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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018578
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】吐水装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 17/00 20060101AFI20240201BHJP
   A47K 1/00 20060101ALI20240201BHJP
   E03D 11/00 20060101ALI20240201BHJP
   E03C 1/042 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A47K17/00
A47K1/00 B
E03D11/00 Z
E03C1/042 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121997
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】執行 佳史
(72)【発明者】
【氏名】片家 夕子
(72)【発明者】
【氏名】木村 知之
【テーマコード(参考)】
2D037
2D039
2D060
【Fターム(参考)】
2D037EA04
2D039CD01
2D060BA03
2D060BA05
2D060BB01
2D060BF01
(57)【要約】
【課題】前後方向の奥行を薄型にするコンパクト化を図りつつ、パネル部の強度を向上させることができる吐水装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る吐水装置は、吐水部と、吐水部へ給水する給水部と、設置面に対向するように設置されるパネル部とを備える。パネル部の裏面と設置面との間には、パネル部とは別体に形成される補強部と、給水部の少なくとも一部を収容する給水部収容部とが設けられる。補強部は、給水部収容部を形成するように設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐水部と、
前記吐水部へ給水する給水部と、
設置面に対向するように設置されるパネル部と
を備え、
前記パネル部の裏面と前記設置面との間には、
前記パネル部とは別体に形成される補強部と、
前記給水部の少なくとも一部を収容する給水部収容部と
が設けられ、
前記補強部は、
前記給水部収容部を形成するように設けられること
を特徴とする吐水装置。
【請求項2】
前記給水部は、
前記補強部に固定されること
を特徴とする請求項1に記載の吐水装置。
【請求項3】
前記パネル部の裏面に取り付けられ、前記パネル部を前記設置面に対して着脱可能に固定する固定部
を備え、
前記パネル部は、
前記補強部に固定されていないこと
を特徴とする請求項1に記載の吐水装置。
【請求項4】
前記補強部は、
前記設置面に固定されること
を特徴とする請求項1に記載の吐水装置。
【請求項5】
前記補強部は、
所定間隔をあけて複数設けられること
を特徴とする請求項1に記載の吐水装置。
【請求項6】
前記補強部は、
隣接する前記補強部と連結するように設けられること
を特徴とする請求項5に記載の吐水装置。
【請求項7】
前記補強部は、
前記パネル部の少なくとも左右方向の端部まで設けられること
を特徴とする請求項1に記載の吐水装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、吐水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばトイレ室内などの壁面に設置される吐水装置が知られている(例えば特許文献1参照)。かかる吐水装置において、吐水部へ給水する給水管が壁面の表側に設けられて収容されることで、例えば壁面の裏側での給水工事を不要にし施工性の向上を図る技術も知られている(例えば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-029124号公報
【特許文献2】特開2002-345662号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記した吐水装置にあっては、前後方向の奥行を薄型にするコンパクト化が望まれている。そこで、例えば吐水部が取り付けられるパネル部の裏面側に空洞部分が形成され、かかる空洞部分に給水管が収容されることで、奥行を薄型にしてコンパクト化することが考えられる。
【0005】
しかしながら、上記のようにパネル部に空洞部分が形成されると、パネル部の強度が低下するおそれがあり、改善の余地があった。
【0006】
実施形態の一態様は、前後方向の奥行を薄型にするコンパクト化を図りつつ、パネル部の強度を向上させることができる吐水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る吐水装置は、吐水部と、前記吐水部へ給水する給水部と、設置面に対向するように設置されるパネル部とを備え、前記パネル部の裏面と前記設置面との間には、前記パネル部とは別体に形成される補強部と、前記給水部の少なくとも一部を収容する給水部収容部とが設けられ、前記補強部は、前記給水部収容部を形成するように設けられることを特徴とする。
【0008】
このように、補強部が給水部収容部を形成するように設けられるようにしたので、給水部を収容する給水部収容部(収容空間)を確保しつつ、吐水装置において前後方向の奥行を薄型にするコンパクト化を図ることができるとともに、パネル部の強度を向上させることができる。
【0009】
また、前記給水部は、前記補強部に固定されることを特徴とする。
【0010】
