(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018677
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】パイロット式電磁弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/126 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
F16K31/126 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122150
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤田 尚敬
(72)【発明者】
【氏名】市川 卓
【テーマコード(参考)】
3H056
【Fターム(参考)】
3H056AA01
3H056BB33
3H056CA06
3H056CB02
3H056CC02
3H056FF02
(57)【要約】
【課題】加工コストや部品コストを抑えつつ、小型化や省電力を図ることができるパイロット式電磁弁を提供する。
【解決手段】パイロット式電磁弁は、弁室及び弁座を備えた弁本体と、パイロット弁口を備え、前記弁座に対し着座または離間するように移動可能な主弁体と、前記パイロット弁口を遮蔽する遮蔽位置と、前記パイロット弁口を開放する開放位置との間で、前記主弁体に対して相対移動可能なパイロット弁体と、を有し、前記主弁体は、少なくとも前記弁本体側に対して摺動する摺動部が、金属板材をプレス成形することにより形成されており、前記パイロット弁体と前記パイロット弁口との当接位置は、前記摺動部よりも前記弁座に近い側である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁室及び弁座を備えた弁本体と、
パイロット弁口を備え、前記弁座に対し着座または離間するように移動可能な主弁体と、
前記パイロット弁口を遮蔽する遮蔽位置と、前記パイロット弁口を開放する開放位置との間で、前記主弁体に対して相対移動可能なパイロット弁体と、を有し、
前記主弁体は、少なくとも前記弁本体側に対して摺動する摺動部が、金属板材をプレス成形することにより形成されており、
前記パイロット弁体と前記パイロット弁口との当接位置は、前記摺動部よりも前記弁座に近い側である、
ことを特徴とするパイロット式電磁弁。
【請求項2】
前記主弁体の全体は、金属板材をプレス成形することにより形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のパイロット式電磁弁。
【請求項3】
前記主弁体は、金属板材をプレス成形することにより形成された本体と、金属製または樹脂製の弁座部材とからなり、
前記弁座部材は、前記パイロット弁口を有している、
ことを特徴とする請求項1に記載のパイロット式電磁弁。
【請求項4】
前記主弁体は、金属板材をプレス成形することにより形成された本体と、金属製の筒状部材を有し、
前記筒状部材が、前記パイロット弁口を有している、
ことを特徴とする請求項1に記載のパイロット式電磁弁。
【請求項5】
前記主弁体は、金属板材をプレス成形することにより形成された本体と、樹脂製の弁座部材とからなり、
前記本体は、前記弁座部材を貫通する筒状部を有し、前記筒状部の内側に、前記パイロット弁口が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のパイロット式電磁弁。
【請求項6】
前記主弁体は、金属板材をプレス成形することにより形成された本体と、樹脂製の弁座部材とからなり、
前記弁座部材に、前記パイロット弁口が形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のパイロット式電磁弁。
【請求項7】
前記主弁体の摺動部は、前記弁本体に対向する周面に、軸線方向に延在する溝を有する、
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のパイロット式電磁弁。
【請求項8】
前記パイロット弁体を保持するプランジャ、前記プランジャを磁気吸引する吸引子、及び前記吸引子を励磁させるコイルを有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のパイロット式電磁弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイロット式電磁弁に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電磁式アクチュエータによりパイロット弁体を開閉駆動し、このパイロット弁体に応動して主弁体を開閉することによって、流体の流路の開閉を行うパイロット式電磁弁が知られている。
【0003】
特許文献1には、コイルへの通電により、吸引子にプランジャが引き寄せられて吸着し、これに伴いパイロット弁体が開弁方向に移動して、背圧室の流体が漏洩通路を通じて排出されることにより背圧室が減圧され、主弁体が弁バネの付勢力によりリフトせしめられ開弁するパイロット式電磁弁が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の電磁弁においては、金属素材を切削加工することにより主弁体の加工コストの増加を招いているため、その抑制を図りたいという要望がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、加工コストや部品コストを抑えつつ、小型化や省電力を図ることができるパイロット式電磁弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明にかかるパイロット式電磁弁は、
