(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018740
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】受皿付き吐出器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20240201BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20240201BHJP
【FI】
B65D47/34 110
B05B11/00 101E
B05B11/00 101G
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122269
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】吉村 和寿
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CB02
3E084CC03
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA06
3E084GB06
3E084KB01
3E084LB02
3E084LB07
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】内容物の意図しない飛散を抑制しながら受皿内に内容物を適切に吐出すること。
【解決手段】上方付勢状態で下方移動可能に配設される筒状のステム10を有し、内容物が収容される容器本体2の口部3に装着されるポンプ機構11と、ステムの上端部に装着されると共に吐出孔13が形成された受皿14とを備え、受皿は、ステムの上端部に嵌合された嵌合筒部90と、嵌合筒部の上端開口部90aを塞ぐように一体形成され、且つ嵌合筒部の上端部から容器本体の径方向の外側に向かって延びた環状の受皿本体91とを有し、吐出孔は、受皿本体を上下に貫通するように形成され、吐出孔内には内側部材93が設けられ、吐出孔は、内側部材の周囲を囲むように内側部材回りを周回する周方向に連続して延びる環状に形成されている受皿付き吐出器1を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上方付勢状態で下方移動可能に配設されるステムを有し、内容物が収容される容器本体の口部に装着されるポンプ機構と、
前記ステムの上端部に装着されると共に、前記ステム内に連通する吐出孔が形成された受皿と、を備え、
前記受皿は、
前記ステムの上端部に嵌合された嵌合筒部と、
前記ステムの中心軸と同軸に配置されると共に、前記嵌合筒部の上端開口部を塞ぐように一体形成され、且つ前記嵌合筒部の上端部から前記容器本体の径方向の外側に向かって延びた環状の受皿本体と、を有し、
前記吐出孔は、前記受皿本体に該受皿本体を上下に貫通するように形成され、
前記吐出孔内には、内側部材が設けられ、
前記吐出孔は、前記内側部材の周囲を囲むように、前記内側部材回りを周回する周方向に連続して延びる環状に形成されていることを特徴とする受皿付き吐出器。
【請求項2】
請求項1に記載の受皿付き吐出器において、
前記内側部材は、前記中心軸と同軸に配置され、且つ上下方向に延びる軸状に形成されている、受皿付き吐出器。
【請求項3】
請求項2に記載の受皿付き吐出器において、
前記内側部材の上端部には、前記中心軸方向から見て前記中心軸に交差する径方向の外側に向けて突出すると共に、前記ステムの上端開口部の上方に配置される拡径部が形成されている、受皿付き吐出器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の受皿付き吐出器において、
前記吐出孔の全周における流路断面積は、前記ステムの上端開口部における流路断面積よりも大きい、受皿付き吐出器。
【請求項5】
請求項1から3のいずれか1項に記載の受皿付き吐出器において、
前記嵌合筒部は、前記受皿本体が前記ステムよりも上方に間隔をあけて配置されるように、前記ステムの上端部よりも上方に向けて突出し、
前記受皿本体と前記ステムの上端開口部との間には、前記ステム内と前記吐出孔内とを連通する空間部が形成され、
前記空間部における流路断面積は、前記ステムの上端開口部における流路断面積よりも大きい、受皿付き吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受皿付き吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば下記特許文献1に示されるように、容器本体の口部に上方付勢状態で下方移動可能に配設された排出ノズル(ステム)を有するポンプ機構と、排出ノズルの上端部に装着されると共に吐出孔を通じて排出ノズル内に連通し、排出ノズルからの内容物を溜める受皿と、を備えた受皿付き吐出器が知られている。
なおポンプ機構は、排出ノズルに連係して上下動するピストンと、ピストンが上下摺動可能に嵌合されたシリンダと、をさらに備えている。
【0003】
このように構成された受皿付き吐出器では、受皿の押下げ操作によって排出ノズルを下方に移動させることで、シリンダに対してピストンを下降させることができる。これにより、シリンダ内の内容物を排出ノズル内及び吐出孔を通じて受皿内に吐出することができる。そのため、受皿内に吐出した内容物を溜めることが可能である。
