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特開2024-1865ドリル螺旋羽根の羽根間ギャップに対して掻き落としをする装置及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001865
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】ドリル螺旋羽根の羽根間ギャップに対して掻き落としをする装置及び方法
(51)【国際特許分類】
   E21B 12/06 20060101AFI20231227BHJP
   E21B 7/00 20060101ALI20231227BHJP
   E21B 15/00 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
E21B12/06
E21B7/00 Z
E21B15/00
【審査請求】有
【請求項の数】17
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023098241
(22)【出願日】2023-06-15
(31)【優先権主張番号】22180485
(32)【優先日】2022-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】502407107
【氏名又は名称】バウアー マシーネン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ドライアー ローベルト
(72)【発明者】
【氏名】ライル ダニエル
【テーマコード(参考)】
2D129
【Fターム(参考)】
2D129BA13
2D129DC01
2D129HA09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高レベルな動作安全性が達成される装置及び方法を提供する。
【解決手段】削孔装置のマストに沿い可変位実装されるベースキャリッジと、削孔ツールの羽根間ギャップ内に係合するよう構成されており削孔ツールの回転に際し削孔ツールに付着している土壌物質を削ぎ落とせる掻き落とし要素と、掻き落とし要素を保持し、掻き落とし要素が削孔ツールから空間的に隔たる後退位置と掻き落とし要素が羽根間ギャップ内に係合し土壌物質がリーミングされる掻き落とし位置との間でベースキャリッジに対し動かせるよう実装された支持アームとを備える。支持アームは、削孔ツールの削孔長手軸線に対し略平行に延びた回動軸の周りで後退位置・掻き落とし位置間にて回動させるよう実装され、基本位置から偏向させるよう削孔ツールの削孔長手軸線に対し平行な方向に沿ってベースキャリッジに付加実装され、且つ付勢バネにより基本ポジションに弾性保持される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
削孔ツールのドリル螺旋羽根の羽根間ギャップに対して掻き落としをする装置であって、
削孔装置のマストに沿って変位可能に実装されうるベースキャリッジと、
前記削孔ツールの前記螺旋ギャップ内に係合するよう構成された掻き落とし要素であって、前記削孔ツールに付着している土壌物質を前記削孔ツールが回転しているときに削ぎ落とせる掻き落とし要素と、
前記掻き落とし要素を保持する支持アームであって、前記掻き落とし要素が前記削孔ツールから空間的に隔たる後退位置と、前記掻き落とし要素が前記羽根間ギャップ内に係合し土壌物質を掻き落とす掻き落とし位置と、の間で前記ベースキャリッジに対し動かせるよう実装されている支持アームと、
を備え、
前記支持アームが、前記削孔ツールの削孔長手軸線に略平行な回動軸の周りにて前記後退位置・前記掻き落とし位置間で回動されうるよう実装されており、
前記支持アームが、基本位置から偏向されうるよう前記削孔ツールの前記削孔長手軸線に対し平行な方向に沿い前記ベースキャリッジに付加実装されており、且つ
前記支持アームが、少なくとも1個の付勢装置による付勢力によって前記基本位置に保持される、
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記支持アームに備わるベース部材及びアクチュエータが設けられており、前記アクチュエータが前記ベース部材に変位可能かつ調整可能に保持されており、前記支持アームが前記回動軸周りで回動されうるよう前記ベースキャリッジに実装されている、
