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特開2024-18657通信システム、通信制御装置、基地局装置および通信制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018657
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】通信システム、通信制御装置、基地局装置および通信制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/06 20090101AFI20240201BHJP
   H04W 48/18 20090101ALI20240201BHJP
   H04W 4/00 20180101ALI20240201BHJP
【FI】
H04W48/06
H04W48/18
H04W4/00 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122111
(22)【出願日】2022-07-29
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】福井 啓治
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067EE02
5K067EE10
(57)【要約】
【課題】災害ローミング時において、モバイルネットワークを運営する通信事業者の加入者へのサービス低下を防止する。
【解決手段】通知手段(21)は、ローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を基地局装置1に通知する。判定手段(12)は、端末装置からの新規接続要求が、ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可し、端末装置からの新規接続要求が、ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害ローミング時にローミングサービスを提供する通信制御装置と基地局装置と、を備える通信システムであって、
前記通信制御装置は、
前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を前記基地局装置ごとに記憶する記憶手段と、
前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を前記基地局装置に通知する通知手段と、を備え、
前記基地局装置は、
前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を前記通信制御装置から受信する受信手段と、
端末装置からの新規接続要求が、前記ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可し、
前記端末装置からの新規接続要求が、前記ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する前記最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する判定手段と、
を備える通信システム。
【請求項2】
前記判定手段は、前記ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求により、当該ローミング元通信事業者の加入者端末の接続数が、対応する前記最大受入可能加入者数を超える場合に、当該新規接続要求を拒否する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項3】
前記通知手段は、災害ローミングの受け入れを開始したときに、前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を通知する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項4】
前記通知手段は、前記ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求数に応じて、前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を通知する、
請求項1に記載の通信システム。
【請求項5】
前記通信制御装置は、
基地局ごとの受入可能加入者数、前記自通信事業者と前記ローミング元通信事業者との間における契約条件に含まれるローミング時の受入加入者数、コアネットワークの受入可能加入者数から、前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を算出し、前記記憶手段に記憶させる算出手段を更に備える、
請求項1~4のいずれか1項に記載の通信システム。
【請求項6】
災害ローミング時にローミングサービスの提供を制御する通信制御装置であって、
前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を基地局装置ごとに記憶する記憶手段と、
前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を前記基地局装置に通知する通知手段と、
を備える通信制御装置。
【請求項7】
災害ローミング時にローミングサービスの提供を制御する基地局装置であって、
前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を通信制御装置から受信する受信手段と、
端末装置からの新規接続要求が、前記ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可し、
前記端末装置からの新規接続要求が、前記ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する前記最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する判定手段と、
を備える基地局装置。
【請求項8】
災害ローミング時にローミングサービスを提供する通信制御装置と基地局装置と、を備える通信システムにおける通信制御方法であって、
前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を記憶し、
前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を前記基地局装置に通知し、
端末装置からの新規接続要求が、前記ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可し、
前記端末装置からの新規接続要求が、前記ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する前記最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する、
通信制御方法。
【請求項9】
災害ローミング時にローミングサービスの提供を制御する通信制御方法であって、
前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を記憶し、
前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を基地局に通知する、
通信制御方法。
【請求項10】
災害ローミング時にローミングサービスの提供を制御する通信制御方法であって、
前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を通信制御装置から受信し、
端末装置からの新規接続要求が、前記ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可し、
