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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018726
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】コントローラ
(51)【国際特許分類】
   H04L 7/00 20060101AFI20240201BHJP
   G04G 5/00 20130101ALI20240201BHJP
   G04R 20/02 20130101ALI20240201BHJP
   G05B 19/042 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H04L7/00 990
G04G5/00 J
G04R20/02
G05B19/042
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122248
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(72)【発明者】
【氏名】西川 剛志
【テーマコード(参考)】
2F002
5H220
5K047
【Fターム(参考)】
2F002AA12
2F002FA16
2F002GA06
5H220AA04
5H220BB07
5H220BB18
5H220CC09
5H220CX09
5H220JJ12
5H220JJ22
5H220JJ26
5K047AA18
5K047GG56
(57)【要約】
【課題】時刻を精度良く合わせることができるコントローラを提供する。
【解決手段】本実施形態によるコントローラは、制御対象と通信可能に接続されたコントローラである。演算部は、コントローラの内部時刻を示す時計機能と内部時刻を補正する補正機能とを有する。インタフェースは、コントローラの外部にありGPS送信器からのGPS時刻を受信するGPS受信装置に、通信可能に接続する。演算部は、GPS時刻に基づいて内部時刻を補正する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御対象と通信可能に接続されたコントローラであって、
前記コントローラの内部時刻を示す時計機能と前記内部時刻を補正する補正機能とを有する演算部と、
前記コントローラの外部にありGPS送信器からのGPS時刻を受信するGPS受信装置に、通信可能に接続するインタフェースとを備え、
前記演算部は、前記GPS時刻に基づいて前記内部時刻を補正する、コントローラ。
【請求項2】
前記演算部は、前記内部時刻を前記GPS時刻に適合するように補正する、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項3】
前記演算部は、GPS信号の送信時点から前記コントローラによる前記GPS時刻の受信時点までの遅延時間を前記GPS時刻に加算した時刻を内部時刻とする、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項4】
前記演算部は、前記インタフェースを介して前記内部時刻Taを前記GPS受信装置へ送信し、
前記GPS受信装置において受信された前記内部時刻Taと該内部時刻Taの受信時の前記GPS時刻Tbとが送信された後、前記演算部は、前記内部時刻Taと、前記GPS時刻Tbと、該内部時刻Taおよび該GPS時刻Tbの受信時における前記内部時刻Tcとを比較して、前記内部時刻Ta、前記GPS時刻Tbおよび前記内部時刻Tcが時間軸においてこの順番に配列されるように前記内部時刻を補正する、請求項1に記載のコントローラ。
【請求項5】
前記演算部は、前記内部時刻Taと、前記GPS時刻Tbと、前記内部時刻Tcとの比較動作を複数回繰り返し、前記複数の比較動作の全てにおいて、前記内部時刻Ta、前記GPS時刻Tbおよび前記内部時刻Tcが時間軸においてこの順番に配列されるように前記内部時刻を補正する、請求項4に記載のコントローラ。
【請求項6】
前記演算部は、前記内部時刻Taと、前記GPS時刻Tbと、前記内部時刻Tcとの比較動作を複数回繰り返し、Tc-Taが最小となる場合に、前記内部時刻Ta、前記GPS時刻Tbおよび前記内部時刻Tcが時間軸においてこの順番に配列されるように前記内部時刻を補正する、請求項4に記載のコントローラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本実施形態は、コントローラに関する。
【背景技術】
【0002】
産業機械等を制御するコントローラは、内蔵された発振装置で駆動される時計機能を有する。複数のコントローラの時計機能の時刻を合わせる場合、1つのコントローラの時刻をマスタとして他のコントローラの時刻を合わせている。しかし、コントローラ間の通信の遅延が大きい場合、複数のコントローラの時刻を精度良く合わせることは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際特許出願公開第2017/183232号公報
