形成工程と、
前記第2ヘッドの前記複数の第2ノズルに前記液体を吐出させ且つ前記搬送機に前記媒体を搬送させることで、複数の第2パターンを前記媒体に形成する第2パターン形成工程と、を実行し、
前記第1パターン形成工程において、前記複数の第1パターンの内の、前記N個の第1ノズル列の少なくとも1つの前記第2ヘッドに近い端部に位置するノズルにより形成される第1シフトパターンを、前記複数の第1パターンの内の前記第1シフトパターンを除いた残りの部分である第1パターン群の前記搬送方向の一方に形成し、
前記第2パターン形成工程において、前記複数の第2パターンの内の、前記N個の第2ノズル列の少なくとも1つの前記第1ヘッドに近い端部に位置するノズルにより形成される第2シフトパターンを、前記複数の第2パターンの内の前記第2シフトパターンを除いた残りの部分である第2パターン群の前記搬送方向の前記一方に形成し、
前記第1パターン群においては前記複数の第1パターンが、前記ヘッド配列方向に延びる各列が他の列に対して前記ヘッド配列方向にシフトして配置されたマトリックス状に配置され、
前記第2パターン群においては前記複数の第2パターンが、前記ヘッド配列方向に延びる各列が他の列に対して前記ヘッド配列方向にシフトして配置されたマトリックス状に配置され、
前記第1パターン群と前記第2パターン群とが前記ヘッド配列方向に隣り合って形成され、
前記第1シフトパターンと前記第2シフトパターンとが前記ヘッド配列方向に隣り合って形成される画像形成システム。
【0179】
(項目2)
前記第1シフトパターンは前記N個の第1ノズル列の各々の前記第2ヘッドに近い端部に位置するノズルの内、前記ヘッド配列方向において前記第2ヘッドから最も遠いノズルから数えてn個(nは1以上N未満の自然数)のノズルにより形成される前記第1パターンを含み、
前記第2シフトパターンは前記N個の第2ノズル列の各々の前記第1ヘッドに近い端部に位置するノズルの内、前記ヘッド配列方向において前記第1ヘッドから最も遠いノズルから数えてN-n個のノズルにより形成される前記第2パターンを含む、
項目1に記載の画像形成システム。
【0180】
(項目3)
n=N/2である項目2に記載の画像形成システム。
【0181】
(項目4)
前記複数の第1パターン及び前記複数の第2パターンの各々は、前記搬送方向に沿って延びる直線である項目1~項目3のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【0182】
(項目5)
前記コントローラは、
第1パターン形成工程において、前記第1ヘッドに前記液体を吐出させ且つ前記搬送機に前記媒体を搬送させることで、前記複数の第1パターンの内、前記第1シフトパターンを形成するノズルに前記N個の第1ノズル列の内部において隣接する少なくとも1つのノズルにより形成される第1追加シフトパターンを、前記第1シフトパターンと前記ヘッド配列方向に隣接して形成し、
第2パターン形成工程において、前記第2ヘッドに前記液体を吐出させ且つ前記搬送機に前記媒体を搬送させることで、前記複数の第2パターンの内、前記第2シフトパターンを形成するノズルに前記N個の第2ノズル列の内部において隣接する少なくとも1つのノズルにより形成される第2追加シフトパターンを、前記第2シフトパターンと前記ヘッド配列方向に隣接して形成する、
項目1~項目4のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【0183】
(項目6)
前記コントローラは、
前記第1パターン形成工程において、前記第1追加シフトパターンの少なくとも一部を、前記第1パターン群と前記ヘッド配列方向に隣接する位置にも形成し、
前記第2パターン形成工程において、前記第2追加シフトパターンの少なくとも一部を、前記第2パターン群と前記ヘッド配列方向に隣接する位置にも形成する、
項目5に記載の画像形成システム。
【0184】
(項目7)
前記ヘッド配列方向に沿って前記第1ヘッド及び前記第2ヘッドと千鳥状に配置された第3ヘッドを更に備え、
前記第3ヘッドは複数の第3ノズルを有し、該複数の第3ノズルは各々が前記ヘッド配列方向に延びるN個の第3ノズル列であって、前記搬送方向に並ぶN個の第3ノズル列を構成し、
前記コントローラは、
前記第3ヘッドの前記複数の第3ノズルに前記液体を吐出させ且つ前記搬送機に前記媒体を搬送させることで、複数の第3パターンを前記媒体に形成する第3パターン形成工程を実行し、
前記第2パターン形成工程において、前記複数の第2パターンの内の前記N個の第2ノズル列の少なくとも1つの前記第3ヘッドに近い端部に位置するノズルにより形成される第3シフトパターンを、前記第2パターン群の前記搬送方向の前記一方にシフトして形成させ、
前記第1シフトパターン、前記第2シフトパターン、及び前記第3シフトパターンが前記ヘッド配列方向に隣り合って形成される、
