(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001856
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】印刷禁止領域の自動特定及びテンプレート生成
(51)【国際特許分類】
B41J 21/00 20060101AFI20231227BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20231227BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
B41J21/00 Z
B41J29/46 Z
B41J29/38 206
【審査請求】未請求
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023085824
(22)【出願日】2023-05-24
(31)【優先権主張番号】17/846,835
(32)【優先日】2022-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】596170170
【氏名又は名称】ゼロックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】オックス、マシュー ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】バリーズ、エリザベス エル.
(72)【発明者】
【氏名】ルービン、ダーラ エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】デュフォー、ロン エドワード
(72)【発明者】
【氏名】クロッセン、エリザベス
【テーマコード(参考)】
2C061
2C187
【Fターム(参考)】
2C061AP01
2C061AQ05
2C061AQ06
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061AS04
2C061HJ06
2C061HK11
2C061HN08
2C061HN15
2C061HV11
2C061HV32
2C187AC06
2C187AC08
2C187AD14
2C187AF01
2C187AG03
2C187BH17
2C187BH23
2C187BH27
2C187CC08
2C187CD04
2C187DB07
2C187DB14
2C187DC01
2C187HA08
2C187HA27
(57)【要約】 (修正有)
【課題】インクジェットプリンタなどのデジタルプリンタに関し、印刷禁止領域にインクが付着されるのを防止し得るシステムを提供する。
【解決手段】媒体搬送部と、媒体搬送部の経路に配置された電子撮像装置とを含むデジタルプリンタを動作させるための技術が提示される。本技術は、電子撮像装置によって取得された媒体シートの電子画像を受信することと、媒体シートの電子画像から、媒体シートの印刷禁止領域を特定することと、媒体シートの印刷禁止領域を表すマスクを生成することと、媒体シートの種類の特定に関連して、媒体シートの種類に関する情報を含むテンプレートを電子永続メモリに電子的に記憶することであって、テンプレートは、マスクによって表される印刷禁止領域の特定を含む、記憶することと、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
デジタルプリンタを動作させるためのシステムであって、
媒体搬送部と、
前記媒体搬送部の経路に配置された電子撮像装置と、
前記電子撮像装置の電子出力に通信可能に結合された電子プロセッサと、
前記電子プロセッサに通信可能に結合された電子永続メモリと、を備え、前記電子永続メモリが、前記電子プロセッサによって実行されると、前記電子プロセッサに、
前記電子撮像装置によって取得された媒体シートの電子画像を受信することと、
前記媒体シートの前記電子画像から、前記媒体シートの印刷禁止領域を特定することと、
前記媒体シートの前記印刷禁止領域を表すマスクを生成することと、
前記媒体シートの種類の特定に関連して、前記媒体シートの種類に関する情報を含むテンプレートを電子永続メモリに電子的に記憶することであって、前記テンプレートが、前記マスクによって表される前記印刷禁止領域の特定を含む、記憶することと、
を含む動作を実施させる命令を含む、システム。
【請求項2】
前記動作が、
前記テンプレートを前記プリンタに提供することと、
前記プリンタによって、印刷ジョブを実行することであって、前記テンプレートによって特定される前記種類の媒体シート上に画像コンテンツを印刷することを含む、印刷ジョブを実行することと、
前記マスクによって表される印刷禁止領域に前記プリンタが印刷することを防止することと、
を更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記デジタルプリンタを更に備え、前記デジタルプリンタの媒体経路が、前記媒体搬送部を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記受信することと、前記特定することと、前記生成することと、前記電子的に記憶することとが、前記デジタルプリンタの印刷ジョブの前に行われ、
前記テンプレートが、媒体シート向き情報を更に含み、
前記動作が、前記デジタルプリンタの前記印刷ジョブ中に、前記印刷ジョブ中に前記電子撮像装置によって取得された媒体シートの電子画像を前記媒体シート向き情報と比較することを更に含む、
請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記動作が、前記比較に基づいて媒体シートの向きの誤りを示す警告を提供することを更に含む、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記デジタルプリンタが、インクジェットプリンタを含む、請求項3に記載のシステム。
【請求項7】
前記媒体搬送部が、両面媒体搬送部を含み、前記テンプレートが、前記媒体シートの両面の印刷禁止領域の特定を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記マスクを生成することが、接着剤領域、媒体シート穴、媒体シート空隙、光沢領域、又は事前印刷領域のうちの少なくとも1つを特定することを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
ユーザインターフェースを更に備え、前記動作が、前記ユーザインターフェースで受信されたユーザ入力に基づいて、追加の印刷禁止領域で前記マスクに注釈を付けることを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
