(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018586
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】検出装置、検出システム、及び伝搬部材
(51)【国際特許分類】
G01N 29/28 20060101AFI20240201BHJP
G01N 29/11 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G01N29/28
G01N29/11
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122010
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004026
【氏名又は名称】弁理士法人iX
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 真拡
(72)【発明者】
【氏名】高橋 宏昌
【テーマコード(参考)】
2G047
【Fターム(参考)】
2G047AB07
2G047BA03
2G047BB06
2G047BC03
2G047GB02
2G047GB28
2G047GE01
2G047GE06
2G047GE08
(57)【要約】
【課題】伝搬部材における気泡の発生を抑制できる、検出装置、検出システム、及び伝搬部材を提供する。
【解決手段】実施形態に係る検出装置は、検出器と、第1伝搬部材と、第2伝搬部材と、固定具と、を備える。前記検出器は、超音波を送信して反射波を検出する。前記第1伝搬部材は、前記検出器に取り付けられ、前記超音波が伝搬する。前記第2伝搬部材は、前記第1伝搬部材の第1面と接する第2面を有する。前記第2面は、凸部を有する。前記第2伝搬部材は、前記第1伝搬部材よりも軟らかい。前記第2伝搬部材は、前記第1伝搬部材を伝搬した前記超音波が伝搬する。前記固定具は、前記第2伝搬部材の周囲を前記第1伝搬部材に向けて押し付ける。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を送信して反射波を検出する検出器と、
前記検出器に取り付けられ、前記超音波が伝搬する第1伝搬部材と、
前記第1伝搬部材の第1面と接する第2面を有し、前記第2面が凸部を有し、前記第1伝搬部材よりも軟らかく、前記第1伝搬部材を伝搬した前記超音波が伝搬する第2伝搬部材と、
前記第2伝搬部材の周囲を前記第1伝搬部材に向けて押し付ける固定具と、
を備えた、検出装置。
【請求項2】
前記検出器から前記第1伝搬部材に向かう第1方向に垂直な第2方向における前記第2面の長さは、前記第2方向における前記第1面の長さよりも長い、請求項1記載の検出装置。
【請求項3】
前記第2伝搬部材は、
前記固定具に押さえられる第1領域と、
前記第1領域に囲まれ、前記第1領域よりも前記第1方向に向けて突出し、対象に接触する第2領域と、
を含む、請求項2記載の検出装置。
【請求項4】
前記第2方向における前記第2領域の長さは、前記第2方向における前記第1面の長さよりも長い、請求項3記載の検出装置。
【請求項5】
前記第2伝搬部材の一部は、前記第1伝搬部材の前記第2方向と交差する面の一部に接触する、請求項2~4のいずれか1つに記載の検出装置。
【請求項6】
前記検出器は、複数の検出素子を含む素子アレイを備え、
前記複数の検出素子のそれぞれは、前記超音波を送信して前記反射波を検出し、
前記第2方向における前記第1面の長さは、前記第2方向における前記素子アレイの長さよりも短い、請求項2~4のいずれか1つに記載の検出装置。
【請求項7】
前記第2面は、複数の前記凸部及び複数の凹部を有する、請求項1~4のいずれか1つに記載の検出装置。
【請求項8】
前記第2伝搬部材は、前記検出器から前記第1伝搬部材に向かう第1方向に沿って前記第2伝搬部材を貫通する孔を有する、請求項1~4のいずれか1つに記載の検出装置。
【請求項9】
アスカーゴム硬度計F型によって測定される前記第2伝搬部材の硬さは、40よりも大きく60未満である、請求項1~4のいずれか1つに記載の検出装置。
【請求項10】
請求項1~4のいずれか1つに記載の検出装置と、
前記検出器で検出された前記反射波の強度を示す強度データに基づき、前記超音波を反射した対象を検査する処理装置と、
を備えた、検出システム。
【請求項11】
前記対象は、溶接部を含む接合体であり、
前記処理装置は、前記溶接部を検査する、請求項10記載の検出システム。
【請求項12】
請求項1~4のいずれか1つに記載の検出装置と、
先端に前記検出装置が設けられたマニピュレータと、
を備えた、検出システム。
【請求項13】
超音波を送信して反射波を検出する検出器と、
前記検出器に取り付けられ、前記超音波が伝搬する第1伝搬部材と、
前記第1伝搬部材よりも軟らかく、前記第1伝搬部材を伝搬した前記超音波が伝搬する第2伝搬部材と、
前記第2伝搬部材の周囲を前記第1伝搬部材に向けて押し付ける固定具と、
を備え、
前記第1伝搬部材は、前記第1伝搬部材から前記第2伝搬部材に向かう第1方向と交差する第1面と、前記第1面に対して傾斜した第3面と、を有し、
前記第2伝搬部材は、前記第1面及び前記第3面に接触する、検出装置。
【請求項14】
外周に設けられた第1領域と、前記第1領域に囲まれた第2領域と、を備え、超音波が伝搬可能なゲル状の伝搬部材であって、
前記第1領域は、第1部分面と、前記第1部分面とは反対側の第2部分面と、を有し、
前記第2領域は、前記第1部分面に連なる第3部分面と、前記第3部分面とは反対側の第4部分面と、を有し、
前記第1部分面から前記第2部分面に向かう第1方向における前記第2部分面の位置は、前記第1方向における前記第3部分面の位置と、前記第1方向における前記第4部分面の位置と、の間にあり、
前記第3部分面は凸部を有する、伝搬部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、検出装置、検出システム、及び伝搬部材に関する。
【背景技術】
【0002】
対象に超音波を送信し、反射波を検出する検出装置がある。検出装置は、超音波を伝搬させるための伝搬部材を備える。伝搬部材には、気泡が少ない又は無いことが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、伝搬部材における気泡の発生を抑制できる、検出装置、検出システム、及び伝搬部材を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係る検出装置は、検出器と、第1伝搬部材と、第2伝搬部材と、固定具と、を備える。前記検出器は、超音波を送信して反射波を検出する。前記第1伝搬部材は、前記検出器に取り付けられ、前記超音波が伝搬する。前記第2伝搬部材は、前記第1伝搬部材の第1面と接する第2面を有する。前記第2面は、凸部を有する。前記第2伝搬部材は、前記第1伝搬部材よりも軟らかい。前記第2伝搬部材は、前記第1伝搬部材を伝搬した前記超音波が伝搬する。前記固定具は、前記第2伝搬部材の周囲を前記第1伝搬部材に向けて押し付ける。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態に係る検出装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る検出装置の先端近傍を示す断面図である。
【
図3】
図3(a)及び
図3(b)は、第2伝搬部材の一例を示す斜視図及び平面図である。
【
図5】
図5(a)及び
図5(b)は、実施形態に係る検出装置を示す側面図である。
【
図6】
図6(a)及び
図6(b)は、実施形態に係る検出装置を示す側面図及び斜視図である。
【
図7】
図7(a)~
図7(d)は、別の固定具を模式的に示す側面図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、参考例に係る検出装置の一部を示す断面図である。
