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特開2024-18744情報処理装置の動作方法、情報処理装置、及びプログラム
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  • 特開-情報処理装置の動作方法、情報処理装置、及びプログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018744
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】情報処理装置の動作方法、情報処理装置、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16C 20/30 20190101AFI20240201BHJP
   G06N 99/00 20190101ALI20240201BHJP
【FI】
G16C20/30
G06N99/00 180
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122274
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100139491
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 隆慶
(72)【発明者】
【氏名】帯金 駿
(72)【発明者】
【氏名】吉川 健太郎
(57)【要約】
【課題】多成分組成物の設計における処理効率向上を可能にする。
【解決手段】情報処理装置の動作方法は、複数の原料の特性値をそれぞれ示す複数のN(Nは自然数)次元ベクトルの線形結合で画定される領域で、当該線形結合の係数を第1のステップ幅で変化させて、前記複数の原料を含む多成分組成物のN次元の前記特性値における目標値に近似する第1の線形結合を導出する第1の工程と、
前記第1の線形結合の係数を前記第1のステップ幅より小さい第2のステップ幅で変化させて前記目標値に近似する第2の線形結合を導出する第2の工程と、を含む。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置の動作方法であって、
複数の原料の特性値をそれぞれ示す複数のN(Nは自然数)次元ベクトルの線形結合で画定される領域で、当該線形結合の係数を第1のステップ幅で変化させて、前記複数の原料を含む多成分組成物のN次元の前記特性値における目標値に近似する第1の線形結合を導出する第1の工程と、
前記第1の線形結合の係数を前記第1のステップ幅より小さい第2のステップ幅で変化させて前記目標値に近似する第2の線形結合を導出する第2の工程と、
を含む
動作方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記情報処理装置が、第1の原料の組合せによる前記領域が前記目標値を含まないと判定される場合に、前記第1の原料の組合せを変更する工程を前記領域が前記目標値を含むと判定されるまで繰り返す、
動作方法。
【請求項3】
請求項2において、
前記情報処理装置が、前記領域と前記目標値の乖離を示す情報を出力する、
動作方法。
【請求項4】
請求項2において、
前記情報処理装置が、前記目標値に基づいて前記1の原料の組合せを変更するための原料の情報を出力する、
動作方法。
【請求項5】
請求項1において、
第1の原料の組合せにおける前記第2の工程の結果と、当該第1の原料の組合せと少なくとも一部の原料が異なる第2の原料の組合せにおける前記2の工程の結果とに基づく第2の線形結合を更に導出する工程を含む、
動作方法。
【請求項6】
請求項5において、
所定の数の原料を前記第1及び第2の原料の組合せに分ける工程を更に含む、
動作方法。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかにおいて、
前記特性値はハンセン溶解パラメータである、
動作方法。
【請求項8】
複数の原料の特性値をそれぞれ示す複数のN(Nは自然数)次元ベクトルの線形結合で画定される領域で、当該線形結合の係数を第1のステップ幅で変化させて、前記複数の原料を含む多成分組成物のN次元の前記特性値における目標値に近似する第1の線形結合を導出する第1の工程と、
前記第1の線形結合の係数を前記第1のステップ幅より小さい第2のステップ幅で変化させて前記目標値に近似する第2の線形結合を導出する第2の工程と、
を実行する制御部を有する情報処理装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記制御部が、第1の原料の組合せによる前記領域が前記目標値を含まないと判定される場合に、前記第1の原料の組合せを変更する工程を前記領域が前記目標値を含むと判定されるまで繰り返す、
情報処理装置。
【請求項10】
請求項9において、
前記制御部が、前記領域と前記目標値の乖離を示す情報を出力する、
情報処理装置。
【請求項11】
請求項9において、
前記制御部が、前記目標値に基づいて前記1の原料の組合せを変更するための原料の情報を出力する、
情報処理装置。
【請求項12】
請求項8において、
