(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018712
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】送出装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/48 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B65H3/48 310B
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122226
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】田中 敬
(72)【発明者】
【氏名】松月 優人
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 清孝
【テーマコード(参考)】
3F343
【Fターム(参考)】
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC01
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC04
3F343GD01
3F343JD02
3F343JD28
3F343JD35
3F343JD39
3F343KB05
3F343KB17
3F343KB18
3F343LA03
3F343LB09
3F343LD07
3F343LD08
3F343MC10
3F343MC13
(57)【要約】
【課題】浮揚された媒体を吸着して送り出す構成において、吸着された第一媒体の直下に位置する第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ水平方向に空気を供給して、該第二媒体を該第一媒体から分離する構成と比べて、媒体の重ね送りを抑制する。
【解決手段】送出装置は、積載された複数の媒体の間に空気を供給して、前記媒体を浮揚させる供給部と、前記供給部によって浮揚された媒体を吸着し、該媒体を送り出す送出部と、前記送出部に吸着された第一媒体の直下に位置する第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ斜め下方に空気を供給して、該第二媒体を該第一媒体から分離する分離部と、前記第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ斜め下方に空気を吹き付けると共に媒体送出方向に対する空気の吹き付け角度が前記分離部における空気の供給角度よりも大きい吹付部と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載された複数の媒体の間に空気を供給して、前記媒体を浮揚させる供給部と、
前記供給部によって浮揚された媒体を吸着し、該媒体を送り出す送出部と、
前記送出部に吸着された第一媒体の直下に位置する第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ斜め下方に空気を供給して、該第二媒体を該第一媒体から分離する分離部と、
前記第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ斜め下方に空気を吹き付けると共に媒体送出方向に対する空気の吹き付け角度が前記分離部における空気の供給角度よりも大きい吹付部と、
を備える送出装置。
【請求項2】
積載された複数の媒体の間に空気を供給して、前記媒体を浮揚させる供給部と、
前記供給部によって浮揚された媒体を吸着し、該媒体を送り出す送出部と、
前記送出部に吸着された第一媒体の直下に位置する第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ斜め下方に空気を供給して、該第二媒体を該第一媒体から分離する分離部と、
前記分離部と別体であり、前記第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ斜め下方に空気を吹き付けると共に空気吹付により前記第二媒体に加える圧力が前記分離部の空気供給により前記第二媒体に加える圧力よりも高い吹付部と、
を備える送出装置。
【請求項3】
前記吹付部による前記第二媒体に対する空気吹付領域が、前記分離部による前記第二媒体に対する空気供給領域よりも狭い、請求項2に記載の送出装置。
【請求項4】
前記送出部は、装置本体に対して媒体送出方向の移動により送り出し手段に媒体を受け渡し、
前記吹付部は、前記装置本体に固定されている、請求項1に記載の送出装置。
【請求項5】
前記送出部は、前記第一媒体を吸着する吸着面を有し、
平面視で前記分離部の空気供給口と前記吹付部の空気吹付口とが前記吸着面の媒体送出方向下流側で且つ前記媒体の幅方向内側に位置する、請求項4に記載の送出装置。
【請求項6】
平面視で前記分離部の空気供給口と前記吹付部の空気吹付口とが媒体送出方向と直交する方向でずれている、請求項5に記載の送出装置。
【請求項7】
平面視で前記空気供給口が前記直交する方向に間隔をあけて配置され、
前記直交する方向に隣接する前記空気供給口の間に前記空気吹付口が配置されている、請求項6に記載の送出装置。
【請求項8】
前記分離部は、前記吹付部よりも下側に配置される空気供給部と、前記空気供給部から供給される空気を上側へ導く空気供給路と、前記空気供給路から供給される空気を媒体送出方向下流側から上流側へ斜め下方に向かうよう案内する案内部と、を有する、請求項1に記載の送出装置。
【請求項9】
平面視で前記案内部と前記吹付部の空気吹付口とが媒体送出方向と直交する方向でずれている、請求項8に記載の送出装置。
【請求項10】
前記送出部は、前記第一媒体を吸着する吸着面と、媒体送出方向下流側に向けて張り出す張出部とを有しており、
前記送出部の前記吸着面と前記張出部の下面とが媒体送出方向で連なっており、
前記案内部は、前記張出部の下面に設けられている、請求項9に記載の送出装置。
【請求項11】
前記吹付部は、少なくとも前記分離部から前記第二媒体への空気供給開始から前記送出部による前記第一媒体の送り出し開始までの期間、空気を吹き付ける、請求項1に記載の送出装置。
【請求項12】
前記吹付部は、複数の前記媒体の送り出しジョブが完了するまで連続して空気を吹き付ける、請求項11に記載の送出装置。
【請求項13】
前記吹付部の空気吹付力が前記送出部の媒体吸着力よりも低い、請求項12に記載の送出装置。
【請求項14】
前記吹付部は、前記分離部から前記第二媒体へ前記空気を供給開始した後で、前記第二媒体へ前記空気を吹き付ける、請求項1に記載の送出装置。
【請求項15】
前記吹付部は、前記送出部による前記第一媒体の送り出し開始前に前記第二媒体への前記空気の吹き付けを停止する、請求項14に記載の送出装置。
【請求項16】
平面視で前記分離部の空気供給口と前記吹付部の空気吹付口が媒体送出方向と直交する方向で同じ位置にある、請求項5に記載の送出装置。
【請求項17】
前記吹付部による空気吹付と前記分離部による空気供給を交互に行う、請求項16に記載の送出装置。
【請求項18】
請求項1~17のいずれか1項に記載の送出装置と、