【
図9】
図9(a)及び
図9(b)は、参考例に係る検出装置の一部を示す断面図である。
【
図13】
図13(a)は、第2伝搬部材の別の一例を示す平面図である。
図13(b)は、
図13(a)のB1-B2断面図である。
【
図14】
図14(a)は、第2伝搬部材の別の一例を示す平面図である。
図14(b)は、
図14(a)のB1-B2断面図である。
【
図15】
図15(a)は、第2伝搬部材の別の一例を示す平面図である。
図15(b)は、
図15(a)のB1-B2断面図である。
【
図16】
図16(a)は、第2伝搬部材の別の一例を示す平面図である。
図16(b)は、
図16(a)のB1-B2断面図である。
【
図17】
図17(a)は、第2伝搬部材の別の一例を示す平面図である。
図17(b)は、
図17(a)のB1-B2断面図である。
【
図18】
図18(a)は、第2伝搬部材の別の一例を示す平面図である。
図18(b)は、
図18(a)のB1-B2断面図である。
【
図19】
図19(a)は、第2伝搬部材の別の一例を示す斜視図である。
図19(b)は、
図19(a)のB1-B2断面図である。
【
図20】
図20(a)及び
図20(b)は、実施形態に係る検出装置の一部を示す底面図である。
【
図21】
図21は、実施形態に係る検出装置の先端を示す模式図である。
【
図22】
図22は、探査により得られた3次元の検出結果を例示する模式図である。
【
図23】
図23は、実施形態に係る検出システムを示す模式図である。
図23では、固定具13が省略されている。
【
図24】
図24は、実施形態に係る別の検出システムを示す模式図である。
【
図25】
図25(a)~
図25(c)は、実施形態に係る検出装置を用いた検査方法を説明するための模式図である。
【
図26】
図26は、第2伝搬部材12を交換するための各ユニットを表す模式図である。
【
図27】
図27(a)~
図27(d)は、第2伝搬部材を交換するための各ユニットの動作を表す模式図である。
【
図28】
図28(a)~
図28(d)は、第2伝搬部材を交換するための各ユニットの動作を表す模式図である。
【
図29】
図29(a)及び
図29(b)は、実施形態の変形例に係る検出装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しつつ説明する。
図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。同じ部分を示す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
本願明細書と各図において、既に説明したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
図1は、実施形態に係る検出装置を示す斜視図である。
図2は、実施形態に係る検出装置の先端近傍を示す断面図である。
実施形態に係る検出装置10は、
図1及び
図2に示すように、第1伝搬部材11、第2伝搬部材12、固定具13、及び検出器15を含む。
【0009】
検出器15は、超音波を送信して反射波を検出する。具体的には、検出器15は、複数の検出素子を含む素子アレイ15aを備える。それぞれの検出素子は、超音波を送信する。また、それぞれの検出素子は、超音波の反射波を検出する。ここでは、検出器15による超音波の送信及び反射波の検出を、探査と呼ぶ。素子アレイ15aの側方は、検出器15の筐体15hに囲まれる。側方は、超音波の送信方向と交差する方向である。
【0010】
第1伝搬部材11は、検出器15(筐体15h)に取り付けられる。検出器15から送信された超音波は、第1伝搬部材11を伝搬する。第1伝搬部材11は、検出器15に接触する。又は、第1伝搬部材11と検出器15との間に、超音波が伝搬可能な別の部材が設けられても良い。
【0011】
図2に示すように、第1伝搬部材11は、第1面S1を有する。第2伝搬部材12は、第1面S1に接する第2面S2を有する。第1伝搬部材11を伝搬した超音波は、第2伝搬部材12に入射し、第2伝搬部材12を伝搬する。
【0012】
ここでは、第1伝搬部材11から第2伝搬部材12に向かう方向を、Z方向(第1方向)とする。Z方向と交差する一方向を、X方向(第2方向)とする。Z-X面と交差する一方向を、Y方向(第3方向)とする。例えば、X方向、Y方向、及びZ方向は、相互に直交する。また、説明のために、第1伝搬部材11から第2伝搬部材12に向かう方向を「下」と言い、第2伝搬部材12から第1伝搬部材11に向かう方向を「上」と言う。これらの方向は、第1伝搬部材11と第2伝搬部材12との間の相対的な位置関係に基づき、重力の方向とは無関係である。
【0013】
第1伝搬部材11と第2伝搬部材12が互いに接触した状態において、第1面S1及び第2面S2は、X-Y面に平行である。例えば、検出器15、第1伝搬部材11、及び第2伝搬部材12は、Z方向において並んでいる。第1伝搬部材11において、超音波の送信方向が変化しても良い。その場合、検出器15、第1伝搬部材11、及び第2伝搬部材12は、Z方向において並んでいなくても良い。
【0014】
第1伝搬部材11は、固体である。第1伝搬部材11は、検出装置10の動作時にも実質的な変形が生じないように、十分な硬さを有する。これにより、素子アレイ15aの損傷を抑制できる。第2伝搬部材12は、ゲル状であり、液体では無い。第2伝搬部材12は、第1伝搬部材11よりも軟らかい。すなわち、第2伝搬部材12の硬さは、第1伝搬部材11の硬さよりも小さい。このため、第2伝搬部材12は、第1伝搬部材11に比べて、容易に変形する。第2伝搬部材12は、検出装置10の動作時に、探査の対象の表面形状に応じて変形できるように、十分な軟らかさを有する。
【0015】
固定具13は、第2伝搬部材12の周囲を第1伝搬部材11に向けて押し付ける。第2伝搬部材12が固定具13によって押されると、第2伝搬部材12の第2面S2が、第1伝搬部材11の第1面S1に接触する。第2伝搬部材12が、第1伝搬部材11の表面形状に沿って変形する。第1伝搬部材11に対する第2伝搬部材12の位置が、固定具13によって固定される。
【0016】
固定具13による第2伝搬部材12の押し付けを解除すると、第2伝搬部材12は、第1伝搬部材11から離れる。第2伝搬部材12は、第1伝搬部材11に対して着脱可能に固定される。
【0017】
図1の例では、固定具13は、板部材13a及び締結具13bを含む。板部材13aは、第1端部E1及び第2端部E2を含む。第1端部E1は、締結具13bによって、筐体15hに締結され、固定されている。締結具13bは、例えばねじである。板部材13aは、筐体15hから第2伝搬部材12に向かう方向に沿って延びている。第1端部E1とは反対側の第2端部E2は、第2伝搬部材12が第1伝搬部材11と第2端部E2との間に位置するように、屈曲している。第2伝搬部材12の周囲が、第2端部E2と第1伝搬部材11とによって挟み込まれる。
【0018】
板部材13aは、弾性を有する板ばねであっても良い。板部材13aには、第2伝搬部材12を第1伝搬部材11に向けて押さえ付ける方向に、弾性力が生じる。また、板部材13aに代えて、硬鋼線などの線状の部材によって第2伝搬部材12が押さえ付けられても良い。一端を筐体15hに対して固定でき、他端が第1伝搬部材11に向けて第2伝搬部材12を押し付ける押付部材を備えていれば、固定具13の具体的な構造は適宜変更可能である。
【0019】
第1伝搬部材11及び第2伝搬部材12には、樹脂を用いることができる。具体的な一例として、第1伝搬部材11は、アクリルを含む。第2伝搬部材12は、セグメント化ポリウレタンを含む。
【0020】