前記制御部が、第1の原料の組合せにおける前記第2の工程の結果と、当該第1の原料の組合せと少なくとも一部 の原料が異なる第2の原料の組合せにおける前記2の工程の結果とに基づく第2の線形結合を更に導出する工程を実行する、
情報処理装置。
【請求項13】
請求項12において、
前記制御部が、所定の数の原料を前記第1及び第2の原料の組合せに分ける工程を更に実行する、
情報処理装置。
【請求項14】
請求項8~13のいずれかにおいて、
前記特性値はハンセン溶解パラメータである、
情報処理装置。
【請求項15】
情報処理装置により実行されることで当該情報処理装置が、
複数の原料の特性値をそれぞれ示す複数のN(Nは自然数)次元ベクトルの線形結合で画定される領域で、当該線形結合の係数を第1のステップ幅で変化させて、前記複数の原料を含む多成分組成物のN次元の前記特性値における目標値に近似する第1の線形結合を導出する第1の工程と、
前記第1の線形結合の係数を前記第1のステップ幅より小さい第2のステップ幅で変化させて前記目標値に近似する第2の線形結合を導出する第2の工程と、
を実行する、
プログラム。
【請求項16】
請求項15において、
前記情報処理装置が、第1の原料の組合せによる前記領域が前記目標値を含まないと判定される場合に、前記第1の原料の組合せを変更する工程を前記領域が前記目標値を含むと判定されるまで繰り返す、
プログラム。
【請求項17】
請求項16において、
前記情報処理装置が、前記領域と前記目標値の乖離を示す情報を出力する、
プログラム。
【請求項18】
請求項16において、
前記情報処理装置が、前記目標値に基づいて前記1の原料の組合せを変更するための原料の情報を出力する、
プログラム。
【請求項19】
請求項15において、
前記情報処理装置が、第1の原料の組合せにおける前記第2の工程の結果と、当該第1の原料の組合せと少なくとも一部の原料が異なる第2の原料の組合せにおける前記2の工程の結果とに基づく第2の線形結合を更に導出する工程を実行する、
プログラム。
【請求項20】
請求項19において、
前記情報処理装置が、所定の数の原料を前記第1及び第2の原料の組合せに分ける工程を更に実行する、
プログラム。
【請求項21】
請求項15~20のいずれかにおいて、
前記特性値はハンセン溶解パラメータである、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置の動作方法、情報処理装置、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
化学製品において、多成分組成物の原料の種類及び配合量を設計する際、原料の組合せは多岐に亘る。かかる多成分組成物の設計を支援する技術が種々提案されている。例えば特許文献1には、原料の選定の際に課されるコスト等の制約条件の入力を簡便化する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-086817号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
多成分組成物の設計において、情報処理量は膨大となりがちであり、処理効率の改善が求められる。
【0005】
上記に鑑み、以下では、多成分組成物の設計における処理効率向上を可能にする、情報処理装置の動作方法等を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本開示における情報処理装置の動作方法は、複数の原料の特性値をそれぞれ示す複数のN(Nは自然数)次元ベクトルの線形結合で画定される領域で、当該線形結合の係数を第1のステップ幅で変化させて、前記複数の原料を含む多成分組成物のN次元の前記特性値における目標値に近似する第1の線形結合を導出する第1の工程と、
前記第1の線形結合の係数を前記第1のステップ幅より小さい第2のステップ幅で変化させて前記目標値に近似する第2の線形結合を導出する第2の工程と、を含む。
【0007】
また、本開示における情報処理装置は、複数の原料の特性値をそれぞれ示す複数のN次元ベクトルの線形結合で画定される領域で、当該線形結合の係数を第1のステップ幅で変化させて、前記複数の原料を含む多成分組成物のN次元の前記特性値における目標値に近似する第1の線形結合を導出する第1の工程と、前記第1の線形結合の係数を前記第1のステップ幅より小さい第2のステップ幅で変化させて前記目標値に近似する第2の線形結合を導出する第2の工程と、を実行する制御部を有する。
【0008】
さらに、本開示におけるプログラムは、情報処理装置により実行されることで当該情報処理装置が、複数の原料の特性値をそれぞれ示す複数のN次元ベクトルの線形結合で画定される領域で、当該線形結合の係数を第1のステップ幅で変化させて、前記複数の原料を含む多成分組成物のN次元の前記特性値における目標値に近似する第1の線形結合を導出する第1の工程と、前記第1の線形結合の係数を前記第1のステップ幅より小さい第2のステップ幅で変化させて前記目標値に近似する第2の線形結合を導出する第2の工程と、
を実行する。
【発明の効果】
【0009】
本開示における情報処理装置の動作方法等によれば、多成分組成物の設計における処理効率向上が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】情報処理システムの構成例を示す図である。
