(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018620
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】管理システム及び管理方法
(51)【国際特許分類】
G05B 23/02 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
G05B23/02 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122056
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 史明
(72)【発明者】
【氏名】田中 雅人
【テーマコード(参考)】
3C223
【Fターム(参考)】
3C223AA01
3C223BA01
3C223CC01
3C223DD01
3C223EB01
3C223EB02
3C223FF02
3C223FF12
3C223FF13
3C223FF14
3C223FF33
3C223FF35
3C223FF42
3C223FF52
3C223FF53
3C223GG01
3C223HH29
(57)【要約】
【課題】制御弁における固着の発生を予防的に低減すること。
【解決手段】管理システムは、制御弁の固着リスクが高くなる経過時間に関する経過時間情報を記憶する固着情報記憶部と、制御弁が閉または開となってからの経過時間を計測する時間計測部と、固着情報記憶部に記憶される経過時間情報と時間計測部により計測される経過時間とを参照し、制御弁が固着リスクの高い状態であるか否かを判定する固着リスク判定部と、制御弁の固着リスクが高い状態であると判定された場合に、当該判定結果を通知する判定結果通知部とを備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御弁の固着リスクが高くなる経過時間に関する経過時間情報を記憶する固着情報記憶部と、
前記制御弁が閉または開となってからの経過時間を計測する時間計測部と、
前記固着情報記憶部に記憶される前記経過時間情報と前記時間計測部により計測される前記経過時間とを参照し、前記制御弁が固着リスクの高い状態であるか否かを判定する固着リスク判定部と、
前記制御弁の前記固着リスクが高い状態であると判定された場合に、当該判定結果を通知する判定結果通知部と
を備える管理システム。
【請求項2】
前記制御弁の強制的な開閉に支障がない開閉条件を記憶する開閉条件記憶部と、
前記固着リスクが高い状態であると判定された前記制御弁について、前記開閉条件に基づいて開閉に支障がないか否かを判定し、開閉に支障がないと判定される場合に当該制御弁の開閉操作を自動で行う開閉操作実行部と
を更に備える請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
同一の配管系統に設けられる複数の前記制御弁について同時に前記固着リスクが高いと判定され、前記開閉操作実行部により自動で複数の前記制御弁の開閉操作が行われる場合に、予め規定された順序で、1個の前記制御弁以外の前記制御弁について開閉操作ができないように自動ロックさせる操作順序指示部
を更に備える請求項2に記載の管理システム。
【請求項4】
同一の配管系統に設けられる複数の前記制御弁について、前記配管系統での上流及び下流の順序関係を記憶する順序関係記憶部と、
前記配管系統の複数の前記制御弁について同時に固着リスクが高いと判定され、前記開閉操作実行部により自動で複数の前記制御弁の開閉操作が行われる場合に、前記順序関係を参照して、下流側の前記制御弁を上流側の前記制御弁よりも先に開閉操作させるように自動開閉操作を行う操作順序指示部と
を更に備える請求項2又は請求項3に記載の管理システム。
【請求項5】
制御弁の固着リスクが高くなる経過時間に関する経過時間情報を記憶する固着情報記憶ステップと、
前記制御弁が閉または開となってからの経過時間を計測する経過時間計測ステップと、
前記固着情報記憶ステップで記憶される前記前記経過時間情報と、前記計測時間計測ステップで計測される前記経過時間とを参照し、前記制御弁が固着リスクの高い状態であるか否かを判定する判定ステップと、
前記制御弁の前記固着リスクが高い状態であると判定された場合に、当該判定結果を通知する通知ステップと
を含む管理方法。
【請求項6】
前記制御弁の強制的な開閉に支障がない開閉条件を記憶する開閉条件記憶ステップと、
前記固着リスクが高い状態であると判定された前記制御弁について、前記開閉条件に基づいて開閉に支障がないか否かを判定し、開閉に支障がないと判定される場合に当該制御弁の開閉操作を自動で行う開閉操作実行ステップとを更に含む
請求項5に記載の管理方法。
【請求項7】
同一の配管系統に設けられる複数の前記制御弁について同時に前記固着リスクが高いと判定され、前記開閉操作実行部により自動で複数の前記制御弁の開閉操作が行われる場合に、予め規定された順序で、1個の前記制御弁以外の前記制御弁について開閉操作ができないように自動ロックさせる操作順序指示ステップを更に含む
請求項6に記載の管理方法。
【請求項8】
同一の配管系統に設けられる複数の前記制御弁について、前記配管系統での上流及び下流の順序関係を記憶する順序関係記憶ステップと、
前記配管系統の複数の前記制御弁について同時に固着リスクが高いと判定され、前記開閉実行ステップにより自動で複数の前記制御弁の開閉操作が行われる場合に、前記順序関係を参照して、下流側の前記制御弁を上流側の前記制御弁よりも先に開閉操作させるように自動開閉操作を行う操作順序指示ステップと