前記送出装置から送り出された媒体に画像を形成する画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、送出装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、四方に位置決めガイドを備えた用紙載せ台、吸着ヘッドを備えた吸着機構及び空気供給機構を少なくとも有し、用紙載せ台上にその位置決めガイドにより所定の位置に位置決めされた状態で積載された複数枚の積層用紙から最上の第一層用紙を、その下側の第二層用紙との間に空気供給機構により空気を送り込みつつ吸着機構の吸着ヘッドで1枚ずつ順次吸着し、吸い上げて下流工程に繰り出すようにした給紙装置において、前記吸着機構が、積層用紙上における第一層用紙の繰り出しに際して、その前方部分に前記吸着機構の動作中にその前側及び/又は横側の縁辺の上方から前記前側及び/又は横側の縁辺に当たるように或いは掠めるように下方へ向けて空気流を吹き付けると共に前記空気流の吹き付け条件を吸着機構の動線上で一定に保つ吹き付け装置を備えたこと特徴とした給紙装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、浮揚された媒体を吸着して送り出す構成において、吸着された第一媒体の直下に位置する第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ水平方向に空気を供給して、該第二媒体を該第一媒体から分離する構成と比べて、媒体の重ね送りを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1態様の送出装置は、積載された複数の媒体の間に空気を供給して、前記媒体を浮揚させる供給部と、前記供給部によって浮揚された媒体を吸着し、該媒体を送り出す送出部と、前記送出部に吸着された第一媒体の直下に位置する第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ斜め下方に空気を供給して、該第二媒体を該第一媒体から分離する分離部と、前記第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ斜め下方に空気を吹き付けると共に媒体送出方向に対する空気の吹き付け角度が前記分離部における空気の供給角度よりも大きい吹付部と、を備える。
【0006】
本開示の第2態様の送出装置は、積載された複数の媒体の間に空気を供給して、前記媒体を浮揚させる供給部と、前記供給部によって浮揚された媒体を吸着し、該媒体を送り出す送出部と、前記送出部に吸着された第一媒体の直下に位置する第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ斜め下方に空気を供給して、該第二媒体を該第一媒体から分離する分離部と、前記分離部と別体であり、前記第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ斜め下方に空気を吹き付けると共に空気吹付により前記第二媒体に加える圧力が前記分離部の空気供給により前記第二媒体に加える圧力よりも高い吹付部と、を備える。
【0007】
本開示の第3態様の送出装置は、第2態様の送出装置において、前記吹付部による前記第二媒体に対する空気吹付領域が、前記分離部による前記第二媒体に対する空気供給領域よりも狭い。
【0008】
本開示の第4態様の送出装置は、第1態様の送出装置において、前記送出部は、装置本体に対して媒体送出方向の移動により送り出し手段に媒体を受け渡し、前記吹付部は、前記装置本体に固定されている。
【0009】
本開示の第5態様の送出装置は、第4態様の送出装置において、前記送出部は、前記第一媒体を吸着する吸着面を有し、平面視で前記分離部の空気供給口と前記吹付部の空気吹付口とが前記吸着面の送出方向下流側で且つ前記媒体の幅方向内側に位置する。
【0010】
本開示の第6態様の送出装置は、第5態様の送出装置において、平面視で前記分離部の空気供給口と前記吹付部の空気吹付口とが媒体送出方向と直交する方向でずれている。
【0011】
本開示の第7態様の送出装置は、第6態様の送出装置において、平面視で前記空気供給口が前記直交する方向に間隔をあけて配置され、前記直交する方向に隣接する前記空気供給口の間に前記空気吹付口が配置されている。
【0012】
本開示の第8態様の送出装置は、第1態様の送出装置において、前記分離部は、前記吹付部よりも下側に配置される空気供給部と、前記空気供給部から供給される空気を上側へ導く空気供給路と、前記空気供給路から供給される空気を媒体送出方向下流側から上流側へ斜め下方に向かうよう案内する案内部と、を有する。
【0013】
本開示の第9態様の送出装置は、第8態様の送出装置において、平面視で前記案内部と前記吹付部の空気吹付口とが媒体送出方向と直交する方向でずれている。
【0014】
本開示の第10態様の送出装置は、第9態様の送出装置において、前記送出部は、前記第一媒体を吸着する吸着面と、媒体送出方向下流側に向けて張り出す張出部とを有しており、前記送出部の前記吸着面と前記張出部の下面とが前記送出方向で連なっており、前記案内部は、前記張出部の下面に設けられている。
【0015】
本開示の第11態様の送出装置は、第1態様の送出装置において、前記吹付部は、少なくとも前記分離部から前記第二媒体への空気供給開始から前記送出部による前記第一媒体の送り出し開始までの期間、空気を吹き付ける。
【0016】
本開示の第12態様の送出装置は、第11態様の送出装置において、前記吹付部は、複数の前記媒体の送り出しジョブが完了するまで連続して空気を吹き付ける。
【0017】
本開示の第13態様の送出装置は、第12態様の送出装置において、前記吹付部の空気吹付力が前記送出部の媒体吸着力よりも低い。
【0018】
本開示の第14態様の送出装置は、第1態様の送出装置において、前記吹付部は、前記分離部から前記第二媒体へ前記空気を供給開始した後で、前記第二媒体へ前記空気を吹き付ける。
【0019】
本開示の第15態様の送出装置は、第14態様の送出装置において、前記吹付部は、前記送出部による前記第一媒体の送り出し開始前に前記第二媒体への前記空気の吹き付けを停止する。
【0020】
本開示の第16態様の送出装置は、第5態様の送出装置において、平面視で前記分離部の空気供給口と前記吹付部の空気吹付口が媒体送出方向と直交する方向で同じ位置にある。
【0021】
本開示の第17態様の送出装置は、第16態様の送出装置において、前記吹付部による空気吹付と前記分離部による空気供給を交互に行う。
【0022】
本開示の第18態様の画像形成装置は、第1態様~第17態様のいずれか1態様の送出装置と、前記送出装置から送り出された媒体に画像を形成する画像形成部と、を備える。
【発明の効果】
【0023】
第1態様の送出装置では、浮揚された媒体を吸着して送り出す構成において、吸着された第一媒体の直下に位置する第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ水平方向に空気を供給して、該第二媒体を該第一媒体から分離する構成と比べて、媒体の重ね送りを抑制することができる。
【0024】
第2態様の送出装置では、浮揚された媒体を吸着して送り出す構成において、吸着された第一媒体の直下に位置する第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ水平方向に空気を供給して、該第二媒体を該第一媒体から分離する構成と比べて、媒体の重ね送りを抑制することができる。
【0025】
第3態様の送出装置では、空気吹付領域が空気供給領域よりも大きい構成と比べて、吹付部における吹付空気の生成量を減らすことができる。
【0026】
第4態様の送出装置では、吹付部が送出部と共に移動する構成と比べて、第一媒体の媒体送出方向の下流端の送り出し手段への受渡不良を抑制できる。
【0027】
第5態様の送出装置では、平面視で分離部の空気供給口と吹付部の空気吹付口が吸着面の送出方向下流側で且つ媒体の幅方向外側に位置する構成と比べて、送出部に吸着された第一媒体の媒体送出方向の下流端の送り出し手段への受渡不良を抑制できる。
【0028】
第6態様の送出装置では、平面視で分離部の空気供給口と吹付部の空気吹付口とが媒体送出方向と直交する方向で同じ位置にある構成と比べて、空気供給口からの空気供給と空気吹付口からの空気吹付を同時に行うことができる。
【0029】
第7態様の送出装置では、平面視で媒体送出方向と直交する方向に隣接する空気供給口の外側に空気吹付口が配置される構成と比べて、第二媒体の上面側に空気を吹き付けやすい。
【0030】
第8態様の送出装置では、吹付部と同じ側に分離部の空気供給部が配置される構成と比べて、レイアウトの自由度が向上する。
【0031】
