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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018654
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】組立式テーブル
(51)【国際特許分類】
   A47B 3/06 20060101AFI20240201BHJP
   F16B 12/44 20060101ALI20240201BHJP
   F16B 12/48 20060101ALI20240201BHJP
   F16B 5/10 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A47B3/06 Z
F16B12/44 E
F16B12/48 A
F16B5/10 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122107
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】514244251
【氏名又は名称】エーフィールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088579
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 茂
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 淳
【テーマコード(参考)】
3B053
3J001
3J024
【Fターム(参考)】
3B053FA01
3B053FA07
3B053FB05
3J001FA07
3J001GA10
3J001GB01
3J001HA02
3J001HA07
3J001HA09
3J001JD15
3J001KA19
3J001KB03
3J024AA02
3J024AA45
3J024BA03
3J024BB03
3J024CA11
(57)【要約】
【課題】 全体のコストダウンを実現し、アウトドアで利用する場合でも、容易かつ短時間に組立可能にするとともに、ナチュラル感を高める。
【解決手段】 複数の天板メンバ2m…を順次連結して組合わせたテーブル天板部2を備える組立式テーブル1であって、長さが同一となる上板部2mu…と下板部2md…を有し、上板部2mu…と下板部2md…を長手方向Feへ所定長さLoだけオフセットして重ねた天板メンバ2m…,及び天板メンバ2m…と同数の脚部3…を備えるとともに、天板メンバ2mの両側に突出するオフセット面2os,2os…に上下面に貫通する脚取付孔2xu,2xd及び相隣る天板メンバ2m,2mのオフセット面2os,2osを重ねた脚取付孔2xu,2xdに挿入して脚部3の上端部3uと天板メンバ2mを固定する天板固定部4を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の天板メンバを順次連結して組合わせたテーブル天板部と、このテーブル天板部の下面を支持する複数の脚部と、を備える組立式テーブルであって、長さが同一となる上板部と下板部を有し、前記上板部と前記下板部を長手方向へ所定長さだけオフセットして重ねた天板メンバ,及び前記天板メンバと同数の脚部を備えるとともに、前記天板メンバの両側に突出する前記オフセット面に上下面に貫通する脚取付孔,及び相隣る前記天板メンバの前記オフセット面を重ねた前記脚取付孔に挿入して前記脚部の上端部と前記天板メンバを固定する天板固定部を備えてなることを特徴とする組立式テーブル。
【請求項2】
前記脚取付孔は、内壁面に、上側が広くなる段差係止部を形成してなることを特徴とする請求項1記載の組立式テーブル。
【請求項3】
前記脚部は、一対の脚部半体を重ねて構成するとともに、上端に前記脚取付孔における前記段差係止部に係止する広幅形成した被係止部を設けてなることを特徴とする請求項2記載の組立式テーブル。
【請求項4】
前記天板固定部は、前記脚部に貫通形成した第一孔部,及びこの第一孔部に挿入して前記天板メンバの下面を押圧する第一楔部材を備えることを特徴とする請求項1記載の組立式テーブル。
【請求項5】
前記天板メンバの下方に配し、前記脚部間に配する棚板メンバによるテーブル棚板部と、前記棚板メンバを前記脚部に固定する棚板固定部とを備えることを特徴とする請求項1記載の組立式テーブル。