を更に含む請求項6又は請求項7に記載の管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管理システム及び管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
石油化学プラント等で使用されるバルブは、特に安全性に留意する必要があり、ゆえに定期的なメンテナンスが行なわれる。バルブのメンテナンス作業効率を改善するために、例えばバルブスティックスリップ検出(特許文献1参照)、バルブハンチング検出(特許文献2参照)、バルブスケール付着検出(特許文献3参照)などの手法が提案されている。
【0003】
また、上記の石油化学プラントでは、バルブとして、全開及び全閉の2位置で制御するON-OFF弁等の制御弁が用いられる場合がある。このような制御弁としては、例えばボールバルブ等のように、弁箱と弁箱内で回転する弁本体との間にポケット部を有する構成が知られている。このような制御弁のメンテナンスについては、例えば制御弁を診断対象とする不具合検知の手法(特許文献4参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3254624号公報
【特許文献2】特許第6200309号公報
【特許文献3】特許第6216633号公報
【特許文献4】特開2020-34967号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなポケット部を有する制御弁は、例えばポリマー樹脂などの常温で固形又は高粘度となる流体のプロセスを扱う設備において用いられる場合がある。この場合、流体が制御弁のポケット部に滞留し、弁本体に固着することで、作動不良となることがある。したがって、このような設備では、制御弁における固着の発生を予防的に低減することが求められる。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであり、制御弁における固着の発生を予防的に低減することが可能な管理システム及び管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係る管理システムは、制御弁の固着リスクが高くなる経過時間に関する経過時間情報を記憶する固着情報記憶部と、制御弁が閉または開となってからの経過時間を計測する時間計測部と、固着情報記憶部に記憶される経過時間情報と時間計測部により計測される経過時間とを参照し、制御弁が固着リスクの高い状態であるか否かを判定する固着リスク判定部と、制御弁の固着リスクが高い状態であると判定された場合に、当該判定結果を通知する判定結果通知部とを備える。
【0008】
上記管理システムは、制御弁の強制的な開閉に支障がない開閉条件を記憶する開閉条件記憶部と、固着リスクが高い状態であると判定された制御弁について、条件に基づいて開閉に支障がないか否かを判定し、開閉に支障がないと判定される場合に当該制御弁の開閉操作を自動で行う開閉操作実行部とを更に備える。
【0009】
上記管理システムは、同一の配管系統に設けられる複数の制御弁について同時に固着リスクが高いと判定され、開閉操作実行部により自動で複数の制御弁の開閉操作が行われる場合に、予め規定された順序で、1個の制御弁以外の制御弁について開閉操作ができないように自動ロックさせる操作順序指示部を更に備える。
【0010】
上記管理システムは、同一の配管系統に設けられる複数の制御弁について、配管系統での上流及び下流の順序関係を記憶する順序関係記憶部と、配管系統の複数の制御弁について同時に固着リスクが高いと判定され、開閉操作実行部により自動で複数の制御弁の開閉操作が行われる場合に、順序関係を参照して、下流側の制御弁を上流側の制御弁よりも先に開閉操作させるように自動開閉操作を行う操作順序指示部とを更に備える。
【0011】
本願に係る管理方法は、制御弁の固着リスクが高くなる経過時間に関する経過時間情報を記憶する固着情報記憶ステップと、制御弁が閉または開となってからの経過時間を計測する経過時間計測ステップと、固着情報記憶ステップで記憶される経過時間情報と、計測時間計測ステップで計測される経過時間とを参照し、制御弁が固着リスクの高い状態であるか否かを判定する判定ステップと、制御弁の固着リスクが高い状態であると判定された場合に、当該判定結果を通知する通知ステップとを含む。
【0012】
上記管理方法は、制御弁の強制的な開閉に支障がない開閉条件を記憶する開閉条件記憶ステップと、固着リスクが高い状態であると判定された制御弁について、条件に基づいて開閉に支障がないか否かを判定し、開閉に支障がないと判定される場合に当該制御弁の開閉操作を自動で行う開閉操作実行ステップとを更に含む。
【0013】
上記管理方法は、同一の配管系統に設けられる複数の制御弁について同時に固着リスクが高いと判定され、開閉操作実行部により自動で複数の制御弁の開閉操作が行われる場合に、予め規定された順序で、1個の制御弁以外の制御弁について開閉操作ができないように自動ロックさせる操作順序指示ステップを更に含む。
【0014】
上記管理方法は、対象となる複数の制御弁について、同一の配管系統に設けられる複数の制御弁について、配管系統での上流及び下流の順序関係を記憶する順序関係記憶ステップと、配管系統の複数の制御弁について同時に固着リスクが高いと判定され、開閉実行ステップにより自動で複数の制御弁の開閉操作が行われる場合に、順序関係を参照して、下流側の制御弁を上流側の制御弁よりも先に開閉操作させるように自動開閉操作を行う操作順序指示ステップとを更に含む。