例えば、検出装置10は、接合体へ超音波を送信し、その反射波を検出する。接合に用いられる一般的な鋼板の音響インピーダンスは、4.5×107(Pa・s/m)程度である。検出装置10と接合体との間で超音波が十分に伝搬するように、第1伝搬部材11及び第2伝搬部材12のそれぞれの音響インピーダンスは、1.0×105(Pa・s/m)よりも大きく、1.0×108(Pa・s/m)よりも小さいことが好ましい。音響インピーダンスは、JIS A1405-1(ISO 10534-1)に従って測定できる。音響インピーダンスは、JIS A 1409(ISO 354)に従って測定されても良い。
【0021】
第1伝搬部材11の変形を抑制するために、第1伝搬部材11のロックウェル硬さ(Mスケール)は、80よりも大きく110未満であることが好ましい。ロックウェル硬さは、JIS Z 2245(ISO 2039-2)に従って測定できる。対象の表面形状に応じて容易に変形できるように、アスカーゴム硬度計F型によって測定される第2伝搬部材12の硬さは、40よりも大きく60未満であることが好ましい。
【0022】
図3(a)及び
図3(b)は、第2伝搬部材の一例を示す斜視図及び平面図である。
図3(a)及び
図3(b)に示すように、第2伝搬部材12は、第1領域12a及び第2領域12bを含む。
【0023】
第2伝搬部材12は、Z方向から見たときに、四角形である。第1領域12aは、第2伝搬部材12の外周に位置し、固定具13によって押される。第2領域12bは、X-Y面に沿って第1領域12aに囲まれている。第2領域12bは、第2伝搬部材12のX-Y面における中心を含む。
【0024】
図3(a)に示すように、第2領域12bは、Z方向に向けて第1領域12aよりも突出している。第2領域12bの厚さT2は、第1領域12aの厚さT1よりも大きい。厚さは、Z方向における長さに対応する。
【0025】
図2に示すように、第1領域12aは、固定具13によって、第1伝搬部材11に向けて押さえ付けられる。第1領域12aが変形し、第1領域12aの厚みが小さくなる。例えば、第2領域12bが、第1伝搬部材11に密着する。
【0026】
図4は、第2伝搬部材を示す断面図である。
図4に示すように、第1領域12aは、Z方向と交差する第1部分面12a1及び第2部分面12a2を有する。第2部分面12a2は、第1部分面12a1とは反対側に位置する。第2領域12bは、Z方向と交差する第3部分面12b3及び第4部分面12b4を有する。第4部分面12b4は、第3部分面12b3とは反対側に位置する。
【0027】
第3部分面12b3は、第1部分面12a1と連なる。図示した例では、第3部分面12b3の外周のZ方向における位置は、第1部分面12a1のZ方向における位置と同じである。第1部分面12a1と第3部分面12b3とにより、第2伝搬部材12の第2面S2が構成される。第2部分面12a2のZ方向における位置は、第3部分面12b3のZ方向における位置と、第4部分面12b4のZ方向における位置と、の間にある。すなわち、第4部分面12b4は、第2部分面12a2に対して突出している。
【0028】
図3(b)及び
図4に示すように、第2面S2の第3部分面12b3には、凸部Pが設けられている。図示した例では、凸部Pは、球面状である。凸部Pは、円錐状又は角錐状であっても良い。第1部分面12a1のZ方向における位置は、凸部Pの頂点のZ方向における位置と、第2部分面12a2のZ方向における位置と、の間にある。すなわち、凸部Pは、第1部分面12a1に対して突出している。第2伝搬部材12が第1伝搬部材11と接触する際、凸部Pは、第1伝搬部材11の第1面S1に向けて突出している。
【0029】
図5(a)及び
図5(b)は、実施形態に係る検出装置を示す側面図である。
図2に示すように、板部材13aの第2端部E2には、開口OPが形成されている。開口OPは、Z方向に沿って第2端部E2を貫通している。第2伝搬部材12の第2領域12bは、開口OPに挿入される。第1領域12aが固定具13に押さえ付けられたとき、第2領域12bは、
図2、
図5(a)、及び
図5(b)に示すように、固定具13の第2端部E2よりもZ方向に向けて突出する。探査時には、固定具13から突出した第2領域12bが、対象の表面形状に倣って変形する。
【0030】
検出装置10では、
図1に示すように、第1伝搬部材11の先端(第1面S1)の幅は、素子アレイ15aの幅よりも狭い。素子アレイ15aから送信された超音波は、第1伝搬部材11の先端に向けて収束し、第1面S1の全面から出射される。幅は、X方向又はY方向における長さである。第1面S1の幅が素子アレイ15aの幅よりも狭いことで、対象の形状が複雑な場合、障害物が多い場合などでも、検出装置10の先端を、対象の所望の部分に接触させ易い。
【0031】
第2伝搬部材12の第2面S2の幅は、第1伝搬部材11の第1面S1の幅よりも広い。第2伝搬部材12が第1伝搬部材11に向けて押された際、第2伝搬部材12の一部は、第1伝搬部材11の側方に回り込み、第1伝搬部材11の側面の一部と接する。
【0032】
第2領域12bの幅は、第1面S1の幅と同じか、第1面S1の幅よりも広いことが好ましい。第2領域12bの幅が第1面S1の幅よりも狭いと、第1面S1の外周から出射された超音波が、固定具13によって反射され、対象に到達しない。第2領域12bの幅が第1面S1の幅以上であると、第1面S1から出射された超音波が、対象と接する第2領域12bに伝搬し易くなる。探査の精度を向上させることができる。
【0033】
また、開口OPの幅は、第1面S1の幅よりも広いことが好ましい。第2伝搬部材12が固定された際、第2伝搬部材12の外周には、第1伝搬部材11と固定具13とによるせん断応力が加わる。開口OPの幅が第1面S1の幅と同じであると、せん断応力が大きくなり、第2伝搬部材12が損傷し易くなる。このため、開口OPの幅は、第1面S1の幅よりも広いことが好ましい。
【0034】
図6(a)及び
図6(b)は、実施形態に係る検出装置を示す側面図及び斜視図である。
固定具13は、第2伝搬部材12を、第1伝搬部材11に対して着脱可能に固定する。すなわち、固定具13を用いることで、第2伝搬部材12が第1伝搬部材11に対して固定された状態と、第2伝搬部材12が第1伝搬部材11に対して固定されていない状態と、を切り替え可能である。
【0035】
例えば
図6(a)及び
図6(b)に示すように、締結具13bを緩めることで、板部材13aを筐体15hから取り外すことができる。板部材13aが筐体15hから取り外されると、第2端部E2と第1伝搬部材11との間の距離が広がる。これにより、第2端部E2から第2伝搬部材12への押さえ付けが無くなる。第2伝搬部材12が、取り外し可能となる。第2伝搬部材12を取り外し、新しい別の第2伝搬部材12を取り付けることができる。
【0036】
又は、板部材13aは、板ばねであっても良い。この場合、板部材13aを変形させることで、第2端部E2を第1伝搬部材11から遠ざけても良い。第2端部E2から第2伝搬部材12への押さえ付けが無くなり、第2伝搬部材12が取り外し可能となる。
【0037】
図7(a)~
図7(d)は、別の固定具を模式的に示す側面図である。
図7(a)及び
図7(b)は、第2伝搬部材12が第1伝搬部材11に対して固定された状態を示す。
図7(c)及び
図7(d)は、第2伝搬部材12が第1伝搬部材11に対して固定されていない状態を示す。
図7(b)及び
図7(d)は、それぞれ、
図7(a)及び
図7(c)の視点と反対方向の視点から固定具13を見たときの様子を示す。
【0038】
図7(a)~
図7(d)に示すように、板部材13aに、スリットSが設けられても良い。スリットSは、Z方向に沿って延びている。締結具13bを緩めると、板部材13aは、スリットSが延びる方向に沿ってスライド可能となる。板部材13aがスライドすると、
図7(c)及び
図7(d)に示すように、板部材13aの第2端部E2が、第1伝搬部材11から遠ざかる。第2端部E2から第2伝搬部材12への押さえ付けが無くなり、第2伝搬部材12が取り外し可能となる。
【0039】
