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特開2024-18799樹脂スプリング、液体噴出器及び液体噴出容器
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  • 特開-樹脂スプリング、液体噴出器及び液体噴出容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024018799
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】樹脂スプリング、液体噴出器及び液体噴出容器
(51)【国際特許分類】
   F16F 1/36 20060101AFI20240201BHJP
   F04B 9/14 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
F16F1/36 Z
F04B9/14 B
F16F1/36 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022122344
(22)【出願日】2022-07-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】藤原 宏太郎
(72)【発明者】
【氏名】當麻 徹
【テーマコード(参考)】
3H075
3J059
【Fターム(参考)】
3H075AA01
3H075BB03
3H075CC32
3H075DA30
3H075DB13
3H075DB14
3H075DB38
3J059AB11
3J059AD05
3J059BA31
3J059BB03
3J059BC04
3J059EA03
3J059GA50
(57)【要約】
【課題】複雑な構造の金型を用いることなく、離型の容易な樹脂スプリング、当該樹脂スプリングを備えた液体噴出器及び液体噴出容器を提供する。
【解決手段】樹脂スプリング1は、一平面を形成するように1列に配置された複数のリング2と、複数のリング2の隣り合う部分を連結するヒンジと、ヒンジ3を折り曲げたときに当該ヒンジ3によって連結された2つのリング2が当該2つのリング2の間に開き角度θを残すように互いに接触する、一対の突起4と、を備えており、複数のリング2、ヒンジ3及び一対の突起4が樹脂によって一体的に形成されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一平面を形成するように1列に配置された複数のリングと、前記複数のリングの隣り合う部分を連結するヒンジと、前記ヒンジを折り曲げたときに当該ヒンジによって連結された2つのリングが当該2つのリングの間に鋭角の開き角度を残すように互いに接触する、一対の突起と、を備えており、前記複数のリング、前記ヒンジ及び前記一対の突起が樹脂によって一体的に形成されている、樹脂スプリング。
【請求項2】
前記複数のリングが3つ以上のリングであり、前記一対の突起の突出方向は、当該一対の突起と隣り合う他の一対の突起の突出方向と反対である、請求項1に記載された樹脂スプリング。
【請求項3】
前記突起は、ヒンジ幅の全体にわたって延在している、請求項1に記載された樹脂スプリング。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載された樹脂スプリングと、前記樹脂スプリングによって初期状態に付勢される操作部材とを備える、液体噴出器。
【請求項5】
請求項4に記載された液体噴出器と、前記液体噴出器が取り付けられた容器本体とを備える、液体噴出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂スプリング、液体噴出器及び液体噴出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の樹脂スプリングには、液体噴出ポンプの押し下げヘッドを初期状態に付勢するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。また、従来の他の樹脂スプリング部材には、トリガー式液体噴出ポンプのトリガーを初期状態に付勢するものも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-17005号公報
【特許文献2】特開平10-30667号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
こうした樹脂スプリングは、例えば、金型を用いることによって成形することができる。
【0005】