図2】サーバ装置の動作手順例を示すフローチャート図である。
図3A】原料ベクトルの線形結合の例を示す図である。
図3B】原料ベクトルの線形結合の例を示す図である。
図3C】原料ベクトルの線形結合の例を示す図である。
図4】サーバ装置の動作手順例を示すフローチャート図である。
図5】サーバ装置の動作手順例を示すフローチャート図である。
図6A】大域領域と目標値との位置関係の例を示す図である。
図6B】大域領域と目標値との位置関係の例を示す図である。
図6C】大域領域と目標値との位置関係の例を示す図である。
図7】サーバ装置の動作手順例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0012】
[システム概要]
図1は、本発明の一実施形態の構成例を示す図である。情報処理システム1は、ネットワーク11を介して互いに情報通信可能に接続されるサーバ装置10と端末装置12とを有する。情報処理システム1では、端末装置12から送られる各種情報を用いてサーバ装置10が多成分組成物の設計に関する情報処理を行う。端末装置12は、例えば、一以上のパーソナルコンピュータ、タブレット端末装置等の情報処理装置である。情報処理装置はスマートフォン等を含んでもよい。サーバ装置10は、例えば、一以上のサーバコンピュータである。サーバ装置10が単一のサーバコンピュータであってもよいし、本実施形態における動作を連係して実行しクラウドサービスを提供する複数のサーバコンピュータであってもよい。ネットワーク11は、例えば、LAN(Local Area Network)、インターネット、アドホックネットワーク、MAN(Metropolitan Area Network)、移動体通信網もしくは他のネットワーク又はこれらいずれかの組合せである。
【0013】
サーバ装置10は、本実施形態の「情報処理装置」に対応し、端末装置12から多成分組成物の原料に関する情報を受け、多成分組成物の設計にかかる情報処理を実行する。多成分組成物とは、二以上の原料から構成されるものである。多成分組成物は、例えば、化粧料、皮膚外用剤、医薬品、食品、塗料、洗剤等の用途が挙げられる。多成分組成物は、前記用途の製剤だけでなく、前記用途に用いる中間組成物、前処理物、仕掛品等を包含する。化粧料としては、例えば化粧水、乳液、美容液、パック、オールインワンジェル、クリーム、ボディミルク、洗顔料、オイルクレンジング、クレンジングクリーム、クレンジングリキッド、日焼け止め、制汗剤等の基礎化粧料、シャンプー、リンス、コンディショナー、ヘアトリートメント、スタイリングウォーター、ヘアワックス、染毛剤、育毛剤等の頭髪用化粧料、マスカラ、リップグロス、口紅、アイシャドウ、アイライナー、ファンデーション、フェイスカラー、コンシーラー、化粧下地、メイクキープミスト等のメイクアップ化粧料等が挙げられる。また、原料は粉体、水性成分、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、紫外線吸収剤、シリコーン油、炭化水素油、エーテル油、エステル油、グリセライド油、天然動植物油剤および半合成油剤、エモリエント剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、リン脂質、ゲル化剤及び増粘剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分(美白剤、細胞賦活剤、抗炎症剤、血行促進剤、皮膚収斂剤、抗脂漏剤等)、防腐剤、抗菌剤、香料、ビタミン類、アミノ酸類、核酸、ホルモン等が例示される。
【0014】
サーバ装置10は、複数の原料の特性値をそれぞれ示す複数のN(Nは自然数)次元ベクトル(以下、原料ベクトルという)の線形結合で画定される領域(以下、大域領域という)で、原料ベクトルの線形結合の係数を第1のステップ幅(以下、大域探索用ステップ幅という)で変化させて、複数の原料を含む多成分組成物のN次元の特性値における目標値に近似する第1の線形結合(以下、候補解という)を導出する第1の工程(以下、大域探索工程という)を実行する。さらに、サーバ装置10は、候補解の係数を大域探索用ステップ幅より小さい第2のステップ幅(以下、局所探索用ステップ幅という)で変化させて目標値に近似する第2の線形結合(以下、最適解という)を導出する第2の工程(以下、局所探索工程という)を実行する。
【0015】
本実施形態によれば、サーバ装置10は、大域領域における候補解導出、候補解周辺での最適解導出という段階を経て最適解を導出する。すなわち、探索すべき原料ベクトルの線形結合、つまり原料の配合割合の範囲を段階的に絞ることで、処理効率向上が可能になる。
【0016】
次いで、サーバ装置10及び端末装置12の構成について説明する。
【0017】
サーバ装置10は、通信部101、記憶部102、制御部103、入力部105、及び出力部106を有する。これらの構成は、サーバ装置10が二以上のサーバコンピュータで構成される場合には、二以上のサーバコンピュータに適宜に配置される。
【0018】
通信部101は、一以上の通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LANインタフェースである。通信部101は、サーバ装置10の動作に用いられる情報を受信し、またサーバ装置10の動作によって得られる情報を送信する。サーバ装置10は、通信部101によりネットワーク11に接続され、ネットワーク11経由で端末装置12と情報通信を行う。