これにより、給水部の荷重がパネル部に作用することを抑制することができ、パネル部における撓みなどの発生を抑止することができる。すなわち、パネル部において、給水部収容部と対応する部分は、上記した補強部が無い状態で給水部を収容している。そのため、例えば給水部の荷重がパネル部に直接作用すると、パネル部に撓みなどが発生するおそれがある。そこで、給水部が補強部に固定されることで、給水部の荷重がパネル部に作用することを抑制することができ、パネル部における撓みなどの発生を抑止することができる。
【0011】
また、前記パネル部の裏面に取り付けられ、前記パネル部を前記設置面に対して着脱可能に固定する固定部を備え、前記パネル部は、前記補強部に固定されていないことを特徴とする。
【0012】
このような固定部を用いることで、パネル部を設置面に確実に固定することが可能になる。また、パネル部の設置面に対する取り付けや取り外しを容易に行うことができる。すなわち、パネル部と補強部とが固定されていた場合、パネル部が補強部の分だけ重くなってしまう。パネル部が重いと、固定部を設置面に強固に固定する必要が生じたり、パネル部の取り付けや取り外しの際にパネル部に撓みが生じたりするおそれがある。そこで、パネル部と補強部とが固定されないようにすることで、パネル部の軽量化を図ることができる。そのため、上記した固定部を設置面に強固に固定する必要が生じず、また、パネル部の取り付けや取り外しを容易に行うことができる。
【0013】
さらに、補強部とパネル部とが別体であるため、パネル部を設置面に取り付ける際、作業者は、例えばパネル部の設置面への押し込み加減を補強部で調整しながら、パネル部を固定部を介して設置面に固定することができる。そのため、パネル部が設置面とパネル部の裏面との間の収容空間(給水部収容部)に押し込まれ過ぎて、パネル部に過剰な力が加わることを抑制でき、結果としてパネル部に撓み等が発生することを抑制することができる。
【0014】
また、前記補強部は、前記設置面に固定されることを特徴とする。
【0015】
このように、補強部が設置面に固定されることで、補強部を設置面に対して適切な位置に固定することができる。すなわち、例えば補強部が設置面に固定されず、パネル部に固定される場合、作業者は、パネル部の取り付けの際、パネル部に固定された補強部の位置を調整しながら設置面に固定することとなり、補強部を設置面の適切な位置に固定することが難しかった。そこで、補強部が設置面に固定されることで、補強部の位置を調整する必要がなく、よって補強部を設置面に対して適切な位置に固定することができる。
【0016】
また、前記補強部は、所定間隔をあけて複数設けられることを特徴とする。
【0017】
このように、補強部が所定間隔をあけて複数設けられるようにしたので、例えば補強部材として必要最小限の量で、パネル部の強度を確保することが可能になる。
【0018】
また、前記補強部は、隣接する前記補強部と連結するように設けられることを特徴とする。
【0019】
これにより、補強部が複数ある場合であっても、補強部を一つ一つ設置する必要がないため、複数の補強部を容易に設置することができる。
【0020】
また、前記補強部は、前記パネル部の少なくとも左右方向の端部まで設けられることを特徴とする。
【0021】
このように、補強部がパネル部の左右方向の端部まで設けられることで、パネル部の左右方向の端部付近が撓むことを抑制することができ、パネル部を適切に補強することができる。
【発明の効果】
【0022】
実施形態の一態様によれば、吐水装置において、前後方向の奥行を薄型にするコンパクト化を図りつつ、パネル部の強度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施形態に係る吐水装置を示す全体斜視図である。
図2図2は、吐水装置の背面図である。
図3図3は、吐水装置の部分拡大背面図である。
図4図4は、図3のIV-IV線断面図である。
図5A図5Aは、図3のV-V線断面図である。
図5B図5Bは、図5Aにおける吐水装置の分解図である。
図6図6は、図3のVI-VI線断面図である。
図7図7は、ガイド部付近の拡大断面図である。
図8A図8Aは、並列に配置された給水路等を説明するための図である。
図8B図8Bは、並列に配置された給水路等を説明するための図である。
図9図9は、変形例に係る吐水装置の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する吐水装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0025】
(実施形態)
図1は、実施形態に係る吐水装置を示す全体斜視図である。なお、図1および図2以降に示す図は、いずれも模式図である。
【0026】
また、図1では、説明の便宜のために、互いに直交するX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向を規定し、Z軸正方向を鉛直上向き方向とする3次元の直交座標系を図示している。かかる直交座標系は、後述の説明に用いる他の図面でも示す場合がある。また、以下の説明では、例えば吐水装置1が設置されたときの状態を基準として、直交座標系におけるX軸正方向を「右方」、X軸負方向を「左方」、Y軸正方向を「前方」あるいは「正面側」、Y軸負方向を「後方」あるいは「背面側」、Z軸正方向を「上方」、Z軸負方向を「下方」と記載する場合がある。
【0027】
図1に示すように、吐水装置1は、壁付け式であり、壁面Wに設置される。なお、吐水装置1は、例えばトイレ室内の壁面Wに設置される手洗い装置であるが、これに限定されるものではない。すなわち、吐水装置1は、例えば洗面所やキッチンなどその他の場所の壁面に設置されてもよい。なお、壁面Wは、設置面の一例である。
【0028】
吐水装置1は、手洗い器10、カウンタ20、吐水部30およびパネル部40などを備える。
【0029】