しかしながら、上記従来の樹脂スプリングはいずれも予め、コイル状の三次元形状に形作られている。このため、上記従来の樹脂スプリングを成形する場合、離型時にアンダーカット(成形品を金型から取り出せない状態)を生じさせないように、使用される金型の構造を複数の部分に分割可能な構造にしておく必要がある。つまり、従来の樹脂スプリングには、その成形を行う場合、複雑な構造の金型を用いる必要がある点において、改善の余地がある。
【0006】
本発明の目的は、複雑な構造の金型を用いることなく、離型の容易な樹脂スプリング、当該樹脂スプリングを備えた液体噴出器及び液体噴出容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明に係る、樹脂スプリングは、一平面を形成するように1列に配置された複数のリングと、前記複数のリングの隣り合う部分を連結するヒンジと、前記ヒンジを折り曲げたときに当該ヒンジによって連結された2つのリングが当該2つのリングの間に鋭角の開き角度を残すように互いに接触する、一対の突起と、を備えており、前記複数のリング、前記ヒンジ及び前記一対の突起が樹脂によって一体的に形成されている。
【0008】
(2)上記(1)の樹脂スプリングにおいて、前記複数のリングが3つ以上のリングであり、前記一対の突起の突出方向は、当該一対の突起と隣り合う他の一対の突起の突出方向と反対であることが好ましい。
【0009】
(3)上記(1)又は(2)の樹脂スプリングにおいて、前記突起は、ヒンジ幅の全体にわたって延在していることが好ましい。
【0010】
(4)本発明に係る、液体噴出器は、上記(1)~(3)のいずれか1つの樹脂スプリングと、前記樹脂スプリングによって初期状態に付勢される操作部材とを備える。
【0011】
(5)本発明に係る、液体噴出容器は、上記(4)の液体噴出器と、前記液体噴出器が取り付けられた容器本体とを備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複雑な構造の金型を用いることなく、離型の容易な樹脂スプリング、当該樹脂スプリングを備えた液体噴出器及び液体噴出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る液体噴出容器を概略的に一部断面で示す側面図であり、当該液体噴出容器は、本発明の一実施形態に係る液体噴出器を備えており、さらに、当該液体噴出器は、本発明の一実施形態に係る樹脂スプリングを備えている。
図2図1の樹脂スプリングを形成するための成形品を概略的に示す平面図である。
図3図2の領域A1を拡大して示す平面図である。
図4図2の成形品をX-X平面を断面として視たときの断面図である。
図5図4の領域A2を拡大して示す断面図である。
図6図2の成形品によって形成された樹脂スプリングを示す断面図であり、当該樹脂スプリングは、外力が負荷されていない初期状態で示されている。
図7図6の領域A3を拡大して示す断面図である。
図8図6の樹脂スプリングに外力を負荷した状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の一実施形態に係る、樹脂スプリング、当該樹脂スプリングを備えた液体噴出器及び液体噴出容器について説明をする。
【0015】
図1中、符号100は、本発明の一実施形態に係る液体噴出容器である。符号Оは、液体噴出容器100の中心軸線である。図1において、液体噴出容器100の一部は、軸線Оを含む平面を断面として示されている。
【0016】
液体噴出容器100は、本発明の一実施形態に係る液体噴出器10と、液体噴出器10が取り付けられた容器本体20とを備えている。本開示において、液体噴出器10の中心軸線と容器本体20の中心軸線とは、液体噴出容器100の中心軸線О(以下、「軸線О」ともいう。)と同一である。また、本開示において、軸線Оに沿って延在する方向を「軸線方向」ともいう。また、本開示において、軸線方向に対して直交する方向を径方向ともいう。さらに、本開示において、径方向のうち、軸線Оに向かう側を径方向内側といい、軸線Оから遠ざかる側を径方向外側という。
【0017】
本開示において、容器本体20は、いわゆるボトル容器である。容器本体20は、口部21と、口部21に連なるネック部22と、ネック部22に連なる肩部23と、肩部23に連なる胴部24と、胴部24に連なる底部(図示省略。)と、を備えている。胴部24の下端は、前記底部によって閉じられている。容器本体20の内側には、液体を収容可能な収容空間S20が形成されている。口部21の内側には、収容空間S20に通じる開口が形成されている。容器本体20は、例えば、合成樹脂を用いたブロー成形によって形成することができる。ただし、容器本体20の製造方法は、ブロー成形に限定されるものではなく、様々な方法によって製造することができる。
【0018】