従って、受皿内に溜まった内容物を利用して、多様な使い方を行うことができる。例えばパフ等の塗布用具を受皿内に溜まった内容物に浸すことで、塗布用具を介して内容物を塗布する等の使い方を行える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の受皿付き吐出器では、吐出孔が平面視で丸孔状に形成されている。従って、受皿を押下げ操作した際、排出ノズル内を通過した内容物が吐出孔に集中して流れ込んでしまい、吐出孔から内容物が勢い良く吐出され易い。そのため、例えば内容物が周囲に飛散するおそれ(例えば液飛びが生じるおそれ)があった。
特に、内容物の吐出量を確認するために、塗布用具等で吐出孔を覆わずに受皿を押下げ操作することが考えられるが、この場合には、上述した不都合が顕著に生じ易い。さらには、吐出孔から内容物が勢い良く噴き出し、受皿を飛び越えて周囲に吐出されてしまうおそれもあった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、内容物の意図しない飛散を抑制しながら、受皿内に内容物を適切に吐出することができる受皿付き吐出器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る受皿付き吐出器は、上方付勢状態で下方移動可能に配設されるステムを有し、内容物が収容される容器本体の口部に装着されるポンプ機構と、前記ステムの上端部に装着されると共に、前記ステム内に連通する吐出孔が形成された受皿と、を備え、前記受皿は、前記ステムの上端部に嵌合された嵌合筒部と、前記ステムの中心軸と同軸に配置されると共に、前記嵌合筒部の上端開口部を塞ぐように一体形成され、且つ前記嵌合筒部の上端部から前記容器本体の径方向の外側に向かって延びた環状の受皿本体と、を有し、前記吐出孔は、前記受皿本体に該受皿本体を上下に貫通するように形成され、前記吐出孔内には、内側部材が設けられ、前記吐出孔は、前記内側部材の周囲を囲むように、前記内側部材回りを周回する周方向に連続して延びる環状に形成されていることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る受皿付き吐出器によれば、ステムの上方付勢力に抗した受皿の押下げ操作及びその解除を行うことで、ポンプ機構を作動させることができる。これにより、ステム内から受皿に向けて内容物を吐出させることや、内容物の吐出後に容器本体内からステム内に内容物を吸上げて、次回への吐出に備えること等ができる。
ポンプ機構の作動によって内容物を吐出する際、受皿本体に向かって内容物をステム内で上方移動させることができると共に、ステムの上端開口部から吐出孔を通じて受皿本体の上面に内容物を吐出することができる。これにより、受皿本体の上面に内容物を例えば溜めることができ、内容物の多様な使い方を行える。
【0009】
特に、受皿本体に形成された吐出孔は、従来とは異なり、内側部材の周囲を囲むように内側部材の周方向に連続して延びる環状に形成されている。これにより、ステムの上端開口部から吐出された内容物を、吐出孔の一部に局所的に集中させることなく、吐出孔の全体を通じて均等に分散させながら吐出させることができる。従って、内容物の吐出の勢いを抑制することができ、受皿本体の上面に、吐出孔の全体から内容物を均等且つ吐出速度を抑制しながら吐出させることができる。
これにより内容物の意図しない飛散を抑制しながら、受皿本体の上面に内容物を適切に吐出して、受皿本体の上面に内容物をゆっくりと溜めることも可能である。さらに、吐出孔を塗布用具等で覆わずに受皿を押下げ操作した場合であっても、内容物の噴き出しを抑制できるので、例えば吐出量を確認しながら、内容物を適量分だけ吐出させることも可能である。
【0010】
(2)前記内側部材は、前記中心軸と同軸に配置され、且つ上下方向に延びる軸状に形成されても良い。
【0011】
この場合には、吐出孔の中心がステムの中心軸と同軸となるように、吐出孔をステムの上端開口部の真上に位置させることができると共に、吐出孔を例えば円環状に形成することができる。そのため、受皿本体の上面に、吐出孔の全体から内容物をさらに均等且つ吐出速度を抑制しながら吐出させることができる。
【0012】
(3)前記内側部材の上端部には、前記中心軸方向から見て前記中心軸に交差する径方向の外側に向けて突出すると共に、前記ステムの上端開口部の上方に配置される拡径部が形成されても良い。
【0013】
この場合には、受皿を押下げ操作した際、ステムの上端開口部から上方に向けて(受皿本体に向けて)吐出された内容物の一部を、拡径部に対して下方から接触させることができる。そのため、拡径部との接触によって、内容物の流れの向きを変えることができる。従って、ステム内から吐出された内容物の全体が、直線的に吐出孔に達してしまうことを防止することができる。そのため、拡径部との接触によって内容物の勢いを弱めた後、円環状の吐出孔の全体を通じて内容物を分散させながら吐出させることができる。従って、先に述べた作用効果をより一層効果的に奏功することができる。
【0014】
(4)前記吐出孔の全周における流路断面積は、前記ステムの上端開口部における流路断面積よりも大きくても良い。
