(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018687
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】検出装置
(51)【国際特許分類】
G01N 5/02 20060101AFI20240201BHJP
G01N 37/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G01N5/02 A
G01N37/00 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122166
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000204284
【氏名又は名称】太陽誘電株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和紀
(72)【発明者】
【氏名】恩田 陽介
(72)【発明者】
【氏名】服部 将志
(57)【要約】
【課題】検出する流体を効率よく検出素子に供給することが可能な検出装置を提供する。
【解決手段】検出装置は、第1面と、前記第1面に対向する第2面と、流体が導入される導入口15と、前記流体が排出される排出口16と、前記第1面における第1領域に前記導入口から前記排出口まで直線状に延伸して設けられる溝14と、を備え、前記第1面のうち前記第1領域以外の第2領域において前記第1面と前記第2面とは空洞を介し対向する収納室12と、前記第2面の前記第1領域に対向する位置に設けられた検出素子22a~22dと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面と、前記第1面に対向する第2面と、流体が導入される導入口と、前記流体が排出される排出口と、前記第1面における第1領域に前記導入口から前記排出口まで直線状に延伸して設けられる溝と、を備え、前記第1面のうち前記第1領域以外の第2領域において前記第1面と前記第2面とは空洞を介し対向する収納室と、
前記第2面の前記第1領域に対向する位置に設けられた検出素子と、
を備える検出装置。
【請求項2】
前記検出素子は、前記第2面における前記第1領域に対向する位置に複数設けられている請求項1に記載の検出装置。
【請求項3】
前記第2面上に、前記第1領域に対向する位置に設けられ、別の検出素子を覆うカバーまたは別の検出素子を封止する封止体を備える請求項1に記載の検出装置。
【請求項4】
複数の前記収納室と、
1つの導入路から分岐し、前記複数の収納室の前記導入口にそれぞれつながる複数の導入路と、
1つの排出路から分岐し、前記複数の収納室の前記排出口にそれぞれつながる複数の排出路と、
を備える請求項1に記載の検出装置。
【請求項5】
前記導入口に前記流体を導入する導入路と、前記排出口から前記流体を排出する排出路と、を備え、
前記導入路の延伸方向と前記第1領域の延伸方向とのなす角度は10°以下である請求項1から4のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項6】
前記収納室の前記第2領域における前記第1面と前記第2面との距離は、前記第1領域における前記第2面から最も離れた箇所と前記第2面との距離の0.1倍以上かつ0.9倍以下である請求項1から4のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項7】
前記第1領域の幅は、前記第1領域における前記第2面から最も離れた箇所と前記第2面との距離の0.2倍以上かつ5倍以下である請求項1から4のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項8】
実装面に前記検出素子を実装する基板を備え、
前記第2面は前記実装面である請求項1から4のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項9】
前記流体は気体である請求項1から4のいずれか一項に記載の検出装置。
【請求項10】
前記検出素子の出力値に基づき、前記気体のにおいを判定する判定部を備える請求項9に記載の検出装置。
【請求項11】
下面と、前記下面と対向する上面と、前記上面の周囲から前記下面側に向かって設けられた側面と、を検出空間の内壁として有する筐体と、
上面に第1感応部が設けられた第1検出素子と、
上面に前記第1検出素子が接合され、前記第1検出素子の周囲に設けられる、前記第1検出素子の第1電極と電気的に接続される第1パッドを有し、前記検出空間の下面に設けられた第1基板と、
を備え、
前記筐体は、
前記第1感応部と離間し、前記第1感応部と重なって前記検出空間の上面に設けられ、前記検出空間の上面の対向する2つの側辺のうち一方の側辺と他方の側辺とをつないで上方に凹んだ凹部として延在する溝と、
前記検出空間の上面の前記一方の側辺において、前記溝の一端に接続し、前記溝の一端から外に向かって前記筐体内に設けられ、流体が導入される導入路と、
前記検出空間の上面の前記他方の側辺において、前記溝の他端に接続され、前記溝の他端から外に向かって前記筐体内に設けられ、前記流体が排出される排出路と、
を有し、