前記追加の印刷禁止領域が、将来の光沢コーティング、将来のダイカット、将来の折り目、又は将来のラベル貼付の対象となる領域を含む、請求項9に記載のシステム。
【請求項11】
前記印刷禁止領域を表す前記マスクが、前記媒体シートのプロセス方向幅未満からなる領域内の前記印刷禁止領域を表す、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記動作が、印刷ジョブの前に、前記テンプレートをグラフィックデザインプロセスに提供することを更に含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
前記テンプレートが、特定のプリンタに関する印刷情報を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
媒体搬送部と、前記媒体搬送部の経路に配置された電子撮像装置とを備えるデジタルプリンタを動作させる方法であって、
前記電子撮像装置によって取得された媒体シートの電子画像を受信することと、
前記媒体シートの前記電子画像から、前記媒体シートの印刷禁止領域を特定することと、
前記媒体シートの前記印刷禁止領域を表すマスクを生成することと、
前記媒体シートの種類の特定に関連して、前記媒体シートの種類に関する情報を含むテンプレートを電子永続メモリに電子的に記憶することであって、前記テンプレートが、前記マスクによって表される前記印刷禁止領域の特定を含む、記憶することと、
を含む、方法。
【請求項15】
前記テンプレートを前記プリンタに提供することと、
前記プリンタによって、印刷ジョブを実行することであって、前記テンプレートによって特定される前記種類の媒体シート上に画像コンテンツを印刷することを含む、印刷ジョブを実行することと、
前記マスクによって表される印刷禁止領域に前記プリンタが印刷することを防止することと、
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記デジタルプリンタの媒体経路が、前記媒体搬送部を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記受信することと、前記特定することと、前記生成することと、前記電子的に記憶することとが、前記デジタルプリンタの印刷ジョブの前に行われ、
前記テンプレートが、媒体シート向き情報を更に含み、
前記方法が、前記デジタルプリンタの前記印刷ジョブ中に、前記印刷ジョブ中に前記電子撮像装置によって取得された媒体シートの電子画像を前記媒体シート向き情報と比較することを更に含む、
請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記比較に基づいて媒体シートの向きの誤りを示す警告を提供することを更に含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記デジタルプリンタが、インクジェットプリンタを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記媒体搬送部が、両面媒体搬送部を含み、前記テンプレートが、前記媒体シートの両面の印刷禁止領域の特定を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項21】
前記マスクを生成することが、接着剤領域、媒体シート穴、媒体シート空隙、光沢領域、又は事前印刷領域のうちの少なくとも1つを特定することを含む、請求項14に記載の方法。
【請求項22】
ユーザインターフェースで受信されたユーザ入力に基づいて、追加の印刷禁止領域で前記マスクに注釈を付けることを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項23】
前記追加の印刷禁止領域が、将来の光沢コーティング、将来のダイカット、将来の折り目、又は将来のラベル貼付の対象となる領域を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記印刷禁止領域を表す前記マスクが、前記媒体シートのプロセス方向幅未満からなる領域内の前記印刷禁止領域を表す、請求項14に記載の方法。
【請求項25】
印刷ジョブの前に、前記テンプレートをグラフィックデザインプロセスに提供することを更に含む、請求項14に記載の方法。
【請求項26】
前記テンプレートが、特定のプリンタに関する印刷情報を含む、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、インクジェットプリンタなどのデジタルプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタは、印刷ヘッドから液体インクを噴射して、媒体シート上に画像を形成する。インクジェットプリンタは、カラーで印刷することができ、マスメディア配信に適した規模で動作することができる。例えば、大規模インクジェットプリンタは、1分間に数百枚の画像を印刷することができ、1時間に数万枚の画像を印刷することができる。大規模インクジェットプリンタの例示的な用途は、消費者カタログ及び大量郵送を含む。
【0003】
慎重な製造品質管理を行っても、個々のインクジェットプリンタなどの個々のデジタルプリンタは、例えば、同じ種類の媒体シート上に印刷する画像の正確な位置が互いに異なる可能性がある。そのような差は、同じ種類の媒体シート内で任意の方向に1ミリメートルも異なる印刷画像位置を含むことができる。
【0004】
一般に、インクジェットプリンタ及び他の種類のプリンタは、様々な種類の媒体シート上に印刷することができる。しかしながら、いくつかの種類の媒体上への印刷、及び媒体の穴を通した印刷は、問題につながる可能性がある。例えば、封筒窓に使用されるいくつかの種類のプラスチックへの印刷は、望ましくないアーチファクトをもたらす可能性がある。別の例として、媒体シートの穴を通して印刷すると、インク又はトナーが媒体搬送面に付着する可能性があり、これが機器を汚し、インク又はトナーを他の媒体シートに転写する可能性がある。
【発明の概要】
【0005】
様々な実施形態によれば、デジタルプリンタを動作させるためのシステムが提示される。本システムは、媒体搬送部と、媒体搬送部の経路に配置された電子撮像装置と、電子撮像装置の電子出力に通信可能に結合された電子プロセッサと、電子プロセッサに通信可能に結合された電子永続メモリと、を含み、電子永続メモリが、電子プロセッサによって実行されると、電子プロセッサに、電子撮像装置によって取得された媒体シートの電子画像を受信することと、媒体シートの電子画像から、媒体シートの印刷禁止領域を特定することと、媒体シートの印刷禁止領域を表すマスクを生成することと、媒体シートの種類の特定に関連して、媒体シートの種類に関する情報を含むテンプレートを電子永続メモリに電子的に記憶することであって、テンプレートが、マスクによって表される印刷禁止領域の特定を含む、記憶することと、を含む動作を実施させる命令を含む。
