(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001857
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】光学ガラスおよび光学素子
(51)【国際特許分類】
C03C 3/068 20060101AFI20231227BHJP
C03C 3/095 20060101ALI20231227BHJP
C03C 3/097 20060101ALI20231227BHJP
C03C 3/093 20060101ALI20231227BHJP
G02B 1/00 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
C03C3/068
C03C3/095
C03C3/097
C03C3/093
G02B1/00
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088604
(22)【出願日】2023-05-30
(31)【優先権主張番号】202210710063.0
(32)【優先日】2022-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】512264046
【氏名又は名称】成都光明光▲電▼股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】CHENGDU GUANG MING GUANG DIAN GLASS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.359,Sec.3,Chenglong Avenue,Long quan yi District,Chengdu,Sichuan China
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】毛 露路
(72)【発明者】
【氏名】匡 波
(72)【発明者】
【氏名】▲ハオ▼ 良振
(72)【発明者】
【氏名】王 友明
【テーマコード(参考)】
4G062
【Fターム(参考)】
4G062AA04
4G062BB01
4G062DA04
4G062DA05
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4G062NN34
(57)【要約】
【課題】内在品質が優れ、精密プレス加工に適する光学ガラスを提供すること。
【解決手段】本発明に係る光学ガラスは、重量%でSiO2:17~47%、B2O3:20~50%、Al2O3:0.5~8%、ZnO:0.5~8%、RO:6~45%、La2O3+Y2O3+Gd2O3:0.5~15%、Li2O+Na2O+K2O:15%未満、ZnO/(La2O3+Y2O3+Gd2O3)は0.2~4.0、の成分を含み、ROはBaO、SrO、CaO、MgOの合計含有量である。合理的な成分設計により、本発明で得られた光学ガラスは、所望の屈折率とアッベ数を有すると同時に、低い降伏点温度と優れた内在品質を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%でSiO2:17~47%、B2O3:20~50%、Al2O3:0.5~8%、ZnO:0.5~8%、RO:6~45%、La2O3+Y2O3+Gd2O3:0.5~15%、Li2O+Na2O+K2O:15%未満、ZnO/(La2O3+Y2O3+Gd2O3):0.2~4.0、の成分を含み、
前記ROはBaO、SrO、CaO、MgOの合計含有量である
光学ガラス。
【請求項2】
重量%でP2O5:0~3%、及び/又はZrO2:0~3%、及び/又は清澄剤:0~1%、の成分をさらに含み、
前記清澄剤はSb2O3、SnO2、Na2SiF6、K2SiF6の一種又は複数種である
請求項1に記載の光学ガラス。
【請求項3】
SiO2、B2O3、Al2O3、ZnOとアルカリ土類金属酸化物を含む光学ガラスであって、
重量%でLa2O3+Y2O3+Gd2O3:0.5~15%、ZnO/(La2O3+Y2O3+Gd2O3):0.2~4.0、の成分をさらに含み、
前記光学ガラスの屈折率ndは1.57~1.61、アッベ数νdは58~64、気泡度はA級以上である
光学ガラス。
【請求項4】
重量%でSiO2:17~47%、及び/又はB2O3:20~50%、及び/又はAl2O3:0.5~8%、及び/又はZnO:0.5~8%、及び/又はRO:6~45%、及び/又はLi2O+Na2O+K2O:15%未満、及び/又はP2O5:0~3%、及び/又はZrO2:0~3%、及び/又は清澄剤:0~1%、の成分を含み、
前記ROはBaO、SrO、CaO、MgOの合計含有量であり、
前記清澄剤はSb2O3、SnO2、Na2SiF6、K2SiF6の一種又は複数種である
請求項3に記載の光学ガラス。
【請求項5】
重量%で表される成分が、
1) B2O3/SiO2は0.55~2.3;
2) (ZrO2+Al2O3)/B2O3は0.05~0.4;
3) BaO/ROは0.4~0.95;
4) RO/B2O3は0.3~1.3;
5) (La2O3+Y2O3+Gd2O3)/ROは0.05~0.9;
6) ZnO/(La2O3+Y2O3+Gd2O3)は0.3~3.0;
7) (Na2O+K2O)/Li2Oは0.1~1.5、のうち1つ以上を満たし、
前記ROはBaO、SrO、CaO、MgOの合計含有量である
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項6】
重量%で表される成分が、
1) B2O3/SiO2は0.7~2.0;
2) (ZrO2+Al2O3)/B2O3は0.05~0.3;
3) BaO/ROは0.5~0.95;
4) RO/B2O3は0.4~1.2;
5) (La2O3+Y2O3+Gd2O3)/ROは0.1~0.6;
6) ZnO/(La2O3+Y2O3+Gd2O3)は0.5~2.0;
7) (Na2O+K2O)/Li2Oは0.1~1.0、のうち1つ以上を満たし、
前記ROはBaO、SrO、CaO、MgOの合計含有量である
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項7】
重量%で表される成分が、
1) B2O3/SiO2は0.8~1.8;
2) (ZrO2+Al2O3)/B2O3は0.05~0.25;
3) BaO/ROは0.65~0.95;
4) RO/B2O3は0.5~1.0;
5) (La2O3+Y2O3+Gd2O3)/ROは0.1~0.4;
6) ZnO/(La2O3+Y2O3+Gd2O3)は0.6~1.6;
7) (Na2O+K2O)/Li2Oは0.2~0.8、のうち1つ以上を満たし、
前記ROはBaO、SrO、CaO、MgOの合計含有量である
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項8】
重量%で表される成分が、
1) B2O3/SiO2は1.0~1.5;
2) (ZrO2+Al2O3)/B2O3は0.05~0.2;
3) BaO/ROは0.7~0.9;
