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特開2024-18700タイヤトレッド用ゴム組成物、及びそれを用いたタイヤ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018700
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】タイヤトレッド用ゴム組成物、及びそれを用いたタイヤ
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/06 20060101AFI20240201BHJP
   C08K 3/36 20060101ALI20240201BHJP
   C08K 5/521 20060101ALI20240201BHJP
   C08L 9/00 20060101ALI20240201BHJP
   B60C 1/00 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
C08L9/06
C08K3/36
C08K5/521
C08L9/00
B60C1/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122190
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003395
【氏名又は名称】弁理士法人蔦田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西川 由真
(72)【発明者】
【氏名】箕内 則夫
【テーマコード(参考)】
3D131
4J002
【Fターム(参考)】
3D131AA02
3D131BA05
3D131BA12
3D131BB01
3D131BB03
3D131BC02
3D131BC12
3D131BC19
3D131BC33
4J002AC01X
4J002AC03X
4J002AC06X
4J002AC07X
4J002AC08W
4J002AC08X
4J002AC09X
4J002BB18X
4J002DJ016
4J002EW047
4J002FD010
4J002FD016
4J002FD140
4J002GN01
(57)【要約】
【課題】転がり抵抗、及び耐摩耗性を改善することができる、タイヤトレッド用ゴム組成物、及びそれを用いたタイヤを提供する。
【解決手段】溶液重合スチレンブタジエンゴムを30質量部以上含み、スチレンブタジエンゴム以外のジエン系ゴムの含有量が50質量部未満であるゴム成分100質量部と、シリカ60質量部以上と、シリカ含有量の1.5~20質量%のトリアルキルホスフェートとを含有する、トレッド用ゴム組成物とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶液重合スチレンブタジエンゴムを30質量部以上含み、スチレンブタジエンゴム以外のジエン系ゴムの含有量が50質量部未満であるゴム成分100質量部と、
シリカ60質量部以上と、
シリカ含有量の1.5~20質量%のトリアルキルホスフェートとを含有する、トレッド用ゴム組成物。
【請求項2】
前記トリアルキルホスフェートの炭素数が3~30である、請求項1に記載のトレッド用ゴム組成物。
【請求項3】
前記溶液重合スチレンブタジエンゴムが、変性溶液重合スチレンブタジエンゴムを含む、請求項1に記載のトレッド用ゴム組成物。
【請求項4】
さらに、炭化水素樹脂を含有する、請求項1に記載のトレッド用ゴム組成物。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載のゴム組成物をトレッドに用いた、タイヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤトレッド用ゴム組成物、及びそれを用いたタイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題に対する関心の高まりに伴い、タイヤに用いられるゴム組成物においては、低燃費性の観点から転がり抵抗を低減することが求められている。一方で要求されるウエットグリップ制動性能を得るためにシリカを高充填することがあるが、シリカを高充填化するとシリカが凝集することで耐摩耗性が悪化したり、転がり抵抗が悪化したりするおそれがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2014-518912号公報
【特許文献2】特許第6244033号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上の点に鑑み、転がり抵抗及び耐摩耗性を改善することができる、タイヤトレッド用ゴム組成物及びそれを用いたタイヤを提供することを目的とする。