前記検出空間は、前記溝と前記第1基板との間の空間である高背部と、前記溝の延伸方向の両側の外側に前記側面まで連続して設けられ、前記検出空間の上面と前記第1基板との間の空間である低背部と、を有し、
前記高背部と前記低背部との境界は前記第1検出素子を挟むように位置する検出装置。
【請求項12】
前記溝は直線状に設けられ、前記溝の断面形状は、楕円形状の一部または円形状の一部の形状である請求項11記載の検出装置。
【請求項13】
上面に第2感応部が設けられた第2検出素子と、
上面に前記第2検出素子が接合され、前記第2検出素子の周囲に設けられる、前記第2検出素子の第2電極と電気的に接続される第2パッドを有し、前記検出空間の下面に設けられた第2基板と、
を備え、
前記溝は、前記第2感応部と離間し、前記第2感応部と重なる請求項12に記載の検出装置。
【請求項14】
前記第1電極と前記第1パッドは、金属細線で接続され、
前記高背部と前記低背部の間の境界を前記金属細線が通過する請求項13に記載の検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
気体等の流体に関する情報(例えば流体内の特定の物質)を検出する検出装置において、チャンバ等の収納室内にセンサ等の検出素子を設け、収納室に検出する気体を導入する検出装置が知られている(例えば特許文献1)。流体が流れる流路内に検出素子を設けることが知られている(例えば特許文献2)。流体の流れる流路を2つに分岐し、分岐された2つの流路にそれぞれ検出素子を設けることが知られている(例えば特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-112651号公報
【特許文献2】特開2008-82768号公報
【特許文献3】特開2021-165730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
収納室内に流体を導入する方法では、収納室内の流体の流束および流速に分布が生じてしまう。また、検出素子の表面の感応部に効率よく流体を供給することが難しい。流路に検出素子を設ける方法では、検出素子の表面の感応部に効率よく流体を供給することが難しい。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、検出する流体を効率よく検出素子に供給することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1面と、前記第1面に対向する第2面と、流体が導入される導入口と、前記流体が排出される排出口と、前記第1面における第1領域に前記導入口から前記排出口まで直線状に延伸して設けられる溝と、を備え、前記第1面のうち前記第1領域以外の第2領域において前記第1面と前記第2面とは空洞を介し対向する収納室と、前記第2面の前記第1領域に対向する位置に設けられた検出素子と、を備える検出装置である。
【0007】
上記構成において、前記検出素子は、前記第2面における前記第1領域に対向する位置に複数設けられている構成とすることができる。
【0008】
上記構成において、前記第2面上に、前記第1領域に対向する位置に設けられ、別の検出素子を覆うカバーまたは別の検出素子を封止する封止体を備える構成とすることができる。
【0009】
上記構成において、複数の前記収納室と、1つの導入路から分岐し、前記複数の収納室の前記導入口にそれぞれつながる複数の導入路と、1つの排出路から分岐し、前記複数の収納室の前記排出口にそれぞれつながる複数の排出路と、を備える構成とすることができる。
【0010】
上記構成において、前記導入口に前記流体を導入する導入路と、前記排出口から前記流体を排出する排出路と、を備え、前記導入路の延伸方向と前記第1領域の延伸方向とのなす角度は10°以下である構成とすることができる。
【0011】
上記構成において、前記収納室の前記第2領域における前記第1面と前記第2面との距離は、前記第1領域における前記第2面から最も離れた箇所と前記第2面との距離の0.1倍以上かつ0.9倍以下である構成とすることができる。
【0012】
上記構成において、前記第1領域の幅は、前記第1領域における前記第2面から最も離れた箇所と前記第2面との距離の0.2倍以上かつ5倍以下である構成とすることができる。
【0013】
上記構成において、実装面に前記検出素子を実装する基板を備え、前記第2面は前記実装面である構成とすることができる。
【0014】
上記構成において、前記流体は気体である構成とすることができる。
【0015】
上記構成において、前記検出素子の出力値に基づき、前記気体のにおいを判定する判定部を備える構成とすることができる。
【0016】