4) RO/B2O3は0.6~0.9;
5) (La2O3+Y2O3+Gd2O3)/ROは0.1~0.35;
6) (Na2O+K2O)/Li2Oは0.25~0.65、のうち1つ以上を満たし、
前記ROはBaO、SrO、CaO、MgOの合計含有量である
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項9】
重量%でSiO2:22~40%、及び/又はB2O3:22~38%、及び/又はAl2O3:1~7%、及び/又はZnO:1~7%、及び/又はRO:8~40%、及び/又はLa2O3+Y2O3+Gd2O3:1~12%、及び/又はLi2O+Na2O+K2O:12%未満、及び/又はP2O5:0~1.5%、及び/又はZrO2:0~2%、及び/又は清澄剤:0~0.8%の成分を含み、
前記ROはBaO、SrO、CaO、MgOの合計含有量であり、清澄剤はSb2O3、SnO2、Na2SiF6、K2SiF6の一種又は複数種である
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項10】
重量%でSiO2:25~38%、及び/又はB2O3:23~35%、及び/又はAl2O3:1~6.5%、及び/又はZnO:1~6%、及び/又はRO:10~35%、及び/又はLa2O3+Y2O3+Gd2O3:2~10%、及び/又はLi2O+Na2O+K2O:8%未満、及び/又はZrO2:0~1%、及び/又は清澄剤:0~0.5%の成分を含み、
前記ROはBaO、SrO、CaO、MgOの合計含有量であり、清澄剤はSb2O3、SnO2、Na2SiF6、K2SiF6の一種又は複数種である
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項11】
重量%でBaO:5~30%、及び/又はSrO:0.5~15%、及び/又はCaO:0~10%、及び/又はMgO:0~5%、及び/又はLa2O3:0.5~10%、及び/又はY2O3:0~8%、及び/又はGd2O3:0~5%、及び/又はLi2O:1~7%、及び/又はNa2O:0.1~7%、及び/又はK2O:0~5%の成分を含む
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項12】
重量%でBaO:8~25%、及び/又はSrO:0.5~12%、及び/又はCaO:0~8%、及び/又はMgO:0~3%、及び/又はLa2O3:1.5~8%、及び/又はY2O3:0~3%、及び/又はGd2O3:0~3%、及び/又はLi2O:3~5.5%、及び/又はNa2O:0.5~5%、及び/又はK2O:0~1%の成分を含む
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項13】
重量%でF:0~5%の成分をさらに含む
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項14】
前記光学ガラスの屈折率ndは1.57~1.61、アッベ数νdは58~64である
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項15】
前記光学ガラスの屈折率ndは1.575~1.60、アッベ数νdは59~63である
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項16】
前記光学ガラスのNd一致性が±50×10-5以内、及び/又はTs安定性が±5℃以内、及び/又は降伏点温度Tsが610℃以下、及び/又は熱膨張係数α20-300℃が85×10-7以下、及び/又は耐酸安定性DAが5類以上、及び/又は耐水安定性DWが4類以上、及び/又は気泡度がA級以上、及び/又はストライプがC級以上、及び/又は1200℃の高温粘度が25dPaS以下、及び/又は900℃の高温粘度が35dPaS以上、及び/又は結晶上限温度が1100℃以下、及び/又は熱可塑性耐結晶安定性がB級以上、及び/又は屈折率温度係数dn/dtが6.0×10-6/℃以下である
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項17】
前記光学ガラスのNd一致性が±30×10-5以内、及び/又はTs安定性が±3℃以内、及び/又は降伏点温度Tsが595℃以下、及び/又は熱膨張係数α20-300℃が81×10-7以下、及び/又は耐酸安定性DAが4類以上、及び/又は耐水安定性DWが3類以上、及び/又は気泡度がA00級、及び/又はストライプがB級以上、及び/又は1200℃の高温粘度が20dPaS以下、及び/又は900℃の高温粘度が50dPaS以上、及び/又は結晶上限温度が1020℃以下、及び/又は熱可塑性耐結晶安定性がA級、及び/又は屈折率温度係数dn/dtが5.0×10-6/℃以下である
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学ガラス。
【請求項18】
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学ガラスで製造されるガラスプリフォーム。
【請求項19】
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学ガラスで製造される光学素子。
【請求項20】
請求項1~4のいずれか一項に記載の光学ガラスを含む光学機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学ガラスに関し、特に内在品質に優れた精密プレス加工に適した光学ガラス、及びそれから製造されたガラスプリフォーム、光学素子及び光学機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学ガラスは、光学機器や機械系におけるレンズ、プリズム、ミラー、窓などの製造に用いるガラス材料である。現在、光学ガラスを光学素子として製造する主な方法は、精密プレス成形(直接プレス法と二次プレス法を含む)であり、精密プレス技術を用いて製造されたレンズは、研削と研磨を行う必要がないため、原材料の消費を減少させ、人的と物的コストを低減し、環境汚染を軽減することができる。したがって、この技術を利用して低コストで大量に光学素子を生産することができる。精密プレスとは、一定の温度、圧力で所定の製品形状を有する高精密金型でガラスプリフォームをプレス成形し、完成品の形状と光学機能を有するガラス製品を得ることである。精密プレス技術により、球面レンズ、非球面レンズ、プリズム、回折格子など、さまざまな光学ガラス製品を製造することができる。
【0003】
スマート運転、顔認識などの技術の急速な発展に伴い、屈折率が1.57~1.61、アッベ数が58~64の範囲内の光学非球面レンズの需要が急速に増加した。また、光学ガラスの内在品質はその応用にとって極めて重要であり、優れた光学ガラス製品は気泡度が低く、気泡さえ含まないことが要求されている。光学ガラス非球面精密プレス加工技術は低コストで非球面レンズを得ることができるため、屈折率が1.57~1.61、アッベ数が58~64、内在品質に優れ、精密プレス加工に適した光学ガラスの開発は光電業界の発展に重要な意義を持つ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、内在品質に優れ、精密プレス加工に適した光学ガラスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明が技術的課題を解決するために採用する技術方案は次のとおりである。