【0005】
なお、特許文献1には、ウエットグリップ性能及び耐摩耗性に優れたタイヤとして、エマルジョンスチレン/ブタジエンコポリマーと無機補強充填剤、可塑系とを含有するゴム組成物を含んだタイヤが記載されているが、本発明のように溶液重合スチレンブタジエンゴムを使用するものではない。
【0006】
また、特許文献2には、グリセリン脂肪酸エステルとシリカとを併用することが記載されているが、本発明のようにリン酸エステルを使用するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は以下に示される実施形態を含む。
[1] 溶液重合スチレンブタジエンゴムを30質量部以上含み、スチレンブタジエンゴム以外のジエン系ゴムの含有量が50質量部未満であるゴム成分100質量部と、シリカ60質量部以上と、シリカ含有量の1.5~20質量%のトリアルキルホスフェートとを含有する、トレッド用ゴム組成物。
[2] 上記トリアルキルホスフェートの炭素数が3~30である、[1]に記載のトレッド用ゴム組成物。
[3] 上記溶液重合スチレンブタジエンゴムが、変性溶液重合スチレンブタジエンゴムを含む、[1]又は[2]に記載のトレッド用ゴム組成物。
[4] さらに、炭化水素樹脂を含有する、[1]~[3]のいずれか1項に記載のトレッド用ゴム組成物。
[5] [1]~[4]のいずれか1項に記載のゴム組成物をトレッドに用いた、タイヤ。
【発明の効果】
【0008】
本発明のタイヤトレッド用ゴム組成物によれば、転がり抵抗及び耐摩耗性を改善することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施に関連する事項について詳細に説明する。
【0010】
本実施形態に係るタイヤトレッド用ゴム組成物は、溶液重合スチレンブタジエンゴムを30質量部以上含み、スチレンブタジエンゴム以外のジエン系ゴムの含有量が50質量部未満であるゴム成分100質量部と、シリカ60質量部以上と、シリカ含有量の1.5~20質量%のトリアルキルホスフェートとを含有するものとする。
【0011】
一般に、スチレンブタジエンゴムは溶液重合スチレンブタジエンゴム(以下、「S-SBR」ともいう)および乳化重合スチレンブタジエンゴム(以下、「E-SBR」ともいう)に大別されるが、E-SBRに比してS-SBRは分子量分布(Mw/Mn)が狭い。
【0012】
S-SBRは、一般に炭化水素中で原料モノマーをアニオン重合することにより得られ、水中での乳化重合法(懸濁重合法)により得られるE-SBRに比べ、分子量分布およびビニル量の両方を制御できる点が特徴である。
【0013】
本発明においては、S-SBRとして、変性S-SBRを含有することが好ましい。変性S-SBRは、ヘテロ原子を含む官能基を含む。ヘテロ原子を含む官能基は、ポリマー鎖の末端に導入されてもよく、ポリマー鎖中に導入されてもよいが、好ましくは末端に導入されることである。ヘテロ原子を含む官能基としては、アミノ基、アルコキシル基、ヒドロキシル基、エポキシ基、カルボキシル基、シアノ基、ハロゲン基などが挙げられる。変性S-SBRは、例示した官能基のうち少なくとも1種を含むことができる。アミノ基としては、1級アミノ基、2級アミノ基、3級アミノ基などが挙げられる。アルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基などが挙げられる。ハロゲン基としては、塩素、臭素などが挙げられる。例示した官能基は、充填剤、特にはカーボンブラックが有する種々の官能基や、シリカのシラノール基(Si-OH)と相互作用する。ここで、相互作用とは、例えばシリカの場合、シリカのシラノール基との間で化学反応による化学結合または水素結合することを意味する。なお、S-SBRはカーボンブラックやシリカなどの充填性および加工性向上を目的とした油展品を使用してもよい。
【0014】
ゴム成分100質量部中の溶液重合スチレンブタジエンゴムの含有量は、30質量部以上であり、30~100質量部であることが好ましく、35~100質量部であることがより好ましく、40~100質量部であることがさらに好ましい。
【0015】
ゴム成分は乳化重合スチレンブタジエンゴム(E-SBR)を含有するものであってもよいが、その含有量は、ゴム成分100質量部中、60質量部未満であることが好ましく、50質量部未満であることがより好ましく、40質量部未満であることがさらに好ましい。
【0016】
ゴム成分は、スチレンブタジエンゴムのみで構成されてもよいが、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ニトリルゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン-イソプレン共重合体ゴム、ブタジエン-イソプレン共重合体ゴム、スチレン-イソプレン-ブタジエン共重合体ゴム等のスチレンブタジエンゴム以外のジエン系ゴムを、本来の効果を損なわない範囲においてさらに配合してもよい。その含有量はゴム成分100質量部中50質量部未満であり、40質量部未満であることが好ましく、30質量部未満であることがより好ましい。
