(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018640
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】車載デバイスの制御装置
(51)【国際特許分類】
H02P 31/00 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
H02P31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122087
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤江 紀彰
(72)【発明者】
【氏名】廣▲瀬▼ 晋吾
(72)【発明者】
【氏名】森本 康治
【テーマコード(参考)】
5H501
【Fターム(参考)】
5H501AA20
5H501BB11
5H501HA05
5H501HA08
5H501JJ16
5H501KK05
5H501LL22
5H501LL23
5H501LL35
5H501LL37
(57)【要約】
【課題】マスターノードとスレーブノードとの間の制御インターバルが長いときであっても、モータを精度良く位置調整できるようにする。
【解決手段】モータを動作させる特定スレーブノードはタイマー機能を有し、マスターノードは、モータを移動させるための操作命令信号を特定スレーブノードに逐次送信し、さらにマスターノードは、マスターノードと特定スレーブノードとの制御インターバル直後のモータの位置である推定位置が、目標位置よりも手前に設定された所定位置を通過した位置であると推定されるときには、モータが推定位置から目標位置に向かって移動した後停止するように、モータを作動させる時間が定義された第1特定操作信号を特定スレーブノードに送信する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両制御システムであって、
マスターノードと、
前記マスターノードからの操作命令信号に基づいて操作デバイスを動作させる複数のスレーブノードと、を備え、
前記複数のスレーブノードは、前記操作デバイスとしてのモータを作動させる特定スレーブノードを含み、
前記特定スレーブノードは、タイマー機能を有するとともに、前記モータを作動させるときには、前記モータの現在位置を検出した検出信号を前記マスターノードに逐次送信し、
前記マスターノードは、前記モータを移動させるための操作命令信号を前記特定スレーブノードに逐次送信し、
さらに前記マスターノードは、前記特定スレーブノードから前記検出信号が送信されてから、該特定スレーブノードが該マスターノードから次の操作命令信号を受信するまでの制御インターバル直後の前記モータの位置を推定し、該推定位置が目標位置よりも手前に設定された所定位置を通過した位置であると推定されるときには、前記モータが前記推定位置から前記目標位置に向かって移動した後停止するように、前記モータを作動させる時間が定義された第1特定操作信号を前記特定スレーブノードに送信するように構成されていることを特徴とする車両制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載の車両制御システムにおいて、
前記推定位置は、前記特定スレーブノードから直前に送信された前記検出信号が示す前記モータの現在位置に、前記制御インターバル中の前記モータの移動量を加えた位置であることを特徴とする車両制御システム。
【請求項3】
請求項1に記載の車両制御システムにおいて、
前記マスターノードは、前記推定位置が所定範囲内であるときには、前記推定位置が前記所定位置を通過した位置であると推定されたとしても、前記第1特定操作信号を送信することなく、前記モータを停止させるオフ信号を前記特定スレーブノードに送信するように構成され、
前記所定範囲は、その最大値と前記目標位置との間の差の絶対値及びその最小値と前記目標位置との間の差の絶対値が、前記所定位置と前記目標位置との間の差の絶対値よりも小さい範囲に設定されていることを特徴とする車両制御システム。
【請求項4】
請求項3に記載の車両制御システムにおいて、
前記マスターノードは、前記第1特定操作信号により前記モータを移動させた後の該モータの位置、または前記オフ信号により停止させた後の該モータの位置が、前記所定範囲外であるときには、当該位置から前記目標位置まで移動する時間だけ、該モータに電圧が印加されるような第2特定操作信号を前記特定スレーブノードに送信するように構成されていることを特徴とする車両制御システム。
【請求項5】
車両制御システムであって、
マスターノードと、
前記マスターノードからの操作命令信号に基づいて操作デバイスを動作させる複数のスレーブノードと、を備え、
前記複数のスレーブノードは、前記操作デバイスとしてのモータを作動させる特定スレーブノードを含み、
前記特定スレーブノードは、タイマー機能を有するとともに、前記モータを作動させるときには、前記モータの現在位置を検出した検出信号を前記マスターノードに逐次送信し、
前記マスターノードは、前記モータを移動させるための操作命令信号を前記特定スレーブノードに逐次送信し、
さらに前記マスターノードは、前記特定スレーブノードから送られる、前記検出信号が示す該モータの位置が、目標位置よりも手前に設定された所定位置を通過した位置であるときには、前記モータが、前記特定スレーブノードから前記検出信号が送信されてから、該特定スレーブノードが該マスターノードから次の操作命令信号を受信するまでの制御インターバル直後の位置から前記目標位置に向かって移動した後停止するように、前記モータを作動させる時間が定義された特定操作信号を前記特定スレーブノードに送信するように構成されていることを特徴とする車両制御システム。
【請求項6】
車両制御システムであって、
マスターノードと、
前記マスターノードからの操作命令信号に基づいて操作デバイスを動作させる複数のスレーブノードと、を備え、
前記複数のスレーブノードは、前記操作デバイスとしてのモータを作動させるスイッチが押された時に、前記マスターノードからの操作命令信号に基づいて前記モータを作動させる特定スレーブノードを含み、
前記特定スレーブノードは、タイマー機能を有し、
前記マスターノードは、前記スイッチがオンされて前記モータを作動させるときには、前記モータを移動させるための操作命令信号を前記特定スレーブノードに逐次送信し、
さらに前記マスターノードは、前記スイッチがオフされたことを通知されたときには、前記特定スレーブノードに前記モータを停止させる操作命令信号に送信するとともに、前記モータが、当該操作命令信号により停止した位置から、前記スイッチがオフされた時の位置に向かって戻った後停止するように、前記モータを作動させる時間が定義された特定操作信号を前記特定スレーブノードに送信するように構成されていることを特徴とする車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、車載デバイスの制御装置に関する技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
近年、車載デバイスの電動化が顕著であり、車載デバイスを電子制御により制御するようになっている。
【0003】
例えば、特許文献1には、車載ネットワークを介してECU同士が接続され、それぞれのECUにセンサやアクチュエータ等の機器が接続されている車載ネットワークの構成例が示されている(特許文献1の
図1参照)。
【0004】
また、特許文献2には、マイコンを有する制御装置と、マイコンを有しない複数の制御装置とを備え、これらをCXPI(Clock Extension Peripheral Interface)の通信規格により接続した電子制御装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2017-212725号公報
【特許文献2】特開2016-155529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年では、車載デバイスの電子化が著しく、エンジン等の動力源のみでなく、サイドミラー等も電子制御によりモータを作動させてサイドミラーの位置を調整する構成になっている。このような車載デバイスの電子化に伴って、通信のためのワイヤーハーネスの数が膨大になるという課題が生じていた。これに対応するために、例えば、特許文献2に記載のように、専用のマイコンを有する制御装置(マスターノード)と、汎用の制御回路(スレーブノード)とで構成され、これらの間で通信を行うことが可能な通信方式であるCXPI(Clock Extension Peripheral Interface)を導入して、ワイヤーハーネスの数を削減することが検討されている。
【0007】
前述のようなCXPIの方式では、複数のスレーブノードでイベントが同時に発生した場合には、非破壊型の調停が実施され、調停に勝利したスレーブノードが優先される。このため、スレーブノードが多数ある場合には、マスターノードとスレーブノードとの間で制御インターバルが長くなるおそれがある。制御インターバルが長くなると、サイドミラーやパワーシート等のモータの位置制御の精度が悪化して、サイドミラーやシートを乗員の所望の位置に位置合わせすることができなくなり、乗員に煩わしさを与えてしまう。
【0008】
ここに開示された技術は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、マスターノードとスレーブノードとの間の制御インターバルが長いときであっても、モータを精度良く位置調整できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術では、車両制御システムを対象として、マスターノードと、前記マスターノードからの操作命令信号に基づいて操作デバイスを動作させる複数のスレーブノードと、を備え、前記複数のスレーブノードは、前記操作デバイスとしてのモータを作動させる特定スレーブノードを含み、前記特定スレーブノードは、タイマー機能を有するとともに、前記モータを作動させるときには、前記モータの現在位置を検出した検出信号を前記マスターノードに逐次送信し、前記マスターノードは、前記モータを移動させるための操作命令信号を前記特定スレーブノードに逐次送信し、さらに前記マスターノードは、前記特定スレーブノードから前記検出信号が送信されてから、該特定スレーブノードが該マスターノードから次の操作命令信号を受信するまでの制御インターバル直後の前記モータの位置を推定し、該推定位置が目標位置よりも手前に設定された所定位置を通過した位置であると推定されるときには、前記モータが前記推定位置から前記目標位置に向かって移動した後停止するように、前記モータを作動させる時間が定義された第1特定操作信号を前記特定スレーブノードに送信するように構成されている、というものとした。
