(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018599
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】回動機構及び風向調整装置
(51)【国際特許分類】
F24F 13/14 20060101AFI20240201BHJP
B60H 1/34 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
F24F13/14 D
B60H1/34 611Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122030
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000229955
【氏名又は名称】日本プラスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092565
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100112449
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 哲也
(74)【代理人】
【識別番号】100062764
【弁理士】
【氏名又は名称】樺澤 襄
(72)【発明者】
【氏名】関 崇朗
【テーマコード(参考)】
3L081
3L211
【Fターム(参考)】
3L081AA02
3L081FB05
3L081FC01
3L081HA08
3L211BA22
3L211BA43
3L211DA14
(57)【要約】
【課題】回動体を安定的に回動可能に維持できる回動機構及びこれを備えた風向調整装置を提供する。
【解決手段】回動機構1は、回動軸5を有する回動体2と、回動軸5を回動可能に受ける保持穴6を有する軟質樹脂製の保持部材3と、を備える。保持部材3は、保持穴6において回動軸5に摺動抵抗を付与する。保持穴6は、回動軸5の周方向内で軸方向の厚み差を有し、この厚み差の終端が保持部材3の外側部よりも内方の位置にある。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動軸を有する回動体と、
前記回動軸を回動可能に受ける保持穴を有する軟質樹脂製の保持部材と、を備え、
前記保持部材は、前記保持穴において前記回動軸に摺動抵抗を付与し、
前記保持穴は、前記回動軸の周方向内で軸方向の厚み差を有し、この厚み差の終端が前記保持部材の外側部よりも内方の位置にある
ことを特徴とする回動機構。
【請求項2】
保持部材は、保持穴に厚み差を生じさせる溝部を有する
ことを特徴とする請求項1記載の回動機構。
【請求項3】
保持部材は、保持穴の開口方向に沿って突出する突出部を有し、
前記保持穴の厚み差の終端は、前記突出部に位置する
ことを特徴とする請求項1記載の回動機構。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか一記載の回動機構を備え、
回動体は、ルーバの少なくとも一部であり、
保持部材は、前記ルーバを回動可能に支持する軸受け部の少なくとも一部である
ことを特徴とする風向調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回動体を回動可能に支持する保持部材を有する回動機構及びこれを備えた風向調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車などの車両に用いられる空調装置において、吹き出す風向を調整する風向調整装置がある。風向調整装置には、フィン(ルーバ)の回動軸が、エラストマなどの軟質材からなる軸受けの軸穴に回動可能に支持され、回動軸に任意の摺動抵抗が付与される回動機構が構成されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4-1358号公報 (第5-7頁、第1図-第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成の場合、比較的車室内の温度が高くなる状況下でフィン操作が行われないまま一定期間が経過すると、フィンの回動軸と軸受けの軸穴との密着力が上昇する。