【0019】
記憶部102は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する一以上の半導体メモリ、一以上の磁気メモリ、一以上の光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせを含む。半導体メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)である。RAMは、例えば、SRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)である。ROMは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)である。記憶部102は、制御部103の動作に用いられる情報と、制御部103の動作によって得られた情報とを格納する。記憶部102には、原料情報107が格納される。原料情報107は、多成分組成物に用いるための原料の種類と各原料の特性値とを対応付けて有する。
【0020】
制御部103は、一以上のプロセッサ、一以上の専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)などの汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化したGPU(Graphics Processing Unit)等の専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。制御部103は、サーバ装置10の各部を制御しながら、サーバ装置10の動作に係る情報処理を実行する。
【0021】
サーバ装置10の機能は制御部103に含まれるプロセッサが、制御プログラムを実行することにより実現される。制御プログラムは、プロセッサを制御部103として機能させるためのプログラムである。また、サーバ装置10の一部又は全ての機能が、制御部103に含まれる専用回路により実現されてもよい。また、制御プログラムは、制御部103により読取り可能な非一過性の記録・記憶媒体に格納され、制御部103が媒体から読み取ってもよい。
【0022】
入力部105は、一以上の入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイクロフォンである。入力部105は、サーバ装置10の動作に用いられる情報を入力する操作を受け付け、入力される情報を制御部103に送る。
【0023】
出力部106は、一以上の出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイである。出力部106は、サーバ装置10の動作によって得られる情報を出力する。
【0024】
端末装置12は、通信部121、記憶部122、制御部123、入力部125及び出力部126を有する。
【0025】
通信部121は、有線又は無線LAN規格に対応する通信モジュール、LTE、4G、5G等の移動体通信規格に対応するモジュール等を有する。端末装置12は、通信部121により、近傍のルータ装置又は移動体通信の基地局を介してネットワーク11に接続され、ネットワーク11経由でサーバ装置10等と情報通信を行う。
【0026】
記憶部122は一以上の半導体メモリ、一以上の磁気メモリ、一以上の光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。ROMは、例えば、EEPROMである。記憶部122は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部122は、制御部123の動作に用いられる情報と、制御部123の動作によって得られた情報とを格納する。
【0027】
制御部123は、例えば、CPU、MPU(Micro Processing Unit)等の一以上の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化したGPU等の一以上の専用プロセッサを有する。あるいは、制御部123は、一以上の、FPGA、ASIC等の専用回路を有してもよい。制御部123は、制御・処理プログラムに従って動作したり、あるいは、回路として実装された動作手順に従って動作したりすることで、端末装置12の動作を統括的に制御する。そして、制御部123は、通信部121を介してサーバ装置10等と各種情報を送受し、本実施形態にかかる動作を実行する。
【0028】
端末装置12の機能は、制御部123に含まれるプロセッサが制御プログラムを実行することにより実現される。制御プログラムは、プロセッサを制御部123として機能させるためのプログラムである。また、端末装置12の一部又は全ての機能が、制御部123に含まれる専用回路により実現されてもよい。また、制御プログラムは、制御部123に読取り可能な非一過性の記録・記憶媒体に格納され、制御部123が媒体から読み取ってもよい。
【0029】
