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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018659
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】光脱毛器
(51)【国際特許分類】
   A61N 5/06 20060101AFI20240201BHJP
   A45D 26/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
A61N5/06 Z
A45D26/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122115
(22)【出願日】2022-07-29
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年5月9日、山本美材株式会社に商談して開示した。 令和4年5月10日、有限会社アミューズコーポレーションに商談して開示した。 令和4年5月11日、株式会社ビエスト化粧品に商談して開示した。 令和4年5月12日、株式会社ラルースに商談して開示した。 令和4年5月16日、株式会社フジシンに商談して開示した。 令和4年5月17日、株式会社ソフィアコーポレーションに商談して開示した。 令和4年5月18日、株式会社ビューティガレージに商談して開示した。 令和4年5月19日、株式会社松倉に商談して開示した。 令和4年5月16日から令和4年5月18日まで開催されたビューティーワールドジャパンに展示して公開した。 令和4年6月20日から自社のホームページに掲載した。
(71)【出願人】
【識別番号】507392004
【氏名又は名称】村田 巨樹
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】村田 巨樹
【テーマコード(参考)】
4C082
【Fターム(参考)】
4C082PA01
4C082PA02
4C082PC05
4C082PE03
4C082PG05
4C082PG16
4C082PJ04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】光脱毛器の照射部位を視認することなく、また、使用する際の姿勢に関係なく要脱毛対象皮膚部に皮膚障害や熱傷が生起される虞の低い光脱毛器を提供する。
【解決手段】キセノンランプからの照射光を要脱毛皮膚部に照射して毛根蛋白質部の熱変性を生起し、毛の成長を阻害することにより脱毛するように構成した光照射脱毛機能部1と、照射光の照射口に張設してキセノンランプ光を透過照射するサファイアガラス体と、サファイアガラス体の裏面側の左右側面に当接してサファイアガラス体を冷却する冷却ユニット6と、冷却ユニットに連設した排熱伝導体65と、排熱伝導体の後方自由端に連設して冷却ユニットからの伝導熱を放熱するためのラジエータ部66と、より構成したことを特徴とする光脱毛器M。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キセノンランプからの照射光を要脱毛皮膚部に照射して毛根蛋白質部の熱変性を生起し、毛の成長を阻害することにより脱毛するように構成した光照射脱毛機能部と、
照射光の照射口に張設してキセノンランプ光を透過照射するサファイアガラス体と、
前記サファイアガラス体の裏面側の左右側面に当接してサファイアガラス体を冷却する冷却ユニットと、
前記冷却ユニットに連設した排熱伝導体と、
前記排熱伝導体の後方自由端に連設して冷却ユニットからの伝導熱を放熱するためのラジエータ部と、
より構成したことを特徴とする光脱毛器。
【請求項2】
前記冷却ユニットは、前記サファイアガラス体を冷却するための冷却機能性のペルチェ素子プレートと、冷却機能性の前記ペルチェ素子プレートの対側に位置する加熱機能性のペルチェ素子体と、を有し、前記ペルチェ素子体に生起される熱を前記排熱伝導体を通じて前記ラジエータ部に伝熱する構成としたことを特徴とする請求項1に記載の光脱毛器。
【請求項3】
前記サファイアガラス体を前記光照射脱毛機能部の前端部に突設したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光脱毛器。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を照射して脱毛処理を行う光脱毛器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、毛根のメラニン色素に反応する光を照射して脱毛を促す光脱毛(フラッシュ脱毛)が行われている。
【0003】
光脱毛(フラッシュ脱毛)は、皮膚に照射された光エネルギーが毛根及び毛根周辺のメラニン色素に吸収されて熱エネルギーに変換され、その熱エネルギーが毛根を昇温し、毛根を構成するたんぱく質を熱変性させることで毛の再生を抑制するというものである。
【0004】