本開示において、液体噴出器10は、容器本体20の口部21の内側に形成された前記開口を通して、収容空間S20に配置されるシリンダ12と、シリンダ12の上端に取り付けられたシリンダカバー13と、シリンダ12及びシリンダカバー13の間に配置されてシリンダ12の内側を摺動可能な中空ピストン14と、シリンダ12の液体流入側を開閉可能な流入弁15と、中空ピストン14の内側を摺動可能なバルブプランジャ16と、バルブプランジャ16が固定されるステム17と、を備えている。バルブプランジャ16は、中空ピストン14とともにシリンダ12の液体流出側を開閉可能な流出弁を形成する。つまり、本開示において、液体噴出器10のポンプ空間S10は、シリンダ12、シリンダカバー13、中空ピストン14、流入弁15及びバルブプランジャ16によって形成されている。
【0019】
本開示において、液体噴出器10はさらに、容器本体20の口部21に装着可能な装着筒11を備えている。本開示において、装着筒11は、容器本体20の口部21との間に形成されたねじ部によってねじ付けられることによって、当該口部21に装着させることができる。ただし、装着筒11は、ねじ付けによって、容器本体20の口部21に装着されるものに限定されない。また、本開示において、装着筒11は、シリンダカバー13と一体的に形成されているが、シリンダカバー13と別体に設けることもできる。
【0020】
さらに、本開示において、液体噴出器10は、噴出口A18を備える噴出ヘッド18と、本発明の一実施形態に係る、樹脂スプリング1を備えている。樹脂スプリング1は、シリンダカバー13と噴出ヘッド18との間に配置されている。樹脂スプリング1は、シリンダカバー13に対して噴出ヘッド18を上側に付勢する。これによって、噴出ヘッド18は、上側に付勢された状態を初期状態とすることができる。
【0021】
噴出ヘッド18は、ノズル18aを備えている。噴出口A18は、ノズル18aの先端に形成されている。本開示において、噴出ヘッド18は、ステム17と一体的に形成されている。ただし、噴出ヘッド18は、ステム17と別体に設けることができる。また、噴出ヘッド18は、ノズル18aを省略することができる。
【0022】
図2は、樹脂スプリング1を形成するための成形品1Aを概略的に示す平面図である。図2に示すように、成形品1Aは、一平面を形成するように1列に配置された複数のリング2を備えている。本開示において、複数のリング2は、図2に示すように、平面視において、直線L1を中心線に一直線に配置されている。直線L1(以下、「平面視中心線L1」ともいう。)は、図2に示すように、平面視において、各リング2の中心軸線О2を通る直線である(図2では、代表として、1つの符号О2が示されている。)。また、複数のリング2はそれぞれ、互いに隣り合う部分をヒンジ3によって連結されている。また、リング2とヒンジ3との間には、突起4が設けられている。突起4は、ヒンジ3を挟んで一対をなしており、当該一対の突起4はそれぞれ、同じ向きに突出している。これによって、2つの突起4によって挟まれたヒンジ3を折り曲げることによって、当該2つの突起4の一方を他方に接近させたとき、当該2つの突起4を接触させることができる(図6参照。)。
【0023】
図3は、図2の領域A1を拡大して示す平面図である。図3を参照すれば、突起4は、ヒンジ幅方向に沿って延在している。ここで、ヒンジ幅方向とは、ヒンジ幅W3が延在する方向である。ヒンジ幅W3は、図3に示すように、ヒンジ3の2つの側面3fの間の幅をいう。本開示において、突起4は、ヒンジ幅方向に沿って延在しているとともにヒンジ幅W3の全体にわたって延在している。さらに本開示において、突起4には、平坦な接触面F4が形成されている。本開示において、接触面F4もまた、ヒンジ幅方向に沿って延在しているとともにヒンジ幅W3の全体にわたって延在している。
【0024】
図4は、図2の成形品1AをX-X平面を断面として視たときの断面図である。ここで、X-X平面は、各リング2の中心軸線О2を含む平面である。本開示において、X-X平面は、図2に示すように、平面視において、平面視中心線L1と一致する。また、図4を参照すれば、本開示において、複数のリング2は、側面視において、直線L2を中心線に一直線に配置されている。これによって、本開示において、複数のリング2は、Y-Y平面に沿って当該Y-Y平面を形成するように直線的に配置されている。つまり、本開示において、成形品1Aは、同一平面を形成するように1列に配置された複数のリング2を備えている。ここで、Y-Y平面は、X-X平面に対して直交する平面である。Y-Y平面は、直線L2(以下、「側面視中心線L2」ともいう。)を含む平面である。つまり、本開示において、Y-Y平面は、図4に示すように、側面視において、側面視中心線L2と一致する。
【0025】