第9態様の送出装置では、平面視で分離部の案内部と吹付部の空気吹付口とが媒体送出方向と直交する方向で同じ位置にある構成と比べて、案内部を介して空気供給と空気吹付口からの空気吹付を同時に行うことができる。
【0032】
第10態様の送出装置では、第一媒体を吸着した状態で第二媒体を第一媒体から分離させることができる。
【0033】
第11態様の送出装置では、分離部から第二媒体への空気供給開始から送出部による第一媒体の送り出し開始までの期間において吹付部が停止する構成と比べて、媒体の重ね送りを抑制できる。
【0034】
第12態様の送出装置では、吹付部が媒体の送り出しジョブ中に空気吹き付け及び空気吹き付け停止を繰り返す構成と比べて、吹付部の制御が簡単になる。
【0035】
第13態様の送出装置では、送出部の媒体吸着力よりも吹付部の空気吹付力が高い構成と比べて、第一媒体の媒体送出方向の下流端の送り出し手段への受渡不良を抑制できる。
【0036】
第14態様の送出装置では、吹付部からの空気吹付が分離部からの空気供給の前に実行される構成と比べて、媒体の重ね送りを抑制できる。
【0037】
第15態様の送出装置では、吹付部からの空気吹付が第一媒体の送り出し開始後に停止される構成と比べて、吹付部の稼働による電力消費を抑えられる。
【0038】
第16態様の送出装置では、平面視で分離部の空気供給口と吹付部の空気吹付口が媒体送出方向と直交する方向でずれている構成と比べて、装置を小型化できる。
【0039】
第17態様の送出装置では、吹付部による空気吹付と分離部による空気供給を同時に行う構成と比べて、吹付部により吹き付けられる空気と、分離部により供給される空気の干渉を抑制できる。
【0040】
第18態様の画像形成装置では、浮揚された媒体を吸着して送り出す構成において、吸着された第一媒体の直下に位置する第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ水平方向に空気を供給して、該第二媒体を該第一媒体から分離して送り出す送出装置を用いる構成と比べて、媒体の重ね送りによる媒体紙詰まりを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置を示す概略図である。
【
図2】本実施形態に係る送出装置の収納部及び送出手段を示す概略図である。
【
図3】本実施形態に係る送出装置を側壁の外面側から見た図である。
【
図4】本実施形態に係る送出装置の供給部及び吹付部を示す概略図である。
【
図6】
図5に示される送出装置において、送出部が最上の記録媒体を吸着した状態を示す概略図である。
【
図8】
図5に示される送出装置において、送出部が受渡位置へ移動した状態を示す概略図である。
【
図9】本実施形態に係る送出装置を収納部の底面側から見た図である。
【
図10】本実施形態に係る送出装置の各構成部位の動作を示すタイミングチャートである。
【
図11】変形例に係る送出装置の各構成部位の動作を示すタイミングチャートである。
【
図12】変形例に係る送出装置の吹付部の拡大図(
図7の拡大図に対応)である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下に、本開示に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0043】
(画像形成装置10)
まず、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を説明する。
図1は、本実施形態に係る画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0044】
なお、図中に示す矢印UPは、装置の上方(具体的には鉛直上方)を示し、矢印DOは、装置の下方(具体的には鉛直下方)を示す。また、図中に示す矢印LHは、装置の左方を示し、矢印RHは、装置の右方を示す。また、図中に示す矢印FRは、装置の前方を示し、矢印RRは、装置の後方を示す。これらの方向は、説明の便宜上定めた方向であるか
ら、装置構成がこれらの方向に限定されるものではない。なお、装置の各方向において、「装置」の語を省略して示す場合がある。すなわち、例えば、「装置の上方」を、単に「上方」と示す場合がある。
【0045】
また、下記の説明では、「上下方向」を、「上方及び下方の両方」又は「上方及び下方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。「左右方向」を、「右方及び左方の両方」又は「右方及び左方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。なお、「左右方向」は、側方、横方向、及び水平方向ともいえる。「前後方向」を、「前方及び後方の両方」又は「前方及び後方のいずれか一方」という意味で用いる場合がある。なお、「前後方向」は、側方、横方向、及び水平方向ともいえる。また、上下方向、左右方向、前後方向は、互いに交差する方向(具体的には、直交する方向)である。
【0046】
また、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。また、図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。
【0047】
図1に示される画像形成装置10は、媒体の一例としての記録媒体Pに画像を形成する装置である。具体的には、画像形成装置10は、
図1に示されるように、送出装置12と、搬送部14と、画像形成部16と、排出部18と、を備えている。以下、画像形成装置10の各部について説明する。
【0048】
(搬送部14)
図1に示される搬送部14は、画像形成装置10において、記録媒体Pを搬送する構成部である。この搬送部14は、送出装置12から送り出された記録媒体Pを画像形成部16へ搬送する機能と、画像形成部16にて画像が形成された記録媒体Pを排出部18へ搬送する機能と、を有している。
【0049】
具体的には、搬送部14は、一対の搬送ロールで構成された搬送部材14A、14Bを有している。搬送部14では、搬送部材14Aが、送出装置12から送り出された記録媒体Pを画像形成部16へ搬送し、搬送部材14Bが、画像形成部16にて画像が形成された記録媒体Pを排出部18へ搬送する。
【0050】
なお、搬送部材14A、14Bとしては、一対の搬送ロールに限られない。搬送部材14A、14Bとしては、例えば、搬送ベルト及び搬送ドラム等の搬送部材であってもよく、種々の搬送部材を用いることが可能である。
【0051】
(画像形成部16)
図1に示される画像形成部16は、送出装置12から送り出された記録媒体Pに画像を形成する構成部である。画像形成部16としては、例えば、インクを用いて記録媒体に画像を形成するインクジェット式の画像形成部、及び、トナーを用いて記録媒体に画像を形成する電子写真式の画像形成部などが挙げられる。
【0052】
インクジェット式の画像形成部では、例えば、吐出部から記録媒体にインク滴を吐出して記録媒体に画像を形成する。インクジェット式の画像形成部としては、吐出部から転写体にインク滴を吐出し、当該インク滴を転写体から記録媒体に転写することで、記録媒体に画像を形成してもよい。
【0053】
電子写真式の画像形成部では、例えば、帯電、露光、現像、転写の各工程を行い、記録媒体に画像を形成する。電子写真式の画像形成部としては、帯電、露光、現像、転写の各工程を行って、転写体に画像を形成し、当該画像を転写体から記録媒体に転写することで、記録媒体に画像を形成してもよい。
【0054】
なお、画像形成部の一例としては、前述のインクジェット式の画像形成部、及び、前述の電子写真式の画像形成部に限られず、種々の画像形成部を用いることが可能である。
【0055】
(排出部18)
図1に示される排出部18は、画像形成装置10において、画像が形成された記録媒体が排出される部分である。排出部18には、画像形成部16によって画像が形成された後、搬送部14(具体的には搬送部材14B)により搬送された記録媒体Pが排出される。
【0056】
(送出装置12)
図1、
図2及び