本発明は、下面と、前記下面と対向する上面と、前記上面の周囲から前記下面側に向かって設けられた側面と、を検出空間の内壁として有する筐体と、上面に第1感応部が設けられた第1検出素子と、上面に前記第1検出素子が接合され、前記第1検出素子の周囲に設けられる、前記第1検出素子の第1電極と電気的に接続される第1パッドを有し、前記検出空間の下面に設けられた第1基板と、を備え、前記筐体は、前記第1感応部と離間し、前記第1感応部と重なって前記検出空間の上面に設けられ、前記検出空間の上面の対向する2つの側辺のうち一方の側辺と他方の側辺とをつないで上方に凹んだ凹部として延在する溝と、前記検出空間の上面の前記一方の側辺において、前記溝の一端に接続し、前記溝の一端から外に向かって前記筐体内に設けられ、流体が導入される導入路と、前記検出空間の上面の前記他方の側辺において、前記溝の他端に接続され、前記溝の他端から外に向かって前記筐体内に設けられ、前記流体が排出される排出路と、を有し、前記検出空間は、前記溝と前記第1基板との間の空間である高背部と、前記溝の延伸方向の両側の外側に前記側面まで連続して設けられ、前記検出空間の上面と前記第1基板との間の空間である低背部と、を有し、前記高背部と前記低背部との境界は前記第1検出素子を挟むように位置する検出装置である。
【0017】
上記構成において、前記溝は直線状に設けられ、前記溝の断面形状は、楕円形状の一部または円形状の一部の形状である構成とすることができる。
【0018】
上記構成において、上面に第2感応部が設けられた第2検出素子と、上面に前記第2検出素子が接合され、前記第2検出素子の周囲に設けられる、前記第2検出素子の第2電極と電気的に接続される第2パッドを有し、前記検出空間の下面に設けられた第2基板と、を備え、前記溝は、前記第2感応部と離間し、前記第2感応部と重なる構成とすることができる。
【0019】
上記構成において、前記第1電極と前記第1パッドは、金属細線で接続され、前記高背部と前記低背部の間の境界を前記金属細線が通過する構成とすることができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、検出する流体を効率よく検出素子に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施例1に係る検出装置の斜視図である。
【
図2】
図2は、実施例1に係る検出装置の平面図である。
【
図3】
図3(a)および
図3(b)は、
図2のそれぞれA-A断面図およびB-B断面図である。
【
図4】
図4(a)は、実施例1における基板20aの平面図、
図4(b)は、
図4(a)のA-A断面図である。
【
図5】
図5(a)および
図5(b)は、シミュレーション1におけるそれぞれ比較例1および実施例1の気体の流れを示す平面図である。
【
図6】
図6(a)および
図6(b)は、シミュレーション2におけるそれぞれ比較例2および実施例1の気体の速度を示す断面図である。
【
図7】
図7(a)は、実施例2に係る検出装置の平面図、
図7(b)は、
図7(a)のA-A断面図である。
【
図8】
図8(a)および
図8(b)は、シミュレーション3におけるそれぞれ比較例3および実施例2の気体の流れを示す平面図である。
【
図9】
図9(a)は、実施例3に係る検出装置の平面図、
図9(b)は、
図9(a)のA-A断面図である。
【
図10】
図10は、シミュレーション4における実施例3の気体の流れを示す平面図である。
【
図11】
図11は、シミュレーション4における実施例3の変形例1の気体の流れを示す平面図である。
【
図12】
図12は、実施例4に係る検出装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照し実施例について説明する。
【実施例0023】
図1は、実施例1に係る検出装置の斜視図である。
図1では、筐体10、基板20a~20c、検出素子22a~22dを実線で図示し、収納部13、溝14、導入路17、排出路18を破線で図示している。
図2は、実施例1に係る検出装置の平面図である。
図3(a)および
図3(b)は、
図2のそれぞれA-A断面図およびB-B断面図である。
図2では、収納室12、基板20a~20c、検出素子22a~22dを実線で図示し、溝14、導入口15、排出口16、導入路17および排出路18を破線で図示している。溝14の延伸方向および検出素子22a~22dの配列方向をX方向、上面11および下面21に平行でありかつX方向に直交する方向をY方向、上面11および下面21の法線方向をX方向とする。
【0024】
まず、ポイントである溝の定義について触れ、その後に具体的なポイントについて触れていく。広辞苑では溝とは、「地を細長く掘って水を流す所」とあり、「地」が測定空間を構成する内側の面であり、この面を両側に残して凹部が形成されたところが溝である。つまり溝は、両側に面が存在する。後述するが、
図3(b)の上面11に溝14が設けられている。基板20a~20cの上面21a~21cから、溝14が形成されている溝14の上面である湾曲面までの高さは、上面21a~21cから溝14以外の上面11までの高さより高い。このため、この基板20a~20cの上面21a~21cから溝14の上面までの部分を高背部27a(
図4(b)参照)と呼ぶ。基板20a~20cの上面21a~21cから溝14以外の上面11までの部分を低背部27b(
図4(b)参照)と呼ぶ。
【0025】
続いてポイントについて何点か触れる。
第1のポイント(溝14について)
