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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018722
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】吐出器
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/34 20060101AFI20240201BHJP
【FI】
B65D47/34 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122241
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】前田 信也
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA01
3E084CA01
3E084CC03
3E084DA01
3E084DC03
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
3E084LE11
(57)【要約】
【課題】内容物の吐出量を切り替えることができ、かつ、安定して所望の吐出量を吐出できる吐出器を提供する。
【解決手段】内容物が収容される容器本体の口部に取り付けられる装着筒1と、内容物を吐出する吐出孔を有し、装着筒1に対して上下方向に移動可能かつ周方向に回転可能に設けられた押下ヘッドと、押下ヘッドの下方移動により吐出孔から内容物を吐出させるポンプと、を備え、装着筒1は、周方向に並んで配置され、上下方向の位置が互いに異なる複数の当接部15と、周方向において当接部15と隣り合って配置される乗越え部16と、を有し、押下ヘッドは、押下ヘッドを周方向に回転させることで、乗越え部16を周方向に乗り越え可能な規制部を有し、規制部は、上方から見て、複数の当接部15のうち所定の当接部15と重なって配置され、押下ヘッドの押下時に、所定の当接部15に当接される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容される容器本体の口部に取り付けられる装着筒と、
内容物を吐出する吐出孔を有し、前記装着筒に対して上下方向に移動可能かつ周方向に回転可能に設けられた押下ヘッドと、
前記押下ヘッドの下方移動により前記吐出孔から内容物を吐出させるポンプと、を備え、
前記装着筒は、
周方向に並んで配置され、上下方向の位置が互いに異なる複数の当接部と、
周方向において前記当接部と隣り合って配置される乗越え部と、を有し、
前記押下ヘッドは、前記押下ヘッドを周方向に回転させることで、前記乗越え部を周方向に乗り越え可能な規制部を有し、
前記規制部は、上方から見て、複数の前記当接部のうち所定の前記当接部と重なって配置され、前記押下ヘッドの押下時に、所定の前記当接部に当接される、
吐出器。
【請求項2】
前記装着筒は、周方向に延びる支持壁を有し、
前記乗越え部は、
前記支持壁の壁面から径方向に突出し、周方向に延びる帯状体と、
前記支持壁の壁面と前記帯状体との間に配置される肉抜き部と、を有し、
前記帯状体は、径方向に弾性変形可能である、
請求項1に記載の吐出器。
【請求項3】
前記帯状体は、径方向に向けて凸となる湾曲状に延びており、
前記当接部は、前記支持壁の壁面から径方向に突出して周方向を向く側面を有し、
前記側面は、上下方向から見て、前記帯状体の湾曲形状に沿って延びており、かつ前記帯状体と近接または一致する、
請求項2に記載の吐出器。
【請求項4】
前記ポンプは、
上下方向に延びる筒状のシリンダと、
前記シリンダ内と前記容器本体内との連通及び遮断を切り替える弁体と、
前記シリンダ内に配置され、前記押下ヘッドの押し下げにともない前記シリンダと上下方向に摺動可能なピストンと、
前記ピストンに接続され、上下方向に延びる筒状をなし、その内部が前記シリンダ内と連通する蓄圧シリンダと、
前記蓄圧シリンダ内に配置され、前記蓄圧シリンダと上下方向に摺動可能な蓄圧ピストンと、
前記蓄圧ピストンに対して前記蓄圧ピストンの下方から接触し、前記蓄圧シリンダ内と前記吐出孔との連通及び遮断を切り替える蓄圧弁体と、
前記蓄圧ピストンを下方付勢する蓄圧付勢部材と、を備え、
前記押下ヘッドの押し下げにより前記蓄圧シリンダの内圧が上昇したときに、前記蓄圧ピストンは、前記蓄圧付勢部材の付勢力に抗して前記蓄圧弁体から上方に離間し、前記蓄圧シリンダ内と前記吐出孔とが連通する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内容物が収容される容器本体の口部に装着される吐出器が知られている(例えば、特許文献1)。この種の吐出器は、容器本体の口部に取り付けられる装着筒と、内容物を吐出する吐出孔を有し、装着筒に対して上下方向に移動可能な押下ヘッドと、押下ヘッドの下方移動により吐出孔から内容物を吐出させるポンプと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-035654号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の吐出器においては、内容物の吐出量を多量や少量などに切り替えて吐出したいという要望があった。しかしながら、従来の吐出器では、使用者が、押下ヘッドの押し下げ量を調整することで内容物の吐出量を調整するため、一定量(所望の量)の内容物を安定して吐出することが難しい。