【0006】
(1) 重量%で以下を含む、光学ガラス:SiO2:17~47%、B2O3:20~50%、Al2O3:0.5~8%、ZnO:0.5~8%、RO:6~45%、La2O3+Y2O3+Gd2O3:0.5~15%、Li2O+Na2O+K2O:15%未満であり、ZnO/(La2O3+Y2O3+Gd2O3)は0.2~4.0、前記ROはBaO、SrO、CaO、MgOの合計含有量である。
【0007】
(2) 重量%で以下の成分をさらに含む、(1)に記載の光学ガラス:P2O5:0~3%、及び/又はZrO2:0~3%、及び/又は清澄剤:0~1%であり、前記清澄剤はSb2O3、SnO2、Na2SiF6、K2SiF6の一種又は複数種である。
【0008】
(3) SiO2、B2O3、Al2O3、ZnOとアルカリ土類金属酸化物を含み、重量%で以下の成分をさらに含む、光学ガラス:0.5~15%のLa2O3+Y2O3+Gd2O3であり、ZnO/(La2O3+Y2O3+Gd2O3)は0.2~4.0であり、前記光学ガラスの屈折率ndは1.57~1.61、アッベ数νdは58~64、気泡度はA級以上である。
【0009】
(4) 重量%で以下の成分を含む、(3)に記載の光学ガラス:SiO2:17~47%、及び/又はB2O3:20~50%、及び/又はAl2O3:0.5~8%、及び/又はZnO:0.5~8%、及び/又はRO:6~45%、及び/又はLi2O+Na2O+K2O:15%未満、及び/又はP2O5:0~3%、及び/又はZrO2:0~3%、及び/又は清澄剤:0~1%であり、前記ROはBaO、SrO、CaO、MgOの合計含有量であり、前記清澄剤はSb2O3、SnO2、Na2SiF6、K2SiF6の一種又は復数種である。
【0010】
(5) 重量%で以下の成分を含み、以下の7つの状況の1つ以上を満たす、(1)~(4)の一つに記載の光学ガラス:
1) B2O3/SiO2が0.55~2.3、好ましくはB2O3/SiO2が0.7~2.0、より好ましくはB2O3/SiO2が0.8~1.8、さらに好ましくはB2O3/SiO2が1.0~1.5である;
2) (ZrO2+Al2O3)/B2O3が0.05~0.4、好ましくは(ZrO2+Al2O3)/B2O3が0.05~0.3、より好ましくは(ZrO2+Al2O3)/B2O3が0.05~0.25、さらに好ましくは(ZrO2+Al2O3)/B2O3が0.05~0.2である;
3) BaO/ROが0.4~0.95、好ましくはBaO/ROが0.5~0.95、より好ましくはBaO/ROが0.65~0.95、さらに好ましくはBaO/ROが0.7~0.9である;
4) RO/B2O3が0.3~1.3、好ましくはRO/B2O3が0.4~1.2、より好ましくはRO/B2O3が0.5~1.0、さらに好ましくはRO/B2O3が0.6~0.9である;
5) (La2O3+Y2O3+Gd2O3)/ROが0.05~0.9、好ましくは(La2O3+Y2O3+Gd2O3)/ROが0.1~0.6、より好ましくは(La2O3+Y2O3+Gd2O3)/ROが0.1~0.4、さらに好ましくは(La2O3+Y2O3+Gd2O3)/ROが0.1~0.35である;
6) ZnO/(La2O3+Y2O3+Gd2O3)が0.3~3.0、好ましくはZnO/(La2O3+Y2O3+Gd2O3)が0.5~2.0、より好ましくはZnO/(La2O3+Y2O3+Gd2O3)が0.6~1.6である;
7) (Na2O+K2O)/Li2Oが0.1~1.5、好ましくは(Na2O+K2O)/Li2Oが0.1~1.0、より好ましくは(Na2O+K2O)/Li2Oが0.2~0.8、さらに好ましくは(Na2O+K2O)/Li2Oが0.25~0.65である;
前記ROはBaO、SrO、CaO、MgOの合計含有量である。
【0011】
(6) 重量%で以下の成分を含む、(1)~(4)のいずれか一つに記載の光学ガラス:SiO2:22~40%、好ましくはSiO2:25~38%、及び/又はB2O3:22~38%、好ましくはB2O3:23~35%、及び/又はAl2O3:1~7%、好ましくはAl2O3:1~6.5%、及び/又はZnO:1~7%、好ましくはZnO:1~6%、及び/又はRO:8~40%、好ましくはRO:10~35%、及び/又はLa2O3+Y2O3+Gd2O3:1~12%、好ましくはLa2O3+Y2O3+Gd2O3:2~10%、及び/又はLi2O+Na2O+K2O:12%未満、好ましくはLi2O+Na2O+K2O:10%未満、より好ましくはLi2O+Na2O+K2O:8%未満、及び/又はP2O5:0~1.5%、及び/又はZrO2:0~2%、好ましくはZrO2:0~1%、及び/又は澄清剤:0~0.8%、好ましくは澄清剤:0~0.5%であり、前記ROはBaO、SrO、CaO、MgOの合計含有量であり、澄清剤はSb2O3、SnO2、Na2SiF6、K2SiF6の一種又は複数種である。
【0012】
(7) 重量%で以下の成分を含む、(1)~(4)のいずれか一つに記載の光学ガラス:BaO:5~30%、好ましくはBaO:6~28%、より好ましくはBaO:8~25%、及び/又はSrO:0.5~15%、好ましくはSrO:0.5~13%、より好ましくはSrO:0.5~12%、及び/又はCaO:0~10%、好ましくはCaO:0~9%、より好ましくはCaO:0~8%、及び/又はMgO:0~5%、好ましくはMgO:0~3%、及び/又はLa2O3:0.5~10%、好ましくはLa2O3:1~9%、より好ましくはLa2O3:1.5~8%、及び/又はY2O3:0~8%、好ましくはY2O3:0~5%、より好ましくはY2O3:0~3%、及び/又はGd2O3:0~5%、好ましくはGd2O3:0~3%、及び/又はLi2O:1~7%、好ましくはLi2O:2~6.5%、より好ましくはLi2O:3~5.5%、及び/又はNa2O:0.1~7%、好ましくはNa2O:0.1~6%、より好ましくはNa2O:0.5~5%、及び/又はK2O:0~5%、好ましくはK2O:0~2%、より好ましくはK2O:0~1%である。
【0013】
(8) 重量%で以下の成分をさらに含む、(1)~(4)のいずれか一つに記載の光学ガラス:F:0~10%、好ましくはF:0~5%、より好ましくはF:0~3%である。
【0014】
(9) その成分がP2O5を含まない、及び/又はMgOを含まない、及び/又はGd2O3を含まない、及び/又はFを含まない、(1)~(4)のいずれか一つに記載の光学ガラス。
【0015】
(10) 屈折率ndが1.57~1.61、好ましくは1.575~1.605、より好ましくは1.575~1.60、アッベ数νdが58~64、好ましくは58.5~63.5、より好ましくは59~63である、(1)~(4)のいずれか一つに記載の光学ガラス。
【0016】