検出素子22a~22dであるセンサチップが設けられた基板20a~20cが収納部13に設けられ、この基板20a~20cの上面21a~21b(収納室12の下面21)、上面11および側面により検出空間である収納室12が構成される。なお、検出素子22a~22dが基板20a~20c上に設けられた構造でなく、基板24上に検出素子22a~22dが直接設けられていてもよい。この場合、基板24の下面に電極が設けられ、電極と検出素子22a~22dとは基板24内の配線を介し電気的に接続される。高背部27aは、検出素子22a~22dの上面から溝14の上面までの部分であり、低背部27bは、検出素子22a~22dの上面から上面11までの部分である。
【0026】
この収納部13または収納室12の上面11に、導入口15から排出口16まで、または導入口15から排出口16の手前に渡り溝14を設けている。この「排出口16の手前」とは、例えば、
図1では、溝14は検出素子22bの+X側には溝14を設けなくてもよいことを含む。この検出素子22bから排出口16まで他の検出素子が設けられていないため、「排出口16の手前」と説明している。溝14の定義から、
図3(b)に示すように、溝14の両側(±Y側)には、溝14の開放部と連続して上面11が設けられている。
【0027】
図5(a)は、溝14が設けられていないときの気体の流れのシミュレーションであり、
図5(b)は、溝14が設けられているときの気体の流れのシミュレーションである。
図5(a)のように、溝14を設けない場合、導入口15から収納室12へ入る気体は、導入口15において開放されるため、紙面における上下(±Y方向)に放散していく。しかし、
図5(b)のように、溝14を設けることにより、気体の放散は抑制される。つまり、気体は、溝14に導かれ、溝14に沿って束としてまとまった気体の流れとなる。さらに、感応部23(
図4(a)および
図4(b)参照)の上をこの溝14が通過すれば、気体は、溝14に導かれる。これにより、束となった気体を、まとまった量かつ均一に、検出素子22a~22dの感応部23上を通過させることが可能である。
【0028】
第2のポイント(導入口15と溝14の関係)
導入口15の形状(YZ平面における形状)は導入路17の断面形状とほぼ同じ形状であり、導入口15の形状の上半分(+Z側の半分)と溝14が導入口15に接続する箇所における溝14の断面形状とがほぼ同じである。排出口16および排出路18についても同様である。これにより、導入口15から溝14、そして溝14から排出口16に向かって、導入口15、溝14および排出口16は連続して同じ断面形状を有している。
【0029】
例えば、
図3(a)のように、導入路17が設けられている-X側の筐体10の側壁と、この側壁の上端(+Z端)から厚みを有する筐体10の天板が設けられている。天板の下面(上面11)に溝14が形成されるように、-X側の側壁から-X側の側壁までドリルで開口すると、導入路17から溝14を通過し排出路18まで上記のような断面形状となる。このようにドリルを用いて導入路17、溝14および排出路18を形成すると、導入路17および排出路18として、円筒形状の孔が形成される。溝14の断面形状は、導入路17および排出路18の断面形状の+Z側の半分と連続した形状となり、ドーム状の溝14が形成される。なお、筐体10は、金型を使ってモールド加工により形成してもよい。この場合、導入路17、溝14および排出路18の断面形状は、多角形状等の円形状以外の形状でもよい。この様に、ドーム状の溝14の内壁と導入路17の内壁が連続して形成されるため、導入される気体は、乱流や放散を抑止して、溝14に集中して流れるようになる。
【0030】
第3のポイント(収納室12は細長く、検出素子22a~22dが一列に配列する)
図1から
図3(b)に示すように、溝14に沿って、複数の検出素子22a~22dを一列に配列することもポイントの一つである。例えば
図1では、4つの検出素子22a~22dが左から右に(X方向に)一列で並んでいる。仮に、この4つの検出素子22a~22dが、2列以上に配列されると、収納室12の横幅(Y方向の幅)が広がり、導入口15から収納室12に導入される気体は放散され、溝14に導かれる気体の速度分布および濃度分布にむらが発生し、検出精度が低下する。例えば、4つの検出素子22a~22dを2組で構成する場合、後述する
図9のように、2つの列からなる収納室12aおよび12bは筐体10の側壁で隔絶される。例えば
図1の筐体10を2列に並べたような構成となり、それぞれの列が、ここで説明するポイントを有することになる。
【0031】
第4のポイント(溝14の両側にある低背部27b)
後述する
図6(b)のように、収納室12は、
図1~
図3(b)のように、導入口15から排出口16まで、円筒を半分に切った形状の第1空間の高背部27aが設けられている。溝14の±Y方向の両側には、上面21a~21cから溝14の湾曲面までの高さより低い、実質的に水平な上面11と下面21を有する第2空間である低背部27bが設けられている。シミュレーションによると、この低背部27bの存在により、低背部27bに気体が入り込み、第1空間とその近傍の第2空間の部分をより均一な流速空間として確保することができる。これは、基板20a~20c全体を均一な流速空間および濃度空間として覆えるメリットとなる。同時に、検出素子22a~22dがボンディングワイヤ28により接続される場合、