光脱毛に使用される光脱毛器は、脱毛用の光源が内蔵されており、光脱毛器に設けた照射窓を介して脱毛器本体の外部に脱毛に必要な光が放射されるように構成されている。施術者は、脱毛器本体を把持し、照射窓を脱毛対象領域に接触させた状態で脱毛器本体の把持部に設けた照射ボタンを押下することにより脱毛器本体に内蔵した光源を発光し、毛根の基部に位置する毛球(毛乳頭および毛母細胞、等)に熱ダメージを与え、弱らせることで脱毛を促す。
【0005】
このようなことから、光脱毛(フラッシュ脱毛)では、毛根部分の発熱により生じる脱毛対象領域の皮膚障害(痛み、腫れ、炎症、発疹等)や熱傷が問題となる。光脱毛時における脱毛対象領域の皮膚障害や熱傷を防止するためには、脱毛対象領域を冷却することが効果的であり、このような冷却機構としては、特許文献1に記載のものが知られている。
【0006】
特許文献1には、略中央部に光源の光を透過させる開口部を有する上側基板を備えたペルチェモジュールを脱毛対象領域である肌との接触面として設け、この開口部を通じて脱毛対象領域に光源からのレーザー光を照射することで脱毛可能な皮膚治療装置が開示されている。この開口部の下部には、透明な下側基板を配設しており、開口部を有する上側基板と透明な下側基板を熱電変換素子で連結し、両基板間に直流電流を流すことにより、下側基板をペルチェモジュールの冷却側として機能させる。この光脱毛器は、ペルチェモジュールの冷却側である下側基板を脱毛対象領域に接触させ、脱毛対象領域を冷却しつつ光脱毛を実施する。これにより、特許文献1の光脱毛器は、脱毛対象領域に皮膚障害や熱傷等が生起される虞を可及的に低減しつつ脱毛できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004-215837号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の光脱毛器では、下側基板を冷却するため、常にペルチェユニットに通電されている。そのため、ペルチェユニットの上側基板側は、常に加熱状態となる。加熱された上側基板からは常に熱が放出されており、上側基板周辺の暖められた空気の対流や上側基板からの熱放射により上側基板の上方が暖められる。
従来の光脱毛器は、脱毛対象領域を視認しつつ光脱毛を実施するため、上側基板の開口部の上方にレーザー光の照射部を配設している。そのため、従来の光脱毛器は、連続して長時間使用すると上側基板の上方に位置する照射部が常時加熱状態となる。特に、照射部には脱毛対象領域に焦点が合うようにレーザー光の光路を調節する集光用のレンズが配設されており、光脱毛器を使用する度に光学部品が熱収縮すると光路が乱れて所望の脱毛効果を生起できない虞があった。
また、従来の光脱毛器は、光の照射方向を上向きとした場合、上側基板の熱放射により皮膚を冷却する下側基板があたためられ、脱毛対象領域を効率的に冷却することができなかった。このように、従来の光脱毛器は、使用する際の姿勢によって、脱毛対象領域に対する冷却性能に影響を及ぼす虞があった。
【0009】
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、光脱毛器の照射部位を視認することなく、また、使用する際の姿勢に関係なく要脱毛対象皮膚部に皮膚障害や熱傷が生起される虞の低い光脱毛器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の態様は、キセノンランプからの照射光を要脱毛皮膚部に照射して毛根蛋白質部の熱変性を生起し、毛の成長を阻害することにより脱毛するように構成した光照射脱毛機能部と、照射光の照射口に張設してキセノンランプ光を透過照射するサファイアガラス体と、前記サファイアガラス体の裏面側の左右側面に当接してサファイアガラス体を冷却可能な冷却ユニットと、前記冷却ユニットに連設した排熱伝導体と、前記排熱伝導体の後方自由端に連設して冷却ユニットからの伝導熱を放熱するためのラジエータ部と、を有する光脱毛器である。
【0011】
本発明の第2の態様は、前記冷却ユニットは、前記サファイアガラス体を冷却するための冷却機能性のペルチェ素子プレートと、冷却機能性の前記ペルチェ素子プレートの対側に位置する加熱機能性のペルチェ素子体と、を有し、前記ペルチェ素子体に生起される熱を前記排熱伝導体を通じて前記ラジエータ部に伝熱する構成としたことを特徴とする光脱毛器である。
【0012】
本発明の第3の態様は、前記サファイアガラス体を前記光照射脱毛機能部の前端部に突設したことを特徴とする光脱毛器である。
【発明の効果】
【0013】
本発明の第1の態様によれば、キセノンランプからの照射光を要脱毛皮膚部に照射して毛根蛋白質部の熱変性を生起し、毛の成長を阻害することにより脱毛するように構成した光照射脱毛機能部と、照射光の照射口に張設してキセノンランプ光を透過照射するサファイアガラス体と、前記サファイアガラス体の裏面側の左右側面に当接してサファイアガラス体を冷却可能な冷却ユニットと、前記冷却ユニットに連設した排熱伝導体と、前記排熱伝導体の後方自由端に連設して冷却ユニットからの伝導熱を放熱するためのラジエータ部と、を有する構成により、被施術者の要脱毛皮膚部をサファイアガラス体で冷却しつつ脱毛用の光を照射でき、脱毛処理後の要脱毛皮膚部に皮膚障害や熱傷が生起される虞を可及的に低減できる。