装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記支持アームが、アクチュエーティング要素、とりわけ流体圧シリンダにより前記後退位置・前記クリーニング位置間で調整されうる、
装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
前記アクチュエーティング要素が、前記ベースキャリッジに配置されると共に、レバー機構を介し前記支持アームに連結されている、
装置。
【請求項5】
請求項4に記載の装置であって、
前記レバー機構が、一方では前記ベースキャリッジに、他方では前記アクチュエーティング要素のピストンに関節態様にて連結されているガイドレバーと、一方では前記ピストン及び/又は前記ガイドレバーに、他方では結合ジョイントを介し前記支持アームに関節態様にて連結されている結合レバーと、を備える、
装置。
【請求項6】
請求項5に記載の装置であって、
前記支持アーム・前記結合レバー間の前記結合ジョイントが、前記支持アーム上の長尺孔内に直線変位可能に実装されたジョイントピンを備える、
装置。
【請求項7】
請求項6に記載の装置であって、
前記ジョイントピンが前記長尺孔内に弾性実装されている、
装置。
【請求項8】
請求項2に記載の装置であって、
前記削孔長手軸線を横断する方向に沿う偏向軸線の周りで回動しうるよう、前記支持アームの前記アクチュエータが前記ベース部材に実装されている、
装置。
【請求項9】
請求項2に記載の装置であって、
付勢バネが前記支持アームの前記ベース部材・前記アクチュエータ間に配置されている、
装置。
【請求項10】
請求項1に記載の装置であって、
少なくとも1本のチェーンに保持された前記ベースキャリッジが、当該ベースキャリッジに沿い延びて上方に向かい開口している少なくとも1個の管状のチェーン収容筒を備える、
装置。
【請求項11】
請求項10に記載の装置であって、
前記チェーンを締結するための締結部材が前記チェーン収容筒の下寄り領域内に配置されている、
装置。
【請求項12】
請求項1に記載の装置であって、
少なくとも1個の締結部材が、鉛直方向に沿い変位されうるよう弾性態様にて前記ベースキャリッジに実装されている、
装置。
【請求項13】
キャリアユニット及び前記キャリアユニットに配置されているマストを備え、ドリル螺旋羽根を有する削孔ツール、とりわけケリーオーガを、回転駆動する回転削孔駆動装置が前記マストに実装された削孔装置であって、
請求項1に記載の土壌物質を掻き落とす装置が前記マストに実装されている削孔装置。
【請求項14】
削孔ツール、とりわけケリーオーガのドリル螺旋羽根の羽根間ギャップの付着した土壌物質を掻き落とす方法であって、
請求項1に記載の装置を掻き落としに用いる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、削孔ツールのドリル螺旋羽根の羽根間ギャップに対して掻き落としをする装置であって、削孔装置のマストに沿い変位可能に実装されうるベースキャリッジと、削孔ツールの羽根間ギャップ内に係合するよう構成されており削孔ツールが回動する際に削孔ツールに付着している土壌物質を削ぎ落とせる掻き落とし要素と、掻き落とし要素を保持しており、掻き落とし要素が削孔ツールから空間的に隔たる後退位置と掻き落とし要素が羽根間ギャップ内に係合し土壌物質が掻き落とされる掻き落とし位置との間でベースキャリッジに対し動かせるよう実装されている支持アームと、を備えた、請求項1の前提部分に係る装置に関する。
【0002】
本発明は更に、削孔ツール、とりわけケリーオーガのドリル螺旋羽根の羽根間ギャップの付着した土壌物質を掻き落としのための方法であり、請求項14の前提部分に係る方法に関する。
【背景技術】
【0003】
一般的な掻き落とし装置の発祥は例えば特許文献1にある。この装置は、具体的には、ドリル螺旋羽根が比較的短い削孔ツール、とりわけケリーオーガと呼ばれる削孔ツールの掻き落としをすべく構成されている。この装置は支持アームにプレート状掻き落とし要素を備え、掻き落とし要素を、支持アームが本質的に鉛直な向きとなる後退位置と、支持アームがおおよそ水平方向に延びる掻き落とし位置と、の間にて、本質的には水平回動軸周りで回動させうるものである。掻き落とし要素をドリル螺旋羽根と係合させる際には、回動及び軸沿い変位によってドリル螺旋羽根を掻き落とし要素から分離させねばならない。