超音波を用いて対象の状態を調べる場合、検出装置と対象との間には、空気が存在しないことが好ましい。空気が存在しない場合、検出装置と対象との間で超音波が伝搬し易くなり、反射波が検出され易くなる。探査の精度が向上する。従来、超音波を伝搬させ易くするために、音響インピーダンスが良好な液体のカプラントが用いられている。予めカプラントが塗布された対象に検出装置を当てることで、検出装置と対象との間がカプラントで満たされる。
【0040】
カプラントを用いる場合、探査後に、カプラントを拭き取る必要がある。カプラントが対象に付着したままでは、対象の表面に、変質(例えば錆び)又は劣化等が生じる可能性がある。さらに、カプラントの拭き取りは時間を要する。探査時間の短縮のために、カプラントの塗布及び拭き取りを省略できる技術が求められている。
【0041】
検出装置10によれば、カプラントに代えて、第2伝搬部材12が用いられる。第2伝搬部材12は、第1伝搬部材11よりも軟らかく、検出装置10の動作時に、対象の表面形状に応じて変形可能である。第2伝搬部材12が変形し、第1伝搬部材11と対象との間が第2伝搬部材12で満たされることで、第1伝搬部材11と対象との間の空気を少なくできる。
【0042】
一方で、第2伝搬部材12は、軟らかいため、傷付き易い。また、対象に付着した異物(例えば金属粉など)が、第2伝搬部材12へ刺さり易い。第2伝搬部材12の表面に、損傷又は異物の付着などの異常が生じると、第2伝搬部材12と対象との間で超音波が伝搬し難くなる。超音波の検出の精度が低下する。このため、第2伝搬部材12は、適切なタイミングで交換されることが好ましい。検出装置10では、第2伝搬部材12は、固定具13によって着脱可能に固定される。このため、第2伝搬部材12を容易に交換できる。
【0043】
実施形態の利点の一側面を説明する。
図8(a)、
図8(b)、
図9(a)、及び
図9(b)は、参考例に係る検出装置の一部を示す断面図である。
図8(a)に示した参考例に係る検出装置r1では、第2伝搬部材12が、凸部Pを有していない。第2伝搬部材12が固定具13の上に置かれた際、第2伝搬部材12の周囲のみが固定具13と接する。また、第2伝搬部材12は、対象の表面形状に沿って変形できるように、十分な柔らかさを有する。このため、
図8(a)に示すように、第2領域12bが、自重によって重力方向に向けて変形する。第2面S2に窪みが生じる。特に、上述したように、アスカーゴム硬度計F型によって測定される第2伝搬部材12の硬さが40~60である場合、第2領域12bが容易に変形する。
【0044】
図8(a)に示す状態で第2伝搬部材12が第1伝搬部材11に押し付けられた場合、
図8(b)に示すように、第1面S1と第2面S2との間に気泡Bが発生する。気泡B(空気)は、第1伝搬部材11又は第2伝搬部材12に比べて、超音波を伝搬させ難い。対象に超音波が到達し難くなり、対象の状態を反映した反射波が検出され難くなる。探査の精度が低下し、反射波に基づいて対象の状態を調べることが困難となる。このため、第1伝搬部材11と第2伝搬部材12との間には、気泡Bが存在しないことが望ましい。
【0045】
図9(a)に示した参考例に係る検出装置r2では、第2面S2にカプラントCPが塗布される。カプラントCPは、液体である。カプラントCPが塗布された第2伝搬部材12を、第1伝搬部材11に押し付けることで、
図9(b)に示すように、第1面S1と第2面S2との隙間にカプラントが充填され、気泡Bの発生を防止できる。
【0046】
カプラントCPは、空気に比べて超音波を伝搬させ易い。カプラントCPを用いることで、超音波が対象に到達し易くなる。検出装置r2によれば、検出装置r1に比べて、探査の精度を向上できる。一方、検出装置r2では、カプラントCPが存在する部分とカプラントCPが存在しない部分との間で、超音波の伝搬速度が異なる。このため、検出装置r2についても、探査の精度について、未だ改善の余地がある。
【0047】
図10(a)~
図10(c)は、実施形態に係る検出装置の一部を示す断面図である。
図10(a)に示すように、実施形態に係る検出装置10では、第2伝搬部材12が凸部Pを有する。第2伝搬部材12が第1伝搬部材11に向けて押されると、
図10(b)に示すように、まず、凸部Pが第1伝搬部材11の第1面S1と接触する。その状態で、第2伝搬部材12が第1伝搬部材11に向けてさらに押されると、
図10(c)に示すように、第2伝搬部材12の第2面S2が、第1面S1と密着する。カプラントCPを用いない場合でも、凸部Pにより、第1面S1と第2面S2との間に、気泡Bが発生することを抑制できる。
【0048】
実施形態によれば、第1伝搬部材11と第2伝搬部材12との間の気泡Bの発生を抑制できる。また、第1伝搬部材11と第2伝搬部材12との間の各点における超音波の伝搬速度のばらつきを低減できる。この結果、より正確な探査結果が得られる。
【0049】
気泡Bの発生を効果的に抑制するために、凸部Pが設けられている範囲の幅は、第2領域12bの幅の0.3倍よりも大きいことが好ましい。より好ましくは、凸部Pが設けられている範囲の幅は、第2領域12bの幅の0.5倍よりも大きい。
【0050】
実施形態の利点の別の側面を説明する。
図11(a)~
図11(c)は、参考例に係る検出装置の一部を示す断面図である。
図11(a)に示した参考例に係る検出装置r3では、第2面S2の幅が、第1面S1の幅と同じである。
図11(a)は、探査時の様子を示している。第2伝搬部材12が、対象Oと接触している。
【0051】
探査が終了した後、検出装置r3は、対象Oから遠ざかる。第2伝搬部材12は、ゲル状であるため、対象Oに粘着しうる。第2伝搬部材12が対象Oから離れる際、第2伝搬部材12が対象Oに向けて引っ張られる。これにより、
図11(b)に示すように、第2面S2の外周が第1面S1から部分的に剥離する場合がある。
【0052】
その後、第2伝搬部材12が対象Oから離れると、第2面S2の剥離した部分は、第1面S1と再び接触する。このとき、
図11(c)に示すように、第2面S2の剥離した外周と第1面S1との間に、気泡Bが発生する場合がある。探査が繰り返されると、より多くの気泡Bが発生する。また、発生した気泡Bが、徐々に第1面S1の中央側に移動する。この結果、反射波に基づいて対象の状態を調べることが困難となる。
【0053】
図12(a)~
図12(c)は、実施形態に係る検出装置の一部を示す断面図である。
実施形態に係る検出装置10では、
図12(a)に示すように、第2面S2の幅が、第1面S1の幅よりも広い。第2伝搬部材12が、第1伝搬部材11の第3面S3の一部と接する。第3面S3は、第1面S1に連なり、第1面に対して傾斜している。第3面S3は、X方向又はY方向と交差する。
【0054】
検出装置10が対象Oから離れる際、第2伝搬部材12と第3面S3との接触面のZ方向に対する傾きは、第2伝搬部材12と第1面S1との接触面のZ方向に対する傾きよりも小さい。第2伝搬部材12と第3面S3との間で働く摩擦力は、第2伝搬部材12と第1面S1との間で働く摩擦力よりも大きい。このため、
図12(b)に示すように、第2伝搬部材12が対象Oに向けて引っ張られた場合でも、第2面S2の外周が第1面S1から剥離することを抑制できる。
【0055】
この結果、
図12(c)に示すように、第1面S1と第2面S2との間での気泡Bの発生を抑制できる。実施形態によれば、第2伝搬部材12の対象Oへの接触と剥離が繰り返された場合でも、より正確な探査結果が得られる。
【0056】
さらに、第2面S2には、
図9(a)に示すように、カプラントCPが塗布されても良い。カプラントCPが塗布されると、第1伝搬部材11と第2伝搬部材12との間の潤滑性が向上する。
図11(b)に示す状態において第2面S2の外周が剥離した場合でも、第2面S2が、第1面S1又は第3面S3と滑らかに接触する。空気が第1伝搬部材11及び第2伝搬部材12の外部へ流れ易くなり、気泡の発生を抑制できる。
