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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018644
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】車両制御システム
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
H04L12/28 200Z
H04L12/28 100A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122094
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤江 紀彰
(72)【発明者】
【氏名】廣▲瀬▼ 晋吾
(72)【発明者】
【氏名】森本 康治
【テーマコード(参考)】
5K033
【Fターム(参考)】
5K033BA06
5K033BA08
5K033DA01
5K033EA07
(57)【要約】
【課題】車載デバイスに含まれるセンサの出力を所望のタイミングで検出する。
【解決手段】マスタノード2は、車載デバイス60にオンオフ信号を出力することを指示する駆動指令と、車載デバイス60へのオンオフ信号の出力動作の開始から所定時間の経過後に車載デバイス60のセンサ60bの出力を検出することを指示する検出指令とを、スレーブノード7に送信する。スレーブノード7は、駆動指令に応答して車載デバイス60にオンオフ信号を出力し、検出指令に応答してオンオフ信号の出力動作の開始から所定時間の経過後にセンサ60bの出力を検出し、検出結果をマスタノード2に送信する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載されオンオフ信号により駆動する車載デバイスを制御する車両制御システムであって、
前記車載デバイスに接続され、前記車載デバイスに前記オンオフ信号を出力し、前記車載デバイスに含まれるセンサの出力を検出するスレーブノードと、
通信ネットワークを経由して前記スレーブノードと通信を行うことで、前記スレーブノードを制御するマスタノードとを備え、
前記マスタノードは、前記車載デバイスに前記オンオフ信号を出力することを指示する駆動指令と、前記車載デバイスへの前記オンオフ信号の出力動作の開始から所定時間の経過後に前記センサの出力を検出することを指示する検出指令とを含む指令セットを、前記スレーブノードに送信し、
前記スレーブノードは、前記マスタノードから送信された指令セットを受信すると、前記駆動指令に応答して前記車載デバイスに前記オンオフ信号を出力し、前記検出指令に応答して前記車載デバイスへの前記オンオフ信号の出力動作の開始から前記所定時間の経過後に前記センサの出力を検出し、その検出結果を前記マスタノードに送信する
車両制御システム。
【請求項2】
請求項1の車両制御システムにおいて、
前記所定時間は、前記車載デバイスへの前記オンオフ信号の出力動作の開始から該所定時間の経過後の時点が、前記車載デバイスが駆動中である駆動期間内に含まれるように設定される
車両制御システム。
【請求項3】
請求項1の車両制御システムにおいて、
前記スレーブノードは、それぞれが前記車両に搭載され前記オンオフ信号により駆動する複数の車載デバイスに接続され、前記複数の車載デバイスの各々に前記オンオフ信号を出力し、前記複数の車載デバイスの各々に含まれるセンサの出力を検出し、
前記駆動指令は、前記複数の車載デバイスが順に駆動するように前記複数の車載デバイスの各々に前記オンオフ信号を出力することを指示する指令であり、
前記検出指令は、前記複数の車載デバイスのうち第1番目の車載デバイスへの前記オンオフ信号の出力動作の開始から前記所定時間の経過後に前記複数の車載デバイスの各々に含まれるセンサの出力を検出することを指示する指令であり、
前記所定時間は、前記第1番目の車載デバイスへの前記オンオフ信号の出力動作の開始から該所定時間の経過後の時点が、前記複数の車載デバイスの全部が駆動中である駆動期間内に含まれるように設定される
車両制御システム。
【請求項4】
請求項3の車両制御システムにおいて、
前記スレーブノードは、それぞれが所定期間内における前記オンオフ信号の出力のパターンを示す複数の出力パターンを記憶し、
前記駆動指令は、前記スレーブノードから前記複数の車載デバイスの各々に出力されるオンオフ信号の出力パターンが前記複数の車載デバイスを順に駆動させる出力パターンとなるように、前記複数の車載デバイスの各々について該車載デバイスに出力されるオンオフ信号の出力パターンを前記複数の出力パターンのうちどの出力パターンにするのかを指定する指令であり、
前記スレーブノードは、前記複数の車載デバイスの各々に出力されるオンオフ信号の出力パターンが前記駆動指令により指定された出力パターンとなるように、前記複数の車載デバイスの各々にオンオフ信号を出力する
車両制御システム。
【請求項5】
請求項3または4の車両制御システムにおいて、
前記複数の車載デバイスは、前記車両の車幅方向に配列されて前記車両の方向指示器を構成する複数の発光素子をそれぞれ含み、
前記複数の車載デバイスを順に駆動させる制御は、前記車幅方向の内側から外側へ向けて前記複数の発光素子を1つずつ順に点灯させる制御であり、
前記複数の車載デバイスの各々において、該車載デバイスに含まれるセンサは、該車載デバイスに含まれる発光素子を流れる電流を検知する
車両制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示する技術は、車両制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載された車載デバイスを制御する車両制御システムには、マスタスレーブ方式を採用したものがある。例えば、特許文献1には、マスタスレーブ方式の車室照明システムが開示されている。このシステムでは、複数のスレーブECUの各々は、車両に搭載されるマスタECUと多重通信を行い、マスタECUの指示に従って光源を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-136220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような車両制御システムにおいて、車載デバイスに含まれるセンサの出力を検出するために、センサの出力の検出を指示する検出指令をマスタノードがスレーブノードに送信し、スレーブノードが検出指令に応答してセンサの出力を即座に検出してその検出結果をマスタノードに送信する、という制御方式を採用することが考えられる。
【0005】
しかしながら、上記のような制御方式では、マスタノードによる検出指令の送信からスレーブノードによる検出指令の受信までに要する時間(伝送時間)が変動すると、スレーブノードにおいてセンサの出力を検出するタイミングがずれてしまう。そのため、車載デバイスに含まれるセンサの出力を所望のタイミングで検出することが困難である。
【0006】
ここに開示する技術は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車載デバイスに含まれるセンサの出力を所望のタイミングで検出することが可能な車両制御システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示する技術は、車両に搭載されオンオフ信号により駆動する車載デバイスを制御する車両制御システムであって、
前記車載デバイスに接続され、前記車載デバイスに前記オンオフ信号を出力し、前記車載デバイスに含まれるセンサの出力を検出するスレーブノードと、
通信ネットワークを経由して前記スレーブノードと通信を行うことで、前記スレーブノードを制御するマスタノードとを備え、
前記マスタノードは、前記車載デバイスに前記オンオフ信号を出力することを指示する駆動指令と、前記車載デバイスへの前記オンオフ信号の出力動作の開始から所定時間の経過後に前記センサの出力を検出することを指示する検出指令とを含む指令セットを、前記スレーブノードに送信し、