その状態でフィン操作をすると、いわゆるスティックスリップ現象が生じ、想定されていた操作力で初期回動を行うことができない場合がある。そこで、使用者がさらに大きな操作力を加えると突如として予期しない挙動でフィンが回動し、使用者に不快感を与えるおそれがある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、回動体を安定的に回動可能に維持できる回動機構及びこれを備えた風向調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の回動機構は、回動軸を有する回動体と、前記回動軸を回動可能に受ける保持穴を有する軟質樹脂製の保持部材と、を備え、前記保持部材は、前記保持穴において前記回動軸に摺動抵抗を付与し、前記保持穴は、前記回動軸の周方向内で軸方向の厚み差を有し、この厚み差の終端が前記保持部材の外側部よりも内方の位置にあるものである。
【0007】
請求項2記載の回動機構は、請求項1記載の回動機構において、保持部材は、保持穴に厚み差を生じさせる溝部を有するものである。
【0008】
請求項3記載の回動機構は、請求項1記載の回動機構において、保持部材は、保持穴の開口方向に沿って突出する突出部を有し、前記保持穴の厚み差の終端は、前記突出部に位置するものである。
【0009】
請求項4記載の風向調整装置は、請求項1ないし3いずれか一記載の回動機構を備え、回動体は、ルーバの少なくとも一部であり、保持部材は、前記ルーバを回動可能に支持する軸受け部の少なくとも一部であるものである。
【発明の効果】
【0010】
請求項1記載の回動機構によれば、回動軸の回動方向において保持穴に軸方向の厚み差が生じているため、保持穴には回動軸に対する摺動抵抗に周方向の変化が生じるので、回動軸と保持穴との密着力が上昇した場合などに回動体に操作力が加わったとき、摺動抵抗が弱い位置から先に回動軸が保持穴に対して剥がれることで、剥がれるタイミングが異なる位置が周方向に生じ、スティックスリップ現象を低減できるため、回動体を安定的に回動可能に維持できる。
【0011】
請求項2記載の回動機構によれば、請求項1記載の回動機構の効果に加えて、溝部によって、回動軸の周方向内での保持穴の厚み差を容易に形成できるとともに、溝部の形状に応じて、厚み差を容易に設定できる。
【0012】
請求項3記載の回動機構によれば、請求項1記載の回動機構の効果に加えて、保持穴に対して回動軸を圧入したときの反力に起因して溝部が開くことを抑制でき、保持部材の反りを突出部により抑制できるので、回動軸に付与する摺動抵抗を安定させることができる。
【0013】
請求項4記載の風向調整装置によれば、回動体の安定した操作感を長期に亘り維持でき、操作性が良好な風向調整装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】(a)は本発明の一実施の形態の回動機構を示す正面図、(b)は同上回動機構の断面図である。
【
図3】同上回動機構を備える風向調整装置の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0016】
図1(a)、
図1(b)及び
図3において、1は回動機構を示す。回動機構1は、回動体2と、保持部材3と、を備え、回動体2の回動体本体部4に形成された回動軸5を保持部材3に形成された保持穴6により回動可能に保持する。
【0017】
回動体2は、例えば硬質の合成樹脂などにより形成されている。回動軸5は、円柱状に形成され、回動体2の回動体本体部4の側部などに突出している。回動軸5の先端部は、先端側に向かって徐々に縮径されている。
【0018】
図1(a)、
図1(b)及び
図2に示す保持部材3は、例えばエラストマやシリコーンなどのゴム弾性を有する軟質樹脂により形成されている。保持部材3は、例えば四角形板状に形成されている。保持部材3には、保持穴6が厚み方向に窪んで形成されている。本実施の形態において、保持穴6は、保持部材3を厚み方向に貫通して形成されている。保持穴6に対し、回動軸5が圧入されている。そのため、保持穴6の内周面7は、円筒面状に形成され、回動軸5の回動に伴い回動軸5の外周面8と摺動し、回動軸5に所定の摺動抵抗を付与する。
【0019】