図8に示される送出装置12は、記録媒体Pを送り出す装置である。本実施形態では、送出装置12は、予め定められた送出方向(具体的には右方)へ記録媒体Pを送り出す。したがって、送出装置12において、右方が送出方向下流であり、左方が送出方向上流である。また、送出装置12から送り出される記録媒体Pにおいて、送出方向の下流端部を先端部と称し、送出方向の上流端部を後端部と称する。また、当該記録媒体Pにおいて、送出方向に対して交差する方向(具体的には前後方向)を幅方向と称し、幅方向の端部を側端部と称する。
【0057】
具体的には、
図2及び
図3に示されるように、送出装置12は、収容部20と、昇降部29(
図2参照)と、供給部30(
図3参照)と、送出部40と、分離部50と、制限部59と、吹付部70と、を備えている。以下、送出装置12の各部について説明する。
【0058】
(収容部20及び昇降部29)
収容部20は、記録媒体Pを収容する構成部である。具体的には、
図2に示されるように、収容部20は、積載部22と、一対の側壁24と、を有している。なお、
図2には、一対の側壁24のうち一方側(具体的には前方側)の側壁24が図示されている。
【0059】
積載部22は、記録媒体Pが積載される構成部である。具体的には、積載部22は、収容部20の底部を構成し、記録媒体Pが上面22A上に積載される積載板(いわゆるボトムプレート)で構成されている。
【0060】
一対の側壁24の各々は、積載部22に積載された記録媒体Pに対する前方側及び後方側の各々に配置されている。この一対の側壁24の各々は、積載部22に積載された記録媒体Pにおける一対の側端部の各々に対向し、当該記録媒体Pを幅方向(すなわち前後方向)に位置決めする。
【0061】
なお、収容部20は、積載部22に積載された記録媒体Pの後端部を位置決めする位置決め部(図示省略)を有している。収容部20としては、上記の構成に限られず、種々の構成を用いることが可能である。
【0062】
昇降部29は、収容部20に収容された記録媒体Pを昇降させる構成部である。具体的には、昇降部29は、積載部22を上昇させることで、最上の記録媒体Pが予め定められた高さ(以下、送出高さという)に位置するように記録媒体Pを上昇させ、積載部22を降下させることで、当該記録媒体Pを降下させる。
【0063】
昇降部29としては、例えば、ワイヤ等の引き上げ部材や、アーム等の押し上げ部材などを用いることが可能である。引き上げ部材では、例えば、積載部22を上方へ引き上げることで記録媒体Pを上昇させ、記録媒体P及び積載部22の自重により記録媒体Pを降
下させる。押し上げ部材では、例えば、積載部22の下方側から積載部22を上方へ押し上げることで記録媒体Pを上昇させ、記録媒体P及び積載部22の自重により記録媒体Pを降下させる。なお、昇降部29としては、上記の構成に限られず、種々の構成を用いることが可能である。
【0064】
(供給部30)
図3に示される供給部30は、積載された複数の記録媒体Pの間に空気を供給して、記録媒体Pを浮揚させる構成部である。供給部30は、積載部22に積載された複数の記録媒体Pのうち、最上の記録媒体Pを含む予め定められた範囲に位置する複数の記録媒体Pに対して、空気を供給する。すなわち、供給部30は、送出高さからその下方側の予め定められた位置までの範囲において、積載部22に積載された複数の記録媒体Pに対して空気を供給する。ここで、供給部30が、積載された複数の記録媒体Pの間に空気を供給して、記録媒体Pを浮揚させるのは、複数の記録媒体Pの各々の間へ空気を供給することで、複数の記録媒体Pを1枚ずつに分離して1枚ずつ送り出すためである。なお、
図2、
図4、及び
図5には、積載された複数の記録媒体Pにおける上方側の部分に空気が供給されて浮揚する状態が概略的に示されている。
【0065】
本実施形態では、供給部30は、
図3に示されるように、一対の送風部32と、一対の流通管34と、一対の供給口36と、を有している。
【0066】
一対の送風部32は、風(すなわち空気)を送る構成部である。一対の送風部32の各々は、一対の側壁24の各々の外面(すなわち、積載部22に積載された記録媒体Pに対向する面とは反対側の面)に取り付けられている。送風部32としては、例えば、多翼送風機(例えば、シロッコファン)等の、遠心方向へ送風する遠心送風機が用いられる。なお、送風部32としては、軸方向へ送風する軸流送風機、その他の送風機を用いてもよい。
【0067】
一対の流通管34の各々は、一対の送風部32の各々から送られた空気が流通する通路を構成している。この一対の流通管34の各々は、一端部が一対の送風部32の各々に接続され、他端部が一対の供給口36の各々に接続されている。
【0068】
一対の供給口36の各々は、積載部22に積載された複数の記録媒体Pへ空気を供給する口部であり、一対の側壁24の各々に形成されている。この一対の供給口36の各々は、積載部22に積載された記録媒体Pの先端部側であって、側壁24の上部にて開口している。
【0069】
供給部30では、一対の送風部32から一対の流通管34及び一対の供給口36を通じ、積載部22に積載された複数の記録媒体Pの間に対して、両方の側端部側(すなわち前方側及び後方側)から空気を供給する。
【0070】
供給方向変更部38は、積載された複数の記録媒体Pの間への空気の供給方向を変更する構成部である。具体的には、供給方向変更部38は、例えば、供給口36に設けられ複数の羽板を有するルーバーで構成されている。供給方向変更部38は、例えば、上下方向及び左右方向の少なくとも一方において、空気の供給方向を変更可能とされている。供給方向変更部38としては、ルーバーに限られず、他の変更手段を用いてもよい。
【0071】
供給領域変更部39は、積載された複数の記録媒体Pの間への空気の供給領域を変更する構成部である。具体的には、供給領域変更部39は、例えば、供給口36に移動可能に設けられ、移動により供給口36の開口位置及び開口面積の少なくとも一方を変更可能な開閉板(すなわちシャッタ)で構成されている。供給領域変更部39は、例えば、上下方向及び左右方向の少なくとも一方において、空気の供給領域を変更可能とされている。供給領域変更部39としては、開閉板に限られず、他の変更手段を用いてもよい。
【0072】
なお、供給部30は、積載部22に積載された複数の記録媒体Pの間に対して、両方の側端部側(すなわち前方側及び後方側)から空気を供給していたが、これに限られない。供給部30は、積載された複数の記録媒体Pの間に対して、両方の側端部のうち、一方側(すなわち前方側及び後方側の一方)から空気を供給する構成であってもよい。また、供給部30は、積載された複数の記録媒体Pの間に対して、記録媒体Pの両方の側端部側のうち、少なくとも一方側から空気を供給することに替えて、又は加えて、記録媒体Pの先端部及び後端部の少なくとも一方側から空気を供給する構成であってもよい。したがって、供給部30は、積載部22に積載された複数の記録媒体Pの間に対して、両方の側端部、先端部及び後端部の少なくとも一方側から空気を供給する構成とすることが可能である。
【0073】
(送出部40)
図2、
図5及び
図6に示される送出部40は、供給部30によって浮揚された記録媒体Pを吸着し、当該記録媒体Pを送り出す構成部である。具体的には、送出部40は、
図6に示されるように、供給部30によって浮揚された記録媒体Pのうち、最上の記録媒体P(以下、最上媒体P1という)を吸着し、
図8に示されるように、送出方向下流(具体的には右方)へ送り出す。さらに具体的には、送出部40は、
図3及び
図4に示されるように、吸着体42と、移動機構44と、を有している。
【0074】
吸着体42は、吸引により下面42Aに最上媒体P1を吸着させる構成体である。具体的には、吸着体42は、送出高さに位置する最上媒体P1の先端部よりも後端部側で最上媒体P1を吸着する。吸着体42には、送出方向下流(具体的には右方)に張り出す張出部43が形成されている。吸着体42の下面42Aに最上媒体P1が吸着されることで、張出部43の下面43Aに最上媒体P1の先端部が押し当てられる。吸着体42の下面42Aは吸着面の一例である。