前記スレーブノードは、前記マスタノードから送信された指令セットを受信すると、前記駆動指令に応答して前記車載デバイスに前記オンオフ信号を出力し、前記検出指令に応答して前記車載デバイスへの前記オンオフ信号の出力動作の開始から前記所定時間の経過後に前記センサの出力を検出し、その検出結果を前記マスタノードに送信する。
【0008】
前記の構成では、前記オンオフ信号の出力動作の開始を基準として車載デバイスのセンサの出力を検出することができる。これにより、マスタノードによる検出指令の送信からスレーブノードによる検出指令の受信までに要する時間(伝送時間)の影響を受けずに、センサの出力を検出するタイミングを決定することができる。したがって、車載デバイスに含まれるセンサの出力を所望のタイミングで検出することができる。
【0009】
なお、前記車両制御システムにおいて、
前記所定時間は、前記車載デバイスへの前記オンオフ信号の出力動作の開始から該所定時間の経過後の時点が、前記車載デバイスが駆動中である駆動期間内に含まれるように設定されてもよい。
【0010】
前記の構成では、車載デバイスが駆動中である駆動期間において車載デバイスのセンサの出力を検出することができる。これにより、車載デバイスが駆動中であるときのセンサの出力を得ることができる。
【0011】
また、前記車両制御システムにおいて、
前記スレーブノードは、それぞれが前記車両に搭載され前記オンオフ信号により駆動する複数の車載デバイスに接続され、前記複数の車載デバイスの各々に前記オンオフ信号を出力し、前記複数の車載デバイスの各々に含まれるセンサの出力を検出してもよく、
前記駆動指令は、前記複数の車載デバイスが順に駆動するように前記複数の車載デバイスの各々に前記オンオフ信号を出力することを指示する指令であってもよく、
前記検出指令は、前記複数の車載デバイスのうち第1番目の車載デバイスへの前記オンオフ信号の出力動作の開始から前記所定時間の経過後に前記複数の車載デバイスの各々に含まれるセンサの出力を検出することを指示する指令であってもよく、
前記所定時間は、前記第1番目の車載デバイスへの前記オンオフ信号の出力動作の開始から該所定時間の経過後の時点が、前記複数の車載デバイスの全部が駆動中である駆動期間内に含まれるように設定されてもよい。
【0012】
前記の構成では、複数の車載デバイスの全部が駆動中である駆動期間において複数の車載デバイスの各々のセンサの出力を検出することができる。これにより、複数の車載デバイスの各々について、その車載デバイスが駆動中であるときのセンサの出力を得ることができる。
【0013】
また、前記車両制御システムにおいて、
前記スレーブノードは、それぞれが所定期間内における前記オンオフ信号の出力のパターンを示す複数の出力パターンを記憶してもよく、
前記駆動指令は、前記スレーブノードから前記複数の車載デバイスの各々に出力されるオンオフ信号の出力パターンが前記複数の車載デバイスを順に駆動させる出力パターンとなるように、前記複数の車載デバイスの各々について該車載デバイスに出力されるオンオフ信号の出力パターンを前記複数の出力パターンのうちどの出力パターンにするのかを指定する指令であってもよく、
前記スレーブノードは、前記複数の車載デバイスの各々に出力されるオンオフ信号の出力パターンが前記駆動指令により指定された出力パターンとなるように、前記複数の車載デバイスの各々にオンオフ信号を出力してもよい。
【0014】
前記の構成では、マスタノードからスレーブノードへの駆動指令の送信(1回の送信)により、複数の車載デバイスを順に駆動させる制御を行うことができる。これにより、マスタノードとスレーブノードとの間の制御インターバル(情報の送受信)に要する時間の影響を受けることなく、複数の車載デバイスを順に駆動させる制御において、いずれかの車載デバイスの駆動から次の車載デバイスの駆動までの時間(遷移時間)を一定にすることができる。その結果、第1番目の車載デバイスへの前記オンオフ信号の出力動作の開始に対して「複数の車載デバイスの全部が駆動中である駆動期間」がずれないようにすることができるので、複数の車載デバイスの各々について、その車載デバイスが駆動中であるときのセンサの出力を正確に得ることができる。
【0015】
また、前記車両制御システムにおいて、
前記複数の車載デバイスは、前記車両の車幅方向に配列されて前記車両の方向指示器を構成する複数の発光素子をそれぞれ含んでもよく、
前記複数の車載デバイスを順に駆動させる制御は、前記車幅方向の内側から外側へ向けて前記複数の発光素子を1つずつ順に点灯させる制御であってもよく、
前記複数の車載デバイスの各々において、該車載デバイスに含まれるセンサは、該車載デバイスに含まれる発光素子を流れる電流を検知してもよい。
【0016】
前記の構成では、車両の方向指示器を構成する複数の発光素子を1つずつ順に点灯させる制御(シーケンシャル点灯)を滑らかに行うことができる。また、シーケンシャル点灯において複数の車載デバイスの各々の発光素子を流れる電流を検出することができる。
【発明の効果】
【0017】
ここに開示する技術によれば、車載デバイスに含まれるセンサの出力を所望のタイミングで検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】車両制御システムの構成例を示すブロック図である。
図2】マスタノードとスレーブノードの機能分配の一例を示す概念図である。
図3】マスタノードの構成例を示すブロック図である。
図4】スレーブノードの構成例を示すブロック図である。
図5】ドライバ群の構成例を示す回路ブロック図である。
図6】車両制御システムの要部の構成例を示すブロック図である。
図7】車両制御システムの要部の構成例を示すブロック図である。
図8】駆動制御処理について説明するためのフローチャートである。
図9】出力パターンの一例を示す図である。
図10】駆動制御処理におけるオンオフ信号の変化およびセンサ出力の検出タイミングの一例を示すタイミングチャートである。
図11】即時停止処理について説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して実施の形態を詳しく説明する。なお、図中同一または相当部分には同一の符号を付しその説明は繰り返さない。
【0020】
なお、本開示において、「システム」「ユニット」「モジュール」「ノード」という用語が示す構成の一部または全部は、特定用途向け集積回路(Application specific integrated circuit:ASIC)またはプログラマブルロジックアレイ(Programmable logic array:PLA)などの専用回路により実現され得る。また、上記の一部または全部は、コンピュータで読み取り可能な命令(例えばプログラム)を実行して、所定の処理ステップを実行することにより特定の機能を実行させるプロセッサ回路により実現され得る。
【0021】
また、以下の説明において、「車載デバイス」は、車両に搭載されたデバイスのことである。車載デバイスは、センサおよび操作対象となる部品(例えばモータやLEDなど)の少なくとも一方を有する。
【0022】
(実施形態)
図1は、実施形態の車両制御システムの構成の一例を示す。図1に示すように、車両制御システム1は、車両CAに搭載されており、マスタノード2と複数のスレーブユニットとが車載の通信ネットワークを介して接続された構成となっている。
【0023】
図1の例では、複数のスレーブユニットとして、コンビスイッチユニット4、左右のサイドミラーユニット5、ステアリングスイッチユニット6、クラスタースイッチユニット31、オーバーヘッドコンソールユニット32、左右のシートヒータユニット33、および、左右のドアラッチユニット34が例示されている。各スレーブユニットには、それぞれに共通の構成を有するスレーブノード7(図4参照)が搭載されている。なお、説明の便宜上、サイドミラーユニット5、ドアラッチユニット34、シートヒータユニット33は、それぞれ左右で共通の符号を付している。
【0024】