(11) Nd一致性が±50×10-5以内、好ましくはNd一致性が±30×10-5以内、及び/又はTs安定性が±5℃以内、好ましくはTs安定性が±3℃以内である、(1)~(4)のいずれか一つに記載の光学ガラス。
【0017】
(12) 降伏点温度Tsが610℃以下、好ましくは600℃以下、より好ましくは595℃以下、及び/又は熱膨張係数α20-300℃が85×10-7以下、好ましくは83×10-7以下、より好ましくは81×10-7以下、及び/又は耐酸安定性DAが5類以上、好ましくは4類以上、及び/又は耐水安定性DWが4類以上、好ましくは3類以上、及び/又は気泡度がA級以上、好ましくはA0級以上、より好ましくはA00級以上、及び/又はストライプC級以上、好ましくはB級以上、及び/又は1200℃の高温粘度が25dPaS以下、好ましくは23dPaS以下、より好ましくは20dPaS以下、及び/又は900℃の高温粘度が35dPaS以上、好ましくは40dPaS以上、より好ましくは50dPaS以上、及び/又は結晶上限温度が1100℃以下、好ましくは1050℃以下、より好ましくは1020℃以下、及び/又は熱可塑性耐結晶安定性がB級以上、好ましくはA級、及び/又は屈折率温度係数dn/dtが6.0×10-6/℃以下、好ましくは5.5×10-6/℃以下、より好ましくは5.0×10-6/℃以下である、(1)~(4)のいずれか一つに記載の光学ガラス。
【0018】
(13) (1)~(12)のいずれか一つに記載の光学ガラスで製造されるガラスプリフォーム。
【0019】
(14) (1)~(12)の一つに記載の光学ガラス又は(13)に記載のガラスプリフォームで製造される光学素子。
【0020】
(15) (1)~(12)の一つに記載の光学ガラスを含み、及び/又は(14)に記載の光学素子を含む光学機器。
【発明の効果】
【0021】
本発明の有益な効果は、以下のとおりである。合理的な成分設計により、本発明により得られる光学ガラスは、所望の屈折率とアッベ数を有すると同時に、低い降伏点温度と優れた内在品質を有する。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明にかかる光学ガラスの実施形態について詳細に説明するが、本発明は以下に説明する実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内で適宜変形して実施することが可能である。さらに、適宜省略はあるものの、記載を繰り返すことによって本発明の主旨が限定されるものではない。以下では、本発明の光学ガラスを単にガラスと称することもある。
【0023】
[光学ガラス]
以下に、本発明の光学ガラスの成分の範囲について説明する。本説明書において、各成分の含有量および合計含有量は、特に指定のない限り、重量パーセント(wt%)で表すものとする。すなわち、各成分の含有量、合計含有量は、酸化組成物に換算するガラス物質の総重量に対する重量パーセントで表すことである。ここでいう「酸化物組成物に換算した」とは、本発明の光学ガラスの組成物の原料として用いた酸化物、錯塩、水酸化物等が溶融時に分解して酸化物に変換された場合の酸化物物質の総重量を100%とした場合のことである。
【0024】
具体的には、本明細書に記載されている数値範囲には、上限値および下限値が含まれ、「以上」および「以下」には端点値、ならびに範囲に含まれるすべての整数および分数が含まれ、範囲が限定されている場合に記載されている具体的な値に限定されるものではない。本明細書で「及び/又は」と呼ばれるものは包括的であり、例えば「A及び/又はB」は、Aのみ、Bのみ、またはAとBの両方を意味する。
【0025】
<必須成分とオプション成分>
SiO2は本発明のガラスの必要な成分であり、その含有量が47%を超える場合、ガラスの屈折率とアッベ数が設計要件より低くなる。一方、ガラスの溶融温度が急速に上昇し、溶融難度が増大し、特に大量のアルカリ金属酸化物成分を含む場合、ガラスの溶融炉に対する浸食能力が急速に上昇し、炉体の耐用年数を低下させると同時に、Nd一致性、Ts安定性の制御難度が増大し、ガラス中の気泡、介在物含有量上昇のリスクがあり、品質要件を満たさなくなる場合がある。SiO2の含有量が17%未満の場合、ガラスの化学安定性が急速に低下し、耐水性が設計要件を満たせず、非球面プリフォームを研磨加工する際に表面に霧状の欠陥が発生しやすく、非球面プリフォーム良品率が低下する。従って、SiO2の含有量が17~47%、好ましくは22~40%、より好ましくは25~38%である。
【0026】
B2O3はガラスの屈折率とアッベ数を向上させ、ガラスのTsを低下させることができる。適量のB2O3を添加することにより、SiO2と同時にガラスネットワークを構成すると、ガラスネットワークの強度をさらに向上させ、ガラスの化学的安定性、特にガラスの耐酸性がさらに向上させることができる。B2O3の含有量が50%を超える場合、B2O3によりガラスネットワークが緩くなり、耐水性が急速に低下する。生産中、B2O3は通常ホウ酸の形で導入され、発明者らの大量の研究を重ねた結果、高含有量のホウ酸は溶解時に溶融炉への浸食を加速することを見出した、一方、溶解において、過剰なホウ酸は揮発を激化させ、ガラス成分が大幅に変化し、Nd一致性とTs安定性が急速に低下する。さらに、ホウ酸は溶解中にH2Oに分解され、H2Oは通常気泡の形で高温ガラス液に存在し、過剰なホウ酸は次の清澄化工程に大きな挑戦をもたらす。B2O3の含有量が20%未満である場合、ガラスのアッベ数とTsがなかなか設計要件を満たすことができない。従って、B2O3の含有量が20~50%、好ましくは22~38%、より好ましくは23~35%である。
【0027】
発明者らの研究を重ねた結果、本発明のガラス系では、B2O3/SiO2の値が2.3より大きい場合、ガラス液は成形温度で液体から固体へ冷却する時間が大幅に増加し、成形時に表面が先に冷却硬化したが、中間部の温度は依然として高く、表面と中間部硬化の時間上の違いが非常に大きく、ガラス内部にストライプを形成しやすく、厚い製品は特に深刻であることを見出した。本発明のガラス系は通常、成形温度が900~1000℃であり、この温度範囲内でその粘度が35dPas未満である場合、ガラスは上記の問題を発生しやすく、ストライプが要件を満たさないことである。従って、好ましくはB2O3/SiO2の値が2.3以下、より好ましくは2.0以下、さらに好ましくは1.8以下、よりさらに好ましくは1.5以下である。B2O3/SiO2の値が0.55未満である場合、ガラスのTsが急速に上昇し、設計目標を達成することが困難であると同時に、ガラスの1200℃の高温粘度が設計目標を達成することが困難である。いくつかの実施形態では、ガラスの1200℃の高温粘度が大きすぎると、ガラス内部の気泡を排除するのは非常に困難であり、気泡を効果的に排除するために温度を上昇させる必要があるが、1200℃以上のガラス液の炉体への浸食能力が急速に上昇する。従って、好ましくはB2O3/SiO2の値が0.55以上、より好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.8以上、よりさらに好ましくは1.0以上である。
【0028】
