(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024000186
(43)【公開日】2024-01-05
(54)【発明の名称】産業機械情報収集システム、設定情報データ入力方法、および、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04L 67/2871 20220101AFI20231225BHJP
H04L 67/565 20220101ALI20231225BHJP
【FI】
H04L67/2871
H04L67/565
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022098814
(22)【出願日】2022-06-20
(71)【出願人】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岩本 貴之
(57)【要約】 (修正有)
【課題】産業機械の稼働データを収集するための設定情報を容易に作成する。
【解決手段】産業機械情報収集システムは、産業機械より稼働情報を収集する中継装置及びクライアントデバイスを備える。クライアントデバイスは、設定情報データの入力を行う入力フォームに係る表示用データの要求を中継装置に送信し、中継装置から表示用データを受信すると、当該表示用データに基づいて入力用フォームを自装置の表示部に表示する。クライアントデバイスは、ユーザが入力用フォームを用いてフィールドデータを入力すると、入力されたフィールドデータを一次保持テーブルに記憶し、フィールドデータをPOST用データとして整形し中継装置に当該データを送信する。そして、中継装置は、当該データをクライアントデバイスより受信すると、当該データをCSV形式の設定情報データとして記憶する。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
産業機械と、前記産業機械の稼働情報を前記産業機械から取得する中継装置と、クライアントデバイスとを備える産業機械情報収集システムであって、
前記中継装置は、
前記クライアントデバイスから前記産業機械の設定情報データを受信するとともに、前記設定情報をユーザに入力させる入力フォームの表示用データを前記クライアントデバイスに送信する第一通信部と、
前記産業機械から稼働情報を取得する第二通信部と、
前記産業機械の設定情報データを記憶する記憶部と
を備え、
前記クライアントデバイスは、
前記中継装置から前記入力フォームの表示用データを受信し、前記ユーザから前記産業機械の設定情報をフィールドデータとして受け付ける受付部と、
前記フィールドデータをCSV形式の文字列データとして生成する生成部と、
前記中継装置に対して前記CSV形式の設定情報データを送信する処理部と、
を備えることを特徴とする、
産業機械情報収集システム。
【請求項2】
前記クライアントデバイスは、さらに記憶部を備え、
前記クライアントデバイスの前記記憶部は、前記生成部が生成した文字列データを、一時的に保持する一次保持テーブルとして1行または複数行記憶し、
前記処理部は、当該一次保存テーブルにおいて、ユーザによる文字列データの削除、複製、および編集を可能とする
請求項1記載の産業機械情報収集システム。
【請求項3】
前記クライアントデバイスは、さらに前記フィールドデータの妥当性を判定する判定部を備え、
前記生成部は、前記判定が妥当であった場合に、前記フィールドデータをCSV形式の文字列データとして生成する
請求項1または請求項2に記載の産業機械情報収集システム。
【請求項4】
産業機械と、前記産業機械の稼働情報を前記産業機械から取得する中継装置に設定情報データを入力する方法であって、
クライアントデバイスが前記中継装置に入力フォーム表示用データを要求するステップと、
前記入力フォームによりフィールドデータの入力を受け付けるステップと、
前記フィールドデータを入力フォームの順に取得し、CSV形式の文字列データを文字列データとして生成するステップと、
前記文字列データを一時的に保持する一次保持テーブルに追加するステップと、
前記一次保持テーブルにおいて、ユーザが文字列データの削除、複製、編集を行うステップと、
ユーザの指示に基づいて、
前記一次保持テーブルに記憶した文字列データをPOST用フォームにPOST用データとして整形するステップと、
前記POST用データを前記中継装置に送信するステップと、
を含む、
方法。
【請求項5】