【0004】
削孔ツールを削孔装置のマストに沿い鉛直変位させるときに、掻き落とし要素が後退位置まで適正に回動されていないと、掻き落とし装置に損傷が生じかねない。数メートルのショートオーガを有する削孔ツールの軸線方向シフト、とりわけ基礎杭用の地中掘削孔を作成するのに用いられる削孔装置のマストに沿った軸線方向シフトは、動作条件が原因で比較的頻繁に発生する。この掻き落とし装置に及ぶ潜在的損傷リスクは相応に大きめである。
【0005】
特許文献2では、いわゆる連続フライトオーガ上のドリル螺旋羽根の掻き落としをする装置が開示されている。この掻き落とし装置は、キャリッジを介しマストに沿い動かすことができる。連続フライトオーガではドリル螺旋羽根が長大であるので、掻き落とし要素が概ねいつもドリル螺旋羽根と係合することとなり、ひいては掻き落とし要素を回動入出させる際に損傷するリスクが相応に小さめとなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第3446900号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第3951128号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の基礎にある目的は、ドリル螺旋羽根の羽根間ギャップに対して掻き落としをする装置及び方法であって、ひときわ高レベルな動作安全性が達成される装置及び方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的は、一方では請求項1の諸特徴を有する装置により、他方では請求項14の諸特徴を有する方法により、達成される。本発明の好適な諸実施形態が従属形式請求項に示されている。
【0009】
本発明に係る掻き落とし装置の特徴は、支持アームが、削孔ツールの削孔長手軸線に対し略平行な向きを有する回動軸の周りにて後退位置・掻き落とし位置間で回動されうるよう実装されていること、支持アームが、基本位置から偏向されうるよう削孔ツールの削孔長手軸線に対し平行な方向に沿いベースキャリッジに付加実装されていること、および支持アームが付勢バネにより基本位置に弾性保持されることにある。
【0010】
本発明の基本的な着想は、いくつかの方向に回動又は偏向されうるよう支持アームを実装することにある。好ましくは、回動退出や偏向を達成すべく弾性実装を行う。こうすることで、支持アームが初期的に、削孔長手軸線に対し略平行な向きを有する回動軸の周りにて後退位置・掻き落とし位置間で回動可能となる。これにより、支持アームをドリル螺旋羽根に対し横方向に回動入出させることが可能となる。したがって、鉛直回動退出に比べ、掻き落とし要素がドリル螺旋羽根内に既に係合しているときでも更なる面倒無しで回動運動を実行することができる。
【0011】
支持アームを鉛直方向に偏向させうる機能によって、掻き落としのための装置又はドリル螺旋羽根に対する望ましくない曲げや損傷に対抗することもできる。実際、掻き落とし要素付支持アームには付加的な移動クリアランスがあるので、削孔ツールの不測な軸線沿い運動を補償することができる。この目的を踏まえ、支持アームは、とりわけ、付勢バネにより基本位置に弾性保持される。
【0012】
本発明のある好適実施形態では、支持アームに備わるベース部材及びアクチュエータが設けられ、アクチュエータがベース部材に変位可能かつ調整可能に保持され、支持アームが回動軸周りで回動されうるようベースキャリッジに実装される。この支持アームのアクチュエータは事実上の支持アームと見なせるものであり、その自由端には、好ましくはプレート状の掻き落とし要素が装着されている。ロッド状のアクチュエータであればベース部材内にテレスコーピック実装(入れ子筒実装)することができ、またロッド状のアクチュエータを支持アームとは別体に構成することも、支持アームの一部分として構成することもできる。とりわけ、ベース部材を管状に構成することで、直線変位可能となるようロッド状アクチュエータが管状ベース部材内で保持され、そして長さ調整が可能な状態に保たれる。弾性実装によって、そのアクチュエータを、原理的には、弾性直線調整が可能な方法にてそのベース部材内に保持することもできる。
【0013】