【請求項6】
前記脚部は、前記棚板メンバの短辺部を支持する支持スリットを有することを特徴とする請求項5記載の組立式テーブル。
【請求項7】
前記棚板固定部は、前記脚部に貫通形成した第二孔部,この第二孔部に挿入して相隣る前記棚板メンバ同士に係止して連結する連結部材を備えることを特徴とする請求項6記載の組立式テーブル。
【請求項8】
前記テーブル天板部は、内方に突出する広幅係止部を設け、前記テーブル天板部の内側開口部を閉塞する一又は複数の補助板を支持可能に構成したことを特徴とする請求項1記載の組立式テーブル。
【請求項9】
前記テーブル棚板部は、内方に突出する広幅係止部を設け、前記テーブル棚板部の内側開口部を閉塞する一又は複数の補助板を支持可能に構成したことを特徴とする請求項5記載の組立式テーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の天板メンバを組合わせたテーブル天板部及びこのテーブル天板部の下面を支持する複数の脚部を備える組立式テーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の天板メンバを順次連結して組合わせたテーブル天板部,及びこのテーブル天板部の下面を支持する複数の脚部を備える組立式テーブルとしては、特許文献1に記載されるワンタッチ式折りたたみテーブル及び特許文献2に記載される木製コンロ用テーブルが知られている。
【0003】
特許文献1に開示されるワンタッチ式折りたたみテーブルは、持ち運びやすいワンタッチ式で収納展開のできる囲炉裏型の折りたたみ式テーブルの提供を目的としたものであり、具体的には、2枚の第1天板及び4枚の天板部品が2枚ずつ前記他端で連結された2枚の第2天板を第1天板同士および第2天板同士が夫々水平状態で対向するように連結した天板部と、第1天板と第2天板との各連結個所の下方に位置し使用時には所定の角度をなして隣接状態で展開垂下すると共に非使用時には第1天板または第2天板の下面に折りたたみ積層される2枚の脚部品の脚部とで構成されたものである。また、特許文献2に開示される木製コンロ用テーブルは、専門的な技術を要さずとも簡単に組立構成でき、安価な木製コンロ用テーブルの実現を目的としたものであり、具体的には、ツーバイフォー工法で使用する規格木材を主要部品として、テーブルの横の長さに横幕板を切断し、縦長さに縦幕板を切断して、それぞれ直角方向に嵌合する嵌合溝を設けて四角状に枠組し、この枠組した角部に脚部材を固定して、該脚部材下部間に前後方向及び左右方向にツナギ材を固定して補強すると共に、枠組した横幕板と縦幕板上に井桁状に甲板を固定して構成されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-146426号公報
【特許文献2】特開平7-303530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上述した特許文献1等に記載される従来の組立式テーブルは、次のような問題点があった。
【0006】
第一に、組立式テーブルの場合、部材同士を結合(連結)して固定する組立工程が必要になる。特に、複数の天板メンバを組合わせたフレーム形のテーブルの場合、部品点数が多くなるため、全体のコストアップが無視できないとともに、ドライバ等の工具を用いた組立工程が必要になるため、キャンプ等のアウトドアで利用する場合、組立に時間がかかる難点がある。
【0007】
第二に、使用部品として、ボルト,丁番.ネジなどの小さい金属部品も多くなる傾向があるため、アウトドアで利用する場合、ナチュラル感にも劣るとともに、部品の紛失が発生しやすい。しかも、シンプルな構成にした場合、テーブルという一つの機能に止まり、多機能性を付加しにくく、多様性及び利便性に劣る難点がある。
【0008】
本発明は、このような背景技術に存在する課題を解決した組立式テーブルの提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述した課題を解決するため、複数の天板メンバ2m…を順次連結して組合わせたテーブル天板部2と、このテーブル天板部2の下面を支持する複数の脚部3…と、を備える組立式テーブル1を構成するに際して、長さが同一となる上板部2mu…と下板部2md…を有し、上板部2mu…と下板部2md…を長手方向Feへ所定長さLoだけオフセットして重ねた天板メンバ2m…,及び天板メンバ2m…と同数の脚部3…を備えるとともに、天板メンバ2mの両側に突出するオフセット面2os,2os…に上下面に貫通する脚取付孔2xu,2xd及び相隣る天板メンバ2m,2mのオフセット面2os,2osを重ねた脚取付孔2xu,2xdに挿入して脚部3の上端部3uと天板メンバ2mを固定する天板固定部4を備えてなることを特徴とする。