【0057】
図13(a)、
図14(a)、
図15(a)、
図16(a)、
図17(a)、及び
図18(a)は、第2伝搬部材の別の一例を示す平面図である。
図13(b)、
図14(b)、
図15(b)、
図16(b)、
図17(b)、及び
図18(b)は、
図13(a)~
図18(a)のB1-B2断面図である。
図13(a)及び
図13(b)に示す第2伝搬部材12-1では、第2面S2に、複数の凸部P1が設けられている。なお、
図13(a)~
図18(a)の平面図では、色が白いほど、その点が上方に向けてより突出していることを示す。色が黒いほど、その点が下方に向けてより窪んでいることを示す。
【0058】
複数の凸部P1は、互いに交差する二方向に沿って配列されている。第2伝搬部材12-1によれば、第2伝搬部材12の第2面S2が第1伝搬部材11の第1面S1と接触する際、少なくともいずれかの凸部P1が第1面S1と最初に接触する。第1面S1と第2面S2との間の空気は、凸部P1同士の隙間を通して、第1伝搬部材11及び第2伝搬部材12の外部へ流れる。これにより、第1面S1と第2面S2との間における気泡の発生を抑制できる。
【0059】
図14(a)及び
図14(b)に示す第2伝搬部材12-2では、複数の凸部P1が、互いに交差する二方向に沿って配列されている。複数の凹部R1が、二方向に沿って配列されている。凸部P1と凹部R1は、X方向及びY方向において交互に設けられている。
【0060】
第2伝搬部材12-2によれば、第2伝搬部材12-1と同様に、第1面S1と第2面S2との間の空気が、凸部P1同士の隙間を通して外部へ流れる。また、凸部P1が変形し、凹部R1へ移動することで、凹部R1が埋まる。これにより、第2伝搬部材12-2が取り付けられた状態において、第2伝搬部材12の各点における密度のばらつきを小さくできる。第2伝搬部材12の各点における超音波の伝搬速度のばらつきを小さくできる。
【0061】
図15(a)及び
図15(b)に示す第2伝搬部材12-3では、X-Y面に沿って湾曲した凸部P1と、X-Y面に沿って湾曲した凹部R1と、が設けられている。凸部P1は、第2面S2の平坦部分に対して突出している。凹部R1は、第2面S2の平坦部分に対して窪んでいる。凸部P1と凹部R1は、それらが延びる方向と交差する方向において、交互に設けられている。
【0062】
さらに、凸部P1には、その凸部P1が延びる方向において複数の凸部P2が設けられている。凸部P2は、凸部P1よりも突出している。凹部R1には、その凹部R1が延びる方向において複数の凹部R2が設けられている。凹部R2は、凹部R1よりも窪んでいる。各凸部P1、各凸部P2、各凹部R1、及び各凹部R2の表面は、球面状に湾曲している。
【0063】
第2伝搬部材12-3によれば、第1面S1と第2面S2との接触時、凸部P2及び凸部P1が第1面S1と順次接触する。第1面S1と第2面S2との間の空気は、凹部R1を通して、第1伝搬部材11及び第2伝搬部材12の外部へ流れる。第2伝搬部材12が第1伝搬部材11に向けてさらに押されると、凸部P1及び凸部P2が変形し、凹部R1及び凹部R2が埋まる。これにより、第1面S1と第2面S2との間における気泡の発生を抑制できる。また、変形した凸部P1及び凸部P2が凹部R1及び凹部R2に移動することで、第2伝搬部材12の各点における密度のばらつきを小さくできる。第2伝搬部材12の各点における超音波の伝搬速度のばらつきを小さくできる。
【0064】
図16(a)及び
図16(b)に示す第2伝搬部材12-4では、第2伝搬部材12-3と比べて、凸部P0がさらに設けられている。凸部P0は、第2面S2の平坦部分に対して突出している。凸部P0は、球面状である。凸部P0の幅は、凸部P1、凸部P2、凹部R1、及び凹部R2のそれぞれの幅よりも広い。各凸部P1の少なくとも一部及び各凹部R1の少なくとも一部は、凸部P0の上に設けられている。第2領域12bの中央側に設けられた凸部P2の頂点は、第2領域12bの周辺側に設けられた凸部P2の頂点よりも上方に位置する。
【0065】
第2伝搬部材12-4によれば、凸部P0が設けられることで、自重による第2伝搬部材12-3の変形が大きい場合でも、第2領域12bの中央から周辺に向けて、第2面S2が第1面S1と順次接触していく。これにより、第1面S1と第2面S2との接触時に、空気が第1伝搬部材11及び第2伝搬部材12の外部へ流れ易い。第1面S1と第2面S2との間における気泡の発生をさらに抑制できる。
【0066】
図17(a)及び
図17(b)に示す第2伝搬部材12-5では、角錐状の凸部P1及び角錐状の凹部R1が設けられている。凸部P1と凹部R1のそれぞれは、互いに直交する二方向に沿って複数設けられている。また、凸部P1と凹部R1は、X方向及びY方向において、交互に設けられている。各凸部P1及び各凹部R1は、直交方向に沿う断面において、三角状である。
【0067】
第2伝搬部材12-5によれば、第2伝搬部材12-3と同様に、第1面S1と第2面S2との接触時、凸部P1が第1面S1と順次接触する。これにより、第1面S1と第2面S2との間における気泡の発生を抑制できる。また、変形した凸部P1が凹部R1に移動することで、第2伝搬部材12の各点における密度のばらつきを小さくできる。
【0068】
図18(a)及び
図18(b)に示す第2伝搬部材12-6では、第2伝搬部材12-5と比べて、凸部P0がさらに設けられている。凸部P0は、球面状である。各凸部P1の少なくとも一部及び各凹部R1の少なくとも一部は、凸部P0の上に設けられている。第2領域12bの中央側に設けられた凸部P1の頂点は、第2領域12bの周辺側に設けられた凸部P1の頂点よりも上方に位置する。
【0069】
第2伝搬部材12-6によれば、第2伝搬部材12-4と同様に、凸部P0が設けられることで、第1面S1と第2面S2との間における気泡の発生をさらに抑制できる。
【0070】
第2伝搬部材12-1~12-6において、気泡Bの発生を効果的に抑制するために、凸部及び凹部が設けられている範囲の幅は、第2領域12bの幅の0.3倍よりも大きいことが好ましい。より好ましくは、当該範囲の幅は、第2領域12bの幅の0.5倍よりも大きい。
【0071】
図19(a)は、第2伝搬部材の別の一例を示す斜視図である。
図19(b)は、
図19(a)のB1-B2断面図である。
図19(a)及び
図19(b)に示す第2伝搬部材12-7は、凸部の代わりに、孔Hを有する。孔Hは、第2領域12bをZ方向に貫通している。孔Hは、複数設けられても良い。
【0072】
第2伝搬部材12-7が第1伝搬部材11に押し付けられた際、第1面S1と第2面S2との間の空気は、孔Hを通して排出される。第2伝搬部材12-6によれば、凸部が設けられている場合と同様に、第1面S1と第2面S2との間の気泡の発生を抑制できる。
【0073】
第2伝搬部材12-1~12-6のいずれかに、孔Hが設けられても良い。凸部と孔Hとを組み合わせることで、第1面S1と第2面S2との間の気泡の発生を効果的に抑制できる。
【0074】
図20(a)及び
図20(b)は、実施形態に係る検出装置の一部を示す底面図である。
図20(a)に示すように、開口OPは、スリット状に一方向に延びていても良い。
図20(b)に示すように、板部材13aは、複数の線材Wによって構成されても良い。線材Wが設けられていない位置に、開口OPが形成される。
【0075】
以降では、検出器15の構造、検出装置10を含む検出システム、超音波を用いた検査、第2伝搬部材12の交換について、具体的に説明する。
【0076】
(検出器の具体構造)
図21は、実施形態に係る検出装置の先端を示す模式図である。
図21では、固定具13が省略されている。
検出器15の内部には、
図21に示すように、素子アレイ15aが設けられる。素子アレイ15aは、複数の検出素子15bを含む。検出素子15bは、例えば、トランスデューサであり、1MHz以上100MHz以下の周波数の超音波を発する。複数の検出素子15bは、X方向及びY方向に沿って配列されている。