【0010】
この構成によると、推定位置が所定位置を通過した目標位置近傍の位置であるときには、通常の操作命令信号とは別に、モータを作動させる時間を定義した第1特定操作信号を出力する。特定スレーブノードはタイマー機能を有しているため、モータを作動させる時間が定義されていれば、マスターノードからのオフ信号(停止信号)がなくとも、定義された時間だけモータを作動させた後、自律的にモータをオフさせることができる。これにより、制御インターバルが長い場合であっても、モータを目標位置に精度良く位置調整することができる。
【0011】
また、最終的な位置調整を特定スレーブノードのタイマー機能を利用して行うことで、制御インターバルが長い場合であっても、ある程度細かい位置調整が可能となるため、モータの位置調整に過大な時間をかけることがない。これにより、乗員に違和感を与えにくくなる。
【0012】
前記車載デバイスの制御装置において、前記推定位置は、前記特定スレーブノードから直前に送信された前記検出信号が示す前記モータの現在位置に、前記制御インターバル中の前記モータの移動量を加えた位置である、という構成でもよい。
【0013】
この構成によると、推定位置を算出する際の基準となるモータの位置が逐次更新されるため、推定位置を精度良く推定することができる。これにより、制御インターバルが長い場合であっても、モータをより精度良く位置調整することができる。
【0014】
前記車載デバイスの制御装置の一実施形態では、前記マスターノードは、前記推定位置が所定範囲内であるときには、前記推定位置が前記所定位置を通過した位置であると推定されたとしても、前記第1特定操作信号を送信することなく、前記モータを停止させるオフ信号を前記特定スレーブノードに送信するように構成され、前記所定範囲は、その最大値と前記目標位置との間の差の絶対値及びその最小値と前記目標位置との間の差の絶対値が、前記所定位置と前記目標位置との間の差の絶対値よりも小さい範囲に設定されている。
【0015】
すなわち、推定位置が目標位置対して精度誤差程度のずれしかない位置であるときには、第1特定操作信号による微調整を行わずに、制御インターバル経過直後の位置でモータを停止させたとしても、モータをほぼ目標位置で停止させることができる。これにより、モータを介した車載デバイスの位置合わせがスムーズに行われたようになるため、乗員に違和感を与えにくくなる。
【0016】
前記一実施形態において、前記マスターノードは、前記第1特定操作信号により前記モータを移動させた後の該モータの位置、または前記オフ信号により停止させた後の該モータの位置が、前記所定範囲外であるときには、当該位置から前記目標位置まで移動する時間だけ、該モータに電圧が印加されるような第2特定操作信号を前記特定スレーブノードに送信するように構成されている。
【0017】
すなわち、制御インターバルがばらつくと、制御インターバル直後の実際のモータの位置が推定位置からずれることがある。制御インターバル直後の実際のモータの位置が推定位置からずれていると、第1特定操作信号により微調整した後のモータの位置、またはオフ信号により停止させた後のモータの位置が、目標位置から比較的大きくずれてしまう。このため、第1特定操作信号による微調整の後でも目標位置からのずれが比較的大きいときには、第2特定操作信号により再度微調整を行う。これにより、制御インターバルが長い場合であっても、モータを目標位置により精度良く位置調整することができる。
【0018】
ここに開示された技術の他の態様は、車両制御システムを対象として、マスターノードと、前記マスターノードからの操作命令信号に基づいて操作デバイスを動作させる複数のスレーブノードと、を備え、前記複数のスレーブノードは、前記操作デバイスとしてのモータを作動させる特定スレーブノードを含み、前記特定スレーブノードは、タイマー機能を有するとともに、前記モータを作動させるときには、前記モータの現在位置を検出した検出信号を前記マスターノードに逐次送信し、前記マスターノードは、前記モータを移動させるための操作命令信号を前記特定スレーブノードに逐次送信し、さらに前記マスターノードは、前記特定スレーブノードから送られる、前記検出信号が示す該モータの位置が、目標位置よりも手前に設定された所定位置を通過した位置であるときには、前記モータが、前記特定スレーブノードから前記検出信号が送信されてから、該特定スレーブノードが該マスターノードから次の操作命令信号を受信するまでの制御インターバル直後の位置から前記目標位置に向かって移動した後停止するように、前記モータを作動させる時間が定義された特定操作信号を前記特定スレーブノードに送信するように構成されている、というものとした。
【0019】
この構成では、特定スレーブノードにより検出された位置が所定位置を通過した目標位置近傍の位置であるときには、通常の操作命令信号とは別に、モータを作動させる時間を定義した特定操作信号を出力する。特定スレーブノードはタイマー機能を有しているため、モータを作動させる時間が定義されていれば、マスターノードからのオフ信号がなくとも、定義された時間だけモータを作動させた後、自律的にモータをオフさせることができる。これにより、制御インターバルが長い場合であっても、モータを目標位置に精度良く位置調整することができる。
【0020】
また、この構成では、マスターノードがモータの位置を逐次推定する必要がないため、マスターノードの演算処理を軽減することができる。また、モータ位置をモニタするためのマスターノードと特定スレーブノードとの間の通信頻度を少なくできるため、通信負荷を低減することもできる。
【0021】
ここに開示された技術のさらに別の態様は、車両制御システムを対象として、マスターノードと、前記マスターノードからの操作命令信号に基づいて操作デバイスを動作させる複数のスレーブノードと、を備え、前記複数のスレーブノードは、前記操作デバイスとしてのモータを作動させるスイッチが押された時に、前記マスターノードからの操作命令信号に基づいて前記モータを作動させる特定スレーブノードを含み、前記特定スレーブノードは、タイマー機能を有し、前記マスターノードは、前記スイッチがオンされて前記モータを作動させるときには、前記モータを移動させるための操作命令信号を前記特定スレーブノードに逐次送信し、さらに前記マスターノードは、前記スイッチがオフされたことを通知されたときには、前記特定スレーブノードに前記モータを停止させる操作命令信号を送信するとともに、前記モータが、当該操作命令信号により停止した位置から、前記スイッチがオフされた時の位置に向かって戻った後停止するように、前記モータを作動させる時間が定義された特定操作信号を前記特定スレーブノードに送信するように構成されている、というものとした。
【0022】
すなわち、電動ミラーやパワーシートは、スイッチがオンされている間はモータが作動し、スイッチがオフされたときにモータの目標位置が定まる機能を有している。制御インターバルが長い場合には、スイッチをオフさせたとしても制御インターバルの間はモータが作動し続けるため、自動車の乗員が所望する位置からずれるおそれがある。これに対して、前記の構成では、特定操作信号により、モータを、制御インターバルの間に進んだ分の移動量を小さくするように戻した後停止させる。これにより、制御インターバルが長い場合であっても、モータを乗員の所望の位置に精度良く位置調整することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、マスターノードとスレーブノードとの間の制御インターバルが長くなったとしても、モータを精度良く位置調整できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】
図1は、車両制御システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、マスターノードとスレーブノードの機能分配の一例を示す概念図である。
【
図3】
図3は、マスターノードの構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、スレーブノードの構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、ドライバ群の構成例を示す回路ブロック図である。
【
図6】
図6は、車両制御システムの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、ミラー駆動用モータを動作させたときのマスターノードとスレーブノードとの間の通信とモータ位置との関係を示す図であり、実施形態1に係る位置調整制御を実行しない場合を示す。
【
図8】
図8は、ミラー駆動用モータを動作させたときのマスターノードとスレーブノードとの間の通信とモータ位置との関係を示す図であり、実施形態1に係る位置調整制御を実行した場合の一例を示す。
【
図9】
図9は、マスターノードからスレーブノードに送信される第1特定操作信号の一例を示す模式図である。
【
図10】
図10は、ミラー駆動用モータを動作させたときのマスターノードとスレーブノードとの間の通信とモータ位置との関係を示す図であり、推定位置が設定範囲内である場合を示す。
【
図11】
図11は、ミラー駆動用モータを動作させたときのマスターノードとスレーブノードとの間の通信とモータ位置との関係を示す図であり、第2特定操作信号によりモータ位置を再調整する場合を示す。
【
図12】
図12は、位置調整制御を実行する際のマスターノードの処理動作を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、ミラー駆動用モータを動作させたときのマスターノードとスレーブノードとの間の通信とモータ位置との関係を示す図であり、実施形態2に係る位置調整制御を実行した場合の一例を示す。
【
図14】