【0010】
この場合、発明の好適な態様により、脚取付孔2xuの内壁面2uwには、上側が広くなる段差係止部2ubを形成することができる。また、脚部3は、一対の脚部半体3p,3qを重ねて構成するとともに、上端に脚取付孔2xuにおける段差係止部2ubに係止する広幅形成した被係止部16を設けることができる。さらに、天板固定部4は、脚部3に貫通形成した第一孔部31p,31q,及びこの第一孔部31p,31qに挿入して天板メンバ2mの下面を押圧する第一楔部材11により構成することができる。他方、天板メンバ2mの下方には、脚部3と3間に配する棚板メンバ12m…を組合わせたテーブル棚板部12と、棚板メンバ12m…を脚部3…に固定する棚板固定部13とを設けることができる。この際、脚部3には、棚板メンバ12mの短辺部12msを支持する支持スリット33p,33qを設けることができる。この棚板固定部13は、脚部3に貫通形成した第二孔部32p,32qこの第二孔部32p,32qに挿入して相隣る棚板メンバ12mと12m同士に係止して連結する連結部材14を備えて構成することができる。さらに、テーブル天板部2及び/又はテーブル棚板部12には、内方に突出する広幅係止部2e及び/又は12eを設け、テーブル天板部2及び/又はテーブル棚板部12の内側開口部2o及び/又は12oを閉塞する一又は複数の補助板17c…を支持可能に構成することができる。
【発明の効果】
【0011】
このような構成を有する本発明に係る組立式テーブル1によれば、次のような顕著な効果を奏する。
【0012】
(1) 複数の天板メンバ2m…を組合わせたフレーム形のテーブルであっても、比較的シンプルな部品形状と最小限の部品点数で構築できるため、全体のコストダウンを実現できる。しかも、組立てる際におけるドライバ等の操作工具が不要となるため、キャンプ等のアウトドアで利用する場合であっても、容易かつ短時間に組立てることができる。また、テーブル天板部2は、オフセット面2os,2os…同士を連結したため、テーブル天板全体の平坦性及び剛性(強度)を飛躍的に高めることができる。
【0013】
(2) 全ての構成部品を木工部品により構成可能になるため、アウトドアで利用する際におけるナチュラル感を高めることができるとともに、特に、ネジ等の小さい金属部品が不要となるため、部品類が紛失しやすい不具合を解消することができる。
【0014】
(3) 好適な態様により、脚取付孔2xuの内壁面2uwに、上側が広くなる段差係止部2ubを形成すれば、天板メンバ2mに脚部3を固定する場合、楔等の単純規制手段を用いたシンプルな天板固定部4を用意するのみで、天板メンバ2mと脚部3を容易に固定することができる。
【0015】
(4) 好適な態様により、脚部3を、一対の脚部半体3p,3qを重ねて構成するとともに、上端に脚取付孔2xuにおける段差係止部2ubに係止する広幅形成した被係止部16を設ければ、二枚重ねにより脚部3の強度を高めることができることに加え、被係止部16の固定や位置決めも容易かつ確実に行うことができる。
【0016】
(5) 好適な態様により、天板固定部4を構成するに際し、脚部3に貫通形成した第一孔部31p,31q,及びこの第一孔部31p,31qに挿入して天板メンバ2mの下面を押圧する第一楔部材11を設けて構成すれば、第一楔部材11を第一孔部31p,31qに挿入する(打込む)のみで固定できるなど、工具等が無い場合であっても容易に組立てることができる。
【0017】
(6) 好適な態様により、天板メンバ2mの下方に、脚部3と3間に配する棚板メンバ12m…によるテーブル棚板部12と、棚板メンバ12m…を脚部3に固定する棚板固定部13…とを設ければ、テーブル天板部2に加え、その下方に、食器や食材等を置くことができる棚機能部(テーブル棚板部12)を設けることができるため、シンプルに構成する場合であっても多機能性(多様性)及び利便性を高めることができるとともに、テーブル天板部2との組合わせにより、組立式テーブル1全体の剛性及び強度を飛躍的に高めることができる。