【0005】
本発明は、内容物の吐出量を切り替えることができ、かつ、安定して所望の吐出量を吐出できる吐出器を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の吐出器の一つの態様は、内容物が収容される容器本体の口部に取り付けられる装着筒と、内容物を吐出する吐出孔を有し、前記装着筒に対して上下方向に移動可能かつ周方向に回転可能に設けられた押下ヘッドと、前記押下ヘッドの下方移動により前記吐出孔から内容物を吐出させるポンプと、を備え、前記装着筒は、周方向に並んで配置され、上下方向の位置が互いに異なる複数の当接部と、周方向において前記当接部と隣り合って配置される乗越え部と、を有し、前記押下ヘッドは、前記押下ヘッドを周方向に回転させることで、前記乗越え部を周方向に乗り越え可能な規制部を有し、前記規制部は、上方から見て、複数の前記当接部のうち所定の前記当接部と重なって配置され、前記押下ヘッドの押下時に、所定の前記当接部に当接される。
【0007】
この吐出器では、使用者が押下ヘッドを周方向に回転させると、押下ヘッドの規制部が、装着筒の乗越え部を周方向に乗り越える。これにより規制部は、上下方向の位置(高さ)が互いに異なる複数の当接部のうち、前記乗越え部と周方向に隣り合う所定の当接部に対して、上方から向かい合って配置される。
【0008】
この状態において、使用者が押下ヘッドを押し下げると、ポンプの作用により吐出孔から内容物が吐出される。そして、規制部と所定の当接部とが当接することで、それ以上の押下ヘッドの下方移動が規制され、内容物の吐出が停止される。
【0009】
本発明によれば、押下ヘッドの規制部が当接する所定の当接部の上下方向の位置に応じて、押下ヘッドの押し下げ量が決められ、これにより内容物の吐出量も決まる。詳しくは、使用者は、押下ヘッドを周方向に回転させて、上下方向の高さが異なる複数の当接部の中から所定の当接部を選択し、規制部と対向させることにより、所望の吐出量を選択することができる。すなわち、内容物の吐出量を多量や少量などに切り替えて吐出することができる。
【0010】
そして、規制部と所定の当接部とが接触するまで押下ヘッドを押し下げるという簡単な操作により、一定量(所望の量)の内容物を安定して吐出することができる。すなわち、安定して所望の吐出量を吐出できる。
【0011】
さらに本発明では、使用者が、例えば吐出器の外部から規制部と所定の当接部とが対向配置された状態を目視出来ないような場合であっても、押下ヘッドを回転させたときに、規制部が乗越え部を乗り越えることでクリック感が得られるため、規制部と所定の当接部とが対向配置された状態を容易に認識できる。このため、操作性がよい。
【0012】
前記吐出器において、前記装着筒は、周方向に延びる支持壁を有し、前記乗越え部は、前記支持壁の壁面から径方向に突出し、周方向に延びる帯状体と、前記支持壁の壁面と前記帯状体との間に配置される肉抜き部と、を有し、前記帯状体は、径方向に弾性変形可能であることが好ましい。
【0013】
この場合、使用者が押下ヘッドを周方向に回転させたときに、規制部は、乗越え部の帯状体を径方向に弾性変形させつつ、乗越え部を乗り越える。支持壁の壁面と帯状体との間には肉抜き部が配置されているため、帯状体は、肉抜き部の径方向寸法を狭めるように、すなわち支持壁の壁面に接近するように、弾性変形しやすくされている。規制部が乗越え部を安定して乗り越えることができるため、押下ヘッドの回転時の操作性が向上する。
【0014】
前記吐出器において、前記帯状体は、径方向に向けて凸となる湾曲状に延びており、前記当接部は、前記支持壁の壁面から径方向に突出して周方向を向く側面を有し、前記側面は、上下方向から見て、前記帯状体の湾曲形状に沿って延びており、かつ前記帯状体と近接または一致することが好ましい。
【0015】
この場合、帯状体が径方向に凸となる湾曲形状をなしているので、規制部が乗越え部をより安定して乗り越えることができる。また、射出成形によって装着筒を成形する際、金型に特殊な構造を用いることなく、上型と下型とによって、帯状体(乗越え部)及び当接部を成形することができ、製造が容易である。
【0016】
前記吐出器において、前記ポンプは、上下方向に延びる筒状のシリンダと、前記シリンダ内と前記容器本体内との連通及び遮断を切り替える弁体と、前記シリンダ内に配置され、前記押下ヘッドの押し下げにともない前記シリンダと上下方向に摺動可能なピストンと、前記ピストンに接続され、上下方向に延びる筒状をなし、その内部が前記シリンダ内と連通する蓄圧シリンダと、前記蓄圧シリンダ内に配置され、前記蓄圧シリンダと上下方向に摺動可能な蓄圧ピストンと、前記蓄圧ピストンに対して前記蓄圧ピストンの下方から接触し、前記蓄圧シリンダ内と前記吐出孔との連通及び遮断を切り替える蓄圧弁体と、前記蓄圧ピストンを下方付勢する蓄圧付勢部材と、を備え、前記押下ヘッドの押し下げにより前記蓄圧シリンダの内圧が上昇したときに、前記蓄圧ピストンは、前記蓄圧付勢部材の付勢力に抗して前記蓄圧弁体から上方に離間し、前記蓄圧シリンダ内と前記吐出孔とが連通することが好ましい。
【0017】
この場合、ポンプが、いわゆる蓄圧機構を備えている。詳しくは、使用者が押下ヘッドを押し下げると、シリンダ内でピストンが下方移動することにより、シリンダの内圧が上昇する。シリンダと蓄圧シリンダとは、互いの内部が連通しているため、シリンダの内圧上昇にともない、蓄圧シリンダの内圧も上昇する。