手洗い器10は、水受け部11を備える。水受け部11は、例えばボウル状に形成され、吐水部30から吐水される水を受ける。水受け部11は、受けた水を排水孔12(後述する図4参照)から排水管13(図4参照)へ排水する。なお、「水」という表現は、上水(水道水)などの常温の水の他、湯や湯水混合水、冷水などを含む意味で用いる場合がある。
【0030】
カウンタ20は、例えば板状の部材であり、手洗い器10の下方に設けられる。カウンタ20は、例えばキャビネット110の天板である。なお、カウンタ20は、例えば壁面Wあるいは床面などに固定されて設置されてもよい。そして、カウンタ20には、手洗い器10が載置される。
【0031】
吐水部30は、水を手洗い器10に向けて吐水する。例えば、吐水部30は自動水栓である。具体的には、吐水部30は、人体検知センサ31(後述する図4参照)を備え、例えば吐水部30付近に使用者の手などが差し出されたこと検知すると、自動的に水を吐水口32(図4参照)から吐水する。
【0032】
パネル部40は、例えば平板状に形成される。なお、パネル部40は、例えば木製の板材であり、おもて面40a側に樹脂製の化粧板を有する構成であるが、これは例示であって限定されるものではない。
【0033】
パネル部40は、手洗い器10の背面側(後側。Y軸負側)およびカウンタ20の上方(Z軸正方向)に位置される。すなわち、パネル部40は、手洗い器10の背面側の壁部でもある。また、パネル部40のおもて面40a、言い換えると手洗い器10側の面には、吐水部30が設けられる(取り付けられる)。また、パネル部40は、設置面である壁面Wに対向するように位置されて設置(固定)される。なお、パネル部40の壁面Wへの固定については、後に詳説する。
【0034】
上記したパネル部40やカウンタ20などは、左右方向(X軸方向)に幅広となるように構成される。一例としては、パネル部40やカウンタ20などがトイレ室の壁面Wにおいて左右方向(X軸方向)の全域にわたって形成される。なお、上記では、パネル部40やカウンタ20などが、左右方向に幅広となるように構成される例を示したが、これに限られず、パネル部40等は、例えば手洗い器10と同程度の左右幅となるように構成されてもよい。
【0035】
ところで、上記した壁面Wに設置される吐水装置1にあっては、前後方向(Y軸方向)の奥行を薄型にするコンパクト化が望まれている。そこで、パネル部の裏面側に給水管を収容する空洞部分を形成することで、コンパクト化することが考えられるが、パネル部に空洞部分が形成されると、パネル部の強度が低下するおそれがある。
【0036】
そこで、本実施形態に係る吐水装置1にあっては、前後方向の奥行を薄型にするコンパクト化を図りつつ、パネル部40の強度を向上させることができるように構成した。
【0037】
この構成について、図2~4も参照しつつ説明する。図2は、吐水装置1の背面図であり、図3は、吐水装置1の部分拡大背面図である。図4は、図3のIV-IV線断面図である。なお、図4では、理解の便宜のため、壁面Wを含めて図示している。
【0038】
図1図4に示すように、吐水装置1は、上記した手洗い器10等(図1,4参照)に加え、給水部50(図1で見えず)と、電線60(図1,4で見えず)と、補強部70(図1で見えず)と、給水部収容部80(図1で見えず)と、固定部90(図1,4で見えず)と、給水部用固定部100(図1で見えず)とを備える。
【0039】
給水部50は、吐水部30に接続され、吐水部30へ給水する。給水部50の一部は、給水部収容部80に収容されるが、これについては後述する。また、給水部50の詳細な構成についても後述する。
【0040】
電線60は、吐水部30に設けられた人体検知センサ31に接続される。例えば、電線60は、人体検知センサ31に電力を供給する電源線や、人体検知センサ31と後述する電磁弁121(図2参照)との間で信号の送受信を行う信号線などを含む。なお、電線60は、かかる電源線や信号線が可撓性を有するチューブ内に収容されて構成される。なお、かかるチューブは例えば樹脂製であるが、これに限られない。そして、電線60は、給水部50と同様に、給水部収容部80を構成する収容空間に収容されるが、これについては後述する。
【0041】
次に、補強部70、給水部収容部80および固定部90などについて図5A,5Bも参照しつつ説明する。図5Aは、図3のV-V線断面図である。図5Bは、図5Aにおける吐水装置1の分解図である。
【0042】
補強部70、給水部収容部80および固定部90は、図2,5Aなどに示すように、パネル部40の裏面40bと設置面である壁面Wとの間に設けられる。
【0043】
補強部70は、パネル部40を補強する補強部材であり、パネル部40とは別体に形成される。また、補強部70は、例えば平板状に形成される。
【0044】
また、補強部70は複数(図2の例は7個)あり、複数の補強部70は、所定間隔Cをあけて設けられる。かかる所定間隔Cは、パネル部40において適切な強度を確保できる程度の値に設定される。また、所定間隔Cは、一定の間隔であることを要さず、設置される場所に応じて任意の値に設定可能である。
【0045】
このように、本実施形態にあっては、補強部70が所定間隔Cをあけて複数設けられるようにしたので、例えば補強部材として必要最小限の量で、パネル部40の強度を確保することが可能になる。
【0046】
また、補強部70は、パネル部40の左右方向の端部41aまで設けられる。言い換えると、補強部70は、パネル部40の端部41aに位置するように設けられる。
【0047】
このように、補強部70がパネル部40の左右方向の端部41aまで設けられることで、パネル部40の端部41a付近が撓むことを抑制することができ、パネル部40を適切に補強することができる。
【0048】
また、補強部70は、パネル部40の上端部42aから下端部42bまで鉛直方向(Z軸方向)に沿って延在するように設けられる。言い換えると、補強部70は、パネル部40の上端部42aから下端部42bに亘って設けられる。
【0049】