【0006】
上記実施形態の様々な任意選択の特徴は、以下を含む。動作は、テンプレートをプリンタに提供することと、プリンタによって、印刷ジョブを実行することであって、テンプレートによって特定される種類の媒体シート上に画像コンテンツを印刷することを含む、印刷ジョブを実行することと、マスクによって表される印刷禁止領域にプリンタが印刷することを防止することと、を更に含んでもよい。システムは、デジタルプリンタを更に含んでもよく、デジタルプリンタの媒体経路は、媒体搬送部を含む。受信することと、特定することと、生成することと、電子的に記憶することは、デジタルプリンタの印刷ジョブの前に行われてもよく、テンプレートは、媒体シート向き情報を更に含んでもよく、動作は、デジタルプリンタの印刷ジョブ中に、印刷ジョブ中に電子撮像装置によって取得された媒体シートの電子画像を媒体シート向き情報と比較することを更に含んでもよい。動作は、比較に基づいて媒体シートの向きの誤りを示す警告を提供することを更に含んでもよい。デジタルプリンタは、インクジェットプリンタを含んでもよい。媒体搬送部は、両面媒体搬送部を含んでもよく、テンプレートは、媒体シートの両面の印刷禁止領域の特定を含んでもよい。マスクを生成することは、接着剤領域、媒体シート穴、媒体シート空隙、光沢領域、又は事前印刷領域のうちの少なくとも1つを特定することを含んでもよい。システムは、ユーザインターフェースを更に含んでもよく、動作は、ユーザインターフェースにおいて受信されたユーザ入力に基づいて、追加の印刷禁止領域でマスクに注釈を付けることを更に含む。追加の印刷禁止領域は、将来の光沢コーティング、将来のダイカット、将来の折り目、又は将来のラベル貼付の対象となる領域を含んでもよい。印刷禁止領域を表すマスクは、媒体シートのプロセス方向幅未満からなる領域内の印刷禁止領域を表し得る。動作は、印刷ジョブの前に、テンプレートをグラフィックデザインプロセスに提供することを更に含んでもよい。テンプレートは、特定のプリンタに関する印刷情報を含んでもよい。
【0007】
様々な実施形態によれば、媒体搬送部と、媒体搬送部の経路に配置された電子撮像装置とを含むデジタルプリンタを動作させる方法が提示される。本方法は、電子撮像装置によって取得された媒体シートの電子画像を受信することと、媒体シートの電子画像から、媒体シートの印刷禁止領域を特定することと、媒体シートの印刷禁止領域を表すマスクを生成することと、媒体シートの種類の特定に関連して、媒体シートの種類に関する情報を含むテンプレートを電子永続メモリに電子的に記憶することであって、テンプレートが、マスクによって表される印刷禁止領域の特定を含む、記憶することと、を含む。
【0008】
上記実施形態の様々な任意選択の特徴は、以下を含む。本方法は、テンプレートをプリンタに提供することと、プリンタによって、印刷ジョブを実行することであって、テンプレートによって特定される種類の媒体シート上に画像コンテンツを印刷することを含む、印刷ジョブを実行することと、マスクによって表される印刷禁止領域にプリンタが印刷することを防止することと、を更に含んでもよい。デジタルプリンタの媒体経路は、媒体搬送部を含んでもよい。受信することと、特定することと、生成することと、電子的に記憶することは、デジタルプリンタの印刷ジョブの前に行われてもよく、テンプレートは、媒体シート向き情報を更に含んでもよく、本方法は、デジタルプリンタの印刷ジョブ中に、印刷ジョブ中に電子撮像装置によって取得された媒体シートの電子画像を媒体シート向き情報と比較することを更に含んでもよい。本方法は、比較に基づいて媒体シートの向きの誤りを示す警告を提供することを更に含んでもよい。デジタルプリンタは、インクジェットプリンタを含んでもよい。媒体搬送部は、両面媒体搬送部を含んでもよく、テンプレートは、媒体シートの両面の印刷禁止領域の特定を含んでもよい。マスクを生成することは、接着剤領域、媒体シート穴、媒体シート空隙、光沢領域、又は事前印刷領域のうちの少なくとも1つを特定することを含んでもよい。本方法は、ユーザインターフェースで受信されたユーザ入力に基づいて、追加の印刷禁止領域でマスクに注釈を付けることを更に含んでもよい。追加の印刷禁止領域は、将来の光沢コーティング、将来のダイカット、将来の折り目、又は将来のラベル貼付の対象となる領域を含んでもよい。印刷禁止領域を表すマスクは、媒体シートのプロセス方向幅未満からなる領域内の印刷禁止領域を表し得る。本方法は、印刷ジョブの前に、テンプレートをグラフィックデザインプロセスに提供することを更に含んでもよい。テンプレートは、特定のプリンタに関する印刷情報を含んでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
添付の図面に関連して考慮すると、実施形態の以下の詳細な説明を参照してよりよく理解されるようになるので、実施形態の様々な特徴をより十分に理解することができる。
【0010】
【
図1】様々な実施形態による、高速カラーインクジェットプリンタの概略図である。
【
図2】様々な実施形態による、事前印刷された印刷禁止領域及び関連するマスクを有する、媒体シートを示す。
【
図2-1】様々な実施形態による、事前印刷された印刷禁止領域及び関連するマスクを有する、媒体シートを示す。
【
図3】様々な実施形態による、接着剤印刷禁止領域及び関連するマスクを有する、媒体シートを示す。
【
図4】様々な実施形態による、穴及びプラスチック窓印刷禁止領域並びに関連するマスクを有する、媒体シートを示す。
【
図4-1】様々な実施形態による、穴及びプラスチック窓印刷禁止領域並びに関連するマスクを有する、媒体シートを示す。
【
図5】様々な実施形態による、デジタルプリンタを動作させる方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
ここで、添付の図面に示される例示的な実装形態を詳細に参照する。可能な限り、同一又は同様の部分を指すために、図面全体を通して同じ参照番号が使用される。以下の説明では、その一部を形成し、本発明を実施し得る特定の例示的な実施形態を例示として示す添付の図面を参照する。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することを可能にするために十分に詳細に記載されており、他の実施形態が利用されてもよく、本発明の範囲から逸脱することなく変更が行われてもよいことが理解されるべきである。したがって、以下の説明は、単なる例示に過ぎない。
【0012】