【発明の効果】
【0015】
上記した管理システム及び管理方法によれば、固着情報記憶部に記憶される経過時間情報と時間計測部により計測される経過時間とに基づいて制御弁が固着リスクの高い状態であるか否かが判定され、制御弁の固着リスクが高い状態であると判定された場合に判定結果が通知されるため、オペレータは通知された判定結果に基づいて、制御弁の固着防止を目的とする開閉操作等、適切な対応をとることができる。これにより、制御弁における固着の発生を予防的に低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る管理システムを備える設備の一例を模式的に示す図である。
【
図3】
図3は、制御弁の開閉状態の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る管理システムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る管理システムの動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2実施形態に係る管理システムを備える設備の一例を模式的に示す図である。
【
図7】
図7は、管理システムの一例を示す機能ブロック図である。
【
図8】
図8は、第2実施形態に係る管理システムの動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、実施の形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明において、各実施の形態において共通する構成要素には同一の参照符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0018】
[原理1]
ON-OFF制御弁の固着の主な原因として、開閉状態が一定時間以上変化しないことで、弁本体のポケット部分に蓄積したスケールが固着することが挙げられる。例えば、石油化学プラントなどのバッチプロセスでは、弁本体の開閉が一定時間以上にわたって行われない状態になる場合がある。この一定時間は、例えば数分から数時間、数日、数ヶ月という格差にもなる。
【0019】
本発明者は上記の点に着眼し、ON-OFF制御弁において、弁本体の固着リスクが高くなる経過時間を予め分析し、弁が閉状態または開状態となってからの経過時間に応じて固着リスクが高いか否かを判定し、固着リスクが高いと判定されるON-OFF制御弁について開閉を行うべきことをオペレータに通知することに想到した。
【0020】
オペレータは、判定されたON-OFF制御弁の諸条件を考慮して、支障のない範囲で、固着防止を目的とした開閉操作を行なえばよい。あるいは、ON-OFF制御弁の開閉が不要であっても、開閉が支障のない条件を予め規定しておき、自動で開閉操作を行なうようにしてもよい。なお、開閉動作は、支障のない範囲であれば複数回実行するのが好ましい。
【0021】
[第1実施形態]
本願の第1実施形態について説明する。
図1は、第1実施形態に係る管理システム100を備える設備の一例を模式的に示す図である。
図1に示すように、管理システム100は、設備1に設けられる制御弁2を管理する。管理システム100のハードウェア構成については、後述する。設備1は、例えば石油化学プラント等に設けられ、ポリマー樹脂等のように常温で固形又は高粘度となる流体のプロセスを扱う。設備1は、流体を収容する反応処理炉3を含む。反応処理炉3には、流体が流れる配管4が接続される。設備1は、不図示のスチームトレース等により加熱される構成であってもよい。
【0022】
制御弁2は、例えば上記の配管4に設けられる。制御弁2は、全開及び全閉の二位置で制御するON-OFF制御弁である。
図2は、制御弁2の一例を示す図である。本実施形態において、制御弁2は、ボールバルブである。なお、制御弁2は、バタフライバルブ、ゲートバルブのように、全開及び全閉の二位置で制御するものであり、後述するポケット部を有する構成であれば、他の種類の制御弁であってもよい。制御弁2は、1つ又は複数設けられる。1つ又は複数の制御弁2については、例えば制御弁2ごとに設定されるバルブID(A1、A2、A3、…、等)等の識別情報で管理することができる。
【0023】
図2に示すように、制御弁2は、弁本体であるボール202を、ボールシートと呼ばれるシートリング203で挟み込む構造である。制御弁2は、ステム204を操作器206によって90°回転させることで、ボール202を開いたり閉じたりすることができるようになっている。弁箱205内の流体が漏れることを防止するため、弁箱205とステム204との隙間にはパッキン207が設けられている。
【0024】
図3は、制御弁2の開閉状態の一例を示す図である。
図3に示すように、制御弁2には、弁箱205とボール202との間にポケット部208と呼ばれるデッドスペースが存在する。ポケット部208には、配管4を流れる流体が滞留する。このポケット部208に滞留する流体がボール202と弁箱205との間に固着することで、ボール202の開閉動作が規制され、弁が開かない又は閉まらないという動作不良が生じる。
【0025】
図3(A)及び
図3(B)は、制御弁2においてポケット部208に流体が固着していない状態の例を示す図である。
図3(A)が開状態、
図3(B)が閉状態である。
図3(A)及び
図3(B)に示すように、ポケット部208に流体が固着していない状態では、開状態から閉状態への切り替えが円滑に行われる。