また、照射光の照射口にサファイアガラス体を設けた構成により、サファイアガラスの高い熱伝導率により接触した要脱毛皮膚部からの吸熱を効率化して、要脱毛皮膚部の冷却時間を短縮でき、施術にかかる時間を短縮できる。また、照射光がサファイアガラス体を透過して光照射脱毛機能部の外部に放射される構成のため、サファイアガラス体の高い透過率により、発光したキセノンランプ光が減衰することなく要脱毛皮膚部まで到達でき、省エネルギーで効率的に脱毛処理できる。
また、サファイアガラス体の裏面側の左右側面に冷却ユニットを当接した構成により、要脱毛皮膚部から吸熱して昇温したサファイアガラス体を冷却ユニットで容易に冷却できる。
【0014】
また、冷却ユニットに排熱伝導体を連設するとともに、排熱伝導体の後方自由端にラジエータ部を連結した構成により、サファイアガラス体の熱を吸熱して昇温した冷却ユニットの熱を排熱伝導体を通じてラジエータ部に伝達することができる。また、ラジエータ部では、ラジエータ部の周囲の空気に伝熱し、昇温された空気が光照射脱毛機能部の外部に排熱されることで、光照射脱毛機能部の内部が昇温することを抑制して、冷却ユニットが当接したサファイアガラス体を効率的に冷却できる。すなわち、要脱毛皮膚部が効率的に冷却されることで、光脱毛にかかる時間を可及的に短縮できる。
【0015】
本発明の第2の態様によれば、前記冷却ユニットは、前記サファイアガラス体を冷却するための冷却機能性のペルチェ素子プレートと、冷却機能性の前記ペルチェ素子プレートの対側に位置する加熱機能性のペルチェ素子体と、で構成したことにより、サファイアガラス体の熱を容易に吸熱し、吸熱した熱をペルチェ素子プレートと対側に設けたペルチェ素子体に伝熱できる。すなわち、冷却ユニットをペルチェ素子で構成したことにより、ペルチェ素子プレートおよびペルチェ素子体に通電する限り、サファイアガラス体を冷却し続けることができ、要脱毛皮膚部を容易に脱毛可能な温度まで下げることができる。また、ペルチェ素子体に排熱伝導体を連設し、排熱伝導体をラジエータ部と連結した構成により、ペルチェ素子体で生起された熱をラジエータ部から容易に放熱できる。これにより、ペルチェ素子体と対をなすペルチェ素子プレートを低温状態に維持できる。
【0016】
本発明の第3の態様によれば、前記サファイアガラス体を前記光照射脱毛機能部の前端部に突設したことにより、サファイアガラス体が要脱毛皮膚部に接触したかどうかを容易に認識でき、視認することなく脱毛処理できる。すなわち、サファイアガラス体と光照射脱毛機能部に段差が形成されることで、皮膚に接触している部分が光照射脱毛機能部の前部であるのか、サファイアガラス体であるのかを容易に識別でき、要脱毛皮膚部を確実に脱毛できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態にかかる光脱毛器を示す斜視図である。
図2】本発明の実施形態にかかる光脱毛器を示す側面図である。
図3】本発明の実施形態にかかる光脱毛器を示す正面図である。
図4】本発明の実施形態にかかる光脱毛器を示す図であり、(a)は平面図であり、(b)は光照射脱毛機能部の内部構造を示す模式図である。
図5】本発明の実施形態にかかる光脱毛器の空気の流路を示す模式端面図であり、(a)は図4(a)のa-a線端面図であり、(b)は図4(a)のb-b線端面図である。
図6】本発明の実施形態にかかる光脱毛器の排熱伝導体を示す図であり、(a)は斜視図であり、(b)は正面図である。
図7】本発明の実施形態にかかるラジエータ部を示す斜視図である。
図8】本発明の実施形態にかかる光脱毛器を皮膚に当接した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明は、例えば光を照射して脱毛処理を行う光脱毛器において、要脱毛皮膚部をサファイアガラス体で効率的に冷却しつつ光脱毛を実施することで脱毛時や脱毛後に皮膚障害や熱傷が生起される虞を抑制し、また、光脱毛器の姿勢に関係なくサファイアガラス体による要脱毛皮膚部の冷却が可能であり、さらには、要脱毛皮膚部を視認することなく脱毛可能な光脱毛器を実現しようとするものである。
【0019】
本発明に係る光脱毛器の基本構成について、図1から図8を参照して説明する。図1は、本発明に係る光脱毛器の斜視図である。
【0020】
本発明に係る実施形態を図面に基づき詳細に説明する。本実施形態を説明する上で使用する「上方」、「下方」、「前方」、「後方」、「左側方」、「右側方」は、図1に示す通りである。
【0021】
本実施形態の光脱毛器Mは、図1に示すように、操作スイッチ類や光脱毛器Mの状態を示す表示部を備えた光照射脱毛機能部1と、光照射脱毛機能部1の後端部近傍の下面に垂設した把持部2と、を有する。光脱毛器Mは、光照射脱毛機能部1と把持部2とで略逆“L”字状に形成している。
【0022】
光照射脱毛機能部1は、図2から図4に示すように、上下方向を短軸とする楕円体であり、内部が中空状態に形成されている。光照射脱毛機能部1は、頂側面1dに設けた吸気口10と、左右側面1b,1cに設けた排気口11と、前端面に設けた冷却機能部3と、光照射脱毛機能部1の内部であって冷却機能部3の裏面に設けた冷却ユニット6と、光照射脱毛機能部1の内部であって冷却ユニット6の前端部近傍に設けた照射部4と、頂側面1dの後端部に設けた操作部5を有する。
【0023】