前記端末装置からの新規接続要求が、前記ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する前記最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する、
通信制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信制御装置、基地局装置および通信制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、モバイルネットワークは重要なインフラとなっており、例えば、災害がサービスに与える影響が大きくなっている。一般に、同一エリアに複数の通信事業者がモバイル(RAN(Radio Access Network))サービスを提供している。加入者は、特定の通信事業者と契約しており、特定の通信事業者が運営するモバイルネットワークしか使用できない。
【0003】
一方、通信事業者が運営するモバイルネットワークの障害時に、他の通信事業者のモバイルネットワークを利用して、引き続きサービスを受けることができる方法が検討されており、特に、災害時に他の通信事業者が運営するモバイルネットワークへローミング(災害ローミング)することが可能となってきている。
【0004】
しかしながら、基地局の設計時に他の通信事業者からどの程度の端末数がローミングするかは想定されていないため、他の通信事業者からのローミングによってシステムの許容数以上の接続があった場合に輻輳や接続規制が発生し、モバイルネットワークを運営する通信事業者の加入者へのサービス低下が発生する恐れがある。これに関連する技術として、下記の特許文献1に開示された発明がある。
【0005】
特許文献1には、1つのPLMN(Public Land Mobile Network)が最大付与リソースに到達すると、eNB(evolved NodeB)はそのPLMNに属するUE(User Equipment)からの更なる接続要求をブロックすることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-201841号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1によれば、1つのPLMNが最大付与リソースに到達すると、eNBはそのPLMNに属するUEからの更なる接続要求をブロックすることができる。しかしながら、災害ローミング時に、モバイルネットワークを運営する通信事業者の加入者と、他の通信事業者の加入者とを区別して制御を行うものではないため、モバイルネットワークを運営する通信事業者の加入者へのサービス低下を防止することはできない。
【0008】
本発明の一態様は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、災害ローミング時において、モバイルネットワークを運営する通信事業者の加入者へのサービス低下を防止する技術を提供することを一目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る通信システムは、災害ローミング時にローミングサービスを提供する通信制御装置と基地局装置と、を備える通信システムであって、前記通信制御装置は、前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を記憶する記憶手段と、前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を前記基地局装置に通知する通知手段と、を備え、前記基地局装置は、前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を前記通信制御装置から受信する受信手段と、端末装置からの新規接続要求が、前記ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可し、前記端末装置からの新規接続要求が、前記ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する前記最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する判定手段と、を備えている。
【0010】
本発明の一態様に係る通信制御装置は、災害ローミング時にローミングサービスの提供を制御する通信制御装置であって、前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を記憶する記憶手段と、前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を基地局に通知する通知手段と、を備えている。
【0011】
本発明の一態様に係る基地局装置は、災害ローミング時にローミングサービスの提供を制御する基地局装置であって、前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を通信制御装置から受信する受信手段と、端末装置からの新規接続要求が、前記ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可し、前記端末装置からの新規接続要求が、前記ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する前記最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する判定手段と、を備えている。
【0012】
本発明の一態様に係る通信制御方法は、災害ローミング時にローミングサービスを提供する通信制御装置と基地局装置と、を備える通信システムにおける通信制御方法であって、前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を記憶し、前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を前記基地局装置に通知し、端末装置からの新規接続要求が、前記ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可し、前記端末装置からの新規接続要求が、前記ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する前記最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する。
【0013】
本発明の一態様に係る通信制御方法は、災害ローミング時にローミングサービスの提供を制御する通信制御方法であって、前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を記憶し、前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を基地局に通知する。
【0014】
本発明の一態様に係る通信制御方法は、災害ローミング時にローミングサービスの提供を制御する通信制御方法であって、前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を通信制御装置から受信し、端末装置からの新規接続要求が、前記ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可し、前記端末装置からの新規接続要求が、前記ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する前記最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、災害ローミング時において、モバイルネットワークを運営する通信事業者の加入者へのサービス低下を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の第1の例示的実施形態に係る通信システムの構成例を示すブロック図である。