原理的には、支持アームを手動操作で回動させることもできる。本発明の更なる発展形態によれば、ひときわ有用なことに、支持アームをアクチュエーティング要素、とりわけ流体圧シリンダによって、後退位置・クリーニング位置間で調整することができる。そして調整運動を、マシンオペレータが、とりわけ対応する削孔装置のキャビンから実行させることができる。
【0014】
その場合にひときわ有利たりうるのは、そのアクチュエーティング要素をベースキャリッジに配置し、レバー機構を介しその支持アームに連結することである。そして、このレバー機構を用いて、とりわけ支持アームのアクチュエーティング要素に対する十分な関節動作及び十分な偏向機能によって、所望の伝達及び運動を達成することができる。
【0015】
このレバー機構は、基本的には、その調整機能を実行するのに適した何れのやり方でも構成することができる。ある好適実施形態では、レバー機構が、一方ではベースキャリッジに、他方ではアクチュエーティング要素のピストンに、関節態様にて連結されているガイドレバーと、一方ではピストン及び/又はガイドレバーに、他方では結合ジョイントを介しその支持アームに関節連結されている結合レバーと、を備える。このレバー機構により、一方では、アクチュエーティング要素の(直線)アクチュエーティング運動から回動運動への良好な変換が可能となる。結合レバーを支持アームに結合ジョイントを介し連接させることにより、一方では回動運動の良好な伝達を、他方では支持アームの十分な偏向機能、とりわけ削孔長手軸線の方向における偏向機能を、達成することができる。
【0016】
結合ジョイントを、例えば、カルダンジョイント、ボールジョイントその他の多軸ジョイントが備わるものとすることができる。本発明の更なる発展形態では、ひときわ得策なことに、支持アーム・結合レバー間結合ジョイントにジョイントピンが備わり、ジョイントピンが支持アーム上の長尺孔内に直線変位可能に実装される。その際に、長尺孔を、とりわけ支持アームの長手軸線に対し平行に形成することができる。これにより、支持アームに対する結合レバーの長手変位可能な連接が達成される。
【0017】
本発明の更なる変形形態によれば、ひときわ得策なことに、ジョイントピンを長尺孔内に弾性実装することができる。弾性実装は弾性要素、例えばラバー要素、或いはとりわけ1個又は複数個のバネにより、達成することができる。この場合、少なくとも1個のバネを長尺孔内に配置することができる。
【0018】
原理的には、支持アームを1個又は複数個の部品の態で構成することができる。本発明のひときわ有利な実施形態では、削孔長手軸線を横断する方向に沿って延びた偏向軸線の周りで回動させうるよう、支持アームのアクチュエータがベース部材に実装される。したがって、支持アームのアクチュエータが横断方向、とりわけ水平方向に沿って延びた偏向軸線の周りで回動されうるよう実装されることとなる。これにより、支持アーム及び支持アームに配置されている掻き落とし要素を削孔ツールの軸線沿い運動にある程度まで追従させることが可能となり、その際に掻き落としのための装置に、又はドリル螺旋羽根に不要な変形又は損傷が生じることもない。
【0019】
本発明の更なる実施形態では、好適なことに、付勢バネが支持アームのベース部材・アクチュエータ間に配置される。ひいては回動可能なベース部材を提供することができ、それでいてベース部材に対する偏向機能がアクチュエータ並びに対応するジョイント及び付勢バネにより達成されることとなる。
【0020】
掻き落としのための装置のベースキャリッジは、具体的には、削孔装置のマストに沿い長手方向に変位可能、とりわけ鉛直変位可能となるよう実装される。ベースキャリッジは、何れの好適な仕方で動かせるものとしてもよく、とりわけ削孔駆動装置に結合させることができる。とりわけ、本発明の更なる発展形態では、有利なことに、少なくとも1本のチェーンに保持されるベースキャリッジが、少なくとも1本の管状のチェーン収容筒を有し、チェーン収容筒がベースキャリッジに延設され且つ上方に向かい開口される。そのため、ベースキャリッジを、少なくとも1本のチェーン、好ましくは少なくとも2本の空間的に隔たるチェーンに取り付けることで、例えばドリル駆動キャリッジに結合させることができる。ベースキャリッジを下方に動かしそのマストの下部の停止エリアに到達させることができ、そこから更にそのドリル駆動キャリッジを動かすことで、例えば、折り畳まれつつあるチェーンをその管状チェーン収容筒内に効率よく収容することができる。チェーンの本数によってはそれと同数のチェーン収容筒が設けられる。これらの収容筒にて、チェーンを適正に受け取り、実装することができる。