マスタノード2と複数のスレーブユニット(この例では、コンビスイッチユニット4、ステアリングスイッチユニット6、クラスタースイッチユニット31、右のサイドミラーユニット5、右のシートヒータユニット33、右のドアラッチユニット34)の各々に設けられたスレーブノード7は、通信回線B1でバス接続されている。また、マスタノード2と他の複数のスレーブユニット(この例では、オーバーヘッドコンソールユニット32、左のサイドミラーユニット5、左のシートヒータユニット33および左のドアラッチユニット34)の各々に設けられたスレーブノード7は、通信回線B2でバス接続されている。以下の説明では、通信回線B1,B2を総称して「通信回線B」と記載する。通信回線Bは、通信ネットワークを構成する。
【0025】
通信回線Bは、例えば、CXPI(Clock Extension Peripheral Interface)に準拠した通信回線である。CXPIはイベント型の通信プロトコルの一例である。なお、通信方式は、CXPIに限定されず、他の通信方式(有線方式、無線方式を問わない)であってもよい。また、通信ネットワークに使用される通信回線の本数は、特に限定されない。また、通信回線の途中に、通信中継用のHUB(図示省略)やECU(図示省略)などが設けられてもよい。
【0026】
〔マスタノードとスレーブノードの機能分配〕
図2は、車両CAの行動に対するマスタノード2とスレーブノード7の機能分配の一例を示す概念図である。図2では、車両CAの動作工程を、「認知工程Iz」と「判断工程Pz」と「操作工程Oz」とに分け、それぞれの工程を細分化している。そして、マスタノード2に分配された機能20を破線で囲み、スレーブノード7に分配された機能30を実線で囲んでいる。
【0027】
以下では、認知工程Izと判断工程Pzと操作工程Ozの各々において実行される処理について、晴天から雨天への天気の変化(以下では単に「天気の変化」と記載)が起こった場合の例を交えて説明する。
【0028】
〔認知工程〕
認知工程Izでは、車載デバイスに搭載されたセンサの出力信号に基づいて、センサにより取得された情報を認知する。なお、本開示において、「センサ」という用語は、温度,電圧,電流などの各種の物理量の測定・検知をするセンサに加えて、各種の操作を受け付けるスイッチ、車内外を撮像するカメラ、車外の物標等を認識するレーダ、機械電気変換信号を出力するデバイスなどを含む概念で用いられる。センサは、車両の挙動情報、乗員の操作情報、乗員の状態情報、外部環境情報、アクチュエータを流れる電流の情報、アクチュエータに印加される電圧の情報、故障状態情報などを取得する。以下では、これらを総称して「検知情報」と記載する。
【0029】
認知工程Izは、スレーブノード7において実行される工程Iz2,Iz3と、マスタノード2において実行される工程Iz4,Iz5を含む。なお、以下では、車載デバイスがスレーブノード7内に実装されている例について説明するが、車載デバイスは、スレーブノード7の外部に設けられてもよい。
【0030】
まず、工程Iz1において、車載デバイスに搭載されたセンサにおいて何らかの検知情報が検知される。前述の「天気の変化」の例では、センサとしての雨滴センサおよび受光センサ(図示省略)において検知情報(例えば、雨滴の付着、受光量の変化など)が検知される。
【0031】
次の工程Iz2において、スレーブノード7は、後述するポートPを介してセンサの出力を受ける。上記のセンサの出力には、例えば、センサの検知信号、センサで検出される電流,電圧,温度などの物理量、機械電気変換信号などが含まれる。
【0032】
次の工程Iz3において、スレーブノード7は、センサ出力に対してシグナル化処理およびデータ化処理を行い、これらの処理により得られた信号を検知信号としてマスタノード2に送信する。スレーブノード7からマスタノード2に送信される検知信号は、CXPIに準拠した信号である。
【0033】
なお、シグナル化処理は、例えば、センサから出力された情報を「優位な情報」と「無意な情報」とに分け、有意な情報のみを取り出す処理である。シグナル化処理の例としては、チャタリングフィルタなどのフィルタリング処理が挙げられる。データ化処理は、例えば、離散化された情報を連続処理に適した情報に加工する処理である。データ化処理の例としては、後段の情報化処理においてPID制御などの連続処理を行う場合に、離散データに対して移動平均処理を行うことで連続信号を得るという処理が挙げられる。
【0034】
すなわち、スレーブノード7は、工程Iz2,Iz3において、入力情報(検知情報)の具体的内容についての認知および判断を行わずに、センサの出力を所定の信号形式に変換し、検知信号としてマスタノード2に送信する。
【0035】
次の工程Iz4において、マスタノード2は、スレーブノード7から送信された検知信号を受信する。次の工程Iz5(情報化処理)において、マスタノード2は、その検知信号の経時変化と後述する接続データとに基づいて、センサからスレーブノード7に入力された検知情報の具体的な内容を認知する。前述の「天気の変化」の例では、情報化処理により、例えば、「フロントガラスを透過する光度が所定値未満になって車外が暗くなっており、且つ、雨が降ってきた」という認知情報が得られる。なお、以下では、認知工程で認知された情報を「認知情報」と記載する。
【0036】
〔判断工程〕
判断工程Pzでは、認知工程Izにおいて認知された認知情報に基づいて車両CAの行動や対応を決定する。判断工程Pzの構成要素である工程Pz1~Pz4は、マスタノード2において実行される。
【0037】
具体的には、工程Pz1において、マスタノード2は、認知工程Izにおいて認知された認知情報に基づいて、車両CAの行動の目的を決定する。前述の「天気の変化」の例では、例えば「車外環境が暗くなりかつ雨が降ってきた場合に対応したふるまいをする」という目的が決定される。
【0038】
次の工程Pz2において、マスタノード2は、工程Pz1において決定された目的を達成するための行動計画を設定する。なお、このとき、代替手段を含めた行動計画が列挙される。例えば、行動計画をリスト化した行動リストが生成される。前述の「天気の変化」の例では、「車外環境が暗くかつ降雨時のふるまい」に対応した行動計画の中に、「ワイパを作動する」、「車両CAのオートライト機能をオンにする」、「車両CAの上限速度を制限する」といった行動計画が含まれる。
【0039】
次の工程Pz3において、マスタノード2は、行動計画において列挙された行動の中で実際に実行に移す行動を決定する。例えば、マスタノード2は、行動リストの中から実際に実行させる行動を選択する。前述の「天気の変化」の例では、例えば、「ワイパを作動する」および「車両のオートライト機能をオンにする」という行動が、実行対象の行動として選択される。
【0040】
次の工程Pz4において、マスタノード2は、工程Pz3において決定された行動を実現するための手段(対応手段)を選択する。前述の「天気の変化」の例では、例えば、「ワイパを作動する」および「車両のオートライト機能をオンにする」という行動に対して、ワイパユニット(図示省略)と、ヘッドライトユニット(図示省略)と、テールライトユニット(図示省略)とが選択される。
【0041】
〔操作工程〕
操作工程Ozは、マスタノード2において実行される工程Oz1,Oz2と、スレーブノード7において実行される工程Oz3~Oz5を含む。
【0042】
まず、工程Oz1において、マスタノード2は、判断工程Pzにおいて決定された行動や対応を実現するための操作対象およびその操作量を決定する。ここで、操作対象は、行動や対応を実現するために操作する対象物を広く含むものとし、例えば、発光デバイスとアクチュエータを含む。発光デバイスは、前照灯、インジケータ、ターンランプ等に用いられる各種LEDや電球などを含む。アクチュエータは、ワイパ、ミラー駆動用のモータといったボディ系デバイスと、エンジン、ブレーキなどに用いられる動力系デバイスとを含む。
【0043】
前述の「天気の変化」の例では、例えば、ワイパユニットの操作内容として、フロントガラス用のワイパをオンすることと、そのワイパの操作スピードおよび操作間隔とが決定される。また、ヘッドライトユニットおよびテールライトユニットの操作内容として、ヘッドライトおよびテールライトを点灯させることと、その照度とが決定される。
【0044】