吸気口10は、光照射脱毛機能部1の内部に冷却用の空気を流入させる空気の流入口である。吸気口10は、光照射脱毛機能部1の頂側面1dの略中央部に設けられており、空気流入用の開口孔部10aを複数有する。開口孔部10aは、頂側面1dの湾曲形態に沿うように形成されている。開口孔部10aは、平面視において左右方向を長軸とする略楕円形状に形成されており、全体として略方形状となるように設けられている。
【0024】
このように形成した吸気口10の近傍であって、頂側面1dの裏面側には、側壁1aを垂設している。側壁1aは、図4(a)に示すように、吸気口10の周縁部に沿って設けられている。側壁1aの下端部は、後述するラジエータ部66の上面形状に沿うように形成されており、側壁1aの下端部がラジエータ部66の上側面に当接している。これにより、光照射脱毛機能部1の内部であって、吸気口10の下方には、周囲を側壁1aで囲われた空気流入空間S1が形成されている(図5(a),(b)参照)。すなわち、吸気口10から光照射脱毛機能部1の内部に流入した空気をラジエータ部66に確実に送ることができる。
【0025】
排気口11は、図2および図5に示すように、光照射脱毛機能部1の内部で生じた熱を光照射脱毛機能部1の外部に放出するための排熱機能部である。排気口11は、光照射脱毛機能部1の左右側面1b,1cにおいて、前後方向の略中央部から前端部近傍にかけて設けられており、開口孔部11aを複数有する。開口孔部11aは、光照射脱毛機能部1の前後方向に対して一定間隔離間して併設している。開口孔部11aは、上下方向を長軸とする略長孔形状に形成され、上縁部11bを下縁部11cに対して後方に設けた後方傾斜状に形成している。
【0026】
このように開口孔部11aを光照射脱毛機能部1の左右側面1b,1cの前後方向に一定間隔離間して複数併設し、かつ、開口孔部11aを後方傾斜状の長孔形状に形成したことにより、吸気口10を介して光照射脱毛機能部1の内部に流入した空気Aが照射部4と光照射脱毛機能部1の下側内側面との間に形成された空気流出空間S2を経由していずれかの開口孔部11aから確実に放出される。これにより、光照射脱毛機能部1の内部が昇温される虞を可及的に低減できる。
【0027】
また、空気流入空間S1が光照射脱毛機能部1の内部において、他の内部空間から独立形成されることで吸気口10から流入した空気Aがラジエータ部66を確実に通過することができ、その結果、ラジエータ部66を確実に冷却できる。
【0028】
また、本実施形態に記載の光脱毛器Mは、吸気口10を上側とする照射形態以外にも、左右に傾けた形態、および下側とする形態など、様々な形態で使用することがある。これらすべての形態において、光照射脱毛機能部1の左右側面1b,1cに排気口11を設ける構成により、光照射脱毛機能部1内の熱を容易に排出することができる。これにより、後述する照射部4や冷却ユニット6で生起された熱が光照射脱毛機能部1の内部に滞留する虞を低減して、光照射脱毛機能部1内が昇温することを防止できる。
【0029】
光照射脱毛機能部1に設けた吸気口10および排気口11は、光照射脱毛機能部1の内部に設けた空気流通路12で連結されている。空気流通路12は、図5(a),(b)に示すように、光照射脱毛機能部1の内部であって、吸気口10の下方に形成された空気流入空間S1と、同じく光照射脱毛機能部1の内部であって、光照射脱毛機能部1の下側内側面と光照射脱毛機能部1の左右側面1b,1cに設けた排気口11との間に形成された空気流出空間S2と、を有する。
【0030】
空気流入空間S1は、側壁1aで周囲を囲われ、上下を開放状とした方形筒状の空気Aの流通路であり、開放した一端部を吸気口10と連結し、他端部をラジエータ部66の上面に連結している。空気流出空間S2は、光照射脱毛機能部1の下側内側面と後述の照射部4の下面との間に形成された空間と、光照射脱毛機能部1の左右側面1b,1cの内側面と照射部4の左右側面との間に形成された空間と、を連結した空気Aの流通路である。空気流出空間S2は、一端部をラジエータ部66の下部に設けた冷却ファン68に連結し、他端部を排気口11に連結している。
【0031】
空気流入空間S1および空気流出空間S2は、ラジエータ部66および冷却ファン68を介して連結している。すなわち、吸気口10から空気流入空間S1に流入した空気Aは、ラジエータ部66および冷却ファン68を通過して空気流出空間S2に到達し、空気流出空間S2から排気口11を通じて光照射脱毛機能部1の外部に放出される。
【0032】
このように吸気口10から光照射脱毛機能部1に流入した空気Aが空気流通路12を通じて排気口11から排出される構成により、周囲温度と比較して高温に昇温された空気が光照射脱毛機能部1の内部に滞留することを防止している。すなわち、光照射脱毛機能部1内部の空気の昇温を抑制することで要脱毛皮膚部Tを冷却するサファイアガラス体33を効率的に冷却できる。
【0033】
光照射脱毛機能部1の前端部には、要脱毛皮膚部Tを脱毛前に予め冷却する冷却機能部3を有する。冷却機能部3は、図2および図3に示すように、光照射脱毛機能部1の前端部に位置する皮膚冷却部30と、皮膚冷却部30の略中央部に設けた凸部31と、凸部31に嵌入したサファイアガラス体33を有する。
【0034】
