(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001873
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】時刻同期ドメインの時刻同期のための方法及びデバイス
(51)【国際特許分類】
H04L 7/00 20060101AFI20231227BHJP
G04G 5/00 20130101ALI20231227BHJP
【FI】
H04L7/00 990
G04G5/00 J
【審査請求】有
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023101190
(22)【出願日】2023-06-20
(31)【優先権主張番号】63/354,238
(32)【優先日】2022-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】112109568
(32)【優先日】2023-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】506080739
【氏名又は名称】四零四科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Moxa Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】劉 ▲啓▼全
(72)【発明者】
【氏名】林 俊余
(72)【発明者】
【氏名】▲頼▼ 建宇
(72)【発明者】
【氏名】林 柏宏
【テーマコード(参考)】
2F002
5K047
【Fターム(参考)】
2F002AA12
2F002AF01
2F002FA16
2F002GA06
5K047AA18
5K047BB14
(57)【要約】
【課題】時刻同期デバイスのための時刻同期方法を提供する。
【解決手段】時刻同期デバイスは、複数のポートを通じて複数の時刻同期ドメインに接続され、複数の時刻同期ドメインは、複数のPTPプロファイルを使用する。当該方法は、複数のポートのそれぞれが時刻受信ポートであるか時刻送信ポートであるかを決定するステップと、複数の時刻同期ドメインのグランドマスタークロックの情報を取得するステップと、複数のPTPプロファイルにおける複数のポートの各時刻送信ポートに対応するPTPプロファイルに従ってグランドマスタークロックの情報に対して情報変換を実行して、各時刻送信ポートに対応する複数のクロック情報を生成するステップと、複数のクロック情報の対応するクロック情報を各時刻送信ポートから対応する時刻同期ドメインに送信して、時刻同期を実行するステップとを含む。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻同期デバイスのための時刻同期方法であり、前記時刻同期デバイスは、複数のポートを通じて複数の時刻同期ドメインに接続され、前記複数の時刻同期ドメインは、複数のPTP(Precision Time Protocol)プロファイルを使用する、方法であって、
前記複数のポートのそれぞれが時刻受信ポートであるか時刻送信ポートであるかを決定するステップと、
前記複数の時刻同期ドメインのグランドマスタークロックの情報を取得するステップと、
前記複数のPTPプロファイルにおける前記複数のポートの各時刻送信ポートに対応するPTPプロファイルに従って前記グランドマスタークロックの前記情報に対して情報変換を実行して、前記複数のポートの各時刻送信ポートに対応する複数のクロック情報を生成するステップと、
前記複数のクロック情報の対応するクロック情報を前記複数のポートの各時刻送信ポートから対応する時刻同期ドメインに送信して、時刻同期を実行するステップと
を含む時刻同期方法。
【請求項2】
前記複数のポートのそれぞれが時刻受信ポートであるか時刻送信ポートであるかを決定するステップは、
前記グランドマスタークロックが属する時刻同期ドメインの第1のPTPプロファイルを決定するステップと、
前記複数のPTPプロファイルを前記第1のPTPプロファイルと比較して、複数の比較結果を生成するステップと、
前記複数の比較結果に従って、前記複数のポートのうちの1つが時刻受信ポートであり、他のポートが時刻送信ポートであると決定するステップと
を含む、請求項1に記載の時刻同期方法。
【請求項3】
