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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018568
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】注出キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 41/34 20060101AFI20240201BHJP
   B65D 47/12 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B65D41/34 100
B65D47/12 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121985
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AA24
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB06
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084FC07
3E084GA01
3E084GB01
3E084GB26
3E084KA11
3E084LA07
3E084LA17
3E084LB02
3E084LC01
(57)【要約】
【課題】 蓋体を開蓋方向に回動するだけで、蓋体から切り離した封緘部をキャップ本体に確実に係止することにより、蓋体の開封を容易に視認できる注出キャップを提供する。
【解決手段】 容器本体Aに装着されるキャップ本体Bと、キャップ本体Bに螺合して装着される蓋体Cとを備え、キャップ本体Bは、容器本体Aの口部1に装着される装着部4と、装着部4の外周下端から径方向に延設され、上面から突起部35が立設される係止板部Dとを有し、蓋体Cは、キャップ本体Bに螺合されるねじキャップC1と、ねじキャップC1の外周下端から破断可能な弱化連結片42を介して連結されるフランジ状の封緘部C2と、封緘部C2に開口され、突起部35を案内する案内開口部57とを有し、係止板部Dは、蓋体Cの開蓋時に、突起部35が封緘部C2の回動を制限することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体に装着されるキャップ本体と、キャップ本体に螺合して装着される蓋体とを備え、
キャップ本体は、容器本体の口部に装着される装着部と、装着部の外周下端から径方向に延設され、上面から突起部が立設される係止板部とを有し、
蓋体は、キャップ本体に螺合されるねじキャップと、ねじキャップの外周下端から破断可能な弱化連結片を介して連結されるフランジ状の封緘部と、封緘部に開口され、突起部を案内する案内開口部とを有し、
係止板部は、蓋体の開蓋時に、突起部が封緘部の回動を制限することを特徴とする注出キャップ。
【請求項2】
係止板部は、突起部の近傍に形成される表示部を有し、
案内開口部は、径方向に形成される係止突起によって突起部を係止する係止開口部と、係止開口部と係止突起を介して隣接し、表示部が視認可能な表示開口部とを有することを特徴とする請求項1に記載の注出キャップ。
【請求項3】
係止板部は、装着部下端から径方向に延設される連結部と、連結部から隣接する連結部に向けて周方向に形成されるフランジ部と、フランジ部と連結部との接続個所に形成される切断可能な破断部とを有することを特徴とする請求項1または2に記載の注出キャップ。
【請求項4】
キャップ本体は、内容物を注出する注出筒を有し、
注出筒は、内周面に薄肉弱化部を介して連設され、蓋体の開蓋時に、ねじキャップに係着されて抜栓される移行栓体を有することを特徴とする請求項1または2に記載の注出キャップ。
【請求項5】
キャップ本体は、内容物を注出する注出筒を有し、
注出筒は、内周面に薄肉弱化部を介して連設され、蓋体の開蓋時に、ねじキャップに係着されて抜栓される移行栓体を有することを特徴とする請求項3に記載の注出キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体に螺合して装着される蓋体とを備える注出キャップに関し、とくに、蓋体を開蓋方向に回動することにより開封状態を一目で確認できる注出キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