弁室及び弁座を備えた弁本体と、
パイロット弁口を備え、前記弁座に対し着座または離間するように移動可能な主弁体と、
前記パイロット弁口を遮蔽する遮蔽位置と、前記パイロット弁口を開放する開放位置との間で、前記主弁体に対して相対移動可能なパイロット弁体と、を有し、
前記主弁体は、少なくとも前記弁本体側に対して摺動する摺動部が、金属板材をプレス成形することにより形成されており、
前記パイロット弁体と前記パイロット弁口との当接位置は、前記摺動部よりも前記弁座に近い側である、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、加工コストや部品コストを抑えつつ、小型化や省電力を図ることができるパイロット式電磁弁を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、第1実施形態のパイロット式電磁弁を示す縦断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態のパイロット式電磁弁の主弁体付近を拡大して示す断面図である。
【
図3】
図3は、変形例にかかるパイロット式電磁弁の主弁体付近を拡大して示す断面図である。
【
図4】
図4は、変形例にかかる主弁体を上面視した図である。
【
図5】
図5は、別の変形例にかかるパイロット式電磁弁の主弁体付近を拡大して示す断面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態のパイロット式電磁弁を示す縦断面図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態のパイロット式電磁弁の主弁体付近を拡大して示す断面図である。
【
図8】
図8は、変形例にかかるパイロット式電磁弁の主弁体付近を拡大して示す断面図である。
【
図9】
図9は、別の変形例にかかるパイロット式電磁弁の主弁体付近を拡大して示す断面図である。
【
図10】
図10は、別の変形例にかかるパイロット式電磁弁の主弁体付近を拡大して示す断面図である。
【
図11】
図11は、第3実施形態のパイロット式電磁弁を示す縦断面図である。
【
図12】
図12は、第3実施形態のパイロット式電磁弁の主弁体付近を拡大して示す断面図である。
【
図13】
図13は、変形例にかかるパイロット式電磁弁の主弁体付近を拡大して示す断面図である。
【
図14】
図14は、別の変形例にかかるパイロット式電磁弁の主弁体付近を拡大して示す断面図である。
【
図15】
図15は、第4実施形態のパイロット式電磁弁を示す縦断面図である。
【
図16】
図16は、第4実施形態のパイロット式電磁弁の主弁体付近を拡大して示す断面図である。
【
図17】
図17は、変形例にかかるパイロット式電磁弁の主弁体付近を拡大して示す断面図である。
【
図18】
図18は、別の変形例にかかるパイロット式電磁弁の主弁体付近を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電磁弁の実施形態を、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書では、上方とは、吸引子側をいい、下方とは、吸引子に対する主弁体側をいう。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態のパイロット式電磁弁1を示す縦断面図であり、閉弁時の状態で示している。
図示例のパイロット式電磁弁1は、例えば冷却機等の冷凍サイクルに使用されるものであり、電磁式アクチュエータ20と組み合わされて使用される。
【0012】
パイロット式電磁弁1は、弁本体10と、弁本体10に摺動自在に嵌挿された主弁体15とを備える。パイロット式電磁弁1の軸線をLとする。
【0013】
弁本体10は、その内部に弁室VCを備え、それぞれ金属板材をプレス成形によって形成される側壁12と底部13とを、溶接やロウ付けにより接合した有底円筒形状を有する。側壁12は、第1外壁12aと、第1外壁12aより大径の第2外壁12bと、第2外壁12bより大径の第3外壁12cとを同軸に連設してなる。本実施形態では、第1外壁12aが、後述するプランジャ30を摺動自在に嵌合させるガイドパイプを兼ねる。
【0014】
第3外壁12cには、弁室VCにつながる入口開口12dが形成されており、入口開口12dには、流入管ITがロウ付けなどにより接続固定されている。流入管ITの軸線をOとする。
【0015】
底部13は、環状フランジ部13aと、環状フランジ部13aの内周に接合された第1内壁13bと、第1内壁13bの上端に接合され第1内壁13bより小径の第2内壁13cとを連設してなる。第2内壁13cの内側は、軸線Lに沿って底部13を貫通する出口開口13dとなる。第2内壁13cの上端に弁座14が形成される。第1内壁13bの内周に流出管OTが嵌合して、ロウ付けなどにより固定されている。
【0016】
図2は、本実施形態のパイロット式電磁弁1の主弁体15付近を拡大して示す断面図である。
【0017】
有底円筒状の主弁体15は、金属製の板材をプレス成形することによって安価に形成でき、このため金属素材を機械加工することにより形成された主弁体に対して容易に軽量化を図ることができ、共振周波数を高くするなど振動特性も良好なものとなる。また、後述する開弁ばね18及び閉弁ばね26において弾発力の小さいものを使用できるため、電磁式アクチュエータ20を小型化や省電力を図れる。
【0018】