このように、補強部70がパネル部40の上端部42aから下端部42bまで設けられることで、パネル部40の上端部42aや下端部42b付近が撓むことを抑制することができ、パネル部40を適切に補強することができる。
【0050】
また、本実施形態に係る補強部70は、給水部収容部80を形成するように設けられる。詳しくは、複数の補強部70のうち、吐水部30に対応する位置にある補強部70(具体的には吐水部30の背面側に位置する補強部70)は、図3に示すように、所定間隔C1あけて設けられる。そして、この所定間隔C1あけて設けられた2個の補強部70の間に、給水部収容部80が形成される。
【0051】
かかる給水部収容部80には、給水部50の一部が収容される。すなわち、給水部収容部80は、給水部50の一部を収容する収容空間である。言い換えると、図5Aに示すように、パネル部40と壁面Wと補強部70との間に、給水部収容部80(収容空間)が形成される。
【0052】
このように、本実施形態においては、給水部50が壁面Wの表側に設けられることから、例えば壁面Wの裏側での給水工事などを不要にすることができる。これにより、比較的短期間でかつ低コストで吐水装置1を設置することが可能となり、吐水装置1の施工性を向上させることができる。
【0053】
また、上記したように、補強部70が給水部収容部80を形成するように設けられるようにした。これにより、給水部50を収容する収容空間(給水部収容部80)を確保しつつ、吐水装置1において前後方向の奥行を薄型にするコンパクト化を図ることができるとともに、パネル部40の強度を向上させることができる。
【0054】
固定部90は、パネル部40を壁面Wに固定する部材であり、パネル部40とは別体に形成される。また、固定部90は、例えば平板状に形成される。
【0055】
また、固定部90は複数あり、固定部90は、隣接する補強部70の間に設けられる。また、固定部90は、パネル部40の上端部42a付近において左右方向に沿って延在するように設けられる。なお、図3等の例では、給水部収容部80を形成する補強部70の間に、固定部90が設けられない例を示したが、これに限定されるものではなく、固定部90が設けられてもよい。また、図2等に示す固定部90が設けられる位置は、あくまでも例示であって限定されるものではない。
【0056】
固定部90は、パネル部40を壁面Wに対して着脱可能に固定する。言い換えると、固定部90は、パネル部40を壁面Wに対して取り外し可能に固定する。ここで、固定部90によるパネル部40の壁面Wへの固定(取り付け)について、図5A,5Bを参照しつつ説明する。
【0057】
図5Bに示すように、パネル部40が壁面Wに固定される前(取り付けられる前)の状態において、固定部90はパネル部40の裏面40bに取り付けられている。また、上記した補強部70は、パネル部40に固定されておらず、壁面Wに固定されている。
【0058】
そして、パネル部40は、図示しない作業者によって壁面Wに近づけられ(矢印G参照)、続いてパネル部40の表側から例えばネジなどによって固定部90を介して壁面Wに固定される。また、例えば吐水装置1のメンテナンス時などにおいては、作業者は、かかるネジを外せば、パネル部40を壁面Wから取り外すことができ、メンテナンスを容易に行うことができる。
【0059】
このように、本実施形態に係る固定部90は、パネル部40の裏面40bに取り付けられ、パネル部40を壁面Wに対して着脱可能に固定するようにした。また、パネル部40は、補強部70に固定されないようにした。
【0060】
このような固定部90を用いることで、パネル部40を壁面Wに確実に固定することが可能になる。
【0061】
また、パネル部40の壁面Wに対する取り付けや取り外しを容易に行うことができる。すなわち、パネル部40と補強部70とが固定されていた場合、パネル部40が補強部70の分だけ重くなってしまう。パネル部40が重いと、固定部90を壁面Wに強固に固定する必要が生じたり、パネル部40の取り付けや取り外しの際にパネル部40に撓みが生じたりするおそれがある。本実施形態にあっては、パネル部40と補強部70とが固定されていないため、パネル部40の軽量化を図ることができる。そのため、上記した固定部90を壁面Wに強固に固定する必要が生じず、また、パネル部40の取り付けや取り外しを容易に行うことができる。
【0062】
さらに、補強部70とパネル部40とが別体であるため、パネル部40を壁面Wに取り付ける際、作業者は、例えばパネル部40の壁面Wへの押し込み加減を補強部70で調整しながら、パネル部40を固定部90を介して壁面Wに固定することができる。そのため、パネル部40が壁面Wとパネル部40の裏面40bとの間の収容空間(給水部収容部80)に押し込まれ過ぎて、パネル部40に過剰な力が加わることを抑制でき、結果としてパネル部40に撓み等が発生することを抑制することができる。
【0063】
また、補強部70は、図5Bに示すように、設置面である壁面Wに固定される。なお、補強部70と壁面Wとは、図示しないネジなどによって固定されるが、これに限定されるものではない。
【0064】
このように、補強部70が壁面Wに予め固定されることで、補強部70を壁面Wに対して適切な位置に固定することができる。すなわち、例えば補強部70が壁面Wに固定されず、パネル部40に固定される場合、作業者は、パネル部40の取り付けの際、パネル部40に固定された補強部70の位置を調整しながら壁面Wに固定することとなり、補強部70を壁面Wの適切な位置に固定することが難しかった。本実施形態にあっては、補強部70が壁面Wに固定されることで、補強部70の位置を調整する必要がなく、よって補強部70を壁面Wに対して適切な位置に固定することができる。
【0065】