【0077】
探査によって得られた反射波のデータは、対象の検査に用いることができる。
図21は、接合体50を検査する様子を表している。接合体50では、金属部材51(第1部材)と金属部材52(第2部材)が、溶接部53において接合されている。溶接部53は、スポット抵抗溶接により形成される。溶接部53では、金属部材51の一部と金属部材52の一部が溶融し、混ざり合って凝固した凝固部54が形成されている。それぞれの検出素子15bは、接合体50に向けて超音波USを送信し、接合体50からの反射波RWを受信する。
【0078】
具体的な一例として、
図21に示すように、1つの検出素子15bが溶接部53に向けて超音波USを送信する。超音波USの一部は、接合体50の上面または下面などで反射される。複数の検出素子15bのそれぞれは、この反射波RWを受信(検出)する。それぞれの検出素子15bが順次超音波USを送信し、それぞれの反射波RWを複数の検出素子15bで検出する。これにより、溶接部53近傍の状態を示す反射波の検出結果が得られる。
【0079】
図22は、探査により得られた3次元の検出結果を例示する模式図である。
探査では、上述したように、それぞれの検出素子15bが超音波を順次送信し、それぞれの反射波を複数の検出素子15bで検出する。
図22に示す具体例では、8×8の64個の検出素子15bが設けられている。この場合、64個の検出素子15bが超音波を順次送信する。1つの検出素子15bは、反射波を64回繰り返し検出する。1つの検出素子15bからは、Z方向の反射波強度分布の検出結果が、64回出力される。1つの検出素子15bから出力された64回の反射波の強度分布は、合算される。合算された強度分布が、1回の探査において、1つの検出素子15bが設けられた座標における強度分布となる。64個の検出素子15bのそれぞれによる検出結果について、同様の処理が実行される。これにより、X-Y面内の各点において、Z方向における反射波の強度分布が生成される。
図22は、その3次元の強度分布を画像で示す。
図22において、輝度が高い部分は、超音波の反射波強度が大きい部分である。検査には、3次元の強度分布のデータが用いられる。
【0080】
(検出システム)
図23は、実施形態に係る検出システムを示す模式図である。
図23では、固定具13が省略されている。
検出システム1aは、検出装置10及び処理装置90を備える。検出システム1aでは、検出装置10は、人が手で把持できる形状を有する。検出装置10を把持した検査者は、検出装置10先端の第2伝搬部材12を溶接部53に接触させ、溶接部53を検査する。このとき、第2伝搬部材12が溶接部53の形状に倣って変形するように、検査者は、第2伝搬部材12を接合体50へ押し付ける。例えば、検査者は、固定具13が接合体50に接触するまで、第2伝搬部材12を接合体50へ押し付ける。検出装置10が溶接部53に接触した状態で、検査者は、探査を実行する。
【0081】
処理装置90は、検出装置10の素子アレイ15aを制御する。例えば、検出装置10と処理装置90は、ケーブルにより接続される。探査では、処理装置90からそれぞれの検出素子15bへ電気信号が送信され、それぞれの検出素子15bから超音波が送信される。また、それぞれの検出素子15bは、反射波の検出に応じて電気信号を出力する。電気信号の大きさは、反射波の強度に対応する。それぞれの検出素子15bは、検出した反射波の強度を示す強度データを処理装置90へ送信する。処理装置90は、強度データに基づいて、各種処理を実行する。
【0082】
図24は、実施形態に係る別の検出システムを示す模式図である。
図24に示す検出システム1bは、ロボット20及び処理装置90を含む。ロボット20は、マニピュレータ21及び制御装置22を含む。
【0083】
図24に示す例では、マニピュレータ21は、垂直多関節型である。マニピュレータ21は、水平多関節型又はパラレルリンク型であっても良い。制御装置22は、マニピュレータ21と接続され、マニピュレータ21の動作を制御する。制御装置22は、いわゆるロボットコントローラである。
【0084】
図24に示すように、マニピュレータ21の先端には、検出装置10が設けられる。マニピュレータ21の先端に、撮像装置25がさらに設けられても良い。撮像装置25は、溶接された部材を撮影し、画像を取得する。処理装置90は、得られた画像から溶接痕を抽出し、溶接部53の位置を検出する。制御装置22は、検出装置10の先端が溶接部53と接触するように、マニピュレータ21を動作させる。
【0085】
処理装置90は、制御装置22を介して検出装置10を間接的に制御しても良いし、検出装置10を直接的に制御しても良い。制御装置22と処理装置90が、無線通信又はネットワークを介して接続されても良い。
【0086】
(検査)
図25(a)~
図25(c)は、実施形態に係る検出装置を用いた検査方法を説明するための模式図である。
図23又は
図24に示す検出システム1a又は1bによって得られた反射波の検出結果(強度データ)は、溶接部53の検査に使用される。処理装置90は、強度データを用いて、以下の処理を実行しても良い。
【0087】
図25(a)に示すように、超音波USの一部は、金属部材51の上面51aまたは溶接部53の上面53aで反射される。超音波USの別の一部は、接合体50に入射し、金属部材51の下面51bまたは溶接部53の下面53bで反射する。
【0088】
上面51a、下面51b、上面53a、及び下面53bのZ方向における位置は、互いに異なる。すなわち、これらの面と検出素子15bとの間のZ方向における距離が、互いに異なる。検出素子15bが、これらの面からの反射波を検出すると、反射波の強度のピークが検出される。超音波USを送信した後、各ピークが検出されるまでの時間を算出することで、どの面で超音波USが反射されているか調べることができる。
【0089】
図25(b)及び
図25(c)は、超音波USを送信した後の時間と、反射波RWの強度と、の関係を例示するグラフである。ここでは、反射波RWの強度を絶対値で表している。
図25(b)のグラフは、金属部材51の上面51a及び下面51bからの反射波RWの検出結果を例示している。
図25(c)のグラフは、溶接部53の上面53a及び下面53bからの反射波RWの検出結果を例示している。
【0090】
図25(b)及び
図25(c)のグラフにおいて、ピークPe10は、第1伝搬部材11と第2伝搬部材12からの反射波RWに基づく。ピークPe11は、上面51aからの反射波RWに基づく。ピークPe12は、下面51bからの反射波RWに基づく。超音波USの送信からピークPe11及びピークPe12が検出されるまでの時間は、それぞれ、金属部材51の上面51a及び下面51bのZ方向における位置に対応する。
【0091】
同様に、ピークPe13は、上面53aからの反射波RWに基づく。ピークPe14は、下面53bからの反射波RWに基づく。超音波USの送信からピークPe13及びピークPe14が検出されるまでの時間は、それぞれ、溶接部53の上面53a及び下面53bのZ方向における位置に対応する。
【0092】
処理装置90は、第1面内の各点におけるZ方向の反射波強度分布において、ピークPe12が存在するか判定する。第1面は、X方向及びY方向に平行である。具体的な一例として、処理装置90は、ピークPe12が検出されうるZ方向の所定範囲におけるピークを検出する。所定範囲は、第1伝搬部材11のZ方向における長さ、第1伝搬部材11と金属部材51との間の距離などに応じて、予め設定される。処理装置90は、ピークの強度を、所定の閾値と比較する。ピークが閾値を超えているとき、処理装置90は、そのピークがピークPe12であると判定する。ピークPe12の存在は、そのピークの位置において下面51bが存在し、金属部材51と金属部材52が接合されていないことを示す。処理装置90は、ピークPe12が検出された点を、接合されていないと判定する。処理装置90は、第1面内の各点が接合されているか、順次判定する。接合されていると判定された点の集合が、溶接部53に対応する。例えば、検査では、溶接部53が形成されているかを調べる。検査では、溶接部53の径が算出されても良いし、径が十分かどうか判定されても良い。
