(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018789
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】バリア性容器及び装着キャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 77/20 20060101AFI20240201BHJP
B65D 77/38 20060101ALI20240201BHJP
B65D 51/22 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B65D77/20 L
B65D77/38
B65D51/22 120
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122330
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【テーマコード(参考)】
3E067
3E084
【Fターム(参考)】
3E067AA04
3E067AB21
3E067BA03A
3E067BB12A
3E067BB14A
3E067BB15A
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3E084AA04
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3E084AA25
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3E084HB02
3E084HB07
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3E084HD01
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3E084LA07
3E084LA18
3E084LB01
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】注出孔に設けたバリア材を容易に剥離して内容物の使用を開始することができるバリア性容器及び装着キャップを提供する。
【解決手段】本開示のバリア性容器100は、内容物を注出する筒状のノズル部23と、ノズル部23の下方に連なり、内容物の収容空間を形成する胴部12と、胴部12の下端部を閉塞する底部13と、ノズル部23を閉塞する蓋体25と、上面が蓋体25に接着されるとともに下面がノズル部23に接着されるバリアシート24とを備え、バリアシート24は、ガス又は液体の少なくとも一方の透過を抑制するバリア層24cを含むとともにバリア層24cの下方において蓋体25の開放によって剥離する剥離面を有することを特徴とする。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物を注出する筒状のノズル部と、
前記ノズル部の下方に連なり、内容物の収容空間を形成する胴部と、
前記胴部の下端部を閉塞する底部と、
前記ノズル部を閉塞する蓋体と、
上面が前記蓋体に接着されるとともに下面が前記ノズル部に接着されるバリアシートと
を備え、
前記バリアシートは、ガス又は液体の少なくとも一方の透過を抑制するバリア層を含むとともに該バリア層の下方において前記蓋体の開放によって剥離する剥離面を有する、バリア性容器。
【請求項2】
前記バリアシートは、前記剥離面よりも下側の層が、前記ノズル部の注出孔を画定するシート開口を備える、請求項1に記載のバリア性容器。
【請求項3】
前記ノズル部、前記胴部及び前記底部は、ガス又は液体の少なくとも一方の透過を抑制するバリア層を有する、請求項1又は2に記載のバリア性容器。
【請求項4】
前記バリアシートは、前記バリア層としてアルミニウム層を有する、請求項1又は2に記載のバリア性容器。
【請求項5】
前記蓋体の天壁は、該天壁を屈曲させる屈曲溝を有する、請求項1又は2に記載のバリア性容器。
【請求項6】
筒状の口部と、該口部の下端部に連なり内容物の収容空間を形成する前記胴部と、該胴部の下端部を閉塞する前記底部とを有する容器本体と、
前記容器本体の前記口部に装着される装着キャップと
を備え、
前記装着キャップは、内容物を注出する筒状の前記ノズル部を有する、請求項1又は2に記載のバリア性容器。
【請求項7】