次の工程Oz2において、マスタノード2は、(1)操作対象が接続されたポートP(以下では「操作ポートP」と記載)を接続データに基づいて特定し、(2)操作ポートPの出力内容を命令する命令コードを生成し、(3)その命令コードが含まれた操作命令信号を操作ポートPが設けられたスレーブノードに送信する処理を実行する。前述の「天気の変化」の例では、例えば、マスタノード2は、ワイパが接続された操作ポートPの出力内容を命令する命令コード(操作命令信号)をワイパユニット(図示省略)に送信し、ヘッドライトが接続された操作ポートPの出力内容を示す命令コードをヘッドライトユニット(図示省略)に送信し、テールライトが接続された操作ポートPの出力内容を示す命令コードをテールライトユニット(図示省略)に送信する。なお、マスタノード2からスレーブノード7に送信される操作命令信号は、CXPIに準拠した信号である。
【0045】
各スレーブノード7では、マスタノード2から送信された命令コードを受信し、その命令コードに基づく操作ポートPから命令コードに基づく操作信号を出力する。
【0046】
具体的には、スレーブノード7は、命令コードのプロトコル変換および/または指定されたレジスタの参照などを経て、命令コードに基づいて操作ポートPから出力する信号を生成する(工程Oz3)。そして、命令コードで指定された操作ポートPから車載デバイス(具体的には車載デバイスに含まれる操作対象となるデバイス)に対して操作信号を出力する(工程Oz4)。これにより、(1)ワイパユニットではワイパが駆動され、(2)ヘッドライトユニットではヘッドライトが点灯され、(3)テールライトユニットではテールライトが点灯される。
【0047】
次に、図3および図4を参照して、マスタノード2およびスレーブユニットの構成について詳細に説明する。
【0048】
〔マスタノード〕
図3は、マスタノード2の構成の一例を示す。図3に示すように、マスタノード2は、通信モジュール21と、認知モジュール22と、判断モジュール23と、操作モジュール24と、メモリ25とを備える。
【0049】
マスタノード2は、例えば、1つまたは複数の電子制御ユニット(ECU)により構成される。電子制御ユニットは、単一のIC(Integrated Circuit)を用いて構成されてもよいし、複数のICを用いて構成されてもよい。また、IC内には、単一のコアまたはダイが設けられてもよいし、連携する複数のコアまたはダイが設けられてもよい。
【0050】
通信モジュール21は、通信回線Bを介して各スレーブノード7からの信号を受信したり、各スレーブノード7に信号を送信したりする機能を有する。
【0051】
メモリ25は、それぞれのスレーブノード7に対応するコンフィグデータ(以下では「マスタコンフィグデータ」と記載)が格納されている。
【0052】
マスタコンフィグデータは、それぞれのスレーブノード7に設定される初期コンフィグデータと、接続データとを含む。言い換えると、マスタノード2は、それぞれのスレーブノード7に設定されている初期コンフィグデータを保有している。接続データは、スレーブノード7の各ポートPと車載デバイスのデバイスポートとの接続関係を示すデータである。言い換えると、接続データは、スレーブノード7の各ポートPに、車載デバイスのどういった機能のデバイスポートが接続されているかを示すデータである。
【0053】
なお、メモリ25は、上記ECUを構成するICに内蔵された内部メモリであってもよく、上記ICに外付けされた外付けメモリであってもよい。また、メモリには、例えば、上記ICに搭載されたCPUを動作させるためのプログラムが記憶されてもよく、CPUでの処理結果などの情報が記憶されてもよい。
【0054】
認知モジュール22は、前述の認知工程Izのうちの工程Iz4,Iz5の認知処理を実行する。具体的には、認知モジュール22は、メモリに格納された接続データと、スレーブノードから受信される検出信号(例えば検出信号の経時変化)とに基づいて、車載デバイス(具体的には車載デバイスに含まれるセンサ)において取得された検知情報を認知する認知処理を実行する。なお、検出信号は、スレーブノード7のどのポートにおいてどのようなセンサ出力を入力したのかを示す。接続データは、スレーブノード7のどのポートにどの車載デバイスが接続されているのかを示す。
【0055】
この例では、認知モジュール22は、デコードモジュール221と、情報化モジュール222とを含む。デコードモジュール221は、スレーブノード7から受信した検知信号のデコード処理をする。情報化モジュール222は、前述の工程Iz5の情報化処理をする。
【0056】
判断モジュール23は、前述の判断工程Pz(具体的には工程Pz1~Pz4)の判断処理を実行する。具体的には、判断モジュール23は、認知モジュール22による認知処理において認知された認知情報に基づいて、車両CAの行動を決定する。
【0057】
この例では、判断モジュール23は、前述の工程Pz1を実行する目的決定モジュール231と、前述の工程Pz2を実行する行動計画モジュール232と、前述の工程Pz3を実行する行動決定モジュール233と、前述の工程Pz4を実行する対応決定モジュール234とを含む。
【0058】
操作モジュール24は、操作工程Ozのうちの工程Oz1,Oz2の処理を実行する。具体的には、操作モジュール24は、判断処理で決定された車両の行動に対応する車載デバイスを特定し、その特定された車載デバイス(具体的には車載デバイスに含まれる操作対象となるデバイス)の操作を命令する命令コードを生成して、その特定された車載デバイスが接続されたスレーブノード7に送信する。
【0059】
この例では、操作モジュール24は、前述の工程Oz1を実行する操作決定モジュール241と、前述の工程Oz2を実行する命令生成モジュール242とを含む。
【0060】
〔スレーブユニット〕
図4は、図1に例示したスレーブユニットのうち、コンビスイッチユニットおよび右のサイドミラーユニット5(以下では「右サイドミラーユニット5」と記載)の構成例を示す。
【0061】
図4に示すように、コンビスイッチユニット4および右サイドミラーユニット5には、それぞれ、共通のスレーブノード7が設けられている。各スレーブノード7には、車載デバイスを接続するためのポートPが12個ずつ設けられている。
【0062】
この例において、コンビスイッチユニット4では、ポートP1~P4にワイパを操作するワイパスイッチ41、ポートP5~P9にライトを操作するライトスイッチ42、ポートP10,P11にターンライトを操作するターンスイッチ43がそれぞれ接続される。P12はリザーブ用のポートである。ワイパスイッチ41、ライトスイッチ42およびターンスイッチ43は、センサのみを含む車載デバイスの一例である。
【0063】
同様に、右サイドミラーユニット5では、ポートP1,P2にターンライト用のLED51(以下では「ターンLED51」と記載)、ポートP3~P6にインジケータ用のLED52、ポートP7~P12にミラー格納用のモータ53がそれぞれ接続される。ターンLED51、LED52、モータ53は、センサと操作対象となるデバイスとの両方を有する車載デバイスの一例である。
【0064】
〔スレーブノード〕
各スレーブノード7は、それぞれ、通信モジュール71と、レジスタ72と、セレクタ73と、ドライバ群74と、タイマ75とを備える。
【0065】
通信モジュール71は、通信回線Bを介してマスタノード2の通信モジュール21と接続され、CXPIに準拠した双方向通信ができるように構成されている。通信モジュール71は、例えば、通信回線Bに接続される入出力回路、入出力回路から出力する信号を生成するエンコーダ、入出力回路から出力する信号を変換するデコーダなどを備える。なお、通信モジュール71の具体的な回路構成については、従前から知られている構成を適用できるので、ここではその詳細説明を省略する。
【0066】
ドライバ群74は、複数のポートPに1対1接続された複数のドライバユニット740(図4では図示省略)を備える。例えば、スレーブノード7に12個のポートPが設けられている場合、ドライバ群74には、12個のドライバユニット740が設けられる。
【0067】