【0015】
この場合には、吐出孔の流路断面積の方がステムの上端開口部の流路断面積よりも大きいので、吐出孔の通過時に、内容物の吐出速度をさらに抑制することができる。
【0016】
(5)前記嵌合筒部は、前記受皿本体が前記ステムよりも上方に間隔をあけて配置されるように、前記ステムの上端部よりも上方に向けて突出し、前記受皿本体と前記ステムの上端開口部との間には、前記ステム内と前記吐出孔内とを連通する空間部が形成され、前記空間部における流路断面積は、前記ステムの上端開口部における流路断面積よりも大きくても良い。
【0017】
この場合には、ステムの上端開口部から吐出された内容物を、一旦空間部に流入させた後、吐出孔に導くことができる。しかも、空間部の流路断面積の方がステムの上端開口部の流路断面積よりも大きいので、空間部に流入した際に内容物の圧力を下げることができ、吐出速度をさらに抑制することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、内容物の意図しない飛散を抑制しながら、受皿内に内容物を適切に吐出することができる受皿付き吐出器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明に係る受皿付き吐出器の実施形態を示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示す受皿周辺を拡大した縦断面図である。
【
図4】
図2に示す状態から受皿を押下げ操作した状態を示す縦断面図である。
【
図5】
図4に示す吐出孔の周辺を拡大した縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る受皿付き吐出器の実施形態について図面を参照して説明する。
図1に示すように、本実施形態の受皿付き吐出器1(以下、単に吐出器1と称する)は、ステム10を有するポンプ機構11と、内容物が収容された容器本体2の口部3に装着され、容器本体2の口部3にポンプ機構11を組み合わせる装着キャップ12と、ステム10に装着され、内容物を吐出する吐出孔13が形成された受皿14と、受皿14を覆うオーバーキャップ15と、を備えている。
なお、吐出器1の各構成部品は、特に記載がなければ、合成樹脂材料を用いた成形品とされている。内容物としては、特に限定されるものではないが、例えば化粧水、化粧料等の液体内容物が挙げられる。
【0021】
図1において、ステム10を含むポンプ機構11、装着キャップ12及び受皿14は、容器本体2の容器軸Oと同軸に配設されている。以下、容器軸Oに沿って受皿14側を上方、容器本体2側を下方といい、容器軸Oに沿う方向を上下方向という。さらに、上下方向から見た平面視において、容器軸Oに交差する方向を径方向、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0022】
(容器本体)
容器本体2は、口部3、肩部4、胴部5及び底部(不図示)が上方から順に連設された有底筒状に形成されている。容器本体2の口部3の外周面には、雄ねじ部6が形成されている。
【0023】
(装着キャップ)
装着キャップ12は、容器本体2の口部3を径方向の外側から囲む装着筒20と、装着筒20の上端部から径方向の内側に向けて突出した環状のキャップ天壁21と、キャップ天壁21から上方に向かって延びると共にステム10を径方向の外側から囲む案内筒22と、装着筒20から径方向の外側に向かって突出した環状の連結壁23と、容器本体2の口部3、装着筒20及び案内筒22を径方向の外側から囲む化粧筒24と、を備えている。
【0024】
装着筒20の内周面には、容器本体2の口部3に形成された雄ねじ部6に螺合する雌ねじ部25が形成されている。これにより、装着キャップ12は、雄ねじ部6と雌ねじ部25とのねじ結合による螺着によって容器本体2の口部3に装着されている。
ただし、装着キャップ12の装着方法は、螺着に限定されるものではなく、例えば容器本体2の口部3に対して例えばアンダーカット嵌合によって装着されても構わない。
【0025】
案内筒22は、受皿14の上下移動を案内する役割を担っている。案内筒22は、キャップ天壁21の内周縁部から上方に向けて延びるように形成されていると共に、外径が装着筒20の外径よりも小さい筒状に形成されている。図示の例では、案内筒22は、装着筒20の上下方向の長さと同程度の長さとなるように形成されている。
【0026】
連結壁23は、装着筒20のうち雌ねじ部25よりも上方に位置する部分の外周面から径方向の外側に向けて突出するように形成されている。特に、連結壁23は、外周縁部が受皿14を構成する後述する受皿本体91の外周縁部よりも径方向の外側に位置するように形成されている。
【0027】
化粧筒24は、連結壁23の外周縁部に連設されていると共に、上端部が案内筒22よりも上方に位置し、且つ下端部が容器本体2の肩部4付近に位置するように形成されている。これにより、化粧筒24は、容器本体2の口部3、装着筒20及び案内筒22を径方向の外側から一定の間隔をあけて囲むように形成されている。なお、化粧筒24は、内径が受皿14本体の外径よりも大きくなるように形成されている。これにより、受皿14を押下げ操作する際、受皿本体91が化粧筒24に対して接触することがない。