【0017】
本実施形態に係るゴム組成物は、補強性充填剤として、シリカを含有するものである。シリカとしては、特に限定されず、例えば、湿式沈降法シリカや湿式ゲル法シリカなどの湿式シリカを用いてもよい。
【0018】
シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、60質量部以上であり、60~140質量部であることが好ましく、60~130質量部であることがより好ましく、65~120質量部であることがさらに好ましい。シリカの含有量が上記範囲内である場合、優れた転がり抵抗及び耐摩耗性が得られやすい。
【0019】
補強性充填剤としては、シリカに加えて、カーボンブラックを併用するものであってもよい。補強性充填剤の含有量(シリカとカーボンブラックの合計量)は、ゴム成分100質量部に対して60~150質量部であることが好ましく、60~140質量部であることがより好ましく、60~130質量部であることがさらに好ましい。カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して0.1~40質量部であることが好ましく、1~30質量部であることがより好ましく、1~20質量部であることがさらに好ましい。
【0020】
本実施形態に係るゴム組成物はシランカップリング剤を含有することが好ましく、その場合、シランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、1~20質量部であることが好ましく、より好ましくは1~15質量部である。
【0021】
本実施形態に係るゴム組成物は、トリアルキルホスフェートを含有するものであり、その含有量は、シリカ含有量の1.5~20質量%である。すなわち、シリカ100質量部に対して、1.5~20質量部の割合で含有するものとする。
【0022】
トリアルキルホスフェートの炭素数は3~30であることが好ましく、炭素数は3~24であることがより好ましい。具体的には、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ(2-エチルヘキシル)ホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート(trixylenylphosphate)、トリス(イソプロピルフェニル)ホスフェート、トリナプチルホスフェートなどが挙げられる。
【0023】
トリアルキルホスフェートの凝固点は、-50℃以下であることが好ましく、-55~-90℃であることがより好ましい。
【0024】
本実施形態に係るゴム組成物は、炭化水素系樹脂を含有するものであってもよい。炭化水素樹脂の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、1~20質量部であってもよく、5~15質量部であってもよい。炭化水素系樹脂の含有量が上記範囲内である場合、優れた転がり抵抗と耐摩耗性が得られやすい。
【0025】
炭化水素系樹脂としては、スチレン系樹脂、テルペン系樹脂、石油系炭化水素樹脂、ロジン系樹脂などが挙げられ、この中でも、石油系炭化水素樹脂、テルペン系樹脂であることが好ましい。
【0026】
スチレン系樹脂としては、スチレン及び/又はα-メチルスチレンを構成モノマーとして含む樹脂であればよく、スチレン又はα-メチルスチレンを単独で重合した単独重合体や、スチレン及びα-メチルスチレンを共重合した共重合体、スチレン及び/又はα-メチルスチレンとその他の単量体との共重合体が挙げられる。その他の単量体としては、例えば、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオール等のテルペン化合物(テルペン系単量体)や、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等の非共役オレフィン等が挙げられ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0027】
テルペン系樹脂としては、例えば、α-ピネン重合体、β-ピネン重合体、ジペンテン重合体などのテルペン系樹脂や、これらのテルペン系樹脂を変性(フェノール変性、芳香族変性、炭化水素変性など)した変性テルペン系樹脂(例えば、テルペンフェノール系樹脂、スチレン変性テルペン系樹脂、芳香族変性テルペン系樹脂など)などが挙げられる。
【0028】