図2】本発明の第1の例示的実施形態に係る通信システムの処理方法の流れを示すフロー図である。
図3】本発明の第1の例示的実施形態に係る通信制御装置の構成例を示すブロック図である。
図4】本発明の第1の例示的実施形態に係る基地局装置の構成例を示すブロック図である。
図5】本発明の第2の例示的実施形態に係る通信システムの構成例を示すブロック図である。
図6】通常時における通信システムの動作を模式的に示す図である。
図7】災害ローミング時における通信システムの動作を模式的に示す図である。
図8】本発明の第2の例示的実施形態に係る通信システムの処理手順を示すシーケンス図である。
図9】各例示的実施形態に係る通信システム、基地局装置および通信制御装置として機能するコンピュータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
〔例示的実施形態1〕
<発明の概要>
災害時に他の通信事業者が運営するモバイルネットワーク(以下、通信システムとも呼ぶ。)へローミング(災害ローミング)することが可能となってきている。ローミングとは、契約している通信事業者のサービスを、その通信事業者のサービス提供範囲外でも、提携している他の通信事業者の設備を利用してサービスを受けられるようにすることである。また、災害ローミングとは、災害等によって契約している通信事業者からサービスを受けられなくなった場合に、提携している他の通信事業者の設備を利用してサービスを受けられるようにすることである。
【0018】
しかしながら、基地局の設計時に他の通信事業者からどの程度の端末数がローミングするかを想定していない場合、他の通信事業者からのローミングによってシステムの許容数以上の接続があった場合には、輻輳や接続規制が発生し、モバイルネットワークを運営する通信事業者の加入者へのサービス低下が発生する恐れがある。
【0019】
本例示的実施形態に係る通信システムにおいては、ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者の接続のみを制限し、ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者への影響を抑えながら、他通信事業者の加入者も受け入れることを可能とする。なお、ローミング元とは、ローミングサービスを受ける側のことである。
【0020】
<例示的実施形態1に係る通信システム100>
本発明の第1の例示的実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。本例示的実施形態は、後述する例示的実施形態の基本となる形態である。なお、この概要に付記した図面参照符号は、理解を助けるための一例として各要素に便宜上付記したものであり、本発明を図示の態様に限定することを意図するものではない。また、以降の説明で参照する図面等のブロック間の接続線は、双方向及び単方向の双方を含む。一方向矢印については、主たる信号(データ)の流れを模式的に示すものであり、双方向性を排除するものではない。また、図中の各ブロックの入出力の接続点には、ポート乃至インタフェースを備える構成としてもよいが、これらの構成については図示を省略する。
【0021】
図1は、本発明の第1の例示的実施形態に係る通信システム100の構成例を示すブロック図である。本例示的実施形態に係る通信システム100は、災害ローミング時にローミングサービスを提供する通信システムであって、図1に示すように、基地局装置1と、通信制御装置2と、を備えている。基地局装置1は、受信手段11と、判定手段12とを備えている。また、通信制御装置2は、通知手段21と、記憶手段22と、を備えている。
【0022】
通信システム100は、3GPP(第3世代移動通信システムパートナーシッププロジェクト)によって規定される5G(第5世代移動通信システム)、4G(第4世代移動通信システム)、ローカル5G、ローカル4G等である。
【0023】
通信制御装置2の記憶手段22は、ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を記憶する。このローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数は、記憶手段22に基地局ごとに記憶されている。
【0024】
ローミング元通信事業者は、災害等によって自身のモバイルネットワークによるサービスの提供ができなくなった通信事業者であり、他の通信事業者からローミングサービスの提供を受ける通信事業者である。また、自通信事業者は、災害等が発生した場合でも自身のモバイルネットワークによるサービスの提供が可能な通信事業者であり、他の通信事業者にローミングサービスを提供する通信事業者である。
【0025】
最大受入可能加入者数は、災害ローミング時において自通信事業者が運営する通信システムが受入可能なローミング元通信事業者の加入者数の最大値であり、ローミング元通信事業者が複数の場合には、ローミング元通信事業者ごとに最大受入可能加入者数が設定される。
【0026】
通信制御装置2の通知手段21は、ローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を基地局装置1に通知する。通信システム100が、例えば、3GPPによって規定される5Gであれば、通知手段21は、基地局装置1であるgNB(next generation NodeB)と通信制御装置2であるAMF(Access and Mobility Function)との間のインタフェースN2を介して、最大受入可能加入者数を基地局装置1に通知する。
【0027】
基地局装置1の受信手段11は、ローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を通信制御装置2から受信する。通信システム100が、例えば、3GPPによって規定される5Gであれば、受信手段11は、基地局装置1であるgNBと通信制御装置2であるAMFとの間のインタフェースN2を介して、最大受入可能加入者数を通信制御装置2から受信する。
【0028】
基地局装置1の判定手段12は、端末装置からの新規接続要求が、自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可する。これによって、通信システム100は、災害ローミング時においても、自通信事業者の加入者端末からの新規接続要求を制限することがなく、自通信事業者の加入者へのサービスの低下を防止することができる。
【0029】
また、判定手段12は、端末装置からの新規接続要求が、ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する。
【0030】
例えば、判定手段12は、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求により、当該ローミング元通信事業者の加入者端末の接続数が、対応する最大受入可能加入者数を超えない場合に、当該新規接続要求を許可する。
【0031】
また、判定手段12は、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求により、当該ローミング元通信事業者の加入者端末の接続数が、対応する最大受入可能加入者数を超える場合に、当該新規接続要求を拒否する。これによって、通信システム100は、災害ローミング時において、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求のみを制限することができる。