給水部用固定部100は、給水部50および吐水部30を補強部70に固定する。例えば給水部用固定部100は、パネル部40の裏面40b側であって、給水部50および吐水部30と対応する位置に設けられる。また、給水部用固定部100には、給水部50が挿通される孔部が形成され、これにより給水部50を保持する。そして、図示しない作業者によって、パネル部40の表側から例えばネジなどが、吐水部30、パネル部40、給水部用固定部100および補強部70に挿通されて締結固定される。これにより、給水部50および吐水部30は、給水部用固定部100を介して補強部70に固定される。
【0066】
これにより、給水部50や吐水部30の荷重がパネル部40に作用することを抑制することができ、パネル部40における撓みなどの発生を抑止することができる。すなわち、パネル部40において、給水部収容部80と対応する部分は、上記した補強部70が無い状態で給水部50を収容している。そのため、例えば給水部50や吐水部30の荷重がパネル部40に直接作用すると、パネル部40に撓みなどが発生するおそれがある。本実施形態にあっては、給水部50や吐水部30が給水部用固定部100を介して補強部70に固定されているため、給水部50や吐水部30の荷重がパネル部40に作用することを抑制することができ、パネル部40における撓みなどの発生を抑止することができる。
【0067】
なお、補強部70には、給水部用固定部100を収容可能な切欠き部70aが形成される。これにより、給水部用固定部100は、給水部50等を固定する状態において、補強部70の切欠き部70aに収容されることとなり、よって吐水装置1の前後方向(Y軸方向)の奥行が、給水部用固定部100によって増大してしまうことを抑制することができる。
【0068】
また、本実施形態にあっては、給水部収容部80の前後方向(Y軸方向)の奥行B(後述する図6参照)を可及的に小さくすることで、壁面Wからパネル部40のおもて面40aまでの奥行Yd(図4参照)を小さくして薄型にし、吐水装置1のコンパクト化を図るようにした。
【0069】
具体的に説明すると、図3に示すように、給水部50は、給水管51と、給水路52と、分流部53と、合流部54(図4参照。図4においてブロックで示す)とを備える。
【0070】
給水管51は、壁面Wに設けられた止水栓120(図3においてブロックで示す)を介して図示しない水道管などの給水源に接続される。また、給水管51と止水栓120との間には、自動水栓用の電磁弁121(図3においてブロックで示す)が接続される。かかる電磁弁121は、吐水部30の人体検知センサ31(図4参照)から、例えば吐水部30付近に使用者の手などが差し出されたことを示す検知信号が出力されている間、開弁して流路を開放する一方、検知信号の出力が停止すると、閉弁して流路を閉塞する。なお、給水管51は、可撓性を有する材質(例えばシリコンなどの樹脂)により製作されるが、材質はこれに限定されるものではない。
【0071】
給水路52は、複数(例えば2つ(2本))あり、給水管51の下流側に分流部53を介して接続される。すなわち、分流部53は、給水管51からの水を複数の給水路52へ分流する。
【0072】
また、給水路52の下流側には、合流部54(図4参照)が接続され、合流部54の下流側には吐水部30の吐水口32が接続される。すなわち、合流部54は、複数の給水路52からの水を合流させる。そして、合流部54において合流した水は、吐水部30の吐水口32から吐出される。なお、上記では、給水路52を2つとしたが、これに限定されるものではなく、例えば3つ(3本)以上であってもよい。
【0073】
上記したように、複数の給水路52には、同一の給水管51から供給された水が流れるものとする。言い換えると、複数の給水路52には、同一の給水系統から供給された水が流れるものとするが、これに限定されるものではない。
【0074】
複数の給水路52はそれぞれ、上流側の給水管51より細くなるように形成される。具体的には、図3に示すように、複数の給水路52はそれぞれ、外形寸法(外径)A2が給水管51の外形寸法(外径)A1より小さくなるように形成される(A2<A1)。ここで、給水路52の外形寸法A2は、例えば複数の給水路52を流れる水の流量の合計(総流量)が、上流側の給水管51を流れる水の流量と同じあるいは同等となるような値に設定される。なお、複数の給水路52は、全て同じ外形寸法A2に設定されるが、これに限られず、複数の給水路52の一部あるいは全部が、互いに異なる外形寸法となるように設定されてもよい。
【0075】
そして、上記のように構成された複数の給水路52は、図2図4などに示すように、給水部収容部80(収容空間)内に配置される。これにより、給水部収容部80の奥行B(図6参照)を、例えば給水管51が収容されるように構成した場合に比べて小さくして薄型にすることができる。そのため、壁面Wからパネル部40のおもて面40aまでの奥行Yd(図4参照)を小さくして薄型にでき、よって吐水装置1において奥行を薄型にしコンパクト化することができる。
【0076】
また、本実施形態に係る給水部50にあっては、給水管51より細い外形寸法A2の給水路52を複数(ここでは2つ)備えることで、例えば給水管51から供給される水量を維持しつつ吐水部30から吐出させることが可能となる。
【0077】
ここで、例えば仮に、上記した給水路52が銅管など剛性の高い材料で製作された場合、施工時における給水路52の接続やメンテナンス時における給水路52の取り外しなどの際に、給水路52を取り回しにくくなって、結果として施工性やメンテナンス性の低下を招くおそれがある。
【0078】
そこで、本実施形態に係る複数の給水路52はそれぞれ、可撓性を有するように構成される。なお、給水路52としては、例えば樹脂製(塩化ビニールやシリコンなど)のチューブを用いることができるが、これに限定されるものではない。
【0079】
このように、複数の給水路52が可撓性を有することで、施工時やメンテナンス時において給水路52を取り回し易くなり、施工性やメンテナンス性の低下を抑制することができ、よって施工性等をより向上させることができる。
【0080】
但し、給水路52は、上記したように可撓性を有し、複数あるため、施工時やメンテナンス時に、複数の給水路52がばらばらになってしまったり、絡み合ってねじれが発生したりするおそれがあった。