主弁体15は、大筒部15aと、大筒部15aの下端に外周を接続した環状の大フランジ部15bと、大フランジ部15bの内周に上端を接続した小筒部15cと、小筒部15cの下端に外周を接続した環状の小フランジ部15dと、小フランジ部15dの内周に上端を接続したテーパ部15eと、テーパ部15eの下端に接続された底壁部15fとを連設してなる。大筒部(摺動部ともいう)15aの外周面が、第2外壁12bの内周面に対して摺動可能に嵌合している。また、第1外壁12aと第2外壁12bとの間の段部が、主弁体15のストッパを構成する。
【0019】
図2の閉弁状態では、テーパ部15eにおける底壁部15fとの交差部(角部)近傍が弁座14に着座して、出口開口13dを閉じている。プレス成形により形成されるテーパ部15eの角部近傍は、他の部分と比べて変形し難い部分であるため弁漏れ性の向上を図ることができる。
【0020】
底壁部15fの中央には、円形のパイロット弁口15gが形成され、その上端がパイロット弁座15hとなっている。本実施形態では、パイロット弁座15hは、弁座14と同じ高さか、またはそれより下方に位置する。
【0021】
小フランジ部15dを軸線L方向に貫通するようにして、連通孔15iが形成されている。主弁体15は、板材をプレス成形することにより形成されているため、金属素材を切削加工した主弁体に比して、より容易に連通孔15iを穿孔することができる。
【0022】
図1に示すように、弁室VC内において、コイルばねからなる開弁ばね18が、主弁体15の大フランジ部15bと弁本体10の底部13との間に配置され、弁本体10に対して主弁体15を上方に付勢している。
【0023】
図1において、電磁式アクチュエータ20は、通電励磁用のコイルユニット(コイルともいう)22、このコイルユニット22の外周を覆うように配在されたハウジング21、コイルユニット22の上部内周側に配在されてボルト28によりハウジング21に固定された有底円筒状ないし円柱状の吸引子25、この吸引子25に対し軸線Lに沿って対向配置されたプランジャ30を備えている。ハウジング21内において、コイルユニット22の周囲は、樹脂モールドにより被覆されている。
【0024】
プランジャ30は、ガイドパイプを兼ねる第1外壁12aの内周に摺動自在に嵌合した大径部34と、小径部35とを連設してなる。小径部35は、主弁体15の大筒部15a及び小筒部15cの内側に挿入される。
【0025】
小径部35の下端には、保持穴35aが設けられている。この保持穴35aにボールからなるパイロット弁体31が収容されている。パイロット弁体31は、その下面の一部を露出させた状態で、プランジャ30下端から筒状に突出したカシメ部35bを径方向内側にカシメることで固定されている。
【0026】
プランジャ30が下方に移動したとき、パイロット弁体31を閉弁方向に移動させ、プランジャ30が上方に移動したとき、パイロット弁体31を開弁方向に移動させる。プランジャ30の小径部35と、主弁体15との間に、背圧室BCが形成される。
【0027】
プランジャ30の上部には、コイルばねからなる閉弁ばね26が挿入係止される縦穴(ばね室)30aと横穴(均圧穴)30bが形成されている。閉弁ばね26は、吸引子25に対してプランジャ30を離間する方向に付勢している。
【0028】
コイルユニット22と吸引子25との間の環状隙間に、側壁12の第1外壁12aの上端近傍が配置され、その内周に対してプランジャ30が摺動可能となっている。第1外壁12aの上端は、吸引子25の外周段差部にTIG溶接などによって固定されている。
【0029】
(パイロット式電磁弁の動作)
パイロット式電磁弁1の動作について説明する。
閉弁状態において、閉弁ばね26により付勢されてプランジャ30が下降しており、パイロット弁体31はパイロット弁座15hに着座して(すなわち遮蔽位置にあり)、パイロット弁口15gを遮蔽しており、また主弁体15のテーパ部15eは弁座14に着座している。
【0030】
閉弁状態では、流入管ITから入口開口12dを介して弁室VCに導入された高圧の流体は、連通孔15i及び主弁体15の外周面と第1外壁12aの内周面との間(摺動面間)を通過して、背圧室BCに導入される。ただし、連通孔15iを主弁体15に設けなくてもよい。
【0031】
また、背圧室BCに導入された流体は、
図1を参照して、プランジャ30の外周面と第1外壁12aの内周面との間(摺動面間)及び横穴30b、縦穴30aを通って、吸引子25の下端面とプランジャ30との間に形成される間隙空間CSにも導かれる。
【0032】
閉弁状態のパイロット式電磁弁1において、不図示の電源からコイルユニット22に給電が行われると、吸引子25が励磁してプランジャ30が磁気吸引され、これによりパイロット弁体31が開弁方向に上昇する。背圧室BCと間隙空間CSの内圧は等しいため、プランジャ30の動作を妨げることがない。
【0033】
パイロット弁体31の上昇によって、パイロット弁口15gが開放される(すなわち開放位置になる)と、背圧室BC内の流体がパイロット弁口15gを介して低圧側の出口開口13dへと流出する。これにより、背圧室BC内の圧力が低下するため、背圧室BCの内圧と出口開口13dの内圧との圧力差が減少し、該圧力差と開弁ばね18のばね荷重により、大筒部15aの外周面が第1外壁12aの内周面に対して摺動しつつ主弁体15が上昇する。
【0034】
主弁体15が上昇すると、テーパ部15eが弁座14から離間するため、流入管ITから弁室VCに流入した流体は、テーパ部15eと弁座14との隙間及び出口開口13dを介して流出管OTへと流出する。主弁体15は、その上端が第1外壁12aと第2外壁12bとの段差部に当接することで、開弁位置に係止される。
【0035】