項目1~項目6のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【0185】
(項目8)
前記コントローラは、前記第3パターン形成工程において、前記複数の第3パターンの内の前記N個の第3ノズル列の少なくとも1つの前記第2ヘッドに近い端部に位置するノズルにより形成される第4シフトパターンを、前記複数の第3パターンの内の前記第4シフトパターンを除いた残りの部分である第3パターン群の前記搬送方向の前記一方に形成させ、
前記第3パターン群においては前記複数の第3パターンが、前記ヘッド配列方向に延びる各列が他の列に対して前記ヘッド配列方向にシフトして配置されたマトリックス状に配置され、
前記第2パターン群と前記第3パターン群とが前記ヘッド配列方向に隣り合って形成され、
前記第1シフトパターン、前記第2シフトパターン、前記第3シフトパターン、及び前記第4シフトパターンが前記ヘッド配列方向に隣り合って形成される、項目7に記載の画像形成システム。
【0186】
(項目9)
前記コントローラは、前記第1ヘッド又は前記第2ヘッドに関する情報を保持する情報コードを、前記第1シフトパターン及び前記第2シフトパターンと前記ヘッド配列方向に隣り合う位置に形成する項目1~項目8のいずれか一項に記載の画像形成システム。
【0187】
(項目10)
項目1~項目9のいずれか一項に記載の画像形成システムにより形成された不良ノズル検出用のテストパターンであって、
前記第1パターン群と、
前記第1パターン群と前記ヘッド配列方向に隣り合う前記第2パターン群と、
前記第1パターン群及び前記第2パターン群の前記搬送方向の前記一方に配置された前記第1シフトパターンと、
前記第1パターン群及び前記第2パターン群の前記搬送方向の前記一方に配置され且つ前記第1シフトパターンと前記ヘッド配列方向に隣り合う前記第2シフトパターンとを有するテストパターン。
【0188】
(項目11)
ヘッド配列方向に沿って千鳥状に配置された第1ヘッド及び第2ヘッドと、前記ヘッド配列方向に交差する搬送方向に媒体を搬送する搬送機と、前記第1ヘッド、前記第2ヘッド及び前記搬送機を制御するコントローラとを備える画像形成システムの、前記コントローラが実行するテストパターン形成方法であって、
前記第1ヘッドは複数の第1ノズルを有し、該複数の第1ノズルは各々が前記ヘッド配列方向に延びるN個(Nは2以上の自然数)の第1ノズル列であって、前記搬送方向に並ぶN個の第1ノズル列を構成し、
前記第2ヘッドは複数の第2ノズルを有し、該複数の第2ノズルは各々が前記ヘッド配列方向に延びるN個の第2ノズル列であって、前記搬送方向に並ぶN個の第2ノズル列を構成し、
前記テストパターン形成方法は、
前記第1ヘッドの前記複数の第1ノズルに液体を吐出させ且つ前記前記搬送機に前記媒体を搬送させることで、複数の第1パターンを前記媒体に形成する第1パターン形成工程と、
前記第2ヘッドの前記複数の第2ノズルに前記液体を吐出させ且つ前記搬送機に前記媒体を搬送させることで、複数の第2パターンを前記媒体に形成する第2パターン形成工程と、
を含み、
前記第1パターン形成工程において、前記複数の第1パターンの内の、前記N個の第1ノズル列の少なくとも1つの前記第2ヘッドに近い端部に位置するノズルにより形成される第1シフトパターンを、前記複数の第1パターンの内の前記第1シフトパターンを除いた残りの部分である第1パターン群の前記搬送方向の一方に形成し、
前記第2パターン形成工程において、前記複数の第2パターンの内の、前記N個の第2ノズル列の少なくとも1つの前記第1ヘッドに近い端部に位置するノズルにより形成される第2シフトパターンを、前記複数の第2パターンの内の前記第2シフトパターンを除いた残りの部分である第2パターン群の前記搬送方向の前記一方に形成し、
前記第1パターン群においては前記複数の第1パターンが、前記ヘッド配列方向に延びる各列が他の列に対して前記ヘッド配列方向にシフトして配置されたマトリックス状に配置され、
前記第2パターン群においては前記複数の第2パターンが、前記ヘッド配列方向に延びる各列が他の列に対して前記ヘッド配列方向にシフトして配置されたマトリックス状に配置され、
前記第1パターン群と前記第2パターン群とが前記ヘッド配列方向に隣り合って形成され、
前記第1シフトパターンと前記第2シフトパターンとが前記ヘッド配列方向に隣り合って形成されるテストパターン形成方法。
【符号の説明】
【0189】
12 ヘッド
100 ヘッドアセンブリ
401、402 搬送ローラ
600 ラインセンサ
700 コントローラ
1000 プリンタ
IS 撮像素子
L 罫線
LA 罫線列
LKIS 素子欠落部
LKPX 画素欠落部
NZ ノズル
NZA ノズル列
PM 媒体
PX 画素
TP1、TP2 テストパターン