前記複数の比較結果に従って、前記複数のポートのうちの1つが時刻受信ポートであり、他のポートが時刻送信ポートであると決定するステップは、
前記複数の比較結果のうちの1つが、ポートに対応するPTPプロファイルが前記第1のPTPプロファイルに適合することを示すとき、前記ポートが前記時刻受信ポートであると決定し、他のポートが前記時刻送信ポートであると決定するステップを含む、請求項2に記載の時刻同期方法。
【請求項4】
前記複数の時刻同期ドメインの前記グランドマスタークロックの前記情報を取得するステップは、
前記時刻受信ポートから前記グランドマスタークロックの前記情報を受信するステップを含む、請求項2に記載の時刻同期方法。
【請求項5】
前記複数のポートのそれぞれが時刻受信ポートであるか時刻送信ポートであるかを決定するステップは、
前記時刻同期デバイスのクロックが前記グランドマスタークロックであるとき、前記複数のポートのそれぞれが時刻送信ポートであると決定するステップを含む、請求項1に記載の時刻同期方法。
【請求項6】
前記複数の時刻同期ドメインの前記グランドマスタークロックの前記情報を取得するステップは、
前記時刻同期デバイスによって前記グランドマスタークロックの前記情報を取得するステップを含む、請求項5に記載の時刻同期方法。
【請求項7】
前記時刻同期デバイスは、ゲートウェイ、スイッチ、ルータ又はブリッジである、請求項1に記載の時刻同期方法。
【請求項8】
前記複数のPTPプロファイルは異なる、請求項1に記載の時刻同期方法。
【請求項9】
時刻同期デバイスであり、前記時刻同期デバイスは、複数のポートを通じて複数の時刻同期ドメインに接続され、前記複数の時刻同期ドメインは、複数のPTP(Precision Time Protocol)プロファイルを使用する、時刻同期デバイスであって、
プログラムコードを実行するように構成された処理ユニットと、
前記処理ユニットに結合され、時刻同期方法を実行するように前記処理ユニットに命令するために前記プログラムコードを記憶するように構成された記憶ユニットと
を含み、
前記時刻同期方法は、
前記複数のポートのそれぞれが時刻受信ポートであるか時刻送信ポートであるかを決定するステップと、
前記複数の時刻同期ドメインのグランドマスタークロックの情報を取得するステップと、
前記複数のPTPプロファイルにおける前記複数のポートの各時刻送信ポートに対応するPTPプロファイルに従って前記グランドマスタークロックの前記情報に対して情報変換を実行して、前記複数のポートの各時刻送信ポートに対応する複数のクロック情報を生成するステップと、
前記複数のクロック情報の対応するクロック情報を前記複数のポートの各時刻送信ポートから対応する時刻同期ドメインに送信して、時刻同期を実行するステップと
を含む、時刻同期デバイス。
【請求項10】
前記複数のポートのそれぞれが時刻受信ポートであるか時刻送信ポートであるかを決定するステップは、
前記グランドマスタークロックが属する時刻同期ドメインの第1のPTPプロファイルを決定するステップと、
前記複数のPTPプロファイルを前記第1のPTPプロファイルと比較して、複数の比較結果を生成するステップと、
前記複数の比較結果に従って、前記複数のポートのうちの1つが時刻受信ポートであり、他のポートが時刻送信ポートであると決定するステップと
を含む、請求項9に記載の時刻同期デバイス。
【請求項11】
前記複数の比較結果に従って、前記複数のポートのうちの1つが時刻受信ポートであり、他のポートが時刻送信ポートであると決定するステップは、
前記複数の比較結果のうちの1つが、ポートに対応するPTPプロファイルが前記第1のPTPプロファイルに適合することを示すとき、前記ポートが前記時刻受信ポートであると決定し、他のポートが前記時刻送信ポートであると決定するステップを含む、請求項10に記載の時刻同期デバイス。
【請求項12】
前記複数の時刻同期ドメインの前記グランドマスタークロックの前記情報を取得するステップは、
前記時刻受信ポートから前記グランドマスタークロックの前記情報を受信するステップを含む、請求項10に記載の時刻同期デバイス。
【請求項13】
前記複数のポートのそれぞれが時刻受信ポートであるか時刻送信ポートであるかを決定するステップは、
前記時刻同期デバイスのクロックが前記グランドマスタークロックであるとき、前記複数のポートのそれぞれが時刻送信ポートであると決定するステップを含む、請求項9に記載の時刻同期デバイス。