【0018】
蓄圧ピストンは、蓄圧付勢部材によって下方付勢されることで、蓄圧弁体に着座しており、これにより蓄圧シリンダ内と吐出孔との連通は遮断されている。押下ヘッドの押し下げにより、蓄圧シリンダの内圧が一定以上に上昇すると、蓄圧ピストンは、蓄圧付勢部材の付勢力に抗して上方移動するとともに、蓄圧弁体から上方に離間する。これにより、蓄圧シリンダ内と吐出孔とが連通され、蓄圧シリンダ及びシリンダに貯留された内容物が、加圧された状態で吐出孔から吐出される。
【0019】
上記構成とされたポンプは、ピストンの内側に蓄圧機構を設けることで、蓄圧付勢部材の直径を小さくすることができるため、蓄圧ピストンの上方移動に掛かる力を小さくすることができる。そのため、押下ヘッドの押下時に蓄圧弁体が小さな力で開放されるため、押圧力(押し下げ力)が低減する。
【0020】
押下ヘッドの押し下げ初期に蓄圧ピストンが上方移動するため、操作初動の押圧力が小さくなる。さらにそのまま押し下げ操作することができるので、使用者の感触(体感)として、押し下げ力が軽減する。すなわち、使用者は、軽い押圧力によって多量の内容物を吐出することができ、操作性がよい。
具体的には、摺動抵抗の大きいピストンよりも先に、摺動抵抗の小さい蓄圧ピストンが動くことで、体感的に押し下げ力の軽減効果が得られる。
【発明の効果】
【0021】
本発明の前記態様の吐出器によれば、内容物の吐出量を切り替えることができ、かつ、安定して所望の吐出量を吐出できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、本実施形態の吐出器を示す断面図(縦断面図)である。
図2図2は、図1のII-II断面を示す断面図(横断面図)であり、ポンプの図示は省略している。
図3図3は、装着筒の一部を破断して示す斜視図である。
図4図4は、装着筒及び押下ヘッドの各一部を破断して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一実施形態の吐出器10について、図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の吐出器10は、内容物(図示省略)が収容される容器本体100の口部101に取り付けられ、内容物を容器本体100の外部に吐出する。すなわち、図1に示す吐出容器は、容器本体100と、容器本体100の口部101に取り付けられる吐出器10と、を備える。本実施形態においては、吐出器10が、容器本体100の口部101に着脱可能に装着される。容器本体100の内容物は、例えば、化粧品、薬品、香料、消毒剤、洗浄剤、食品等の液体である。
【0024】
吐出器10は、容器本体100の口部101に取り付けられる装着筒1と、押下ヘッド2と、ポンプ3と、を備える。装着筒1及び押下ヘッド2は、例えば、樹脂製である。ポンプ3は、例えば、樹脂製の部材と、金属製の部材と、を含む。容器本体100の口部101、装着筒1、押下ヘッド2及びポンプ3は、ポンプ3の中心軸であるポンプ軸Oを共通軸として、互いに同軸に配置される。
【0025】
本実施形態では、ポンプ軸Oが延びる方向、すなわちポンプ軸Oと平行な方向を上下方向と呼ぶ。図1において、押下ヘッド2と装着筒1とは、上下方向に並んで配置されている。上下方向のうち、押下ヘッド2から装着筒1へ向かう方向を下方(下側)と呼び、装着筒1から押下ヘッド2へ向かう方向を上方(上側)と呼ぶ。
上下方向から見た平面視で、ポンプ軸Oと直交する方向を径方向と呼ぶ。径方向のうち、ポンプ軸Oに近づく方向を径方向内側と呼び、ポンプ軸Oから離れる方向を径方向外側と呼ぶ。
ポンプ軸O回りに周回する方向を周方向と呼ぶ。本実施形態では、図2に示すように、吐出器10をポンプ軸Oに沿って上方から見て、ポンプ軸Oを中心とする時計回りの方向を周方向一方側(+θ側)と呼び、反時計回りの方向を周方向他方側(-θ側)と呼ぶ。
【0026】
容器本体100は、有底筒状であり、本実施形態では有底の円筒状である。容器本体100は、口部101と、胴部102と、肩部103と、底部(図示省略)と、を有する。
口部101は、ポンプ軸Oを中心とする円筒状であり、上下方向に延びる。口部101は、容器本体100の上端部に配置される。口部101は、口部101の外周面に配置される雄ネジ部101aを有する。
【0027】
本実施形態では装着筒1が、全体として、ポンプ軸Oを中心とする2重筒状をなしている。装着筒1は、本体筒部11と、外装筒部12と、連結壁13と、支持壁14と、当接部15と、乗越え部16と、を有する。本実施形態では装着筒1が、単一の部材により一体に形成されている。
【0028】
本体筒部11は、ポンプ軸Oを中心とする有頂筒状をなしている。本体筒部11は、円筒状の本体周壁11aと、円環板状の本体頂壁11bと、を有する。
本体周壁11aは、本体周壁11aの内周面に配置される雌ネジ部11cを有する。雌ネジ部11cは、口部101の雄ネジ部101aと螺着される。すなわち、装着筒1は、口部101に対して螺合により着脱可能に装着される。
【0029】
本体頂壁11bの外周部は、本体周壁11aの上端部と接続される。本体頂壁11bは、本体頂壁11bを上下方向に貫通する挿通孔11dを有する。挿通孔11dは、ポンプ軸Oを中心とする円孔状である。