筒状の口部と、該口部の下端部に連なり内容物の収容空間を形成する前記胴部と、該胴部の下端部を閉塞する前記底部とを有する容器本体と、
前記容器本体の前記口部に装着される装着キャップと
を備え、
前記ノズル部は、前記口部の先端部に設けられている、請求項1又は2に記載のバリア性容器。
【請求項8】
筒状の口部と、該口部の下端部に連なり内容物の収容空間を形成する胴部と、該胴部の下端部を閉塞する底部とを有する容器本体の前記口部に装着される装着キャップであって、
内容物を注出する筒状のノズル部と、該ノズル部を閉塞する蓋体と、上面が前記蓋体に接着されるとともに下面が前記ノズル部に接着されるバリアシートと
を有し、
前記バリアシートは、ガス又は液体の少なくとも一方の透過を抑制するバリア層を含むとともに該バリア層の下方において前記蓋体の開放によって剥離する剥離面を有する、装着キャップ。
【請求項9】
筒状のノズル部と、該ノズル部の下方に連なり内容物の収容空間を形成する胴部と、該胴部の下端部を閉塞する底部とを有する容器本体に装着される装着キャップであって、
前記ノズル部を閉塞する蓋体と、上面が前記蓋体に接着されるバリアシートと
を有し、
前記バリアシートの下面は、前記装着キャップを前記容器本体に装着したとき前記ノズル部に接着可能であり、
前記バリアシートは、ガス又は液体の少なくとも一方の透過を抑制するバリア層を含むとともに該バリア層の下方において前記蓋体の開放によって剥離する剥離面を有する、装着キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、バリア性容器及び装着キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ガスバリア性及び/又は液体バリア性を高めた容器が提案されている。例えば特許文献1には、マヨネーズなどの内容物を収容するための吐出口付き蓋材であって、吐出口を設けた内層材の上に金属箔等のバリア材を含む外層材を積層したものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような吐出口付き蓋材を用いた容器では、未使用状態から内容物を使用するにあたって利用者が外層材を内層材から剥がして廃棄する必要があるため、この点で改善の余地があった。
【0005】
本開示は、上記問題を解決することを課題とし、注出孔に設けたバリア材を容易に剥離して内容物の使用を開始することができるバリア性容器及び装着キャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本開示のバリア性容器は、
[1]
内容物を注出する筒状のノズル部と、
前記ノズル部の下方に連なり、内容物の収容空間を形成する胴部と、
前記胴部の下端部を閉塞する底部と、
前記ノズル部を閉塞する蓋体と、
上面が前記蓋体に接着されるとともに下面が前記ノズル部に接着されるバリアシートと
を備え、
前記バリアシートは、ガス又は液体の少なくとも一方の透過を抑制するバリア層を含むとともに該バリア層の下方において前記蓋体の開放によって剥離する剥離面を有することを特徴とする。
【0007】
また、本開示のバリア性容器は、
[2]
上記[1]に記載の構成において、前記剥離面よりも下側の層が前記ノズル部の注出孔を画定するシート開口を備えることが好ましい。
【0008】
また、本開示のバリア性容器は、
[3]
上記[1]又は[2]に記載の構成において、前記ノズル部、前記胴部及び前記底部は、ガス又は液体の少なくとも一方の透過を抑制するバリア層を有することが好ましい。
【0009】
また、本開示のバリア性容器は、
[4]
上記[1]から[3]のいずれかに記載の構成において、前記バリアシートは、前記バリア層としてアルミニウム層を有することが好ましい。
【0010】
また、本開示のバリア性容器は、
[5]
上記[1]から[4]のいずれかに記載の構成において、前記蓋体の天壁は、該天壁を屈曲させる屈曲溝を有することが好ましい。
【0011】
また、本開示のバリア性容器は、
[6]
上記[1]から[5]のいずれかに記載の構成において、
筒状の口部と、該口部の下端部に連なり内容物の収容空間を形成する前記胴部と、該胴部の下端部を閉塞する前記底部とを有する容器本体と、
前記容器本体の前記口部に装着される装着キャップと
を備え、
前記装着キャップは、内容物を注出する筒状の前記ノズル部を有することが好ましい。
【0012】
また、本開示のバリア性容器は、