図14は、実施形態2に係る位置調整制御を実行する際のマスターノードの処理動作を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、ミラー駆動用モータを動作させたときのマスターノードとスレーブノードとの間の通信とモータ位置との関係を示す図であり、実施形態3に係る位置調整制御を実行した場合の一例を示す。
【
図16】
図16は、実施形態3に係る位置調整制御を実行する際のマスターノードの処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
〈実施形態1〉
本開示において、「システム」「ユニット」「モジュール」「ノード」という用語が示す構成に関し、その一部または全部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)またはPLA(Programmable Logic Array)等の専用回路によって実現され得る。また、その一部または全部は、コンピュータで読み取り可能な命令(例えばプログラム)を実行して、所定の処理ステップを実行することにより特定の機能を実行させるプロセッサ回路によって実現され得る。
【0027】
また、以下の説明において、「車載デバイス」とは、車両CAに搭載されたデバイスであって、センサ及び操作対象となるデバイス(モータやLED等)の少なくとも一方を有するものを示す。車載デバイスのうち特に操作対象となるデバイスを示すときには、単に操作デバイスということがある。
【0028】
(車両制御システムの構成)
図1は、実施形態の車両制御システムの構成の一例を示す。
【0029】
図1に示すように、車両制御システム1は、車両CAに搭載されており、マスターノード2と複数のスレーブユニットとが車載の通信ネットワークを介して接続された構成となっている。
【0030】
図1の例では、複数のスレーブユニットとして、コンビスイッチユニット4、左右のサイドミラーユニット5、ステアリングスイッチユニット6、クラスタースイッチユニット31、オーバーヘッドコンソールユニット32、左右のパワーシートユニット33、及び、左右のドアラッチユニット34を例示している。各スレーブユニットは、それぞれに共通の構成を有するスレーブノード7(
図4参照)が搭載されたユニットである。便宜上、サイドミラーユニット5、ドアラッチユニット34、パワーシートユニット33は、それぞれ左右で共通の符号を付すものとする。
【0031】
マスターノード2と各スレーブノード7との間は、CXPI(Clock Extension Peripheral Interface)に準拠した通信回線Bで接続されている。
【0032】
具体的に、マスターノード2と、複数のスレーブユニット(この例では、コンビスイッチユニット4、ステアリングスイッチユニット6、クラスタースイッチユニット31、右のサイドミラーユニット5、右のパワーシートユニット33、右のドアラッチユニット34)とが、通信回線B1でバス接続されている。また、マスターノード2と、他の複数のスレーブユニット(この例では、オーバーヘッドコンソールユニット32、左のサイドミラーユニット5、左のパワーシートユニット33及び左のドアラッチユニット34)とが、通信回線B2でバス接続されている。詳しくは後述するが、本実施形態では、フェールセーフ機能を考慮して、複数(
図1では2つ)の通信回線を備える構成となっている。なお、通信回線B1と通信回線B2とは通信的に接続されていてもよい。また、通信回線数は3つ以上であってもよい。なお、通信方式は、CXPIに限定されず、他の通信方式(有線方式、無線方式を問わない)を用いてもよい。
【0033】
図2は、車両CAの行動に対するマスターノード2とスレーブノード7の機能分配の一例を示す概念図である。
図2では、車両CAの動作工程を、認知工程Iz、判断工程Pz、操作工程Ozに分け、それぞれの工程を細分化している。そして、マスターノード2に分配された機能20を破線で囲み、スレーブノード7に分配された機能30を実線で囲んでいる。
【0034】
以下の説明では、マスターノード2及びスレーブノード7において、認知工程Iz、判断工程Pzおよび操作工程Ozの各工程で実行される処理について、晴天から雨天への天気の変化(以下、単に「天気の変化」という)が起こった場合の例を交えて説明する。
【0035】
〔認知工程〕
認知工程Izでは、車載デバイスに搭載されたセンサの出力信号に基づいて、センサで取得された情報を認知する。本開示において「センサ」との用語は、温度・電圧・電流等の各種の物理量の測定・検知をするセンサに加えて、各種の操作を受け付けるスイッチ、車内外を撮像するカメラ、車外の物標等を認識するレーダ、アクチュエータの機械電気変換信号等を広く含む概念で用いる。センサは、車両の挙動情報、乗員の操作情報、乗員の状態情報及び/または外部環境情報等(以下、総称して「検知情報」という)を取得する。
【0036】
認知工程Izは、スレーブノード7で実行される工程Iz2,Iz3及びマスターノード2で実行される工程Iz4,Iz5を含む。
【0037】
まず、工程Iz1において、車載デバイスに搭載されたセンサで何らかの検知情報が検知される。具体例として、前述の「天気の変化」があった場合、センサとしての雨滴センサ及び受光センサ(図示省略)で検知情報(例えば、雨滴の付着、受光量の変化)が検知される。
【0038】
スレーブノード7では、後述するポートPを介してセンサの出力を受ける(工程Iz2)。ここでの出力には、例えば、センサの検知信号、センサで検出される電流・電圧・温度等の物理量、アクチュエータの機械電気変換信号等が含まれる。
【0039】
次の工程Iz3において、スレーブノード7は、センサ出力のシグナル化処理を行い、検知信号としてマスターノード2に送信する。ここでいうシグナル化処理は、例えば、CXPIに準拠した信号へのプロトコル変換である。
【0040】
すなわち、スレーブノード7では、工程Iz2,Iz3において、入力情報の具体的内容についての認知及び判断は行わずに、センサからの入力を所定の信号形式に変換し、検知信号としてマスターノード2に送信する。
【0041】
マスターノード2では、スレーブノード7から検知信号を受信し(工程Iz4)、その検知信号の経時変化と後述する接続データとに基づいて、センサからスレーブノード7に入力された検知情報の具体的な内容を認知する(工程Iz5)。前述の「天気の変化」の例では、情報化処理により、例えば、フロントガラスを透過する光度が所定値未満になって車外が暗くなっており、かつ、雨が降ってきたという認知情報が得られる。以下の説明では、認知工程で認知された情報を「認知情報」と呼ぶ。
【0042】
〔判断工程〕
判断工程Pzでは、認知工程において認知された認知情報に基づいて車両CAの行動や対応を決定する。判断工程Pzの構成要素である工程Pz1~Pz4は、マスターノード2で実行される。
【0043】
具体的に、工程Pz1において、マスターノード2では、認知工程Izで認知された認知情報に基づいて、車両CAの行動の目的を決定する。前述の「天気の変化」の例では、例えば「車外環境が暗くなりかつ雨が降ってきた場合に対応したふるまいをする」という目的が決定される。
【0044】
次の工程Pz2において、マスターノード2では、工程Pz1で決定された目的を達成するための行動計画を設定する。このとき、代替手段を含めた行動計画が列挙され、例えば、行動計画をリスト化した行動リストが生成される。例えば、上記の「車外環境が暗くかつ降雨時のふるまい」に対応した行動計画の中には、「ワイパーを作動する」、「車両CAのオートライト機能をオンにする」、「車両CAの上限速度を制限する」といった行動計画が含まれる。
【0045】
次の工程Pz3において、マスターノード2では、行動計画で列挙された行動の中で、実際に実行に移す行動を決定する。例えば、行動リストの中から実際に実行させる行動を選択する。前述の「天気の変化」の例では、例えば、「ワイパーを作動する」及び「車両のオートライト機能をオンにする」という行動が、実行対象の行動として選択される。
【0046】
次の工程Pz4において、マスターノード2では、工程Pz3で決定された行動を実現するための手段(以下、「対応手段」ともいう)を選択する。「天気の変化」の例では、例えば、「ワイパーを作動する」及び「車両のオートライト機能をオンにする」という行動に対して、ワイパーユニット(図示省略)、ヘッドライトユニット(図示省略)及びテールライトユニット(図示省略)が選択される。
【0047】
〔操作工程〕
操作工程Ozは、マスターノード2で実行される工程Oz1,Oz2及びスレーブノード7で実行される工程Oz3~Oz5を含む。
【0048】
工程Oz1において、マスターノード2は、判断工程Pzで決定された行動や対応を実現するための操作対象及びその操作量を決定する。ここで、操作対象は、行動や対応を実現するために操作する対象物を広く含むものとし、例えば、照明デバイスとアクチュエータを含む。照明デバイスは、前照灯、インジケータ、ターンランプ等に用いられる各種LEDや電球等を含む。アクチュエータは、ワイパーやミラー駆動用のモータといったボディ系デバイスと、エンジン、ブレーキ等に用いられる動力系デバイスとを含む。
【0049】
前述の「天気の変化」の例では、例えば、ワイパーユニットの操作内容として、フロントガラス用のワイパーをオンすること及びそのワイパーの操作スピードや操作間隔が決定される。また、例えば、ヘッドライトユニット及びテールライトユニットの操作内容として、ヘッドライト及びテールライトを点灯させること及びその照度が決定される。
【0050】
次の工程Oz2において、マスターノード2は、(1)操作対象が接続されたポートP(以下、「操作ポートP」という)を接続データに基づいて特定し、(2)操作ポートPの出力内容を命令する命令コードを生成し、(3)操作ポートPが設けられたスレーブノードに送信する処理を実行する。前述の「天気の変化」の例では、例えば、マスターノード2は、ワイパーが接続された操作ポートPの出力内容を命令する操作命令信号をワイパーユニットに送信し、ヘッドライトが接続された操作ポートPの出力内容を示す操作命令信号をヘッドライトユニットに送信し、テールライトが接続された操作ポートPの出力内容を示す操作命令信号をテールライトユニットに送信する。
【0051】
各スレーブノード7では、マスターノード2から操作命令信号を受信し、操作命令信号に基づく操作ポートPから命令コードに基づく操作信号を出力する。
【0052】