【0032】
<通信システム100の効果>
以上説明したように、本例示的実施形態に係る通信システム100によれば、判定手段12は、端末装置からの新規接続要求が、自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可するので、災害ローミング時においても、自通信事業者の加入者端末からの新規接続要求を制限することがなく、自通信事業者の加入者へのサービスの低下を防止することができる。
【0033】
また、判定手段12は、端末装置からの新規接続要求が、ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定するので、災害ローミング時において、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求のみを制限することができる。
【0034】
<通信システム100による処理方法の流れ>
以上のように構成された通信システム100が実行する処理方法の流れについて、図2を参照して説明する。図2は、第1の例示的実施形態に係る通信システム100の処理方法の流れを示すフロー図である。図2に示すように、処理方法S1は、主に、通信制御装置2の処理手順であり、ステップS11~S12を含む。また、処理方法S2は、主に、基地局装置1の処理手順であり、ステップS21~S24を含む。
【0035】
まず、通信制御装置2の記憶手段22は、ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を記憶する(S11)。最大受入可能加入者数は、災害ローミング時において自通信事業者が運営する通信システムが受入可能なローミング元通信事業者の加入者数の最大値である。
【0036】
次に、通信制御装置2の通知手段21は、ローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を基地局装置1に通知する(S12)。通知手段21は、例えば、5GにおけるインタフェースN2を介して、最大受入可能加入者数を基地局装置1に通知する。
【0037】
次に、基地局装置1の受信手段11は、ローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を通信制御装置2から受信する(S21)。受信手段11は、例えば、5GにおけるインタフェースN2を介して、最大受入可能加入者数を通信制御装置2から受信する。
【0038】
次に、基地局装置1の判定手段12は、端末装置からの新規接続要求が、ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求であるか否かを判定する(S22)。判定手段12は、端末装置からの新規接続要求が、ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合(S22,Yes)、当該新規接続要求を許可し(S23)、ステップS22以降の処理を繰り返す。
【0039】
また、判定手段12は、端末装置からの新規接続要求が、ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求でない場合(S22,No)、すなわち、端末装置からの新規接続要求が、ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する(S24)。
【0040】
例えば、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求により、当該ローミング元通信事業者の加入者端末の接続数が、対応する最大受入可能加入者数を超えない場合に、当該新規接続要求を許可する。
【0041】
また、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求により、当該ローミング元通信事業者の加入者端末の接続数が、対応する最大受入可能加入者数を超える場合に、当該新規接続要求を拒否する。
【0042】
<通信システム100の処理方法の効果>
以上説明したように、本例示的実施形態に係る通信システム100の処理方法によれば、判定手段12は、端末装置からの新規接続要求が、自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可するので、災害ローミング時においても、自通信事業者の加入者端末からの新規接続要求を制限することがなく、自通信事業者の加入者へのサービスの低下を防止することができる。
【0043】
また、判定手段12は、端末装置からの新規接続要求が、ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定するので、災害ローミング時において、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求のみを制限することができる。
【0044】
<例示的実施形態1に係る通信制御装置2>
図3は、本発明の第1の例示的実施形態に係る通信制御装置2の構成例を示すブロック図である。本例示的実施形態に係る通信制御装置2は、災害ローミング時にローミングサービスの提供を制御する通信制御装置であって、図3に示すように、通知手段21と、記憶手段22と、を備えている。
【0045】
記憶手段22は、ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を記憶する。通知手段21は、ローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を基地局に通知する。
【0046】
<例示的実施形態1に係る基地局装置1>
図4は、本発明の第1の例示的実施形態に係る基地局装置1の構成例を示すブロック図である。本例示的実施形態に係る基地局装置1は、災害ローミング時にローミングサービスの提供を制御する基地局装置であって、図4に示すように、受信手段11と、判定手段12と、を備えている。
【0047】
受信手段11は、ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を通信制御装置2から受信する。
【0048】
判定手段12は、端末装置からの新規接続要求が、ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可し、端末装置からの新規接続要求が、ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する。
【0049】
〔例示的実施形態2〕
<例示的実施形態2に係る通信システム100Aの構成例>
図5は、本発明の第2の例示的実施形態に係る通信システム100Aの構成を示す図である。本例示的実施形態に係る通信システム100Aは、基地局装置1Aと、通信制御装置(AMF)2Aと、SMF(Session Management Function)3と、UPF(User Plane Function)4と、を備えている。
【0050】
5GC(5Gコアネットワーク)においては、通信の確立等の制御信号通信のためのC-Plane(Control Plane)と、ユーザデータ通信のためのU-Plane(User Plane)とを分離して処理するアーキテクチャが採用されている。C-Planeには、AMF2A、SMF3等が含まれる。また、U-Planeには、UPF4が含まれる。
【0051】
AMF2Aは、UE(端末装置)の認証、許可、モビリティ管理等を提供するNF(Network Function)であり、SMF3を制御する。また、SMF3は、UEのセッション管理、IPアドレスの割当、データ転送のためのUPF4の選択および制御等を担当するNFである。
【0052】