いくつかの実施形態は、媒体シートの印刷禁止領域を判定し、特定の媒体シート種類の印刷禁止領域の表現を含む対応するマスクを生成する。そのような印刷禁止領域は、非限定的な例として、穴、空隙、接着剤、光沢面、及び/又はプラスチック窓などの媒体シート内の非印刷可能領域を含んでもよい。他の印刷禁止領域は、媒体シートの事前印刷領域など、印刷されるべきでない領域を含む。いくつかの実施形態は、プリンタと一体化された光学撮像装置を利用することによってマスクを自動的に生成する。他の実施形態は、プリンタとは別個の光学撮像装置を利用する。
【0013】
いくつかの実施形態は、例えば、自動的に生成されたマスクに注釈を付けることによって、印刷禁止領域のユーザ指定を可能にする。そのようなユーザ指定の印刷禁止領域は、非限定的な例として、折り目の対象となる領域、ラベル貼付の対象となる領域、光沢面を付ける対象となる領域、及び/又はダイカットの対象となる領域など、以前の印刷と互換性のない将来の処理の対象となる領域を含んでもよい。
【0014】
いくつかの実施形態は、自動的に生成され、場合によっては注釈が付けられたマスクを使用して、媒体シートに対応するテンプレートを生成し、記憶する。そのようなテンプレートは、特定のプリンタに固有であってもよい。いくつかの実施形態によれば、そのようなテンプレートは、プリンタが印刷禁止領域にインクを付着するのを防止することと、画像生成ソフトウェアを使用して又は走査から画像コンテンツデータを生成することと、及び/又は印刷ジョブの開始時又は印刷ジョブ中に誤った向きの媒体シートを検出することと、を含む、様々な目的のいずれかに使用することができる。
【0015】
したがって、いくつかの実施形態は、印刷禁止領域に(又はそのような領域が穴又は空隙である場合、そのような領域を通して)インクを付着するという問題を解決する。インクジェットプリンタは一般に、媒体シートの表面全体にわたってインクを付着させるので、そのような実施形態は、印刷アーチファクト及び印刷機器の汚れを防止するのに有用である。いくつかの実施形態は、誤った向きの媒体シートの問題を解決する。そのような実施形態は、テンプレートを使用して印刷ジョブの開始時に誤った向きの媒体シートを検出し得、印刷ジョブ中に誤った向きの媒体シートを検出し得る。これら及び他の特徴及び利点は、含まれる図を参照してここに示され説明されている。
【0016】
図1は、様々な実施形態による、従来技術の高速カラーインクジェットプリンタ10を示す。図示されるように、プリンタ10は、媒体シートS
1、S
2の供給部61、62のうちの一方から剥がされた媒体シートの表面上にインク画像を直接形成するプリンタであり、シートSは、プリンタの印刷ゾーン20を通過する媒体搬送部42の一部を備えるローラ48又はコンベヤ52の少なくとも1つの駆動ローラに動作可能に接続されたアクチュエータ40のうちの1つ以上を動作させるコントローラ80によってプリンタ10を介して印刷プロセス方向に移動される。いくつかの実装形態では、各印刷ヘッドモジュールは、プリンタによって印刷されることができるクロスプロセス方向において、最も広い媒体の幅に対応する幅を有する1つの印刷ヘッドのみを有する。他の実装形態では、印刷ヘッドモジュールは複数の印刷ヘッドを有し、各印刷ヘッドは、プリンタが印刷することができるクロスプロセス方向において最も広い媒体の幅未満の幅を有し、印刷ヘッドは、単一の印刷ヘッドよりも広い媒体が印刷されることを可能にする互い違いの印刷ヘッドのアレイに配置される。プリンタ10は、たった2つの媒体シート供給部を有するように示されているが、プリンタは、各々が異なる種類又はサイズの媒体を含む、3つ以上のシート供給部で構成することができる。
【0017】
印刷動作中、印刷された画像は、インク画像がシートS上に印刷された後、画像乾燥機30の下を通過する。画像乾燥機30は、インク画像を加熱し、画像をウェブに少なくとも部分的に固定するために、赤外線ヒータ、加熱空気送風機、空気戻り、又はこれらの構成要素の組み合わせを含むことができる。赤外線ヒータは、ウェブの表面上の印刷された画像に赤外線熱を加えて、インク中の水又は溶媒を蒸発させる。加熱空気送風機は、扇風機、又は他の加圧空気源を使用して、インク上に加熱空気を方向付けて、インクからの水又は溶媒の蒸発を補う。次いで、空気が収集され、空気戻りによって排気されて、プリンタ内の他の構成要素との乾燥機空気流の干渉を低減する。
【0018】
プリンタ10は、媒体搬送部42の経路方向において乾燥機30の後に光学撮像装置80を含む。
図1に示すように、いくつかの実施形態によれば、光学撮像装置は、媒体搬送部のプロセス方向において印刷ゾーン20及び乾燥機30の後に配置されてもよい。様々な他の実施形態では、光学撮像装置80は、印刷ゾーン20と乾燥機30との間に、又は媒体搬送部42のプロセス方向において印刷ゾーン20の前に配置されてもよい。光学撮像装置84は、電荷結合デバイス、デジタルカメラ、LED及び光検出器のアレイ、又は通過面の画像データを生成することができる別のデバイスとすることができる。いくつかの実施形態によれば、光学撮像装置80は、例えば、1200×1200dpiプリンタによって印刷された個々のドットを捕捉することができる解像度を有する、高解像度撮像装置である。光学撮像装置80は、媒体シート全体、又はプロセス方向における媒体シートの少なくとも幅、並びにプロセス方向における媒体シートの長さの少なくとも一部、又は全長を包含する視野を有してもよい。光学撮像装置80は、媒体シートが媒体搬送部42を通って移動し、光学撮像装置80からの距離が変動する際に、媒体シートの画像を捕捉するのに十分な被写界深度を有してもよい。光学撮像装置80は、媒体シートの画像を捕捉するように事前焦点合わせされてもよく、及び/又は媒体シート上に調節可能に、又は自動的に焦点合わせされてもよい。
【0019】
一般に、光学撮像装置84は、媒体シートが通過する際に媒体シートの電子画像を捕捉して、本明細書で説明するようにマスクを生成する処理を行う。光学撮像装置は、媒体シートが印刷された後、印刷される前、又は特定の媒体シート上への印刷を含まないプロセスの一部として、媒体シートのそのような画像を捕捉し得る。例えば、いくつかの実施形態によれば、光学撮像装置84は、媒体シート種類が印刷ジョブに使用される前に、媒体シートの画像を捕捉するために使用されてもよい。画像データは、ビットマップ、JPEG、JPEG 2000、GIF、TIFF、PS、PDF、又は任意の他のデジタル画像ファイルフォーマットなど、様々なフォーマットのいずれかで提供され得る。
【0020】