図4(b)のように、ボンディングワイヤ28の頂部29を高背部27aに位置させたり、低背部27bと高背部27aの境界の近傍にボンディングワイヤ28を通過させたりする。これにより、ボンディングワイヤ28の終端部やその近傍のボンディングワイヤ28を低背部27bに位置させることができ、高背部27aの直径(幅W1)を小さくでき、収納室12の小型化が可能となる。
【0032】
以上の説明から理解できるように、本発明は、気体が通過する内部空間に特徴がある。
以下に、具体的な実施例を説明する。
【0033】
図1から
図3(b)に示すように、直方体状の筐体10は、外壁と内壁を備える。筐体10は、下面21と、下面21と対向する上面11と、上面11の周囲から下面に向かって設けられた3つの側面と、を、収納室12(または流路の一部)の内壁として有する。4つの側面は、上面11の4つの側辺のうち2つの長辺側(±Y側)の側面と、導入口15と排出口16が設けられる2つの側面(2つの短辺側(±X側)の側面)を有する。上面11(+Z側の面)の側から上方に凹んだ溝14の空間も含めて、収納部13と呼ぶ。筐体10は、例えば樹脂または金属からなる。収納部13内には基板24が収納され、導入口15と排出口16を除いて密閉される。
【0034】
基板24は、マザーボードとして機能し、配線が設けられてよい。さらに、電源やコンデンサ等の部品が実装されてもよく、回路が形成される。基板24上に基板20a~20cがX方向に配列して設けられている。すなわち、基板20a~20cの上面21a~21cが、筐体10の上面11と対向して平行となり、1列に配列して設けられている。基板20a~20cには、配線が設けられている。さらに、基板20a~20cには、配線に電気的に接続された電源またはコンデンサ等の部品が実装されてもよい。例えば、これらの部品は、基板20a~20cの下面側(-Z側)に設けられ、これらの部品により回路が形成される。基板24と基板20a~20cは、リードを介して電気的に接続されていてもよい。基板24と基板20a~20cは離間していてもよい。
【0035】
基板20aの上面21aに検出素子22aが設けられ、基板20bの上面21bに検出素子22bが設けられ、基板20cの上面21cに検出素子22cおよび22dが設けられている。検出素子22a~22dは基板20a~20cの配線に電気的に接続されている。基板20a~20cは樹脂基板またはセラミックス基板等の実装基板である。複数の基板20a~20cの代わりに単一の基板を用いてもよい。
【0036】
別々に基板20a~20cを設けることで、検出素子22a~22dの取り換えが個別に可能となる。検出素子22a~22dは流体に触れることによる電気的な反応量を計測するセンサである。この反応量には、検出素子22a~22dの電気容量、電気抵抗、電流、電圧、共振周波数、インピーダンス、または、その他の電気的変化が含まれる。これら反応量を計測することで、流体の温度、湿度、流量、圧力差、流体に含まれる特定の単一または複合物質の量、または、その他の流体(気体)に関する情報を検出できる。例えば、検出素子22aおよび22bは気体内の特定の物質を検出するセンサであり、検出素子22cおよび22dはそれぞれ温度センサおよび湿度センサである。検出素子22a~22dは、互いに気体内の異なる物質を検出するセンサでもよい。
【0037】
基板20a~20cと収納部13は検出素子22a~22dを収納する収納室12(検出空間または測定空間)を形成する。収納室12は対向する上面11(第1面)と下面21(第2面)とを有する。上面11は筐体10の上面であり、下面21は基板20a~20cの上面21a~21cから形成される。収納室12の平面形状は例えば矩形状である。収納室12の-X側の側面に導入路17が設けられて、検出対象の気体が収納室12に導入される。すなわち、導入路17は、収納室12の上面11のX方向に対向する側辺のうち一方(-X側)の側辺において、溝14の一端に接続し、溝14の一端から外(-X方向)に向かって筐体10内に設けられている。収納室12の+X側の側面に排出路18が接続される。すなわち、排出路18は、収納室12の上面11のX方向に対向する側辺のうち他方(+X側)の側辺において、溝14の他端に接続し、溝14の他端から外(+X方向)に向かって筐体10内に設けられている。収納室12と導入路17とが接する箇所は導入口15である。収納室12と排出路18とが接する箇所は排出口16である。収納室12の上面11には、上面11のX方向に対向する2つの側辺のうち一方の側辺と他方の側辺とをつないで上方に凹んだ凹部として延在する溝14が設けられている。溝14は、導入口15から排出口16まで直線状に延伸して設けられている。溝14の断面形状は半円状である。溝14の断面形状は、矩形等の多角形状の上半分または楕円形状等の上半分でもよい。検出素子22a~22dは、溝14に対向する上面21a~21cに設けられている。すなわち、平面視において、検出素子22a~22dの各々の少なくとも一部は、溝14の少なくとも一部と重なる。
【0038】
導入路17に検出する気体が導入される。気体は、導入口15から収納室12に導入され、気体のガイドとなる溝14に沿って、検出素子22a~22dの上面を通過する。気体は、排出口16から排出路18を通り排出される。検出素子22a~22dにより検出された気体に関する情報は、例えば、基板24に設けられた回路により演算され、例えば気体内の物質の種類または気体のにおいが判定される。例えば、実施例1では、流体として空気等の気体を例に説明するが、流体は液体でもよい。