【特許文献2】特開第2018-205293号公報
【特許文献3】特許第6704548号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
時刻を精度良く合わせることができるコントローラを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本実施形態によるコントローラは、制御対象と通信可能に接続されたコントローラである。演算部は、コントローラの内部時刻を示す時計機能と内部時刻を補正する補正機能とを有する。インタフェースは、コントローラの外部にありGPS送信器からのGPS時刻を受信するGPS受信装置に、通信可能に接続する。演算部は、GPS時刻に基づいて内部時刻を補正する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態によるコントローラシステムの構成例を示すブロック図。
図2】第1実施形態によるコントローラの内部時刻の補正方法の一例を示すフロー図。
図3】第2実施形態によるコントローラの内部時刻の補正方法の一例を示すフロー図。
図4】第2実施形態の変形例1によるコントローラの内部時刻の補正方法の一例を示すフロー図。
図5】第2実施形態の変形例2によるコントローラの内部時刻の補正方法の一例を示すフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態を説明する。本実施形態は、本発明を限定するものではない。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。明細書と図面において、既出の図面に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態によるコントローラシステムの構成例を示すブロック図である。コントローラシステム1は、特に限定しないが、例えば、複数のプラントに設置された制御対象としての複数の産業装置4を制御する産業用コントローラシステムでよい。
【0009】
コントローラシステム1は、コントローラ2と、GPS受信装置3とを備えている。コントローラ2とGPS受信装置3は別体として構成されており、互いに通信可能に接続され得る。GPS受信装置3は、コントローラ2の外部に設けられており、例えば、GPS受信機能を有する携帯端末(例えば、スマートフォン)等でよい。
【0010】
コントローラ2は、発振器10と、演算部(例えば、CPU(Central Processing Unit))20と、記憶部30と、インタフェース40とを備えている。コントローラ2は、例えば、産業装置4の動作を制御する。
【0011】
発振器10は、演算部20の時計機能を動作させる或る周波数の発振信号を演算部20に与える。発振器10は、例えば、水晶振動子、発振回路等で構成すればよい。
【0012】
演算部20の時計機能は、コントローラ2の内部時刻を示し、発振器10からの発振信号に基づいてコントローラ2の内部時刻を進める。コントローラ2の内部時刻は、コントローラ2の内部で保持されているその時点の時刻(現在時刻)である。
【0013】
演算部20の補正機能は、コントローラ2の内部時刻を補正する機能である。例えば、補正機能は、コントローラ2の内部時刻が現在時刻とずれている場合に現在時刻に適合するように内部時刻を補正する。
【0014】
記憶部30は、演算部20が実行する各種プログラム、産業装置4から得られるデータ、GPS受信装置3から得られる情報等を格納する。記憶部30は、例えば、SSD(Solid State Drive)、HDD(Hard Disc Drive)等でよい。記憶部30は、演算部20に内蔵されていてもよく、演算部20とは別チップであってもよい。
【0015】
インタフェース40は、産業装置4とコントローラ2とを通信可能に接続し、並びに、GPS受信装置3とコントローラ2とを通信可能に接続する。インタフェース40は、有線接続方式でも、無線接続方式でもよい。インタフェース40は、例えば、USB(Universal Serial Bus)、近距離無線通信等でもよい。
【0016】