ドレッシングや調味料などを収容する食品容器として、開栓時まで容器本体内を密封状態にし、キャップ本体に螺合して装着される蓋体を開蓋方向に回動することによって、キャップ本体から移行栓体を抜栓し、抜栓した移行栓体を蓋体の係着部に保持して開栓することができるとともに、キャップ本体は、外周に設けられた開封確認部を有し、蓋体は、下端に破断可能な弱化連結片を介して連結された封緘バンドを有し、封緘バンドは、蓋体の開蓋時に、キャップ本体の開封確認部から視認可能な開封表示部を有することにより、目視で開封状況を確認することができる注出キャップは、従来から知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-196532号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1記載の注出キャップは、蓋体を開蓋方向に回動することによって、キャップ本体から移行栓体を除去するとともに、封緘バンドの開封表示部の爪部がキャップ本体の係止部と当接し、それ以上の移動が阻止され、弱化連結片が破断して、封緘バンドが蓋体から分離され、開封確認部から開封表示部の文字が視認でき、目視で開封されたことがわかるが、開封確認部に対する封緘バンドの係止状態が不安定で外れ易いという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、容器本体の口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体に螺合して装着される蓋体とを備える注出キャップにおいて、蓋体を開蓋方向に回動するだけで、蓋体から切り離した封緘部をキャップ本体に確実に係止することにより、蓋体の開封を容易に視認できる注出キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するため、注出キャップとして、容器本体に装着されるキャップ本体と、キャップ本体に螺合して装着される蓋体とを備え、キャップ本体は、容器本体の口部に装着される装着部と、装着部の外周下端から径方向に延設され、上面から突起部が立設される係止板部とを有し、蓋体は、キャップ本体に螺合されるねじキャップと、ねじキャップの外周下端から破断可能な弱化連結片を介して連結されるフランジ状の封緘部と、封緘部に開口され、突起部を案内する案内開口部とを有し、係止板部は、蓋体の開蓋時に、突起部が封緘部の回動を制限することを特徴とする構成を採用する。
【0007】
注出キャップの実施形態として、係止板部は、突起部の近傍に形成される表示部を有し、案内開口部は、径方向に形成される係止突起によって突起部を係止する係止開口部と、係止開口部と係止突起を介して隣接し、表示部が視認可能な表示開口部とを有することを特徴とする構成、また、係止板部は、装着部下端から径方向に延設される連結部と、連結部から隣接する連結部に向けて周方向に形成されるフランジ部と、フランジ部と連結部との接続個所に形成される切断可能な破断部とを有することを特徴とする構成を採用する。
【0008】
注出キャップのさらなる実施形態として、キャップ本体は、内容物を注出する注出筒を有し、注出筒は、内周面に薄肉弱化部を介して連設され、蓋体の開蓋時に、ねじキャップに係着されて抜栓される移行栓体を有することを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の注出キャップは、上記構成を有することにより、蓋体を開蓋方向に回動するだけで、蓋体から切り離された封緘部をキャップ本体に確実に係止することにより、キャップ本体の表示部が封緘部の表示開口部から視認でき、封緘部の状態により開封状態であることが一目でわかる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例である注出キャップを容器本体に装着した状態を示す図で、(a)は上面図、(b)は一部断面図である。
図2】本発明の実施例である注出キャップのキャップ本体を示す図で、(a)は上面図、(b)は側面図である。
図3】本発明の実施例である注出キャップのキャップ本体を示す図で、(a)は側面断面図、(b)は下面図である。
図4】本発明の実施例である注出キャップの蓋体を示す図で、(a)は上面図、(b)は側面図である。
図5】本発明の実施例である注出キャップの蓋体を示す図で、(a)は側面断面図、(b)は下面図である。
図6図1(a)の注出キャップを開蓋する状態を示す図で、(a)はセット時、(b)は開蓋開始時、(c)は蓋体から封緘部を破断する直前の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明の注出キャップについて、移行栓体を有するキャップ本体を備える注出キャップとして具体化した実施例を示した図面を参照して説明する。
【実施例0012】