[7]
上記[1]から[5]のいずれかに記載の構成において、
筒状の口部と、該口部の下端部に連なり内容物の収容空間を形成する前記胴部と、該胴部の下端部を閉塞する前記底部とを有する容器本体と、
前記容器本体の前記口部に装着される装着キャップと
を備え、
前記ノズル部は、前記口部の先端部に設けられていることが好ましい。
【0013】
また、上記課題を解決するため、本開示の装着キャップは、
[8]
筒状の口部と、該口部の下端部に連なり内容物の収容空間を形成する胴部と、該胴部の下端部を閉塞する底部とを有する容器本体の前記口部に装着される装着キャップであって、
内容物を注出する筒状のノズル部と、該ノズル部を閉塞する蓋体と、上面が前記蓋体に接着されるとともに下面が前記ノズル部に接着されるバリアシートと
を有し、
前記バリアシートは、ガス又は液体の少なくとも一方の透過を抑制するバリア層を含むとともに該バリア層の下方において前記蓋体の開放によって剥離する剥離面を有することを特徴とする。
【0014】
また、上記課題を解決するため、本開示の装着キャップは、
[9]
筒状のノズル部と、該ノズル部の下方に連なり内容物の収容空間を形成する胴部と、該胴部の下端部を閉塞する底部とを有する容器本体に装着される装着キャップであって、
前記ノズル部を閉塞する蓋体と、上面が前記蓋体に接着されるバリアシートと
を有し、
前記バリアシートの下面は、前記装着キャップを前記容器本体に装着したとき前記ノズル部に接着可能であり、
前記バリアシートは、ガス又は液体の少なくとも一方の透過を抑制するバリア層を含むとともに該バリア層の下方において前記蓋体の開放によって剥離する剥離面を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、注出孔に設けたバリア材を容易に剥離して内容物の使用を開始することができるバリア性容器及び装着キャップを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本開示の第1実施形態に係るバリア性容器を示す正面一部断面図である。
【
図2】
図1における装着キャップ部分の正面拡大断面図である。
【
図4A】本開示の第1実施形態に係るバリア性容器のバリアシートに設けられたシート開口の形状の一例を示す図である。
【
図4B】本開示の第1実施形態に係るバリア性容器のバリアシートに設けられたシート開口の形状の他の例を示す図である。
【
図5】本開示の第1実施形態に係るバリア性容器において、蓋体の天壁を屈曲変形させてバリアシートを剥離面から剥離させている状態を示す正面拡大断面図である。
【
図6】本開示の第2実施形態に係るバリア性容器における装着キャップ部分の正面拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本開示の第1実施形態に係るバリア性容器100の構成について詳細に例示説明する。
【0018】
なお、本明細書及び特許請求の範囲においては、上方向は、
図1に示すようにバリア性容器100を正立姿勢とした状態における容器本体1の底部13から装着キャップ20へ向かう方向であり、下方向は装着キャップ20から容器本体1の底部13に向かう方向とする。また、蓋体25の摘み部25eが設けられる側を前方(
図1における左側)とし、その反対側を後方(
図1における右側)とする。また、上下方向及び前後方向に対して直交する方向(
図1における紙面に垂直な方向)を左右方向とする。また、径方向とは、中心軸線Oを通り当該中心軸線Oに垂直な直線に沿う方向を意味するものとし、径方向外側方向は中心軸線Oから離れる方向、径方向内側方向は中心軸線Oに向かう方向とする。
【0019】
図1に示すように、本開示の第1実施形態に係るバリア性容器100は、内容物の収容空間を備える容器本体1と、容器本体1の口部11に装着される装着キャップ20とを備えている。
【0020】
本実施形態では、容器本体1は、