GPS受信装置3は、アンテナ50と、RFIC(Radio Frequency Integrated Circuit)60と、ベースバンドIC70と、インタフェース80とを備える。GPS受信装置3は、コントローラ2の外部に設けられており、GPS衛星5からのGPS信号を受信するように構成されている。アンテナ50は、例えば、GPS衛星5のようなGPS送信装置から送信されるGPS信号を受信する。RFIC60はGPS送信装置からのGPS信号を処理し、ベースバンドIC70はGPS送信装置のGPS位置情報およびGPS時刻情報を算出する。これにより、GPS受信装置3は、GPS位置情報およびGPS時刻情報を得る。GPS位置情報は、GPS信号の送信時におけるGPS衛星5の位置を示す情報であり、GPS時刻情報は、GPS衛星5におけるGPS信号の送信時刻を示す情報である。インタフェース80は、コントローラ2と通信可能に接続する。インタフェース80は、有線接続方式でも、無線接続方式でもよい。インタフェース80は、インタフェース40と同じ通信規格であり、例えば、USB、近距離無線通信でもよい。
【0017】
次に、コントローラ2の内部時刻の補正方法を説明する。
【0018】
図2は、第1実施形態によるコントローラ2の内部時刻の補正方法の一例を示すフロー図である。
【0019】
まず、GPS受信装置3が、アンテナ50を介してGPS衛星5からGPS信号を受信する(S10)。GPS信号は、周期的にGPS信号を送信している。
【0020】
次に、GPS受信装置3は、RFIC60およびベースバンドIC70においてGPS信号を処理して、GPS位置情報およびGPS時刻情報を得る(S20)。このとき、コントローラ2は、産業装置4の制御処理を実行していてもよい(S21)。
【0021】
コントローラ2が接続されていない場合(S25のNO)、GPS受信装置3は、ステップS10、S20を繰り返す。
【0022】
コントローラ2が接続されると(S25のYES)、GPS受信装置3は、インタフェース80を介して直近で得られた最新のGPS時刻情報をコントローラ2へ送信する(S30)。コントローラ2とGPS受信装置3とが通信接続されている期間、GPS受信装置3は、GPS時刻情報をGPS信号の送信周期ごとにコントローラ2へ送信してもよい。
【0023】
コントローラ2がインタフェース40を介してGPS時刻情報を受信する(S40)。このとき、コントローラ2は、産業装置4の制御処理を継続していてもよい。演算部20は、GPS時刻情報を記憶部30に格納するとともに、時計機能の内部時刻とGPS時刻情報とを比較する(S50)。次に、演算部20は、GPS時刻情報に基づいて、時計機能の内部時刻を補正する(S60)。内部時刻の補正は、内部時刻をGPS時刻情報にそのまま置き換えることでもよい。即ち、演算部20は、内部時刻がGPS時刻情報に等しくなるように時計機能の補正してもよい。あるいは、GPS衛星5がGPS信号を送信した時点からコントローラ2がGPS時刻情報を受信する時点までの遅延時間を考慮して、GPS時刻情報にこの遅延時間を加算した時刻を内部時刻としてもよい。遅延時間は、コントローラ2とGPS受信装置3との間のネットワーク構成に基づいて予測して予め設定され、記憶部30に格納しておけばよい。ステップS40~S60の処理は、コントローラ2とGPS受信装置3とが通信接続されている期間、GPS信号の送信周期ごとに繰り返し実行してもよい。
【0024】
このように、演算部20は、GPS時刻情報に基づいてコントローラ2の内部時刻を補正する。これにより、演算部20は、コントローラ2の内部時刻を精度良く合わせることができる。コントローラ2は、GPS受信装置3が通信接続されている期間、GPS信号の送信周期ごとに内部時刻を補正してよい。あるいは、コントローラ2は、いずれかのGPS信号のGPS時刻情報を用いて内部時刻を補正してもよい。
【0025】
また、コントローラ2は、GPS受信装置を内蔵しておらず、外部にあるGPS受信装置3(例えば、GPS機能付き携帯端末等)を用いてGPS時刻情報を得ている。GPS時刻情報は、NTP(Network Time Protocol)による時刻よりも正確である。従って、本実施形態によるコントローラ2は、内部時刻を精度良く補正することができる。
【0026】
また、GPS受信装置がコントローラ2に内蔵されている場合、GPS受信装置が故障したときに、修理にコストおよび時間がかかる。これに対し、本実施形態によるコントローラ2は、GPS受信装置を内蔵しておらず、外部のGPS受信装置3を利用し通信でGPS時刻情報を受け取る。従って、GPS受信装置が壊れても、コントローラ2を修理する必要はなく、他のGPS受信装置からGPS時刻情報を得ればよい。よって、コントローラ2は、維持コストにおいて低廉であり、寿命を長くすることができる。
【0027】
(第2実施形態)
図3は、第2実施形態によるコントローラ2の内部時刻の補正方法の一例を示すフロー図である。第2実施形態によるコントローラシステム1の構成は、第1実施形態のそれと同様でよい。
【0028】
まず、GPS受信装置3が、アンテナ50を介してGPS衛星5からGPS信号を受信する(S10)。GPS信号は、周期的にGPS信号を送信している。
【0029】
次に、GPS受信装置3は、RFIC60およびベースバンドIC70においてGPS信号を処理して、GPS位置情報およびGPS時刻情報を得る(S20)。このとき、コントローラ2は、産業装置4の制御処理を実行していてもよい(S21)。