【0075】
移動機構44は、送出装置12の装置本体12Aに対して吸着体42を送出方向へ移動させる機構です。具体的には、移動機構44は、吸引位置(
図2及び
図6に示される位置)と受渡位置(
図8に示される位置)との間で、吸着体42を左右方向(すなわち送出方向の下流方向及び上流方向)へ移動させる機構である。
【0076】
具体的には、移動機構44は、例えば、モータ、ギア、ラック、ピニオン、及びベルトドライブなどの公知の機構を用いて構成される。なお、移動機構44は、特定の機構に限られず、種々の構成を用いることが可能である。
【0077】
送出部40では、吸着体42が吸引位置(
図2及び
図6に示される位置)において、吸引により下面42Aに最上媒体P1を吸着させ、吸着体42が移動機構44により受渡位置(
図8に示される位置)に移動する。そして、受渡位置において、吸着体42から一対の送出ロール46へ記録媒体Pが受け渡され、一対の送出ロール46が記録媒体Pを画像形成部16へ向けて送り出す。
【0078】
一対の送出ロール46は、画像形成部16へ向けて記録媒体Pを送り出す送出部材(送り出し手段の一例)である。この一対の送出ロール46は、上下方向に接触するように、吸着体42に対する送出方向下流側(具体的には前述の受渡位置)に配置されている。なお、送出部材としては、一対の送出ロール46に限られない。送出部材としては、例えば、環状のベルト及びドラム等の送出部材であってもよく、種々の送出部材を用いることが可能である。
【0079】
なお、送出部40は、上記の構成に限られない。例えば、送出部40として、吸着体42に替えて、ベルトなどの送出部材を用いた構成であってもよい。環状のベルトを用いた構成では、例えば、ベルトの外周面に吸引により記録媒体Pを吸着させる吸引部が、ベルトの内周に設けられた構成とすることが可能である。このような環状のベルトの場合、ベルトの周回運動により吸着した記録媒体Pを一対の送出ロール46へ送り出すことが可能である。すなわち、環状ベルトの場合、ベルトが装置本体12Aに対して左右方向に固定された状態でも記録媒体Pを一対の送出ロール46へ送り出すことができる。
【0080】
(分離部50)
図4及び
図5に示される分離部50は、送出部40(具体的には吸着体42)に吸着された最上媒体P1の直下に位置する記録媒体P(以下、次の媒体P2という)へ空気G1を供給して、次の媒体P2を最上媒体P1から分離する構成部である。なお、最上媒体P1は、第一媒体の一例である。また、次の媒体P2は、第二媒体の一例である。この次の媒体P2は、最上媒体P1の次に送り出される記録媒体Pであり、最上媒体P1の下方に隣接して配置される記録媒体Pである。この分離部50は、具体的には、
図6及び
図7に示されるように、送出部40に吸着された最上媒体P1の直下に位置する次の媒体P2の上面側に送出方向下流側から上流側へ斜め下方(
図6及び
図7では左斜め下)に空気G1を供給して、次の媒体P2を最上媒体P1から分離する。この分離部50は、さらに具体的には、
図4に示されるように、例えば、供給装置52と、流通管54と、ノズル56と、案内面60を有している。
【0081】
供給装置52は、空気G1を流通管54へ供給する装置である。この供給装置52は、吹付部70よりも下側に配置される。なお、供給装置52は、空気供給部の一例である。この供給装置52としては、例えば、圧縮空気を流通管54へ供給するエアコンプレッサー等が用いられる。なお、供給装置52としては、エアコンプレッサーに限られず、他の供給装置を用いてもよい。
【0082】
流通管54は、供給装置52から送られた空気G1が流通する通路を構成している。この流通管54は、記録媒体Pの幅方向(すなわち、前後方向)に沿って延びており、当該幅方向へ沿って空気G1を流通させる。
【0083】
ノズル56は、流通管54に対して、記録媒体Pの幅方向(すなわち、前後方向)に沿って複数設けられている。複数のノズル56の各々は、流通管54から吸着体42(具体的には張出部43)側(すなわち左斜め上方側)へ延びている。このノズル56は、流通管54を通って供給装置52から供給される空気G1を上側(左斜め上方側)へ導く機能を有する。なお、ノズル56は、空気供給路の一例である。
【0084】
案内面60は、ノズル56の上側(左斜め上方側)に配置されている。この案内面60は、ノズル56から供給(吐出)される空気G1を送出方向下流側から上流側へ斜め下方に向かうよう案内する案内部の一例である。案内面60は、具体的には、ノズル56から供給される空気G1が当たる面であり、張出部43の下面に設けられている。さらに具体的には、
図7に示されるように、案内面60は、張出部43の下面43Aに設けられた窪み部62によって構成されている。この案内面60は、窪み部62の底面62Aと、底面62Aから送出方向下流側の傾斜壁面62Bと、底面62Aから送出方向上流側の傾斜壁面62Cとを有している。傾斜壁面62Bと傾斜壁面62Cとの間の間隔は、張出部43の下面に近づくにしたがい広がっている。具体的には、傾斜壁面62Bは、
図7に示されるように、底面62Aから右斜め下方に向けて延びている。また、傾斜壁面62Cは、底面62Aから左斜め下方に向けて延びている。なお、本実施形態では、
図7に示されるように、傾斜壁面62Bが底面62Aから直線状に延びているが、本開示はこれに限定されない。傾斜壁面62Cが底面62Aから円弧状に湾曲しながら延びていてもよい。また、本実施形態では、
図7に示されるように、傾斜壁面62Bが底面62Aから直線状に延びているが、本開示はこれに限定されない。また、傾斜壁面62Cが底面62Aから円弧状に湾曲しながら延びていてもよい。
ここで、案内面60に対して左斜め上方へ向けて空気G1が当たると、当たった空気G1は案内面60に沿って流れる。具体的には、
図7に示されるように、傾斜壁面62Bに当たった空気G1は、傾斜壁面62Bから底面62Aを経由して傾斜壁面62Cに沿って流れる。すなわち、ノズル56から吐出される空気G1は、案内面60によって送出方向下流側から上流側へ斜め下方(具体的には左斜め下方)に向けて案内される。
【0085】
分離部50では、吸着体42が吸引位置(
図2及び
図6に示される位置)に位置する状態において、ノズル56から案内面60に向けて送出方向下流側から上流側へ斜め上方に空気G1を吐出する。吐出された空気G1は、案内面60に当たる。そして、案内面60に当たった空気G1は、案内面60に案内されて、次の媒体P2の上面側に送出方向下流側から上流側へ斜め下方に供給される。供給された空気G1は、最上媒体P1と次の媒体P2との間を送出方向下流側から上流側へ通り抜ける。これにより、次の媒体P2が最上媒体P1から分離される。
【0086】
なお、案内面60で案内された空気G1は、案内面60の先端(送出方向上流側の端)を過ぎた後、案内面60の延長線EL1に沿うように流れ、次の媒体P2の上面側に供給される。ここで延長線EL1は、送出方向に対して角度θ1で傾いている。すなわち、ノズル56から吐出された空気G1は、案内面60に案内されることにより、送出方向に対して角度θ1傾いた角度で次の媒体P2の上面側に供給される。
【0087】
(制限部59)
図4に示される制限部59は、次の媒体P2の送出方向下流への移動を制限する構成部である。具体的には、制限部59は、側面視にて、収容部20と一対の送出ロール46(具体的には下方側に配置された送出ロール46)との間に配置された制限壁で構成されている。制限部59は、側面視にて上下方向に延びる板状に形成されている。
【0088】
制限部59は、吸着体42の受渡位置への移動により、最上媒体P1と共に送出方向下流へ送り出された次の媒体P2に接触して次の媒体P2を最上媒体P1から落下させ、次の媒体P2の送出方向下流への移動を制限する。なお、制限部59としては、上記の構成に限られず、他の制限手段を用いてもよい。
【0089】
(吹付部70)
図4及び