図1に示すように、筒状の口部11と、口部11の下端部に肩部14を介して連なる胴部12と、胴部12の下端部を閉塞する底部13とを備えている。本実施形態において容器本体1は、合成樹脂素材で形成される積層パリソンに対し押出ブロー成形を行うことによって形作っている。そして、容器本体1を構成する材料には、例えば径方向内側より、低密度ポリエチレン(LDPE)層/接着層/エチレン-ビニルアルコール共重合樹脂(EVOH)層/接着層/LDPE層を含む積層樹脂を用いることができる。ベース層にLDPEを用いた場合、高いスクイズ性を付与することができる。しかし、この態様に限定されず、ベース層に高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)を用いた場合には、高い剛性を付与することができる。また、HDPE,LDPEに代えて、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等を用いることもできる。また、二軸延伸ブロー成形を行うことによって容器本体1を形成する場合には、容器本体1の材料にはポリエチレンテレフタレート(PET)を用いてもよい。
【0021】
例示した上記の積層樹脂において、EVOHは、ガスバリア性又は液体バリア性の少なくとも一方を備えるバリア層BC(
図2に破線で示す)として機能する。なお、バリア層BCは、EVOHのほか、ナイロン系樹脂(PA6、PA66、MXD6等)などを用いてもよい。本実施形態では、容器本体1の口部11,肩部14,胴部12及び底部13の全ての領域がバリア層BCを備えている。
【0022】
容器本体1は、少なくともバリア層BCを含んでいればよく、樹脂の種類や積層数についても上記の例には限定されない。
【0023】
装着キャップ20は、
図2に示すように、容器本体1の口部11に装着される筒状の外周壁21と、外周壁21の上端部に連なる天壁22と、天壁22の径方向略中央位置に立設されたノズル部23と、ノズル部23の基端部から下方に垂下し口部11の内面に当接して口部11を液密にシールするシール筒22bと、外周壁21にヒンジ部21cを介して一体形成され連結された蓋体25とを備えている。
【0024】
ノズル部23は、
図2に示すように、上方に向かって縮径しており、ノズル部23の上端部は、ノズル開口23aを形成している。ノズル部23の上端部には、後述する薄板状のバリアシート24が接着されており、蓋体25を初めて開放する際にバリア層24c(
図3参照)を含むバリアシート24の一部が剥離面から剥離して蓋体25側へと離隔する。バリアシート24の上面は、
図2に示すように蓋体25の天壁25bから垂下するシート保持筒25fの下面に接着されている。
【0025】
なお、本実施形態においてノズル部とは、容器本体1内に収容された内容物を開口制限しながら外部に導く流路が形成された部位であり、本実施形態における装着キャップ20に設けられたノズル部23のほか、後述する第2実施形態のように容器本体1の口部11にノズル部15が設けられる構成であってもよい(
図6参照)。
【0026】
本実施形態では、装着キャップ20の外周壁21の下端部からノズル部23の上端部に至るまで、バリア層BNが形成されている(
図2に破線で示す)。バリア層BNは、ガスバリア性又は液体バリア性の少なくとも一方を備えている。バリア層BNを含む装着キャップ20の構成としては、例えばポリエチレン(PE)/EVOH/ポリエチレン(PE)の3層構成とすることができ、EVOHがバリア層BNとして機能する。しかし、この態様には限定されず、バリア層BNには、ナイロン系樹脂(PA6、PA66、MXD6等)などを用いてもよい。また、PEに代えてポリプロピレン(PP)などの他の合成樹脂を用いてもよい。装着キャップ20は、少なくともバリア層BNを含んでいればよく、樹脂の種類や積層数についても上記の例には限定されない。
【0027】
本実施形態では、
図2に示すように、外周壁21の下端部からノズル部23の上端部に至るまで、バリア層BNを設けるように構成したが、この態様には限定されず、少なくとも口部11の上端部と装着キャップ20の天壁22との当接領域及びその上方にバリア層BNが設けられていればよい。すなわち、
図2の例において外周壁21及び天壁22の外縁部にはバリア層BNが設けられていなくてもよい。
【0028】
バリアシート24は、例えば
図3に示す層構成を備えることができる。図示する例では、バリアシート24は、収容空間側(