皮膚冷却部30は、銅やアルミニウム等の熱伝導率の高い金属からなり、正面視において、上下方向を短軸とする略楕円形状に形成されている。皮膚冷却部30の中央部には、前方に突出した凸部31を設けている。凸部31は、正面視において、略方形状に形成されている。凸部31は、上下左右にそれぞれ突壁部31a,31b,31c,31dを有する。
【0035】
各突壁部31a,31b,31c,31dの皮膚冷却部30からの突出長Laは、冷却機能部3を要脱毛皮膚部Tに当接した状態において、各突壁部31a,31b,31c,31dが要脱毛皮膚部Tに埋没できる程度の長さに形成している。本実施形態において、各突壁部31a,31b,31c,31dの突出長Laは、略2mmに形成している。
【0036】
このように形成された凸部31の中央部には、開口部32を有する。開口部32は、正面視において、略方形状で前後方向を開放状とした方形筒状に形成されている。この開口部32には、要脱毛皮膚部Tを冷却するためのサファイアガラス体33を嵌入している。
【0037】
サファイアガラス体33は、高い熱伝導率および高い光透過性のサファイアガラスからなり、要脱毛皮膚部Tを冷却する冷却部として、および脱毛用の光を光照射脱毛機能部1の外部に放射する光路として機能する。
【0038】
サファイアガラス体33は、図3および図4(a),(b)に示すように、正面視・平面視いずれも方形状の直方体に形成されており、各突壁部31a,31b,31c,31dの内側面と接触しつつ各突壁部の前端部と略面一となるように開口部32に嵌入している。これにより、冷却機能部3は、サファイアガラス体33の前端面33aと各突壁部31a,31b,31c,31dの前端部とで一体の冷却機構を形成しつつ、サファイアガラス体33の前端面以外から光が放射されない構成としている。
【0039】
また、サファイアガラス体33は、左右側面および上下面にアルミで形成された反射膜を蒸着している。これにより、サファイアガラス体33は、照射部4で生起された光が後面から侵入すると上下左右に蒸着した反射膜で反射されてサファイアガラス体33の前面から光照射脱毛機能部1の外部に放射される。また、サファイアガラス体33の後面には、特定の波長域の光を透過し、その他の波長域の光を吸収するフィルタを貼設している。本実施形態において、フィルタは、照射部4で生起された光のうち、比較的波長の長い光のみを透過するロングパスフィルタである。詳細には、フィルタは、照射部4で生起された光のうち600nm~1200nmの光を透過して、それ以外の波長域の光を吸収するように構成している。
【0040】
このように予め接触して要脱毛皮膚部Tを冷却するサファイアガラス体33を各突壁部31a,31b,31c,31dの前端部と略面一に設け、凸部31を要脱毛皮膚部Tに当接して埋没状態にできる突出長Laとすることにより、要脱毛皮膚部Tを確実に冷却しつつ脱毛用の光が非冷却部に照射される虞を可及的に低減できる。また、凸部31が要脱毛皮膚部Tに埋没することで、要脱毛皮膚部Tの周囲の皮膚部が皮膚冷却部30の前端面と接触状態となり要脱毛皮膚部Tの周囲の皮膚部を冷却できる(図8参照)。このように、要脱毛皮膚部Tに隣接した皮膚部を皮膚冷却部30で予め冷却できる構成により、要脱毛皮膚部Tの周囲からも要脱毛皮膚部Tを冷却でき、要脱毛皮膚部Tの冷却時間を短縮して脱毛全体に要する時間を短縮できる。このように構成した冷却機能部3の背面には、冷却機能部3を冷却するための冷却ユニット6を配設している。
【0041】
<冷却ユニット>
冷却ユニット6は、図4(b)に示すように、皮膚冷却部30の左右両端部近傍の裏面およびサファイアガラス体33の裏面側の左右側面に接触配置している。
【0042】
冷却ユニット6は、皮膚冷却部30およびサファイアガラス体33を冷却する冷却部60と、冷却部60に連設した排熱伝導体65と、排熱伝導体65に連結したラジエータ部66とを有する。
【0043】
冷却部60は、ペルチェ効果を利用した冷却機構である。冷却部60は、冷却機能性のペルチェ素子プレート61と、ペルチェ素子プレート61に対向して平行状に設けた加熱機能性のペルチェ素子体62と、ペルチェ素子プレート61とペルチェ素子体62との間に架設したn型半導体63、およびp型半導体64とを有する。冷却部60は、ペルチェ素子プレート61とペルチェ素子体62にn型半導体63およびp型半導体64を介して直流電流を流すことでペルチェ素子プレート61側が冷却面として機能し、ペルチェ素子体62側が加熱面として機能する。なお、冷却部60には、ペルチェ素子プレート61、n型半導体63、ペルチェ素子体62、p型半導体64の順番に直流電流が流れるように構成している。これにより、冷却部60は、ペルチェ素子プレート61側が冷却面として機能する。
【0044】
ペルチェ素子プレート61は、サファイアガラス体33の裏面側の左右側面部、および冷却機能部3に当接されており、サファイアガラス体33を効率的に冷却する冷却機構として機能する。