【0030】
GPS受信装置3の接続が検出されていない場合(S25のNO)、コントローラ2は、産業装置4の制御処理を継続して実行する。GPS受信装置3の接続が検出された場合(S25のYES)、コントローラ2は、その時点の内部時刻TaをGPS受信装置3へ送信する(S27)。コントローラ2は、産業装置4の制御処理を継続して実行してよい。
【0031】
一方、GPS受信装置3は、コントローラ2に接続されていない場合(S26のNO)、ステップS10、S20を繰り返す。コントローラ2に接続された場合(S26のYES)、GPS受信装置3は、コントローラ2から内部時刻Taを受信する(S31)。
【0032】
次に、GPS受信装置3は、内部時刻TaおよびGPS時刻情報Tbをコントローラ2へ送信する(S35)。GPS時刻情報Tbは、直近(最新)のGPS時刻情報である。
【0033】
次に、コントローラ2は、内部時刻TaおよびGPS時刻情報Tbを受信する(S41)。
【0034】
コントローラ2は、受信した内部時刻Ta、GPS時刻情報Tb、並びに、Ta、Tbを受信した時点の内部時刻Tcを比較し、演算する(S51)。例えば、内部時刻TaとGPS時刻情報Tbとを受信した後、コントローラ2の演算部20は、内部時刻Taと、GPS時刻情報Tbと、内部時刻Tcとを比較して、内部時刻Ta、GPS時刻情報Tbおよび内部時刻Tcが時間軸において、Ta、Tb、Tcの順番に配列されるように内部時刻を補正する。
【0035】
内部時刻Ta、Tcは、コントローラ2の同一時計機能から発生しているので、内部時刻Tcは内部時刻Taよりも必ず後の時刻になる。尚、TaとTcとの差は、コントローラ2とGPS受信装置3との間のネットワーク環境に依存する。一方、GPS時刻情報Tbは、コントローラ2による内部時刻Taの送信から内部時刻TaおよびGPS時刻情報Tbの受信までの間に得られる情報であるので、内部時刻Taと内部時刻Tcとの間にくるはずである。即ち、内部時刻Ta、TcおよびGPS時刻情報Tbは、時間軸においてTa、Tb、Tcの順番に配列されるべきである。
【0036】
しかし、コントローラ2の時計機能が正確な時刻からずれている場合、内部時刻TaがGPS時刻情報Tbよりも後の時刻になってしまったり、内部時刻TcがGPS時刻情報Tbよりも先の時刻になってしまう場合がある。即ち、内部時刻Ta、TcおよびGPS時刻情報Tbは、時間軸においてTb、Ta、Tcの順番になったり、Ta、Tc、Tbの順番になる場合がある。特に、コントローラ2とGPS受信装置3との間の通信の遅延が小さい場合、内部時刻Taと内部時刻Tcとの間の時間差が小さくなり、コントローラ2の時計機能のずれは、内部時刻Ta、TcおよびGPS時刻情報Tbの時間軸における順番に顕著に現れる。
【0037】
そこで、第2実施形態によるコントローラ2の演算部20は、内部時刻Taと、GPS時刻情報Tbと、内部時刻Tcとの比較動作において、内部時刻Ta、GPS時刻情報Tbおよび内部時刻Tcが時間軸においてTa、Tb、Tcの順番に配列されるように時計機能を補正する(S61)。
【0038】
例えば、コントローラ2とGPS受信装置3との間の通信の遅延時間がコントローラ2からGPS受信装置3への送信時とGPS受信装置3からコントローラ2への受信時とにおいてほぼ等しい場合には、演算部20は、補正機能を用いて、時間軸においてGPS時刻情報Tbが内部時刻Taと内部時刻Tcとの間のほぼ中間に位置するように時計機能を補正すればよい。勿論、コントローラ2とGPS受信装置3との間の通信の遅延時間は、送信時と受信時とにおいて異なる場合もある。この場合には、演算部20は、時間軸においてGPS時刻情報Tbが内部時刻Taと内部時刻Tcとの間の任意の位置にくるように時計機能を補正してよい。
【0039】
このように、コントローラ2の演算部20は、内部時刻TaをGPS受信装置3へ一旦送信し、GPS受信装置3から返信された内部時刻TaとGPS時刻情報Tbを受信し、内部時刻Ta、GPS時刻情報Tb、並びに、それらの受信時における内部時刻Tcを比較する。演算部20は、内部時刻Ta、GPS時刻情報Tbおよび内部時刻Tcが時間軸においてTa、Tb、Tcの順番に配列されるように時計機能を補正する。これにより、コントローラ2は、内部の時計機能をGPS時刻情報Tbに合わせて高精度に補正することができる。
【0040】
(変形例1)
図4は、第2実施形態の変形例1によるコントローラ2の内部時刻の補正方法の一例を示すフロー図である。変形例1のコントローラシステム1の構成は、第1実施形態のそれと同様でよい。
【0041】
変形例1では、ステップS27~S41を実行した後、演算部20は、内部時刻Ta、GPS時刻情報Tb、並びに、それらを受信した時点の内部時刻Tcを記憶部30に格納する(S52)。