具体的には、各スレーブノード7は、操作命令信号のプロトコル変換及び/または指定されたレジスタの参照等を経て、操作命令信号に基づいて操作ポートPから出力する信号を生成する(工程Oz3)。そして、操作命令信号で指定された操作ポートPから操作デバイスに対して操作信号を出力する(工程Oz4)。これにより、(1)ワイパーユニットではワイパーが駆動され、(2)ヘッドライトユニットではヘッドライトが点灯され、(3)テールライトユニットではテールライトが点灯される。
【0053】
次に、マスターノード2及びスレーブノード7の構成について詳細に説明する。
図3は、マスターノード2の構成の一例を示すブロック図であり、
図4は、スレーブノード7の構成の一例を示すブロック図である。
【0054】
図3に例示するマスターノード2は、通信モジュール21と、認知モジュール22と、判断モジュール23と、操作モジュール24と、メモリ25とを備える。
【0055】
マスターノード2は、例えば、1つまたは複数の電子制御ユニット(ECU)により構成される。電子制御ユニットは、単一のIC(Integrated Circuit)を用いて構成されてもよいし、複数のICを用いて構成されてもよい。また、IC内には、単一のコアまたはダイが設けられてもよいし、連携する複数のコアまたはダイが設けられてもよい。
【0056】
通信モジュール21は、通信回線Bを介して各スレーブノード7からの受信信号を受信したり、各スレーブノード7に送信信号を送信したりする機能を有する。
【0057】
メモリ25は、それぞれのスレーブノード7に対応するコンフィグデータ、サイドミラーやパワーシートの目標位置等が格納されている。なお、メモリ25は、上記ECUを構成するICに内蔵された内部メモリであってもよく、上記ICに外付けされた外付けメモリであってもよい。また、メモリには、例えば、上記ICに搭載されたCPUを動作させるためのプログラムが記憶されてもよく、CPUでの処理結果等の情報が記憶されてもよい。
【0058】
認知モジュール22は、前述の認知工程Izのうちの工程Iz4,Iz5の認知処理を実行する。具体的には、認知モジュール22は、メモリに格納された接続データと、スレーブノードから受信される検出信号の経時変化に基づいて、検知デバイスで取得された検知情報を認知する認知処理を実行する。
【0059】
認知モジュール22は、スレーブノード7から受信した検知信号のデコード処理をするデコードモジュール221と、前述の工程Iz5の情報化処理をする情報化モジュール222とを含む。
【0060】
判断モジュール23は、前述の判断工程Pz(Pz1~Pz4)の判断処理を実行する。具体的には、判断モジュール23は、認知モジュール22で実行された認知処理において認知された認知情報に基づいて、車両CAの行動を決定する判断処理を実行する。
【0061】
判断モジュール23は、前述の工程Pz1を実行する目的決定モジュール231と、前述の工程Pz2を実行する行動計画モジュール232と、前述の工程Pz3を実行する行動決定モジュール233と、前述の工程Pz4を実行する対応決定モジュール234とを備える。
【0062】
操作モジュール24は、操作工程Ozのうちの工程Oz1,Oz2の処理を実行する。具体的に、判断処理で決定された車両の行動に対応する操作デバイスを特定し、特定された操作デバイスの操作を命令する操作命令信号を生成して、操作デバイスが接続されたスレーブノードに送信する操作処理を実行する。
【0063】
操作モジュール24は、前述の工程Oz1を実行する操作決定モジュール241と、前述の工程Oz2を実行する命令生成モジュール242とを備える。
【0064】
図4では、
図1に例示したスレーブノード7のうち、コンビスイッチユニット4、右のサイドミラーユニット5(以下、右サイドミラーユニット5という)、及び右のパワーシートユニット33(以下、右パワーシートユニット33という)の構成例を示す。
【0065】
図4に示すように、コンビスイッチユニット4、右サイドミラーユニット5、及び右パワーシートユニット33には、それぞれ、共通のスレーブノード7が設けられている。各スレーブノード7には、車載デバイスを接続するためのポートPが設けられている。
【0066】
この例において、コンビスイッチユニット4には、ポートP1~P4にワイパーを操作するワイパースイッチ41、ポートP5~P9にライトを操作するライトスイッチ42、ポートP10,P11にターンライトを操作するターンスイッチ43がそれぞれ接続されている。P12はリザーブ用のポートである。ワイパースイッチ41、ライトスイッチ42及びターンスイッチ43は、車載デバイスのうちのセンサのみを含むものの一例である。
【0067】
同様に、右サイドミラーユニット5には、ポートP1,P2にターンライト用のLED51(以下、「ターンLED51」という)、ポートP3~P6にインジケータ用のLED52、ポートP7~P12にミラー格納用のモータ53がそれぞれ接続されている。ここで、ターンLED51、LED52及びモータ53は、車載デバイスのうちの操作デバイスの一例である。特に、モータ53はモータの回転位置を検出する位置センサを有しており、センサと操作デバイスとの両方を有する車載デバイスである。
【0068】
右パワーシートユニット33には、ポートP1にシートスイッチ331、ポートP2~P6にシートの角度を調整するためのシート駆動モータ332がそれぞれ接続されている。シート駆動モータ332は、モータの回転位置を検出する位置センサを有しており、センサと操作デバイスとの両方を有する車載デバイスである。なお、
図4では、一部のポートPを省略しているが、右パワーシートユニット33にも12個のポートPがある。
【0069】
各スレーブノード7は、それぞれ、通信モジュール71と、レジスタ72と、セレクタ73と、ドライバ群74と、タイマー75とを備える。
【0070】
通信モジュール71は、通信回線Bを介して後述するマスターノード2の通信モジュール21と接続され、CXPIに準拠した双方向通信ができるように構成されている。通信モジュール71は、例えば、通信回線Bに接続される入出力回路、入出力回路から出力する信号を生成するエンコーダ、入出力回路から出力する信号を変換するデコーダ等を備える。なお、通信モジュール71の具体的な回路構成については、従前から知られている構成を適用できるので、ここではその詳細説明を省略する。
【0071】
ドライバ群74は、それぞれのポートPに1対1接続された複数のドライバ群740を備える。例えば、スレーブノード7に12個のポートPが設けられている場合、ドライバ群74には、12個のドライバ群740が設けられる。
【0072】
ドライバ群740は、外部設定により入力ポートとして使用したり、出力ポートとして使用したりできるIO回路である。ドライバ群740として、例えば、従来から知られている汎用入出力回路(GPIO : General Purpose Input/Output)を適用することができる。
図5には、ドライバ群740の構成例を示す。
【0073】
図5に例示するドライバ群740は、ポートPに接続された出力回路743と、出力レジスタ742の設定値に基づいて出力回路743を駆動するドライバ回路741とを備える。出力レジスタ742の設定値は、OUT端子から入力された設定信号により書き換えが可能になっている。
【0074】
ドライバ群740は、ポートPへの入力を受ける入力回路745と、入力回路745に受けた入力を検出信号に変換するレシーバ回路746とを備える。レシーバ回路746は、ADコンバータ747と比較器748とを備える。ADコンバータ747は、ポートPの属性がアナログ入力の場合に、ポートPの入力をアナログ-デジタル変換してAI端子から出力する。比較器748は、ポートPの属性がデジタル入力の場合に、ポートPの入力をデジタル信号としてDI端子から出力する。
【0075】
ドライバ群740は、コンフィグ信号に基づいて、各構成要素の設定が変更できるようになっている。例えば、コンフィグ信号に基づいてレシーバ回路746のデジタルフィルタのフィルタ乗数が変更できるようになっている。
【0076】
セレクタ73は、レジスタ72に記録された各ポートPの属性情報に基づいて、それぞれのドライバ群740の端子(OUT端子、AI端子、DI端子)のうち、どの端子を有効にするのかを選択する機能を有する。
【0077】
AI端子が有効にされた場合、ポートPからアナログ入力信号が入力される。この場合、アナログ入力信号は、入力回路745及びADコンバータ747でデジタル信号に変換されてAI端子から出力され、セレクタ73を介してレジスタ72に書き込まれる。
【0078】
DI端子が有効にされた場合、ポートPからデジタル入力信号が入力される。この場合、デジタル入力信号は、入力回路745及び比較器748を介してDI端子から出力され、セレクタ73を介してレジスタ72に書き込まれる。
【0079】
OUT端子が有効にされた場合、出力設定情報が、セレクタ73を介してドライバ回路741の出力レジスタ742に反映される。そして、ドライバ回路741は、出力レジスタ742の設定情報に基づいて、出力回路743を介してポートPからデジタル信号、アナログ信号、または、PWM信号のいずれかを出力させる。
【0080】
なお、セレクタの具体的な回路構成については、従来から知られている構成を用いることができるので、ここではその詳細説明を省略する。
【0081】
レジスタ72には、スレーブノード7毎に設定されたコンフィグデータが格納される。コンフィグデータは、各ポートPの属性データを含む。また、このコンフィグデータには、後述するスレーブノード7のフェールセーフ機能が含まれている。
【0082】
タイマー75は、水晶発振器等の一定の周波数で動作する発信器と、発信器からクロックをカウントするカウンタとを有する。タイマー75は、例えば、マスターノードから情報が送られてきてからの経過時間等の計測する際に利用される。また、タイマー75は、決まった時間だけ操作デバイスをオンさせる必要があるときに、該操作デバイスをオンさせてからの経過時間を計測する際に利用される。
【0083】
次に、車両制御システムの動作の一例を
図6に示すフローチャートを参照しながら説明する。ここでは、ステップS1の初期コンフィグレーション処理後において、運転者により、コンビスイッチユニット4に設けられたターンスイッチ43が右ターン側に操作された場合の処理について説明する。
【0084】
車両制御システム1において、電源が投入されると、ステップS1の初期コンフィグレーション処理が実行される。
【0085】