光学撮像装置84は、様々な実施形態による印刷禁止領域を表すマスクを生成するために、画像データをコントローラ80に提供する。そのような印刷禁止領域は、非限定的な例として、非印刷可能領域、又は、例えば、既に事前印刷されているために印刷されるべきでない領域を含むことができる。非限定的な例として、非印刷可能領域は、媒体シートを貫通する穴、空隙(媒体シートの縁部からの切り欠きなど)、接着剤(取り外し可能なバッキングによって覆われた接着剤ストリップなど)、光沢面、及び/又はプラスチック(封筒又は他の用途における透明なプラスチック窓など)を含むことができる。コントローラ80は、任意の技術又は技術の組み合わせを使用して、マスク内のそのような領域を特定し、表すことができる。いくつかの実施形態によれば、マスクは画像データから生成される。いくつかの実施形態によれば、無地の媒体シートのものとは異なる色、色相、彩度、又は明度を有する任意の領域が、マスク内の印刷禁止領域として特定される。例えば、画素閾値処理が使用されてもよく、対応する閾値量だけ無地の媒体シートの画素の色、色相、彩度、又は明度と異なる(例えば、より大きい又はより小さい)画像データ内の色、色相、彩度、又は明度を有する各画素は、印刷禁止として特定される。いくつかの実施形態によれば、特定の色、色相、彩度、又は明度の領域が印刷禁止領域として特定される。後者のそのような技術は、非限定的な例として、特定の色を有する取り外し可能なバッキングを有する接着剤を特定するのに特に有用である。
【0021】
いくつかの実施形態によれば、マスクが自動的に生成された後、ユーザは、追加の印刷禁止領域でマスクに注釈を付ける機会を有する。ユーザは、そうするためにユーザインターフェース50を使用してもよい。様々な技術のいずれかを使用して、追加の印刷禁止領域を画定してもよい。いくつかの実施形態によれば、ユーザインターフェースは、マスクを表示してもよい。いくつかの実施形態によれば、ユーザは、追加の印刷禁止領域を表す予め画定された形状(例えば、正方形、長方形、円形、楕円形、三角形など)を、ユーザインターフェースを介して表示されたマスクに追加してもよい。いくつかの実施形態によれば、ユーザは、フリーハンド技術を使用して、例えばマウス又はタッチスクリーンを使用して、マスク上に追加の印刷禁止領域をペイントしてもよい。いくつかの実施形態によれば、追加の印刷禁止領域を追加することに加えて、又は代替として、ユーザは、例えば、サイズを縮小又は拡大することによって、又は形状を変更することによって、自動的に生成された印刷禁止領域を編集してもよい。いくつかの実施形態によれば、ユーザは、最初は空白のマスクに注釈を付けることによってマスクを生成してもよく、すなわち、実施形態は、自動的に生成されたマスクに注釈を付けることに限定されない。
【0022】
いくつかの実施形態によれば、印刷禁止領域は、マスク内の特定の色、例えば黒によって表され、印刷可能領域は、異なる色、例えば白によって表される。マスクは、ビットマップ、JPEG、JPEG 2000、GIF、TIFF、PS、PDF、又は任意の他のデジタル画像ファイルフォーマットなど、様々なフォーマットのいずれかで提供され得る。
【0023】
コントローラ80は、媒体シートに関する情報、例えば、マスクによって表される印刷禁止領域の特定情報を含む、媒体シートのテンプレートを生成してもよい。テンプレートは、マスクと、媒体シート種類の特定(例えば、媒体シート種類の名称)、材料、色、重量、厚さ、サイズ(例えば、長さ及び/又は幅)、粒子方向、向き、処理表示(例えば、インクジェット処理又はインクジェット処理なし)、及び/又はコーティング(例えば、コーティングなし、無地コーティング、艶消しコーティング、又は光沢コーティング)のいずれか又は組み合わせなどの追加の属性とを含むデータ構造として実装されてもよい。向きは、印刷プロセス方向に対して、例えば、媒体シートの長さ及び幅に対して、及び/又は任意の印刷禁止領域(複数可)に対して、媒体シートがどのように配置されるかを示してもよい。向き情報は、媒体シートの表側及び裏側の表示を含んでもよい。これらの属性のいずれも、ユーザインターフェース、例えば、コントローラ80へのユーザインターフェースにおいて作業者によって入力されてもよい。色などのいくつかの属性は、画像データを分析することによって、コントローラによってテンプレートに事前入力されてもよい。
【0024】
テンプレートは、特定のプリンタ10に固有であってもよい。すなわち、同じ種類のプリンタは、例えば、それらが印刷する領域が任意の方向に最大で1ミリメートル互いに異なり得るため、テンプレートは、特定のプリンタ10に対する印刷禁止領域を表し得る。例えば、マスクは、特定のプリンタの印刷領域に対する印刷禁止領域を示し得る。
【0025】
テンプレートは、コントローラ80に通信可能に結合された永続メモリに記憶され、そこから検索可能であってもよい。例えば、テンプレートは、データベース92に記憶され得る。本明細書で説明される画像捕捉、マスク生成、テンプレート生成、及びテンプレート記憶は、ユーザインターフェース50を介してユーザによって開始され、制御され得る。
【0026】
上記の処理に加えて、光学撮像装置84によって生成された印刷シートの画像データは、コントローラ80によって分析されて、例えば、印刷ジョブの媒体シート上の印刷された画像における縞を検出することができる。加えて、又は代替としてテストパターン画像が印刷されたシートが、印刷ジョブ中に間隔を置いて挿入されることができる。これらのテストパターン画像は、コントローラ80によって分析されて、存在する場合、テストパターンにインクを噴射するように動作された、いずれのインクジェットが実際にインクを噴射したかを判定し、インクジェットがインク滴を噴射した場合、インク滴が適切な質量でその意図された位置に降着したか否かを判定することができる。噴射すると想定されたインク滴を噴射しない、又は正しい質量を有していない滴を噴射する、若しくは誤った位置に降着する任意のインクジェットは、本明細書では動作不能なインクジェットと呼ばれる。コントローラは、コントローラに動作可能に接続されたデータベース92に、動作不能なインクジェットを特定するデータを記憶することができる。テストパターンが印刷されたこれらのシートは、ランタイムミッシングインクジェット(run-time missing inkjet、RTMJ)シートと呼ばれることがあり、これらのシートは、印刷ジョブの出力から廃棄される。ユーザは、ユーザインターフェース50を動作させて、動作不能なインクジェットの数及び動作不能なインクジェットが位置する印刷ヘッドを特定するインターフェース上に表示されるレポートを取得することができる。
【0027】
二重経路72は、基材が印刷された後に搬送システム42からシートを受容し、そのシートを、印刷ヘッドを通過する移動のプロセス方向とは反対方向にローラの回転によって移動させるように提供される。二重経路72内の位置76において、基材は、媒体搬送システム42によって運ばれているジョブストリームに合流することができるように、反転されることができる。コントローラ80は、シートを選択的にひっくり返すように構成されている。すなわち、コントローラ80は、シートの裏面を印刷できるようにシートを反転させるためにアクチュエータを動作させることができるか、又はシートの印刷された面を再び印刷できるように、シートを反転させることなくシートが搬送経路に戻されるように、アクチュエータを動作させることができる。枢動部材88の移動により、二重経路72へのアクセスが提供される。枢動部材88の回転は、枢動部材88に動作可能に接続されたアクチュエータ40を選択的に動作させるコントローラ80によって制御される。