保持穴6には、回動軸5または保持穴6の周方向内に軸方向の厚み差が生じている。つまり、保持穴6には、周方向に沿って、厚みが異なる複数の部分が形成されている。本実施の形態において、保持穴6には、軸方向の厚みが最大の第一部分10と、軸方向の厚みが最小の第二部分11と、が設定され、これら第一部分10と第二部分11との間で周方向に亘り軸方向の厚みが徐変している。図示される例では、保持穴6の軸方向の厚みは、周方向に連続的に変化している。
【0020】
図示される例では、第一部分10は、保持穴6の中心を基準として互いに反対側に位置する。第二部分11は、第一部分10に対して、周方向に異なる位置にある。本実施の形態では、第二部分11は、第一部分10と90°ずれた位置にある。すなわち、第二部分11は、保持穴6の中心を基準として互いに反対側に位置する。そのため、回動軸5または保持穴6の周方向において、第一部分10と第二部分11とが90°毎に交互に設定されている。
【0021】
本実施の形態では、保持穴6の軸方向の厚み差は、保持部材3に形成された溝部13によって形成される。溝部13は、保持部材3の一主面に形成されている。好ましくは、溝部13は、保持穴6に対して挿入される回動軸5の先端部側となる主面に形成されている。つまり、溝部13は、保持部材3を基準として、回動体本体部4とは反対側に位置する主面に形成されている。
【0022】
例えば、溝部13は、保持穴6の直径と等しいまたは略等しい幅に形成されている。溝部13と保持穴6の内周面7とが交差する位置が第一部分10となっている。つまり、溝部13の山部の位置が第一部分10となっている。図示される例では、溝部13は、保持穴6と直交または略直交する方向に直線状に形成されている。溝部13は、回動軸5の外周面8に対する保持穴6の内周面7の軸方向の接触長さを異ならせる形状に形成されている。一例として、溝部13は、保持穴6の中心軸線を通る位置が最も深い、断面V字状に形成されている。つまり、溝部13は、幅方向の両側から中央部へと徐々に深さが深くなるように形成されている。溝部13と保持穴6の内周面7とが交差する位置が第二部分11となっている。つまり、溝部13の谷部の位置が第二部分11となっている。
【0023】
溝部13は、少なくとも一方の端部が保持穴6の縁部すなわち内周面7よりも保持穴6の外方に延びている。本実施の形態では、溝部13の両端部15は、保持穴6の縁部すなわち内周面7よりも保持穴6の外方に延びている。
【0024】
溝部13の端部15は、保持部材3の外側部よりも内方に位置する。つまり、溝部13は、保持部材3の外側部と連通せずに、保持部材3の外側部よりも内方の位置にある。そのため、保持穴6に生じる厚み差の終端が保持部材3の外側部よりも内方に位置する。
【0025】
好ましくは、溝部13の端部15は、突出部16の位置まで延びている。突出部16は、保持部材3の一主面から保持穴6の開口方向、つまり保持部材3の厚み方向に突出している。突出部16が形成されている保持部材3の主面は、溝部13が形成されている主面と同一である。突出部16は、保持穴6の外方に離れて位置する。すなわち、突出部16は、保持穴6と保持部材3の外側部との間に位置する。本実施の形態において、突出部16は、保持穴6を囲んで形成されている。図示される例では、突出部16は、保持穴6よりも内径が大きい円周状または円環状に形成されている。一例として、突出部16は、保持穴6と同心状に形成されている。突出部16は、一定または略一定の厚み及び幅を有するリブ状となっている。突出部16の内周の位置に溝部13の端部15が突き当たって位置する。
【0026】
そして、本実施の形態において、回動機構1は、
図3及び
図4に示すように、空調装置の風向調整装置20に適用される。風向調整装置20は、エアアウトレット、ベンチレータ、レジスタなどとも呼ばれ、空調装置などからの風の吹き出し方向を調整するものである。図示される例では、風向調整装置20は、自動車などの車両用のものであり、インストルメントパネルやセンタコンソール部などの車室内の被設置部に設置される。
【0027】
この構成では、回動体2はフィンまたはルーバの少なくとも一部、本実施の形態ではフィンまたはルーバ自体であり、保持部材3は回動体2をケース体21内に保持する軸受け部(スペーサ)22の一部を構成する。
【0028】
ケース体21は、合成樹脂などにより、筒状、例えば本実施の形態では四角形筒状に形成されている。ケース体21の内部に通気路23が形成されている。ケース体21において、通気路23の上流側が空調風を受け入れる受け入れ口24であり、下流側が空調風を吹き出す吹き出し口25である。
【0029】