【0093】
反射波の強度は、任意の態様で表現されて良い。例えば、検出素子15bから出力される反射波強度は、位相に応じて、正の値及び負の値を含む。正の値及び負の値を含む反射波強度に基づいて、各種処理が実行されても良い。正の値及び負の値を含む反射波強度を、絶対値に変換しても良い。各時刻における反射波強度から、反射波強度の平均値を減じても良い。又は、各時刻における反射波強度から、反射波強度の加重平均値、重み付き移動平均値などを減じても良い。反射波強度にこれらの処理を加えた結果を用いた場合でも、本願で説明する各種処理を実行可能である。
【0094】
(第2伝搬部材の交換)
第2伝搬部材12は、自動的に交換されても良い。以下で、第2伝搬部材12を自動的に交換するための各ユニットについて説明する。
【0095】
図26は、第2伝搬部材12を交換するための各ユニットを表す模式図である。
検出システム1a又は1bは、
図26に示した解除ユニット31、押出ユニット32、及び搬送ユニット33を含んでも良い。
【0096】
解除ユニット31は、バー31a、駆動部31x、及び駆動部31yを含む。バー31aは、Z方向と交差する方向に延びる部材である。駆動部31xは、バー31aをX方向に移動させる。駆動部31yは、バー31a及び駆動部31xを、ガイド31gに沿ってY方向に移動させる。バー31aは、板部材13aに掛けられ、板部材13aを変形させる。これにより、固定具13による第2伝搬部材12の固定が解除される。バー31aは、一方向に延びていれば、その具体的な形状は任意である。例えば、バー31aの先端は、湾曲し、鉤状であっても良い。
【0097】
押出ユニット32は、バー32a、押出部32b、駆動部32x、及び駆動部32zを含む。バー32aは、Z方向と交差する方向に延びる部材である。押出部32bは、駆動部32zを介して、バー32aの先端に取り付けられる。駆動部32zは、押出部32bを、Z方向に移動させる。駆動部32xは、バー32aをX方向に移動させる。
【0098】
押出部32bが第2端部E2に載置された第2伝搬部材12の下方に位置する状態で、押出部32bがZ方向に移動する。押出部32bは、第2伝搬部材12に接触する。第2伝搬部材12は、押出部32bによって押し出され、第2端部E2から浮き上がる。これにより、第2伝搬部材12が、第2端部E2から取り外し可能となる。
【0099】
搬送ユニット33は、保持部33a、駆動部33x、及び駆動部33zを含む。保持部33aは、Z方向と交差する方向に延びる。保持部33aの先端は、第2伝搬部材12を保持できる構造を有する。
図26の例では、保持部33aの先端に、爪が設けられている。保持部33aは、爪に第2伝搬部材12を引っ掛けることで、第2伝搬部材12を保持する。保持部33aの先端には、吸気口が設けられ、真空吸着により、第2伝搬部材12が保持されても良い。
【0100】
駆動部33xは、保持部33aをX方向に移動させる。駆動部33zは、駆動部33x及び保持部33aをZ方向に移動させる。搬送ユニット33は、第2伝搬部材12を保持し、搬送する。搬送ユニット33は、新しい第2伝搬部材12が置かれた載置場所から、1つの新しい第2伝搬部材12を第2端部E2へ搬送する。
【0101】
例えば、駆動部31x、32x、及び33xは、エアシリンダを含む。駆動部31y、32z、及び33zは、モータを含む。
【0102】
例えば
図26に示すように、解除ユニット31、押出ユニット32、及び搬送ユニット33は、1つの交換装置30として構成されても良い。又は、解除ユニット31、押出ユニット32、及び搬送ユニット33は、各々が独立して別々に設けられても良い。この場合、バー31a、バー32a、及び保持部33aの移動方向は、互いに異なっても良い。
【0103】
図27(a)~
図27(d)及び
図28(a)~
図28(d)は、第2伝搬部材を交換するための各ユニットの動作を表す模式図である。
図27(a)に示すように、解除ユニット31のバー31aが、第1伝搬部材11と板部材13aとの間に挿入される。
図27(b)に示すように、解除ユニット31は、バー31aを、第1伝搬部材11から遠ざける方向に移動させる。これにより、板部材13aが変形し、第2伝搬部材12の固定が解除される。第2伝搬部材12が、第1伝搬部材11から遠ざかる。押出ユニット32は、押出部32bの先端を、第2端部E2の下に位置させ、上昇させる。これにより、
図27(c)に示すように、第2伝搬部材12が第2端部E2から押し出される。
【0104】
図27(d)に示すように、搬送ユニット33は、保持部33aにより、第2領域12bを挟み込み、押し出された第2伝搬部材12を保持する。
図6(a)に示すように第2端部E2の開口OPがスリット状である場合、押出ユニット32による第2伝搬部材12の押出量は、
図27(b)に示す例よりも小さくても良い。開口OPが延びる方向に沿って第2伝搬部材12をスライドさせることで、第2伝搬部材12を第2端部E2から取り外せるためである。
【0105】
図28(a)に示すように、搬送ユニット33は、保持した第2伝搬部材12を、別の場所へ搬送する。
図28(b)に示すように、搬送ユニット33は、新しい別の第2伝搬部材12を、第2端部E2の上へ搬送する。新しい第2伝搬部材12が、押出部32bの上に載せられる。
図28(c)に示すように、押出ユニット32は、押出部32bを下降させ、第2伝搬部材12を第2端部E2の上に載せる。
図28(d)に示すように、解除ユニット31は、バー31aを第1伝搬部材11に近づけ、板部材13aの変形を解除する。以上の動作により、第2伝搬部材12が交換される。
【0106】
処理装置90は、解除ユニット31、押出ユニット32、及び搬送ユニット33の動作を制御する。例えば、処理装置90は、第2伝搬部材12が異常と判定されると、各ユニットに第2伝搬部材12を交換させる。これにより、より適切な反射波の検出結果を得ることができる。
【0107】
(変形例)
図29(a)及び
図29(b)は、実施形態の変形例に係る検出装置を示す断面図である。
変形例に係る検出装置10aでは、第2伝搬部材12が凸部を有していない。代わりに、第2伝搬部材12が第1伝搬部材11へ押し付けられる際、
図29(a)に示すように、押出ユニット32が、第2伝搬部材12の中央を第1伝搬部材11に向けて押し上げる。これにより、第2面S2の一部が第1伝搬部材11に向けて突出する。第2面S2が、凸部が設けられている場合と同様の状態となる。
【0108】
押出ユニット32が第2伝搬部材12を押し上げた際、第2伝搬部材12が固定具13から浮き上がらないように、第2伝搬部材12の周囲は、Z方向において固定具13によって挟み込まれる。
【0109】
押出ユニット32が第2伝搬部材12を押し上げた状態で、第2伝搬部材12が第1伝搬部材11に押し付けられる。第2伝搬部材12の押し上げられた部分が第1伝搬部材11の第1面S1と接触する。その状態で、第2伝搬部材12が第1伝搬部材11に向けてさらに押されると、
図29(b)に示すように、第2伝搬部材12の第2面S2が、第1面S1と密着する。
【0110】
変形例に係る検出装置10aによれば、検出装置10と同様に、第1面S1と第2面S2との間に、気泡Bが発生することを抑制できる。
【0111】
図30は、ハードウェア構成を表す模式図である。
処理装置90として、例えば
図30に示すコンピュータ90aを用いることができる。コンピュータ90aは、CPU91、ROM92、RAM93、記憶装置94、入力インタフェース95、出力インタフェース96、及び通信インタフェース97を含む。