図1において、Aは容器本体、Bは容器本体Aに装着されるキャップ本体、Cはキャップ本体Bに螺合して装着される蓋体である。
容器本体Aの口部1は、キャップ本体Bに嵌着して抜け止め保持する係止突条2と、係止突条2の下方から径方向に突設されたネックリング3とを備えている。
【0013】
図1図3に示すように、キャップ本体Bは、外周側の外筒5、内周側の内筒6、口部1の天面側に位置する上壁7とからなり、口部1が嵌入する環状溝を形成する装着部4と、上壁7から立設されたねじ壁部8と、ねじ壁部8の上端に段部9を介して連設された注出筒10と、装着部4の外周下端から径方向に延設され、開蓋時に、後述する蓋体Cの封緘部C2をねじキャップC1から切り離して係止する係止板部Dとを備えている。
段部9の外周には、蓋体Cをキャップ本体Bに螺合する際にその終了を知らせるための音出し突部11が配設されている。
【0014】
注出筒10は、容器本体A内に収容された内容物を注出する注出口を形成し、上部には拡径して外側に湾曲するリップ部12を有する。
注出筒10の下端部内周面には、全周にわたって形成された薄肉弱化部14を介して移行栓体15が一体に連設されている。
【0015】
移行栓体15は、上方に立設され、円筒状の筒状壁16と、その上面を覆う上部壁17とからなっている。
筒状壁16は、上部外周に第1歯部18が周方向に凹設されており、第1歯部18は、後述する蓋体Cの第2歯部47と係合する。
本実施例では、第1歯部18を2個設けているが、2個に限らず、移行栓体15の形状等に合わせて複数設けることができる。
【0016】
筒状壁16の下部には、外周側に下面から所定の高さを有する拡径部22が設けられ、拡径部22の外周面には第1係合突部19が環状に突設され、さらに、外側に向けて漸次肉薄になるとともに薄肉弱化部14につながる鍔部23が連設されている。
本実施例では、キャップ本体Bは、注出筒10の内周面に形成された薄肉弱化部14を介して連設された移行栓体15を備えているが、抜栓機構の有無や種類はいずれでもよく、例えば抜栓機構として、プルリングにより隔壁から除去部を引き上げ、開栓する注出キャップであっても構わない。
【0017】
ねじ壁部8は、注出筒10の下部に内周縁で連設した段部9の外周縁から垂設され、外周面には第1ねじ部(雄ねじ)24が設けられており、第1ねじ部24は、通常のねじ山のように、断面が上下対称ではなく、上面が急傾斜して形成された傾斜上面と、下面が平坦に形成された平坦下面とから構成されている。
【0018】
図2(a)に示すように、第1ねじ部24は、上端部が180°間隔で始まる2条ねじで形成されている。
なお、本実施例では、第1ねじ部24は、2条ねじとしているが、ねじ壁部8の高さに応じて、3条以上の多条ねじとすることができる。
【0019】
装着部4は、上壁7が内周縁でねじ壁部8の下部と連設され、上壁7の下部には外筒5と内筒6が垂設され、外筒5の内周には、係止突条2に係合して口部1を抜け止めする係止縮径部27が設けられている。
上壁7の上面には、周方向複数個所にストッパー28が設けられ、図2に示すように、その螺脱方向には略垂直な第1当接面28aと、螺着方向には第1傾斜面28bとが形成されている。
【0020】
装着部4(外筒5)の外周下端には、分別機構として、対向する2個所から係止板部Dの連結部30が延設され、それぞれの連結部30の内周のいずれかの側部(本実施例では、図3(b)に示すように下から見て右側)付近の外筒5の内周に下端から係止縮径部27を含んで上方に延びる弱化溝29が凹設され、該部分の外筒5は、破断可能となっている。
【0021】
図2(a)に示すように、係止板部Dは、外筒5の外周下端の対向する2個所から径方向に延設される連結部30と、連結部30の外縁から時計回り方向に、外筒5の外周から隙間を開けて形成されるフランジ部31とからなり、フランジ部31のそれぞれの連結部30の右側部付近には、外周側から内周側に向けて切り込み部32が切り欠かれ、切り込み部32が切り欠かれたフランジ部31の内周側には、切断可能な破断部33が形成されている。
【0022】
フランジ部31は、それぞれの切り込み部32から見て左側上面に、「OPEN」の文字が表示された表示部34を備え、さらに、表示部34の左側に隣接して、突起部35がそれぞれに立設されている。
突起部35は、上から見て、表示部34側を頂角部35aとし、頂角部35aから反対側の内外両側の角部35bに向かって延びる二等辺三角形状に形成されている。さらに、突起部35は、上部を残して下側には、両側の角部35bから互いに距離αの幅を残すように平行に延びる平行面部35cを凹設した嵌合凹部36が設けられ、嵌合凹部36より上方に残った両側の角部35b付近はアンダーカット部37となっている。