回動体本体部4は、長手板状に形成され、一主面及び他主面が、空調風を整流する整流面となっている。回動体2は、吹き出し口25近傍に配置され、使用者によって直接または間接に回動操作されることで、吹き出し口25から吹き出される空調風の風向を回動方向に変更することが可能となっている。本実施の形態において、回動体2は、複数、例えば上下に3つ配置されて上下方向に回動する横ルーバを例に挙げる。これら回動体2のうちのいずれか、例えば上下の中央部に位置する回動体2に、回動操作用の操作部であるノブ(摘み)27が取り付けられている。図示される例では、これら回動体2は、リンクによって連動して同方向に回動するように連結されている。また、回動軸5は、回動体本体部4の長手方向の両端部に、互いに同軸または略同軸に突設されている。
【0030】
軸受け部22は、ケース体21の内部に収容されている。軸受け部22は、例えばケース体21の両側壁部30に沿って位置し、回動体2の回動体本体部4と両側壁部30との間に間隔を生じさせている。少なくとも一方の軸受け部22には、取付部31が形成されており、取付部31に保持部材3が取り付けられている。本実施の形態では、取付部31は穴部であり、取付部31に保持部材3が嵌合されている。保持部材3は、ノブ27が取り付けられている回動体2の回動軸5を受ける位置に配置される。図示される例では、保持部材3は、軸受け部22の上下方向の中央部に位置する。
【0031】
保持部材3は、溝部13及び突出部16を側壁部30に対向させて取付部31に取り付けられている。そのため、溝部13及び突出部16は、軸受け部22とケース体21の側壁部30との間に位置し、吹き出し口25側から見て背面側、つまり使用者から直接目視できない位置にある。
【0032】
好ましくは、突出部16の外側部が、ケース体21の側壁部30に形成された受け部32によって支持されている。受け部32は、ケース体21の側壁部30から突出して形成されている。受け部32は、突出部16の外形に応じた形状となっており、本実施の形態では、円周状または円環状に形成されている。受け部32は、側壁部30からリブ状に立ち上がって形成されており、受け部32の内部に突出部16が嵌合されて保持されている。本実施の形態において、受け部32は、少なくとも回動体2の回動方向の両側から突出部16を支持するように形成されている。つまり、受け部32は、突出部16に対して、少なくとも上下に位置する。
【0033】
また、一方の軸受け部22には、取付部31に対して離れた位置に、ノブ27が取り付けられていない回動体2の回動軸5を受けるための軸穴34が形成されている。本実施の形態では、軸穴34は、取付部31すなわち保持部材3に対して上下に離れて位置する。他方の軸受け部22は、各回動体2の回動軸5を受けるための軸穴が形成されている。なお、他方の軸受け部22に取付部が形成されて、その取付部に保持部材3が取り付けられていてもよい。
【0034】
そして、風向調整装置20は、一方の軸受け部22に取り付けられた保持部材3の保持穴6に回動体2の一方の回動軸5を圧入し、他方の回動軸5を他方の軸受け部22の軸穴に挿入して、軸受け部22,22をケース体21に組み込む。このとき、保持部材3の突出部16を側壁部30の受け部32に嵌合させる。
【0035】
車両の乗員などの使用者がノブ27を摘んで回動体2を回動させると、その回動体2の回動軸5の外周面8と保持穴6の内周面7との摺動により所定の摺動抵抗が付与される。その他の回動体2は、リンクにより連動して同方向に回動する。この回動により、通気路23を通過した空調風の吹き出し口25からの吹き出し方向が調整される。
【0036】
回動軸5の回動方向において保持穴6に軸方向の厚み差が生じているため、保持穴6には、周方向において回動軸5に対する摺動抵抗に変化が生じている。本実施の形態では、溝部13の形状により、保持穴6の内周面7の回動軸5の外周面8に対する軸方向の接触長さが異なっていることで、回動軸5への押し付け力に差が生じ、溝部13の谷部である第二部分11で押し付け力(摺動抵抗)が最も弱く、溝部13の山部である第一部分10で押し付け力(摺動抵抗)が最も強い。
【0037】