UEが複数のセッションを確立する場合、SMF3が、各セッションを独立して管理し、セッションごとに異なるファンクションを利用するために、AMF2Aは、異なるSMF3を各セッションに割り当てることが可能である。5GCにおいては、UEに関わる管理は1つのAMF2Aで行われ、トラフィックは個別のネットワークスライスごとのSMF3が取り扱う。
【0053】
UPF4は、DN(Data Network)5への相互接続の外部PDU(Protocol Data Unit)セッションポイントとして機能し、パケットルーティング、フォワーディング等を行うNFである。
【0054】
DN5は、5GC外部のデータネットワークであり、インターネット等の広域ネットワーク、LAN(Local Area Network)等の狭域ネットワークが含まれる。
【0055】
通信制御装置(AMF)2Aは、通信部21Aと、記憶部22Aと、算出部23Aと、制御部24Aとを含む。通信部21Aは、本例示的実施形態において通知手段を実現する構成である。記憶部22Aは、本例示的実施形態において記憶手段を実現する構成である。算出部23Aは、本例示的実施形態において算出手段を実現する構成である。
【0056】
通信部21Aは、例えば、5GにおけるインタフェースN2を介して、基地局装置1Aとの間で通信を行う。
【0057】
記憶部22Aは、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリや、ハードディスク等によって構成されており、ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を記憶する。
【0058】
算出部23Aは、基地局ごとの受入可能加入者数、自通信事業者とローミング元通信事業者との間における契約条件に含まれるローミング時の受入加入者数、コアネットワーク(AMF)の受入可能加入者数から、ローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を算出し、記憶部22Aに記憶する。
【0059】
通信制御装置(AMF)2Aは、複数の基地局(gNB)を収容しており、基地局(gNB)ごとに受入可能加入者数(または受入可能接続数)が決められている。例えば、受入可能加入者数は、(該当エリアで受入可能な加入者数/該当エリア内の基地局数)で一律に算出されてもよい。また、基地局ごとに受入可能加入者数が算出されてもよい。
【0060】
自通信事業者とローミング元通信事業者との間で契約条件が定められており、その契約条件にローミング時の受入加入者数が含まれている。例えば、基地局ごとの受け入れ可能加入者数は、次式(式1)を満たすことが必要となる。
【0061】
基地局ごとの受入可能加入者数>((ローミング元通信事業者1の受入可能加入者数)+…+(ローミング元通信事業者nの受入可能加入者数))/エリア内の基地局数 ・・・(式1)
また、通信制御装置(AMF)2Aの受入可能加入者数は、次式(式2)を満たすことが必要となる。
【0062】
通信制御装置の受入可能加入者数>自通信事業者の登録加入者数+複数のローミング元通信事業者の受入可能加入者の総数 ・・・(式2)
また、基地局(gNB)によってリソース能力(処理性能)が異なる場合には、基地局のリソース能力に応じて、基地局(gNB)ごとの受入可能加入者数を按分するようにしてもよい。
【0063】
例えば、算出部23Aは、基地局ごとの受入可能加入者数を、契約条件で定められた各ローミング元通信事業者のローミング時の受入加入者数の比率に応じて配分し、各ローミング元通信事業者に割り当てるようにしてもよい。
【0064】
制御部24Aは、通信制御装置2Aの全体的な制御を行い、主に、上述のAMFの機能を実現する。
【0065】
通信部21Aは、災害ローミングの受け入れを開始したときに、記憶部22Aに記憶されるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を基地局装置1Aに通知するようにしてもよい。
【0066】
また、通知部21Aは、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求数に応じて、ローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を通知するようにしてもよい。
【0067】
また、通信部21Aは、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求により、当該ローミング元通信事業者の加入者の登録数が、対応する最大受入可能加入者数を超えるときに、ローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を基地局装置1Aに通知するようにしてもよい。
【0068】
例えば、制御部24Aは、基地局装置1Aを介して、端末装置から登録要求がある場合、基地局装置1Aからのメッセージに含まれるPLMNに基づいて、登録要求がどの通信事業者の加入者端末からの登録要求であるかを判別する。そして、制御部24Aは、ローミング元通信事業者ごとに加入者の登録数をカウントし、登録数が最大受入可能加入者数を超えるローミング元通信事業者がある場合、通信部21Aに、ローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を基地局装置1Aに通知させる。このとき、通信部21Aは、現在のローミング元通信事業者ごとの登録数を基地局装置1Aに通知するようにしてもよい。
【0069】
基地局装置1Aは、通信部11Aと、判定部12Aと、制御部13Aとを含む。通信部11Aは、本例示的実施形態において受信手段を実現する構成である。判定部12Aは、本例示的実施形態において判定手段を実現する構成である。
【0070】
通信部11Aは、例えば、5GにおけるインタフェースN2を介して、通信制御装置2Aとの間で通信を行い、ローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を通信制御装置2Aから受信する。
【0071】
制御部13Aは、基地局装置1Aの全体的な制御を行い、主に、3GPPによって規定されるRAN(Radio Access Network)の機能を実現する。
【0072】
判定部12Aは、端末装置からの新規接続要求が、自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可する。また、判定部12Aは、端末装置からの新規接続要求が、ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する。
【0073】
例えば、通信部11Aは、通信制御装置2Aが災害ローミングの受け入れを開始したときに、通信制御装置2Aからローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を受信する。判定部12Aは、メッセージに含まれるPLMNに基づいて、新規接続要求がどの通信事業者の加入者端末からの接続要求であるかを判別する。そして、判定部12Aは、ローミング元通信事業者ごとに接続数をカウントし、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求により、当該ローミング元通信事業者の加入者端末の接続数が、対応する最大受入可能加入者数を超えない場合に、当該新規接続要求を許可する。
【0074】
また、判定部12Aは、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求により、当該ローミング元通信事業者の加入者端末の接続数が、対応する最大受入可能加入者数を超える場合に、当該新規接続要求を拒否する。
【0075】
図6は、通常時における通信システム100Aの動作を模式的に示す図である。通信事業者Aが運営する通信システム100A-1が正常に動作している場合、通信事業者Aの加入者端末6Aは、通信システム100A-1からサービスを受けることができる。