図1に示すように枢動部材88が反時計回りに回転されるとき、媒体搬送部42からの基材は、二重経路72に方向転換される。枢動部材88を方向転換位置から時計回り方向に回転させることにより、二重経路72へのアクセスが閉じられるため、媒体搬送部上の基材は、容器56に移動する。別の枢動部材86が、二重経路72にある位置76と媒体搬送部42との間に位置付けられている。コントローラ80が、アクチュエータを動作させて、枢動部材86を反時計回り方向に回転させると、二重経路72からの基材は、媒体搬送部42上でジョブストリームに合流する。枢動部材86を時計回り方向に回転させることにより、媒体搬送部42への二重経路アクセスが閉じられる。
【0028】
図1に更に示すように、二重経路72に方向転換されなかった印刷された媒体シートSは、媒体搬送部によって、これらのシートが収集されるシート容器56に運ばれる。二重経路72に方向転換された媒体シートは、印刷ヘッドモジュールの前で反転されて搬送部に戻されるので、シートの反対側に画像形成及び/又は印刷することができる。
【0029】
いくつかの実施形態によれば、光学撮像装置84は、例えば二重経路72を使用して、媒体シートの裏面の画像データを捕捉する。そのような実施形態によれば、コントローラ80は、そのような画像データから媒体シートの裏面のための追加のマスクを生成し得る。更にそのような実施形態によれば、コントローラ80は、媒体シートに関連付けられたテンプレート内に別個のマスクを含んでもよい。したがって、テンプレートは、媒体シートの表側の印刷禁止領域を表す第1のマスクと、媒体シートの裏側の印刷禁止領域を表す第2のマスクとを含んでもよい。そのようなマスクのいずれか又は両方は、本明細書で説明されるようにユーザ注釈付けされ得る。テンプレートは、媒体シートの表側について上述した属性種類のいずれかを含む、媒体シートの裏側についての他の属性を表すデータを更に含んでもよい。したがって、テンプレートは、同じ媒体シートに対して同じ属性の異なる情報を含んでもよく、非限定的な例として、表側はコーティングされてもよく、裏側はコーティングされなくてもよく、又は異なるコーティングでコーティングされてもよい。
【0030】
機械又はプリンタ10の様々なサブシステム、構成要素、並びに機能の動作及び制御は、コントローラ又は電子サブシステム(ESS)80’の支援を用いて実施される。ESS又はコントローラ80は、印刷ヘッドモジュール34A~34D(したがって印刷ヘッド)、アクチュエータ40、及び乾燥機30の構成要素に通信可能に接続されている。ESS又はコントローラ80は、例えば、電子データ記憶装置を備えた中央処理装置(CPU)、及びディスプレイ又はユーザインターフェース(UI)50を有する内蔵型コンピュータとすることができる。ユーザインターフェース50は、タッチスクリーン、物理キーボード、マウス、及び/又は任意の他のインターフェース機構を含んでもよい。ESS又はコントローラ80は、例えば、センサ入力及び制御回路、並びに画素配置及び制御回路を含む。加えて、CPUは、走査システム又はオンライン若しくはワークステーション接続(図示せず)などの画像入力源と、印刷ヘッドモジュール34A~34Dとの間の画像データの流れを読み出し、捕捉し、準備し、かつ管理する。したがって、ESS又はコントローラ80は、印刷プロセスを含む他の全ての機械サブシステム及び機能を操作及び制御するための主要なマルチタスクプロセッサである。
【0031】
コントローラ80は、プログラム命令を実行する汎用又は専用のプログラマブルプロセッサを用いて実装することができる。プログラムされた機能を実施するために必要とされる命令及びデータは、プロセッサ又はコントローラに関連付けられたメモリ内に記憶され得る。プロセッサ、それらのメモリ、及びインターフェース回路は、以下に記載される動作を実施するようにコントローラを構成する。これらの構成要素は、印刷回路カード上に提供されてもよいか、又は特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)内の回路として提供されてもよい。回路の各々は、別個のプロセッサで実装され得るか、又は複数の回路は、同じプロセッサ上に実装され得る。代替的に、回路は、超大規模集積回路(very large scale integrated、VLSI)内に提供される個別の構成要素又は回路で実装することができる。また、本明細書に記載される回路は、プロセッサ、ASIC、個別の構成要素、又はVLSI回路の組み合わせで実装することができる。
【0032】
印刷ジョブにおいて、印刷される画像の画像コンテンツデータは、印刷ヘッドモジュール34A~34Dに出力される印刷ヘッド制御信号の処理及び生成のために、走査システム又はオンライン若しくはワークステーション接続のいずれかからコントローラ80に送信される。画像コンテンツデータと共に、コントローラ80は、媒体の重量、媒体の寸法、印刷速度、媒体の種類、各シートの各面上に生成されるインク領域被覆率、各シートの各面上に生成される画像の位置、媒体の色、繊維媒体の媒体繊維向き、印刷ゾーンの温度及び湿度、媒体の含水量、並びに媒体の製造業者を特定する印刷ジョブパラメータを受信し得る。印刷ジョブパラメータの一部又は全部は、本明細書で説明されるように、テンプレートでコントローラ80に提供されてもよい。印刷ジョブパラメータは、印刷ジョブのための非画像コンテンツデータを含むことができ、画像コンテンツデータは、媒体シート上に印刷されるインク画像を特定するデジタルデータを含むことができる。
【0033】
図1は、シート容器に収集されている印刷されたシートを示しているが、これらのシートは、媒体シートのパンチ、折り畳み、丁合、綴じ、及びステープル留めなどの作業を実施する他の処理ステーション(図示せず)に方向付けることができる。そのような他の処理ステーションは、枢動部材88の上又は後であって、シート容器56の前に配置されてもよい。
【0034】
プリンタ10はカラーインクジェットプリンタとして示されているが、実施形態はそのように限定されることに留意されたい。実施形態は、トナープリンタ、レーザプリンタ、又は任意の他のデジタルプリンタと共に利用され得る。実施形態は、例えば、トナーが媒体シートの穴又は空隙を通して付着され、機器を汚し、又は印刷アーチファクトを引き起こすことを防止するために、トナープリンタにとって有利であり得る。
【0035】