請求項4に記載の中継装置に設定情報データを入力する方法をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、産業機械情報収集システム、設定情報データ入力方法、および、そのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザがPC(Personal Computer)等のクライアントデバイスを使用して所望の情報を産業機械より収集する中継装置が知られている。これらの中継装置が産業機械から情報を収集する際には、まず収集対象の情報を定義した設定データをCSV(Comma Separated-Values)形式で自機に記憶しておく必要がある。例えば特許文献1には公知のデータ入力方法が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法ではユーザは外部の装置でCSVファイルを予め作成した上で中継装置に作成したCSVファイルそのものをデータとして取り込む、または中継装置が備えるWebインターフェース上で、直接カンマで各要素を区切るCSV形式の文字列を手動で入力しなければならず中継装置の利便性が損なわれていた。
【0005】
本発明は以上の事情に鑑みてなされたものであり、その主要な目的は、産業機械から収集する対象情報を定義するため、ユーザが容易に中継装置用のCSV形式の設定データファイルを作成するデータ入力の仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る産業機械情報収集システムは、産業機械と、産業機械の稼働情報を産業機械から取得する中継装置と、クライアントデバイスとを備え、中継装置は、クライアントデバイスから産業機械の設定情報データを受信するとともに、設定情報をユーザに入力させる入力フォームの表示用データをクライアントデバイスに送信する第一通信部と、産業機械から稼働情報を取得する第二通信部と、産業機械の設定情報データを記憶する記憶部とを備え、クライアントデバイスは、中継装置から前記入力フォームの表示用データを受信し、ユーザから産業機械の設定情報をフィールドデータとして受け付ける受付部と、フィールドデータをCSV形式の文字列データとして生成する生成部と、中継装置に対してCSV形式の設定情報データを送信する処理部とを備える。
【0007】
これによれば、ユーザは中継装置が予め記憶する入力フォームに基づいてフィールドデータを個別入力するだけで、CSV形式の設定情報データを中継装置に送信し、中継装置はこれを記憶し、産業機械の稼働データの処理に使用することができる。なお、入力フォームとは、ユーザがクライアントデバイスの画面上で設定情報を容易に入力できるよう設計された、フォームを意味する。
【0008】
また、クライアントデバイスの記憶部は、生成部が生成した文字列データを、一時的に保持する一次保持テーブルとして1行または複数行記憶し、当該一次保存テーブルにおいて、ユーザによる文字列データの削除、複製、および編集を可能としてもよい。
【0009】
これによれば、ユーザはクライアントデバイスの表示画面における簡易な操作でCSV形式の文字列データの追加、変更、および削除を行うことができる。
【0010】
また、クライアントデバイスは、さらにフィールドデータの妥当性を判定する判定部を備え、生成部は、判定が妥当であった場合に、フィールドデータをCSV形式の文字列データとして生成してもよい。
【0011】
これによれば、中継装置はクライアントデバイスより入力を受け付けたフィールドデータの妥当性をCSVの形式で一次保持テーブルに格納する前に、前もって判定することができる。
【0012】
本発明の一態様に係る産業機械と、産業機械の稼働情報を産業機械から取得する中継装置における設定情報データ入力方法は、クライアントデバイスが中継装置に入力フォーム表示用データを要求するステップと、入力フォームによりフィールドデータの入力を受け付けるステップと、フィールドデータを入力フォームの順に取得し、CSV形式の文字列データを文字列データとして生成するステップと、文字列データを一時保持する一次保持テーブルに追加するステップと、一次保持テーブルにおいて、ユーザが文字列データの削除、複製、編集を行うステップと、ユーザの指示に基づいて、一次保持テーブルに記憶した文字列データをPOST用フォームにPOST用データとして整形するステップと、POST用データを中継装置に送信するステップとを含む。
【0013】