【0018】
(7) 好適な態様により、脚部3に、棚板メンバ12m…の短辺部12ms…を支持する支持スリット33p,33qを設ければ、棚板メンバ12mに対する鉛直方向(上下方向)の支持強度をより高めることができる。
【0019】
(8) 好適な態様により、棚板固定部13を構成するに際し、脚部3に貫通形成した第二孔部32p,32q,この第二孔部32p,32qに挿入して相隣る棚板メンバ12mと12m同士に係止して連結する連結部材14を設けて構成すれば、連結部材14により相隣る棚板メンバ12mと12m同士を連結できるため、水平方向(左右方向)における剛性及び強度を高めることができる。
【0020】
(9) 好適な態様により、テーブル天板部2及び/又はテーブル棚板部12に、内方に突出する広幅係止部2e及び/又は12eを設け、テーブル天板部2及び/又はテーブル棚板部12の内側開口部2o及び/又は12oを閉塞する一又は複数の補助板17c…を支持可能に構成すれば、補助板17c…を使用しない第一使用モード、即ち、テーブル天板部2の内側に焚き火用の空間を設ける第一使用モードと、補助板17c…を使用する第二使用モード、即ち、開口の無い一枚の平坦なテーブル或いはより広い収容スペースとなる第二使用モードに容易に使い分けることができるなど、多機能性(多様性)及び利便性をより高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の好適実施形態に係る組立式テーブルの第一使用モードにおける全体斜視図、
図2】同組立式テーブルに使用する部品図、
図3】同組立式テーブルの組立手順を説明するための組立工程図、
図4】同組立式テーブルの第一の組立説明図、
図5】同組立式テーブルの第二の組立説明図、
図6】同組立式テーブルの第三の組立説明図、
図7】同組立式テーブルの第四の組立説明図、
図8】同組立式テーブルの正面方向から見た部分工程の説明図、
図9】同組立式テーブルの第二使用モードの説明図、
【発明を実施するための形態】
【0022】
次に、本発明に係る好適実施形態を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
【0023】
まず、本実施形態に係る組立式テーブル1に使用する構成部品について、各図を参照しつつ図2に基づいて説明する。
【0024】
図2は、組立式テーブル1に使用する最小単位の構成部品を示す。本実施形態に係る組立式テーブル1では、ネジやワッシャ,ボルトナット等の金属製の部品は使用せず、所定の厚さ、具体的には、10-20〔mm〕程度となる一定の厚さを有する木質板材から形成することができる。
【0025】
構成部品は、図2に示すように、上板部2mu(6枚)、下板部2md(6枚)、棚板メンバ12m(6枚)、脚部半体3p,3q(各6枚)、補助板17c(1枚)、補助板17s(2枚)、第一楔部材11(6個)、連結部材14(6個)、第二楔部材15(6個)、被係止部16(6個)、結合ピン21(12個)からなる。なお、上記各構成部品の括弧内は、組立式テーブル1の一台当たりに用意する枚数又は個数を示す。
【0026】
図2中、2muは上板部、2mdは下板部を示し、この上板部2muと下板部2mdにより天板メンバ2mを構成することができる。
【0027】
上板部2muは、長方形状の一方の短辺に中央位置から両側に切断して三角山形部2upを形成するとともに、他方の短辺に中央位置から両側に切断して三角谷形部2uqを形成する。この場合、三角山形部2upの中央の角度及び三角谷形部2uqの中央の角度はそれぞれ120〔゜〕である。また、上板部2muにおける三角山形部2upの近傍には、矩形の長孔による脚取付孔2xuを形成するとともに、図8に示すように、この脚取付孔2xuの内壁面2uwには、上側が広くなる段差係止部2ubを形成する。これにより、後述する脚部3を天板メンバ2mに固定する場合、楔等の単純規制手段を用いたシンプルな天板固定部4を用意するのみで、天板メンバ2mと脚部3を容易に固定することができる。さらに、上板部2muにおける所定の離間した2ヶ所には、ピン取付孔22u,23uを形成する。
【0028】