【0039】
図4(a)は、実施例1における基板20aの平面図、
図4(b)は、
図4(a)のA-A断面図である。
図4(a)および
図4(b)に示すように、収納室12の下面21に基板20aが設けられている。基板20a(第1基板)の上面21aに検出素子22a(第1検出素子)が接合(固着)されている。検出素子22aの表面には感応膜である感応部23(第1感応部)および電極28c(第1電極)が設けられている。基板20aの上面21aにおける検出素子22aの周囲にはパッド28a(第1パッド)と、パッド28aと電気的に接続される導電パターン28b(第1導電パターン)と、が設けられている。検出素子22aの上面の電極28cと基板20aの上面21aのパッド28aとはボンディングワイヤ28(第1ボンディングワイヤ)により電気的に接続されている。感応部23に気体内の特定の物質が吸着すると、検出素子22aの抵抗値または共振周波数などが変化する。検出素子22aは、例えばQCM(Quartz Crystal Microbalance)センサ、SAW(Surface Acoustic Wave)センサ、BAW(Bulk Acoustic Wave)センサ等であり、感応部23に吸着した特定の物質の重さにより共振周波数が変化するセンサである。検出素子22aは、感応部23に気体内の特定の物質が吸着すると抵抗値が変化するセンサでもよい。検出する気体内の物質としては、例えばエタノール、アセトンもしくはトルエン等の有機化合物、または、アンモニア、窒素酸化物、オゾンもしくは塩素等の無機物質である。
【0040】
収納室12の上面11のうち溝14が設けられた領域は第1領域25aであり、上面11のうち第1領域25a以外の領域は第2領域25である。溝14(第1領域25a)と基板20aとの間の空間は高背部27aであり、第2領域25と基板20aとの間の領域は低背部27bである。低背部27bは、溝14のX方向の両側の外側に収納室12の側面まで連続して設けられている。検出空間である収納室12は、高背部27aと低背部27bとを有する。
【0041】
平面視において溝14は感応部23の全てに重なることが好ましい。溝14(すなわち第1領域25a)のY方向(上面11の平面方向でありかつ検出素子22a~22dの配列方向に直交する方向)における幅W1は、感応部23のY方向における幅W3以上であり、溝14の幅W1は、検出素子22aのY方向における幅W2以上が好ましい。すなわち、高背部27aと2つの低背部27bのそれぞれの2つの境界は検出素子22aを挟むように位置する。これにより、気体が効率的に感応部23に供給される。溝14の幅W1は、収納室12のY方向における幅W4より十分に小さい。
【0042】
溝14の底面(上面)と基板20aの上面21aからの高さH1は、低背部27bに対応する第2領域25において、収納室12の上面11と基板20aの上面21aの間の高さH2の2倍程度である。高さH2はボンディングワイヤ28が上面11に接触して、変形しない程度の高さが好ましい。検出素子22aの高さH3は、高さH2以下である。
【0043】
検出素子22b(第2検出素子)においても、検出素子22aと同様に、感応部23(第2感応部)および電極28c(第2電極)が設けられている。基板20b(第2基板)においても、基板20aと同様に、パッド28a(第2パッド)および導電パターン28b(第2導電パターン)が設けられている。電極28cとパッド28aとはボンディングワイヤ28(第2ボンディングワイヤ)により電気的に接続されている。検出素子22aと22bに対応する収納室12の上面11には、溝14が設けられている。
【0044】
再度述べる。基板20aに実装される検出素子22aは、6面体のチップタイプである。電気的接続には、例えば、ボンディングワイヤ28(金属細線)を用いている。ボンディングワイヤ28は高背部27aと低背部27bとの間の境界を通過する。
図4(b)の左側(+Y側)のボンディングワイヤ28では、ボンディングワイヤ28は、検出素子22aの上面から上に立ち上がり、ボンディングワイヤ28の頂部29を通過して基板20aの上面21aのパッドに向かって左(外側)に下がっている。
【0045】
ボンディングワイヤ28には頂部29が形成されるため、低背部27bの高さH2は、この頂部29よりも若干高くする。また、溝14と低背部27bの境界よりも頂部29を内側に入れることにより、低背部27bを低くできる。しかもボンディングワイヤ28の頂部29よりも外側の任意の位置からパッド28aに接続されるボンディングワイヤ28の終端部までの延在部分を低背部27bに設けられる。このため、溝14の幅W1を狭くできる。つまり低背部27bの存在により、溝14の幅W1が狭くでき、筐体10のサイズも小さくできる。さらに、溝14の幅W1を狭くできるため、気体の濃度分布もより均一になるメリットを有する。
【0046】
[シミュレーション1]
実施例1と比較例1について、収納室12内の気体の流れをシミュレーションした。比較例1は、溝14を設けていない以外の構成は実施例1と同じである。すなわち、比較例1は高背部27aを設けない構造である。シミュレーション1では、溝14の高さのH1を2mm、収納室12の領域25における高さ(つまり低背部27bの高さ)H2を1mm、溝14の幅W1を2mmとした。溝14の断面形状は半円である。