【請求項14】
前記複数の時刻同期ドメインの前記グランドマスタークロックの前記情報を取得するステップは、
前記時刻同期デバイスによって前記グランドマスタークロックの前記情報を取得するステップを含む、請求項13に記載の時刻同期デバイス。
【請求項15】
ゲートウェイ、スイッチ、ルータ又はブリッジである、請求項9に記載の時刻同期デバイス。
【請求項16】
前記複数のPTPプロファイルは異なる、請求項9に記載の時刻同期デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻同期のための方法及びデバイスに関し、特に、複数の時刻同期ネットワークドメインにおける時刻同期のための方法及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
PTP(Precision Time Protocol)は、IEEE1588によって規定された時刻同期のための標準であり、タイムクリティカルなネットワークを通じて高精度な時刻同期を実現するために使用される。市場が進化するにつれて、異なるネットワークアプリケーションは固有の要件を有する。これに対処するために、電力ネットワーク用のPower Profile(IEEE Std C37.238)、電気通信ネットワーク用のTelecom Profile(ITU-T G.8265.1)、及びGeneralized Precision Time Protocol(gPTP, IEEE Std 802.1AS)のような、多くの異なるPTPプロファイルが、異なるアプリケーション用に提案されている。PTPプロファイルは、異なる分野におけるアプリケーションが、これらの要件を満たすように特定の動作パラメータ、属性及びデフォルト値を設定することを可能にする。しかし、これは、異なるPTPプロファイルを使用するデバイス及びネットワークが効果的に通信することを困難にする可能性がある。一般的に、時刻同期を確保するために、同じ環境内の装置又はデバイスは、同じPTPプロファイルを使用しなければならず、ドメイン間時刻統合を困難にする。
【0003】
現在、IEEE802.1ASによって定義されるgPTPは、タイムセンシティブネットワーク(TSN, time-sensitive network)において正確な時刻同期を達成するために使用される。gPTPプロファイルは、IEEE1588に従って策定されたPTPプロファイルの1つであり、タイムセンシティブアプリケーションのためのPTPの簡略化及び最適化されたバージョンである。しかし、このプロトコルの下では、全てのデバイス及びネットワークノードは、TSNにおいて時刻同期を実行するためにgPTPプロファイルをサポートする必要がある。これは、gPTPプロファイルを使用するために、他のタイプのPTPプロファイルを使用するデバイスを更新又は修正する必要があるデバイス製造業者にとって問題となる可能性がある。したがって、この分野において改善の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
したがって、本発明の主な目的は、従来技術の欠点を改善するために、時刻同期の精度に影響を与えることなく、時刻同期のために異なるタイプのPTPプロファイルを使用する複数のデバイス又はネットワークを統合するための方法を提供することである。
【0005】
本発明の実施形態は、時刻同期デバイスのための時刻同期方法を開示する。時刻同期デバイスは、複数のポートを通じて複数の時刻同期ドメインに接続され、複数の時刻同期ドメインは、複数のPTP(Precision Time Protocol)プロファイルを使用する。時刻同期方法は、複数のポートのそれぞれが時刻受信ポートであるか時刻送信ポートであるかを決定するステップと、複数の時刻同期ドメインのグランドマスタークロックの情報を取得するステップと、複数のPTPプロファイルにおける複数のポートの各時刻送信ポートに対応するPTPプロファイルに従ってグランドマスタークロックの情報に対して情報変換を実行して、複数のポートの各時刻送信ポートに対応する複数のクロック情報を生成するステップと、複数のクロック情報の対応するクロック情報を複数のポートの各時刻送信ポートから対応する時刻同期ドメインに送信して、時刻同期を実行するステップとを含む。
【0006】