下板部2mdは、図2に示すように、長手方向Feの内側長辺の一部には、内方に突出する広幅係止部2eを設ける。したがって、この広幅係止部2eを設けない場合の下板部2mdの外郭形状は、上板部2muと同一となる。この広幅係止部2eにより、後述する三枚の補助板17c,17s,17s、即ち、中央に配する一枚の補助板17cと、この補助板17cの両側に配する二枚の補助板17s,17sを配列して支持することができる。また、後述するように、他の上板部2muに対してオフセットして重ねた際に当該上板部2muの脚取付孔2xuに対して位置が一致する脚取付孔2xdを形成する。なお、この脚取付孔2xdには、前述した段差係止部2ubは形成しない。さらに、上板部2muと下板部2mdを重ねた際におけるオーバーラップ部分の下板部2mdには上板部2muのピン取付孔22u,23uに対して位置が一致するピン取付孔22d,23dを形成する。
【0029】
一方、12mは棚板メンバを示す。棚板メンバ12mは、全体を台形状に形成するとともに、後述する相隣る脚部3と3間に架け渡すことができる長さに形成する。この場合、棚板メンバ12mの一方の短辺12msには、脚部3の厚さに対して1/2の厚さに相当する幅Lwの切欠部12mpを形成するとともに、他方の短辺12msにも、同様の幅Lwを有する切欠部12mqを形成する。
【0030】
また、棚板メンバ12mの下面には、一方の切欠部12mpの中央位置に対して直角に臨む固定部取付凹溝24pを形成するとともに、他方の切欠部12mqの中央位置に対して直角に臨む固定部取付凹溝24qを形成する。この場合、一方の固定部取付凹溝24pの長さは、コの字形の連結部材14の挿入溝となるため、他方の固定部取付凹溝24qに対して概ね2倍の長さに形成するとともに、各楔取付部24p,24qの内部には、連結部材14の両端を収容する係止凹部25p,25qを形成する(図7参照)。
【0031】
他方、3p,3qは脚部半体を示す。この脚部半体3p,3qは、重ね合わせ、かつ上端に被係止部16を装着することにより脚部3を構成する。図2中、一方の脚部半体3pは脚部3を構成する際の外面側を示し、他方の脚部半体3qは重ね合わせる際の内面側を示す。したがって、脚部半体3pと3qは、左右対称形となる点を除いて同一形状となる。脚部半体3p,3qは、図8に示すように、上端の内面側に断差状の凸端部34p34qを形成するとともに、図2に示すように、上端付近に、上下に長い第一孔部31p,31qを形成し、この第一孔部31p,31qの下方に、上下に長い第二孔部32p,32qを形成する。さらに、各脚部半体3p,3qの外面側における上下方向の中間位置(第二孔部32p,32qの上端)には、棚板メンバ12mの短辺部12ms(切欠部12mp,12mq)を収容可能な水平方向の支持スリット33p,33qを形成する。
【0032】
このように、脚部3(脚部半体3p,3q)に、棚板メンバ12m…の短辺部12ms…を支持する支持スリット33p,33qを設ければ、棚板メンバ12mに対する鉛直方向(上下方向)の支持強度をより高めることができる。
【0033】
また、被係止部16は、図8に示すように、左右両側に広幅に形成した係止本体部41と、この係止本体部41の下面に設けた一対の把持部42pと42qを備える。この把持部42pと42qにより、脚部半体3pと3qを重ね合わせた凸端部34pと34qを挟むことができるとともに、係止本体部41の両側は、脚取付孔2xuに設けた段差係止部2ubに係止させることができる。
【0034】
このように、脚部3を構成するに際し、一対の脚部半体3p,3qを重ねて構成するとともに、上端に脚取付孔2xuにおける段差係止部2ubに係止する広幅形成した被係止部16を設ければ、二枚重ねにより脚部3の強度を高めることができることに加え、被係止部16の固定や位置決めも容易かつ確実に行うことができる。
【0035】
11は、第一孔部31p,31qに挿入して天板メンバ2mの下面を押圧する第一楔部材を示す。この第一楔部材11と第一孔部31p,31qにより、前述した脚取付孔2xu,2xdに挿入した脚部3の上端部3uと天板メンバ2mを固定する天板固定部4を構成する。このような天板固定部4を設ければ、第一楔部材11を第一孔部31p,31qに挿入する(打込む)のみで固定できるなど、工具等が無い場合であっても容易に組立てることができる。
【0036】
14は、第二孔部32p,32qに挿入し、相隣る棚板メンバ12mと12m同士に係止して連結する連結部材を示すとともに、15は第二孔部32p,32qに挿入して連結部材14を棚板メンバ12m…に係止する方向に押圧する第二楔部材を示す。この第二孔部32p,32q,連結部材14(及び第二楔部材15)により、棚板メンバ12を脚部3に固定する棚板固定部13を構成する。このような棚板固定部13を設ければ、連結部材14により相隣る棚板メンバ12mと12m同士を連結できるため、水平方向(左右方向)における剛性及び強度を高めることができる。