【0081】
そこで、本実施形態に係る吐水装置1にあっては、給水路52におけるねじれの発生などを抑制することができるような構成とした。
【0082】
以下、かかる構成について具体的に説明する。給水部50は、複数の給水路52を束ねるガイド部56を備える。ガイド部56はさらに、電線60を複数の給水路52と一緒に束ねることができる。
【0083】
詳しくは、ガイド部56は、複数(例えば2つ)ある。なお、以下では、給水部50の上方(Z軸正方向)に設けられるガイド部56aを「第1ガイド部56a」、下方(Z軸負方向)に設けられるガイド部56bを「第2ガイド部56b」と記載する場合があるが、これらを特に区別せずに説明する場合には「ガイド部56」と記載する。
【0084】
図6は、図3のVI-VI線断面図であり、図7は、図6に示すガイド部56(正確には第1ガイド部56a)付近の拡大断面図である。なお、図7では、図示の簡略化のため、電線60において、電源線や信号線を省略して斜線を付している。
【0085】
図6,7等に示すように、ガイド部56は、給水部収容部80内に配置される。そして、ガイド部56は、図3,7等に示すように、複数の給水路52および電線60を束ね、複数の給水路52および電線60が上下方向(Z軸方向)沿って延在するようにガイドする。
【0086】
ガイド部56の構成について図7を参照して詳説すると、ガイド部56は、第1固定部材561と、第2固定部材562と、連結部563と、係止部564とを備える。なお、ガイド部56は、例えば樹脂製であるが、これに限定されるものではなく、例えば金属製などであってもよい。
【0087】
第1固定部材561には、給水路用溝部561aと、電線用溝部561bとが形成される。給水路用溝部561aは、給水路52が配置される部位であり、給水路52の外形に即した湾曲形状となるように形成される。電線用溝部561bは、電線60が配置される部位であり、電線60の外形に即した湾曲形状となるように形成される。なお、電線60の外形寸法(外径)は、給水路52の外形寸法(外径)より小さいが、これに限定されるものではない。
【0088】
ガイド部56には、2つ(2本)の給水路52が配置されるため、給水路用溝部561aが2つ形成される。ガイド部56には、1つの電線60が配置されるため、電線用溝部561bが1つ形成される。また、給水路用溝部561aおよび電線用溝部561bは、左右方向(X軸方向)に並列になるように形成される。詳しくは、電線用溝部561bは、複数(ここでは2つ)の給水路用溝部561aの間になるようにして、左右方向に並んで形成される。
【0089】
第2固定部材562は、第1固定部材561と対応する形状となるように形成される。例えば、第2固定部材562には、給水路用溝部562aと、電線用溝部562bとが形成される。給水路用溝部562aは、給水路52の外形に即した湾曲形状となるように形成される。電線用溝部562bは、電線60の外形に即した湾曲形状となるように形成される。また、ガイド部56には、給水路用溝部562aが2つ、電線用溝部562bが1つ形成される。また、給水路用溝部562aおよび電線用溝部562bは、左右方向(X軸方向)に並列になるように形成される。詳しくは、電線用溝部562bは、複数(ここでは2つ)の給水路用溝部562aの間になるようにして、左右方向に並んで形成される。
【0090】
連結部563は、第1固定部材561と第2固定部材562とを連結する。例えば、連結部563は、第1固定部材561の一端と第2固定部材562の一端とを連結する。従って、第1固定部材561の他端と第2固定部材562の他端とは連結されていないため、開閉可能とされる。
【0091】
係止部564は、第1固定部材561と第2固定部材562とを係止する。例えば、係止部564は、第1固定部材561の他端と第2固定部材562の他端とを係止して固定する。逆に言えば、第1、第2固定部材561,562の他端は、係止部564によって係止されない場合、開放された状態となる。
【0092】
上記のように構成されたガイド部56においては、例えば第1、第2固定部材561,562の他端が開放された状態で、第1、第2固定部材561,562の間に給水路52および電線60が挿入される。第1、第2固定部材561,562の間に挿入された給水路52および電線60は、それぞれ対応する給水路用溝部561a,562aおよび電線用溝部561b,562bに配置される。そして、係止部564によって第1固定部材561と第2固定部材562とが係止されることで、ガイド部56は、図7に示すように複数の給水路52および電線60を束ねることができる。
【0093】
このように、本実施形態に係る給水部50は、複数の給水路52を束ねる(結束する)ガイド部56を備えるようにした。これにより、例えば施工時やメンテナンス時に、複数の給水路52がばらついてねじれが発生することを抑制することができる。また、本実施形態にあっては、ガイド部56によって複数の給水路52のねじれ等の発生が抑制されるため、施工時やメンテナンス時において給水路52の取り回しが容易となり、施工性等をより向上させることができる。
【0094】
また、本実施形態に係るガイド部56は、複数の給水路52および電線60を束ねて(結束して)固定する。これにより、例えば施工時やメンテナンス時に、複数の給水路52および電線60がばらついてねじれが発生することを抑制することができ、施工時やメンテナンス時において給水路52および電線60の取り回しが容易となり、結果として施工性等をより一層向上させることができる。
【0095】
また、複数の給水路52は、上記のように構成されたガイド部56によって左右方向(X軸方向)に並列になるように束ねられて固定される。これにより、給水部収容部80の前後方向(Y軸方向)の奥行B(図6参照)を、例えば複数の給水路52が前後方向に並列になる場合に比べて小さくして薄型にすることができる。そのため、壁面Wからパネル部40のおもて面40aまでの奥行Yd(図4参照)をより小さくして薄型にでき、よって吐水装置1において奥行を薄型にしよりコンパクト化することができる。