初期コンフィグレーション処理では、マスターノード2から各スレーブノード7に、初期コンフィグデータが送信される。各スレーブノード7では、マスターノード2から受信した初期コンフィグデータをレジスタ72に格納する。そして、各スレーブノード7は、レジスタ72に初期コンフィグデータを格納した後、設定完了の返信をする。なお、初期コンフィグデータがあらかじめ各スレーブノード7に格納されている場合には、ステップS1では何もせずに次のステップに進む。
【0086】
次に、ステップS2において、ターンスイッチ43が右ターン側に操作されると、ターンスイッチ43のデジタルアウトプットポートDORからドライバ群74のポートP10にON設定信号が入力される。
【0087】
次いで、ステップS3において、スレーブノード7は、マスターノード2にイベント通知を送信する。イベント通知では、検知信号領域の変化内容が通知される。
【0088】
次のステップS4において、マスターノード2では、イベント通知の内容に応じた処理(「イベント処理」ともいう)を実行する。イベント処理では、前述の認知工程、判断工程及び操作工程の処理が実行される。
【0089】
この例では、マスターノード2は、認知工程として、ステップS1で受信した検出データと、今回受信した検出データD4との差分データに基づく、情報化処理を実行する。具体的に、マスターノード2は、コンビスイッチユニット4のポートP10の変化と、接続データとに基づいて、ターンスイッチ43が右ターン側に操作されたことを認知する。
【0090】
次に、マスターノード2は、判断工程の工程Pz1~Pz4を経て、「車両CAの右ターンランプ(右サイドミラーユニット5の右ターンランプを含む)をオンにする」という行動が、車両CAの実行対象の行動として決定される。
【0091】
次に、マスターノード2は、操作工程として、右ターンランプが接続されたスレーブノード7を操作対象とし、操作内容として右ターンランプを点滅させることを決定する。そして、マスターノード2は、右ターンランプを点滅させることを命令する操作命令信号を生成し、該操作命令信号を右ターンランプが接続されたスレーブノード7(右サイドミラーユニット5を含む)に送信する。
【0092】
次に、ステップS6において、右サイドミラーユニット5のスレーブノード7は、操作命令信号を受信する。
【0093】
次いで、ステップS7において、右サイドミラーユニット5のスレーブノード7は、操作命令信号に基づくポートから操作命令信号に基づく操作信号を出力する。具体的には、右サイドミラーユニット5のスレーブノード7は、操作命令信号に基づいて、ポートP2からオン制御を指示するデジタル形式の操作信号を出力する。
【0094】
次に、ステップS8において、マスターノード2は、操作命令信号を送信したスレーブノード7に対して、操作命令信号に基づく出力設定がされているかどうかを確認するアクノリッジを要求する。そして、次のステップS9において、アクノリッジの要求を受けたスレーブノード7は、操作命令信号に基づく出力設定の状況を示すアクノリッジをマスターノード2に返信する。
【0095】
(モータの位置調整制御)
ここで、操作対象としている車載デバイスには、ミラー駆動モータ53(
図4参照)やシート駆動モータ332(
図4参照)のように、モータ位置(角度)を調整することで、サイドミラーの位置やシートの角度を調整するものがある。このような車載デバイスは、自動車のイグニッションをオンにしたり電源をオンにしたりしたときに、自動的にそのモータ位置が目標位置になるように、モータを動作させる機能を有している。このような自動位置調整機能を実行させる際には、マスターノード2は、該車載デバイスのモータを作動させるスレーブノード(以下、特定スレーブノードという)に、モータをオンさせるオン信号を逐次送信する。マスターノードは、モータの現在位置を検出した検出信号を特定スレーブノードから受信して、モータの現在位置を把握する。そして、マスターノード2は、検出信号に基づいてモータが目標位置に到達したと判断したときに、特定スレーブノードにモータを停止させるオフ信号を送信する。
【0096】
このような、フィードバック制御によりモータの位置合わせを行うときには、特定スレーブノードからマスターノード2に検出信号を出力してから、該特定スレーブノードがマスターノード2から次の操作命令信号を受信するまでの期間である制御インターバルを5~10msec程度にすることが好ましい。しかしながら、前述したCXPIのようなイベント型の通信方式は通信速度が遅くなりやすく、制御インターバルが50msec以上になることがある。特に、CXPIの通信方式では、複数のイベントが同時に発生した場合には、非破壊型の調停が実施され、調停に勝利したスレーブノードが優先される。このため、本実施形態1のように、スレーブノードが多数ある場合には、マスターノード2とスレーブノードとの間で通信に時間がかかることがある。このため、制御インターバルが長くなりやすい。特定スレーブノードとマスターノード2との間の制御インターバルが長くなると、モータを精度良く位置調整することができなくなるおそれがある。
【0097】
この点について、
図7を参照しながら説明する。ここでは、例えば、右サイドミラーの自動位置調整機能を想定しており、目標位置は乗員により予め設定されて、メモリ25に記憶された位置である。図中の「モータ位置」はミラー駆動モータ53の位置(角度)である。右サイドミラーユニット5のスレーブノード7は、ミラー駆動モータ53を動作させるため特定スレーブノードとなり得る。以下、右サイドミラーユニット5のスレーブノード7をミラースレーブノード7aという。なお、ミラースレーブノード7aがメモリを有しているときには、目標位置は、ミラースレーブノード7aのメモリに記憶されていてもよい。
【0098】
図7に示すように、マスターノード2はミラースレーブノード7aに対して、オン信号を逐次送信する。ミラースレーブノード7aは、オン信号に従って、ミラー駆動モータ53に所定電圧を印加させる。ミラースレーブノード7aは、ミラー駆動モータ53に設けられたセンサからモータ位置を示す信号を受信する。ミラースレーブノード7aは、マスターノード2に対して検出信号を送信する。マスターノード2は、検出信号に基づくモータ位置が目標位置に到達していないときには、ミラースレーブノード7aに再度オン信号を送信する。この間、ミラー駆動モータ53はオンしているため、ミラー駆動モータ53は目標位置に近づくように変位(回転)する。これが繰り返されて、ミラー駆動モータ53の位置が徐々に目標位置に近づく。
【0099】
そして、ミラー駆動モータ53が目標位置に到達したときに、ミラースレーブノード7aがミラー駆動モータ53の現在位置を検出したとする。この段階では、ミラースレーブノード7aは、オフ信号を受信していないのでミラー駆動モータ53を停止させない。このため、ミラー駆動モータ53は目標位置を通過して変位を続ける。マスターノード2は、ミラースレーブノード7aから検出信号を受信したときに、初めてミラー駆動モータ53が目標位置に到達したことを認知してオフ信号をミラースレーブノード7aに送信する。その後、オフ信号を受信したミラースレーブノード7aがミラー駆動モータ53をオフにして停止させる。
【0100】
特定スレーブノードとマスターノード2との間の制御インターバルが5~10msec程度の短さであれば、制御インターバルの間のモータの変位量(回転量)が小さいため、モータが目標位置に到達した段階で即座にモータを停止させることができる。しかし、前述した右サイドミラーの例のように、制御インターバルが長いときには、制御インターバルの間にモータが大きく変位しまうため、モータの停止位置と目標位置とが大きくずれてしまう。
【0101】
特定スレーブノードとマスターノード2との通信頻度を多くすれば、改善の可能性がある。しかし、特定スレーブノードとマスターノード2との通信頻度を多くすると、特定スレーブノードとマスターノード2との間の通信帯域が大きくなってしまい、他のスレーブノードとマスターノード2との通信がほとんどできなくなってしまう。
【0102】
これに対して、本実施形態1では、マスターノード2は、制御インターバル直後のモータ位置を推定する。マスターノード2は、推定位置が目標位置よりも手前に設定された第1所定位置を通過した位置であると推定されるときには、モータ2が推定位置から目標位置まで移動する時間だけ、該モータ2に電圧が印加されるような第1特定操作信号を特定スレーブノードに送信するように構成されている。
【0103】
このマスターノード2による位置調整制御について、前述と同様に右サイドミラーユニット5のミラー駆動ユニット53を例に説明する。
【0104】
図8に示すように、マスターノード2は、ミラースレーブノード7aから検出信号を受信する度に、制御インターバル直後のモータ位置(角度)である推定位置を算出する。推定位置は、ミラースレーブノード7aから直前に送信された検出信号が示すミラー駆動モータ53の現在位置に、制御インターバル中のミラー駆動モータ53の移動量である特定移動量を加えた位置である。つまり、推定位置は以下のような式になる。
推定位置 = モータの現在位置+特定移動量
推定位置を算出する際の基準となるミラー駆動モータ53の現在位置は、逐次更新される。特定移動量は、単位時間当たりのミラー駆動モータ53の移動量と制御インターバルの時間との積で求めることができる。ミラー駆動モータ53にかかる電圧は略一定であるため、単位時間当たりのミラー駆動モータ53の移動量は一定値であるとみなすことができる。制御インターバルの時間については、イベントの発生数に応じて変動する。マスターノード2は、例えば、オン信号と同時に検査信号をミラースレーブノード7aに送るとともに、ミラースレーブノード7aから該検査信号に対する返信を受信して、検査信号の出力から返信までにかかった時間を制御インターバルの時間とみなすようにしてもよい。つまり、マスターノード2は、直近の通信にかかった時間と同じ長さの制御インターバルが発生すると想定して、推定位置を推定するように構成されていてもよい。
【0105】
マスターノード2は、推定位置が、第1所定位置を通過した位置であると推定したときには、第1特定操作信号をミラースレーブノード7aに出力する。第1特定操作信号は、
図9に示すように、ミラー駆動モータ53へ電圧を印加する時間t
on(以下、作動時間t
onという)が定義された信号である。作動時間t
onは、例えば、以下の式で算出することができる。
作動時間 = |目標位置-推定位置|/単位時間当たりの移動量