本発明の実施形態は、時刻同期デバイスを開示する。時刻同期デバイスは、複数のポートを通じて複数の時刻同期ドメインに接続され、複数の時刻同期ドメインは、複数のPTP(Precision Time Protocol)プロファイルを使用する。時刻同期デバイスは、処理ユニット及び記憶ユニットを含む。処理ユニットは、プログラムコードを実行するように構成される。記憶ユニットは、処理ユニットに結合され、時刻同期方法を実行するように処理ユニットに命令するためにプログラムコードを記憶するように構成される。時刻同期方法は、複数のポートのそれぞれが時刻受信ポートであるか時刻送信ポートであるかを決定するステップと、複数の時刻同期ドメインのグランドマスタークロックの情報を取得するステップと、複数のPTPプロファイルにおける複数のポートの各時刻送信ポートに対応するPTPプロファイルに従ってグランドマスタークロックの情報に対して情報変換を実行して、複数のポートの各時刻送信ポートに対応する複数のクロック情報を生成するステップと、複数のクロック情報の対応するクロック情報を複数のポートの各時刻送信ポートから対応する時刻同期ドメインに送信して、時刻同期を実行するステップとを含む。
【0007】
本発明の上記及び他の目的は、様々な図及び図面に示される好ましい実施形態の以下の詳細な説明を読んだ後に、当業者には疑いなく明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】本発明の実施形態による時刻同期ネットワークシステムの概略図である。
【
図3】本発明の実施形態による時刻同期方法のフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態による2つの時刻同期デバイスを含む時刻同期ネットワークシステムの概略図である。
【
図5】本発明の実施形態による2つの時刻同期デバイスを含む時刻同期ネットワークシステムの概略図である。
【
図6】本発明の実施形態による時刻同期デバイスの時刻を同期するための時刻同期ネットワークシステムの概略図である。
【
図7】本発明の実施形態によるネットワークデバイスの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
特定のコンポーネントを示すために、特定の用語が説明及び以下の特許請求の範囲を通じて使用される。当業者が理解するように、ハードウェア製造業者は、コンポーネントを異なる名称で示すことがある。この文献は、名称は異なるが機能は異ならないコンポーネントの間を区別することを意図するものではない。以下の説明及び特許請求の範囲において、「含む(include)」及び「含む(comprise)」という用語は、オープンエンド方式で利用され、したがって、「含むが、これに限定されない」ことを意味するように解釈されるべきである。
【0010】
ネットワークシステム1の概略図である
図1を参照する。ネットワークシステム1は、時刻同期ドメイン12_1~12_3を含み、各時刻同期ドメインは、有線ネットワーク、無線ネットワーク又はこれらの組み合わせから構成されるネットワークドメインでもよく、複数のデバイス、ネットワークスイッチ等(複数のクロックを含む)から構成されるネットワークドメインでもよく、或いは、単一のデバイスのみ(1つのクロックのみを含む)から構成されるネットワークドメインでもよい。時刻同期ドメイン12_1~12_3は、それぞれ異なるタイプのPTP(Precision Time Protocol)プロファイルA~Cの仕様に従って動作する時刻同期ドメインである。時刻同期ドメイン12_1~12_3は、異なるPTPプロファイルA~Cに従って時刻同期機構を動作させるので、時刻同期のためのドメイン間統合が実行できない点に留意すべきである。この状況では、各時刻同期ドメインは、各時刻同期ドメインのグランドマスタ(GM, grandmaster)クロックとして動作するための最適クロック(