図5は、図4の領域A2を拡大して示す断面図である。図5に示すように、ヒンジ3は、リング2よりも厚さの薄い薄肉部によって形成されている。本開示において、ヒンジ3は、図5に示すように、リング2の軸線方向端面に近い位置に配置されている。詳細には、ヒンジ3は、図5に示すように、側面視において、側面視中心線L2よりも、突起4に近い位置に配置されている。言い換えれば、ヒンジ3は、当該ヒンジ3が折り曲げられるときの折り曲げ方向に近い側に配置されている。
【0026】
加えて、突起4の接触面F4は、ヒンジ3を挟んで向かうように傾斜する傾斜面である。これによって、2つの突起4を接近させるようにヒンジ3を折り曲げることによって、当該2つの突起4の接触面F4を互いに接触させたとき、2つのリング2の間のなす折り曲げ側の角度(開き角度)θは鋭角となる(例えば、図6参照。)。
【0027】
ところで、成形品1Aのように、3つ以上のリング2をヒンジ3によって直線的に1列に連結する場合、ヒンジ3の個数も複数となる。つまり、ヒンジ3の個数に対応する、一対の突起4の個数も複数となる。例えば、図4を参照すれば、本開示において、成形品1Aは、3つ以上のリング2を備えている。したがって、ヒンジ3の個数も複数となるとともに一対の突起4の個数も複数となる。この場合、図4に示すように、ヒンジ3を挟んで配置された一対の突起4の突出方向は、当該一対の突起4と隣り合う、他の一対の突起4の突出方向と反対にする。図4を参照すれば、図面上側の位置に配置された、一対の突起4は、図面右側に向かって突出しているのに対し、当該一対の突起4よりも図面下側の位置に配置された、他の一対の突起4は、図面左側に向かって突出している。つまり、本開示において、ヒンジ3を挟んで配置された一対の突起4がY-Y平面に対して突出する向きは、成形品1Aの長手延在方向(側面視中心線L2又は平面視中心線L1)に沿って、順次、反対の向きとなる。これによって、図4の成形品1Aは、2つのリング2の間に鋭角の開き角度(θ)を残すように、複数のリング2を交互に折り重ねることができる。
【0028】
図6には、成形品1Aを用いて形成された樹脂スプリング1が示されている。本開示において、樹脂スプリング1は、ヒンジ3を挟んで配置された一対の突起4が互いに接触するように、当該ヒンジ3を折り曲げることによって形成されている。これによって、樹脂スプリング1は、図6に示すように、側面視において、複数のリング2がジグザグに折り重ねられた形状を有している。
【0029】
図4に戻ると、本開示の成形品1Aにおいて、リング2の個数は6つである。この場合、成形品1Aのヒンジ3の個数は5つとなり、そして、ヒンジ3を挟んだ位置に配置された一対の突起4の個数もまた5つとなる。このため、図4の成形品1Aを用いることによって、5つのヒンジ3をそれぞれ、当該ヒンジ3を挟んだ位置に配置された一対の突起4が互いに接触するまで折り曲げれば、図6に示すように、6つのリング2がジグザグに折り重ねられた樹脂スプリング1を形成することができる。特に、ヒンジ3を挟んだ一対の突起4の一方は、図6に示すように、ヒンジ3の折り曲げによって当該一対の突起4の他方と接触する。これによって、樹脂スプリング1は、2つのリング2の間に開き角度θを残すように、6つのリング2がジグザグに折り重ねられた形状となる。このように、成形品1Aによれば、一対の突起4が接触するように5つのヒンジ3を折り曲げるだけの簡単な作業によって、樹脂スプリング1を容易に形成することができる。
【0030】
つまり、樹脂スプリング1は、一平面を形成するように1列に配置された複数のリング2と、複数のリング2の隣り合う部分を連結するヒンジ3と、ヒンジ3を折り曲げたときに当該ヒンジ3によって連結された2つのリング2が当該2つのリング2の間に鋭角の開き角度θを残すように互いに接触する、一対の突起4と、を備えており、複数のリング2、ヒンジ3及び一対の突起4が樹脂によって一体的に形成されている。これによって、樹脂スプリング1は、図2の成形品1Aのような、複数のリング2を連ねた平たい状態で成形することができる。このため、樹脂スプリング1を成形するための金型構造は、例えば、上型と下型とを備え、その離型が上下抜きという簡便な金型構造とすることができる。したがって、本発明によれば、複雑な構造の金型を用いることなく、離型の容易な樹脂スプリング1、当該樹脂スプリング1を備えた液体噴出器10及び液体噴出容器100を提供することができる。なお、複数のリング2の配列において「一平面を形成するように」とは、「同一の平面を形成する」ことが好ましいが、これに限定されるものではない。ここで、「一平面を形成するように」とは、樹脂スプリング1を形成するための成形品1Aが離型の容易な板状の成形品であればよいことを意味する。このため、成形品1Aは、本実施形態のような、真っ平らな成形品に限定されるものではない。成形品1Aは、例えば、上下抜きによって離型が容易であれば、2つのリング2の間が屈曲している成形品、2つのリング2の間に段差が形成されている成形品であってもよい。