第1特定操作信号は、推定位置が目標位置よりも手前であればミラー駆動モータ53を正回転させる信号となり、推定位置が目標位置を通過した位置(
図8参照)であればミラー駆動モータ53を逆回転させる信号となる。尚、第1所定位置は、ミラー駆動モータ53の初期位置と目標位置との間の角度に応じて設定されてもよい。例えば、第1所定位置は、初期位置と目標位置との間の80%の位置、具体的には、初期位置と目標位置との間の角度が10°であるときには8°の位置に設定されてもよい。
【0106】
第1特定操作信号を受信したミラースレーブノード7aは、第1特定操作信号に従って、作動時間t
onだけミラー駆動モータ53を作動させた後、ミラー駆動モータ53への電圧の印加を停止する。前述したように、ミラースレーブノード7aはタイマー75を有しているため、マスターノード2からオフ信号がなかったとしても、作動時間t
onが経過した後、自律的にミラー駆動モータ53への電圧の印加を停止することができる。これにより、
図8に示すように、モータ位置が調整されて、ミラー駆動モータ53を目標位置で停止させることができる。尚、図示は省略しているが、ミラースレーブノード7aのような特定スレーブノードは、第1特定操作信号によるモータの移動が完了したときには、移動が完了したことをマスターノード2に通知するとともに、第1特定操作信号により移動した後のモータ位置を検出して、マスターノード2に検出信号を送信する。
【0107】
本実施形態1では、
図10に示すように、マスターノード2は、推定位置が所定範囲内であるときには、推定位置が第1所定位置を通過した位置であると推定されたとしても、第1特定操作信号を送信することなく、ミラー駆動モータ53を停止させるオフ信号をミラースレーブノード7aに送信する。所定範囲は、その最大値と目標位置との間の角度及びその最小値と目標位置との間の角度が、第1所定位置と目標位置との間の角度よりも小さい範囲に設定されている。より詳しくは、所定範囲は目標位置に対して精度誤差を考慮した程度の範囲であり、例えば、目標位置を中心としての±0.5°の範囲に設定されている。尚、所定範囲内とは、所定範囲の最大値と最小値とを含む。
【0108】
このように、マスターノード2は、推定位置が目標位置対して精度誤差程度のずれしかない位置であるときには、第1特定操作信号による微調整を行わなかったとしても、制御インターバル経過直後の位置でミラー駆動モータ53を停止させたとしても、ミラー駆動モータ53はほぼ目標位置で停止させることができる。このため、第1特定操作信号による微調整を行うよりも、ミラー駆動モータ53を停止させた方が、位置合わせがスムーズに行われたようになるため、乗員に違和感を与えにくくなる。
【0109】
ここで、前述したように、制御インターバルはイベントの発生数に応じて変動する。具体的には、イベントの発生数が多ければ調停に負ける可能性が高く、制御インターバルが長くなりやすい。一方で、イベントの発生数が少なければ調停に勝つ可能性が高く、制御インターバルは短くなりやすい。制御インターバルの変動が大きければ、
図11に示すように、推定位置が実際のモータ位置に対してずれるようになる。第1特定操作信号は、推定位置を基準に生成されるため、第1特定操作信号により位置を調整したとしても、モータ位置が目標位置から比較的大きくずれることがある。これは、マスターノード2が特定スレーブノードに、第1特定操作信号でなく、前述のようにオフ信号を送信した場合でも同様に起こり得る。
【0110】
そこで、本実施形態1では、マスターノード2は、第1特定操作信号によりモータを移動させた後の該モータ位置、またはオフ信号により停止させた後の該モータ位置が、所定範囲外であるときには、当該位置から目標位置まで移動する時間だけ、モータに電圧が印加されるような第2特定操作信号を特定スレーブノードに送信する。第2特定操作信号は、第1特定操作信号と同様に、モータに電圧を印加する時間が定義された信号である。
【0111】
図11には、第1特定操作信号により右サイドミラーユニット5のミラー駆動モータ53を移動させた場合を例示している。第1特定操作信号は、ミラー駆動モータ53の作動時間t
onが定義されているため、
図11に示すように、第1特定操作信号によりミラー駆動モータ53が移動した後は、ミラー駆動モータ53がオフされて、モータ位置は一定の状態になる。そして、ミラースレーブノード7aは、第1特定操作信号によるミラー駆動モータ53の移動が完了したときには、移動が完了したことをマスターノード2に通知するとともに、第1特定操作信号により移動した後のモータ位置を検出して、マスターノード2に検出信号を送信する。そして、マスターノード2は、ミラースレーブノード7aからの検出信号に基づいて、現在のモータ位置から目標位置まで移動する時間だけ、ミラー駆動モータ53に電圧が印加されるような第2特定操作信号をミラースレーブノード7aに送信する。
【0112】
このように、第2特定操作信号によりモータ位置を再度微調整することにより、
図11に示すように、推定位置が、制御インターバル後の実際のモータの位置とはずれていて、第1特定操作信号による微調整後のモータ位置やオフ信号によりミラー駆動モータ53を停止させた後のモータ位置が、目標位置から比較的大きくずれていたとしても、モータ位置を最終的に目標位置に調整することができる。尚、図示は省略しているが、ミラースレーブノード7aのような特定スレーブノードは、第2特定操作信号によるモータの移動が完了したときにも、移動が完了したことをマスターノード2に通知するとともに、第2特定操作信号により移動した後のモータ位置を検出して、マスターノード2に検出信号を送信する。
【0113】
マスターノード2は、第1特定操作信号によりミラー駆動モータ53を移動させた後の該モータ位置が所定範囲内であるときには、第2特定操作信号を生成することなく、ミラー駆動モータ53の位置調整を終了する。
【0114】
次に、
図12を参照しながら、モータの位置調整制御を実行する際のマスターノード2の処理動作について説明する。尚、
図12は、マスターノード2がモータを作動させる要求を受けた後のフローチャートである。
【0115】
まず、ステップS101において、マスターノード2は、特定スレーブノードにオン信号を出力する。
【0116】
次に、ステップS102において、マスターノード2は、特定スレーブノードからモータの現在位置を示す検出信号を受信する。
【0117】
次いで、ステップS103において、マスターノード2は、制御インターバルを推定する。制御インターバルは、前記ステップS102においてマスターノード2が受信した検出信号を特定スレーブノードが出力してから、当該特定スレーブノードが次の操作命令信号を受信するまでの時間である。
【0118】
次に、ステップS104において、マスターノード2は、前記ステップS103で推定した制御インターバルに基づいて、制御インターバル経過後のモータ位置である推定位置を算出する。
【0119】
次いで、ステップS105において、マスターノード2は、前記ステップS104で算出した推定位置が、第1所定位置を超えた位置であるか否かを判定する。マスターノード2は、推定位置が第1所定位置を超えた位置であるYESのときには、ステップS106に進む。一方で、マスターノード2は、推定位置が第1所定位置よりも手前の位置であるNOのときには、ステップS101に戻って、特定スレーブノードに再びオン信号を出力する。
【0120】
前記ステップS106では、マスターノード2は、前記ステップS104で算出した推定位置が、所定範囲内の位置であるか否かを判定する。マスターノード2は、推定位置が所定範囲内の位置であるYESのときには、ステップS107に進む。一方で、マスターノード2は、推定位置が所定範囲外の位置であるNOのときには、ステップS108に進む。
【0121】
前記ステップS107では、マスターノード2は、特定スレーブノードにオフ信号を出力して、モータを停止させる。マスターノード2は、ステップS107の後、ステップS109に進む。
【0122】
前記ステップS108では、マスターノード2は、特定スレーブノードに第1特定操作信号を送信する。これにより、モータは、目標位置に向かって移動(正回転又は逆回転)した後、停止する。
【0123】
前記ステップS109では、マスターノード2は、特定スレーブノードからモータ位置の検出信号を受信する。この検出信号が示すモータ位置は、前記ステップS108で特定スレーブノードに送信された第1特定操作信号により、特定スレーブノードがモータを作動させた後のモータ位置である。
【0124】
次にステップS110において、マスターノード2は、前記ステップS109で受信した検出信号が示すモータ位置が所定範囲内であるか否かを判定する。マスターノード2は、モータ位置が所定範囲内の位置であるYESのときには、モータの位置調整制御を終了する。一方で、マスターノード2は、モータ位置が所定範囲外の位置であるNOのときには、ステップS111に進む。
【0125】
前記ステップS111では、マスターノード2は、特定スレーブノードに第2特定操作信号を出力する。これにより、モータは、目標位置に向かって移動した後、停止する。
【0126】
前記ステップS111の後は、前記ステップS109に戻り、マスターノード2は、特定スレーブノードからモータ位置の検出信号を受信する。この検出信号が示すモータ位置は、前記ステップS111で特定スレーブノードに送信された第2特定操作信号により、特定スレーブノードがモータを作動させた後のモータ位置である。そして、前記ステップS110に移行して、マスターノード2は、前記ステップS9で受信した検出信号が示すモータ位置が所定範囲内であるか否かを判定する。マスターノード2は、モータ位置が所定範囲内の位置であるYESのときには、モータの位置調整制御を終了する。一方で、マスターノード2は、モータ位置が所定範囲外の位置であるNOのときには、ステップS111に戻り、前記ステップS9で受信した検出信号が示すモータ位置から目標位置まで移動する時間だけ、モータに電圧が印加されるような第2特定操作信号を特定スレーブノードに送信する。
【0127】
以上のようにして、マスターノード2と特定スレーブノードとによりモータ位置が調整される。これにより、CXPIのように、マスターノード2とスレーブノード7との間の制御インターバルが長くなりやすい通信方式でも、モータを精度良く位置調整することができる。
【0128】