図1における最適クロック14_1~14_3等)を有してもよい。言い換えると、同じネットワークドメインに属するデバイスは、これらが属するネットワークドメインのグランドマスタークロックに従って時刻同期を実行する。最適クロックは、時刻ソース、時刻精度及び発振器安定性のような要因に基づいて評価された特定の時刻同期ドメインに適した最も理想的なクロックを示し、また、ユーザによって特定の時刻同期ドメインに最も適していると決定されたクロックでもよい。この状況では、製造業者がネットワークドメインにおいて新たなデバイスを交換又は追加しようとするとき、新たなデバイスは、ネットワークドメインによって使用されるPTPプロファイルと互換性がなければならず、デバイス製造業者がデバイスを開発するとき、異なる分野において適用可能であるように、異なるタイプのPTPプロファイルについてカスタマイズ及び調整が別々に実行されるべきであり、ネットワークドメインが他の特定の時刻同期ドメインと統合する必要があるとき、全ての装置及びネットワークデバイスについての更新は、gPTP(generalized Precision Time Protocol)プロファイルと互換性があることが必要とされることがある。
【0011】
時刻同期の精度に影響を与えることなく、ネットワークシステム1内の全てのデバイスが同じグランドマスタークロックに基づいて時刻同期に達することを確保するために、本発明は、異なる時刻同期ドメインの時刻を統合するように時刻同期ドメイン12_1~12_3に接続され得る時刻同期デバイスを提供する。具体的には、本発明の実施形態による時刻同期ネットワークシステム2の概略図である
図2を参照する。時刻同期ネットワークシステム2は、時刻同期ドメイン12_1~12_3と、時刻同期デバイス10とを含む。時刻同期デバイス10は、ネットワーク内で動作するゲートウェイ、スイッチ、ルータ又はブリッジのようなネットワークデバイスでもよいが、これらに限定されない。時刻同期デバイス10は、それぞれポート16_1~16_3を通じて時刻同期ドメイン12_1~12_3に接続される。本発明の実施形態では、時刻同期ドメイン12_1~12_3は、時刻同期ドメイン12_1~12_3内の全ての装置及びデバイスが指定されたネットワークドメインのグランドマスタークロック14_1に従って同期され得るように、時刻同期方法に従って時刻同期デバイス10を通じて時刻同期を実行してもよい。さらに、時刻同期ネットワークシステム2において、時刻同期ドメイン12_1~12_3の数は3であるが、これは例示のためのものである。本発明の実施形態の時刻同期デバイス10は、時刻同期のための任意の数の時刻同期ドメインに適用されてもよく、これに限定されない。
【0012】
本発明の時刻同期方法は、
図3に示すようなプロセス3に要約されてもよく、プロセス3は、以下のステップを含む。
【0013】
ステップ300:開始。
【0014】
ステップ302:複数のポートのそれぞれが時刻受信ポートであるか時刻送信ポートであるかを決定する。
【0015】
ステップ304:複数の時刻同期ドメインのグランドマスタークロックの情報を取得する。
【0016】
ステップ306:複数のPTPプロファイルにおける複数のポートの各時刻送信ポートに対応するPTPプロファイルに従ってグランドマスタークロックの情報に対して情報変換を実行して、複数のポートの各時刻送信ポートに対応する複数のクロック情報を生成する。
【0017】
ステップ308:複数のクロック情報の対応するクロック情報を複数のポートの各時刻送信ポートから対応する時刻同期ドメインに送信して、時刻同期を実行する。
【0018】
ステップ310:終了。
【0019】
プロセス3によれば、まず、時刻同期デバイス10は、複数のポートのそれぞれが時刻受信ポート又は時刻送信ポートであると決定する(ステップ302)。時刻受信ポートは、クロック及び時刻のような情報を受信するために使用されるポート、又はPTPの仕様に従ってSlavePortに設定されたポート状態(portState)を有するポートを示し、時刻送信ポートは、クロック及び時刻のような情報を送信するために使用されるポート、又はPTPの仕様に従ってMasterPortに設定されたポート状態を有するポートを示す。各ポートが時刻受信ポート又は時刻送信ポートであると決定した後に、時刻同期デバイス10は、グランドマスタークロックに関する情報を更に取得する必要がある(ステップ304)。したがって、時刻同期デバイス10は、複数のPTPプロファイルにおける複数のポートの各時刻送信ポートに対応するPTPプロファイルに従ってグランドマスタークロックの情報に対して情報変換を実行して、各時刻送信ポートに対応するクロック情報を生成し(ステップ306)、次いで、各時刻送信ポートから対応する時刻同期ドメインにクロック情報を送信して(ステップ308)、時刻を同期させる必要がある。したがって、時刻同期デバイス10に接続された全ての時刻同期ドメインは、同じグランドマスタークロックの時刻に従って動作してもよい。