図3における下側)から順に、ベース層24a(LDPE層)、易剥離性接着層24b/バリア層24c(アルミニウム(AL)層)/接着層24d、からなる4層構成である。なお、バリア層24cはガスバリア性又は液体バリア性の少なくとも一方を備えていればよいが、ガスバリア性を備えていることが好ましく、またアルミニウム(AL)層には限定されない。また、バリア層24cは単層に限らず、例えばポリエステル層とAL層の積層構成であってもよい。バリアシート24が溶着されるノズル部23やシート保持筒25fの材質により、溶着性を考慮してバリアシート24の層構成は適宜変更可能である。易剥離性接着層24bには、例えば三菱ケミカル株式会社製イージーピール性樹脂「モディック」(登録商標)、型名:M512 等を用いることができる。また、接着層24dには、例えば三菱ケミカル株式会社製接着性樹脂「モディック」(登録商標)、型名:M506 とLDPEとを1:1でブレンドした接着層を用いることができる。最下層であるベース層24aとノズル部23の上面との接着には、例えば超音波や高周波誘導加熱による融着等を用いてもよい。また、バリアシート24の上面と蓋体25のシート保持筒25fとの接着は、上述の接着層24dにより行われる。なお、上述の層構成の場合、易剥離性接着層24bとバリア層24cとの境界が剥離面となる。バリアシート24は、少なくとも易剥離性接着層24bとバリア層24cを含んでいればよく、樹脂の種類や積層数は上記の例には限定されない。また、バリアシート24は、バリア層24cの下方において剥離面を有していればよいが、この場合の「バリア層24cの下方」とは、バリア層24cの下面も含む意味である。
【0029】
図4A及び
図4Bには、ベース層24a及び易剥離性接着層24bに形成される、注出孔の機能を果たすシート開口24h,24sの例を示している。後述するように、バリアシート24を構成する層のうち、バリア層24c及び接着層24dは、蓋体25の開放とともに易剥離性接着層24bから剥離して離隔するため、ベース層24a及び易剥離性接着層24bのみにシート開口24h,24sを形成しておけば、ノズル部23から内容物を注出させる孔として機能させることができる。
【0030】
図4Aの例では、シート開口24hは、周方向の3箇所に略等間隔で形成された孔である。このような構成によって、シート開口24hの大きさを変えることでシート開口24hから注出される内容物の流量をコントロールすることができる。
【0031】
図4Bの例では、シート開口24sは、径方向略中央位置に設けられた十字状のスリットである。このような構成によって、容器本体1の胴部12を押圧する押圧力を変えることでスリットの開き方を制御することができるので、シート開口24sから注出される内容物の流量をコントロールすることができる。
【0032】
なお、シート開口24h,24sの形状、大きさ、数及び位置については上記例に限定されるものではなく、注出される内容物の流量等に応じて適宜定めることができる。本実施形態では、剥離面よりも下側の全ての層がノズル部23の注出孔を画定するシート開口24h,24sを備えている。
【0033】
上述のようにベース層24aは、シート開口24h、24sを形成するため、バリアシート24における他の層よりも厚く形成することが好ましい。本実施形態において、ベース層24a及びバリア層24cの厚みはそれぞれ30μm及び30μmとされている。
【0034】
装着キャップ20の外周壁21は、容器本体1への装着時に、口部11を径方向外側から囲み、外周壁21の内面には、口部11の外面に設けられた雄ねじ部11aにねじ係合する雌ねじ部21aが設けられている。外周壁21の上端部には、ヒンジ部21cの一方の端部が連結されており、このヒンジ部21c周りに蓋体25が回動可能に連結されている。
【0035】
蓋体25は、
図2に示すように、天壁25bと、天壁25bの外周縁から垂下しヒンジ部21cと下端部で連結される蓋体周壁25aと、天壁25bから垂下しバリアシート24の上面を接着により保持するシート保持筒25fと、シート保持筒25fの径方向外側において天壁25bから垂下しノズル部23を径方向外側からシールするシール筒25dと、天壁25bに設けられノズル部23側に凸となるように蓋体25の天壁25bを屈曲変形させる屈曲溝25cとを備えている。
【0036】
屈曲溝25cは、
図2に示す例では、天壁25bの下面が上方に凹むことによって設けられたヒンジ状の部位である。屈曲溝25cは、例えば
図2において左右方向(
図2の紙面に垂直方向)に延びるように形成されてもよい。後述するように利用者が蓋体25の摘み部25eを摘んで上方に引き上げることによって、当該屈曲溝25cの凹所が前後方向に広がるように弾性変形して摘み部25e側(
図2の左側)の天壁25bをノズル部23側に凸となるように上方に反らせることができる。これによって、摘み部25e側(