そのため、例えば比較的車室内の温度が高くなる状況下で回動体2の操作が行われないまま一定期間が経過して、回動軸5の外周面8と保持穴6の内周面7との密着力が上昇した場合などに、使用者がノブ27によって回動体2に回動方向の操作力を加えたとき、回動軸5は押し付け力(摺動抵抗)が弱い位置から先に保持穴6に対して剥がれることで、剥がれるタイミングが異なる位置が周方向に生じるため、軸方向の厚み差が周方向に生じていない一定深さの保持穴のように一気に剥がれが発生することがなく、特に初動時のスティックスリップ現象を低減でき、回動軸5の外周面8と保持穴6の内周面7との密着が発生したときでも滑らかな滑り出しを実現できる。そこで、回動体2を安定的に回動可能に維持でき、安定した操作感を得ることができる。
【0038】
また、保持穴6に厚み差を生じさせる溝部13を保持部材3に形成したことで、溝部13によって、回動軸5の周方向内での保持穴6の厚み差を容易に形成できるとともに、溝部13の形状に応じて、厚み差を容易に設定できる。特に、溝部13を、回動軸5の外周面8に対する保持穴6の内周面7の軸方向の接触長さを異ならせる形状、例えばV字状に形成したことで、保持穴6の厚みを周方向に連続的に変えることができ、回動軸5の外周面8と保持穴6の内周面7との密着が発生した状態で回動体2に回動方向の操作力を加えたときの保持穴6からの回動軸5の剥がれをより確実に誘発させることができる。
【0039】
さらに、保持穴6の開口方向に沿って突出する突出部16を保持部材3に形成し、保持穴6の厚み差の終端を突出部16に位置させることで、保持穴6に対して突出部16とは反対側から回動軸5を圧入したときの反力に起因して溝部13が開くことを抑制でき、保持部材3の反りを突出部16により抑制できるので、回動軸5に付与する押し付け力(摺動抵抗)を安定させることができる。
【0040】
また、風向調整装置20は、ルーバである回動体2を、軸受け部22の一部を構成する保持部材3により回動可能に支持することで、回動体2の安定した操作感を長期に亘り維持でき、操作性が良好な風向調整装置20を提供できる。
【0041】
さらに、保持部材3の突出部16を回動体本体部4とは反対側である側壁部30に対向させて配置し、側壁部30から突出する受け部32によって突出部16を回動体2の回動方向に支持することにより、回動体2に対し、回動時などに回動方向、例えば
図3中の矢印F方向である下方に負荷を加えたときに、突出部16と受け部32とが噛み合って保持部材3の撓み変形が抑制されるので、剛性感が損なわれることがない。
【0042】
また、突出部16と溝部13とを保持部材3の同主面に形成し、それらを側壁部30に対向させて受け部32に嵌合させることにより、突出部16及び溝部13が吹き出し口25側から目視されず、見栄えを向上できる。
【0043】
なお、上記の一実施の形態において、溝部13の形状は、任意に設定してよい。例えば、溝部13は、正面から見て、保持穴6から一側に延びる直線状としてもよいし、保持穴6を中心として120°毎のY字状に形成されていてもよいし、あるいは90°毎の十字状に形成されていてもよい。
【0044】
また、溝部13の断面は、V字状に限らず、U字状や凹状であってもよい。
【0045】
さらに、突出部16は、円周状または円環状に限定されず、例えば四角形状でもよい。この場合、正面から見て、保持部材3の外側部に沿って辺部を有する四角形状としてもよいし、保持部材3の外側部の中央部に角部が位置するように、保持部材3の外側部に対して回動軸5または保持穴6の周方向に90°傾斜した四角形状としてもよい。
【0046】
さらに、突出部16は、保持穴6を囲む形状に限定されず、例えば保持穴6を基準として互いに反対側に位置する、平行な一対の壁状などに形成されていてもよい。
【0047】
また、突出部16は、必須の構成ではなく、溝部13の端部15についても、保持部材3の外側部より内方に位置するものであれば、突出部16に突き当たるものに限定されない。
【0048】
さらに、軸受け部22は、ケース体21の側壁部30を構成するものでもよい。
【0049】
そして、回動機構1は、風向調整装置20に適用されるものに限らず、保持穴6によって回動軸5に対する摺動抵抗を生じさせる他の任意の装置に適用してよい。
【産業上の利用可能性】
【0050】
本発明は、例えば自動車の空調用の風向調整装置に適用される回動機構として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0051】
1 回動機構
2 回動体
3 保持部材
5 回動軸
6 保持穴
13 溝部
16 突出部
20 風向調整装置
22 軸受け部