これによれば、上記産業機械情報収集システムと同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザは、産業機械の稼働データ処理のため、CSV形式である設定情報データを容易に作成し、中継装置に保存することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る産業機械情報収集のためのデータ入力システム(産業機械情報収集システム)の概要を示す模式図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係るクライアントデバイスの機能構成を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係るクライアントデバイスの受付部にユーザがフィールドデータを生成する際のフォーム表示画面を示す一例である。
【
図4】
図4は、実施の形態のクライアントデバイスにおいて、入力されたフィールドデータを含むCSV形式の行データを一時的に記憶する際の形態である一次保持テーブルを表示した画面の一例である。
【
図5】
図5は、実施の形態のクライアントデバイスが一次保持テーブルの記憶内容を基に生成するCSV形式のデータの一例である。
【
図6】
図6は、実施の形態のクライアントデバイスがCSV形式のデータを中継装置に送信する一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、実施の形態の中継装置がCSV形式のデータを保存する一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、実施の形態の中継装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図9】
図9は、実施の形態のデータ入力システムにおけるデータおよび処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
[実施の形態]
【0017】
図1は、実施の形態に係る産業機械情報収集のためのデータ入力システム(産業機械情報収集システム)の概要を示す模式図である。
図1に示すように、産業機械情報収集システム100は、中継装置101、通信リンク102、クライアントデバイス103、産業機械104,通信リンク105を備える。
なお、本実施の形態では、産業機械情報収集システム100は1つのクライアントデバイス103および1つの中継装置101を備えているが、これに限定されず、複数のクライアントデバイスおよび複数の中継装置を備えていてもよい。
【0018】
中継装置101は、自機に接続される産業機械104より稼働情報(例えば産業機械の運転状態、加工軸の回転速度等)を収集するために予め定義される設定情報データ(以下設定情報データ)をまとめたCSV形式のデータを、クライアントデバイス103から受信し記憶する。中継装置101は通信リンク102を介してクライアントデバイス103と接続される。
【0019】
通信リンク102は、中継装置101およびクライアントデバイス103を接続するネットワークである。通信リンク102はIEEE802.3等の規格に準拠して実現される有線ネットワークの形態であってもよく、IEEE802.11ac等の規格に準拠して実現される無線ネットワークの形態であってもよい。また、通信リンク102は、内部のネットワーク(例えば社内や工場内など)で構成されてもよいし、外部のネットワーク(例えばインターネットなど)で構成されてもよい。
【0020】
クライアントデバイス103は、ユーザの操作により中継装置101への設定情報データの入力を行うと共に、産業機械104の稼働データを閲覧監視または産業機械104を制御する端末装置である。具体的には、クライアントデバイス103は、パーソナルコンピュータ、タブレット型コンピュータ、またはスマートフォン等である。クライアントデバイス103は通信リンク102を介して中継装置101と接続される。
【0021】
産業機械104は、例えば、CNC(数値制御装置)や、切削機械等で構成される。産業機械104は、通信リンク105を介して中継装置101と接続される。
【0022】
通信リンク105は、例えばRS-232C、IEEE802.3規格等に適合する有線通信、または、IEEE802.11ac規格等に適合する無線通信により実現され、産業機械104と中継装置101との間における通信経路である。
【0023】
図2は、実施の形態に係るクライアントデバイスの機能構成を示すブロック図である。クライアントデバイス103は、記憶部201、判定部202、処理部203、通信部204、受付部205、および生成部206を備える。クライアントデバイス103における上記各機能は、クライアントデバイス103が備えるCPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置(eMMC(Embedded Multimedia Card)や、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性記憶手段)、通信モジュール等のハードウェア(いずれも図示せず)、およびROMに格納されたプログラムをCPUが読み出してこれらハードウェアと協調しつつ実行することにより実現される。