図2の左側)において、シート保持筒25fが上方に引き上げられるため、シート保持筒25fと接着されたバリアシート24が剥離面から容易に剥離してバリア層24c及び接着層24dのみが上方に変位する(
図5参照)。このように屈曲溝25cを設けることでバリアシート24の剥離を容易化することができる。
【0037】
以上のような構成を有するバリア性容器100を使用するに際しては、利用者は、蓋体25の摘み部25eを摘んで上方に引き上げ、天壁22の係合突部22aと蓋体周壁25aの係合突起25a1との係合を解除して蓋体25をヒンジ部21c周りに約180度回動させてノズル部23を開放する。上述のように、利用者が蓋体25の摘み部25eを摘んで上方に引き上げることによって、当該屈曲溝25cの凹所が前後方向に広がるように弾性変形して摘み部25e側(
図5の左側)の天壁25bをノズル部23側に凸となるように上方に反らせることができる。これによって、摘み部25e側(
図5の左側)において、シート保持筒25fが上方に引き上げられるため、シート保持筒25fと接着されたバリアシート24が剥離面から容易に剥離してバリア層24c及び接着層24dのみが上方に変位する(
図5参照)。
【0038】
図5に示すように、蓋体25の開放に伴い、バリアシート24の摘み部25e側(
図5の左側)における剥離を起点として、バリアシート24は、剥離面で剥離してバリア層24c及び接着層24dのみが蓋体25とともに上方に持ち上げられる。この蓋体25の開放操作によって、ノズル部23の上端部には、バリアシート24のうちベース層24a及び易剥離性接着層24bのみが残った状態となる。
【0039】
ベース層24a及び易剥離性接着層24bには、
図4A及び
図4Bに例示したようにシート開口24h,24sが設けられているため、利用者は、容器本体1の胴部12を把持してノズル部23が底部13よりも下方に位置するように傾倒姿勢とすることによって、収容空間内の内容物を外部に注出することができる。また、容器本体1がLDPEなどのスクイズ性に優れた材料で形成されている場合には、容器本体1の傾倒姿勢に代えて、又は傾倒姿勢とともに容器本体1の胴部12をスクイズして収容空間内の圧力を高めることによっても内容物をシート開口24h,24sを通じて外部に注出することができる。
【0040】
本実施形態では、上述のように、容器本体1の口部11,肩部14,胴部12及び底部13の全領域にバリア層BCを設けている。また、容器本体1の口部11に装着される装着キャップ20についても外周壁21の下端部からノズル部23の上端部に至るまでバリア層BNを設けている。更に、ノズル部23のノズル開口23aを、バリア層24cを含むバリアシート24で閉塞するように構成している。この構成によって、バリアシート24を剥離させない未使用状態において、容器本体1内の内容物をバリア層BC,BN,24cにより完全に囲むことができる。したがって、外部からガスや液体が容器本体1の収容空間内に侵入するのを効果的に抑制することができる。
【0041】
以上述べたように、本実施形態は、内容物を注出する筒状のノズル部23と、ノズル部23の下方に連なり、内容物の収容空間を形成する胴部12と、胴部12の下端部を閉塞する底部13と、ノズル部23を閉塞する蓋体25と、上面が蓋体25に接着されるとともに下面がノズル部23に接着されるバリアシート24とを備え、バリアシート24は、ガス又は液体の少なくとも一方の透過を抑制するバリア層24cを含むとともにバリア層24cの下方において蓋体25の開放によって剥離する剥離面を有するように構成した。このような構成の採用によって、蓋体25を開放する操作によってノズル部23に装着されていたバリアシート24のバリア層24cを自動的に剥離面で剥離させて蓋体25側に移行させることができる。したがって、利用者が注出孔に設けたバリア材(バリア層24c)を容易に剥離して内容物の使用を開始することができる。
【0042】
また、本実施形態では、バリアシート24は、剥離面よりも下側の層がノズル部23の注出孔を画定するシート開口24h,24sを備えるように構成した。このような構成の採用によって、内容物をガスや液体から保護するバリア層24cと内容物を注出する注出孔(シート開口24h、24s)とを一体形成することができるので、部材コストや組立コストを抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態では、バリアシート24は、剥離面よりも下側の層がノズル部23の注出孔を画定するシート開口24h,24sを備えるように構成した。このような構成の採用によって、バリアシート24を剥離させない未使用状態において、容器本体1内の内容物をガスバリア性又は液体バリア性の少なくとも一方を備えるバリア層BC,BN,24cにより囲むことができる。したがって、外部からガスや液体が容器本体1の収容空間内に侵入するのを効果的に抑制することができる。