これに対し、開弁状態から不図示の電源からコイルユニット22への給電が停止されると、吸引子25の励磁が中断されるため、閉弁ばね26の付勢力によりプランジャ30が下降し、パイロット弁体31がパイロット弁座15hに着座してパイロット弁口15gを塞ぐ。これにより、背圧室BCおよび間隙空間CSの圧力が上昇するため、開弁ばね18の弾性力に抗してパイロット弁体31が下降するとともに、大筒部15aの外周面が第1外壁12aの内周面に対して摺動しつつ主弁体15が下降し、テーパ部15eが弁座14に着座して、閉弁状態へと復帰する。
【0036】
本実施形態によれば、パイロット弁体31が当接するパイロット弁座15h(パイロット弁体31とパイロット弁口15gとの当接位置)が、外周が摺動面である大筒部15aの下端、及び開弁ばね18の付勢力を受ける大フランジ部15bよりも下方に(弁座14側に)位置する。このため、パイロット弁体31により主弁体15が下方に付勢された場合に、軸線Lに対して傾きにくく、それにより閉弁時のテーパ部15eと弁座14とのシール性を確保することができる。
【0037】
(変形例1-1)
図3は、変形例にかかるパイロット式電磁弁の主弁体15A付近を拡大して示す断面図である。
図4は、主弁体15Aを上面視した図である。本変形例のパイロット式電磁弁が、第1実施形態と異なる点は、主弁体15Aの大筒部15Aa及び大フランジ部15Abの形状である。それ以外の構成は、上述した実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0038】
主弁体15Aの大筒部15Aaの外周面には、軸線L方向に延在する2本の直線溝15Ajが形成されている。直線溝15Ajも、型(不図示)により大筒部15Aaを径方向内方にプレスすることによって容易に形成できる。
【0039】
流体として冷媒を用いた場合、冷媒中に含まれる潤滑油が、その粘性により側壁12の内周面に張り付くことがある。本実施の形態によれば、かかる潤滑油を直線溝15Ajを介して排出することができる。なお、直線溝15Ajは、弁室VCと背圧室BCとを連通する連通孔の機能も有するため、本実施形態では大フランジ部15Abに連通孔を設けていない。ただし、大フランジ部15Abに連通孔を設けてもよい。また、直線溝15Ajは2本に限られず、1本又は3本以上であってもよい。以下の実施形態及び変形例においても、同様に連通孔または直線溝を備えることができる。
【0040】
(変形例1-2)
図5は、別の変形例にかかるパイロット式電磁弁の主弁体15B付近を拡大して示す断面図である。本変形例のパイロット式電磁弁が、第1実施形態と異なる点は、主弁体15Bの構成である。それ以外の構成は、上述した実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0041】
有底円筒状の主弁体15Bは、金属製の板材をプレス成形することによって安価に形成できる。主弁体15Bは、大筒部15Baと、大筒部15Baの下端に外周を接続した環状の大フランジ部15Bbと、大フランジ部15Bbの内周に上端を接続した小筒部15Bcと、小筒部15Bcの下端に外周を接続したテーパ部15Beと、テーパ部15Beの下端に接続された環状の底壁部15Bfと、底壁部15Bfの内周に下端が接続された内側円筒部15Bkと、内側円筒部15Bkの上端に接続された頂壁部15Bmとを連設してなる。大筒部15Baの外周面が、側壁12の第2外壁12bの内周面に対して摺動可能に嵌合している。
【0042】
図5に示す閉弁状態では、テーパ部15Beにおける底壁部15Bfとの交差部(角部)近傍が弁座14に着座して、出口開口13dを閉じている。プレス成形により形成されるテーパ部15Beの角部近傍は、他の部分と比べて変形し難い部分であるため弁漏れ性の向上を図ることができる。
【0043】
頂壁部15Bmの中央には、円形のパイロット弁口15Bgが形成され、その上端がパイロット弁座15Bhとなっている。本実施形態では、パイロット弁座15Bhは、大筒部15Baの下端、及び開弁ばね18の付勢力を受ける大フランジ部15Bbよりも下方に位置する。
【0044】
本変形例によれば、パイロット弁座15Bhを、剛性が高い内側円筒部15Bkの上端に接続された頂壁部15Bmに形成しているため、閉弁時にプランジャ30及びパイロット弁体31を介して閉弁ばね26に付勢力が伝達されたときに、パイロット弁座15Bhの軸線L方向の変位を抑制でき、それにより高精度な閉弁制御が可能になる。
【0045】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態のパイロット式電磁弁1Cを示す縦断面図であり、
図1と同様に閉弁時の状態で示しているが、電磁式アクチュエータは省略している。
図7は、本実施形態のパイロット式電磁弁1Cの主弁体15C付近を拡大して示す断面図である。本実施形態のパイロット式電磁弁1Cが、第1実施形態と異なる点は、主弁体15Cの構成である。それ以外の構成は、上述した実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0046】
本実施形態の主弁体15Cは、本体150Cと、弁座部材151Cとからなる。
【0047】
有底円筒状の本体150Cは、金属製の板材をプレス成形することによって安価に形成できる。主弁体15Cは、大筒部15Caと、大筒部15Caの下端に外周を接続した環状の大フランジ部15Cbと、大フランジ部15Cbの内周に上端を接続した小筒部15Ccと、小筒部15Ccの下端に外周を接続したテーパ部15Ceと、テーパ部15Ceの下端に接続された環状の底壁部15Cfとを連設してなる。大筒部15Caの外周面が、側壁12の第2外壁12bの内周面に対して摺動可能に嵌合している。また、テーパ部15Ceにおける底壁部15Cfとの交差部(角部)近傍が弁座14に着座して、出口開口13dを遮蔽可能となっている。
【0048】