【0024】
記憶部201は、受付部205よりフィールドデータ(後述する)が入力された結果として生成されたCSV形式のデータである文字列データを格納するための一次保持テーブル(後述する)および中継装置101に送信するPOST用データ(後述する)を記憶する。
【0025】
判定部202は、受付部205が受け付けたフィールドデータが妥当か否かを判定する。判定部202は、判定結果が妥当な場合に、処理部203にその旨およびフィールドデータを通知する。また、判定部202は、受付部205から入力されたフィールドデータを含む文字列データを集合させたテーブルである一次保持テーブルの送信指示を受けたか否かの判定を実行する。
【0026】
処理部203は、データの入出力を制御する。処理部203は、判定部202よりフィールドデータが妥当であるとの通知を受けた後に、フィールドデータを生成部206に転送し当該フィールドデータを含む文字列データを生成させる。また、処理部203は、生成部206が生成する当該フィールドデータを含む文字列データを記憶部201に一次保持テーブルの形態で一時的に記憶させる。さらに、処理部203は、後述するように、一次保存テーブルにおいて、ユーザの指示に基づいて、文字列データの削除、複製、および編集処理を行う。
【0027】
通信部204は、中継装置101との間でデータの送受信を行う。通信部204はIEEE802.3規格やIEEE802.11ac等の通信規格に準拠する有線通信および無線通信モジュール(図示せず)等により実現され、例えば、TCP(Transmission Control Protocol)通信等に基づくデータの送受信を行う。
【0028】
受付部205は、フィールドデータの入力を受け付ける。受付部205は、表示部等(図示しない)に表示させた入力フォーム300(具体的なフォームは、後に
図3により説明する)にユーザが入力したフィールドデータを取得すると、判定部202に通知し、当該フィールドデータの妥当性の判定を受ける。なお、フィールドデータとは、産業機械から収集する対象情報を定義するために必要な、CSV形式の各行にカンマ区切りで含まれる各々の設定情報データの要素を指す。
【0029】
また、受付部205はユーザより一次保持テーブル400の変更操作、POSTリクエスト等のデータ送信の要求を受け付け、当該要求を処理部203に通知する。また、受付部205は、ユーザがフィールドデータを入力するための入力フォーム300に係わる表示用データを中継装置101より取得するための要求である、入力フォーム取得リクエストを、通信部204を介して中継装置101に送信する。入力フォーム取得リクエストとは、例えばHTTP(Hypertext Transfer Protocol) GETリクエスト等により行われる要求である。
【0030】
生成部206は、フィールドデータからCSV形式の行である文字列データ(後述する)を生成する。具体的には、ユーザが入力したフィールドデータの情報を順次読み出すことにより、HTML(Hypertext Markup Language)フォームである受付部205で入力されたフィールドデータをCSV形式のデータとして、カンマ区切りで順次格納する。
【0031】
図3は、実施の形態に係るクライアントデバイス103の受付部205が表示する入力フォームを示す一例である。受付部205は、中継装置101が予め記憶しクライアントデバイス103に向けて送信した表示用データ(例えばHTML等により定義されてもよい)に基づいて入力フォーム300を生成し、当該入力フォーム300をクライアントデバイス103上の表示装置(例えばLCD(Liquid Crystal Display)等)に表示させる。入力フォーム300は各フィールドデータの入力を受け付ける入力部301a~301f(以下総称して入力部301とも呼ぶ)を備える。ユーザが入力部301に値を入力すると、判定部202による入力値の妥当性判定を経て、生成部206が文字列データ303を生成する。
図3に示される受付部205が生成する入力フォーム300の入力部301それぞれのフィールドデータ名は、入力フォーム300に画面表示されており、例えば、入力部301aはポイント名、入力部301bはポイントタイプ、入力部301cは定数値、入力部301dは更新周期、入力部301eは系統数、および入力部301fは開始アドレスなどである。
【0032】