【0026】
図3(C)及び
図3(D)は、制御弁2においてポケット部208に流体が固着している状態の例を示す図である。
図3(C)が開状態、
図3(D)が閉状態である。
図3(C)及び
図3(D)に示すように、ポケット部208に流体が固着している状態では、固着部209によりボール202と弁箱205との間が固着されるため、開状態から閉状態への切り替えが困難となる。本実施形態では、このような制御弁2における固着の発生を予防的に低減するものである。
【0027】
図4は、第1実施形態に係る管理システム100の一例を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、管理システム100は、固着情報記憶部10と、時間計測部20と、固着リスク判定部30と、判定結果通知部40と、開閉条件記憶部50と、開閉操作実行部60とを備える。
【0028】
固着情報記憶部10は、経過時間情報を記憶する。経過時間情報は、制御弁2の固着リスクが高くなる経過時間に関する情報である。また、本実施形態における経過時間は、制御弁2が開または閉となってから経過する時間である。制御弁2が複数設けられる場合、固着情報記憶部10は、制御弁2ごとに経過時間情報を記憶する。
【0029】
経過時間情報は、例えば設備1において過去に発生した動作不良のデータや、実験又はシミュレーション等によるデータ等に基づいて取得することが可能である。このような制御弁2の固着リスクが高くなる経過時間として、例えば、10時間とすることができる。
【0030】
時間計測部20は、制御弁2が閉または開となってからの経過時間を計測する。制御弁2が複数設けられる場合、時間計測部20は、制御弁2ごとに経過時間を計測する。
【0031】
固着リスク判定部30は、固着情報記憶部10に記憶される経過時間情報と時間計測部20により計測される経過時間とを参照し、制御弁2が固着リスクの高い状態であるか否かを判定する。制御弁2が複数設けられる場合、固着リスク判定部30は、固着リスクの高い状態であるか否かを判定することができる。
【0032】
判定結果通知部40は、制御弁2の固着リスクが高い状態であると判定された場合に、当該判定結果を通知する。
【0033】
開閉条件記憶部50は、制御弁2の強制的な開閉に支障がない条件である開閉条件を記憶する。制御弁2が複数設けられる場合、開閉条件は、制御弁2ごとに設定して記憶することができる。開閉条件は、例えば熟練オペレータへの意見聴取などにより取得することが可能である。開閉条件としては、例えば13時から15時までの時刻以外であること、等のように時刻による条件とすることができる。また、制御弁2を流れる流体の温度、圧力、流量等の数値や整定状態などを開閉条件としてもよい。
【0034】
また、例えば上記の反応処理炉3で一定ペースでの流体供給が必要とされるバッチ処理を行っている期間において、当該反応処理炉3に流体を流入させる配管4の制御弁2の開閉を行うことには支障がある。一方、一定ペースでの流体供給が必要とされない工程変更期間においては、当該反応処理炉3に流体を流入させる配管4の制御弁2の開閉を行うことに支障はない。したがって、開閉条件を、上記のようなバッチ処理期間ではないこと、又は工程変更期間であること、とすることができる。また、これらの条件を総じて、反応処理炉3において一定ペースでの流体供給が必要とされないこと、を開閉条件としてもよい。
【0035】
開閉操作実行部60は、固着リスクが高い状態であると判定された制御弁2について、開閉条件に基づいて開閉に支障がないか否かを判定し、開閉に支障がないと判定される場合に当該制御弁2の開閉操作を自動で行う。
【0036】
次に、上記のように構成される管理システム100の動作の例を説明する。以下では、バルブIDがA1である制御弁2を管理する場合について説明する。
図5は、第1実施形態に係る管理システム100の動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図5に示すように、固着情報記憶部10は、制御弁2の経過時間情報を予め記憶する(ステップS10)。ここでは、制御弁2の経過時間情報を、例えば10時間とする。
【0037】
また、開閉条件記憶部50は、制御弁2の開閉条件を予め記憶する(ステップS20)。ここでは、制御弁2の開閉条件を、例えば13時から15時までの時刻以外であることとする。
【0038】
上記の経過時間情報及び開閉条件が予め記憶された状態において、時間計測部20は、制御弁2が閉または開となってからの経過時間を計測する(ステップS30)。時間計測部20は、計測結果を固着リスク判定部30に出力する。
【0039】
固着リスク判定部30は、固着情報記憶部10に記憶される経過時間情報と、時間計測部20により計測される経過時間とを参照し、制御弁2が固着リスクの高い状態であるか否かを判定する(ステップS40)。例えば、制御弁2の直近の開閉操作からの経過時間が10時間未満である場合、固着リスク判定部30は、当該制御弁2については固着リスクが高くない状態であると判定する。一方、制御弁2の直近の開閉操作からの経過時間が10時間以上である場合、固着リスク判定部30は、当該制御弁2については固着リスクが高い状態であると判定する。
【0040】
制御弁2の固着リスクが高い状態であると判定された場合(ステップS40のYes)に、判定結果通知部40は、当該判定結果を通知する(ステップS50)。判定結果通知部40は、例えば設備1のコントロールセンター等に設けられる表示部5(