【0031】
加えて、一対の突起4の一方は、ヒンジ3の折り曲げによって、当該一対の突起4の他方に接触する。この場合、互いに接触する一対の突起4は、1つの剛体のように機能させることができる。
【0032】
図7は、図6の領域A3を示す拡大図である。本開示において、一対の突起4はそれぞれ、互いに接触可能な接触面F4を有し、当該接触面F4は、平坦な傾斜面である。このため、2つの接触面F4は、図7に示すように、ヒンジ3の折り曲げによって互いにより密に接触することができる。
【0033】
従来の樹脂スプリングは、例えば、2つのリング2の間に、当該2つのリングに連なる屈曲部が形成された、三次元形状を有している。樹脂スプリングが外力を受けて伸縮するとき、当該屈曲部には、樹脂スプリングの伸縮に伴う変形が集中する。したがって、従来の樹脂スプリングは、繰り返し作動させることによって、前記屈曲部において、へたり(永久変形)を生じやすい。このため、従来の樹脂スプリングには、耐久性の面で改善の余地がある。
【0034】
これに対し、樹脂スプリング1は、例えば、図8に示すように外から加わる負荷によって圧縮されると、ヒンジ3を挟んだ位置に配置された一対の突起4を互いに密に接触させる。これによって、従来の樹脂スプリングの屈曲部に相当する、互いに密に接触する一対の突起4は、1つの剛体のように機能する。つまり、樹脂スプリング1は、従来の樹脂スプリングの屈曲部に相当する部分ではなく、リング2そのものがたわむことによって、圧縮に対する反発力を発揮させることができる。このように、樹脂スプリング1によれば、従来の樹脂スプリングの屈曲部に相当する部分ではなく、リング2そのものをたわませるようにしたことで、樹脂スプリング1の変形による負荷を分散することができる。したがって、樹脂スプリング1によれば、繰り返し使用によるへたり(永久変形)を軽減することができる。
【0035】
特に、樹脂スプリング1において、複数のリング2が3つ以上のリング2であり、一対の突起4が突出する向きは、当該一対の突起4と隣り合う、他の一対の突起4が突出する向きと反対である。この場合、樹脂スプリング1は、図6に示すように、コイルスプリングに近い形状になるため、より実用性に優れた樹脂スプリングとなる。
【0036】
また、本開示において、一対の突起4はそれぞれ、図3に示すように、ヒンジ幅W3の全体にわたって延在している。この場合、樹脂スプリング1の繰り返し使用によるへたり(永久変形)を、より軽減することができる。
【0037】
また、液体噴出器10は、樹脂スプリング1と、樹脂スプリング1によって初期状態に付勢される操作部材とを備える。本開示において、前記操作部材は、噴出ヘッド18である。ただし、液体噴出器10は、トリガー式液体噴出器とすることができる。この場合、前記操作部材は、トリガーである。
【0038】
また、本開示において、液体噴出容器100は、噴出ヘッド18を備えた液体噴出器10と、液体噴出器10が取り付けられた容器本体20とを備えるものとしたが、当該液体噴出器10は、上述のとおり、トリガーを備えたトリガー式液体噴出器と、当該トリガー式液体噴出器が取り付けられた容器本体20とを備えるものとすることができる。
【0039】
以上、本発明のいくつかの実施形態に係る、樹脂スプリング、当該樹脂スプリングを備えた液体噴出器及び液体噴出容器について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものでなく、特許請求の範囲に記載された範囲内で、様々に変更することができる。樹脂スプリングを形成する樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリアセタール(POM)等の合成樹脂が挙げられる。また、液体噴出器10は、液体をそのまま吐出させるタイプの液体噴出器としたが、これに限定されるものではない。例えば、液体噴出器10は、液体を霧状に噴出させるスプレータイプの液体噴出器、或いは、液体を泡状に噴出させるフォーマータイプの液体噴出器とすることもできる。また、容器本体20に充填された液体の具体例としては、液体せっけん、シャンプ、リンス、化粧料、洗剤、薬品などが挙げられる。
【符号の説明】
【0040】
1:樹脂スプリング, 2:リング, 3:ヒンジ, 4:突起(一対の突起), F4:接触面, 10:液体噴出器, 20:容器本体, 100:液体噴出容器, θ:開き角度
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8