生成部206が生成する文字列データ303は、カンマ区切りのフィールドデータ302a~302f(以下総称してフィールドデータ302とも呼ぶ)、および固定値304a~304d(固定値304とも総称する)を備える。フィールドデータ302a~302fは、入力フォーム300が備える入力部301a~302fの各々のフィールドデータ302と1対1に対応付けられ、ユーザが各入力部301に入力を行った内容が対応する各フィールドデータ302に格納される。固定値304a~304dは、中継装置101が予め記憶し自機の内部の処理(例えば稼働情報の取得に係る設定パラメータ等)に利用し、例えばユーザによる変更の必要がないデータ等である。
【0033】
文字列303の生成は、より具体的には、生成部206が入力部301a~301fに入力されたデータを先頭から順に読み出して行き、順にカンマで区切りながらフィールドデータ302a~302fとして並べ、1行のCSV行データとして整形する。また、生成部206はフィールドデータ302をカンマ区切りで格納しながら、固定値304を中継装置101が予め定義する所定の位置に当該固定値をカンマ区切りで格納する。生成部206が当該フィールドデータ302および固定値304の文字列データ303への格納を完了させると、文字列データ303が完成する。
【0034】
なお、固定値304のデータは、中継装置101が送信する表示用データとともにクライアントデバイス103に送信される。また、
図3の例では入力部301において6つのフィールドデータを備える構成を例としているが、フィールドデータの数はこれに限定されるものではない。
【0035】
生成部206により生成された文字列データ303は、ユーザの操作(例えば入力フォーム300への入力内容を確定するボタンの押下等)により、後述する一次保持テーブル400に一時的に保持される。
【0036】
図4は、実施の形態に係るクライアントデバイス103がCSV形式のフィールドデータおよび固定データを含む複数の文字列データ303を一時記憶する際の形態である一次保持テーブル400を、クライアントデバイス103上の表示装置に表示させた画面の一例である。ユーザはこの表示画面を通じて、一次保持テーブル400における列データについて、削除、複製、編集などの操作を行うことができる。一次保持テーブル400は、行名401、隠しフィールド402、操作部403を備える。行名401はCSV行データを識別するための行名を表示するフィールドである。行名401は入力部301a(例えばポイント名)の入力内容を表示する。
【0037】
隠しフィールド402は、文字列データ303を保持する、一次保持テーブルの実体として機能するフィールドである。隠しフィールド402はデフォルトで非表示のフィールドであり、実際に格納されている文字列データ303はデフォルトではユーザに対し表示されない。
【0038】
操作部403はユーザが任意で文字列データ303を変更する操作を行う操作部である。操作部403は、行ごとに削除ボタン403a、複製ボタン403b、および、編集ボタン403cを備える。削除ボタン403aを押下すると、一次保持テーブル400から操作部403の削除ボタンに対応する行の行名401、隠しフィールド402、および操作部403が削除される。また、複製ボタン403bを押下することで、一次保持テーブル400において、新たな行を追加し、操作部403の複製ボタンに対応する行名401、隠しフィールド402、操作部403を複製する。これらの画面上での動きは、実体的には、クライアントデバイスの処理部203が一次保持テーブルを処理することで行われている。同様に、編集ボタン403bをユーザが押下することで非表示としていた入力フォーム300を表示させる。そして、ユーザに隠しフィールド402に格納された文字列データ303を当画面上で、あるいは
図3に示す画面に戻って編集させることを可能としてもよい。
【0039】
この一次保持テーブルによれば、ユーザは簡易な操作でCSV形式のデータの削除・追加・編集を行うことができる。より具体的には、ユーザは一次保持テーブルに既に格納されたCSV形式のデータの行削除、既に入力済みのCSV形式のデータの一次保持テーブル400への行追加、および所望のCSV形式のデータにおけるフィールドデータの編集を簡易な操作で行える。また、一次保持テーブル400の文字列データ303を非表示の隠しフィールド402に格納することで、ユーザに取って可読性が低い文字列データ303を非表示としながらも、文字列データ303を保持することができる。
【0040】
図5は、実施の形態に係るクライアントデバイス103が一次保持テーブル400の記憶内容を基に生成するCSV形式のデータの一例である。