【0020】
言い換えると、時刻同期デバイス10は、時刻受信ポートを通じてグランドマスタークロックから送信されたクロック関連情報を受信し、時刻送信ポートに対応するPTPプロファイルに従ってグランドマスタークロック情報に対して情報変換を実行し、次いで、各時刻送信ポートを通じて変換されたクロック情報を対応する時刻同期ドメインに送信する。したがって、時刻同期ネットワークシステム2の全てのデバイス及び装置は、同じグランドマスタークロックの時刻に従って動作してもよい。
【0021】
具体的には、
図2を例として挙げると、時刻同期デバイス10は、まず、ポート16_1~16_3のそれぞれが時刻受信ポート又は時刻送信ポートであると決定する。実施形態では、時刻同期デバイス10は、まず、グランドマスタークロック14_1が属する時刻同期ドメイン12_1のPTPプロファイルAを決定し、次いで、時刻同期デバイス10の全てのポート16_1~16_3に対応するPTPプロファイルと1つずつ比較してもよい。ポート16_1~16_3の1つに対応するPTPプロファイルがPTPプロファイルAと同じであるとき、そのポートは時刻受信ポート(すなわち、ポート16_1)であると決定され、他のポート(すなわち、ポート16_2及び16_3)は時刻送信ポートであると決定される。時刻受信ポート16_1は、時刻同期ドメイン12_1のグランドマスタークロック14_1から送信された通知メッセージ又は同期メッセージのようなクロック関連情報を受信するので、時刻同期デバイス10は、時刻受信ポート16_1を通じてグランドマスタークロックに関する情報を取得してもよい。さらに、時刻同期デバイス10は、それぞれPTPプロファイルB及びCについて、すなわち、時刻送信ポート16_2及び16_3に対応する時刻同期ドメイン12_2及び12_3について情報変換を実行して、時刻同期ドメイン12_2及び12_3に対応するクロック情報を生成する必要がある。最後に、時刻同期デバイス10は、、時刻送信ポート16_2及び16_3を通じて、変換されたクロック情報を対応する時刻同期ドメイン12_1、12_3に送信して、時刻を同期させる。
【0022】
上記から分かるように、時刻同期デバイス10は、時刻受信ポート16_1を通じて時刻同期ドメイン12_1からグランドマスタークロック14_1の情報を受信し、当該情報は、クロック関連情報及び時刻情報を含む。時刻同期ドメイン12_1から受信したグランドマスタークロック14_1の情報は、PTPプロファイルAに従って送信された情報であるので、時刻同期デバイス10は、フォーマット及び情報変換を実行して、異なるPTPプロファイルを使用するネットワークドメインに適した情報を生成する必要がある。したがって、時刻同期デバイス10は、時刻受信ポート16_1によって受信されたグランドマスタークロック14_1の情報を、それぞれ時刻同期ドメイン12_2及び12_3に対応するPTPプロファイルB及びCに従って変換し、最後に、それぞれ時刻送信ポート16_2及び16_3を通じてフォーマット変換された時刻情報を時刻同期ドメイン12_2及び12_3に送信する。したがって、様々なタイプのPTPプロファイルを使用するネットワークドメイン間の時刻同期が実現され得る。
【0023】
図2において、単一の時刻同期デバイス10を利用し、プロセス3を参照することによって、時刻同期ネットワークシステム2は、時刻同期デバイス10に接続された全ての時刻同期ドメインが同じグランドマスタークロックの時刻に従って動作して、時刻を同期させることを達成する。当業者は、システムの必要性に従って適切な修正を行ってもよく、これに限定されない。例えば、本発明の実施形態による時刻同期ネットワークシステム4の概略図である