適量のAl2O3はガラスネットワークを補強し、ガラスの化学的安定性を高め、ガラスの高温粘度を高めることができる。しかし、本発明のガラスにおいて、8%超のAl2O3を添加すると、ガラス中のネットワーク構造が急速に緩く、特にB2O3含有量が比較的高い場合、非球面プリフォームを製造する研磨工程で、素子表面に腐食点が発生しやすく、良品率が急速に低下する。また、Al2O3は分散が大きいため、過剰に含有するとアッベ数が設計要件より低くなる場合がある。その含有量が0.5%未満である場合、ガラス原料の溶融工程で炉体に対する腐食性が急激に上昇し、同時に化学安定性、特に耐水性が急速に低下する。従って、Al2O3の含有量が0.5~8%、好ましくは1~7%、より好ましくは1~6.5%に限定される。
【0029】
ガラスにZrO2を添加することで、炉体に対するガラス液の浸食能力を下げ、溶解炉の耐用年数を延長し、ガラスの耐結晶性を高めることができる。ZrO2の含有量が3%を超える場合、ガラスに不溶物が現れやすくなり、ガラスの内在品質が低下し、ガラスの耐結晶性が急速に低下する。したがって、ZrO2の含有量は3%以下、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下である。
【0030】
いくつかの実施形態では、ZrO2とAl2O3を混合して使用すると、B2O3の構造状態に大きな影響を与え、特にアルカリ土類金属酸化物の含有量が高い場合は、ガラス熱可塑性耐結晶安定性に影響を与える。(ZrO2+Al2O3)/B2O3の値が0.05未満である場合、熱可塑性耐結晶安定性を高めることは顕著ではなく、(ZrO2+Al2O3)/B2O3の値が0.4より大きい場合、ガラスの熱可塑性耐結晶安定性がかえって急速に低下する。従って、好ましくは(ZrO2+Al2O3)/B2O3の値が0.05~0.4、より好ましくは0.05~0.3、さらに好ましくは0.05~0.25、よりさらに好ましくは0.05~0.2である。
【0031】
適量のZnOはガラスの屈折率と化学安定性を著しく向上させ、ガラスの熱膨張係数とTsを低下させることができ、その含有量が0.5%未満である場合、上記の効果が顕著ではない。ZnOの含有量が8%を超え、特にB2O3含有量が比較的高い場合、ガラスのアッベ数が設計要件を満たしにくくなり、ガラスの気泡排除能力が低下する。従って、ZnOの含有量が0.5~8%、好ましくは1~7%、より好ましくは1~6%である。
【0032】
BaO、SrO、CaO、MgOはアルカリ土類金属酸化物であり、適量のアルカリ土類金属酸化物はガラスの屈折率を高め、ガラスの耐結晶安定性を強化することができるが、その合計含有量ROが45%を超える場合、ガラスの耐結晶安定性が急速に低下し、ガラスが乳化さえ発生する。したがって、BaO、SrO、CaO、MgOの合計含有量ROは6~45%、好ましくは8~40%、より好ましくは10~35%である。
【0033】
発明者らは大量の実験研究を重ねた結果、ガラスの耐結晶安定性を向上させる能力から見ると、BaO>SrO>CaO>MgOであることを見出した。したがって、本発明のガラスはBaOを用いてガラスの屈折率と耐結晶安定性を向上させることが好ましいが、その含有量が30%を超える場合、ガラスの耐水性が急速に低下し、ガラスの溶融に気泡の堆積が発生しやすく、解消しにくく、生産プロセスの安定性に深刻な影響を与え、さらにガラスのNd一致性とTs安定性に影響を与えてしまうことである。BaOの含有量が5%未満である場合、ガラスの屈折率が設計要件を満たしにくくなり、ガラスの耐結晶安定性が急速に低下する。従って、BaOの含有量が5~30%、好ましくは6~28%、より好ましくは8~25%である。
【0034】
SrOはガラスの中でBaOと相乗効果を形成し、ガラスの耐結晶安定性をより効果的に向上させるとともに、ガラスの屈折率を高めることにも有利であるが、SrOの含有量が0.5%未満である場合、上述の効果が顕著ではなく、その含有量が15%を超える場合、耐結晶の相乗効果が弱まり、ガラスのコストが急速に上昇する。従って、SrOの含有量が0.5~15%、好ましくは0.5~13%、より好ましくは0.5~12%である。
【0035】
CaOはガラスの耐結晶安定性を向上させ、ガラスの屈折率を高め、ガラスの高温粘度を急速に下げ、気泡排除を比較的容易にすることができる、特にBaOの相対含有量が低い場合、効果が比較的顕著である。CaOの含有量が10%を超える場合、ガラスの耐結晶安定性が急速に低下し、アッベ数が設計要件より低くなる。従って、CaOの含有量が0~10%、好ましくは0~9%、より好ましくは0~8%である。
【0036】
MgOはガラスの安定性を高めることができるが、その含有量が5%を超える場合、ガラスの耐結晶性がかえって急速に低下し、アッベ数が設計要件より低くなる。従って、MgOの含有量が5%以下、好ましくは3%以下に限定され、より好ましくはMgOを含まないことである。
【0037】
いくつかの実施形態では、本発明のガラスのアルカリ土類金属酸化物は主にBaOを用い、BaO/ROの値が好ましくは0.4~0.95、より好ましくは0.5~0.95、さらに好ましくは0.65~0.95、よりさらに好ましくは0.7~0.9である場合、アルカリ土類金属酸化物間の相乗作用によるガラスの結晶上限温度の低下が最も顕著である。
【0038】
いくつかの実施形態では、アルカリ土類金属酸化物によって提供される自由酸素はB2O3ネットワークを強化し、その緻密性を増強し、さらにガラスの耐水性と耐候性を向上させることができるが、RO/B2O3の値が0.3未満である場合、上述の効果が顕著ではなく、熱膨張係数が増加する。RO/B2O3の値が1.3を超える場合、過剰なアルカリ土類金属成分がかえってガラスネットワークを破壊し、ガラスの耐水性と耐候性が急速に低下する。従って、好ましくはRO/B2O3の値が0.3~1.3、より好ましくは0.4~1.2、さらに好ましくは0.5~1.0、よりさらに好ましくは0.6~0.9である。
【0039】
La2O3はガラスの屈折率を高め、ガラスの高温粘度を低下することができるが、その含有量が0.5%未満である場合、上記の効果が顕著ではない。La2O3の含有量が10%を超える場合、ガラスの耐酸性が急速に低下し、ガラスの熱可塑性耐結晶性が急速に低下し、ガラスのTsが上昇する。従って、La2O3の含有量が0.5~10%、好ましくは1~9%、より好ましくは1.5~8%である。
【0040】
Y2O3はガラスに添加することで屈折率と耐熱衝撃性を高めることができるが、その含有量が8%を超える場合、ガラスの化学安定性が急速に低下する。したがって、Y2O3の含有量は、8%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下に限定される。
【0041】
Gd2O3はガラスの屈折率、耐水性と耐候性を高めることができるが、その含有量が5%を超える場合、ガラスのコストが急速に上昇し、耐結晶性が急速に低下する。従って、Gd2O3の含有量が5%以下、好ましくは3%以下に限定され、より好ましくはGd2O3を含まないことである。
【0042】