図5に示される吹付部70は、次の媒体P2の上面側に送出方向下流側から上流側へ斜め下方に空気G2を吹き付ける構成部である。この吹付部70の送出方向に対する空気G2の吹き付け角度θ2は、分離部50における空気G1の供給角度θ1よりも大きい。このため、吹付部70は、次の媒体P2を下側へ押圧する機能を有する。なお、吹き付け角度θ2については後述する。
【0090】
吹付部70は、
図4に示されるように、供給装置72と、流通管74と、ノズル76と、を有している。
【0091】
供給装置72は、空気G2を流通管74へ供給する装置である。この供給装置72は、
図4に示されるように、送出部40よりも上側に配置されている。この供給装置72としては、例えば、圧縮空気を流通管74へ供給するエアコンプレッサー等が用いられる。なお、供給装置72としては、エアコンプレッサーに限られず、他の供給装置を用いてもよい。
【0092】
流通管74は、供給装置72から送られた空気G2が流通する通路を構成している。この流通管74は、記録媒体Pの幅方向(すなわち、前後方向)に沿って延びており、当該幅方向へ沿って空気G2を流通させる。
【0093】
ノズル76は、流通管74に対して、記録媒体Pの幅方向(すなわち、前後方向)に沿って複数設けられている。複数のノズル76の各々は、流通管74から張出部43側(すなわち左斜め下方側)へ延びている。このノズル76は、流通管74を通って供給装置72から供給される空気G2を下側(左斜め下方側)へ導く機能を有する。ノズル76は、
図6に示されるように、内部流路の中心線CLが送出方向に対して角度θ2で傾いている。このノズル76からは、中心線CLに沿った方向に空気G2が吐出される。ここで前述のように吹き付け角度θ2は、供給角度θ1よりも大きい。例えば、吹き付け角度θ2は、送出方向に対して90度未満供給角度θ1超えの範囲に設定することが好ましい。ここで、吹付角度θ2が90度の場合には、ノズル76から吐出した空気G2で次の媒体P2を下側へ押圧しやすいが、吸着体42で吸着した最上媒体P1を避けて次の媒体P2に空気G2を吹き付けることが難しい。一方、供給角度θ1以下の場合には、ノズル76から吐出した空気G2が次の媒体P2の上面を流れてしまい、次の媒体P2を下側へ押圧する効果が少ない。
【0094】
また、
図3及び
図4に示されるように、吹付部70は、装置本体12Aに固定されている。具体的には、吹付部70の供給装置72が、装置本体12A内に設けられた支持部12Bに固定されている。この支持部12Bは、送出部40の上側に配置されている。
【0095】
また、
図9は、送出装置12を下方側から見た図(平面図)である。この
図9で見て、分離部50の空気供給口60Aと吹付部70の空気吹付口76Aとが吸着体42における下面42Aの送出方向下流側で且つ記録媒体Pの幅方向内側に位置する。ここで、空気供給口60Aは、案内面60の先端(傾斜壁面62Cの先端)を指し、空気吹付口76Aは、ノズル76の先端開口を指している。また、空気供給口60Aと空気吹付口76Aが下面42Aの送出方向下流側で且つ記録媒体Pの幅方向内側に位置するとは、下面42Aにおける記録媒体Pの幅方向の両端から送出方向に沿って送出方向下流へ延ばした延長線EL2(
図9における一点鎖線)間に空気供給口60Aと空気吹付口76Aがある(位置する)ことを指す。また、
図9に示されるように、本実施形態では、張出部43が下面42Aの送出方向下流側で且つ記録媒体Pの幅方向内側に位置する。このため、案内面60全体が下面42Aの送出方向下流側で且つ記録媒体Pの幅方向内側に位置する。
【0096】
また、
図9で見て、空気供給口60Aと空気吹付口76Aは、送出方向と直交する方向(ここでは記録媒体Pの幅方向と同じ方向)でずれている。具体的には、空気供給口60Aは、記録媒体Pの幅方向に間隔をあけて配置されており、記録媒体Pの幅方向に隣接する空気供給口60Aの間に一対の空気吹付口76Aが配置されている。さらに具体的には、隣接する一対の案内面60間に一対の空気吹付口76Aが配置されている。
【0097】
また、本実施形態では、分離部50と吹付部70は別体である。そして、吹付部70の空気吹付により次の媒体P2に加える圧力が分離部50の空気供給により次の媒体P2に加える圧力よりも高い。ここで吹付部70の供給装置72による圧縮空気の生成量を、分離部50の空気供給装置52による圧縮空気の生成量よりも多くすることで、次の媒体P2に対する空気の圧力差を生じさせてもよいが、吹付部70による次の媒体P2に対する空気吹付領域R2(
図9の一点鎖線で示す領域)を分離部50による次の媒体P2に対する空気供給領域R1(
図9の二点鎖線で示す領域)よりも狭くすることで、圧縮空気の生成量を大きく変えずに空気の圧力差を生じさせてもよい。一例として、吹付部70と分離部50の各々のノズルから空気を吐出する際の吐出圧を同じに設定してもよい。この場合でも、案内面60を経由する空気G1は、ノズル76から吐出される空気G2よりも広い範囲で次の媒体P2に当たる。そして、空気吹付領域R2よりも空気供給領域R1が広いため、空気供給領域R1において次の媒体P2に加わる圧力が空気吹付領域R2において次の媒体P2に加わる圧力よりも小さくなる。
【0098】
なお、送出装置12を構成する各部位(供給部30、送出部40、分離部50、吹付部70等)は、制御部(図示省略)によって制御されている。
【0099】
図10に示されるように、吹付部70は、少なくとも分離部50から次の媒体P2へ空気G2を供給開始してから送出部40による最上媒体P1の送出ロール46への送り出し開始までの期間、空気G2を吹き付けるように制御される。具体的には、吹付部70は、複数の記録媒体Pの送り出しジョブが完了するまで連続して空気G2を吹き付けるように制御される。このように複数の記録媒体Pの送り出しジョブが完了するまで連続して空気G2を吹き付ける場合、送出部40による記録媒体Pの吸着力よりも、吹付部70による記録媒体Pに対する空気吹付力が低くなるように制御される。
【0100】
(本実施形態に係る作用)
次に、本実施形態に係る作用を説明する。
送出装置12では、積載された複数の記録媒体Pの間に供給部30から空気を供給して、記録媒体Pを浮揚させる。次に、供給部30によって浮揚された最上媒体P1を送出部40で吸着する。そして、分離部50は、送出部40に吸着された最上媒体P1の直下に位置する次の媒体P2の上面側に送出方向下流側から上流側へ斜め下方に空気G1を供給して、次の媒体P2を最上媒体P1から分離する。具体的には、ノズル56から次の媒体P2の上面側に供給された空気G1は、次の媒体P2と最上媒体P1との間を通り抜けて媒体P2を最上媒体P1から分離する。さらに、送出装置12では、吹付部70から次の媒体P2の上面側に送出方向下流側から上流側へ斜め下方に空気G2を吹き付ける。ここで吹付部70による空気G2の吹き付け角度θ2が分離部50による空気G1の供給角度θ1よりも大きくなっている。このため、次の媒体P2を下側へ押圧することができる。これにより、分離部50から供給される空気のみで次の媒体P2を最上媒体P1から分離する構成と比べて、次の媒体P2を最上媒体P1からより引き離すことができる。すなわち、次の媒体P2を最上媒体P1から分離する効果が高くなる。
特に、本実施形態では、吹付部70の空気吹付により次の媒体P2に加わる圧力が、分離部50の空気供給により次の媒体P2に加わる圧力よりも高いため、吹付部70から吹き付けられる空気G2によって次の媒体P2が下方へより押下げられる。その結果、次の媒体P2を最上媒体P1から引き離す効果(すなわち、分離する効果)が増す。
【0101】
また、本実施形態の送出装置12では、前述のとおり、送出部40に吸着された最上媒体P1の直下に位置する次の媒体P2の上面側に送出方向下流側から上流側へ斜め下方に空気G1を供給する。このため、送出装置12では、吸着された最上媒体P1の直下に位置する次の媒体P2の上面側に送出方向下流側から上流側へ水平方向(送出方向と反対方向)に空気を供給して、次の媒体P2を最上媒体P1から分離する構成と比べて、記録媒体Pの重ね送りを抑制することができる。具体的には、分離部50からの空気G1を、次の媒体P2の上面側に送出方向下流側から上流側へ斜め下方に当てることで最上媒体P1から次の媒体P2を引き離しやすい。最上媒体P1と次の媒体P2との間の隙間が広がることで吹付部70からの空気G2を次の媒体P2の上面側に当てやすくなる。その結果、記録媒体Pの重ね送りを抑制することができる。