ドライバユニット740は、外部設定により入力ポートとして使用したり、出力ポートとして使用したりできるIO回路である。ドライバユニット740として、例えば、従来から知られている汎用入出力回路(GPIO : General Purpose Input/Output)を適用することができる。
【0068】
〔ドライバユニット〕
図5には、ドライバユニット740の構成例を示す。図5に示すように、ドライバユニット740は、ポートPに接続された出力回路743と、出力レジスタ742の設定値に基づいて出力回路743を駆動するドライバ回路741とを備える。出力レジスタ742の設定値は、OUT端子から入力された設定信号により書き換えが可能になっている。
【0069】
ドライバユニット740は、ポートPへの入力を受ける入力回路745と、入力回路745に受けた入力を検出信号に変換するレシーバ回路746とを備える。レシーバ回路746は、ADコンバータ747と、比較器748とを備える。ADコンバータ747は、ポートPの属性がアナログ入力の場合に、ポートPの入力をアナログデジタル変換してAI端子から出力する。比較器748は、ポートPの属性がデジタル入力の場合に、ポートPの入力をデジタル信号としてDI端子から出力する。
【0070】
ドライバユニット740は、コンフィグ信号に基づいて、各構成要素の設定が変更できるようになっている。例えば、ドライバユニット740は、コンフィグ信号に基づいてレシーバ回路746のデジタルフィルタのフィルタ定数が変更できるようになっている。
【0071】
セレクタ73は、レジスタ72に記録された各ポートPの属性情報に基づいて、それぞれのドライバユニット740の端子(OUT端子、AI端子、DI端子)のうち、どの端子を有効にするのかを選択する機能を有する。
【0072】
AI端子が有効にされた場合、ポートPからアナログ入力信号が入力される。この場合、アナログ入力信号は、入力回路745およびADコンバータ747でデジタル信号に変換されてAI端子から出力され、セレクタ73を介してレジスタ72に書き込まれる。
【0073】
DI端子が有効にされた場合、ポートPからデジタル入力信号が入力される。この場合、デジタル入力信号は、入力回路745および比較器748を介してDI端子から出力され、セレクタ73を介してレジスタ72に書き込まれる。
【0074】
OUT端子が有効にされた場合、命令コードに基づく出力設定データが、ドライバ回路741の出力レジスタ742に反映される。ドライバ回路741は、出力回路743をドライブして、出力レジスタ742の出力設定データに基づく操作信号(デジタル信号、アナログ信号、または、PWM信号のいずれか)をポートPから出力させる。
【0075】
ここで、出力設定データは、例えば、マスタノード2から受信された命令コードに基づいて、セレクタ73内の論理回路(図示省略)を用いたり、レジスタ72の値を用いたりして生成される。言い換えると、命令コードに基づくポートPに接続されたドライバ回路741の出力レジスタ742に、命令コードに基づく出力設定がされる。そして、出力回路743は、その出力設定データに基づいて、ポートPを介して命令コードに基づく操作信号を出力する。命令コードは、例えば、操作対象が接続されたポートPの識別データと、その識別データに紐づけられた各ポートPの出力設定とを含むコードである。
【0076】
なお、セレクタの具体的な回路構成については、従来から知られている構成を用いることができるので、ここではその詳細説明を省略する。
【0077】
レジスタ72には、スレーブノード7毎に設定されたコンフィグデータ(以下では「スレーブコンフィグデータ」と記載)が格納される。コンフィグデータは、各ポートPの属性データを含む。
【0078】
スレーブコンフィグデータは、例えば、(1)各ポートPの属性データ、(2)属性が入力であるポートP(以下では単に「入力ポートP」と記載)のフィルタ定数、(3)入力ポートPへの入力信号に基づくWakeUp設定データ、(4)属性が出力であるポートP(以下では単に「出力ポートP」と記載)の出力設定データを含む。
【0079】
本開示では、スレーブコンフィグデータの初期設定情報のことを「初期コンフィグデータ」と記載する。初期コンフィグデータは、マスタノード2から所定のタイミング(例えば電源投入時)でスレーブノード7に送信するようにしてもよいし、予め各スレーブノード7に設定されていてもよい。
【0080】
タイマ75は、時間を計測する。例えば、タイマ75は、水晶発振器などの一定の周波数で動作する発信器と、発信器からクロックをカウントするカウンタとを有する。タイマ75は、経過時間の計測などに利用される。タイマ75は、時間を計測する計時部の一例である。
【0081】
〔車両制御システムの要部〕
次に、図6を参照して、実施形態の車両制御システム1の要部について説明する。車両制御システム1は、車両に搭載された複数の車載デバイス60を制御する。車両制御システム1は、スレーブノード7と、マスタノード2とを備える。
【0082】
なお、以下の説明では、操作信号が「オンオフ信号」である場合を例に挙げる。オンオフ信号は、信号レベルがオンレベル(ハイレベル)とオフレベル(ローレベル)とに遷移するデジタル信号である。オンレベルは、車載デバイス60を駆動させることが可能な信号レベルである。オフレベルは、車載デバイス60を停止させることが可能な信号レベル(例えばゼロ)である。以下では、操作信号を「オンオフ信号」と記載する。
【0083】
〈車載デバイス〉
複数の車載デバイス60の各々は、オンオフ信号により駆動される。この例では、複数の車載デバイス60の各々は、発光素子60aと、電流センサ60bとを含む。発光素子60aは、駆動対象の一例である。電流センサ60bは、センサの一例である。
【0084】
複数の車載デバイス60の各々において、その車載デバイス60に含まれる発光素子60aは、その車載デバイス60に出力されるオンオフ信号により駆動する。具体的には、発光素子60aは、オンオフ信号の信号レベルが「オンレベル」である場合に点灯し、オンオフ信号の信号レベルが「オフレベル」である場合に消灯する。また、複数の車載デバイス60の各々において、その車載デバイス60に含まれる電流センサ60bは、その車載デバイス60に含まれる発光素子60aを流れる電流を検知する。
【0085】
なお、以下の説明では、図6に示すように、5つの車載デバイス60(第1~第5車載デバイス61~65)がスレーブノード7に接続される場合を例に挙げる。具体的には、第1~第5車載デバイス61~65の発光素子60a(5つの発光素子60a)は、スレーブノード7の第1~第5出力ポートP61~P65(5つの出力ポート)にそれぞれ接続され、第1~第5車載デバイス61~65の電流センサ60b(5つの電流センサ60b)は、スレーブノード7の第1~第5入力ポートP71~P75(5つの入力ポート)にそれぞれ接続される。
【0086】
また、図7に示すように、複数の車載デバイス60にそれぞれ含まれる複数の発光素子60aは、車両の車幅方向に配列され、車両の方向指示器を構成する。図7は、車両の右サイドミラーを車両の正面から見た図に対応する。図7の例では、車幅方向の内側から外側へ向けて、第1~第5車載デバイス61~65の発光素子60a(5つの発光素子60a)が一例に順に並んでいる。なお、この例では、複数の車載デバイス60を順に駆動させる制御は、車幅方向の内側から外側へ向けて複数の発光素子60aを1つずつ順に点灯させる制御(シーケンシャル点灯)である。
【0087】
〈スレーブノードとマスタノード〉
スレーブノード7は、複数の車載デバイス60に接続される。そして、スレーブノード7は、複数の車載デバイス60の各々にオンオフ信号を出力する。また、スレーブノード7は、複数の車載デバイス60の各々に含まれる電流センサ60bの出力を検出する。マスタノード2は、通信ネットワーク(この例では通信回線B)を経由してスレーブノード7と通信を行うことで、スレーブノード7を制御する。
【0088】
〈出力パターン〉
スレーブノード7は、複数の出力パターンを記憶する。複数の出力パターンの各々は、所定期間内におけるオンオフ信号の出力のパターンを示す。
【0089】