本発明のガラスは高温溶液から固体状態まで冷却する時間が一般的な光学ガラスより長く、その後さらに2回の高温成形が必要であるため、過剰なLa2O3、Y2O3、Gd2O3を添加するとガラスの熱可塑性耐結晶性が急速に低下し、熱可塑性加工時に結晶を発生し、さらに乳化し、耐酸性の急速な低下を引き起こす。したがって、La2O3、Y2O3、Gd2O3の合計含有量La2O3+Y2O3+Gd2O3は好ましくは0.5~15%、より好ましくは1~12%、さらに好ましくは2~10%である。
【0043】
いくつかの実施形態では、適量のLa2O3、Y2O3、Gd2O3とROはガラスの屈折率とアッベ数を高めることができ、さらに重要なことに、ROを大量に含むことによるガラス耐水性の低下問題を低減すると同時に、耐酸性を設計範囲内に制御し、ガラスの高温粘度を低下させ、さらにガラスの溶解温度を低下させることに有利であり、(La2O3+Y2O3+Gd2O3)/ROの値が0.05未満である場合、上記の効果が顕著ではない。(La2O3+Y2O3+Gd2O3)/ROの値が0.9を超える場合、炉体に対するガラス液の浸食性が上昇し、ガラスの安定性が急速に低下し、Tsが上昇し、設計要件を満たしにくくなる。従って、好ましくは(La2O3+Y2O3+Gd2O3)/ROの値が0.05~0.9、より好ましくは0.1~0.6、さらに好ましくは0.1~0.4、よりさらに好ましくは0.1~0.35である。
【0044】
いくつかの実施形態では、ガラスにLa2O3、Y2O3、Gd2O3などの成分が存在する場合、ガラスの安定性が低下し、冷却時に微細な気泡が発生しやすくなり、製品の廃棄を引き起こす場合がある。発明者らが大量の実験研究を重ねた結果、ZnOがLa2O3、Y2O3、Gd2O3と共存し、ZnO/(La2O3+Y2O3+Gd2O3)の値が0.2~4.0の範囲内である場合、ガラスの安定性及び気泡度の低下を防止できることを見出した。従って、好ましくはZnO/(La2O3+Y2O3+Gd2O3)の値が0.2~4.0、より好ましくは0.3~3.0、さらに好ましくは0.5~2.0、よりさらに好ましくは0.6~1.6である。
【0045】
アルカリ金属酸化物(Li2O、Na2O、K2Oなど)は本発明のガラスの主要な成分の1つであり、その含有量と相対含有量はガラスのTs、屈折率、アッベ数、熱膨張係数、化学安定性と耐結晶性などの重要な指標に大きな影響を与える。
【0046】
単一アルカリ金属酸化物の作用から見ると、Li2OはガラスのTsを下げる能力が最も強く、その含有量が1%未満である場合、ガラスのTsが設計要件より高く、ガラスの化学安定性が急速に低下し、ガラスの高温粘度が急速に上昇する。Li2Oの含有量が7%を超える場合、炉体に対するガラス液の浸食性が急速に増強するだけでなく、溶融中に白金製品を浸食し、ガラスに白金介在物が発生すると同時に、ガラスのNd一致性とTs安定性の制御難易度が比較的高くなる。従って、Li2Oの含有量が1~7%、好ましくは2~6.5%、より好ましくは3~5.5%である。
【0047】
適量のNa2Oはガラスの溶融性能を改善し、ガラスのTsを低下させ、ガラスの高温粘度を低下させることができるが、その含有量が0.1%未満である場合、上記の効果が顕著ではない。Na2Oの含有量が7%を超える場合、炉体に対するガラスの浸食性が上昇し、ガラスの化学安定性が低下すると同時に、熱膨張係数が急速に上昇する。従って、Na2Oの含有量が0.1~7%、好ましくは0.1~6%、より好ましくは0.5~5%である。
【0048】
K2Oの含有量が5%を超える場合、ガラスネットワーク構造の破壊が激しく、ガラスの耐水性と耐候性が設計要件を満たしにくくなる。したがって、K2Oの含有量は、5%以下、好ましくは2%以下、より好ましくは1%以下に限定される。
【0049】
発明者らが研究を重ねた結果、Li2O、Na2O、K2Oの3種類のアルカリ金属酸化物が混合して存在する場合、複雑な相乗効果が発生し、炉体への浸食性、高温粘度、及び屈折率温度係数にさらに影響を与えることを見出した。非球面レンズを使用することで、レンズの使用数を大幅に削減しながら、高精細なイメージングを実現することができる。ただし、温度差が比較的大きい環境で使用するレンズ(車載、安全レンズなど)については、ガラスの屈折率温度係数が大きすぎ、レンズ数が少ない場合、レンズの「温度ドリフト」は極めて制御しにくくなり、異なる温度で結像品質が異なる深刻な問題が発生する。本発明者らは、いくつかの実施形態では、Li2O+Na2O+K2Oの値が好ましくは15%未満、より好ましくは12%未満、さらに好ましくは10%未満、よりさらに好ましくは8%未満である場合、炉体に対するガラス液の浸食性が低下し、Ts安定性が設計要件を満たし、ガラスの屈折率温度係数が設計要件を超えないことを見出した。
【0050】
いくつかの実施形態では、(Na2O+K2O)/Li2Oの値が好ましくは0.1~1.5、より好ましくは0.1~1.0、さらに好ましくは0.2~0.8、よりさらに好ましくは0.25~0.65である場合、炉体に対するガラス液の浸食性が低下し、Ts安定性が設計要件を満たし、ガラスの屈折率温度係数が設計要件を超えない。さらに重要なことに、上記3種類のアルカリ金属酸化物が上記範囲内にあれば、より低い熱膨張係数を実現することもでき、これは非球面プレス加工におけるレンズの破裂を減少させることに非常に重要であり、非球面プレス加工の自由度と安定性を大幅に向上させる。
【0051】
P2O5はガラスの屈折率と分散を調整することができるが、本発明のガラス系において、その含有量が3%を超える場合、ガラスの耐結晶性が急速に低下し、ガラスの溶融生産、ブランク二次プレス加工、非球面精密プレス加工などの重要な工程に壊滅的な影響を与えるため、その含有量が3%以下、好ましくは1.5%以下に限定され、より好ましくはP2O5を含まないことである。
【0052】
適量のF(フッ素)はガラスのTsを顕著に低下させ、ガラスのアッベ数を上昇させ、ガラス中のアルカリ金属酸化物の使用を減少させることができる。その含有量が10%を超える場合、Fは高温溶融中で極めて揮発しやすく、その単位含有量は屈折率、アッベ数に対する影響が特に大きいため、溶融過程でNd一致性、Ts安定性が極めて制御しにくくなり、後続の非球面プレス加工に壊滅的な影響を与えてしまうことである。したがって、Fの含有量は、10%以下、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下に限定される。成分設計がTsの設計要件を満たすことができれば、さらに好ましくはFを含まないことである。
【0053】
Sb2O3、SnO2、Na2SiF6、K2SiF6などは清澄剤として使用でき、ガラスの気泡度を高めるのに有利であり、単独または組み合わせて存在する場合は1%以下、好ましくは0.8%以下、より好ましくは0.5%以下である。
【0054】