【0076】
同様に、通信事業者Bが運営する通信システム100A-2が正常に動作している場合、通信事業者Bの加入者端末6Bは、通信システム100A-2からサービスを受けることができる。
【0077】
図7は、災害ローミング時における通信システムの動作を模式的に示す図である。図7は、災害の発生時において、通信事業者Aが運営する通信システム100A-1に異常が発生し、通信事業者Aの加入者端末6Aが、通信システム100A-1からサービスを受けることができなくなった場合を示している。
【0078】
一方、災害の発生時においても、通信事業者Bが運営する通信システム100A-2がサービスを提供することができる状態の場合、災害ローミングが開始される。このとき、通信事業者Aの加入者端末6Aは、通信事業者Bが運営する通信システム100A-2のローミングサービスを受けることができる。
【0079】
図8は、本発明の第2の例示的実施形態に係る通信システムの処理手順を示すシーケンス図である。まず、通信事業者Aの加入者端末(UE(A))6Aが、通信事業者Aが運営する通信システム100A-1の基地局装置(gNB(A))1A-1との間でRegistrationを行っている(S31)。また、通信事業者Bの加入者端末(UE(B))6Bが、通信事業者Bが運営する通信システム100A-2の基地局装置(gNB(B))1A-2および通信制御装置(AMF(B))2A-2との間でRegistrationを行っている(S32,S33)。
【0080】
災害の発生時において、通信事業者Aが運営する通信システム100A-1に異常が発生し、通信事業者Aの加入者端末6Aが、通信システム100A-1からサービスを受けることができなくなると、ローミングが開始される(S34)。
【0081】
複数の加入者端末6Aが、基地局装置(gNB(B))1A-2を介して、通信制御装置(AMF(B))2A-2にRegistration Requestを発行する(S35,S36)。このとき、通信制御装置(AMF(B))2A-2は、災害ローミングの受け入れを開始しており(S37)、基地局装置(gNB(B))1A-2に輻輳制御開始(OVERLOAD START)をNGAP(NG Application Protocol)で通知する(S38)。
【0082】
基地局装置(gNB(B))1A-2は、通信制御装置(AMF(B))2A-2からOVERLOAD STARTを受信すると、ローミング元通信事業者ごとの接続規制を開始する(S39)。上述のように、基地局装置(gNB(B))1A-2は、通信制御装置(AMF(B))2A-2が災害ローミングの受け入れを開始したときに、通信制御装置(AMF(B))2A-2からローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を受信する。
【0083】
基地局装置(gNB(B))1A-2は、メッセージに含まれるPLMNに基づいて、新規接続要求がどの通信事業者の加入者端末からの接続要求であるかを判別する。そして、基地局装置(gNB(B))1A-2は、ローミング元通信事業者ごとに接続数をカウントし、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求により、当該ローミング元通信事業者の加入者端末の接続数が、対応する最大受入可能加入者数を超えない場合に、当該新規接続要求を許可する。
【0084】
また、基地局装置(gNB(B))1A-2は、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求により、当該ローミング元通信事業者の加入者端末の接続数が、対応する最大受入可能加入者数を超える場合に、当該新規接続要求を拒否する。
【0085】
図8に示すように、基地局装置(gNB(B))1A-2が、通信事業者Aの加入者端末(UE(A))6Aからの新規接続要求(RRC Setup Request)を受信すると(S40)、通信事業者Aの加入者端末6Aの接続数が、通信事業者Aの最大受入可能加入者数を超えるか否かを判定する。
【0086】
通信事業者Aの加入者端末6Aの接続数が、通信事業者Aの最大受入可能加入者数を超える場合(許容数超過)、基地局装置(gNB(B))1A-2は、加入者端末(UE(A))6Aに対してRRC Rejectを送信し、新規接続要求を拒否する(S41)。
【0087】
一方、基地局装置(gNB(B))1A-2が、通信事業者Bの加入者端末(UE(B))6Bからの新規接続要求(RRC Setup Request)を受信すると(S42)、新規接続要求を許可し、加入者端末(UE(B))6Bに対してRRC Setupを送信する(S43)。
【0088】
加入者端末(UE(B))6Bは、基地局装置(gNB(B))1A-2からRRC Setupを受信すると、通信制御装置(AMF(B))2A-2に対してRegistration Requestを発行する(S44)。
【0089】
<通信システム100Aの効果>
以上説明したように、本例示的実施形態に係る通信システム100Aによれば、基地局装置1Aの判定部12Aが、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求により、当該ローミング元通信事業者の加入者端末の接続数が、対応する最大受入可能加入者数を超える場合に、当該新規接続要求を拒否する。したがって、通信システム100Aは、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求のみを制限することができ、自通信事業者の加入者へのサービスの低下を防止することができる。
【0090】
また、通信制御装置2Aの通信部21Aは、災害ローミングの受け入れを開始したときに、記憶部22Aに記憶されるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を基地局装置1Aに通知する。したがって、通信制御装置2Aは、災害ローミングの受入開始前に、ローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を更新し、災害ローミングの受入開始時にその値を反映させて基地局装置1Aに通知することができる。
【0091】
また、通信制御装置2Aの通信部21Aは、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求により、当該ローミング元通信事業者の加入者の登録数が、対応する最大受入可能加入者数を超えるときに、ローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を基地局装置1Aに通知する。したがって、基地局装置1Aは、災害ローミングの受入開始から通知を受信するまでの間、ローミング元通信事業者ごとの加入者の接続数をカウントする必要がなくなり、処理負荷を軽減することができる。
【0092】
また、通信制御装置2Aの算出部23Aは、基地局ごとの受入可能加入者数、自通信事業者とローミング元通信事業者との間における契約条件に含まれるローミング時の受入加入者数、コアネットワーク(AMF)の受入可能加入者数から、ローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を算出する。したがって、自通信事業者とローミング元通信事業者との間における契約条件の変更等があった場合、算出部23Aは、容易に変更内容を最大受入可能加入者数に反映させることができる。
【0093】
〔ソフトウェアによる実現例〕
基地局装置1、1A、通信制御装置2、2A、通信システム100,100Aの一部又は全部の機能は、集積回路(ICチップ)等のハードウェアによって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0094】