【0021】
更に、好適なことに、チェーンを締結するための締結部材がそのチェーン収容筒の下部領域に配置される。とりわけ、解除可能な締結をもたらすことができる。
【0022】
本発明の更なる有利実施形態では、少なくとも1個の実装脚がベースキャリッジに実装され、また好ましくは、鉛直方向に沿い変位させうるよう弾性態様にて実装される。そのベースキャリッジを停止エリア上又は床上に据える際に、そうした実装脚によりある種の緩衝を達成することができる。
【0023】
本発明の更なる実施形態によれば、ひときわ適切なことに、弾性実装された実装脚がそのチェーン収容筒内で締結部材に連結される。総じて、これにより緩衝又はバネ実装チェーンの懸下を達成することができる。
【0024】
更に、本発明に係る削孔機では、キャリアユニットの上にマストが配置され、マストに実装されている回転削孔駆動装置により、ドリル螺旋羽根を備えた削孔ツールとりわけケリーオーガが回転駆動され、更に本発明に係る掻き落とし装置がそのマストに配置される。こうした削孔機はアースオーガ機とも呼ばれ、とりわけ基礎杭用の地中削孔向けに用いられるものであり、これと併せ掻き落とし装置を用いることで、上述の長所を達成することができる。とりわけ、通常は2~6メートルの長さを有しているケリーオーガの掻き落としが効率的になるため、付着している土壌物質を信頼性良く且つ効率的に取り除くことが可能となる。
【0025】
更に、本発明に係る方法では、削孔ツールとりわけケリーオーガのドリル螺旋羽根の羽根間ギャップの付着した土壌物質が掻き落とされ、また本発明に係る装置が掻き落としに用いられる。とりわけ、ケリーオーガによる不連続削孔においては、反復的に、そのケリーオーガがボーリング孔から引き出されてオーガが空にされ、その後の掻き落としの後にそのボーリング孔内に再び下降されるので、本発明に係る装置で以てドリル螺旋羽根の掻き落としをすることで、効率的なオーガ空けを達成することができる。即ち、上述の長所をこうした方法によって達成することができる。
【0026】
本発明によれば、削孔オーガの効率的な掻き落としが可能となるので、これまでは通例であったオーガの自由揺動を完全に又は大部分解消することができる。自由揺動中における金属部品同士のぶつかり合いには、相応な音響放射がつきものである。したがって、本発明により建設現場での雑音発生が顕著に低減される。
【0027】
以下、図面に模式的に描かれている好適な例示的実施形態を参照し本発明を更に記述する。図示内容は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明に係る掻き落とし装置を有する削孔装置の斜視図である。
図2図1の削孔装置の下部の拡大図である。
図3】ケリーオーガ係合時における、本発明に係る掻き落とし装置の拡大斜視詳細図である。
図4図3を解説する側面図である。
図5】偏向位置における、図4の掻き落とし装置の側面図である。
図6】掻き落とし要素が後退位置にあるときの、本発明に係る装置の上方からの別の模式的詳細図である。
図7】本発明に係る掻き落とし装置上のレバー機構の詳細斜視図である。
図8図7に係るレバー機構の別の詳細図である。
図9】本発明に係る掻き落とし装置上の2個のチェーン収容筒の部分断面斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、図1及び図2に模式的に示されている削孔装置10を参照して本発明を記述する。本削孔装置10はキャリアユニット12を備えており、図示実施形態ではキャリアユニット12が、クローラシャーシによって構成されている下キャリッジ13と共に動かせるよう、且つ下キャリッジ13上に回転可能に実装されている上キャリッジ14と共に動かせるよう、構成されている。マスト16は動作時には基本的に鉛直方向に沿って延びており、関節機構15の働きによって鉛直に対して角度を付けられるようキャリアユニット12に実装されている。マスト16はいわゆるリーダとして構成されており、それに備わるフロントリニアガイドに沿い、駆動装置キャリッジ17が回転削孔駆動装置18と共に変位可能に案内される。駆動装置キャリッジ17を変位させるため、詳示しないが送り駆動装置が設けられており、これは送りウィンチにより又はリニアアクチュエーティングシリンダにより構成することができる。
【0030】