金属製の弁座部材151Cの外周に、小筒部15Ccの内周に嵌合する外周面15Cpと、テーパ部15Ceの内周面に当接するテーパ面15Cqと、を備える。また、弁座部材151Cの下端に、カシメ筒部15Crが形成されている。このカシメ筒部15Crを本体150Cの底壁部15Cfの内周を貫通させて下方に突出させ、その下端を径方向外側にカシメることで、弁座部材151Cが本体150Cに取り付けられる。
【0049】
弁座部材151Cの上端に、円形凹部15Csが形成されており、円形凹部15Csの中央からカシメ筒部15Crまで貫通するようにしてパイロット弁口15Cgが形成されている。パイロット弁口15Cgの上端が、パイロット弁体31が着座可能なパイロット弁座15Chを構成する。本実施形態においても、パイロット弁座15Chが、大筒部15Caの下端、及び開弁ばね18の付勢力を受ける大フランジ部15Cbよりも下方に位置する。
【0050】
本実施の形態によれば、弁座部材151Cを機械加工により形成することで、各部の寸法精度を高く確保できる。また、比較的重量のある弁座部材151Cを本体150Cの下端に取り付けることで、第1実施形態に対して、主弁体15Cの重心を下方に変位させることができ、それにより閉弁時の主弁体15Cの振れを抑えて閉弁時のシール安定性を高めることができる。主弁体15Cの重心は、主弁体15Cの全長の1/2(好ましくは1/3)より下方に位置することが望ましい。
【0051】
(変形例2-1)
図8は、変形例にかかるパイロット式電磁弁の主弁体15D付近を拡大して示す断面図である。本変形例のパイロット式電磁弁が、第2実施形態と異なる点は、主弁体15Dの弁座部材151Dの構成である。それ以外の構成(本体150Cを含む)は、第2実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0052】
金属製または樹脂製の弁座部材151Dの外周に、小筒部15Ccの内周に嵌合する外周面15Dpと、テーパ部15Ceの内周面に当接するテーパ面15Dqと、を備える。また、弁座部材151Dの下端に、円筒部15Drが形成されており、この円筒部15Drを本体150Cの底壁部15Cfの内周に嵌合させている。円筒部15Drの下端面は、底壁部15Cfの下面に対し略同一面となっている。
【0053】
弁座部材151Dの上端に、円形凹部15Dsが形成されており、円形凹部15Dsの中央から円筒部15Drまで貫通するようにしてパイロット弁口15Dgが形成されている。パイロット弁口15Dgの上端が、パイロット弁体31が着座可能なパイロット弁座15Dhを構成する。
【0054】
弁座部材151Dを金属製とする場合、溶接、ロウ付け又は接着剤を用いて本体150Dに固定することができる。また、弁座部材151Dを金属製とすることで、主弁体15Dの重心位置を低くすることができる。
【0055】
一方、弁座部材151Dを樹脂製とする場合、接着剤による接着、熱溶着、又はインサート成形などにより本体150Dに固定することができる。また、弁座部材151Dを樹脂製とすることで、パイロット弁体31が着座した際にパイロット弁座15Dhのシール性を高めることができる。
【0056】
(変形例2-2)
図9は、別の変形例にかかるパイロット式電磁弁の主弁体15E付近を拡大して示す断面図である。本変形例のパイロット式電磁弁が、第2実施形態と異なる点は、主弁体15Eの構成である。それ以外の構成は、第2実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0057】
本変形例の主弁体15Eは、本体150Eと、弁座部材151Eとからなる。
【0058】
有底円筒状の本体150Eは、金属製の板材をプレス成形することによって安価に形成できる。主弁体15Eは、大筒部15Eaと、大筒部15Eaの下端に外周を接続した環状の大フランジ部15Ebと、大フランジ部15Ebの内周に上端を接続した小筒部15Ecと、小筒部15Ecの下端に外周を接続したテーパ部15Eeと、テーパ部15Eeの下端に接続された環状の底壁部15Efとを連設してなる。大筒部15Eaの外周面が、側壁12の第2外壁12bの内周面に対して摺動可能に嵌合している。また、テーパ部15Eeにおける底壁部15Efとの交差部(角部)近傍が弁座14に着座して、出口開口13dを遮蔽可能となっている。
【0059】
金属製または樹脂製の弁座部材151Eは、縮径円筒部15Etと拡径円筒部15Euとを同軸に連設してなる。組付け時には、拡径円筒部15Euの外周面15Epを、本体150Eの小筒部15Ecの内周下部に嵌合させ、拡径円筒部15Euのテーパ面15Eqを、テーパ部15Eeの内周面に当接させた状態で、小筒部15Ecの中間位置を径方向内側にカシメる。これにより、小筒部15Ecの内周面の一部が径方向内方に突出し、縮径円筒部15Etと拡径円筒部15Euとの段部に係合することで、弁座部材151Eは本体150Eに固定される。
【0060】
弁座部材151Eの上面中央から下端まで貫通するようにしてパイロット弁口15Egが形成されている。パイロット弁口15Egの上端が、パイロット弁体31が着座可能なパイロット弁座15Ehを構成する。なお、本変形例においては、パイロット弁口15Egは上端側に対して下端側が大径化した段付き開口を有し、パイロット弁口15Egの下端内径が、その下方に位置する底壁部15Efの内径より小さいが、これらを同径としてもよい。
【0061】
(変形例2-3)
図10は、別の変形例にかかるパイロット式電磁弁の主弁体15F付近を拡大して示す断面図である。本変形例のパイロット式電磁弁が、第2実施形態と異なる点は、主弁体15Fの構成である。それ以外の構成は、第2実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0062】