プリンタ10は単一の光学撮像装置84を含むものとして示されているが、実施形態はそのように限定されない。いくつかの実施形態は、二重経路72などの二重経路を使用せずに媒体シートの表面及び裏面の画像を捕捉する2つの光学撮像装置を含む。そのような実施形態は、そのような表側画像及び裏側画像を順次又は同時に捕捉し得る。そのような実施形態は、本明細書で説明される媒体のロールを使用する連続印刷に特に有用である。
【0036】
プリンタ10はカットシート媒体上に印刷するものとして説明されるが、実施形態はそのように限定されない。いくつかの実施形態は、印刷に続いて、シート、カード、封筒、郵送物などの個々のアイテムに後で切断される媒体の連続ストリップと共に利用されてもよい。例えば、実施形態は、オフセットウェブ印刷と共に使用されてもよい。いくつかの実施形態によれば、マスクは、連続シートの個々のアイテムに対して生成されてもよい。更に、そのような実施形態では、テンプレートは、媒体の連続ストリップがどこで切断されるかを示す切断情報を含んでもよい。更に、印刷禁止領域は、ユーザ注釈によって指定されてもよいリード縁部及びトレーニング縁部マージンを含んでもよい。したがって、マスクは、シート内の印刷禁止領域を表し得る。
【0037】
光学撮像装置84は、プリンタ10と一体化されているものとして
図1に示されているが、実施形態はそのように限定されない。いくつかの実施形態は、プリンタから物理的に別個の光学撮像装置を含んでもよい。そのような実施形態によれば、光学撮像装置の媒体搬送部は、プリンタの媒体搬送部に結合されてもよく、その結果、媒体シートは、光学撮像装置からプリンタに、又はその逆に自動的に転写されてもよい。
【0038】
図2は、様々な実施形態による、事前印刷された印刷禁止領域及び関連するマスク204を有する媒体シート202を示す。マスク204は、
図1を参照して図示及び説明したようなシステムによって製造され得る。例えば、マスク204は、光学撮像装置84によって取得された画像データ内の事前印刷領域を検出することによって自動的に生成される。媒体シート202の事前印刷領域は、任意の色及び陰影で印刷されてもよく、一方、マスク204は、2つの値、例えば、
図2のマスク204に示されるように、黒の印刷禁止領域及び白の印刷可能領域のうちの1つを使用して、そのような領域を表してもよいことに留意されたい。いくつかの実施形態によれば、共有又は点描などの高密度パターンで事前印刷された媒体シート202の領域は、印刷禁止として指定され、マスク204内に例えば黒などのベタで描写される。
【0039】
図3は、様々な実施形態による、接着剤印刷禁止領域及び関連するマスク304を有する媒体シート302を示す。マスク304は、
図1を参照して図示及び説明したようなシステムによって製造され得る。例えば、マスク304は、光学撮像装置84によって取得された画像データ内の接着剤領域を検出することによって自動的に生成される。コントローラ80は、例えば、光学画像内の特定の色、色相、及び/又は明度を検出することによって、接着剤領域を特定してもよい。例えば、本明細書で説明するように、画素閾値処理を使用し得る。
図3に示すように、マスク304は、接着剤印刷禁止領域を黒で示し、印刷可能領域を白色で示し、しかしながら、他の表現が代替的に使用されてもよい。
【0040】
いくつかの実施形態によれば、マスクは、印刷ジョブ中に媒体シートの表された印刷禁止領域上にインクが付着されることを防止するために使用される。いくつかのそのような実施形態は、印刷禁止領域をカスタマイズして、ここで説明する
図3及び
図4に示すように、媒体シートの任意の個別部分への印刷を防止することができるので、インクが媒体シートのプロセス方向スワス全体に付着するのを手動で防止する従来技術よりも優れている。
【0041】
図4は、様々な実施形態による、穴及びプラスチック窓印刷禁止領域並びに関連するマスクを有する媒体シートを示す。マスク404は、
図1を参照して図示及び説明したようなシステムによって製造され得る。例えば、マスク204は、光学撮像装置84によって取得された画像データ内の穴及びプラスチック窓領域を検出することによって自動的に生成される。コントローラ80は、例えば、光学画像内の特定の色、色相、及び/又は明度を検出することによって、穴及びプラスチック窓領域を特定してもよい。例えば、いくつかの実施形態は、媒体シートが光学撮像装置84を通過する際に媒体シートの背後に特定の色を有するバックストップを含んでもよい。任意の穴、空隙、又は透明なプラスチック窓は、対応する光学画像において特定の色を示す。そのような色を検出するために、本明細書で説明されるような画素閾値処理が使用されてもよい。マスク404は、穴やプラスチック窓の印刷禁止領域を黒、印刷可能領域を白として示すものに限定されない。他の表現が代替的に使用されてもよい。
【0042】
図5は、様々な実施形態によるデジタルプリンタを動作させる方法500のフロー図である。方法500は、
図1を参照して本明細書に示され説明されたプリンタ10などのプリンタを含む、又はプリンタと共に使用されるシステムによって実装されてもよい。プリンタは、媒体搬送部42などの媒体搬送部と、媒体搬送部の経路に配置された光学撮像装置84などの電子撮像装置とを含んでもよい。電子撮像装置は、電子プロセッサに通信可能に結合されて、電子プロセッサに電子画像データを提供し得る。方法500を実装するシステムは、電子プロセッサに通信可能に結合された電子永続メモリを含み、電子永続メモリは、電子プロセッサによって実行されると、電子プロセッサに本明細書で説明される方法500を実装させる命令を記憶する。
【0043】
502において、方法500は、例えば電子プロセッサによって、電子撮像装置によって取得された媒体シートの電子画像を受信する。このブロックの動作は、
図1の光学撮像装置84を参照して本明細書に示され説明された通りであってもよい。502の動作(並びに504、506及び508の動作)は、ブロック510を参照して以下に詳細に説明される様々な使用法に従って、印刷ジョブの前に、又は印刷ジョブの初期部分として行われ得る。
【0044】
504において、方法500は、媒体シートの電子画像から、媒体シートの印刷禁止領域を特定する。このブロックの動作は、例えば、色、色相、又は明度検出の使用を通して、
図1-4を参照して本明細書に示され、説明されるようなものであり得る。1つ以上の印刷禁止領域が特定されてもよい。
【0045】
506において、方法500は、媒体シートの印刷禁止領域を表すマスクを生成する。このブロックの動作は、例えば、画素閾値処理の使用を通じて、
図1~
図4を参照して本明細書に示され説明された通りであってもよい。
【0046】
508において、方法500は、媒体シートの特定に関連して、媒体シートに関する情報を含むテンプレートを電子永続メモリに電子的に記憶する。テンプレートは、