ペルチェ素子プレート61は、銅やアルミニウムからなる金属製の板体であり、前端部を皮膚冷却部30の裏面に当接し、側端部をサファイアガラス体33の側面に当接している。これにより、ペルチェ素子プレート61が皮膚冷却部30およびサファイアガラス体33を冷却できる。すなわち、ペルチェ素子プレート61がペルチェ効果を利用して冷却されることで、皮膚冷却部30およびサファイアガラス体33を冷却できる。なお、サファイアガラス体33は、ペルチェ素子プレート61から直接冷却されるだけでなく、皮膚冷却部30の開口部32の内側面と接触する構成であることから、ペルチェ素子プレート61によって冷却された皮膚冷却部30によっても冷却されている。
【0045】
ペルチェ素子体62は、ペルチェ素子プレート61と同じく銅やアルミニウムからなる金属製の板体であり、ペルチェ素子プレート61から後方に一定距離離間してペルチェ素子プレート61に平行状に設けている。ペルチェ素子体62は、ペルチェ素子プレート61よりも左右幅を短く形成しており、左右端部が皮膚冷却部30から一定距離離間して配設している。これにより、ペルチェ素子体62に生起された熱が直接皮膚冷却部30に伝熱されることを防止している。ペルチェ素子プレート61およびペルチェ素子体62は、n型半導体63とp型半導体64で連結されており、直流電流を流すことでペルチェ素子プレート61が保有する熱エネルギーをペルチェ素子体62に伝達できる。このように構成した冷却部60の背面には、排熱伝導体65を連結している。
【0046】
排熱伝導体65は、ペルチェ素子体62の裏面に接触配置された放熱面部65aと、放熱面部65aの裏面から後方に屈曲伸延した屈曲部65gと、屈曲部65gの後端部から後方に伸延した直線部65hを有する。
【0047】
放熱面部65aは、図6(a),(b)に示すように、略扁平方形状に形成されており、上縁部65bの中央部に上方向に突出した凸部65dを有する。放熱面部65aは、皮膚冷却部30の背面側の上部にネジなどの締結具で締結固定されている。そのため、放熱面部65aは、凸部65dの略中央部に締結具を挿通するための取付孔部65eを有する。放熱面部65aは、取付孔部65eに締結具であるネジ体を挿通し、皮膚冷却部30の裏面に締め付けることで固定されている。
【0048】
また、放熱面部65aの略中央部には、正面視略方形状の凹部65fを有する。凹部65fは、サファイアガラス体33の後面と略同一形状に形成している。これにより、照射部4のキセノンランプ41から放射された光が放熱面部65aに阻害されることなくサファイアガラス体33まで伝達することができる。
【0049】
このように構成した放熱面部65aの背面には、放熱面部65aに生起された熱を伝達するための屈曲部65gを有する。屈曲部65gは、図6(a),(b)に示すように、左右方向を長軸とする略楕円形状に形成されている。屈曲部65gは、放熱面部65aの左右両端部近傍であって、上下方向の略中央部に連結されており、この連結部分から上方に湾曲しつつ、光照射脱毛機能部1の左右方向における中央部寄りに湾曲形成されている。すなわち、屈曲部65gは、照射部4および光照射脱毛機能部1の左右内壁面から離反する方向に屈曲伸延しており、ペルチェ素子体62に生起された熱が照射部4および光照射脱毛機能部1に伝達されにくい構成としている。また、屈曲部65gおよび直線部65hは、いずれも中空のパイプ状に形成されている。これにより、放熱面部65aの熱を後方に配設したラジエータ部66に素早く伝熱することができる。すなわち、屈曲部65gおよび直線部65hをパイプ状としたことにより、伝熱される金属の断面積が小さくなり、伝熱部を昇温するのに必要な熱量が小さくて済む結果、排熱伝導体65の放熱面部65aから直線部65hまで容易に伝熱でき、直線部65hに連結したラジエータ部66まで素早く伝熱できる。
【0050】
屈曲部65gの後端部には、直線部65hを連結している。直線部65hは、屈曲部65gの厚みと略同程度の厚みに形成している。これにより、屈曲部65gを伝わる熱が、直線部65hに滑らかに伝熱できる。すなわち、排熱伝導体65は、屈曲部65gから直線部65hにかけて厚みを略一定とした中空状のパイプ形状としたことにより、放熱面部65aから伝達された熱ができるだけスムーズに屈曲部65g、直線部65hに伝達され、屈曲部65g、直線部65hの特定箇所において、発熱が大きくなることを防止している。このように構成した排熱伝導体65の後部には、ラジエータ部66を配設している。排熱伝導体65の直線部65hは、後端部をラジエータ部66に連結している。
【0051】
ラジエータ部66は、後述する照射部4の上部板部40bの上面に配設している。ラジエータ部66は、図7に示すように、排熱伝導体65の後端部に連結されたラジエータ部本体66aと、ラジエータ部本体66aの開口部66bに配設した放熱フィン66cと、ラジエータ部本体66aおよび放熱フィン66cの一部を囲繞するように形成されたカバー体67と、を有する。ラジエータ部本体66aは、図7に示すように、正面視において、左右中央部に上方に突出した凸部66dを有する。
【0052】
凸部66dは、ラジエータ部本体66aの前端部から後端部にわたり形成されており、左右端部近傍の前面に排熱伝導体65の直線部65hを挿嵌するための孔部66eを有する。また、ラジエータ部本体66aの平面視における略中央部には、上下に貫通形成した開口部66bを有する。開口部66bには、ラジエータ部本体66aの前端面と平行状に配設した放熱フィン66cを複数有する。
【0053】