【0030】
外装筒部12は、本体筒部11の径方向外側に配置される。外装筒部12は、ポンプ軸Oを中心とする円筒状であり、上下方向に延びる。外装筒部12は、本体筒部11を径方向外側から周方向の全周にわたって囲う。また外装筒部12は、後述する支持壁14を、径方向外側から周方向の全周にわたって囲う。外装筒部12の下端部は、容器本体100の肩部103の外周部に、上方から隙間をあけて対向配置される。
【0031】
連結壁13は、ポンプ軸Oを中心とする円環板状であり、ポンプ軸Oと垂直な方向に広がる。連結壁13は、径方向において、本体筒部11と外装筒部12との間に配置され、これらの筒部11,12同士を連結する。具体的に、連結壁13の内周部は、本体筒部11の外周面のうち上端部と接続される。また、連結壁13の外周部は、外装筒部12の内周面のうち、上下方向の両端部間に位置する中間部分と接続される。
【0032】
連結壁13は、連結壁13を上下方向に貫通する金型抜き孔13aを有する。金型抜き孔13aは、上下方向から見て、略半円形状をなしている。図3に示すように、金型抜き孔13aは、周方向に並んで複数設けられる。これらの金型抜き孔13aには、装着筒1の射出成形時に、金型の下型(または上型)が挿入された状態とされ、離型時に引き抜かれる。
【0033】
支持壁14は、周方向に延びる湾曲した壁部である。本実施形態では支持壁14が、ポンプ軸Oを中心とする円筒状をなしている。支持壁14は、厚肉部14aと、厚肉部14aよりも径方向寸法(つまり厚さ寸法)が小さい薄肉部14bと、を有する。薄肉部14bの外周面は、厚肉部14aの外周面よりも径方向内側に位置している。本実施形態では、厚肉部14a及び薄肉部14bが、それぞれ一対設けられる。厚肉部14aと薄肉部14bとは、周方向に交互に並んで配置される。
【0034】
図1に示すように、支持壁14は、本体筒部11の上端外周部から上方に突出する。本実施形態では支持壁14が、上下方向から見て、本体筒部11の本体周壁11aと重なって配置される。すなわち、本体周壁11aは、支持壁14の直下に配置されている。本実施形態では、支持壁14と本体周壁11aとが、上下方向に連続するように一体的に形成されている。このため、支持壁14の一部(下方部分)は、本体周壁11aにより構成されていると言い換えてもよい。
【0035】
図2及び図3に示すように、当接部15は、装着筒1に複数設けられる。複数の当接部15は、周方向に並んで配置される。当接部15は、径方向において、支持壁14と外装筒部12との間に配置される。本実施形態では当接部15が、支持壁14の外周面(壁面)から径方向外側に突出して設けられる。具体的に、当接部15は、薄肉部14bの外周面から径方向外側に突出する。
【0036】
複数の当接部15は、周方向に並ぶ4つの当接部15A,15B,15C,15Dの組を含む。本実施形態では、周方向に並ぶ4つの当接部15A,15B,15C,15Dの組が、一対の薄肉部14bにそれぞれ(つまり計2組)設けられる。
【0037】
4つの当接部15A,15B,15C,15Dは、連結壁13から上方へ向けた突出量が、互いに異なっている。言い換えると、これらの当接部15A,15B,15C,15Dの上面の上下方向の位置(高さ)は、互いに異なっている。すなわち、複数の当接部15A,15B,15C,15Dは、上下方向の位置が互いに異なる。
【0038】
より詳しくは、4つの当接部15A,15B,15C,15Dは、周方向一方側(+θ側)へ向けてこの順に並んでおり、これら当接部15A,15B,15C,15Dのうち周方向一方側に位置するものほど、上下方向の位置(高さ)が低い。
【0039】
具体的に、4つの当接部15A,15B,15C,15Dのうち、周方向他方側(-θ側)の端部に位置する第1の当接部15Aは、最も上方に位置しており、周方向一方側(+θ側)の端部に位置する第4の当接部15Dは、最も下方に位置している。なお本実施形態では、第4の当接部15Dが、連結壁13の一部により構成されている。すなわち、第4の当接部15Dの上面は、連結壁13の上面の一部により構成される。
【0040】
また、4つの当接部15A,15B,15C,15Dのうち、第1の当接部15Aの周方向一方側に隣り合う第2の当接部15Bは、第1の当接部15Aよりも下方に位置しており、第2の当接部15Bの周方向一方側に隣り合う第3の当接部15Cは、第2の当接部15Bよりも下方に位置している。
また、周方向に隣り合う各当接部15A,15B,15C,15D間には、それぞれ、金型抜き孔13aが配置されている。
【0041】
また、当接部15は、支持壁14の壁面から径方向に突出して周方向を向く側面15gを有する。本実施形態では側面15gが、支持壁14の外周面(壁面)から径方向外側に突出し、周方向を向く。具体的に、側面15gは、径方向外側へ向かうに従い、この当接部15と周方向に隣り合う他の当接部15に接近するように延びている。より詳しくは、周方向一方側(+θ側)を向く側面15gは、径方向外側へ向かうに従い、周方向一方側に向けて延びている。また、周方向他方側(-θ側)を向く側面15gは、径方向外側へ向かうに従い、周方向他方側に向けて延びている。側面15gは、径方向外側に向けて窪む凹曲面状をなしている。
このような側面15gが設けられることにより、当接部15は、径方向外側へ向かうに従い周方向寸法が大きくされている。
【0042】