入力部125は、一以上の入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、およびディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーンを含む。また、入力用インタフェースは、音声入力を受け付けるマイクロフォン、及び撮像画像を取り込むカメラを含む。更に、入力用インタフェースは、画像コードをスキャンするスキャナ又はカメラ、ICカードリーダを含んでもよい。入力部125は、制御部123の動作に用いられる情報を入力する操作を受け付け、入力される情報を制御部123に送る。また、入力部125は、カメラによる撮像画像を制御部123に送る。
【0030】
出力部126は、一以上の出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ、及びスピーカを含む。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイである。出力部126は、制御部123の動作によって得られる情報を出力する。
【0031】
[サーバ装置10の動作]
図2は、本実施形態におけるサーバ装置10の動作例を説明するためのフローチャート図である。各ステップは、制御部103により実行される。図2の手順は、例えば、オペレータが操作する端末装置12からの指示を受けて実行される。
【0032】
ステップS20において、制御部103は、多成分組成物の特性値における目標値を取得する。特性値は、例えば、分散力項(δD)、極性項(δP)、水素結合項(δH)の3次元のハンセン溶解パラメータ(以下、HSP値という)である。オペレータは、目標とするHSP値を示す項目δD、δP、δHの値を、目標値として端末装置12の入力部125により入力する。端末装置12の制御部123は、目標値の情報を通信部121によりサーバ装置10へ送る。サーバ装置10の制御部103は、端末装置12から送られる情報を通信部101により受ける。これにより、制御部103は、目標値を取得する。あるいは、オペレータは、目標値の情報をサーバ装置10の入力部105により入力し、制御部103が目標値を取得してもよい。
【0033】
ステップS21において、制御部103は、原料候補情報を取得する。原料候補情報は、多成分組成物を得るための2以上の原料の種類と各原料の特性値とを含む。オペレータは、所望の原料の種類を端末装置12の入力部125により入力する。端末装置12の制御部123は、原料の種類の情報を通信部121によりサーバ装置10へ送る。サーバ装置10の制御部103は、端末装置12から送られる情報を通信部101により受ける。これにより、制御部103は、原料の種類の情報を取得する。あるいは、制御部103は、記憶部102に格納される原料情報107から原料の種類を読み出し、リストとして端末装置12へ送る。端末装置12の制御部123は、原料の種類のリストを出力部106によりオペレータに向けて表示し、表示された原料のリストからオペレータが所望の原料を選択することで、原料の種類の情報がサーバ装置10へ送られてもよい。あるいは、オペレータは、原料の種類をサーバ装置10の入力部105により入力又は選択し、制御部103が原料の種類の情報を取得してもよい。さらに、制御部103は、取得した原料の種類毎に、特性値であるHSP値を原料情報107から読み出して取得する。
【0034】
ステップS22において、制御部103は、大域領域を導出する。大域領域は、複数の原料ベクトルの線形結合で画定される領域である。以下の式で示されるように、大域領域Rは、原料ベクトルx(i=1,2,3,・・・n)(nは自然数)の係数wによる線形結合として導出される。ここでは、原料ベクトルxは、HSP値を示す項目δD、δP、δHの値を成分とする3次元のベクトルである。
【数1】
【0035】
図3A、3B及び3Cには、それぞれ2種類の原料、3種類の原料、及び4種類の原料の場合における大域領域の例が、HSP値を成分(δD、δP、δH)とする3次元の原料ベクトルx(i=1,2,3,・・・n)のベクトル空間において示される。例えば、2種類の原料の場合、図3Aに示されるように、大域領域Rは原料ベクトルx及びxの線形結合、つまり直線として画定される。また、3種類の原料の場合、図3Bに示されるように、大域領域Rは原料ベクトルx、x及びxの線形結合、つまり平面として画定される。さらに、4種類の原料の場合、図3Cに示されるように、大域領域Rは原料ベクトルx、x、x及びxの線形結合、つまり凸多面体として画定される。さらに、5種類以上の原料の場合も、大域領域は凸多面体として画定される。なお、3種類以上の原料ベクトルxの線形結合は直線又は平面であってもよく、その場合、大域領域Rが直線又は平面上に画定される。例えば、x、x、xの線形結合が直線であり得、さらに、x、x、x、xの線形結合が直線又は平面であり得る。この場合に、大域領域Rが直線又は平面上に画定されることがある。
【0036】
図2に戻り、制御部103は、ステップS23において、大域探索工程を実行する。大域探索工程の詳細な手順が図4に示される。
【0037】
[大域探索工程]
図4は、大域探索工程に係る動作例を説明するためのフローチャート図である。
【0038】