【0102】
また、本実施形態の送出装置12では、分離部50による空気供給領域R1を吹付部70による空気吹付領域R2よりも狭くしている。このため、吹付部70による空気吹付領域R2が分離部50による空気供給領域R1よりも大きい構成と比べて、吹付部70の供給装置72による吹付空気(圧縮空気)G2の生成量を減らすことができる。
【0103】
本実施形態の送出装置12では、送出部40は、装置本体12Aに対して送出方向に移動可能であるのに対して、吹付部70は、装置本体12Aに固定されている。このため、吹付部70は、定位置から次の媒体P2に向けて空気G2を吹き付けることができる。よって、送出装置12では、吹付部70が送出部40と共に移動する構成と比べて、最上媒体P1の先端(送出方向の下流端)が空気G2の吹き付けによって下方にたれることによる送出ロール46への受渡不良を抑制できる。
【0104】
本実施形態の送出装置12では、平面視で空気供給口60Aと空気吹付口76Aとが下面42Aの送出方向下流側で且つ記録媒体Pの幅方向内側に位置しているため、下面42Aの送出方向下流側で且つ記録媒体Pの幅方向外側に位置している構成と比べて、空気供給口60A及び空気吹付口76Aと次の媒体P2との距離が近くなる。これにより、最上媒体P1から次の媒体P2を引き離す効果が高まる。その結果、最上媒体P1の先端(送出方向の下流端)が空気G2の吹き付けによって下方にたれることによる送出ロール46への受渡不良を抑制できる。
【0105】
また本実施形態の送出装置12では、平面視で分離部50の空気供給口60Aと吹付部70の空気吹付口76Aとが媒体送出方向と直交する方向でずれている。このため、送出装置12では、平面視で空気供給口60Aと空気吹付口76Aとが記録媒体Pの幅方向で同じ位置にある構成と比べて、空気供給口60Aからの空気供給と空気吹付口76Aからの空気吹付を同時に行っても気供給口60Aからの空気G1と空気吹付口76Aからの空気G2の干渉を抑制できる。すなわち、送出装置12では、前述のとおり空気干渉を抑制できるため、空気供給口60Aからの空気供給と空気吹付口76Aからの空気吹付を同時に行うことができる。
【0106】
また本実施形態の送出装置12では、平面視で空気供給口60Aが記録媒体Pの幅方向に間隔をあけて配置され、該幅方向に隣接する空気供給口60Aの間に空気吹付口76Aが配置されている。このため、送出装置12では、平面視で記録媒体Pの幅方向に隣接する空気供給口60Aの外側に空気吹付口76Aが配置される構成と比べて、両側の空気供給口60Aからの空気供給で最上媒体P1と次の媒体P2との間の隙間を広げつつ、空気吹付口76Aからの空気G2を次の媒体P2の上面側に吹き付けやすい(言い換えると、次の媒体P2に空気G2を吹き当てやすい)。
【0107】
また本実施形態の送出装置12では、分離部50の供給装置52が吹付部70よりも下側に配置されている。また、供給装置52から供給された空気G1は流通管54及びノズル56を介して上側へ導かれる。そして、導かれた空気G1は案内面60を経由して送出方向下流側から上流側へ斜め下方に向かい、次の媒体P2の上面側に供給される。ここで、送出装置12では、吹付部70と同じ側(ここでは上側)に分離部50の供給装置52が配置される構成と比べて、上下に分離部50と吹付部70を振り分けるため、レイアウトの自由度が向上する。
【0108】
また本実施形態の送出装置12では、送出部40には、送出方向下流側に向けて張り出す張出部43が設けられている。また、送出部40を構成する吸着体42の下面42Aと張出部43の下面43Aとが送出方向で連なっている。そして、案内面60は、張出部43の下面43Aに設けられている。ここで、ノズル56から吐出された空気G1は、案内面60を経由して次の媒体P2に供給されるが、一部の空気G1は傾斜壁面62Cの先端(空気供給口60A)から張出部43の下面43Aに沿って流れる。吸着面である下面42Aに最上媒体P1が吸着されている場合、下面42Aと下面43Aとが送出方向で連なっている、すなわち、下面42Aと下面43Aとの間に段差がないことで、一部の空気G1(
図7参照)は下面43Aから最上媒体P1の下面を通して送出方向の上流へと流れる。これにより、最上媒体P1を吸着した状態(最上媒体P1が吸着面から剥がれにくくした状態)で、最上媒体P1と次の媒体P2との間に空気G1を供給できるため、最上媒体P1から次の媒体P2が剥がれやすくなる。すなわち、最上媒体P1から次の媒体P2を分離しやすくなる。
【0109】
また本実施形態の送出装置12では、吹付部70による空気吹付が、少なくとも分離部50による次の媒体P2への空気供給開始から送出部40による最上媒体P1の送出ロール46への送り出し開始までの期間行われる。ここで、送出装置12では、吹付部70が分離部50による次の媒体P2への空気供給開始から送出部40による最上媒体P1の送り出し開始までの期間停止する構成と比べて、記録媒体Pの重ね送りを抑制できる。
【0110】
また本実施形態の送出装置12では、吹付部70による空気吹付が、複数の記録媒体Pの送り出しジョブが完了するまで連続して行われる。このため、送出装置12では、吹付部70による空気吹付が、複数の記録媒体Pの送り出しジョブ中に吹き付け及び停止を繰り返す構成と比べて、吹付部70の制御(例えば、オンオフ制御)が簡単になる。
【0111】
また本実施形態の送出装置12では、送出部40の吸着力よりも吹付部70の空気吹付力を低くしている。これにより、送出装置12では、送出部40の吸着力よりも吹付部70の空気吹付力が高い構成と比べて、最上媒体P1の送出方向の先端(下流端)のへたりを抑えられるため、送出ロール46への受渡不良を抑制できる。
【0112】
本実施形態の画像形成装置10では、送出装置12から送り出された記録媒体Pに画像を形成する。ここで画像形成装置10では、吸着された最上媒体P1の直下に位置する次の媒体P2の上面側に送出方向下流側から上流側へ水平方向に空気G1を供給して、次の媒体P2を最上媒体P1から分離して送り出す送出装置を用いる構成と比べて、記録媒体Pの重ね送りによる記録媒体詰まりを抑制することができる。
【0113】
(変形例)
前述の実施形態の送出装置12では、吹付部70による空気吹付が、複数の記録媒体Pの送り出しジョブが完了するまで連続して行われるが、本開示はこれに限定されない。例えば、吹付部70による空気吹付は、
図11に示されるように、分離部50から次の媒体P2へ空気G1を供給開始した後で、実行(開始)されてもよい。この場合には、吹付部70からの空気吹付が分離部50からの空気供給の前に実行される構成と比べて、分離部50によって最上媒体P1と次の媒体P2との間の間隔を広げた後で、吹付部70による空気吹付を次の媒体P2へ行うことができる。これにより、最上媒体P1から次の媒体P2を引き剥がしやすくなる。また、吹付部70による空気吹付は、分離部50から次の媒体P2へ空気G1を供給開始した後で実行し、その後、送出部40による最上媒体P1の送り出し開始前に停止されてもよい。この場合には、吹付部70からの空気吹付が最上媒体P1の送り出し開始後に停止される構成と比べて、吹付部70の稼働による電力消費を抑えられる。
【0114】
前述の実施形態の送出装置12では、平面視で分離部50の空気供給口60Aと吹付部70の空気吹付口76Aが記録媒体Pの幅方向でずれた位置にあるが、本開示はこれに限定されない。例えば、平面視で分離部50の空気供給口60Aと吹付部70の空気吹付口76Aが送出方向と直交する方向(すなわち、記録媒体Pの幅方向)で同じ位置にあってもよい。このように平面視で空気供給口60Aと空気吹付口76Aが記録媒体Pの幅方向で同じ位置にある場合、空気供給口60Aと空気吹付口76Aが記録媒体Pの幅方向でずれている構成と比べて、装置前後方向のサイズを小さくできる。すなわち、送出装置12を小型化できる。また、平面視で空気供給口60Aと空気吹付口76Aが記録媒体Pの幅方向で同じ位置にある場合に、吹付部70による空気吹付と分離部50による空気供給を交互に行うことで、例えば、吹付部70による空気吹付と分離部50による空気供給を同時に行う構成と比べて、吹付部70により吹き付けられる空気G2と、分離部50により供給される空気G1の干渉を抑制できる。