乗越え部16は、装着筒1に複数設けられる。複数の乗越え部16は、周方向に並んで配置される。乗越え部16は、径方向において、支持壁14と外装筒部12との間に配置される。本実施形態では乗越え部16が、支持壁14の外周面(壁面)から径方向外側に突出して設けられる。具体的に、乗越え部16は、薄肉部14bの外周面から径方向外側に突出する。
【0043】
複数の乗越え部16は、周方向に並ぶ3つの乗越え部16の組を含む。本実施形態では、周方向に並ぶ3つの乗越え部16の組が、一対の薄肉部14bにそれぞれ(つまり計2組)設けられる。
【0044】
各乗越え部16は、上下方向から見て、各金型抜き孔13aと重なる。本実施形態では、各乗越え部16が、各金型抜き孔13aの直上に配置されている。乗越え部16は、周方向において当接部15と隣り合って配置される。
【0045】
乗越え部16は、支持壁14の壁面から径方向に突出し、周方向に延びる帯状体16aと、支持壁14の壁面と帯状体16aとの間に配置される肉抜き部16bと、を有する。
本実施形態では帯状体16aが、支持壁14の外周面(壁面)から径方向外側に突出し、周方向に延びる。帯状体16aは、径方向に向けて凸となる湾曲状に延びている。本実施形態では帯状体16aが、径方向外側に向けて凸となる円弧状に延びる。帯状体16aの周方向の両端部は、支持壁14の外周面と接続される。帯状体16aは、径方向に弾性変形可能である。すなわち、乗越え部16は、弾性変形可能である。
【0046】
肉抜き部16bは、乗越え部16を上下方向に貫通する孔状である。肉抜き部16bが設けられることで、帯状体16aの弾性変形量が大きく確保される。すなわち、帯状体16aは、肉抜き部16bの径方向寸法を狭めるように、径方向内側に弾性変形する。
【0047】
図2に示すように上下方向から見て、当接部15は、乗越え部16と重ならずに配置されている。当接部15の側面15gは、上下方向から見て、帯状体16aの湾曲形状に沿って延びており、かつ帯状体16aと近接または一致する。
【0048】
図1に示すように、押下ヘッド2は、装着筒1の上方に配置される。押下ヘッド2は、装着筒1に対して上下方向に移動可能かつ周方向に回転可能に設けられる。押下ヘッド2は、内筒21と、外筒22と、規制部23と、ノズル部24と、内容物を吐出する吐出孔25と、を有する。
【0049】
外筒22は、ポンプ軸Oを中心とする有頂筒状であり、本実施形態では有頂の円筒状である。外筒22は、円筒状の周壁22aと、円板状の頂壁22bと、を有する。周壁22aは、径方向において、支持壁14と外装筒部12との間に配置される。使用者が押下ヘッド2を押し下げたときに、周壁22aは、支持壁14と外装筒部12との間で下方に移動する。
【0050】
内筒21は、ポンプ軸Oを中心とする筒状であり、上下方向に延びる。本実施形態では内筒21が、円筒状である。内筒21は、外筒22の頂壁22bから垂下設される。
【0051】
ノズル部24は、径方向に延びる略筒状である。本実施形態ではノズル部24が、外筒22の頂壁22bの下面に沿って延びている。ノズル部24の径方向内端部は、内筒21と接続される。ノズル部24の内部は、内筒21の内部と連通する。ノズル部24の径方向外端部は、外筒22の周壁22aと接続され、周壁22aを径方向に貫通する。ノズル部24の径方向外端部には、吐出孔25が配置される。吐出孔25は、径方向外側に向けて開口されており、ノズル部24の内部と連通する。
【0052】
ノズル部24は、液状の内容物を所望の性状に変化させる機能を有する。具体的に、ノズル部24は、例えば内容物を霧状、スプレー状、泡状等に変化させて、吐出孔25から吐出させる。ただしこれに限らず、ノズル部24は、内容物を液状のまま吐出孔25から吐出させてもよい。
【0053】
図1図2及び図4に示すように、規制部23は、外筒22の周壁22aの内周面から径方向内側に突出する。規制部23は、上下方向に延びるリブ状である。本実施形態では規制部23の表面(径方向内側を向く面)が、径方向内側に凸となる曲面状をなしている。
【0054】
規制部23は、押下ヘッド2に複数設けられる。本実施形態では規制部23が、支持壁14の一対の薄肉部14bに対向配置されて、一対設けられている。規制部23の数は、周方向に並ぶ4つの当接部15A,15B,15C,15Dの組の数と同じであり、また、周方向に並ぶ3つの乗越え部16の組の数と同じである。
【0055】
規制部23は、押下ヘッド2を周方向に回転させることで、乗越え部16を周方向に乗り越え可能である。具体的に、図2において規制部23は、押下ヘッド2を周方向に回転させることで押下ヘッド2とともに周方向に移動し、帯状体16aを径方向内側に弾性変形させつつ、帯状体16aを周方向に乗り越え可能とされている。
【0056】
また、規制部23は、図2に示すように上方から見て、複数の当接部15A,15B,15C,15Dのうち所定の当接部15と重なって配置される。そして、規制部23は、押下ヘッド2の押下時に、所定の当接部15に当接される。
【0057】
具体的に、図2に示す例では、規制部23が、上方から見て第2の当接部15Bと重なって配置されている。また、使用者が押下ヘッド2を周方向に回転させることにより、規制部23は乗越え部16を乗り越え、上方から見て、第1~第4の当接部15A~15Dのいずれかと重なって配置される。すなわち、押下ヘッド2を周方向に回転させることで、第1~第4の当接部15A~15Dの中から選択された1つの当接部15(所定の当接部15)に対して、規制部23が対向配置される。