ステップS40において、制御部103は、探索用ステップ幅を決定する。探索用ステップ幅は、原料ベクトルxの線形結合における係数wを変化させるときのステップ幅であり、例えば質量パーセントで規定される数値である。記憶部102には、大域探索用ステップ幅の情報が予め格納される。制御部103は、記憶部102から大域探索用ステップ幅を読み出して、探索用ステップ幅として決定する。大域探索用ステップ幅は、例えば、3~5質量パーセントの任意の値である。
【0039】
ステップS41において、制御部103は、大域探索用ステップ幅で変化させて得られるすべての係数wの組合せにについて、係数wの組合せに対応する線形結合と目標値とのベクトル空間における距離を導出する。
【0040】
ステップS42において、制御部103は、大域探索用ステップ幅で変化させて得られるすべての係数wの組合せのうち、線形結合と目標値との距離が最小となるときの係数wの組合せを候補解として導出する。
【0041】
図2に戻り、制御部103は、ステップS24において、局所探索工程を実行する。局所探索工程の詳細な手順が図5に示される。
【0042】
[局所探索工程]
図5は、局所探索工程に係る動作例を説明するためのフローチャート図である。
【0043】
ステップS50において、制御部103は、探索用ステップ幅を決定する。記憶部102には、局所探索用ステップ幅の情報が予め格納される。制御部103は、記憶部102から局所探索用ステップ幅を読み出して、探索用ステップ幅として決定する。局所探索用ステップ幅は、大域探索用ステップ幅より小さい、例えば、1~2質量パーセントの任意の値である。
【0044】
ステップS51において、制御部103は、局所探索を行うための局所探索範囲を設定する。局所探索範囲は、例えば候補解から大域探索用ステップ幅の一ステップ分変位した線形結合により画定される範囲である。
【0045】
ステップS52において、制御部103は、局所探索範囲内において、候補解の係数wを局所探索用ステップ幅で変化させて得られるすべての係数wの組合せにについて、係数wの組合せに対応する線形結合と目標値とのベクトル空間における距離を導出する。
【0046】
ステップS53において、制御部103は、局所探索用ステップ幅で変化させて得られるすべての係数wの組合せのうち、線形結合と目標値との距離が最小となるときの係数wの組合せを最適解として導出する。
【0047】
図2に戻り、ステップS25において、制御部103は、目標値が大域領域に含まれるか否かを判断する。制御部103は、目標値が大域領域に含まれる場合(Yes)、ステップS30に進み、目標値が大域領域に含まれない場合(No)、ステップS26に進む。
【0048】
ステップS25では、制御部103は、例えば、目標値と最適解との距離が基準値以下の場合には、目標値が大域領域に含まれ、目標値と最適解との距離が基準値を上回る場合には目標値が大域領域に含まれないと判断する。かかる基準値は、予め記憶部102に格納される任意の値であり、例えば、大域探索用ステップ幅より小さく局所探索用ステップ幅より大きいステップ幅で係数wを変化させたときのベクトル空間上の変位量に対応する値である。
【0049】
また制御部103は、例えば、4種類以上の原料において、4種類の原料からなるすべての組合せについて、以下の式を満足する解を導出する演算を行う。そして、制御部103は、すべての組合せについて解が存在する場合には目標値が大域領域に含まれ、いずれかの組合せについて解が存在しない場合には目標値が大域領域に含まれないと判断してもよい。
【数2】
【0050】
ステップS26において、制御部103は、目標値の大域領域からの乖離量を導出する。乖離量は、ベクトル空間における大域領域からの距離として、例えば、Lagrangeの未定乗数法により導出される。
【0051】
図6A、6B及び6Cには、それぞれ図3A、3B及び3Cに示した原料ベクトルxと大域領域Rとを含むベクトル空間における、大域領域Rに対する目標値の位置関係の例が示される。各図では、大域領域Rに含まれる場合の目標値T1と含まれない場合の目標値T2、及び含まれない場合の目標値T2の大域領域Rからの距離Dが示される。例えば、2種類の原料の場合、図6Aに示されるように、大域領域Rに対応する直線上に位置する目標値T1は大域領域Rに含まれ、直線上に位置しない目標値T2は大域領域Rに含まれない。ここにおいて、大域領域Rとそれに含まれない目標値T2との距離Dは、大域領域Rに対応する直線から目標値T2までのベクトル空間における距離である。また、3種類の原料の場合、図6Bに示されるように、大域領域Rに対応する平面上に位置する目標値T1は大域領域Rに含まれ、平面上に位置しない目標値T2は大域領域Rに含まれない。ここにおいて、大域領域Rとそれに含まれない目標値T2との距離Dは、大域領域Rに対応する平面から目標値T2までのベクトル空間における距離である。さらに、4種類の原料の場合、図6Cに示されるように、大域領域Rに対応する凸多面体の表面又は内側に位置する目標値T1は大域領域Rに含まれ、凸多面体の表面及び内側に位置しない目標値T2は大域領域Rに含まれない。そして、大域領域Rとそれに含まれない目標値T2との距離Dは、大域領域Rに対応する凸多面体の目標値T2に最も近い平面から目標値T2までのベクトル空間における距離である。なお、5種類以上の原料の場合も、大域領域と目標値との距離は、凸多面体の目標値に最も近い平面から目標値までのベクトル空間における距離である。
【0052】