【0041】
POST用フォーム500は、生成部206により生成されたCSV形式のデータ303からPOST用データ501を格納するためのフォームである。生成部206は、一次保持テーブル400の先頭から隠しフィールド402を順次読み出して行き、一次保持テーブル400の各隠しフィールドに保持されている文字列データ303を逐次POST用フォーム500に書き込んでいきPOST用データ501を整形する。その後、生成部206は、ユーザの送信指示があると、当該フォームを処理部203に通知する。処理部203は当該通知を受けるとPOST用フォーム500に格納されたPOST用データ501をHTTP POSTリクエストに含めて中継装置101に送信する。
【0042】
続いて、
図8を用いて実施の形態に係る中継装置101の機能構成について説明する。中継装置101は、記憶部801、処理部802、第1通信部803、および第2通信部804を備える。中継装置101は一種のコンピュータであり、当該各機能は、中継装置101が備えるCPU、RAM、ROM、補助記憶装置、通信モジュール(いずれも図示せず)などのハードウェア、およびROMに格納されたプログラムをCPUが読み出してこれらハードウェアと協調しつつ実行することにより実現される。
【0043】
記憶部801は、クライアントデバイス103より受信したCSV形式のデータを記憶する。記憶部801は、SSDや、eMMC等の補助記憶装置により実現され、クライアントデバイス103より受信したPOST用データ501から抽出したCSV形式の文字列データをCSVファイルとして記憶する。また、クライアントデバイス103に表示させるための入力フォーム300の表示用データおよび固定値304も記憶する。
【0044】
処理部802は、データの入出力を制御する。処理部802は、第1通信部803から通知されたHTTP POSTリクエストよりPOST用データ501を抽出し、当該抽出したPOST用データ501に含まれるCSV形式のファイルの記憶を記憶部801に指示する。また、処理部802は、クライアントデバイス103の要求に応じて入力フォーム300の表示用データを記憶部801より読み出して第1通信部803に通知し、クライアントデバイス103への当該表示用データの送信を指示する。さらに処理部802は、第2通信部から受け取った産業機械104の稼働データを、記憶部801に記憶したCSV形式のファイル(産業機械データ構成ファイル)に従って、クライアントデバイス103の要求に応じて提供する。
【0045】
第1通信部803は、中継装置101とクライアントデバイス103との間においてデータの送受信を行う。第1通信部803はIEEE802.3規格やIEEE802.11ac等の通信規格に準拠する有線通信および無線通信モジュール(図示せず)等により実現され、例えば、TCP通信等に基づくデータの送受信を行う。第1通信部803はクライアントデバイス103よりPOST用データ501を含むHTTP POSTリクエストを受信(POST受信とも呼ぶ)すると、当該リクエストを処理部802に通知する。さらに第1通信部は、クライアントデバイス103からの入力フォーム取得リクエストに応じて入力フォーム300をクライアントデバイス103に送信する。また、第1通信部802は、HTTP POSTリクエストが受信された後は、産業機械104の稼働データをクライアントデバイスに提供するためにも用いられる。
【0046】
第2通信部804は、産業機械104より送信される稼働情報のデータを受信する。第2通信部804は第1通信部とは異なるネットワークに対して稼働する。第2通信部804は例えばRS232C等のシリアル通信、IEEE802.3規格またはIEEE802.11ac規格等に準拠して産業機械104との通信経路を構成する。第2通信部804に受信された産業機械104の稼働データは処理部802に通知され、クライアントデバイス103により定義されたCSV形式のデータ(すなわち、産業機械のデータ構成)に基づいて取得されたデータを蓄積する。
[実施の形態に係るフローの説明]
【0047】
次に実施の形態に係るクライアントデバイス103が、ユーザが入力したフィールドデータをPOST用データ501の形態に整形して中継装置101に向けて送信する処理について、
図6を用いて説明する。
【0048】
図6は、実施の形態のクライアントデバイス103がCSV形式のデータをHTTP POSTリクエストにより中継装置101に送信するまでの一連の処理の流れを示すフローチャートである。
【0049】