【0023】
また、図3(b)に示すように、フランジ部31には、それぞれの突起部35の両側のアンダーカット部37の下に、後述するように、成型時の金型を上下抜きするために、下から見てアンダーカット部37と同じ形で貫かれた貫通孔38が両側に穿設されている。
【0024】
図1図4および図5に示すように、蓋体Cは、キャップ本体Bに螺合するねじキャップC1と、ねじキャップC1の外周下端に間欠的に複数配設された破断可能な弱化連結片42を介して連結されたフランジ状の封緘部C2とから構成されている。
【0025】
ねじキャップC1は、円盤状の頂壁40と、頂壁40の外周縁から垂設された外周壁41とを備え、頂壁40の内面には、内側から順に、切断筒部43と、ねじ筒部44とが垂設され、さらに、切断筒部43と、ねじ筒部44との間に、音出し部材45が配設されている。
音出し部材45は、先端部に振動片が設けられ、蓋体Cをキャップ本体Bに締め込む際に、キャップ本体Bの音出し突部11に振動片が触れて乗り越えて音を発するため、それによって蓋体Cの締め込みの終了を知ることができる。
【0026】
切断筒部43の上方内周には、第1歯部18に係合する第2歯部47が第1歯部18と同数で設けられ、また、切断筒部43の下部内周には、キャップ本体Bの第1係合突部19と係合する第2係合突部46が形成されている。
また、切断筒部43の外周は、注出筒10の内周面に当接して注出口を密閉してシールするように形成されている。
【0027】
ねじ筒部44には、内周にキャップ本体Bの第1ねじ部24を上方から乗り越えるとともに螺合する第2ねじ部(雌ねじ)50が設けられている。
ねじ筒部44の下端面には、ストッパー28に係合するくさび状凹部51が周方向に配設されている。
【0028】
くさび状凹部51には、螺脱方向に略垂直な第2当接面51aが形成され、螺着方向に第2傾斜面51bが形成されており、それぞれストッパー28の第1当接面28a、第1傾斜面28bに対応する形状をなしている。
なお、上記の音出し突部11と音出し部材45による音出し機構や、ストッパー28およびくさび状凹部51は、なくても構わない。
【0029】
封緘部C2は、ねじキャップC1の外周壁41の外周下端に複数配設された破断可能な弱化連結片42を介して連結されるとともに、蓋体Cをキャップ本体Bにセットした際に、下面がキャップ本体Bの係止板部Dのフランジ部31の上面と当接して覆う封緘フランジ部55を備えている。
【0030】
封緘フランジ部55は、蓋体Cをキャップ本体Bに最初にセットした際、係止板部Dのフランジ部31の突起部35を挿入し、少なくとも嵌合凹部36より上部を上方に突出させる略二等辺三角形状に開口された貫通口56と、図4(a)で見て、貫通口56の左側からほぼ距離αの幅で平行の円弧状に延びる内外両側の円弧部57aと両円弧部57a端を繋ぐ端部57bとにより開口された案内開口部57と、が対向する2個所に穿設されている。さらに、封緘フランジ部55上面の案内開口部57の端部57b付近には、開蓋方向を示す矢印等の表示がされた表示体58が設けられている。
【0031】
案内開口部57は、両側の円弧部57aの内方の端部57bからほぼ突起部35の平行面部35cの横方向の長さ離れた個所に係止突起59が突設されており、係止突起59より端部57b側を係止開口部60とし、係止突起59より貫通口56側を表示開口部61として区画されている。また、表示開口部61の横方向の長さは、少なくとも、係止板部Dのフランジ部31の表示部34の横方向の長さとほぼ同じに形成され、同じ位置で表示開口部61を通して表示部34が視認できるようになっている。
【0032】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
まず、本実施例の注出キャップを作製するにあたり、キャップ本体Bは、フランジ部31に、それぞれの突起部35のアンダーカット部37の下に、同じ形状で貫通孔38が穿設されているので、金型の割機構から、貫通孔38の形状に下の金型を設け、突起部35を成型する上の金型を設ける上下抜き機構に変更可能となり、アンダーカット部37を無理抜きすることなく、形状をはっきり形成することができ、作製が容易となる。
【0033】
注出キャップの成型後に、注出キャップを容器本体Aに装着するには、キャップ本体Bの上部から蓋体Cを押し込み、キャップ本体Bと蓋体Cをセットしてから、容器本体Aの口部1にキャップ本体Bの装着部4の環状溝をあてがって打栓する。
【0034】