【0042】
さらに、ステップS27~S52をN回繰り返す。例えば、ステップS25において、GPS受信装置3が接続された後、演算部20は、k=0に設定し(S29)、ステップS27~S52を実行する。その後、演算部20は、kを1だけインクリメントして(S70)、kがNになったか判断する(S80)。kがNに満たない場合(S80のNO)、ステップS27に戻り、演算部20は、ステップS27~S52を再度実行する。
【0043】
k=Nになった場合(S80のYES)、記憶部30は、Ta、Tb、TcのN組のサンプルを格納したことになる。
【0044】
ここで、演算部20は、N組のサンプル(Ta、Tb、Tc)の全てについて、内部時刻Ta、GPS時刻情報Tb、並びに、内部時刻Tcを比較し演算する(S54)。例えば、演算部20は、N組のサンプル(Ta、Tb、Tc)の全てについて、GPS時刻情報Tbが内部時刻Taと内部時刻Tcとの間にくるように時計機能を補正する。即ち、演算部20は、N組のサンプル(Ta、Tb、Tc)の全てについて、内部時刻Ta、GPS時刻情報Tbおよび内部時刻Tcが時間軸においてTa、Tb、Tcの順番に配列されるように時計機能を補正する(S61)。これにより、コントローラ2は、内部の時計機能をGPS時刻情報Tbに合わせてさらに高精度に補正することができる。
【0045】
尚、コントローラ2とGPS受信装置3との間の通信の遅延時間のばらつきが大きい場合、N組のサンプル(Ta、Tb、Tc)の全てについてTa、Tb、Tcの順番になるような内部時刻が設定できないこともある。このような場合には、サンプル数Nを減らせばよい。あるいは、以下の変形例2のように、演算部20は、内部時刻Taと内部時刻Tcとの差(Tc-Ta)が最小値であるサンプルを用いて時計機能を補正してもよい。
【0046】
(変形例2)
図5は、第2実施形態の変形例2によるコントローラ2の内部時刻の補正方法の一例を示すフロー図である。変形例2のコントローラシステム1の構成は、第1実施形態のそれと同様でよい。
【0047】
変形例2のステップS27~S80は、変形例1と同様である。変形例2では、変形例1と同様に、ステップS27~S41を実行した後、演算部20は、内部時刻Ta、GPS時刻情報Tb、並びに、それらを受信した時点の内部時刻Tcを記憶部30に格納する(S52)。k=Nになった場合(S80のYES)、記憶部30は、Ta、Tb、TcのN組のサンプルを格納したことになる。
【0048】
ここで、演算部20は、N組のサンプル(Ta、Tb、Tc)のうち、内部時刻Taと内部時刻Tcとの差(Tc-Ta)が最小値であるサンプルを抽出し、この抽出したサンプルのTa、Tb、Tcを比較する(S56)。さらに、演算部20は、この抽出されたサンプルのGPS時刻情報Tbを用いて時計機能を補正する(S61)。内部時刻Taと内部時刻Tcとの差(Tc-Ta)が最小値である場合、コントローラ2の時計機能のずれは、内部時刻Ta、TcおよびGPS時刻情報Tbの時間軸における順番に顕著に現れる。従って、演算部20は、内部時刻Taと内部時刻Tcとの差(Tc-Ta)が最小値であるときのGPS時刻情報Tbが内部時刻Taと内部時刻Tcとの間にくるように時計機能を補正する。補正動作は、第1実施形態のそれと同様でよい。即ち、演算部20は、差(Tc-Ta)が最小値であるサンプルにおいてTa、Tb、Tcの順番に配列されるように時計機能を補正する。これにより、コントローラ2は、内部の時計機能をGPS時刻情報Tbに合わせてさらに高精度に補正することができる。
【0049】
尚、演算部20は、N組のサンプルのうち、差(Tc-Ta)の小さい方からいくつかの複数のサンプルを用いて時計機能を補正してもよい。
【0050】
また、上記実施形態において、コントローラ2とGPS受信装置3との間のネットワークの通信遅延が既知の場合、演算部20は、内部時刻TaとGPS時刻情報Tbとの時間差(Tb-Ta)およびGPS時刻情報Tbと内部時刻Tcとの時間差(Tb-Tc)を、そのネットワークの通信遅延に適合するように時計機能を補正すればよい。例えば、コントローラ2からGPS受信装置3への送信時のネットワークの通信遅延の第1モデル、および、GPS受信装置3からコントローラ2への送信時のネットワークの通信遅延の第2モデルが既知であれば、演算部20は、時間差(Tb-Ta)を第1モデルの通信遅延時間に合わせ、かつ、時間差(Tb-Tc)を第2モデルの通信遅延時間に合わせるように時計機能を補正すればよい。これにより、コントローラ2は、内部の時計機能をさらに高精度に補正することができる。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0052】
1 コントローラシステム、2 コントローラ、3 GPS受信装置、10 発振器、20 演算部、30 記憶部、40 インタフェース
図1
図2
図3
図4
図5