上述のように構成された装着キャップ12は、化粧筒24を具備することによって二重筒状に形成されている。
【0028】
(ポンプ機構)
ポンプ機構11は、シリンダ30、弁部材40、ステム10、ピストンガイド50、ピストン60、サポート筒70及び付勢部材80を備えている。
【0029】
(シリンダ)
シリンダ30は、シリンダ周壁31を有する筒状に形成され、容器軸Oと同軸に配設されている。
シリンダ周壁31は、容器本体2の口部3の内径よりも小さい外径で形成され、シリンダ周壁31と容器本体2の口部3との間には所定の隙間が確保されている。シリンダ周壁31の下端部には、下方に向かうに従い漸次縮径した断面テーパ状のテーパ筒32が形成されている。
【0030】
シリンダ周壁31の上端部には、径方向の外側に向けて突出する環状のフランジ部33が形成されている。フランジ部33は、パッキン34を介して容器本体2の口部3における上端開口縁上に配置され、容器本体2の口部3に装着される装着キャップ12によって、口部3の上端開口縁との間に上下方向に挟まれている。
【0031】
これにより、シリンダ30を含むポンプ機構11の全体は、装着キャップ12を介して容器本体2の口部3に装着されている。なお、シリンダ30は、容器本体2の口部3よりも下方に向けて延び、容器本体2の内側に入り込むように装着キャップ12を介して容器本体2の口部3に取り付けられている。
シリンダ周壁31は、キャップ天壁21の内側を通じて上方に向けて開口している。これにより、シリンダ周壁31の内側には、ステム10が上方から挿入されている。
【0032】
テーパ筒32の内側には、内容物が流通する流通孔35が形成されている。さらにテーパ筒32には、下方に向けて延びる連結筒36が一体に形成されている。連結筒36の内側には、内容物を吸上げるパイプ37の上端部が嵌合されている。これにより、シリンダ30とパイプ37とが一体に組み合わされている。なお、パイプ37の下端開口部は、容器本体2の底部内に位置する。
【0033】
(弁部材)
弁部材40は、下部弁体41及び弁軸42を備え、容器本体2内とシリンダ30内との連通及び遮断を切換える役割を担っている。弁部材40は、容器軸Oと同軸に配置され、シリンダ30内に上下動可能に配置されている。
下部弁体41は、シリンダ周壁31における下端部の内側に配置され、弁部材40の上下動に伴いテーパ筒32の内周面に接離可能とされている。具体的には、下部弁体41は、シリンダ30内の加圧時にテーパ筒32の内周面に接触することで流通孔35を閉塞した状態に維持し、且つシリンダ30内の減圧時にテーパ筒32の内周面から離反して流通孔35を開放する逆止弁として機能する。
【0034】
これにより、下部弁体41は、シリンダ30内の加圧時に、シリンダ30内の内容物が流通孔35を通じて容器本体2内に逆流することを規制し、且つシリンダ30内の減圧時に、容器本体2内の内容物を、流通孔35を通じてシリンダ30内に流入させることが可能とされている。
ただし、下部弁体41としては、上述した構成に限定されるものではなく、上記構成以外の弁構造、例えば3点弁等の多弁体、或いはボール弁等としても良い。なお、弁軸42は、下部弁体41から上方に向けて延びる円柱状に形成されている。
【0035】
(ステム)
ステム10は、容器本体2の口部3の内側に上方付勢状態で下方移動可能に立設されている。ステム10は、上下方向に延びる筒状に形成され、キャップ天壁21の内側及びシリンダ周壁31の内側に配置されている。ステム10は、受皿14が押下げ操作される前の状態において、上端部が装着キャップ12の案内筒22及び化粧筒24よりも上方に突出し、且つ下端部がシリンダ30内に収容されるように配置されている。
ステム10の下端部は、径方向の外側に拡径した拡径部10aとされている。これにより、ステム10は、上下方向に外径が変化した二段筒状に形成されている。
【0036】
図2に示すように、ステム10の上端部の内周面には、径方向の内側に向けて突出した縦リブ10bが周方向に間隔をあけて形成されている。そのため、ステム10の上端部の内側部分のうち、これら縦リブ10bを除いた部分が上端開口部10cとして機能する。従って、
図2に示すステム10の上端開口部10cの直径D1によって、ステム10の流路断面積が規定される。
ただし、縦リブ10bは必須なものではなく、具備しなくても構わない。
【0037】
(ピストンガイド)
図1に示すように、ピストンガイド50は、ステム10よりも下方に配置された状態で容器軸Oと同軸に配置されている。ピストンガイド50は、ガイド筒51と、ガイド筒51の下端部から径方向の外側に向かって突出した環状のガイドフランジ52と、を備えている。
【0038】
ガイド筒51の上端部は、ステム10のうち拡径部10aよりも上方に位置する部分の内側に嵌合されている。これにより、ピストンガイド50は、ステム10に対して一体的に組み合わされており、ステム10に伴って上下動可能とされている。なお、ガイド筒51は、下端部がステム10の拡径部10aよりも下方に離れて位置するように、ステム10に組み合わされている。
【0039】
ガイド筒51の下端部における内周面には、径方向の内側に向けて突出すると共に、弁部材40における弁軸42に対して上下摺動可能に接する環状のリップ部53が形成されている。これにより、ピストンガイド50は、弁軸42との間を適切にシールした状態を維持しながら、上下動可能とされていると共に、弁軸42によって姿勢が安定した状態で上下動可能とされている。なお、同様に弁部材40は、ピストンガイド50によって相対的に姿勢が安定した状態で上下動可能とされている。