図1参照)等に判定結果を表示することで通知を行うことができる。制御弁2の固着リスクが高い状態ではないと判定された場合(ステップS40のNo)、固着リスク判定部30は、例えば経過時間に基づいてステップS40の判定を繰り返し行う。
【0041】
開閉操作実行部60は、固着リスクが高い状態であると判定された制御弁2について、開閉条件記憶部50に記憶される開閉条件に基づいて開閉に支障がないか否かを判定する(ステップS60)。例えば、制御弁2について固着リスクが高い状態であると判定された場合、開閉操作実行部60は、開閉条件記憶部50から制御弁2の開閉条件を取得する。開閉操作実行部60は、制御弁2の開閉条件である「13時から15時までの時刻以外であること」に該当するか否かを判定する。開閉操作実行部60は、現在の時刻が13時から15時までの時刻以外である場合、制御弁2の開閉には支障がないと判定する。一方、開閉操作実行部60は、現在の時刻が13時から15時までの時刻である場合、制御弁2の開閉には支障があると判定する。
【0042】
開閉操作実行部60は、制御弁2の開閉に支障がないと判定した場合(ステップS60のYes)、当該制御弁2の開閉操作を自動で行う(ステップS70)。開閉操作実行部60は、制御弁2が開状態である場合、当該制御弁2を一旦閉状態にした後、すぐに開状態に戻す。また、開閉操作実行部60は、制御弁2が閉状態である場合、当該制御弁2を一旦開状態にした後、すぐに閉状態に戻す。
【0043】
一方、開閉操作実行部60は、制御弁2の開閉に支障があると判定した場合(ステップS60のNo)、開閉条件を満たすまで、すなわち現在の時刻が13時から15時までの時刻以外になるまで待機し(ステップS80)、開閉条件を満たした場合にステップS70の処理を行う。
【0044】
以上のように、第1実施形態に係る管理システム100は、制御弁2の固着リスクが高くなる経過時間に関する経過時間情報を記憶する固着情報記憶部10と、制御弁2が閉または開となってからの経過時間を計測する時間計測部20と、固着情報記憶部10に記憶される経過時間情報と時間計測部20により計測される経過時間とを参照し、制御弁2が固着リスクの高い状態であるか否かを判定する固着リスク判定部30と、制御弁2の固着リスクが高い状態であると判定された場合に、当該判定結果を通知する判定結果通知部40とを備える。
【0045】
また、第1実施形態に係る管理方法は、制御弁2の固着リスクが高くなる経過時間に関する経過時間情報を記憶する固着情報記憶ステップ(S10)と、制御弁2が閉または開となってからの経過時間を計測する経過時間計測ステップ(S20)と、固着情報記憶ステップで記憶される経過時間情報と、計測時間計測ステップで計測される経過時間とを参照し、制御弁2が固着リスクの高い状態であるか否かを判定する判定ステップ(S30)と、制御弁2の固着リスクが高い状態であると判定された場合に、当該判定結果を通知する通知ステップ(S40)とを含む。
【0046】
この構成によれば、記憶された経過時間情報と計測された経過時間とに基づいて制御弁2が固着リスクの高い状態であるか否かが判定され、制御弁2の固着リスクが高い状態であると判定された場合に判定結果が通知されるため、オペレータは通知された判定結果に基づいて、制御弁2の固着防止を目的とする開閉操作等、適切な対応をとることができる。これにより、制御弁2における固着の発生を予防的に低減することができる。
【0047】
また、上記の管理システム100は、制御弁2の強制的な開閉に支障がない開閉条件を記憶する開閉条件記憶部50と、固着リスクが高い状態であると判定された制御弁2について、条件に基づいて開閉に支障がないか否かを判定し、開閉に支障がないと判定される場合に当該制御弁2の開閉操作を自動で行う開閉操作実行部60とを更に備える。
【0048】
また、上記の管理方法は、制御弁2の強制的な開閉に支障がない開閉条件を記憶する開閉条件記憶ステップと、固着リスクが高い状態であると判定された制御弁2について、条件に基づいて開閉に支障がないか否かを判定し、開閉に支障がないと判定される場合に当該制御弁2の開閉操作を自動で行う開閉操作実行ステップとを更に含む。
【0049】
この構成によれば、固着リスクの高い状態であると判定された制御弁2について、記憶された開閉条件に基づいて開閉に支障がないか否かが判定され、開閉に支障がないと判定された場合に制御弁2の開閉操作が自動で行われるため、オペレータの作業負担を低減しつつ、固着リスクの高い状態であると判定された制御弁2の開閉操作を適切なタイミングで行うことができる。
【0050】
[原理2]
同一の配管系統に複数のON-OFF制御弁が存在し、複数のON-OFF制御弁が同時に「固着リスクが高い」と判定された場合、同時に開閉操作を行なうのは、仮に支障がないと考えられる場合であっても、避けるのが好ましい。すわわち、開閉操作はバッチプロセスにおける外乱要因になるのであり、一定箇所で外乱の影響が同時発生するのをなるべく避けるべきである。
【0051】
そこで、同一の配管系統で複数のON-OFF制御弁が同時に「固着リスクが高い」と判定された場合、1個のON-OFF制御弁以外は開閉操作ができないように自動ロックさせることに想到した。これにより、安全性を向上できる。
【0052】
[原理3]
ON-OF制御弁の開閉操作を行う場合、同一の配管系統での外乱は、開閉操作から一定時間を経過してから下流側で発生しやすい。逆に言えば、上流側のON-OFF制御弁を先に開閉操作させると、複数の外乱が累積する形で下流側に伝わる可能性がある。
【0053】