図2に戻り、ステップS27において、制御部103は、乖離量を出力する。制御部103は、例えば、乖離量の情報を通信部101により端末装置12へ送り、端末装置12の出力部126により乖離量が表示される。あるいは、乖離量は、サーバ装置10の出力部106によりオペレータに表示されてもよい。乖離量は、例えば、HSP値の項目δD、δP、δHの値により表示される。あるいは、乖離量は、図6A~6Cで表示したような概念図により表示されてもよい。乖離量の出力を受けて、オペレータは、本処理を継続するか、または終了するかを判断することができる。例えば、オペレータは、乖離量が大きすぎると判断した場合、原料の組合せを変更するために本処理を継続すると判断する。また、オペレータは、乖離量が十分小さいと判断した場合、得られた最適解を確認して本処理を終了する。オペレータは、判断結果を端末装置12の入力部125に対し入力し、判断結果がサーバ装置10へ送られる。制御部103は、例えば、乖離量とともに処理の継続・終了を選択可能な操作画面を端末装置12に表示させ、オペレータに入力を促してもよい。オペレータは、操作画面において選択を行うことで、判断結果の入力を行うことができる。あるいは、オペレータは、判断結果をサーバ装置10の入力部105に入力してもよい。
【0053】
ステップS28において、制御部103は、終了判断が入力されたか否かを判断する。終了判断が入力された場合(Yes)、制御部103はステップS30に進む。一方、終了判断が入力されない場合(No)、つまり継続判断が入力された場合、制御部103はステップS29に進む。
【0054】
ステップS29において、制御部103は、原料候補情報の修正を受け付ける。オペレータは、現状の原料候補のいずれかを置換したり、新たな原料を追加したりするための入力を端末装置12の入力部125に対し行う。制御部103は、入力される置換又は追加される原料の種類の情報を端末装置12から取得する。制御部103は、現状の原料候補情報を端末装置12に表示させ、オペレータに原料候補情報の取捨又は追加を促してもよい。また、制御部103は、新たな原料候補情報を記憶部102に格納される原料情報107から読み出してオペレータに選択肢として提示してもよい。新たな原料候補情報は、例えば、HSP値の項目δD、δP、δHの少なくとも一以上が目標値のものと異なることが条件とされる。制御部103は、原料情報107から条件を満たす原料を抽出して原料候補情報の選択肢として提示する。あるいは、オペレータは、原料候補情報の修正をサーバ装置10の入力部105及び出力部106により行ってもよい。
【0055】
原料候補情報が修正されると、制御部103は、ステップS22に戻り、ステップS22以降を実行する。ステップS22以降の処理は、目標値が大域領域に含まれると判断されるか(ステップS25のYes)、又は目標値が大域領域に含まれなくてもオペレータによる終了判断が入力されるまで(ステップS28のYes)、繰り返し実行される。
【0056】
ステップS30において、制御部103は、最適解情報を出力する。最適解情報は、最適解に対応する原料の種類、各原料の原料ベクトルxに対応する係数w、つまり各原料の配合割合を含む。最適解情報は、各原料のHSP値を含んでもよい。制御部103は、例えば、最適解情報を端末装置12に送り、端末装置12の出力部126にオペレータへ向けて表示させる。あるいは、制御部103は、サーバ装置10の出力部106により最適解情報を出力してもよい。そうすることで、オペレータは、最適解情報を確認することができる。
【0057】
なお、図2の手順では、ステップS25において目標値が大域領域に含まれるかの判断が行われる前にステップS24の局所探索工程が行われるが、ステップS24の局所探索工程をステップS28とステップS30の間に実行するように変形することが可能である。その場合、ステップS25では、目標値と候補解との距離が、例えば大域探索用ステップ幅以上の大きさの任意の基準値より大きい場合には大域領域に含まれず、基準値以下の場合に大域領域に含まれると判断される。そして、目標値が大域領域に含まれることを条件として(S25のYes)、ステップS24の局所探索工程が実行される。かかる変形例によれば、目標値が大域領域に含まれない場合には局所探索工程を省略でき、処理負荷の軽減が可能となる。
【0058】
また、図2及び図5の手順では、ステップS24の局所探索工程の一部として、ステップS51において局所探索範囲が設定されたが、その替わりに、例えば、図2のステップS23とステップS24の間で、あるいは上述の変形例ではステップS25がYesの場合にステップS24の直前において局所探索範囲が設定されるような変形も可能である。
【0059】
本実施形態によれば、サーバ装置10は、大域領域における候補解導出、候補解周辺の局所探索範囲での最適解導出という段階を経てることで、探索すべき原料の組合せの範囲を効率的に絞ることができ、多成分組成物の設計における処理効率向上が可能になる。
【0060】
上述においては、原料の種類の数によらず図2の手順が実行される場合を示した。以下では、原料の種類の数に応じて異なる手順が実行される実施例について説明する。
【0061】
[実施例]
図7は、実施例におけるサーバ装置10の動作例を説明するためのフローチャート図である。図7の手順において、図2の手順と同じステップには図2と同じ符号を付し、説明を適宜省略する。