【0058】
また、図4に示す例では、押下ヘッド2を押し下げて下方移動させることにより、規制部23(の下面)が、第3の当接部15C(の上面)に当接されている。すなわち、押下ヘッド2の押下時に、規制部23は、第1~第4の当接部15A~15Dの中から選択された1つの当接部15(所定の当接部15)に当接される。
【0059】
規制部23が所定の当接部15に当接されることで、それ以上の押下ヘッド2の下方移動が規制される。このため、規制部23が当接される所定の当接部15の上下方向の位置に応じて、押下ヘッド2の押し下げ量が一定に決まり、これにより内容物の吐出量も一定に決まる。
【0060】
詳しくは、本実施形態においては、第1~第4の当接部15A~15Dの上下方向の位置(高さ)が、この順に低くされている。このため、押下ヘッド2の押し下げ量は、規制部23が当接させられる当接部15に応じて、第1~第4の当接部15A~15Dの順に大きくなる。言い換えると、押下ヘッド2の押し下げによる内容物の吐出量は、規制部23が当接させられる当接部15に応じて、第1~第4の当接部15A~15Dの順に多くなる。
【0061】
具体的に、本実施形態では、規制部23が当接される当接部15が、第1~第4の当接部15A~15Dのいずれであるかにより、内容物の吐出量が下記のように設定される。
・規制部23が第1の当接部15Aに当接する場合…吐出量:0(ゼロ)
・規制部23が第2の当接部15Bに当接する場合…吐出量:少
・規制部23が第3の当接部15Cに当接する場合…吐出量:中
・規制部23が第4の当接部15Dに当接する場合…吐出量:多
【0062】
なお、規制部23が第1の当接部15Aに当接する場合には、内容物の吐出が行われない(すなわち、押下ヘッド2の下方移動が初期より規制される)。このため、複数の当接部15A~15Dのうち、最も上方に位置する第1の当接部15Aは、押下ヘッド2の押し下げを規制するストッパーとして機能する。
【0063】
ポンプ3は、押下ヘッド2の下方移動により、吐出孔25から内容物を吐出させる。本実施形態のポンプ3は、内容物を加圧した状態として吐出孔25から勢いよく吐出させることが可能な、いわゆる蓄圧機構を備えている。
【0064】
図1に示すように、ポンプ3は、シリンダ31と、吸上げ筒32と、弁体33と、環状部材34と、ステム35と、付勢部材36と、ピストン37と、蓄圧シリンダ38と、蓄圧ピストン39と、蓄圧弁体40と、蓄圧付勢部材41と、を備える。
【0065】
シリンダ31は、口部101の径方向内側に配置されている。シリンダ31は、上下方向に延びる筒状をなしている。詳しくは、シリンダ31は、ポンプ軸Oを中心とする有底の円筒状である。
【0066】
シリンダ31は、フランジ31aを有する。フランジ31aは、ポンプ軸Oを中心とする円環板状である。フランジ31aは、シリンダ31の周壁の上端部から径方向外側に広がる。フランジ31aは、環状のパッキン42とともに、口部101の上端開口部と本体頂壁11bとの間で上下方向から挟まれて保持される。
【0067】
吸上げ筒32は、シリンダ31の底壁に垂下設されている。吸上げ筒32は、上下方向に延びる筒状である。容器本体100の内部とシリンダ31の内部とは、吸上げ筒32の内部を通して、互いに連通される。
【0068】
弁体33は、球状の部材である。弁体33は、吸上げ筒32に形成された着座部32aに対して、着座部32aの上方から着座される。また弁体33は、着座部32aから上方に離間可能に設けられている。弁体33が着座部32aに接触することにより、シリンダ31内と容器本体100内との連通が遮断される。また、弁体33が着座部32aから離間することで、シリンダ31内と容器本体100内とが連通する。すなわち、弁体33は、シリンダ31内と容器本体100内との連通及び遮断を切り替える。
なお特に図示しないが、弁体33として、弾性変形により着座部32aから上方に離間可能に構成された、いわゆる3点弁などの弾性弁等を用いてもよい。
【0069】
環状部材34は、ポンプ軸Oを中心とする環状である。環状部材34は、シリンダ31の周壁の上端開口部内に嵌合する。環状部材34は、その鍔状の外周部が、フランジ31aと本体頂壁11bとにより上下方向から挟まれて保持されることで、上下方向への移動が規制されている。
【0070】
ステム35は、押下ヘッド2と固定される。ステム35は、押下ヘッド2の内筒21内に嵌合するステム筒部35aと、ステム筒部35aに接続される付勢部材保持筒部35bと、を有する。
【0071】
ステム筒部35aは、ポンプ軸Oを中心とする略円筒状であり、上下方向に延びる。付勢部材保持筒部35bは、ポンプ軸Oを中心とする略二重筒状であり、ステム筒部35aの径方向外側に配置される。付勢部材保持筒部35bの内周面と、ステム筒部35aの外周面とは、これらの間に配置されて周方向に並ぶ複数の連結片により、互いに接続されている。
【0072】
付勢部材36は、例えば、弾性変形可能な圧縮コイルばね等であり、上下方向に伸縮する。付勢部材36の下端部は、環状部材34に対して上方から接触し、付勢部材36の上端部は、付勢部材保持筒部35bに対して下方から接触する。付勢部材36は、ステム35を介して、押下ヘッド2を上方付勢する。
【0073】