石油系炭化水素樹脂としては、例えば、C5系の脂肪族系炭化水素樹脂、C9系の芳香族系炭化水素樹脂、C5/C9系の脂肪族/芳香族共重合系炭化水素樹脂が挙げられる。脂肪族系炭化水素樹脂は、炭素数4~5個相当の石油留分(C5留分)であるイソプレンやシクロペンタジエンなどの不飽和モノマーをカチオン重合することにより得られる樹脂であり、一部水添したものであってもよい。芳香族系炭化水素樹脂は、炭素数8~10個相当の石油留分(C9留分)であるビニルトルエン、アルキルスチレン、インデンなどのモノマーをカチオン重合することにより得られる樹脂であり、一部水添したものであってもよい。脂肪族/芳香族共重合系炭化水素樹脂は、上記C5留分とC9留分とをカチオン重合により共重合して得られる樹脂であり、一部水添したものであってもよい。
【0029】
ロジン系樹脂としては、例えば、ガムロジン、ウッドロジン、トール油ロジンなどの原料ロジン、原料ロジンの不均化物、重合ロジンなどのロジン類や、ロジン類のエステル化物(ロジンエステル樹脂)、フェノール変性ロジン類、不飽和酸(マレイン酸など)変性ロジン類、ロジン類を還元処理したホルミル化ロジン類などが挙げられる。
【0030】
本実施形態に係るゴム組成物には、上記成分以外に、酸化亜鉛、ステアリン酸、老化防止剤、ワックス、オイル、加硫剤、加硫促進剤など、ゴム組成物において一般に使用される各種添加剤を配合することができる。
【0031】
上記加硫剤としては、硫黄が好ましく用いられる。加硫剤の含有量は、特に限定するものではないが、ゴム成分100質量部に対して0.1~10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5~5質量部である。また、上記加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チウラム系、チアゾール系、及びグアニジン系などの各種加硫促進剤が挙げられ、いずれか1種単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。加硫促進剤の含有量は、特に限定するものではないが、ゴム成分100質量部に対して0.1~7質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5~5質量部である。
【0032】
本実施形態に係るゴム組成物は、通常用いられるバンバリーミキサーやニーダー、ロール等の混合機を用いて、常法に従い混練し作製することができる。すなわち、例えば、第一混合段階で、ゴム成分に対し、加硫剤及び加硫促進剤を除く他の添加剤を添加混合し、次いで、得られた混合物に、最終混合段階で加硫剤及び加硫促進剤を添加混合してゴム組成物を調製することができる。
【0033】
このようにして得られたゴム組成物は、乗用車用タイヤ、トラックやバスの大型タイヤなど、各種用途・各種サイズの空気入りタイヤのトレッドに適用することができる。すなわち、該ゴム組成物は、常法に従い、例えば、押出加工によって所定の形状に成形され、他の部品と組み合わせてグリーンタイヤを作製した後、例えば140~180℃でグリーンタイヤを加硫成形することにより、空気入りタイヤを製造することができる。
【実施例0034】
以下、本発明の実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0035】
ラボミキサーを使用し、下記表1~4に示す配合(質量部)に従って、まず、第一混合段階で、ゴム成分に対し硫黄及び加硫促進剤を除く他の配合剤を添加し混練した(排出温度=160℃)。次いで、得られた混練物に、最終混合段階で、硫黄と加硫促進剤を添加し混練して(排出温度=90℃)、ゴム組成物を調製した。表1~4中の各成分の詳細は、以下の通りである。
【0036】
・SBR1:JSR(株)製「HPR350」、変性S-SBR(スチレン含有量=20.5質量%、ブタジエン部のミクロ構造:ビニル含有量=55.5%)
・SBR2:JSR(株)製「SBR1502」、E-SBR(スチレン含有量=23.5%)
・SBR3:旭化成(株)製「タフデン1834」、未変性S-SBR(Tg=-68℃、37.5質量部油展)
・SBR4:JSR(株)製「HPR840」、変性S-SBR(スチレン含有量=10質量%、ブタジエン部のミクロ構造:ビニル含有量=42%)
・BR:宇部興産(株)製「BR150B」、ビニル含有量1%
・NR:RSS#3
・カーボンブラック:東海カーボン(株)製「シースト3」
・シリカ:エボニック社製「Ultrasil VN3」
・シランカップリング剤:エボニック社製「Si-69」、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド
・オイル:ENEOS(株)製「プロセスNC-140」
・酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製「酸化亜鉛2種」
・ステアリン酸:花王(株)製「ルナックS-20」
・老化防止剤:住友化学(株)製「アンチゲン6C」