【0096】
また、電線60は、複数の給水路52と左右方向に並列になるようにガイド部56によって束ねられて固定される。これにより、給水部収容部80の前後方向(Y軸方向)の奥行B(図6参照)を、例えば電線60と複数の給水路52とが前後方向に並列になる場合に比べて小さくして薄型にすることができる。そのため、壁面Wからパネル部40のおもて面40aまでの奥行Yd(図4参照)をより小さくして薄型にでき、よって吐水装置1において奥行を薄型にしよりコンパクト化することができる。
【0097】
ここで、複数の給水路52および電線60は、上記したように左右方向に並列に配置されるが、必ずしも左右方向に直線状に並んで配置されることを要しない。これについて、図8Aおよび図8Bを参照して説明する。図8Aおよび図8Bは、並列に配置された給水路52および電線60を説明するための図である。なお、図8Aは複数の給水路52および電線60を上方から見たときの模式平面図であり、図8Bは、複数の給水路52を左右方向から見たとき(正確にはX軸負側から正方向に向けて見たとき)の模式側面図である。なお、ここでは、理解の便宜のため、2つの給水路52うち、一方の給水路52に符号521を付し、他方の給水路52に符号522を付して説明する。
【0098】
まず、一方の給水路521および他方の給水路522の並列配置について説明する。図8Aに実線で示すように、一方の給水路521と他方の給水路522とは、左右方向(X軸方向)に直線状に並んで配置されるが、これに限定されるものではない。すなわち、図8Aに一点鎖線で示すように、例えば一方の給水路521と他方の給水路522とが、前後方向(Y軸方向)にずれて配置された状態であってもよく、詳しくは図8Bに示すように、側面視において一方の給水路521と他方の給水路522とは少なくとも一部が重なるようにして、左右方向に並列に配置されていればよい。なお、図8Bでは、理解の便宜のため、一方の給水路521と他方の給水路522とが重なる部位Fをドットで示している。
【0099】
このように、一方の給水路521と他方の給水路522とは、側面視において少なくとも一部が重なるようにして、左右方向に並列に配置されていれば、上記したように、壁面Wからパネル部40のおもて面40aまでの奥行Yd(図4参照)を小さくして、よって吐水装置1をコンパクト化することができる。
【0100】
次に、給水路521,522と電線60との並列配置について説明する。図8Aに実線で示すように、給水路521,522と電線60とは、左右方向(X軸方向)に直線状に並んで配置されるが、これに限定されるものではない。すなわち、図8Aに二点鎖線で示すように、例えば給水路521,522と電線60とが、前後方向(Y軸方向)にずれて配置された状態であってもよい。すなわち、図示は省略するが、側面視において給水路521,522と電線60とは少なくとも一部が重なるようにして、左右方向に並列に配置されていればよい。
【0101】
好ましくは、電線60は、給水路521,522の外径における前端521a,522aと、給水路521,522の後端521b,522bとの間(例えば図8Aにおいて、他方の給水路522が実線で示される位置にある場合は範囲D1で示される間であり、他方の給水路522が一点鎖線で示される位置にある場合は範囲D2で示される間)に位置するようにして、給水路521,522と左右方向に並列に配置されていればよい。
【0102】
このように、給水路521,522と電線60とが並列配置されていれば、上記したように、壁面Wからパネル部40のおもて面40aまでの奥行Yd(図4参照)を小さくして、よって吐水装置1をコンパクト化することができる。
【0103】
図3に戻ってガイド部56や給水路52、電線60等の説明を続ける。図3に示すように、電線60は、複数の給水路52の間に配置される。
【0104】
これにより、例えば施工時等において電線60が意図しない隙間に挟まってしまうことを抑制することができる。すなわち、例えば施工する際、パネル部40と設置場所(例えばカウンタ20や壁面W)との間の隙間に、給水路52や電線60が挟まってしまうおそれがある。このとき、ガイド部56によって束ねられる給水路52および電線60においては、パネル部40と設置場所との隙間に近い外側に配置されるものの方が挟まれやすい。ここで、例えば仮に、電線60が給水路52より左右方向において外側に配置されると、電線60が挟まったことに施工者が気づかず、電線60が徐々に劣化して断線して気づくなど、施工不良の発見が遅れてしまうおそれがある。これに対し、本実施形態にあっては、電線60は、複数の給水路52の間に配置されるため、パネル部40と設置場所との隙間から遠くなり、隙間に挟まってしまうことを抑制することができる。また、左右方向において外側に配置される給水路52が、仮に隙間に挟まってしまった場合であっても、給水路52の流路が狭まるため、吐水部30からの吐出される流量が減少する吐水不良を施工者は視覚的に認識できるため、施工不良を早期に発見することができる。
【0105】
また、上記したように、電線60の外形寸法(外径)は、給水路52の外形寸法(外径)より小さい。従って、給水路52よりも外径が小さい電線60、言い換えると、隙間に挟まれやすい電線60を、挟まれやすい外側ではなく内側に設ける(外径の大きい給水路52の間に設ける)ことによって、電線60が隙間に挟まれてしまうことをより一層抑制することができる。
【0106】
次に、ガイド部56の数および取付位置などについて説明する。ガイド部56は、給水部収容部80において少なくとも2つ設けられる、別言すれば複数設けられる。詳しくは、図3,4等に示すように、第1ガイド部56aは、給水部収容部80の上方(Z軸正方向)であって吐水部30付近に設けられ、第2ガイド部56bは、給水部収容部80の上下方向(Z軸方向)における中央付近に設けられる。