放熱フィン66cは、扁平平板状に形成されており、開口部66bにおける左右側壁面間に架設されている。放熱フィン66cは、開口部66b内において、隣接する放熱フィン66cとの間隔を略一定に形成しており、ラジエータ部本体66aの上部から下部にかけて空気が流通できるように構成している。
【0054】
このように構成したラジエータ部本体66aおよび放熱フィン66cの一部は、カバー体67で囲繞されている。カバー体67は、熱伝導性が低い弾性体で構成されている。カバー体67は、ラジエータ部本体66aと略相似形状でラジエータ部本体66aを内部に収納できるように形成されている。カバー体67は、正面視において、ラジエータ部本体66aの前後端面の形状と略同一形状に形成した挿入用開口部67aと、上下に貫通形成した通気用孔部67bとを有する。
【0055】
挿入用開口部67aは、ラジエータ部本体66aの前後端面よりもやや大きめに形成しており、ラジエータ部本体66aを容易に収納できるように構成している。通気用孔部67bは、図7に示すように、略ホームベース形状であって、ホームベース形状の先端部を後辺と平行状の前辺で切り落とした六角形状に形成している。
このようにカバー体67は、熱伝導性の低い素材で構成されることで排熱伝導体65から伝達された熱が光照射脱毛機能部1および照射部4のキセノンランプ41や収納部42に伝達されることを可及的に低減できる。つまり、ラジエータ部66を照射部4の後部上面に載置固定しても熱による他部品の損傷を防ぐことができる。
【0056】
このように構成したカバー体67にラジエータ部本体66aを挿入用開口部67aから挿入することで放熱用のラジエータ部66が形成されている。また、カバー体67の上下面に形成した通気用孔部67bにより、上部から下部に空気が流通でき、ラジエータ部本体66aに設けた全ての放熱フィン66cに吸気口10から流入した空気が接触し、放熱フィン66cを冷却できる。このように構成したラジエータ部66の下方には、冷却ファン68を設け、ラジエータ部66の通気用孔部67bに吸気口10から侵入した空気が流入しやすいように構成している。
【0057】
冷却ファン68は、図4(b)および図5(a),(b)に示すように、照射部4の上下板部40b,40bの間に設けられている。冷却ファン68は、空気の対流を生起するための羽根68aを複数備えている。冷却ファン68は、羽根68aを回動させることにより冷却ファン68の上部から下部に向かう空気の流れを生起できるものである。
【0058】
光照射脱毛機能部1の内部において、冷却ファン68を駆動すると、冷却ファン68の上方に位置する空気がラジエータ部66の放熱フィン66cの間を通過し、冷却ファン68の下部に連結した空気流出空間S2に移動する。ラジエータ部66で昇温され、空気流出空間S2に到達した空気は、排気口11から光照射脱毛機能部1の外部に排出される。このように、光照射脱毛機能部1の内部は、ラジエータ部66で昇温された空気が光照射脱毛機能部1の外部に排出される構成により、光照射脱毛機能部1の内部が光脱毛器Mの周囲よりも負圧状態となる。したがって、光照射脱毛機能部1内の空気を強制的に排出する構成により、吸気口10からの空気の流入を促進して、光照射脱毛機能部1内を効率的に冷却できる。
また、空気の吸気口10を光照射脱毛機能部1の頂側面1dに1つだけ設け、空気の排気口11を光照射脱毛機能部1の左右側面1b,1cにそれぞれ設けた構成により、光照射脱毛機能部1の頂側面1dを上方向、左右方向、下方向のいずれの方向に向けた状態でもラジエータ部66で昇温された空気を光照射脱毛機能部1から確実に排出できる。
【0059】
すなわち、光照射脱毛機能部1の空気流入空間S1を冷却ファン68の作用で負圧状態とすることにより、光照射脱毛機能部1への空気の流入を促進するとともに、冷却ファン68の作用で強制的に光照射脱毛機能部1内部の下側内側面に向けて空気を対流して空気流出空間S2を正圧状態とすることにより、排気口11が上下左右いずれかの方向を向いていたとしても、光照射脱毛機能部1の外部に排出できる。
【0060】
このように、ペルチェ素子プレート61で吸熱した熱は、ペルチェ素子体62を介して排熱伝導体65、ラジエータ部66に伝達され、ラジエータ部66の周囲の空気が吸気口10から流入した空気Aにより空気流出空間S2を通じて光照射脱毛機能部1の外部に排出される構成により、要脱毛皮膚部Tに当接するサファイアガラス体33を効率的に冷却できる。
【0061】
<照射部>
図4および図5は、光照射脱毛機能部1に収納した照射部4を示す図である。照射部4は、脱毛に使用されるランプを収納したランプ収納部40と、ランプ収納部40に収納され脱毛用の光を生起するキセノンランプ41を有する。
【0062】
ランプ収納部40は、図5(a)に示すように、光照射脱毛機能部1の内部であって、冷却機能部3の後部から光照射脱毛機能部1の略中央部まで延設した内部中空状に形成した箱部40aと、箱部40aの上下後端部から後方に伸延した上下の板部40b,40bを有する。
【0063】
箱部40aは、光透過性を有する乳白色の樹脂からなり、前端部近傍の左右側壁にキセノンランプ41を架設している。このように、キセノンランプ41を光透過性を有するランプ収納部40の前端部近傍に配設することにより、冷却機能部3の開口部32以外に放射される光を減衰できる。