後者の場合、基地局装置1、1A、通信制御装置2、2A、通信システム100、100Aは、例えば、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータによって実現される。このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を図9に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCを基地局装置1、1A、通信制御装置2、2A、通信システム100、100Aとして動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、プログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、基地局装置1、1A、通信制御装置2、2A、通信システム100、100Aの各機能が実現される。
【0095】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PPU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0096】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAMを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インタフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウス、ディスプレイやプリンタなどの入出力機器を接続するための入出力インタフェースを更に備えていてもよい。
【0097】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0098】
〔付記事項1〕
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。例えば、上述した実施形態に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0099】
〔付記事項2〕
上述した実施形態の一部又は全部は、以下のようにも記載され得る。ただし、本発明は、以下の記載する態様に限定されるものではない。
【0100】
(付記1)
災害ローミング時にローミングサービスを提供する通信制御装置と基地局装置と、を備える通信システムであって、
前記通信制御装置は、
前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を記憶する記憶手段と、
前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を前記基地局装置に通知する通知手段と、を備え、
前記基地局装置は、
前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を前記通信制御装置から受信する受信手段と、
端末装置からの新規接続要求が、前記ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可し、
前記端末装置からの新規接続要求が、前記ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する前記最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する判定手段と、
を備える通信システム。
【0101】
上記の構成によれば、災害ローミング時においても、自通信事業者の加入者端末からの新規接続要求を制限することがなく、自通信事業者の加入者へのサービスの低下を防止することができる。
【0102】
また、災害ローミング時において、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求のみを制限することができる。
【0103】
(付記2)
前記判定手段は、前記ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求により、当該ローミング元通信事業者の加入者端末の接続数が、対応する前記最大受入可能加入者数を超える場合に、当該新規接続要求を拒否する、
付記1に記載の通信システム。
【0104】
上記の構成によれば、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求のみを制限することができ、自通信事業者の加入者へのサービスの低下を防止することができる。
【0105】
(付記3)
前記通知手段は、災害ローミングの受け入れを開始したときに、前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を通知する、
付記1または2に記載の通信システム。
【0106】
上記の構成によれば、災害ローミングの受入開始前に、ローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を更新し、災害ローミングの受入開始時にその値を反映させて基地局装置に通知することができる。
【0107】
(付記4)
前記通知手段は、前記ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求数に応じて、前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を通知する、
付記1または2に記載の通信システム。
【0108】
上記の構成によれば、基地局装置は、災害ローミングの受入開始から通知を受信するまでの間、ローミング元通信事業者ごとの加入者の接続数をカウントする必要がなくなり、処理負荷を軽減することができる。
【0109】
(付記5)
基地局ごとの受入可能加入者数、前記自通信事業者と前記ローミング元通信事業者との間における契約条件に含まれるローミング時の受入加入者数、コアネットワークの受入可能加入者数から、前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を算出する算出手段を更に備える、
付記1~4のいずれかに記載の通信システム。
【0110】
上記の構成によれば、自通信事業者とローミング元通信事業者との間における契約条件の変更等があった場合、算出手段は、容易に変更内容を最大受入可能加入者数に反映させることができる。
【0111】
(付記6)
災害ローミング時にローミングサービスの提供を制御する通信制御装置であって、
前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を記憶する記憶手段と、
前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を基地局に通知する通知手段と、
を備える通信制御装置。
【0112】
上記の構成によれば、ローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を更新し、災害ローミングの受入開始時にその値を反映させて基地局装置に通知することができる。
【0113】
(付記7)
災害ローミング時にローミングサービスの提供を制御する基地局装置であって、
前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を通信制御装置から受信する受信手段と、
端末装置からの新規接続要求が、前記ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可し、