【0047】
図5(a)および
図5(b)は、シミュレーション1におけるそれぞれ比較例1および実施例1の気体の流れを示す平面図である。
図5(a)および
図5(b)において、収納室12内の線は気体の流束50を示している。流束50が密なところでは流束密度が大きく流れる気体の量が多く、流束が疎なところでは流束密度が小さく流れる気体の量が少ない。流束に粗密があると、流束密度に分布が生じ気体の量に分布が生じていることを示している。収納室12の導入口15から矢印52のように気体が導入され、収納室12の排出口16から矢印53のように気体が排出される。
【0048】
図5(a)に示すように、比較例1では、流束50は収納室12全体に分布しており、導入口15から導入された気体は収納室12内に拡散して流れている。排出口16付近では、流束50が渦を巻いており、流束50に分布が生じている。位置51aにおける流速は0.5~1m/sである。
【0049】
図5(b)に示すように、実施例1では、流束50は溝14に対応する部分の流束50が密であり、気体は主に溝14付近を流れている。溝14の位置51bにおける気体の速度(流速)は2~3m/sであり、比較例1の流速の約2倍である。
【0050】
このように、比較例1では、気体が収納室12内に拡散するため、検出素子22a~22dに気体を効率よく供給することができない。これにより、検出素子22a~22dの感度が低下し、検出値が変動する。また、検出素子22a~22d付近の流速が遅いため、検出素子22a~22dに供給される気体の量が少なくなってしまう。これにより、検出素子22a~22dの感度が低下してしまう。さらに、流束50に渦が生じると流束50に分布が生じるため、検出素子22a~22dを設ける場所により、検出素子22a~22dに供給される気体の量が異なってしまう。このため、検出素子22a~22dによって感度にばらつきが生じてしまう。
【0051】
一方、実施例1では、比較例1に比べ、溝14に気体が集中して流れるため、検出素子22a~22dに効率よく気体が供給され、検出素子22a~22dの感度が向上し、検出値の変動も抑制される。また、溝14付近における流速が速いため、検出素子22a~22dに供給される気体の量が多くなり、検出素子22a~22dの感度が向上する。さらに、比較例1のような渦は生成されず、溝14付近では流束50の分布が均一である。これにより、検出素子22a~22dに同程度の気体が供給される。よって、検出素子22a~22dによる感度にばらつきを抑制できる。さらに、流速が早い部分は、気体が導入された始めの期間(例えば、3~4秒)において、気体の濃度が濃い状態となる。これを利用して、検出素子22a~22dの感度を向上させることができる。
【0052】
[シミュレーション2]
実施例1と比較例2について、流速をシミュレーションした。比較例2は、溝14の代わりに、パイプ状の流路14cを設けている構造である。検出素子22a~22dを実装するため、流路14cの下面21側は平坦である。
図6(a)および
図6(b)は、シミュレーション2におけるそれぞれ比較例2および実施例1の気体の速度を示す断面図である。
図6(a)および
図6(b)における実線は流速の等高線を示している。検出素子は設けられていない。その他のシミュレーション条件はシミュレーション1と同じある。
【0053】
図6(a)のように、比較例2では、流路14cの断面形状は上部が円形状であり下部が矩形であり、溝14に相当する領域外に低背部27bは設けられていない。流路14cの高さおよび幅は、実施例1の高さH2および幅W1とそれぞれ同じである。
図6(b)のように実施例1では、溝14の上面の収納室12の下面21からの高さH1を2mmとし、収納室12の溝14以外の領域25の上面11の下面21からの高さH2を1mmとし、溝14の幅W1を2mmとした。
【0054】
図6(a)に示すように、比較例2では、流路14c内において流速が最も大きいのは中心付近(流路14cの下面21から高さH1の1/2)付近であり、流速の分布は同心円状である。検出素子22a~22dの高さH3(
図4(b)参照)は、領域25における高さH2より小さい。よって、気体の大部分は検出素子22a~22dの上面より上方を通過してしまい、気体を検出素子22a~22dの感応部23に効率的に供給することができず、検出素子22a~22dの感度が低下する。流路14cがパイプ状であると、濃度の高い部分が中心にできて、中心から外に向かって分布が生じる。これにより、濃度の高い部分と流路14cの下面21との間に高さが発生してしまう。これにより、検出素子22a~22dの上面の位置において気体の濃度および速度の変動が発生する。
【0055】
一方、
図6(b)に示すように、実施例1では、気体の流れが溝14の下方から領域25に広がっている。このため、流速が最も大きいのは、溝14の下方であり、収納室12の下面21から高さH1の1/4付近である。流速の分布は溝14下方から領域25に広がる楕円状である。気体の流速の速い領域が検出素子22a~22dの上面付近となり、気体を検出素子22a~22dの感応部23に効率的に供給することができ、検出素子22a~22dの感度を向上できる。気体の濃度分布がある程度均一な部分が基板20a~20c側に近づき、横方向に均一な部分が広がっている。これにより、検出素子22a~22dの検出値の変動を抑えられる効果がある。