【0062】
サーバ装置10の制御部103は、ステップS21で取得した原料候補情報に基づいて、ステップS21-1において、原料候補数が基準より大きいか否かを判断する。原料候補数の基準は、予め定められ記憶部102に格納される任意の数であり、例えば4である。
原料候補数が4以下の場合(ステップS21-1のNo)、制御部103は図2で示したステップS22~S29を実行し、ステップS30に進んで最適解情報を出力する。一方、原料候補数が5以上の場合(ステップS21-1のYes)、制御部103はステップS21-2に進む。
【0063】
ステップS21-1において、制御部103は、原料候補をグループ分けする。グループは、例えば、3種類の原料候補が共通し4種類目の原料候補が異なる複数のグループからなる。例えば、原料候補X、X、X、・・・X(mは5以上の自然数)が、原料候補X、X、及びXを含む(m-3)個のグループに分けられる。例えば、第1グループは原料候補X、X、X及びXを含み、第2グループは原料候補X、X、X及びXを含み、・・・第(m-3)グループは、原料候補X、X、X及びXを含む。ここで、各グループに共通する原料候補数は、予め定められる、基準より小さい任意の値が用いられる。
【0064】
制御部103は、全グループのそれぞれについて、ステップS22~S29を実行し(ステップS21-3)、各グループの最適解を導出する。
【0065】
ステップS21-4において、制御部103は、各グループの最適解に基づく総合的な最適解を導出する。例えば、総合的最適解は、全グループの最適解のベクトル空間における中心に位置し、以下の式により導出される。
【数3】
【0066】
あるいは、制御部103は、m個の原料候補を、任意の(m-1)個の原料候補からなる2つのグループ、例えば、原料候補aX(係数をawとする)からなるグループと原料候補bX(係数をbwとする)からなるグループとに分け、各グループの最適解に基づく総合的な最適解を以下の式により導出してもよい。
【数4】
【0067】
ステップS30において、制御部103は、最適解情報として、総合的最適解の情報を出力する。最適解情報は、総合的最適解に対応する原料の種類、各原料の配合割合を含む。最適解情報は、各原料のHSP値を含んでもよい。
【0068】
この実施例では、5種類以上の原料候補による大域探索及び局所探索を行って最適解を導出する代わりに、4種類の原料候補からなるグループ毎に最適解を導出し、複数のグループの最適解に基づいて総合的最適解を導出することで、5種類以上の原料の配合割合を導出する。5種類以上の原料候補による大域領域を導出して大域探索及び局所探索を行う際の情報処理量と比較したとき、情報処理量を削減して処理効率向上が可能となる。また、3種類の原料候補が共通するように原料候補をグループ分けすることで、一のグループにおける情報処理の結果を他のグループにおいて使用することができ、更に処理効率向上が可能となる。ただし、各グループにおける原料候補数はここに示す例に限られず、任意の数であってもよい。
【0069】
[変形例]
図7の実施例において、ステップS21で制御部103が原料候補情報を取得する際、あるいはその後、オペレータが各グループに含まれる原料候補の数、又は複数のグループに共通する原料候補の数を設定するような手順としてもよい。例えば、オペレータが端末装置12から各グループに含まれる原料候補の数、又は複数のグループに共通する原料候補の数を入力し、入力された情報がサーバ装置10へ送られて制御部103により取得される。そうすることで、多成分組成物の設計における自由度の向上が可能となる。
【0070】
上述においては、3次元のHSP値を原料及び多成分組成物の特性値の例として説明した。しかしながら、HSP値は、4次元以上であってもよい。また、特性値は、HSP値に限られず、多成分組成物の特性値が原料の特性値のベクトル成分の線形結合で表すことができれば、他の特性値であってもよい。
【0071】
また、上述においては、サーバ装置10が「情報処理装置」に対応した。しかしながら、サーバ装置10と端末装置12とが連係動作することで「情報処理装置」を構成してもよいし、端末装置12が単独で「情報処理装置」に対応してもよい。
【0072】
上述の実施形態において、端末装置12の動作を規定する処理・制御プログラムは、サーバ装置10の記憶部102又は他のサーバ装置の記憶部に記憶されていて、ネットワーク11経由で端末装置12にダウンロードされてもよいし、コンピュータに読取り可能な非一過性の記録・記憶媒体に格納され、端末装置12が媒体から読み取ってもよい。
【0073】
上述において、実施形態を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段、ステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0074】
10:サーバ装置
11:ネットワーク
12:端末装置
101、121:通信部
102、122:記憶部
103、123:制御部
105、125:入力部
106、126:出力部
: 原料ベクトル
: 係数
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7