図8に示すように、この例では、5つの出力パターン(第1~第5パターン)がスレーブノード7に記憶されている。出力パターンには、第1時間T1と、第2時間T2と、第3時間T3とが設定される。第1時間T1は、「所定期間T0の開始時点」から「オンオフ信号の信号レベルがオフレベルからオンレベルになる時点」までの時間(オフ時間)を示す。第2時間T2は、「オンオフ信号の信号レベルがオフレベルからオンレベルになる時点」から次に「オンオフ信号の信号レベルがオンレベルからオフレベルになる時点」までの時間(オン時間)を示す。第3時間T3は、「オンオフ信号の信号レベルがオンレベルからオフレベルになる時点」から「所定期間T0の終了時点」までの時間(オフ時間)を示す。
【0090】
図8の例では、第1パターンから第5パターンへ向かうに連れて、第1時間T1が次第に長くなり、第2時間T2が次第に短くなる。具体的には、第1パターンから第5パターンへ向かうに連れて、第1時間T1が時間ΔTずつに長くなり、第2時間T2が時間ΔTずつに短くなる。第1~第5パターンの第3時間T3は、同一の時間(一定)である。なお、時間ΔTは、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。
【0091】
〈スレーブノード7のコンフィグ〉
また、スレーブノード7は、コンフィグを変更可能に構成される。具体的には、マスタノード2から送信されたコンフィグデータ(初期コンフィグデータ)により、スレーブノード7のコンフィグが所定の機能を有するコンフィグ(初期コンフィグ)に設定される。所定の機能の例としては、マスタノード2との通信を行うことができる機能、マスタノード2から送信された指令に応じた動作(例えば操作信号の生成)を行う機能、車載デバイス60の電流センサ60bの出力を示す情報(検出信号)を送信する機能などが挙げられる。
【0092】
なお、コンフィグデータ(初期コンフィグデータ)は、複数の出力パターンを含んでいてもよい。このような構成により、スレーブノード7に記憶される複数の出力パターンを任意に変更することができる。具体的には、任意の出力パターンを含むコンフィグデータを用いてスレーブノード7のコンフィグを行うことで、任意の出力パターンを記憶するスレーブノード7を実現することができる。このように、スレーブノード7に記憶される複数の出力パターンは、変更可能であってもよい。
【0093】
〔駆動制御処理〕
次に,図9を参照して、車両制御システム1の駆動制御処理について説明する。以下の説明では、ターンスイッチ43のオンに応答してシーケンシャル点灯が行われる場合を例に挙げている。
【0094】
まず、ステップS11において、マスタノード2は、ターンスイッチ43のオンを認知する。例えば、ターンスイッチ43が右ターン側にオンされると、ターンスイッチ43に接続されたスレーブノード7(図4参照)は、ターンスイッチ43に接続された入力ポートP11に「ターンスイッチ43の右ターン側へのオン」に応じた入力が与えられたことをマスタノード2に通知する。マスタノード2は、この通知により「ターンスイッチ43の右ターン側へのオン」を認知する。
【0095】
次に、ステップS12において、マスタノード2は、駆動指令と検出指令とを含む指令セット(操作命令信号)をスレーブノード7に送信する。
【0096】
駆動指令は、車載デバイス60にオンオフ信号を出力することを指示する指令である。この例では、駆動指令は、複数の車載デバイス60が順に駆動するように複数の車載デバイス60の各々にオンオフ信号を出力することを指示する指令である。具体的には、駆動指令は、スレーブノード7から複数の車載デバイス60の各々に出力されるオンオフ信号の出力パターンが複数の車載デバイス60を順に駆動させる出力パターンとなるように、複数の車載デバイス60の各々について、その車載デバイス60に出力されるオンオフ信号の出力パターンを複数の出力パターンのうちどの出力パターンにするのかを指定する指令である。
【0097】
検出指令は、車載デバイス60へのオンオフ信号の出力動作の開始から所定時間の経過後に電流センサ60bの出力を検出することを指示する指令である。この例では、検出指令は、複数の車載デバイス60のうち第1番目の車載デバイス60へのオンオフ信号の出力動作の開始から所定時間の経過後に複数の車載デバイス60の各々に含まれる電流センサ60bの出力を検出することを指示する指令である。
【0098】
なお、所定時間は、「車載デバイス60へのオンオフ信号の出力動作の開始からその所定時間の経過後の時点」が「車載デバイス60が駆動中である駆動期間内」に含まれるように設定される。この例では、所定時間は、「第1番目の車載デバイス60へのオンオフ信号の出力動作の開始からその所定時間の経過後の時点」が「複数の車載デバイス60の全部が駆動中である駆動期間内」に含まれるように設定される。例えば、マスタノード2は、「車載デバイス60(この例では第1番目の車載デバイス60)へのオンオフ信号の出力動作の開始」から「駆動期間」までの時間(タイムラグ)を記憶している。
【0099】
次に、ステップS13において、スレーブノード7は、マスタノード2から送信された指令セット(駆動指令と検出指令とを含む指令セット)を受信する。
【0100】
次に、ステップS14において、スレーブノード7は、ステップS13において受信された駆動指令に応答して、オンオフ信号の出力動作を開始する。オンオフ信号の出力動作において、スレーブノード7は、複数の車載デバイス60の各々に出力されるオンオフ信号の出力パターンがマスタノード2から送信された駆動指令により指定された出力パターンとなるように、複数の車載デバイス60の各々にオンオフ信号を出力する。
【0101】
次に、ステップS15において、スレーブノードは、ステップS14におけるオンオフ信号の出力動作の開始から所定時間が経過しているか否かを判定する。オンオフ信号の出力動作の開始から所定時間が経過すると、ステップS16の処理が行われる。
【0102】
次に、ステップS16において、スレーブノード7は、複数の車載デバイス60の各々の電流センサ60bの出力を検出する。そして、ステップS17において、スレーブノード7は、その検出結果(ステップS16において検出された「複数の車載デバイス60の各々の電流センサ60bの出力」)を示す検出結果情報(検知信号)をマスタノード2に送信する。
【0103】
次に、ステップS18において、マスタノード2は、スレーブノード7から送信された検出結果情報を受信する。そして、ステップS19において、マスタノード2は、検出結果情報に示された「複数の車載デバイス60の各々の電流センサ60bの出力」に基づいて、複数の車載デバイス60の各々の状態を認知する。
【0104】
この例では、複数の車載デバイス60の各々において、その車載デバイス60に含まれる電流センサ60bの出力は、その車載デバイス60に含まれる発光素子60aを流れる電流の電流値を示す。マスタノード2は、検出結果情報を参照し、複数の車載デバイス60の各々について、その車載デバイス60に含まれる発光素子60aを流れる電流に基づいて発光素子60aの断線の有無を認知する。例えば、マスタノード2は、発光素子60aを流れる電流が断線閾値を下回る場合に、発光素子60aが断線している状態であると判定(認知)する。
【0105】
〔オンオフ信号の出力動作およびセンサ出力の検出動作〕
次に、図10を参照して、駆動制御処理におけるオンオフ信号の出力動作およびセンサ出力の検出動作について詳しく説明する。
【0106】
時刻trになると、スレーブノード7は、マスタノード2から送信された指令セットを受信する。指令セットは、駆動指令と、検出指令とを含む。
【0107】
図10の例では、駆動指令には、オンオフ信号を出力すべき出力ポートとして「第1~第5出力ポートP61~P65」が指定され、その第1~第5出力ポートP61~P65から出力されるオンオフ信号(5つのオンオフ信号)の出力パターンを「第1~第5パターン」にすることが指定されている。また、検出指令には、所定時間を「時間TX」に設定することが指定されている。
【0108】
時刻t0になると、スレーブノード7は、オンオフ信号の出力動作を開始する。
【0109】