本変形例の主弁体15Fは、本体150Fと、ライナー(筒状部材ともいう)152Fとからなる。
【0063】
有底円筒状の本体150Fは、金属製の板材をプレス成形することによって安価に形成できる。主弁体15Fは、大筒部15Faと、大筒部15Faの下端に外周を接続した環状の大フランジ部15Fbと、大フランジ部15Fbの内周に上端を接続した小筒部15Fcと、小筒部15Fcの下端に外周を接続したテーパ部15Feと、テーパ部15Feの下端に接続された環状の底壁部15Ffとを連設してなる。
【0064】
大筒部15Faの外周面が、側壁12の第2外壁12bの内周面に対して摺動可能に嵌合している。また、テーパ部15Feにおける底壁部15Ffとの交差部(角部)近傍が弁座14に着座して、出口開口13dを遮蔽可能となっている。
【0065】
管状の金属製であるライナー152Fは、大径管部15Fqと小径管部15Frとを同軸に連設してなる。小径管部15Frは、本体150Fの底壁部15Ffの内周を貫通して下方に突出している。小径管部15Frの下端を径方向外側にカシメることで、ライナー152Fが本体150Fに取り付けられる。
【0066】
本変形例では、ライナー152Fを軸線方向に貫通する中央開口が、パイロット弁口15Fgを構成し、パイロット弁口15Fgの上端が、パイロット弁体31が着座可能なパイロット弁座15Fhを構成する。
【0067】
本実施の形態によれば、本体150Fとライナー152Fとがそれぞれ薄肉の金属部品であるため、パイロット式電磁弁の軽量化を図ることができる。
【0068】
[第3実施形態]
図11は、第3実施形態のパイロット式電磁弁1Gを示す縦断面図であり、
図1と同様に閉弁時の状態で示しているが、電磁式アクチュエータは省略している。
図12は、本実施形態のパイロット式電磁弁1Gの主弁体15G付近を拡大して示す断面図である。本実施形態のパイロット式電磁弁1Gが、第1実施形態と異なる点は、主弁体15Gの構成である。それ以外の構成は、上述した実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0069】
本実施形態の主弁体15Gは、本体150Gと、弁座部材151Gとからなる。
【0070】
有底円筒状の本体150Gは、金属製の板材をプレス成形することによって安価に形成できる。本体150Gは、大筒部15Gaと、大筒部15Gaの下端に外周を接続した環状の大フランジ部15Gbと、大フランジ部15Gbの内周に上端を接続した小筒部15Gcと、小筒部15Gcの下端に外周を接続した環状の底壁部15Gfと、底壁部15Gfの内周に上端を接続した下端円筒部15Geとを連設してなる。大筒部15Gaの外周面が、側壁12の第2外壁12bの内周面に対して摺動可能に嵌合している。
【0071】
金属製又は樹脂製の弁座部材151Gは、略円盤状であり、外周下端に形成されたテーパ部15Gpが、弁座14に着座可能となっている。弁座部材151Gは、中央開口15Gqを有し、中央開口15Gq内に下端円筒部15Geが嵌合している。弁座部材151Gの下面から突出した下端円筒部(筒状部ともいう)15Geの下端を径方向外側にカシメることで、弁座部材151Gは本体150Gに固定される。下端円筒部15Ge内がパイロット弁口15Ggを構成し、パイロット弁口15Ggの上端がパイロット弁座15Ghを構成する。
【0072】
(変形例3-1)
図13は、変形例にかかるパイロット式電磁弁の主弁体15H付近を拡大して示す断面図である。本変形例のパイロット式電磁弁が、第3実施形態と異なる点は、主弁体15Hの本体150Hの形状である。それ以外の構成は、上述した実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0073】
有底円筒状の本体150Hは、金属製の板材をプレス成形することによって安価に形成できる。本体150Hは、大筒部15Haと、大筒部15Haの下端に外周を接続した環状の大フランジ部15Hbと、大フランジ部15Hbの内周に上端を接続した小筒部15Hcと、小筒部15Hcの下端に外周を接続した環状の底壁部15Hfと、底壁部15Hfの内周に上端を接続した下端円筒部15Heとを連設してなる。大筒部15Haの外周面が、側壁12の第2外壁12bの内周面に対して摺動可能に嵌合している。下端円筒部15He内がパイロット弁口15Hgを構成し、パイロット弁口15Hgの上端がパイロット弁座15Hhを構成する。
【0074】
本変形例では、弁座部材151Gの中央開口15Gqに嵌合する下端円筒部15Heは、その下端が弁座部材151Gの下面から突出していない。弁座部材151Gの上面は、底壁部15Hfの下面に当接している。
【0075】
弁座部材151Gを金属製とする場合、溶接、ロウ付け又は接着剤を用いて本体150Hに固定することができる。また、弁座部材151Gを金属製とすることで、主弁体15Hの重心位置を低くすることができる。
【0076】
一方、弁座部材151Gを樹脂製とする場合、接着剤による接着、熱溶着、又はインサート成形などにより本体150Hに固定することができる。また、弁座部材151Gを樹脂製とすることで、主弁体15Hが弁座14に着座した際にシール性を高めることができる。
【0077】
(変形例3-2)
図14は、変形例にかかるパイロット式電磁弁の主弁体15I付近を拡大して示す断面図である。本変形例のパイロット式電磁弁が、第3実施形態と異なる点は、主弁体15Iの構成である。それ以外の構成は、第3実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0078】
本変形例の主弁体15Iは、本体150Iと、弁座部材151Iとからなる。
【0079】