ガイド筒51のうち、ステム10の内側に嵌合している部分よりも下方に位置する部分には、ガイド筒51を径方向に貫通する第1貫通孔54が周方向に間隔をあけて複数形成されている。
【0040】
ガイドフランジ52は、ピストン60を下方から支持する役割を果たしている。ガイドフランジ52には、該ガイドフランジ52を上下方向に貫通する第2貫通孔55が周方向に間隔をあけて複数形成されている。これにより、ガイドフランジ52の第2貫通孔55、及びガイド筒51の第1貫通孔54を通じて、シリンダ30内の内容物をステム10内に供給することが可能とされている。
このように構成されたピストンガイド50は、ピストン60と協働として、ポンプ機構11における上部弁体として機能する。
【0041】
(ピストン)
ピストン60は、ステム10の上下動に連係すると共にシリンダ30の内部に上下摺動可能に嵌合されている。ピストン60は、外側ピストン筒61、内側ピストン筒62及び連結筒63を備え、ステム10の拡径部10aとガイドフランジ52との間に配置された状態で容器軸Oと同軸に配置されている。
【0042】
外側ピストン筒61は、上下方向の中央部から上方及び下方に向かうに従って漸次拡径するテーパ状に形成され、上下方向の両端部に位置するリップ部を備えている。リップ部は、シリンダ周壁31の内周面に対して密に摺接している。これにより、リップ部とシリンダ周壁31の内周面との間には所定のシール性が確保されている。
なお、外側ピストン筒61は、受皿14を押下げ操作する前の状態において、シリンダ周壁31に形成された空気孔64を塞ぐ位置に配置されている。
【0043】
内側ピストン筒62は、外側ピストン筒61とガイド筒51との間に配置されている。内側ピストン筒62の上端部は、ステム10における拡径部10aの内側に下方から入り込むと共に、拡径部10aの内周面に密に摺接している。内側ピストン筒62の下端部は、ガイドフランジ52に対して上方から離反可能に着座している。
これにより、内側ピストン筒62は、シリンダ30内において、ピストン60より下方に位置する部分(以下、下室38という)と、ピストンガイド50における第1貫通孔54との連通、及びその遮断を切替えることが可能とされている。
連結筒63は、外側ピストン筒61の内周面と内側ピストン筒62の外周面とを連結すると共に、周方向の全長に亘って連続して延びている。
【0044】
(サポート筒)
サポート筒70は、ピストン60等、シリンダ30内に配置された各部品の抜け止め部材として機能する。サポート筒70は、シリンダ周壁31の上端部の内側に装着され、容器軸Oと同軸に配置されている。
サポート筒70は、シリンダ周壁31の内側に嵌合されたサポート筒本体71と、サポート筒本体71の上端部から径方向の外側に向かって突出した環状のフランジ部72と、サポート筒本体71の上端部からさらに上方に向けて突出した上部筒73と、を備えている。
【0045】
サポート筒本体71は、ステム10における拡径部10aを径方向の外側から囲むように形成されている。これにより、外側ピストン筒61は、サポート筒本体71の下方に配置されている。そのため、ピストン60及びピストンガイド50は、サポート筒本体71によって上方への抜け止めがされている。
フランジ部72は、シリンダ30のフランジ部33上に配置され、キャップ天壁21によってフランジ部33との間に上下方向に挟まれている。
【0046】
上部筒73は、サポート筒本体71よりも縮径しており、ステム10の拡径部10aよりも上方に配置されている。これにより、上部筒73は、ステム10のうち拡径部10aよりも上方に位置する部分を径方向の外側から囲んでいる。これにより、上部筒73は、ステム10が上方に向けてシリンダ30内から抜け出ることを防止している。
【0047】
(付勢部材)
付勢部材80は、例えば圧縮された状態で配置されたコイルばねとされ、ピストンガイド50を介してステム10を上方に向けて付勢している。
付勢部材80は、弁部材40を径方向の外側から囲んだ状態でシリンダ30における下室38内に配置されていると共に、容器軸Oと同軸に配置されている。付勢部材80は、シリンダ周壁31の内周面から突出する縦リブと、ピストンガイド50との間に、上下方向に圧縮された状態で配置されている。
なお、本実施形態の付勢部材80は、例えば金属製のコイルばねとされている。ただし、この場合に限定されるものではなく、付勢部材80を、合成樹脂製のコイルばねとしても構わない。
【0048】
(受皿)
図1及び
図2に示すように、受皿14は、上述のように構成されたポンプ機構11よりも上方に配置され、ステム10の上端部に装着されている。受皿14には、ステム10内に連通する吐出孔13が形成され、ステム10内及び吐出孔13を通じて吐出された内容物を受け取って、上面に溜めることができる役割を果たしている。
【0049】
受皿14は、ステム10の上端部に嵌合された嵌合筒部90と、嵌合筒部90の上端開口部90aを塞ぐように一体に形成されると共に、嵌合筒部90の上端部から径方向の外側に向かって延びる環状の受皿本体91とを備え、容器軸O(ステム10の中心軸)と同軸に配置されている。