【0037】
次に、本実施形態に係る組立式テーブル1の組立方法及び使用方法について、各図を参照しつつ図3に示す組立工程図に従って説明する。
【0038】
なお、例示の組立式テーブル1は、図2に示す構成部品がセット製品として販売される場合を想定する。したがって、ユーザーは構成部品のセット製品を購入し、ユーザー自身が組立を行うことができる。
【0039】
この場合、組立式テーブル1の組立は、図3に示すように、一部の構成部品を事前に製作する準備工程A1と、組立式テーブル1の組立を行う組立工程A2を経て行うことができる。
【0040】
最初に、準備工程A1について説明する。準備工程A1では、天板メンバ2m…と脚部3…の製作を行う。まず、ユーザーは構成部品を準備する(ステップS1)。そして、図4(a)に示すように、上板部2muの下面と下板部2mdの上面を接着剤により接着することにより天板メンバ2mを製作する(ステップS2)。
【0041】
この際、上板部2muと下板部2mdは、図2に示した上板部2mu及び下板部2mdの位置関係となるように、それぞれ反対方向を向けて接着する。また、上板部2muの一方のピン取付孔22uと下板部2mdの一方のピン取付孔22d間に結合ピン21を挿入して位置決めを行うとともに、上板部2muの他方のピン取付孔23uと下板部2mdの他方のピン取付孔23d間に結合ピン21を挿入して位置決めを行う。図4(a)中の下板部2mdの上面に描いた格子状のハッチング部Zaは接着剤による接着面を示す。
【0042】
これにより、図4(b)に示す天板メンバ2mが得られる。製作した天板メンバ2mは、上板部2muと下板部2mdが長手方向Feへ所定長さLoだけオフセットした状態に重なり、両側に突出する上板部2muのオフセット面2osと下板部2mdのオフセット面2osは正六角形を形成することになる。なお、ピン取付孔22u,22d…と結合ピン21…は、圧入により固定してもよいし、接着剤により固定してもよい。
【0043】
そして、他の残りの上板部2mu…と下板部2md…も同様の手順により天板メンバ2m…を製作する。これにより、計六組の天板メンバ2m…を製作したなら、天板メンバ2m…の製作は終了する(ステップS3,S2…)。
【0044】
次いで、脚部3の製作を行う。この場合、図5(c)に示すように、一対の脚部半体3p,3qと一つの被係止部16を用意する。最初に、脚部半体3pと3qを接着剤により接着する(ステップS4)。図5(c)中、一方の脚部半体3qの裏面に描いた格子状のハッチング部Zbは接着剤による接着面を示す。次いで、接着した脚部半体3p及び3qの上端における凸端部34p,34qに、被係止部16における一対の把持部42p,42qを取付ける(ステップS5)。この場合、脚部半体3p,3qの凸端部34p,34qと被係止部16の把持部42p,42qの位置関係は、図8に示すX-X線拡大断面図のようになる。なお、凸端部34p,34qと把持部42p,42q間は接着剤により接着して固定する。これにより、図5(d)に示す脚部3が得られる。
【0045】
他の残りの脚部半体3p,3q…及び被係止部16…も同様の手順により脚部3…を製作する。これにより、計六組の脚部3…を製作したなら、脚部3…の製作は終了する(ステップS6,S4,S5…)。以上により、準備工程A1が終了する。
【0046】
次に、組立工程A2について説明する。準備工程A1で得た構成部品を含め、各構成部品は、組立式テーブル1を使用する場所、例えば、キャンプ場等へ持参し、現地で組立を行うことができる。
【0047】
まず、二つの天板メンバ2m,2mと、一つの脚部3と、一つの第一楔部材11を用意する。そして、図6に示すように、脚部3の下端を上向きにした状態で、一方の天板メンバ2mの上板部2muにおけるオフセット面2osの脚取付孔2xuを、脚部3に対して下端側(図6は上方)から装着するとともに、さらに、他方の天板メンバ2mの下板部2mdにおけるオフセット面2osの脚取付孔2xdを、脚部3に対して下端側から装着する(ステップS7)。
【0048】