【0064】
板部40bは、扁平平板状の板体であり、箱部40aに連結した前端部から後端部にかけて一様の厚みに形成している。板部40bは、略方形状の空気流通口40c,40cを前端部近傍に穿設している。この空気流通口40cは、ラジエータ部66に設けたカバー体67の通気用孔部67bと略同一の大きさに形成している。
【0065】
キセノンランプ41は、300nm~1200nmの波長域の光を放射している。本実施形態においては、脱毛で使用しない300nm~600nmまでの波長域の光を遮断するフィルタを冷却機能部3に配設したサファイアガラス体33に備えている。そのため、サファイアガラス体33を透過して光照射脱毛機能部1の外部に放出される光は、600nm~1200nmの波長域の光であり、照射エネルギーが高く脱毛に不要な光が光照射脱毛機能部1から要脱毛皮膚部Tに照射されることを規制している。
【0066】
このように構成された光照射脱毛機能部1は、後部上面に設けた操作部5で制御されている。操作部5は、図4に示すように、光照射脱毛機能部1の頂部に設けた吸気口10の後方に位置している。操作部5は、光脱毛器Mを駆動させるための電源ボタン50と、サファイアガラス体33を冷却するための冷却ユニット6を制御する冷却ボタン51と、照射部4に設けたキセノンランプ41の発光強度を調整するための照射強度調整ボタン52と、光脱毛器Mの現在の状態を表示するためのモニター部53を有する。光脱毛器Mは、操作部5に設けた各種ボタンにより制御され、モニター部53を介して冷却ユニット6の駆動の有無や照射部4の累積照射回数などの各種状態を確認できるように構成している。
【0067】
このように構成した光照射脱毛機能部1の後端部近傍の下部には、把持部2を垂設している。
把持部2は、水平断面が前後方向を長軸とする略楕円形状であり、光照射脱毛機能部1に連結した基端部20から先端部21に向かうにつれて漸次径が小さくなるように構成している。把持部2は、基端部20から先端部21までの長さを100mmに設定しており、手の平全体で把持できる長さに構成している。
本実施形態における光脱毛器Mは、把持部2の形態を前後方向を長軸とする楕円形状とし、基端部20から先端部21にかけて把持部2の径が漸次小さくなるように構成することで作業者が握りやすい形態としている。
【0068】
また、把持部2の基端部20の近傍であって、光照射脱毛機能部1の略中央の下方には、照射部4に設けた光源を点灯させるための照射スイッチSを設けている。脱毛作業者は、脱毛処理する際、人差し指で照射スイッチSを押下することで照射部4の光源を発光して脱毛処理を実行する。
このように、把持部2に設けた照射スイッチSと、光照射脱毛機能部1に設けた操作部5の冷却ボタン51を分離して設け、照射部4と冷却ユニット6を独立して制御する構成により、冷却ユニット6で冷却されたサファイアガラス体33が予め要脱毛皮膚部Tを冷却して低温状態にでき、脱毛時に皮膚に生起される熱で皮膚障害や熱傷が生起される虞を可及的に低減できる。
【0069】
上述したように本実施形態にかかる光脱毛器Mは、冷却機能部3と冷却ユニット6により、要脱毛皮膚部Tを効率的に冷却できる。特に、要脱毛皮膚部Tと接触するサファイアガラス体33の冷却状態を維持するための冷却部60をペルチェ素子プレート61とペルチェ素子体62で構成し、ペルチェ素子プレート61をペルチェ効果を利用して電気的に冷却することでサファイアガラス体33による要脱毛皮膚部Tの冷却状態を維持できる。
【0070】
また、ペルチェ効果により昇温したペルチェ素子体62を排熱伝導体65を利用してラジエータ部66に伝熱し、光照射脱毛機能部1内部の空気を冷却ファン68の強制対流で光照射脱毛機能部1の左右側面1b,1cから排出する構成により、光照射脱毛機能部1への空気の流入を吸気口10に限定でき、これによりラジエータ部66に冷却用の空気を送風することができる。すなわち、ラジエータ部66を効率的に冷却することで皮膚冷却部30およびサファイアガラス体33を効率的に冷却でき、これらが当接する要脱毛皮膚部Tおよび要脱毛皮膚部Tの周囲の皮膚部において、皮膚障害や熱傷が生起される虞を可及的に低減できる。
【0071】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したリ組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したりした構成、等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0072】
1 光照射脱毛機能部
2 把持部
3 冷却機能部
4 照射部
5 操作部
6 冷却ユニット
10 吸気口
11 排気口
12 空気流通路
30 皮膚冷却部
31 凸部
33 サファイアガラス体
60 冷却部
61 ペルチェ素子プレート
62 ペルチェ素子体
65 排熱伝導体
66 ラジエータ部
66aラジエータ部本体
66c放熱フィン
68 冷却ファン
M 光脱毛器
S1 空気流入空間
S2 空気流出空間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8