前記端末装置からの新規接続要求が、前記ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する前記最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する判定手段と、
を備える基地局装置。
【0114】
上記の構成によれば、災害ローミング時においても、自通信事業者の加入者端末からの新規接続要求を制限することがなく、自通信事業者の加入者へのサービスの低下を防止することができる。
【0115】
また、災害ローミング時において、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求のみを制限することができる。
【0116】
(付記8)
災害ローミング時にローミングサービスを提供する通信制御装置と基地局装置と、を備える通信システムにおける通信制御方法であって、
前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を記憶し、
前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を前記基地局装置に通知し、
端末装置からの新規接続要求が、前記ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可し、
前記端末装置からの新規接続要求が、前記ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する前記最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する、
通信制御方法。
【0117】
上記の構成によれば、災害ローミング時においても、自通信事業者の加入者端末からの新規接続要求を制限することがなく、自通信事業者の加入者へのサービスの低下を防止することができる。
【0118】
また、災害ローミング時において、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求のみを制限することができる。
【0119】
(付記9)
災害ローミング時にローミングサービスの提供を制御する通信制御方法であって、
前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を記憶し、
前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を基地局に通知する、
通信制御方法。
【0120】
上記の構成によれば、ローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を更新し、災害ローミングの受入開始時にその値を反映させて基地局に通知することができる。
【0121】
(付記10)
災害ローミング時にローミングサービスの提供を制御する通信制御方法であって、
前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を通信制御装置から受信し、
端末装置からの新規接続要求が、前記ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可し、
前記端末装置からの新規接続要求が、前記ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する前記最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する、
通信制御方法。
【0122】
上記の構成によれば、災害ローミング時においても、自通信事業者の加入者端末からの新規接続要求を制限することがなく、自通信事業者の加入者へのサービスの低下を防止することができる。
【0123】
また、災害ローミング時において、ローミング元通信事業者の加入者端末からの新規接続要求のみを制限することができる。
【0124】
(付記11)
災害ローミング時にローミングサービスを提供する通信制御装置と基地局装置と、を備える通信システムであって、
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、
前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を記憶する処理と、
前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を前記基地局装置に通知する処理と、
端末装置からの新規接続要求が、前記ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可する処理と、
前記端末装置からの新規接続要求が、前記ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する前記最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する処理と、
を実行する通信システム。
【0125】
なお、この通信システムは、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記記憶する処理と、前記通知する処理と、前記許可する処理と、前記許否を判定する処理とを前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【0126】
(付記12)
災害ローミング時にローミングサービスの提供を制御する通信制御装置であって、
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、
前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を記憶する処理と、
前記ローミング元通信事業者ごとの前記最大受入可能加入者数を基地局に通知する処理と、
を実行する通信制御装置。
【0127】
なお、この推論装置は、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記記憶する処理と、前記通知する処理とを前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【0128】
(付記13)
災害ローミング時にローミングサービスの提供を制御する基地局装置であって、
少なくとも1つのプロセッサを備え、前記プロセッサは、
前記ローミングサービスを受けるローミング元通信事業者ごとの最大受入可能加入者数を通信制御装置から受信する処理と、
端末装置からの新規接続要求が、前記ローミングサービスを提供する自通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該新規接続要求を許可する処理と、
前記端末装置からの新規接続要求が、前記ローミング元通信事業者の加入者端末からの接続要求の場合、当該ローミング元通信事業者に対応する前記最大受入可能加入者数に基づいて、当該新規接続要求に対する許否を判定する処理と、
を実行する基地局装置。
【0129】
なお、この推論装置は、更にメモリを備えていてもよく、このメモリには、前記受信する処理と、前記許可する処理と、前記許否を判定する処理とを前記プロセッサに実行させるためのプログラムが記憶されていてもよい。また、このプログラムは、コンピュータ読み取り可能な一時的でない有形の記録媒体に記録されていてもよい。
【符号の説明】
【0130】
1,1A 基地局装置(gNB)
2,2A 通信制御装置(AMF)
3 SMF
4 UPF
5 DN
11 受信手段
11A,21A 通信部
12 判定手段
12A 判定部
13A,24A 制御部
21 通知手段
22 記憶手段
22A 記憶部
23A 算出部
100,100A 通信システム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9