【0050】
嵌合筒部90は、ステム10の上端部を径方向の外側から囲む筒状に形成され、ステム10に対して嵌合されている。これにより、受皿14の全体は、ステム10の上端部に装着されている。さらに嵌合筒部90は、受皿本体91がステム10よりも上方に間隔をあけて配置されるようにステム10の上端部よりも上方に向けて延びるように形成されている。
【0051】
嵌合筒部90の下端部は、受皿14を押下げ操作する前の状態において、装着キャップ12の案内筒22の内側に配置されている。嵌合筒部90の外周面には、径方向の外側に向けて突出すると共に、案内筒22の内周面に対して近接或いは接触する縦長の縦リブ92が形成されている。縦リブ92は、例えば周方向に間隔をあけて複数形成されている。
これにより、嵌合筒部90は、案内筒22によって案内されながら上下移動可能とされている。従って、受皿14の全体は、案内筒22によってがたつき少なく安定に上下移動するように案内されている。
【0052】
受皿本体91は、嵌合筒部90の上端部から径方向外側に向かうにしたがって漸次上方に向けて延びるように形成されている。これにより、受皿本体91の全体は、中心部から外周縁部に向けて斜め上方に僅かに湾曲した皿状に形成されている。従って、受皿本体91は、吐出孔13を通じて受皿本体91の上面に吐出された内容物を零すことなく受け取って、内容物を安定して溜めこみ易い形状とされている。
なお、受皿本体91は、外径が装着キャップ12の化粧筒24の内径よりも小さくなるように形成されている。さらに、受皿本体91の上面は、全体に亘って凹凸を有しない滑らかな湾曲面とされている。
【0053】
図2及び
図3に示すように、吐出孔13は、受皿本体91に該受皿本体91を上下に貫通するように形成されている。具体的には、吐出孔13は、該吐出孔13の内側に配置された対向部(本発明に係る内側部材)93の周囲を囲むように、周方向に連続して延びる環状に形成されている。
【0054】
対向部93は、吐出孔13の内側において、少なくとも一部がステム10の上端開口部10cの上方に対向するように配置されている。本実施形態では、対向部93は、ステム10の上端開口部10cの直径D1よりも小さい円柱状に形成され、容器軸Oと同軸に配置されている。さらに対向部93は、容器軸Oに沿って延びる縦長に形成され、上端部が吐出孔13の内側に位置するように配置されている。
これにより、吐出孔13は、中心が容器軸Oと同軸に配置されると共に、円環状に形成されている。
さらに、対向部93の下端部は、後述する空間部95を越えてステム10の上端部の内側に入り込んでいる。これにより、ステム10内から内容物を吐出する際に、対向部93の周囲を分散して流れるように内容物を吐出することが可能とされている。
【0055】
さらに対向部93の上端部には、径方向の外側に向けて突出すると共に、ステム10の上端開口部10cの上方に配置される環状の拡径部93aが形成されている。特に拡径部93aは、直径がステム10の上端開口部10cの直径D1に対して略同径となるように形成されている。これにより、ステム10内から上方に向けて吐出される内容物の少なくとも一部を拡径部93aに対して下方から接触させて、該内容物の流れの向きを変更させることが可能とされている。
さらに吐出孔13は、該吐出孔13の全周における流路断面積が、ステム10の上端開口部10cにおける流路断面積よりも大きくなるように形成されている。
【0056】
なお、対向部93の上端部を含む拡径部93aは、湾曲する皿状の受皿本体91の中央部に相当し、吐出孔13の内側に配置されている。さらに拡径部93aは、複数の連結リブ94を介して嵌合筒部90に支持されている。これら複数の連結リブ94は、受皿本体91とステム10との間に形成された空間部95に配置されている。空間部95は、受皿本体91とステム10の上端開口部10cとの間に形成され、ステム10内と吐出孔13内とを互いに連通している。
【0057】
複数の連結リブ94は、空間部95内に配置されるように、嵌合筒部90の内周面から径方向の内側に向かって突出すると共に、周方向に間隔をあけて複数配置されている。図示の例では、複数の連結リブ94は、周方向に等間隔をあけて4つ形成されている。ただし、連結リブ94の数は、この場合に限定されるものではない。
【0058】
複数の連結リブ94は、周方向に一定の厚さを有し、且つ空間部95内において上下方向に延びる縦リブ状に形成されている。さらに複数の連結リブ94の上端縁は、拡径部93aの下面に対して一体的に形成されている。これにより、対向部93の全体は、複数の連結リブ94によって安定に支持された状態で、連結リブ94を介して嵌合筒部90に一体的に組み合わされている。
【0059】
さらに複数の連結リブ94の下端縁は、ステム10の上端開口縁に対して上方から接触している。これにより、受皿14の嵌合筒部90をステム10の上端部に装着する際に、連結リブ94をステム10の上端開口縁に対して接触させることができるので、ステム10に対する受皿14の位置決めを行うことができる。
【0060】
上述のように空間部95内に複数の連結リブ94が配置されているため、