回転削孔駆動装置18の環状駆動要素はパワーロータリヘッド又はドリルテーブルとも呼べるものであり、そのなかを、模式的に示されており外軸駆動バー(図示せず)を有するケリーバー8が通っている。ケリーバー8はテレスコーピック設計とされうるものであり、ケーブルにより鉛直方向において位置調整可能な態様にてマスト16から懸下されている。削孔ツール2は、図示実施形態ではいわゆるケリーオーガとして構成されているケリーバー8の下端に、これと一体となって回転するよう取付けられている。本発明に係る削孔装置10は、地中にボーリング孔を作る際、とりわけ地中に基礎杭を作る際に用いられる。
【0031】
土壌物質が付着した削孔ツール2の掻き落としをするため、本発明に従い、掻き落としのための装置20が削孔ツール2に面してマスト16に配置されている。
【0032】
以下、図3及び図4との関わりで本発明に係る掻き落としのための装置20を詳細に説明する。本装置20はベースキャリッジ22を備えており、これを駆動装置キャリッジ17と同じくマスト16の同じガイド上で直線変位可能に案内することができる。ベースキャリッジ22は2個の側部スリーブ状チェーン収容筒24を備えており、その内部では上方に延びるチェーン25が締結されている。図3及び図4では部分的にしか示されていないチェーン25の働きによって、ベースキャリッジ22が、図3及び図4には示されていないがその上方にある駆動装置スライド17に連結され懸下されている。ベースキャリッジ22の下側にて、プレート状実装脚26によりチェーン収容筒24を終端させることができる。
【0033】
ベースキャリッジ22の前側には支持アーム30が配置されており、それに備わるロッド状アクチュエータ34がベース部材32に調整可能に実装されている。ベース部材32は回動軸28周りで回動されうるようベースキャリッジ22に実装されており、回動軸28は削孔ツール2の長手軸線即ち削孔軸線に対し平行に延びている。
【0034】
削孔軸線を横断する方向、とりわけ削孔軸線に直交する方向に沿った偏向軸線38の働きにより、支持アーム30のアクチュエータ34が略鉛直方向に沿って偏向可能に実装されている。支持アーム30の自由端には掻き落とし要素50、即ち削孔ツール2のドリル螺旋羽根4の螺旋羽根間ギャップ6内に係合するよう構成された要素が、取り付けられている。ドリル螺旋羽根4は管状削孔シャフト3に沿い幾周かに亘り延びている。削孔シャフト3の下端にはパイロットチップ1が配置されている。ドリル螺旋羽根4の下端には、土壌物質を除去するための除去歯5が、それ自体既知の態様で配置されている。
【0035】
ドリルシャンク3の上端にある正方端連結部7を介し、削孔ツール2を、図3図5には示されていない上述のケリーバー8に、これと一体に回転するように着脱可能に連結することができる。支持アーム30上の掻き落とし要素50の偏向機能が図5中に明瞭に図示されている。削孔軸線に沿って削孔ツール2を軸線沿い変位させている間、支持アーム30のアクチュエータ34を偏向軸線38周りで偏向させることによって、このアクチュエータ34をある程度まで削孔ツール2の鉛直運動に追従させることができる。
【0036】
支持アーム30のアクチュエータ34は、支持アーム30の下側にある付勢バネ40により略水平な基本位置にて保持される。したがって、削孔ツール2を下方に動かす際には、付勢バネ40を圧縮することで偏向軸線38周りで下方偏向させることにより、支持アーム30をある程度まで鉛直運動に追従させることができる。これに対応する仕方で、支持アーム30を、削孔ツール2の上向き鉛直運動にある程度まで追従させることができ、その場合は、アクチュエータ34が偏向軸線38周りで上方に回動し付勢バネ40が伸長されることとなる。
【0037】
図3図5では、自由端に掻き落とし要素50を備えた支持アーム30が図示の通り掻き落とし位置にあり、掻き落とし要素50が削孔ツール2のドリル螺旋羽根4の羽根間ギャップ6内に係合している。支持アーム30は、削孔ツール2に対し回動軸28周りで掻き落とし位置から径方向外方に回動させることで、図6に模式的に示されている後退位置にすることができる。支持アーム30がベース部材32及びアクチュエータ34と共に回動するのは回動軸28の周りであり、その回動軸28によりベース部材32がベースキャリッジ22に回動可能に実装されている。
【0038】
図6に係る描写では、更に、ガイドローラ23が装置20のベースキャリッジ22にあること、それによりベースキャリッジ22が削孔装置10のマスト16のガイドバー上で変位可能に案内されることを、視認することができる。