【0107】
このように、本実施形態にあっては、ガイド部56が給水部収容部80において少なくとも2つ設けられることで、給水部収容部80内での給水路52のねじれ等を抑制することができる。すなわち、例えば給水部収容部80内は、パネル部40と壁面Wとの間であるため、外部からの視認が困難であり、給水路52にねじれ等が生じてしまって吐水不良が起きると、原因の発見が遅れてしまうおそれがある。本実施形態にあっては、ガイド部56が給水部収容部80内に少なくとも2つ設けられるため、外部からの視認が困難な給水部収容部80内での給水路52のねじれ等を抑制することができる。
【0108】
第1、第2ガイド部56a,56bはともに、給水路52において直線状の部位に設けられる(取り付けられる)。具体的に説明すると、給水路52は、図4に示すように、接続部52aと、屈曲部52bと、直線部52cとを備える。接続部52aは、吐水部30に接続される、正確には、合流部54を介して吐水部30の吐水口32に接続される。屈曲部52bは、接続部52aから下流側に向かって屈曲形状を有し、吐水部30の内部および給水部収容部80を通る部位である。直線部52cは、屈曲部52bから下流側に向かって直線状を有し、給水部収容部80を上下方向(Z軸方向)に沿って通る部位である。第1、第2ガイド部56a,56bは、かかる直線部52cに設けられる。
【0109】
これにより、ガイド部56(第1、第2ガイド部56a,56b)は、給水路52を適切にガイドすることができる。すなわち、例えば仮に、第1ガイド部56aが直線部52cではなく、屈曲部52bに設けられた場合、屈曲部52bの復元力(例えば屈曲部52bが元の直線状に戻ろうとする力)によって、給水路52が所期の位置にガイドされず、結果として第1ガイド部56aがパネル部40や壁面Wに当たってしまい、給水路52に不要な力(負荷)が作用するおそれがある。本実施形態にあっては、ガイド部56(例えば第1、第2ガイド部56a,56b(詳しくは第1ガイド部56a))が、屈曲部52bから下流側に位置する直線部52cに設けられることから、可撓性を有する給水路52が所期の位置に適切にガイドされ、結果として給水路52に不要な力が作用することも抑制することができる。
【0110】
なお、上記では、ガイド部56が2つである例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、ガイド部56は、例えば1つであっても、3つ以上であってもよいが、少なくとも2つあることが好ましい。
【0111】
上述してきたように、実施形態に係る吐水装置1は、吐水部30と、吐水部30へ給水する給水部50と、設置面(壁面W)に対向するように設置されるパネル部40とを備える。パネル部40の裏面40bと設置面との間には、パネル部40とは別体に形成される補強部70と、給水部50の少なくとも一部を収容する給水部収容部80とが設けられる。補強部70は、給水部収容部80を形成するように設けられる。これにより、吐水装置1において、前後方向の奥行を薄型にするコンパクト化を図りつつ、パネル部40の強度を向上させることができる。
【0112】
(変形例)
次に、変形例について図9を参照しつつ説明する。図9は、変形例に係る吐水装置1の背面図である。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同様の部分については、既に説明した部分と同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0113】
図9に示すように変形例において、補強部70は、隣接する補強部70と連結するように設けられる。具体的には、隣接する2個の補強部70の間には、連結部71が設けられる。
【0114】
連結部71は、隣接する2個の補強部70を連結する。正確には、連結部71は、隣接する2個の補強部70の一部(より正確には、パネル部40の上下方向における中心線Hを含む部分であって、パネル部40の下端部42b側の部分)を連結する。
【0115】
これにより、変形例にあっては、補強部70が複数ある場合であっても、補強部70を一つ一つ設置する必要がないため、複数の補強部70を容易に設置することができる。
【0116】
また、連結部71は、パネル部40の上下方向における中心線Hを含む部分を連結することから、補強部70は、パネル部40の中心線H付近における強度を向上させることができる。また、連結部71は、パネル部40の下端部42b側の部分を連結することから、補強部70は、パネル部40の下端部42b側における強度を向上させることができる。
【0117】
なお、上記では、連結部71がパネル部40の下端部42b側の部分を連結するようにしたが、これに限られず、例えばパネル部40の上端部42a側の部分を連結するようにしてもよい。
【0118】
なお、上記した実施形態および変形例では、給水部収容部80は、給水部50の一部を収容するようにしたが、これに限定されるものではなく、給水部50の全部を収容するようにしてもよい。すなわち、給水部収容部80は、給水部50の少なくとも一部を収容していればよい。
【0119】
また、上記では、吐水装置1の吐水部30が自動水栓である例を示したが、これに限られず、手動水栓であってもよい。
【0120】
また、上記した給水部収容部80は、パネル部40の裏面40bに形成された凹部(ザグリ形状)であってもよい。
【0121】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。従って、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0122】
1 吐水装置
30 吐水部
40 パネル部
50 給水部
70 補強部
80 給水部収容部
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8A
図8B
図9