図2に示すように、空間部95内のうち連結リブ94を除いた部分の直径D2(すなわち嵌合筒部90の内径)によって、空間部95の流路断面積が規定される。特に空間部95は、該空間部95の流路断面積がステム10の上端開口部10cにおける流路断面積よりも大きくなるように形成されている。
なお、ステム10の上端開口部10cの流路断面積、及び空間部95の流路断面積は、対向部93の断面積を除いた断面積となる。
【0061】
(オーバーキャップ)
図1に示すように、オーバーキャップ15は、受皿14を上方から覆う有頂筒状に形成され、装着キャップ12における化粧筒24の上端部に取り外し可能に装着されている。図示の例では、オーバーキャップ15は、化粧筒24の上端部にアンダーカット嵌合によって装着されている。ただし、この場合に限定されるものではなく、例えばオーバーキャップ15を化粧筒24の上端部にねじ結合によって装着しても構わない。
【0062】
(吐出器の作用)
次に、上述のように構成された吐出器1を利用して、内容物を吐出する場合について説明する。
この場合には、
図4に示すように、ステム10の上方付勢力(付勢部材80の弾性復元力)に抗して、矢印Fに示す如く受皿14を押下げ操作することで、ポンプ機構11を作動させることができる。なお、
図4では、ポンプ機構11の一部を側面図として図示している。
【0063】
具体的には、受皿14を押下げ操作することで、受皿14と共にステム10を押下げることができる。これにより、
図1に示すステム10の拡径部10aが下方移動してピストン60に接近すると同時に、ピストンガイド50がステム10と共に下方移動するので、ガイドフランジ52がピストン60から離間する。
そのため、ガイドフランジ52とピストン60の内側ピストン筒62との間のシールが解除され、シリンダ30内の下室38と、ピストンガイド50の第1貫通孔54とが第2貫通孔55を通じて連通した状態となる。
【0064】
そして、さらなる受皿14の押下げによって、ステム10の拡径部10aがピストン60に対して接触するので、受皿14と共にピストン60を下方移動させることができる。これにより、シリンダ30内の下室38を加圧することができ、シリンダ30内の内容物を、第1貫通孔54及び第2貫通孔55を通じてステム10内に供給することができると共に、受皿本体91に向かってステム10内で上方移動させることができる。
【0065】
これにより、
図5に示すように、ステム10の上端開口部10cから
図5に示す矢印の如く、吐出孔13を通じて受皿本体91の上面に内容物を吐出することができる。これにより、受皿本体91の上面に内容物を例えば溜めることができ、内容物の多様な使い方を行える。
【0066】
内容物の吐出後、受皿14の押し下げを解除すると、
図1に示す付勢部材80が弾性復元変形するので、ガイドフランジ52に対して上方付勢力を付与することができる。これにより、ガイドフランジ52及びステム10を介して受皿14に対して上方付勢力を付与することができ、受皿14及びステム10を上方に向けて復元移動させて、元の位置に復帰させることができる。
【0067】
なお、上記過程において、ガイドフランジ52をピストン60に対して下方から接触させることができるので、ガイドフランジ52と内側ピストン筒62との間をシールすることができ、シリンダ30内の下室38とステム10内との連通を遮断することができる。
その後、ピストンガイド50と共にピストン60を上方に移動させることができるので、シリンダ30内の下室38を減圧させることができる。これにより、下部弁体41をテーパ筒32の内周面から離反させて、流通孔35を開放することができる。そのため、容器本体2内の内容物を、パイプ37内を通じてシリンダ30内に吸い上げることができ、次回の吐出に備えることができる。
【0068】
以上説明したように、本実施形態の吐出器1によれば、受皿14を押下げ操作することで、ステム10内及び吐出孔13を通じて受皿本体91の上面に内容物を吐出して、例えば溜めることができる。
特に、本実施形態の吐出器1では、受皿本体91に形成された吐出孔13が、従来とは異なり、
図3及び
図5に示すように、対向部93の周囲を囲み、且つ周方向に連続して延びる環状に形成されている。これにより、ステム10の上端開口部10cから吐出された内容物を、吐出孔13の一部に局所的に集中させることなく、吐出孔13の全体を通じて均等に分散させながら吐出させることができる。
従って、内容物の吐出の勢いを抑制することができ、受皿本体91の上面に、吐出孔13の全体から内容物を均等且つ吐出速度を抑制しながら吐出させることができる。
【0069】
これにより内容物の意図しない飛散を抑制しながら、受皿本体91の上面に内容物を適切に吐出して、受皿本体91の上面に内容物をゆっくりと溜めることも可能である。さらに、吐出孔13をコットン等の塗布用具等で覆わずに受皿14を押下げ操作した場合であっても、内容物の噴き出しを抑制できるので、例えば吐出量を確認しながら、内容物を適量分だけ吐出させることも可能である。
【0070】
さらに、受皿14を押下げ操作した際、
図5に示すように、ステム10の上端開口部10cから上方に向けて吐出された内容物の一部を、拡径部93aに対して下方から接触させ、該内容物の流れの向きを変えることができる。
従って、ステム10内から吐出された内容物の全体が、直線的に吐出孔13に達してしまうことを防止することができる。そのため、拡径部93aとの接触によって内容物の勢いを弱めた後、環状の吐出孔13の全体を通じて内容物を分散させながら吐出させることができる。従って、先に述べた作用効果をより一層効果的に奏功することができる。