時刻t0から「第1パターンに設定された第1時間T1」が経過すると、時刻t1になる。時刻t1になると、スレーブノード7は、第1出力ポートP61から第1車載デバイス61の発光素子60aに出力される第1オンオフ信号の信号レベルをオフレベルからオンレベルに変化させる。
【0110】
時刻t0から「第2パターンに設定された第1時間T1」が経過すると、時刻t2になる。時刻t2になると、スレーブノード7は、第2出力ポートP62から第2車載デバイス62の発光素子60aに出力される第2オンオフ信号の信号レベルをオフレベルからオンレベルに変化させる。
【0111】
時刻t0から「第3パターンに設定された第1時間T1」が経過すると、時刻t3になる。時刻t3になると、スレーブノード7は、第3出力ポートP63から第3車載デバイス63の発光素子60aに出力される第3オンオフ信号の信号レベルをオフレベルからオンレベルに変化させる。
【0112】
時刻t0から「第4パターンに設定された第1時間T1」が経過すると、時刻t4になる。時刻t4になると、スレーブノード7は、第4出力ポートP64から第4車載デバイス64の発光素子60aに出力される第4オンオフ信号の信号レベルをオフレベルからオンレベルに変化させる。
【0113】
時刻t0から「第5パターンに設定された第1時間T1」が経過すると、時刻t5になる。時刻t5になると、スレーブノード7は、第5出力ポートP65から第5車載デバイス65の発光素子60aに出力される第5オンオフ信号の信号レベルをオフレベルからオンレベルに変化させる。これにより、第1~第5オンオフ信号の全部の信号レベルがオンレベルになり、第1~第5車載デバイス61~65の発光素子60aの全部が駆動中となる。
【0114】
時刻t0から所定時間である「時間TX」が経過すると、時刻tdになる。時刻tdになると、スレーブノード7は、複数の車載デバイス60の各々の電流センサ60bの出力を検出する。具体的には、第1~第5入力ポートP71~P75に入力される「第1~第5車載デバイス61~65の電流センサ60bの出力」を取得(サンプリング)する。そして、スレーブノード7は、その取得された「第1~第5車載デバイス61~65の電流センサ60bの出力」を示す検出結果情報をマスタノード2に送信する。
【0115】
次に、時刻t6になると、スレーブノード7は、第1~第5出力ポートP61~P65から出力される第1~第5オンオフ信号の信号レベルをオンレベルからオフレベルに変化させる。
【0116】
時刻t7以降は、時刻t0から時刻t7までの動作が繰り返される。この例では、後述する即時停止処理により第1~第5オンオフ信号の出力が停止されるまで、時刻t0から時刻t7までの動作が繰り返される。
【0117】
〔即時停止処理〕
次に、図11を参照して、車両制御システム1の即時停止処理について説明する。以下の説明では、ターンスイッチ43のオフに応答してシーケンシャル点灯を即時終了する場合を例に挙げている。
【0118】
まず、ステップS21において、マスタノード2は、ターンスイッチ43のオフを認知する。例えば、ターンスイッチ43の右ターン側へのオンが解除される(オフになる)と、ターンスイッチ43に接続されたスレーブノード7(図4参照)は、ターンスイッチ43に接続された入力ポートP11に与えられていた「ターンスイッチ43の右ターン側へのオン」に応じた入力が消失したことをマスタノード2に通知する。マスタノード2は、この通知によりターンスイッチ43のオフ(ターンスイッチ43の右ターン側へのオンの解除)を認知する。
【0119】
次に、ステップS22において、マスタノード2は、即時停止指令をスレーブノード7に送信する。即時停止指令は、複数の車載デバイス60の各々へのオンオフ信号の出力を即座に停止することを指示する指令である。
【0120】
次に、ステップS23において、スレーブノード7は、マスタノード2から送信された即時停止指令を受信する。そして、ステップS24において、スレーブノード7は、複数の車載デバイス60の各々へのオンオフ信号の出力を即座に停止する。
【0121】
〔比較例の説明〕
次に、2つの比較例(比較例1と比較例2)について説明する。以下では、説明の便宜上、実施形態の車両制御システム1の構成要素に付された符号と同一の符号を用いて比較例を説明している。
【0122】
なお、車両制御システムにおいて、スレーブノード7に接続された複数の車載デバイス60を順に駆動させる制御(例えばシーケンシャル点灯)を行うために、いずれかの車載デバイス60の駆動を指示する駆動指令をマスタノード2がスレーブノード7に送信し、その車載デバイス60が駆動したことをマスタノード2が確認した後に、次の車載デバイス60の駆動を指示する駆動指令をマスタノード2がスレーブノード7に送信する、という処理を繰り返す制御方式(比較例1)を採用することが考えられる。
【0123】
しかしながら、上記の比較例1のようにマスタノード2からスレーブノード7に駆動指令(いずれか1つの車載デバイス60の駆動を指示する駆動指令)を1つずつ順に送信する制御方式では、マスタノード2とスレーブノード7との間の制御インターバル(情報の送受信)に時間を要するので、複数の車載デバイス60を順に駆動させる制御において、いずれかの車載デバイス60の駆動から次の車載デバイス60の駆動までの時間(遷移時間)を短縮することが困難である。そのため、複数の車載デバイス60を順に駆動させる制御を滑らかに行うことが困難である。特に、マスタノード2とスレーブノード7との通信ネットワークがイベント型の通信プロトコル(例えばCXPI)に準拠する通信ネットワークである場合、上記の課題が顕著に現れる。
【0124】
また、車両制御システムにおいて、車載デバイス60に含まれるセンサの出力を検出するために、センサの出力の検出を指示する検出指令をマスタノード2がスレーブノード7に送信し、スレーブノード7が検出指令に応答してセンサの出力を即座に検出してその検出結果をマスタノード2に送信する、という制御方式(比較例2)を採用することが考えられる。
【0125】
しかしながら、上記の比較例2のような制御方式では、マスタノード2による検出指令の送信からスレーブノード7による検出指令の受信までに要する時間(伝送時間)が変動すると、スレーブノード7においてセンサの出力を検出するタイミングがずれてしまう。そのため、車載デバイス60に含まれるセンサの出力を所望のタイミングで検出することが困難である。特に、マスタノード2とスレーブノード7との通信ネットワークがイベント型の通信プロトコル(例えばCXPI)に準拠する通信ネットワークである場合、上記の課題が顕著に現れる。
【0126】
〔実施形態の効果〕
以上のように、実施形態の車両制御システム1では、スレーブノード7は、複数の出力パターンを記憶する。複数の出力パターンの各々は、所定期間内におけるオンオフ信号の出力のパターンを示す。
【0127】
マスタノード2は、駆動指令をスレーブノード7に送信する。駆動指令は、スレーブノード7から複数の車載デバイス60の各々に出力されるオンオフ信号の出力パターンが複数の車載デバイス60を順に駆動させる出力パターンとなるように、複数の車載デバイス60の各々について、その車載デバイス60に出力されるオンオフ信号の出力パターンを複数の出力パターンのうちどの出力パターンにするのかを指定する指令である。
【0128】
スレーブノード7は、複数の車載デバイス60の各々に出力されるオンオフ信号の出力パターンがマスタノード2から送信された駆動指令により指定された出力パターンとなるように、複数の車載デバイス60の各々にオンオフ信号を出力する。
【0129】
上記の構成では、マスタノード2からスレーブノード7への駆動指令の送信(1回の送信)により、複数の車載デバイス60を順に駆動させる制御を行うことができる。これにより、マスタノード2とスレーブノード7との間の制御インターバル(情報の送受信)に要する時間の影響を受けることなく、複数の車載デバイス60を順に駆動させる制御において、いずれかの車載デバイス60の駆動から次の車載デバイス60の駆動までの時間(遷移時間)を短縮することができる。したがって、複数の車載デバイス60を順に駆動させる制御を滑らかに行うことができる。
【0130】