ピストン37は、ポンプ軸Oを中心とする環状または筒状である。ピストン37は、シリンダ31内に配置され、押下ヘッド2の押し下げにともないシリンダ31と上下方向に摺動可能である。ピストン37は、環状部材34の下方に配置されており、上下方向から見て、環状部材34と重なる。
【0074】
蓄圧シリンダ38は、ポンプ軸Oを中心とする筒状であり、上下方向に延びる。蓄圧シリンダ38は、ピストン37の上方に配置されており、ピストン37に接続される。本実施形態では、蓄圧シリンダ38とピストン37とが、単一の部材により一体に形成されている。蓄圧シリンダ38の内部は、シリンダ31の内部と連通する。蓄圧シリンダ38は、環状部材34の径方向内側に配置され、環状部材34を上下方向に挿通して設けられる。
【0075】
蓄圧シリンダ38は、ピストン37よりも外径寸法が小さい。このため、本実施形態のポンプ3は、ピストン37の内側(径方向内側)に設けられた蓄圧機構を備える。蓄圧機構は、蓄圧シリンダ38と、蓄圧ピストン39と、蓄圧弁体40と、蓄圧付勢部材41と、を有する。
【0076】
蓄圧ピストン39は、ポンプ軸Oを中心とする筒状であり、上下方向に延びる。蓄圧ピストン39は、蓄圧シリンダ38内に配置され、蓄圧シリンダ38と上下方向に摺動可能である。詳しくは、蓄圧ピストン39のうち下方に位置する大径部が、蓄圧シリンダ38の内周面に摺動する。蓄圧ピストン39のうち上方に位置する小径部は、ステム筒部35aの下端開口部内に挿入される。
【0077】
蓄圧弁体40は、ポンプ軸Oを中心とする柱状であり、上下方向に延びる。蓄圧弁体40は、ステム筒部35aの内部、蓄圧ピストン39の内部、及び蓄圧シリンダ38の内部にわたって配置される。蓄圧弁体40の上端部は、ステム筒部35aの内周部に、係合等により固定される。蓄圧弁体40は、蓄圧ピストン39の上下方向への移動をガイドする。
【0078】
また、蓄圧シリンダ38の内部と吐出孔25とは、蓄圧ピストン39の内部、ステム筒部35aの内部、ステム筒部35aの内周部に形成された連通溝35c、内筒21の内部、及びノズル部24を介して、互いに連通される。
【0079】
また、蓄圧弁体40は、蓄圧着座部40aを有する。蓄圧ピストン39は、蓄圧着座部40aに対して、蓄圧着座部40aの上方から着座される。また蓄圧ピストン39は、蓄圧着座部40aから上方に離間可能に設けられている。蓄圧ピストン39が蓄圧着座部40aに接触することにより、蓄圧シリンダ38内と吐出孔25との連通が遮断される。また、蓄圧ピストン39が蓄圧着座部40aから離間することで、蓄圧シリンダ38内と吐出孔25とが連通する。すなわち、蓄圧弁体40(の蓄圧着座部40a)は、蓄圧ピストン39に対して蓄圧ピストン39の下方から接触し、蓄圧シリンダ38内と吐出孔25との連通及び遮断を切り替える。
【0080】
蓄圧付勢部材41は、例えば、弾性変形可能な圧縮コイルばね等であり、上下方向に伸縮する。蓄圧付勢部材41は、蓄圧シリンダ38内に配置される。蓄圧付勢部材41の下端部は、蓄圧ピストン39の外周部に設けられた段部に対して、上方から接触する。蓄圧付勢部材41の上端部は、ステム筒部35aの外周部に設けられた段部に対して、下方から接触する。蓄圧付勢部材41は、蓄圧ピストン39を下方付勢することで、蓄圧ピストン39を蓄圧着座部40aに押し当てている。
【0081】
上記のように構成されたポンプ3では、押下ヘッド2の押し下げにより蓄圧シリンダ38の内圧が上昇したときに、蓄圧ピストン39は、蓄圧付勢部材41の付勢力に抗して蓄圧弁体40の蓄圧着座部40aから上方に離間し、蓄圧シリンダ38内と吐出孔25とが連通する。
【0082】
より詳しくは、使用者が押下ヘッド2を押し下げると、シリンダ31内でピストン37が下方移動することにより、シリンダ31の内圧が上昇する。シリンダ31と蓄圧シリンダ38とは、互いの内部が連通しているため、シリンダ31の内圧上昇にともない、蓄圧シリンダ38の内圧も上昇する。
【0083】
蓄圧ピストン39は、蓄圧付勢部材41によって下方付勢されることで、蓄圧弁体40に着座しており、これにより蓄圧シリンダ38内と吐出孔25との連通は遮断されている。押下ヘッド2の押し下げにより、蓄圧シリンダ38の内圧が一定以上に上昇すると、蓄圧ピストン39は、蓄圧付勢部材41の付勢力に抗して上方移動するとともに、蓄圧弁体40から上方に離間する。これにより、蓄圧シリンダ38内と吐出孔25とが連通され、蓄圧シリンダ38及びシリンダ31に貯留された内容物が、加圧された状態で吐出孔25から吐出される。
【0084】
また、使用者が押下ヘッド2の押し下げ操作を解除すると、付勢部材36の上方付勢力により、押下ヘッド2とともにピストン37が上方移動する。これにより、シリンダ31の内部が負圧となり、弁体33が着座部32aから上方に離間して、容器本体100の内容物が吸上げ筒32の内部を通してシリンダ31内に流入する。
【0085】
以上説明した本実施形態の吐出器10では、使用者が押下ヘッド2を周方向に回転させると、押下ヘッド2の規制部23が、装着筒1の乗越え部16を周方向に乗り越える。これにより規制部23は、上下方向の位置(高さ)が互いに異なる複数の当接部15(15A~15D)のうち、前記乗越え部16と周方向に隣り合う所定の当接部15に対して、上方から向かい合って配置される。
【0086】
この状態において、使用者が押下ヘッド2を押し下げると、ポンプ3の作用により吐出孔25から内容物が吐出される。そして、規制部23と所定の当接部15とが当接することで、それ以上の押下ヘッド2の下方移動が規制され、内容物の吐出が停止される。