【0115】
前述の実施形態の送出装置12では、分離部50が張出部43の下面43Aに案内面60を有しているが、本開示はこれに限定されない。分離部50が張出部43の下面43Aに案内面60を有していなくてもよい。例えば、ノズル56の先端側が途中で折れ曲がり、ノズル56の先端開口が案内面60の延長線EL1に沿った方向を向いていてもよい。この場合にも、案内面60を有する構成と同様の効果が得られる。なお、ここでいうノズル56の先端開口は、本開示における空気吹付口の一例である。また、張出部43とは、別に案内面60を有する部材を装置本体12Aに固定してもよい。この場合にも、前述の実施形態と同様の効果が得られる。
【0116】
前述の実施形態の送出装置12では、吹付部70のノズル76が張出部43側(左斜め下方)を向き、ノズル76の先端開口から空気G2が吐出されるが、本開示はこれに限定されない。例えば、
図12に示されるように、吹付部80のノズル(図示省略)から吐出された空気G2が、案内面84を経由して次の媒体P2の上面側に吹き付けられてもよい。この場合には、吹付部80の供給装置(図示省略)及び流通管(図示省略)を分離部50と同様に送出装置12の下側に配置してもよいし、その他の場所に配置してもよい。これにより、送出装置12の内部レイアウトの自由度が向上する。なお、
図12における符号84Aは、案内面84の端であり、空気吹付口の一例である。また、符号EL3は、案内面84の延長線であり、空気G2は、延長線EL3に沿うように次の媒体P2に向けて流れる。
【0117】
前述の実施形態の送出装置12では、吹付部70の空気吹付により次の媒体P2に加わる圧力が分離部50の空気供給により次の媒体P2に加わる圧力よりも高くなっているが、本開示はこれに限定されない。吹付部70による空気G2の吹き付け角度θ2が分離部50による空気G1の供給角度θ1よりも大きければ、次の媒体P2を最上媒体P1から引き離す効果が得られる。
【0118】
本開示は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【0119】
(((1)))
積載された複数の媒体の間に空気を供給して、前記媒体を浮揚させる供給部と、
前記供給部によって浮揚された媒体を吸着し、該媒体を送り出す送出部と、
前記送出部に吸着された第一媒体の直下に位置する第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ斜め下方に空気を供給して、該第二媒体を該第一媒体から分離する分離部と、
前記第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ斜め下方に空気を吹き付けると共に媒体送出方向に対する空気の吹き付け角度が前記分離部における空気の供給角度よりも大きい吹付部と、
を備える送出装置。
(((2)))
積載された複数の媒体の間に空気を供給して、前記媒体を浮揚させる供給部と、
前記供給部によって浮揚された媒体を吸着し、該媒体を送り出す送出部と、
前記送出部に吸着された第一媒体の直下に位置する第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ斜め下方に空気を供給して、該第二媒体を該第一媒体から分離する分離部と、
前記分離部と別体であり、前記第二媒体の上面側に媒体送出方向下流側から上流側へ斜め下方に空気を吹き付けると共に空気吹付により前記第二媒体に加える圧力が前記分離部の空気供給により前記第二媒体に加える圧力よりも高い吹付部と、
を備える送出装置。
(((3)))
前記吹付部による前記第二媒体に対する空気吹付領域が、前記分離部による前記第二媒体に対する空気供給領域よりも狭い、(((2)))に記載の送出装置。
(((4)))
前記送出部は、装置本体に対して媒体送出方向の移動により送り出し手段に媒体を受け渡し、
前記吹付部は、前記装置本体に固定されている、(((1)))~(((3)))のいずれか1項に記載の送出装置。
(((5)))
前記送出部は、前記第一媒体を吸着する吸着面を有し、
平面視で前記分離部の空気供給口と前記吹付部の空気吹付口とが前記吸着面の媒体送出方向下流側で且つ前記媒体の幅方向内側に位置する、(((4)))に記載の送出装置。
(((6)))
平面視で前記分離部の空気供給口と前記吹付部の空気吹付口とが媒体送出方向と直交する方向でずれている、(((4)))又は(((5)))に記載の送出装置。
(((7)))
平面視で前記空気供給口が前記直交する方向に間隔をあけて配置され、
前記直交する方向に隣接する前記空気供給口の間に前記空気吹付口が配置されている、(((6)))に記載の送出装置。
(((8)))
前記分離部は、前記吹付部よりも下側に配置される空気供給部と、前記空気供給部から供給される空気を上側へ導く空気供給路と、前記空気供給路から供給される空気を媒体送出方向下流側から上流側へ斜め下方に向かうよう案内する案内部と、を有する、(((1)))~(((5)))のいずれか1項に記載の送出装置。
(((9)))
平面視で前記案内部と前記吹付部の空気吹付口とが媒体送出方向と直交する方向でずれている、(((8)))に記載の送出装置。
(((10)))
前記送出部は、前記第一媒体を吸着する吸着面と、媒体送出方向下流側に向けて張り出す張出部とを有しており、
前記送出部の前記吸着面と前記張出部の下面とが媒体送出方向で連なっており、
前記案内部は、前記張出部の下面に設けられている、(((8)))又は(((9)))に記載の送出装置。
(((11)))
前記吹付部は、少なくとも前記分離部から前記第二媒体への空気供給開始から前記送出部による前記第一媒体の送り出し開始までの期間、空気を吹き付ける、(((1)))~(((10)))のいずれか1項に記載の送出装置。
(((12)))
前記吹付部は、複数の前記媒体の送り出しジョブが完了するまで連続して空気を吹き付ける、(((11)))に記載の送出装置。
(((13)))
前記吹付部の空気吹付力が前記送出部の媒体吸着力よりも低い、(((12)))に記載の送出装置。
(((14)))
前記吹付部は、前記分離部から前記第二媒体へ前記空気を供給開始した後で、前記第二媒体へ前記空気を吹き付ける、(((1)))~(((10)))のいずれか1項に記載の送出装置。
(((15)))
前記吹付部は、前記送出部による前記第一媒体の送り出し開始前に前記第二媒体への前記空気の吹き付けを停止する、(((14)))に記載の送出装置。
(((16)))
平面視で前記分離部の空気供給口と前記吹付部の空気吹付口が媒体送出方向と直交する方向で同じ位置にある、(((4)))又は(((5)))に記載の送出装置。
(((17)))
前記吹付部による空気吹付と前記分離部による空気供給を交互に行う、(((16)))に記載の送出装置。
(((18)))
(((1)))~(((17)))のいずれか1項に記載の送出装置と、
前記送出装置から送り出された媒体に画像を形成する画像形成部と、
を備える画像形成装置。
【符号の説明】
【0120】
10 画像形成装置
12 送出装置
12A 装置本体
16 画像形成部
30 供給部
40 送出部
42A 下面(吸着面の一例)
43 張出部
43A 下面
46 送出ロール(送り出し手段の一例)
50 分離部
52 供給装置(空気供給部の一例)
54 流通管(空気供給路の一例)
56 ノズル(空気供給路の一例)
60 案内面
60A 空気供給口
70 吹付部
76A 空気吹付口
80 吹付部
84 案内面
θ1 供給角度
θ2 吹付角度
EL1 延長線
EL2 延長線
EL3 延長線
G1 空気
G2 空気
P 記録媒体
P1 最上媒体(第一媒体)
P2 次の媒体(第二媒体)
R1 空気供給領域
R2 空気吹付領域