ステップS601は、受付部205がユーザによりフィールドデータを入力するための入力フォーム300に係わる表示用データ(以後を中継装置101より取得するための要求である、入力フォーム表示用データとも呼ぶ)を中継装置101より取得するための要求である、入力フォーム取得リクエストを中継装置101に向けて送信するステップである。
【0050】
ステップS602は、判定部202が入力フォーム表示用データを中継装置101より受信したか否かを判定するステップである。中継装置101より入力フォーム表示用データを受信した場合(ステップS602のYes)には、当該入力フォーム表示用データを表示装置に表示し、中継装置101より入力フォーム表示用データを受信しなかった場合には、ステップS602を繰り返し実行する(ステップS602のNo)。
【0051】
ステップS603は、ユーザが入力フォーム300上でフィールドデータを入力し、受付部205がこれを取得するステップである。
【0052】
ステップS604は、判定部202が入力フォーム300の入力部301に入力されたデータが妥当か否かを判定するステップである。ここでの判定は、例えば入力された数値が予め定められた入力仕様の範囲内か否か、文字が規定に沿っているか否か、等により行う。入力されたデータが妥当ではない場合はステップS605を実行し、入力されたデータが妥当である場合はステップS606を実行する。
【0053】
ステップS605は、処理部203がクライアントデバイス103の表示装置(図示しない)上にエラー内容を表示するステップである。具体的には、処理部203は本ステップによりユーザに入力部301に入力されたデータが妥当ではない旨を表示装置に表示する。このように、処理部203が表示するエラー内容は、例えば「範囲外の数値が入力されています。」、「規定外の文字が入力内容に含まれています。」等のメッセージ文字列をダイアログボックス等のUI(User Interface)によりクライアントデバイス103の表示装置に表示させることでエラーが発生した旨をユーザに示す。ユーザはこのエラー表示を見てステップS603に戻りフィールドデータを再入力する。
【0054】
ステップS606は、生成部206が入力部301に入力されたデータを取得するステップである。生成部206は入力部301に入力されたデータを入力部301a~301fの順に取得する。
【0055】
ステップS607は、生成部206がCSV形式の文字列データ303を生成するステップである。生成部206は、前ステップS606で取得した入力部301a~301fのデータの順序に従ってフィールドデータ302a~302fとしてカンマで区切りながら格納することで文字列データ303を生成する。
【0056】
ステップS608は、処理部203が文字列データ303を一次保持テーブル400の最下行に追加するステップである。
【0057】
ステップS609は、判定部202がユーザよりCSV形式のデータを中継装置101に送信する指示が行われたか否かを判定するステップである。送信する指示が行われなかった場合は、次のCSV行に対応するフィールドデータの入力処理のためにステップS603に戻り、送信する指示が行われた場合はステップS610を実行する。なお、ステップS610の前に、ユーザは、
図4に示した一次保持テーブル400の表示画面を通して、適宜、行の削除、複製または編集を行うことができる。
【0058】
ステップS610は、処理部203が一次保持テーブル400のデータをPOST用フォーム500に順次整形することで、POST用データ501を生成するステップである。
【0059】
ステップS611は、処理部203が中継装置101に向けてHTTP POSTリクエストにPOST用フォーム500格納されたPOST用データ501を含めて実行するステップである。当ステップの実行によりクライアントデバイス103は中継装置101に向けてPOST用データ501を含むHTTP POSTリクエストを送信する。
【0060】
次に実施の形態に係る中継装置101が、クライアントデバイス103の求めに応じて入力フォームを送信して後、クライアントデバイス103よりCSV形式のPOST用データ501を受信して保存するまでの一連の処理について
図7を使用して説明する。
【0061】
ステップS701は、第1通信部803がクライアントデバイス103から入力フォーム300を取得するために、入力フォーム取得リクエストを受信したか否かを判定するステップである。第1通信部803が入力フォーム取得リクエストを受信した場合はステップS702に進み(ステップS701のYes)、入力フォーム取得リクエストが受信されなかった場合は、フローを終了する(ステップS701のNo)。
【0062】
ステップS702は、中継装置101がクライアントデバイス103に向けて入力フォーム300の表示に係わる表示用データを送信するステップである。