成分設計によってガラスの溶融性を最適化し、ガラスの気泡度を向上させるほか、類似の高粘度ケイ酸塩ガラスは通常、酸化物成分を硝酸塩で導入することでガラスの溶融性と気泡度を最適化する。硝酸塩は溶融過程で窒素元素のほとんどがNOXガスとして大気中に排出され、窒素酸化物は人体の健康に極めて大きな損害を与え、長期吸入は肺癌を引き起こすリスクがある。したがって、発明者らは、ガラスの溶融性能を保証しながら、窒素酸化物の排出を低減するための研究に取り組んでいる。本発明者らが大量の実験研究を重ねた結果、硝酸塩をKNO3及びBa(NO3)2などの方式で導入し、上述の清澄剤(Sb2O3、SnO2、Na2SiF6、K2SiF6など)と混合して使用する場合、ガラスの気泡度が品質要件を満たし、窒素酸化物の排出量をより低いレベルに低減できることを発見した。換算により、ガラス原料におけるN(窒素)元素含有量(理論ガラスを100 Kg溶融する場合のN元素導入量/100Kgガラス重量×100%)は2.0%未満、好ましくは1.5%未満、より好ましくは1.0%未満である。
【0055】
<含まれるべきでない成分>
本発明のガラスにおいては、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の遷移金属の酸化物は、単独又は複合的に少量に含まれる場合でも、ガラスが着色され、可視光領域における特定の波長が吸収され、本発明の可視光透過効果を弱めるので、特に可視光領域の波長透過率を要求する光学ガラスは、実際には含まないことが好ましい。
【0056】
Th、Cd、Tl、Os、Be及びSeの酸化物は、近年、有害な化学物質として使用を制御する傾向にあり、ガラスの製造工程だけでなく、加工工程及び完成品の処置に至るまで、環境保護への取り組みが必要である。そのため、環境への影響を重視する場合は、不可避な混入以外は、それらを含まないことが好ましい。これにより、光学ガラスは実際に環境を汚染する物質を含まなくなる。したがって、本発明の光学ガラスは、特殊な環境措置を講じなくても、製造、加工及び廃棄が可能である。環境に配慮するため、本発明の光学ガラスは、As2O3及びPbOを含まないことが好ましい。
【0057】
本明細書に記載されている「加えない」、「含まない」、「0%」という用語は、この成分を本発明のガラスの原料として意図的に添加しなかったことを意味する。しかし、ガラスを製造するための原料及び/又は設備として、意図的に添加されていない不純物や成分が、最終的なガラス中に少量または微量に存在することがあり、それらも本発明の特許の対象となる。
【0058】
以下では、本発明の光学ガラスの性能について説明する。
<屈折率とアッべ数>
光学ガラスの屈折率(nd)とアッべ数(νd)は、GB/T7962.1-2010に規定された方法に従って試験されている。いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスの屈折率(nd)は1.57~1.61、好ましくは屈折率(nd)が1.575~1.605、より好ましくは屈折率(nd)が1.575~1.60である。いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスのアッベ数(νd)が58~64、好ましくはアッベ数(νd)が58.5~63.5、より好ましくはアッベ数(νd)が59~63である。
【0059】
<Nd一致性>
生産時に24時間ごとにガラスサンプルを計5個抽出し、アニールした後、GB/T7962.1-2010に規定された方法で屈折率(Nd)を測定し、標準値との差はNd一致性とする。いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスのNd一致性が±50×10-5以内、好ましくはNd一致性が±30×10-5以内である。
【0060】
<降伏点温度>
光学ガラスの降伏点温度(Ts)は、GB/T7962.16-2010に規定された方法に従って測定される。いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスの降伏点温度(Ts)が610℃以下、好ましくは降伏点温度(Ts)が600℃以下、より好ましくは降伏点温度(Ts)が595℃以下である。
【0061】
<Ts安定性>
生産時に24時間ごとにガラスサンプルを計5個抽出し、アニールした後、GB/T7962.16-2010に規定された方法に従ってTsを測定し、標準値との差はTs安定性とする。いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスのTs安定性が±5℃以内、好ましくはTs安定性が±3℃以内である。
【0062】
<熱膨脹係数>
光学ガラスの熱膨張係数(α20-300℃)は、GB/T7962.16-2010に規定された方法に従って20~300℃で測定したデータである。いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスの熱膨張係数(α20-300℃)が85×10-7以下、好ましくは熱膨張係数(α20-300℃)が83×10-7以下、より好ましくは(α20-300℃)が81×10-7以下である。
【0063】
<耐酸安定性>
光学ガラスの耐酸安定性(DA)(粉末法)は、GB/T17129に規定された方法で試験されている。本明細書では、耐酸安定性を耐酸性と呼ぶことがある。いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスの耐酸安定性(DA)が5類以上、好ましくは耐酸安定性(DA)が4類以上である。
【0064】
<耐水安定性>
光学ガラスの耐水安定性(DW)(粉末法)は、GB/T17129に規定された方法で試験されている。本明細書では、耐水安定性を耐水性と呼ぶことがある。いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスの耐水安定性(DW)が4類以上、好ましくは耐水安定性(DW)が3類以上である。
【0065】
<気泡度>
光学ガラスの気泡度は、GB/T7962.8-2010に規定された方法に従って試験されている。いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスの気泡度がA級以上、好ましくはA0級以上、より好ましくはA00級である。
【0066】
<ストライプ>
光学ガラスのストライプは、点光源とレンズで構成されたストライプメーターを用いて、標準試料を最もストライプが見えやすい方向から比較し確認する。グレードは4段階に分けられる。具体的には表1を参照する。いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスのストライプはC級以上、好ましくはB級以上である。
【表1】
【0067】
<高温粘度>
光学ガラスの高温粘度は次の方法に従って試験される:THETA Rheotronic II高温粘度計を用いて回転法で試験し、数値単位はdPaS(ポアズ)であり、その数値が小さいほど粘度が小さいことを示す。いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスの1200℃の高温粘度が25dPaS以下、好ましくは1200℃の高温粘度が23dPaS以下、より好ましくは1200℃の高温粘度が20dPaS以下である。いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスの900℃の高温粘度が35dPaS以上、好ましくは900℃の高温粘度が40dPaS以上、より好ましくは900℃の高温粘度が50dPaS以上である。