したがって、本実施形態1では、マスターノード2と、マスターノード2からの操作命令信号に基づいて操作デバイスを動作させる複数のスレーブノード7と、を備え、複数のスレーブノード7は、操作デバイスとしてのモータ(ミラー駆動モータ53、シート駆動モータ332等)を作動させる特定スレーブノード(ミラースレーブノード7a、パワーシートユニット33のスレーブノード7等)を含み、特定スレーブノードは、タイマー75を有するとともに、モータの現在位置を検出した検出信号をマスターノード2に逐次送信し、マスターノード2は、モータを移動させるための操作命令信号を特定スレーブノードに逐次送信し、さらにマスターノード2は、特定スレーブノードから検出信号が送信されてから、特定スレーブノードがマスターノード2から次の操作命令信号を受信するまでの制御インターバル直後のモータ位置を推定し、その推定位置が目標位置よりも手前に設定された所定位置を通過した位置であると推定されるときには、モータが推定位置から目標位置に向かって移動した後停止するように、モータを作動させる時間が定義された第1特定操作信号を特定スレーブノードに送信するように構成されている。これにより、推定位置が所定位置を通過した目標位置近傍の位置であるときには、通常の操作命令信号とは別に、モータを作動させる時間を定義した第1特定操作信号を出力する。特定スレーブノードはタイマー75を有しているため、モータを作動させる時間が定義されていれば、マスターノードからのオフ信号がなくとも、定義された時間だけモータを作動させた後、自律的にモータをオフさせることができる。これにより、制御インターバルが長い場合であっても、モータを目標位置に精度良く位置調整することができる。また、最終的な位置調整を特定スレーブノードのタイマー75を利用して行うことで、制御インターバルが長い場合であっても、ある程度細かい位置調整が可能となるため、モータ位置調整に課題な時間をかけることがない。これにより、乗員に違和感を与えにくくなる。
【0129】
また、実施形態1では、推定位置は、特定スレーブノードから直前に送信された検出信号が示すモータの現在位置に、制御インターバル中のモータの移動量を加えた位置である。これにより、推定位置を算出する際の基準となるモータ位置が逐次更新されるため、推定位置を精度良く推定することができる。これにより、制御インターバルが長い場合であっても、モータをより精度良く位置調整することができる。
【0130】
また、本実施形態1では、マスターノード2は、推定位置が所定範囲内であるときには、推定位置が所定位置を通過した位置であると推定されたとしても、第1特定操作信号を送信することなく、モータを停止させるオフ信号を特定スレーブノードに送信するように構成され、所定範囲は、その最大値と前記目標位置との間の角度及びその最小値と目標位置との間の角度が、所定位置と目標位置との間の角度よりも小さい範囲に設定されている。これにより、推定位置が目標位置対して精度誤差程度のずれしかない位置であるときには、第1特定操作信号による微調整を行わずに、モータをほぼ目標位置で停止させることができる。この結果、モータの位置合わせがスムーズに行われたようになるため、乗員に違和感を与えにくくなる。
【0131】
特に、本実施形態2では、マスターノード2は、第1特定操作信号によりモータを移動させた後のモータ位置、またはオフ信号により停止させた後のモータ位置が、所定範囲外であるときには、当該位置から目標位置まで移動する時間だけ、モータに電圧が印加されるような第2特定操作信号を特定スレーブノードに送信するように構成されている。これにより、制御インターバル直後の実際のモータ位置が推定位置からずれていて、第1特定操作信号により微調整した後のモータ位置、また、オフ信号により停止させた後のモータ位置が、目標位置から比較的大きくずれていたとしても、第2特定操作信号により再度微調整が行われる。この結果、制御インターバルが長い場合であっても、モータを目標位置により精度良く位置調整することができる。
【0132】
〔実施形態2〕
以下、実施形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において前記実施形態1と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0133】
本実施形態2では、マスターノード2は、制御インターバル後のモータ位置を逐次推定しない。マスターノード2は、
図13に示すように、特定スレーブノード(
図13ではミラースレーブノード7aを例示)から送られる、モータ(
図13ではミラー駆動モータ53を例示)の現在位置を検出した検出信号が示すモータ位置が、目標位置よりも手前に設定された第2所定位置を通過した位置であるときには、特定スレーブノードにオフ信号を送信して、モータを停止させる。その後、マスターノード2は、マスターノード2は、モータが停止位置から目標位置に向かって移動した後で停止するように、該モータに電圧が印加されるような第3特定操作信号を特定スレーブノードに送信する。
【0134】
マスターノード2は、制御インターバルに基づいて第3特定操作信号を生成する。具体的には、マスターノード2は、制御インターバルを推定して、推定した制御インターバルからモータの停止位置を推定する。マスターノードは、停止位置は、特定スレーブノードから直前に送信された検出信号が示すモータの現在位置に、モータの特定移動量を加えた位置である。つまり、推定される停止位置は以下のような式になる。
停止位置 = モータの現在位置+特定移動量
【0135】
そして、推定した停止位置から目標位置まで移動する時間だけ、モータに電圧が印加されるような第3特定操作信号を生成する。第3特定操作信号は、前述の第1及び第2特定操作信号と同様に、モータを作動させる作動時間tonが定義された信号である。作動時間tonは、以下の式で算出することができる。
作動時間 = |目標位置-停止位置|/単位時間当たりの移動量
尚、前述の実施形態1と同様に、マスターノード2は、例えば、オン信号と同時に検査信号を特定スレーブノードに送るとともに、特定スレーブノードから該検査信号に対する返信を受信して、検査信号の出力から返信までにかかった時間を制御インターバルの時間とみなすようにしてもよい。つまり、マスターノード2は、直近の通信にかかった時間と同じ長さの制御インターバルが発生すると想定して、停止位置を推定するように構成されていてもよい。
【0136】
本実施形態2において、第2所定位置は、前述の実施形態1の第1所定位置よりもさらに手前の位置に設定されている。第2所定位置は、例えば、目標位置の5°手前の位置に設定されている。または、第2所定位置は、モータの初期位置と目標位置との間の角度に応じて設定されてもよい。例えば、第2所定位置は、初期位置と目標位置との間の70%の位置、具体的には、初期位置と目標位置との間の角度が10°であるときには7°の位置に設定されてもよい。
【0137】
第2所定位置を通過した時点でモータを停止させるため、モータの停止位置は、目標位置からはずれるものの、ある程度目標位置に近い位置になる。そして、第3特定操作信号により微調整を行うことで、
図13に示すように、最終的にモータ位置を目標位置に調整することができる。
【0138】
次に、
図14を参照しながら、モータの位置調整制御を実行する際のマスターノードの処理動作について説明する。尚、
図14は、マスターノード2が、モータを作動させる要求を受けた後のフローチャートである。
【0139】
まず、ステップS201において、マスターノード2は、特定スレーブノードからスイッチがオンされたモータの現在位置を示す検出信号を受信する。
【0140】
次に、ステップS202において、マスターノード2は、特定スレーブノードにオン信号を出力する。
【0141】
次いで、ステップS203において、マスターノード2は、前記ステップS202の検出信号が示すモータ位置が、第2所定位置を超えた位置であるか否かを判定する。マスターノード2は、モータ位置が第2所定位置を超えた位置であるYESのときには、ステップS204に進む。一方で、マスターノード2は、モータ位置が第2所定位置よりも手前の位置であるNOのときには、ステップS201に戻って、特定スレーブノードに再びオン信号を出力する。
【0142】
前記ステップS204では、マスターノード2は、特定スレーブノードにオフ信号を出力して、モータを停止させる。
【0143】
次に、ステップS205において、マスターノード2は、モータの停止位置を推定する。
【0144】
次いで、ステップS206において、マスターノード2は、前記ステップS205で推定した停止位置が所定範囲内であるか否かを判定する。マスターノード2は、停止位置が所定範囲内の位置であるYESのときには、ステップS207に進む。一方で、マスターノード2は、モータ位置が所定範囲外の位置であるNOのときには、ステップS209に進む。尚、所定範囲は、前記実施形態1と同様に、例えば、目標位置を中心としての±0.5°の範囲に設定されている。
【0145】
前記ステップS207では、マスターノード2は、特定スレーブノードからモータ位置の検出信号を受信する。この検出信号が示すモータ位置は、モータの実際の停止位置である。
【0146】
次に、ステップS208において、マスターノード2は、前記ステップS207で受信した検出信号が示すモータ位置が所定範囲内であるか否かを判定する。マスターノード2は、モータ位置が所定範囲内の位置であるYESのときには、モータの位置調整制御を終了する。一方で、マスターノード2は、モータ位置が所定範囲外の位置であるNOのときには、ステップS210に進む。
【0147】
前記ステップ209では、マスターノード2は、特定スレーブノードに第3特定操作信号を送信する。これにより、モータは、目標位置に向かって移動(正回転又は逆回転)した後、停止する。
【0148】
前記ステップS209の後は、前記ステップS207に戻り、マスターノード2は、特定スレーブノードからモータ位置の検出信号を受信する。この検出信号が示すモータ位置は、前記ステップS209で特定スレーブノードに送信された第3特定操作信号により、特定スレーブノードがモータを作動させた後のモータ位置である。そして、前記ステップS208に移行して、マスターノード2は、前記ステップS207で受信した検出信号が示すモータ位置が所定範囲内であるか否かを判定する。マスターノード2は、モータ位置が所定範囲内の位置であるYESのときには、モータの位置調整制御を終了する。一方で、マスターノード2は、モータ位置が所定範囲外の位置であるNOのときには、ステップS210に進む。