次いで、この状態の脚部3における第一孔部31p,31qに対し、第一楔部材11を矢印F1方向から挿入して装着する(ステップS8)。この場合、完全に挿入せず、やや動きが生ずるように仮固定の状態にすることが望ましい。さらに、一つの天板メンバ2mと、一つの脚部3と、一つの第一楔部材11を用意し、ステップS7で得られた中間アセンブリの他方の天板メンバ2mにおける上板部2muのオフセット面2osの脚取付孔2xuに対して、上面側(図6は下方)から、用意した次の脚部3を下端側から挿入するとともに、用意した次の天板メンバ2mの下板部2mdのオフセット面2osの脚取付孔2xdを、当該脚部3の下端側から装着する。
【0049】
そして、この状態の脚部3における第一孔部31p,31qに対し、第一楔部材11を装着する。以上の手順による組付を残りの天板メンバ2m…及び脚部3に対して同様に行う(ステップS9,S7,S8…)。全ての天板メンバ2m…の組付が終了したなら、六ヶ所に仮固定した第一楔部材11…を完全に挿入して本固定する(ステップS10)。
【0050】
次に、図7(e)に示すように、任意の脚部3の一方の外面に形成した支持スリット33pとこの脚部3の一方の外面に対面する他の脚部3における他方の面に形成した支持スリット33q間に、一枚目の棚板メンバ12mを装着する。また、上述した任意の脚部3の他方の外面に形成した支持スリット33qとこの脚部3の他方の外面に対面する他の脚部3における一方の面に形成した支持スリット33p間に、二枚目の棚板メンバ12mを装着する(ステップS11)。この状態の棚板メンバ12m…と脚部3の位置関係を図8のY-Y拡大断面図に示す。
【0051】
さらに、この状態において、図7(f)に示すように、連結部材14を、一方の棚板メンバ12mに設けた楔取付部24pに収容し、矢印F2に移動させることにより、第二孔部32p,32qに挿入するとともに、連結部材14の両端を、一方の棚板メンバ12mの係止凹部25pと他方の棚板メンバ12mの係止凹部25qに収容するように装着する(ステップS12)。次いで、図7(g)に示すように、第二楔部材15を、第二孔部32p,32qに対して、矢印F3方向から挿入して装着する(ステップS13)。この場合、完全に挿入せず、やや動きが生ずるように仮固定の状態にすることが望ましい。
【0052】
以上の手順による装着を残りの棚板メンバ12m.連結部材14…及び第二楔部材15…に対して同様に行う(ステップS14,S11,S12,S13…)。全ての棚板メンバ12m…の組付が終了したなら、六ヶ所に仮固定した第二楔部材15…を完全に挿入して本固定する(ステップS15)。これにより、図1に示す組立テーブル1を完成させることができる。
【0053】
このように、本実施形態に係る組立テーブル1は、天板メンバ2mの下方に、脚部3と3間に配する棚板メンバ12m…によるテーブル棚板部12と、棚板メンバ12m…を脚部3に固定する棚板固定部13…とを設ければ、テーブル天板部2に加え、その下方に、食器や食材等を置くことができる棚機能部(テーブル棚板部12)を設けることができるため、シンプルに構成する場合であっても多機能性(多様性)及び利便性を高めることができるとともに、テーブル天板部2との組合わせにより、組立式テーブル1全体の剛性及び強度を飛躍的に高めることができる。
【0054】
ところで、本実施形態に係る組立テーブル1は、図9に示すように、二つの使用モードを選択することができ、オプションとして、補助板17c,17s,17sを備えている。即ち、補助板17c,17s,17sを使用しない場合には、図1に示すように、テーブル天板部2の内側開口部2oを解放した状態の第一使用モードにより使用することができる。これにより、テーブル天板部2の内側に薪等を置き、焚き火等を行うことができる。
【0055】
これに対して、図9に示すように、補助板17c,17s,17sを使用することにより、一般的なテーブル、即ち、開口の無い一枚の平坦なテーブルとなる第二使用モードにより使用することができる。この場合、図9に示すZ-Z線拡大断面図のように、補助板17s…の縁部が各天板メンバ2m…における下板部2md…に設けた広幅係止部2e上に載置され、テーブル天板部2の内側開口部2oは、補助板17s,17c,17sの順に並んで閉塞される。
【0056】