【0068】
<耐結晶性>
非球面精密プレス加工に応用されるガラスについては、高温成形、高温二次プレス加工、高温精密プレス加工など、3段階の高温加工が必要であるため、ガラスの耐結晶安定性が非常に重要である。耐結晶安定性が2種類に分けられる、1つはガラス液が液体から固体状態に冷却する過程における耐結晶性であり、結晶上限温度で代表し、高温二次プレス加工、高温精密プレス加工における耐結晶性は、熱可塑性耐結晶試験で代表することができる。本明細書で記載されている耐結晶性(又はガラスの安定性)は、一般に、上記の2種類の耐結晶性を指す。
【0069】
耐結晶安定性は2種類に分けられる、1つはガラス液が高温(1000~1200℃)液体から固体状態に冷却する過程における耐結晶性であり、結晶上限温度で代表し、高温二次プレス加工、高温精密プレス加工における耐結晶性は、熱可塑性耐結晶試験で代表することができる。
【0070】
結晶上限温度の試験方法は以下の通りである:温度勾配炉法を用いてガラスの結晶性能を測定し、180×10×10mmのガラス試料を側面研磨し、勾配温度(10℃/cm)炉に入れて最高温度範囲が1400℃まで昇温し、4時間保温した後、取り出して室温まで自然冷却し、顕微鏡でガラスの結晶状況を観察し、ガラスの失透が発生する最高温度は、すなわちガラスの結晶上限温度とする。いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスの結晶上限温度が1100℃以下、好ましくは1050℃以下、より好ましくは1020℃以下である。
【0071】
熱可塑性耐結晶安定性試験方法は以下の通りである:20×20×10mmに加工された試料を両面研磨し、試料をT
s+200℃の結晶析出炉に入れて30分間保温し、取り出して冷却した後、2つの大きい表面を研磨し、表2に基づいてガラスの耐結晶性能を判断し、A級が最も良く、E級が最も悪い。いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスの熱可塑性耐結晶安定性がB級以上、好ましくはA級であり、耐結晶性が優れる。
【表2】
【0072】
<屈折率温度係数>
ガラスの屈折率温度係数(dn/dt)は、GB/T7962.4-2010で規定された方法に従って、40~60℃の範囲内の光学ガラスの屈折率温度係数(dライン dn/dt relative(10-6/℃))を測定する。いくつかの実施形態では、本発明の光学ガラスの屈折率温度係数(dn/dt)は6.0×10-6/℃以下、好ましくは5.5×10-6/℃以下、より好ましくは5.0×10-6/℃以下である。
【0073】
[製造方法]
本発明の光学ガラスの製造方法は以下のとおりである:本発明のガラスは、酸化物、水酸化物、フッ化物、様々な塩類(炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、リン酸塩、メタリン酸塩)、ホウ酸等を含むがこれらに限定されない従来の原料、従来の工程で製造され、常法により配合した後、調製した炉材を1400~1550℃の溶解炉(白金、金又は白金合金のるつぼなど)に投入して溶融する。その後、清澄化、均一化して、気泡や未溶解物のない均質な溶融ガラスを得るとともに、この溶融ガラスを金型に入れて鋳造し、焼きなましを行う。当業者であれば、実際の必要に応じて、原料、製法およびプロセスパラメータを適宜選択することができる。
【0074】
[ガラスプリフォーム及び光学素子]
直接滴下成形や研磨加工、又は熱プレス成形などのプレス成形加工方法を用いて、作成された光学ガラスでガラスプリフォームを製造することができる。すなわち、直接精密滴下成形により溶融光学ガラスを精密なガラスプリフォームに製造するか、研削や研磨などの機械加工によりガラスプリフォームを製造するか、光学ガラスを使用してプレス成形用のプリフォームブランクを作製し、このプリフォームブランクを熱プレス加工して研磨し、ガラスプリフォームを作製することができる。なお、光学プリフォームの製造手段は上記手段に限定されないことを説明されたい。
【0075】
上記のように、本発明の光学ガラスは、各種光学素子及び光学設計に有用であり、特に本発明の光学ガラスからブランクを形成し、このブランクを用いて熱プレス成形、精密プレス成形等を行い、レンズ、プリズム等の光学素子を作製することが好ましい。
【0076】
本発明の光学プリフォーム及び光学素子は、いずれも上記本発明の光学ガラスから形成されている。本発明の光学プリフォームは、光学ガラスが備えている優れた特性を有し、本発明の光学素子は、光学ガラスが備えている優れた特性を有し、光学的価値の高いさまざまなレンズ、プリズム等の光学素子を提供することができる。
【0077】
レンズの例としては、レンズ表面が球面または非球面の凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどのさまざまなレンズが挙げられる。本発明に記載のレンズは、自動車ランプのレンズをさらに含む。
【0078】
[光学機器]
本発明の光学ガラスによる光学素子は、写真装置、撮像装置、投影装置、表示装置、車載装置(ランプを含む)及び監視装置等を含むがこれらに限定されない光学機器の製造に使用することができる。
【実施例0079】
<光学ガラス実施例>
本発明の技術的解決策をさらに明確に説明するために、以下の非限定的な実施例を提供する。
【0080】
本実施例は、上記した光学ガラスの製造方法を用いて、表3~表5に示す組成を有する光学ガラスを得るものである。また、各ガラスの特性を本発明に記載の試験方法により測定し、その結果を表3~表5に表した。
【表3】
【0081】
【0082】
【0083】
<ガラスプリフォーム実施例>
光学ガラスの実施例1~20で得られたガラスを、研磨加工や熱プレス成形、精密プレス成形などのプレス成形手段を用いて、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどのさまざまなレンズ、プリズムなどのプリフォームを作製する。
【0084】
<光学素子実施例>
上記光学プリフォームの実施例で得られたプリフォームを焼き戻しし、屈折率などの光学特性が所望の値に達するように、ガラス内部のひずみを低減しながら屈折率を微調整する。
【0085】
次に、各プリフォームを研削し、研磨し、凹メニスカスレンズ、凸メニスカスレンズ、両凸レンズ、両凹レンズ、平凸レンズ、平凹レンズなどのさまざまなレンズ、プリズムを作製する。得られた光学素子の表面には反射防止膜を塗布することもできる。
【0086】
<光学機器実施例>
上記光学素子の実施例で製造された光学素子は、光学設計により、1つまたは複数の光学素子を用いて光学部品または光学コンポーネントを形成することにより、撮像装置、センサ、顕微鏡、医薬技術、デジタル投影、通信、光学通信技術/情報伝送、自動車分野における光学/照明、フォトリソグラフィ技術、エキシマレーザ、ウエハ、コンピュータチップ及びこのような回路及びチップを含む集積回路及び電子デバイス、又は車載分野の撮像設備と装置に用いることができる。