・リン酸エステル1:大八化学工業(株)製「トリス(2-エチルヘキシル)ホスフェート(TOP)」、凝固点-70℃以下
・リン酸エステル2:大八化学工業(株)製「トリエチルホスフェート(TEP)」、凝固点-56℃
・エステル可塑剤:大八化学工業(株)製「ビス(2-エチルヘキシル)フタレート(DOP)」、凝固点-50℃
・炭化水素系樹脂1:C5/C9系樹脂、東ソー(株)製「ペトロタック90」、軟化点=95℃
・炭化水素系樹脂2:β-ピネン系樹脂、DRT社製「DERCOLYTE S 115」、軟化点=114℃
・硫黄:鶴見化学工業(株)製「粉末硫黄」
・加硫促進剤1:住友化学(株)製「ソクシノールCZ」
・加硫促進剤2:大内新興化学(株)製「ノクセラーD」
【0037】
得られた各ゴム組成物について、160℃で20分間加硫して所定形状の試験片を作製し、転がり抵抗性能及び耐摩耗性の測定を行った。測定方法は次の通りである。
【0038】
・転がり抵抗性能:東洋精機(株)製の粘弾性試験機を使用し、周波数10Hz、静歪み10%、動歪み1%、温度60℃の条件で損失係数tanδを測定し、基準となる比較例の値の逆数を100とした指数で示した。指数が大きいほど、tanδが小さく、転がり抵抗性能に優れることを示す。
【0039】
・耐摩耗性:JIS K6264に準拠し、岩本製作所(株)製のランボーン摩耗試験機を用いて、荷重40N,スリップ率30%の条件で摩耗減量を測定し、基準となる比較例の値の逆数を100とした指数で示した。指数が大きいほど摩耗減量が少なく耐摩耗性に優れる。
【0040】
なお、表1において、実施例1-1~実施例1-5及び比較例1-2は比較例1-1を基準とし、実施例1-6~実施例1-8は比較例1-3を基準とし、実施例1-9、実施例1-10、及び比較例1-5は比較例1-4を基準とした。表2において、実施例2-1~実施例2-5、比較例2-2、及び比較例2-3は比較例2-1を基準とし、実施例2-6~実施例2-8は比較例2-4を基準とした。表3において、実施例3-1~実施例3-4、及び比較例3-2は比較例3-1を基準とし、実施例3-5~実施例3-9及び比較例3-4は比較例3-3を基準とした。表4において、実施例4-1~実施例4-4、比較例4-2、及び比較例4-3は比較例4-1を基準とし、実施例4-5~実施例4-9及び比較例4-5は比較例4-4を基準とした。
【0041】
【表1】
【0042】
【表2】
【0043】
【表3】
【0044】
【表4】
【0045】
結果は、表1~4に示す通りであり、比較例1-1と比較し、実施例1-1~実施例1-5は転がり抵抗性能及び耐摩耗性が優れていた。一方、比較例1-2はリン酸エステルの含有量が上限値を超える例であり、比較例1-1と比較して耐摩耗性が劣っていた。
【0046】
実施例1-6~実施例1-8は、比較例1-3と比較して転がり抵抗性能及び耐摩耗性が優れていた。
【0047】
実施例1-9は、比較例1-4と比較して転がり抵抗性能及び耐摩耗性が優れていた。実施例1-10は、比較例1-5と比較して転がり抵抗性能及び耐摩耗性が優れていた。
【0048】
実施例2-1~実施例2-4は、比較例2-1と比較して転がり抵抗性能及び耐摩耗性が優れていた。比較例2-2は変性S-SBRを使用した例であるが、比較例2-1と比較して転がり抵抗性能が向上したものの耐摩耗性が悪化した。一方、実施例2-5は変性S-SBRとリン酸エステルを併用した例であり、比較例2-1と比較して転がり抵抗性能及び耐摩耗性が優れていた。
【0049】
実施例2-6~実施例2-8は、比較例2-4と比較して転がり抵抗性能及び耐摩耗性が優れていた。
【0050】
比較例3-1と比較し、実施例3-1~実施例3-4は転がり抵抗性能及び耐摩耗性が優れていた。一方、比較例3-2はリン酸エステルの含有量が上限値を超える例であり、比較例3-1と比較して耐摩耗性の改善が見られなかった。
【0051】
実施例3-5、実施例3-6は、比較例3-3と比較して転がり抵抗性能及び耐摩耗性が優れていた。実施例3-7~実施例3-9は、比較例3-4と比較して転がり抵抗性能及び耐摩耗性が優れていた。
【0052】
比較例4-1と比較し、実施例4-1~実施例4-4は転がり抵抗性能及び耐摩耗性が優れていた。一方、比較例4-2はリン酸エステルの含有量が上限値を超える例であり、比較例4-1と比較して耐摩耗性の改善が見られなかった。また、比較例4-3はリン酸エステルの代わりにエステル可塑剤を使用した例であるが、耐摩耗性が悪化した。
【0053】
実施例4-5、実施例4-6は、比較例4-4と比較して転がり抵抗性能及び耐摩耗性が優れていた。実施例4-7~実施例4-9は、比較例4-5と比較して転がり抵抗性能及び耐摩耗性が優れていた。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明のゴム組成物は、乗用車、ライトトラック・バス等の各種タイヤ用ゴム組成物に用いることができる。