有底円筒状の本体150Iは、金属製の板材をプレス成形することによって安価に形成できる。本体150Iは、大筒部15Iaと、大筒部15Iaの下端に外周を接続した環状の大フランジ部15Ibと、大フランジ部15Ibの内周に上端を接続した小筒部15Icと、小筒部15Icの下端に外周を接続した環状の底壁部15Ifとを連設してなる。大筒部15Iaの外周面が、側壁12の第2外壁12bの内周面に対して摺動可能に嵌合している。底壁部15Ifの内周により、パイロット弁口15Igが形成されている。パイロット弁口15Igの上端が、パイロット弁体31が着座可能なパイロット弁座15Ihを構成する。
【0080】
金属製または樹脂製の弁座部材151Iは、略円筒状であり、その外周下端にテーパ面15Iqを備える。テーパ面15Iqは弁座14に着座可能である。弁座部材151Iの上端に、円形凹部15Isが形成されており、円形凹部15Isは、小筒部15Icの外周に嵌合し、底壁部15Ifの下面に当接している。弁座部材151Iは、パイロット弁口15Igと出口開口13dとを連通する中央開口15Irを備える。
【0081】
弁座部材151Iを金属製とする場合、溶接、ロウ付け又は接着剤を用いて本体150Iに固定することができる。また、弁座部材151Iを金属製とすることで、主弁体15Iの重心位置を低くすることができる。
【0082】
一方、弁座部材151Iを樹脂製とする場合、接着剤による接着、熱溶着、又はインサート成形などにより本体150Iに固定することができる。また、弁座部材151Iを樹脂製とすることで、弁座14に着座した際にシール性を高めることができる。
【0083】
[第4実施形態]
図15は、第4実施形態のパイロット式電磁弁1Jを示す縦断面図であり、
図1と同様に閉弁時の状態で示しているが、電磁式アクチュエータは省略している。
図12は、本実施形態のパイロット式電磁弁1Jの主弁体15J付近を拡大して示す断面図である。本実施形態のパイロット式電磁弁1Jが、第1実施形態と異なる点は、主弁体15Jの構成である。それ以外の構成は、上述した実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0084】
本実施形態の主弁体15Jは、本体150Jと、弁座部材151Jとからなる。
【0085】
有底円筒状の本体150Jは、金属製の板材をプレス成形することによって安価に形成できる。本体150Jは、大筒部15Jaと、大筒部15Jaの下端に外周を接続した環状の大フランジ部15Jbと、大フランジ部15Jbの内周に上端を接続した小筒部15Jcと、小筒部15Jcの下端に外周を接続した環状の小フランジ部15Jdと、小フランジ部15Jdの内周に上端を接続した下端円筒部15Jeとを連設してなる。大筒部15Jaの外周面が、側壁12の第2外壁12bの内周面に対して摺動可能に嵌合している。
【0086】
金属製または樹脂製の弁座部材151Jは、略円筒状であり、その外周には、周溝15Jpと、鍔状部15Jrと、テーパ面15Jqとを備える。下端外周に形成されたテーパ面15Jqは弁座14に着座可能である。弁座部材151Jの上端に、円形凹部15Jsが形成されている。円形凹部15Jsの中央から弁座部材151Jの下端まで貫通するようにしてパイロット弁口15Jgが形成されている。パイロット弁口15Jgの上端が、パイロット弁体31が着座可能なパイロット弁座15Jhを構成する。
【0087】
本体150Jの下端円筒部15Jeの内周面を、弁座部材151Jの外周面に嵌合させるようにして、本体150Jに弁座部材151Jが組付けられる。このとき、下端円筒部15Jeの下端が鍔状部15Jrの上面に当接することで、本体150Jと弁座部材151Jとの上下方向の位置決めがなされる。さらに、下端円筒部15Jeの中央部を径方向内側にカシメることで、下端円筒部15Jeの内周面の一部が径方向内側に突出して周溝15Jpに係合するため、これにより本体150Jと弁座部材151Jとの固定がなされる。
【0088】
弁座部材151Jを金属製とすることで、主弁体15Jの重心位置を低くすることができる。一方、弁座部材151Jを樹脂製とすることで、弁座14に着座した際にシール性を高めることができる。
【0089】
(変形例4-1)
図17は、変形例にかかるパイロット式電磁弁の主弁体15K付近を拡大して示す断面図である。本変形例のパイロット式電磁弁が、第4実施形態と異なる点は、主弁体15Kの構成である。それ以外の構成は、第4実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0090】
本実施形態の主弁体15Kは、本体150Kと、弁座部材151Kとからなる。
【0091】
有底円筒状の本体150Kは、金属製の板材をプレス成形することによって安価に形成できる。本体150Kは、大筒部15Kaと、大筒部15Kaの下端に外周を接続した環状の大フランジ部15Kbと、大フランジ部15Kbの内周に上端を接続した小筒部15Kcと、小筒部15Kcの下端に外周を接続した環状の底壁部15Kfとを連設してなる。大筒部15Kaの外周面が、側壁12の第2外壁12bの内周面に対して摺動可能に嵌合している。
【0092】
金属製または樹脂製の弁座部材151Kは、略円筒状であり、縮径円筒部15Kpと、大径円筒部15Krとを同軸に連設してなる。大径円筒部15Krの外周下端に、テーパ面15Kqが形成されている。テーパ面15Kqは弁座14に着座可能である。弁座部材151Kの上面中央から下端まで貫通するようにしてパイロット弁口15Kgが形成されている。パイロット弁口15Kgの上端が、パイロット弁体31が着座可能なパイロット弁座15Khを構成する。
【0093】
本体150Kの底壁部15Kfの下面は、縮径円筒部15Kpと大径円筒部15Krとの段部に当接し、底壁部15Kfの内周面は、縮径円筒部15Kpの外周面に嵌合している。