図4を参照する。この実施形態では、時刻同期ネットワークシステム4は、2つの時刻同期デバイス40_1及び40_2を通じて時刻同期ドメイン12_1~12_3の時刻同期を実行する。時刻同期デバイス40_1は、それぞれポート46_1及び46_2を通じて時刻同期ドメイン12_1及び12_2に接続され、時刻同期デバイス40_2は、それぞれ接続ポート46_3及び46_4を通じて時刻同期ドメイン12_2及び12_3に接続される。時刻同期デバイス10の動作方法と同様に、グランドマスタークロック14_1が属する時刻同期ドメインを決定した後に、時刻同期デバイス40_1は、対応するPTPプロファイルAを決定してもよく、それにより、ポート46_1が時刻受信ポートであり、ポート46_2が時刻送信ポートであると決定する。したがって、時刻同期デバイス40_1を通じて、PTPプロファイルAに関連するグランドマスタークロック14_1の情報は、時刻受信ポート46_1によって受信されてもよく、PTPプロファイルBに対応する時刻情報は、情報及びフォーマット変換の後に、時刻送信ポート46_2を通じて時刻同期ドメイン12_1に送信される。この状況で、時刻同期ドメイン12_2は、時刻同期ドメイン12_1に位置するグランドマスタークロック14_1に従って同期してもよい。対応して、グランドマスタークロック14_1の情報が時刻同期ドメイン12_2を通じて時刻同期デバイス40_2に送信されるので、時刻同期デバイス40_2は、ポート46_3が時刻受信ポートであり、ポート46_4が時刻送信ポートであると決定してもよい。したがって、時刻同期デバイス40_2を通じて、PTPプロファイルBに関連するグランドマスタークロック14_1の情報は、時刻受信ポート46_3によって受信されてもよく、次いで、PTPプロファイルCに対応する時刻情報は、情報及びフォーマット変換の後に、時刻送信ポート46_4を通じて時刻同期ドメイン12_3に送信される。したがって、時刻同期ネットワークシステム4は、2つの時刻同期デバイス40_1及び40_2を利用することによって、時刻同期ドメイン12_1~12_3についての時刻同期を達成してもよい。
【0024】
本発明の実施形態による時刻同期ネットワークシステム5の概略図である
図5を参照する。この実施形態では、時刻同期ネットワークシステム5は、2つの時刻同期デバイス50_1及び50_2を通じて時刻同期ドメイン12_1~12_3の時刻同期を実行する。時刻同期デバイス50_1は、それぞれポート56_1及び56_2を通じて時刻同期ドメイン12_1及び12_2に接続され、時刻同期デバイス50_2は、それぞれ接続ポート56_3及び56_4を通じて時刻同期ドメイン12_1及び12_3に接続される。グランドマスタークロック14_1が属する時刻同期ドメインを決定した後に、時刻同期デバイス50_1は、対応するPTPプロファイルAを決定してもよく、それにより、ポート56_1が時刻受信ポートであり、ポート56_2が時刻送信ポートであると決定する。時刻同期デバイス50_1を通じて、PTPプロファイルAに関連するグランドマスタークロック14_1の情報は、時刻受信ポート56_1によって受信されてもよく、次いで、PTPプロファイルBに対応する時刻情報は、情報及びフォーマット変換の後に、時刻送信ポート56_2を通じて時刻同期ドメイン12_2に送信される。したがって、時刻同期ドメイン12_2は、時刻同期ドメイン12_1に位置するグランドマスタークロック14_1に従って同期してもよい。同様に、時刻同期デバイス50_2は、ポート56_3が時刻受信ポートであり、ポート56_4が時刻送信ポートであると決定してもよい。時刻同期デバイス50_2を通じて、PTPプロファイルAに関連するグランドマスタークロック14_1の情報は、時刻受信ポート56_3によって受信されてもよく、次いで、PTPプロファイルCに対応する時刻情報は、情報及びフォーマット変換の後に、時刻送信ポート56_4を通じて時刻同期ドメイン12_3に送信される。したがって、時刻同期ネットワークシステム5は、2つの時刻同期デバイス50_1及び50_2を利用することによって、時刻同期ドメイン12_1~12_3についての時刻同期を達成してもよい。
【0025】
上記の実施形態では、時刻同期デバイスは、グランドマスタークロックに対応するPTPプロファイルと各ポートに対応するPTPプロファイルとを比較することにより、ポートのそれぞれが時刻受信ポートであるか時刻送信ポートであるかを決定する。別の実施形態では、時刻同期デバイスのクロックはグランドマスタークロックでもよく、言い換えると、グランドマスタークロックは、時刻同期デバイスに接続されたいずれの時刻同期ドメインにも属さない。この状況では、時刻同期は依然としてプロセス3に従って実行されてもよい。本発明の実施形態による時刻同期ネットワークシステム6の概略図である