したがって、同一の配管系統で複数のON-OFF制御弁が同時に「固着リスクが高い」と判定された場合、下流側のON-OFF制御弁を先に開閉操作させるように自動開閉操作を行う(あるいは上流側を自動ロックしておく)ことが好ましい。これにより、一定箇所で外乱の影響が同時発生する確率を低減できる。
【0054】
[第2実施形態]
本願の第2実施形態について説明する。
図6は、第2実施形態に係る管理システム100Aを備える設備の一例を模式的に示す図である。
図6に示すように、管理システム100Aは、設備1Aに設けられる制御弁2を管理する。設備1Aは、第1実施形態に記載の設備1と同様に、ポリマー樹脂等のように常温で固形又は高粘度となる流体のプロセスを扱う。設備1Aは、流体を収容する反応処理炉3を含む。反応処理炉3には、流体が流れる配管系統6が接続される。
【0055】
配管系統6は、配管6Aと、配管6B、6Cとを有する。配管6B、6Cは、それぞれ配管6Aから分岐する。配管6Bは、配管6Cよりも流体の流通方向の上流側に配置される。換言すると、配管6Cは、配管6Bよりも流体の流通方向の下流側に配置される。
【0056】
配管系統6には、複数の制御弁2が設けられる。複数の制御弁2は、それぞれ制御弁2ごとに設定されるバルブID等の識別情報で管理される。
図6では、例えば3つの制御弁2が設けられる。本実施形態において、
図6に示す3つの制御弁2には、それぞれA1、A2、A3のバルブIDが設定されているものとする。以下、3つの制御弁2を区別する場合、バルブIDがA1の制御弁2を制御弁2Aと表記し、バルブIDがA2の制御弁2を制御弁2Bと表記し、バルブIDがA3の制御弁2を制御弁2Cと表記する。
【0057】
図6に示す例において、制御弁2Aは、配管系統6において、3つの制御弁2のうち最も上流側に配置される。制御弁2Bは、配管系統6において、制御弁2Aよりも下流側であり制御弁2Cよりも上流側に配置される。制御弁2Cは、配管系統6において、3つの制御弁2のうち最も下流側に配置される。
【0058】
なお、配管系統6の構成は、上記構成に限定されず、配管、分岐配管及び制御弁の数、配置等が異なる他の構成であってもよい。
【0059】
なお、本実施形態で開閉条件記憶部50に記憶される開閉条件については、例えば制御弁2を通過する流体が直接的に関わる反応処理炉3でなくても、配管系統6の状況により影響が及ぶ範囲についても考慮する必要がある。例えば、
図6に示すように制御弁2Bの下流側で分岐する並列の配管6A、6Cにおいて、配管6Cに設けられる制御弁2Cを開閉させる際に、配管6Aの先にバッチ処理中の反応処理炉が存在する場合には、「開閉に支障がある条件」に相当する可能性がある。すなわち、同一の配管6Aから分岐する配管6B、6Cなどは、「開閉に支障がある条件」を予め設定する上で注意を要する。
【0060】
図7は、第2実施形態に係る管理システム100Aの一例を示す機能ブロック図である。
図7に示すように、管理システム100Aは、固着情報記憶部10と、時間計測部20と、固着リスク判定部30と、判定結果通知部40と、開閉条件記憶部50と、開閉操作実行部60と、順序関係記憶部70と、操作順序指示部80とを備える。なお、固着情報記憶部10、時間計測部20、固着リスク判定部30、判定結果通知部40、開閉条件記憶部50及び開閉操作実行部60については、第1実施形態と同様である。以下、第1実施形態と相違する順序関係記憶部70及び操作順序指示部80の構成について説明する。
【0061】
順序関係記憶部70は、同一の配管系統6に設けられる複数の制御弁2について、配管系統6での上流及び下流の順序関係を記憶する。本実施形態では、配管系統6の上流側から順に、制御弁2A、制御弁2B、制御弁2C、となっている。順序関係記憶部70は、当該制御弁2A、制御弁2B、制御弁2Cの順序関係を記憶する。
【0062】
操作順序指示部80は、同一の配管系統6に設けられる複数の制御弁2について同時に固着リスクが高いと判定され、開閉操作実行部60により自動で複数の制御弁2の開閉操作が行われる場合に、予め規定された順序で、1個の制御弁2以外の制御弁2について開閉操作ができないように自動ロックさせる。
【0063】
例えば、操作順序指示部80は、同一の配管系統6の複数の制御弁2について同時に固着リスクが高いと判定され、開閉操作実行部60により自動で複数の制御弁2の開閉操作が行われる場合に、順序関係記憶部70に記憶される順序関係を参照して、下流側の制御弁2を上流側の制御弁2よりも先に開閉操作させるように開閉操作実行部60に開閉操作を行わせることができる。なお、操作順序指示部80は、順序関係記憶部70に記憶された順序関係とは異なる順序で制御弁2の開閉操作を行わせてもよい。
【0064】
次に、上記のように構成される管理システム100Aの動作の例を説明する。
図8は、第2実施形態に係る管理システム100Aの動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図8に示すように、固着情報記憶部10は、制御弁2A、2B、2Cの経過時間情報を予め記憶する(ステップS110)。ここでは、制御弁2Aの経過時間情報を10時間、制御弁2Bの経過時間情報を12時間、制御弁2Cの経過時間情報を11時間とする。このように、同一の配管系統6に設けられる制御弁2A、2B、2Cであっても、例えばスチームトレースにより加熱される構成において局所温度が異なる場合等には、互いに経過時間情報が異なることがある。
【0065】