【0056】
以上のように、実施例1によれば、収納室12の上面11の第1領域25aに導入口15から排出口16まで直線状に延伸して溝14が設けられている。検出素子22a~22dは、収納室12の下面21の溝14に対向する位置に設けられている。これにより、
図5(b)のように、比較例1の
図5(a)にくらべ、溝14に気体が集中して流れ、溝14付近における流速が速いため、検出素子22a~22dに効率よく気体を供給できる。また、実施例1では、溝14が設けられた第1領域25a以外の第2領域25において、収納室12の上面11と下面21とは空洞を介し対向する。これにより、
図6(b)のように、気体の流速の速い領域が検出素子22a~22dの上面付近となる。よって、気体を検出素子22a~22dに効率的に供給することができる。これらにより、検出素子22a~22dの感度が向上する。
【0057】
図1から
図3(a)のように、複数の検出素子22a~22dを収納室12の下面21の溝14が設けられた第1領域25aに対向する位置に設ける。これにより、
図5(a)のように、気体は溝14に沿って均一に流れるため、複数の検出素子22a~22dに供給される気体の量を均一にでき、検出素子22a~22dの感度のばらつきを抑制できる。
【0058】
収納室12の下面21は、筐体10の一部でもよい。この場合、筐体10に収納室12を形成することが難しい。そこで、検出素子22a~22dは、基板20a~20cの上面21a~21c(実装面)に実装されており、収納室12の下面21を基板20a~20cの上面21a~21cとする。これにより、
図1~
図3(b)のように、筐体10の底面に収納部13を設け、収納部13に基板20a~20cを挿入することで、簡単に収納室12を形成できる。基板20a~20cの個数は3個に限らず、1個または複数であればよい。
【0059】
高さH2(すなわち溝14以外の領域25における上面11と下面21との距離)が大きい場合、溝14を通過する気体が少なくなり、
図5(a)の比較例1の状態に近づいてしまう。この観点から高さH2は、高さH1(すなわち溝14(第1領域25a)の下面21から最も離れた箇所と下面21との距離)の0.9倍以下が好ましく、0.8倍以下がより好ましく、0.7以下がさらに好ましい。高さH2が小さい場合、
図6(b)のように、気体が領域25に広がることができず、
図6(a)の比較例2の状態に近づいてしまう。この観点から高さH2は、高さH1の0.1倍以上が好ましく、0.2倍以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましい。
【0060】
溝14の幅W1が小さい場合、溝14内を流れる気体が減り、溝14を設けない
図5(a)の比較例1に近づいてしまう。この観点から、溝14の幅W1は、高さH1の0.2倍以上が好ましく、0.3倍以上がより好ましく、0.5倍以上がさらに好ましい。溝14の幅W1が大きい場合、相対的に高さH1が小さくなり、溝14を設けない
図5(a)の比較例1に近づいてしまう。この観点から、溝14の幅W1は、高さH1の5倍以下が好ましく、3.5倍以下がより好ましく、2倍以下がより好ましい。
【0061】
溝14の幅W1が収納室12の幅W4と同程度の場合、
図6(a)の比較例2に近づいてしまう。この観点から、溝14の幅W1は、収納室12の幅W4の1/2倍以下が好ましく、1/5倍以下がより好ましい。
【0062】
検出素子22a~22dの高さH3(
図4(b)参照)が大きすぎると、気体が溝14から領域25に広がりにくくなる。この観点から、高さH3は高さH2の0.8倍以下が好ましく、0.6倍以下がより好ましく、0.4倍以下がさらに好ましい。検出素子22a~22dの高さH3が小さすぎると、
図6(b)のように、検出素子22a~22dの上面の気体の流速が小さくなるため、検出素子22a~22dの上面に気体が供給されにくくなる。この観点から、高さH3は高さH2の0.1倍以上が好ましく、0.2倍以上がより好ましい。
比較例3のように、収納室12の上面11と基板20a~20c(下面21)との間に部材26を設けると、気体の流れが不安定になる。しかし、実施例2のように、溝14を設けることで、気体の流れが安定になる。部材26のY方向における幅W5が大きい場合、比較例3では、気体の流れが不安定になる。そこで、部材26が溝14に対向する位置に設けられ、かつ部材26の幅W5が溝14の幅W1より大きい場合、溝14を設けることで気体の流れを安定にできる。これにより、検出素子22a~22dの感度を再現性よくできる。幅W5が幅W1の2倍以上、または3倍以上の場合、気体の流れがより不安定となるため、溝14を設けることが好ましい。部材26の高さH5が大きい場合、比較例3では、気体の流れが不安定になる。そこで、部材26の高さH5が検出素子22a~22dの高さH3より大きい場合、溝14を設けることが好ましい。高さH5が高さH3の1.5倍以上または3倍以上の場合、気体の流れがより不安定となるため、溝14を設けることが好ましい。