【0112】
ROM92は、コンピュータ90aの動作を制御するプログラムを格納している。ROM92には、上述した各処理をコンピュータ90aに実現させるために必要なプログラムが格納されている。RAM93は、ROM92に格納されたプログラムが展開される記憶領域として機能する。
【0113】
CPU91は、処理回路を含む。CPU91は、RAM93をワークメモリとして、ROM92又は記憶装置94の少なくともいずれかに記憶されたプログラムを実行する。プログラムの実行中、CPU91は、システムバス98を介して各構成を制御し、種々の処理を実行する。
【0114】
記憶装置94は、プログラムの実行に必要なデータや、プログラムの実行によって得られたデータを記憶する。
【0115】
入力インタフェース(I/F)95は、処理装置90と入力装置95aとを接続する。入力I/F95は、例えば、USB等のシリアルバスインタフェースである。CPU91は、入力I/F95を介して、入力装置95aから各種データを読み込むことができる。
【0116】
出力インタフェース(I/F)96は、処理装置90と出力装置96aとを接続する。出力I/F96は、例えば、Digital Visual Interface(DVI)やHigh-Definition Multimedia Interface(HDMI(登録商標))等の映像出力インタフェースである。CPU91は、出力I/F96を介して、出力装置96aにデータを送信し、出力装置96aに画像を表示させることができる。
【0117】
通信インタフェース(I/F)97は、処理装置90外部のサーバ97aと、処理装置90と、を接続する。通信I/F97は、例えば、LANカード等のネットワークカードである。CPU91は、通信I/F97を介して、サーバ97aから各種データを読み込むことができる。
【0118】
記憶装置94は、Hard Disk Drive(HDD)及びSolid State Drive(SSD)から選択される1つ以上を含む。入力装置95aは、マウス、キーボード、マイク(音声入力)、及びタッチパッドから選択される1つ以上を含む。出力装置96aは、モニタ及びプロジェクタから選択される1つ以上を含む。タッチパネルのように、入力装置95aと出力装置96aの両方の機能を備えた機器が用いられても良い。
【0119】
上記の種々のデータの処理は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、磁気ディスク(フレキシブルディスク及びハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、CD-R、CD-RW、DVD-ROM、DVD±R、DVD±RWなど)、半導体メモリ、又は、他の非一時的なコンピュータで読取可能な記録媒体(non-transitory computer-readable storage medium)に記録されても良い。
【0120】
例えば、記録媒体に記録された情報は、コンピュータ(または組み込みシステム)により読み出されることが可能である。記録媒体において、記録形式(記憶形式)は任意である。例えば、コンピュータは、記録媒体からプログラムを読み出し、このプログラムに基づいてプログラムに記述されている指示をCPUで実行させる。コンピュータにおいて、プログラムの取得(または読み出し)は、ネットワークを通じて行われても良い。
【0121】
本発明の実施形態は、以下の態様を含む。
(付記1)
超音波を送信して反射波を検出する検出器と、
前記検出器に取り付けられ、前記超音波が伝搬する第1伝搬部材と、
前記第1伝搬部材の第1面と接する第2面を有し、前記第2面が凸部を有し、前記第1伝搬部材よりも軟らかく、前記第1伝搬部材を伝搬した前記超音波が伝搬する第2伝搬部材と、
前記第2伝搬部材の周囲を前記第1伝搬部材に向けて押し付ける固定具と、
を備えた、検出装置。
(付記2)
前記検出器から前記第1伝搬部材に向かう第1方向に垂直な第2方向における前記第2面の長さは、前記第2方向における前記第1面の長さよりも長い、付記1記載の検出装置。
(付記3)
前記第2伝搬部材は、
前記固定具に押さえられる第1領域と、
前記第1領域に囲まれ、前記第1領域よりも前記第1方向に向けて突出し、対象に接触する第2領域と、
を含む、付記2記載の検出装置。
(付記4)
前記第2方向における前記第2領域の長さは、前記第2方向における前記第1面の長さよりも長い、付記3記載の検出装置。
(付記5)
前記第2伝搬部材の一部は、前記第1伝搬部材の前記第2方向と交差する面の一部に接触する、付記2~4のいずれか1つに記載の検出装置。
(付記6)
前記検出器は、複数の検出素子を含む素子アレイを備え、
前記複数の検出素子のそれぞれは、前記超音波を送信して前記反射波を検出し、
前記第2方向における前記第1面の長さは、前記第2方向における前記素子アレイの長さよりも短い、付記2~5のいずれか1つに記載の検出装置。
(付記7)
前記第2面は、複数の前記凸部及び複数の凹部を有する、付記1~6のいずれか1つに記載の検出装置。
(付記8)
前記第2伝搬部材は、前記検出器から前記第1伝搬部材に向かう第1方向に沿って前記第2伝搬部材を貫通する孔を有する、付記1~7のいずれか1つに記載の検出装置。
(付記9)
アスカーゴム硬度計F型によって測定される前記第2伝搬部材の硬さは、40よりも大きく60未満である、付記1~8のいずれか1つに記載の検出装置。
(付記10)
付記1~9のいずれか1つに記載の検出装置と、
前記検出器で検出された前記反射波の強度を示す強度データに基づき、前記超音波を反射した対象を検査する処理装置と、
を備えた、検出システム。
(付記11)
前記対象は、溶接部を含む接合体であり、
前記処理装置は、前記溶接部を検査する、付記10記載の検出システム。
(付記12)
付記1~9のいずれか1つに記載の検出装置と、
先端に前記検出装置が設けられたマニピュレータと、
を備えた、検出システム。
【0122】
以上で説明した検出装置、検出システム、又は第2伝搬部材によれば、第1伝搬部材と第2伝搬部材との間での気泡の発生を抑制でき、探査の精度を向上できる。
【0123】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0124】
1a,1b:検出システム、 10,10a:検出装置、 11:第1伝搬部材、 12,12-1~12-7:第2伝搬部材、 12a:第1領域、 12a1:第1部分面、 12a2:第2部分面、 12b:第2領域、 12b3:第3部分面、 12b4:第4部分面、 13:固定具、 13a:板部材、 13b:締結具、 15:検出器、 15a:素子アレイ、 15b:検出素子、 15h:筐体、 20:ロボット、 21:マニピュレータ、 22:制御装置、 25:撮像装置、 30:交換装置、 31:解除ユニット、 31a:バー、 31g:ガイド、 31x,31y:駆動部、 32:押出ユニット、 32a:バー、 32b:押出部、 32x,32z:駆動部、 33:搬送ユニット、 33a:保持部、 33x,33z:駆動部、 50:接合体、 51:金属部材、 51a:上面、 51b:下面、 52:金属部材、 53:溶接部、 53a:上面、 53b:下面、 54:凝固部、 90:処理装置、 90a:コンピュータ、 91:CPU、 92:ROM、 93:RAM、 94:記憶装置、 95:入力インタフェース、 95a:入力装置、 96:出力インタフェース、 96a:出力装置、 97:通信インタフェース、 97a:サーバ、 98:システムバス、 B:気泡、 CP:カプラント、 E1:第1端部、 E2:第2端部、 H:孔、 O:対象、 OP:開口、 P,P0,P1,P2:凸部、 Pe10~Pe14:ピーク、 R1,R2:凹部、 RW:反射波、 S:スリット、 S1:第1面、 S2:第2面、 S3:第3面、 T1,T2:厚さ、 US:超音波、 W:線材、 r1~r3:検出装置