キャップ本体Bの上部から蓋体Cをセットする際には、キャップ本体Bの注出筒10に蓋体CのねじキャップC1の切断筒部43を載せ、切断筒部43の第2歯部47と移行栓体15の筒状壁16の第1歯部18を係合させるとともに、封緘部C2の封緘フランジ部55のそれぞれの貫通口56の下に、キャップ本体Bの係止板部Dのフランジ部31のそれぞれの突起部35が配置される。
【0035】
この状態から、蓋体Cをキャップ本体Bに押し込むと、ねじキャップC1の第2ねじ部50は、第1ねじ部24を摺接しながら乗り越えて、ねじキャップC1のねじ筒部44は、キャップ本体Bのねじ壁部8に嵌合するようになる。
さらに押し込みが進むと、切断筒部43の第2係合突部46は、移行栓体15の第1係合突部19を乗り越えて拡径部22の外周面に嵌合し、また、ねじ筒部44の下部のくさび状凹部51は、キャップ本体Bの上壁7のストッパー28に嵌合し、蓋体Cがキャップ本体BにねじキャップC1のねじ筒部44とキャップ本体Bのねじ壁部8とが螺合した状態でセットされる。
【0036】
同時に、封緘部C2は、封緘フランジ部55の貫通口56内に、キャップ本体Bの係止板部Dのフランジ部31の突起部35が挿入され、最後は、図1および図6(a)に示すように、封緘フランジ部55がフランジ部31上面を覆い隠すとともに、突起部35の上部のアンダーカット部37が貫通口56より上に突出してセットされる。
【0037】
次に、本実施例の注出キャップが装着された容器を使用するには、蓋体CのねじキャップC1を把持し、キャップ本体Bに対して開蓋方向に回動させ、ねじキャップC1のねじ筒部44の第2ねじ部50と、キャップ本体Bのねじ壁部8の第1ねじ部24との螺合を外すことにより、ねじキャップC1を上昇させながら開蓋する。
【0038】
蓋体Cを回動させると、切断筒部43の第2歯部47の回動とともに、当接するキャップ本体Bの第1歯部18を介して蓋体Cの回動力が移行栓体15に加わるようになる。
このとき、切断筒部43の第2係合突部46が筒状壁16の第1係合突部19に係合しているので、回動に伴って移行栓体15を上方に引き上げる力を発生させる。
【0039】
蓋体Cの回動が進むと、移行栓体15に加わる回動力と引き上げ力により、キャップ本体Bの薄肉弱化部14が破断して注出口が開栓され、注出筒10から分離された移行栓体15は筒状壁16に係合する切断筒部43によって引き上げられて蓋体CのねじキャップC1とともに上昇していく。
【0040】
また、蓋体Cの回動とともに、ねじキャップC1と弱化連結片42で連結された封緘部C2も回動する。
封緘部C2がねじキャップC1とともに回動しても、キャップ本体Bの係止板部Dが回動せず、突起部35が動かないので、図6(b)に示すように、突起部35の内外両側の距離α離れた嵌合凹部36の平行面部35cに封緘部C2の封緘フランジ部55の案内開口部57の内外側の円弧部57aの内面が当接して案内される。
同時に、突起部35の内外側のアンダーカット部37の下面は、封緘フランジ部55の円弧部57a付近の上面に当接して抜けないように案内され、封緘部C2は、係止板部Dの上面に沿って回動する。
【0041】
最後は、図6(c)に示すように、突起部35は、案内開口部57内の係止突起59を乗り越えて、端部57bに当接し、また、両側のアンダーカット部37の下面が封緘フランジ部55の円弧部57a付近の上面と当接して上に外れないように、案内開口部57の係止開口部60内に突起部35が係止される。
また、上から見て、封緘部C2の表示体58が突起部35に近接するとともに、封緘部C2の案内開口部57の表示開口部61の下に、係止板部Dの表示部34が位置し、表示開口部61を通して表示部34が視認できるようになる。
【0042】
フランジ部31の突起部35は、案内開口部57の端部57bに当接して係止開口部60内に係止されると、封緘部C2の封緘フランジ部55は、係止板部Dのフランジ部31と嵌合し、回動が止められる。
さらに、ねじキャップC1の回動が進むと、封緘部C2の封緘フランジ部55は、回動が止められているため、封緘フランジ部55と連結する弱化連結片42が破断し、封緘部C2を残して、ねじキャップC1が上昇していく。
【0043】
以上のように、蓋体Cの開蓋の際に、ねじキャップC1は、キャップ本体Bに対して上昇するのに対して、封緘部C2は、キャップ本体Bの係止板部Dと嵌合し、回動が止められるので、弱化連結片42が破断し、封緘部C2が係止板部Dに残る。
さらに、ねじキャップC1が回動すると、ねじキャップC1のねじ筒部44とキャップ本体Bのねじ壁部8との螺合が外れ、ねじキャップC1が開蓋される。
ねじキャップC1とともに、移行栓体15が除去されたキャップ本体Bの注出筒10の開口から容器本体A内の内容物を注出することができる。
【0044】