【0087】
本実施形態によれば、押下ヘッド2の規制部23が当接する所定の当接部15の上下方向の位置に応じて、押下ヘッド2の押し下げ量が決められ、これにより内容物の吐出量も決まる。詳しくは、使用者は、押下ヘッド2を周方向に回転させて、上下方向の高さが異なる複数の当接部15(15A~15D)の中から所定の当接部15を選択し、規制部23と対向させることにより、所望の吐出量を選択することができる。すなわち、内容物の吐出量を多量や少量など(本実施形態では、多、中、少のいずれか)に切り替えて吐出することができる。
【0088】
そして、規制部23と所定の当接部15とが接触するまで押下ヘッド2を押し下げるという簡単な操作により、一定量(所望の量)の内容物を安定して吐出することができる。すなわち、安定して所望の吐出量を吐出できる。
なお本実施形態では、吐出量ゼロを選択することも可能である(押下ヘッド2のストッパー機能)。
【0089】
さらに本実施形態では、使用者が、例えば吐出器10の外部から規制部23と所定の当接部15とが対向配置された状態を目視出来ないような場合であっても、押下ヘッド2を回転させたときに、規制部23が乗越え部16を乗り越えることでクリック感が得られるため、規制部23と所定の当接部15とが対向配置された状態を容易に認識できる。このため、操作性がよい。
【0090】
また本実施形態では、乗越え部16が、支持壁14の壁面から径方向に突出し、周方向に延びる帯状体16aと、支持壁14の壁面と帯状体16aとの間に配置される肉抜き部16bと、を有し、帯状体16aは、径方向に弾性変形可能である。
この場合、使用者が押下ヘッド2を周方向に回転させたときに、規制部23は、乗越え部16の帯状体16aを径方向に弾性変形させつつ、乗越え部16を乗り越える。支持壁14の壁面と帯状体16aとの間には肉抜き部16bが配置されているため、帯状体16aは、肉抜き部16bの径方向寸法を狭めるように、すなわち支持壁14の壁面に接近するように、弾性変形しやすくされている。規制部23が乗越え部16を安定して乗り越えることができるため、押下ヘッド2の回転時の操作性が向上する。
【0091】
また本実施形態では、帯状体16aが、径方向に向けて凸となる湾曲状に延びる。また、当接部15の側面15gは、上下方向から見て、帯状体16aの湾曲形状に沿って延びており、かつ帯状体16aと近接または一致する。
この場合、帯状体16aが径方向に凸となる湾曲形状をなしているので、規制部23が乗越え部16をより安定して乗り越えることができる。また、射出成形によって装着筒1を成形する際、金型に特殊な構造を用いることなく、上型と下型とによって、帯状体16a(乗越え部16)及び当接部15を成形することができ、製造が容易である。
【0092】
また本実施形態では、ポンプ3が、いわゆる蓄圧機構を備えている。上記構成とされたポンプ3は、ピストン37の内側に蓄圧機構を設けることで、蓄圧付勢部材41の直径を小さくすることができるため、蓄圧ピストン39の上方移動に掛かる力を小さくすることができる。そのため、押下ヘッド2の押下時に蓄圧弁体40が小さな力で開放されるため、押圧力(押し下げ力)が低減する。
【0093】
押下ヘッド2の押し下げ初期に蓄圧ピストン39が上方移動するため、操作初動の押圧力が小さくなる。さらにそのまま押し下げ操作することができるので、使用者の感触(体感)として、押し下げ力が軽減する。すなわち、使用者は、軽い押圧力によって多量の内容物を吐出することができ、操作性がよい。
具体的には、摺動抵抗の大きいピストン37よりも先に、摺動抵抗の小さい蓄圧ピストン39が動くことで、体感的に押し下げ力の軽減効果が得られる。
【0094】
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
【0095】
前述の実施形態では、支持壁14が円筒状をなしている例を挙げたが、これに限らない。支持壁14は、周方向に延びていればよく、例えば、環状ではない湾曲した壁部等であってもよい。
【0096】
乗越え部16の帯状体16aは、支持壁14の外周面(壁面)から径方向外側に突出する構成に限らず、支持壁14の内周面(壁面)から径方向内側に突出していてもよい。また当接部15は、支持壁14の外周面(壁面)から径方向外側に突出する構成に限らず、支持壁14の内周面(壁面)から径方向内側に突出していてもよい。この場合、押下ヘッド2の外筒22の周壁22aは、支持壁14の径方向内側に配置される。また押下ヘッド2の規制部23は、外筒22の周壁22aの外周面から径方向外側に突出する。
【0097】
また、ポンプ3は、上述した蓄圧機構を備えるものに限らない。
【0098】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上述した実施形態及び変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0099】
1…装着筒、2…押下ヘッド、3…ポンプ、10…吐出器、14…支持壁、15(15A~15D)…当接部、15g…側面、16…乗越え部、16a…帯状体、16b…肉抜き部、23…規制部、25…吐出孔、31…シリンダ、33…弁体、36…付勢部材、37…ピストン、38…蓄圧シリンダ、39…蓄圧ピストン、40…蓄圧弁体、41…蓄圧付勢部材、100…容器本体、101…口部
図1
図2
図3
図4