【0071】
さらに、吐出孔13の流路断面積の方がステム10の上端開口部10cの流路断面積よりも大きいので、吐出孔13の通過時に、内容物の吐出速度をさらに抑制することができる。具体的には、ステム10の上端開口部10cの流路断面積は13.8mm2とされている。
それに加えて、ステム10の上端開口部10cから吐出された内容物を、一旦空間部95に流入させた後、吐出孔13に導くことができる。しかも、空間部95の流路断面積の方がステム10の上端開口部10cの流路断面積よりも大きいので、空間部95に流入した際に内容物の圧力を下げることができ、吐出速度をさらに抑制することができる。
【0072】
さらに受皿本体91の上面が、全体に亘って凹凸を有しない滑らかな湾曲面とされているので、例えばコットン等の塗布用具で受皿本体91の上面を拭き取り易い。従って、吐出された内容物を拭い取り易いうえ、受皿本体91の上面を清浄な状態に維持し易く、使い勝手に優れた吐出器1とすることができる。
【0073】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本実施形態は例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。本実施形態は、その他様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことが可能であることに加え、各実施形態における変形例を適宜組み合わせてもよい。さらに、本実施形態やその変形例には、例えば当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、均等の範囲のものなどが含まれる。
【0074】
例えば、上記実施形態では、拡径部93aの直径を、ステム10の上端開口部10cの直径D1に対して略同径となるように形成したが、この場合に限定されるものではない。例えば拡径部93aの直径を、ステム10の上端開口部10cの直径D1よりも大きく形成することで、ステム10内から上方に向けて吐出される内容物の全体が拡径部93aに接触するように構成しても構わない。
【0075】
さらに上記実施形態において、対向部93を受皿本体91とは別体に形成したうえで、受皿本体91に組み合わせても構わない。さらに、上記実施形態では、対向部93及び吐出孔13を、ステム10の中心軸と共通の容器軸Oと同軸になるように配置した場合を例に挙げて説明したが、この場合に限定されるものではない。例えば、吐出孔13の中心が容器軸Oとは径方向にずれた位置に配置されるように、対向部93及び吐出孔13の位置を適宜変更しても構わない。
【0076】
さらに上記実施形態において、ポンプ機構11が内容物と空気とを混合する気液混合室をステム10内に具備し、気液混合室で混合した気液混合体を発泡させて、泡状の内容物を吐出孔13から吐出させても構わない。
【0077】
さらに、本発明は以下の態様を含む。
<1>
上方付勢状態で下方移動可能に配設されるステムを有し、内容物が収容される容器本体の口部に装着されるポンプ機構と、
前記ステムの上端部に装着されると共に、前記ステム内に連通する吐出孔が形成された受皿と、を備え、
前記受皿は、
前記ステムの上端部に嵌合された嵌合筒部と、
前記ステムの中心軸と同軸に配置されると共に、前記嵌合筒部の上端開口部を塞ぐように一体形成され、且つ前記嵌合筒部の上端部から前記容器本体の径方向の外側に向かって延びた環状の受皿本体と、を有し、
前記吐出孔は、前記受皿本体に該受皿本体を上下に貫通するように形成され、
前記吐出孔内には、内側部材が設けられ、
前記吐出孔は、前記内側部材の周囲を囲むように、前記内側部材回りを周回する周方向に連続して延びる環状に形成されていることを特徴とする受皿付き吐出器。
<2>
前記<1>に記載の受皿付き吐出器において、
前記内側部材は、前記中心軸と同軸に配置され、且つ上下方向に延びる軸状に形成されている、受皿付き吐出器。
<3>
前記<2>に記載の受皿付き吐出器において、
前記内側部材の上端部には、前記中心軸方向から見て前記中心軸に交差する径方向の外側に向けて突出すると共に、前記ステムの上端開口部の上方に配置される拡径部が形成されている、受皿付き吐出器。
<4>
前記<1>から<3>のいずれか1つに記載の受皿付き吐出器において、
前記吐出孔の全周における流路断面積は、前記ステムの上端開口部における流路断面積よりも大きい、受皿付き吐出器。
<5>
前記<1>から<4>のいずれか1つに記載の受皿付き吐出器において、
前記嵌合筒部は、前記受皿本体が前記ステムよりも上方に間隔をあけて配置されるように、前記ステムの上端部よりも上方に向けて突出し、
前記受皿本体と前記ステムの上端開口部との間には、前記ステム内と前記吐出孔内とを連通する空間部が形成され、
前記空間部における流路断面積は、前記ステムの上端開口部における流路断面積よりも大きい、受皿付き吐出器。
【符号の説明】
【0078】
1…受皿付き吐出器
2…容器本体
3…容器本体の口部
10…ステム
11…ポンプ機構
13…吐出孔
14…受皿
90…嵌合筒部
91…受皿本体
93…対向部(内側部材)
93a…拡径部
95…空間部