【0039】
レバー機構60及びアクチュエーティングシリンダ形態のアクチュエーティング要素42を設け、レバー機構60により掻き落とし位置・後退位置間で支持アーム30を回動させることができるので、そのことを図7及び図8との関連で詳述する。ベースキャリッジ22の前側には、略水平に延びたアクチュエーティングシリンダがアクチュエーティング要素42として関節態様にて配置されている。アクチュエーティングシリンダとりわけ流体圧シリンダから延出させ得るピストン43が関節態様にてガイドレバー62に連結されており、ガイドレバー62がジョイントピン64を介しベースキャリッジ22に回動可能に実装されている。ガイドレバー62・ピストン43間の連結点にはリンクピン68を介し結合レバー66が関節連結されている。結合レバー66の他端では、長尺孔74内にジョイントピン72がある結合ジョイント70の働きで、支持アーム30の長手軸線に沿い結合レバー66が回動可能にまた変位可能に実装されている。ジョイントピン72は、ガイドピン78を有する引張バネ76により長尺孔74内で付勢することができる。引張バネ76によりジョイントピン72がその場に保持されるものの、支持アーム30が動作中に抵抗に遭遇しバネ張力が克服された際にはジョイントピン72が幾らか動く。これにより、アセンブリが損傷から保護されている。
【0040】
ピストン43がアクチュエーティングシリンダ42から延出しているときには、支持アーム30がベース部材32及びアクチュエータ34と共に後退位置へと押しやられ、削孔ツール2から空間的に隔てられる。ピストン43をそのアクチュエーティングシリンダ内に引っ込めると、支持アーム30が、略水平方向に沿いレバー機構60の働きで、図8に示されている位置から削孔ツール2の羽根間ギャップ6内へと内方に回動し、図3図5に示されている掻き落とし位置に至る。
【0041】
削孔軸線に沿い削孔ツール2が軸線沿い変位している間に、支持アーム30を偏向軸線38周りで偏向させることができるので、掻き落とし要素50がなおも回動している状態で不測な軸線沿い移動が幾ばくか起こったとしても、損傷を避けることができる。
【0042】
模式的断面図たる図9には、2個の側部チェーン25の働きによるベースキャリッジ22の配置及び懸下が詳細に示されている。チェーン25は、それぞれスリーブ状チェーン収容筒24内を通じ、対応するチェーン収容筒24の下端にある締結装置80の下締結部材82へと延びている。締結部材82は、鉛直方向に沿い変位させうるようベースキャリッジ22に実装されている。側部ダンピングバネ84の働きで、その締結部材82を、チェーン25毎に弾性的且つ直線変位可能に実装することができる。
【0043】
駆動装置キャリッジ17と掻き落としのための装置20のベースキャリッジ22とを互いに相手方へと動かすことで、スリーブ状チェーン収容筒24内にあるチェーン25のチェーンリンクをそれぞれ一体に折り畳み又は押し付けることができる。駆動装置キャリッジ17を素早く上方に動かすとき、ベースキャリッジ22ひいては支持アーム30に対する鉛直衝撃を回避又はダンピングすることができ、その働きによりやはり、掻き落とし要素50が掻き落とし位置にあるとの想定下で掻き落とし要素50及び削孔ツール2を保護することができる。ダンピングは、ベースキャリッジ22が地面に衝撃を及ぼすときにも達成される。これは、例えば、駆動装置キャリッジ17が地面に比較的近くにあり、且つ支持アーム30が削孔ツール2の螺旋羽根から回動退出しているときに起こりうる。そうすることで、ベースキャリッジ22が下方に向かってある程度の距離降下して、地面にぶつかる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-08-23
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
削孔ツールのドリル螺旋羽根の羽根間ギャップに対して掻き落としをする装置であって、
削孔装置のマストに沿って変位可能に実装されうるベースキャリッジと、
前記削孔ツールの前記羽根間ギャップ内に係合するよう構成された掻き落とし要素であって、前記削孔ツールに付着している土壌物質を前記削孔ツールが回転しているときに削ぎ落とせる掻き落とし要素と、