【0063】
ステップS703は、中継装置101がクライアントデバイス103よりPOST用データ501を受信したかどうかを判定するステップである。具体的には、中継装置101の通信部はクライアントデバイス103が送信したHTTP POSTリクエストを含むフレームを第1通信部803が受信を待ち受けている。通信部803がHTTP POSTリクエストを受信した場合は当該受信したHTTP POSTリクエストを処理部802に通知し(ステップS703のYes)、HTTP POSTリクエストが受信されなかった場合は再びS703を実行する(ステップS703のNo)。
【0064】
ステップS704は処理部802が、通信部803が通知したHTTP POSTリクエストからPOST用データ501を抽出するステップである。処理部802は、クライアントデバイス103から受信したHTTP POSTリクエストよりPOST用データ501を抽出すると当該POST用データ501を記憶部801に通知する。
【0065】
ステップS705は記憶部801がPOST用データを記憶するステップである。記憶部801は処理部802からPOST用データ501の通知を受けたことにより、当該データをCSVファイルとして記憶する。その後、中継装置101は、産業機械104の稼働データを取得すると、CSVファイルを使用して、クライアントデバイス103のユーザにその稼働データを閲覧可能とする。
【0066】
[シーケンス図の説明]
続いて実施の形態に係る中継装置およびクライアントデバイス間におけるデータのやり取りの一連の流れを、
図9を用いて説明する。
【0067】
先ず、クライアントデバイス103は、入力フォーム取得リクエストを中継装置101に向けて送信する(ステップS900)。その後中継装置101は入力フォーム取得リクエストを受信する。
次に、中継装置101は入力フォーム取得リクエストを受信すると入力フォーム300に係る表示用データをクライアントデバイス103に向けて送信する(ステップS901)。
【0068】
次に、クライアントデバイス103は表示用データを受信し、自機の表示部に当該表示用データに基づいて入力フォーム300を表示する(ステップS902)。
【0069】
続いてユーザは入力フォーム300を用いてクライアントデバイス103上でフィールドデータの入力を行い、その入力内容を文字列データ303として一次保持テーブルに記憶させる(ステップS903)。
【0070】
次にクライアントデバイス103はPOST用フォーム500にステップS903にて一次保持テーブルに記憶させた文字列データ303を逐次POST用フォーム500に格納し、POST用データ501とする(ステップS904)。
【0071】
次にクライアントデバイス103はステップS904にて生成したPOST用データ501を含むHTTP POSTリクエストを中継装置101に向けて送信する。
【0072】
続いて、中継装置101はクライアントデバイス103が送信したPOST用データ501を含むHTTP POSTリクエストを受信すると、当該リクエストのフレームよりPOST用データ501を抽出する(ステップS906)。
【0073】
最後に、中継装置101はステップS906にて抽出したPOST用データ501をCSV形式のファイルで自機に記憶する(ステップS907)。
【0074】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記憶媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データ又は信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データおよび信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0075】
本発明は、産業機械等に接続されCSV形式のデータにより取得対象のデータを定義する中継装置等に適用され得る。
【符号の説明】
【0076】
100 産業機械情報収集システム
101 中継装置
102 通信リンク
103 クライアントデバイス
104 産業機械
201 記憶部
202 判定部
203 処理部
204 通信部
205 受付部
206 生成部
300 入力フォーム
301 入力部
302 フィールドデータ
303 文字列データ
304 固定値
400 一次保持テーブル
401 行名
402 隠しフィールド
403 操作部
500 POST用フォーム
501 POST用データ
801 記憶部
802 処理部
803 第1通信部
804 第2通信部