図6を参照する。時刻同期ネットワークシステム6は、時刻同期ドメイン12_1~12_3と、時刻同期デバイス60とを含む。この実施形態では、時刻同期ネットワークシステム6は、時刻同期デバイス6のクロック64をグランドマスタークロックとし、それに従って時刻同期ドメイン12_1~12_3の時刻を同期させる。当該実施形態では、グランドマスタークロック64は、時刻同期デバイス60に接続された時刻同期ドメイン12_1~12_3のいずれにも属さず、したがって、時刻同期デバイス60は、ポート66_1~66_3のそれぞれが時刻送信ポートであると決定してもよい(ステップ302)。時刻同期デバイス60は時刻受信ポートを有さないので、グランドマスタークロック64の情報は、時刻同期デバイス60から直接取得される(ステップ304)。そして、時刻同期デバイス60は、時刻送信ポート66_1~66_3に対応する時刻同期ドメイン12_1~12_3によって使用されるPTPプロファイルA、B及びCに対して情報変換を実行して、時刻同期ドメイン12_1~12_3に対応するクロック情報を生成する必要がある(ステップ306)。最後に、変換されたクロック情報は、時刻送信ポート66_1~66_3を通じて対応する時刻同期ドメイン12_1~12_3に送信され(ステップ308)、時刻を同期させる。したがって、時刻同期ドメイン12_1~12_3の全ては、時刻同期デバイス60によって提供されるグランドマスタークロック64の時刻に従って動作してもよい。
【0026】
上記の実施形態における時刻同期ネットワークシステム2、4、5及び6は、3つの時刻同期ドメインと、1つ又は2つの時刻同期デバイスとを含むが、これらは例示目的のためのものである点に留意すべきである。本発明の実施形態は、任意の数又は組み合わせの時刻同期ドメイン及び時刻同期デバイスに適用されてもよく、これらに限定されない。当業者は、実際の要件に従って適切なネットワークトポロジを採用すべきである。
【0027】
さらに、本発明の実施形態によるネットワークデバイス7の概略図である
図7を参照する。ネットワークデバイス7は、ネットワーク内で動作するゲートウェイ、スイッチ、ルータ又はブリッジでもよいが、これらに限定されない。本発明の実施形態の時刻同期デバイス10、40_1、40_2、50_1、50_2及び60を実装するために、複数のポートを有する任意のネットワークデバイス7が使用されてもよい。
図7に示すように、ネットワークデバイス7は、処理ユニット70及び記憶ユニット72を含んでもよい。処理ユニット70は、汎用プロセッサ、マイクロプロセッサ、特定用途向け集積回路(ASIC, application-specific integrated circuit)又はこれらの組み合わせでもよい。記憶ユニット72は、処理ユニット70に結合され、プログラムコード720を記憶するための任意のタイプのデータ記憶デバイスでもよく、プログラムコード720は、処理ユニット70によって読み取られ、実行される。例えば、記憶ユニット72は、読み取り専用メモリ(ROM, read-only memory)、フラッシュメモリ、ランダムアクセスメモリ(RAM, random-access memory)、ハードディスク、光データ記憶デバイス、不揮発性記憶ユニット等でもよいが、これらに限定されない。
【0028】
ネットワークデバイス7は、本発明の実施形態を実施するために必要とされる必要なコンポーネントを表すために使用され、当業者は、それに従って様々な修正及び調整を行ってもよく、これに限定されない。例えば、ネットワークデバイス7が時刻同期デバイスを実装するために適用されるとき、時刻同期方法のためのプロセス3は、プログラムコード720にコンパイルされ、記憶ユニット72に記憶され、処理ユニット70によって実行されてもよい。さらに、記憶ユニット72はまた、グランドマスタークロックに関する関連情報、PTPプロファイル、及び時刻同期方法を実行するために必要なデータを記憶するためにも使用され、これらに限定されない。
【0029】
要するに、本発明は、異なるPTPプロファイルを使用する複数の時刻同期ドメインのためのドメイン間時刻同期を実現し、従来技術における統合柔軟性の欠如を改善する時刻同期方法及び装置を提供する。
【0030】
当業者は、本発明の教示を保持しつつ、デバイス及び方法の多数の修正及び変更が行われてもよいことを容易に認識する。したがって、上記の開示は、添付の特許請求の範囲の境界によってのみ限定されるものとして解釈されるべきである。