図1を参照して本明細書で説明されるようなものであってもよく、マスクによって表される印刷禁止領域の特定を含んでもよい。例えば、テンプレートは、マスクのコピーをテンプレートに含めることによって、マスクによって特定される印刷禁止領域を特定し得る。
【0047】
510において、方法500はテンプレートを使用する。テンプレートの様々な使用のいずれも可能である。510の動作は、印刷ジョブの前に、印刷ジョブの開始時に、又は印刷ジョブ中に行われてもよい。本明細書で説明されるテンプレートの使用は、
図1を参照して本明細書で示され説明されるようなユーザインターフェース50などのユーザインターフェースを介してユーザによって開始及び制御されてもよい。
【0048】
第1の使用例として、方法500は、印刷ジョブ中にテンプレートを使用して、テンプレートによって特定される種類の媒体シートの印刷禁止部分への印刷を防止し得る。印刷ジョブの開始の前に、印刷ジョブの媒体シート種類及びテンプレートが、印刷される画像コンテンツを表す画像コンテンツデータと共に、プリンタに提供されてもよい。印刷ジョブの媒体シート種類は、例えば、ユーザインターフェース50を介して、ユーザによってプリンタに特定されてもよい。テンプレートは、ユーザによってプリンタに対して特定され、永続メモリ、例えばデータベース50から検索することによってプリンタに提供されてもよい。プリンタは、テンプレートからマスクを抽出し得る。プリンタは、テンプレートにおいて特定される種類の媒体シート上に画像コンテンツデータに対応する画像コンテンツを印刷することによって、印刷ジョブを実行し得る。
【0049】
代替的に、いくつかの実施形態によれば、印刷ジョブの初期部分として、媒体シートがプリンタによって処理されて、本明細書で説明されるようにマスクを自動的に生成することができ、マスク内に表される任意の印刷禁止領域を使用して、印刷ジョブ中に媒体シートの対応する領域における印刷を防止し得る。したがって、いくつかの実施形態によれば、印刷禁止領域の特定は、印刷プロセスの一部として行うことができ、特定される領域を使用して、印刷プロセス中のインク付着を防止し得る。
【0050】
一般に、第1の使用例によれば、印刷中、画像コンテンツデータがそうでないことを示していても、マスク内に表されているような印刷禁止領域にプリンタがインクを付着させることを防止し得る。例えば、コントローラ80などのコントローラは、マスクによって表される印刷禁止領域に対応する媒体シートの位置に配置されたときにインクジェットを遮断し得る。テンプレート内のマスクが媒体シートの両面上の印刷禁止領域の表現を含む場合、第1の使用例は、両面印刷ジョブ中に両面上の印刷禁止領域にインクが付着されるのを防止し得る。
【0051】
第2の使用例として、テンプレートを印刷ジョブの開始時又は印刷ジョブ中に使用して、誤った向きの媒体シートを検出し、作用し得る。そのような実施形態によれば、テンプレートは、印刷プロセス方向に対する媒体シートの適切な向きを示す媒体シート向き情報を含む。いくつかの実施形態によれば、印刷ジョブの開始時に、1つ以上の初期媒体シートが、印刷の有無にかかわらず、プロセス方向に(例えば、媒体搬送部42に沿って)プリンタを通過し、画像が、例えば、光学撮像装置84によって捕捉される。捕捉された画像は、向き情報に関して分析され、媒体シートが印刷ジョブに対して適切に向けられているか否かが判定される。様々な実施形態によれば、画像捕捉及び適切な向きの判定の動作は、印刷ジョブ全体を通して、散発的に(例えば、ランダムに)、周期的に(例えば、n枚ごとに、ここでnは2~100の任意の数とすることができる)、又は連続的に(すなわち、媒体シートごとに)行われる。いずれかの時点で誤った向きの媒体シートが検出された場合、例えばユーザインターフェース50を介してユーザに警告を送信し得る。代替的に又は加えて、印刷ジョブを停止して、ユーザが、例えば媒体シート供給部61、62において、任意の更なる誤った向きの媒体シートを再配置することを可能にしてもよい。
【0052】
第3の使用例として、印刷ジョブの前に、テンプレートをグラフィックデザインプロセスに提供し得る。例えば、データベース52は、グラフィックデザイン及び/又は走査ソフトウェアがインストールされたワークステーションコンピュータに通信可能に結合されてもよい。テンプレートは、そのようなグラフィックデザイン及び/又は走査ソフトウェアを使用する後の印刷ジョブのための画像コンテンツデータを準備するために使用されてもよい。例えば、グラフィックデザイナは、画像コンテンツデータがいずれの印刷禁止領域とも交差しないように、マスクによって部分的に画定されたワークスペース内に画像コンテンツデータを準備してもよい。画像コンテンツデータは、その後、印刷ジョブのために使用することができ、印刷ジョブは、例えば、本明細書で説明するテンプレートの第1の使用例に従って、対応するテンプレートの使用を含んでもよい。テンプレート内のマスクが媒体シートの両面に印刷禁止領域の表現を含む場合、第3の使用例は、両面印刷ジョブ中に媒体シートの両面で使用するための印刷コンテンツデータを準備することを含んでもよい。
【0053】
特定の実施形態は、コンピュータプログラム又はプログラムのセットを使用して実施することができる。コンピュータプログラムは、アクティブ及び非アクティブの両方の様々な形態で存在することができる。例えば、コンピュータプログラムは、ソースコード、オブジェクトコード、実行可能コード又は他のフォーマットのプログラム命令からなるソフトウェアプログラム、ファームウェアプログラム(複数可)、又はハードウェア記述言語(HDL)ファイルとして存在することができる。上記のいずれも、一時的又は非一時的コンピュータ可読媒体上で具現化することができ、この媒体は、圧縮又は非圧縮形態の記憶デバイス及び信号を含む。例示的なコンピュータ可読記憶デバイスは、従来のコンピュータシステムRAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM読み出し専用メモリ)、EPROM(消去可能プログラマブルROM)、EEPROM(電気的消去可能プログラマブルROM)、及び磁気、光ディスク又はテープを含む。
【0054】
本発明をその例示的な実施形態を参照して説明してきたが、当業者であれば、真の趣旨及び範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に様々な修正を加えることができるであろう。本明細書で使用される用語及び説明は、例示のみを目的として記載され、限定を意味するものではない。特に、本方法を例によって説明してきたが、本方法のステップは、図示されたものとは異なる順序で、又は同時に実施することができる。当業者であれば、以下の特許請求の範囲及びその均等物に定義される趣旨及び範囲内で、これら及び他の変形が可能であることを認識するであろう。
【外国語明細書】