再度、ねじキャップC1をキャップ本体Bに閉蓋しても、図6(c)に示すように、封緘部C2は、案内開口部57の係止開口部60内に係止板部Dの突起部35が嵌合した状態で、係止されているので、外観上から、ねじキャップC1と封緘部C2とを連結していた弱化連結片42の破断状況以外に、封緘部C2の表示体58と突起部35との近接、および、封緘部C2の表示開口部61を通して視認できる表示部34により、蓋体Cの開封を一目で確認できる。
【0045】
容器を使用した後、ねじキャップC1をキャップ本体Bに螺合することで、ねじキャップC1の切断筒部43の外周が注出筒10内周に当接して再度容器内を密封することができる。
螺合の完了時には、音出し部材45が、音出し突部11に当接して振動し、音が発せられるので、注出キャップの閉蓋完了を知ることができ、また、ねじキャップC1のねじ筒部44の下部のくさび状凹部51が、キャップ本体Bの上壁7のストッパー28に嵌合することで螺合を止めるので、閉めすぎて開蓋できなくなることを防止することができる。
【0046】
最初の開蓋後に、封緘部C2の封緘フランジ部55がキャップ本体Bの係止板部Dのフランジ部31の上面を覆って嵌合しているので、係止板部Dの上面が露出せず、容器使用中に、係止板部Dのフランジ部31に接触して破断部33を破断することにより、キャップ本体Bの弱化溝29が切断され、容器本体Aから外されることを防止している。
【0047】
本実施例の注出キャップは、容器を使用し終わった後に廃棄する際には、図1に示す封緘部C2の封緘フランジ部55と係止板部Dのフランジ部31との間に指を入れ、フランジ部31の切り込み部32に対して、右側端部を摘みながら破断部33を下方に破断させ、さらに引っ張ることで、反対側に連結された連結部30を介してキャップ本体Bの外筒5の下端部を上方に引っ張り上げると、外筒5の弱化溝29の部分を下方から破断させていく。
【0048】
外筒5の弱化溝29の部分が破断して引っ張られることで、キャップ本体Bの弱化溝29付近の係止縮径部27と容器本体Aの係止突条2との嵌合を外すことができ、キャップ本体Bを容器本体Aから容易に離脱させることで、分別廃棄することができる。
なお、本実施例では、係止板部Dのフランジ部31は、一様の厚さで形成されているが、図2(a)で見て、切り込み部32の右側付近のフランジ部31を他の部分よりも薄肉に形成して、分別廃棄時に、封緘部C2と係止板部Dとの間に指を入れ易くしてもよい。
また、本実施例では、係止板部Dのフランジ部31と封緘部C2の封緘フランジ部55の外径は、同じに設定されているが、係止板部Dのフランジ部31の外径を封緘部C2の封緘フランジ部55の外径よりも大きくして、フランジ部31を掴み易くしてもよい。
【0049】
本実施例では、係止板部Dは、外筒5の外周との間に隙間を設けてフランジ部31を形成しているが、隙間を設けず、切り込み部32から連続する破断可能な弱化部を外筒5の外周に沿って形成しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明の注出キャップは、蓋体を開蓋方向に回動するだけで、蓋体から切り離した封緘部をキャップ本体に確実に係止することにより、キャップ本体の表示部が封緘部の表示開口部から視認でき、封緘部の状態により開封状態であることが一目でわかるから、使用開始前の密封状態を維持する必要がある飲食品や調味料などの容器に利用できる注出キャップとして好適である。
【符号の説明】
【0051】
A 容器本体
B キャップ本体
C 蓋体
C1 ねじキャップ
C2 封緘部
D 係止板部
α 距離
1 口部
2 係止突条
3 ネックリング
4 装着部
5 外筒
6 内筒
7 上壁
8 ねじ壁部
9 段部
10 注出筒
11 音出し突部
12 リップ部
14 薄肉弱化部
15 移行栓体
16 筒状壁
17 上部壁
18 第1歯部
19 第1係合突部
22 拡径部
23 鍔部
24 第1ねじ部(雄ねじ)
27 係止縮径部
28 ストッパー
28a 第1当接面
28b 第1傾斜面
29 弱化溝
30 連結部
31 フランジ部
32 切り込み部
33 破断部
34 表示部
35 突起部
35a 頂角部
35b 角部
35c 平行面部
36 嵌合凹部
37 アンダーカット部
38 貫通孔
40 頂壁
41 外周壁
42 弱化連結片
43 切断筒部
44 ねじ筒部
45 音出し部材
46 第2係合突部
47 第2歯部
50 第2ねじ部(雌ねじ)
51 くさび状凹部
51a 第2当接面
51b 第2傾斜面
55 封緘フランジ部
56 貫通口
57 案内開口部
57a 円弧部
57b 端部
58 表示体
59 係止突起
60 係止開口部
61 表示開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6