また、実施形態の車両制御システム1では、マスタノード2は、複数の車載デバイス60の各々へのオンオフ信号の出力を即座に停止することを指示する即時停止指令をスレーブノード7に送信可能である。スレーブノード7は、マスタノード2から送信された即時停止指令を受信すると、複数の車載デバイス60の各々へのオンオフ信号の出力を即座に停止する。上記の構成では、即時応答が要求される操作を適切に行うことができる。
【0131】
また、実施形態の車両制御システム1では、複数の車載デバイス60は、車両の車幅方向に配列されて車両の方向指示器を構成する複数の発光素子をそれぞれ含む。複数の車載デバイス60を順に駆動させる制御は、車幅方向の内側から外側へ向けて複数の発光素子を1つずつ順に点灯させる制御である。
【0132】
上記の構成では、車両の方向指示器を構成する複数の発光素子を1つずつ順に点灯させる制御(シーケンシャル点灯)を滑らかに行うことができる。
【0133】
なお、実施形態の車両制御システム1では、マスタノード2は、駆動指令と検出指令とを含む指令セットをスレーブノード7に送信する。駆動指令は、車載デバイス60にオンオフ信号を出力することを指示する指令である。検出指令は、車載デバイス60へのオンオフ信号の出力動作の開始から所定時間の経過後に電流センサ60bの出力を検出することを指示する指令である。
【0134】
スレーブノード7は、マスタノード2から送信された指令セットを受信すると、駆動指令に応答して車載デバイス60にオンオフ信号を出力し、検出指令に応答して車載デバイス60へのオンオフ信号の出力動作の開始から所定時間の経過後に電流センサ60bの出力を検出し、その検出結果をマスタノード2に送信する。
【0135】
上記の構成では、オンオフ信号の出力動作の開始を基準として車載デバイス60の電流センサ60bの出力を検出することができる。これにより、マスタノード2による検出指令の送信からスレーブノード7による検出指令の受信までに要する時間(伝送時間)の影響を受けずに、電流センサ60bの出力を検出するタイミングを決定することができる。したがって、車載デバイス60に含まれる電流センサ60bの出力を所望のタイミングで検出することができる。
【0136】
また、実施形態の車両制御システム1では、所定時間は、「車載デバイス60へのオンオフ信号の出力動作の開始からその所定時間の経過後の時点」が「車載デバイス60が駆動中である駆動期間内」に含まれるように設定される。
【0137】
上記の構成では、車載デバイス60が駆動中である駆動期間において車載デバイス60の電流センサ60bの出力を検出することができる。これにより、車載デバイス60が駆動中であるときの電流センサ60bの出力を得ることができる。
【0138】
また、実施形態の車両制御システム1では、スレーブノード7は、複数の車載デバイス60に接続され、複数の車載デバイス60の各々にオンオフ信号を出力し、複数の車載デバイス60の各々に含まれるセンサ60bの出力を検出する。
【0139】
駆動指令は、複数の車載デバイス60が順に駆動するように複数の車載デバイス60の各々にオンオフ信号を出力することを指示する指令である。検出指令は、複数の車載デバイス60のうち第1番目の車載デバイス60へのオンオフ信号の出力動作の開始から所定時間の経過後に複数の車載デバイス60の各々に含まれる電流センサ60bの出力を検出することを指示する指令である。所定時間は、第1番目の車載デバイス60へのオンオフ信号の出力動作の開始からその所定時間の経過後の時点が、複数の車載デバイス60の全部が駆動中である駆動期間内に含まれるように設定される。
【0140】
上記の構成では、複数の車載デバイス60の全部が駆動中である駆動期間において複数の車載デバイス60の各々の電流センサ60bの出力を検出することができる。これにより、複数の車載デバイス60の各々について、その車載デバイス60が駆動中であるときの電流センサ60bの出力を得ることができる。
【0141】
また、実施形態の車両制御システム1では、スレーブノード7は、複数の出力パターンを記憶する。複数の出力パターンの各々は、所定期間内におけるオンオフ信号の出力のパターンを示す。駆動指令は、スレーブノード7から複数の車載デバイス60の各々に出力されるオンオフ信号の出力パターンが複数の車載デバイス60を順に駆動させる出力パターンとなるように、複数の車載デバイス60の各々について、その車載デバイス60に出力されるオンオフ信号の出力パターンを複数の出力パターンのうちどの出力パターンにするのかを指定する指令である。スレーブノード7は、複数の車載デバイス60の各々に出力されるオンオフ信号の出力パターンが駆動指令により指定された出力パターンとなるように、複数の車載デバイス60の各々にオンオフ信号を出力する。
【0142】
上記の構成では、マスタノード2からスレーブノード7への駆動指令の送信(1回の送信)により、複数の車載デバイス60を順に駆動させる制御を行うことができる。これにより、マスタノード2とスレーブノード7との間の制御インターバル(情報の送受信)に要する時間の影響を受けることなく、複数の車載デバイス60を順に駆動させる制御において、いずれかの車載デバイス60の駆動から次の車載デバイス60の駆動までの時間(遷移時間)を一定にすることができる。その結果、第1番目の車載デバイス60へのオンオフ信号の出力動作の開始に対して「複数の車載デバイス60の全部が駆動中である駆動期間」がずれないようにすることができるので、複数の車載デバイス60の各々についてその車載デバイス60が駆動中であるときの電流センサ60bの出力を正確に得ることができる。
【0143】
また、実施形態の車両制御システム1では、複数の車載デバイス60は、車両の車幅方向に配列されて車両の方向指示器を構成する複数の発光素子をそれぞれ含む。複数の車載デバイス60を順に駆動させる制御は、車幅方向の内側から外側へ向けて複数の発光素子を1つずつ順に点灯させる制御である。複数の車載デバイス60の各々において、その車載デバイス60に含まれる電流センサ60bは、その車載デバイス60に含まれる発光素子を流れる電流を検知する。
【0144】
上記の構成では、車両の方向指示器を構成する複数の発光素子を1つずつ順に点灯させる制御(シーケンシャル点灯)を滑らかに行うことができる。また、シーケンシャル点灯において、複数の車載デバイス60の各々の発光素子を流れる電流を検出することができる。
【0145】
(その他の実施形態)
以上の説明において、駆動指令は、複数の車載デバイス60の各々について、その車載デバイス60に出力されるオンオフ信号の出力パターンを複数の出力パターンのうちどの出力パターンにするのかを指定するとともに、オンオフ信号の出力回数(オンオフ信号の出力動作の繰り返し回数)を指定する指令であってもよい。この場合、スレーブノード7は、駆動指令により指定された回数だけオンオフ信号の出力動作を繰り返す。
【0146】
また、以上の説明では、複数の車載デバイス60にそれぞれ含まれる複数の発光素子60aにより構成される方向指示器が「サイドミラー(側部)に設けられた方向指示器」である場合を例に挙げたが、これに限定されない。例えば、これらの複数の発光素子60aにより構成される方向指示器は、車両の前部に設けられる方向指示器であってもよいし、車両の後部に設けられる方向指示器であってもよい。
【0147】
また、以上の説明では、スレーブノード7に複数の車載デバイス60が接続される場合を例に挙げたが、これに限定されない。スレーブノード7に接続される車載デバイス60の数は1つであってもよい。
【0148】
また、以上の実施形態を適宜組み合わせて実施してもよい。以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、ここに開示する技術、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0149】
以上説明したように、ここに開示する技術は、車両制御システムとして有用である。
【符号の説明】
【0150】
1 車両制御システム
2 マスタノード
7 スレーブノード
60 車載デバイス
60a 発光素子(操作対象)
60b センサ
図1
図2
図3
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図11