【0149】
前記ステップ210では、マスターノード2は、特定スレーブノードに第4特定操作信号を送信する。この第4特定操作信号は、前述の実施形態1でいう第2特定操作信号に相当する操作命令信号であって、特定スレーブノードの検出信号に基づいて、現在のモータ位置から目標位置まで移動する時間だけ、モータに電圧が印加されるような操作命令信号である。これにより、モータは、目標位置に向かって移動した後、停止する。
【0150】
前記ステップS210の後は、前記ステップS207に戻り、マスターノード2は、特定スレーブノードからモータ位置の検出信号を受信する。この検出信号が示すモータ位置は、前記ステップS210で特定スレーブノードに送信された第4特定操作信号により、特定スレーブノードがモータを作動させた後のモータ位置である。そして、前記ステップS208に移行して、マスターノード2は、前記ステップS207で受信した検出信号が示すモータ位置が所定範囲内であるか否かを判定する。マスターノード2は、モータ位置が所定範囲内の位置であるYESのときには、モータの位置調整制御を終了する。一方で、マスターノード2は、モータ位置が所定範囲外の位置であるNOのときには、ステップS210に戻り、前記ステップS207で受信した検出信号が示すモータ位置から目標位置まで移動する時間だけ、モータに電圧が印加されるような第2特定操作信号を特定スレーブノードに送信する。
【0151】
このように、本実施形態2では、マスターノード2は、特定スレーブノード(ミラースレーブノード7a、パワーシートユニット33のスレーブノード7等)から送られる、検出信号が示すモータ(ミラー駆動モータ53、シート駆動モータ332等)の位置が、目標位置よりも手前に設定された所定位置を通過した位置であるときには、特定スレーブノードにモータを停止させるオフ信号を送信するとともに、モータが、制御インターバル直後のモータの位置(ここでは、停止位置)から目標位置に向かって移動した後停止するように、モータを作動させる時間が定義された第3特定操作信号を特定スレーブノードに送信するように構成されている。この構成でも、モータ位置を目標位置に精度良く位置調整することができる。特に、本実施形態2では、マスターノード2は、モータ位置を逐次推定する必要がないため、マスターノード2の演算負荷を低減することができる。
【0152】
〔実施形態3〕
以下、実施形態3について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において前記実施形態1及び2と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0153】
本実施形態3では、モータ位置をスイッチのオン/オフにより調整する場合を想定している。スイッチのオン/オフはスレーブノード7を介して、マスターノード2に伝達される。スイッチのオン/オフをマスターノード2に伝達するスレーブノードは、当該スイッチに応じて作動するモータを作動させる特定スレーブノードであってもよいし、特定スレーブノードとは別のスレーブノードであってもよい。
【0154】
マスターノード2は、スイッチがオンされたことが通知されたときに、特定スレーブノードにオン信号を送信する。マスターノード2は、スイッチがオンされている間は、特定スレーブノードにオン信号を逐次送信する。マスターノード2は、特定スレーブノードからオフ信号を受信したときに、該特定スレーブノードにモータを停止させるオフ信号を送信する。
【0155】
このようなシーンでは、モータの目標位置は、予め設定された位置ではなく、スイッチがオフされた時のモータ位置に設定される。マスターノード2と特定スレーブノードとの間の制御インターバルが長くなると、乗員がスイッチをオフしたとしても、モータが作動し続けて、サイドミラー等の位置が乗員の所望する位置からずれてしまう。
【0156】
そこで、本実施形態3では、マスターノード2は、
図15に示すように、スイッチがオフされたことが通知された時に、特定スレーブノード(
図15では、ミラースレーブノード7aを例示)にオフ信号を送信して、モータ(
図15では、ミラー駆動モータ53を例示)を停止させる。その後、マスターノード2は、モータが停止位置から目標位置に向かって移動した後で停止するように、該モータに電圧が印加されるような第5特定操作信号を特定スレーブノードに送信する。
【0157】
マスターノード2は、制御インターバルに基づいて第5特定操作信号を生成する。具体的には、マスターノード2は、制御インターバルを推定して、推定した制御インターバルの間だけ、該モータに電圧が印加されるような第5特定操作信号を生成する。第5特定操作信号は、モータを逆回転させる電圧を印加する信号である。第5特定操作信号は、前述の第1~第4特定操作信号と同様に、モータに電圧を印加する時間tonが定義された信号である。尚、前述の実施形態1及び2と同様に、マスターノード2は、例えば、オン信号と同時に検査信号を特定スレーブノードに送るとともに、特定スレーブノードから該検査信号に対する返信を受信して、検査信号の出力から返信までにかかった時間を制御インターバルの時間とみなすようにしてもよい。つまり、マスターノード2は、直近の通信にかかった時間と同じ長さの制御インターバルが発生すると想定して、停止位置を推定するように構成されていてもよい。
【0158】
次に、
図16を参照しながら、モータの位置調整制御を実行する際のマスターノード2の処理動作について説明する。尚、
図16は、マスターノード2が、特定スレーブノードからモータを作動させる要求を受けた後のフローチャートである。
【0159】
まず、ステップS301において、マスターノード2は、スイッチがオンされた通知を受信する。
【0160】
次に、ステップS302において、マスターノード2は、特定スレーブノードに、モータをオンさせるオン信号を送信する。
【0161】
次いで、ステップS303において、マスターノード2は、スイッチがオフされた通知があったか否かを判定する。マスターノード2は、スイッチオフの通知があったYESのときには、ステップS304に進む。一方で、マスターノード2は、スイッチオフの通知がなかったNOのときには、ステップS302に戻って、特定スレーブノードに再びオン信号を出力する。
【0162】
前記ステップS304では、マスターノード2は、特定スレーブノードにオフ信号を出力して、モータを停止させる。
【0163】
次に、ステップS305において、マスターノード2は、直前の制御インターバルを推定する。
【0164】
次いで、ステップS306において、マスターノード2は、前記ステップS305で推定した制御インターバルに基づいて第5特定操作信号を生成して、特定スレーブノードに生成した第5特定操作信号を送信する。これにより、モータは、スイッチがオフされた時の位置に向かって戻った後、停止する。
【0165】
このように、本実施形態3では、マスターノード2は、スイッチがオフされたことを通知されたときには、特定スレーブノード(ミラースレーブノード7a、パワーシートユニット33のスレーブノード7等)にモータ(ミラー駆動モータ53、シート駆動モータ332等)を停止させる操作命令信号に送信するとともに、モータが、当該操作命令信号により停止した位置から、スイッチがオフされた時の位置に向かって戻った後停止するように、モータを作動させる時間が定義された特定操作信号を特定スレーブノードに送信するように構成されている。これにより、スイッチがオフされたときにモータの目標位置が定められる場合に、CXPIのような通信方式において制御インターバルが長くなったとしても、モータ位置を目標位置に精度良く位置調整することができる。
【0166】
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0167】
例えば、前述の実施形態1では、マスターノード2は、第1特定操作信号によりモータを移動させた後、特定スレーブノードが移動後のモータ位置を検出して、該特定スレーブノードから該モータ位置を示す検出信号を受信してから、該検出信号に基づいて第2特定操作信号を生成していた。これに限らず、マスターノード2は、第1特定操作信号を送信した後、該第1特定操作信号を特定スレーブノードが受信した時のモータ位置(つまり、制御インターバル直後のモータ位置)と、その時の推定位置との差分に基づいて、モータ位置を微調整するための操作命令信号を生成するように構成されていてもよい。これによると、第1特定操作信号により移動したモータの位置を、特定スレーブノードが検出するのを待つ必要がなくなるため、車載デバイスを出来る限り連続的に可動させることができる。このため、自動車の乗員に与える違和感を出来る限り抑制することができる。
【0168】
また、前述の実施形態2では、マスターノードは、特定スレーブノードにオフ信号を送信した後、モータの停止位置を推定してから第3特定操作信号を生成していた。これに限らず、マスターノードは、特定スレーブノードから送られる検出信号が示すモータの位置が、目標位置よりも手前に設定された所定位置を通過した位置であるときには、オフ信号を送信することなく、制御インターバルの経過直後のモータ位置を推定して、第3特定操作信号を送信するように構成されていてもよい。これによると、モータの停止をはさまず、車載デバイスを出来る限り連続的に可動させることができるため、自動車の乗員に与える違和感を出来る限り抑制することができる。
【0169】
また、前述の実施形態2では、マスターノード2は、制御インターバルを考慮してモータの停止位置を推定した後、第3特定操作信号を生成していた。これに限らず、マスターノード2は、特定スレーブノードからモータの停止位置を検出した検出信号を受信した後、該検出信号が示すモータの停止位置に基づいて第3特定操作信号を生成してもよい。この場合、マスターノード2は、制御インターバルを推定する必要がない。このため、マスターノード2の負荷を低減することができる。
【0170】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0171】
ここに開示された技術は、車両制御システムにおいて、モータを操作対象とする場合に、制御インターバルが長くなったとしても、モータの位置を精度良く調整するために有用である。
【符号の説明】
【0172】
1 車両制御システム
2 マスターノード
7 スレーブノード
53 ミラー駆動モータ
332 シート駆動モータ
CA 車両