【0044】
また、本実施形態では、バリアシート24は、バリア層24cとしてアルミニウム層を有するように構成した。このような構成の採用によって、バリア層24cがガスバリア性及び液体バリア性の双方に優れるため、容器本体1内の内容物の変質や劣化を効果的に抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態では、蓋体25の天壁25bは、天壁25bを屈曲させる屈曲溝25cを有するように構成した。このような構成の採用によって、蓋体25の摘み部25eを摘み上げる操作によって蓋体25の天壁25bをノズル部側に凸となるように屈曲変形させてバリアシート24の端部を剥離させることができるので、利用者がバリアシート24を剥離させる動作を意識することなく行わせて内容物の利用を開始することができる。
【0046】
また、本実施形態では、筒状の口部11と、口部11の下端部に連なり内容物の収容空間を形成する胴部12と、胴部12の下端部を閉塞する底部13とを有する容器本体1と、容器本体1の口部11に装着される装着キャップ20とを備え、装着キャップ20は、内容物を注出する筒状のノズル部23を有するように構成した。このような構成の採用によって、ノズル部23、蓋体25及びバリアシート24を有する装着キャップ20を組み立てた状態であらかじめ用意しておき、容器本体1への内容物の充填が完了したとき、装着キャップ20を容器本体1の口部11に装着するだけで内容物を外部からバリアして保存することができる。したがって、内容物の充填工程を簡素化することができる。
【0047】
また、本実施形態は、筒状の口部11と、口部11の下端部に連なり内容物の収容空間を形成する胴部12と、胴部12の下端部を閉塞する底部13とを有する容器本体1の口部11に装着される装着キャップ20であって、内容物を注出する筒状のノズル部23と、ノズル部23を閉塞する蓋体25と、上面が蓋体25に接着されるとともに下面がノズル部23に接着されるバリアシート24とを有し、バリアシート24は、ガス又は液体の少なくとも一方の透過を抑制するバリア層24cを含むとともにバリア層24cの下方において蓋体25の開放によって剥離する剥離面を有するように構成した。このような構成の採用によって、蓋体25を開放する操作によってノズル部23に装着されていたバリアシート24のバリア層24cを剥離面で剥離させて自動的に蓋体25側に移行させることができる。したがって、利用者が注出孔に設けたバリア材(バリア層24c)を容易に剥離して内容物の使用を開始することができる。
【0048】
次に、本開示の第2実施形態に係るバリア性容器200の構成について例示説明する。
【0049】
なお、本実施形態は、第1実施形態と比較して、容器本体1の口部11や装着キャップ20の形状、並びに装着キャップ20の材質が異なるほかは、第1実施形態と近似する構成を備えている。したがって、ここでは、第1実施形態との差異点を中心に説明する。
【0050】
本実施形態では、容器本体1は、
図1に示すものと近似する構成を有するが、口部11の先端部にノズル部15が一体に設けられている点で第1実施形態と異なる。本実施形態のノズル部15は、雄ねじ部11aが設けられた口部11よりも縮径された筒状の部位であり、口部11の先端部から更に上方に延びている。ノズル部は、第1実施形態でも定義したように、容器本体1内に収容された内容物を開口制限しながら外部に導く流路が形成された部位である。ノズル部15の上端部には、第1実施形態と同様の層構成(
図3参照)を有する薄板状のバリアシート24が接着されており、蓋体25を初めて開放する際にバリア層24cを含むバリアシート24の一部が剥離面から剥離して蓋体25側へと離隔する。バリアシート24の上面は、
図6に示すように蓋体25の天壁25bから垂下するシート保持筒25fの下面に接着されている。容器本体1を形成する材料や、口部11以外の形状については第1実施形態と同様であるので、ここでのさらなる説明は省略する。
【0051】