このように、本実施形態に係る組立式テーブル1は、下板部2mdに、内方に突出する広幅係止部2eを設け、テーブル天板部2の内側開口部2oを閉塞する一又は複数の補助板17c…を支持可能に構成したため、補助板17c…を使用しない第一使用モード、即ち、テーブル天板部2の内側に焚き火用の空間を設ける第一使用モードと、補助板17c…を使用する第二使用モード、即ち、開口の無い一枚の平坦なテーブル或いはより広い収容スペースとなる第二使用モードに容易に使い分けることができるなど、多機能性(多様性)及び利便性をより高めることができる。
【0057】
よって、このような本実施形態に係る組立式テーブル1によれば、基本的な構成として、長さが同一となる上板部2mu…と下板部2md…を有し、上板部2mu…と下板部2md…を長手方向Feへ所定長さLoだけオフセットして重ねた天板メンバ2m…,及び天板メンバ2m…と同数の脚部3…を備えるとともに、天板メンバ2mの両側に突出するオフセット面2os,2os…に上下面に貫通する脚取付孔2xu,2xd及び相隣る天板メンバ2m,2mのオフセット面2os,2osを重ねた脚取付孔2xu,2xdに挿入して脚部3の上端部3uと天板メンバ2mを固定する天板固定部4を備えるため、複数の天板メンバ2m…を組合わせたフレーム形のテーブルであっても、比較的シンプルな部品形状と最小限の部品点数で構築できるため、全体のコストダウンを実現できる。しかも、組立てる際におけるドライバ等の操作工具が不要となるため、キャンプ等のアウトドアで利用する場合であっても、容易かつ短時間に組立てることができる。また、テーブル天板部2は、オフセット面2os,2os…同士を連結したため、テーブル天板全体の平坦性及び剛性(強度)を飛躍的に高めることができる。加えて、全ての構成部品を木工部品により構成可能になるため、アウトドアで利用する際におけるナチュラル感を高めることができるとともに、特に、ネジ等の小さい金属部品が不要となるため、部品類が紛失しやすい不具合を解消することができる。
【0058】
以上、好適実施形態について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
【0059】
例えば、連結部材14及び第二楔部材15は、棚板メンバ12m…の下面側に設ける場合を例示したが、上面側に設けてもよい。上面側に設けた場合には、外観的に不利になるが、連結部材14及び/又は第二楔部材15の振動等による落下を防止できるとともに、連結部材14による自重又は差込等により係止が保持されるため、第二楔部材15を不要にできる利点がある。実施形態では、六組の天板メンバ2m…を順次連結したヘキサゴンタイプのテーブルとして構成した例を挙げたが、三角形,四角形等の各種多角形をはじめ、湾曲した天板メンバ2m…を使用することにより円形や楕円形に構成することも可能である。また、脚部3を構成するに際し、一対の脚部半体3p,3qを重ねて構成するとともに、上端に脚取付孔2xuにおける段差係止部2ubに係止する広幅形成した被係止部16を設けて構成した例を示したが、これらを一体に形成する場合を排除するものではない。一方、テーブル棚板部12を設けた場合を示したが、必須の構成要素となるものではない。同様に、複数の補助板17c…を備える形態を示したが、必須の構成要素となるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明は、複数の天板メンバを順次連結したテーブル天板部を備える屋外及び屋内で使用する各種の組立式テーブルとして利用することができる。
【符号の説明】
【0061】
1:組立式テーブル,2:テーブル天板部,2m…:天板メンバ,2mu…:上板部,2md…:下板部,2os…:オフセット面,2xu:脚取付孔,2xd:脚取付孔,2uw:内壁面,2ub:段差係止部,2e:下板部の広幅係止部,2o:テーブル天板部の内側開口部,3…:脚部,3p:脚部半体,3q:脚部半体,4:天板固定部,11:第一楔部材,12:テーブル棚板部,12m…:棚板メンバ,12ms:棚板メンバの短辺部,13:棚板固定部,14:連結部材,16:被係止部,17c…:補助板,31p:第一孔部,31q:第一孔部,32p:第二孔部,32q:第二孔部,33p:支持スリット,33q:支持スリット,Fe:長手方向,Lo:所定長さ
図1
図2
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図4
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図7
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図9