また、開閉条件記憶部50は、制御弁2A、2B、2Cの開閉条件を予め記憶する(ステップS120)。ここでは、制御弁2Aの開閉条件を例えば13時から15時までの時刻以外、制御弁2Bの開閉条件を例えば14時から15時までの時刻以外、制御弁2Cの開閉条件を例えば13時から14時までの時刻以外、であることとする。
【0066】
また、順序関係記憶部70は、同一の配管系統6に設けられる制御弁2A、2B、2Cについて、配管系統6での上流及び下流の順序関係を記憶する(ステップS130)。順序関係記憶部70は、上流から、制御弁2A、制御弁2B、制御弁2Cの順に配置される旨の順序関係を記憶する。
【0067】
上記の経過時間情報及び開閉条件が予め記憶された状態において、時間計測部20は、制御弁2A、2B、2Cが閉または開となってからの経過時間を計測する(ステップS140)。時間計測部20は、制御弁2ごとに経過時間を計測し、計測結果を固着リスク判定部30に出力する。
【0068】
固着リスク判定部30は、固着情報記憶部10に記憶される経過時間情報と、時間計測部20により計測される経過時間とを参照し、制御弁2A、2B、2Cが固着リスクの高い状態であるか否かを判定する(ステップS150)。ここでは、制御弁2A、2B、2Cについて、同時に固着リスクが高いと判定されるとする(ステップS150のYes)。なお、少なくとも1つの制御弁2の固着リスクが高い状態ではないと判定された場合(ステップS150のNo)、固着リスク判定部30は、当該制御弁2について、例えば経過時間に基づいてステップS150の判定を繰り返し行う。
【0069】
判定結果通知部40は、制御弁2A、2B、2Cの固着リスクが高い状態であると判定された場合に、当該判定結果を通知する(ステップS160)。判定結果通知部40は、例えば設備1のコントロールセンター等に設けられる表示部5(
図1参照)等に判定結果を表示することで通知を行うことができる。
【0070】
開閉操作実行部60は、固着リスクが高い状態であると判定された制御弁2A、2B、2Cについて、開閉条件記憶部50に記憶される開閉条件に基づいて開閉に支障がないか否かを判定する(ステップS170)。ここでは、現在の時刻が13時から15時以外であるとする。この場合、開閉操作実行部60は、制御弁2A、2B、2Cについて、それぞれ開閉に支障がないと判定する(ステップS170のYes)。
【0071】
この時点で、同一の配管系統6に設けられる制御弁2A、2B、2Cについて同時に固着リスクが高いと判定され、かつ、開閉操作実行部60により自動で複数の制御弁2の開閉操作が行われる場合に該当することになる。したがって、この場合、操作順序指示部80は、開閉操作実行部60に対して開閉操作の操作順序を指示する(ステップS180)。
【0072】
ステップS180において、操作順序指示部80は、例えば予め規定された順序で、3個の制御弁2のうち1個の制御弁2以外の2個の制御弁2について開閉操作ができないように自動ロックさせる。
【0073】
また、ステップS180において、操作順序指示部80は、順序関係記憶部70に記憶される順序関係を参照して、下流側の制御弁2を上流側の制御弁2よりも先に開閉操作させるように開閉操作実行部60に開閉操作を行わせてもよい。具体的には、操作順序指示部80は、制御弁2Cの開閉操作が終了するまでは、当該制御弁2Cよりも上流側の制御弁2A、2Bを自動ロックさせる。また、操作順序指示部80は、制御弁2Bの開閉操作が終了するまでは、当該制御弁2Bよりも上流側の制御弁2Aを自動ロックさせる。
【0074】
この場合の開閉操作の終了について、操作順序指示部80は、制御弁2の開閉動作自体の終了に限らず、開閉動作による外乱の影響が十分に収まるまでの経過時間も含めて、その時間の経過後を開閉操作の終了としてもよい。
【0075】
操作順序指示部80からの指示があった場合、開閉操作実行部60は、当該操作順序指示部80の指示に基づいて、制御弁2の開閉操作を自動で行う(ステップS190)。開閉操作実行部60は、制御弁2が開状態である場合、当該制御弁2を一旦閉状態にした後、すぐに開状態に戻す。また、開閉操作実行部60は、制御弁2が閉状態である場合、当該制御弁2を一旦開状態にした後、すぐに閉状態に戻す。
【0076】
なお、開閉操作実行部60は、ステップS170において、少なくとも1つの制御弁2の開閉に支障があると判定した場合(ステップS170のNo)、開閉に支障がなくなるまで待機する(ステップS200)。開閉操作実行部60は、開閉に支障が無くなった場合に、ステップS180以降の処理を行う。
【0077】
以上のように、第2実施形態に係る管理システム100Aは、同一の配管系統に設けられる複数の制御弁2について同時に固着リスクが高いと判定され、開閉操作実行部60により自動で複数の制御弁2の開閉操作が行われる場合に、予め規定された順序で、1個の制御弁2以外の制御弁2について開閉操作ができないように自動ロックさせる操作順序指示部80を更に備える。
【0078】
また、第2実施形態に係る管理方法は、同一の配管系統6に設けられる複数の制御弁2について同時に固着リスクが高いと判定され、自動で複数の制御弁2の開閉操作が行われる場合に、予め規定された順序で、1個の制御弁2以外の制御弁2について開閉操作ができないように自動ロックさせる操作順序指示ステップ(S180)を更に含む。
【0079】
この構成によれば、同一の配管系統で複数の制御弁2について同時に固着リスクが高いと判定された場合、1個の制御弁2以外は開閉操作ができないように自動ロックさせるため、安全性を向上させることができる。
【0080】