【0094】
弁座部材151Kを金属製とする場合、溶接、ロウ付け又は接着剤を用いて本体150Kに固定することができる。また、弁座部材151Kを金属製とすることで、主弁体15Kの重心位置を低くすることができる。
【0095】
一方、弁座部材151Kを樹脂製とする場合、接着剤による接着、熱溶着、又はインサート成形などにより本体150Kに固定することができる。また、弁座部材151Kを樹脂製とすることで、弁座14に着座した際にシール性を高めることができる。
【0096】
(変形例4-2)
図18は、変形例にかかるパイロット式電磁弁の主弁体15L付近を拡大して示す断面図である。本変形例のパイロット式電磁弁が、第4実施形態と異なる点は、主弁体15Lの構成である。それ以外の構成は、第4実施形態と同様であるため、同じ符号を付して重複説明を省略する。
【0097】
本変形例の主弁体15Lは、本体150Lと、弁座部材151Lとからなる。
【0098】
有底円筒状の本体150Lは、金属製の板材をプレス成形することによって安価に形成できる。本体150Lは、大筒部15Laと、大筒部15Laの下端に外周を接続した環状の大フランジ部15Lbと、大フランジ部15Lbの内周に上端を接続した小筒部15Lcと、小筒部15Lcの下端に外周を接続した環状の小フランジ部15Ldと、小フランジ部15Ldの内周に上端を接続した下端円筒部15Leとを連設してなる。大筒部15Laの外周面が、側壁12の第2外壁12bの内周面に対して摺動可能に嵌合している。
【0099】
金属製または樹脂製の弁座部材151Lは、略円筒状であり、その外周には、鍔状部15Lrと、テーパ面15Lqとを備える。下端外周に形成されたテーパ面15Lqは弁座14に着座可能である。弁座部材151Lの上端に、円形凹部15Lsが形成されている。円形凹部15Lsの中央から弁座部材151Lの下端まで貫通するようにしてパイロット弁口15Lgが形成されている。パイロット弁口15Lgの上端が、パイロット弁体31が着座可能なパイロット弁座15Lhを構成する。
【0100】
本体150Lの下端円筒部15Leの内周面を、弁座部材151Lの外周面に嵌合させるようにして、本体150Lに弁座部材151Lが組付けられる。このとき、下端円筒部15Leの下端が鍔状部15Lrの上面に当接することで、本体150Lと弁座部材151Lとの上下方向の位置決めがなされる。
【0101】
弁座部材151Lを金属製とする場合、溶接、ロウ付け又は接着剤を用いて本体150Lに固定することができる。また、弁座部材151Lを金属製とすることで、主弁体15Lの重心位置を低くすることができる。
【0102】
一方、弁座部材151Lを樹脂製とする場合、接着剤による接着、熱溶着、又はインサート成形などにより本体150Lに固定することができる。また、弁座部材151Lを樹脂製とすることで、弁座14に着座した際にシール性を高めることができる。
【0103】
本明細書は、以下の発明の開示を含む。
(発明A)
弁室及び弁座を備えた弁本体と、
パイロット弁口を備え、前記弁座に対し着座または離間するように移動可能な主弁体と、
前記パイロット弁口を遮蔽する遮蔽位置と、前記パイロット弁口を開放する開放位置との間で、前記主弁体に対して相対移動可能なパイロット弁体と、を有し、
前記主弁体は、少なくとも前記弁本体側に対して摺動する摺動部が、金属板材をプレス成形することにより形成されており、
前記パイロット弁体と前記パイロット弁口との当接位置は、前記摺動部よりも前記弁座に近い側である、
ことを特徴とするパイロット式電磁弁。
【0104】
(発明B)
前記主弁体の全体は、金属板材をプレス成形することにより形成されている、
ことを特徴とする発明Aのパイロット式電磁弁。
【0105】
(発明C)
前記主弁体は、金属板材をプレス成形することにより形成された本体と、金属製または樹脂製の弁座部材とからなり、
前記弁座部材は、前記パイロット弁口を有している、
ことを特徴とする発明Aのパイロット式電磁弁。
【0106】
(発明D)
前記主弁体は、金属板材をプレス成形することにより形成された本体と、金属製の筒状部材を有し、
前記筒状部材が、前記パイロット弁口を有している、
ことを特徴とする発明Aのパイロット式電磁弁。
【0107】
(発明E)
前記主弁体は、金属板材をプレス成形することにより形成された本体と、樹脂製の弁座部材とからなり、
前記本体は、前記弁座部材を貫通する筒状部を有し、前記筒状部の内側に、前記パイロット弁口が形成されている、
ことを特徴とする発明Aのパイロット式電磁弁。
【0108】
(発明F)
前記主弁体は、金属板材をプレス成形することにより形成された本体と、樹脂製の弁座部材とからなり、
前記弁座部材に、前記パイロット弁口が形成されている、
ことを特徴とする発明Aのパイロット式電磁弁。
【0109】
(発明G)
前記主弁体の摺動部は、前記弁本体に対向する周面に、軸線方向に延在する溝を有する、
ことを特徴とする発明A~Fのいずれか一つに記載のパイロット式電磁弁。
【0110】
(発明H)
前記パイロット弁体を保持するプランジャ、前記プランジャを磁気吸引する吸引子、及び前記吸引子を励磁させるコイルを有する、
ことを特徴とする発明A~Gのいずれか一つに記載のパイロット式電磁弁。
【符号の説明】
【0111】
1、1C、1G、1J パイロット式電磁弁
10 弁本体
12 側部
12d 入口開口
13 底壁
13d 出口開口
14 弁座
15~15L 主弁体
15g~15Lg パイロット弁口
15h~15Lh パイロット弁座
18 開弁ばね
20 電磁式アクチュエータ
22 コイルユニット
25 吸引子
30 プランジャ
31 パイロット弁体
150C~150L 本体
151C~151E、151G~151L 弁座部材
152F ライナー
VC 弁室