前記掻き落とし要素を保持する支持アームであって、前記掻き落とし要素が前記削孔ツールから空間的に隔たる後退位置と、前記掻き落とし要素が前記羽根間ギャップ内に係合し土壌物質を掻き落とす掻き落とし位置と、の間で前記ベースキャリッジに対し動かせるよう実装されている支持アームと、
を備え、
前記支持アームが、前記削孔ツールの削孔長手軸線に略平行な回動軸の周りにて前記後退位置・前記掻き落とし位置間で回動されうるよう実装されており、
前記支持アームが、基本位置から前記削孔長手軸線に対し平行な方向に沿って偏向されうるよう前記削孔ツールの前記ベースキャリッジに付加実装されており、且つ
前記支持アームが、少なくとも1個の付勢装置による付勢力によって前記基本位置に保持される、
装置。
【請求項2】
請求項1に記載の装置であって、
前記支持アームに備わるベース部材及びアクチュエータが設けられており、前記アクチュエータが前記ベース部材に変位可能かつ調整可能に保持されており、前記支持アームが前記回動軸周りで回動されうるよう前記ベースキャリッジに実装されている、
装置。
【請求項3】
請求項1に記載の装置であって、
前記支持アームが、アクチュエーティング要素により前記後退位置・前記掻き落とし位置間で調整されうる、
装置。
【請求項4】
請求項3に記載の装置であって、
前記アクチュエーティング要素が流体圧シリンダである、
装置。
【請求項5】
請求項3に記載の装置であって、
前記アクチュエーティング要素が、前記ベースキャリッジに配置されると共に、レバー機構を介し前記支持アームに連結されている、
装置。
【請求項6】
請求項に記載の装置であって、
前記レバー機構が、一方では前記ベースキャリッジに、他方では前記アクチュエーティング要素のピストンに関節態様にて連結されているガイドレバーと、一方では前記ピストン及び/又は前記ガイドレバーに、他方では結合ジョイントを介し前記支持アームに関節態様にて連結されている結合レバーと、を備える、
装置。
【請求項7】
請求項に記載の装置であって、
前記支持アーム・前記結合レバー間の前記結合ジョイントが、前記支持アーム上の長尺孔内に直線変位可能に実装されたジョイントピンを備える、
装置。
【請求項8】
請求項に記載の装置であって、
前記ジョイントピンが前記長尺孔内に弾性実装されている、
装置。
【請求項9】
請求項2に記載の装置であって、
前記削孔長手軸線を横断する方向に沿う偏向軸線の周りで回動しうるよう、前記支持アームの前記アクチュエータが前記ベース部材に実装されている、
装置。
【請求項10】
請求項2に記載の装置であって、
付勢バネが前記支持アームの前記ベース部材・前記アクチュエータ間に配置されている、装置。
【請求項11】
請求項1に記載の装置であって、
少なくとも1本のチェーンに保持された前記ベースキャリッジが、当該ベースキャリッジに沿い延びて上方に向かい開口している少なくとも1個の管状のチェーン収容筒を備える、
装置。
【請求項12】
請求項11に記載の装置であって、
前記チェーンを締結するための締結部材が前記チェーン収容筒の下寄り領域内に配置されている、
装置。
【請求項13】
請求項1に記載の装置であって、
少なくとも1個の締結部材が、鉛直方向に沿い変位されうるよう弾性態様にて前記ベースキャリッジに実装されている、
装置。
【請求項14】
キャリアユニット及び前記キャリアユニットに配置されているマストを備え、ドリル螺旋羽根を有する削孔ツールを、回転駆動する回転削孔駆動装置が前記マストに実装された削孔装置であって、
請求項1に記載の土壌物質を掻き落とす装置が前記マストに実装されている削孔装置。
【請求項15】
請求項14に記載の削孔装置であって、
前記削孔ツールがケリーオーガである、
削孔装置。
【請求項16】
削孔ツールのドリル螺旋羽根の羽根間ギャップの付着した土壌物質を掻き落とす方法であって、
請求項1に記載の装置を掻き落としに用いる方法。
【請求項17】
請求項16に記載の方法であって、
前記削孔ツールがケリーオーガである、
方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明に係る掻き落とし装置の特徴は、支持アームが、削孔ツールの削孔長手軸線に対し略平行な向きを有する回動軸の周りにて後退位置・掻き落とし位置間で回動されうるよう実装されていること、支持アームが、基本位置から削孔ツールの削孔長手軸線に対し平行な方向に沿って偏向されうるようベースキャリッジに付加実装されていること、および支持アームが付勢バネにより基本位置に弾性保持されることにある。
【外国語明細書】