また、上記の管理システム100Aは、同一の配管系統6に設けられる複数の制御弁2について、配管系統6での上流及び下流の順序関係を記憶する順序関係記憶部70と、配管系統6の複数の制御弁2について同時に固着リスクが高いと判定され、開閉操作実行部60により自動で複数の制御弁2の開閉操作が行われる場合に、順序関係を参照して、下流側の制御弁2を上流側の制御弁2よりも先に開閉操作させるように自動開閉操作を行う操作順序指示部80とを更に備える。
【0081】
また、上記の管理方法は、同一の配管系統6に設けられる複数の制御弁2について、配管系統6での上流及び下流の順序関係を記憶する順序関係記憶ステップ(S130)と、配管系統6の複数の制御弁2について同時に固着リスクが高いと判定され、開閉実行ステップにより自動で複数の制御弁2の開閉操作が行われる場合に、順序関係を参照して、下流側の制御弁2を上流側の制御弁2よりも先に開閉操作させるように自動開閉操作を行う操作順序指示ステップ(S180)とを更に含む。
【0082】
この構成によれば、同一の配管系統6で複数の制御弁2について同時に固着リスクが高いと判定された場合、下流側の制御弁2を先に開閉操作させるように自動開閉操作を行うことができる。これにより、一定箇所で外乱の影響が同時発生する確率を低減できる。
【0083】
[ハードウェア構成]
図9は、管理システムのハードウェア構成の一例を示す図である。管理システム100、100Aは、同様のハードウェア構成を有するので、ここでは、情報処理装置300として説明する。
図9に示すように、情報処理装置300は、通信装置300a、HDD(Hard Disk Drive)300b、メモリ300c、プロセッサ300dを有する。また、
図9に示した各部は、バス等で相互に接続される。
【0084】
通信装置300aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他の装置との通信を行う。HDD300bは、上記した各部の機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0085】
プロセッサ300dは、上記した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD300b等から読み出してメモリ300cに展開することで、上記した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、管理システム100を例にして説明すると、このプロセスは、管理システム100が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ300dは、時間計測部20、固着リスク判定部30、判定結果通知部40、開閉操作実行部60等と同様の機能を有するプログラムをHDD300b等から読み出す。そして、プロセッサ300dは、時間計測部20、固着リスク判定部30、判定結果通知部40、開閉操作実行部60と同様の処理を実行するプロセスを実行する。また、HDD300bには、固着情報記憶部10及び開閉条件記憶部50に対応する記憶領域が設けられる。プロセッサ300dは、上記のプログラムを実行する際に、必要に応じてHDD300bの固着情報記憶部10及び開閉条件記憶部50に対応する記憶領域にアクセスし、当該記憶領域に記憶されるデータ等を読み出す。
【0086】
このように、情報処理装置300は、プログラムを読み出して実行することで各種情報処理方法を実行する情報処理装置として動作する。また、情報処理装置300は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施形態と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施形態でいうプログラムは、情報処理装置300によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、上記実施形態が同様に適用されてもよい。
【0087】
このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布されてもよい。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行されてもよい。
【0088】
上記第1実施形態及び第2実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0089】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0090】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0091】
また、上述してきた「部(section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、変更部は、変更手段や変更回路に読み替えることができる。
【0092】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0093】
1,1A 設備
2,2A,2B,2C 制御弁
3 反応処理炉
4,6A,6B,6C 配管
5 表示部
6 配管系統
10 固着情報記憶部
20 時間計測部
30 固着リスク判定部
40 通知部
50 開閉条件記憶部
60 開閉操作実行部
70 順序関係記憶部
80 操作順序指示部
100,100A 管理システム
202 ボール
203 シートリング
204 ステム
205 弁箱
206 操作器
207 パッキン
208 ポケット部