装着キャップ20は、
図6に示すように、容器本体1の口部11に装着される筒状の外周壁21と、外周壁21の上端部に連なる天壁22と、外周壁21にヒンジ部21cを介して一体形成され連結された蓋体25とを備えている。外周壁21の内面に設けられた雌ねじ部21aを口部11の外面に設けられた雄ねじ部11aにねじ係合させつつ天壁22の下面をノズル部15の基端部に設けた当接面に当接させることによって、装着キャップ20は容器本体1の口部11に装着されている。
【0052】
本実施形態では、第1実施形態とは異なり、装着キャップ20にはバリア層が設けられていない。
図6に示すように、本実施形態に用いられている容器本体1は、第1実施形態と同様に、口部11,ノズル部15,肩部、胴部及び底部の全ての領域にバリア層BCが設けられている。したがって、
図6に示すように、ノズル部15の上端部にバリアシート24を接着することによって、容器本体1内の内容物は、バリア層BC及び24cによって完全に覆うことができる。したがって、本実施形態では、装着キャップ20に更なるバリア層を設ける必要がない。
【0053】
装着キャップ20は、例えばポリエチレン(PE)によって形成することができるが、この態様には限定されず、ポリプロピレン(PP)など他の合成樹脂によって形成することもできる。
【0054】
バリアシート24の層構成及びシート開口24h,24sの構成は、
図3、
図4A及び
図4Bに示した第1実施形態の構成と同様であるので、ここでの更なる説明は省略する。
【0055】
以上述べたように、本実施形態では、筒状の口部11と、口部11の下端部に連なり内容物の収容空間を形成する胴部12と、胴部12の下端部を閉塞する底部13とを有する容器本体1と、容器本体1の口部11に装着される装着キャップ20とを備え、ノズル部15は、口部11の先端部に設けられるように構成した。このような構成の採用によって、バリア層BC,24cを容器本体1及びバリアシート24のみに設けることで容器本体1内にガスや液体が侵入することを抑制することができるので、装着キャップ20にバリア層を設ける必要が無く、装着キャップ20のコストを抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態は、筒状のノズル部15と、ノズル部15の下方に連なり内容物の収容空間を形成する胴部12と、胴部12の下端部を閉塞する底部13とを有する容器本体1に装着される装着キャップ20であって、ノズル部15を閉塞する蓋体25と、上面が蓋体25に接着されるバリアシート24とを有し、バリアシート24の下面は、装着キャップ20を容器本体1に装着したときノズル部15に接着可能であり、バリアシート24は、ガス又は液体の少なくとも一方の透過を抑制するバリア層24cを含むとともにバリア層24cの下方において蓋体25の開放によって剥離する剥離面を有するように構成した。このような構成の採用によって、蓋体25を開放する操作によってノズル部15に装着されていたバリアシート24のバリア層24cを剥離面で剥離させて自動的に蓋体25側に移行させることができる。したがって、利用者が注出孔に設けたバリア材(バリア層24c)を容易に剥離して内容物の使用を開始することができる。
【0057】
本開示を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0058】
例えば、第1及び第2実施形態において、装着キャップ20は、ねじ係合によって容器本体1の口部11に装着されるように構成したが、この態様には限定されず、打栓係合によって口部11に装着されるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1 容器本体
11 口部
11a 雄ねじ部
12 胴部
13 底部
14 肩部
15 ノズル部
20 装着キャップ
21 外周壁
21a 雌ねじ部
21c ヒンジ部
22 天壁
22a 係合突部
22b シール筒
23 ノズル部
23a ノズル開口
24 バリアシート
24a ベース層
24b 易剥離性接着層
24c (バリアシートの)バリア層
24d 接着層
24h,24s シート開口
25 蓋体
25a 蓋体周壁
25a1 係合突起
25b 天壁
25c 屈曲溝
25d シール筒
25e 摘み部
25f シート保持筒
100,200 バリア性容器
BC (容器本体の)バリア層
BN (ノズル部の)バリア層
O 中心軸線